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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023055150
(43)【公開日】2023-04-17
(54)【発明の名称】アスファルトプラント
(51)【国際特許分類】
   E01C 19/10 20060101AFI20230410BHJP
【FI】
E01C19/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021164312
(22)【出願日】2021-10-05
(71)【出願人】
【識別番号】000226482
【氏名又は名称】日工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】堀口 諒
(72)【発明者】
【氏名】浜辺 拓真
【テーマコード(参考)】
2D052
【Fターム(参考)】
2D052AA03
2D052BA05
2D052BA06
2D052BA11
2D052BA23
2D052DA05
2D052DA09
2D052DA12
(57)【要約】
【課題】 溶融アスファルトを均一にフォームド化しながらアスファルト混合物を製造可能なアスファルトプラントを提供する。
【解決手段】
供給ポンプ18の下流側のアスファルト供給配管19に水を溶融アスファルトに噴射添加する水噴射ノズル20を備え、該水噴射ノズル20の下流側のアスファルト供給配管19に水と溶融アスファルトとを混合する撹拌混合部21を備え、アスファルト供給配管19より大径の筒体22を備え、該筒体22と導入部23及び導出部24とを漏斗状の連結部25にて連結すると共に、前記導入部23と導出部24とは各中心軸をずらして前記筒体22に連結する一方、前記筒体22の流下方向中間位置には流下方向と直交方向に柱体27を貫通させ、前記筒体22内を流下する水を添加した溶融アスファルトに乱流を生じさせて撹拌混合した後にミキサ10へと供給する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高架台上に振動篩、骨材貯蔵ビン、骨材計量槽、アスファルト計量槽、ミキサを階層状に組み上げ、前記アスファルト計量槽にて計量した溶融アスファルトを前記ミキサへと供給するアスファルト供給配管及び供給ポンプを備えたアスファルトプラントにおいて、前記供給ポンプの下流側のアスファルト供給配管に水を溶融アスファルトに噴射添加する水噴射ノズルを備え、該水噴射ノズルの下流側のアスファルト供給配管に水と溶融アスファルトとを混合する撹拌混合部を備え、該撹拌混合部は、前記アスファルト供給配管より大径の筒体を備え、該筒体の両端に導入部及び導出部を漏斗状の連結部を介して連結すると共に、前記導入部と導出部とは各中心軸をずらして前記筒体に連結する一方、前記筒体の流下方向中間位置には流下方向と直交方向に柱体を貫通させ、前記筒体内を流下する水を添加した溶融アスファルトに乱流を生じさせて撹拌混合した後に前記ミキサへと供給することを特徴とするアスファルトプラント。
【請求項2】
前記筒体と導入部及び導出部とを連結する連結部の内壁面には、筒体内を流下する水と溶融アスファルトの流れを妨げる邪魔体をそれぞれ備えたことを特徴とする請求項1記載のアスファルトプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路舗装材であるアスファルト混合物を製造するアスファルトプラントに関し、フォームド化した溶融アスファルトを使用してアスファルト混合物を製造するアスファルトプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アスファルト混合物を製造する際、アスファルト混合物の素材である溶融アスファルトに対して所定量の水・水蒸気等を添加してフォームド化(泡状化)し、このフォームド化した溶融アスファルト(以下「フォームドアスファルト」という)を骨材や石粉等と共にミキサにて混合してアスファルト混合物を製造する場合がある。
【0003】
