(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023055070
(43)【公開日】2023-04-17
(54)【発明の名称】交通案内情報特定装置、交通案内情報特定方法、および交通案内情報特定プログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20230410BHJP
G08G 1/054 20060101ALI20230410BHJP
G07C 5/00 20060101ALI20230410BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G08G1/054 A
G07C5/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021164177
(22)【出願日】2021-10-05
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】301063496
【氏名又は名称】東芝デジタルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 俊裕
【テーマコード(参考)】
3E138
5H181
【Fターム(参考)】
3E138AA07
3E138MA02
3E138MB03
3E138MB08
3E138MB09
3E138MB12
3E138MC03
3E138ME01
5H181AA01
5H181AA21
5H181AA25
5H181AA26
5H181BB04
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC14
5H181CC27
5H181FF10
(57)【要約】
【課題】事故発生時に関わる交通案内情報を高精度に特定する。
【解決手段】交通案内情報特定装置10の映像取得部14Aは、自車両1Aに搭載された撮影部22Aで撮影された車外の映像情報30を取得する。事故発生タイミング取得部14Bは、自車両1Aの事故発生タイミング60を取得する。運動情報取得部14Cは、自車両1Aの運動情報50を取得する。交通案内情報特定部14Eは、運動情報50に基づいて、映像情報30に含まれる1以上の第1交通案内情報41の内、事故発生タイミング60以前の少なくとも自車両1Aの直進区間50Aを含む抽出対象期間62内に撮影された第1交通案内情報41を、事故発生時に関わる第2交通案内情報42として特定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両に搭載された撮影部で撮影された車外の映像情報を取得する映像取得部と、
前記自車両の事故発生タイミングを取得する事故発生タイミング取得部と、
前記自車両の運動情報を取得する運動情報取得部と、
前記運動情報に基づいて、前記映像情報に含まれる1以上の第1交通案内情報の内、前記事故発生タイミング以前の少なくとも前記自車両の直進区間を含む抽出対象期間内に撮影された前記第1交通案内情報を、事故発生時に関わる第2交通案内情報として特定する交通案内情報特定部と、
を備える交通案内情報特定装置。
【請求項2】
前記交通案内情報特定部は、
前記事故発生タイミング以前の所定期間の時刻ごとの前記運動情報を、前記直進区間の前記運動情報と右左折区間の前記運動情報とに分類する分類部と、
前記直進区間の前記運動情報、前記右左折区間の前記運動情報、および前記事故発生タイミングに基づいて、前記事故発生タイミング以前の直前の前記直進区間の最終時刻から時系列方向の上流側および下流側の少なくとも一方に向かって所定期間を、前記抽出対象期間として特定する抽出対象期間特定部と、
を有する、請求項1に記載の交通案内情報特定装置。
【請求項3】
前記交通案内情報特定部は、
前記事故発生タイミング、前記抽出対象期間、前記第1交通案内情報、前記第2交通案内情報、前記自車両の前記運動情報、前記直進区間の前記運動情報、および前記右左折区間の前記運動情報の少なくとも1つを表示する表示制御部を更に有する、
請求項2に記載の交通案内情報特定装置。
【請求項4】
時系列に沿って撮影された複数の画像を含む前記映像情報から1つ以上の前記第1交通案内情報を取得する交通案内情報取得部を更に備え、
前記交通案内情報特定部は、
前記映像情報に含まれる前記抽出対象期間に撮影された前記画像から取得された前記第1交通案内情報によって表される、交通案内の種類、交通案内の前記画像上の位置、および交通案内の識別情報に基づいて、前記自車両の事故発生時に関わる前記第2交通案内情報を特定する第2交通案内情報特定部を更に有する、
請求項1~請求項3の何れか1項に記載の交通案内情報特定装置。
【請求項5】
前記交通案内情報取得部は、
前記映像情報から、交通案内の種類、前記映像情報に含まれる画像上における交通案内の位置、および交通案内の識別情報、の少なくとも1つを含む前記第1交通案内情報を取得する、
請求項4に記載の交通案内情報特定装置。
【請求項6】
前記運動情報取得部は、
内界センサおよび外界センサの少なくとも一方から、前記自車両の速度、角速度、実空間上の位置、走行方向、および加速度のうち少なくとも1つを前記自車両の前記運動情報として取得する、
請求項1~請求項5の何れか1項に記載の交通案内情報特定装置。
【請求項7】
前記事故発生タイミング取得部は、
前記自車両に搭載された内界センサおよび外界センサの少なくとも一方から得られる、加速度、角加速度、音量のうち少なくとも1つの変化に応じて、前記事故発生タイミングを取得する、
請求項1~請求項6の何れか1項に記載の交通案内情報特定装置。
【請求項8】
前記第1交通案内情報は、
信号機および交通標識の少なくとも一方を含む交通案内を表す情報であり、
前記信号機は、車両用信号機および歩行者用信号機の少なくとも一方を含み、
前記交通標識は、一時停止標識を含み、
前記第1交通案内情報は、前記信号機の灯色を表す灯色情報を含む、
請求項1~請求項7の何れか1項に記載の交通案内情報特定装置。
【請求項9】
前記自車両を含む移動体は、
交通案内による規制対象である、
請求項1~請求項8の何れか1項に記載の交通案内情報特定装置。
【請求項10】
自車両に搭載された撮影部で撮影された車外の映像情報を取得する映像取得ステップと、
前記自車両の事故発生タイミングを取得する事故発生タイミング取得ステップと、
前記自車両の運動情報を取得する運動情報取得ステップと、
前記運動情報に基づいて、前記映像情報に含まれる1以上の第1交通案内情報の内、前記事故発生タイミング以前の少なくとも前記自車両の直進区間を含む抽出対象期間内に撮影された前記第1交通案内情報を、事故発生時に関わる第2交通案内情報として特定する交通案内情報特定ステップと、
を含む交通案内情報特定方法。
【請求項11】
前記交通案内情報特定ステップは、
前記事故発生タイミング以前の所定期間の時刻ごとの前記運動情報を、前記直進区間の前記運動情報と右左折区間の前記運動情報とに分類する分類ステップと、
前記直進区間の前記運動情報、前記右左折区間の前記運動情報、および前記事故発生タイミングに基づいて、前記事故発生タイミング以前の直前の前記直進区間の最終時刻から時系列方向の上流側および下流側の少なくとも一方に向かって所定期間を、前記抽出対象期間として特定する抽出対象期間特定ステップと、
を含む、請求項10に記載の交通案内情報特定方法。
【請求項12】
前記交通案内情報特定ステップは、
前記事故発生タイミング、前記抽出対象期間、前記第1交通案内情報、前記第2交通案内情報、前記自車両の前記運動情報、前記直進区間の前記運動情報、および前記右左折区間の前記運動情報の少なくとも1つを表示する表示制御ステップを更に含む、
請求項11に記載の交通案内情報特定方法。
【請求項13】
時系列に沿って撮影された複数の画像を含む前記映像情報から1つ以上の前記第1交通案内情報を取得する交通案内情報取得ステップを更に含み、
前記交通案内情報特定ステップは、
前記映像情報に含まれる前記抽出対象期間に撮影された前記画像から取得された前記第1交通案内情報によって表される、交通案内の種類、交通案内の前記画像上の位置、および交通案内の識別情報に基づいて、前記自車両の事故発生時に関わる前記第2交通案内情報を特定する第2交通案内情報特定ステップを更に含む、
請求項10~請求項12の何れか1項に記載の交通案内情報特定方法。
【請求項14】
前記交通案内情報取得ステップは、
