(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023055307
(43)【公開日】2023-04-18
(54)【発明の名称】飲料供給装置
(51)【国際特許分類】
A47J 31/40 20060101AFI20230411BHJP
B67D 1/16 20060101ALI20230411BHJP
【FI】
A47J31/40
B67D1/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021164552
(22)【出願日】2021-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155099
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100147625
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100190333
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 群司
(72)【発明者】
【氏名】嘉藤 由秋
(72)【発明者】
【氏名】安部 道也
(72)【発明者】
【氏名】高橋 賢二
【テーマコード(参考)】
3E082
4B104
【Fターム(参考)】
3E082AA02
3E082BB01
3E082CC03
3E082EE01
3E082EE02
3E082FF09
4B104AA23
4B104BA02
4B104BA11
4B104BA43
4B104BA60
4B104BA66
4B104BA68
4B104BA90
4B104EA12
4B104EA13
4B104EA17
4B104EA18
(57)【要約】
【課題】混合容器内で飲料の粉末原料と飲料の原料水とを混合させて飲料を生成する飲料供給装置において、混合容器内の湿気を含んだ空気を排出させるためのファンの上流側に配置されるフィルタが混合容器内で飲料を生成する際に空気中に飛散する粉末原料によって詰まりにくくする。
【解決手段】飲料供給装置10は、ハウジング11内の混合容器33内で粉末原料と原料水を混合させたときに生じる湿気を含んだ粉末原料が飛散する空気を回収風路Fを通過させることで湿気を含んだ粉末原料を回収する回収手段60を備え、回収風路Fは、上下に延びる複数の風路が上部または下部にて連続するように折り返された折返構造を有し、この回収風路Fの下流部に湿気を含んだ粉末原料を捕捉するためのフィルタ67と、このフィルタ67の空気の流れる下流側にファン66とを配設した。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング内にて粉末原料容器から供給される飲料の粉末原料と原料水供給部から供給される飲料の原料水とを混合して飲料を生成するための混合容器と、
前記混合容器内で粉末原料と原料水を混合させたときに生じる湿気を含んだ粉末原料が飛散する空気を回収風路を通過させることで湿気を含んだ粉末原料を回収する回収手段と、
前記混合容器内の湿気を含んだ粉末原料が飛散する空気を前記回収風路に送出させるファンとを備えた飲料供給装置であって、
前記回収風路は、上下に延びる複数の風路が上部または下部にて連続するように折り返された折返構造を有し、
この回収風路の下流部に湿気を含んだ粉末原料を捕捉するためのフィルタと、このフィルタの空気の流れる下流側に前記ファンとを配設したことを特徴とする飲料供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載の飲料供給装置において、
前記回収手段は前記回収風路の少なくとも下流部が配置される第1回収ダクトを備え、
前記第1回収ダクト内の回収風路の下流部に前記フィルタと前記ファンとが配設されたことを特徴とする飲料供給装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の飲料供給装置において、
前記回収手段は前記混合容器から空気を受ける第2回収ダクトを備え、
前記第2回収ダクト内に前記回収風路を形成したことを特徴とする飲料供給装置。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項に記載の飲料供給装置において、
前記回収風路は、空気が流れる下流部に上側から下側に流れる下方向風路の下端部を上側に折り返して最も下流側となる上方向風路を備え、
この最も下流側となる上方向風路に前記フィルタと前記ファンを配設したことを特徴とする飲料供給装置。
【請求項5】
請求項1~4の何れか1項に記載の飲料供給装置において、
前記フィルタは、最も下流側となる風路内にて上下方向と交差する交差方向に空気が流れる向きで前記ファンより上流側に離間した位置に配置されたことを特徴とする飲料供給装置。
【請求項6】
請求項1~5の何れか1項に記載の飲料供給装置において、
前記ハウジング内の内部を、少なくとも前記粉末原料容器と前記混合容器とが配置されて飲料を生成する飲料生成室と、前記飲料生成室の後側に少なくとも前記回収風路の下流部が配置される機械室とに仕切る仕切部とを設け、
前記ハウジングまたは前記仕切部から前記フィルタを差し込んで取付可能としたことを特徴とする飲料供給装置。
【請求項7】
請求項1~6の何れか1項に記載の飲料供給装置において、
前記ハウジング内の内部を、少なくとも前記粉末原料容器と前記混合容器とが配置されて飲料を生成する飲料生成室と、前記飲料生成室の後側に少なくとも前記回収風路の下流部が配置される機械室とに仕切る仕切部とを設け、
前記仕切部には前記ファンの吸込部の近傍に前記飲料生成室内の空気を吸い込む吸込口を形成したことを特徴とする飲料供給装置。
【請求項8】
請求項1~7の何れか1項に記載の飲料供給装置において、
前記回収風路には空気の流れを蛇行させる邪魔板を設けたことを特徴とする飲料供給装置。
【請求項9】
請求項8に記載の飲料供給装置において、
前記回収風路の上側から下側に空気が流れる下方向風路にのみ前記邪魔板を設けたことを特徴とする飲料供給装置。
【請求項10】
請求項8または9に記載の飲料供給装置において、
