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  • 特開-建築受発注代行システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023055066
(43)【公開日】2023-04-17
(54)【発明の名称】建築受発注代行システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/08 20120101AFI20230410BHJP
【FI】
G06Q50/08
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021164170
(22)【出願日】2021-10-05
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】521433347
【氏名又は名称】清水 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100089026
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 高明
(72)【発明者】
【氏名】清水 信哉
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】建築施工希望者側にとっても建築会社側にとってもメリットがある建築受発注代行システムを提供する。
【解決手段】複数の建築施工希望者端末と、複数の建築会社端末と、交渉会社端末と、サーバとを備える建築受発注代行システム10であって、サーバは、ウェブサイトに現時点から複数年が経過するまでの間に新規住宅建築を予定するか又は希望している建築施工希望者を募集する内容の募集情報を表示可能とする設定を行う。複数の建築施工希望者端末は、ウェブサイトからサーバに対して募集情報に対する応募情報を送信する。サーバはささらに、応募情報に基づいて複数の建築施工希望者を特定し、特定した複数の建築施工希望者による施工希望者集団を形成し、形成した施工希望者集団に関する施工希望情報を生成して保持する。交渉会社端末は、サーバを利用して、建築会社端末に対して施工希望情報を送信し、建築施工に関する交渉を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の建築施工希望者がそれぞれ使用する複数の建築施工希望者端末と、
複数の建築会社の担当者がそれぞれ使用する複数の建築会社端末と、
前記建築施工希望者と前記建築会社との間の施工に関する交渉を行う交渉会社の担当者が使用する交渉会社端末と、
前記交渉会社が保有するサーバと、
前記複数の建築施工希望者端末と前記複数の建築会社端末と前記交渉会社端末と前記サーバとを接続するネットワークとを備える建築受発注代行システムであって、
前記サーバは、前記交渉会社が運営するウェブサイトに、現時点から複数年が経過するまでの間に新規住宅建築を予定、希望している建築施工希望者を募集する内容の募集情報を表示可能とする設定を行い、
前記複数の建築施工希望者端末は、前記ウェブサイトにアクセスし、前記ウェブサイトから前記サーバに対して前記募集情報に対する応募情報を送信し、
前記サーバは、前記複数の建築施工希望者端末から前記応募情報を受信した場合、受信した前記応募情報に基づいて前記複数の建築施工希望者を特定し、特定した前記複数の建築施工希望者による施工希望者集団を形成し、形成した施工希望者集団に関する施工希望情報を生成して保持し、
前記交渉会社端末は、前記サーバを利用して、前記複数の建築会社端末のうち少なくとも1つの前記建築会社端末に対して前記施工希望情報を送信し、建築施工に関する交渉を行うことを特徴とする建築受発注代行システム。
【請求項2】
前記サーバは、前記応募情報として、個人特定情報、施工希望時期情報、施工希望建物情報、施工希望建築会社情報、施工希望場所情報、希望建築工法情報、希望階数情報、希望価格情報、代金支払方法情報のうち少なくとも1つの情報を含む建築物建設に必要な必要情報を取得し、前記必要情報を前記施工希望情報に含めて保持することを特徴とする請求項1記載の建築受発注代行システム。
【請求項3】
前記サーバは、前記必要情報を、施工希望時期順に整理し、施工希望場所を相互に近接する順番に整理し、施工希望建築会社毎にまとめて整理することを特徴とする請求項2記載の建築受発注代行システム。
【請求項4】
前記サーバは、前記必要情報に基づいて施工希望建築会社毎に小施工希望者集団を形成し、形成した小施工希望者集団に関する施工希望情報を生成して保持し、
前記交渉会社端末は、前記サーバを利用して、前記小施工希望者集団に対応する前記建築会社端末に対して前記施工希望情報を送信することを特徴とする請求項2記載の建築受発注代行システム。
【請求項5】
前記サーバは、前記施工希望情報を生成する場合、前記必要情報を、前記施工希望情報に対応する建築会社に依頼を希望する建築施工希望者の施工希望時期順に整理し、前記施工希望情報に対応する建築会社に依頼を希望する建築施工希望者の施工希望場所を相互に近接する順番に整理することを特徴とする請求項4記載の建築受発注代行システム。
【請求項6】
前記建築施工希望者が施工を希望するのは住宅であり、前記建築会社は住宅建築会社であることを特徴とする請求項1~5記載の建築受発注代行システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築受発注代行システムに係り、特に、建築施工に関する交渉が可能な建築受発注代行システムに関する。
【背景技術】
【0002】
建築施工希望者の視点としては、施工費用は高いため、なるべく安くしたい、という要請がある。
