(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023055359
(43)【公開日】2023-04-18
(54)【発明の名称】除湿機
(51)【国際特許分類】
B01D 53/26 20060101AFI20230411BHJP
F24F 11/74 20180101ALI20230411BHJP
F24F 11/70 20180101ALI20230411BHJP
F24F 11/79 20180101ALI20230411BHJP
F24F 11/86 20180101ALI20230411BHJP
【FI】
B01D53/26 100
F24F11/74
F24F11/70
F24F11/79
F24F11/86
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021164666
(22)【出願日】2021-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 裕香
【テーマコード(参考)】
3L260
4D052
【Fターム(参考)】
3L260AB13
3L260BA07
3L260BA08
3L260BA51
3L260BA72
3L260CB08
3L260CB61
3L260CB68
3L260DA07
3L260FA07
3L260FA08
3L260FA13
3L260FB02
3L260FB51
3L260FB72
3L260FC16
3L260HA06
4D052AA08
4D052AA10
4D052BA04
4D052BB02
4D052GA01
4D052GA03
4D052GB00
4D052GB02
4D052GB03
4D052GB07
(57)【要約】
【課題】衣類落下により複数の操作スイッチが同時押し状態にとなった場合、適切な運転が可能な除湿機を提供する。
【解決手段】制御部55は、衣類乾燥運転時に複数の操作スイッチ32aの静電容量値が同時に所定値以上になったと判断したら、加熱ヒータ44を停止させると共にシロッコファン42を所定の大風量である最大風量で駆動させる。衣類乾燥運転時、筐体10上に干された濡れた衣類が落下し、複数の操作スイッチ32aが同時押し状態になったら、加熱ヒータ44を停止することで衣類が加熱ヒータ44に接触する等して危険な状態になることを未然に阻止できる。また、吹出口31から最大風量が送風されることで、筐体10上を覆う衣類を落下させ、筐体10上に干された衣類乾燥を継続することができる可能性を高め、衣類の乾燥不足発生を阻止することができる。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体内へ吸い込んだ空気を吹出口から吹き出させる送風ファンと、
前記筐体内に収容され、前記筐体に吸い込まれた空気を除湿する除湿手段と、
前記筐体内に収容され、前記除湿手段で除湿された空気を加熱する加熱ヒータと、
静電容量の変化により入力を検知する複数の操作スイッチを有した操作部と、
当該操作部にあり衣類乾燥運転を開始させる前記操作スイッチの静電容量値が所定値以上になったと判断したら、前記送風ファン、前記除湿手段、及び前記加熱ヒータを駆動させる前記衣類乾燥運転を所定の運転時間だけ実施する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記衣類乾燥運転時に複数の前記操作スイッチの静電容量値が同時に前記所定値以上になったと判断したら、
前記加熱ヒータを停止させると共に前記送風ファンを所定の大風量で駆動させることを特徴とした除湿機。
【請求項2】
モータにより駆動され風向を変更するルーバを前記吹出口に設置し、
前記制御部は、前記衣類乾燥運転時に複数の前記操作スイッチの静電容量値が同時に前記所定値以上になったと判断したら、
前記ルーバを所定の大風量角度にすることを特徴とした請求項1記載の除湿機。
【請求項3】
前記筐体内に圧縮機、凝縮器、減圧装置、及び蒸発器の順に冷媒が通流するよう冷媒配管を接続した冷凍サイクルと、
前記凝縮器と前記蒸発器とで構成される熱交換器の温度を検知する熱交温度センサと、を備え、
前記圧縮機の駆動により前記蒸発器が前記除湿手段として作用するもので、