前記回収風路は水平方向の一側部に形成された開口部が蓋部によって開閉されるケーシング内に形成されたものであり、前記蓋部に前記邪魔板が取り付けられたことを特徴とする飲料供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料の粉末原料と飲料の原料水とを混合して生成した飲料を供給する飲料供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には飲料ディスペンサ(飲料供給装置)の発明が開示されている。この飲料ディスペンサは、飲料の原料となる粉末原料を収納するための複数のキャニスタ(粉末原料容器)と、粉末原料を溶解させる湯を貯えるための貯湯タンク(原料水供給部)と、キャニスタから放出された粉末原料と貯湯タンクから放出された湯を混合するための複数のミキシングケース(混合容器)と、ミキシングケースで混合されて生成された飲料を受けるカップ等の容器を載置するためのカップステージとを備えている。この飲料ディスペンサにおいては、キャニスタから粉末原料と貯湯タンクから湯とがミキシングケース内に供給され、ミキシングケース内にて粉末原料と湯とが撹拌混合されて飲料が生成され、生成された飲料がカップステージに載置したカップ等の容器に供給される。
【0003】
この飲料ディスペンサは、ミキシングケース内で粉末原料と湯とを撹拌したときに、湯気(湿気)が上側のキャニスタの粉末原料を固化させるのを防止するために、ミキシングケース内の湯気を含んだ空気を導出するための排気通路を有したダクトと、ダクトの排気通路と接続される排気用空間が形成された導風路ケースと、ダクトの排気通路を通る空気を導風路ケースの排気用空間に送出する電動ファンと、電動ファンの空気の流入側に設けたフィルタとを備えている。ミキシングケース内の湯気を含んだ空気は電動ファンによってダクトの排気通路に吸入され、ダクト内に吸入された空気はフィルタを通過して導風路ケースの排気用空間に吸入される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この飲料ディスペンサにおいては、ミキシングケース内で粉末原料と湯とを撹拌したときに、湯気(湿気)が上側のキャニスタの粉末原料を固化させるのを防止するために、ミキシングケース内の湯気を含んだ空気をダクトを介して導風路ケースから排出させている。ミキシングケース内で粉末原料と湯とを撹拌したときには、湯気等の湿気を含む粉末原料が飛散する空気がフィルタを通過することにより、ミキシングケース内の空気中に飛散する湿気を含む粉末原料がフィルタに捕捉されることになる。フィルタに湿気を含む粉末原料が捕捉され続けると、フィルタは粉末原料が固まることで詰まるようになり、湯気を含む空気を導風路ケースの排気用空間に送出することができなくなる。この場合に、ミキシングケース内の湯気が回収されずに上昇し、ミキシングケースの上側に配置されるキャニスタの粉末原料が湯気によって固化するおそれがある。本発明は、混合容器内で飲料の粉末原料と飲料の原料水とを混合させて飲料を生成する飲料供給装置において、混合容器内の湿気を含んだ空気を排出させるためのファンの上流側に配置されるフィルタが混合容器内で飲料を生成する際に空気中に飛散する粉末原料によって詰まりにくくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を解決するため、ハウジング内にて粉末原料容器から供給される飲料の粉末原料と原料水供給部から供給される飲料の原料水とを混合して飲料を生成するための混合容器と、混合容器内で粉末原料と原料水を混合させたときに生じる湿気を含んだ粉末原料が飛散する空気を回収風路を通過させることで湿気を含んだ粉末原料を回収する回収手段と、混合容器内の湿気を含んだ粉末原料が飛散する空気を回収風路に送出させるファンとを備えた飲料供給装置であって、回収風路は、上下に延びる複数の風路が上部または下部にて連続するように折り返された折返構造を有し、この回収風路の下流部に湿気を含んだ粉末原料を捕捉するためのフィルタと、このフィルタの空気の流れる下流側にファンとを配設したことを特徴とする飲料供給装置を提供するものである。
【0007】
上記のように構成した飲料供給装置においては、回収風路は、上下に延びる複数の風路が上部または下部にて連続するように折り返された折返構造を有し、この回収風路の下流部に湿気を含んだ粉末原料を捕捉するためのフィルタと、このフィルタの空気の流れる下流側にファンとを配設している。混合容器内の湿気を含んだ粉末原料が飛散した空気は回収風路の上下に延びる複数の風路を通過するときに回収風路の内周面に付着して回収されるので、下流側に配設されたフィルタに湿気を含んだ粉末原料が付着しにくくなる。これにより、フィルタは湿気を含んだ原料粉末が付着し続けて固化することに起因する詰まりが生じにくくなる。
【0008】
上記のように構成した飲料供給装置においては、回収手段は回収風路の少なくとも下流部が配置される第1回収ダクトを備え、第1回収ダクト内の回収風路の下流部にフィルタとファンとが配設されるようにしてもよい。また、上記のように構成した飲料供給装置においては、回収手段は混合容器から空気を受ける第2回収ダクトを備え、第2回収ダクト内に回収風路を形成するようにしてもよい。
【0009】
上記のように構成した飲料供給装置においては、回収風路は、空気が流れる下流部に上側から下側に流れる下方向風路の下端部を上側に折り返して最も下流側となる上方向風路を備え、この最も下流側となる上方向風路にフィルタとファンを配設するのが好ましい。このようにしたときには、回収風路内の空気は、空気が流れる下流部にて、上側から下側に流れる下方向風路の下端部を上側に折り返して最も下流側となる上方向風路を上昇するので、湿気を含んだ粉末原料は下方向風路の下部に溜まって最も下流側となる上方向風路を上昇しにくくなる。これにより、フィルタに湿気を含んだ粉末原料がさらに付着しにくくなり、フィルタは湿気を含んだ原料粉末が付着し続けて固化することに起因する詰まりがさらに生じにくくなる。
【0010】
上記のように構成した飲料供給装置においては、フィルタは、最も下流側となる風路内にて上下方向と交差する交差方向に空気が流れる向きでファンより上流側に離間した位置に配置されるのが好ましい。このようにしたときには、最も下流側となる風路内に送られた空気はファンと離間して配置されるフィルタの全体を通過するので、フィルタの全体で湿気を含んだ粉末原料を捕捉することができるようになり、フィルタの一部にだけ湿気を含んだ粉末原料が付着し続けて固化して、フィルタの通気機能及び粉末原料の捕捉機能が低下するのを防ぐことができる。
【0011】
上記のように構成した飲料供給装置においては、ハウジング内の内部を、少なくとも粉末原料容器と混合容器とが配置されて飲料を生成する飲料生成室と、飲料生成室の後側に少なくとも回収風路の下流部が配置される機械室とに仕切る仕切部とを設け、ハウジングまたは仕切部からフィルタを差し込んで取付可能とするのが好ましい。このようにしたときには、フィルタの交換を容易にすることができるようになる。
