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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023055173
(43)【公開日】2023-04-17
(54)【発明の名称】電子モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/04 20230101AFI20230410BHJP
   H01L 23/29 20060101ALI20230410BHJP
   H01L 23/00 20060101ALI20230410BHJP
【FI】
H01L25/04 Z
H01L23/36 A
H01L23/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021164362
(22)【出願日】2021-10-05
(71)【出願人】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100158229
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 恒雄
(74)【代理人】
【識別番号】100172627
【弁理士】
【氏名又は名称】宮澤 亘
(72)【発明者】
【氏名】神山 悦宏
【テーマコード(参考)】
5F136
【Fターム(参考)】
5F136BA06
5F136BB13
5F136DA27
5F136FA03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】スイッチング損失、発熱、電磁的ノイズの低減及び制御安定性を向上させる電子モジュールを提供する。
【解決手段】電子モジュール10-1は、絶縁樹脂で封止され、電極部20を有する半導体チップ12と、半導体チップを搭載する基板14と、基板上にパターンニングされた配線部16と、半導体チップの少なくとも電極部以外の部分の上面部又は上面部と側面部が覆われて配置され、電極部と配線部とを電気的に接続する接続クリップ18と、を備える。
【効果】接続クリップが半導体チップから発生する電磁的ノイズを遮蔽し、更に、半導体チップから発生する熱を放熱するため、低ノイズであり、かつ、高放熱性を充足する電子モジュールを提供することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁樹脂で封止され、
電極部を有する半導体チップと、
前記半導体チップを搭載する基板と、
前記基板上にパターンニングされた配線部と、
前記半導体チップの少なくとも前記電極部以外の部分の上面部、又は、上面部と側面部が覆われて配置され、前記電極部と前記配線部とを接続する接続クリップと、
を備えたことを特徴とする電子モジュール。
【請求項2】
前記接続クリップは、放熱フィンを有していることを特徴とする請求項1に記載の電子モジュール。
【請求項3】
前記半導体チップはダイオードであり、
前記電極部は、カソード電極部とアノード電極部とを有し、
前記接続クリップは、前記カソード電極部又は前記アノード電極部のいずれかに接続すること、
を特徴とする請求項1又は2に記載の電子モジュール。
【請求項4】
前記半導体チップはトランジスタであり、
前記電極部は、ソース電極部とドレイン電極部とゲート電極部とを有し、
前記接続クリップは、前記ソース、ドレイン電極部又はゲート電極部のいずれかに接続すること、
を特徴とする請求項1又は2に記載の電子モジュール。
【請求項5】
前記ゲート電極部と前記配線部とは所定の抵抗値に設定された導電性部材で接続すること、
を特徴とする請求項4に記載の電子モジュール。
【請求項6】
前記半導体チップへの接続クリップの一部又は全部は、前記絶縁樹脂から露出していることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の電子モジュール。
【請求項7】
前記絶縁樹脂の一部は、電磁波吸収機能を有する電磁波吸収樹脂であり、
前記電磁波吸収樹脂は、前記接続クリップ上に設けられていることを特徴とする請求項1又乃至6のいずれかに記載の電子モジュール。
【請求項8】
前記半導体チップは、炭化ケイ素、窒化ガリウム、酸化ガリウム、ダイヤモンド半導体を含むこと、を特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の電子モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ダイパッドフレームと、ダイパッドフレームの上面に配置され、上面に第1電極が設けられ、且つ、下面に第2電極が設けられた半導体チップと、半導体チップの第2電極とダイパッドフレームの上面とを電気的に接続するダイパッド用導電性接続部材と、半導体チップの第1電極と第1のクリップフレームの下面とを電気的に接続する第1のクリップ用導電性接続部材と、半導体チップ、ダイパッドフレーム、第1のクリップフレーム、第1のクリップ用導電性接続部材及びダイパッド用導電性接続部材を封止する封止樹脂を備えたモジュールが開示されている。
