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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023055355
(43)【公開日】2023-04-18
(54)【発明の名称】美容用マスク及び美容処理方法
(51)【国際特許分類】
   A45D 44/22 20060101AFI20230411BHJP
【FI】
A45D44/22 C
A45D44/22 F
A45D44/22 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021164658
(22)【出願日】2021-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153763
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 広之
(72)【発明者】
【氏名】筒井 葉月
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 雄二郎
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 沙絵
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 英輔
(57)【要約】
【課題】個人による顔の形状の差にかかわらず、顔における所望の位置に刺激を与えることが可能で、かつマスク本体の素材や刺激の種類を自由に選択できる美容用マスクと、この美容用マスクを用いた美容処理方法を提供する。
【解決手段】顔における所定の作用位置の皮膚に対して刺激を与える刺激具とマスク本体とを備え、前記刺激具は、刺激板13を有し、マスク本体は、伸縮性を有するシート状基材を有し、前記シート状基材は、少なくとも、前記所定の作用位置及びその近傍を覆って顔に固定されるものであり、かつ、顔に固定した際に、前記所定の作用位置の近傍となる位置に前記刺激板を挿入するための左側挿入口31と右側挿入口が形成されている、美容用マスク。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔における所定の作用位置の皮膚に対して刺激を与える刺激具とマスク本体とを備え、
前記刺激具は、前記所定の作用位置の皮膚に接触させる刺激板を有し、
前記マスク本体は、伸縮性を有するシート状基材を有し、前記シート状基材は、少なくとも、前記所定の作用位置及びその近傍を覆って顔に固定されるものであり、かつ、顔に固定された際に、前記所定の作用位置の近傍となる位置に前記刺激板を前記シート状基材の内側に挿入するための挿入口が形成されており、
前記シート状基材で顔を覆った状態で、前記シート状基材の内側に位置する前記刺激板を、前記挿入口より操作して、前記所定の作用位置に移動させることが可能とされている、美容用マスク。
【請求項2】
前記マスク本体は前記シート状基材からなり、前記シート状基材は、少なくとも口の周り及び頬を覆い、口角及び頬を耳に向かって引張する第一の引張体と、第一の引張体の下部に設けられ、下顎を覆い、下顎を耳に向かって引張する第二の引張体とを有し、
前記第一の引張体には、一対の第一の耳掛け孔が形成され、
前記第二の引張体には、一対の第二の耳掛け孔が形成され、
前記第一の引張体と前記第二の引張体との間には、両側端から中心に向かう切込み部が形成されている、請求項1に記載の美容用マスク。
【請求項3】
前記マスク本体は前記シート状基材からなり、前記シート状基材は、少なくとも口の周り及び頬を覆う形状とされ、かつ一対の耳掛け孔が形成されている、請求項1に記載の美容用マスク。
【請求項4】
前記シート状基材が、両頬を目の下まで覆うように形成されていると共に、鼻上部を鼻根部まで覆うための凸片が上端中央に設けられている、請求項1~3のいずれか一項に記載の美容用マスク。
【請求項5】
前記シート状基材に皮膚化粧料が含浸されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の美容用マスク。
【請求項6】
前記刺激板が、前記所定の作用位置の皮膚に向けて光を照射する光源部、前記皮膚を加温する熱源部、及び前記皮膚に振動を与える振動部からなる群から選択されるいずれか1以上を備えている、請求項1~5のいずれか一項に記載の美容用マスク。
【請求項7】
前記所定の作用位置がほうれい線部分である、請求項1~6のいずれか一項に記載の美容用マスク。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の美容用マスクを用いる美容処理方法であって、前記シート状基材を顔に固定した後に、前記挿入口から前記シート状基材の内側に前記刺激板を挿入し、前記シート状基材の内側に挿入した前記刺激板を、前記挿入口より操作して、前記刺激板を前記所定の作用位置に移動させて、前記所定の作用位置の皮膚に刺激を与える、美容処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、美容用マスク及び美容処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚に光を照射したり、機械的刺激を与えたりする美顔器として、片手で顔に押し当てるものが知られているが(特許文献1)、処置の間、常に手で持っていなければならない煩わしさがある。
そこで特許文献2では、マスク本体の内側に、予め、皮膚に刺激を与えるバッドを固定した美容マスクが提案されている。
また、特許文献3では、マスク本体の外側に、光源を有する刺激板を固定して、マスク越しに、顔の表面に光の照射を行う美顔用光マスクが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-95416号公報
【特許文献2】特開2012-29973号公報
【特許文献3】特開2005-27702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献2、3のマスクによれば、皮膚に刺激を与える部材が予めマスクに固定されているので、常に手で持つ煩わしさはない。
しかし、特許文献2、3のマスクは、いずれも皮膚に刺激を与える部材が予めマスクに固定されているので、形状に個人差のある顔の所望の位置に、十分な刺激を与えることが難しい。
【0005】
さらに、特許文献2のマスクは、刺激を与える部材として、単なるパッドしか利用できないため、圧迫による皮膚刺激は可能であるが、光等の刺激を必要に応じて活用することができない。
また、特許文献3のマスクの場合、マスク本体を介して光を照射するため、マスク本体を透明にする必要があり、マスク本体の素材に制限がある。例えば、皮膚化粧料を含浸させることが可能な不織布は、透明性を備えないため使用できない。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、顔の形状の個人差にかかわらず、顔における所望の位置に刺激を与えることが可能で、かつマスク本体の素材や刺激の種類を自由に選択できる美容用マスクと、この美容用マスクを用いた美容処理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
[1]顔における所定の作用位置の皮膚に対して刺激を与える刺激具とマスク本体とを備え、
前記刺激具は、前記所定の作用位置の皮膚に接触させる刺激板を有し、
前記マスク本体は、伸縮性を有するシート状基材を有し、前記シート状基材は、少なくとも、前記所定の作用位置及びその近傍を覆って顔に固定されるものであり、かつ、顔に固定された際に、前記所定の作用位置の近傍となる位置に前記刺激板を前記シート状基材の内側に挿入するための挿入口が形成されており、
前記シート状基材で顔を覆った状態で、前記シート状基材の内側に位置する前記刺激板を、前記挿入口より操作して、前記所定の作用位置に移動させることが可能とされている、美容用マスク。
[2]前記マスク本体は前記シート状基材からなり、前記シート状基材は、少なくとも口の周り及び頬を覆い、口角及び頬を耳に向かって引張する第一の引張体と、第一の引張体の下部に設けられ、下顎を覆い、下顎を耳に向かって引張する第二の引張体とを有し、
