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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023054992
(43)【公開日】2023-04-17
(54)【発明の名称】部品実装装置及び部品実装方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20230410BHJP
   G06T 7/55 20170101ALI20230410BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20230410BHJP
【FI】
H05K13/04 C
G06T7/55
G06T7/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021164065
(22)【出願日】2021-10-05
(71)【出願人】
【識別番号】000003399
【氏名又は名称】JUKI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐野 孝浩
【テーマコード(参考)】
5E353
5L096
【Fターム(参考)】
5E353BB06
5E353EE26
5E353JJ02
5E353JJ08
5E353JJ50
5E353JJ60
5E353KK01
5E353KK11
5E353KK25
5E353QQ01
5L096AA06
5L096AA09
5L096BA05
5L096CA04
5L096DA02
5L096EA14
5L096EA37
5L096FA19
5L096FA66
5L096FA67
5L096FA69
(57)【要約】      (修正有)
【課題】部品実装装置の生産性の低下を抑制すること。
【解決手段】部品実装装置は、ロボットマニピュレータと、ボディがロボットハンドに保持された状態で、リード部品に縞パターン光を照射する投影装置と、撮像する撮像装置と、撮像データを画像処理する演算装置と、演算装置の画像処理結果に基づいて、リード部品のリードが基板の孔に挿入されるように、ロボットマニピュレータの制御装置と、を備える。演算装置は、リード部品の撮像データを位相シフト法に基づいて演算処理して、3次元画像データを生成する3次元画像生成部と、3次元画像データを3次元点群データに変換する3次元点群変換部と、3次元点群データをセグメンテーションして、3次元点群データからリードの表面の3次元形状を示すリード点群データを抽出するセグメンテーション部と、リード点群データを主成分分析して、リードの3次元データを算出するリード状態算出部と、を有する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットマニピュレータと、
前記ロボットマニピュレータの先端部に設けられ、リード部品のボディを保持するロボットハンドと、
前記ボディが前記ロボットハンドに保持された状態で、前記リード部品に縞パターン光を照射する投影装置と、
前記縞パターン光が照射された前記リード部品を所定の視点から撮像する撮像装置と、
前記撮像装置に撮像された前記リード部品の撮像データを画像処理する演算装置と、
前記演算装置の画像処理結果に基づいて、前記リード部品のリードが基板の孔に挿入されるように、前記ロボットマニピュレータを制御する制御装置と、を備え、
前記演算装置は、
前記リード部品の撮像データを位相シフト法に基づいて演算処理して、3次元画像データを生成する3次元画像生成部と、
前記3次元画像データを3次元点群データに変換する3次元点群変換部と、
前記3次元点群データをセグメンテーションして、前記3次元点群データから前記リードの表面の3次元形状を示すリード点群データを抽出するセグメンテーション部と、
前記リード点群データを主成分分析して、前記リードの3次元データを算出するリード状態算出部と、を有する、
部品実装装置。
【請求項2】
前記セグメンテーションにより、前記リード点群データが複数のセグメント点群に分離され、
前記演算装置は、
前記リード部品の設計値と、前記リード部品を撮像したときの前記撮像装置の視点と、規定の接続条件とに基づいて、複数の前記セグメント点群を接続して、前記リードの候補となる候補点群データを生成する候補点群生成部を有し、
前記リード点群データを主成分分析することは、前記候補点群データを主成分分析することを含む、
請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記リード部品が複数の視点のそれぞれから前記撮像装置に撮像されるように、前記ロボットマニピュレータを制御し、
前記3次元画像生成部は、複数の視点のそれぞれから撮像された複数の撮像データに基づいて、複数の3次元画像データを生成し、
前記3次元点群変換部は、複数の3次元画像データに基づいて、複数の3次元点群データを生成し、
前記演算装置は、
複数の3次元点群データを規定のアルゴリズムに基づいて位置合わせして、統合点群データを生成する3次元点群統合部を有し、
前記3次元点群データをセグメンテーションすることは、前記統合点群データをセグメンテーションすることを含む、
請求項1又は請求項2に記載の部品実装装置。
【請求項4】
前記リード状態算出部は、前記リードの3次元データとして、3次元空間における前記リードの曲がり量及び前記リードの先端部の座標を算出する、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の部品実装装置。
【請求項5】
ロボットマニピュレータの先端部に設けられたロボットハンドでリード部品のボディを保持した状態で、前記リード部品に縞パターン光を照射することと、
前記縞パターン光が照射された前記リード部品を所定の視点から撮像することと、
前記リード部品の撮像データを画像処理することと、
画像処理結果に基づいて、前記リード部品のリードが基板の孔に挿入されるように、前記ロボットマニピュレータを制御することと、を含み、
前記画像処理することは、
前記リード部品の撮像データを位相シフト法に基づいて演算処理して、3次元画像データを生成することと、