【0012】
上記のように構成した飲料供給装置においては、少なくとも粉末原料容器と混合容器とが配置されて飲料を生成する飲料生成室と、飲料生成室の後側に少なくとも回収風路の下流部が配置される機械室とに仕切る仕切部とを設け、仕切部にはファンの吸込部の近傍に飲料生成室内の空気を吸い込む吸込口を形成してもよい。このようにしたときには、飲料を生成中に飲料生成室内に漏出した湿気や粉末原料を回収することができ、飲料生成室内を清潔に保つことができる。
【0013】
上記のように構成した飲料供給装置においては、回収風路には空気の流れを蛇行させる邪魔板を設けるのが好ましい。このようにしたときには、空気が回収風路を蛇行することで、湿気を含んだ粉末原料が回収風路内で多く付着するようになり、湿気を含んだ粉末原料の回収効率をさらに高くすることができ、フィルタは湿気を含んだ原料粉末が付着し続けて固化することに起因する詰まりがさらに生じにくくなる。この場合に、回収風路の上側から下側に空気が流れる下方向風路にのみ邪魔板を設けるのが好ましい。回収風路の下方向風路にのみ邪魔板を設けたときに、少ない邪魔板で効率よく湿気を含んだ粉末原料を回収することができる。さらに、回収風路は水平方向の一側部に形成された開口部が蓋部によって開閉されるケーシング内に形成されたものであり、蓋部に邪魔板が取り付けられるのが好ましい。このようにしたときには、蓋部を開放させることで、邪魔板をケーシング内の回収風路から取り出すことができ、邪魔板に付着した粉末原料を容易に洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図3】
図1の前面パネルを取り外した状態の斜視図である。
【
図5】ベースに形成した原料水供給口に給湯部と給水部が接続された状態を示す概略図である。
【
図7】
図3から飲料生成部と、載置部と、スチームガイド等とを前側に移動させた斜視図である。
【
図8】混合容器と、スチームガイドと、回収ダクトを示す分解斜視図である。
【
図9】回収ダクトの導入口の位置での混合容器とスチームガイドと回収ダクトの縦方向断面図である。
【
図11】飲料生成室の回収ダクトが設けられた位置の一部拡大正面図である。
【
図12】
図11からフィルタを前側に取り出した状態の一部拡大斜視図である。
【
図14】回収ダクト内の回収風路に邪魔板を設けた実施形態の前側から見た概略図である。
【
図15】他の実施形態の混合容器と、スチームガイドと、回収ダクトを示す分解斜視図である。
【
図16】他の実施形態の回収ダクトの導入口の位置での混合容器とスチームガイドと回収ダクトの縦方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の飲料供給装置の一実施形態を図面を参照して説明する。本発明の飲料供給装置10は、飲料ディスペンサとも呼ばれるものであり、カップ等の容器内に湯を含めた5種類の温かい茶等の温飲料、冷水(水)を含めた5種類の冷たい茶等の冷飲料を供給可能としている。
図1~
図4に示したように、飲料供給装置10は、略直方体形状のハウジング11内の前部に茶等の飲料を生成するための茶等の粉末原料と湯及び/または冷水(水)とを混合して飲料を生成する飲料生成室20と、ハウジング11の後部に機械室21とを備え、ハウジング11内は仕切部22によって飲料生成室20と機械室21とに仕切られている。
【0016】
図1~
図4に示したように、ハウジング11は前側が開口したハウジング本体12と、ハウジング本体12の前面開口を塞ぐ前面パネル13とを備え、前面パネル13はハウジング本体12の右側部に鉛直軸線回りに回動可能に軸支されている。
図1及び
図2に示したように、前面パネル13の下部には左右方向の中央部に開口部13aが形成されており、飲料生成室20内の下部にはこの開口部13aが形成された位置にカップ等の容器を載置する載置部23が設けられている。
図1~
図4に示したように、載置部23は、カップ等の容器を載置する受台部24と、受台部24の上側を覆うカバー部25とを備えている。受台部24は簀の子状に形成され、カップ等の容器から溢出した飲料を下側に流すことができるようになっている。受台部24の上面にはカップ等の容器を置く目印となる円形の凹部24aが形成されており、この円形の凹部24aは飲料供給部30で生成された飲料が注ぎ出される飲料注出部35aの直下に配置されている。
【0017】
図3に示したように、飲料生成室20には載置部23に載置した容器内に飲料を供給する飲料供給部30が設けられている。この実施形態では、飲料生成室20には湯または冷水と、湯または冷水以外に4種類の温かいまたは冷たい飲料の粉末原料を供給するために4つの飲料供給部30が設けられている。湯または冷水以外の4つの飲料供給部30は実質的に同一の構成となっているので、以後の説明では主として1つの飲料供給部30を用いて説明する。
【0018】
図3及び
図4に示したように、飲料供給部30は、載置部23に載置した容器に飲料を供給するものであり、湯及び/または冷水(水)よりなる原料水と飲料の粉末原料とから飲料を生成する飲料生成部31と、飲料生成部31で生成した飲料を載置部23の容器に案内する飲料ガイド35とを備えている。飲料生成部31は、飲料の粉末原料を貯える粉末原料容器32と、飲料の粉末原料と原料水を混合する混合容器33と、混合容器33内で粉末原料と原料水とを撹拌して混合させる撹拌装置34とを備えている。
【0019】
粉末原料容器32は、茶等の粉末よりなる飲料の粉末原料を貯えるものであり、飲料生成室20に設けたベース14に着脱可能に取り付けられている。粉末原料容器32の底部には粉末原料の搬出口32aが設けられており、粉末原料は搬出口32aから混合容器33に搬出される。粉末原料容器32の下部にはスクリュー32bが設けられており、スクリュー32bはカップリング部材32cを介してモータ32dの駆動が伝達される。モータ32dの回転によってスクリュー32bが回転すると、粉末原料容器32内の粉末原料は搬出口32aから混合容器33内に搬出される。
【0020】
図4に示したように、混合容器33は、粉末原料と湯及び/または冷水(水)よりなる原料水とを撹拌して混合させるものであり、飲料生成室20に設けたベース14に着脱可能に支持されている。混合容器33は粉末原料容器32の下側で開口しており、粉末原料容器32の搬出口32aから搬出される粉末原料は混合容器33内に搬入される。混合容器33の底部には放出口33aが形成されており、混合容器33内で撹拌されて混合された飲料は放出口33aから下側に設けた飲料ガイド35に放出される。
【0021】
