(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023055199
(43)【公開日】2023-04-17
(54)【発明の名称】二重容器、内袋の引き抜き方法
(51)【国際特許分類】
B65D 1/02 20060101AFI20230410BHJP
B29C 49/22 20060101ALI20230410BHJP
B29C 49/02 20060101ALI20230410BHJP
B29B 11/06 20060101ALI20230410BHJP
【FI】
B65D1/02 110
B65D1/02 BRL
B65D1/02 BSF
B29C49/22
B29C49/02
B29B11/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140782
(22)【出願日】2022-09-05
(31)【優先権主張番号】P 2021164253
(32)【優先日】2021-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000104674
【氏名又は名称】キョーラク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】室屋 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】新實 誉也
(72)【発明者】
【氏名】江口 鉄明
【テーマコード(参考)】
3E033
4F201
4F208
【Fターム(参考)】
3E033AA02
3E033BA16
3E033BA18
3E033BB08
3E033CA20
3E033DA04
3E033DB03
3E033FA02
3E033FA03
4F201AG03
4F201AG07
4F201AG23
4F201AG28
4F201AH55
4F201BA03
4F201BC02
4F201BD06
4F201BM05
4F201BM06
4F201BM12
4F208AG03
4F208AG07
4F208AG23
4F208AG28
4F208AH55
4F208LA08
4F208LB01
4F208LB22
4F208LG03
4F208LG06
4F208LG13
4F208LG15
4F208LG16
4F208LG19
4F208LG22
4F208LG28
4F208LH06
(57)【要約】
【課題】内袋を容器本体から引き抜きやすい、二重容器を提供する。
【解決手段】本発明によれば、内袋と外殻を有する容器本体を備える二重容器であって、前記内袋を前記外殻に対して45度相対回転させたときピークトルク値が140cN・m以下である、二重容器が提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内袋と外殻を有する容器本体を備える二重容器であって、
前記内袋を前記外殻に対して45度相対回転させたときピークトルク値が140cN・m以下である、二重容器。
【請求項2】
請求項1に記載の二重容器であって、
前記内袋は、前記外殻の開口端から突出する突出部を備え、
前記突出部の突出長は、10mm以上である、二重容器。
【請求項3】
請求項2に記載の二重容器であって、
前記突出部の外面又は内面には、凹凸形状が設けられている、二重容器。
【請求項4】
請求項1~請求項3の何れか1つに記載の二重容器であって、
前記容器本体の口部に装着可能な口部装着部材をさらに備え、
前記口部装着部材は、中栓と、オーバーキャップを備え、
前記中栓は、本体部とバンド部を備え、
前記本体部と前記バンド部は、易引裂性の連結部を介して互いに連結されており、
前記本体部は、吐出口を備え、
前記バンド部は、前記外殻の口部に軸方向に係合し、
前記バンド部は、前記連結部を引き裂いて前記本体部から分離可能に構成され、
前記オーバーキャップは、前記本体部に対して着脱可能に構成され、且つ前記本体部に装着した状態で前記吐出口を閉塞可能に構成されている、二重容器。
【請求項5】
内袋引き抜き工程を備える、内袋の引き抜き方法であって、
前記内袋引き抜き工程では、内袋と外殻を有する容器本体から前記内袋を引き抜き、