前記映像情報から、交通案内の種類、前記映像情報に含まれる画像上における交通案内の位置、および交通案内の識別情報、の少なくとも1つを含む前記第1交通案内情報を取得する、
請求項13に記載の交通案内情報特定方法。
【請求項15】
前記運動情報取得ステップは、
内界センサおよび外界センサの少なくとも一方から、前記自車両の速度、角速度、実空間上の位置、走行方向、および加速度のうち少なくとも1つを前記自車両の前記運動情報として取得する、
請求項10~請求項14の何れか1項に記載の交通案内情報特定方法。
【請求項16】
前記事故発生タイミング取得ステップは、
前記自車両に搭載された内界センサおよび外界センサの少なくとも一方から得られる、加速度、角加速度、音量のうち少なくとも1つの変化に応じて、前記事故発生タイミングを取得する、
請求項10~請求項15の何れか1項に記載の交通案内情報特定方法。
【請求項17】
前記第1交通案内情報は、
信号機および交通標識の少なくとも一方を含む交通案内を表す情報であり、
前記信号機は、車両用信号機および歩行者用信号機の少なくとも一方を含み、
前記交通標識は、一時停止標識を含み、
前記第1交通案内情報は、前記信号機の灯色を表す灯色情報を含む、
請求項10~請求項16の何れか1項に記載の交通案内情報特定方法。
【請求項18】
前記自車両を含む移動体は、
交通案内による規制対象である、
請求項10~請求項17の何れか1項に記載の交通案内情報特定方法。
【請求項19】
自車両に搭載された撮影部で撮影された車外の映像情報を取得する映像取得ステップと、
前記自車両の事故発生タイミングを取得する事故発生タイミング取得ステップと、
前記自車両の運動情報を取得する運動情報取得ステップと、
前記運動情報に基づいて、前記映像情報に含まれる1以上の第1交通案内情報の内、前記事故発生タイミング以前の少なくとも前記自車両の直進区間を含む抽出対象期間内に撮影された前記第1交通案内情報を、事故発生時に関わる第2交通案内情報として特定する交通案内情報特定ステップと、
をコンピュータに実行させるための交通案内情報特定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、交通案内情報特定装置、交通案内情報特定方法、および交通案内情報特定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両に搭載されたカメラで撮影された映像情報を用いて、映像情報に含まれる信号機や標識などの交通案内情報を特定することが行われている。例えば、特許文献1には、撮影画像に基づいて信号機および標識の少なくとも一方を認識する技術が開示されている。特許文献1では、撮影画像上の自車両の走行方向の道路形状に応じた位置に存在する検出対象を、自車両に対して最も有効な信号機または標識として判定することが開示されている。
【0003】
ここで、事故発生時には、車両に搭載されたカメラで撮影された映像情報が活用される場合がある。しかし、従来技術では、車両の走行中に順次撮影される撮影画像から走行予定の道路形状を推定し、撮影画像上の道路形状に応じた位置に存在する信号機または標識などを自車両に対して有効な交通案内として判定していた。このため、従来技術では、走行車線に対して交差する交差車線上の他の移動体に対する信号機の映り込みや他車両による交通案内の遮蔽等が発生する状況では、道路形状の推定および交通案内の抽出が困難となる場合があった。すなわち、従来技術では、映像情報から事故発生時に関わる交通案内情報を特定することが困難となる場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、自車両の事故発生時に関わる交通案内情報を高精度に特定することができる、交通案内情報特定装置、交通案内情報特定方法、および交通案内情報特定プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の交通案内情報特定装置は、映像取得部と、事故発生タイミング取得部と、運動情報取得部と、交通案内情報特定部と、を備える。映像取得部は、自車両に搭載された撮影部で撮影された車外の映像情報を取得する。事故発生タイミング取得部は、前記自車両の事故発生タイミングを取得する。運動情報取得部は、前記自車両の運動情報を取得する。交通案内情報特定部14Eは、前記運動情報に基づいて、前記映像情報に含まれる1以上の第1交通案内情報の内、前記事故発生タイミング以前の少なくとも前記自車両の直進区間を含む抽出対象期間内に撮影された前記第1交通案内情報を、事故発生時に関わる第2交通案内情報として特定する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】交通案内情報特定装置を搭載した車両の模式図。
【
図4】交通案内情報特定部の機能構成を示すブロック図。
【
図5】分類部および抽出対象期間特定部による処理の一例の説明図。
【
図6A】実空間の自車両と交通案内との位置関係の模式図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に添付図面を参照して、交通案内情報特定装置、交通案内情報特定方法、および交通案内情報特定プログラムを詳細に説明する。
【0009】
図1は、本実施形態の交通案内情報特定装置10を搭載した車両1の一例の模式図である。
【0010】
交通案内情報特定装置10は、自車両1Aの事故発生時に関わる交通案内情報を特定する装置である。交通案内情報の詳細は後述する。本実施形態では、交通案内情報特定装置10が、車両1に搭載された形態を一例として説明する。また、本実施形態では、交通案内情報特定装置10を搭載された車両1を、自車両1Aと称して説明する。
【0011】
車両1は、移動体の一例である。移動体とは、交通案内による交通規制の対象であり、移動可能な対象である。移動体は、例えば、車両1、歩行者、ロボット、飛翔体、船舶、などである。車両1は、例えば、自動二輪車、自動四輪車、自転車などである。本実施形態では、車両1が自動四輪車である場合を一例として説明する。なお、車両1は、例えば、人による運転操作を介して走行する移動体、および、人による運転操作を介さずに自律走行可能な移動体の何れであってもよい。
【0012】
自車両1Aは、交通案内情報特定装置10と、出力部20と、外界センサ22と、内界センサ24と、を備える。交通案内情報特定装置10、出力部20、外界センサ22、および内界センサ24は、バス26などを介して通信可能に接続されている。
【0013】
出力部20は、各種の情報を出力する。出力部20は、通信部20A、表示部20B、およびスピーカ20Cなどを含む。
【0014】
通信部20Aは、情報を他の情報処理装置などとの間で送受信する。例えば、通信部20Aは、有線または無線により通信回線を介して情報を送受信する。表示部20Bは、各種の情報を表示するディスプレイである。表示部20Bは、投影装置であってもよい。スピーカ20Cは、音を出力する。
【0015】
外界センサ22および内界センサ24は、車両1の環境を観測するセンサである。
【0016】
外界センサ22は、車両1の外界の環境を観測する。外界センサ22は、撮影部22A、位置センサ22B、距離センサ、およびマイクを含む。距離センサは、例えば、ミリ波レーダ、レーザセンサ、距離画像センサなどである。
【0017】
撮影部22Aは、撮影によって映像情報を得る。本実施形態では、撮影部22Aは、少なくとも車両1の走行方向の前方の領域を撮影可能となるように、設置位置、撮影方向、および撮影画角が予め調整されているものとする。また、撮影部22Aの撮影方向は、前進走行する車両1の走行方向に略平行となるように予め調整されているものとする。
【0018】
位置センサ22Bは、車両1の位置を検出する。位置センサ22Bは、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)、GPS(Global Positioning System)などである。
【0019】
内界センサ24は、車両1の内界の環境を観測する。内界センサ24は、車両1の角速度、加速度、速度、姿勢、走行方向、などを観測する。内界センサ24は、例えば、慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unit)、加速度センサ、速度センサ、ロータリエンコーダ、などである。IMUは、移動体の三軸加速度および三軸角速度を観測する。
【0020】