一方、不動産建築業界の営業では、なかなか新規受注・安定受注を得ることは困難である。建築業界で優秀な営業担当でも、せいぜい1割程度の受注率(10件回って1件程度)しかない。従って、建築会社の視点としては、営業受注を安定化させたい、という要請がある。
【0003】
また、このような営業人材を会社としても雇用する必要があることから、工事費の6%前後に相当する営業マン費用は、遊休時にも当然に給与を支払わなくてはならず、人件費がかさみ、結果的に建築コストを高くしなくてはならない、という事情がある。
また、通年で見れば、11月~2月において建築業界では新規受注が少ない。これは2月~3月完成(会社の新年度)の工期案件が多いからである。従って、この時期にも新規受注を取り、通年において、安定した事業を行いたい、という要請がある。
【0004】
そして、このような建築業界に関するシステムとして、様々な技術が提案されているが(例えば、特許文献1、2)、上述したような要請に全て応えることができるシステムは存在しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-078442号公報
【特許文献2】特開2003-271837号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明の課題は、建築施工希望者側にとっても建築会社側にとってもメリットがある建築受発注代行システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題達成のため、請求項1記載の発明にあっては、複数の建築施工希望者がそれぞれ使用する複数の建築施工希望者端末と、複数の建築会社の担当者がそれぞれ使用する複数の建築会社端末と、前記建築施工希望者と前記建築会社との間の施工に関する交渉を行う交渉会社の担当者が使用する交渉会社端末と、前記交渉会社が保有するサーバと、前記複数の建築施工希望者端末と前記複数の建築会社端末と前記交渉会社端末と前記サーバとを接続するネットワークとを備える建築受発注代行システムであって、前記サーバは、前記交渉会社が運営するウェブサイトに、現時点から複数年が経過するまでの間に新規住宅建築を予定、希望している建築施工希望者を募集する内容の募集情報を表示可能とする設定を行い、前記複数の建築施工希望者端末は、前記ウェブサイトにアクセスし、前記ウェブサイトから前記サーバに対して前記募集情報に対する応募情報を送信し、前記サーバは、前記複数の建築施工希望者端末から前記応募情報を受信した場合、受信した前記応募情報に基づいて前記複数の建築施工希望者を特定し、特定した前記複数の建築施工希望者による施工希望者集団を形成し、形成した施工希望者集団に関する施工希望情報を生成して保持し、前記交渉会社端末は、前記サーバを利用して、前記複数の建築会社端末のうち少なくとも1つの前記建築会社端末に対して前記施工希望情報を送信し、建築施工に関する交渉を行うことを特徴とする。
【0008】
従って、本発明に係る建築受発注代行システムにあっては、受発注を代行する「交渉会社」が重要な役割を果たす。交渉会社は以下の業務を行う。
(1)交渉会社が行う業務
i:ウェブサイト上で本システムを広告宣伝し、例えば、向こう3年間程度の期間内に施工予定の建築施工希望者を募り、例えば、同一の建築会社ごとに施工希望者集団を形成する。この場合、ウェブサイト上に、同一の建築会社の工事予定と工事なしの予定を掲載したカレンダーを設置し、工事空き時期における建築希望者をウェブサイト上で募り、施工希望の年間の建築工事の平準化を図る。そして、3年先までの間の各建築会社の工事予定表を作成する。これにより、建築会社側は発注の集中を回避でき年間を通じての作業予定を均一化でき、事業安定化が図られ、建築コストを低減できる。その結果、建築施工希望者も建築費用逓減の利益を得られる。
ii:建築会社への依頼に必要な情報(個人特定情報、施工希望時期情報、施工希望建物情報、施工希望建築会社情報、施工希望場所情報、希望建築工法情報、希望階数情報、希望価格情報、代金支払方法情報等)を建築施工希望者から取得し、サーバにおいて格納保持する。
iii:上記の必要情報を施工時期順、近隣相互の施工場所順に整理し、希望建築会社毎にまとめて整理しておく。
iv:希望する同一の建築会社に関し、建築施工希望者の建築予定地を、相互に近接する関係に基づき施工順を形成しておく(これにより、建築会社側では、例えば、基礎工事等を行う現場作業者の移動距離が削減され、コストを低減することが可能となる)。
v:上記の整理された上方を基に、各建築会社と、当該建築会社を希望する建築施工希望者の集団との間での交渉をウェブを介して行い、発注及び受注につなげる(発注代行・受注代行)。この交渉の中で、施工希望者の施工希望時期の調整や、価格交渉を、建築施工希望者側及び建築会社側の双方が折り合うように、交渉を行う。建築施工希望者にはなるべく低価格を実現すると共に。建築会社には受注の安定化を実現するように、契約当事者双方の利益を最大限考慮して交渉を行う。
(2)本発明における上記のような交渉会社の活動により、以下のようなメリットが生まれる。
(i)建築施工希望者側
施工希望情報によって、建築会社に複数の建築施工希望者をまとめてあっせんできることから、建築会社側の「団体割引き」としてのディスカウントを引き出しやすい。
(ii)建築会社側
不安定な建築営業での顧客獲得を交渉会社が代行するため、営業への注力が削減でき、その分、低価格での施工を提案し、顧客獲得につなげられる。
【0009】
請求項2記載の発明にあっては、前記サーバは、前記応募情報として、個人特定情報、施工希望時期情報、施工希望建物情報、施工希望建築会社情報、施工希望場所情報、希望建築工法情報、希望階数情報、希望価格情報、代金支払方法情報のうち少なくとも1つの情報を含む新規住宅建設に必要な必要情報を取得し、前記必要情報を前記施工希望情報に含めて保持することを特徴とする。
