(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023055225
(43)【公開日】2023-04-18
(54)【発明の名称】車椅子補助具及び車椅子アダプタ
(51)【国際特許分類】
A61G 5/10 20060101AFI20230411BHJP
【FI】
A61G5/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021164374
(22)【出願日】2021-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】521435754
【氏名又は名称】株式会社エムケーエフ
(74)【代理人】
【識別番号】100110560
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 恵三
(74)【代理人】
【識別番号】100182604
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 二美
(72)【発明者】
【氏名】宮下 一彦
(57)【要約】
【課題】 従来の補助ハンドルでは、段差を通過する場合やぬかるみ等の車輪が使用困難な場合に持ち上げようとすると不安定になること。
【解決手段】 本発明の車椅子補助具では、車椅子のフレームを挟む鍵爪と受爪とを先端に有し、前記鍵爪と受爪とは対向配置され且つ移動機構により相対移動すると共に装着状態で車椅子の一方側から略水平方向に棒状部が延出する第一ハンドル1と、車椅子のフレームの前記第一ハンドルの反対側に装着すると共に装着状態で車椅子の反対側から棒状部が略水平方向に延出する第二ハンドル2とを有するので、神輿のように車椅子を持ち上げることができる。このため、段差を安定して通過できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車椅子のフレームを挟む鍵爪と受爪とを先端に有し、前記鍵爪と受爪とは対向配置され且つ移動機構により相対移動すると共に装着状態で車椅子の一方側から略水平方向に棒状部が延出する第一ハンドルと、
車椅子のフレームの前記第一ハンドルの反対側に装着すると共に装着状態で車椅子の反対側から棒状部が略水平方向に延出する第二ハンドルと、
を備えたことを特徴とする車椅子補助具。
【請求項2】
前記第二ハンドルは、
フレームの突出部を内部に挿通して装着される管構造であることを特徴とする請求項1に記載の車椅子補助具。
【請求項3】
車椅子のフレームを挟む鍵爪と受爪とを先端に有し、前記鍵爪と受爪とは対向配置され且つ移動機構により相対移動すると共に装着状態で車椅子の一方側から略水平方向に棒状部との連結部が延出することを特徴とする車椅子アダプタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車椅子を神輿ように担ぎ上げて運ぶための車椅子補助具及び車椅子アダプタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から特許文献1に記載されているような補助ハンドルが知られている。この補助ハンドルは、ハンドルの間に装着され、この補助ハンドルを使用することで片手で車椅子を走行させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の補助ハンドルでは、段差を通過する場合やぬかるみ等の車輪が使用困難な場合に持ち上げようとすると不安定になるという問題点がある。また、車椅子の前方は掴むところがないことから無理な態勢でフレームを掴んで操作する必要があり、車椅子を持ち上げるには不向きであった。本件発明は、係る問題点を解決するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る車椅子補助具は、車椅子のフレームを挟む鍵爪と受爪とを先端に有し、前記鍵爪と受爪とは対向配置され且つ移動機構により相対移動すると共に装着状態で車椅子の一方側から略水平方向に棒状部が延出する第一ハンドルと、車椅子のフレームの前記第一ハンドルの反対側に装着すると共に装着状態で車椅子の反対側から棒状部が略水平方向に延出する第二ハンドルと、を備えたことを特徴とする。
【0006】
前記第二ハンドルは、フレームの突出部を内部に挿通して装着される管構造とするのが好ましい。
【0007】
本発明に係る車椅子アダプタは、車椅子のフレームを挟む鍵爪と受爪とを先端に有し、前記鍵爪と受爪とは対向配置され且つ移動機構により相対移動すると共に装着状態で車椅子の一方側から略水平方向に棒状部との連結部が延出することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の形態1に係る車椅子補助具を示す構成図である。