前記制御部は、前記衣類乾燥運転時に複数の前記操作スイッチの静電容量値が同時に前記所定値以上になったと判断し、前記加熱ヒータを停止すると共に前記送風ファンを前記所定の大風量で駆動させた後、前記熱交温度センサの検知値が所定の高温値以上になったと判断したら、
前記圧縮機を停止させ前記送風ファンの駆動を継続させることを特徴とした請求項1又は2記載の除湿機。
【請求項4】
前記制御部は、前記衣類乾燥運転時に複数の前記操作スイッチの静電容量値が同時に前記所定値以上になったと判断し、前記加熱ヒータを停止すると共に前記送風ファンを前記所定の大風量で駆動させたら、
前記所定の運転時間よりも長い所定時間以上運転を実施させることを特徴とした請求項1から3のいずれか1項記載の除湿機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、衣類乾燥機能を有した除湿機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のものでは、吹出口から空気を吹き出す送風ファンと、筐体内へ吸い込まれた空気を除湿する除湿手段と、吹出口から送風する空気を加熱する加熱ヒータと、を筐体内に備え、操作部にあり衣類乾燥運転を開始させるスイッチが操作されたら、送風ファン、除湿手段、及び加熱ヒータを駆動させ、吹出口から筐体付近に干された衣類に送風して衣類乾燥を実施するものがあった。(例えば、特許文献1)
【0003】
また、静電容量の変化により入力を検知する複数の操作スイッチを有した操作部を備え、複数の操作スイッチの静電容量値が同時に所定値以上になったと判断したら運転停止することで、装置の安全性を保持するものがあった。(例えば、特許文献2)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6482083号公報
【特許文献2】特許第6688953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、この従来のものでは、衣類乾燥運転が可能な除湿機に静電容量の変化により入力を検知する複数の操作スイッチを有した操作部を備えた場合、衣類乾燥運転時に筐体上に干された衣類へ送風されることで衣類が揺動し、操作部にある複数の操作スイッチ上に濡れた衣類が落下することが考えられる。複数の操作スイッチ上に濡れた衣類が落下し、複数の操作スイッチの静電容量値が同時に所定値以上になったことを受け、特許文献2にあるようにエラーとして運転停止した場合、筐体上に干された濡れた衣類の乾燥不足が発生することから、改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1では、筐体と、
前記筐体内へ吸い込んだ空気を吹出口から吹き出させる送風ファンと、
前記筐体内に収容され、前記筐体に吸い込まれた空気を除湿する除湿手段と、
前記筐体内に収容され、前記除湿手段で除湿された空気を加熱する加熱ヒータと、
静電容量の変化により入力を検知する複数の操作スイッチを有した操作部と、
当該操作部にあり衣類乾燥運転を開始させる前記操作スイッチの静電容量値が所定値以上になったと判断したら、前記送風ファン、前記除湿手段、及び前記加熱ヒータを駆動させる前記衣類乾燥運転を所定の運転時間だけ実施する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記衣類乾燥運転時に複数の前記操作スイッチの静電容量値が同時に前記所定値以上になったと判断したら、
前記加熱ヒータを停止させると共に前記送風ファンを所定の大風量で駆動させることを特徴とした。
【0007】
また、請求項2では、モータにより駆動され風向を変更するルーバを前記吹出口に設置し、
前記制御部は、前記衣類乾燥運転時に複数の前記操作スイッチの静電容量値が同時に前記所定値以上になったと判断したら、
前記ルーバを所定の大風量角度にすることを特徴とした。
【0008】
また、請求項3では、前記筐体内に圧縮機、凝縮器、減圧装置、及び蒸発器の順に冷媒が通流するよう冷媒配管を接続した冷凍サイクルと、
前記凝縮器と前記蒸発器とで構成される熱交換器の温度を検知する熱交温度センサと、を備え、
前記圧縮機の駆動により前記蒸発器が前記除湿手段として作用するもので、
