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特開2023-55016電子部品試験装置、ソケット、及び、キャリア
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023055016
(43)【公開日】2023-04-17
(54)【発明の名称】電子部品試験装置、ソケット、及び、キャリア
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/26 20200101AFI20230410BHJP
【FI】
G01R31/26 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021164099
(22)【出願日】2021-10-05
(71)【出願人】
【識別番号】390005175
【氏名又は名称】株式会社アドバンテスト
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】弁理士法人とこしえ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今泉 直人
(72)【発明者】
【氏名】金 成衍
(72)【発明者】
【氏名】長島 昌範
(72)【発明者】
【氏名】川島 敬史
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 明彦
【テーマコード(参考)】
2G003
【Fターム(参考)】
2G003AA07
2G003AG01
2G003AG11
2G003AG16
(57)【要約】
【課題】DUTの端子とソケットの接触子との位置合わせを高精度で行うことができる電子部品試験装置を提供する。
【解決手段】電子部品試験装置900は、ソケット50を有するテストヘッド5と、ハンドラ1と、を備え、ソケット50は、DUT90の端子91に対応して設けられた複数の接触子53と、インサート710に向かってDUT90の押圧方向に沿って突出する壁55と、を備え、インサート710は、ソケット50上に配置されたDUT90をソケット50の壁55に押し当てる押当機構750と、DUT90の端子91をソケット50に対して露出させる開口741と、を備え、ハンドラ1がDUT90をソケット50に押圧する際に、DUT90が押当機構750によって壁55に押し付けられることで、DUT90の端子91とソケット50の接触子53とを位置合わせする。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
DUTを試験する電子部品試験装置であって、
前記電子部品試験装置は、
ソケットを有するテストヘッドと、
キャリアに収容された前記DUTを前記ソケットに押圧する電子部品ハンドリング装置と、を備え、
前記ソケットは、
前記DUTの端子に対応して設けられた複数の接触子と、
前記キャリアに向かって前記DUTの押圧方向に沿って突出する第1の壁部材と、を備え、
前記キャリアは、
前記ソケット上に配置された前記DUTを前記ソケットの前記第1の壁部材に押し当てる第1の押当機構と、
前記DUTの前記端子を前記ソケットに対して露出させる第1の開口と、を備え、
前記電子部品ハンドリング装置が前記DUTを前記ソケットに押圧する際に、前記DUTが前記第1の押当機構によって前記第1の壁部材に押し付けられることで、前記DUTの前記端子と前記ソケットの前記接触子とを位置合わせする電子部品試験装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電子部品試験装置であって、
前記キャリアは、前記第1の壁部材が進入可能な第2の開口をさらに備え、
前記電子部品ハンドリング装置が前記DUTを前記ソケットに押圧する際に、前記第1の壁部材が前記第2の開口を介して前記キャリアの内部に進入する電子部品試験装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電子部品試験装置であって、
前記第2の開口は、前記第1の開口と一体的に形成されている電子部品試験装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の電子部品試験装置であって、
前記ソケットは、ガイドピン又はガイド孔の一方を備え、
前記キャリアは、前記ガイドピン又はガイド孔の一方に対応するガイド孔又はガイドピンの他方を備え、
前記電子部品ハンドリング装置が前記DUTを前記ソケットに押圧する際に、前記ガイドピンが前記ガイド孔に挿入されることで、前記キャリアと前記ソケットとを位置合わせする電子部品試験装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の電子部品試験装置であって、
前記第1の壁部材は、前記第1の壁部材の先端から前記押圧方向に沿って前記第1の壁部材の幅が太くなるように傾斜するテーパ形状を有する電子部品試験装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の電子部品試験装置であって、
前記ソケットは、前記第1の壁部材と異なる方向に延在するように設けられた第2の壁部材を備え、
前記キャリアは、
前記ソケット上に配置された前記DUTを前記第2の壁部材に向かって押し当てる第2の押当機構と、
前記第2の壁部材が進入可能な第3の開口と、を備え、
前記電子部品ハンドリング装置が前記DUTを前記ソケットに押圧する際に、前記第2の壁部材が前記第3の開口を介して前記キャリアの内部に進入する電子部品試験装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の電子部品試験装置であって、
前記ソケットは、
前記接触子を保持する保持部と、
前記保持部に前記押圧方向に沿って移動動可能に支持された移動部材と、を備え、
前記第1の壁部材は、前記移動部材に設けられている電子部品試験装置。
