(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023055249
(43)【公開日】2023-04-18
(54)【発明の名称】IoT情報管理におけるセンサー情報と測定対象物の紐づけ手段
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/0833 20230101AFI20230411BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20230411BHJP
【FI】
G06Q10/08 306
G16Y10/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021164435
(22)【出願日】2021-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】301032621
【氏名又は名称】株式会社藤田電機製作所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 俊輔
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA16
(57)【要約】 (修正有)
【課題】物流システムにおいて使用されるパレット貨物のようにセンサー制御機能やインターネットへの接続を実現する機能を全く有していないThings(モノ)とセンサーモジュール間の紐づけ(Link)プロセスを実現する制御システムを提供する。
【解決手段】IoTシステムにおいて、センサーモジュールとセンサーモジュールの測定対象物間の紐づけ(Link)作業を、パレットの置かれている倉庫現場でのセンサーを読み取るタイミングで、測定対象物に貼付されたバーコードを読込み、該バーコード情報をセンサーモジュールのLink情報格納エリアに記録し、該バーコード情報をセンサー情報の一つとして扱うことによって実現する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサーの測定対象物となる貨物とセンサー情報を発出するモジュールとの紐づけ(Link)プロセスを、PDAやスマホなどによりセンサー情報を読込む一連の操作の中で実現する制御システム。
【請求項2】
センサーの測定対象物となる貨物とセンサー情報を発出するモジュールとの紐づけ(Link)プロセスを、PDAやスマホなどによりセンサー情報を読込む一連の操作の中で、該センサー測定対象物(貨物)を他のセンサー測定対象物(貨物)と識別するために貼付されているバーコードラベルを読込み、センサーモジュールのメモリーに記録することにより実現する制御システム。
【請求項3】
センサーの測定対象物となる貨物とセンサー情報を発出するモジュールとの紐づけ(Link)プロセスを、PDAやスマホなどによりセンサー情報を読込む一連の操作の中で、該センサー測定対象物(貨物)を他のセンサー測定対象物(貨物)と識別するために貼付されている品番シールを読込み、センサーモジュールのメモリーに記録することにより実現する制御システム。
【請求項4】
センサーの測定対象物となる貨物とセンサー情報を発出するモジュールとの紐づけ(Link)プロセスを、PDAやスマホなどによりセンサー情報を読込む一連の操作の中で、該センサー測定対象物(貨物)を他のセンサー測定対象物(貨物)と識別するために貼付されているRFIDを読込み、センサーモジュールのメモリーに記録することにより実現する制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IoT(Internet of Things)導入のビジネス価値を上げるために、センサー制御機能やインターネットへの接続を実現する機能を全く有していないThings(モノ)とセンサー情報の紐づけ(Link)プロセスを、運用現場において、現場・現物・現実の状態変化に適合した形で、柔軟に、簡単にかつ確実に実現するものである。
【背景分野】
【0002】
これからは、IoT(Internet of Things)の時代になるといわれてから早10年。しかし、日本では、その世界が広がったとは言い難い。(2021年9月時点)
【0003】
身の回りに多数のセンサーが配置され、毎年1兆個(トリリオン)を超えるペースで増えていくIoT(Internet of Things)の世界が来ると米国で叫ばれ始めたのが2010年前後。構造化前のデータをあえてため込むビッグデータやIoTの前身ともいえるM2Mも含めると20年近い時間が経っている。
【0004】
ところが、少なくとも日本ではIoTの世界が来たとはいえない状況だ。半導体工場など一部の先進的な工場ではセンサーによる監視が普及しているが、一般の工場あるいは企業活動や我々の生活の中にインターネットにつながるセンサーが多数普及したとは言い難い。
【0005】
普及が進んでいない理由はほぼ明らかで大きく2つある。
(1) 何のためにそれをするのかという目的がなかったあるいは後回しにした。
(2) IoTを導入してもフィードバックや次のアクションの自動化を前提にしていないからだ。
【0006】
(1)の無目的は、ビッグデータなどでは、むしろ推奨された。「とにかく、センサーをばらまいてデータを収集しておけば、それが後に宝の山になる」と言われたのである。しかし、これでは企業は本格的な予算を割けない。
【0007】
(2)のフィードバックの仕組みを前提にしていない点も、センサーによるデータの自動収集の意味を半減させてしまう。
【0008】
以上、日経エレクトロニクス2021年9月号に掲載された「こんなとこにもイジングマシン~データデモクラシー社会が誕生へ~」記事から転載。
【0009】
このIoTが無目的や無アクションのままで、ビジネス価値をなかなか生まない(IoT導入効果が高く評価されない)理由の一つに、IoT導入にあたって、IoTのThings(モノ)側に対する層別不足から、ビジネス価値を生む(IoT導入効果が高く評価される)ために必要なThings(モノ)とセンサー情報の紐づけ(Link)機能整備が後回しになっていることが考えられる。
【0010】
Things(モノ)が、前述の半導体工場など一部の先進的な工場設備のようにThings(モノ)自体にインテリジェント機能を有し、Things(モノ)とセンサー情報が一対一の固定モデルの場合は、Things(モノ)本来の機能に、既にセンサー制御機能やインターネットへの接続機能を実現するための基本機能を有しており、あえてIoTをうたって新たな技術を導入する必要がない場合が多い。従って、この場合は、導入目的も明確になり、フィードバックやアクションも取られて、IoT導入によるビジネス価値も得られることになるが、あえてIoT導入効果のおかげという評価にはならない。
