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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023055049
(43)【公開日】2023-04-17
(54)【発明の名称】計量装置
(51)【国際特許分類】
   G01G 13/24 20060101AFI20230410BHJP
【FI】
G01G13/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021164141
(22)【出願日】2021-10-05
(71)【出願人】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100180851
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼口 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100176245
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 亮輔
(72)【発明者】
【氏名】牧野 紘一
【テーマコード(参考)】
2F046
【Fターム(参考)】
2F046BA08
2F046CA01
2F046DA06
(57)【要約】
【課題】計量能力と計量精度の両方を高めることのできる計量装置を提供する。
【解決手段】計量装置1は、フィーダー3と、フィーダー3から排出される物品Aを受け取って下流へ搬送する搬送コンベヤ16と、搬送コンベヤ16上の物品Aの載荷質量と、搬送コンベヤ16から排出された物品Aの総排出質量とを取得する質量取得部25と、物品Aの載荷質量と総排出質量とに基づいて、フィーダー3と搬送コンベヤ16の動作を制御する制御部30と、を備える。制御部30は、物品Aの載荷質量と総排出質量との合計質量を監視し、合計質量が予め設定された目標質量に到達するタイミングでフィーダー3を停止させ、その後に搬送コンベヤ16上の物品を排出させる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流から搬送される物品を受け取って下流へ搬送する上流搬送部と、
前記上流搬送部から排出される前記物品を受け取って下流へ搬送する下流搬送部と、
前記下流搬送部上の前記物品の載荷質量と、前記下流搬送部から排出された前記物品の総排出質量とを取得する質量取得部と、
前記質量取得部により取得された前記物品の前記載荷質量と前記総排出質量とに基づいて、前記上流搬送部と前記下流搬送部の動作を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記上流搬送部と前記下流搬送部とを動作させながら、前記質量取得部により取得された前記物品の前記載荷質量と前記総排出質量との合計質量を監視し、前記合計質量が予め設定された目標質量に到達するタイミングで前記上流搬送部を停止させ、その後に前記下流搬送部上の前記物品を排出させる、計量装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記合計質量が前記目標質量よりも小さい所定質量に到達すると、前記上流搬送部からの前記物品の排出量を減少させる、請求項1に記載の計量装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記合計質量が前記目標質量に到達して前記上流搬送部を停止させると、前記下流搬送部の搬送速度を上げて、前記下流搬送部上の前記物品を排出させる、請求項1又は2に記載の計量装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記下流搬送部上の前記物品の排出が完了すると、前記下流搬送部を停止させた状態で、前記下流搬送部の風袋質量をゼロ点として記憶する、請求項1~3の何れか一項に記載の計量装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計量装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に記載されるように、供給フィーダー及び搬送コンベヤを備え、物品を連続的に定量供給する装置が知られている。供給フィーダーは、搬送コンベヤ上に物品を連続的に供給する。