【請求項8】
請求項4に記載の電子部品試験装置であって、
前記第1の押当機構は、前記ガイド孔に挿入された前記ガイドピンが前記第1の押当機構に当接することにより、前記DUTを前記第1の壁部材に押し当てる電子部被試験装置。
【請求項9】
DUTを試験する電子部品試験装置に用いられるソケットであって、
前記DUTの端子に対応して設けられた複数の接触子と、
前記接触子を保持する保持部と、
前記DUTの押圧方向に沿って突出する第1の壁部材と、を備えるソケット。
【請求項10】
請求項2に記載の電子部品試験装置に用いられるキャリアであって、
前記第2の開口を備えたキャリア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路素子等の被試験電子部品(以下、単に「DUT」(Device Under Test)と称する。)の試験に用いられる電子部品試験装置、並びに、当該電子部品試験装置に用いられるソケット、及び、キャリアに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子部品試験装置として、押付機構を備えたデバイスキャリアにDUTを収容してDUTの外部端子とICソケットの接触子との位置合わせを行い、DUTの試験を行うものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-189392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の電子部品試験装置では、デバイスキャリアの寸法公差やデバイスキャリアのガイド孔とICソケットのガイドピンとの嵌め合い公差が、DUTの外部端子とICソケットの接触子との位置合わせ精度に影響を及ぼす。このため、外部端子が非常に狭いピッチで配置され高精度な位置合わせが要求されるDUTの試験において、十分な位置合わせ精度を確保することができない場合がある、という問題がある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、DUTの端子とソケットの接触子との位置合わせを高精度で行うことができる電子部品試験装置、並びに、当該電子部品試験装置に用いられるソケット、及び、キャリアを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]本発明に係る電子部品試験装置は、DUTを試験する電子部品試験装置であって、前記電子部品試験装置は、ソケットを有するテストヘッドと、キャリアに収容された前記DUTを前記ソケットに押圧する電子部品ハンドリング装置と、を備え、前記ソケットは、前記DUTの端子に対応して設けられた複数の接触子と、前記キャリアに向かって前記DUTの押圧方向に沿って突出する第1の壁部材と、を備え、前記キャリアは、前記ソケット上に配置された前記DUTを前記ソケットの前記第1の壁部材に押し当てる第1の押当機構と、前記DUTの前記端子を前記ソケットに対して露出させる第1の開口と、を備え、前記電子部品ハンドリング装置が前記DUTを前記ソケットに押圧する際に、前記DUTが前記第1の押当機構によって前記第1の壁部材に押し付けられることで、前記DUTの前記端子と前記ソケットの前記接触子とを位置合わせする電子部品試験装置である。
【0007】
[2]上記発明において、前記キャリアは、前記第1の壁部材が進入可能な第2の開口をさらに備え、前記電子部品ハンドリング装置が前記DUTを前記ソケットに押圧する際に、前記第1の壁部材が前記第2の開口を介して前記キャリアの内部に進入してもよい。
【0008】
[3]上記発明において、前記第2の開口は、前記第1の開口と一体的に形成されていてもよい。
【0009】
[4]上記発明において、前記ソケットは、ガイドピン又はガイド孔の一方を備え、前記キャリアは、前記ガイドピン又はガイド孔の一方に対応するガイド孔又はガイドピンの他方を備え、前記電子部品ハンドリング装置が前記DUTを前記ソケットに押圧する際に、前記ガイドピンが前記ガイド孔に挿入されることで、前記キャリアと前記ソケットとを位置合わせをしてもよい。
【0010】
[5]上記発明において、前記第1の壁部材は、前記第1の壁部材の先端から前記押圧方向に沿って前記第1の壁部材の幅が太くなるように傾斜するテーパ形状を有していてもよい。
【0011】
[6]上記発明において、前記ソケットは、前記第1の壁部材と異なる方向に延在するように設けられた第2の壁部材を備え、前記キャリアは、前記ソケット上に配置された前記DUTを前記第2の壁部材に向かって押し当てる第2の押当機構と、前記第2の壁部材が進入可能な第3の開口と、を備え、前記電子部品ハンドリング装置が前記DUTを前記ソケットに押圧する際に、前記第2の壁部材が前記第3の開口を介して前記キャリアの内部に進入してもよい。
【0012】
[7]上記発明において、前記ソケットは、前記接触子を保持する保持部と、前記保持部に前記押圧方向に沿って移動動可能に支持された移動部材と、を備え、前記第1の壁部材は、前記移動部材に設けられていてもよい。
【0013】
[8]上記発明において、前記第1の押当機構は、前記ガイド孔に挿入された前記ガイドピンが前記第1の押当機構に当接することにより、前記DUTを前記第1の壁部材に押し当ててもよい。
【0014】
[9]本発明に係るソケットは、DUTを試験する電子部品試験装置に用いられるソケットであって、前記DUTの端子に対応して設けられた複数の接触子と、前記接触子を保持する保持部と、前記DUTの押圧方向に沿って突出する第1の壁部材と、を備えるソケットである。
【0015】
[10]上記発明において、前記ソケットは、前記第1の壁部材と異なる方向に延在するように設けられた第2の壁部材をさらに備えていてもよい。
【0016】