前記引き抜きは、前記内袋を捻りながら又は前記内袋を捻った後に行われる、方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、
前記内袋は、口部と、胴部と、底部を備え、
前記口部は、開口端を有する筒状部位であり、前記胴部は、前記口部よりも前記開口端から離れた側に前記口部に隣接して配置され、且つ前記口部よりも外径が大きく、前記底部は、前記胴部の下端を閉塞するように構成され、
前記内袋は、前記口部を前記外殻に対して相対回転させることによって捻られる、方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、
前記胴部は、前記口部から離れるにつれて外径が大きくなる肩部を備え、
前記内袋は、少なくとも前記肩部において捻られる、方法。
【請求項8】
請求項5~請求項7の何れか1つに記載の方法であって、
前記内袋を捻る際の、前記底部に対する前記口部の回転角度は、30度以上である、方法。
【請求項9】
内袋引き抜き工程を備える、内袋の引き抜き方法であって、
前記内袋引き抜き工程では、内袋と外殻を有する容器本体から前記内袋を引き抜き、
前記内袋は、口部装着部材が装着可能な係合部を口部に備える、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、
前記内袋は、前記係合部よりも、前記口部の開口端から離れた位置にフランジを備え、
前記外殻の開口端は、前記フランジよりも、前記内袋の前記開口端から離れた位置に配置されている、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二重容器及び内袋の引き抜き方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外殻と内袋とを有する容器本体を備える二重容器が知られている。例えば、特許文献1には、外殻プリフォームと内袋プリフォームとを重ねた状態で二軸延伸ブロー成形を行うことによって形成した二重容器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような二重容器の外殻と内袋とが別素材で成形されている場合や、使用後の内袋内に内容物が付着している場合等において、当該二重容器をリサイクルする際には、外殻と内袋とを分離することが望まれる。
【0005】
外殻と内袋は、内袋を容器本体から引き抜くことによって分離することが想定されており、内袋を容器本体から引き抜きやすくすることが望まれている。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、内袋を容器本体から引き抜きやすい、二重容器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、以下の発明が提供される。
[1]内袋と外殻を有する容器本体を備える二重容器であって、前記内袋を前記外殻に対して45度相対回転させたときピークトルク値が140cN・m以下である、二重容器。
【0008】
本発明の二重容器では、内袋を外殻に対して45度相対回転させたときピークトルク値が140cN・m以下となっている。このピークトルク値は、容器本体の口部での内袋と外殻の嵌合の強さを示す指標であり、値が大きいほど内袋と外殻が強く嵌合していて内袋を容器本体から引き抜きにくい。本発明の二重容器では、ピークトルク値が140cN・m以下という小さい値であるので、内袋を容器本体から容易に引き抜くことができる。
【0009】
[2][1]に記載の二重容器であって、前記内袋は、前記外殻の開口端から突出する突出部を備え、前記突出部の突出長は、10mm以上である、二重容器。
[3][2]に記載の二重容器であって、前記突出部の外面又は内面には、凹凸形状が設けられている、二重容器。
[4][1]~[3]の何れか1つに記載の二重容器であって、前記容器本体の口部に装着可能な口部装着部材をさらに備え、前記口部装着部材は、中栓と、オーバーキャップを備え、前記中栓は、本体部とバンド部を備え、前記本体部と前記バンド部は、易引裂性の連結部を介して互いに連結されており、前記本体部は、吐出口を備え、前記バンド部は、前記外殻の口部に軸方向に係合し、前記バンド部は、前記連結部を引き裂いて前記本体部から分離可能に構成され、前記オーバーキャップは、前記本体部に対して着脱可能に構成され、且つ前記本体部に装着した状態で前記吐出口を閉塞可能に構成されている、二重容器。
