IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士ブレード株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-超音波霧化器用ノズル 図1
  • 特開-超音波霧化器用ノズル 図2
  • 特開-超音波霧化器用ノズル 図3
  • 特開-超音波霧化器用ノズル 図4
  • 特開-超音波霧化器用ノズル 図5
  • 特開-超音波霧化器用ノズル 図6
  • 特開-超音波霧化器用ノズル 図7
  • 特開-超音波霧化器用ノズル 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023055319
(43)【公開日】2023-04-18
(54)【発明の名称】超音波霧化器用ノズル
(51)【国際特許分類】
   B05B 17/06 20060101AFI20230411BHJP
   B05B 1/14 20060101ALI20230411BHJP
   F24F 6/12 20060101ALI20230411BHJP
【FI】
B05B17/06
B05B1/14 Z
F24F6/12 101Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021164583
(22)【出願日】2021-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】000237178
【氏名又は名称】富士ブレード株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091465
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 久夫
(72)【発明者】
【氏名】本庄 正人
【テーマコード(参考)】
3L055
4D074
4F033
【Fターム(参考)】
3L055BB01
4D074AA02
4D074BB02
4D074DD17
4D074DD70
4F033BA03
4F033DA04
4F033EA01
4F033LA00
4F033LA01
4F033LA12
4F033NA01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】霧を所望の距離だけ飛散させる吹き出し角度が設定でき、結露水でノズルを閉塞させることのないようにした超音波霧化器用ノズルを提供すること。
【解決手段】流通通路の先端に取付けられる案内通路15と、平面L字状をなす複数のノズルユニット19、20が上下多段に重ねられ、該複数のノズルユニットはL字状の中央で案内通路の先端に連通され、ノズルユニットのL字状の両先端が霧噴出口となっている一方、複数のノズルユニットの少なくとも1つは霧を異なる方向に噴出し得るように回動操作可能となっており、複数のノズルユニットは案内通路に対してノズルユニット内での結露水を送風圧力に抗して流通通路に向けて自重還流せさ得る角度をなして斜め上方に延び、ノズルユニットの内面には結露水の表面張力を減衰させることによって結露水を流通通路に向けて案内する複数のガイドリブ部が形成されているノズル本体16と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水タンク内の水を受けて超音波振動子によって霧化し、霧化した霧をブロアの送風によって流通通路に流通させ、ノズルから外部に噴出させるようにした超音波霧化器において、
上記流通通路の先端に取付けられる案内通路(15)と、
平面L字状をなす複数のノズルユニット(19、20)が上下多段に重ねられ、該複数のノズルユニット(19、20)はL字状の中央で上記案内通路(15)の先端に連通され、上記ノズルユニット(19、20)のL字状の両先端が霧噴出口となっている一方、上記複数のノズルユニット(19、20)の少なくとも1つは霧(30)を異なる方向に噴出し得るように回動操作可能となっており、上記複数のノズルユニット(19、20)は上記案内通路(15)に対してノズルユニット(19、20)内での結露水をブロアによる送風圧力に抗して上記流通通路に向けて自重で還流せさ得る角度をなして斜め上方に延び、上記ノズルユニット(19、20)の内面には結露水の表面張力を減衰させることによって結露水の自重還流を上記流通通路に向けて案内する複数のガイドリブ部(22)が形成されているノズル本体と、を備えたことを特徴とする超音波霧化器用ノズル。
【請求項2】
上記ノズルユニット(19、20)が上下2段に重ねられ、上記案内通路(15)に対して回動操作されることによって、90°ごとの2方向、90°ごとの3方向、90°ごとあるいは45°ごとの4方向に霧(30)を噴出させるようになっている請求項1記載の超音波霧化器用ノズル。
【請求項3】
上記請求項1記載の上記ノズル本体が用いられる超音波霧化器は、超音波振動子の停止後の所定時間だけブロアの作動を継続した後作動を停止させる制御回路を備えていることを特徴とする超音波霧化器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波霧化器用ノズルに関し、特に霧を所望の距離だけ飛散させる吹き出し角度に設定でき、結露水でノズルを閉塞させることのないようにした超音波霧化器用ノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