前記3次元画像データを3次元点群データに変換することと、
前記3次元点群データをセグメンテーションして、前記3次元点群データから前記リードの表面の3次元形状を示すリード点群データを抽出することと、
前記リード点群データを主成分分析して、前記リードの3次元データを算出することと、を含む、
部品実装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、部品実装装置及び部品実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の生産において、部品を基板に実装する部品実装装置が使用される。特許文献1には、リード部品を基板に実装する部品実装装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-093560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リード部品のリードが基板の孔に挿入されることによって、リード部品が基板に実装される。リードの状態によっては、リードを基板の孔に挿入することが困難となり、その結果、部品実装装置の生産性が低下する可能性がある。例えばリードが曲がっている状態の場合、リードを基板の孔に挿入することが困難となり、その結果、リード部品の実装を断念せざるを得ない状況が発生する可能性がある。部品実装装置の生産性の低下を抑制するためには、リードの状態を認識して、リードの状態に合わせてリードを基板の孔に挿入できる技術が要望される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書は、部品実装装置を開示する。部品実装装置は、ロボットマニピュレータと、ロボットマニピュレータの先端部に設けられ、リード部品のボディを保持するロボットハンドと、ボディがロボットハンドに保持された状態で、リード部品に縞パターン光を照射する投影装置と、縞パターン光が照射されたリード部品を所定の視点から撮像する撮像装置と、撮像装置に撮像されたリード部品の撮像データを画像処理する演算装置と、演算装置の画像処理結果に基づいて、リード部品のリードが基板の孔に挿入されるように、ロボットマニピュレータを制御する制御装置と、を備える。演算装置は、リード部品の撮像データを位相シフト法に基づいて演算処理して、3次元画像データを生成する3次元画像生成部と、3次元画像データを3次元点群データに変換する3次元点群変換部と、3次元点群データをセグメンテーションして、3次元点群データからリードの表面の3次元形状を示すリード点群データを抽出するセグメンテーション部と、リード点群データを主成分分析して、リードの3次元データを算出するリード状態算出部と、を有する。
【発明の効果】
【0006】
本明細書で開示する部品実装装置によれば、生産性の低下が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態に係る部品実装装置を示す斜視図である。
図2図2は、実施形態に係る部品実装装置を示す側面図である。
図3図3は、実施形態に係るロボットハンドを示す斜視図である。
図4図4は、実施形態に係るロボットハンドに保持されたリード部品を示す側面図である。
図5図5は、実施形態に係るリード部品を下方から見た図である。
図6図6は、実施形態に係る3次元計測装置を示す斜視図である。
図7図7は、実施形態に係るロボットマニピュレータの動作を説明するための図である。
図8図8は、実施形態に係る部品実装装置を示すブロック図である。
図9図9は、実施形態に係る演算装置の画像処理方法を示すフローチャートである。
図10図10は、実施形態に係る3次元点群データの一例を模式的に示す図である。
図11図11は、実施形態に係る統合点群データの一例を模式的に示す図である。
図12図12は、実施形態に係るリード点群データの一例を模式的に示す図である。
図13図13は、実施形態に係るセグメント点群を説明するための図である。
図14図14は、実施形態に係るリード部品のリードを基板の孔に挿入する動作を説明するための図である。
図15図15は、実施形態に係るリード部品のリードを基板の孔に挿入する動作を説明するための図である。
図16図16は、実施形態に係るコンピュータシステムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本開示は実施形態に限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0009】
実施形態においては、部品実装装置1にローカル座標系を設定し、ローカル座標系を参照しながら各部の位置関係について説明する。ローカル座標系として、XYZ直交座標系を設定する。所定面内においてX軸に平行な方向をX軸方向とする。所定面内においてX軸と直交するY軸に平行な方向をY軸方向とする。X軸及びY軸のそれぞれと直交するZ軸に平行な方向をZ軸方向とする。X軸を中心とする回転方向又は傾斜方向をθX方向とする。Y軸を中心とする回転方向又は傾斜方向をθY方向とする。Z軸を中心とする回転方向又は傾斜方向をθZ方向とする。所定面は、XY平面である。Z軸は、所定面と直交する。実施形態において、所定面は、水平面に平行であることとする。Z軸方向は、鉛直方向である。なお、所定面が水平面に対して傾斜していてもよい。
【0010】
[部品実装装置]
図1は、実施形態に係る部品実装装置1を示す斜視図である。図2は、実施形態に係る部品実装装置1を示す側面図である。図1及び図2に示すように、部品実装装置1は、基台2と、部品供給部材3と、基板支持部材4と、ロボットハンド5と、ロボットマニピュレータ6と、3次元計測装置7とを備える。
【0011】
基台2は、部品供給部材3、基板支持部材4、ロボットマニピュレータ6、及び3次元計測装置7のそれぞれを支持する。
【0012】
部品供給部材3は、リード部品100を供給する。実施形態において、部品供給部材3は、リード部品100が配置されるトレイを含む。複数のリード部品100が部品供給部材3に配置される。複数のリード部品100の種類は、同じでもよいし異なってもよい。
【0013】