搬送コンベヤのベルトは、上流側のプーリ及び下流側のプーリの間を周回する。荷重センサは、計量台、搬送コンベヤ、2つのプーリ、及び搬送コンベヤの駆動モータを支持し、それらの重量を一体として検出する。制御装置が、計量台上を走行する搬送コンベヤのベルト上の物品の重量流量を測定し、測定した重量流量が、設定される設定重量流量に一致するように供給フィーダーの駆動を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-211944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の計量装置における目標重量値を計測する方法として、以下の2つが挙げられる。第一の方法は、搬送コンベヤに物品を供給しながら、その排出端から物品が排出されように、搬送コンベヤの速度を遅くし、搬送コンベヤ上に層状に蓄えられた物品の重量が1バッチ分の目標重量に到達したら、搬送コンベヤ上に蓄積された物品を、搬送速度を上げて排出する方法である。第二の方法は、搬送コンベヤに物品を供給しながら、その排出端から物品を排出させて、そのときの単位時間当たりの流量を求め、求めた流量の積分値が1バッチ分の目標重量に到達すると、搬送コンベヤからの排出を停止する方法である。
【0005】
上記第一の方法では、搬送コンベヤ上に物品を蓄えながら計量するため、計量精度が高いという利点がある反面、物品の蓄積量は、一定に制限されるため、大量の物品を計量する場合には、利用し難いという欠点がある。一方、上記第二の方法では、大量の物品を計量することはできるが、計量完了時点で搬送コンベヤ上に物品が載っているため、零点の調整ができない問題がある。この問題を解消するには、第二の方法において、例えば、目標重量に到達する少し前で、搬送コンベヤへの物品の供給を停止させ、これによって、搬送コンベヤ上の物品を全て排出させて、零点を更新する方法も考えられる。しかし、この方法は、第一の方法よりは、処理能力の点で優れるが、高い計量精度は、得られないという欠点を有する。
【0006】
本発明は、計量能力と計量精度の両方を高めることのできる計量装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る計量装置は、上流から搬送される物品を受け取って下流へ搬送する上流搬送部と、上流搬送部から排出される物品を受け取って下流へ搬送する下流搬送部と、下流搬送部上の物品の載荷質量と、下流搬送部から排出された物品の総排出質量とを取得する質量取得部と、質量取得部により取得された物品の載荷質量と総排出質量とに基づいて、上流搬送部と下流搬送部の動作を制御する制御部と、を備える。制御部は、上流搬送部と下流搬送部とを動作させながら、質量取得部により取得された物品の載荷質量と総排出質量との合計質量を監視し、合計質量が予め設定された目標質量に到達するタイミングで上流搬送部を停止させ、その後に下流搬送部上の物品を排出させる。
【0008】
この計量装置では、質量取得部によって、下流搬送部上の物品の載荷質量と、下流搬送部から排出された物品の総排出質量とが取得され、制御部によって、載荷質量と総排出質量との合計質量が監視される。そして、載荷質量と総排出質量との総和(合計質量)が目標質量に近付くまでは連続的に搬送・計量が行われ、載荷質量と総排出質量との総和が目標質量に到達するタイミングで上流搬送部からの物品の排出が停止される。このタイミングでは、下流搬送部上には、上流搬送部が停止した時点の載荷質量に相当する物品が載荷されているから、それを全て排出することにより、排出された物品の累計の質量は、目標質量に相当することになる。これにより、次のバッチ計量までは、下流搬送部を無負荷の状態に維持することができるから、例えば、その間に下流搬送部の零点を取れば、下流搬送部の計量精度を高い精度に維持することができる。この点で上記第二の方法よりは優れる。また、この計量装置では、下流搬送部から排出される物品の流量も積算されるので、上記第一の方法よりは、大量の物品を計量することができる。したがって、この計量装置によれば、計量能力と計量精度の両方を高めることができる。
【0009】
制御部は、合計質量が目標質量よりも小さい所定質量に到達すると、上流搬送部からの物品の排出量を減少させてもよい。この構成によれば、合計質量が、所定質量から目標質量に到達する直前で上流搬送部を停止させたときに、慣性によって物品が排出される場合の排出量を極力抑えることができる。これにより、上記第二の方法よりも、より高精度な計量が可能となる。また、合計質量が所定質量に到達するまでは、上流搬送部からの単位時間当たりの物品排出量を可能な限り大きく設定してもよい。このように、上流搬送部からの排出量を二段階に切替制御すれば、高い計量精度を維持しながら、計量能力を高めることができる。