従って、本発明に係る建築受発注代行システムにあっては、必要情報を施工希望情報に含めることにより、交渉会社は非常に面倒な建築会社との工事から代金支払いまでに関する交渉一切を代行することから、建築施工希望者側の交渉の負担がなくなる。
【0010】
請求項3記載の発明にあっては、前記サーバは、前記必要情報を、施工希望時期順に整理し、施工希望場所を相互に近接する順番に整理し、施工希望建築会社毎にまとめて整理することを特徴とする。
従って、本発明に係る建築受発注代行システムにあっては、多数案件の施工時期の調整による施工順番設定を交渉会社が行い、交渉会社が施工希望場所に基づき施工時期を調整することができる。
【0011】
請求項4記載の発明にあっては、前記サーバは、前記必要情報に基づいて施工希望建築会社毎に小施工希望者集団を形成し、形成した小施工希望者集団に関する施工希望情報を生成して保持し、前記交渉会社端末は、前記サーバを利用して、前記小施工希望者集団に対応する前記建築会社端末に対して前記施工希望情報を送信することを特徴とする。
従って、本発明に係る建築受発注代行システムにあっては、施工希望情報によって、必要な情報だけを建築会社端末に送信することができる。
【0012】
請求項5記載の発明にあっては、前記サーバは、前記施工希望情報を生成する場合、前記必要情報を、前記施工希望情報に対応する建築会社に依頼を希望する建築施工希望者の施工希望時期順に整理し、前記施工希望情報に対応する建築会社に依頼を希望する建築施工希望者の施工希望場所を相互に近接する順番に整理することを特徴とする。
従って、本発明に係る建築受発注代行システムにあっては、各建築会社にとって作業効率の良い順番で施工時期及び建築予定地を設定することができる。
【0013】
請求項6記載の発明にあっては、前記建築施工希望者が施工を希望するのは住宅であり、前記建築会社は住宅建築会社であることを特徴とする。
従って、本発明に係る建築受発注代行システムにあっては、住宅の施工を希望する建築施工希望者と、住宅建築会社とを簡単に結び付けることができる。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明にあっては、複数の建築施工希望者がそれぞれ使用する複数の建築施工希望者端末と、複数の建築会社の担当者がそれぞれ使用する複数の建築会社端末と、前記建築施工希望者と前記建築会社との間の施工に関する交渉を行う交渉会社の担当者が使用する交渉会社端末と、前記交渉会社が保有するサーバと、前記複数の建築施工希望者端末と前記複数の建築会社端末と前記交渉会社端末と前記サーバとを接続するネットワークとを備える建築受発注代行システムであって、前記サーバは、前記交渉会社が運営するウェブサイトに、現時点から複数年が経過するまでの間に新規住宅建築を予定、希望している建築施工希望者を募集する内容の募集情報を表示可能とする設定を行い、前記複数の建築施工希望者端末は、前記ウェブサイトにアクセスし、前記ウェブサイトから前記サーバに対して前記募集情報に対する応募情報を送信し、前記サーバは、前記複数の建築施工希望者端末から前記応募情報を受信した場合、受信した前記応募情報に基づいて前記複数の建築施工希望者を特定し、特定した前記複数の建築施工希望者による施工希望者集団を形成し、形成した施工希望者集団に関する施工希望情報を生成して保持し、前記交渉会社端末は、前記サーバを利用して、前記複数の建築会社端末のうち少なくとも1つの前記建築会社端末に対して前記施工希望情報を送信し、建築施工に関する交渉を行うことから、以下の効果を奏する。
【0015】
(1)建築施工希望者側
施工希望情報によって、建築会社に複数の建築施工希望者をまとめてあっせんできることから、建築会社側のディスカウントを引き出しやすいため、建築施工希望者の施工料金を低額化することができる。
(2)建築会社側
不安定な建築営業での顧客獲得を交渉会社が代行するため、営業への注力が削減でき、その分、低価格での施工を提案し、顧客獲得につなげられ、結果として、事業活動の安定化を図れる。
そして、請求項1記載の発明にあっては、建築施工希望者側にとっても建築会社側にとってもメリットがある建築受発注代行システムを提供することができる。
【0016】
請求項2記載の発明にあっては、前記サーバは、前記応募情報として、個人特定情報、施工希望時期情報、施工希望建物情報、施工希望建築会社情報、施工希望場所情報、希望建築工法情報、希望階数情報、希望価格情報、代金支払方法情報のうち少なくとも1つの情報を含む新規住宅建設に必要な必要情報を取得し、前記必要情報を前記施工希望情報に含めて保持するため、必要情報を施工希望情報に含めることにより、交渉会社は非常に面倒な建築会社との工事から代金支払いまでに関する交渉一切を代行することから、建築施工希望者側の交渉の負担がなくなる。
そして、建築会社は各建築施工希望者との交渉一切を交渉会社が(オンラインで)代行してくれることから、個別打合せ、検討に割く時間を払拭できる。価格交渉も交渉会社が建築施工希望者を代理して行うことができる。また、交渉会社は、建築施工希望者の施工希望者集団と建築会社との双方がウイン、ウインになるようにその間の交渉を行い、建築施工希望者にとってはなるべく低価格を実現し、建築会社には受注の安定的依頼を実現することができる。
【0017】
請求項3記載の発明にあっては、前記サーバは、前記必要情報を、施工希望時期順に整理し、施工希望場所を相互に近接する順番に整理し、施工希望建築会社毎にまとめて整理することから、多数案件の施工時期の調整による施工順番設定を交渉会社が行い、交渉会社が施工希望場所に基づき施工時期を調整することができるため、施工時期の波を抑えられ通年で施工すべき案件を安定して確保でき、会社経営を安定化させられ、重機や職人等の確保、移動に要する費用を低減することができコストを削減することが可能となる。
【0018】
