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特開2023-55059支承反力調整方法及び支承反力調整システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023055059
(43)【公開日】2023-04-17
(54)【発明の名称】支承反力調整方法及び支承反力調整システム
(51)【国際特許分類】
   E01D 19/04 20060101AFI20230410BHJP
   E01D 22/00 20060101ALI20230410BHJP
【FI】
E01D19/04 Z
E01D22/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021164156
(22)【出願日】2021-10-05
(71)【出願人】
【識別番号】000004123
【氏名又は名称】JFEエンジニアリング株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】591205536
【氏名又は名称】JFEシビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002963
【氏名又は名称】弁理士法人MTS国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100080458
【弁理士】
【氏名又は名称】高矢 諭
(74)【代理人】
【識別番号】100144299
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 崇
(72)【発明者】
【氏名】門田 徹
(72)【発明者】
【氏名】瀬尾 高宏
(72)【発明者】
【氏名】深谷 道夫
(72)【発明者】
【氏名】片瀬 慶嗣
(72)【発明者】
【氏名】坂戸 宣彦
(72)【発明者】
【氏名】内藤 仁志
【テーマコード(参考)】
2D059
【Fターム(参考)】
2D059AA31
2D059AA39
2D059GG39
(57)【要約】
【課題】各支承における反力のバランスが崩れた橋梁において、各支承における反力のバランスを回復させる。
【解決手段】複数のジャッキ12を全て上昇させ、上部構造101の各ジャッキアップ部位104Aをジャッキアップし、複数の支承106が受け持っていた荷重を複数のジャッキ12に移し替えた後、複数の反力計測手段12Aがそれぞれ計測した各ジャッキ12の反力の値がそれぞれ所定の反力値となるように各ジャッキ12の上下方向の移動量を調整して、各ジャッキ12がジャッキアップする上部構造101の各ジャッキアップ部位104Aの高さ位置をそれぞれ調整し、その調整後の上部構造101の各ジャッキアップ部位104Aの高さ位置をそれぞれ対応する変位計16で計測し、その計測結果に基づき、対応する各支承106の高さを調整する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
橋梁の上部構造を支持する複数の支承に生じる反力を調整する支承反力調整方法であって、
(1)前記上部構造をジャッキアップするジャッキを、橋軸直角方向に並んだ前記複数の支承全ての近傍にそれぞれ配置するジャッキ配置工程と、
(2)前記ジャッキ配置工程で配置した全ての前記ジャッキを上昇させ、前記上部構造の各ジャッキアップ部位をジャッキアップし、前記支承が受け持っていた荷重を前記ジャッキに移し替える地切りジャッキアップ工程と、
(3)前記地切りジャッキアップ工程で移し替えられた前記荷重によって生じる前記の各ジャッキの反力を検出するジャッキ反力検出工程と、
(4)前記各ジャッキを、前記ジャッキ反力検出工程で検出された前記各ジャッキの反力の値がそれぞれ所定の反力値となるように上下方向に移動させて、前記の各ジャッキがジャッキアップする前記上部構造の各ジャッキアップ部位の高さ位置をそれぞれ調整する反力バランス調整工程と、
(5)前記複数の支承それぞれの高さを、前記反力バランス調整工程で調整された対応する各ジャッキアップ部位の前記高さ位置に対応する高さに調整する支承高さ調整工程と、
(6)前記支承高さ調整工程後、全ての前記ジャッキを下降させて前記上部構造をジャッキダウンし、全ての前記ジャッキの反力を除荷するジャッキダウン工程と、
を有することを特徴とする支承反力調整方法。
【請求項2】
前記地切りジャッキアップ工程では、前記上部構造の各ジャッキアップ部位を一律のジャッキアップ量で同量だけジャッキアップすることを特徴とする請求項1に記載の支承反力調整方法。
【請求項3】
前記支承高さ調整工程で高さを調整された後の各支承の高さは、前記支承高さ調整工程で高さを調整された後の各支承の上面と、前記反力バランス調整工程で調整された前記上部構造の対応する前記ジャッキアップ部位の下面との間の距離が、全て同一の距離となるような高さにされていることを特徴とする請求項1または2に記載の支承反力調整方法。