基板支持部材4は、リード部品100が実装される基板200を支持する。基板支持部材4は、基板200の上面とXY平面とが平行になるように、基板200を支持する。
【0014】
ロボットハンド5は、リード部品100を保持する。ロボットハンド5は、ロボットマニピュレータ6の先端部に設けられる。
【0015】
ロボットマニピュレータ6は、ロボットハンド5を移動する。ロボットマニピュレータ6は、多関節ロボットを含む。実施形態において、ロボットマニピュレータ6は、垂直多関節ロボットである。なお、ロボットマニピュレータ6は、水平多関節ロボットでもよい。ロボットマニピュレータ6は、基台2に固定されるベース部材6Aと、ベース部材6Aに支持される旋回部材6Bと、旋回部材6Bに連結される第1アーム6Cと、第1アーム6Cに連結される第2アーム6Dと、第2アーム6Dに連結される第3アーム6Eとを有する。
【0016】
旋回部材6Bは、旋回軸TXを中心に旋回可能にベース部材6Aに支持される。旋回軸TXは、Z軸に平行である。第1アーム6Cは、第1回動軸AX1を中心に回動可能に旋回部材6Bに連結される。第1回動軸AX1は、Z軸と直交する。第2アーム6Dは、第2回動軸AX2を中心に回動可能に第1アーム6Cに連結される。第2回動軸AX2は、第1回動軸AX1に平行である。第3アーム6Eは、第3回動軸AX3を中心に回動可能に第2アーム6Dに連結される。第3回動軸AX3は、第2回動軸AX2に平行である。ロボットハンド5は、第3アーム6Eに取り付けられる。
【0017】
ロボットマニピュレータ6は、旋回部材6Bを旋回させる旋回アクチュエータと、第1アーム6Cを回動させる第1回動アクチュエータと、第2アーム6Dを回動させる第2回動アクチュエータと、第3アーム6Eを回動させる第3回動アクチュエータとを有する。
【0018】
3次元計測装置7は、ロボットハンド5に保持されたリード部品100を計測する。3次元計測装置7は、位相シフト法に基づいて、ローカル座標系におけるリード部品100の位置を検出する。
【0019】
[ロボットハンド]
図3は、実施形態に係るロボットハンド5を示す斜視図である。ロボットハンド5は、第3アーム6Eに取り付けられる連結部材5Aと、連結部材5Aに支持される回転部材5Bと、回転部材5Bに支持される一対の移動部材5Cとを有する。
【0020】
回転部材5Bは、回転軸RXを中心に回転可能に連結部材5Aに支持される。回転軸RXは、第3回動軸AX3と直交する。一対の移動部材5Cは、相互に接近する方向及び離隔する方向に移動する。移動部材5Cの下端部にグリップ部5Dが設けられる。一対のグリップ部5Dは、相互に接近及び離隔する。
【0021】
ロボットハンド5は、回転部材5Bを回転させる回転アクチュエータと、一対の移動部材5Cを相互に接近又は離隔させるグリップアクチュエータとを有する。
【0022】
一対のグリップ部5Dの間にリード部品100が配置された状態で、一対のグリップ部5Dが相互に接近することにより、リード部品100がグリップ部5Dに保持される。一対のグリップ部5Dが相互に離隔することにより、グリップ部5Dからリード部品100が解放される。
【0023】
一方の移動部材5Cに力覚センサ8が配置される。力覚センサ8は、グリップ部5Dに掛かる負荷を検出することができる。
【0024】
[リード部品]
図4は、実施形態に係るロボットハンド5に保持されたリード部品100を示す側面図である。図5は、実施形態に係るリード部品100を下方から見た図である。
【0025】
リード部品100は、ボディ101と、ボディ101から突出する複数のリード110とを有する。
【0026】
ボディ101は、合成樹脂製のハウジングを含む。ボディ101の内部空間に、例えばコイルのような素子が配置される。リード110は、金属製の突起物である。リード110は、例えばボディ101の内部空間に配置されている素子に接続される。
【0027】
リード110は、ボディ101の下面から下方に突出する。リード部品100が基板200に実装された状態で、ボディ101の下面と基板200の上面とが対向する。
【0028】
ロボットハンド5は、リード部品100のボディ101を保持する。一対のグリップ部5Dは、ボディ101を挟むことによってリード部品100を保持する。
【0029】
[3次元計測装置]
図6は、実施形態に係る3次元計測装置7を示す斜視図である。図6に示すように、3次元計測装置7は、ボディ101がロボットハンド5に保持された状態で、リード部品100の3次元形状を計測する。
【0030】
3次元計測装置7は、投影装置7Aと、撮像装置7Bと、演算装置7Cとを有する。実施形態において、投影装置7A及び撮像装置7Bのそれぞれは、ハウジング7Dに収容される。投影装置7A及び撮像装置7Bのそれぞれは、ハウジング7Dに固定される。ハウジング7Dの上端部の開口に透明部材7Eが配置される。透明部材7Eとして、ガラス板が例示される。
【0031】
投影装置7Aは、ボディ101がロボットハンド5に保持された状態で、リード部品100に縞パターン光を照射する。投影装置7Aは、光源と、光源から射出された光を光変調して縞パターン光を生成する光変調素子と、光変調素子で生成された縞パターン光を射出する射出光学系とを有する。光変調素子として、デジタルミラーデバイス(DMD:Digital Mirror Device)、透過型の液晶パネル、又は反射型の液晶パネルが例示される。
【0032】
撮像装置7Bは、縞パターン光が照射されたリード部品100を所定の視点から撮像する。撮像装置7Bの視点とは、リード部品100に対する撮像装置7Bの相対的な撮像位置及び撮像角度をいう。撮像装置7Bは、リード部品100で反射した縞パターン光を結像する結像光学系と、結像光学系を介してリード部品100の画像データを取得する撮像素子とを有する。撮像素子として、CMOSイメージセンサ(Complementary Metal Oxide Semiconductor Image Sensor)又はCCDイメージセンサ(Charge Coupled Device Image Sensor)が例示される。
【0033】