交通案内情報特定装置10は、記憶部12と、処理部14と、を備える。記憶部12、処理部14、出力部20、外界センサ22、および内界センサ24は、バス26などを介して通信可能に接続されている。
【0021】
記憶部12、通信部20A、表示部20B、スピーカ20C、撮影部22A、位置センサ22B、および内界センサ24は、有線または無線で処理部14に通信可能に接続された構成であればよい。通信部20A、表示部20B、スピーカ20C、撮影部22A、位置センサ22B、および内界センサ24の少なくとも一つと、処理部14とを、ネットワークを介して接続してもよい。
【0022】
記憶部12は、各種のデータを記憶する。なお、記憶部12は、交通案内情報特定装置10の外部に設けられた記憶装置であってもよい。また、記憶部12および処理部14に含まれる1または複数の機能部の少なくとも1つを、ネットワークなどを介して交通案内情報特定装置10に通信可能に接続された外部の情報処理装置に搭載した構成としてもよい。すなわち、記憶部12および処理部14に含まれる1または複数の機能部の少なくとも1つを、自車両1Aに対して通信可能に接続された自車両1Aの外部の情報処理装置などに搭載した形態であってもよい。
【0023】
処理部14は、交通案内情報特定装置10において情報処理を実行する。処理部14は、映像取得部14Aと、事故発生タイミング取得部14Bと、運動情報取得部14Cと、交通案内情報取得部14Dと、交通案内情報特定部14Eと、を含む。
【0024】
映像取得部14A、事故発生タイミング取得部14B、運動情報取得部14C、交通案内情報取得部14D、および交通案内情報特定部14Eは、例えば、1または複数のプロセッサにより実現される。例えば上記各部は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサにプログラムを実行させること、すなわちソフトウェアにより実現してもよい。上記各部は、専用のICなどのプロセッサ、すなわちハードウェアにより実現してもよい。上記各部は、ソフトウェアおよびハードウェアを併用して実現してもよい。複数のプロセッサを用いる場合、各プロセッサは、各部のうち1つを実現してもよいし、各部のうち2以上を実現してもよい。
【0025】
映像取得部14Aは、自車両1Aに搭載された撮影部22Aで撮影された車外の映像情報を取得する。
【0026】
図2Aは、映像情報30の一例の模式図である。映像情報30は、撮影部22Aによって時系列に沿って順次撮影された複数の画像Fから構成される。画像Fは、ある時刻に撮影された撮影画像またはフレームに相当する。
【0027】
図2Bは、映像情報30に含まれる画像Fの一例の模式図である。
【0028】
画像Fには、例えば、1または複数の交通案内40の像が含まれる場合がある。すなわち、撮影部22Aの撮影画角内に交通案内40が含まれる撮影タイミングで撮影された画像Fには、交通案内40の像が含まれる。
【0029】
交通案内40とは、移動体の交通安全や円滑移動を図るために設けられた交通規制を表す設備である。交通案内40には、例えば、信号機、交通標識、の少なくとも一方が含まれる。
【0030】
信号機は、移動体に通行権の規制を知らせるための機器であり、点灯された色によって交通規制の内容を表す。以下では、点灯された色を、灯色と称して説明する。信号機は、例えば、車両用信号機および歩行者用信号機の少なくとも一方を含む。
【0031】
交通標識は、交通規制を表すマークや文字などを表す設備である。交通標識は、例えば、一時停止を表す一時停止標識、車両1の侵入禁止を表す車両進入禁止標識、一方通行を表す一方通行標識、追い越し禁止を表す追い越し禁止標識、などである。なお、交通標識の種類は、これらに限定されない。
【0032】
図2Bには、交通案内40の像として、信号機の像を一例として示す。例えば、画像Fには、像40A~像40Eの複数の信号機の交通案内40の像などが含まれる。
【0033】
図1に戻り説明を続ける。事故発生タイミング取得部14Bは、自車両1Aの事故発生タイミングを取得する。
【0034】
事故発生タイミングとは、自車両1Aの事故発生のタイミングを意味する。事故発生タイミングは、事故発生の瞬間である1つの時刻、事故発生の期間を表す時系列に沿って連続する複数の時刻、の何れであってもよい。
【0035】
事故発生タイミング取得部14Bは、外界センサ22および内界センサ24の少なくとも一方から得られる、加速度、角加速度、音量のうち少なくとも1つの変化に応じて、事故発生タイミングを取得する。
【0036】
交通事故発生時には、衝突や急ブレーキなどにより自車両1Aには大きな加速度の変化が想定される。また、交通事故発生時には、急激な走行方向の変化や自車両1Aへの衝撃や自車両1Aの回転などが想定される。このため、交通事故発生時には、自車両1Aに大きな角加速度の変化が想定される。また、交通事故発生時には、大きな音量の変化が想定される。
【0037】
そこで、事故発生タイミング取得部14Bは、外界センサ22および内界センサ24の少なくとも一方で観測された、加速度、角加速度、および音量、の少なくとも1つが予め定めた閾値以上となるタイミングを含む期間を、事故発生タイミングとして取得する。閾値は、予め定めればよい。
【0038】
図3は、事故発生タイミングの一例の説明図である。
図3中、横軸は時刻を表す。縦軸は加速度を表す。
図3には、交通事故発生時の加速度の推移の一例を示す線
図44を表す。線
図44に示されるように、交通事故発生時には、加速度に変化が生じる。
【0039】
例えば、事故発生タイミング取得部14Bは、加速度が閾値G1未満である状態が設定時間以上継続した状態から閾値G1を超えた状態へと推移した時刻Asから、該時刻Asから所定時間内に加速度が閾値G1を超えた後に該閾値G1未満の状態となる最も遅い時刻Aeまでの期間Aを、事故発生タイミングとして特定する。所定時間には、交通事故発生時に加速度、角速度、および音量の少なくとも1つの変化が連続的または断続的に継続する最大の時間などを予め定めればよい。設定時間には、所定時間を超える長さであって、且つ事故未発生とみなすことの可能な時間を予め定めればよい。最も遅い時刻Aeとは、時刻Asから所定時間内に加速度が閾値G1を超えた後に加速度が低下して該閾値G1に到達した時刻である。
【0040】
【0041】
運動情報取得部14Cは、自車両1Aの運動情報を取得する。
【0042】
運動情報とは、自車両1Aの走行状態を表す情報である。運動情報は、例えば、自車両1Aの速度、角速度、実空間上の位置、走行方向、および加速度の少なくとも1つを表す情報である。
【0043】
運動情報取得部14Cは、外界センサ22および内界センサ24の少なくとも一方から、時系列に沿って順次観測される、自車両1Aの速度、角速度、実空間上の位置、走行方向、および加速度のうち少なくとも1つを自車両1Aの運動情報として取得する。すなわち、運動情報は、自車両1Aの速度、角速度、実空間上の位置、走行方向、および加速度のうち少なくとも1つを含む情報である。運動情報取得部14Cは、時刻ごとの運動情報を取得する。
【0044】
交通案内情報取得部14Dは、映像情報30から1つ以上の第1交通案内情報を取得する。
【0045】
図2Bを用いて説明する。第1交通案内情報41とは、信号機および交通標識の少なくとも一方を含む交通案内40を表す情報である。言い換えると、第1交通案内情報41は、映像情報30に含まれる交通案内40を特定可能な交通案内情報である。詳細には、第1交通案内情報41は、交通案内40の種類、画像F上における交通案内40の位置、および交通案内40の識別情報、の少なくとも1つを含む。
【0046】
交通案内40の種類とは、交通規則の提供形態ごとに交通案内40を複数のグループに分類した、各グループのラベルを意味する。交通案内40の種類は、例えば、信号機、交通標識、などであるが、これらに限定されない。交通案内40の種類は、さらに細分化したものであってもよい。例えば、交通案内40の種類は、信号機を更に細分化した、車両用信号機、および歩行者用信号機、などを含んでいてよい。また、交通案内40の種類が信号機の場合には、第1交通案内情報41は、信号機の灯色を表す灯色情報を更に含んでよい。
【0047】
画像F上における交通案内40の位置とは、画像Fに含まれる交通案内40の像の領域の位置を表す情報である。例えば、交通案内40の像の領域として矩形領域を用いる場合を想定する。この場合、交通案内40の位置は、例えば、画像F上における交通案内40の像の矩形領域の外枠の左上頂点の座標(xl,yl)および右下頂点の座標(xr,yr)により表される。