【請求項4】
前記支承高さ調整工程で高さを調整された後の各支承の高さは、前記支承高さ調整工程で高さを調整された後の各支承の上面と、前記反力バランス調整工程で調整された前記上部構造の対応する前記ジャッキアップ部位の下面との間の距離が、全て同一の距離となるような高さにされており、
前記同一の距離は、前記地切りジャッキアップ工程における前記一律のジャッキアップ量であることを特徴とする請求項2に記載の支承反力調整方法。
【請求項5】
前記支承高さ調整工程で高さを調整された後の橋軸直角方向に隣り合う前記支承の上面の高さ位置の相対差が、所定の値以下であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の支承反力調整方法。
【請求項6】
前記支承高さ調整工程で高さを調整された後の前記支承の上面の高さ位置と、該支承と橋軸方向に隣り合う支承の上面の高さ位置の相対差が、所定の値以下であることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の支承反力調整方法。
【請求項7】
前記支承高さ調整工程で高さを調整される前後の前記支承の高さは、その差が所定の値以下であることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の支承反力調整方法。
【請求項8】
前記反力バランス調整工程で前記の各ジャッキの反力のバランス調整が完了した後、前記の各ジャッキは機械的に固定することを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の支承反力調整方法。
【請求項9】
前記支承高さ調整工程における前記複数の支承の高さ調整は、前記複数の支承の少なくとも1つを、対応する前記ジャッキアップ部位の前記反力バランス調整工程で調整された前記高さ位置に応じた高さを有する新設支承に交換することで行うことを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載の支承反力調整方法。
【請求項10】
前記支承高さ調整工程における前記複数の支承の高さ調整は、各支承を、それぞれ対応する前記ジャッキアップ部位の前記反力バランス調整工程で調整された前記高さ位置に応じた高さを有する新設支承にそれぞれ交換することで行うことを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載の支承反力調整方法。
【請求項11】
前記複数の支承のうち、橋軸直角方向に所定数だけ順番を飛ばした前記支承の組ごとに、前記支承高さ調整工程を時間が重ならないように繰り返し行うことを特徴とする請求項1~10のいずれかに記載の支承反力調整方法。
【請求項12】
前記支承高さ調整工程の完了後の前記ジャッキダウン工程の後、高さ調整がなされた前記複数の支承全ての近傍にそれぞれ配置された前記ジャッキを上昇させ、前記上部構造の各ジャッキアップ部位を再度一律のジャッキアップ量で同量だけジャッキアップして、高さ調整がなされた前記複数の支承が受け持っていた荷重を前記の各ジャッキに移し替え、荷重が移し替えられた後の前記の各ジャッキの反力分配の状況を再度確認することを特徴とする請求項1~11のいずれかに記載の支承反力調整方法。
【請求項13】
前記の各ジャッキアップ部位の高さ位置は、前記の各ジャッキの近傍において前記橋梁の下部構造の天端と前記橋梁の上部構造の下面との間にそれぞれ設置された変位計によって計測することを特徴とする請求項1~12のいずれかに記載の支承反力調整方法。
【請求項14】
前記橋梁の供用を続けながら実施することを特徴とする請求項1~13のいずれかに記載の支承反力調整方法。
【請求項15】
前記橋梁は鋼製の主桁を備え、前記ジャッキアップ部位は前記鋼製の主桁の下面であることを特徴とする請求項1~14のいずれかに記載の支承反力調整方法。
【請求項16】
橋梁の上部構造を支持する複数の支承に生じる反力を調整する支承反力調整システムであって、
橋軸直角方向に並んだ前記複数の支承全ての近傍にそれぞれ配置された、前記上部構造をジャッキアップする複数のジャッキと、
前記複数のジャッキの上下方向の移動量をそれぞれ制御する複数のジャッキ制御手段と、
前記複数のジャッキの反力をそれぞれ計測する複数の反力計測手段と、
前記の各ジャッキの近傍において前記橋梁の下部構造の天端と前記橋梁の上部構造の下面との間にそれぞれ設置された複数の変位計と、
を有し、
前記複数のジャッキを全て上昇させ、前記上部構造の各ジャッキアップ部位をジャッキアップし、前記複数の支承が受け持っていた荷重を前記複数のジャッキに移し替えた後、前記複数の反力計測手段がそれぞれ計測した前記の各ジャッキの反力の値がそれぞれ所定の反力値となるように前記の各ジャッキの上下方向の移動量を調整して、前記の各ジャッキがジャッキアップする前記上部構造の各ジャッキアップ部位の高さ位置をそれぞれ調整し、その調整後の前記上部構造の各ジャッキアップ部位の高さ位置をそれぞれ対応する前記変位計で計測し、その計測結果に基づき、対応する各支承の高さを調整することを特徴とする支承反力調整システム。