溶融アスファルトをフォームド化する装置としては、本出願人も、特許文献1(特開2020-94367号公報)に示されるように、アスファルト計量槽にて計量した溶融アスファルトをミキサへと供給する供給ポンプを備えたアスファルト供給配管の前記供給ポンプの下流側に、溶融アスファルトを前記ミキサへと送り込む供給経路、または前記供給ポンプへと送り返す循環経路の何れかを選択する切替バルブを備え、前記循環経路の途中に水供給源より供給される水を溶融アスファルトに噴射添加する水噴射ノズルを接続し、溶融アスファルトを前記循環経路内で循環させながら前記水噴射ノズルより水を噴射添加して溶融アスファルトをフォームド化した後にミキサへと供給するアスファルトプラントを出願している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-94367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来装置では溶融アスファルトに水を添加した状態で循環経路内を循環させることにより略均一にフォームド化できるものの、フォームド化のみのためにアスファルト供給配管に循環経路を追加する装置構成はやや大掛かりなものとなり、設置にはそれなりのスペースとコストとを要する。また、アスファルト供給配管に備えた切替バルブの切替不良が発生すると、アスファルト混合物の製造に影響を及ぼす可能性がある上、不具合が発生した切替バルブの交換作業は大変面倒である。
【0006】
本発明は上記の点に鑑み、簡易な構成で溶融アスファルトを略均一にフォームド化してアスファルト混合物を製造可能とするアスファルトプラントを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る請求項1記載のアスファルトプラントでは、高架台上に振動篩、骨材貯蔵ビン、骨材計量槽、アスファルト計量槽、ミキサを階層状に組み上げ、前記アスファルト計量槽にて計量した溶融アスファルトを前記ミキサへと供給するアスファルト供給配管及び供給ポンプを備えたアスファルトプラントにおいて、前記供給ポンプの下流側のアスファルト供給配管に水を溶融アスファルトに噴射添加する水噴射ノズルを備え、該水噴射ノズルの下流側のアスファルト供給配管に水と溶融アスファルトとを混合する撹拌混合部を備え、該撹拌混合部は、前記アスファルト供給配管より大径の筒体を備え、該筒体の両端に導入部及び導出部を漏斗状の連結部を介して連結すると共に、前記導入部と導出部とは各中心軸をずらして前記筒体に連結する一方、前記筒体の流下方向中間位置には流下方向と直交方向に柱体を貫通させ、前記筒体内を流下する水を添加した溶融アスファルトに乱流を生じさせて撹拌混合した後に前記ミキサへと供給することを特徴としている。
【0008】
また、請求項2記載のアスファルトプラントでは、前記筒体と導入部及び導出部とを連結する連結部の内壁面には、筒体内を流下する水と溶融アスファルトの流れを妨げる邪魔体を備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る請求項1記載のアスファルトプラントによれば、計量した溶融アスファルトをミキサへと供給するアスファルト供給配管に介在させた供給ポンプの下流側のアスファルト供給配管に水を溶融アスファルトに噴射添加する水噴射ノズルを備え、該水噴射ノズルの下流側のアスファルト供給配管に水と溶融アスファルトとを混合する撹拌混合部を備え、該撹拌混合部は、前記アスファルト供給配管より大径の筒体を備え、該筒体の両端に導入部及び導出部を漏斗状の連結部を介して連結すると共に、前記導入部と導出部とは各中心軸をずらして前記筒体に連結する一方、前記筒体の流下方向中間位置には流下方向と直交方向に柱体を貫通させ、前記筒体内を流下する水を添加した溶融アスファルトに乱流を生じさせて撹拌混合した後に前記ミキサへと供給するので、筒体の導入部から導出部へと流下する水を添加した溶融アスファルトの流れに乱流を生じさせることにより溶融アスファルト中に水をムラ無く分散させることができ、ミキサへの放出時には略均一にフォームド化された溶融アスファルトを供給することができる。また、アスファルト供給配管には経路切替バルブ等の機械的な部品が介在しない簡易な構造となり、コストダウンが図れると共に溶融アスファルトの供給不能といった不具合の発生を抑制することができる。また、簡易な構造は装置全体をコンパクトにまとめることができ、設置スペースを抑えることで既設のプラントにも設置しやすい。
【0010】