演算装置7Cは、撮像装置7Bに撮像されたリード部品100の撮像データを画像処理する。演算装置7Cは、コンピュータシステムを含む。演算装置7Cは、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサ、ROM(Read Only Memory)又はRAM(Random Access Memory)のようなメモリと、信号及びデータを入出力可能な入出力回路を含む入出力インターフェースとを有する。
【0034】
3次元計測装置7は、位相シフト法に基づいて、ロボットハンド5に保持されたリード部品100の3次元形状を計測する。
【0035】
投影装置7Aは、例えば正弦波状の明度分布の縞パターン光を位相シフトさせながらリード部品100に照射する。ロボットハンド5に保持されたリード部品100は、透明部材7Eの上方に配置される。投影装置7Aから射出された縞パターン光は、透明部材7Eを介してリード部品100に照射される。
【0036】
撮像装置7Bは、縞パターン光が照射されたリード部品100を撮像する。撮像装置7Bは、透明部材7Eを介してリード部品100を撮像する。撮像装置7Bは、リード部品100よりも下方からリード部品100を撮像する。撮像装置7Bの視点は、リード部品100の下方に規定される。ロボットマニピュレータ6が作動して、ロボットハンド5に保持されているリード部品100の位置及び姿勢が変化することにより、リード部品100と撮像装置7Bとの相対位置及び相対角度が変化する。リード部品100と撮像装置7Bとの相対位置及び相対角度が変化することにより、リード部品100に対する撮像装置7Bの相対的な視点が変化する。
【0037】
演算装置7Cは、撮像装置7Bに撮像されたリード部品100の撮像データを位相シフト法に基づいて画像処理して、リード110の3次元データを算出する。リード110の3次元データは、ローカル座標系で規定される3次元空間におけるリード110の曲がり量及びリード110の先端部の座標を含む。ボディ101に対するリード110の設計値上の角度を理想角度とし、ボディ101に対するリード110の実際の角度を実際角度とした場合、リード110の曲がり量とは、理想角度と実際角度との差をいう。
【0038】
[ロボットマニピュレータの動作]
図7は、実施形態に係るロボットマニピュレータ6の動作を説明するための図である。部品実装装置1は、ロボットマニピュレータ6を制御する制御装置9を備える。制御装置9は、コンピュータシステムを含む。図7に示すように、基板200には、リード部品100のリード110が挿入される孔210が設けられる。制御装置9は、3次元計測装置7の演算装置7Cの画像処理結果に基づいて、リード部品100のリード110が基板200の孔210に挿入されるように、ロボットマニピュレータ6を制御する。
【0039】
[演算装置]
図8は、実施形態に係る部品実装装置1を示すブロック図である。図8に示すように、部品実装装置1は、演算装置7Cと、制御装置9を有する。
【0040】
演算装置7Cは、3次元画像生成部11と、3次元点群変換部12と、3次元点群統合部13と、セグメンテーション部14と、候補点群生成部15と、リード状態算出部16と、出力部17とを有する。
【0041】
3次元画像生成部11は、撮像装置7Bからリード部品100の撮像データを取得する。3次元画像生成部11は、リード部品100の撮像データを位相シフト法に基づいて演算処理して、リード部品100の3次元画像データDaを生成する。
【0042】
実施形態において、制御装置9は、リード部品100が複数の視点のそれぞれから撮像装置7Bに撮像されるように、ロボットマニピュレータ6を制御する。3次元画像生成部11は、複数の視点のそれぞれから撮像された複数の撮像データに基づいて、複数の視点のそれぞれから見たリード部品100の複数の3次元画像データDaを生成する。
【0043】
3次元点群変換部12は、3次元画像生成部11に生成された3次元画像データDaを3次元点群データDbに変換する。3次元点群データDbは、リード部品100の表面の3次元形状を示す。3次元点群データDbは、リード部品100の表面における3次元計測装置7による複数の計測点の集合体である。複数の計測点のそれぞれの位置は、X座標、Y座標、及びZ座標によって規定される。
【0044】
上述のように、実施形態において、3次元画像生成部11は、複数の視点のそれぞれから撮像された複数の撮像データに基づいて、複数の3次元画像データDaを生成する。3次元点群変換部12は、複数の3次元画像データDaに基づいて、複数の視点のそれぞれから見たリード部品100の複数の3次元点群データDbを生成する。
【0045】
3次元点群統合部13は、3次元点群変換部12に生成された複数の3次元点群データDbを規定のアルゴリズムに基づいて位置合わせして、統合点群データDcを生成する。
【0046】
規定のアルゴリズムとして、ICP(Iterative Closest Point)マッチングアルゴリズムが例示される。3次元点群統合部13は、ICPマッチングアルゴリズムのような既存のアルゴリズムに基づいて、複数の3次元点群データDbを3次元空間で位置合わせして、統合点群データDcを生成する。
【0047】
セグメンテーション部14は、3次元点群データDbをセグメンテーションして、3次元点群データDbからリード点群データDdを抽出する。リード点群データDdは、リード110の表面の3次元形状を示す。リード110の表面は、リード110の外周面及び下端面を含む。セグメンテーションにより、3次元点群データDbにおいて、リード110に相当する計測点と、背景又はノイズに相当する計測点とが分離される。すなわち、セグメンテーションにより、リード110に相当する計測点が抽出され、背景又はノイズに相当する計測点が除去される。
【0048】
セグメンテーションとは、規定のルールに従って、3次元点群データDbを構成する点群から注目する点群を分離する処理をいう。実施形態において、セグメンテーション部14は、3次元点群データDbの特徴点を捉えて、3次元点群データDbを構成する計測点を複数のグループに分類する。セグメンテーション部14は、規定のセグメンテーション法に基づいて、3次元点群データDbをセグメンテーションする。
【0049】