[5]内袋引き抜き工程を備える、内袋の引き抜き方法であって、前記内袋引き抜き工程では、内袋と外殻を有する容器本体から前記内袋を引き抜き、前記引き抜きは、前記内袋を捻りながら又は前記内袋を捻った後に行われる、方法。
[6][5]に記載の方法であって、前記内袋は、口部と、胴部と、底部を備え、前記口部は、開口端を有する筒状部位であり、前記胴部は、前記口部よりも前記開口端から離れた側に前記口部に隣接して配置され、且つ前記口部よりも外径が大きく、前記底部は、前記胴部の下端を閉塞するように構成され、前記内袋は、前記口部を前記外殻に対して相対回転させることによって捻られる、方法。
[7][6]に記載の方法であって、前記胴部は、前記口部から離れるにつれて外径が大きくなる肩部を備え、前記内袋は、少なくとも前記肩部において捻られる、方法。
[8][5]~[7]の何れか1つに記載の方法であって、前記内袋を捻る際の、前記底部に対する前記口部の回転角度は、30度以上である、方法。
[9]内袋引き抜き工程を備える、内袋の引き抜き方法であって、前記内袋引き抜き工程では、内袋と外殻を有する容器本体から前記内袋を引き抜き、前記内袋は、口部装着部材が装着可能な係合部を口部に備える、方法。
[10][9]に記載の方法であって、前記内袋は、前記係合部よりも、前記口部の開口端から離れた位置にフランジを備え、前記外殻の開口端は、前記フランジよりも、前記内袋の前記開口端から離れた位置に配置されている、方法。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1実施形態の二重容器1の斜視図である。図中の一点鎖線は、表面形状を構成する面の曲率が変化する境界線を表す。他の図についても同様である。
【
図2】
図1の二重容器1の口部5近傍の断面図である。
【
図3】
図1の二重容器1の口部5近傍の分解斜視図である。
【
図4】
図1の二重容器1の口部5近傍の分解断面図である。
【
図5】内プリフォーム14及び外プリフォーム13が分離されている状態を示す斜視図である。
【
図6】内プリフォーム14に外プリフォーム13を被せることによって構成されたプリフォーム15の斜視図である。
【
図7】
図7Aは、本発明の第2実施形態の容器本体2の口部5近傍の断面図であり、
図7Bは、
図7Aの状態から、内袋4を引き抜いて、内袋4と外殻3を分離した後の状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴について独立して発明が成立する。
【0012】
1.第1実施形態
1-1.二重容器1の構成
<基本構成>
図1~
図4に示すように、本発明の第1実施形態の二重容器1は、容器本体2と、口部装着部材8を備える。
【0013】
図1及び
図3に示すように、容器本体2は、口部5と、胴部6と、底部7を備える。口部5は、開口端5cを有する筒状(好ましくは円筒状)部位である。口部5は、キャップやポンプなどの口部装着部材8を装着可能な係合部5aを備える。本実施形態では、口部装着部材8が打栓式であるので、係合部5aは、周方向に突出する環状凸部5a2である。口部装着部材8は、逆止弁(不図示)を有していてもいなくてもよい。口部5には、フランジ5bが設けられている。フランジ5bは、口部5に口部装着部材8を装着する際に口部5を支持するために利用可能である。
【0014】
胴部6は、口部5よりも開口端5cから離れた側に口部5に隣接して配置される。胴部6は、口部5よりも外径(本明細書において、「外径」は、断面が円形でない場合は、外接円径を意味する。)が大きい。胴部6は筒状であり、底部7は、胴部6の下端に設けられ、胴部6の下端を閉塞する。胴部6は、口部5から離れるにつれて外径が大きくなる肩部6bを備える。また、胴部6は、肩部6bよりも底部7側に、胴部本体6cを備える。胴部本体6cは、例えば、底部7に向かって外径が略一定である形状であるか、又は底部7に向かって縮径する形状である。
【0015】
図3に示すように、容器本体2は、内袋4と、内袋4を覆うように配置された外殻3を備える。内袋4は、外殻3の開口端3aから突出する突出部4cを備え、突出部4c以外の部位が外殻3内に収容されている。以下の説明では、内袋4のうち、容器本体2の口部5、胴部6、及び底部7に相当する部位をそれぞれ、内袋4の口部5、胴部6、及び底部7のように称する。外殻3についても同様である。