図5に示したように、ベース14には混合容器33内に湯及び/または冷水(水)よりなる原料水を供給するための原料水供給口14aが設けられている。原料水供給口14aには後述する給湯部40及び給水部50が接続されており、混合容器33には給湯部40及び/または給水部50から送られる原料水としての湯及び/または冷水が原料水供給口14aを通って供給される。
【0022】
図4に示したように、混合容器33には撹拌装置34が設けられており、撹拌装置34は、混合容器33の後側のベース14に設けた撹拌用モータ34aと、撹拌用モータ34aによって回転する回転軸34dと、回転軸34dの先端に設けられた円板部34eとを備えている。撹拌用モータ34aの出力軸にはカップリング用のマグネット34bが設けられ、回転軸34dの撹拌用モータ34a側となる基端にはカップリング用のマグネット34cが設けられている。回転軸34dはカップリング用のマグネット34b,34cによって撹拌用モータ34aに着脱可能に連結され、撹拌用モータ34aはカップリング用のマグネット34b,34cを介して回転軸34dを回転させる。回転軸34dは混合容器33の底部の放出口33aの上側に延出し、回転軸34dの先端には放出口33aの上側で円板部34eが設けられている。回転軸34dの先端の円板部34eの下面には撹拌羽根34fが設けられており、混合容器33内の粉末原料と原料水とは円板部34eの回転によって撹拌混合されて飲料となる。
【0023】
図3に示したように、飲料ガイド35は飲料生成部31で生成した飲料を載置部23に載置した容器に案内するものである。飲料ガイド35は、混合容器33の放出口33aの下側から載置部23の前部で左右方向の中央部まで延びる浅い箱形をし、載置部23のカバー部25の上側に支持されている。飲料ガイド35には載置部23の前部で左右方向の中央部の上側で下方に延びる円筒形をした飲料注出部35aが設けられており、混合容器33から飲料ガイド35に放出された飲料は飲料注出部35aから載置部23の容器に注出される。
【0024】
図6に示したように、給湯部40は、載置部23のカップ等の容器で受ける飲料の原料水となる湯を供給するものである。給湯部40は、飲料の原料水となる湯を貯える貯湯タンク41を備えており、貯湯タンク41には水道等の給水源から導出された第1給水管42が接続されている。第1給水管42には第1及び第2給水弁42a,42bが介装されており、給水源の水は第1及び第2給水弁42a,42bを開放することによって貯湯タンク41に供給される。
【0025】
貯湯タンク41にはヒータ43と温度センサ44とが設けられている。ヒータ43は貯湯タンク41内の水(湯)を加熱して湯を生成するものである。温度センサ44は貯湯タンク41内の水(湯)の温度を検出するものである。ヒータ43は温度センサ44の検出温度に基づいて作動するように制御され、貯湯タンク41内の湯はヒータ43によって主に飲むのに適した温度となるように加熱(保温)されている。また、貯湯タンク41内には水位センサ45が設けられており、水位センサ45は貯湯タンク41内の水位を検出する。第1及び第2給水弁42a,42bは水位センサ45の検出水位によって開閉されるように制御され、貯湯タンク41内の水(湯)は所定の水位の範囲となるように維持されている。
【0026】
貯湯タンク41の下部には送湯管46が接続されており、送湯管46には送湯ポンプ47が介装されている。貯湯タンク41内の湯は送湯ポンプ47によって送湯管46に送られる。また、送湯管46には三方弁よりなる第1~第5湯送出弁48a~48eが介装されており、第1~第5湯送出弁48a~48eには第1~第5湯送出管49a~49eが接続されている。第1湯送出管49aの導出端部は左側の飲料供給部30の原料水供給口14aに接続されており、第2湯送出管49bの導出端部は左から2番目の飲料供給部30の原料水供給口14aに接続されており、第3湯送出管49cの導出端部は左から3番目(右から2番目)の飲料供給部30の原料水供給口14aに接続され、第4湯送出管49dの導出端部は右側の飲料供給部30の原料水供給口14aに接続されている。第5湯送出管49eの導出端部は飲料ガイド35の飲料注出部(図示省略)に接続されている。
【0027】
送湯ポンプ47を作動させ、第1~第4湯送出弁48a~48dの何れか1つを開放させることで、貯湯タンク41内の湯は、送湯管46と、開放させた第1~第4湯送出弁48a~48dに対応する第1~第4湯送出管49a~49dとを通って混合容器33内に供給される。また、送湯ポンプ47を作動させ、第5湯送出弁48eを開放させることで、貯湯タンク41内の湯は送湯管46と第5湯送出管49eとを通って載置部23に載置したカップ等の容器に供給される。
【0028】
図6に示したように、給水部50は、載置部23のカップ等の容器で受ける飲料の原料水となる冷水(水)を供給するものである。給水部50は、飲料の原料水となる冷水を生成するための冷却タンク51を備えており、冷却タンク51には冷却水が貯えられている。また、冷却タンク51内には冷凍装置の蒸発管52が設けられており、冷却タンク51内の冷却水は冷凍装置の蒸発管52を循環する冷媒が気化する気化熱によって冷却されている。冷却タンク51内には原料水となる水を冷却するための水冷却管53が設けられている。
【0029】
水冷却管53の水の導入端部には第1給水管42の第1給水弁42aの直ぐ下流側(第1給水弁42aと第2給水弁42bの間)から導出した第2給水管54が接続されており、水道等の給水源の水は第1給水管42の一部と第2給水管54を通って冷却タンク51内の水冷却管53に送出される。水冷却管53の水の導出端部には送水管55が接続されており、水冷却管53により冷却された冷水は送水管55に送出される。送水管55には4つの分岐部55a~55dが設けられており、分岐部55a~55dから導出された管部と送水管55の先端部55eには第1~第5冷水送出弁56a~56eが介装されている。第1~第5冷水送出弁56a~56eには第1~第5冷水送出管57a~57eが接続されており、第1~第5冷水送出管57a~57eの導出端部は第1~第5湯送出管49a~49eの中間部に接続されている。
【0030】
第1給水弁42aと第1~第4冷水送出弁56a~56dの何れか1つとを開放させることで、給水源の水は第1給水管42の一部と第2給水管54を通って冷却タンク51の水冷却管53に送られて冷却されて冷水となる。冷却タンク51内の水冷却管53で冷却された冷水は、送水管55と、開放させた第1~第4冷水送出弁56a~56dに対応する第1~第4冷水送出管57a~57dと、第1~第4冷水送出管57a~57dに対応して接続された第1~第4湯送出管49a~49dとを通って混合容器33内に供給される。また、第1給水弁42aと第5冷水送出弁56eとを開放させることで、給水源の水は、第1給水管42の一部と第2給水管54を通って冷却タンク51の水冷却管53に送られて冷却されて冷水となり、冷却タンク51内の水冷却管53で冷却された冷水は、送水管55と第5冷水送出管57eと第5湯送出管49eとを通って載置部23に載置したカップ等の容器に供給される。