前記第一の引張体には、一対の第一の耳掛け孔が形成され、
前記第二の引張体には、一対の第二の耳掛け孔が形成され、
前記第一の引張体と前記第二の引張体との間には、両側端から中心に向かう切込み部が形成されている、[1]に記載の美容用マスク。
[3]前記マスク本体は前記シート状基材からなり、前記シート状基材は、少なくとも口の周り及び頬を覆う形状とされ、かつ一対の耳掛け孔が形成されている、[1]に記載の美容用マスク。
[4]前記シート状基材が、両頬を目の下まで覆うように形成されていると共に、鼻上部を鼻根部まで覆うための凸片が上端中央に設けられている、[1]~[3]のいずれか一項に記載の美容用マスク。
[5]前記シート状基材に皮膚化粧料が含浸されている、[1]~[4]のいずれか一項に記載の美容用マスク。
[6]前記刺激板が、前記所定の作用位置の皮膚に向けて光を照射する光源部、前記皮膚を加温する熱源部、及び前記皮膚に振動を与える振動部からなる群から選択されるいずれか1以上を備えている、[1]~[5]のいずれか一項に記載の美容用マスク。
[7]前記所定の作用位置がほうれい線部分である、[1]~[6]のいずれか一項に記載の美容用マスク。
[8][1]~[7]のいずれか一項に記載の美容用マスクを用いる美容処理方法であって、前記シート状基材を顔に固定した後に、前記挿入口から前記シート状基材の内側に前記刺激板を挿入し、前記シート状基材の内側に挿入した前記刺激板を、前記挿入口より操作して、前記刺激板を前記所定の作用位置に移動させて、前記所定の作用位置の皮膚に刺激を与える、美容処理方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明の美容用マスクによれば、顔の形状の個人差にかかわらず、顔における所望の位置に刺激を与えることが可能で、かつマスク本体の素材や刺激の種類を自由に選択できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明における刺激具の一例を示す斜視図である。
図2】本発明における刺激板の一例を示す上面図である。
図3図2のIII-III断面図である。
図4】本発明におけるマスク本体の一例を示す平面図である。
図5】本発明におけるマスク本体の他の一例を示す平面図である。
図6】本発明におけるマスク本体の他の一例を示す平面図である。
図7】本発明におけるマスク本体の他の一例を示す平面図である。
図8】本発明の美容処理方法の一例を示す斜視図である。
図9】本発明の美容処理方法の他の一例を示す斜視図である。
図10】本発明の美容処理方法の他の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の美容用マスクは、顔における所定の作用位置の皮膚に対して刺激を与える刺激具とマスク本体とを備える。
顔における所定の作用位置に特に限定はないが、例えば、ほうれい線部分、目の下部分、口の両端側等、刺激板による処置を所望する任意の場所を所定の作用位置とすることができる。
【0011】
[刺激具]
刺激具は、所定の作用位置の皮膚に接触させる刺激板を有する。刺激具は、刺激板の一端に連結し、刺激板を操作するための把持部を有することが好ましい。
また、刺激板が電力を用いた刺激を皮膚に対して与えるものである場合、刺激板に対して電力及び必要に応じて制御信号などを与えるための刺激具本体をさらに有することが好ましい。
【0012】
刺激板の面積は、作用位置にもよるが、1~65cmであることが好ましく、4~40cmであることがより好ましい。
刺激板の厚みは、0.01~10mmであることが好ましく、0.5~5mmであることがより好ましい。
なお、刺激板が多層構成の場合、上記好ましい厚みは、多層構成全体の好ましい厚みである。
【0013】
刺激板は、単なる板状部材であってもよい。その場合、皮膚に対して、圧迫刺激を付与することができる。
圧迫刺激を付与する際の刺激板の材質に特に限定はなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、アクリル樹脂、フッ素樹脂等の樹脂、ステンレス、陶器、ガラス等を使用できる。
【0014】
刺激板は、皮膚に向けて光を照射する光源部、皮膚を加温する熱源部、及び皮膚に振動を与える振動部からなる群から選択されるいずれか1以上を備えていることが好ましい。これにより、圧迫刺激に加えて、光、熱、及び振動のいずれか1以上の刺激を皮膚に与えることができる。
光源部、熱源部、及び振動部からなる群から選択されるいずれか1以上を備える場合、光源部を設ける基板としては、光源部からの光を透過できる物を使用する。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、アクリル、ポリスチレン、シリコンゴムを使用することができる。光源部を設ける基板の透過率は、10~99%であることが好ましく、40~99%であることがより好ましい。
熱源部、及び振動部からなる群から選択されるいずれか1以上を備える場合、熱源部、及び振動部を設ける基板としては、圧迫刺激を付与する際の刺激板と同様の材質の物を使用できる。
【0015】
光源部としては、有機発光ダイオード(有機LED)、又は無機発光ダイオード(無機LED)が、刺激板の大きさを所望の範囲に抑えやすいため好ましい。
光を皮膚に向けて照射する光線療法は、ミトコンドリアにおける代謝を促進することが知られている。
【0016】
光源部から皮膚に向けて照射する光の波長に特に限定はなく、求める美容効果等に応じて適宜選択すればよい。
ほうれい線や小じわを改善するための好ましい光の波長は、360~830nmであり、600~680nmであることがより好ましい。
【0017】
熱源部としては、有機ELシート、赤外線、電熱、超短波を使用できる。
熱源により皮膚に加温する温熱療法は、血行を促進することが知られている。
熱源の温度に特に限定はなく、求める美容効果等に応じて適宜選択すればよい。
血行を促進するための好ましい温度は、25~45℃であり、30~41℃であることがより好ましい。
【0018】
振動部としては、偏心モータ等を使用できる。
振動の刺激を皮膚に与えると、頬骨筋、頬筋、咬筋、口輪筋等の口周りの多くの表情筋やモダイオラスを刺激できるため、ほうれい線や口元のシワを効果的にケアできることが知られている。
振動数に特に限定はなく、求める美容効果等に応じて適宜選択すればよい。
ほうれい線や口元のシワを改善するための好ましい振動数は、5000~18000cpmであり、7000~15000cpmであることがより好ましい。
【0019】
刺激板が、皮膚に向けて光を照射する光源部、熱源部、及び振動部からなる群から選択されるいずれか1以上を備える場合、光源部等を駆動させるための電力は刺激板に内蔵させた電池により供給してもよいが、別途の本体部から供給することが好ましい。
本体部は、さらに、必要に応じて制御信号などを光源部等に付与してもよい。
本体部の形状に特に限定はないが、ヘッドホン型にすれば、使用者は頭部や首部に装着して自由に動き回ることができる。また、カード型等、使用者の服のポケット等に収納可能な形状、大きさとすることも好ましい。
【0020】
刺激具が刺激板に加えて刺激部本体を有する場合、両者の間の接続は有線でも無線でもよいが、リード線を用いた有線による接続が好ましい。
リード線を用いれば、刺激板近傍のリード線を把持部として使用できる。
刺激具における把持部は、刺激板の一端に連結し、把持部を動かすことにより、刺激板を操作して動かせる物であれば、特に限定はない。リード線の他、例えば紐や棒状体を使用できる。また、刺激板の一端側を延長し、延長部分の板を把持部としてもよい。
【0021】
(刺激具10)
刺激具の一例について、図1~3を用いて説明する。
図1の刺激具10は、刺激具本体11と一対のリード線12と、一対のリード線12により刺激具本体11に接続された一対の刺激板13とを備えている。刺激具10において、リード線12は、刺激板13に電力を供給するリード線本来の役割の他、刺激板13を操作するための把持部としても機能する。
【0022】
図2図3は、刺激板13の一具体例を示す。図3は、図2のIII-III断面図である。図2、3に示す刺激板13は、基板14の一面にLEDからなる光照射部15が設けられ、全体がカバーシート16により覆われた構造とされている。光照射部15は、リード線12により、刺激具本体11に接続されている。