【請求項17】
高さ調整後の橋軸直角方向に隣り合う前記支承の上面の高さ位置の相対差が、所定の値以下であることを確認することを特徴とする請求項16に記載の支承反力調整システム。
【請求項18】
高さ調整後の前記支承の上面の高さ位置と、該支承と橋軸方向に隣り合う支承の上面の高さ位置との相対差が、所定の値以下であることを確認することを特徴とする請求項16または17に記載の支承反力調整システム。
【請求項19】
前記の各支承の高さ調整前後の高さの相対差が所定の値以下であることを確認することを特徴とする請求項16~18のいずれかに記載の支承反力調整システム。
【請求項20】
前記ジャッキ制御手段に指令を与える指令装置をさらに備え、
前記指令装置は電気信号で前記ジャッキ制御手段に指令を与えることを特徴とする請求項16~19のいずれかに記載の支承反力調整システム。
【請求項21】
前記指令装置から前記複数のジャッキ制御手段へそれぞれ個別に前記電気信号を送ることにより、複数の前記ジャッキの上昇および下降の動きを個別に制御できることを特徴とする請求項20に記載の支承反力調整システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支承反力調整方法及び支承反力調整システムに関する。
【背景技術】
【0002】
橋梁では、通常、上部構造と下部構造との間に支承が複数個設置され、支承を介して、上部構造から下部構造へ荷重が伝達される。
【0003】
新設時において橋梁全体が反力バランスの取れた状態で各支承に支持されていたとしても、年月の経過に伴い、各支承における反力のバランスが崩れて、ある支承は設計で想定していた以上の過荷重となる一方、ある支承は設計で想定していた荷重がかかっていない、という状況も生じ得る。このような状況を放置しておくと、過荷重や浮き上がりによって支承が破損する可能性があり、深刻な被害を招きかねない。
【0004】
特許文献1には、圧力センサーを設けて荷重検知機能を備えさせたゴム支承が記載されているが、各支承における反力のバランスが崩れた場合に、どのように対応するかということは記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-156284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、各支承における反力のバランスが崩れた橋梁において、各支承における反力のバランスを回復させる支承反力調整方法及び支承反力調整システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は前記課題を解決したものであり、以下のような支承反力調整方法及び支承反力調整システムである。
【0008】
即ち、本発明に係る支承反力調整方法は、橋梁の上部構造を支持する複数の支承に生じる反力を調整する支承反力調整方法であって、
(1)前記上部構造をジャッキアップするジャッキを、橋軸直角方向に並んだ前記複数の支承全ての近傍にそれぞれ配置するジャッキ配置工程と、
(2)前記ジャッキ配置工程で配置した全ての前記ジャッキを上昇させ、前記上部構造の各ジャッキアップ部位をジャッキアップし、前記支承が受け持っていた荷重を前記ジャッキに移し替える地切りジャッキアップ工程と、
(3)前記地切りジャッキアップ工程で移し替えられた前記荷重によって生じる前記の各ジャッキの反力を検出するジャッキ反力検出工程と、
(4)前記各ジャッキを、前記ジャッキ反力検出工程で検出された前記各ジャッキの反力の値がそれぞれ所定の反力値となるように上下方向に移動させて、前記の各ジャッキがジャッキアップする前記上部構造の各ジャッキアップ部位の高さ位置をそれぞれ調整する反力バランス調整工程と、
(5)前記複数の支承それぞれの高さを、前記反力バランス調整工程で調整された対応する各ジャッキアップ部位の前記高さ位置に対応する高さに調整する支承高さ調整工程と、
(6)前記支承高さ調整工程後、全ての前記ジャッキを下降させて前記上部構造をジャッキダウンし、全ての前記ジャッキの反力を除荷するジャッキダウン工程と、
を有することを特徴とする支承反力調整方法である。
【0009】
ここで、上部構造のジャッキアップ部位とは、ジャッキから直接的に鉛直方向の力を受ける部位(ジャッキと直接的に接する部位)、または他の部材を介してジャッキから間接的に鉛直方向の力を受ける部位(前記他の部材と直接的に接する部位)のことである。本願の他の箇所の記載においても同様である。
【0010】
前記地切りジャッキアップ工程では、前記上部構造の各ジャッキアップ部位を一律のジャッキアップ量で同量だけジャッキアップしてもよい。
【0011】
