(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023055281
(43)【公開日】2023-04-18
(54)【発明の名称】タッチスイッチ装置
(51)【国際特許分類】
H01H 36/00 20060101AFI20230411BHJP
G09F 13/18 20060101ALI20230411BHJP
H01H 9/18 20060101ALI20230411BHJP
【FI】
H01H36/00 L
G09F13/18 K
H01H9/18 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021164479
(22)【出願日】2021-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】000201814
【氏名又は名称】双葉電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116942
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 雅信
(74)【代理人】
【識別番号】100167704
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 裕人
(72)【発明者】
【氏名】二瓶 光由
【テーマコード(参考)】
5C096
5G046
5G052
【Fターム(参考)】
5C096AA22
5C096AA24
5C096AA27
5C096BA01
5C096CA02
5C096CA22
5C096CB02
5C096CC06
5C096CD02
5C096CD14
5C096CD23
5C096FA12
5C096FA17
5C096FA18
5G046AB02
5G046AC22
5G046AD13
5G046AE02
5G052AA23
5G052AA40
5G052BB10
5G052JA02
5G052JA07
5G052JB05
5G052JB12
5G052JC04
(57)【要約】
【課題】設計や製造の工数を削減し、タッチスイッチ装置の小型化を実現する。
【解決手段】タッチスイッチ装置は、操作面に表示領域が形成されている操作パネルと、前記操作面の背面側に配置され、光を前記表示領域に導く導光部材と、前記操作面の背面側に前記導光部材を避けて配置され、前記導光部材に光を照射する発光部が前記背面と対向しない面に設けられている回路基板と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作面に表示領域が形成されている操作パネルと、
前記操作面の背面側に配置され、光を前記表示領域に導く導光部材と、
前記操作面の背面側に前記導光部材を避けて配置され、前記導光部材に光を照射する発光部が前記背面と対向しない面に設けられている回路基板と、を備える
タッチスイッチ装置。
【請求項2】
前記回路基板には、前記導光部材を避けるための挿通孔又は切欠が形成されている
請求項1に記載のタッチスイッチ装置。
【請求項3】
前記操作面と垂直の方向を第1方向とすると、
前記発光部が、前記導光部材の前記第1方向における側面と前記発光部の発光面とが対向するように配置されている
請求項1又は請求項2に記載のタッチスイッチ装置。
【請求項4】
前記発光部が、前記導光部材の前記側面の前記第1方向における中央部で前記発光面が対向するように配置されている
請求項3に記載のタッチスイッチ装置。
【請求項5】
前記導光部材が前記操作パネルの前記回路基板側に複数配置され、
前記回路基板には複数の前記導光部材のそれぞれに対応する前記発光部が配置されている
請求項1から請求項4の何れかに記載のタッチスイッチ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチ操作検出を行うタッチスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
各種機器を操作するための例えば静電容量式などのタッチスイッチ装置が知られている。このタッチスイッチ装置の操作面には、ユーザに視認させるための複数の表示領域が設けられており、それぞれの表示領域に機器内部から光を照射することで、各表示領域に形成された文字、記号、絵、模様などの表示パターンを操作面に浮かび上がらせることができる。
【0003】
例えば特許文献1では、LED(Light Emitting Diodes)などの発光部が、操作面の背面と対向する位置に離隔して設けられており、操作面に形成された表示領域を当該発光部により照射することで、表示領域に形成された表示パターンを操作面に浮かび上がらせるタッチスイッチ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のように操作面の背面と対向する位置に発光部を設けると、その制御基板などの部材が操作面から離隔して配置される。このような配置においてはタッチスイッチ装置の小型化が困難であった。
【0006】