請求項4記載の発明にあっては、前記サーバは、前記必要情報に基づいて施工希望建築会社毎に小施工希望者集団を形成し、形成した小施工希望者集団に関する施工希望情報を生成して保持し、前記交渉会社端末は、前記サーバを利用して、前記小施工希望者集団に対応する前記建築会社端末に対して前記施工希望情報を送信することから、施工希望情報によって、必要な情報だけを建築会社端末に送信することができるため、建築会社の作業負担を軽減させることができる。
【0019】
請求項5記載の発明にあっては、前記サーバは、前記施工希望情報を生成する場合、前記必要情報を、前記施工希望情報に対応する建築会社に依頼を希望する建築施工希望者の施工希望時期順に整理し、前記施工希望情報に対応する建築会社に依頼を希望する建築施工希望者の施工希望場所を相互に近接する順番に整理することから、各建築会社にとって作業効率の良い順番で施工時期及び建築予定地を設定することができるため、これにより基礎工事等を行う重機や職人等の移動時間、距離が削減され、結果的に各建築会社にとってもコスト低下、建築代金の低下につながる。着工時期に関しても、施工主側は「数年の間に建てたい」というざっくりとした希望時期であることが前提であることから、その間での各施工主の施工時期の順番に関し、各建築会社との相談の代行を行うことができる。
【0020】
請求項6記載の発明にあっては、前記建築施工希望者が施工を希望するのは住宅であり、前記建築会社は住宅建築会社であることから、住宅の施工を希望する建築施工希望者と、住宅建築会社とを簡単に結び付けることができるため、建築施工希望者は住宅建築会社を探す手間を軽減することができ、住宅建築会社は建築施工希望者を探す手間を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明に係る建築受発注代行システムの一実施の形態を示すブロック図である。
図2】本発明に係る建築受発注代行システムの一実施の形態におけるウェブサイトを示す図である。
図3】本発明に係る建築受発注代行システムの一実施の形態の処理の流れを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る一実施の形態について、住宅建築の場合を例に、図面を参照しながら説明する。
図1に示すように、本実施の形態に係る建築受発注代行システム10は、複数の建築施工希望者Xがそれぞれ使用する複数の建築施工希望者端末11と、複数の建築会社Y1の担当者Y2がそれぞれ使用する複数の建築会社端末12と、建築施工希望者Xと建築会社Y1との間の施工に関する交渉を行う交渉会社Z1の担当者Z2が使用する交渉会社端末13と、交渉会社Z1が保有(使用)するサーバ14と、複数の建築施工希望者端末11と複数の建築会社端末12と交渉会社端末13とサーバ14とを接続するネットワーク15(通信網、インターネット)とを備える建築受発注代行システム10である。
【0023】
サーバ14は、交渉会社Z1が運営するウェブサイト20(図2参照)に、現時点から複数年(例えば3年)が経過するまでの間に新規住宅建築を予定、希望している建築施工希望者を募集する内容の募集情報を表示可能とする設定を行う。建築施工希望者端末11は、ウェブサイト20にアクセスすることで、交渉会社Z1が提供する募集情報を閲覧することができる。
複数の建築施工希望者端末11は、ウェブサイト20(図2参照)にアクセスし、ウェブサイト20(図2参照)からサーバ14に対して募集情報に対する応募情報を送信することができる。
【0024】
サーバ14は、複数の建築施工希望者端末11から応募情報を受信した場合、受信した応募情報に基づいて複数の建築施工希望者を特定し、特定した複数の建築施工希望者による施工希望者集団を形成し、形成した施工希望者集団に関する施工希望情報を生成して保持する。
交渉会社端末13は、サーバ14を利用して、複数の建築会社端末12のうち少なくとも1つの建築会社端末に対して施工希望情報を送信し、建築施工に関する交渉を行う。施工希望情報は、サーバ14から直接送信してもよく、サーバ14から一旦、交渉会社端末13に送信し、交渉会社端末13から建築会社端末12に送信してもよい。
【0025】
建築施工希望者端末11は、数台、数百台、数千台、数万台といったように上限なく増加する可能性がある。
本実施の形態にあっては、住宅建築会社Y1は、建築会社A、建築会社B、建築会社Cの3社がある。建築会社端末12は、3つの建築会社のそれぞれに対応して3台表示している。建築会社端末12Aは、建築会社Aの担当者Y2が使用する端末であり、建築会社端末12Bは、建築会社Bの担当者Y2が使用する端末であり、建築会社端末12Cは、建築会社Cの担当者Y2が使用する端末である。交渉会社端末13は1台であり、サーバ14も1つである。
【0026】
従って、本実施の形態に係る建築受発注代行システム10にあっては、以下の作用を奏する。
(1)建築施工希望者側
交渉会社に依頼し、施工希望情報に基づき住宅建築会社に複数の建築施工希望者をまとめて交渉してもらえることから、単独で建築会社との間で行いにくい、「団体割引き」としてのディカウント交渉を交渉会社に代行してもらえ、建築会社側は契約数が多いことから、結果的に建築会社側のディスカウントを引き出しやすい。
(2)住宅建築会社側
不安定な建築営業での顧客獲得を交渉会社が代行するため、営業への注力が削減でき、その分、低価格での施工を提案し、顧客獲得につなげられる。
【0027】
本実施の形態にあっては、建築施工希望者Xが施工を希望するのは住宅であり、建築会社Y1は住宅建築会社である。従って、本実施の形態に係る建築受発注代行システム10にあっては、住宅の施工を希望する建築施工希望者Xと、住宅建築会社との結び付けを容易に行うことができる。
【0028】
図2に示すように、ウェブサイト20には、募集情報21及び応募フォーム22が表示される。ウェブサイト20は、交渉会社が運営している。
募集情報21には、現時点から複数年が経過するまでの間に新規住宅建築を予定、希望している建築施工希望者を募集する内容の情報が表示される。