【0010】
制御部は、合計質量が目標質量に到達して上流搬送部を停止させると、下流搬送部の搬送速度を上げて、下流搬送部上の物品を排出させてもよい。この構成によれば、合計質量が目標質量に到達したことを認識するや否や、下流搬送部上の物品が一気に排出されるから、高い計量精度を維持しながらも、計量能力をより一層高めることができる。
【0011】
制御部は、下流搬送部上の物品の排出が完了すると、下流搬送部を停止させた状態で、下流搬送部の風袋質量をゼロ点として記憶してもよい。バッチ式の計量を繰り返すと、ゼロ点が徐々に変化する可能性があるが、下流搬送部上の物品の排出後にゼロ点調整を行えば、ゼロ点調整が例えば毎回実施されるため、高い計量精度が維持される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、計量能力と計量精度の両方を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、一実施形態に係る計量装置の側面図である。
図2図2は、一実施形態に係る計量装置の平面図である。
図3図3は、図1及び図2の計量装置の機能構成を示したブロック図である。
図4図4は、計量装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0015】
まず、図1及び図2を参照して、本実施形態に係る計量装置1の概略構成について説明する。計量装置1は、計量コンベヤ4を用いて、目標質量の物品Aを定量計量する装置である。物品Aは、例えば食品等であり、粉状、粒状、又は何らかの形状を有する最小単位である構成片を多数含む。各構成物が、食品等を包装又は収容する容器包装類を含んでもよい。物品Aは、定量計量が必要とされる、食品以外の他のあらゆる材料(ワーク)等であってもよい。
【0016】
図1及び図2に示されるように、計量装置1は、上流に配置された図示しないホッパ等から物品Aを受け取って搬送するバケットコンベヤ2と、バケットコンベヤ2から搬送される物品Aを受け取って下流へ搬送するフィーダー(上流搬送部)3と、フィーダー3から搬送される物品Aを受け取って物品Aの質量を計測すると共に下流へ搬送する計量コンベヤ4と、を備える。計量装置1は、更に、計量コンベヤ4から排出された物品Aを受け取って搬送し、図示しない下流の別ライン(包装等を行うライン)に物品Aを排出する排出コンベヤ5を備える。
【0017】
なお、計量装置1において、フィーダー3及び計量コンベヤ4以外の構成は、適宜に変更可能である。フィーダー3の上流側に設けられる搬送・供給設備は、バケットコンベヤ2に限られない。計量コンベヤ4の下流側に設けられる搬送・供給設備についても、排出コンベヤ5に限られない。排出コンベヤ5の搬送面22a上に対して、他の物品を投入して混合させる他のコンベヤが設けられてもよい。フィーダー3及び計量コンベヤ4によって物品Aの定量計量が行われた後は、物品A及びその他の定量計量される物品の種類、及び製造設備全体の工程・レイアウト等に応じて、適宜に変更が加えられてもよい。
【0018】
バケットコンベヤ2は、軌道上を周回する複数のバケット6を有しており、バケット6内に収容された物品Aを所定方向に搬送してフィーダー3へと排出する。各バケット6は、幅方向に長い樋状又は半円筒状の収容空間を有している。隣り合うバケット6が、各バケット6の上端に設けられた搬送方向における前後のフランジ6aが重なるようにして連続的に設けられている。詳細には、搬送方向前側に位置するバケット6のフランジ6aの下に、後ろ側のバケット6のフランジ6aが潜り込んでいる。軌道の前端はフィーダー3の上方に配置されており、軌道の前端に位置するバケット6が反転することにより、物品Aがフィーダー3に供給される。バケットコンベヤ2の運転及び停止は、例えば、後述する計量コンベヤ4の制御部30によって、フィーダー3の運転及び停止と併せて制御されてもよい。
【0019】