また、操作面には表示領域が複数設けられているところ、発光部が操作面の背面から離隔して設けられている関係上、或る表示領域を照射するための発光部からの光が、照射対象でない他の表示領域まで照射してしまうことがあった。そのため、各発光部からの光が他の表示領域へ入光することを避けるために、発光部及びその照射対象となる表示領域を備える空間を、周囲に遮光壁などを設けることにより区切る必要があった。このような遮光壁などの部品点数の増加は、タッチスイッチ装置の機能を向上させる反面、設計や製造の工数の増加を招いていた。
【0007】
そこで本発明では、タッチスイッチ装置の機能を確保しつつ設計や製造の工数を削減し、タッチスイッチ装置の小型化を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るタッチスイッチ装置は、操作面に表示領域が形成されている操作パネルと、前記操作面の背面側に配置され、光を前記表示領域に導く導光部材と、前記操作面の背面側に前記導光部材を避けて配置され、前記導光部材に光を照射する発光部が前記背面と対向しない面に設けられている回路基板と、を備えるものである。
【0009】
これにより、発光部が設けられている回路基板が操作パネルに近接して配置される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、タッチスイッチ装置の機能を確保しつつ設計や製造の工数を削減し、タッチスイッチ装置の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施の形態におけるタッチスイッチ装置の装着状態を示す図である。
【
図2】第1の実施の形態におけるタッチスイッチ装置の正面図である。なお、本図は操作パネルの正面図でもある。
【
図4】タッチスイッチ装置を下縁側からみた側面図である。
【
図6】操作パネルに形成された表示領域の一部を抽出して示した拡大図である。
【
図8】導光部材と回路基板の発光部との位置関係を模式的に示す図である。
【
図10】導光部材に対する発光部の配置範囲の概念図である。
【
図11】第2の実施の形態におけるタッチスイッチ装置の背面図である。
【
図12】タッチスイッチ装置を下縁側からみた側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施の形態について
図1から
図12を参照して説明する。なお、本実施の形態の説明にあたり参照する図面に記載された構成は、本実施の形態を実現するにあたり必要な要部及びその周辺の構成を抽出して示している。また図面は模式的なものであり、図面に記載された各構造の厚みと平面寸法の関係、比率等は一例に過ぎない。従って、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲であれば設計などに応じて種々な変更が可能である。
【0013】
実施の形態におけるタッチスイッチ装置1(1A)は、例えば
図1に示すように、電子機器100におけるユーザインターフェース装置として装着されている。タッチスイッチ装置1(1A)は、電子機器100の他にも通信機器、情報処理装置、製造設備機器、工作機械、車両、航空機、建物設備機器、その他非常に多様な分野の各種機器に装着することができる。タッチスイッチ装置1(1A)は、これらの各種機器においてユーザの操作入力に用いるデバイスとして採用される。
【0014】
なお、ユーザの操作入力には、ユーザによるタッチや押圧による操作を含むものとする。またこの操作入力は、ユーザの指、又はスタイラスによるものを含むものとする。
【0015】
第1の実施の形態におけるタッチスイッチ装置1の構成例について
図2から
図10を参照して説明する。タッチスイッチ装置1は例えば静電容量式タッチスイッチとされ、ユーザによる操作入力に応じた容量変化に基づいてタッチ検出が行われる。
【0016】
図2及び
図3に示すように、タッチスイッチ装置1は、前面11とその背面側の後面12とを有する平板状に形成されている。
【0017】
以下の説明にあたっては、前面11と後面12を有するタッチスイッチ装置1の側縁をそれぞれ上縁13、下縁14、左縁15、右縁16として前後上下左右の方向を示すものとする。またこのとき、前面11と後面12のある前面側と後面側を結ぶ前後方向を厚み方向、上縁13と下縁14のある上縁側と下縁側を結ぶ上下方向を高さ方向、左縁15と右縁16のある左縁側と右縁側を結ぶ左右方向を幅方向ともする。なお、前面11と後面12は平面に限らず、全部又は一部が曲面に形成されていてもよい。
【0018】
図2から
図4に示すように、タッチスイッチ装置1は、操作パネル2、導光部材3、表示機器4、回路基板5、及び外部接続リード6を備えている。
【0019】
図2及び
図5に示すように、操作パネル2は、表示機器4を配置するための配置領域7と、ユーザが操作入力を行う操作キーとしての部分となる複数の表示領域8とを有している。
【0020】
また
図4に示すように、操作パネル2は、ガラス基板21、センサ電極22、絶縁層23、第1加飾印刷層24、及び第2加飾印刷層25を備えている。
【0021】