【0016】
内袋4を外殻3に対して45度相対回転させたときピークトルク値(以下、単に、「ピークトルク値」と称する。)は、140cN・m以下であることが好ましく、100cN・m以下であることがさらに好ましい。このピークトルク値は、容器本体2の口部5での内袋4と外殻3の嵌合の強さを示す指標であり、値が大きいほど内袋4と外殻3が強く嵌合していて内袋4を容器本体2から引き抜きにくい。本実施形態の容器本体2では、ピークトルク値が140cN・m以下という小さい値であるので、内袋4を容器本体2から容易に引き抜くことができる。このため、内袋4を指や治具で把持して容器本体2から引き抜くことができる。このピークトルク値は、例えば、10~140cN・mであり、具体的には例えば、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140cN・mであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内又は何れか以下であってもよい。ピークトルク値は、内袋4内に内容物が入っていない状態で、外殻3を固定すると共に内袋4を把持して、内袋4を右回り(容器本体2を正立させた状態で上方から見たときの反時計回り)に45度回転させたときに、回転中に測定されるトルクのピーク値である。ピークトルク値は、トルクメーター(型式:2TME500CN2、東日製作所製)を用いて測定することができる。
【0017】
突出部4cの外径は、外殻3の開口端3aでの内径よりも大きくなっている。このため、突出部4cの下面4c1が開口端3aに当接することによって、内袋4が外殻3内に落下しないようになっている。
【0018】
突出部4cの突出長は、例えば、5mm以上であり、10mm以上であることが好ましい。この突出長が短すぎると、突出部4cを指や治具で把持しにくいからである。この突出長は、例えば、5~50mmであり、具体的には例えば、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内又は何れか以上であってもよい。
【0019】
突出部4cの肉厚は、例えば、0.4~2mmであり、具体的には例えば、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0020】
突出部4cの外面又は内面には、凹凸形状が設けられているが好ましい。凹凸形状を設けることによって、指や治具で突出部4cを把持して突出部4cに力を加えるときに、指や治具が突出部4cから滑ることが抑止される。凹凸形状は、突出部4cの外面又は内面にシボ加工を施すことによって形成してもよく、突出部4cの外面又は内面に凹部又は凸部を設けることによって形成してもよい。凹部又は凸部は、例えば、島状、溝状、格子状などの形状に形成することができる。
【0021】
容器本体2の高さ方向の中央での外殻3の肉厚は、例えば、0.2~0.8mmであり、0.25~0.5mmが好ましい。この肉厚は、具体的には例えば、0.2、0.25、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。容器本体2の高さ方向の中央での内袋4の肉厚は、例えば、0.05~0.25mmであり、0.08~0.20mmが好ましい。この肉厚は、具体的には例えば、0.05、0.08、0.10、0.15、0.20、0.25mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0022】
口部装着部材8に逆止弁が設けられていない場合は、内袋4の内容物を吐出した後にも内袋4が収縮しないので、外殻3の口部5を通じて、内袋4を引き出すことが容易でない。本発明は、内袋4を外殻の口部5を通じて引き出すことを容易にするものであるので、口部装着部材8に逆止弁が設けられていない場合には、本発明を適用する意義が特に顕著である。
【0023】