【
図2】本発明の実施の形態1に係る車椅子補助具を示す構成図である。
【
図3】本発明の実施の形態1に係る車椅子補助具を示す構成図である。
【
図4】本発明の実施の形態1に係る車椅子補助具を示す構成図である。
【
図5】本発明に係る車椅子補助具の使用方法を示す説明図である。
【
図6】本発明に係る車椅子補助具の使用方法を示す説明図である。
【
図7】本発明に係る車椅子補助具の使用方法を示す説明図である。
【
図8】本発明に係る車椅子補助具の使用方法を示す説明図である。
【
図9】本発明の実施の形態2に係る車椅子補助具を示す構成図である。
【
図10】この車椅子補助具の使用方法を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1乃至
図4は、本発明の実施の形態1に係る車椅子補助具を示す構成図である。この車椅子補助具100は、車椅子の前側に装着する第一ハンドル1と、車椅子の後側に装着する第二ハンドル2とから構成される。第一ハンドル1は、車椅子のフレーム3がパイプで構成されている場合において、その略垂直方向になるパイプを挟んで固定される。第二ハンドル2は、車椅子のフレーム3の後方に突出している部分に差し込んで固定される。
【0010】
第一ハンドル1は、金属製の本体筒11の先端に鍵爪12が設けられ、当該鍵爪12は可動する可動スリーブ13の先端に設けた受爪14と対向配置される構造である。可動スリーブ13は本体筒11との間に所定の摺動状態で軸方向に可動する。前記鍵爪12は板金加工で製作され、ベース板15の部分が本体筒11の先端に固定され、ベース板15の面に対して略垂直に延出した部分16が折り曲げられて爪状となっている。本体筒11に対して直交方向に爪17の面が形成されるので、爪17がフレーム3に係止されフレーム3に対して回転することなく、安定して持ち上げることが可能となる。換言すれば、持ち上げる方向と同じ方向のフレーム部分に横長の爪17をその形成方向を前記持ち上げ方向と同じくするように装着することで、フレーム3を挟む力ではなく、引っ掛けによる力により持ち上げることができるものとなる。
【0011】
受爪14は、支持部14aが前記ベース板15を貫通してその一端が前記可動スリーブ13の先端に固定され且つ他端が受爪14に固定される。受爪14は、樹脂製又は金属板を内蔵した樹脂製である。前記可動スリーブ13は、その外周にスリーブナット18が設けられる。スリーブナット18の一端は本体筒11に設けた固定スリーブ19に形成したねじ部に螺合し、他端は前記可動スリーブ13の外周に設けたねじ部に螺合している。固定スリーブ19のねじ部と可動スリーブ13のねじ部とは逆方向になっており、かつスリーブナット18の内周面に形成したねじ山も両端で逆方向となっている。このため、スリーブナット18を回転させると、本体筒11に対して可動スリーブ13が軸方向に移動する。スリーブナット18は固定ナット18aにより位置が固定される。
【0012】
図3に示すように、本体筒11の他端にはエクステンション用のカプラー20が設けられる。必要に応じて延長用本体筒21をカプラー20に挿通して固定することで第一ハンドル1の全長を伸ばすことができる。延長用本体筒21をカプラー20に挿入し、カプラー20に設けた固定ねじ22を回して固定する。取り外す際には、固定ねじ22を緩めて抜き取る。使用においては本体筒11を直接持つか或いは延長用本体筒21を取り付けたときにあ当該延長用取付筒21を持つ。
【0013】
第二ハンドル2は、車椅子のフレーム3の後方に突出している部分に差し込んで固定される。第二ハンドル2は、金属製の筒から構成されておりフレーム3の水平方向に突出した部分に挿通される。内径は、フレーム3の径に対して柔軟に対応するため、一般的な車椅子のフレーム3に使用される金属パイプの最大径に合わせるものとする。第二ハンドル2の先端には、固定用の長穴23が設けられる。この長穴23は軸方向及び周方向にそれぞれ設けられ、フレーム側のねじ穴に対応しやすくなっている。
【0014】
第二ハンドル2とフレーム3の突出部分との挿通長さは、第二ハンドル2が使用中に外れず且つ持ち上げた際に力が無理なく伝わるだけの長さとする。なお、フレーム3の突出部分がない場合、第一ハンドル1と同一構造の第二ハンドルアダプタ(図示省略)をフレーム3に常時装着しておくものとする。この場合、上記第一ハンドル1のカプラー20は不要である。また第二ハンドル2の内径と第二ハンドルアダプタの外径とを略同じくすることでガタツキがない状態で挿通固定できる。