【0003】
特許文献2には、第1脚部と、第2脚部と、第3脚部と、第1連結部と、第2連結部と、を備えるクリップが開示されている。第1脚部、第2脚部、および、第3脚部は、非直線上に配置され、部品点数を低減することができる。
【0004】
特許文献3には、表面と裏面にそれぞれ電極をもつ半導体チップをリードフレーム上に複数個配列して搭載し、電極が並列に接続されてそれぞれ取り出される形態を具備する半導体モジュールが開示されている。リードフレーム上で半導体チップの配列を覆う形状をもち、半導体チップを介してリードフレームに固定され、半導体チップ側の面に、各半導体チップにおける表面の電極に対応する箇所に凸部を具備するクリップリードと、リードフレームに電気的に接続されたリードと、クリップリードに電気的に接続されたリードとを具備し、各半導体チップにおける裏面の電極は、リードフレームに接続され、各半導体チップにおける表面の電極は、クリップリードの凸部と、はんだ層を介して接合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6457144号公報
【特許文献2】特開2013-239678号公報
【特許文献3】特開2012-89563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、電子モジュールの端子から電子素子への配線は、寄生インダクタンスが大きく、スイッチング損失,発熱,電磁的ノイズの低減及び電子モジュールの制御安定性の向上が要求されていた。また、従来の電子モジュールにおいては、スイッチング損失に起因する熱膨張等の熱応力に対する信頼性の向上や装置の小型化に対する要求も高まっており、特に、近年の大電流化や動作の高速化も注目され、従来の電子モジュールでは上記要求を充足することは困難になってきている。このように、従来の電子モジュールに対しては、スイッチング損失、発熱、電磁的ノイズの低減及び制御安定性の向上が要求されていた。本発明は、上記要求に対応する電子モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明による電子モジュールは、絶縁樹脂で封止され、電極部を有する半導体チップと、半導体チップを搭載する基板と、基板上にパターンニングされた配線部と、半導体チップの少なくとも電極部以外の部分の上面部、又は、上面部と側面部が覆われて配置され、電極部と配線部とを電気的に接続する接続クリップと、を備えたことを特徴とする。
【0008】
(2)本発明による電子モジュールにおいて、接続クリップは、放熱フィンを有していることを特徴とする。
【0009】
(3)本発明による電子モジュールにおいて、半導体チップはダイオードであり、電極部は、カソード電極部とアノード電極部とを有し、接続クリップは、カソード電極部又はアノード電極部のいずれかに接続されていること、を特徴とする。
【0010】
(4)本発明による電子モジュールにおいて、半導体チップはトランジスタであり、電極部は、ソース電極部とドレイン電極部とゲート電極部とを有し、接続クリップは、ソース、ドレイン電極部又はゲート電極部のいずれかに接続されていること、を特徴とする。
【0011】
(5)本発明による電子モジュールにおいて、ゲート電極部と配線部とは所定の抵抗値に設定された導電性部材で電気接続したこと、を特徴とする。
【0012】
(6)本発明による電子モジュールにおいて、半導体チップへの接続クリップの一部又は全部は、絶縁樹脂から露出していることを特徴とする。
【0013】
(7)本発明による電子モジュールにおいて、絶縁樹脂の一部は、電磁波吸収機能を有する電磁波吸収樹脂であり、電磁波吸収樹脂は、接続クリップ上に設けられていることを特徴とする。
【0014】
(8)本発明による電子モジュールにおいて、半導体チップは、炭化ケイ素、窒化ガリウム、酸化ガリウム、ダイヤモンド半導体を含むこと、を特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
絶縁樹脂で封止され、電極部を有する半導体チップと、半導体チップを搭載する基板と、基板上にパターンニングされた配線部と、半導体チップの少なくとも電極部以外の部分の上面部、又は、上面部と側面部が覆われて配置され、電極部と配線部とを電気的に接続する接続クリップと、を備えた構成としているため、接続クリップが半導体チップから発生する電磁的ノイズを遮蔽し、更に、半導体チップから発生する熱を放熱するため、低ノイズであり、かつ、高放熱性を充足する電子モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明による第1の実施形態を説明する図である