フィーダー3は、装置の設置面に固定されたベース部11と、ベース部11上に設けられてベース部11によって支持されるストックトラフ10とを有する。ストックトラフ10とベース部11との間には、電磁バイブレータ14が設けられている。電磁バイブレータ14の下端はベース部11に固定され、電磁バイブレータ14の上端に、ストックトラフ10が固定されている。ベース部11は、複数のコイルスプリング12と、コイルスプリング12によって支持された支持台13とを含む。フィーダー3は、例えば、計量コンベヤ4の制御部30によって制御され、所定の振幅にて電磁バイブレータ14を振動させる。電磁バイブレータ14によって支持されたストックトラフ10は、一定の(十分な)収容空間を有しており、電磁バイブレータ14の振動に伴って振動することで、物品Aを搬送方向に搬送し、搬送方向前端の開放部(排出部)から物品Aを排出する。
【0020】
フィーダー3における電磁バイブレータ14の振幅は、例えば、制御部30によって制御されて調整される。振幅を大きくすることで、フィーダー3からの物品Aの排出量を増加させることができる。振幅を小さくすることで、フィーダー3からの物品Aの排出量を減少させることができる。フィーダー3は、制御部30によって排出量を切替制御可能である。本明細書において「排出量」とは、単位時間当たりに排出される(計量コンベヤ4に供給される)物品Aの質量である。フィーダー3における排出量は、2段階に切替制御されてもよいし、3段階以上に切替制御されてもよい。フィーダー3は、例えば、物品Aの種類及び定量計量の目標値(目標質量)に応じて最大限に設定された定格(標準)排出量と、定格排出量よりも小さな1種類又は2種類以上の低減排出量とを実現するように運転可能である。
【0021】
フィーダー3と計量コンベヤ4の間には、例えばシュート20が設けられている。シュート20は、計量コンベヤ4の搬送方向Dに直交する幅方向において、ストックトラフ10の幅よりは長く、ベルト18の幅よりは短い幅を有する。シュート20は、ストックトラフ10の搬送方向前端の下側に配置され、所定の角度をもった滑走面上において物品Aを落下(滑走)させ、計量コンベヤ4の搬送面18a上に物品Aを排出(供給)する。ストックトラフ10の一対の側壁10a及び搬送コンベヤ16の一対の側面ガイド板19によって、物品Aの搬送路からの落下が防止されている。これにより、フィーダー3によって搬送された物品Aは、こぼれることなく、計量コンベヤ4によって受け取られる。
【0022】
計量コンベヤ4は、軌道上を周回するベルト18と、軌道の前端及び後端に設けられた一対のプーリ17とを含む搬送コンベヤ16を有する。搬送コンベヤ16は、制御部30によって制御されて、物品Aを搬送方向Dに搬送する。搬送コンベヤ16における搬送速度は、フィーダー3による排出量(例えば上記の定格排出量)に合わせて概ね設定されてもよく、例えば一定の速度に設定されている。搬送コンベヤ16における搬送速度は、調整可能である。搬送コンベヤ16は、フィーダー3による排出量に合わせて設定された搬送速度よりも大きな最大搬送速度で、ベルト18を走行させることができる。
【0023】
ベルト18の幅方向の両側の位置において、上記一対の側面ガイド板19が、ベルト18以外の箇所にブラケット等により固定されている。搬送コンベヤ16は、ベルト18の搬送面18aの下側に配置された計量台と、プーリ17を駆動してベルト18を走行させるモータ(何れも図示せず)等を含む。計量コンベヤ4は、ベルト18の下方に設けられた本体部15を有する。本体部15は、計量台に一端が接続されたロードセル等を含む検出部を有する。本体部15は、搬送コンベヤ16を支持すると共に、搬送コンベヤ16の質量及びの搬送面18a上に載っている物品Aの質量とを合わせた風袋質量を検出する。
【0024】
排出コンベヤ5は、軌道上を周回するベルト22を有する。計量コンベヤ4と排出コンベヤ5との間には、例えばシュート21が設けられている。シュート21は、ベルト18の搬送方向Dの下流端に配置され、所定の角度をもった滑走面上において物品Aを落下(滑走)させ、排出コンベヤ5のベルト22の搬送面22a上に物品Aを排出(供給)する。排出コンベヤ5の一対の側面ガイド板23によって、物品Aの落下が防止されている。排出コンベヤ5は、例えば、計量コンベヤ4の制御部30又は他のコントローラによって制御されて、連続的に稼働する。
【0025】
続いて、図3を参照して、計量装置1の機能構成について説明する。図3に示されるように、計量コンベヤ4は、上記した搬送コンベヤ16と、物品Aの質量を取得する質量取得部25と、質量取得部25おいて取得された物品Aの質量に基づいて、所定の演算処理を実行し、フィーダー3及び搬送コンベヤ16を制御する制御部30とを備える。質量取得部25及び制御部30は、例えば、本体部15内に設けられる。