また、請求項2記載のアスファルトプラントによれば、前記筒体と導入部及び導出部とを連結する連結部の内壁面には、筒体内を流下する水と溶融アスファルトの流れを妨げる邪魔体を備えたので、筒体の導入部から導出部へと流下する水を添加した溶融アスファルトを筒体内に留めながら乱流を生じさせて、より効果的に水をムラ無く分散させることができ、これにより略均一にフォームド化した溶融アスファルトをミキサに供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係るアスファルトプラントの概略説明図である。
図2】本発明に係るアスファルト計量供給装置の要部説明図である。
図3】撹拌混合部の一部を省略した拡大正面図である。
図4】撹拌混合部の一部を省略した拡大側面図である。
図5図3の一部を省略したA-A断面図である。
図6図4の一部を省略したB-B断面図である。
図7】別の実施形態を示す図2に相当する図である。
図8】更に別の実施形態を示す図2に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係るアスファルトプラントにあっては、既存の構造のプラントにおいて、アスファルト計量槽からミキサへと溶融アスファルトを供給する断面円形のアスファルト供給配管に介在する、例えばギアポンプ等の供給ポンプの下流側のアスファルト供給配管に、水を溶融アスファルトに噴射添加する水噴射ノズルを接続し、該水噴射ノズルの下流側のアスファルト供給配管には、水と溶融アスファルトとを混合する撹拌混合部を備える。
【0013】
前記撹拌混合部は、断面円形のアスファルト供給配管よりも大径の筒体を備え、該筒体の両端には断面円形の筒体と、導入部及び導出部とを漏斗状の連結部にて連結すると共に、前記筒体、導入部及び導出部の各中心軸は同一平面上に、平行となるように配置している。
【0014】
また、前記導入部及び導出部の各中心軸は一直線上とはならないように若干ずらして前記筒体に連結し、導入部から導出部へと流下する水を添加した溶融アスファルトの流路に蛇行を生じさせると共に、前記筒体の流下方向中間位置に流下方向と直交方向に、例えば断面円形の柱体を貫通させて筒体内の水を添加した溶融アスファルトを柱体に衝突させることにより、撹拌混合部内を流下する水を添加した溶融アスファルトに乱流を生じさせて撹拌混合して水をムラ無く分散させた状態で溶融アスファルトをミキサへと供給可能としている。
【0015】
そして、上記構成のアスファルトプラントにてフォームドアスファルトを素材とするアスファルト混合物を製造するときには、プラント操作盤にて製造するアスファルト混合物の配合割合から必要アスファルト量を演算し、前記アスファルト計量槽にて1バッチ分の溶融アスファルトを計量していく。
【0016】
一方、前記配合割合に基づいて骨材貯蔵ビンから各粒径の骨材を骨材計量槽へと排出して累積計量し、この累積計量した骨材、及び別途計量した石粉等の各種材料をミキサへと投入し、予備混合(ドライミキシング)を行う。
【0017】
予備混合後、前記アスファルト計量槽から溶融アスファルトを排出すると共に供給ポンプを駆動させ、アスファルト供給配管内を撹拌混合部へと流下していく溶融アスファルトに、予め設定した所定割合、例えば、計量した溶融アスファルト量の1~3重量%程度、好ましくは2重量%程度となる水量を前記水噴射ノズルから噴射添加する。
【0018】
溶融アスファルトに添加された水は気化しつつも溶融アスファルトと共に撹拌混合部へと流下していき、流路が蛇行するように形成された撹拌混合部の導入部から導出部へと流下する間に筒体を貫通する柱体と衝突し、それに伴って流れに乱流が生じて撹拌され、添加された水は溶融アスファルト内にムラ無く分散していき導出部よりアスファルト供給配管へと導出される。
【0019】
撹拌混合部にて撹拌混合することで、気化していく水を溶融アスファルト内にムラ無く分散させ、略均一な性状のフォームドアスファルトを予備混合が終了したミキサ内に投入することができ、ミキサ内の骨材等の材料と共に混合してフォームドアスファルトを素材とするアスファルト混合物を製造する。
【0020】
また、好ましくは前記導入部と筒体とを連結する連結部には、水を添加した溶融アスファルトが導入部から拡径する連結部内壁面に沿って筒体内へと拡散するのを妨げる邪魔体を備える一方、前記筒体と導出部とを連結する連結部には、水を添加した溶融アスファルトが筒体内から縮径する連結部内壁面に沿って導出部へと流下するのを妨げる邪魔板をそれぞれ備えるとよい。
【0021】