[11]本発明に係るキャリアは、上記発明に係る電子部品試験装置に用いられるキャリアであって、前記第2の開口を備えたキャリアである。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る電子部品試験装置では、ソケットがキャリアに向かって突出する第1の壁部材を備え、キャリアがDUTを第1の壁部材に押し当てる第1の押当機構を備えている。これにより、電子部品試験装置の電子部品ハンドリング装置がDUTをソケットに押圧する際に、DUTが第1の押当機構によって第1の壁部材に押し当てられることでDUTの端子とソケットの接触子との位置合わせが行われる。従って、本発明では、キャリアの寸法公差、及び、キャリアのガイド孔とソケットのガイドピンとの嵌め合い公差の影響を受けないため、DUTの端子とソケットの接触子との位置合わせを高精度に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明の実施形態における電子部品試験装置の全体構成を示す概略断面図である。
図2図2は、図1の電子部品試験装置を示す斜視図である。
図3図3は、図1及び図2の電子部品試験装置でのトレイの移送について説明するための概念図である。
図4図4は、上記の電子部品試験装置において用いられるICストッカを示す分解斜視図である。
図5図5は、上記の電子部品試験装置において用いられるカスタマトレイを示す斜視図である。
図6図6は、本発明の実施形態のテストトレイを示す斜視図である。
図7図7は、本発明の実施形態におけるインサートを示す分解斜視図である。
図8図8は、本発明の実施形態におけるインサートを上方から見た平面図である。
図9図9は、本発明の実施形態におけるインサートを示す断面図であり、図8のIX-IX線に沿って見た図である。
図10図10は、本発明の実施形態におけるソケットを示す斜視図である。
図11図11は、本発明の実施形態におけるソケットの第1変形例を示す斜視図である。
図12図12は、本発明の実施形態における電子部品試験装置によってDUTの試験をする様子を示す断面図(その1)である。
図13図13は、本発明の実施形態における電子部品試験装置によってDUTの試験をする様子を示す断面図(その2)である。
図14図14は、本発明の実施形態における電子部品試験装置によってDUTの試験をする様子を示す平面図である。
図15図15(a)は、本発明の実施形態におけるソケットの第2変形例を用いてDUTの試験をする様子を示す断面図(その1)であり、図15(b)は、本発明の実施形態におけるソケットの第2変形例を用いてDUTの試験をする様子を示す断面図(その2)である。
図16図16(a)は、本発明の実施形態におけるインサートの変形例を用いてDUTの試験をする様子を示す断面図(その1)であり、図16(b)は、本発明の実施形態におけるインサートの変形例を用いてDUTの試験をする様子を示す断面図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
図1は本実施形態における電子部品試験装置の全体構成を示す概略断面図であり、図2図1の電子部品試験装置を示す斜視図であり、図3図1及び図2の電子部品試験装置でのトレイの移送について説明するための概念図である。
【0021】
図1及び図2に示す電子部品試験装置900は、ハンドラ1と、テストヘッド5と、テスタ6と、を備えている。この電子部品試験装置900は、DUT90(図12参照)に高温又は低温の熱ストレスを印加し、この状態でDUT90が適切に動作するか否かを、テストヘッド5及びテスタ6を用いて試験(検査)する。そして、この電子部品試験装置900は、試験結果に基づいてDUT90を分類する。特に限定されないが、本実施形態のDUT90は、例えば、半導体チップを樹脂材料等のモールド材でパッケージングしたものである。こうしたDUT90の具体例としては、メモリ系のデバイスを例示することができるが、ロジック系のデバイスやSoC(System on a chip)等であってもよい。
【0022】
本実施形態におけるハンドラ1が本発明における「電子部品ハンドリング装置」の一例に相当し、本実施形態におけるテストヘッド5が本発明における「テストヘッド」の一例に相当する。
【0023】
電子部品試験装置900では、試験対象となる多数のDUT90がカスタマトレイKST(図5参照)に搭載される。また、電子部品試験装置900のハンドラ1内では、テストトレイTST(図6参照)が循環される。DUT90は、カスタマトレイKSTからテストトレイTSTに載せ替えられて試験される。
【0024】
この電子部品試験装置900では、テストトレイTSTに載せられたDUT90と、テストヘッド5上のソケット50とが、接触して電気的に接続され、テスタ6からケーブル7を介してテストヘッド5へ出力される信号に基づいてDUT90が試験(検査)される。なお、DUT90の品種交換の際には、ソケット50および後述のコア730が、DUT90の形状やピン数などに適合するものに交換される。
【0025】
図2及び図3に示すように、ハンドラ1は、格納部200と、ローダ部300と、テスト部100と、アンローダ部400とを備える。格納部200は、試験前や試験済みのDUT90を格納する。ローダ部300は、格納部200から移送されるDUT90をテスト部100に移送する。テスト部100は、テストヘッド5のソケット50が内部に臨むように構成されている。アンローダ部400は、テスト部100で試験が行われた試験済みのDUT90を分類する。
【0026】
図4は上記の電子部品試験装置において用いられるICストッカを示す分解斜視図であり、図5は上記の電子部品試験装置において用いられるカスタマトレイを示す斜視図である。
【0027】
格納部200は、図4に示すように、試験前ストッカ201と、試験済ストッカ202とを備える。試験前ストッカ201は、試験前のDUT90を収容したカスタマトレイKSTを格納する。試験済ストッカ202は、試験結果に応じて分類されたDUT90を収容したカスタマトレイKSTを格納する。試験前ストッカ201および試験済ストッカ202は、枠状のトレイ支持枠203と、このトレイ支持枠203の下部から進入して上部に向かって昇降するエレベータ204とを備える。トレイ支持枠203には、カスタマトレイKSTが複数積み重ねられている。この積み重ねられたカスタマトレイKSTは、エレベータ204によって上下に移動される。