超音波霧化器は超音波振動子に高周波電圧を印加して発生する高周波振動エネルギーによって微細な霧を発生させるものであり、その静粛性や操作の簡素性から近年普及する傾向にある(特許文献1、特許文献2、特許文献3)。
【0003】
超音波振動子によって水を霧化する場合、水温が低くて霧が冷たいと、蒸発し難い霧が下に降りてテーブルや床面などの設置面を濡らすことがあることから、霧の吹き出し角度を45度以上の上向き角度に設定することが多い。
【0004】
最近、噴出ノズルを高い位置まで持ち上げてから噴霧するようにしたハイノズル式の超音波霧化器が注目されている。ハイノズル式の超音波霧化器では霧の降下による設置面の濡れを気にすることなく、拡散距離を最大限にできる吹き出し角度に設定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平2-124420号
【特許文献2】特表2011-513697号
【特許文献3】特開2016-50686号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、テーブル上に設置した超音波霧化器にハイノズルを設けると、ノズルが天井近くなることから、従来の吹き出し角度では場合によっては天井を濡らすおそれがある。
【0007】
また、超音波霧化器において、所望の拡散飛距離の得られる吹き出し角度に設定する場合、ノズルの吹き出し勾配が緩くなることから、ノズル先端に結露した水滴がノズルから飛び出して設置面を濡らしたり、吹き出し風圧と結露水滴の重量が釣り合ってしまい、結果的にノズルを閉塞させることになったりする。
【0008】
本発明はかかる問題点に鑑み、霧を所望の距離だけ飛散させる吹き出し角度が設定でき、結露水でノズルを閉塞させることのないようにした超音波霧化器用ノズルを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明に係る超音波霧化器用ノズルは、給水タンク内の水を受けて超音波振動子によって霧化し、霧化した霧をブロアの送風によって流通通路に流通させ、ノズルから外部に噴出させるようにした超音波霧化器において、上記流通通路の先端に取付けられる案内通路と、平面L字状をなす複数のノズルユニットが上下多段に重ねられ、該複数のノズルユニットはL字状の中央で上記案内通路の先端に連通され、上記ノズルユニットのL字状の両先端が霧噴出口となっている一方、上記複数のノズルユニットの少なくとも1つは霧を異なる方向に噴出し得るように回動操作可能となっており、上記複数のノズルユニットは上記案内通路に対してノズルユニット内での結露水をブロアによる送風圧力に抗して上記流通通路に向けて自重で還流せさ得る角度をなして斜め上方に例えば直線的に(又は側面視で上向きに湾曲して)延び、上記ノズルユニットの内面には結露水の表面張力を減衰させることによって結露水の自重還流を上記流通通路に向けて案内する複数のガイドリブ部が形成されているノズル本体と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明の特徴の1つはノズルユニットを案内通路に対して結露水を送風圧力に抗して流通通路に自重で還流せさ得る角度をもって斜め上方に指向させるとともに、ノズルユニット内面の複数のガイドリブ部を形成することによって結露水の表面張力を減衰させ、流通通路に向う自重還流を案内するようにした点にある。
これにより、結露水によってノズルユニットの霧噴出口が閉塞されることはなく、しかも結露水がブロアによる送風圧力を受けて外方に飛散することがない。
【0011】
また、本発明の他の特徴は複数のL字状ノズルユニットを上下多段に重ね、少なくとも1つのノズルユニットの霧噴出口を回動操作できるようにした点にある。
これにより、霧化した霧を異なる方向に噴出させ、所望の領域に霧を噴出させることができる。
【0012】
ノズルユニットの数は特に限定されないが、2つのノズルユニットを上下2段に重ねて上側のノズルユニットを下側のノズルユニットに対して回動操作するようにするのがよい。この場合、ノズルユニットは例えばコーナー設置時90°ごとの2方向、壁面設置時の90°ごとの3方向、任意の位置に設置したときの90°ごとあるいは45°ごとの4方向に霧を噴出させるようにすることができる。
【0013】
ノズルユニットの角度は案内通路に対してノズルユニット内での結露水を送風圧力に抗して上記流通通路に向けて自重で還流させる上向き角度であればよいが、その上向き角度のうち、霧の飛散距離が最大となる角度を選択するのがよい。
例えば、ノズルユニットの角度は20度ないし35度の範囲内で霧の飛散距離が最大となる角度を選択するのが好ましい。
【0014】
ところで、本発明に係る構造のハイノズルを備えた超音波霧化器では超音波振動子による霧化を停止した直後にブロアの作動を停止すると、流通通路及び案内通路に霧化した霧が残留し、ブロアに逆流してブロアを損傷するおそれがある。
【0015】
そこで、本発明に係るノズル本体が用いられる超音波霧化器は、超音波振動子の停止後の所定時間、例えば5秒だけブロアの作動を継続した後ブロアの作動を停止させる制御回路を備えているのが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係るノズルを備えた超音波霧化器の好ましい実施形態を示す概略斜視図である。