【0031】
図7に示したように、ハウジング11内には、飲料生成部31にて飲料を生成するときに、混合容器33内から湿気を含む空気を排出するために、混合容器33内から湿気を含んだ粉末原料が飛散する空気から湿気を含んだ粉末原料を回収する回収手段60が設けられている。回収手段60は湿気を含んだ粉末原料が飛散する空気から湿気を含んだ粉末原料を回収する回収風路Fを備えており、回収風路Fは上下に延びる複数の風路が上部または下部にて連続するように折り返された折返構造を有している。回収風路Fは、湿気を含んだ粉末原料が飛散する空気を折返構造を有した上下に延びる複数の風路を通過させたときに、各風路の内周面に湿気を含んだ粉末原料を付着させることで、空気中の湿気を含んだ粉末原料を回収するものである。
【0032】
図7及び
図8に示したように、この実施形態の回収手段60は、4つの飲料生成部31の各混合容器33から湿気を含んだ空気を受けるスチームガイド(第2回収ダクト)61と、回収風路Fの少なくとも下流部が配置される回収ダクト(第1回収ダクト)64とを備えている。スチームガイド61は、混合容器33内の湿気を含んだ空気を排出する排気経路を構成するとともに、混合容器33から溢出した原料水または飲料を排水する排水経路を構成している。また、この実施形態のスチームガイド61は、混合容器33から回収ダクト64へ湿気を含んだ空気を送出する過程で湿気を含んだ粉末原料が飛散する空気から湿気を含んだ粉末原料を回収する回収風路Fの一部を備えている。
【0033】
スチームガイド61は、4つの混合容器33から排気及び排水を受けるものであり、ハウジング11の幅方向に延びる上面が開口した箱形のケーシング61aを備え、飲料生成室20内にて4つの混合容器33の後側でベース14に着脱可能に取り付けられている。
図8に示したように、スチームガイド61は、ケーシング61aの上面開口を開閉自在に塞ぐ蓋部62を備え、蓋部62には各混合容器33と対向する位置に切り欠きよりなる流入口62aが形成されている。混合容器33内の湿気を含んだ空気または溢出する原料水または飲料は流入口62aからスチームガイド61内の前部に流入する。スチームガイド61のケーシング61aの底部は左側が下側となるように下方に傾斜しており、スチームガイド61の底部の左側部には混合容器33から流入した原料水、飲料または結露した水を排出するための排水部61bが設けられている。また、排水部61bの下側には排水管63が設けられており、排水部61bから排出された水は排水管63を通って載置部23の排水部から排出される。
【0034】
図8及び
図9に示したように、スチームガイド61のケーシング61aには後壁左側部の上部に空気の流出口61cが形成されており、この流出口61cの後側には回収ダクト64の空気の導入口64bに接続されている。蓋部62の下面には流出口61c及び導入口64bと前側で対向する位置に板状の風路形成部62bが設けられており、風路形成部62bの下端は流出口61c及び導入口64bの下端よりも下側まで延出している。風路形成部62bはスチームガイド61内の流出口61cの前側空間を下部を除いて前後に隔てており、混合容器33からスチームガイド61内の前部に流入した湿気を含んだ空気は風路形成部62bの前側から下降して風路形成部62bの下側を通って風路形成部62bの後側を上昇する。スチームガイド61内の風路形成部62bの前後の空間は、混合容器33から流入した湿気を含んだ空気が下部にて連続するように折り返された折返構造を有した回収風路Fの一部を構成している。
図9に示したように、スチームガイド61内の回収風路Fは、風路形成部62bの前側に下側に空気が流れる下方向風路F1と、風路形成部62bの後側に上側に空気が流れる上方向風路F2とを備えている。下方向風路F1の下端部が後側に折り返されるようにして上方向風路F2に接続され、下方向風路F1は上方向風路F2と下部にて連続している。なお、図には下方向風路及び上方向風路を流れる空気の向きを一点鎖線にて示している。
【0035】
図9及び
図10に示したように、回収ダクト64は、混合容器33内で生じた湿気を含んだ粉末原料が飛散する空気から湿気を含んだ粉末原料を回収する回収風路Fの少なくとも下流部を備え、混合容器33内に上述したスチームガイド61を介して接続されている。
図7~
図9に示したように、回収ダクト64は、内部に回収風路Fが形成されるように前側に開口部64cを有したケーシング64aを備え、ケーシング64aの前側の開口部64cには上部に配置される導入口64bより下側部分を塞ぐ蓋部65が開閉自在に設けられている。
図7及び
図11に示したように、回収ダクト64の前側の開口部64cが仕切部22に形成した開口部22aから露出する位置で、回収ダクト64は機械室21内にて仕切部22の後側に取り付けられている。蓋部65は仕切部22の飲料生成室20側となる前側で開口部22aとともに回収ダクト64の開口部64cを開閉自在に塞いでおり、回収ダクト64の内部は飲料生成室20側となる前側で蓋部65によって開閉可能となっている。なお、蓋部65は、飲料生成室20と機械室21とを仕切る仕切部の一部として構成されている。
【0036】
図8~
図10に示したように、回収ダクト64内には上下に延びる複数の風路を形成するための風路形成部64dが設けられており、回収ダクト64内はこの風路形成部64dによって上下に延びる複数の風路が上部または下部にて連続するように折り返された折返構造を有した回収風路Fが形成されている。風路形成部64dは前側から見た形状が上下を逆にしたL字形に屈曲した形状をし、回収ダクト64内の右側部に上下に延びて下側に空気が流れる下方向風路F3と、回収ダクト64の上下方向の略中間部より下側で右側部を除く部分に上下に延びて上側に空気が流れる上方向風路F4を形成している。下方向風路F3の下端部が左側に折り返されるようにして上方向風路F4に接続され、下方向風路F3は上方向風路F4と下部にて連続している。この実施形態では上方向風路F4が最も下流側となる風路となっている。
【0037】
図8及び