ガラス基板21は、例えばソーダライム硝子等で形成された誘電体層である。ガラス基板21の前面側に図示しない保護フィルムが貼付されることで操作パネル2の操作面が形成される。
【0022】
ガラス基板21の後面側には、センサパターンや引き出し配線が設けられたセンサ電極22が配置されている。
【0023】
センサ電極22における配線は、図示しないコネクタを介して回路基板5上に設けられた図示しないタッチ検出のためのIC(Integrated Circuit)に接続されている。
【0024】
センサ電極22の後面側には、センサ電極22を被覆するように絶縁層23が形成されている。絶縁層23はセンサ電極22の保護膜として機能する。ここでは絶縁層23の表面が操作パネル2の後面とされる。
【0025】
またセンサ電極22の前面側には、センサ電極22を被覆するように第1加飾印刷層24が形成されている。第1加飾印刷層24は、例えば表示領域8に照射される光を面方向に均一化するための拡散インクや、光の透過率を調整するためのグレースモーク、光に色を付加するためのフィルタなどが被覆されて形成されている。第1加飾印刷層24では、これらの全部又は一部を必要に応じて任意の順番に被覆することができる。なお、第1加飾印刷層24はセンサ電極22の前面側又は後面側の何れに被覆されていてもよく、操作パネル2において第1加飾印刷層24を形成しないこととしてもよい。
【0026】
また第1加飾印刷層24の前面側には、第1加飾印刷層24を被覆するように第2加飾印刷層25が形成されている。第2加飾印刷層25は絶縁性を有しており、センサ電極22や第1加飾印刷層24の保護膜として機能する。
【0027】
図6は、第2加飾印刷層25の表示パターンの一例として、
図2の領域ARを拡大して示している。
【0028】
第2加飾印刷層25は、文字、記号、模様、図柄等の表示パターンとなる非遮光部26を除き、センサ電極22を部分的に被覆するように形成されている。第2加飾印刷層25は、光の透過率がゼロ又はゼロに近い遮光性を有している。ここでは、第2加飾印刷層25が被覆されている部分を遮光部27とする。ここでは
図6Aに示すように、遮光部27に対して星形の図形を示す部分及びその外枠の図形を示す部分が非遮光部26として形成されている。
【0029】
表示領域8の後面に光が照射されていない状態において、例えば
図6Bに示すように、非遮光部26により形成された表示パターンはユーザが視認し難い状態となる。
【0030】
一方で、表示領域8の後面に光が照射されている状態においては、非遮光部26から光が透光することで、例えば
図6Aに示すように表示パターンが浮かび上がり、ユーザに視認可能な状態となる。
【0031】
それぞれの表示領域8において、遮光部27と非遮光部26を有する表示パターンが形成されている。
【0032】
図3及び
図5に示すように、導光部材3は平板状に形成されており、前面が操作パネル2の後面の表示領域8に貼り合わされることで配置されている。導光部材3には、入光された光を表示領域8に対向する面に導くための所定の光学設計が施されている。複数の表示領域8のそれぞれに導光部材3が配置されている。
【0033】
表示機器4は、電子機器100の機能を発揮させるのに必要な各種表示を行う。表示機器4は、例えばOLED(Organic Light Emitting Diodes)であり、操作パネル2の後面の配置領域7に配置されている。表示機器4は、例えば回路基板5上に設けられた図示しないICに接続されている。
【0034】
図7に示すように、回路基板5は、例えばプリント基板であり、ベース部51と発光部52を備えている。
【0035】
ベース部51は平板状に形成され、後面に複数の発光部52が設けられている。発光部52は例えばLEDチップである。発光部52は、例えば回路基板5上に設けられた図示しないICに接続されている。
【0036】
ベース部51の前面は操作パネル2の後面に貼合わされることで、操作パネル2に回路基板5が配置されている。これにより、操作パネル2に回路基板5が近接して配置され、タッチスイッチ装置1の小型化が図られている。
【0037】
またベース部51には、複数の挿通孔53が厚み方向に開口して形成されている。各挿通孔53は、回路基板5を操作パネル2に配置したときに、
図3及び
図4に示すように、表示領域8に配置された導光部材3が挿通されるようにそれぞれ形成されている。即ち、回路基板5は、導光部材3を避けるように操作パネル2の後面に配置される。これにより、導光部材3と回路基板5が操作パネル2に配置された状態において、回路基板5と導光部材3を同一平面上に並列に配置することができるため、タッチスイッチ装置1の薄型化、小型化を図ることができる。
【0038】
挿通孔53に導光部材3が挿通された状態において、発光部52は、
図8に示すように、導光部材3の厚み方向(操作パネル2の操作面と垂直の方向)における側面31と発光部52の発光面52aとが対向するように配置されている。
【0039】
発光面52aから出力された光は、導光部材3の側面31に入光し、前面32に導かれる。前面32からの光が表示領域8に照射されることで、
図6Aに示すような表示パターンが操作パネル2の操作面に浮かび上がる。