前記支承高さ調整工程で高さを調整された後の各支承の高さは、前記支承高さ調整工程で高さを調整された後の各支承の上面と、前記反力バランス調整工程で調整された前記上部構造の対応する前記ジャッキアップ部位の下面との間の距離が、全て同一の距離となるような高さにされている、ようにしてもよい。
【0012】
ここで、「各支承の上面」と「対応するジャッキアップ部位の下面」との間の距離は、「各支承の上面」を含む平面と「対応するジャッキアップ部位の下面」を含む平面との間の距離のことである。
【0013】
前記支承高さ調整工程で高さを調整された後の各支承の高さは、前記支承高さ調整工程で高さを調整された後の各支承の上面と、前記反力バランス調整工程で調整された前記上部構造の対応する前記ジャッキアップ部位の下面との間の距離が、全て同一の距離となるような高さにされている場合、前記同一の距離は、前記地切りジャッキアップ工程における前記一律のジャッキアップ量であってもよい。
【0014】
前記支承高さ調整工程で高さを調整された後の橋軸直角方向に隣り合う前記支承の上面の高さ位置の相対差が、所定の値以下であることが好ましい。
【0015】
前記支承高さ調整工程で高さを調整された後の前記支承の上面の高さ位置と、該支承と橋軸方向に隣り合う支承の上面の高さ位置の相対差が、所定の値以下であることが好ましい。
【0016】
ここで、橋軸方向に隣り合う支承とは、同一の下部構造の天端上で橋軸方向に隣り合う支承のことである。本願の他の箇所の記載においても同様である。
【0017】
前記支承高さ調整工程で高さを調整される前後の前記支承の高さは、その差が所定の値以下であることが好ましい。
【0018】
前記反力バランス調整工程で前記の各ジャッキの反力のバランス調整が完了した後、前記の各ジャッキは機械的に固定してもよい。
【0019】
前記支承高さ調整工程における前記複数の支承の高さ調整は、前記複数の支承の少なくとも1つを、対応する前記ジャッキアップ部位の前記反力バランス調整工程で調整された前記高さ位置に応じた高さを有する新設支承に交換することで行う、ようにしてもよい。
【0020】
前記支承高さ調整工程における前記複数の支承の高さ調整は、各支承を、それぞれ対応する前記ジャッキアップ部位の前記反力バランス調整工程で調整された前記高さ位置に応じた高さを有する新設支承にそれぞれ交換することで行う、ようにしてもよい。
【0021】
前記複数の支承のうち、橋軸直角方向に所定数だけ順番を飛ばした前記支承の組ごとに、前記支承高さ調整工程を時間が重ならないように繰り返し行うようにしてもよい。
【0022】
前記支承高さ調整工程の完了後の前記ジャッキダウン工程の後、高さ調整がなされた前記複数の支承全ての近傍にそれぞれ配置された前記ジャッキを上昇させ、前記上部構造の各ジャッキアップ部位を再度一律のジャッキアップ量で同量だけジャッキアップして、高さ調整がなされた前記複数の支承が受け持っていた荷重を前記の各ジャッキに移し替え、荷重が移し替えられた後の前記の各ジャッキの反力分配の状況を再度確認する、ようにしてもよい。
【0023】
前記の各ジャッキアップ部位の高さ位置は、前記の各ジャッキの近傍において前記橋梁の下部構造の天端と前記橋梁の上部構造の下面との間にそれぞれ設置された変位計によって計測するようにしてもよい。
【0024】
前記支承反力調整方法は、前記橋梁の供用を続けながら実施してもよい。
【0025】
前記橋梁は鋼製の主桁を備え、前記ジャッキアップ部位は前記鋼製の主桁の下面である、ようにしてもよい。
【0026】
本発明に係る支承反力調整システムは、橋梁の上部構造を支持する複数の支承に生じる反力を調整する支承反力調整システムであって、橋軸直角方向に並んだ前記複数の支承全ての近傍にそれぞれ配置された、前記上部構造をジャッキアップする複数のジャッキと、前記複数のジャッキの上下方向の移動量をそれぞれ制御する複数のジャッキ制御手段と、前記複数のジャッキの反力をそれぞれ計測する複数の反力計測手段と、前記の各ジャッキの近傍において前記橋梁の下部構造の天端と前記橋梁の上部構造の下面との間にそれぞれ設置された複数の変位計と、を有し、前記複数のジャッキを全て上昇させ、前記上部構造の各ジャッキアップ部位をジャッキアップし、前記複数の支承が受け持っていた荷重を前記複数のジャッキに移し替えた後、前記複数の反力計測手段がそれぞれ計測した前記の各ジャッキの反力の値がそれぞれ所定の反力値となるように前記の各ジャッキの上下方向の移動量を調整して、前記の各ジャッキがジャッキアップする前記上部構造の各ジャッキアップ部位の高さ位置をそれぞれ調整し、その調整後の前記上部構造の各ジャッキアップ部位の高さ位置をそれぞれ対応する前記変位計で計測し、その計測結果に基づき、対応する各支承の高さを調整することを特徴とする支承反力調整システムである。
【0027】
高さ調整後の橋軸直角方向に隣り合う前記支承の上面の高さ位置の相対差が、所定の値以下であることを確認することが好ましい。
【0028】
高さ調整後の前記支承の上面の高さ位置と、該支承と橋軸方向に隣り合う支承の上面の高さ位置との相対差が、所定の値以下であることを確認することが好ましい。