前記制御部は、前記衣類乾燥運転時に複数の前記操作スイッチの静電容量値が同時に前記所定値以上になったと判断し、前記加熱ヒータを停止すると共に前記送風ファンを前記所定の大風量で駆動させた後、前記熱交温度センサの検知値が所定の高温値以上になったと判断したら、
前記圧縮機を停止させ前記送風ファンの駆動を継続させることを特徴とした。
【0009】
また、請求項4では、前記制御部は、前記衣類乾燥運転時に複数の前記操作スイッチの静電容量値が同時に前記所定値以上になったと判断し、前記加熱ヒータを停止すると共に前記送風ファンを前記所定の大風量で駆動させたら、
前記所定の運転時間よりも長い所定時間以上運転を実施させることを特徴とした。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、操作部にある複数の操作スイッチ上に濡れた衣類が落下した場合でも、安全な状態で筐体上に干された衣類へ送風し続けることができるため、安全性を保持しつつ衣類の乾燥不足発生を阻止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】除湿機の前枠及び後枠を外した状態の右側面図。
【
図6】除湿機の機能構成を示す概略的な機能ブロック図。
【
図7】本実施形態における衣類乾燥運転で衣類落下による操作スイッチの同時押しが発生したときの制御内容を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る空気調和機の一実施形態を添付図面に基づいて説明する。本実施形態においては、本発明の空気調和機を、蒸気圧縮式冷凍サイクルを利用し空気中に含まれる水分を結露させて除湿する除湿機1に適用して説明する。
【0013】
図1は、本実施形態における除湿機1の外観斜視図である。
【0014】
図2は、除湿機1の前枠11及び後枠12を外した状態の右側面図である。
【0015】
【0016】
【0017】
図5は、除湿機1の操作部32付近を説明する図である。
【0018】
図6は、除湿機1の機能構成を示す概略的な機能ブロック図である。
【0019】
以下の説明においては、各図面に示される前後上下左右の定義に従って説明する。なお、鉛直方向は上下方向であり、水平方向は前後左右方向を含む面方向に含まれる方向である。
【0020】
除湿機1は、除湿機1の外観をなす筐体10を有する。筐体10は、前枠11と、後枠12と、後枠化粧板13と、上面板14と、ベース15と、を有する。
【0021】
前枠11及び後枠12は、互いに組み合わされ、除湿機1の前後方向に面する筐体10をなす。
【0022】
後枠12は、吸込口21と、タンク挿入口22と、注水口23と、レバー支持口24と、を有する。吸込口21は、複数のスリット26を有し、外表面にフィルタ27及びフィルタケース28を有する。フィルタ27は、樹脂製の網や不織布などからなり、吸入空気に混入する埃やにおい成分などを取り除く。フィルタケース28は、フィルタ27を吸込口21に固定する。タンク挿入口22は、吸込口21の下方に配置され、ここからドレンタンク51が挿入及び取り出される。注水口23及びレバー支持口24は、吸込口21の上方に配置される。後枠化粧板13は、後枠12の上方に取り付けられることで後枠12の視認させたくない部分を覆う目隠しとなる。
【0023】
上面板14は、組み合わされた前枠11及び後枠12の上方に配置され、上方に面する筐体10をなす。上面板14は、吹出口31と、操作部32と、LED表示部33と、を有する。吹出口31は、上面板14の上方を向く面に配置される。吹出口31は、乾燥空気の吹出方向を制御可能なルーバユニット35を有する。ルーバユニット35は、主ルーバ36a、及び補助ルーバ36bとで構成されるルーバ36と、ルーバ36を駆動するルーバモータ37と、を有する。
【0024】
操作部32及びLED表示部33は、上面から前方に斜め下方に傾斜する面に配置される。操作部32は、運転スイッチ、タイマースイッチ、運転モード選択スイッチ等、複数の操作スイッチ32aがパネル上に表示され、ユーザが指で操作スイッチ32aをタッチすると、操作スイッチ32a下に位置する図示しない電極で検出される静電容量値が変化し、静電容量値が所定値以上に達したかで操作スイッチ32aの操作有無が判別可能な静電容量式のタッチパネルで構成されている。LED表示部33は、操作スイッチ32aの操作により設定された運転状態等をLED(Light Emitting Diode)の点灯状態で表示する。