こうすることで、導入部より導入する水を添加した溶融アスファルトの一部は導入部側の邪魔体により柱体に衝突せずに筒体の一方の内壁面に沿って導出部側へと流下していき、導出部側の邪魔体によりそのまま導出部から導出せずに筒体内へと一旦戻されて筒体の他方の内壁面側から導入部方向へと流下していく。
【0022】
一方、導入部から導入した水を添加した溶融アスファルトの一部は筒体内に拡散して柱体に衝突しつつも筒体の他方の内壁面側から導出部方向へと流下していき、前記した導入部方向へと流下してくる(戻ってくる)水を添加した溶融アスファルトと衝突することで筒体内に強い乱流が生じて撹拌混合された後に導出部より導出していき、これにより水をより効果的にムラ無く分散させた状態で溶融アスファルトをミキサへと供給することができる。
【0023】
このように、ミキサ内に投入する溶融アスファルト中には、噴射添加した水がムラ無く分散しており、アスファルト供給配管に撹拌混合部を介在させる簡易な機器構成でありながら略均一な性状のフォームドアスファルトの生成ができ、これを素材とすることでミキサでは骨材、石粉等の材料が良好に混合されることが期待され、例えば製造温度を従来より低下させても所望するアスファルト混合物を製造することができると予想される。
【0024】
また、水を添加した溶融アスファルトは撹拌混合部を通過することのみでミキサへと供給されるため、計量からミキサへと排出するのに要する時間は、水を添加しない通常の溶融アスファルトを排出するのに要する時間と比較しても遜色なく、フォームドアスファルトを使用してアスファルト混合物を製造しても時間当たりの製造効率は低下しない。
【実施例0025】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
【0026】
図1中の1は道路舗装材であるアスファルト混合物を製造するアスファルトプラントであって、プラント本体2、溶融アスファルトを保温貯蔵するアスファルトタンク3、プラントの各種装置の操作・制御用の操作盤4等を主体に構成している。前記プラント本体2は、複数のフロアを有する高架台5を立設し、該高架台5の側部にはドライヤ(図示せず)にて加熱乾燥した新規骨材を高架台5の上部へと持ち上げるバケットエレベータ6を並設している。
【0027】
前記高架台5には、前記バケットエレベータ6から排出する加熱骨材を粒径別に篩い分ける振動篩7、該振動篩7にて篩い分けた骨材を粒径別に貯蔵する骨材貯蔵ビン8、該骨材貯蔵ビン8から排出する各粒径の骨材を累積計量する骨材計量槽9、骨材及び溶融アスファルト等の各種材料を混合するミキサ10、溶融アスファルトを計量して前記ミキサ10へと供給するアスファルト計量供給装置11等を階層状に配置している。
【0028】
前記アスファルト計量供給装置11には、前記アスファルトタンク3から溶融アスファルトを供給するアスファルト供給配管12と、水供給源である貯水タンク13から水を供給する水供給配管14とを連結しており、前記アスファルト供給配管12及び水供給配管14の途中にはそれぞれ供給ポンプ15、16を備えている。
【0029】
図2は前記アスファルト計量供給装置11の概略図であって、前記アスファルト供給配管12を介して供給される溶融アスファルトを計量するアスファルト計量槽17、計量した溶融アスファルトを前記ミキサ10へと供給する、例えばギアポンプ等の供給ポンプ18を具備したアスファルト供給配管19を備えている。
【0030】
また、前記アスファルト供給配管19の途中には、前記水供給配管14から供給される水を溶融アスファルトに対して噴射添加する水噴射ノズル20を接続し、該水噴射ノズル20の下流のアスファルト供給配管19に水と溶融アスファルトとを撹拌混合させる撹拌混合部21を介在させている。
【0031】
前記撹拌混合部21は図3図6に示すように、アスファルト供給配管19よりも、例えば3倍程度大径の筒体22を備え、断面円形の導入部23及び導出部24を漏斗状の連結部25を介して筒体22の両端に連結している。前記導入部23側の連結部25は筒体22に向かって内径を拡径する一方、導出部24側の連結部25はアスファルト供給配管19の内径と同程度の導出部24に向かって内径を縮径するように形成している。
【0032】
また、前記筒体22、導入部23及び導出部24の各中心軸を同一平面上に、かつ平行に配置し、さらに導入部23を中心軸線α方向に延長した場合、延長した導入部23の外形に導出部24の外形が重ならないように、連結部25を介して導入部23と導出部24とを段違いに筒体22に連結し、撹拌混合部21内に導入した水を添加した溶融アスファルトが蛇行しながら流下するようにしている。