【0040】
このように、発光部52からの光を表示領域8に導く導光部材3を設けることで、表示領域8と対向する位置に発光部52の発光面52aを設ける必要がなくなり、発光部52の配置の自由度が向上する。そのため、ベース部51の後面に発光部52を設けることが可能となり、操作パネル2と発光部52を有する回路基板5とを近接して配置することができるようになる。これにより、タッチスイッチ装置1のより一層の薄型化、小型化が図られる。
【0041】
また導光部材3の側面31に発光部52の発光面52aが向かい合うように配置されることで、発光部52による発光が、照射対象でない他の導光部材3に干渉することを大幅に軽減することができる。これにより、例えば発光部52及びその照射対象となる表示領域8を備える空間の周囲に遮光壁などの部材を設ける必要がなくなる。従って、タッチスイッチ装置1の部品点数を削減することができ、その結果、設計や製造の工数を削減することができる。
【0042】
このとき、導光部材3の側面31と発光部52の発光面52aの間にはある程度の隙間が設けられているが、発光部52には例えばLEDなどの光の直進性が高いものが採用されるため、発光面52aからの光が他の導光部材3に干渉することはほとんどないといえる。
【0043】
また導光部材3の側面31の厚み方向における何れかの位置に発光部52が配置されていれば光を入射することができるため、発光部52の位置や大きさの設計自由度が向上するとともに、導光部材3の側面31に対する厚み方向における発光部52の組立公差を緩和することができる。
【0044】
図8に示すように、発光部52は、導光部材3の側面31の厚み方向における中央部で発光面52aが対向するように配置されていることが望ましい。
【0045】
導光部材3に対する発光部52の位置は、配置するベース部51の厚み方向の長さに応じて規定される。例えば厚み方向の長さが3mmの導光部材3に対して、厚み方向の長さが1mmのベース部51の後面に厚み方向の長さが1mmの発光部52を設けることで、導光部材3の厚み方向における中央部に発光部52が配置される。
【0046】
このような配置とすることで、
図9に示すように、発光面52aからの光の照射範囲が導光部材3の側面31に含まれることとなり、導光部材3に入射する光量を十分に確保することができる。
【0047】
換言すれば、導光部材3の厚み方向における中央部は、発光面52aからの光の照射範囲が導光部材3の側面31に含まれるような発光部52の位置であればよい。即ち、例えば
図10に示すように、照射範囲が側面31に含まれる発光部52の厚さ方向における配置範囲を幅Lとしたときに、幅Lの範囲内に発光面52aが含まれるように発光部52が配置されていればよい。
【0048】
なお、ベース部51には、他にも配置領域7に配置された表示機器4を避けるための切欠54が形成されている。またベース部51の後面には、外部接続リード6を接続するためのコネクタ55が設けられている。コネクタ55は、センサ電極22、表示機器4、発光部52などにそれぞれ接続された各種ICと接続されている。従って、外部の制御装置に外部接続リード6を接続するだけで、タッチ検出や表示機器4の表示、発光部52の発光などの各種制御を行うことができる。
【0049】
続いて第2の実施の形態におけるタッチスイッチ装置1Aの構成例について、
図11及び
図12を参照して説明する。本実施の形態におけるタッチスイッチ装置1Aは、回路基板5に替えて回路基板5Aを有している点で第1の実施の形態と異なる。なお、以下では第1の実施の形態と共通の部分については同一符号を付し、説明を省略するものとする。
【0050】
本実施の形態の回路基板5Aは、
図7の挿通孔53に替えて切欠56が形成されている。切欠56は、例えば
図11に示すように、複数の導光部材3を避けるように形成されている。導光部材3を避けるための空間を切欠56により設けることで、
図7のように導光部材3ごとに対応する挿通孔53を設けるよりも設計や製造の工数を削減することができる。
【0051】
また切欠56により形成される空間に導光部材3が配置された状態において、発光部52は、発光面52aが導光部材3の厚み方向における側面31と対向する位置に配置されている。このとき、複数の発光部52が一つの導光部材3に対して向かい合うようにそれぞれ配置されている。これにより、導光部材3の大きさに応じて十分な光量を入光することができるようになる。また、一つの導光部材3に対して配置する発光部52の数は、導光部材3の大きさに応じて自由に設計することが可能であり、一つの導光部材3に対して1又は3以上の発光部52を配置することもできる。
【0052】
最後に、本開示に記載された効果は例示であって限定されるものではなく、他の効果を奏するものであってもよいし、本開示に記載された効果の一部を奏するものであってもよい。また、実施の形態で説明されている構成の組み合わせの全てが課題の解決に必須であるとは限らない。
【符号の説明】
【0053】
1、1A タッチスイッチ装置
2 操作パネル
3 導光部材
5、5A 回路基板
8 表示領域
31 側面
52 発光部
52a 発光面