【0026】
質量取得部25は、搬送コンベヤ16の搬送面18a上の物品Aの載荷重量を取得する載荷質量取得部26と、搬送コンベヤ16から排出された物品Aの総排出質量を取得する総排出質量取得部27とを含む。載荷質量取得部26は、計量コンベヤ4の検出部からの検出信号を入力することで、物品Aの載荷重量を取得する。載荷質量取得部26は、例えば所定時間ごとに物品Aの載荷重量を取得し、記憶する。総排出質量取得部27は、質量取得部25によって取得された載荷質量と、搬送コンベヤ16の搬送速度とに基づいて、搬送コンベヤ16における単位時間当たりの排出質量(物品排出量)を演算する。総排出質量取得部27は、さらに、単位時間当たりの排出質量(物品排出量)を時間で積算(積分)することにより、計量装置1におけるバッチ計量が開始されてからの総排出質量を演算する。したがって、搬送コンベヤ16から物品Aが排出される時点からの経過時間によって積算が開始される。
【0027】
例えば、フィーダー3からの物品供給によって搬送コンベヤ16の物品供給始端から物品排出端までの区間L(m)に物品Aが載荷されたときの物品Aの載荷質量をW(g)とすると、搬送コンベヤ16上の単位長さ当たりの物品Aの質量は、W/L(g/m)となる。また、搬送コンベヤ16の搬送速度をV(m/sec)とすると、搬送コンベヤ16で搬送される単位時間当たりの排出質量Qは、
Q=(W/L)・V(g/sec)
となる。そして、フィーダー3と搬送コンベヤ16とを同時に駆動させてから時間T(sec)が経過した時点の、フィーダー3から排出された合計質量は、
合計質量=時間Tにおいて求めた搬送コンベヤ16上の載荷質量W+Q・(T-t)
である。ただし、t(sec)は、搬送コンベヤ16に供給された物品Aが排出コンベヤ5へ排出されるまでに要する搬送時間である。また、載荷質量Wは、複数回サンプリングした計量値の平均値である。
【0028】
制御部30は、計量装置1における各種動作を制御する機器であり、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備える信号処理装置である。なお、制御部30が、質量取得部25における総排出質量取得部27の機能を有してもよい。制御部30は、合計質量演算部31と、判断部32と、コンベヤ制御部33と、フィーダー制御部34と、ゼロ点調整部35とを含む。
【0029】
合計質量演算部31は、質量取得部25において取得又は演算された、搬送面18a上の物品Aの載荷重量とバッチ計量が開始されてからの総排出質量との合計質量を演算する。判断部32は、合計質量が、予め記憶された所定質量に到達したか否かを判断する。また判断部32は、合計質量が、予め記憶された目標質量に到達したか否かを判断する。
【0030】
コンベヤ制御部33は、搬送コンベヤ16の運転又は停止を制御する。コンベヤ制御部33は、搬送コンベヤ16における搬送速度を変更させることができる。フィーダー制御部34は、フィーダー3の運転又は停止を制御する。フィーダー制御部34は、フィーダー3における排出量を変更させることができる。ゼロ点調整部35は、搬送コンベヤ16を停止させた状態で、搬送コンベヤ16の風袋質量をゼロ点として記憶することにより、ゼロ点調整を行う。
【0031】
続いて、図4を参照して、計量装置1によって物品Aの定量計量が実行される際の処理(計量方法)について説明する。図4は、計量装置の動作を説明するためのフローチャートである。まず、例えばオペレータが起動ボタンを押す等することにより、計量装置1を起動する(ステップS01)。計量装置1の制御部30には、例えば、物品Aに応じた目標質量、及び、目標質量よりも僅かに小さい所定質量が記憶(設定)されている。所定質量は、例えば、目標質量の95~99%の範囲内の値である。
【0032】
続いて、制御部30のゼロ点調整部35は、運転開始信号を入力すると、搬送コンベヤ16の風袋質量をゼロ点として記憶することにより、ゼロ点調整を行う(ステップS02)。続いて、ゼロ点調整が完了すると、コンベヤ制御部33が搬送コンベヤ16を駆動し、フィーダー制御部34がフィーダー3を駆動する(ステップS03)。コンベヤ制御部33は、搬送コンベヤ16が所定の搬送速度で走行するように駆動する。フィーダー制御部34は、フィーダー3が定格排出量で物品Aを排出するように駆動する。フィーダー3の駆動と同時に、上流側供給設備(バケットコンベヤ2を含む)が駆動されてもよい。フィーダー3によって物品Aが搬送され、排出されると、計量コンベヤ4の搬送面18a上に物品Aが載り、搬送コンベヤ16によって物品Aが搬送され始める。このステップS03により、バッチ計量が開始される。