図2】本発明による第2の実施形態を説明する図である。
図3】接続クリップに放熱フィンを有する第3の実施形態を説明する図である。
図4】半導体チップにダイオードを用いた第4の実施形態を説明する断面図である。
図5】半導体チップにトランジスタを用いた第5の実施形態を説明する図である。
図6】半導体チップへの接続クリップの一部又は全部を露出させて絶縁樹脂で封止した第6の実施形態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための電子モジュールについて、図面を参照して説明する。なお、各図面は模式図であり、必ずしも実際の寸法を厳密に反映したものではない。以下に説明する各実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、各実施形態の中で説明されている諸要素及びその組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須であるとは限らない。各実施形態においては、基本的な構成、特徴、機能等が同じ構成、要素(形状等が完全に同一ではない構成要素を含む。)については、実施形態をまたいで同じ符号を使用するとともに再度の説明を省略することがある。
【0018】
本発明を実施するための形態に係る電子モジュールは、絶縁樹脂で封止され、電極部を有する半導体チップと、半導体チップを搭載する基板と、基板の上にパターンニングされた配線部と、半導体チップの少なくとも電極部以外の部分の上面部、又は、上面部と側面部が覆われて配置され、電極部と配線部とを電気的に接続する接続クリップと、を備えている。
【0019】
(第1の実施形態)
図1は、本発明による第1の実施形態を説明する図である。図1(A)は斜視図、図1(B)は平面図、図1(C)は図1(B)のA-A断面図、図1(D)は図1(B)のB-B断面図である。図1(A)~(D)に示すように、電子モジュール10-1は、絶縁樹脂で封止され、電極部20を有する半導体チップ12と、半導体チップ12を搭載する基板14と、基板14の上にパターンニングされた配線部16と、半導体チップ12の少なくとも電極部20以外の部分の上面部が覆われて配置され、電極部20と配線部16とを電気的に接続する接続クリップ18を備えている。接続クリップ18の材料は導電性の金属であり、例えば銅等である。
【0020】
図1(A)に示すように、電子モジュール10-1は、基板14の上に配線部16-1が設けられており、半導体チップ12が接続されている。接続クリップ18-1は、半導体チップ12の電極部20以外の部分の上面部が覆われて配置され、電極部20と配線部16―3とを電気的に接続している。半導体チップ12の裏面電極は、配線部16-1と接続され、接続クリップ18-2は、半導体チップ12の制御電極部と配線部16-2を接続している。
【0021】
図1(C)に示すように、A-A断面は、基板14,配線部16―1,半導体チップ12,電極部20,接続クリップ18-1が積層された構造となっている。接続クリップ18-1は、図1(D)に示すように、半導体チップ12の電極部20と配線部16-3を接続している。接続クリップ18-2も同様に、半導体チップ12と配線部16-2を接続している。
【0022】
(第2の実施形態)
図2は、本発明による第2の実施形態を説明する図である。図2(A)は斜視図、図2(B)は平面図、図2(C)は図2(B)のA-A断面図、図2(D)は図2(B)のB-B断面図である。図2(A)~(D)に示すように、電子モジュール10―2は、絶縁樹脂で封止され、電極部20を有する半導体チップ12と、半導体チップ12を搭載する基板14と、基板14の上にパターンニングされた配線部16と、半導体チップ12の電極部20以外の部分の上面部と側面部が接続クリップ18-1により覆われている。電極部20と配線部16は、接続クリップ18で電気的に接続されている。
【0023】
図1に示した第1の実施形態と相違する点は、接続クリップ18-1が、半導体チップ12の電極部20の上面部に加え、側面部を覆っていることである。他は、図1に示した実施形態と同様であり、説明を省略する。
【0024】
接続クリップ18-1で、半導体チップ12の電極部20以外の部分の上面部の他、側面部をも覆っているため、半導体チップ12から発生する電磁的ノイズは、上面部を覆うだけよりもノイズ遮蔽効果が高く、さらに半導体チップから発生する熱をより放熱することができる。このため、低ノイズ、かつ、高放熱性を充足する電子モジュールを提供することができる。