【0033】
また、前記連結部25には、水を添加した溶融アスファルトが導入部23から筒体22内へと拡散するのを妨げる邪魔体26a、及び筒体22内から導出部24へと連結部25内壁面に沿って一気に流下するのを妨げる邪魔体26bを備えている。
【0034】
また、筒体22の流下方向の中間位置には、筒体22、導入部23及び導出部24の各中心軸を通る平面に対して直交方向に、かつ筒体22の中心軸付近を貫通する断面円形の柱体27を備えている。また、前記筒体22の内壁面と柱体27外壁面との隙間Cは、アスファルト供給配管19の内径と同等程度となるような隙間を確保している。
【0035】
前記アスファルト供給配管19内をミキサ10へと流下する高温(略160℃前後)の溶融アスファルトに水噴射ノズル20より水を噴射添加すると、水は気化しつつ撹拌混合部21内に導入され、そこで溶融アスファルトと撹拌混合することで略均一にフォームド化しながら導出部24より導出していく。
【0036】
また、前記アスファルト計量槽17は、ロードセル28にて吊下支持した計量槽本体29と、該計量槽本体29から排出する溶融アスファルトを一時的に受け止めるサージタンク30とで構成している。
【0037】
前記計量槽本体29の上部には前記アスファルト供給配管12の排出端部を挿通した投入口31を、下端部には計量した溶融アスファルトを排出する排出口32を備えると共に、シリンダ33、ピストンロッド34、栓体35から成る開閉機構を具備し、前記ピストンロッド34の伸縮動作に応じて前記栓体35を上下方向へと進退動作させて前記排出口32を開閉可能としている。
【0038】
また、図中の36は前記骨材貯蔵ビン8の各区画室に貯蔵した各粒径の骨材を排出する排出ゲート、37は前記骨材計量槽9を吊下支持して計量するロードセル、38は前記骨材計量槽9にて累積計量した骨材を排出する排出ゲート、39は前記アスファルト供給配管19より供給される溶融アスファルトをミキサ10内へ噴射・投入するアスファルト噴射ノズル、40は前記ミキサ10の混合羽根である。
【0039】
そして、上記構成のアスファルトプラント1にてフォームドアスファルトを素材とするアスファルト混合物を製造する場合には、先ずプラント操作盤4に製造するアスファルト混合物の種類、製造量を入力する。
【0040】
操作盤4は、入力された製造するアスファルト混合物の配合に応じて骨材貯蔵ビン8の各区画室から骨材を骨材計量槽9に排出していき累積計量を開始する一方、アスファルト計量槽17では1バッチ分の溶融アスファルトを計量していく。
【0041】
骨材の累積計量が終了すると、別途計量した石粉等の各種材料と共にミキサ10へと投入して予備混合(ドライミキシング)を行っていく。また、溶融アスファルトの計量が終わったアスファルト計量槽17では、計量した溶融アスファルトを計量槽本体29の排出口32を開放して排出すると共にアスファルト供給配管19に介在させた供給ポンプ18を作動させていく。
【0042】
アスファルト供給配管19内をミキサ10へと流下していく溶融アスファルトに対し、水噴射ノズル20より予め設定した水添加割合に応じた所定量の水を噴射添加していく。なお、本発明者らが行った試験結果によれば、溶融アスファルトに対する水の添加割合が1重量%未満だと水の添加量が少なく適当なフォームドアスファルトが得られなかった。一方、2重量%以上の水を添加すると良好なフォームドアスファルトが得られることを確認した。ただし、3重量%を超えた量の水を添加したフォームドアスファルトと、2重量%前後の水を添加したフォームドアスファルトとを使用したアスファルト混合物を比較しても性状に差が確認できなかった。以上のことから、水の添加割合は2重量%前後(例えば、1.5~2.5重量%)に設定するとよい。
【0043】
前記水噴射ノズル20より所定量の水が添加された溶融アスファルトは、アスファルト供給配管19を流下して撹拌混合部21の導入部23より導入される。撹拌混合部21内での流動を図6の断面図を参照して説明すると、導入部23より導入された水を添加した溶融アスファルトは、導入側の連結部25に備えた邪魔体26aにより、その一部は筒体22内に拡散することなく、図6の筒体22の下側の内壁面に沿って導出部24方向へと流下し、導出部24側の連結部25に備えた邪魔体26bにより筒体22の上側の内壁面方向へと一旦戻されていく。