【0033】
次に、質量取得部25が、搬送面18a上の物品Aの載荷重量、及び、バッチ計量が開始されてからの総排出質量を取得する(ステップS04)。制御部30の合計質量演算部31は、ステップS04において取得された載荷質量及び総排出質量に基づいて、これらの合計質量を演算する(ステップS05)。本実施形態の計量装置1では、このように、総排出質量だけでなく、現在搬送コンベヤ16上に載荷された物品Aの載荷質量を加算(加味)して、合計質量を監視する。合計質量の演算は、この一連の処理が行われている間にわたって、所定時間ごとに行われる。
【0034】
続いて、制御部30の判断部32は、合計質量が所定質量に到達したか否かを判断する(ステップS06)。判断部32は、ステップS05で演算した合計質量が、予め記憶された所定質量以上であるか、所定質量未満であるかを判断する。判断部32が、合計質量は所定質量未満であると判断すると(ステップS06;NO)、ステップS04の処理が行われる。判断部32が、合計質量は所定質量以上であると判断すると(ステップS06;YES)、フィーダー制御部34は、フィーダー3の振幅を減少させることにより、フィーダー3の物品搬送速度を低減させる(ステップS07)。詳細には、フィーダー制御部34は、フィーダー3がこれまでの定格排出量よりも小さい排出量にて物品Aを排出するように、フィーダー3の振幅を制御する。このように、計量装置1では、合計質量が目標質量に近づいた時点で、フィーダー3による排出量を低減させる。
【0035】
ステップS07が実施されている時点で、既に搬送コンベヤ16から排出コンベヤ5へと排出された量と、搬送コンベヤ16上の載荷質量とを合計した物品Aの質量が、目標質量に近づいている。この状態で、制御部30の判断部32は、合計質量が目標質量に到達したか否かを判断する(ステップS08)。判断部32は、合計質量が、予め記憶された目標質量以上であるか、目標質量未満であるかを判断する。判断部32は、合計質量は目標質量未満であると判断すると(ステップS08;NO)、ステップS08の判断を繰り返す。判断部32が、合計質量は目標質量以上であると判断すると(ステップS08;YES)、フィーダー制御部34は、フィーダー3を停止させる(ステップS09)。
【0036】
続いて、コンベヤ制御部33は、搬送コンベヤ16の搬送速度を上げる(ステップS10)。例えば、コンベヤ制御部33は、ステップS03の搬送速度よりも速い最大搬送速度でベルト18を走行させるよう、搬送コンベヤ16を制御する。このステップS10の制御により、搬送コンベヤ16上の物品Aが、一気に排出コンベヤ5に排出される。コンベヤ制御部33は物品Aの排出完了タイミングで、搬送コンベヤ16を停止させる(ステップS11)。ステップS10からS11までの間における「排出完了タイミング」は、搬送コンベヤ16の搬送速度(最大搬送速度)に基づいて決定される時間に従って判断されてもよいし、載荷質量取得部26によって検出される載荷質量が十分に低い値で安定したことに応じて判断されてもよい。
【0037】
以上説明した一連の処理により、計量装置1における1回のバッチ計量が完了する。搬送コンベヤ16が停止された後、ステップS02のゼロ点調整が行われ、次のバッチ計量が開始される。本実施形態の計量方法では、フィーダー3から排出された物品Aの合計質量が監視され、合計質量が目標質量に到達するタイミングでフィーダー3が停止され、その後に搬送コンベヤ16上の物品が排出される。
【0038】
本実施形態の計量装置1及び計量方法によれば、質量取得部25によって、搬送コンベヤ16上の物品Aの載荷質量と、搬送コンベヤ16から排出された物品Aの総排出質量とが取得され、制御部30によって、載荷質量と総排出質量との合計質量が監視される。そして、載荷質量と総排出質量との総和(合計質量)が目標質量に近付くまでは連続的に搬送・計量が行われ、載荷質量と総排出質量との総和が目標質量に到達するタイミングで、フィーダー3からの物品Aの排出が停止される。このタイミングでは、搬送コンベヤ16上には、フィーダー3が停止した時点の載荷質量に相当する物品Aが載荷されているから、それを全て排出することにより、排出された物品Aの累計の質量は、目標質量に相当することになる。これにより、次のバッチ計量までは、搬送コンベヤ16を無負荷の状態に維持することができるから、例えばその間に搬送コンベヤ16の零点を取れば、搬送コンベヤ16の計量精度を高い精度に維持することができる。また、この計量装置1では、搬送コンベヤ16から排出される物品Aの流量も積算されるので、大量の物品Aを計量することができる。したがって、この計量装置1によれば、計量能力と計量精度の両方を高めることができる。