セグメンテーション法として、LCCP(Locally Convex Connected Patches)法、又は領域拡張法(Region Growing)法が例示される。セグメンテーション部14は、LCCP法又は領域拡張法のような既存のセグメンテーション法に基づいて、3次元点群データDbからリード点群データDdを抽出する。
【0050】
実施形態において、3次元点群データDbをセグメンテーションすることは、3次元点群統合部13に生成された統合点群データDcをセグメンテーションすることを含む。セグメンテーション部14は、3次元点群統合部13に生成された統合点群データDcをセグメンテーションして、統合点群データDcからリード点群データDdを抽出する。
【0051】
候補点群生成部15は、リード部品100の設計値と、リード部品100を撮像したときの撮像装置7Bの視点と、規定の接続条件とに基づいて、複数のセグメント点群Deを接続して、リード110の候補となる候補点群データDfを生成する。セグメンテーションにより、統合点群データDcからリード点群データDdが抽出されるものの、リード点群データDdが複数のセグメント点群Deに分離される場合がある。セグメンテーションにより、リード点群データDdが複数のセグメント点群Deに分離された場合、どのセグメント点群Deがリード110に相当してどのセグメント点群Deがリード110に相当しないのかが不明確になる可能性がある。そこで、候補点群生成部15は、リード部品100の設計値と、リード部品100を撮像したときの撮像装置7Bの視点と、規定の接続条件とに基づいて、リード110に相当すると予測される複数のセグメント点群Deを抽出し、それら複数のセグメント点群Deを接続して、リード110の候補となる候補点群データDfを生成する。
【0052】
リード部品100の設計値は、既知のデータである。リード部品100の設計値は、候補点群生成部15に予め記憶されている。リード部品100の設計値として、リード110の長さ、ボディ101とリード110との相対位置、ボディ101に対するリード110の角度(理想角度)、及び複数のリード110の間隔が例示される。
【0053】
候補点群生成部15は、リード部品100が撮像装置7Bに撮像されるときに制御装置9からロボットマニピュレータ6に出力される制御指令に基づいて、リード部品100を撮像したときの撮像装置7Bの視点を算出することができる。なお、ロボットマニピュレータ6の位置及び姿勢を検出可能なセンサがロボットマニピュレータ6に設けられている場合、候補点群生成部15は、センサの検出値に基づいて、リード部品100を撮像したときの撮像装置7Bの視点を算出することができる。
【0054】
規定の接続条件は、予め定められる。規定の接続条件は、候補点群生成部15に予め記憶されている。実施形態において、規定の接続条件は、第1の接続条件と、第2の接続条件とを含む。第1の接続条件は、接続対象の2つのセグメント点群Deの相対距離が予め定められている規定距離以下であることを含む。第2の接続条件は、接続後のセグメント点群Deを軸平行境界ボックス(AABB:Axis-Aligned Bounding Box)で囲った場合の軸平行境界ボックスの最小面の面積をα、リード110の直径をβ、係数をγとした場合、[α<β×γ]の条件を満足することを含む。軸平行境界ボックスとは、ローカル座標系で規定される3次元空間のX軸、Y軸、及びZ軸のそれぞれに、各辺が平行な直方体の境界図形をいう。
【0055】
リード状態算出部16は、リード点群データDdを主成分分析して、リード110の3次元データを算出する。リード状態算出部16は、リード110の3次元データとして、ローカル座標系で規定される3次元空間におけるリード110の曲がり量及びリード110の先端部の座標を算出する。
【0056】
主成分分析とは、第1主成分の分散を最大化し、第2主成分以降は、それ以前の主成分と直交する条件において分散を最大化するように選択することにより主成分を決定していく分析手法をいう。
【0057】
実施形態において、リード点群データDdを主成分分析することは、候補点群生成部15に生成された候補点群データDfを主成分分析することを含む。リード状態算出部16は、候補点群生成部15に生成された候補点群データDfを主成分分析して、リード110の3次元データを算出する。
【0058】
実施形態において、リード状態算出部16は、候補点群データDfの主成分の主軸ベクトル及びリード110の先端部の座標がリード110の設計値とリード部品100を撮像したときの撮像装置7Bの視点とに基づいて予測されるリード110の主軸ベクトル及びリード110の先端部の座標に近似する主成分を、リード110として抽出する。
【0059】
出力部17は、リード状態算出部16に算出されたリード110の3次元データを制御装置9に出力する。演算装置7Cの画像処理結果は、リード状態算出部16に算出されたリード110の3次元データを含む。制御装置9は、リード110の3次元データに基づいて、リード110が基板200の孔210に挿入されるように、ロボットマニピュレータ6を制御する。
【0060】
[画像処理方法]
図9は、実施形態に係る演算装置7Cの画像処理方法を示すフローチャートである。リード部品100を基板200に実装するために、制御装置9は、ロボットハンド5が部品供給部材3に接近するように、ロボットマニピュレータ6を制御する。部品供給部材3に移動したロボットハンド5は、部品供給部材3に配置されているリード部品100のボディ101を保持する。リード部品100のボディ101がロボットハンド5に保持された後、制御装置9は、ロボットハンド5に保持されたリード部品100が3次元計測装置7に計測されるように、ロボットマニピュレータ6を制御する。すなわち、制御装置9は、図6を参照して説明したように、ロボットハンド5に保持されたリード部品100が3次元計測装置7の上方に配置されるように、ロボットマニピュレータ6を制御する。
【0061】
実施形態において、制御装置9は、リード部品100が複数の視点のそれぞれから撮像装置7Bに撮像されるように、ロボットマニピュレータ6を制御する。すなわち、制御装置9は、3次元計測装置7の上方において、ロボットハンド5に保持されたリード部品100の位置及び角度が変化するように、ロボットマニピュレータ6を制御する。撮像装置7Bは、異なる複数の視点のそれぞれからリード部品100を撮像する。