図10に示したように、回収ダクト64の左側部にはファン66が設けられており、混合容器33内の空気はファン66によってスチームガイド61と回収ダクト64とに吸引(送出)される。ファン66は、回収風路Fの最も下流となる上方向風路F4の上部に配置されている。回収ダクト64の上方向風路F4内にはファン66の上流側にフィルタ67が設けられており、フィルタ67は風路形成部64dの上部と回収ダクト64の下部とに設けた前後に延びるレール64eによって前後に移動可能に支持されている。フィルタ67は、最も下流側となる上方向風路F4内にて上下方向と交差する交差方向として左右方向に空気が流れる向きに配置されている。また、フィルタ67は、ファン66よりも上流側にてファン66から離間した位置に配置されており、フィルタ67のファン66に対向する部分だけでなく全体に空気が通過可能となっている。
【0038】
図12に示したように、蓋部65にはフィルタ67と対向する位置に開口部65aが形成されており、フィルタ67はこの開口部65aから回収ダクト64内に着脱可能となっている。フィルタ67は、飲料生成室20側で蓋部65の開口部65aからレール64eに沿って差し込んで取付可能であり、飲料生成室20側で蓋部65の開口部65aからレール64eに沿って引き出して取外可能である。
【0039】
図1及び
図2に示したように、前面パネル13の前面には開口部13aの上側に飲料供給部30から飲料を供給させるための操作パネル部70が設けられている。操作パネル部70の左右方向の中央部には飲料の種類を表示するための表示用パネル71が設けられ、操作パネル部70の表示用パネル71の左右両側の隣接する位置に飲料供給部30から飲料を供給させる操作をするための供給操作部として接触式供給操作部72と、非接触式供給操作部73とが設けられている。
【0040】
この実施形態では、表示用パネル71の左側に5種類の冷たい飲料を供給するための5つの接触式供給操作部72A~72Eが上下に並べて配置され、接触式供給操作部72A~72Eの左側に接触式供給操作部72A~72Eと同じ飲料を供給するための5つの非接触式供給操作部73A~73Eが配置されている。また、表示用パネル71の右側に5種類の温かい飲料を供給するための5つの接触式供給操作部72F~72Jが上下に並べて配置され、接触式供給操作部72F~72Jの右側に接触式供給操作部72F~72Jと同じ飲料を供給するための5つの非接触式供給操作部73F~73Jが配置されている。また、温度の異なる(冷たいのと温かい)同じ飲料を供給するための接触式供給操作部72A~72E(非接触式供給操作部73A~73E)と接触式供給操作部72F~72J(非接触式供給操作部73F~73J)とが同じ高さ位置で左右に並べて配置されている。
【0041】
図13に示したように、飲料供給装置10は、載置部23に載置した容器に飲料の供給を制御する制御装置80を備えており、制御装置80は、飲料原料搬出用モータ32d、撹拌用モータ34a、第1及び第2給水弁42a,42b、ヒータ43、温度センサ44、水位センサ45、送湯ポンプ47、第1~第5湯送出弁48a~48e、第1~第5冷水送出弁56a~56e、ファン66及び操作パネル部70に接続されている。
【0042】
制御装置80は、飲料供給部30にて生成した飲料を供給する飲料供給手段として、冷却タンク51内で冷却された冷水(水)を用いた冷飲料をカップ等の容器の容量に応じた量で供給する冷飲料供給手段と、冷却タンク51内で冷却された冷水をカップ等の容器に供給する冷水供給手段と、貯湯タンク41内の湯を用いた温飲料をカップ等の容器の容量に応じた量で供給する温飲料供給手段と、貯湯タンク41内の湯をカップ等の容器に供給する湯供給手段を備えている。
【0043】
接触式供給操作部72A~72Dの何れか1つを押下操作したときの操作信号、または、非接触式供給操作部73A~73Dの何れか1つの前側に手指等の物体をかざして非接触操作したときの操作信号が制御装置80に入力されると、制御装置80は、接触式供給操作部72A~72Dまたは非接触式供給操作部73A~73Dに対応した冷飲料供給手段を実行して飲料供給部30から冷たい飲料を供給するように制御する。接触式供給操作部72Eを押下操作したときの操作信号、または、非接触式供給操作部73Eの前側に手指等の物体をかざして非接触操作したときの操作信号が制御装置80に入力されると、制御装置80は、冷水供給手段を実行して飲料供給部30から冷水を供給するように制御する。
【0044】
接触式供給操作部72F~72Iの何れか1つを押下操作したときの操作信号、または、非接触式供給操作部73F~73Iの何れか1つの前側に手指等の物体をかざして非接触操作したときの操作信号が制御装置80に入力されると、制御装置80は、接触式供給操作部72F~72Iまたは非接触式供給操作部73F~73Iに対応した温飲料供給手段を実行して飲料供給部30から温かい飲料を供給するように制御する。接触式供給操作部72Jを押下操作したときの操作信号、または、非接触式供給操作部73Jの前側に手指等の物体をかざして非接触操作したときの操作信号が制御装置80に入力されると、制御装置80は、湯供給手段を実行して飲料供給部30から湯を供給するように制御する。
【0045】
次に、冷飲料供給手段と、冷水供給手段と、温飲料供給手段及び湯供給手段の制御について説明する。接触式供給操作部72A~72Dの何れか1つを押下操作による操作信号、または、非接触式供給操作部73A~73Dの何れか1つの前側に手指等の物体をかざして非接触操作による操作信号が制御装置80に入力されると、制御装置80は冷飲料供給手段を実行する。制御装置80は、冷飲料供給手段の実行によって、接触式供給操作部72A~72Dまたは非接触式供給操作部73A~73Dに対応する飲料供給部30の飲料原料搬出用モータ32dを作動させ、第1給水弁42aと接触式供給操作部72A~72Dまたは非接触式供給操作部73A~73Dに対応する第1~第4冷水送出弁56a~56dを開放させる。粉末原料容器32内の粉末原料は混合容器33内に搬出され、冷却タンク51内で冷却された冷水は混合容器33内に供給される。また、撹拌装置34の撹拌用モータ34aを作動させることで、混合容器33内に供給された飲料の粉末原料と冷水は撹拌混合されて冷飲料となり、生成された冷飲料は飲料ガイド35を通って載置部23のカップ等の容器に注出され、ユーザに冷飲料が供給される。
【0046】
接触式供給操作部72Eを押下操作による操作信号、または、非接触式供給操作部73Eの前側に手指等の物体をかざして非接触操作による操作信号が制御装置80に入力されると、制御装置80は冷水供給手段を実行する。制御装置80は、冷水供給手段段の実行によって、第1給水弁42aと第5冷水送出弁56eを容器に応じた時間で開放させる。冷却タンク51内で冷却された冷水は載置部23のカップ等の容器に注出され、ユーザに冷水(冷飲料)が供給される。