【0029】
前記の各支承の高さ調整前後の高さの相対差が所定の値以下であることを確認することが好ましい。
【0030】
前記ジャッキ制御手段に指令を与える指令装置をさらに備え、前記指令装置は電気信号で前記ジャッキ制御手段に指令を与える、ように構成してもよい。
【0031】
前記指令装置から前記複数のジャッキ制御手段へそれぞれ個別に前記電気信号を送ることにより、複数の前記ジャッキの上昇および下降の動きを個別に制御できる、ように構成してもよい。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、各支承における反力のバランスが崩れた橋梁において、各支承における反力のバランスを回復させる支承反力調整方法及び支承反力調整システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の実施形態に係る支承反力調整システム10の概略構成を示すブロック図
図2】橋梁100の上部構造101である主桁104を油圧ジャッキ12でジャッキアップしている状態を既設支承106および新設支承50とともに模式的に示す拡大側面図
図3】本発明の実施形態に係る支承反力調整システム10による支承反力調整の流れを示すフローチャート
図4】本発明の実施形態に係る支承反力調整システム10を実際の橋梁200に適用して支承反力調整を行った結果を示す図(ジャッキ反力と目標設計反力の比較を示す図)
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0035】
(1)本発明の実施形態に係る支承反力調整システムの構成
図1は、本発明の実施形態に係る支承反力調整システム10の概略構成を示すブロック図であり、図2は、橋梁100の上部構造101である主桁104を油圧ジャッキ12でジャッキアップしている状態を既設支承106および新設支承50とともに模式的に示す拡大側面図である。
【0036】
本発明の実施形態に係る支承反力調整システム10は、油圧ジャッキ12と、圧力計12Aと、電動ポンプ14と、変位計16と、を有してなる。指令装置18から中継装置20を介して電動ポンプ14へ電気信号が送られ、その電気信号に基づき電動ポンプ14は油圧ジャッキ12に送り込む作動油の量を調整して、油圧ジャッキ12の上昇量および下降量を制御する。一方、圧力計12Aが計測した油圧ジャッキ12の作動油の圧力計測データ、および変位計16が計測した主桁104下面の変位量計測データは、中継装置20を介して指令装置18へ電気信号として送られる。
【0037】
油圧ジャッキ12は、橋軸直角方向に並んだ複数の既設支承106全ての近傍にそれぞれ配置されている。本発明の実施形態に係る支承反力調整システム10では、図2に示すように、油圧ジャッキ12は、橋脚102の側面に取り付けられたブラケット102Aに設けられた高さ調整台102Bの上に配置されていて、橋梁100の上部構造101である主桁104を下方からジャッキアップする。橋脚102の天端に油圧ジャッキ12を安全に設けることができる場合には、ブラケット102Aを橋脚102の側面に取り付けることなく、油圧ジャッキ12を橋脚102の天端に設置すればよい。
【0038】
油圧ジャッキ12のジャッキアップ量(上昇量、下降量)は、電動ポンプ14(図1参照)が油圧ジャッキ12に送り込む作動油の量で制御される。前述したように、指令装置18から中継装置20を介して電動ポンプ14へ電気信号が送られ、その電気信号に基づき電動ポンプ14は油圧ジャッキ12に送り込む作動油の量を調整して、油圧ジャッキ12の上昇量および下降量を制御する。油圧ジャッキ12がジャッキアップの対象物である主桁104から受ける反力は、圧力計12Aが計測する油圧ジャッキ12の作動油の圧力から算出することができる。したがって、圧力計12Aは、油圧ジャッキ12に加わる反力を計測する反力計測手段ということができる。圧力計12Aが計測した圧力計測データは、電気信号として、中継装置20を介して指令装置18へと出力される。
【0039】
電動ポンプ14は、油圧ジャッキ12の近傍に配置されていて油圧ジャッキ12それぞれに1つずつ設けられており、指令装置18から中継装置20を介して送られてきた電気信号に基づき、油圧ジャッキ12に送り込む作動油の量を制御し、それによって油圧ジャッキ12のジャッキアップ量(上昇量、下降量)を制御する。したがって、電動ポンプ14はジャッキ制御手段ということができ、また、指令装置18から中継装置20を介して電動ポンプ14に送る電気信号は、油圧ジャッキ12を制御する制御信号ということができる。
【0040】
