(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023055306
(43)【公開日】2023-04-18
(54)【発明の名称】食用菊パウダー製品及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 19/00 20160101AFI20230411BHJP
【FI】
A23L19/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021164548
(22)【出願日】2021-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】504198326
【氏名又は名称】山本 允之
(74)【代理人】
【識別番号】100067758
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 綾雄
(72)【発明者】
【氏名】山本 允之
【テーマコード(参考)】
4B016
【Fターム(参考)】
4B016LE02
4B016LG16
4B016LP01
4B016LP03
4B016LP06
4B016LP08
4B016LP10
4B016LP13
4B016LT08
4B016LT09
(57)【要約】
【課題】
アピゲニンを含む惣菜の原料として用いられる食用菊のパウダー製品を低コストで提供する。
【解決手段】
食用菊を花びらと葉っぱと茎とに分離してそれぞれを保管し、保管した食用菊の花びらと葉っぱと茎とを水洗いする。水洗いした食用菊の花びらと葉っぱと茎とを粗切断機で粗切断し、粗切断した食用菊の花びらと葉っぱと茎を蒸した後、乾燥させ、粗粉砕機で粗粉砕する。粗粉砕後、微小化粉砕機を用いてナノサイズの微小粒子状に粉砕する。これにより、アピゲニンを含む食用菊の花びらと葉っぱと茎を水溶性のある混合乾燥パウダーとし、袋に詰め製品とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食用菊を花びらと葉っぱと茎とに分離してそれぞれを保管し、保管した食用菊の花びらと葉っぱと茎とを水洗いし、水洗いした食用菊の花びらと葉っぱと茎とを粗切断機で粗切断し、粗切断した食用菊の花びらと葉っぱと茎を微小化粉砕機を用いて微小粒子状に粉砕し、食用菊の花びらと葉っぱと茎を水溶性のある混合乾燥パウダーとし、水溶性のある食用菊の花びらと葉っぱと茎の混合乾燥パウダーを袋に詰めたことを特徴とする食用菊パウダー製品。
【請求項2】
前記食用菊が阿房宮であることを特徴とする請求項1に記載の食用菊パウダー製品。
【請求項3】
粗切断した食用菊の花びらと葉っぱと茎を乾燥させ、粗粉砕機で粗粉砕した後、微小粒子化粉砕機を用いナノサイズの微小粒子状に粉砕したことを特徴とする請求項1に記載の食用菊パウダー製品。
【請求項4】
粗切断した所定量の花びらと葉っぱと茎を蒸し機を用いて蒸すようにしたことを特徴とする請求項1に記載の食用菊パウダー製品。
【請求項5】
食用菊を花びらと葉っぱと茎とに分離してそれぞれを保管する食用菊分離プロセスと、保管した食用菊の花びらと葉っぱと茎とを水洗いする水洗いプロセスと、水洗いした食用菊の花びらと葉っぱと茎とを粗切断機で粗切断する粗切断プロセスと、粗切断した食用菊の花びらと葉っぱと茎を微粒子化粉砕機を用いて微小粒子状に粉砕し、食用菊の花びらと葉っぱと茎を水溶性のある混合乾燥パウダーとする粉砕プロセスと、水溶性のある食用菊の花びらと葉っぱと茎の混合乾燥パウダーを袋に詰める袋詰めプロセスとを備えたことを特徴とする食用菊パウダー製品の製造方法。
【請求項6】
粗切断した食用菊の花びらと葉っぱと茎を粗粉砕機で粗粉砕する粗粉砕プロセスと、粗粉砕した食用菊の花びらと葉っぱと茎を微粒子化乾燥粉砕機を用いて乾燥させ、ナノサイズの微小粒子状に粉砕し、食用菊の花びらと葉っぱと茎を水溶性のある混合乾燥パウダーとする乾燥・超微細化粉砕プロセスを備えたことを特徴とする請求項5に記載の食用菊パウダー製品の製造方法。
【請求項7】
粗切断した所定量の花びらと葉っぱと茎を蒸し機を用いて蒸す蒸しプロセスを備えたことを特徴とする請求項5に記載の食用菊パウダー製品の製造方法。
【請求項8】