【0011】
一方、例えば、物流システムで使用されるパレット貨物などのようにThings(モノ)自体がセンサー制御機能やインターネットへの接続を実現する機能とは無縁な場合は、センサー制御機能やインターネットへの接続を実現する機能などの新たな技術を導入して初めてIoTシステムが実現することにる。そして、IoTの対象領域としては、このThings(モノ)自体がセンサー制御機能やインターネットへの接続を実現する機能とは無縁なThings(モノ)に対する領域の方が圧倒的に多く、またこの領域において導入効果が得られた場合に、初めてIoT導入のおかげという高い評価が得られることにつながる。
【0012】
Things(モノ)とセンサーモジュールの組合せが、一対一の固定的な運用ではなく、時間とともに変ってしまう場合、センサーモジュールがThings(モノ)に設置されるたびに紐づけ(Link)プロセスをやり直す必要があるが、そのThings(モノ)とセンサーモジュールの紐づけ(Link)プロセスの実現手段としては、上位システムに構築されたデーターベース上の理論値として、あらかじめ各々の識別子を紐付ける(Link)手段が考えられるが、理論値優先になることもあり、運用現場での現場・現物・現実の状態変化に対して、柔軟な対応が難しいシステムになったり、あるいはIT化には程遠い人海戦術の台帳管理システムで運用する内容であった。
【発明の概要】
【0013】
本発明は、物流システムにおいて使用されるパレット貨物のようにセンサー制御機能やインターネットへの接続を実現する機能を全く有していないThings(モノ)とセンサーモジュール間の紐づけ(Link)プロセスの実現するための環境がまだ整備されていないという課題を解決し、IoTにおけるThings(モノ)とセンサーモジュール間の紐づけ(Link)プロセスを、運用現場で、柔軟に、現場・現物・現実の状態変化に適合した形で、柔軟に、簡単にかつ確実に実現できることを可能にするものである。
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従来は、IoTにおけるThings(モノ)とセンサーモジュール間の紐づけ(Link)プロセスは、Things(モノ)とセンサーモジュールが一対一の固定的な関係を想定した手段として、例えば、貨物に貼付されたバーコード番号やセンサーモジュールに記録された管理番号を、上位システムのデーターベースで管理する方法のように、あらかじめ運用現場の状態を規制してしまうシステムになってしまい、その運用登録作業を運用現場の状態変化に合わせて実現することは、パレットの置かれている倉庫現場などにおいては、現実的な作業方法としては柔軟性に欠けるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、IoTシステムにおいて、センサーモジュールとセンサーモジュールの測定対象物間の紐づけ(Link)作業を、パレットの置かれている倉庫現場でのセンサーを読み取るタイミングで、例えば、測定対象物に貼付されたバーコードを読込み、該バーコード情報をセンサーモジュールのLink情報格納エリアに記録し、該バーコード情報をセンサー情報の一つとして扱うことによって、運用現場で、現場・現物・現実の状態変化に適合した形で、柔軟に、簡単にかつ確実に実現できる技術である。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、IoTシステムにおけるセンサーモジュールとセンサーモジュールの測定対象物間の紐づけ(Link)プロセスを、パレット貨物の置かれている倉庫現場でのセンサー情報を読み取るタイミングで、例えば、測定対象物に貼付されたバーコードを読込むことにより実現し、Link情報をセンサー情報の一つとして取り扱うことができ、Things(モノ)に関する情報を、運用現場で、柔軟に、現場・現物・現実の最新状態に適合した形で、簡単に、かつ確実に活用できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】は、パレットに積載された貨物に貼付された該貨物の識別子(バーコード情報)を、PDAやスマホなどで読出し、そのままサーバーに転送する貨物物流管理システムの機器構成図である。
【0018】
【
図2】は、パレットに積載された貨物に設置された該貨物の保管温度を記録するデータ―ロガーのデータを、PDAやスマホなどで読出し、そのままサーバーに転送する貨物温度管理システムの機器構成図である。
【0019】
【
図3】は、パレットに積載された貨物に貼付された該貨物の識別子(例えばバーコード情報)を、PDAやスマホなどで読出し、該貨物に設置された該貨物の保管温度を記録するデーターロガーのメモリーに、該PDAや該スマホなどで書き込む貨物物流温度管理システムの機器構成図である。
【0020】
【
図4】は、パレットに積載された貨物に貼付された該貨物の識別子(例えばバーコード情報)を、PDAやスマホなどで読出し、該貨物に設置された該貨物の保管温度を記録するデーターロガーのメモリーに、該PDAや該スマホなどで書き込み、該貨物の識別情報(例えばバーコード情報)を、該データ―ロガーの温度情報の一部として、サーバーに転送する物流温度管理システムの機器構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、IoTシステムにおけるセンサーとセンサーの測定対象物の紐づけ(Link)プロセスを、パレットの置かれている倉庫現場でのセンサーを読み取るタイミングで、測定物に貼付されたバーコードを読込むことにより実現し、Link情報をセンサー情報の一つとして取り扱うことができ、IoT導入のビジネス価値を向上させる利点がある。
【実施例0022】
本発明の一実施例を、パレットに積載された貨物の物流温度管理システムを例にとり、
図4を参照して説明する。
【0023】
図4に示すように、パレットに積載された貨物の識別情報としてバーコードラベルの内容を読取り、該識別情報を該貨物の周辺雰囲気温度を管理するための温度データ―ロガーのメモリに記録することにより、該貨物と該データ―ロガーが物理的に組み合わされた時点に同期して、該貨物と該データ―ロガーが情報として一対一に紐づけ(Link)されることになり、パレットに積載された貨物の物流温度管理システムにおいて、サーバーに転送された全ての温度データに、どの貨物の温度データであるかの識別情報が付加されていることになる。