【0039】
制御部30は、合計質量が目標質量よりも小さい所定質量に到達すると、フィーダー3からの物品Aの排出量を減少させる。合計質量が、所定質量から目標質量に到達する直前でフィーダー3を停止させたときに、慣性によって物品Aが排出される場合の排出量を極力抑えることができる。これにより、より高精度な計量が可能となる。また、合計質量が所定質量に到達するまでは、フィーダー3からの単位時間当たりの物品排出量は可能な限り大きく設定される。このように、フィーダー3からの排出量を二段階に切替制御すれば、高い計量精度を維持しながら、計量能力を高めることができる。
【0040】
制御部30は、合計質量が目標質量に到達してフィーダー3を停止させると、搬送コンベヤ16の搬送速度を上げて、搬送コンベヤ16上の物品Aを排出させる。これにより、合計質量が目標質量に到達したことを認識するや否や、搬送コンベヤ16上の物品が一気に排出されるから、高い計量精度を維持しながらも、計量能力をより一層高めることができる。
【0041】
制御部30は、搬送コンベヤ16上の物品Aの排出が完了すると、搬送コンベヤ16を停止させた状態で、搬送コンベヤ16の風袋質量をゼロ点として記憶する。バッチ式の計量を繰り返すと、ゼロ点が徐々に変化する可能性があるが、搬送コンベヤ16上の物品Aの排出後にゼロ点調整を行えば、ゼロ点調整が毎回実施されるため、高い計量精度が維持される。
【0042】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限られない。例えば、上流搬送部は、上記実施形態の振動式のフィーダー3とは異なる構成を有してもよい。例えば、物品を一定の層厚に均して搬送するベルトコンベヤ等であってもよい。この場合には、コンベヤスピードを高速から低速に切り替えて、搬送量を低減させる。また、下流搬送部は、モータを含む搬送コンベヤ16全体をロードセル等の荷重センサで支持する計量コンベヤ4であったが、これには、限定されない。下流搬送部として、例えば、走行するベルトを荷重センサで直接支持して、単位時間当たりの搬送量を求め、求めた搬送量を時間で積分することによって総排出質量を求めるようにしたベルトスケールが採用されてもよい。
【0043】
上記実施形態では、合計質量が目標質量に近づいた時点(所定質量に到達した時点)で、フィーダー3による排出量を低減させる二段階切替制御が行われたが、この例に限られない。合計質量が目標質量に到達するまで、フィーダー3を所定の排出量で駆動してもよいし、フィーダー3による排出量を複数段階にわたって低減させる多段階(三段階以上の)切替制御が行われてもよい。さらには、合計質量が所定質量に到達した時点から、フィーダー3の排出量を漸次減少させる漸減制御が行われてもよい。
【0044】
フィーダー3停止後のステップS10の制御(搬送コンベヤ16の最大速度排出制御)を省略してもよい。
【0045】
ゼロ点調整は、毎回のバッチ計量完了時に行われなくてもよく、バッチ計量が一定回数行われた後に行われてもよい。ゼロ点調整の頻度が高い方が、計量精度が高く維持される。例えばベルト18上に付着しやすい物品Aを計量する場合には、ゼロ点調整の頻度を高くし(毎回行い)、ベルト18上に付着しにくい物品Aを計量する場合には、ゼロ点調整の頻度を低くしてもよい。
【0046】
上記実施形態では、制御部30が計量コンベヤ4に設けられている例について説明したが、制御部は、計量コンベヤ4の外部に設けられてもよい。制御部は、有線通信又は無線通信によって、フィーダー3及び搬送コンベヤ16を制御可能であればよい。
【符号の説明】
【0047】
1…計量装置、2…バケットコンベヤ、3…フィーダー(上流搬送部)、4…計量コンベヤ、5…排出コンベヤ、16…搬送コンベヤ(下流搬送部)、17…プーリ、18…ベルト、18a…搬送面、25…質量取得部、30…制御部、31…合計質量演算部、33…コンベヤ制御部、34…フィーダー制御部、35…ゼロ点調整部、A…物品、D…搬送方向。
図1
図2
図3
図4