図4に示すように、外殻3の口部5の内径D2は、例えば20~50mmであり、25~40mmが好ましい。外殻3の口部5の外径D4(係合部5a及びフランジ5b以外の部位の外径)は、例えば25~55mmであり、30~45mmが好ましい。内径D2は、具体的には例えば、20、25、30、35、40、45、50mmであり、外径D4は、具体的には例えば、25、30、35、40、45、50、55mmであり、それぞれ、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0024】
<口部装着部材8と容器本体2との係合構造>
口部装着部材8は、口部5に装着可能に構成されている。口部装着部材8は、口部5において外殻3と軸方向に係合しており、周方向には係合していてもしていなくてもよい。口部装着部材8は、内袋4とは軸方向には係合しておらず、周方向には係合していてもしていなくてもよい。なお、本明細書において、「軸方向」とは、口部5の中心軸が延びる方向であり、言い換えると、容器本体2から内袋4を引き抜く方向である。「周方向」とは、口部5の中心軸を中心として回転させる方向であり、言い換えると、口部5において内袋4を外殻3に対して、相対回転させる方向である。
【0025】
以下、口部装着部材8と容器本体2の係合構造をより具体的に説明する。
【0026】
図3に示すように、口部装着部材8は、中栓26と、オーバーキャップ27を備える。中栓26は、本体部28と、バンド部29を備える。本体部28とバンド部29は、易引裂性の連結部30を介して互いに連結されている。バンド部29は、外殻3の口部5に軸方向に係合する。このため、バンド部29は、外殻3の口部5に対して軸方向の移動が規制される。
【0027】
連結部30は、本体部28とバンド部29の間に力(せん断力、回転方向の力など)を加えることによって引き裂くことができるように構成されている。連結部30は、本体部28及びバンド部29よりも薄肉であることが好ましい。
【0028】
バンド部29は、帯状であり、環状凸部5a2を取り囲むように配置される。
図4に示すように、バンド部29の内周面には周方向に延びる係合凸部29aが設けられている。係合凸部29aが環状凸部5a2に軸方向に係合することによってバンド部29が、外殻3の口部5に軸方向に係合する。係合凸部29aの下側にはテーパー面29a1が設けられており、係合凸部29aが環状凸部5a2を乗り越えるのに必要な力が低減されている。
【0029】
バンド部29は、外側壁29oと、内側壁29iと、連結壁29bを備える。外側壁29oは、内側壁29iよりも外側に間隔を隔てて配置されている。外側壁29oと内側壁29iは、連結壁29bによって連結されている。係合凸部29aは、内側壁29iに設けられている。このような構成によれば、係合凸部29aが環状凸部5a2に押し当てられたときに係合凸部29aが径方向外側に広がりやすくなるので、口部装着部材8を口部5に装着する際に必要な力が低減される。
【0030】
図3に示すように、バンド部29には、切欠部29cが設けられている。切欠部29cにおいてバンド部29の一端を把持して径方向外側に引っ張ることによって連結部30を引き裂いて、バンド部29を取り外すことが可能になっている。なお、バンド部29の一端を把持しやすいように、バンド部29の一端には、つまみを設けてもよい。
【0031】
図4に示すように、本体部28は、外筒28aと、内筒28bと、天板28eと、吐出筒28fと、取付筒28gを備える。
【0032】
天板28eは、外筒28aの上面に設けられる。天板28eの下面には内筒28bが設けられている。内筒28bは、外筒28aよりも直径が小さく、外筒28aの内部に配置される、いわゆるインナーリングである。天板28eの上面には、吐出筒28fと取付筒28gが設けられている。内袋4内の内容物は、吐出筒28fを通って吐出される。取付筒28gの外周面には、不図示の係合部が設けられており、この係合部が、オーバーキャップ27の内筒27aに設けられた係合部(不図示)と係合することによって、オーバーキャップ27が中栓26に対して着脱可能になっている。オーバーキャップ27と中栓26は、例えばネジ係合である。この場合、オーバーキャップ27を中栓26に対して相対回転させることによって、オーバーキャップ27を中栓26に対して着脱させることができる。
【0033】
<内袋4の引き抜き方法>
内袋4の内容物を使い切った後に、以下の方法によって、内袋4を容器本体2から引き抜くことができる。
【0034】
図1~