【0025】
ベース15は、組み合わされた前枠11及び後枠12の下方に配置され、除湿機1の土台となる。
【0026】
除湿機1は、筐体10に収容される主な内部部品として、ファンケース41と、シロッコファン42と、送風モータ43と、加熱ヒータ44と、圧縮機45と、熱交換器46と、ドレンパン49と、ドレンタンク51と、制御部55と、を有する。
【0027】
ファンケース41は、ベース15上に配置され、主に送風ファンとしてのシロッコファン42、送風モータ43、及びドレンタンク51を支持したり位置決めしたりする。
【0028】
送風ファンとしてのシロッコファン42は、送風モータ43の回転により回転し、吸込口21から空気を吸い込み、吹出口31から吹き出す空気の流れを形成する。シロッコファン42及び送風モータ43は、回転軸が前後方向に沿うようにファンケース41に取り付けられている。送風モータ43は、複数段階の回転数が設定可能であり、運転モードや室内の温湿度に応じて所定の回転数に設定され、シロッコファン42を回転させる。
【0029】
加熱ヒータ44は、熱交換器46と吹出口31との間にある送風経路に設置されており、通電されることでヒータが駆動し、送風経路を通過する空気の温度を上昇させる。特に、除湿機1の吹出口31の上方に洗濯後の衣類を干して乾燥させる衣類乾燥運転時において加熱ヒータ44が駆動することで、高温の温風が吹出口31から吹出され早期に衣類を乾燥させることができるため、衣類乾燥運転の効率を上げることができる。
【0030】
圧縮機45は、ベース15上に固定されており、冷媒配管45a及び減圧装置45bを介して熱交換器46に接続される。
【0031】
熱交換器46は、吸込口21から吸い込まれた空気と熱交換を行う。熱交換器46は、吸込口21に近い位置に配置される除湿手段としての蒸発器46aと、蒸発器46aよりも前方に配置される凝縮器46bと、を有する。蒸発器46a及び凝縮器46bは、U字状の冷媒管47にフィン48が取り付けられた、フィンチューブ型の熱交換器である。冷媒管47は、
図2に示すように、水平方向(左右方向)に延びる複数の直線部47aと、上下方向に曲り2本の直線部47aをつなげる曲げ部47bと、を有し、この直線部47aと曲げ部47bとが冷媒管47の長さ方向に渡って連続して現われる。
【0032】
圧縮機45、冷媒配管45a、減圧装置45b及び熱交換器46は、冷媒が流れる冷凍サイクルを形成する。冷凍サイクルは、冷媒が流れる順に、圧縮機45、凝縮器46b、減圧装置45b、蒸発器46aで構成され、冷媒配管45aで接続される。冷媒は、蒸発器46aを流れる際に、蒸発器46aを通過する空気から熱を奪い蒸発する。また、冷媒は、凝縮器46bを流れる際に、凝縮器46bを通過する空気を再加熱し凝縮する。これにより、吸込口21から吸い込まれた空気は、フィルタ27で埃やにおい成分などが取り除かれた後、蒸発器46aで冷却、除湿され、次いで凝縮器46bで加熱されて、低湿度の空気として吹出口31から排出される。
【0033】
ドレンパン49は、ファンケース41のシロッコファン42が配置される側と前後方向における反対側で、熱交換器46を下方で支持し、固定する。ドレンパン49は、熱交換器46の下方に位置する冷媒管47及びフィン48と掛かり合うことで、熱交換器46を前後及び左右方向に支持する。ドレンパン49は、排水口を有し、蒸発器46aで発生し落下するドレン水及び蒸発器46aを洗浄した洗浄水を受け、この排水口から排出する。
【0034】
ドレンタンク51は、ドレンパン49の排水口から排出されるドレン水を貯留する。ドレンタンク51は、タンク挿入口22から前後方向にスライドされることにより、筐体10に対して着脱される。筐体10内に挿入されたドレンタンク51は、ファンケース41により形成されたタンク室41bに配置される。
【0035】
ドレンタンク51は、タンク蓋54と、浮き収容部52と、を有する。タンク蓋54は、ドレンパン49の排水口からのドレン水などをドレンタンク51内に落下させる。浮き収容部52は、ドレンタンク51内の水位を検出するための、例えばマグネットを有する浮き53を収容する。水位に応じたマグネットの磁界は、制御部55などに実装されたAMRセンサ(Anisotropic-Magneto-Resistance、異方性磁気抵抗センサ)62により検出され、ドレンタンク51の満水をユーザに通知する。