図2】ノーマルノズルを備えた場合における霧の飛行特性を示す例である。
図3】上記実施形態のハイノズルを備えた場合における霧の飛行特性を示す図である。
図4】上記実施形態におけるハイノズルを示す概略斜視図である。
図5】上記実施形態におけるノズルユニット上内面のガイドリブ部を示す概略斜視図である。
図6】上記実施形態におけるノズルユニット下内面のガイドリブ部を示す概略斜視図である。
図7】上記実施形態における霧の噴霧の1例を示す図である。
図8】上記実施形態における霧の噴霧の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。図1ないし図8は本発明に係る超音波霧化器用ノズルの好ましい実施形態を示す。図において、超音波霧化器はケーシング10内に、液体タンク、超音波振動子、ブロア、流通パイプ及び制御装置が内蔵されている。
【0018】
また、11はブロアの空気取入れ口、12はブロアの操作スイッチ、13は超音波振動子のコントロールスイッチ、14は照明スイッチであり、制御装置はブロアの操作スイッチ12及び超音波振動子の操作スイッチ13の信号を受け、液体タンクの液体を超音波振動子の高周波振動エネルギーによって微細な霧30に霧化し、ブロアによる送風によって霧30を流通パイプから外方に噴出されるようになっている。
【0019】
さらに、超音波霧化器の流通パイプには所定長さの案内パイプ15が連結され、案内パイプ15は超音波霧化器のケーシング10に起立され、案内パイプ15の先端にはノズル本体16が連結されている。
【0020】
ノズル本体16は2つのノズルユニット19、20と基部パイプ18とから構成され、基部パイプ18は案内パイプ15に嵌入され、2つのノズルユニット19、20は基部パイプ18に連通されている。
【0021】
2つのノズルユニット19、20は平面L字状をなし、上下2段に重ねられ、下側ノズルユニット19はL字の中央で基部パイプ18に固定され、上側ノズルユニット20はL字の中央で下側ノズルユニット19に回転自在に取付けられている。
【0022】
2つのノズルユニット19、20のL字の両先端は霧噴出口となっており、又2つのノズルユニット19、20は案内パイプ15に対してノズルユニット19、20内での結露水をブロアによる送風圧力に抗して流通パイプ15に向けて自重で還流せさ得る斜め上向き角度、好ましくは20度ないし35度の範囲内で霧の飛散距離が最大となる角度をなして直線的に上向きに又は側面視で上向きに湾曲して延設されている。
【0023】
また、ノズルユニット19、20の内面には結露水を案内する複数のガイドリブ部22が霧の流通方向に延びて形成され、霧の結露水の表面張力を減衰させることによって結露水を球状になり難くして結露水を流通パイプ15に向けて自重で還流させるようになっている。
【0024】
さらに、制御装置は超音波振動子の停止後の所定時間、例えば5秒だけブロアの作動を継続した後ブロアの作動を停止させる制御回路が設けられている。これにより、超音波振動子による霧化が停止された直後に、ブロアの作動は継続され、流通パンプ及び案内パイプ15に残留した霧化した霧はブロアによって外方に放出され、霧がブロアに逆流してブロアを損傷することもない。
【0025】
なお、超音波霧化器の構成は従来公知のものと同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0026】
本例の超音波霧化器をテーブル上に設置し、操作スイッチ12、13、14を操作すると、制御装置はブロアの操作スイッチ12及び超音波振動子の操作スイッチ13の信号を受け、液体タンクの液体を超音波振動子の高周波振動エネルギーによって微細な霧に霧化し、霧をブロアの送風によって流通パイプ15に圧送し、基部パイプ18を経てノズルユニット19、20の霧噴出口から外方に噴出させる。
【0027】
このとき、上側のノズルユニット20を回動操作することによって、上下のノズルユニット19、20をコーナー設置時などの90°ごとの2方向、壁面設置時などの90°ごとの3方向、任意の位置に設置したときの図7に示されるような90°ごとの4方向、あるいは図8に示されるような45°ごとの4方向に霧30を噴出させることができる。
【0028】
また、ノズルユニット19、20を案内パイプ15に対して結露水をブロア送風圧力に抗して流通パイプ15に自重で還流せさ得る斜め上の角度に指向させるとともに、ノズルユニット19、20の内面の複数のガイドリブ部22を形成しているので、結露水はその表面張力が減衰することによって球状になり難くなり、ガイドリブ部22に案内されて案内パイプ15に向けて自重で還流するので、結露水によってノズルユニット19、20の霧噴出口が閉塞されることはなく、しかも結露水がブロアの送風圧を受けて外方に飛散することもない。
【0029】
さらに、ブロアの送風圧を強くすることなく、適切な圧力にコントロールできるので、図4に示される霧30の噴射高さを図2に示されるノーマルノズルの場合に比較して低くしてしも、同程度の飛散距離を得ることができ、しかも噴射させた霧30が天井を濡らすおそれもない。
【符号の説明】
【0030】
10 超音波霧化器のハウジング
15 案内パイプ(案内通路)
18 基部パイプ
19、20 ノズルユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8