【0048】
交通案内40の識別情報とは、交通案内40を一意に識別する情報である。言い換えると、交通案内40の識別情報は、映像情報30に含まれる時系列に連続して撮影された複数の画像F間で、同じ交通案内40であることを識別する情報である。このため、同一の識別情報の交通案内40は、実空間において同じ交通案内40である。
【0049】
交通案内情報取得部14Dは、映像情報30から、交通案内40の種類、画像F上における交通案内40の位置、および交通案内40の識別情報、の少なくとも1つを含む第1交通案内情報41を取得する。詳細には、交通案内情報取得部14Dは、映像情報30に含まれる時系列に連続して撮影された複数の画像Fの各々ごとに、公知の画像処理などを用いて、含まれる交通案内40の第1交通案内情報41を取得する。このため、交通案内情報取得部14Dは、時系列に撮影された複数の画像Fごと、すなわち画像Fの撮影された時刻ごとに、撮影部22Aで撮影された交通案内40の第1交通案内情報41を取得する。
【0050】
【0051】
交通案内情報特定部14Eは、自車両1Aの運動情報に基づいて、映像情報30に含まれる1以上の第1交通案内情報41の内、事故発生タイミング以前の少なくとも自車両1Aの直進区間を含む抽出対象期間内に撮影された第1交通案内情報41を、自車両1Aの事故発生時に関わる第2交通案内情報として特定する。
【0052】
図4は、交通案内情報特定部14Eの機能構成の一例を示すブロック図である。交通案内情報特定部14Eは、分類部14F、抽出対象期間特定部14G、第2交通案内情報特定部14H、および表示制御部14Iを含む。
【0053】
分類部14Fは、事故発生タイミング以前の所定期間の時刻ごとの運動情報を、直進区間の運動情報と右左折区間の運動情報とに分類する。
【0054】
図5は、分類部14Fおよび後述する抽出対象期間特定部14Gによる処理の一例の説明図である。
【0055】
上述したように、映像情報30は、時系列に沿って撮影された複数の画像Fを含む。分類部14Fは、事故発生タイミング取得部14Bで取得した事故発生タイミング60および運動情報取得部14Cで取得した運動情報50を用いて、複数の時刻ごとの運動情報50を、直進区間50Aの運動情報50と右左折区間50Bの運動情報50とに分類する。
【0056】
直進区間50Aとは、自車両1Aが走行路に沿って直進走行する区間を意味する。右左折区間50Bとは、自車両1Aが右折または左折しながら走行する区間を意味する。右左折区間50Bは、例えば、交差点を右折走行または左折走行する区間などである。
【0057】
上述したように、運動情報は、自車両1Aの速度、角速度、実空間上の位置、走行方向、および加速度の少なくとも1つを含む情報である。例えば、事故発生タイミング取得部14Bが、時刻Asから時刻Aeまでの期間Aを事故発生タイミング60として取得した場合を想定して説明する。また、運動情報50が、少なくとも自車両1Aの角速度および自車両1Aの実空間上の位置を少なくとも含む場合を想定して説明する。
【0058】
分類部14Fは、運動情報取得部14Cで取得した複数の時刻ごとの運動情報50の内、事故発生タイミング60以前の設定期間Sの運動情報50の群を取得する。設定期間Sは、予め定めればよい。設定期間Sは、例えば、20分、30分などであるが、これらに限定されない。
【0059】
事故発生タイミング60以前とは、期間Aによって表される事故発生タイミング60の任意の時刻以前を表す。例えば、事故発生タイミング60以前とは、期間Aによって表される事故発生タイミングの時系列方向の最上流側端部の時刻As以前でもよく、時刻Ae以前であってもよい。また、時刻As~時刻Aeの中央の時刻以前でよく、加速度等の情報から事故発生の尤度を計算して、時刻As~時刻Aeの間の尤もらしい任意の時刻以前であってもよい。
【0060】
分類部14Fは、取得した事故発生タイミング60以前の設定期間S内の運動情報50の群を、小区間の走行距離分の運動情報50の群ごとに区切る。小区間の走行距離は、予め定めればよい。例えば、小区間の走行距離は、1m、5mなどであるが、この距離に限定されない。
【0061】
そして、分類部14Fは、小区間の走行距離内に含まれる複数の運動情報50の各々について、角速度が閾値Wi以上の運動情報50を、右左折区間50Bの運動情報の候補として記憶する。角速度の閾値Wiには、例えば、車両1が右左折区間50Bを走行するときの角速度の下限を予め定めればよい。角速度の閾値Wiは、ユーザによる操作指示などに応じて適宜変更可能としてもよい。
【0062】
分類部14Fは、小区間の走行距離内に含まれる、右左折区間50Bの運動情報50の候補数が閾値C以上である場合、該小区間の走行距離内の運動情報50の群を、右左折区間50Bの運動情報50の群として記憶する。また、分類部14Fは、小区間の走行距離内に含まれる、右左折区間50Bの運動情報50の候補数が閾値C未満である場合、該小区間の走行距離内の運動情報50の群を、直進区間50Aの運動情報50の群として記憶する。閾値Cには、右左折区間50Bを走行中であると判別可能な最小値を予め定めればよい。また、閾値Cは、ユーザの操作指示などに応じて適宜変更可能としてもよい。
【0063】
これらの分類処理を小区間ごとに実行することにより、分類部14Fは、事故発生タイミング60以前の設定期間Sの運動情報50の群を、直進区間50Aの運動情報50と、右左折区間50Bの運動情報50と、に分類する。
【0064】
抽出対象期間特定部14Gは、分類部14Fで分類された直進区間50Aの運動情報50および右左折区間50Bの運動情報50と、事故発生タイミング60と、に基づいて、事故発生タイミング60以前の直前の直進区間50Aの最終時刻Dから時系列方向の上流側および下流側の少なくとも一方に向かって所定期間D±dを、抽出対象期間として特定する。
【0065】
抽出対象期間特定部14Gは、事故発生タイミング60以前の直前の直進区間50Aの最終時刻Dを特定する。最終時刻Dは、事故発生タイミング60以前の直前の直進区間50Aの時系列方向の下流側端部の時刻である。事故発生タイミング60の時系列方向の上流側端部の時刻Asが右左折区間50B内である場合には、最終時刻Dは、該時刻As以前の直前の直進区間50Aの最終時刻である。事故発生タイミング60の時系列方向の上流側端部の時刻Asが直進区間50A内である場合には、最終時刻Dは、該時刻Asである。
【0066】
抽出対象期間特定部14Gは、特定した最終時刻Dを含み、最終時刻Dから時系列方向の上流側および下流側の少なくとも一方に向かって所定期間D±dを、抽出対象期間62として特定する。このため、抽出対象期間特定部14Gは、最終時刻Dに対して±dの期間を抽出対象期間62として特定する。
【0067】
所定期間dは予め定めればよい。例えば、所定期間dは、信号機の灯色の切り替わる最大間隔以上の値などを定めればよい。また、所定期間dは、ユーザによる操作指示などに応じて適宜変更可能としてもよい。また、最終時刻Dから時系列方向の上流側に向かう所定期間+dと、最終時刻Dから時系列方向の下流側に向かう所定期間-dの絶対値とは、同じ値であってもよいし異なる値であってもよい。
【0068】
抽出対象期間62の長さは、1または複数の画像Fが含まれる期間であればよい。本実施形態では、抽出対象期間62の長さは、時系列に連続する複数の画像Fが含まれる期間である場合を一例として説明する。
【0069】
抽出対象期間特定部14Gによる特定処理によって、事故発生タイミング60以前の少なくとも自車両1Aの直進区間50Aを含む期間が抽出対象期間62として特定される。少なくとも自車両1Aの直進区間50Aを含む期間とは、少なくとも直進区間50Aの1以上の時刻を含む期間を意味する。詳細には、抽出対象期間62は、少なくとも最終時刻Dを含む期間である。このため、抽出対象期間62は、事故発生タイミング60以前の少なくとも自車両1Aの直進区間50Aを含む期間である。
【0070】
図6Aは、抽出対象期間62における、実空間の自車両1Aと交通案内40との位置関係の一例を示す模式図である。
図6Bは、自車両1Aに搭載された撮影部22Aで抽出対象期間62に撮影された画像Fの一例の模式図である。
図6Bは、
図6Aにおける、直進区間50Aの最終時刻Dの位置の自車両1Aの撮影部22Aで撮影された画像Fの一例を示す。
【0071】