【0036】
制御部55は、ケース56に支持されてファンケース41の左方に配置される。制御部55は、操作部32からの指示や予め記憶されたプログラムに基づいてルーバモータ37、送風モータ43、加熱ヒータ44、圧縮機45、LED表示部33などの各部を電気的に制御することにより、除湿機1の動作を統括的に制御する。
図6に示すように、制御部55は、記憶部57及びタイマ58を有する。記憶部57は、各部の動作プログラムなどを記憶する。タイマ58は、除湿機1のタイマ運転などのための計時を行う。算出部63は、温度センサ59で検知された温度と湿度センサ60で検知された湿度とに基づき、所定の計算式で衣類乾燥運転の実施時間である所定の運転時間を算出する。
【0037】
制御部55は、温度センサ59及び湿度センサ60を有する。温度センサ59及び湿度センサ60は、除湿機1本体の所定位置に設けられ、除湿機1の周囲温度及び湿度を検知する。制御部55は、温度や湿度を必要に応じて使用し各部を制御する。報知部61は、制御部55の指示に基づいてユーザに状況を知らせるためのアラーム音を出力する。また、制御部55は、熱交温度センサ64を有する。熱交温度センサ64は、凝縮器46bの所定位置に設けられ、凝縮器46bの温度を計測する。
【0038】
次に、除湿機1における衣類乾燥運転について説明する。
【0039】
ユーザは、衣類乾燥運転の実施前に除湿機1の吹出口31上に洗濯後の濡れた衣類を干す。制御部55は、操作部32にある衣類乾燥運転を開始する操作スイッチ32aにユーザの指が近接、あるいは接触して衣類乾燥運転の開始指示があったと判断したら、ルーバモータ37、送風モータ43、圧縮機45、及び加熱ヒータ44を駆動させ、衣類乾燥運転を開始する。具体的には、制御部55は、主ルーバ36a、及び補助ルーバ36bを所定の動作内容でスイングするようルーバモータ37を駆動させ、吹出口31上に干された衣類全体に送風されるようにする。制御部55は、シロッコファン42が予め設定された回転数で動作するよう送風モータ43を駆動させる。
【0040】
衣類乾燥運転が開始されると、シロッコファン42の送風により筐体10内に吸い込まれる空気が蒸発器46aで除湿され、除湿後の空気が加熱ヒータ44で加熱されて吹出口31から吹出して衣類に送風されることで、濡れた衣類を効率よく乾燥させることができる。
【0041】
制御部55は、衣類乾燥運転の開始時からの経過時間をタイマ58でカウントし、所定の時間間隔で検知した温度センサ59、及び湿度センサ60での検知値を記憶部57で記憶する。制御部55は、記憶部57で記憶した温度センサ59、及び湿度センサ60での検知値と所定の計算式とにより、衣類乾燥運転の運転時間である所定の運転時間を算出部63で算出する。制御部55は、タイマ58でカウントした衣類乾燥運転の経過時間が算出部63で算出した所定の運転時間に達したと判断したら、送風モータ43、圧縮機45、及び加熱ヒータ44を停止させると共に、吹出口31が閉止される位置にルーバ36が動作するようルーバモータ37を動作させ、衣類乾燥運転を終了する。
【0042】
このように、衣類乾燥運転を所定の運転時間だけ実施することで、吹出口31上に干された衣類に蒸発器46aで除湿され加熱ヒータ44で加熱された空気が送風されるため、衣類を効率よく乾燥させることができる。
【0043】
次に、衣類乾燥運転時に干された衣類が落下し操作部32の複数の操作スイッチ32aが同時押し状態になったときの制御内容について、
図7のフローチャートに基づいて説明する。
【0044】
制御部55は、衣類乾燥運転を開始した後、複数の操作スイッチ32aの静電容量値が所定値以上になった状態が数秒間継続したか判断し(ステップS101)、複数の操作スイッチ32aの静電容量値が所定値以上になった状態が数秒間継続したと判断したら、筐体10上に干された衣類が落下し操作部32を含む筐体10の天面が衣類で覆われた状態だとして、加熱ヒータ44を停止させ、シロッコファン42を所定の大風量である最大風量に設定し、ルーバ36が所定の大風量角度である鉛直方向と平行となる位置となるようルーバモータ37を駆動させる衣類落下動作を開始する(ステップS102)。衣類落下動作を開始したら、衣類落下動作の経過時間のカウントをタイマ58で開始し、複数の操作スイッチ32aの静電容量値を所定の時間間隔で確認し続けて変化を監視する。制御部55は、複数の操作スイッチ32aの静電容量値が所定値以上になった状態が数秒間継続していないと判断したら(ステップS101でNo)、衣類乾燥運転を継続する処理を実施し(ステップS103)、再度ステップS101の判断を繰り返す。