【0028】
このカスタマトレイKSTは、図5に示すように、DUT90を収容する凹状の複数の収容部を備える。この複数の収容部は、複数行複数列(例えば14行13列)に配列されている。なお、試験前ストッカ201と試験済ストッカ202とは同一の構造である。
【0029】
図2および図3に示すように、試験前ストッカ201には、2個のストッカSTK-Bと2個の空トレイストッカSTK-Eとが設けられている。2個のストッカSTK-Bは、相互に隣り合い、これらの2個のストッカSTK-Bの隣において、2個の空トレイストッカSTK-Eが相互に隣り合っている。空トレイストッカSTK-Eは、アンローダ部400に移送される空のカスタマトレイKSTが積み重ねられている。
【0030】
試験前ストッカ201の隣には、試験済ストッカ202が設けられている。この試験済ストッカ202には、8個のストッカSTK-1,STK-2,…,STK-8が設けられている。試験済ストッカ202は、試験済のDUT90を試験結果に応じて最大で8分類に仕分けて格納できるように構成されている。例えば、試験済のDUT90は、試験済ストッカ202において、良品と不良品とに仕分けできる他に、動作速度が高速な良品と、動作速度が中速な良品と、動作速度が低速な良品とに仕分けでき、或いは、再試験が必要な不良品と再試験が不要な不良品とに仕分けできる。
【0031】
格納部200は、図2に示すように、トレイ移送アーム205をさらに備える。トレイ移送アーム205は、試験前ストッカ201と装置基台101との間に設けられている。このトレイ移送アーム205は、カスタマトレイKSTを、装置基台101の下側からローダ部300に移送する。装置基台101においてローダ部300に対応する位置には、一対の窓部370が形成されている。
【0032】
ローダ部300は、デバイス搬送装置310を備える。このデバイス搬送装置310は、2本のレール311と、可動アーム312と、可動ヘッド320とを備える。2本のレール311は、装置基台101上に架設されている。可動アーム312は、2本のレール311に沿ってテストトレイTSTとカスタマトレイKSTとの間を往復移動する。可動ヘッド320は、可動アーム312によって支持され、X軸方向に移動する。可動ヘッド320には、不図示の複数の吸着パッドが下向きに装着されている。
【0033】
デバイス搬送装置310は、複数の吸着パッドで複数のDUT90を吸着した可動ヘッド320をカスタマトレイKSTからプリサイサ(preciser)360に移動させる。これにより、DUT90が、カスタマトレイKSTからプリサイサ360に移送される。そして、デバイス搬送装置310は、プリサイサ360において、可動アーム312および可動ヘッド320により、DUT90の相互の位置関係を修正する。その後、デバイス搬送装置310は、DUT90を、ローダ部300で停止しているテストトレイTSTに移送する。これにより、DUT90が、カスタマトレイKSTからテストトレイTSTに積み替えられる。
【0034】
テスト部100は、図2及び図3に示すように、ソークチャンバ110と、テストチャンバ120と、アンソークチャンバ130とを備える。ソークチャンバ110は、テストトレイTSTに搭載されたDUT90に、目的とする高温又は低温の熱ストレスを印加する。テストチャンバ120は、ソークチャンバ110において熱ストレスが印加されたDUT90をテストヘッド5に押し付ける。アンソークチャンバ130は、テストチャンバ120で試験されたDUT90から熱ストレスを除去する。
【0035】
ソークチャンバ110においてDUT90に高温を印加する場合には、アンソークチャンバ130においてDUT90を送風により室温まで冷却する。一方、ソークチャンバ110においてDUT90に低温を印加する場合は、アンソークチャンバ130においてDUT90を温風又はヒータ等により結露が生じない程度の温度まで加熱する。
【0036】
図2に示すように、ソークチャンバ110及びアンソークチャンバ130は、テストチャンバ120よりも上方に突出している。また、図3に概念的に示すように、ソークチャンバ110には、垂直搬送装置(不図示)が設けられており、先行のテストトレイTSTがテストチャンバ120内に存在する間、後行の複数のテストトレイTSTが垂直搬送装置に支持された状態で待機する。後行の複数のテストトレイTSTに搭載されたDUT90は、待機中に高温または低温の熱ストレスを印加される。
【0037】
テストチャンバ120の中央には、テストヘッド5が配置されている。そのテストヘッド5の上にテストトレイTSTが移送される。テストチャンバ120内には、Z軸方向に移動するZ軸駆動装置(不図示)が設けられている。テストヘッド5の上に移送されたテストトレイTSTは、Z軸駆動装置が下降することによりテストヘッド5に押し付けられる。これにより、テストトレイTSTに搭載されたDUT90がテストヘッド5上のソケット50に押圧され、DUT90の端子91(図12参照)とソケット50の接触子53(図12参照)が接触する。この状態でDUT90の試験が行われる。試験が終了したDUT90が搭載されたテストトレイTSTは、アンソークチャンバ130に移送される。アンソークチャンバ130では、試験が終了したDUT90が室温まで除熱される。除熱されたDUT90が搭載されたテストトレイTSTは、アンローダ部400に搬出される。
【0038】
ソークチャンバ110の上部には、テストトレイTSTを装置基台101からソークチャンバ110に搬入するための入口が形成されている。一方、アンソークチャンバ130の上部には、テストトレイTSTをアンソークチャンバ130から装置基台101に搬出するための出口が形成されている。
【0039】