変位計16は、橋脚102の天端上であって、かつ、油圧ジャッキ12全ての近傍にそれぞれ配置されており、橋梁100の橋脚102の天端と橋梁100の主桁104の下面との間に設置されている。変位計16は、橋梁100の橋脚102の天端と橋梁100の主桁104の下面との間の距離の変位量を計測し、その変位量計測データを電気信号として、中継装置20を介して指令装置18へと出力する。橋脚102の天端は不動点であり、不動点である橋脚102の天端に変位計16は設置されているので、変位計16は、橋脚102の天端と主桁104の下面との間の距離の変位量を正確に計測することができる。橋脚102の天端と主桁104の下面との間の距離の変位量を正確に計測することができれば、油圧ジャッキ12の上下移動に伴う主桁104の変位量を正確に計測できることになる。
【0041】
一方、例えば、橋軸直角方向に隣り合うブラケット102A同士の間を架け渡すように、隣り合うブラケット102A同士の上に受梁(図示せず)が配置され、その受梁の上に油圧ジャッキ12を配置した場合、その真下にブラケット102Aが位置していない場合には、その油圧ジャッキ12によるジャッキアップ時にその受梁にたわみが生じるおそれがあり、その油圧ジャッキ12自体の上下移動量と実際の主桁104の上下移動量とが一致しない可能性がある。そのような場合であっても、変位計16を不動点である橋脚102の天端に配置することにより、橋脚102の天端と主桁104の下面との間の距離の変位量を正確に計測することができ、油圧ジャッキ12の上下移動に伴う主桁104の変位量を正確に計測することができる。
【0042】
なお、変位計16が計測対象としている主桁104の下面の部位(変位計16が接触する部位)は、1点の狭い領域であるが、油圧ジャッキ12から直接的に鉛直方向の力を受ける主桁104の下面の部位(ジャッキアップ部位104A)付近に変状がないことを確認できれば、変位計16が計測対象としている主桁104の下面の部位(変位計16が接触する部位)の変位量を、その周辺の主桁104の下面の領域(ジャッキアップ部位104Aや支承が接触する領域を含む領域)の変位量とみなしてよい。
【0043】
(2)本発明の実施形態に係る支承反力調整システムの動作
本発明の実施形態に係る支承反力調整システム10の各構成要素をどのように動作させたら橋梁100の支承反力調整が実現できるのかについて説明して、支承反力調整システム10の各構成要素の意義および相互の関連をより明確にする。また、本発明の実施形態に係る支承反力調整システム10の動作について説明することで、本発明に係る支承反力調整方法の実施形態を説明することにもなる。
【0044】
図3は、本発明の実施形態に係る支承反力調整システム10による支承反力調整の流れを示すフローチャートであり、図3を参照しつつ、支承反力調整システム10による支承反力調整の流れを説明する。油圧ジャッキ12の上下動を制御する電気信号は、図1に示すように、指令装置18から中継装置20を介して、電動ポンプ14に送られ、また、圧力計12Aが計測した油圧ジャッキ12の作動油の圧力計測データおよび変位計16が計測した主桁104下面の変位量計測データは中継装置20を介して指令装置18に送られるが、以下のステップS1~S7の説明では、これらのことについての記載は省略する。
【0045】
(ステップS1)ジャッキ配置工程
まず、油圧ジャッキ12を既設支承106全ての近傍にそれぞれ配置する(ジャッキ配置工程(ステップS1))。油圧ジャッキ12は、図2に示すように、橋脚102の側面に取り付けられたブラケット102Aの上に配置してもよいが、橋脚102の天端に油圧ジャッキ12を安全に設けることができる場合には、ブラケット102Aを橋脚102の側面に取り付けることなく、油圧ジャッキ12を橋脚102の天端に設置すればよい。
【0046】
油圧ジャッキ12を既設支承106全ての近傍にそれぞれ配置した後、各油圧ジャッキ12にあらかじめ10tf程度の反力を導入し、活荷重による振動変位を抑えるのがよい。
【0047】
(ステップS2)地切りジャッキアップ工程
ジャッキ配置工程(ステップS1)で配置した全ての油圧ジャッキ12を上昇させ、主桁104のジャッキアップ部位104Aの下面を一律のジャッキアップ量で同量だけジャッキアップし、既設支承106が受け持っていた荷重を油圧ジャッキ12に移し替える(地切りジャッキアップ工程(ステップS2))。この地切りジャッキアップ工程(ステップS2)では、圧力計12Aが計測した圧力計測データに基づき油圧ジャッキ12への導入反力を確認しつつ、既設支承106全ての近傍にそれぞれ配置した油圧ジャッキ12を一斉に0.3mm程度ずつ段階的に上昇させてジャッキアップを実施する。この時、各段階で油圧ジャッキ12付近の主桁104や伸縮装置に変状が無いことを確認する。油圧ジャッキ12が上昇すると、既設支承106が受け持っていた荷重が徐々に油圧ジャッキ12に移行する。ジャッキ反力が上昇せず一定のままになれば、荷重が完全に油圧ジャッキ12に移行したことを示しており、地切りジャッキアップは完了する。
【0048】
(ステップS3)ジャッキ反力検出工程
地切りジャッキアップ工程(ステップS2)が完了した状態における各油圧ジャッキ12の反力の検出を行う(ジャッキ反力検出工程(ステップS3))。各油圧ジャッキ12の反力は、油圧ジャッキ12ごとに備えられた圧力計12Aが計測する油圧ジャッキ12の作動油の圧力から算出する。