【0023】
カバーシート16は、例えばポリエチレンテレフタレート等の樹脂により構成することができる。カバーシート16を設けることにより、汗や水から刺激板を守ることができる。
なお、光照射部15とリード線12との接続部には、保護テープ17が巻かれている。保護テープ17の材質としてはポリウレタンを使用できる。
図2図3に示す刺激板13は、図3の図示下側が内側(顔側)となるようにして使用される。
【0024】
[マスク本体]
マスク本体は、刺激板を顔に対して加圧することにより顔に固定する機能を担っている。マスク本体は、伸縮性を有するシート状基材を有し、シート状基材は、少なくとも、所定の作用位置及びその近傍を覆って顔に固定されるものである。
マスク本体は伸縮性を有するシート状基材のみから構成されていてもよいし、シート状基材に加えて、シート状基材以外の部材を有していてもよい。
【0025】
マスク本体がシート状基材のみから構成されている場合、シート状基材は、それ自体で顔に固定できる形状であることが必要とされる。具体的には、後述する図4図7に示すように、シート状基材に耳掛け孔が形成されたものとすることが好ましい。
マスク本体のシート状基材がそれ自体で顔に固定できる形状とされていない場合は、例えば、耳掛けゴム、固定ベルト等を、シート状基材以外の部材として使用することができる。
【0026】
本発明において「伸縮性を有する」とは、下記の試験方法により測定される伸縮力が0.70cm以上であることをいう。伸縮力は、0.70~3.00cmが好ましく、0.90~2.22cmがより好ましく、1.10~2.22cmがさらに好ましい。
伸縮力が好ましい下限値以上であることにより、シート状基材が顔に密着しやすく、刺激板に充分な圧力を付与して、所定の作用位置に固定しやすい。また、作用位置の皮膚に対して充分な圧迫刺激を付与しやすい。
伸縮力が好ましい上限値以下であることにより、装着時の顔に対する負担、特に耳掛け孔や耳掛けゴムによる耳への負担が少ない。
【0027】
伸縮力は、次のように測定できる。まず、シート状基材を縦5cm×幅2cmに切断して試験体とする。該試験体の一端に重り(300g)を吊るし、荷重を掛けて伸長させ、15分後の試験体の縦の長さ(A)を計測する。Aを計測後、試験体から重りを外し、5秒後に試験体の縦の長さ(B)を計測する。AとBとの値から、下記(1)式により伸縮力が求められる。
【0028】
伸縮力(cm)=A(cm)-B(cm) ・・・・(1)
【0029】
シート状基材としては、不織布、シリコンゴム、ウレタンシートなどが挙げられる。中でも、不織布は、適度な伸縮性を有すると共に、保水性を有し、後述する皮膚化粧料を充分量含浸できるので好ましい。
シート状基材として用いる不織布の種類は特に限定されないが、例えば、スパンボンド、メルトブロー、サーマルボンド、ケミカルボンド、スパンレース、ニードルパンチ等の公知の製造方法により得られる不織布が挙げられる。また、例えば、潜在捲縮性繊維を含む繊維ウェブをスパンレース法により繊維交絡処理に付し、交絡処理後の繊維ウェブを加熱により立体捲縮を発現させた不織布(以下、立体捲縮不織布という)が挙げられる。中でも、シート状基材としては、立体捲縮不織布が好ましい。立体捲縮不織布であれば、良好な伸縮性を得やすい。
【0030】
このような立体捲縮不織布としては、例えば、特開2008-285433号公報に記載されているものが挙げられ、市販品としてJP-95(ダイワボウポリテック株式会社製)等が挙げられる。なお、立体捲縮とは、スパイラル状の湾曲又はカール、及びスタッフィングボックス型クリンパー等によって付与され、捲縮の屈曲部分が変形して丸みを帯びるに至った部分を指す。
【0031】
不織布の材質は、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステルの単繊維又はポリエステルを含む複合繊維が挙げられる。複合繊維としては、ポリエステルと、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、レーヨン等の合成繊維、綿(コットン)、絹等の天然繊維との複合繊維が挙げられる。中でも、PETの単繊維又は複合繊維(以下、総じてPET系繊維という)が好ましい。PET系繊維であれば、良好な伸縮性と保水性を発揮し、より良好な美容効果が得られる。
このように、シート状基材を不織布、より好ましくはPET系繊維の不織布とすることで、良好な伸縮性を得やすい。
【0032】
シート状基材の目付は特に限定されないが、例えば、30~250g/mが好ましく、70~150g/mがより好ましい。
シート状基材の目付が好ましい下限値以上であることにより、充分な強度が得られ、装着時の取り扱いが良好となる。また、充分な弾力性が得られるため、良好な着け心地を得やすい。さらに、後述する皮膚化粧料を充分量含浸させやすい。
シート状基材の目付が好ましい上限値以下であることにより、厚くなりすぎず、装着する際に撚れやしわを発生させずに密着させることが容易となる。また、コストも抑制することができる。
【0033】
シート状基材の厚さは、シート状基材の材質や、使用性等を勘案して決定できる。例えば、シート状基材の厚さは、0.1~2.0mmが好ましく、0.2~1.0mmがより好ましい。上記範囲内であれば、必要な強度を維持しやすくなると共に、装着が容易である。
【0034】
シート状基材には、挿入口が形成されている。挿入口が形成されている位置は、シート状基材を顔に固定した際に、所定の作用位置の近傍となる位置とされている。
挿入口の数は、1つでも複数でもよい。
挿入口の形状等に特に限定はなく、孔でも、幅のない切込みでもよい。例えば、長方形や楕円形、オーバル、コの字状、エの字状、曲線状の孔や切込みにすることができる。長方形等の角のある形状の場合、角部に丸みを持たせることも好ましい。
挿入口の大きさにも特に限定はないが、刺激板の大きさに応じて、長さを20~40mmとすることが好ましく、25~30mmとすることがより好ましい。
【0035】
挿入口が、シート状基材を顔に固定した際に所定の作用位置の下側となる位置に形成されている場合、刺激板を挿入口から、上に押し上げるようにシート状基材の内側に挿入することにより、所定の作用位置に刺激板を移動させ、固定することができる。
挿入口が、シート状基材を顔に固定した際に所定の作用位置の上側となる位置に形成されている場合、刺激板を挿入口から、下に押し下げるようにシート状基材の内側に挿入することにより、所定の作用位置に刺激板を移動させ、固定することができる。
【0036】
また、挿入口が、シート状基材を顔に固定した際に所定の作用位置の上側となる位置に形成されている場合は、予め挿入口に刺激板を挿入してから、シート状基材を顔に固定してもよい。
例えば、把持部(リード線等)を挿入口の外に残した状態で刺激板を挿入口に挿入してから、シート状基材を顔に装着し、その後、上に引き上げるように刺激板を移動させることにより、所定の作用位置に刺激板を固定することができる。
【0037】
マスク本体は伸縮性を有するシート状基材のみから構成されている場合、シート状基材には、一対又は複数対の耳掛け孔が形成されていることが好ましい。
また、シート状基材には、顔への装着を容易にするため、孔や凹部等を適宜設けることができる。例えば、口露出部、鼻挿入孔、顎先露出部等を設けることができる。
【0038】
耳掛け孔は、シート状基材を左右で耳に固定することにより、シート状基材の伸縮力と相俟って、顔への固定を可能とするものである。
耳掛け孔の形状に特に限定はなく、幅のない切込み線、幅のある長方形の切込み孔、雫形の孔、台形孔、三角孔、六角形や八角形などの多角形の孔、楕円孔、オーバル、三角孔等の孔と切込み線又は切込み孔の組み合わせ等とすることができる。また、三角孔等の孔と切込み線又は切込み孔の組み合わせの場合、三角孔と切込み線又は切込み孔の組み合わせの位置関係についても特に限定はない。長方形の切込み孔、台形孔、三角孔、六角形や八角形などの多角形の孔の場合、角部に丸みを持たせることも好ましい。
【0039】
複数対の耳掛け孔を有する場合、総ての耳掛け孔が同じ形状でも良いし、一対毎に異なる形状であってもよい。
耳掛け孔の大きさに特に限定はないが、長さを25~50mmとすることが好ましく、30~40mmとすることがより好ましい。