図2に示すように、アンローダ部400には、2台のデバイス搬送装置410が設けられている。このデバイス搬送装置410は、ローダ部300に設けられたデバイス搬送装置310と同一構造である。2台のデバイス搬送装置410は、試験済みのDUT90を、装置基台101に存在するテストトレイTSTから、試験結果に応じたカスタマトレイKSTに積み替える。
【0040】
装置基台101には、二対の窓部470が形成されている。この二対の窓部470は、アンローダ部400に移送されたカスタマトレイKSTが装置基台101の上面に臨むように配置されている。この二対の窓部470と上述の窓部370との下側には、不図示の昇降テーブルが設けられている。この昇降テーブルは、試験済のDUT90が搭載されたカスタマトレイKSTを下降させてトレイ移送アーム205に受け渡す。
【0041】
図6はテストトレイTSTを示す斜視図であり、図7は本実施形態におけるインサートを示す分解斜視図であり、図8は本実施形態におけるインサートを上方から見た平面図であり、図9は本実施形態におけるインサートを示す断面図であり、図8のIX-IX線に沿って見た図である。
【0042】
図6に示すように、テストトレイTSTは、フレーム700と、複数のインサート(デバイスキャリア)710とを備える。フレーム700は、矩形状の外枠701と、外枠701内に設けられた格子形状の内枠702とを備えている。フレーム700には、外枠701と内枠702により区画された複数の矩形状の開口703が形成されている。フレーム700には、外枠701と内枠702の交差部、及び、内枠702の各交差部に、複数の貫通孔704が形成されている。図7に示すように、貫通孔704には、固定部材705が挿入される。本実施形態におけるインサート710が本発明における「キャリア」の一例に相当する。
【0043】
インサート710は、テストトレイTSTによってDUT90を搬送する際に、DUT90を収容して保持するための部材である。それぞれのインサート710は、1つの開口703に対応して設けられている。言い換えれば、複数のインサート710は、テストトレイTSTのフレーム700内に、複数行・複数列のマトリクスを形成するように配列されている。
【0044】
図7に示すように、インサート710は、ボディ720と、複数のコア730と、を備えている。
【0045】
ボディ720は、フレーム700に対してインサート710を微動可能に保持するための部材である。複数のボディ720のうち、フレーム700の最外周に位置する開口703に対応するボディ720は、ボディ720の外周部720aの一部が外枠701と重なり、外周部720aの他の部分が内枠702と重なるように配置される。その他のボディ720は、外周部720aが内枠702と重なるように配置される。ボディ720の外周部720aの一部が、外枠701又は内枠702と、固定部材705とに挟持されることによって、ボディ720はフレーム700に対しXY平面方向に微動可能な状態で保持される。
【0046】
また、ボディ720は、コア730を保持するための部材である。ボディ720は、矩形枠状の樹脂成形体であり、フレーム700の開口703に対応した形状を有している。ボディ720には、コア730の個数と同数(本実施形態では4個)の矩形状の開口721が形成されている。複数の開口721は、ボディ720において、複数行・複数列のマトリクス(本実施形態では2行2列)を形成している。それぞれの開口721には、DUT90が挿通可能となっている。本実施形態では、ボディ720に4つの開口721が形成されているが、開口721の個数は特にこれに限定されない。
【0047】
それぞれの開口721は、図中Z軸方向にボディ720を貫通するように形成されている。開口721は、コア730がボディ720に装着されることにより、コア730の開口741(後述)と連通する。
【0048】
ボディ720には、図7に示すように、係合部722が形成されている。係合部722にコア730の爪742が係合することにより、コア730がボディ720に支持される。
【0049】
コア730は、図8に示すように、矩形枠状の樹脂成形体であり、コア本体740と、2つの押当機構750,760と、を備えている。本実施形態における押当機構750が本発明における「第1の押当機構」の一例に相当し、本実施形態における押当機構760が本発明における「第2の押当機構」の一例に相当する。
【0050】
コア730は、ボディ720と着脱可能で、DUT90の品種に応じて交換可能となっている。コア本体740の形状や開口741の大きさは、DUT90の形状に応じて適宜設計することができる。
【0051】
コア本体740には、開口741が形成されている。開口741は、DUT挿入部741aと、ソケット挿入部741b,741cと、から構成されている。本実施形態におけるDUT挿入部741aが本発明における「第1の開口」の一例に相当し、本実施形態におけるソケット挿入部741bが本発明における「第2の開口」の一例に相当し、本実施形態におけるソケット挿入部741cが「第3の開口」の一例に相当する。
【0052】
開口741のDUT挿入部741aは、DUT90の外形に対応する矩形形状を有している。DUT挿入部741aは、図9に示すように、図中Z軸方向にコア本体740を貫通している。DUT挿入部741aは、コア730がボディ720に装着されることにより、ボディ720の開口721と連通する。これにより、ボディ720の上方から開口721を介してインサート710に挿入されたDUT90が、開口741のDUT挿入部741aを介してコア本体740に挿入され、コア730に保持されることが可能となっている。また、コア730に保持されたDUT90の端子91(後述)が開口741のDUT挿入部741aを介してソケット50に対して露出しており、DUTの試験の際に、端子91がソケット50の接触子53と対向することが可能となっている(図12参照)。
【0053】