図4に示すように、内袋4の引き抜きを開始する前の状態では、口部装着部材8の本体部28とバンド部29が連結されており、かつバンド部29が外殻3の口部5に軸方向に係合しているので、この状態では、内袋4を容器本体2から引き抜くことはできない。このため、まずは、切欠部29cにおいてバンド部29の一端を把持して径方向外側に引っ張ることによって連結部30を引き裂いて、バンド部29を取り外す。これによって、口部装着部材8と、外殻3の口部5との係合が解除され、口部装着部材8の取り外しが可能になる。バンド部29は、中栓26にオーバーキャップ27が装着された状態で、本体部28から分離することができる。その後、本体部28にオーバーキャップ27が装着された状態で、本体部28を口部5から取り外すことができる。これによって、本体部28とオーバーキャップ27がバラバラになることが抑制される。
【0035】
口部装着部材8を取り外すと、内袋4の突出部4cが露出するので、これを指や治具などで把持して引っ張ることによって内袋4を容器本体2から引き抜くことができる。また、内袋4は、回転させずに引き抜いてもよいが、内袋4を引き抜く前に又は引き抜きながら、内袋4を外殻3に対して相対回転させることが好ましい。これによって、内袋4が捻れて縮径されるので、内袋4の引き抜きが一層容易になる。口部5において、内袋4が外殻3と強く嵌合している場合には、内袋4を引き抜くことは容易ではないが、本実施形態では、ピークトルク値が小さいので、口部5での内袋4と外殻3の嵌合力を弱く、内袋4の引き抜きや回転が容易である。
【0036】
ところで、本発明は、別の観点では、内袋引き抜き工程を備える、内袋の引き抜き方法として把握することができる。内袋引き抜き工程では、内袋4と外殻3を有する容器本体2から内袋2を引き抜く。この引き抜きは、内袋4を捻りながら又は内袋4捻った後に行われる。内袋4を捻ることによって、内袋4を縮径させることができる。また、内袋4は、内袋4の口部5を外殻3に対して相対回転させることによって捻ることができる。内袋4の口部5は、口部5の中心軸を中心にして回転させることができる。内袋4の胴部6又は底部7は、内袋4の口部5に比べて、外殻3に対して相対回転しにくいので、内袋4の口部5を回転させることによって、内袋4を捻ることができる。
【0037】
また、内袋4の肩部6bは、肉厚が大きくなりやすく、かつ底部7に向かって拡径されているので、内袋4の肩部6bが外殻3の口部5を通る際の抵抗力が大きくなりやすい。そこで、内袋4は、少なくとも肩部6bにおいて捻られる(つまり、内袋4の捻れによって形成される皺が、肩部6bに形成される)ことが好ましい。
【0038】
また、内袋4を捻る際の、内袋4の底部7に対する、内袋4の口部5の回転角度は、30度以上が好ましく、90度以上がさらに好ましい。この回転角度は、例えば、30~1080度であり、90~360度が好ましく、120~240度がさらに好ましい。この回転角度は、具体的には例えば、30、45、60、90、120、150、180、210、240、270、300、330、360、720、1080度であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲又は何れか以上であってもよい。
【0039】
なお、ここで説明した内袋4の引き抜き方法という観点の発明では、ピークトルク値が140cN・m以下であることが好ましいが、必須ではない。
【0040】
1-2.二重容器1の製造方法
図5~
図6に示すように、容器本体2は、プリフォーム15を加熱して二軸延伸ブロー成形することによって形成することができる。
【0041】
<内プリフォーム14、外プリフォーム13,プリフォーム15の構成>
プリフォーム15は、一例では、内袋4となる内プリフォーム14に、外殻3となる外プリフォーム13を被せて構成することができる。
【0042】
図5に示すように、内プリフォーム14は、有底筒状であり、口部14aと、胴部14bと、底部14cと、突出部14dを備える。突出部14dは、成形時に変形せずにそのままの形状で突出部4cとなる。従って、突出部4cについて述べた事項は、突出部14dにも当てはまる。底部14cは、胴部14bの下端を閉じるように設けられる。底部14cには、位置決めピン14c1が設けられている。
【0043】