応募フォーム22は、応募に際して応募情報(必要情報)を入力する応募情報入力欄23と、応募情報入力欄23に入力された応募情報をサーバ14に送信するための送信ボタン24とを備えている。送信ボタン24を押下すると、応募情報入力欄23に入力された応募情報(必要情報)がサーバ14に送信される。
【0029】
応募情報入力欄23は、任意の文章を入力可能な入力欄であってもよく、必要な項目を選択可能な入力欄であってもよい。また、応募情報には、個人特定情報、施工希望時期情報、施工希望建物情報、施工希望建築会社情報(複数社可能で、例えば、第一希望から第三希望まで)、施工希望場所情報、希望建築工法情報、希望階数情報、希望価格情報、代金支払方法情報のうち少なくとも1つの情報を含む新規住宅建設に必要な必要情報が含まれる。
【0030】
サーバ14は、応募情報として必要情報を取得し、必要情報を施工希望情報に含めて保持する。従って、本実施の形態に係る建築受発注代行システム10にあっては、必要情報を施工希望情報に含めることにより、交渉会社は非常に面倒な建築会社との工事から代金支払いまでに関する交渉一切を代行することから、建築施工希望者側の建築会社との間の交渉の負担がなくなる。
【0031】
次に、建築受発注代行システム10の処理の流れについて説明する。
図3に示すように、建築施工希望者端末11は、ウェブサイト20にアクセスする(S10)。ウェブサイト20にて応募情報(必要情報)を入力し(S11)、送信ボタン24(図2参照)を押下すると、応募情報(必要情報)がサーバ14に送信される(S12)。S10からS12までの処理は、1台の建築施工希望者端末11によるものであるが、実際には、このような処理が複数の建築施工希望者端末11によって何度も繰り返され、複数の応募情報がサーバ14に蓄積されていく。
【0032】
サーバ14は、複数の建築施工希望者端末11から応募情報を受信した場合、受信した応募情報に基づいて複数の建築施工希望者を特定する(S13)。
サーバ14は、特定した複数の建築施工希望者により、希望建築会社ごとの施工希望者集団を形成し(S14)、形成した施工希望者集団に関する施工希望情報を生成して保持する(S15)。施工希望者集団は、例えば10人の建築施工希望者によって形成することができる。施工希望者集団となる10人は、必要情報に含まれるいずれかの項目に紐づけて選択してもよく、単に先着順で選択してもよい。
【0033】
サーバ14は、必要情報を、施工希望時期順に整理し、施工希望場所を相互に近接する順番に整理し、施工希望建築会社毎にまとめて整理する(S16)。例えば、サーバ14は、10人の建築施工希望者を施工希望時期順に並べることができる。また、サーバ14は、10人の建築施工希望者の施工希望場所を相互に近接する順番に並べることができる。さらに、サーバ14は、10人の建築施工希望者を同一の建築会社を希望している者に限定して選択することができる。
従って、本実施の形態に係る建築受発注代行システム10にあっては、多数案件の施工時期の調整による施工順番設定を交渉会社が行い、交渉会社が施工希望場所に基づき施工時期を調整することができる。
【0034】
サーバ14は、必要情報に基づいて施工希望建築会社毎に小施工希望者集団を形成し(S17)、形成した小施工希望者集団に関する施工希望情報を生成して保持する(S18)。例えば、サーバ14は、建築会社Aを希望している10人の建築施工希望者で施工希望情報を形成し、建築会社Bを希望している10人の建築施工希望者で施工希望情報を形成し、建築会社Cを希望している10人の建築施工希望者で施工希望情報を形成する。
従って、本実施の形態に係る建築受発注代行システム10にあっては、施工希望情報によって、必要な情報だけを建築会社端末に送信することができる。
【0035】
サーバ14は、施工希望情報を生成する場合、必要情報を整理する(S19)。具体的には、サーバ14は、施工希望情報に対応する建築会社に依頼を希望する建築施工希望者の施工希望時期順に整理し、施工希望情報に対応する建築会社に依頼を希望する建築施工希望者の施工希望場所を相互に近接する順番に整理する。例えば、サーバ14は、建築会社Aを希望している10人の建築施工希望者を施工希望時期順に並べることができる。また、サーバ14は、建築会社Aを希望している10人の建築施工希望者の施工希望場所を相互に近接する順番に並べることもできる。
従って、本実施の形態に係る建築受発注代行システム10にあっては、各建築会社は、交渉会社を介して、向こう数年間にわたっての多数案件の発注を確保できると共に、各建築会社にとって作業効率の良い順番で施工時期及び建築予定地を設定することができる。
【0036】
交渉会社端末13は、サーバ14に蓄積された情報を確認し(S20)、サーバ14に対して送信指示を送信する(S21)。これにより、サーバ14は、建築会社端末に対して施工希望情報を送信する(S22)。すなわち、交渉会社端末13は、サーバ14を利用して、複数の建築会社端末12のうち少なくとも1つの建築会社端末12に対して施工希望情報を送信し、建築施工に関する交渉を行うことができる。
【0037】
送信する施工希望情報の内容は、交渉会社端末13によって任意に設定することができる。
ところで、施工主(施主)のパターンとしては、「これから複数の建築会社の見積もりを入手予定の施主」、「複数の建築会社の見積もりをすでに入手して検討中の施主」、「複数の建築会社の見積もりに基づき一社に絞り込んだ施主」のいずれかである。
この場合、施工希望建築会社がない10人の建築施工希望者による施工希望情報であれば、例えば、建築施工希望者が希望する3つの建築会社端末12全てに施工希望情報を送信することができる。また、施工希望建築会社がある10人の建築施工希望者による施工希望情報であれば、施工希望建築会社に対応する建築会社端末12に施工希望情報を送信することができる。
