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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023055240
(43)【公開日】2023-04-18
(54)【発明の名称】固化材、及び、固化材の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C04B 28/14 20060101AFI20230411BHJP
   C04B 18/30 20060101ALI20230411BHJP
   C04B 22/06 20060101ALI20230411BHJP
   C04B 22/08 20060101ALI20230411BHJP
   C04B 11/036 20060101ALI20230411BHJP
   C02F 11/00 20060101ALI20230411BHJP
   B09B 3/25 20220101ALI20230411BHJP
【FI】
C04B28/14
C04B18/30
C04B22/06 Z
C04B22/08 A
C04B11/036
C02F11/00 101Z
B09B3/00 301S
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021164403
(22)【出願日】2021-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】510065160
【氏名又は名称】株式会社田中建設
(74)【代理人】
【識別番号】100137394
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 敏弘
(72)【発明者】
【氏名】田中 均
【テーマコード(参考)】
4D004
4D059
4G112
【Fターム(参考)】
4D004AA02
4D004AA31
4D004AB05
4D004AB08
4D004BA02
4D004CA15
4D004CA22
4D004CA45
4D004CB21
4D004CB31
4D004CC13
4D004DA03
4D004DA06
4D004DA10
4D059AA05
4D059BD40
4D059BG00
4D059BK11
4D059DA04
4D059DA06
4D059DA66
4D059EB01
4D059EB06
4D059EB16
4G112PA35
4G112PB03
4G112PB06
(57)【要約】
【課題】廃棄された石膏ボードを有効利用する。
【解決手段】
固化材は、45重量パーセント以上65重量パーセント以下の半水石膏と、5重量パーセント以上の細粒土と、生石灰、消石灰又はセメントとを含む。好適には、前記半水石膏は、廃棄された石膏ボードに由来するものであり、前記細粒土は、乾燥状態の浄水汚泥である。これにより、廃棄された石膏ボードのリサイクルが進まない現状において、比較的多くの半水石膏を固化材の一部として再利用することができ、石膏ボードのリサイクル率向上が期待できる。また、浄水汚泥も再利用することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
45重量パーセント以上65重量パーセント以下の半水石膏と、
5重量パーセント以上の細粒土と、
生石灰、消石灰又はセメントと
を含む固化材。
【請求項2】
前記半水石膏は、石膏ボードに由来するものである
請求項1に記載の固化材。
【請求項3】
前記半水石膏は、廃棄された石膏ボードに由来するものであり、
前記細粒土は、乾燥状態の浄水汚泥である
請求項2に記載の固化材。
【請求項4】
前記半水石膏は、重量比48パーセント以上52パーセント以下であり、
前記浄水汚泥は、重量比8パーセント以上12パーセント以下であり、
前記生石灰、前記消石灰又は前記セメントは、重量比38パーセント以上42パーセント以下である
請求項3に記載の固化材。
【請求項5】
廃棄された石膏ボードを破砕分離し加熱することにより、半水石膏を生成する工程と、
生成された前記半水石膏が45重量パーセント以上65重量パーセント、かつ、乾燥状態の浄水汚泥が5重量パーセント以上となるように、前記半水石膏と、前記浄水汚泥と、生石灰、消石灰又はセメントとを混合する工程と
を有する固化材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固化材、及び、固化材の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、石膏の芯材の両面がボード用原紙で被覆された廃石膏ボードの再利用において、ボード用原紙を芯材から分離せずに芯材と一体のままの状態で全体を粉砕、乾燥して、汚泥の改良剤とする廃石膏ボードの再利用方法が開示されている。