【0062】
3次元画像生成部11は、撮像装置7Bからリード部品100の撮像データを取得する(ステップS1)。
【0063】
3次元画像生成部11は、リード部品100の撮像データを位相シフト法に基づいて演算処理して、リード部品100の3次元画像データDaを生成する。3次元画像生成部11は、複数の視点のそれぞれから撮像された複数の撮像データに基づいて、複数の視点のそれぞれから見たリード部品100の複数の3次元画像データDaを生成する(ステップS2)。
【0064】
3次元点群変換部12は、3次元画像データDaを3次元点群データDbに変換する。3次元点群変換部12は、ステップS2で生成された複数の3次元画像データDaに基づいて、複数の視点のそれぞれから見たリード部品100の複数の3次元点群データDbを生成する(ステップS3)。
【0065】
図10は、実施形態に係る3次元点群データDbの一例を模式的に示す図である。複数の視点からリード部品100が撮像された場合、3次元点群変換部12は、複数の視点のそれぞれから見たリード部品100の複数の3次元点群データDbを生成する。例えば、3つの視点からリード部品100が撮像された場合、図10に示すように、3次元点群変換部12は、第1の視点から見たリード部品100の3次元点群データDb1と、第2の視点から見たリード部品100の3次元点群データDb2と、第3の視点から見たリード部品100の3次元点群データDb3とを生成する。
【0066】
3次元点群統合部13は、ステップS3で生成された複数の3次元点群データDbを規定のアルゴリズムに基づいて位置合わせして、統合点群データDcを生成する(ステップS4)。
【0067】
図11は、実施形態に係る統合点群データDcの一例を模式的に示す図である。図10に示したように、3つの3次元点群データDb(Db1,Db2,Db3)が生成された場合、3次元点群統合部13は、ICPマッチングアルゴリズムのような既存のアルゴリズムに基づいて、ステップS3で生成された3つの3次元点群データDbを3次元空間で位置合わせして、統合点群データDcを生成する。
【0068】
セグメンテーション部14は、ステップS4で生成された統合点群データDcをセグメンテーションして、統合点群データDcからリード点群データDdを抽出する(ステップS5)。
【0069】
図12は、実施形態に係るリード点群データDdの一例を模式的に示す図である。セグメンテーション部14は、LCCP法又は領域拡張法のような既存のセグメンテーション法に基づいて、統合点群データDcをセグメンテーションして、統合点群データDcからリード点群データDdを抽出する。図12に示すように、セグメンテーションにより、リード点群データDdが抽出される。また、セグメンテーションにより、背景又はノイズに相当する計測点が除去される。
【0070】
ステップS5のセグメンテーションにより、統合点群データDcからリード点群データDdが抽出されるものの、リード点群データDdが複数のセグメント点群Deに分離される場合がある。候補点群生成部15は、リード部品100の設計値と、リード部品100を撮像したときの撮像装置7Bの視点と、規定の接続条件とに基づいて、複数のセグメント点群Deを接続して、リード110の候補となる候補点群データDfを生成する(ステップS6)。
【0071】
図13は、実施形態に係るセグメント点群Deを説明するための図である。図13に示すように、セグメンテーションにより、統合点群データDcからリード点群データDdが抽出されるものの、リード点群データDdが複数のセグメント点群Deに分離される場合がある。図13に示す例において、セグメント点群Deは、第1セグメント点群De1と、第2セグメント点群De2と、第3セグメント点群De3と、第4セグメント点群De4とを含む。セグメンテーションにより、リード点群データDdが複数のセグメント点群Deに分離された場合、どのセグメント点群Deがリード110に相当してどのセグメント点群Deがリード110に相当しないのかが不明確になる可能性がある。そこで、候補点群生成部15は、リード部品100の設計値と、リード部品100を撮像したときの撮像装置7Bの視点と、規定の接続条件とに基づいて、リード110に相当すると予測される複数のセグメント点群Deを抽出し、それら複数のセグメント点群Deを接続して、リード110の候補となる候補点群データDfを生成する。
【0072】
上述のように、実施形態において、規定の接続条件は、第1の接続条件と、第2の接続条件とを含む。第1の接続条件は、接続対象の2つのセグメント点群Deの相対距離が予め定められている規定距離以下であることを含む。第2の接続条件は、接続後のセグメント点群Deを軸平行境界ボックスで囲った場合の最小面の面積をα、リード110の直径をβ、係数をγとした場合、[α<β×γ]の条件を満足することを含む。
【0073】
接続対象の2つのセグメント点群Deは、リード部品100の設計値及びリード部品100を撮像したときの撮像装置7Bの視点に基づいて決定される。候補点群生成部15は、リード部品100の設計値及びリード部品100を撮像したときの撮像装置7Bの視点に基づいて、現実のリード110の延伸方向を予測する。候補点群生成部15は、現実のリード110の延伸方向に沿うように配置される複数のセグメント点群Deを接続対象に決定する。
【0074】
図13に示す例において、第1セグメント点群De1と第2セグメント点群De2と第3セグメント点群De3と第4セグメント点群De4とが、予測される現実のリード110が延伸方向に沿うように配置されている。そのため、第1セグメント点群De1と第2セグメント点群De2と第3セグメント点群De3と第4セグメント点群De4とが接続対象に決定される。より詳細には、第1セグメント点群De1と第1セグメント点群De1に隣接する第2セグメント点群De2とが接続対象に決定される。第2セグメント点群De2と第2セグメント点群De2に隣接する第3セグメント点群De3とが接続対象に決定される。第3セグメント点群De3と第3セグメント点群De3に隣接する第4セグメント点群De4とが接続対象に決定される。