【0040】
口露出部は、装着した際に口を露出させる部分である。なお、口が露出するとは、上唇と下唇とで囲まれた口裂の少なくとも一部が露出することを意味する。
口露出部の形状に特に限定はなく、楕円形、長方形、台形、オーバル等の孔とすることができる。長方形、台形の場合、角部に丸みを持たせることも好ましい。
【0041】
また、口露出部の大きさに特に限定はないが、横は40~60mmとすることが好ましく、45~55mmとすることがより好ましい。縦は16~30mmとすることが好ましく、20~25mmとすることがより好ましい。
口露出部の大きさは、シート状基材の材質等を勘案して適宜決定することができる。
【0042】
鼻挿入孔は、装着した際に鼻の先端を露出させる部分である。装着した際に鼻挿入孔から鼻の先端を露出させると、シート状基材の鼻挿入孔の上側の部分が、鼻の一部又は全部を覆うようにすることができる。
鼻挿入孔の形状に特に限定はなく、凹字型、台形を二つ重ねた形状、台形、三角形、円形、楕円形、オーバル、雫形等の孔とすることができる。台形を二つ重ねた形状、台形、三角形の場合、角部に丸みを持たせることも好ましい。
【0043】
鼻挿入孔の大きさに特に限定はないが、横は30~50mmとすることが好ましく、30~45mmとすることがより好ましい。縦(凹字型の場合、底辺から、上面までの高さ)は10~20mmとすることが好ましく、15~20mmとすることがより好ましい。
シート状基材により鼻の一部又は全部を覆わない場合は、鼻挿入孔を設けず、シート状基材の上辺側を、外鼻の輪郭に沿って凹状に切込んでもよい。
【0044】
顎先露出部は、装着した際に顎先を露出させる部分である。顎先露出部は、顎先を露出させることが可能であれば、孔でも凹部でもよい。
【0045】
(マスク本体20)
シート状基材からなるマスク本体の一例を図4に示す。図4のマスク本体20は、第一の引張体21と第二の引張体22からなるシート状基材で構成されている。
第一の引張体21と第二の引張体22との間には、両側端から中心に向かう切込み部が形成されている。すなわち、顔に装着した際、左側となる端部からは、中心に向かって左側切込み部20aが形成されている。また、顔に装着した際、右側となる端部からは、中心に向かって右側切込み部20bが形成されている。
【0046】
左側切込み部20aと右側切込み部20bは、マスク本体20の左右両端から中心に向かって形成され、かつ、装着時において第一の引張体21と第二の引張体22とが切り離されないようにされている。
左側切込み部20aと右側切込み部20bの切込みの程度は、シート状基材の材質や強度を勘案して決定できるが、第二の引張体22の側端から各切込み部の先端までの長さを80~120mmとすることが好ましい。マスク本体20は、各切込み部が形成されていることで、装着時の取り扱いが容易である。加えて、マスク本体20を口囲、頬及び下顎に、撚れやしわを生じずに密着させることができる。
【0047】
第一の引張体21の横方向の長さは、シート状基材の材質等を勘案して決定することができるが、250~300mmが好ましく、260~280mmがより好ましい。第一の引張体21の縦方向の長さは、シート状基材の材質等を勘案して決定することができるが、80~110mmが好ましい。
【0048】
第二の引張体22の横方向の長さは、シート状基材の材質等を勘案して決定することができるが、250~290mmが好ましく、260~280mmがより好ましい。第二の引張体22の縦方向の長さは、シート状基材の材質等を勘案して決定することができるが、60~80mmが好ましい。
なお、第一の引張体21の横方向の長さと第二の引張体22の横方向の長さとは同一であってもよいし、異なっていてもよい。ただし、装着時の耳への負担を緩和する観点から、両者は同一、あるいは、第一の引張体21の横方向の長さの方が長いことが好ましい。
【0049】
第一の引張体21と第二の引張体22とは、1枚のシート状基材を打ち抜いて成形したものでもよいし、第一の引張体21と第二の引張体22とを別々に成形した後、接続してもよい。中でも、生産効率の観点からは、1枚のシート状基材を打ち抜いて成形したものが好ましい。なお、第一の引張体21と第二の引張体22とは、材質が同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0050】
第一の引張体21は、概ね楕円の下半分の形状とされており、上端側に上側凹部21aが形成されている。顔に装着した際、第一の引張体21の下側中央部分は口の周りを覆うようになっている。また、上側中央部分は鼻のほぼ下半分を覆うようになっている。また、口の周りと鼻のほぼ下半分を覆う部分の両側は、両頬を目の下まで覆うようになっている。
また、第一の引張体21には、一対の第一の耳掛け孔が形成されている。すなわち、顔に装着した際、左側となる部分には左耳用第一の耳掛け孔23が、右側となる部分には右耳用第一の耳掛け孔24が各々形成されている。
【0051】
左耳用第一の耳掛け孔23は、一の頂点が右下向き(図示左下向き)とされた三角孔23aと、三角孔23aの前記一の頂点から右下(図示左下)に向かって伸びる延長切込み線23bと延長切込み線23bの終端において、延長切込み線23bと直角に設けられた終端切込み線23cとで構成されている。
【0052】
同様に、右耳用第一の耳掛け孔24は、一の頂点が左下向き(図示右下向き)とされた三角孔24aと、三角孔24aの前記一の頂点から左下(図示右下)に向かって伸びる延長切込み線24bと延長切込み線24bの終端において、延長切込み線24bと直角に設けられた終端切込み線24cとで構成されている。
第一の引張体21は、左耳用第一の耳掛け孔23と右耳用第一の耳掛け孔24を耳に掛けることにより、口角及び頬を耳に向かって引っ張るようになっている。
【0053】
第二の引張体22は、概ね8の字を横にした形状とされており、下端側に下側凹部22aが形成され、装着時に顎先が露出するようになっている。第二の引張体22は、顔に装着した際、下顎を覆うようになっている。
また、第二の引張体22には、一対の第一の耳掛け孔が形成されている。すなわち、顔に装着した際、左側となる部分には左耳用第二の耳掛け孔25が、右側となる部分には右耳用第二の耳掛け孔26が各々形成されている。
【0054】
左耳用第二の耳掛け孔25は、一の頂点が左向き(図示右向き)とされた三角孔25aと、三角孔25aの前記一の頂点から左(図示右)に向かって伸びる延長切込み線25bと延長切込み線25bの終端において、延長切込み線25bと直角に設けられた終端切込み線25cとで構成されている。
【0055】
同様に、右耳用第二の耳掛け孔26は、一の頂点が右向き(図示左向き)とされた三角孔26aと、三角孔26aの前記一の頂点から右(図示左)に向かって伸びる延長切込み線26bと延長切込み線26bの終端において、延長切込み線26bと直角に設けられた終端切込み線26cとで構成されている。
第二の引張体22は、左耳用第二の耳掛け孔25と右耳用第二の耳掛け孔26を耳に掛けることにより、下顎を耳に向かって引っ張るようになっている。
【0056】
第一の引張体21には、オーバル形状の口露出部27が形成されている。
第一の引張体21には、また、鼻挿入孔28が形成されている。鼻挿入孔28は、外鼻の輪郭に沿った凹字型の切込み孔とされている。
装着した際に鼻の先端を鼻挿入孔28に挿入して露出させると、鼻挿入孔28の上側の部分が、鼻の下半分を覆うようになっている。
【0057】
また、第一の引張体21と第二の引張体22の境界部分であって、左側切込み部20aと右側切込み部20bに挟まれた部分には、刺激板13を挿入するための一対の挿入口が形成されている。すなわち、左側挿入口31と右側挿入口32が形成されている。
マスク本体20における左側挿入口31と右側挿入口32は、長方形の両端に丸みを持たせた形状の孔とされている。
【0058】
左側挿入口31は、装着時に、顔の左側において刺激板13を挿入する孔で、図示右下がりの切込みとされている。右側挿入口32は、装着時に、顔の右側において刺激板13を挿入する孔で、図示左下がりの切込みとされている。左側挿入口31と右側挿入口32の傾きは水平に対して約45゜とされているが、装着時には、ほぼ水平の方向となる。