【0045】
制御部55は、前記ステップS102の処理が完了したと判断したら、制御部55は、熱交温度センサ64での検知温度が所定の高温値である70℃以上か判断し(ステップS104)、70℃以上と判断したらシロッコファン42の運転を継続したまま圧縮機45を停止させることで、異常高温の冷媒が冷凍サイクル内を通流することによる製品故障を未然に阻止する(ステップS105)。熱交温度センサ64での検知温度が70℃未満と判断した場合(ステップS104でNo)は、後述する。
【0046】
制御部55は、前記ステップS105の処理が完了したら、熱交温度センサ64での検知温度が40℃以下になったか判断し(ステップS106)、40℃以下になったと判断したら冷凍サイクル内を通流する冷媒が十分に冷却され製品故障の虞はないとして圧縮機45を再度駆動させる(ステップS107)。制御部55は、前記ステップS106で熱交温度センサ64での検知温度が40℃を超えていると判断したら、前記ステップS106の判断を繰り返す。
【0047】
制御部55は、前記ステップS104でNo判断をしたか、前記ステップS107の処理を完了したら、タイマ58でカウントした衣類落下動作を開始してからの経過時間が後述する所定時間以上か判断し(ステップS108)、経過時間が所定時間以上だと判断したら、加熱ヒータ44、送風モータ43、及び圧縮機45を停止させ、吹出口31が閉止する位置にルーバ36が位置するようルーバモータ37を駆動させ、衣類落下動作の運転を停止する(ステップS109)。制御部55は、前記ステップS106で経過時間が所定時間未満だと判断(ステップS108でNo)したら、前記ステップS104の判断を繰り返す。
【0048】
次に、前記ステップS108の所定時間について説明する。
【0049】
衣類落下動作を開始した場合、加熱ヒータ44が停止されるので通常の衣類乾燥運転と比較し送風の温度が低下し、衣類乾燥の効率が低下する。また、落下した衣類により吸込口21又は/及び吹出口31の大部分が覆われると筐体10内の温度が上昇し、前記ステップS202で圧縮機45を停止させるため、蒸発器46aでの除湿ができず衣類乾燥の効率が低下する。よって、衣類落下動作が実施された場合の運転時間を通常の衣類乾燥運転の所定の運転時間よりも長く設定することで、筐体10から衣類を落下させると共に、筐体10上に干された衣類の乾燥を促進することができる。
【0050】
制御部55は、前記ステップS108の判断のとき、衣類落下動作開始前の室内温度、室内湿度、及び運転時間等から通常の衣類乾燥運転を継続した場合の運転時間を算出部63で算出し、算出した運転時間よりも長い時間を所定時間として設定する。これにより、衣類落下動作を開始した場合は、通常の衣類乾燥運転を実施し続けた場合より長く送風が実施されるため、筐体10上に干された衣類の乾燥を促進することができる。
【0051】
なお、本実施形態では前記ステップS102の衣類落下動作におけるシロッコファン42の所定の大風量を最大風量として設定しているが、これに限られない。例えば、通常の衣類乾燥運転時における風量が最大風量未満の所定値であれば、衣類落下動作の実施時に通常の衣類乾燥運転時よりも大きい風量値を所定の大風量として設定することで、通常の衣類乾燥運転時よりも大きな風量が吹出口31から送風されることから、筐体10上を覆うように落下した衣類について、衣類落下動作により筐体10から落下させる可能性を高めることができる。
【0052】
また、本実施形態では前記ステップS102の衣類落下動作でルーバ36を所定の大風量角度である鉛直方向と平行となる位置で固定しているが、これに限られない。例えば、ルーバ36を鉛直方向と平行となる位置で固定した後、ルーバモータ37により所定時間間隔で主ルーバ36a、及び補助ルーバ36bがスイングするよう動作させてもよい。ルーバ36がスイングすることで、吹出口31上に引っかかる衣類が筐体10から落下する可能性を高めることができる。