【0025】
図1図2に示したように、電子モジュール10―1,10-2は絶縁樹脂で封止され、電極部20を有する半導体チップ12と、半導体チップ12を搭載する基板14と、基板14の上にパターンニングされた配線部16と、電極部20と配線部16とを電気的に接続する接続クリップ18と、少なくとも電極部20以外の部分の上面部又は上面部と側面部が接続クリップ18で覆われた半導体チップ12と、を備えた構成である。このため、接続クリップ18が半導体チップ12から発生する電磁的ノイズを遮蔽し、更に、半導体チップから発生する熱を放熱するため、低ノイズかつ高放熱性を充足する電子モジュールを提供することができる。
【0026】
(第3の実施形態)
図3は、接続クリップに放熱フィンを有する第3の実施形態を説明する図である。図3(A)は斜視図、図3(B)は平面図、図3(C)は図3(B)のA-A断面図、図3(D)は図3(B)のB-B断面図である。図3(A)~(D)に示すように、電子モジュール10-3は、接続クリップ18-1は、放熱フィン22を有している。接続クリップ18-1が放熱フィン22を有している以外は、図1に示した第1の実施形態と同様であり、説明は省略する。
【0027】
本発明の実施形態に係る電子モジュール10-3においては、接続クリップ18-1が、放熱フィン22を有しているため、半導体チップ20から発生する熱をより効果的に放熱する。これにより、低ノイズであり、かつ、更に高放熱な電子モジュールを提供することができる。
【0028】
(第4の実施形態)
図4は、半導体チップにダイオードを用いた第4の実施形態を説明する断面図である。図4に示すように、電子モジュール10-4において、ダイオード24は、アノード電極部26とカソード電極部28を有し、基板14に搭載されている。アノード電極部26は、接続クリップ18-1及び接続クリップ18-2に接続され、カソード電極部28は、配線部16-2に接続されている。ダイオード24は、アノード電極部26から、接続クリップ18-1により配線部16-3、及び、接続クリップ18-2を介して配線部16-1に接続され、他の電子素子等に接続されている。カソード電極部28は、配線部16-2に接続されている。配線部16-2は、例えばアースであってもよい。また、アノード電極部26とカソード電極部28が逆であってもよく、回路設計との関係で決められる。
【0029】
接続クリップ18-1は、アノード電極部26と配線部16-3を接続し、ダイオード24の表面上に延伸して、ダイオード24を覆っている。これにより、ダイオード24から発生する熱をより効果的に放熱する。接続クリップ18-2は、アノード電極部26と配線部16-1を接続している。接続クリップ18-2がダイオード24の表面上に延伸して、ダイオード24を覆ってもよい。
【0030】
図4に示すように、電子モジュール10-4においては、例えば、半導体チップ12はダイオード24であり、電極部は、アノード電極部26とカソード電極部28とを有し、接続クリップ18-1,18-2は、アノード電極部26又はカソード電極部28のいずれかに接続されていると好適である。
【0031】
本発明の実施形態に係る電子モジュール10-4においては、接続クリップ18-1,18-2が、アノード電極部26又はカソード電極部28のいずれかに接続されているため、低ノイズであり、かつ、更に高放熱性を充足するダイオード搭載型の電子モジュールを提供することができる。
【0032】
(第5の実施形態)
図5は、半導体チップにトランジスタを用いた第5の実施形態を説明する図である。図5(A)は斜視図、図5(B)は平面図、図5(C)は図5(B)のA-A断面図、図5(D)は図5(B)のC-C断面図である。電子モジュール10-5において、トランジスタ30は、ソース電極部32とドレイン電極部34とゲート電極部36とを有し、ソース電極部32には接続クリップ18-1が接続され、ゲート電極部36には、接続クリップ18-2が接続されている。
【0033】
図5(A)~(D)に示すように、電子モジュール10-5において、例えば、半導体チップ12は、MOSFET等のトランジスタ30とすると好適である。この場合、トランジスタ30は、例えば、一方の表面にソース電極部32及びゲート電極部36、他方の表面にドレイン電極部34を有するMOSFETとする。接続クリップ18-1は,配線部16-3とソース電極部32を接続し、接続クリップ18-2は、配線部16-2とゲート電極部36を接続している。
【0034】