【0044】
一方、導入部23より導入された水が添加された溶融アスファルトの一部は、筒体22内に拡散して柱体27と衝突しつつも図6の筒体22の上側の内壁面方向へと流下していき、前記導出部24側から筒体22の上側の内壁面に沿って導入部23側へと戻されていく水が添加された溶融アスファルトと衝突することにより筒体22内で強く乱流が生じ、水が溶融アスファルト内にムラ無く分散するように撹拌混合されていく。
【0045】
撹拌混合部21内にて溶融アスファルト内の水は気化しつつ溶融アスファルトと共に撹拌混合され、略均一にフォームド化しながら導出部24より下流側のアスファルト供給配管19内へと導出していき、下流端のアスファルト噴射ノズル39より予備混合が終了したミキサ10内に投入され、ミキサ10内の骨材等の材料と共に混合して所望するアスファルト混合物を製造する。
【0046】
図7は、撹拌混合部21を筒体22の中心軸周りに90°回転させて導入部23と導出部24とが水平となるようにアスファルト供給配管19に連結する別の実施例を示す図である。また図8は、撹拌混合部21は導出部24が導入部23の下方となるようにアスファルト供給配管19に連結する別の実施例を示す図である。図7図8に示すようにアスファルト供給配管19に撹拌混合部21を連結しても、撹拌混合部21内では水を添加した溶融アスファルトの流路は、前記同様に蛇行すると共に筒体22内の柱体27と衝突し、乱流が生じて撹拌混合することができ、添加した水を溶融アスファルト内にムラ無く分散させることができる。
【0047】
なお、上記実施例では、撹拌混合部21の連結部25に邪魔体26a、26bを備えた例を説明したが、邪魔体26a、26bが連結部25に無い場合でも導入部23から筒体22内に導入した水を添加した溶融アスファルトは、筒体22を貫通する柱体27に衝突することにより乱流が生じて筒体22内で撹拌混合され、添加した水を溶融アスファルト内にムラ無く分散させることができる。
【0048】
また、上記実施例では、筒体22に断面円形の柱体27を貫通させた例を説明したが、筒体22内を導入部23から導出部24へと流下する水を添加した溶融アスファルトを柱体27に衝突させることができれば、断面円形に限らず、例えば四角柱、多角柱等の柱体27を筒体22に貫通させても筒体22内で撹拌混合することができ、添加した水を溶融アスファルト内にムラ無く分散させることができる。
【0049】
また、前記アスファルトプラント1にて通常の(水を添加しない)溶融アスファルトを素材としたアスファルト混合物を製造するときには、前記アスファルト計量供給装置11において、水噴射ノズル20より水を噴射することなくアスファルト計量槽17にて計量した溶融アスファルトをミキサ10へと供給することで通常のアスファルト混合物の製造をすることができ、フォームドアスファルト及び通常の溶融アスファルトの両方を素材とするアスファルト混合物の製造に柔軟に対応できる。
【0050】
また、従来の運転制御と比較すると水噴射ノズル20からの水の噴射制御以外の大きな変更点はなく、既設のアスファルトプラントにもアスファルト供給配管19に水噴射ノズル20、撹拌混合部21を追加するだけで溶融アスファルトをフォームド化させることができ、比較的簡単かつ安価に設置可能であるので既設のアスファルトプラントに採用する場合でも好適に採用することができる。
【0051】
なお、溶融アスファルトに水を噴射添加するためにアスファルト供給配管19に接続する水噴射ノズル20は、例えば、二本の水噴射ノズル20をアスファルト供給配管19の対向する位置に配置して接続したり、複数本の水噴射ノズル20をアスファルト供給配管19の円周方向に所定角度ずらして配置接続してもよく、流下する溶融アスファルトに水を噴射添加できれば種々変更を加えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、フォームドアスファルトを素材として使用するアスファルト混合物を製造するアスファルトプラントに対して広く利用できる。
【符号の説明】
【0053】
10…ミキサ 11…アスファルト計量供給装置
17…アスファルト計量槽 18…供給ポンプ
19…アスファルト供給配管 20…水噴射ノズル
21…撹拌混合部 22…筒体
23…導入部 24…導出部
25…連結部 27…柱体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8