抽出対象期間62は、事故発生タイミング60以前の少なくとも自車両1Aの直進区間50Aを含む期間である。詳細には、抽出対象期間62は、事故発生タイミング60以前の直進区間50Aの最終時刻Dを少なくとも含む期間である。このため、抽出対象期間62では、自車両1Aに搭載された撮影部22Aの撮影方向(矢印X1方向参照)は、自車両1Aに対する交通規制を表す交通案内40(例えば、像40Aの交通案内40)の交通規制の提示面に対して略垂直方向となる。言い換えると、抽出対象期間62では、自車両1Aに搭載された撮影部22Aは、自車両1Aに対する交通規制を表す交通案内40の提示面を、略正面方向から撮影することとなる。
【0072】
このため、抽出対象期間62に撮影された画像Fには、自車両1Aに対する交通規制を表す交通案内40を該交通案内40の提示面の略正面方向から撮影した像40Aが含まれる。
【0073】
また、自車両1Aに対する交通規制を表す交通案内40を提示面の略正面方向から撮影することで、抽出対象期間62に撮影された画像Fには、他の移動体に対する交通規制を表す交通案内40の像に比べて、自車両1Aに対する交通案内40の像が画像F内に大きく且つ鮮明に映り込む。すなわち、抽出対象期間62に撮影された画像Fには、自車両1Aに対する交通規制を表す交通案内40の像が識別容易な状態で映り込んだ状態となる。
【0074】
なお、抽出対象期間特定部14Gは、少なくとも最終時刻Dを含む期間を抽出対象期間62として特定すればよいが、最終時刻Dから時系列方向の上流側に向かって所定期間dである期間D-dを含む期間を、抽出対象期間62として特定することが好ましい。
【0075】
最終時刻Dに対して少なくとも-dの時刻までの期間を抽出対象期間62として特定することで、事故発生タイミング60以前の直進区間50Aを特に含む期間を抽出対象期間62として特定することができる。この場合、抽出対象期間特定部14Gは、直進区間50Aに限定して絞り込んだ期間を抽出対象期間62として特定することができる。また、抽出対象期間特定部14Gは、自車両1A以外の他の移動体に対する交通規制を表す交通案内40のみが撮影された画像Fを、後述する第2交通案内情報特定部14Hで用いることを抑制することができる。
【0076】
また、抽出対象期間62として特定する最終時刻Dから時系列方向の上流側に向かって所定期間dである期間D-dは、該-dの値の絶対値をより小さい値とすることが好ましい。-dの値の絶対値をより小さい値とすることで、抽出対象期間特定部14Gは、他車両などにより遮蔽された交通案内40の像が映り込んだ画像Fを含む可能性のより低い抽出対象期間62を、特定することができる。他車両とは、自車両1A以外の移動体である。また、抽出対象期間特定部14Gは、事故発生に関わる自車両1Aおよび自車両1A以外の歩行者などの移動体に対する、事故発生時の交通案内40の像が映り込む可能性の高い抽出対象期間62を、特定することができる。
【0077】
図4に戻り説明を続ける。第2交通案内情報特定部14Hは、映像情報30に含まれる抽出対象期間62に撮影された画像Fから取得された第1交通案内情報41によって表される、交通案内40の種類、交通案内40の画像F上の位置、および交通案内40の識別情報に基づいて、第2交通案内情報を特定する。
【0078】
第2交通案内情報とは、第1交通案内情報41の内、自車両1Aの事故発生時に関わる交通案内情報である。
図6Bに示す例の場合、画像Fに含まれる複数の交通案内40の像40A~像40Eの内、例えば、像40Aおよび像40Eの交通案内40の第1交通案内情報41が、自車両1Aの第2交通案内情報42に相当する。
【0079】
図4に戻り説明を続ける。第2交通案内情報特定部14Hは、抽出対象期間62に撮影された画像Fに含まれる交通案内40の像の矩形領域のサイズが閾値以上である場合、該交通案内40の第1交通案内情報41を第2交通案内情報42として特定する。また、第2交通案内情報特定部14Hは、抽出対象期間62に撮影された画像Fに含まれる矩形領域のサイズが閾値以上の交通案内40の像の内の信号機を表す交通案内40の像については、更に灯色に応じて第2交通案内情報42を特定する。
【0080】
詳細には、第2交通案内情報特定部14Hは、映像情報30に含まれる複数の画像Fの内、抽出対象期間62に撮影された複数の画像Fを特定する。そして、第2交通案内情報特定部14Hは、特定した複数の画像Fの各々について、以下の交通案内取得処理を行う。
【0081】
図6Bを用いて説明する。例えば、第2交通案内情報特定部14Hは、特定した複数の画像Fの各々について、画像F内の矩形領域Raを特定する。矩形領域Raには、画像Fにおける自車両1Aに対する交通規制の交通案内40の像の存在尤度が閾値以上の領域を予め定めればよい。
図6Bには、左側通行を採用する国の走行路を走行中の車両1に搭載された撮影部22Aで撮影された画像Fに設定される矩形領域Raの一例を示す。
【0082】
第2交通案内情報特定部14Hは、画像Fから取得された1または複数の第1交通案内情報41の各々について、矩形領域Ra内に存在するか否かを判断する。そして、第2交通案内情報特定部14Hは、矩形領域Ra内に存在しないと判断した第1交通案内情報41は、他車両への交通規制を表す第1交通案内情報41として特定する。
【0083】
第2交通案内情報特定部14Hは、第1交通案内情報41に含まれる、画像F上における交通案内40の位置が、矩形領域Ra内の座標であるか否を判断すればよい。詳細には、第2交通案内情報特定部14Hは、例えば、第1交通案内情報41によって示される、画像F上における交通案内40の像の矩形領域の外枠の左上頂点の座標(xl,yl)が矩形領域Ra内に存在するか否かを判断する。
【0084】
第2交通案内情報特定部14Hは、矩形領域Ra内に存在すると判断した交通案内40が信号機では無い場合、該交通案内40の第1交通案内情報41を、自車両1Aへの交通規制を表す第2交通案内情報42として特定する。信号機である場合、第2交通案内情報特定部14Hは、更に以下の処理を行う。第2交通案内情報特定部14Hは、第1交通案内情報41に含まれる交通案内の種類が信号機であるか否かを判別することで、交通案内40が信号機か否かを判別すればよい。
【0085】
第2交通案内情報特定部14Hは、矩形領域Ra内に存在すると判断した交通案内40の像の領域のサイズが閾値Rs以上であるか否を判断する。閾値Rsには、自車両1Aに対する交通規制と判断可能な最小サイズを定めればよい。閾値Rsは、ユーザによる操作指示などに応じて変更可能としてもよい。
【0086】
第2交通案内情報特定部14Hは、矩形領域Ra内に存在すると判断した交通案内40の第1交通案内情報41に含まれる画像F上における交通案内40の位置を表す情報から、該交通案内40のサイズを導出すればよい。上述したように、画像Fにおける交通案内40の位置は、画像F上における交通案内40の像の矩形領域の外枠の左上頂点の座標(xl,yl)と右下頂点の座標(xr,yr)により表される。このため、第2交通案内情報特定部14Hは、これらの座標によって特定される領域(xr-xl)(yr,yl)を、該交通案内40の画像F上のサイズとして用いればよい。
【0087】
第2交通案内情報特定部14Hは、矩形領域Ra内に存在すると判断した交通案内40が信号機である場合、抽出対象期間62に撮影された複数の画像Fの各々に含まれる同じ識別情報の交通案内40の第1交通案内情報41を特定する。第2交通案内情報特定部14Hは、該複数の画像Fの各々に含まれる交通案内40の識別情報が、処理対象の第1交通案内情報41に含まれる識別情報と同じである第1交通案内情報41を特定すればよい。
【0088】
そして、第2交通案内情報特定部14Hは、矩形領域Ra内に存在すると判断した交通案内40の灯色が非灯色ではなく、且つ複数の画像F間で同じ灯色であるか否かを判断する。すなわち、第2交通案内情報特定部14Hは、矩形領域Ra内に存在すると判断した交通案内40の灯色が、時系列に沿って撮影された複数の画像F間で、赤、青、黄の何れか1つの灯色を示し続けているか否かを判断する。第2交通案内情報特定部14Hは、第1交通案内情報41に含まれる灯色情報を用いて、該判断を行えばよい。
【0089】
さらに、第2交通案内情報特定部14Hは、同じ画像Fに含まれる他の信号機である交通案内40の灯色に、異なる灯色が含まれるか否かを判断する。例えば、矩形領域Ra内に存在すると判断した交通案内40の灯色が赤であった場面を想定する。この場合、第2交通案内情報特定部14Hは、該交通案内40と同じ画像Fに含まれる他の信号機の像に、赤以外の灯色を示す信号機が含まれるか否かを判断する。