この場合、送信する情報は、施工希望情報であっても施工希望情報であってもよく、応募情報や必要情報も厳選して送信することができる。これらの送信制御は、送信指示に含ませて行うことができる。
【0038】
次に、建築受発注代行システム10の概要及び利用方法について説明する。なお、本発明に係る建築受発注代行システム10は、必要に応じて、本件発明者の発明であって、特許に係る特許第6653360号(発明の名称「建築情報サーバー及び建築情報システム」)と連携させて実行することができる。
本発明に係る建築受発注代行システム10は、同一の建築会社を希望する複数の建築施工希望者をまとめて発注代行を行うことを可能とする、「同一の建築会社行きの貸し切りツアーバス」のようなものであり、この場合のツアーコンダクターは交渉会社である。
施工希望者集団としてまとめる人数は、10人に限定されるものではなく、10人未満であっても11人以上であってもよいが、人数が増えるほど、建築会社との交渉により建築費を減額できる可能性が高まることになる。
建築施工希望者は、建築会社の見積もり入手済みの者もおり、又はこれから建築会社の見積もりを入手する者もいる。この場合、建築会社との間の全ての交渉は交渉会社により代行されることから、例えば、建築会社発行の見積もりは交渉会社に届き、交渉会社を介して建築施工希望者に配送される。
本実施の形態に係る建築受発注代行システム10が実施されることにより、建築会社としては、現時点から数年先(1年先から3年先程度)までの建築会社の空白部分を埋めることができる。
【0039】
建築受発注代行システム10の具体的な内容は、以下の通りである。
(1)交渉会社は、個人特定情報、施工希望時期情報、施工希望建物情報、施工希望建築会社情報、施工希望場所情報、希望建築工法情報、希望階数情報、希望価格情報、代金支払方法情報のうち少なくとも1つの情報をサーバ14に蓄積し、複数の建築施工希望者、例えば、10人をまとめて、希望が共通する建築会社に住宅の建築を発注する。
(2)交渉会社は、建築会社を単に「紹介」するのではなく、建築会社との間での、最終的な建築依頼に至るまでの様々な具体的な交渉を行った後に、当該建築会社を建築施工希望者に「斡旋」する。
即ち、交渉会社は、建築会社の営業代行と建築施工希望者の発注代行とを兼務しており、施工希望情報を利用することにより、特定の建築会社を希望する建築施工希望者を、特定の建築会社に発注代行する。建築施工希望者の変更事項や希望などは、交渉会社が建築会社に伝える。建築施工希望者の希望を整理してから、交渉会社が建築会社と折衝する。その結果、建築会社発行の建築費用見積もりは、交渉会社に届き、交渉会社が建築施工希望者に送信する。
なお、本実施の形態において、交渉会社の交渉代行料に関しては、建築施工希望者が最終的な建築依頼が完了した時点で、交渉会社に所定の交渉代行料金を支払ってもよく、また、建築会社のみが交渉代行会社に支払ってもよく、さらに、施主及び建築会社の双方が支払ってもよい。
この場合、例えば、住宅ローンの融資会社に対し、自ら融資の内諾を得ているような建築施工希望者に対しては、料金は優遇される。
【0040】
〔建築会社のメリット〕
(1)向こう3年先の受注をその時点で確保でき、予定工事現場を地図上に落とし込むことができる。また、落とし込んだ現場ごとの着工希望時期を具体化することができる。
(2)上記落とし込んだ特定の地図の中心から半径5kmの円を描き、円の中の工事現場に施工予定順に番号をつけ、施工現場における具体的作業の道順を想定することができる。
(3)現場監督は、一人で年間4棟をこなすのが通常の作業限界であるが、本システムを利用することにより、作業効率化が図られることから、従来の2倍の8棟を監督することができる可能性がある。
(4)建築会社の社内又は社外設計士は、建築会社側で着工時期を調整して受注できることから、建築図面作成作業が短期間に集中せず、年間を通じて平均化され、作業の効率化が可能である。
【0041】
(5)工事現場の敷地の実測等は、半日で完了する現場調査が1日に2ヵ所調査可能になる。
(6)ボーリング標準貫入試験やスウェーデン式サウンディング試験に関しては、場所により、半日で完了する現場調査であるが、これを1日に2ヵ所の調査を実行できる可能性がる。
(7)地盤調査は、スウェーデン式サウンディング試験から載積調査、ポーリングまでの調査方法があり、半日から2日で完了する現場調査を抱き合わせで施工できる可能性がある。
(8)近隣家屋調査や解体工事においては、水道管の本管の取り出し部分の撤去作業に関しては、一般には、完了に半日を要するが、作業現場が近接して配置されることから、移動時間を短縮でき、効率化が図られ、1日に2ヵ所行える可能性がある。
(9)表示登記については、一般に、半日で完了する土地の測量等の現場調査が必要であるが、本実施の形態によれば、1日に2ヵ所の仕事が掛け持ちで可能となる。
(10)現地調査は約半日かかり、足場組立工事においては、一般に、半日から2日で完了するが、本実施の形態に係る建築受発注代行システムにあっては、1日に2ヵ所の調査と工事が可能である。
【0042】
〔建築施工希望者のメリット〕
施工希望者としては、基本的に「着工時期及び住宅完成時期に関する権利」を放棄することにより工事費を削減することができる。
即ち、施工希望者側では、ある程度の着工時期及び住宅完成時期の希望は可能であるが、詳細な時期に関しては、本システムにあっては、基本的には、交渉会社や建築会社の事情に任せることになる。
従って、その結果、建築会社は個別案件の着工時期を自社のスケジュール、事情に基づき選択することが可能となるため、会社にとって有利な時期に着工が可能となり、事案によっては「シーズンオフでの施工」も可能となることから、結果的に、工事費を低減することが可能となる。従って、これは建築施工希望者にとっては大きなメリットとなる。
【0043】
〔見積もり入手済みの建築施工希望者〕