マスク本体20を顔に装着した際、左側挿入口31と右側挿入口32は、各々ほうれい線部分のやや下側の位置となる。
【0059】
(マスク本体40)
シート状基材からなるマスク本体の他の一例を図5に示す。マスク本体40はマスク本体20と大部分が同じ構成とされているので、マスク本体20と同じ構成部分については、マスク本体20と同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0060】
図5のマスク本体40は、第一の引張体29と第二の引張体22からなるシート状基材で構成されている。
マスク本体40の第一の引張体29が、マスク本体20の第一の引張体21と異なる点は、第一の引張体21は、上端側に上側凹部21aが形成されているのに対して、第一の引張体29は、鼻上部を鼻根部まで覆うための凸片29aが上端中央に設けられている点である。
【0061】
凸片29aが設けられているため、第一の引張体29は、顔に装着した際、口の周りを覆い、両頬を目の下まで覆うのに加えて、鼻全体を鼻根部まで覆うようになっている。
左耳用第一の耳掛け孔23、右耳用第一の耳掛け孔24、口露出部27、鼻挿入孔28は、各々マスク本体20の第一の引張体21におけるものと同様である。
左側挿入口31と右側挿入口32もマスク本体20におけるのと同様に設けられている。
また、マスク本体20の好ましい態様は、マスク本体40においても同様である。
【0062】
(マスク本体50)
シート状基材からなるマスク本体の他の一例を図6に示す。図6のマスク本体50の横方向の長さは、シート状基材の材質等を勘案して決定することができるが、250~300mmが好ましく、260~280mmがより好ましい。マスク本体50の縦方向の長さは、シート状基材の材質等を勘案して決定することができるが、80~110mmが好ましい。
【0063】
マスク本体50は、1枚のシート状基材を打ち抜いて成形することができる。
マスク本体50は、概ね楕円の下半分の形状とされている。マスク本体50は、顔に装着した際、口の周り及び頬に加えて、鼻のほぼ下半分を覆うようになっている。
また、マスク本体50には、一対の第一の耳掛け孔が形成されている。すなわち、顔に装着した際、左側となる部分には左耳用耳掛け孔51が、右側となる部分には右耳用耳掛け孔52が各々形成されている。
【0064】
左耳用耳掛け孔51は、一の頂点が右下向き(図示左下向き)とされた三角孔51aと、三角孔51aの前記一の頂点から右下(図示左下)に向かって伸びる延長切込み線51bと延長切込み線51bの終端において、延長切込み線51bと直角に設けられた終端切込み線51cとで構成されている。
【0065】
同様に、右耳用耳掛け孔52は、一の頂点が左下向き(図示右下向き)とされた三角孔52aと、三角孔52aの前記一の頂点から左下(図示右下)に向かって伸びる延長切込み線52bと延長切込み線52bの終端において、延長切込み線52bと直角に設けられた終端切込み線52cとで構成されている。
マスク本体50は、左耳用耳掛け孔51と右耳用耳掛け孔52を耳に掛けることにより、口角及び頬を耳に向かって引っ張るようになっている。
【0066】
マスク本体50には、また、オーバル形状の口露出部53が形成されている。
また、鼻挿入孔54が形成されている。鼻挿入孔54は、外鼻の輪郭に沿った凹字型の切込み孔とされている。
装着した際に鼻の先端を鼻挿入孔54に挿入して露出させると、鼻挿入孔54の上側の部分が、鼻の下半分を覆うようになっている。
【0067】
また、口露出部53の下側には、刺激板13を挿入するための一対の挿入口が形成されている。すなわち、左側挿入口56と右側挿入口57が形成されている。
マスク本体50における左側挿入口56と右側挿入口57は、長方形の両端に丸みを持たせた形状の孔とされている。
【0068】
左側挿入口56は、装着時に、顔の左側において刺激板13を挿入する孔で、図示右下がりの切込みとされている。右側挿入口57は、装着時に、顔の右側において刺激板13を挿入する孔で、図示左下がりの切込みとされている。左側挿入口56と右側挿入口57の傾きは、水平に対して約45゜とされているが、装着時には、ほぼ水平の方向となる。
マスク本体50を顔に装着した際、左側挿入口56と右側挿入口57は、各々ほうれい線部分のやや下側の位置となる。
【0069】
(マスク本体60)
シート状基材からなるマスク本体の他の一例を図7に示す。図7のマスク本体60は、図4のマスク本体20と刺激板13を挿入するための挿入口の位置が異なっている。なお、マスク本体60の好ましい態様において、マスク本体20と同様である点については、説明を省略する。
【0070】
図7のマスク本体60は、第一の引張体61と第二の引張体62からなるシート状基材で構成されている。
第一の引張体61と第二の引張体62との間には、両側端から中心に向かう切込み部が形成されている。すなわち、顔に装着した際、左側となる端部からは、中心に向かって左側切込み部60aが形成されている。また、顔に装着した際、右側となる端部からは、中心に向かって右側切込み部60bが形成されている。
【0071】
左側切込み部60aと右側切込み部60bは、マスク本体60の左右両端から中心に向かって形成され、かつ、装着時において第一の引張体61と第二の引張体62とが切り離されないようにされている。
【0072】
第一の引張体61は、概ね楕円の下半分の形状とされており、上端側に上側凹部61aが形成されている。顔に装着した際、第一の引張体61の下側中央部分は口の周りを覆うようになっている。また、上側中央部分は鼻のほぼ下半分を覆うようになっている。また、口の周りと鼻のほぼ下半分を覆う部分の両側は、両頬を目の下まで覆うようになっている。
また、第一の引張体61には、一対の第一の耳掛け孔が形成されている。すなわち、顔に装着した際、左側となる部分には左耳用第一の耳掛け孔63が、右側となる部分には右耳用第一の耳掛け孔64が各々形成されている。
【0073】
左耳用第一の耳掛け孔63は、一の頂点が左上向き(図示右上向き)とされた三角孔63aと、三角孔63aの前記一の頂点から左上(図示右上)に向かって伸びる延長切込み孔63bとで構成されている。
同様に、右耳用第一の耳掛け孔64は一の頂点が右上向き(図示左上向き)とされた三角孔64aと、三角孔64aの前記一の頂点から右上(図示左上)に向かって伸びる延長切込み孔64bとで構成されている。
第一の引張体61は、左耳用第一の耳掛け孔63と右耳用第一の耳掛け孔64を耳に掛けることにより、口角及び頬を耳に向かって引っ張るようになっている。
【0074】
第二の引張体62は、概ね8の字を横にした形状とされており、下端側に下側凹部62aが形成され、装着時に顎先が露出するようになっている。第二の引張体62は、顔に装着した際、下顎を覆うようになっている。
また、第二の引張体62には、一対の第一の耳掛け孔が形成されている。すなわち、顔に装着した際、左側となる部分には左耳用第二の耳掛け孔65が、右側となる部分には右耳用第二の耳掛け孔66が各々形成されている。
【0075】
左耳用第二の耳掛け孔65と右耳用第二の耳掛け孔66とは、各々中心側から両端側に向かって広がる略雫形の孔とされている。
第二の引張体62は、左耳用第二の耳掛け孔65と右耳用第二の耳掛け孔66を耳に掛けることにより、下顎を耳に向かって引っ張るようになっている。
【0076】
第一の引張体61には、オーバル形状の口露出部67が形成されている。
第一の引張体61には、また、鼻挿入孔68が形成されている。鼻挿入孔68は、外鼻の輪郭に沿った凹字型の切込み孔とされている。
装着した際に鼻の先端を鼻挿入孔68に挿入して露出させると、鼻挿入孔68の上側の部分が、鼻の下半分を覆うようになっている。
【0077】
また、鼻挿入孔68の両側には、刺激板13を挿入するための一対の挿入口が形成されている。すなわち、左側挿入口71と右側挿入口72が形成されている。
マスク本体60における左側挿入口71と右側挿入口72は、長方形の両端に丸みを持たせた形状の孔とされている。
【0078】
左側挿入口71は、装着時に、顔の左側において刺激板13を挿入する孔で、図示右上がりの切込みとされている。右側挿入口72は、装着時に、顔の右側において刺激板13を挿入する孔で、図示左上がりの切込みとされている。
左側挿入口71と右側挿入口72の傾きは水平に対して約25゜とされているが、装着時には、ほぼ水平の方向となる。