半導体チップ12がトランジスタ30であって、電極部はソース電極部32とドレイン電極部34とゲート電極部36とを備え、接続クリップ18-1,18-2は、ソース電極部32、ドレイン電極部34又はゲート電極部36のいずれかに接続されているため、接続クリップ18-1,18-2がトランジスタ30から発生する電磁的ノイズを遮蔽し、更に、トランジスタ30から発生する熱を放熱する。このため、低ノイズであり、かつ、更に高放熱性を充足するトランジスタ搭載型の電子モジュールを提供することができる。
【0035】
本発明の実施形態に係る電子モジュール10-5においては、例えば、ゲート電極部36と配線部16-2は、所定の抵抗値に設定された導電性部材で接続した構成とすると好適である。
【0036】
ゲート電極部36と配線部16-2は、所定の抵抗値に設定された導電性部材で電気接続した構成であるため、ゲート電極部36とソース電極部32との間に電磁的ノイズが重畳した場合であっても、所定の抵抗値に設定された導電性部材で電磁的ノイズが熱に変換され、電磁的ノイズが低減する。これにより、誤動作が防止可能な電子モジュールを提供することができる。
【0037】
(第6の実施形態)
図6は、半導体チップへの接続クリップの一部又は全部を露出させて絶縁樹脂で封止した第6の実施形態を説明する図である。図6(A)は平面図、図6(B)は図6(A)のA-A断面図、図6(C)は図6(A)のB-B断面図である。
【0038】
図6(A)に示すように、電子モジュール10-6は、基板14の上に配線部16-1が設けられており、半導体チップ12が接続されている。接続クリップ18-1は、半導体チップ12の電極部20以外の部分の上面部を覆い、電極部20と配線部16―3とを電気的に接続している。半導体チップ12の裏面電極は、配線部16-1と接続され、接続クリップ18-2は、半導体チップ12の制御電極部と配線部16-2を接続している。
【0039】
図6(B)に示すように、A-A断面は、基板14,配線部16-1,半導体チップ12,電極部20,接続クリップ18-1が積層され、半導体チップ12への接続クリップ18-1の一部を露出させた絶縁樹脂38で封止された構造となっている。接続クリップ18-1は、図6(C)に示すように、半導体チップ12の電極部20と配線部16-2を接続している。接続クリップ18-2も同様に、半導体チップ12の制御電極部と配線部16-2を接続している。これらの空間部は、絶縁樹脂38で埋められている。
【0040】
本発明の実施形態に係る電子モジュール10-6においては、例えば、半導体チップ12への接続クリップ18-1の一部又は全部が、絶縁樹脂から露出していると好適である。
【0041】
半導体チップ12への接続クリップ18-1の一部又は全部は、絶縁樹脂38から露出しているため、接続クリップ18-1の電位状態及び温度状態を含む物理的状態を検査でき、更には、電子モジュール10-6の使用者が必要に応じて露出部に加工を施すことができる。
【0042】
(第7の実施形態)
図6に示した電子モジュール10-6において、例えば、絶縁樹脂38の一部は、電磁波吸収機能を有する電磁波吸収樹脂であり、電磁波吸収樹脂は、接続クリップ18-1,18-2の上に設けられていると好適である。
【0043】
絶縁樹脂38の一部は、電磁波吸収機能を有する電磁波吸収樹脂であり、電磁波吸収樹脂は、接続クリップ18-1,18-2の上に設けられているため、低損失、低ノイズであり、かつ、高放熱な電子モジュールを提供することができる。
【0044】
(第8の実施形態)
図1に示した電子モジュール10-1,図2に示した電子モジュール10-2,図3に示した電子モジュール10-3又は図6に示した電子モジュール10-6において、例えば、半導体チップ12は、炭化ケイ素、窒化ガリウム、酸化ガリウム、ダイヤモンド半導体を含むと好適である。
【0045】
半導体チップ12は、炭化ケイ素,窒化ガリウム,酸化ガリウ,ダイヤモンドのいずれか1つ、またはこれらの複数の材料で製造されたものであるため、高速動作が可能で、低損失、低ノイズである。このため、高速動作が可能で、低損失、低ノイズであり、かつ、高放熱な電子モジュールを提供することができる。
【0046】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、複数の半導体チップを搭載した電子モジュールにも適用でき、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
【符号の説明】
【0047】
10-1,10-2,10-3,10-4,10-5,10-6 電子モジュール
12 半導体チップ
14 基板
16,16-1,16-2,16-3 配線部
18,18-1,18-2 接続クリップ
20 電極部
22 放熱フィン
24 ダイオード
26 アノード電極部
28 カソード電極部
30 トランジスタ
32 ソース電極部
34 ドレイン電極部
36 ゲート電極部
38 絶縁樹脂
図1
図2
図3
図4
図5
図6