【0090】
異なる灯色が含まれない場合、第2交通案内情報特定部14Hは、矩形領域Ra内に存在すると判断した交通案内40の第1交通案内情報41を、自車両1Aへの交通規制を表す第2交通案内情報42として特定する。
【0091】
異なる色が含まれる場合、第2交通案内情報特定部14Hは、矩形領域Ra内に存在すると判断した交通案内40である信号機の像の灯色が、該交通案内40を含む画像Fの中央位置に最も近い他の交通案内40の信号機と同じ灯色か否かを判断する。
【0092】
例えば、第2交通案内情報特定部14Hは、該画像Fから取得された複数の第1交通案内情報41の内、種類が信号機である交通案内40について、画像F上における交通案内40の位置を表す情報を導出する。そして、第2交通案内情報特定部14Hは、画像Fの中央位置に最も近い交通案内40の信号機の灯色と、矩形領域Ra内に存在すると判断した交通案内40である信号機の灯色と、を比較する。この比較処理により、第2交通案内情報特定部14Hは、同じ灯色か否かを判断する。
【0093】
同じ灯色である場合、第2交通案内情報特定部14Hは、矩形領域Ra内に存在すると判断した交通案内40の第1交通案内情報41を第2交通案内情報42として特定する。
【0094】
第2交通案内情報特定部14Hは、これらの交通案内取得処理を実行することで、映像情報30に含まれる抽出対象期間62に撮影された画像Fから取得された第1交通案内情報41の内、自車両1Aの事故発生時に関わる交通案内情報である第2交通案内情報42を特定する。例えば、第2交通案内情報特定部14Hによる交通案内取得処理によって、
図6Bに示される画像Fに含まれる像40Aの交通案内40の第1交通案内情報41が、第2交通案内情報42として特定される。
【0095】
図4に戻り説明を続ける。表示制御部14Iは、事故発生タイミング60、抽出対象期間62、第1交通案内情報41、第2交通案内情報42、自車両1Aの運動情報50、直進区間50Aの運動情報50、および右左折区間50Bの運動情報50の少なくとも1つを表示部20Bに表示する。
【0096】
【0097】
図7Aは、表示画面80Aの一例の模式図である。表示画面80Aは、表示画面80の一例である。
【0098】
例えば、表示制御部14Iは、時刻ごとの運動情報50の群によって表される自車両1Aの加速度および速度の推移を表す線図を表示画面80Aに表示する。また、表示制御部14Iは、直進区間50Aの運動情報50によって表される直進区間50Aおよび右左折区間50Bの運動情報50によって表される右左折区間50Bを、走行軌跡として表示画面80Aに表示する。また、表示制御部14Iは、事故発生タイミング60および抽出対象期間62を表示画面80Aに表示する。
【0099】
図7Bは、表示画面80Bの他の一例の模式図である。表示画面80Bは、表示画面80の一例である。
【0100】
例えば、表示制御部14Iは、抽出対象期間62、第1交通案内情報41、第2交通案内情報42、自車両1Aの運動情報50、直進区間50Aの運動情報50、および右左折区間50Bの運動情報50の少なくとも1つを表す文字情報を、対応する時刻ごとに表示画面80Bに表示してもよい。
図7Bには、時刻ごとに、直進区間50Aの運動情報50または右左折区間50Bの運動情報50、第2交通案内情報42、および事故発生タイミング60を表す文字情報を表示する例を示す。
【0101】
このように、表示制御部14Iは、事故発生タイミング60、抽出対象期間62、第1交通案内情報41、第2交通案内情報42、自車両1Aの運動情報50、直進区間50Aの運動情報50、および右左折区間50Bの運動情報50の少なくとも1つを含む表示画面80を表示部20Bへ表示する。このため、表示画面80を視認することで、ユーザは、事故発生タイミング60、抽出対象期間62、第1交通案内情報41、第2交通案内情報42、自車両1Aの運動情報50、直進区間50Aの運動情報50、および右左折区間50Bの運動情報50の少なくとも一つを容易に確認することができる。
【0102】
なお、表示制御部14Iは、事故発生タイミング60、抽出対象期間62、第1交通案内情報41、第2交通案内情報42、自車両1Aの運動情報50、直進区間50Aの運動情報50、および右左折区間50Bの運動情報50の少なくとも1つを含む音声情報を、スピーカ20Cから出力してもよい。
【0103】
また、表示制御部14Iは、事故発生タイミング60、抽出対象期間62、第1交通案内情報41、第2交通案内情報42、自車両1Aの運動情報50、直進区間50Aの運動情報50、および右左折区間50Bの運動情報50の少なくとも1つ含む情報を、通信部20Aおよびネットワークなどを介して外部の情報処理装置等に送信してもよい。
【0104】
次に、本実施形態の交通案内情報特定装置10で実行する情報処理の流れの一例を説明する。
【0105】
図8は、本実施形態の交通案内情報特定装置10が実行する情報処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0106】
映像取得部14Aは、撮影部22Aから映像情報30を取得する(ステップS100)。映像取得部14Aは、撮影部22Aで撮影され記憶部12に記憶された映像情報30を、記憶部12から取得してもよい。
【0107】
事故発生タイミング取得部14Bは、事故発生タイミング取得部14Bは、自車両1Aの事故発生タイミング60を取得する(ステップS102)。事故発生タイミング取得部14Bは、外界センサ22および内界センサ24の少なくとも一方から得られる、加速度、角加速度、音量のうち少なくとも1つの変化に応じて、事故発生タイミング60を取得する。
【0108】
運動情報取得部14Cは、自車両1Aの運動情報を取得する(ステップS104)。運動情報取得部14Cは、外界センサ22および内界センサ24の少なくとも一方から、時系列に沿って順次観測される、自車両1Aの速度、角速度、実空間上の位置、走行方向、および加速度のうち少なくとも1つを自車両1Aの運動情報として取得する。
【0109】
交通案内情報取得部14Dは、ステップS100で取得した映像情報30から、交通案内40の種類、画像F上における交通案内40の位置、および交通案内40の識別情報、の少なくとも1つを含む第1交通案内情報41を取得する(ステップS106)。
【0110】
分類部14Fは、ステップS104で取得した運動情報50の内、ステップS102で取得した事故発生タイミング60以前の所定期間の時刻ごとの運動情報50を、直進区間50Aの運動情報50と右左折区間50Bの運動情報50とに分類する分類処理を実行する。分類処理の詳細は後述する。
【0111】
抽出対象期間特定部14Gは、ステップS108で分類された直進区間50Aの運動情報50および右左折区間50Bの運動情報50と、事故発生タイミング60と、に基づいて、事故発生タイミング60以前の直前の直進区間50Aの最終時刻Dから時系列方向の上流側および下流側の少なくとも一方に向かって所定期間D±dを、抽出対象期間62として特定する(ステップS110)。
【0112】
第2交通案内情報特定部14Hは、交通案内取得処理を実行する(ステップS112)。交通案内取得処理は、ステップS100で取得した映像情報30に含まれる、ステップS110で特定された抽出対象期間62に撮影された画像Fから取得された第1交通案内情報41の内、自車両1Aの事故発生時に関わる交通案内情報である第2交通案内情報42を特定する処理である。交通案内取得処理の詳細は後述する。
【0113】
表示制御部14Iは、事故発生タイミング60、抽出対象期間62、第1交通案内情報41、第2交通案内情報42、自車両1Aの運動情報50、直進区間50Aの運動情報50、および右左折区間50Bの運動情報50の少なくとも1つを表示部20Bに表示する(ステップS114)。そして、本ルーチンを終了する。
【0114】
次に、分類部14Fが実行する分類処理の詳細を説明する。
【0115】
図9は、分類処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図9に示す分類処理は、
図8中、ステップS108の分類処理に相当する。
【0116】
分類部14Fは、運動情報取得部14Cで取得した複数の時刻ごとの運動情報50の内、事故発生タイミング60以前の設定期間の運動情報50の群を取得する(ステップS200)。
【0117】