マスク本体60を顔に装着した際、左側挿入口71と右側挿入口72は、各々ほうれい線部分のやや上側の位置となる。
【0079】
なお、マスク本体60の第一の引張体61は、マスク本体20の第一の引張体21と同様に上側凹部61aを有する構成としたが、マスク本体40の第一の引張体29と同様に、鼻上部を鼻根部まで覆うための凸片を設けた構成としてもよい。
【0080】
[皮膚化粧料]
マスク本体のシート状基材には、皮膚化粧料が含浸されていてもよい。シート状基材に皮膚化粧料が含浸されていることで、角質層の保湿効果により、肌に潤いと張りを与えることができる。加えて、皮膚化粧料を含浸することで、シート状基材と肌との密着性が上がり、刺激板をより確実に所定の作用位置に固定できる。
皮膚化粧料は予めシート状基材に含浸されていてもよいし、使用時において、使用者が皮膚化粧料をシート状基材に含浸させるようにしてもよい。
【0081】
皮膚化粧料としては、例えば、美容液、化粧水(美白、紫外線防止も含む)、油性成分を含む乳化組成物(乳液)、クレンジング剤等が挙げられる。
皮膚化粧料の組成は、特に限定されないが、密着性を高める観点及び保湿効果を高める観点から、グリセリン、ジプロピレングリコール、1-3ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビット、プロピレングリコール等の多価アルコールを含むものが好ましい。
【0082】
皮膚化粧料中の多価アルコールの含有量は、皮膚化粧料に求める効果を勘案して決定することができるが、10~50質量%が好ましく、15~30質量%がより好ましい。
多価アルコールの含有量が上記好ましい下限値以上であれば、充分なマスク密着性や保湿効果が得られ、使用者にほうれい線や小じわが薄くなった感覚を与えることができる。また、シート状基材と肌との密着性を高めやすい。
また、多価アルコールの含有量が上記好ましい上限値以下使用後の肌のべたつき感を抑制できる。
【0083】
皮膚化粧料は、マスク本体を構成するシート状基材全体に含浸されていてもよいし、シート状基材の一部に含浸されていてもよい。
シート状基材に耳掛け孔が形成されている場合、装着時の取り扱い性を良好とし、装用感の低下を防ぐ観点から、装着時に耳に触れる耳掛け孔周辺には、皮膚化粧料を含浸させない方が好ましい。
【0084】
所定の作用位置及びその周辺に接触する部分には、皮膚化粧料を含浸させることが好ましい。これにより、所定の作用位置及びその周辺に接触する部分のシート状基材が皮膚及び刺激板に対して密着し、刺激板を所定の作用位置により確実に固定しやすくなる。
また、所定の作用位置及びその周辺以外であっても、例えば、頬、頬骨近傍、口囲、顎先等、皮膚化粧料による保湿効果が求められる部位に接触する部分にも、皮膚化粧料を含浸させることが好ましい。
【0085】
シート状基材に含浸させる皮膚化粧料の量に特に限定はないが、皮膚化粧料が含浸される部分(以下、含浸対象部)のシート状基材の質量(C)と、含浸する皮膚化粧料の質量(D)との質量比(D/C)で表される含浸倍率が、5~13であることが好ましく、7~20であることがより好ましい。
含浸倍率が好ましい下限値以上であることにより、皮膚及び刺激板に対して密着しやすくなる。
また、含浸倍率が好ましい上限値以下であることにより、皮膚化粧料が垂れる等の不具合を回避しやすい。
具体的な質量比は、シート状基材の材質や皮膚化粧料の種類を勘案して決定できる。
【0086】
シート状基材への皮膚化粧料の含浸方法は、公知の手法を用いることができ、例えば、含浸対象部にハケで塗布して含浸する方法や、スプレー噴霧して含浸する方法が挙げられる。
【0087】
[美容処理方法]
(マスク本体20を用いた美容処理方法)
図8を用いて、図1の刺激具10と図4のマスク本体20を用いた美容処理方法について説明する。図8は、所定の作用位置がほうれい線部分である場合の美容処理方法を示している。
なお、図8では、刺激具10の内、刺激板13とリード線12の一部のみを示し、刺激具本体11と刺激具本体11近傍のリード線12の図示は省略する。
【0088】
前述のように、マスク本体20の一部又は全部には、皮膚化粧料を含浸させておくことが好ましい。このマスク本体20を顔に装着する。装着は、例えば以下のように行う。
第一の引張体21を鼻挿入孔28から鼻91の先端が露出し、口露出部27から口93が露出するように口囲90及び頬92に接触させると共に、左耳用第一の耳掛け孔23及び右耳用第一の耳掛け孔24をそれぞれ両の耳95に掛ける。なお、図8は、顔の左側から見た斜視図としているので、右耳用第一の耳掛け孔24は図示していない。
【0089】
次いで、顎先96が露出するように、第二の引張体22を下顎94に接触させると共に、左耳用第二の耳掛け孔25及び右耳用第二の耳掛け孔26をそれぞれ両の耳95に掛ける。なお、右耳用第二の耳掛け孔26は図8に示していない。
こうして、マスク本体20を装着することで、第一の引張体21は、矢印F1のように、頬92及び口角98を耳95に向かって引張する。また、第二の引張体22は、矢印F2のように、下顎94を耳95に向かって引張する。
これにより、マスク本体20は、顔に対して、加圧状態で密着する。
【0090】
次に左側挿入口31と右側挿入口32の各々から、刺激板13を挿入する。図7では、左側挿入口31から刺激板13を挿入した様子を示している。
刺激板13は、例えば、左側挿入口31から押し上げるようにして、マスク本体20の内側に挿入することができる。
【0091】
挿入後は、リード線12の大部分が左側挿入口31の外側(マスク本体20の外側)に配置されるので、リード線12の左側挿入口31の外側とされた部分を把持部として、これを動かすことにより刺激板13を操作し、適宜移動させることができる。
そして、刺激板13の位置を、所定の作用位置であるほうれい線部分に調整したら、リード線12による刺激板13の操作を終了する。
右側挿入口32からの刺激板13の挿入と位置の調整も同様にして行う。
【0092】
刺激板13の位置が所定の作用位置(ほうれい線部分)に調整され、リード線12による刺激板13の操作を終了すると、刺激板13は、マスク本体20を構成するシート状基材の伸縮力により加圧され、その作用位置に固定される。
刺激板13は、マスク本体20による加圧を受けて所定の作用位置の皮膚に対して圧迫刺激を与える。その際、刺激板13を覆っている第一の引張体21は、矢印F1方向に引張されているので、刺激板13は、皮膚を圧迫しつつ、皮膚を引き上げるように作用する。
そのため、所定の作用位置の皮膚の引き上げ効果を期待できる。
【0093】
また、刺激板13が図2、3に示すように、光照射部15を有する場合、図示を省略する刺激具本体11から光照射部15に電力を供給することにより、所定の作用位置に対して光の刺激を付与することができる。
そのため、所定の作用位置における新陳代謝が活発化することが期待できる。
さらに、マスク本体20に皮膚化粧料を含浸させている場合は、皮膚化粧料の皮膚への保湿作用も期待できる。
【0094】
マスク本体20の装着時間は特に限定されず、刺激板13の種類や使用する皮膚化粧料の種類等を勘案して決定できる。例えば、5分間~2時間が好ましく、10~30分間がより好ましい。
装着時間が上記好ましい下限値以上であれば、刺激板13による美容処理効果を充分に発揮できる。
装着時間が上記好ましい上限値以下であれば、使用者の負担が過大とならない。
【0095】
(マスク本体40を用いた美容処理方法)
図9を用いて、図1の刺激具10と図5のマスク本体40を用いた美容処理方法について説明する。図9は、所定の作用位置がほうれい線部分である場合の美容処理方法を示している。
【0096】
なお、図9では、刺激具10の内、刺激板13とリード線12の一部のみを示し、刺激具本体11と刺激具本体11近傍のリード線12の図示は省略する。また、図9は、顔の左側から見た斜視図としているので、顔の右側に配置される構成部材は図示していない。
図9において、図8と同一の構成部材については、図8と同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0097】
前述のように、マスク本体40の一部又は全部には、皮膚化粧料を含浸させておくことが好ましい。このマスク本体40を顔に装着する。装着は、マスク本体20の装着と同様に行うことができる。