【0053】
また、本実施形態では衣類落下動作の停止について、前記ステップS105の圧縮機45の停止有無に関わらず一律の経過時間が所定時間以上になったかで判断しているが、これに限られない。衣類落下動作中における熱交温度が所定の高温値以上になったことにより前記ステップS105で圧縮機45を停止した場合、蒸発器46aによる室内空気の除湿ができない時間が生じるため衣類乾燥効率が低下する。制御部55は、ステップS105が発生した時間に応じて衣類落下動作の継続時間が長くなるよう、前記ステップS108の所定時間に圧縮機45の停止時間を加算する。これにより、筐体10上への送風時間が長くなることから、筐体10上に干された衣類の乾燥を促進することができる。
【0054】
次に、本発明の効果を説明する。
【0055】
制御部55は、衣類乾燥運転時に複数の操作スイッチ32aの静電容量値が同時に所定値以上になったと判断したら、加熱ヒータ44を停止させると共にシロッコファン42を所定の大風量である最大風量で駆動させる。衣類乾燥運転時、筐体10上に干された濡れた衣類が落下し、複数の操作スイッチ32aが同時押し状態になったら、加熱ヒータ44を停止することで衣類が加熱ヒータ44に接触する等して危険な状態になることを未然に阻止できる。また、吹出口31から最大風量が送風されることで、筐体10上を覆う衣類を落下させ、筐体10上に干された衣類乾燥を継続することができる可能性を高め、衣類の乾燥不足発生を阻止することができる。
【0056】
また、制御部55は、衣類乾燥運転時に複数の操作スイッチ32aの静電容量値が同時に所定値以上になったと判断したら、ルーバ36を所定の大風量角度である鉛直方向と平行な位置となるようルーバモータ37を駆動させる。衣類乾燥運転時、筐体10上に干された濡れた衣類が落下し、複数の操作スイッチ32aが同時押し状態になったら、ルーバ36を鉛直方向と平行な位置にすることで、吹出口31から吹き出される風を衣類が最大限に受け、筐体10からの衣類の落下可能性が高まるため、筐体10上に干された衣類乾燥を継続することができる可能性を高め、衣類の乾燥不足発生を阻止することができる。
【0057】
また、制御部55は、衣類乾燥運転時に複数の操作スイッチ32aの静電容量値が同時に所定値以上になったと判断し、加熱ヒータ44を停止すると共にシロッコファン42を所定の大風量である最大風量で駆動させた後、熱交温度センサ64の検知値が所定の高温値である70℃以上になったと判断したら、圧縮機45を停止させシロッコファン42の駆動を継続させる。衣類落下動作の実施中、衣類により吸込口21及び/又は吹出口31の大部分が覆われ、熱交換器46の放熱効率が低下し筐体10内が高温となる。熱交温度センサ64での検知値が所定の高温値以上になると、冷媒温度が高温になることでの製品故障リスクが高まるため、圧縮機45を停止させシロッコファン42の駆動を継続し、冷凍サイクル内の冷媒を冷却する。冷凍サイクル内の冷媒温度が異常高温になることを未然に阻止することができ、製品故障リスクを低減させることができる。
【0058】
また、制御部55は、衣類乾燥運転時に複数の操作スイッチ32aの静電容量値が同時に所定値以上になったと判断し、加熱ヒータ44を停止すると共にシロッコファン42を所定の大風量である最大風量で駆動させたら、衣類乾燥運転の所定の運転時間よりも長い所定時間以上運転を継続する。衣類落下動作中は加熱ヒータ44が停止することから、通常衣類乾燥運転と比較し衣類落下動作における衣類の乾燥効率は低下する。衣類落下動作が開始された場合、通常の衣類乾燥運転を継続した場合と比較して運転時間を長く設定することで、筐体10上に干された衣類の乾燥を促進し、衣類の乾燥不足発生を阻止することができる。
【0059】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0060】
1 除湿機
10 筐体
31 吹出口
32 操作部
32a 操作スイッチ
36 ルーバ
37 ルーバモータ
42 シロッコファン(送風ファン)
43 送風モータ
44 加熱ヒータ
45 圧縮機
46 熱交換器
46a 蒸発器(除湿手段)
46b 凝縮器
55 制御部
64 熱交温度センサ