図5に示すように、外プリフォーム13は、有底筒状であり、口部13aと、胴部13bと、底部13cを備える。底部13cは、胴部13bの下端を閉じるように設けられる。底部13cには、環状凸部13d及び位置決め孔(不図示)が設けられている。外プリフォーム13の口部13aの内面には、径方向内側に向かって突出する突起13hが設けられていることが好ましい。突起13hは、周方向に等間隔になるように複数箇所(例えば2箇所)に設けられることが好ましい。各突起13hの幅(周方向の長さ)は、例えば、1~10mmであり、具体的には例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。突起3hは、二軸延伸ブロー成形後にも、ほぼそのままの形状で残る。このため、突起3hを設けることによって、内プリフォーム14と外プリフォーム13を同心に位置決めすることを可能にしつつ、外殻3に対する内袋4のピークトルク値を抑制することができる。
【0044】
図6に示すように、プリフォーム15を形成する際に、突出部14dを口部13aの開口端に当接させると共に、位置決めピン14c1を位置決め孔に挿入する。これによって、内プリフォーム14と外プリフォーム13が互いに位置決めされる。この状態では、口部14aと口部13aが対向し、胴部14bと胴部13bが対向する。
【0045】
口部14aの外径が口部13aの内径(突起13hが設けられている場合、突起13h以外の部位での内径)よりも小さくなるように、口部14aの外径と口部13aの内径を設定することによってピークトルク値を小さく(例えば140cN・m以下に)することができる。突起13h以外の部位での口部13aの内径と口部14aの外径の差は、0.3mm以上が好ましく、0.5mm以上がさらに好ましい。この差は、例えば0.2~3mmであり、具体的には例えば、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、2.0、2.5、3.0mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内又は何れか以上であってもよい。突起13hでの口部13aの内径と口部14aの外径の差は、例えば、0.05~0.20mmが好ましい。この差は、具体的には例えば、0.05、0.10、0.15、0.20mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0046】
口部13a,14a及び突出部14dがプリフォーム15の口部15aとなり、胴部13b,14bがプリフォーム15の胴部15bとなり、底部13c,14cがプリフォーム15の底部15cとなる。胴部15b及び底部15cが、二軸延伸ブロー成形において主に延伸される。
【0047】
<内プリフォーム14と外プリフォーム13の材料・製造方法>
内プリフォーム14及び外プリフォーム13は、ポリエステル(例:PET)やポリオレフィン(例:ポリプロピレン、ポリエチレン)等の熱可塑性樹脂のダイレクトブロー成形や射出成形等によって形成可能である。一例では、内プリフォーム14がポリオレフィン(例:ポリプロピレン)で構成され、外プリフォーム13はPETで構成される。
【0048】
内プリフォーム14は、ダイレクトブロー成形で形成することが好ましい。ダイレクトブロー成形(溶融状態の筒状パリソンを用いたブロー成形)によれば、積層構造の内プリフォーム14を容易に形成することができる。外プリフォーム13は、射出成形で形成することが好ましい。
【0049】
1-3.変形例
・突出部4cの突出長は、上記実施形態よりも小さくてもよく、突出部4cを省略して、内袋4が外殻3から突出しないようにしてもよい。この場合でも、例えば、内袋4の内面と指との摩擦によって内袋4を容器本体2から引き抜くことができる。この摩擦力をできるだけ大きくするために、内袋4の内面には凹凸形状を設けることが好ましい。
【0050】
2.第2実施形態
図7を用いて、本発明の第2実施形態について説明する。第1実施形態での説明は、その趣旨に反しない限り、本実施形態にも適用可能である。
【0051】
本実施形態の容器本体2は、
図7Aに示すように、口部装着部材8が装着可能な係合部5aが内袋4の口部5に設けられている。外殻3は、内袋4の胴部6と底部7を覆うように配置されている。このような構成の容器本体2であっても、内袋4を外殻3に対して45度相対回転させたときピークトルク値を140cN・m以下とすることによって、