【0075】
図13に示す例において、第1接続条件に着目すると、第1セグメント点群De1と第2セグメント点群De2とは近接しており、第1セグメント点群De1と第2セグメント点群De2との相対距離は、規定距離以下である。第2セグメント点群De2と第3セグメント点群De3とは近接しており、第2セグメント点群De2と第3セグメント点群De3との相対距離は、規定距離以下である。一方、第3セグメント点群De3と第4セグメント点群De4とは離隔しており、第3セグメント点群De3と第4セグメント点群De4との相対距離は、規定距離を上回る。したがって、図13に示す例において、第4セグメント点群De4は、第1の接続条件を満足しないと判定される。
【0076】
図13に示す例において、第2接続条件に着目すると、第1セグメント点群De1と第2セグメント点群De2と第3セグメント点群De3とを接続した場合、接続後の3つのセグメント点群De(De1,De2,De3)を囲む軸平行境界ボックスBaの最小面Aaである下面の面積αは、[β×γ]を下回る。一方、第1セグメント点群De1と第2セグメント点群De2と第3セグメント点群De3と第4セグメント点群De4とを接続した場合、接続後の4つのセグメント点群De(De1,De2,De3,De4)を囲む軸平行境界ボックスBbの最小面Abである下面の面積αは、[β×γ]を上回る。したがって、図13に示す例において、第4セグメント点群De4は、第2の接続条件も満足しないと判定される。
【0077】
また、接続後の3つのセグメント点群De(De1,De2,De3)の延伸方向は、予測される現実のリード110の延伸方向に合致する。一方、接続後の4つのセグメント点群De(De1,De2,De3,De4)の延伸方向は、予測される現実のリード110の延伸方向に合致しない。
【0078】
このように、図13に示す例の場合、候補点群生成部15は、第1セグメント点群De1と第2セグメント点群De2と第3セグメント点群De3とがリード110に相当すると予測し、第4セグメント点群De4はリード110に相当しないと予測する。
【0079】
候補点群生成部15は、リード110に相当すると予測される複数のセグメント点群De(De1,De2,De3)を抽出し、それら複数のセグメント点群De(De1,De2,De3)を接続して、リード110の候補となる候補点群データDfを生成する(ステップS6)。
【0080】
図13に示す例において、候補点群データDfは、第1セグメント点群De1と第2セグメント点群De2と第3セグメント点群De3とにより構成される。
【0081】
リード状態算出部16は、ステップS6で生成された候補点群データDfを主成分分析して、リード110の3次元データを算出する(ステップS7)。
【0082】
実施形態において、リード状態算出部16は、候補点群データDfの主成分の主軸ベクトル及びリード110の先端部の座標がリード110の設計値とリード部品100を撮像したときの撮像装置7Bの視点とに基づいて予測されるリード110の主軸ベクトル及びリード110の先端部の座標に近似する主成分を、リード110として抽出する。図13に示したように、予測されるリード110の主軸ベクトルは、上述した、予測される現実のリード110の延伸方向を含む。
【0083】
リード状態算出部16は、リード110の3次元データとして、ローカル座標系で規定される3次元空間におけるリード110の曲がり量及びリード110の先端部の座標を算出する。
【0084】
出力部17は、ステップS7で算出されたリード110の3次元データを制御装置9に出力する(ステップS8)。
【0085】
制御装置9は、リード110の3次元データに基づいて、リード110が基板200の孔210に挿入されるように、ロボットマニピュレータ6を制御する。
【0086】
[リードの挿入]
図14及び図15のそれぞれは、実施形態に係るリード部品100のリード110を基板200の孔210に挿入する動作を説明するための図である。図14及び図15に示す例において、リード部品100は、2本のリード110を有する。リード110は、第1リード111と、第2リード112とを含む。基板200の孔210は、第1リード111が挿入される第1孔211と、第2リード112が挿入される第2孔212とを含む。
【0087】
実施形態において、ロボットマニピュレータ6は、多関節ロボットである。そのため、ロボットマニピュレータ6は、基板200の上面に対してリード部品100を傾斜させることができる。ロボットマニピュレータ6は、基板200の上面とロボットハンド5に保持されているボディ101の下面とがなす角度を任意に調整することができる。
【0088】
図14に示すように、例えば第2リード112が曲がっている場合、制御装置9は、演算装置7Cの画像処理結果に基づいて、第1リード111が第1孔211に挿入される前に、第2リード112が第2孔212に挿入されるように、ロボットマニピュレータ6を制御する。ロボットマニピュレータ6は、リード部品100を傾斜させながら、第2リード112を第2孔212に挿入する。
【0089】
第2リード112が第2孔212に挿入された後、制御装置9は、第1リード111の先端部が基板200の第1孔211に対向するまで、リード部品100を-X方向に移動させる。これにより、第2リード112が矯正される。第1リード111が基板200の第1孔211に対向するまで第2リード112が矯正された後、図15に示すように、制御装置9は、第2リード112が第2孔212に配置された状態で、第1リード111が第1孔211に挿入されるように、ロボットマニピュレータ6を制御する。
【0090】
[コンピュータシステム]