見積もり入手済みの建築施工希望者は、応募情報を送信する際に、入手済みの見積もりを交渉会社に送信する(ホームページの送信フォーム、郵送、メール等)。その際に、見積に関する自分の希望を交渉会社に要請することができる。また、ある工事項目に関する工事費が安くなった場合、他の工事項目への予算の振り替えを行うことができる。
【0044】
〔見積もり入手はこれからの建築施工希望者〕
建築工事の見積もり明細項目は、建築会社の見積もりと同一化することができる。工事費が安くなった場合には、見積もり工事項目毎に差し替えを行うことができる。
【0045】
〔建築施工希望者の立場〕
(1)数年先に着工となる可能性はあるが、建築予定そのものは決まっているため、建築施工希望者としては大きな安心感を得られる。
(2)建築施工希望者が希望した建築工法別、建築階層別で、例えば第3希望までの建築会社を決定することができ、決定した建築会社は、例えば、建築会社A、建築会社B、建築会社Cの3社となる。
(3)決定建築会社である上記3社には、10人分の建築施工希望者をまとめた施工希望情報を送信する。
(4)交渉会社は、上記3社から団体割引の最終工事費の提案を受けることもでき、この場合、3社の見積もり提出数と受注率は約33%の確率となる。
(5)但し、建築施工希望者には、上記3社以外の建築会社を自由に選択する権利は保障されている。
(6)建築施工希望者に対しては、希望建築費支払い方法の希望も聞くこととする。
【0046】
〔建築会社の立場〕
(1)数年先(例えば、3年先)でも工事予定が確保できていることになり、案件受注を安定化することができ、建築会社としての経営状況の安定化が可能になる。
(2)見積もりを発行済みであっても、本発明に係るシステムは「多人数をまとめての発注の代行」となることから、さらなる値引きにも対応可能である。
建築会社は、以下の事項を登録することができるようになる。
(3)3年先までの工程表の空白部分に以下の事項を落とし込むことができる。
(4)希望施工エリア、希望施工建築方法、希望建築階層、希望建築規模(延べ床面積)、土地面積、解体工事別、杭工事別、設計事務所別、融資内定有り無し、及び融資先別、道路切り下げ工事費別等のアイテムにより、建築希望案件を選別して受注管理することが可能となり、効率的な施工作業ができる。
【0047】
〔本システムの運用例〕
(1)交渉会社による本発明に係るシステムのウェブサイト等における宣伝活動から、見込み客の資料請求があり、そこがスタート地点として、契約までに、仮として、以下のステップが想定できる。
(2)10のステップについては、通信販売方法を取り入れて1から8までのステップを省略することができる。1から7までのステップのうち少なくとも1つのステップは、本システムを利用して本システムに登場する交渉会社又は建築会社が実行することができる。
(3)契約までは、8及び9のステップだけを行うだけでよく、これによりほぼ仮契約の状態となる。従って、建築施工希望者にとっては、住宅建築の際に発生する様々な準備手続きを回避でき、建築会社との間の打合せのみでよく、負担を大きく減ずることが可能となる。なお、契約後は、ステップ11及び12までも必要に応じて実行する。
【0048】
(ステップ1)用途地域を調べる。
(ステップ2)建築予定の敷地の詳細と道路を調べ、搬入と搬出の道路事情を調べる。
(ステップ3)建蔽率、容積率限界の図面を作成する。
(ステップ4)敷地内の既存の建物を残した状態で土地の実測図を作成する。
(ステップ5)建築確認申請用の、私道及び公道の道路事情を区役所で調べる。
(ステップ6)解体工事の見積もりを取る。
(ステップ7)杭工事の見積もりを取る。
(ステップ8)建築プランの作成と変更を何回も行う。
(ステップ9)最終プランが決まった段階で、融資先を決めるため各融資機関に打診する。
(ステップ10)建築施工希望者の希望を取り入れてくれる賃貸管理会社と管理方法を打診する。
(ステップ11)建築工事請負契約を締結し、工事現場の近隣説明会の挨拶回りをする。
(ステップ12)近隣住民の説明会を少なくとも1回開催する。
(ステップ13)当該住宅建設による隣家への影響を確認するため、近隣の家屋調査を行う。
【0049】
〔建築地〕
建築会社にとっては、本システムを利用して建築地を、例えば、東京都23区内に絞り込むことで、建築作業者の移動時間を削減することにより、実労働時間を大幅に増加させることができ、作業効率の向上を図ることができる。例えば、8時間労働のうち工事現場から建築作業員の自宅までの往復所要時間が3時間であれば実労働時間は5時間となり、往復所要時間が2時間であれば実労働時間は6時間となる。
従って、建築現場位置情報及び建築希望時期情報等を基に、交渉会社と建築会社との間で着工時期、順番を調整して受注することにより現場作業の時間的効率化を図り、結果的に作業効率を向上させ、コスト低減を図ることが可能となる。
【0050】
〔工事現場の数〕
また、建築会社にとっては、本システムを利用して工事現場の数を絞り込むことで、効率よく売り上げを増加させる(調整する)ことができる。例えば、工事費が1億円の現場10ヵ所で10億円の売り上げとなり、工事費が5億円の現場2ヵ所で10億円の売り上げとなり、工事費が10億円の現場1ヵ所で10億円の売り上げとなる。このような観点からも建築会社の事業効率化を図ることが可能となる。
【0051】
〔本システムのメリット〕
通常、建築会社の営業担当は、1年以内に着工予定の見込み客を獲得することができる。即ち、一般に、2年後、3年後に施工を希望している建築施工希望者は建築会社にとっては歓迎されず、敬遠されがちである。
この理由は、そのような建築施工希望者を追いかけてもすぐに契約できず、訪問回数と比較すると極端に受注率が低くなるからである。
一方、本システムを利用することにより、建築会社は、今日現在、将来の空白の工事期間に工事の予定を入れることができる。本システムは、1年後、2年後、3年後を見越した建築施工希望者の建築予約システムである。