マスク本体40を顔に装着すると、マスク本体20と同様に、顔に対して、加圧状態で密着する。なお、マスク本体40は凸片29aを有することから、マスク本体40を顔に装着すると、目の下まで両頬が覆われるだけでなく、鼻全体が鼻根部まで覆われる。
マスク本体40を顔に装着した後の刺激板13の挿入とその後の位置調整は、マスク本体20の場合と同様に行うことができる。
【0098】
マスク本体40は、鼻全体を鼻根部まで覆うため、マスク本体20よりもさらに刺激板13を所望の位置に安定して固定しやすい。また、刺激板13が光源部を有する場合、凸片29aが上方に向かう光を散乱させる。そのため、光が漏れ出て眩しく感じることを防ぎやすい。
【0099】
(マスク本体60を用いた美容処理方法)
図10を用いて、図1の刺激具10と図6のマスク本体60を用いた美容処理方法について説明する。図10は、所定の作用位置がほうれい線部分である場合の美容処理方法を示している。
【0100】
なお、図10では、刺激具10の内、刺激板13とリード線12の一部のみを示し、刺激具本体11と刺激具本体11近傍のリード線12の図示は省略する。また、図10は、顔の左側から見た斜視図としているので、顔の右側に配置される構成部材は図示していない。
図10において、図8と同一の構成部材については、図8と同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0101】
前述のように、マスク本体60の一部又は全部には、皮膚化粧料を含浸させておくことが好ましい。このマスク本体60を顔に装着する。装着は、マスク本体20の装着と同様に行うことができる。
マスク本体60を顔に装着すると、マスク本体20と同様に、顔に対して、加圧状態で密着する。
【0102】
次に左側挿入口71と右側挿入口72の各々から、刺激板13を挿入する。図10では、左側挿入口71から刺激板13を挿入した様子を示している。
刺激板13は、例えば、左側挿入口71から押し下げるようにして、マスク本体60の内側に挿入することができる。
【0103】
挿入後は、リード線12の大部分が左側挿入口71の外側(マスク本体60の外側)に配置されるので、リード線12の左側挿入口71の外側とされた部分を把持部として、これを動かすことにより刺激板13を操作し、適宜移動させることができる。
そして、刺激板13の位置を、所定の作用位置であるほうれい線部分より下に設置した後引き上げることにより、所定の作用位置に調整したら、リード線12による刺激板13の操作を終了する。
右側挿入口72からの刺激板13の挿入と位置の調整も同様にして行う。
【0104】
刺激板13の位置が所定の作用位置(ほうれい線部分)に調整され、リード線12による刺激板13の操作を終了すると、刺激板13は、マスク本体60を構成するシート状基材の伸縮力により加圧され、その作用位置に固定される。
刺激板13は、マスク本体60による加圧を受けて所定の作用位置の皮膚に対して圧迫刺激を与える。その際、刺激板13を覆っている第一の引張体61は、矢印F1方向に引張されているので、刺激板13は、皮膚を圧迫しつつ、皮膚を引き上げるように作用する。
そのため、所定の作用位置の皮膚の引き上げ効果を期待できる。
【0105】
また、刺激板13が図2、3に示すように、光照射部15を有する場合、マスク本体20を用いた場合と同様に、図示を省略する刺激具本体11から光照射部15に電力を供給することにより、光の刺激を付与することによる所定の作用位置における新陳代謝が活発化することが期待できる。
さらに、マスク本体60に皮膚化粧料を含浸させている場合は、皮膚化粧料の皮膚への保湿作用も期待できる。
マスク本体60の装着時間は特に限定されず、マスク本体20の場合と同様に、刺激板13の種類や使用する皮膚化粧料の種類等を勘案して決定できる。
【0106】
マスク本体60を用いた場合、マスク本体60を顔に装着する前に、刺激板13を左側挿入口71と右側挿入口72から、各々、マスク本体60の内側に挿入しておいてもよい。
刺激板13は、左側挿入口71と右側挿入口72の各々に挿入すると、リード線12により、各々の挿入口の淵にぶら下げられた状態となる。その状態でマスク本体60を顔に装着すればよい。
マスク本体60を顔に装着した後は、マスク本体60を装着後に刺激板13を挿入した場合と同様に、リード線12を操作することにより、刺激板13を所定の作用位置(ほうれい線部分)に移動させることができる。
【0107】
(マスク本体50を用いた美容処理方法)
前述のように、マスク本体50の一部又は全部には、皮膚化粧料を含浸させておくことが好ましい。このマスク本体50を顔に装着する。装着は、例えば以下のように行う。
マスク本体50を鼻挿入孔54から鼻の先端が露出し、口露出部53から口が露出するように口囲及び頬に接触させると共に、左耳用耳掛け孔51及び右耳用耳掛け孔52をそれぞれ両の耳に掛ける。
こうして、マスク本体50を装着することで、マスク本体50は、頬及び口角を耳に向かって引張する。これにより、マスク本体50は、顔に対して、加圧状態で密着する。
【0108】
次に左側挿入口56と右側挿入口57の各々から、刺激板13を挿入する。刺激板13は、例えば、左側挿入口56と右側挿入口57の各々から押し上げるようにして、マスク本体50の内側に挿入することができる。
【0109】
挿入後は、リード線12の大部分が左側挿入口56と右側挿入口57の各々の外側(マスク本体50の外側)に配置されるので、リード線12の各挿入口の外側とされた部分を把持部として、これを操作することにより刺激板13を適宜移動させることができる。
そして、刺激板13の位置が所定の作用位置であるほうれい線部分に調整されたら、リード線12による刺激板13の操作を終了する。
【0110】
刺激板13の位置が所定の作用位置(ほうれい線部分)に調整され、リード線12による刺激板13の操作を終了すると、刺激板13は、マスク本体50を構成するシート状基材の伸縮力により加圧され、その作用位置に固定される。
刺激板13は、マスク本体50による加圧を受けて所定の作用位置の皮膚に対して圧迫刺激を与える。その際、刺激板13を覆っているマスク本体50は、耳の方向に引張されているので、刺激板13は、皮膚を圧迫しつつ、皮膚を引き上げるように作用する。
そのため、所定の作用位置の皮膚の引き上げ効果を期待できる。
【0111】
また、刺激板13が図2、3に示すように、光照射部15を有する場合、図示を省略する刺激具本体11から光照射部15に電力を供給することにより、所定の作用位置に対して光の刺激を付与することができる。
そのため、所定の作用位置における新陳代謝が活発化することが期待できる。
さらに、マスク本体50に皮膚化粧料を含浸させている場合は、皮膚化粧料の皮膚への保湿作用も期待できる。
マスク本体50の装着時間は特に限定されず、マスク本体20の場合と同様に、刺激板13の種類や使用する皮膚化粧料の種類等を勘案して決定できる。
【0112】
[作用]
本発明では、マスク本体のシート状基材内側に挿入した刺激板の位置を、後から調整できるので、顔の形状の個人差にかかわらず、処置を施したい所定の作用位置に充分な刺激を与えることができる。
また、刺激板をシート状基材の内側に配置して使用するので、光源部を有する刺激板とする場合にも、シート状基材を透明にする必要がなく、マスク本体の素材選択の自由度が高い。例えば、シート状基材を不織布製とすれば、皮膚化粧料を含浸させることができるので、刺激板による処置と平行して、皮膚化粧料による皮膚の手入れもできる。
【実施例0113】
<評価方法>
各実施例について、以下の評価を行った。
【0114】
[マスクの密着性]
マスクの密着性の評価は、専門パネル10名が各例の美容用マスクを15分間装着した後、下記の評価基準により評価した。10名の評価の平均点を算出し、下記の分類基準に従い、平均点を分類した。△以上を合格とした。
【0115】
(評価基準)
5点:マスクの密着性が非常にある。
4点:マスクの密着性がかなりある。
3点:マスクの密着性がある。
2点:マスクの密着性がややない。
1点:マスクの密着性がない。
【0116】
(分類基準)
◎:4.0点以上5点以下。
○:3.0点以上4.0点未満。
△:2.0点以上3.0点未満。
×:2.0点未満。
【0117】
[使用後のしっとり感]