粗切断した食用菊の花びらと葉っぱと茎を乾燥させる乾燥プロセスを備え、粗切断した食用菊の花びらと葉っぱと茎を乾燥させた後、粗粉砕プロセスに移行するようにしたことを特徴とする請求項6に記載の食用菊パウダー製品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、阿房宮、延命楽などの名称で知られる食用菊のパウダー製品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、アピゲニンは健康にとって有益な種々の効能を有することが認められるに至っており、阿房宮などの食用菊の成分の中にアピゲニンが含まれていることが判明している。
アピゲニンを原料とするサプリメントが知られているが(特許文献1参照)、総菜などの食用としては用いられていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アピゲニンを含む食用菊を食用に用いる場合、パウダーとすれば調理が容易で且つ、アピゲニンを効率的に摂取することができ極めて便利である。しかるに、食用菊の花は高価であり、コスト高となるという問題点がある。
本発明は、安価な食用菊の葉っぱや茎を用いることでコストを下げた、食材として用いることができるアピゲニンを含む食用菊のパウダーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明は、食用菊を花びらと葉っぱと茎とに分離してそれぞれを保管し、保管した食用菊の花びらと葉っぱと茎とを水洗いし、水洗いした食用菊の花びらと葉っぱと茎とを粗切断機で粗切断し、粗切断した食用菊の花びらと葉っぱと茎を微小化粉砕機を用いて微小粒子状に粉砕し、食用菊の花びらと葉っぱと茎を水溶性のある混合乾燥パウダーとし、水溶性のある食用菊の花びらと葉っぱと茎の混合乾燥パウダーを袋に詰めたことを特徴とする。
また本発明は、前記食用菊が阿房宮であることを特徴とする。
また本発明は、粗切断した食用菊の花びらと葉っぱと茎を乾燥させ、粗粉砕機で粗粉砕した後、微小粒子化粉砕機を用いナノサイズの微小粒子状に粉砕したことを特徴とする。
また本発明は、粗切断した所定量の花びらと葉っぱと茎を蒸し機を用いて蒸すようにしたことを特徴とする。
また本発明は、食用菊を花びらと葉っぱと茎とに分離してそれぞれを保管する食用菊分離プロセスと、保管した食用菊の花びらと葉っぱと茎とを水洗いする水洗いプロセスと、水洗いした食用菊の花びらと葉っぱと茎とを粗切断機で粗切断する粗切断プロセスと、粗切断した食用菊の花びらと葉っぱと茎を微粒子化粉砕機を用いて微小粒子状に粉砕し、食用菊の花びらと葉っぱと茎を水溶性のある混合乾燥パウダーとする粉砕プロセスと、水溶性のある食用菊の花びらと葉っぱと茎の混合乾燥パウダーを袋に詰める袋詰めプロセスとを備えたことを特徴とする。
また本発明は、粗切断した食用菊の花びらと葉っぱと茎を粗粉砕機で粗粉砕する粗粉砕プロセスと、粗粉砕した食用菊の花びらと葉っぱと茎を微粒子化乾燥粉砕機を用いて乾燥させ、ナノサイズの微小粒子状に粉砕し、食用菊の花びらと葉っぱと茎を水溶性のある混合乾燥パウダーとする乾燥・超微細化粉砕プロセスを備えたことを特徴とする。
また本発明は、粗切断した所定量の花びらと葉っぱと茎を蒸し機を用いて蒸す蒸しプロセスを備えたことを特徴とする。
また本発明は、粗切断した食用菊の花びらと葉っぱと茎を乾燥させる乾燥プロセスを備え、粗切断した食用菊の花びらと葉っぱと茎を乾燥させた後、粗粉砕プロセスに移行するようにしたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、安価な食用菊の葉っぱや茎を用いることで、アピゲニンを含む食用菊のパウダー製品を安価に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明に係る製造プロセスを示すブロック説明図である。
【
図2】食用菊パウダー製品の使用例を示すブロック説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に本発明の食用菊パウダー製品の製造プロセスを
図1を参照して説明する。
本発明は、以下の「表1」に示すアピゲニンを含む阿房宮を原料として用いる。
「表1」は、高速液体のクロストグラフィによる阿房宮(食用菊)のアピゲニン含有分析表である。
【0009】
【0010】
本実施形態では、パウダーの原料として防房宮2を用いているが、本発明は食用菊として防房宮に特に限定されるものではなく、他の延命楽などの食菊、料理菊と呼ばれる食用菊を用いることができる。
まず、阿房宮2を花びら6と、葉っぱ8と茎10に分離する(分離プロセス4)。食用菊の花びら6には、あらかじめ農薬が除去されているが阿房宮の葉っぱ8と、茎10には農薬が付着しているので、葉っぱ8と茎10に付着している農薬を除去する(農薬除去プロセス12)。
【0011】