【0047】
接触式供給操作部72F~72Iの何れか1つを押下操作による操作信号、または、非接触式供給操作部73F~73Iの何れか1つの前側に手指等の物体をかざして非接触操作による操作信号が制御装置80に入力されると、制御装置80は温飲料供給手段を実行する。制御装置80は、温飲料供給手段の実行により、接触式供給操作部72F~72Iまたは非接触式供給操作部73F~73Iに対応する飲料供給部30の飲料原料搬出用モータ32dを作動させ、送湯ポンプ47を作動させ、接触式供給操作部72F~72Iまたは非接触式供給操作部73F~73Iに対応する第1~第4湯送出弁48a~48dを開放させる。粉末原料容器32内の粉末原料は混合容器33内に搬出され、貯湯タンク41内の湯は混合容器33内に供給される。また、撹拌装置34の撹拌用モータ34aを作動させることで、混合容器33内に供給された飲料の粉末原料と湯は撹拌混合されて温飲料となり、生成された温飲料は飲料ガイド35を通って載置部23のカップ等の容器に注出され、ユーザに温飲料が供給される。
【0048】
接触式供給操作部72Jを押下操作による操作信号、または、非接触式供給操作部73Jの前側に手指等の物体をかざして非接触操作による操作信号が制御装置80に入力されると、制御装置80は湯供給手段を実行する。制御装置80は、湯供給手段の実行により、送湯ポンプ47を容器に応じた時間で作動させるとともに第5湯送出弁48eを開放させる。貯湯タンク41内の湯は載置部23のカップ等の容器に注出され、ユーザに湯(温飲料)が供給される。
【0049】
この飲料供給装置10においては、少なくとも冷飲料または温飲料供給手段(特に温飲料供給手段)の実行時にはファン66を一定時間作動させている。飲料供給手段を実行して飲料を生成しているときに各混合容器33内の湿気(湯気)を含んだ粉末原料が飛散する空気は、スチームガイド61と回収ダクト64の内部空間を通って機械室21内に排出される。湿気(湯気)を含んだ粉末原料が飛散する空気は先ずスチームガイド61内の内部空間を通過し、湿気を含んだ粉末原料は、スチームガイド61の内周面、特に、風路形成部62bの前後の下方向風路F1と上方向風路F2とを通過するときに下方向風路F1と上方向風路F2の周囲の内周面に付着して回収される。
【0050】
各混合容器33内の湿気を含んだ粉末原料が飛散する空気は、スチームガイド61に送り出された後で、導入口64bから回収ダクト64の内部空間に送り出される。湿気を含んだ粉末原料が飛散する空気は、回収ダクト64内では回収風路Fの下方向風路F3と上方向風路F4とを通過するときに下方向風路F3と上方向風路F4の周囲の内周面に付着して回収される。また、上方向風路F4を上昇する空気はファン66側となる左側に吸い寄せられてフィルタ67を通過し、フィルタ67を通過した空気は機械室21内に排出される。このように、フィルタ67にはスチームガイド61の回収風路Fを構成する下方向風路F1と上方向風路F2、回収ダクト64の回収風路Fを構成する下方向風路F3と上方向風路F4を通過して湿気を含んだ粉末原料が多く回収された空気が通過するので、フィルタ67は湿気を含んだ原料粉末が付着し続けて固化することに起因する詰まりが生じにくくなる。これにより、混合容器33内から湿気を含んだ空気を排出することができ、粉末原料容器32内の粉末原料は混合容器33内の湿気を含む空気により固化することを防ぐことができる。また、フィルタ67は粉末原料の捕捉量が少なくなるので、フィルタ67を交換またはメンテナンスする頻度が少なくなる。
【0051】
上記のように構成した飲料供給装置10は、ハウジング11内にて粉末原料容器32から供給される飲料の粉末原料と給湯部40及び/または給水部50(原料水供給部)から供給される飲料の原料水とを混合して飲料を生成するための混合容器33と、混合容器33内で粉末原料と原料水を混合させたときに生じる湿気を含んだ粉末原料が飛散する空気を回収風路Fを通過させることで湿気を含んだ粉末原料を回収する回収手段60と、混合容器33内の湿気を含んだ粉末原料が飛散する空気を回収風路に送出させるファン66とを備えている。回収風路Fは、上下に延びる複数の風路が上部または下部にて連続するように折り返された折返構造を有し、この回収風路Fの下流部に湿気を含んだ粉末原料を捕捉するためのフィルタ67と、このフィルタ67の空気の流れる下流側にファン66とが配設されている。
【0052】
この実施形態では、回収手段60は、回収風路Fの少なくとも下流部が配置される回収ダクト(第1回収ダクト)64と、混合容器33から空気を受けて内部に回収風路Fが形成されたスチームガイド(第2回収ダクト)61とを備えている。スチームガイド61には回収ダクト64の空気の導入口64bと対向する位置に空気を下方に降下させた後で上昇させるように案内する風路形成部62bが設けられており、風路形成部62bの前後(導入口64bと風路形成部62bとが並ぶ方向)に回収風路Fの下方向風路F1と上方向風路F2が形成されている。混合容器33内の湿気を含んだ粉末原料が飛散した空気は、スチームガイド61の回収風路Fを構成する下方向風路F1と上方向風路F2とを通過するときに回収風路Fの内周面に付着して回収される。
【0053】
また、回収ダクト64内には、回収風路Fの下方向風路F3と上方向風路F4が形成されている。混合容器33内の湿気を含んだ粉末原料が飛散した空気は、スチームガイド61の内部空間を通過した後で回収ダクト64内に送出され、回収ダクト64の回収風路Fの下方向風路F3と上方向風路F4とを通過するときに回収風路Fの内周面に付着して回収される。回収風路Fの下流部として上方向風路F4には湿気を含んだ粉末原料を捕捉するためのフィルタ67と、このフィルタ67の空気の流れる下流側にファン66とが配設されている。混合容器33内の湿気を含んだ粉末原料が飛散した空気は、回収風路Fの上下に延びる複数の風路(上方向及び下方向風路F1~F4)を通過するときに回収風路Fの内周面に付着して回収されるので、下流側に配設されたフィルタ67に湿気を含んだ粉末原料が付着しにくくなり、フィルタ67は湿気を含んだ原料粉末が付着し続けて固化することに起因する詰まりがさらに生じにくくなる。これにより、混合容器33内から湿気を含んだ空気を排出することができ、粉末原料容器32内の粉末原料は混合容器33内の湿気を含む空気により固化することを防ぐことができる。また、フィルタ67は粉末原料の捕捉量が少なくなるので、フィルタ67を交換またはメンテナンスする頻度が少なくなる。
【0054】