分類部14Fは、ステップS200で取得した事故発生タイミング60以前の設定期間内の運動情報50の群の内、ステップS204以降の処理を未処理の最古の時刻の運動情報50を読取る(ステップS202)。
【0118】
分類部14Fは、ステップS202で読取った運動情報50に含まれる角速度が閾値Wi以上であるか否かを判断する(ステップS204)。ステップS204で否定判断すると(ステップS204:No)、上記ステップS202へ戻る。ステップS204で肯定判断すると(ステップS204:Yes)、ステップS206へ進む。
【0119】
ステップS206では、ステップS202で読取り、ステップS204で角速度が閾値Wi以上であると判断した運動情報50を、右左折区間50Bの運動情報50の候補として記憶部12へ記憶する(ステップS206)。
【0120】
次に、分類部14Fは、1つの小区間の走行距離分の運動情報50の群の処理が終了したか否かを判断する(ステップS208)。ステップS208で否定判断すると(ステップS208:No)、上記ステップS202へ戻る。ステップS208で肯定判断すると(ステップS208:Yes)、ステップS210へ進む。
【0121】
ステップS202~ステップS208の処理によって、記憶部12には、小区間の走行距離内に観測された複数の運動情報50ごとに、右左折区間50Bの運動情報50の候補とされた運動情報50が記憶される。
【0122】
ステップS210では、分類部14Fは、小区間の走行距離内に含まれる、右左折区間50Bの運動情報50の候補数が閾値C以上であるか否かを判断する(ステップS210)。ステップS210で肯定判断すると(ステップS210:Yes)、ステップS212へ進む。
【0123】
ステップS212では、分類部14Fは、該小区間の走行距離内に含まれる複数の運動情報50の全てを、右左折区間50Bの運動情報50として記憶部12へ記憶する(ステップS212)。そして、ステップS216へ進む。
【0124】
一方、ステップS210で否定判断すると(ステップS210:No)、ステップS214へ進む。ステップS214では、該小区間の走行距離内に含まれる複数の運動情報50の全てを、直進区間50Aの運動情報50として記憶部12へ記憶する(ステップS214)。そして、ステップS216へ進む。
【0125】
ステップS216では、分類部14Fは、ステップS200で取得した全ての運動情報50について、上記ステップS202~ステップS214の処理を行ったか否かを判断する(ステップS216)。ステップS216で否定判断すると(ステップS216:No)、上記ステップS202へ戻る。ステップS216で肯定判断すると(ステップS216:Yes)、本ルーチンを終了する。
【0126】
次に、第2交通案内情報特定部14Hによる交通案内取得処理の流れの一例を説明する。
【0127】
図10は、第2交通案内情報特定部14Hが実行する交通案内取得処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図10に示す交通案内取得処理は、
図8中、ステップS112の交通案内取得処理に相当する。
【0128】
第2交通案内情報特定部14Hは、映像情報30に含まれる複数の画像Fの内、抽出対象期間62に撮影された複数の画像Fを特定する。そして、第2交通案内情報特定部14Hは、抽出対象期間62内に撮影された複数の画像Fの内、1つの画像Fから取得された第1交通案内情報41を取得する(ステップS300)。第2交通案内情報特定部14Hは、抽出対象期間62内に撮影された複数の画像Fの内、事故発生タイミング60以前の直線の直進区間50Aの最終時刻Dに撮影された1つの画像Fから取得された、第1交通案内情報41を取得することが好ましい。
【0129】
次に、第2交通案内情報特定部14Hは、ステップS300で第1交通案内情報41を取得した画像Fに含まれる1または複数の第1交通案内情報41の内、ステップS304以降の処理を未処理の第1交通案内情報41を読取る(ステップS302)。
【0130】
次に、第2交通案内情報特定部14Hは、ステップS302で読取った第1交通案内情報41によって表される交通案内40の像が、ステップS200で特定した画像F内の矩形領域Ra内に存在するか否かを判断する(ステップS304)。
【0131】
ステップS304で否定判断すると(ステップS304:No)、後述するステップS320へ進む。ステップS304で肯定判断すると(ステップS304:Yes)、ステップS306へ進む。
【0132】
ステップS306では、第2交通案内情報特定部14Hは、ステップS302で読取った第1交通案内情報41によって表される交通案内40の像の領域のサイズが閾値Rs以上であるか否を判断する(ステップS306)。ステップS306で否定判断すると(ステップS306:No)、後述するステップS320へ進む。ステップS306で肯定判断すると(ステップS306:Yes)、ステップS308へ進む。
【0133】
ステップS308では、第2交通案内情報特定部14Hは、ステップS302で読取った第1交通案内情報41によって表される交通案内40が信号機であるか否かを判断する(ステップS308)。第2交通案内情報特定部14Hは、該第1交通案内情報41に含まれる交通案内の種類を特定することで、交通案内40が信号機であるか否かを判断する。
【0134】
ステップS308で否定判断すると(ステップS308:No)、後述するステップS318へ進む。ステップS308で肯定判断すると(ステップS308:Yes)、ステップS310へ進む。
【0135】
ステップS310では、第2交通案内情報特定部14Hは、抽出対象期間62に撮影された複数の画像Fの各々に含まれる、ステップS308で肯定判断した第1交通案内情報41に含まれる交通案内40の識別情報と同じ識別情報の、交通案内40の第1交通案内情報41を読取る(ステップS310)。
【0136】
次に、第2交通案内情報特定部14Hは、ステップS310で読取った第1交通案内情報41によって表される交通案内40の灯色が非灯色ではなく、且つ抽出対象期間62に撮影された複数の画像F間で同じ灯色であるか否かを判断する(ステップS312)。すなわち、第2交通案内情報特定部14Hは、ステップS310で読取った第1交通案内情報41によって表される交通案内40の灯色が、抽出対象期間62に含まれる時系列に沿って撮影された複数の画像F間で、赤、青、黄の何れか1つの灯色を示し続けているか否かを判断する。
【0137】
ステップS312で否定判断すると(ステップS312:No)、後述するステップS320へ進む。ステップS312で肯定判断すると(ステップS312:Yes)、ステップS314へ進む。
【0138】
ステップS314では、第2交通案内情報特定部14Hは、ステップS312で肯定判断した第1交通案内情報41によって表される交通案内40を含む画像Fに含まれる、他の交通案内40である信号機の灯色に、ステップS312で肯定判断した第1交通案内情報41によって表される交通案内40の信号機とは異なる灯色が含まれるか否かを判断する(ステップS314)。
【0139】
ステップS314で否定判断すると(ステップs314:No)、後述するステップS318へ進む。ステップS314で肯定判断すると(ステップS314:Yes)、ステップS316へ進む。
【0140】
ステップS316では、第2交通案内情報特定部14Hは、ステップS314で肯定判断した第1交通案内情報41によって表される交通案内40の信号機の灯色が、該交通案内40を含む画像Fの中央位置に最も近い信号機の灯色と同じであるか否かを判断する(ステップS316)。
【0141】
ステップS316で肯定判断すると(ステップS316:Yes)、ステップS318へ進む。
【0142】
ステップS318では、第2交通案内情報特定部14Hは、第1交通案内情報41を自車両1Aへの交通規制を表す第2交通案内情報42として特定する(ステップS318)。すなわち、第2交通案内情報特定部14Hは、ステップS308で肯定判断(ステップS308:Yes)、ステップS314で肯定判断(ステップS314:Yes)、およびステップS316で肯定判断(ステップS316:Yes)した第1交通案内情報41を、第2交通案内情報42として特定する。そして、ステップS322へ進む。
【0143】