【0049】
(ステップS4)反力バランス調整工程
ジャッキ反力検出工程(ステップS3)で検出された各油圧ジャッキ12の反力を踏まえて、各油圧ジャッキ12の反力をそれぞれ目標の値(目標設計反力)に近づけるように各油圧ジャッキ12の上下方向の移動量を調整して、各油圧ジャッキ12がジャッキアップする主桁104の下面の高さ位置をそれぞれ調整して各油圧ジャッキ12の反力のバランス調整を行う(反力バランス調整工程(ステップS4))。
【0050】
具体的には、反力バランスを目標値に近づけるため、各油圧ジャッキ12を個別に上下させ調整していく。反力バランスの調整は、過荷重の箇所はジャッキダウン、少荷重の箇所はジャッキアップを基本とする。また、隣り合う主桁104の下面の相互相対差が所定の値(例えば3mm)を超えないよう確認しながら調整するのがよい。
【0051】
(ステップS5)支承高さ調整工程
反力バランス調整工程(ステップS4)での反力バランスの調整が完了したら、各油圧ジャッキ12を機械的に固定して油圧を抜き、調整後の各油圧ジャッキ12の高さを保持した状態で支承の高さを調整する(支承高さ調整工程(ステップS5))。目標とする支承の高さは、各支承の上面と、反力バランスの調整完了後の状態における主桁104の下面との間の距離が、全て同一の距離となるように調整する。より具体的には、反力バランスの調整完了後の状態における主桁104の下面の高さ位置(対応する変位計が設置されている橋脚102の天端からの高さ位置)から、地切りジャッキアップ工程(ステップS2)における主桁104の下面の前記一律のジャッキアップ量(一斉ジャッキアップ量)を引いた高さを、目標とする支承の高さとすることができる。
【0052】
支承高さの調整について、図2を参照して、既設支承106を新設支承50に交換する場合について説明する。図2において、Haは既設支承106の高さであり、Hbは新設支承50の高さであり、H0は反力バランス調整工程(ステップS4)における反力バランス調整完了後の主桁104の下面と橋脚102の天端との間の距離であり、H1は地切りジャッキアップ工程(ステップS2)における前記一律の主桁104の下面のジャッキアップ量(一斉ジャッキアップ量)であり、H2は反力バランス調整工程(ステップS4)における主桁104下面のジャッキアップ量の調整量(反力バランス調整量)である。なお、図2では、反力バランス調整量H2が正の場合、つまり、反力バランス調整工程(ステップS4)において、油圧ジャッキ12を上昇させて調整した場合を示している。
【0053】
図2に示すように、新設支承50の高さHbは、既設支承106の高さHaに反力バランス調整量H2を加えた高さにすればよく、別の表現で言えば、反力バランス調整完了後の主桁104の下面と橋脚102の天端との間の距離H0から一斉ジャッキアップ量H1を引いた高さとなるようにすればよい。
【0054】
支承の高さの調整は、具体的には例えば、既設支承106の下面に高さ調整プレートを取り付けて行うようにしてもよい。また、支承の高さの調整は、前述したように、既設支承106を適切な高さに調整された新設支承50に交換することで行うようにしてもよい。適切な高さに調整された新設支承50への交換は、複数の既設支承106の全てを新設支承50に交換するようにしてもよいし、あるいは、複数の既設支承106のうちの一部のみを新設支承50に交換し、他の既設支承106に対しては、例えば高さ調整プレートを用いて高さを調整するようにしてもよい。
【0055】
なお、橋軸直角方向に隣り合う支承の上面の高さ位置の相対差が所定の値(例えば3mm)を超えて大きくなると、主桁104同士を橋軸直角方向に連結する横桁や対傾構等に過度な応力が発生するおそれがあるため、橋軸直角方向に隣り合う支承の上面の高さ位置の相対差が所定の値(例えば3mm)を超えて大きくならないようにするのがよい。この所定の値(例えば3mm)は、対象とする橋梁ごとに、置かれている環境条件や設計時の条件等に応じて安全性が確保できるように適宜に定めればよい。
【0056】
また、橋軸方向に隣り合う支承(橋脚102の天端上で橋軸方向に隣り合う支承)の上面の高さ位置の相対差が所定の値(例えば3mm)を超えて大きくなると、伸縮継手の破損や隣接橋梁の路面との間に大きな段差が生じるおそれがあるため、橋軸直角方向に隣り合う支承の上面の高さ位置の相対差が所定の値(例えば3mm)を超えて大きくならないようにするのがよい。この所定の値(例えば3mm)は、対象とする橋梁ごとに、置かれている環境条件や設計時の条件等に応じて安全性が確保できるように適宜に定めればよい。
【0057】
また、支承高さ調整工程(ステップS5)で高さを調整された後の支承の高さは、高さを調整される前であって地切りジャッキアップ工程(ステップS2)後の既設支承106の高さと比べて、その差が所定の値(例えば1mm)以下であるようにするのがよい。既設支承106の高さと比べて調整後の支承の高さがあまり大きく異なると、不測の問題が生じるおそれがあるからである。この所定の値(例えば1mm)は、対象とする橋梁ごとに、置かれている環境条件や設計時の条件等に応じて安全性が確保できるように適宜に定めればよい。