また、建築施工希望者は、建築会社の営業担当者を介さずに、将来の工事予約を入れることができる。
なお、建築会社は、着工時に建築費の下落や高騰が発生したら、建築施工希望者には説明して理解を得る必要がある。
必要情報は、建築地別、建築階層別、建築工法別、建築時期別、土地面積別、建築延べ面積別、賃貸住宅の管理方法別、火災保険会社別、解体工事別、杭工事別、設計事務所別、融資の内定と融資先別、道路切り下げ工事費別、敷地測量費別に分けることができ、また、これらの項目のうち少なくとも1つの項目を必要情報に含めることができる。
そして、本システムを利用することにより、建築施工希望者に対しては、解体料、設計料、賃貸管理費等が、実質的に無料になるかもしれないという期待感を与えることができる。
【0052】
〔工事工程表の作成〕
(1)3年先までの工事予定と工事空き状況のカレンダーを立ち上げる。
(2)工事空き期間に、建築施工希望者を募集する。
(3)本システムを利用することにより、旅行会社がハワイ行きのツアー客を10~100名集めてホテルや飛行機を予約するように、建築の予約を取り付けることができる。
【0053】
以上説明したように、本実施の形態に係る建築受発注代行システム10にあっては、以下の効果を奏する。
(1)建築施工希望者側
施工希望情報によって、建築会社Y1に複数の建築施工希望者Xをまとめてあっせんできることから、建築会社Y1側のディスカウントを引き出しやすいため、建築施工希望者Xの施工料金を低額化することができる。
(2)建築会社側
不安定な建築営業での顧客獲得を交渉会社Z1が代行するため、営業への注力が削減でき、その分、低価格での施工を提案し、顧客獲得につなげられ、結果として、事業活動の安定化を図れる。
そして、本実施の形態に係る建築受発注代行システム10にあっては、建築施工希望者X側にとっても建築会社Y1側にとってもメリットがあるシステムを提供することができる。
【0054】
また、本実施の形態に係る建築受発注代行システム10にあっては、必要情報を施工希望情報に含めることにより、交渉会社Z1は非常に面倒な建築会社Y1との工事から代金支払いまでに関する交渉一切を代行することから、建築施工希望者X側の交渉の負担がなくなる。そして、建築会社Y1は各建築施工希望者Xとの交渉一切を交渉会社Z1が(オンラインで)代行してくれることから、個別打合せ、検討に割く時間を払拭できる。価格交渉も交渉会社Z1が建築施工希望者Xを代理して行うことができる。また、交渉会社Z1は、建築施工希望者Xの施工希望者集団と建築会社Y1との双方がウイン、ウインになるようにその間の交渉を行うが、所定数の複数の建築施工希望者をまとめて希望の建築会社に斡旋できるため、建築施工希望者が一人のみで建築会社との間でのディスカウント交渉は困難であるのに比して、ディスカウントを引き出しやすく、建築施工希望者Xにとってはなるべく低価格を実現し、建築会社Y1には受注の安定的依頼を実現することができる。
【0055】
さらに、本実施の形態に係る建築受発注代行システム10にあっては、多数案件の施工時期の調整による施工順番設定を交渉会社Z1が行い、交渉会社Z1が施工希望場所に基づき施工時期を調整することができるため、施工時期の波を抑えられ通年で施工すべき案件を安定して確保でき、会社経営を安定化させられ、職人の確保、重機等の移動に要する時間、費用を低減することができ施工コスト全体を削減することが可能となる。
【0056】
さらにまた、本実施の形態に係る建築受発注代行システム10にあっては、施工希望情報によって、必要な情報だけを建築会社端末12に送信することができるため、建築会社Y1の作業負担を軽減させることができる。
【0057】
その上、本実施の形態に係る建築受発注代行システム10にあっては、各建築会社Y1にとって作業効率の良い順番で施工時期及び建築予定地を設定することができるため、これにより基礎工事等を行う職人の移動時間、距離が削減され、結果的に各建築会社Y1にとってもコスト低下、建築代金の低下につながる。着工時期に関しても、施工主側は「数年の間に建てたい」というざっくりとした希望時期であることが前提であることから、その間での各施工主の施工時期の順番に関し、各建築会社Y1との相談の代行を行うことができる。
【0058】
また、本実施の形態に係る建築受発注代行システム10にあっては、住宅の施工を希望する建築施工希望者Xと、住宅建築会社とを、双方に利益となる形で結び付けることができる。
【0059】
上述した実施の形態にあっては、以下の変形例が可能である。
(1)施工希望情報は、建築を希望する建築会社に送信する例で説明したが、建築を希望しない建築会社に送信してもよい。
(2)建築施工に関する交渉は、交渉会社端末を利用して行ってもよく、電話やメール等を利用して行ってもよい。
(3)本実施の形態にあっては、本発明に係る建築受発注代行システムを新規住宅建設を行う場合を例に説明したが、上記実施の形態に限定されず、例えば、アパート、共同住宅の建築、既存の建築物のリフォーム、住宅等の、解体工事等に適用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は建築受発注代行システムに係ることから、広く産業上の利用可能性を有している。
【符号の説明】
【0061】
10 建築受発注代行システム
11 建築施工希望者端末
12 建築会社端末
12A 建築会社端末
12B 建築会社端末
12C 建築会社端末
13 交渉会社端末
14 サーバ
15 ネットワーク
20 ウェブサイト
21 募集情報
22 応募フォーム
23 応募情報入力欄
24 送信ボタン
A 建築会社
B 建築会社
C 建築会社
X 建築施工希望者
Y1 建築会社
Y2 建築会社の担当者
Z1 交渉会社
Z2 交渉会社の担当者
図1
図2
図3