図16は、実施形態に係るコンピュータシステム1000を示すブロック図である。上述の演算装置7C及び制御装置9のそれぞれは、コンピュータシステム1000を含む。コンピュータシステム1000は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサ1001と、ROM(Read Only Memory)のような不揮発性メモリ及びRAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリを含むメインメモリ1002と、ストレージ1003と、入出力回路を含むインターフェース1004とを有する。演算装置7C及び制御装置9のそれぞれの機能は、コンピュータプログラムとしてストレージ1003に記憶されている。プロセッサ1001は、コンピュータプログラムをストレージ1003から読み出してメインメモリ1002に展開し、コンピュータプログラムに従って上述の処理を実行する。なお、コンピュータプログラムは、ネットワークを介してコンピュータシステム1000に配信されてもよい。
【0091】
コンピュータプログラムは、上述の実施形態に従って、コンピュータシステム1000に、ロボットマニピュレータ6の先端部に設けられたロボットハンド5でリード部品100のボディ101を保持した状態で、リード部品100に縞パターン光を照射することと、縞パターン光が照射されたリード部品100を所定の視点から撮像することと、リード部品100の撮像データを画像処理することと、画像処理結果に基づいて、リード部品100のリード110が基板200の孔210に挿入されるように、ロボットマニピュレータ6を制御することと、を実行させることができる。画像処理において、コンピュータプログラムは、上述の実施形態に従って、コンピュータシステム1000に、リード部品100の撮像データを位相シフト法に基づいて演算処理して、3次元画像データDaを生成することと、3次元画像データDaを3次元点群データDbに変換することと、3次元点群データDbをセグメンテーションして、3次元点群データDbからリード110の表面の3次元形状を示すリード点群データDdを抽出することと、リード点群データDdを主成分分析して、リード110の3次元データを算出することと、を実行させることができる。
【0092】
[効果]
以上説明したように、実施形態によれば、部品実装装置1は、ロボットマニピュレータ6と、ロボットハンド5と、3次元計測装置7とを備える。3次元計測装置7により、リード110の状態として、ローカル座標系で規定される3次元空間におけるリード110の曲がり量及びリード110の先端部の座標を認識することができる。ロボットマニピュレータ6及びロボットハンド5により、リード110の状態に合わせてリード110を基板200の孔210に挿入することができる。したがって、部品実装装置1の生産性の低下が抑制される。
【0093】
3次元計測装置7の演算装置7Cは、リード部品100の撮像データを位相シフト法に基づいて演算処理して、3次元画像データDaを生成する3次元画像生成部11と、3次元画像データDaを3次元点群データDbに変換する3次元点群変換部12と、3次元点群データDbをセグメンテーションして、3次元点群データDbからリード110の表面の3次元形状を示すリード点群データDdを抽出するセグメンテーション部14と、リード点群データDdを主成分分析して、リード110の3次元データを算出するリード状態算出部16と、を有する。セグメンテーション部14によるセグメンテーションにより、3次元点群データDbから背景又はノイズに相当する計測点が除去される。リード状態算出部16による主成分分析により、リード110の状態を表す主軸ベクトルが算出される。したがって、3次元計測装置7は、リード110の状態を適正に認識することができる。
【0094】
セグメンテーションにより、リード点群データDdが複数のセグメント点群Deに分離された場合、候補点群生成部15は、リード部品100の設計値と、リード部品100を撮像したときの撮像装置7Bの視点と、規定の接続条件とに基づいて、複数のセグメント点群Deを接続して、リード110の候補となる候補点群データDfを生成する。3次元計測装置7は、候補点群データDfに基づいて、リード110の状態を適正に認識することができる。
【0095】
3次元画像生成部11は、複数の視点のそれぞれから撮像された複数の撮像データに基づいて、複数の3次元画像データDaを生成する。3次元点群変換部12は、複数の3次元画像データDaに基づいて、複数の3次元点群データDbを生成する。3次元点群統合部13は、複数の3次元点群データを規定のアルゴリズムに基づいて位置合わせして、統合点群データDcを生成する。これにより、撮像装置7Bによるリード部品100の撮像においてロボットマニピュレータ6の位置決め精度が不足していても、統合点群データDcが生成されることにより、ロボットマニピュレータ6の位置決め精度に起因する3次元点群データDbの誤差が吸収される。
【符号の説明】
【0096】
1…部品実装装置、2…基台、3…部品供給部材、4…基板支持部材、5…ロボットハンド、5A…連結部材、5B…回転部材、5C…移動部材、5D…グリップ部、6…ロボットマニピュレータ、6A…ベース部材、6B…旋回部材、6C…第1アーム、6D…第2アーム、6E…第3アーム、7…3次元計測装置、7A…投影装置、7B…撮像装置、7C…演算装置、7D…ハウジング、7E…透明部材、8…力覚センサ、9…制御装置、11…3次元画像生成部、12…3次元点群変換部、13…3次元点群統合部、14…セグメンテーション部、15…候補点群生成部、16…リード状態算出部、17…出力部、100…リード部品、101…ボディ、110…リード、111…第1リード、112…第2リード、200…基板、210…孔、211…第1孔、212…第2孔、1000…コンピュータシステム、1001…プロセッサ、1002…メインメモリ、1003…ストレージ、1004…インターフェース、Aa…最小面、Ab…最小面、AX1…第1回動軸、AX2…第2回動軸、AX3…第3回動軸、Ba…軸平行境界ボックス、Bb…軸平行境界ボックス、Da…3次元画像データ、Db…3次元点群データ、Db1…3次元点群データ、Db2…3次元点群データ、Db3…3次元点群データ、Dc…統合点群データ、Dd…リード点群データ、De…セグメント点群、De1…第1セグメント点群、De2…第2セグメント点群、De3…第3セグメント点群、De4…第4セグメント点群、Df…候補点群データ、RX…回転軸、TX…旋回軸。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16