図8に戻り、開口741のソケット挿入部741bは、ソケット50の壁55(後述)の形状に対応した矩形形状を有している。また、開口741のソケット挿入部741cは、ソケット50の壁56(後述)の形状に対応した矩形形状を有している。DUT90の試験をする際に、DUT90がソケット50に押圧されることにより、ソケット50の壁55がこのソケット挿入部741bを介してインサート710の内部に進入すると共に、ソケット50の壁56がソケット挿入部741cを介してインサート710の内部に進入することが可能となっている。
【0054】
なお、本実施形態では、ソケット挿入部741b,741cが互いに一部重なり合いL字状に配置されているが、ソケット挿入部741b,741cの構成は特にこれに限定されない。例えば、図11に示すように、ソケット50の壁55,56が別々に形成されている場合は、壁55,56に対応してソケット挿入部741bとソケット挿入部741cとが離れて形成されていてもよい。
【0055】
また、本実施形態では、DUT挿入部741a及びソケット挿入部741b,741cが一体的に形成され1つの開口741を構成しているが、DUT挿入部741a及びソケット挿入部741b,741cの構成は特にこれに限定されない。例えば、DUT挿入部741a、ソケット挿入部741b、及び、ソケット挿入部741cが互いに離れてそれぞれ別々の開口として形成されていてもよい。
【0056】
複数の爪742は、ボディ720の係合部722と係合し、コア730をボディ720に装着するための部材である。複数の爪742は、図9に示すように、コア本体740から上方向(図中Z軸方向)に向かって延出しており、コア本体740と一体的に形成されている。
【0057】
コア本体740の底部には、複数の保持片743が設けられている。複数の保持片743は、コア本体740の枠形状の底部から開口741の中心に向かって突出している。複数の保持片743は、コア本体740に一体的に形成されている。これらの保持片734がコア730の上方から開口741内に挿入されたDUT90の外周部分に当接することにより、コア本体740がDUT90を保持することが可能となっている。
【0058】
また、コア本体740の底部には、複数のガイド孔744が形成されている。このガイド孔744は、ソケット50のガイドピン54(後述)と対応して設けられている。DUT90の試験の際に、DUT90がソケット50に押圧されることに伴い、ガイドピン54がガイド孔744に挿入されることで、ソケット50とインサート710の位置合わせが行われる。本実施形態におけるガイド孔744が、本発明における「ガイド孔」の一例に相当する。
【0059】
押当機構750は、レバー751と、ばね752と、を備えている。押当機構750は、後述する通り、DUT90の試験の際に、DUT90をソケット50の壁55に押し付けることにより、DUT90の端子91とソケット50の接触子53(後述)との位置合わせを可能とする機構である。
【0060】
レバー751は、押当部7511と、ばね受け部7512と、を備えており、回転軸7513に回転可能に支持されている。ばね752は、弾性的に圧縮した状態でばね受け部7512に取り付けられており、レバー751が回転する方向にレバー751を付勢している。押当部7511は、DUT90の側面に当接する平面形状となっている。レバー751の押当部7511がDUT90に当接することで、DUT90が側方(図中Y軸方向)に押し当てられる。
【0061】
押当機構760は、DUT90を図中X軸方向に押し当てるように配置されているほかは、押当機構750と同様の構成を備えている。本実施形態では、押当機構750がDUT90をY軸方向に押すように配置され、押当機構760がDUT90をX軸方向に押すように配置されているが、押当機構750,760の配置は特にこれに限定されない。押当機構750,760が、平面視において、互いに異なる方向にDUT90を押し当てるように配置されていればよい。
【0062】
図10は本実施形態におけるソケットを示す斜視図であり、図11は本実施形態におけるソケットの変形例を示す斜視図である。
【0063】
ソケット50は、ベース部51と、保持部52と、複数の接触子53と、複数のガイドピン54と、壁55,56と、を備えている。本実施形態における保持部52が本発明における「保持部」の一例に相当し、本実施形態における接触子53が本発明における「接触子」の一例に相当し、本実施形態におけるガイドピン54が本発明における「ガイドピン」の一例に相当し、本実施形態における壁55が本発明における「第1の壁部材」の一例に相当し、本実施形態における壁56が本発明における「第2の壁部材」の一例に相当する。
【0064】
複数の接触子53は、保持部52に保持されており、DUT90の複数の端子91に対応して設けられている。本実施形態では、接触子53としてポゴピンを用いているが、接触子53としてポゴピン以外のものを用いてもよい。例えば、カンチレバー型のプローブ針、異方導電性ゴムシートや、絶縁性膜にバンプを形成したメンブレンタイプのものを用いてもよい。。複数の接触子53は、保持部52の上に、複数列で矩形環状に配列されている。なお、接触子53の配置は、特にこれに限定されず、DUT90の端子91の配置に応じて適宜変更することができる。
【0065】
ガイドピン54は、ベース部51の上面に設けられており、DUT90の試験におけるDUT90の押圧方向(図中Z軸方向)に沿って突出している。ガイドピンの上端の形状は、上方に向かうにしたがって細くなっている。DUT90の試験の際に、DUT90のソケット50への押圧に伴ってガイドピン54がコア730のガイド孔744に挿入されることにより、インサート710とソケット50との位置合わせが行われる。なお、本実施形態では、ソケット50が2個のガイドピン54を備えているが、ガイドピン54の個数は特にこれに限定されず、1個、あるいは、3個以上であってもよい。
【0066】