使用後のしっとり感の評価は、専門パネル10名が各例の美容用マスクを15分間装着した後、外してから下記の評価基準により評価した。10名の評価の平均点を算出し、下記の分類基準に従い、平均点を分類した。△以上を合格とした。
【0118】
(評価基準)
5点:使用後のしっとり感が非常にある。
4点:使用後のしっとり感がかなりある。
3点:使用後のしっとり感がある。
2点:使用後のしっとり感がややない。
1点:使用後のしっとり感がない。
【0119】
(分類基準)
◎:4.0点以上5点以下。
○:3.0点以上4.0点未満。
△:2.0点以上3.0点未満。
×:2.0点未満。
【0120】
[ほうれい線や小じわが薄くなった感じ]
ほうれい線や小じわが薄くなった感じの評価は、専門パネル10名が各例の美容用マスクを15分間装着した後、下記の評価基準により評価した。10名の評価の平均点を算出し、下記の分類基準に従い、平均点を分類した。△以上を合格とした。
【0121】
(評価基準)
5点:ほうれい線や小じわが薄くなった感じが非常にある。
4点:ほうれい線や小じわが薄くなった感じがかなりある。
3点:ほうれい線や小じわが薄くなった感じがある。
2点:ほうれい線や小じわが薄くなった感じがごくわずかにある。
1点:ほうれい線や小じわが薄くなった感じはほとんどない。
【0122】
(分類基準)
◎:4.0点以上5点以下。
○:3.0点以上4.0点未満。
△:2.0点以上3.0点未満。
×:2.0点未満。
【0123】
[肌の内側からケアできた感じ]
肌の内側からケアできた感じの評価は、専門パネル10名が各例の美容用マスクを15分間装着した後、外してから下記の評価基準により評価した。10名の評価の平均点を算出し、下記の分類基準に従い、平均点を分類した。△以上を合格とした。
【0124】
(評価基準)
5点:肌の内側からケアできた感じが非常にある。
4点:肌の内側からケアできた感じがある。
3点:肌の内側からケアできた感じがややある。
2点:肌の内側からケアできた感じがあまりない。
1点:肌の内側からケアできた感じが全然ない。
【0125】
(分類基準)
◎:4.0点以上5点以下。
○:3.0点以上4.0点未満。
△:2.0点以上3.0点未満。
×:2.0点未満。
【0126】
[使用後の肌のべたつき]
使用後のしっとり感の評価は、専門パネル10名が各例の美容用マスクを15分間装着した後、外してから下記の評価基準により評価した。10名の評価の平均点を算出し、下記の分類基準に従い、平均点を分類した。△以上を合格とした。
【0127】
(評価基準)
5点:使用後の肌のべたつきがない。
4点:使用後の肌のべたつきがほとんどない。
3点:使用後の肌のべたつきがあまりない。
2点:使用後の肌のべたつきがややある。
1点:使用後の肌のべたつきが非常にある。
【0128】
(分類基準)
◎:4.0点以上5点以下。
○:3.0点以上4.0点未満。
△:2.0点以上3.0点未満。
×:2.0点未満。
【0129】
<使用装置・材料等>
[刺激板]
各実施例では下記いずれかの刺激板を使用した。
PET:縦4cm、横3cm、厚み0.3mmのポリエチレンテレフタレート板。
有機LED:コニカミノルタ社製、製品名 パネルはんだ端子付きフレキシブル有機EL照明(赤、発光面15.25mm×15.6mm) 型番A9F4C0A(縦2.6cm、横2.1cm、厚み0.3mm)。
無機LED:アクリルアイ株式会社製白色薄板(縦3.0cm、横3.0cm、厚み0.2mmのポリエチレンテレフタレート板)とアクリルアイ株式会社製透明薄板(縦3.5cm、横5.0cm、厚み0.2mmのポリエチレンテレフタレート板)との間に、Grandview社製、製品名 5050 24連SMD LED ドームライト ルームランプ T10 BA9S花飾り レッド パネル(赤、発光面29mm×43mm)を挟んだもの。
振動体:M5Stac社製、M5Stack用振動モーターユニット型番M5STACK-U059。
熱源:東京硝子器械社製、シリコンラバーヒーター(縦5.0cm、横5.0cm、厚み1.5mm)。
【0130】
[シート状基材]
各実施例では下記いずれかのシート状基材を用いてマスク本体を形成した。
基材1:大和紡績社製、PET/PET潜在捲縮性繊維を含む繊維ウェブを水流交絡処理後、熱処理をし、捲縮性を発現させて作製した不織布、商品名:TT-70(厚さ;0.75mm、目付70g/m)。
基材2:ダイワボウポリテック社製、PET/PET潜在捲縮性繊維を含む繊維ウェブを水流交絡処理後、熱処理をし、捲縮性を発現させて作製した不織布、商品名:JP-95(厚さ;0.83mm、目付95g/m)。
基材3:アイオン社製ポリウレタン、商品名:ウレタンスポンジ ソフラスN(厚さ;1mm、目付231g/m)。
基剤4: Huvis社製、Polyester Nonwoven、商品名:Bella-Lift(厚さ;0.194mm、目付83g/m)。
基材5:共和工業社製、シリコンゴムシート、商品名:シリコンゴムシート(厚さ;0.5mm、目付611g/m)。
【0131】
[挿入口]
各実施例では下記いずれかの挿入口を、左側挿入口31及び右側挿入口32として形成した。
切込み:長さ25mmの切込み。
オーバル:長径25mm、短径3mmのオーバル状孔。
【0132】
[皮膚化粧料成分]
各実施例で使用した皮膚化粧料成分は下記のとおりである。
グリセリン:阪本薬品工業社製、化粧用グリセリン85%。
ジプロピレングリコール:旭硝子社製、化粧用ジプロピレングリコールDPG-FC。
1,3-ブチレングリコール:ダイセル化学工業社製、1,3-ブチレングリコール。
クエン酸:扶桑化学工業社製、クエン酸。
水酸化ナトリウム:ダイソー社製、48%苛性ソーダ。
【0133】
<実施例1~16>
表1~3に示すシート状基材を用いて、図4に記載のマスク本体を作成した。ただし、左側挿入口31及び右側挿入口32は、表1~3に示す形状(切込み又はオーバル)とした。
このマスク本体の全体に、実施例11、12を除き、表1~3に示す配合の皮膚化粧料(25℃におけるpH7.0)を含浸させた。
【0134】
表1~3の配合において、配合量は純分換算で、その単位は「質量%」である。また、配合量の空欄は、その成分が配合されていないこと(配合量0質量%)を意味する。
クエン酸と水酸化ナトリウムの「適量」とは、皮膚化粧料の25℃におけるpHを7.0とするために必要充分な量であることを示す。
また、水の配合量の「残部」とは、全配合成分の合計の配合量(質量%)が100質量%となる量である。
【0135】
その後、専門パネル10名が、各例のマスク本体(実施例11以外は、皮膚化粧料を含浸させたもの)を顔に装着し、さらに、その挿入口(左側挿入口31、右側挿入口32)から表1~3に示す各々の刺激板を挿入した。
挿入後、リード線を持って操作することにより、ほうれい線部分に重なるよう、刺激板を移動させ、実施例1以外は、刺激板を動作させるための電源をONとした。
各専門パネルは、刺激板をほうれい線部分に作用させた状態で15分間美容用マスクを装着してから外し、各評価を行った。結果を表1~3に示す。
【0136】
【表1】
【0137】
【表2】
【0138】
【表3】
【符号の説明】
【0139】
10 刺激具
11 刺激具本体
12 リード線
13 刺激板
14 基板
15 光照射部
16 カバーシート
17 保護テープ
20 マスク本体
20a 左側切込み部
20b 右側切込み部
21 第一の引張体
22 第二の引張体
23 左耳用第一の耳掛け孔
24 右耳用第一の耳掛け孔
25 左耳用第二の耳掛け孔
26 右耳用第二の耳掛け孔
27 口露出部
28 鼻挿入孔
29 第一の引張体
29a 凸片
31 左側挿入口
32 右側挿入口
40 マスク本体
50 マスク本体
51 左耳用耳掛け孔
52 右耳用耳掛け孔
53 口露出部
54 鼻挿入孔
56 左側挿入口
57 右側挿入口
60 マスク本体
60a 左側切込み部
60b 右側切込み部
61 第一の引張体
62 第二の引張体
63 左耳用第一の耳掛け孔
64 右耳用第一の耳掛け孔
65 左耳用第二の耳掛け孔
66 右耳用第二の耳掛け孔
67 口露出部
68 鼻挿入孔
71 左側挿入口
72 右側挿入口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10