一方、ステップS316で肯定判断すると(ステップS316:Yes)、ステップS320へ進む。ステップS320では、第2交通案内情報特定部14Hは、他車両への交通規制を表す第1交通案内情報41として特定する(ステップS320)。すなわち、第2交通案内情報特定部14Hは、ステップS306で否定判断(ステップS306:No)、ステップS312で否定判断(ステップS312:No)、およびステップS316で否定判断(ステップS316:No)した第1交通案内情報41を、他車両への交通規制を表す第1交通案内情報41として特定する。そして、ステップS322へ進む。
【0144】
ステップS322では、ステップS300で第1交通案内情報41を取得した画像Fに含まれる1または複数の第1交通案内情報41の全てについてステップS302~ステップS320の処理を実行済か否かを判断する(ステップS322)。ステップS322で否定判断すると(ステップS322:No)、上記ステップS302へ戻る。ステップS322で肯定判断すると(ステップS322:Yes)本ルーチンを終了する。
【0145】
以上説明したように、本実施形態の交通案内情報特定装置10は、映像取得部14Aと、事故発生タイミング取得部14Bと、運動情報取得部14Cと、交通案内情報特定部14Eと、を備える。映像取得部14Aは、自車両1Aに搭載された撮影部22Aで撮影された車外の映像情報30を取得する。事故発生タイミング取得部14Bは、自車両1Aの事故発生タイミング60を取得する。運動情報取得部14Cは、自車両1Aの運動情報50を取得する。交通案内情報特定部14Eは、運動情報50に基づいて、映像情報30に含まれる1以上の第1交通案内情報41の内、事故発生タイミング60以前の少なくとも自車両1Aの直進区間50Aを含む抽出対象期間62内に撮影された第1交通案内情報41を、事故発生時に関わる第2交通案内情報42として特定する。
【0146】
ここで、事故発生時には、車両1に搭載された撮影部22Aで撮影された映像情報30が活用される場合がある。しかし、従来技術では、車両1の走行中に順次撮影される画像Fから走行予定の道路形状を推定し、画像F上の道路形状に応じた位置に存在する信号機または標識などを自車両1Aに対して有効な交通案内40として判定していた。このため、従来技術では、走行車線に対して交差する交差車線上の他の移動体に対する信号機の映り込みや他車両による交通案内の遮蔽などが発生する状況では、道路形状の推定および交通案内の抽出が困難となる場合があった。すなわち、従来技術では、映像情報30から事故発生時に関わる交通案内情報を特定することが困難となる場合があった。
【0147】
一方、本実施形態の交通案内情報特定装置10では、交通案内情報特定部14Eが、運動情報50に基づいて、映像情報30に含まれる1以上の第1交通案内情報41の内、事故発生タイミング60以前の少なくとも自車両1Aの直進区間50Aを含む抽出対象期間62内に撮影された第1交通案内情報41を事故発生時に関わる第2交通案内情報42として特定する。
【0148】
このように、本実施形態の交通案内情報特定装置10では、映像情報30に含まれる第1交通案内情報41の内、抽出対象期間62内に撮影された第1交通案内情報41を事故発生時に関わる第2交通案内情報42として特定する。
【0149】
抽出対象期間62は、事故発生タイミング60以前の少なくとも自車両1Aの直進区間50Aを含む期間である。このため、抽出対象期間62内の少なくとも1つの時刻では、自車両1Aに搭載された撮影部22Aの撮影方向は、自車両1Aに対する交通規制を表す交通案内40の交通規制の提示面に対して略垂直方向となる。言い換えると、抽出対象期間62内の少なくとも1つの時刻では、自車両1Aに搭載された撮影部22Aは、自車両1Aに対する交通規制を表す交通案内40の提示面を、略正面方向から撮影することとなる。
【0150】
このように、抽出対象期間62に撮影された画像Fには、自車両1Aに対する交通規制を表す交通案内40を該交通案内40の提示面の略正面方向から撮影した像が含まれる。また、自車両1Aに対する交通規制を表す交通案内40を提示面の略正面方向から撮影することで、抽出対象期間62に撮影された画像Fには、他の移動体に対する交通規制を表す交通案内40の像に比べて、自車両1Aに対する交通案内40の像が画像F内に大きく且つ鮮明に映り込む。すなわち、抽出対象期間62に撮影された画像Fには、自車両1Aに対する交通規制を表す交通案内40の像が識別容易な状態で映り込んだ状態となる。
【0151】
そして、本実施形態の交通案内情報特定装置10では、自車両1Aに対する交通規制を表す交通案内40の像が識別容易な状態で映り込む抽出対象期間62内に撮影された交通案内40の第1交通案内情報41を、事故発生時に関わる第2交通案内情報42として特定する。
【0152】
このため、本実施形態の交通案内情報特定装置10は、自車両1Aに対する交通規制を表す交通案内40の像が識別容易な状態で映り込んだ交通案内40の第1交通案内情報41を、第2交通案内情報42として特定することができる。
【0153】
従って、本実施形態の交通案内情報特定装置10は、事故発生時に関わる交通案内情報を高精度に特定することができる。
【0154】
また、本実施形態の交通案内情報特定装置10は、自車両1Aの事故発生時の状況を高精度に解析可能な第2交通案内情報42を特定することができる。
【0155】
また、本実施形態の交通案内情報特定装置10は、自車両1Aの運動情報50に基づいて、抽出対象期間62内に撮影された第1交通案内情報41を第2交通案内情報42として特定する。このため、摩耗や他車両の存在などの環境条件によって、画像Fから道路上の停止線や道路形状の推定が困難な状況であっても、高精度に第2交通案内情報42を特定することができる。
【0156】
次に、上記実施形態の交通案内情報特定装置10の、ハードウェア構成の一例を説明する。
【0157】
図11は、上記実施形態の交通案内情報特定装置10の一例のハードウェア構成図である。
【0158】
上記実施形態の交通案内情報特定装置10は、CPU(Central Processing Unit)90Dなどの制御装置と、ROM(Read Only Memory)90EやRAM(Random Access Memory)90FやHDD(ハードディスクドライブ)90Gなどの記憶装置と、各種機器とのインターフェースであるI/F部90Bと、出力情報などの各種情報を出力する出力部90Aと、ユーザによる操作を受付ける入力部90Cと、各部を接続するバス90Hとを備えており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。
【0159】
上記実施形態の交通案内情報特定装置10では、CPU90Dが、ROM90EからプログラムをRAM90F上に読み出して実行することにより、上記各部がコンピュータ上で実現される。
【0160】
なお、上記実施形態の交通案内情報特定装置10で実行される上記各処理を実行するためのプログラムは、HDD90Gに記憶されていてもよい。また、上記実施形態の10で実行される上記各処理を実行するためのプログラムは、ROM90Eに予め組み込まれて提供されていてもよい。
【0161】
また、上記実施形態の交通案内情報特定装置10で実行される上記処理を実行するためのプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、メモリカード、DVD(Digital Versatile Disc)、フレキシブルディスク(FD)等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記憶されてコンピュータプログラムプロダクトとして提供されるようにしてもよい。また、上記実施形態の交通案内情報特定装置10で実行される上記処理を実行するためのプログラムを、インターネットなどのネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するようにしてもよい。また、上記実施形態の交通案内情報特定装置10で実行される上記処理を実行するためのプログラムを、インターネットなどのネットワーク経由で提供または配布するようにしてもよい。
【0162】
なお、上記には、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0163】
1 車両
1A 自車両
10 交通案内情報特定装置
14A 映像取得部
14B 事故発生タイミング取得部
14C 運動情報取得部
14D 交通案内情報取得部
14E 交通案内情報特定部
14F 分類部
14G 抽出対象期間特定部
14H 第2交通案内情報特定部
14I 表示制御部
22 外界センサ
22A 撮影部
24 内界センサ