なお、本実施形態における電子部品試験装置900では、インサート710のコア本体740にガイド孔744が形成され、ソケット50がガイドピン54を備えているが、特にこれに限定されない。例えば、インサート710のコア本体740がガイドピンを備え、ソケット50に当該ガイドピンが挿入されるガイド孔が形成されていてもよい。
【0067】
壁55は、DUT90の試験におけるハンドラによるDUT90の押圧方向(図中Z軸方向)に沿って保持部52から突出している。壁55は、DUT90が壁55に接触した状態で、DUT90の端子91とソケット50の接触子53との位置が合致するように配置されている。壁55は、平面視において、複数の接触子53よりも保持部52の外側に配置されており、図中X軸方向に沿って延在している。壁55は、平面視において、複数の接触子53と対向する側面551が、インサート710のコア730の内壁面745よりも内側(接触子53により近い側)に位置するように配置されている。
【0068】
壁56は、壁55と同様に、DUT90の押圧方向に(図中Z軸方向)沿って保持部52から突出している。壁56は、平面視において接触子53よりも保持部52の外側に配置されており、図中Y軸方向に沿って延在している。また、壁56は、平面視において、接触子53と対向する側面561が、インサート710のコア730の内壁面746よりも内側に位置するように配置されている。
【0069】
壁56は、図中Y軸方向に沿って配置されているが、壁56の配置は特にこれに限定されず、平面視において壁55と異なる方向に延在するように配置されていればよい。また、本実施形態では、壁55及び壁56は一体的に形成され、1つのL字型の壁を構成しているが、壁55および壁56の構成は特にこれに限定されない。例えば、図11に示すように、壁55と壁56が別々に形成されていてもよい。
【0070】
壁55は、複数の接触子53と対向する側面551において、壁55の先端からDUT90の押圧方向に沿って壁55の幅が太くなるように傾斜するテーパ形状を有している。壁56も、壁55と同様に、複数の接触子53と対向する側面において、壁56の先端からDUT90の押圧方向に沿って壁56の幅が太くなるように傾斜するテーパ形状を有している。
【0071】
壁55は、DUT90の試験の際に、ハンドラ1がDUT90をソケット50に押圧することにより、インサート710の開口741のソケット挿入部741bを介してインサート710の内部に進入する。そして、押当機構750によってDUT90が壁55に押し当てられることにより、DUT90の端子91とソケット50の接触子53とのY軸方向における位置合わせが行われる。壁56も同様に、DUT90の試験の際に、インサート710の開口741のソケット挿入部741cを介してインサート710の内部に進入する。押当機構760によってDUT90が壁56に押し当てられることにより、DUTの端子91とソケット50の接触子53とのX軸方向における位置合わせが行われる。
【0072】
本実施形態におけるDUT90の試験は、上述の電子部品試験装置900を用いて行われる。図12,13は本実施形態における電子部品試験装置によってDUTの試験をする様子を示す断面図であり、図14は本実施形態における電子部品試験装置によってDUTの試験をする様子を示す平面図である。
【0073】
まず、DUT90は、デバイス搬送装置310によってテストトレイTSTに移送され、インサート710に挿入される。具体的には、図12に示すように、DUT90は開口741のDUT挿入部741aを介してコア730に挿入され、保持片734によって保持される。このとき、DUT90は押当機構750,760によって、コア本体740の内壁面745,746に押し当てられている(図14のP参照)。このようなインサート710を複数保持したテストトレイTSTをテストヘッド5上に移送し、ハンドラ1のテストチャンバ120内に設けられたZ軸駆動装置(不図示)によってテストトレイTSTを下降させる。ハンドラ1は、Z軸駆動装置に取り付けられたプッシャ121によってDUT90をソケット50に押圧する。
【0074】
図13に示すように、DUT90がソケット50に押圧されることにより、ソケット50のガイドピン54が、コア730のガイド孔744に挿入される。これにより、インサート710とソケット50との位置合わせが行われる。
【0075】
また、DUT90がソケット50に押圧されることにより、ソケット50の壁55が、コア730の開口741のソケット挿入部741bを介してインサート710の内部に進入する。壁55は、コア730の内壁面745とDUT90の間に進入する。これにより、DUT90は、壁55のテーパ形状に沿って壁55の側面551に接触するように移動する。すなわち、図14に示すように、DUT90が押当機構750によってコア730の内壁面745に押し当てられた位置Pから、ソケット50の壁55に押し当てられた位置Pに移動する。これにより、DUT90の端子91とソケット50の接触子53とのY軸方向における位置合わせが行われる。
【0076】
同様に、壁56は、DUT90がソケット50に押圧されることにより、開口741のソケット挿入部741cを介してインサート710の内部に進入し、コア730の内壁面746とDUT90の間に進入する。これにより、DUT90は、壁56のテーパ形状に沿って側面561に接触するように移動する。すなわち、図14に示すように、DUT90が押当機構760によってコア730の内壁面746に押し当てられた位置Pから、ソケット50の壁56に押し当てられた位置Pに移動する。これにより、DUT90の端子91とソケット50の接触子53とのX軸方向における位置合わせが行われる。
【0077】
以上のように、X軸方向及びY軸方向の位置合わせによりDUT90の端子91とソケット50の接触子53との位置合わせが完了する。この状態で、DUT90の試験が行われる。
【0078】