また、回収風路Fは、空気が流れる下流部に上側から下側に流れる下方向風路F3の下端部を上側に折り返して最も下流側となる上方向風路F4を備え、この最も下流側となる上方向風路F4にフィルタ67とファン66を配設している。回収風路F内の空気は、空気が流れる下流部にて、上側から下側に流れる下方向風路F3の下端部を上側に折り返して最も下流側となる上方向風路F4を上昇するので、湿気を含んだ粉末原料は下方向風路F3の下部に溜まって最も下流側となる上方向風路F4を上昇しにくくなり、フィルタ67に湿気を含んだ粉末原料が付着しにくくなる。
【0055】
フィルタ67は、最も下流側となる上方向風路F4内にて上下方向と交差する交差方向として左右方向に空気が流れる向きでファン66より上流側に離間した位置に配置されている。最も下流側となる上方向風路F4内に送られた空気は、ファン66と離間して配置されるフィルタ67の全体を通過するので、フィルタ67の全体で湿気を含んだ粉末原料を捕捉することができるようになり、フィルタ67の一部にだけ湿気を含んだ粉末原料が固着して、フィルタ67の通気機能及び粉末原料の捕捉機能が低下するのを防ぐことができる。
【0056】
ハウジング11内の内部を、粉末原料容器32と混合容器33等の飲料生成部31が配置されて飲料を生成する飲料生成室20と、飲料生成室20の後側に回収風路Fの下流部が配置される機械室21とに仕切る仕切部22とが設けられている。この実施形態では仕切部22の後側の機械室21に回収ダクトFの下流部を構成する上方向通路F4が配置された回収ダクト64が設けられている。仕切部22を構成する回収ダクト64の蓋部65には開口部65aが形成されており、フィルタ67は開口部65aから差し込んで上方向通路F4内に取付可能としている。このようにしたことで、フィルタ67の交換を容易にすることができるようになる。なお、この実施形態では、回収ダクト64の蓋部65に形成した開口部65aからフィルタ67を回収ダクト64内に着脱可能としているが、これに限られるものでなく、回収ダクト64の配設位置を変更することで、フィルタ67をハウジング11または仕切部22から回収ダクト64内に着脱可能としたものであってもよい。
【0057】
次に他の実施形態の回収手段60について説明する。
図14に示した他の実施形態の回収手段60においては、回収ダクト64内の回収風路Fは、3つの風路形成部64dによって仕切られる上下に延びる4つの風路を備えている。回収ダクト64内の回収風路Fは、左右に並ぶ4つの風路として右側から、上側から下側に空気が流れる下方向風路F5と、この下方向通路F5の下端部から連続するように折り返されて下側から上側に空気が流れる上方向風路F6と、この上方向通路F6の上端部から連続するように折り返されて上側から下側に空気が流れる下方向風路F7と、この下方向通路F7の下端部から連続するように折り返されて下側から上側に空気が流れる上方向風路F8とを備えている。
【0058】
湿気を含んだ粉末原料は空気中を落下するので、空気が上側から下側に流れる下方向風路F5,F7には湿気を含んだ粉末原料を多く捕捉できるように邪魔板68が設けられている。下方向風路F5,F7に邪魔板68を設けたことで、空気は左右に蛇行しながら下方向風路F5,F7を下降するようになる。湿気を含んだ粉末原料は左右に蛇行しながら下降する空気によって下方向風路F5,F7の内周面及び邪魔板68の表面に多く付着するようになり、湿気を含んだ粉末原料の捕捉効率を高くすることができる。なお、この実施形態においては、下方向風路F5,F7にだけ邪魔板68を設けたが、これに限られるものでなく、上方向通路F6にも邪魔板68を設けるようにしてもよい。また、邪魔板68は蓋部65に取り付けられており、蓋部65を取り外して回収ダクト64の開口部64cを開放することで、邪魔板68を回収ダクト64のケーシング64a内の回収風路Fから取り出すことができる。このように、邪魔板68は蓋部65から取り付けられているので、邪魔板68に付着した粉末原料を容易に洗浄することができる。なお、邪魔板68が蓋部65に取り付けられているものに限られるものでなく、邪魔板68が回収ダクト64内のケーシング64a内に取り付けられたものであってもよい。
【0059】
また、最も下流側となる上方向風路F8にはフィルタ67が設けられており、フィルタ67は最も下流側となる上方向風路F8内にて上下方向と交差する交差方向として左右方向に空気が流れる向きに配置されている。また、フィルタ67は、ファン66よりも上流側にて離間した位置に配置されており、フィルタ67のファン66に対向する部分だけでなく全体に空気が通過可能となっている。また、蓋部65にはファン66の吸込部の近傍として上方向通路F8のフィルタ67よりも空気の流れの上流位置に飲料生成室20内の空気を吸い込む吸込口65bを形成している。飲料を生成中に飲料生成室20内に漏出した湿気や粉末原料を回収することができ、飲料生成室20内を清潔に保つことができる。
【0060】
図15及び
図16に示した他の実施形態の回収手段60においては、スチームガイド61の蓋部62に設けた風路形成部62bの代わりに、スチームガイド61の流出口61c(回収ダクト64の導入口64b)に空気を前側に案内する案内部材69が設けられている。案内部材69は、混合容器33内からスチームガイド61に流入した湿気を含んだ空気を直線的に流出口61c(回収ダクト64の導入口64b)に流れるのを防いで、流出口61c(回収ダクト64の導入口64b)の前側に迂回するように案内している。このようにしたときにも、スチームガイド61の内周面に湿気を含んだ粉末原料が飛散する空気から湿気を含んだ粉末原料を付着させて、空気中に飛散している湿気を含んだ粉末原料を回収することができる。
【0061】
これらの実施形態では、回収手段60は、スチームガイド(第2回収ダクト)61と、回収ダクト(第1回収ダクト)64との両方を備えているが、これに限られるものでなく、スチームガイド(第2回収ダクト)61と、回収ダクト(第1回収ダクト)64との一方だけを設けたものであってもよい。また、回収風路Fは、上方向通路及び下方向通路の各々を1つ以上備えたものであればよい。
【0062】
10…飲料供給装置、11…ハウジング、20…飲料生成室、21…機械室、22…仕切部、32…粉末原料容器、33…混合容器、40…原料水供給部(給湯部)、50…原料水供給部(給水部)、60…回収手段、61…第2回収ダクト(スチームガイド)、62b…風路形成部、64…第1回収ダクト(回収ダクト)、65…蓋部(仕切部)、65b…吸込口、66…ファン、67…フィルタ、68…邪魔板、F…回収風路、F1,F3,F5,F7…下方向通路,F2,F4,F6,F8…上方向通路。