【0015】
図5乃至
図8は、この車椅子補助具の使用方法を示す説明図である。車椅子を持ち上げる際、第一ハンドル1及び第二ハンドル2を車椅子に装着する。第一ハンドル1のスリーブナット18を回転させて鍵爪12と受爪14との間隔を開く。この状態で車椅子のフレーム3のうち略垂直方向になっている部分を挟んで固定する。具体的には鍵爪12と受爪14との間にフレーム3を位置させた状態でスリーブナット18を回転させ、当該鍵爪12と受爪14との間隔を狭めてフレーム3を挟む。これにより、第一ハンドル1が固定される。第一ハンドル1は車椅子の前側の左右に装着する。
【0016】
第二ハンドル2は、
図7に示すように、フレーム3の略水平方向の突出部分3aに挿通して固定する。まず先端の部分をフレーム3の突出部分3aに挿通し、固定ねじで固定する。固定ねじは、長穴23を貫通させてフレーム3に設けたねじ穴に螺合させる。第二ハンドル2は車椅子の後側の左右に装着する。
【0017】
この状態で、車椅子の前後に神輿の親棒のように第一ハンドル1及び第二ハンドル2が延出するようになる。そして、
図8に示すように、第一ハンドル1及び第二ハンドル2を車椅子の前後で介助者等の人が持ち上げ、当該車椅子を持ち上げる。このように、第一ハンドル1及び第二ハンドル2を神輿のように持ち上げるので、安定して車椅子を運ぶことができる。車椅子は、重量があることもあるため、人が乗っていないときに使用しても便利である。
【0018】
なお、上記第二ハンドル2を装着する際、車椅子に略水平方向のフレーム3の突出部分がない場合は、前記第二ハンドルアダプタを恒久的に車椅子に装着しておき、第二ハンドル2を装着する際に使用するようにする。これにより、ほとんどの車椅子に第二ハンドル2を装着できるようになる。
【0019】
第一ハンドル1は、鍵爪12と受爪14とでフレーム3を挟むように固定し、その際はスリーブナット18を回転させれば済むことから装着が簡単である。なお、第一ハンドル1は、それほど長いものではないので装着したままでも車椅子を使用できる。具体的には、全長30cm以上60cm以下とするのが好ましい。また、フレーム3の略垂直方向の部分を挟んで固定することで軸方向に曲げるように力が加わる。これにより、安定して持ち上げることができる。
【0020】
(実施の形態2)
図9は、本発明の実施の形態2に係る車椅子補助具を示す構成図である。
図10は、この車椅子補助具の使用方法を示す説明図である。この車椅子補助具200は、第一ハンドル201と第二ハンドル202とを本体筒211の挿通のみで簡単に装着できるようにした点に特徴がある。第一ハンドル201及び第二ハンドル202は、それぞれフレーム3に予め装着するアダプタ203を有する。
【0021】
アダプタ203は、上記実施の形態1に示した第一ハンドル201と同じ構造であるが、後端が取付軸204となる点が異なる。取付軸204は所定の長さを有し、第一ハンドル201及び第二ハンドル202との挿通長さが所定の荷重に耐えうるだけの長さとする。第一ハンドル201及び第二ハンドル202は、金属製の筒体であり且つ前記取付軸204の外径に対して中間ばめ又は隙間ばめになるように設定する。筒体の取付軸204との挿通部分には固定穴が設けられ、前記取付穴の前記固定穴の対応位置にも固定穴が設けられる。筒体を取付軸204に挿通し、固定穴どうしを位置合わせし、この取付穴と固定穴とにロックピンを差し込んで固定する(図示省略)。なお、この固定構造には、公知のものを用いることができる。
【0022】
第一ハンドル201及び第二ハンドル202は単純な筒体で構成されるので、様々な長さのものを用意してもコストがかからない。また、担ぐ人の体格などに合わせて自由に設定できる。更に、取付軸204に挿通してロックピンを差し込むだけでハンドルを装着できるので、短時間でセットアップできる。
【0023】
更に、前記アダプタ203には、異なる形状のハンドルを装着できる。例えば、U字形状のハンドルを装着する。U字ハンドルは金属製の筒体からなり、端部は上記同様に取付軸204に挿通可能であり、固定穴をもって固定できる。更に、取付軸204には、ハンドル以外のものを装着することができる。例えば、車椅子を押すためのハンドル等である。この場合も取付軸204に対してハンドルの端部の筒状部分を挿通してロックピンで固定する。このように、車椅子にアダプタ203を装着しておくことで車椅子に様々な機能を持たせることができる。
【符号の説明】
【0024】
100 車椅子補助具
1 第一ハンドル
2 第二ハンドル
3 フレーム
11 本体筒
12 鍵爪
13 可動スリーブ
14 受爪
15 ベース板
17 爪