次に、分離した花びら6と、葉っぱ8と、茎10を塩漬けして保管する(塩漬け保管プロセス14)。
次に、所定量、塩漬け保管してある花びら6と、葉っぱ8と茎10を所望量、保管容器から取り出し水洗いする(水洗いプロセス16)。さらに水洗いした花びら6と葉っぱ8と、茎10とをさらに水にさらして塩分を除去する(塩分処理プロセス18)。
【0012】
次に、所定量の花びら6、葉っぱ8、茎10をそれぞれ粗切断機を用いて粗切断する(粗切断プロセス20)。
次に、粗切断した所定量の花びら6、葉っぱ8、茎10を蒸し機を用いて蒸す(蒸しプロセス22)。
次に、蒸した花びら6、葉っぱ8、茎10を乾燥プロセス23により乾燥した後、粗粉砕機を用いて粗粉砕する(粗粉砕プロセス24)。
次に、粗粉砕した所定量の花びら6、葉っぱ8、茎10を微粒子化乾燥粉砕機を用いて、温度30度C~50度Cの乾燥温度状態でナノサイズの水溶性のある超微細化パウダー(粉末)とする(乾燥・超微細化粉砕プロセス26)。
【0013】
次に、花びら6、葉っぱ8、茎10の各パウダーをふるいにかけ、パウダーの残さ処理を行う(残さ処理プロセス28)。
次に、残さ処理の終わった所定量の花びら6、葉っぱ8、茎10の各パウダーを所定の割合で混合し(混合プロセス30)、混合したパウダー34を、
図3に示すように、所定量包装用のビニール袋36に詰め(袋詰めプロセス32)、パウダー製品として保管する。袋詰めした混合パウダー34の、花びら6と葉っぱ8と茎10の割り合いは、本実施形態では4:3:3としたが、特にこの比率に特定されるものではない。
【0014】
以上のプロセスにおいて、微粒子化乾燥粉砕機を用いた温度30度C~50度Cの非高温の乾燥温度状態での食用菊のナノ微細化は、食用菊をアピゲニンなどの栄養成分を損なわないで効率的に水溶性のあるパウダーとするものであり、この水溶性は、食用菊の加工食品を製造するときの煮出し工程を不要とするものである。
【0015】
以上のプロセスにおいて製造された阿房宮のパウダーに菊の色の変化はなく、またアピゲニンなどの栄養分も飛ぶことがない。
次に、製造した食用菊のパウダー34を用いて、刺身のつまやサラダや介護食として用いられる料理の惣菜を製造する工程を
図2を参照して説明する。
まず、所定量のパウダー34の水戻しを行う(水戻し工程40)。乾燥粉末食用菊を水で戻すに際しては、例えば乾燥粉末食用菊の容積に対しおよそ4倍の水を使用する。すなわち4リットルの乾燥パウダー34から約20リットルの液状原料が完成する。
【0016】
次に、パウダーに適量の冷却水を加水する(冷却水加水工程42)。
次に、冷却水を加えた液状原料にアルギン酸Na(ナトリウム)水溶液(湖料)を混合し、液状原料を混合ゲル液とする(ゲル化工程44)。
次に、押し出し成形用の食品加工機を用いて、混合ゲル液を棒状に押し出し、総菜(つま)を抽出する(押し出し抽出工程46)。
【0017】
次に、棒状の惣菜(つま)を凝固剤(塩化カルシウムCa)の入った凝固水へ注入し、総菜を凝固させる(製品凝固工程48)。
次に、総菜を水にさらし、水に酒精(発酵アルコール)を入れて、アルコール殺菌を行う(アルコール殺菌工程50)。
次に、総菜の水切りを行い(水切り工程52)、総菜の風味・目視検査を行う(風味・目視検査工程54)。
【0018】
次に、金属検査を行い(金属検査工程56)、かつ計量袋詰めの作業を行う(計量・袋詰め工程58)。
次に、総菜の外箱詰めを行い(外箱詰め工程60)、外箱に入れた惣菜を冷蔵庫に保管し(冷蔵庫保管工程62)、食用菊加工食品の全製造工程が完了する。
上記加工食品製造工程では、水溶性のパウダーを用いているため、通常は必要とされる液状惣菜原料を煮出す工程を省略でき、しかも高い歩留まりを達成できる。
本製品は、食用菊から抽出したエキスを主原料とし、アピゲニンを含む刺身のつまやサラダなどの惣菜として提供するものである。
【符号の説明】
【0019】
2 阿房宮
4 分離プロセス
6 花びら
8 葉っぱ
10 茎
12 農薬除去プロセス
14 塩漬け保管プロセス
16 水洗いプロセス
18 塩分処理プロセス
20 粗切断プロセス
22 蒸しプロセス
23 乾燥プロセス
24 粗粉砕プロセス
26 乾燥・超微細化粉砕プロセス
28 残さ処理プロセス
30 混合プロセス
32 袋詰めプロセス
34 パウダー
36 袋
40 水戻し工程
42 冷却水加水工程
44 ゲル化工程
46 押し出し抽出工程
48 製品凝固工程
50 アルコール殺菌工程
52 水切り工程
54 風味・目視検査工程
56 金属検査工程
58 計量・袋詰め工程
60 外箱詰め工程
62 冷蔵庫保管工程