また、特許文献2には、無機粉末100質量部、および増粘用材料0.01~50質量部を含む土壌造粒用添加材であって、上記無機粉末は、好ましくはブレーン比表面積が1500g/cm以上で、かつ、炭酸カルシウム粉末、半水石膏、無水石膏、ベントナイト、ゼオライト、珪石粉末、石炭灰、頁岩粉末、セピオライト、活性炭、活性白土、珪藻土、およびドロマイトの中から選ばれる1種以上である土壌造粒用添加材が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-161895号公報
【特許文献2】特開2018-100409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、石膏を有効利用することを目的とする。特に、廃棄された石膏ボードを有効利用することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る固化材は、45重量パーセント以上65重量パーセント以下の半水石膏と、5重量パーセント以上の細粒土と、生石灰又はセメントとを含む。例えば、廃棄された石膏ボードのリサイクルが進まない現状において、比較的多くの半水石膏を固化材の一部として再利用することで、石膏ボードのリサイクル率向上が期待できる。
【0006】
好適には、前記半水石膏は、石膏ボードに由来するものである。
【0007】
好適には、前記半水石膏は、廃棄された石膏ボードに由来するものであり、前記細粒土は、乾燥状態の浄水汚泥である。これにより、廃棄された石膏ボードだけでなく、浄水汚泥も再利用することができる。
【0008】
好適には、前記半水石膏は、重量比48パーセント以上52パーセント以下であり、前記浄水汚泥は、重量比8パーセント以上12パーセント以下であり、前記生石灰又は前記セメントは、重量比38パーセント以上42パーセント以下である。
【0009】
本発明に係る固化材の製造方法は、廃棄された石膏ボードを破砕分離し加熱することにより、半水石膏を生成する工程と、生成された前記半水石膏が45重量パーセント以上65重量パーセント、かつ、乾燥状態の浄水汚泥が5重量パーセント以上となるように、前記半水石膏と、前記浄水汚泥と、生石灰又はセメントとを混合する工程とを有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、廃棄された石膏ボードを有効利用できる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る実施形態を説明する。
本実施形態の固化材は、45重量パーセント以上65重量パーセント以下の半水石膏と、5重量パーセント以上の細粒土と、生石灰又はセメントとを含む。より具体的には、半水石膏が、重量比48パーセント以上52パーセント以下であり、細粒土が、重量比8パーセント以上12パーセント以下であり、生石灰又はセメントは、重量比38パーセント以上42パーセント以下である。
【0012】
固化材に含まれる半水石膏は、石膏ボードに由来するものである。より具体的には、半水石膏は、廃棄された石膏ボードを破砕分離して得られた二水石膏を、乾燥炉において100℃~120℃で24時間加熱して得られたものである。
固化材における半水石膏の含有率は、重量比で45%~65%である。より具体的には、重量比で48%~52%である。
【0013】
固化材に含まれる細粒土は、例えば、乾燥状態の浄水汚泥である。
固化材における浄水汚泥の含有量は、重量比で5%以上である。より具体的には、重量比で8%~12%である。浄水汚泥を上記の比率で含有させることにより、半水石膏から硫化水素やフッ素が発生又は溶出することを抑制できる。
【0014】
固化材における生石灰又はセメントの含有量は、重量比で38%~42%である。つまり、本実施形態の固化材は、生石灰が添加された石灰系固化材であってもよいし、セメントが添加されたセメント系固化材であってもよい。なお、生石灰に代えて、消石灰を含有させてもよい。
【0015】
[固化材の製造方法]
本実施形態における固化材の製造方法は、廃棄された石膏ボードを破砕分離し加熱することにより、半水石膏を生成する第1の工程と、生成された半水石膏が45重量パーセント以上65重量パーセント、かつ、乾燥状態の浄水汚泥が5重量パーセント以上となるように、半水石膏と、浄水汚泥と、生石灰又はセメントとを混合する第2の工程とを有する。
第1の工程において、廃棄された石膏ボードは、破砕分離されて、二水石膏が得られる。得られた二水石膏は、乾燥炉において100℃~120℃で6時間以上加熱されることにより、半水石膏となる。例えば、110℃前後の乾燥炉で24時間加熱することにより、二水石膏から半水石膏が得られる。なお、加熱条件は、乾燥炉の温度を130℃前後にし、加熱時間をより短いものとしてもよい。
第2の工程において、より具体的には、半水石膏が50重量%、生石灰が40重量%、乾燥状態の浄水汚泥が10重量%となるように混合され、固化材が得られる。
【0016】
以上説明したように、本実施形態における固化材によれば、半水石膏から溶出する硫化水素やフッ素を抑制しながら、比較的多量の半水石膏を活用でき、廃棄された石膏ボードのリサイクルが促進される。
また、添加された半水石膏は、単に含水率を低下させるためだけの土の代替(増量材)としてではなく、土粒子との水和反応に伴う化学的固化にも寄与する。
比較的多量の半水石膏と石灰を混合することにより、特有の強度発現が期待できる。