ここで、ソケット50が壁55,56を備えていない上述した従来の電子部品試験装置では、DUT90の端子91とソケット50の接触子53との位置合わせ精度に影響を及ぼす要素として、(i)DUTの側面と端子との間の寸法公差、(ii)ガイド孔の中心とコアの内壁面との間の寸法公差、(iii)ガイドピンとガイド孔の嵌め合い公差、及び、(iv)ガイドピンの中心と接触子との間の寸法公差、の4つの要素が存在する。
【0079】
これに対し、本実施形態における電子部品試験装置900では、上述の通り、ソケット50が壁55を備えており、押当機構750によってDUT90を壁55に押し当てることにより、DUT90の端子91とソケット50の接触子53との位置合わせが行われる。すなわち、本実施形態における電子部品試験装置900において、DUT90の端子91とソケット50の接触子53との位置合わせ精度に影響を与える要素は、壁55に当接するDUT90の側面(本実施形態では、具体的には、DUT90のモールドパッケージの側面)と端子91との間の寸法公差ΔAと、壁55と接触子53との間の寸法公差ΔBのみである(図12参照)。従って、本実施形態における電子部品試験装置900では、ガイド孔744の中心とコア730の内壁面745との間の寸法公差(上記の(iii)に対応)、および、ガイドピン54とガイド孔744の嵌め合い公差(上記の(iv)に対応)の影響を受けないため、DUT90の端子91とソケット50の接触子53との位置合わせを高精度に行うことができる。
【0080】
また、本実施形態における電子部品試験装置900では、壁55が壁55の先端からDUT90の押圧方向に沿って壁55の幅が太くなるように傾斜するテーパ形状を有している。これにより、DUT90がコア730の内壁面745に押し当てられた位置から壁55に押し当てられた位置に移動する際に、このテーパ形状に沿ってスムーズに移動することができる。このため、DUT90が壁55との接触により破損することを抑制することができる。
【0081】
さらに、本実施形態における電子部品試験装置900では、押当機構750によってDUT90を壁55に押し当てると共に、押当機構760によってDUT90を壁56に押し当てている。すなわち、DUT90を平面視において異なる2つの方向に押し当てている。これにより、平面視におけるDUT90の位置を2軸に基づいて決定することができるため、DUT90の端子91とソケット50の接触子53との位置合わせをより高精度に行うことができる。
【0082】
図15(a)及び図15(b)は本実施形態におけるソケットの第2変形例を用いてDUTの試験をする様子を示す断面図であり、図16(a)及び図16(b)は本実施形態におけるインサートの変形例を用いてDUTの試験をする様子を示す断面図である。
【0083】
本実施形態におけるソケット50は、図15(a)及び図15(b)に示すように、保持部52の上に設けられたトッププレート57をさらに備えていてもよい。本実施形態におけるトッププレート57が本発明における「移動部材」の一例に相当する。
【0084】
トッププレート57は、板状の部材であり、複数のばね571によって保持部52の上にDUT90の押圧方向に沿って移動可能に支持されている。図15(a)及び図15(b)に示す形態では、壁55,56はこのトッププレート57の上に配置されている。トッププレート57には接触子53に対応した複数の貫通孔572が形成されており、接触子53はこの貫通孔572を介してDUT90の端子91と接触することが可能となっている。ソケット50がトッププレート57を備えていることにより、壁55,56もDUT90の押圧方向に沿って移動可能となっている。このため、図15(b)に示すように、壁55,56がインサート710の内部に進入する際に、DUT90の端部と壁55,56が接触することによるDUT90への衝撃を和らげることができる。これにより、DUT90が壁55,56との接触により破損することを抑制することができる。
【0085】
なお、図15(a)及び図15(b)に示す形態では、トッププレート57が保持部52全体を覆うように形成されているが、移動部材の構造は特にこれに限定されない。例えば、移動部材が、壁55,56と保持部52との間にのみ形成され、接触子53の上に形成されていなくてもよい。
【0086】
また、図16(a)及び図16(b)に示すように、押当機構750のレバー751がガイド孔744の内部に露出するように設けられていてもよい。図16(a)及び図16(b)に示す形態では、押当機構750はばね752を備えていなくてもよい。図16(b)に示すように、DUT90をソケット50に押圧するに伴い、ガイドピン54がガイド孔744に挿入され、ガイドピン54がレバー751に当接することにより、レバー751が回転する方向に付勢され、DUT90を壁55に押し当てることが可能となっている。
【0087】
なお、図16(a)及び図16(b)では、ソケット50がトッププレート57を備えているが、特にこれに限定されず、ソケット50がトッププレート57を備えていなくてもよい。
【0088】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【符号の説明】
【0089】
1…ハンドラ
5…テストヘッド
6…テスタ
7…ケーブル
50…ソケット
51…ベース部
52…保持部
53…接触子
54…ガイドピン
55,56…壁
57…トッププレート
571…ばね
100…テスト部
120…テストチャンバ
121…プッシャ
TST…テストトレイ
700…フレーム
701…外枠
702…内枠
703,704…開口
705…固定部材
710…インサート
720…ボディ
721…開口
722…係合部
730…コア
740…コア本体
741…開口
741a…DUT挿入部
741b,741c…ソケット挿入部
742…爪
743…保持片
744…ガイド孔
745,746…内壁面
750,760…押当機構
751…レバー
7511…押当部
7512…ばね受け部
7513…回転軸
90…DUT
91…端子
900…電子部品試験装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16