【0058】
また、本ステップS5の支承高さ調整工程における支承の高さの調整は、支承の高さの調整中の大地震等の外力により落橋することがないように、同じ時間に一定割合以上の支承について高さ調整がなされることがないようにするのがよい。したがって、例えば、複数の支承のうち、橋軸直角方向に所定数だけ順番を飛ばした支承の組ごとに、支承の高さ調整を時間が重ならないように繰り返し行うのがよい。より具体的には例えば、橋軸直角方向に並んだ支承のうち、一方の方向から順に番号を付して偶数番の支承の組と奇数番の支承の組とに分けて、それら2つの組について時間が重ならないように、別々に、支承の高さ調整を繰り返し行うことが考えられる。
【0059】
(ステップS6)ジャッキダウン工程
支承高さ調整工程(ステップS5)の完了後、全ての油圧ジャッキ12を下降させて主桁104をジャッキダウンし、全ての油圧ジャッキ12の反力を除荷する(ジャッキダウン工程(ステップS6))。主桁104をジャッキダウンする際には、反力バランス調整工程(ステップS4)での調整後の反力バランスが保たれていることを確認しながら、ジャッキダウンを実施する。0.3mm程度ずつ段階的にジャッキダウンし、各油圧ジャッキ12の反力が均等に除荷されることを確認する。
【0060】
(ステップS7)反力分配確認工程
ジャッキダウン工程(ステップS6)の完了後、全ての油圧ジャッキ12を再度上昇させて主桁104を一律にジャッキアップして、全荷重をジャッキに移行させ、各ジャッキに適切に反力分配されているかを改めて確認する(反力分配確認工程(ステップS7))。この反力分配確認工程(ステップS7)は、ステップS1~S3を合わせた工程と同じである。万一、この反力分配確認工程(ステップS7)で導入反力に偏りが確認された場合、反力バランス調整工程(ステップS4)にもどり、再度、反力バランスの調整を行い、支承高さの調整(ステップS5)を行って、反力バランスを補正する。各油圧ジャッキ12に適切に反力分配されていることを改めて確認できるまでステップS4~S7の工程を繰り返す。
【0061】
以上、本発明の実施形態に係る支承反力調整システム10の動作(本発明に係る支承反力調整方法の実施形態)について説明したが、その各ステップS1~S7における主桁104のジャッキアップ量はわずかであり、通常の場合、橋梁100を通行する車両に影響を与えるものではない。したがって、通行止めにすることなく橋梁100の供用を続けながら、本発明に係る支承反力調整方法を実施することが可能である。
【0062】
(3)本発明の実施形態に係る支承反力調整システムを用いた支承反力調整の実施例
本発明の実施形態に係る支承反力調整システム10を実際の橋梁200に適用し、支承反力調整を行った実施例について説明する。図4はその結果を示す図で、ジャッキ反力と目標設計反力の比較を示す図である。
【0063】
橋梁200の適用箇所の上部構造202は単純4主鈑桁であり、下部構造は鋼製橋脚である。図4に示すように、全ての主桁204において調整前反力が目標値と比べ大きく乖離していた。このままの反力バランスで既設支承の供用を続けていた場合、過荷重や浮き上がりによって破損していた可能性もあったと考えられる。0.2mm~0.3mmの範囲でジャッキを個別に上下させつつ全体の反力バランス調整を行った。複数回の調整を経て、目標設計反力に限りなく近づけることに成功した。また、最終的な橋軸直角方向および橋軸方向の桁間相互相対差も3mm以内であることを確認した。
【0064】
また、以上のようにして橋梁200において行った支承反力調整は、車両の通行止めをすることなく、橋梁200の供用を続けながら行ったが、問題は発生しなかった。
【0065】
(4)補足
以上の実施形態および実施例の説明においては、対象とする橋梁として鋼橋(上部構造を構成する主要部材が鋼材からなる橋梁)を取り上げており、ジャッキアップする対象は鋼主桁であったが、本発明に係る支承反力調整方法及び支承反力調整システムを適用可能な橋梁は鋼橋に限定されるわけではなく、コンクリート橋(上部構造を構成する主要部材がコンクリートからなる橋梁)にも適用可能である。
【符号の説明】
【0066】
10…支承反力調整システム
12…油圧ジャッキ
12A…圧力計
14…電動ポンプ
16…変位計
18…指令装置
20…中継装置
50…新設支承
100、200…橋梁
101、202…上部構造
102…橋脚
102A…ブラケット
102B…高さ調整台
104、204…主桁
104A…ジャッキアップ部位
106…既設支承
Ha…既設支承106の高さ
Hb…新設支承50の高さ
H0…反力バランス調整完了後の主桁104の下面と橋脚102の天端との間の距離
H1…一斉ジャッキアップ量
H2…反力バランス調整量
図1
図2
図3
図4