図7Bに示すように、内袋4を容器本体2から容易に引き抜くことができる。
【0052】
また、本実施形態の容器本体2では、内袋4は、係合部5aよりも、内袋4の開口端5cから離れた位置にフランジ5bを備える。つまり、フランジ5bが内袋4に設けられている。外殻3の開口端3aは、フランジ5bよりも、開口端5cから離れた位置に配置されている。外殻3の開口端3aは、フランジ5bの下面に密着していることが好ましい。
【0053】
このような構成によれば、外殻3の内径が最小となる部位での内径を大きくしやすく、内袋4を引き抜きやすい。内袋4は、捻りながら引き抜いてもよく、捻らずに引き抜いてもよい。例えば、内袋4内の内容物の減少に伴って内袋4が収縮するように二重容器1が構成されている場合(例えば、口部装着部材8に設けられた逆止弁によって、内袋4内への外気の導入が阻止されていて、且つ内袋4と外殻3の間に外気を導入する外気導入部が設けられれている場合)、内袋4の内容物を使い切ったときには内袋4が収縮した状態になっているので、内袋4を捻らずに引き抜きやすい。
【0054】
ところで、本発明は、別の観点では、内袋引き抜き工程を備える、内袋の引き抜き方法として把握することができる。内袋引き抜き工程では、上記構成の容器本体2において、内袋4と外殻3を有する容器本体2から内袋4を引き抜く。外殻3の内径が最小となる部位での内径を大きくすることによって、内袋4を容易に引き抜くことができる。なお、この観点では、上記ピークトルク値が140cN・m以下であることが好ましいが、必須ではない。
【0055】
また、本実施形態の容器本体2は、第1実施形態で説明した構成のプリフォーム15を用いて製造してもよく、内プリフォーム14を構成する層と、外プリフォーム13を構成する層を共射出成形することによって形成した多層のプリフォーム15を用いて製造してもよい。
【実施例0056】
1,容器本体2の製造方法
<実施例1>
上述した方法に従って、
図5~
図6に示すプリフォーム15を二軸延伸ブロー成形することによって、
図1~
図4に示す二重容器1の容器本体2(内容量300mL)を製造した。内プリフォーム14は、ホモポリプロピレン(型式:ノバテック、日本ポリプロ社製)を射出成形することによって製造した。外プリフォーム13は、PET(型式:チタン系触媒グレード、帝人社製)を300℃で射出成形して外プリフォームの形状とした後に20℃に急冷することによって製造した。急冷によって溶融状態のPETを非晶質状態にした。内プリフォーム14の口部14aの外径を34.0mmとし、外プリフォーム13の口部13aの内径は、口部13aの内面に180度間隔で設けた2箇所の幅4mmの突起13hでは34.1mm、それ以外の部位では35.5mmとした。
【0057】
このようなプリフォーム15を110℃(プリフォーム15の長手方向の中央での温度)に加熱した後に、二軸延伸ブロー成形をして、容器本体2を得た。
【0058】
<比較例1>
内プリフォーム14の口部14aの外径を25.9mmとし、外プリフォーム13に突起13hを設けず、外プリフォーム13の口部13aの内径を26.0mmとした以外は、実施例1と同様の方法で容器本体2を得た。
【0059】
2.トルク測定
トルクメーター(型式:2TME500CN2、東日製作所製)を用いて、内袋4内に内容物が入っていない状態で、外殻3を固定すると共に内袋4の突出部4cを把持して、内袋4を右回りに45度回転させたときに、回転中に測定されるトルクを測定し、そのピーク値をトルクピーク値とした。
【0060】
実施例1及び比較例1のそれぞれについて、5つのサンプルでトルクピーク値を測定し、その平均値を算出したところ、実施例1では52.4cN・mであり、比較例1では221.9cN・mであった。
【0061】
3.引き抜き性試験
実施例1及び比較例1の容器本体2に対して、引き抜き性試験を行った。引き抜き性試験では、エー・アンド・デイ社テンシロン万能試験機RTF-1325を用いて、内袋4の突出部4cを把持して、容器本体2から引き抜く際の引き抜き強度を測定した。実施例1及び比較例1のそれぞれについて、5つのサンプルで引き抜き強度を測定し、その平均値を算出したところ、実施例1では6.1kgfであり、比較例1では13.2kgfであった。