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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023055369
(43)【公開日】2023-04-18
(54)【発明の名称】車線規制方法
(51)【国際特許分類】
   E01F 13/06 20060101AFI20230411BHJP
【FI】
E01F13/06
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021164683
(22)【出願日】2021-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】505398963
【氏名又は名称】西日本高速道路株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000103769
【氏名又は名称】オリエンタル白石株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】509185446
【氏名又は名称】株式会社ネクスコ・メンテナンス新潟
(71)【出願人】
【識別番号】302072930
【氏名又は名称】株式会社トーテック
(74)【代理人】
【識別番号】100091373
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 剛
(72)【発明者】
【氏名】木原 通太郎
(72)【発明者】
【氏名】▲崎▼谷 和也
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】関 一徳
【テーマコード(参考)】
2D101
【Fターム(参考)】
2D101CA11
2D101DA04
2D101EA02
2D101FA23
2D101GA26
2D101HA03
(57)【要約】
【課題】本発明は、従来に無い実用的な車線規制装置及び車線規制方法を提供することを目的とする。
【解決手段】車道領域部55若しくはその近傍に設けられる駆動本体部1と、この駆動本体部1に駆動可能に設けられ前記車道領域部55上に水平状態となり車両Cの通行を遮断する通行遮断バー2とを備えた車線規制装置であって、前記通行遮断バー2の先端部には矢印表示部3が設けられ、この矢印表示部3は、前記通行遮断バー2の長手方向及び前記通行遮断バー2の長手方向と交差する方向に移動固定自在となるように構成されたものである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車道領域部若しくはその近傍に設けられる駆動本体部と、この駆動本体部に駆動可能に設けられ前記車道領域部上に水平状態となり車両の通行を遮断する通行遮断バーとを備えた車線規制装置であって、前記通行遮断バーの先端部には矢印表示部が設けられ、この矢印表示部は、前記通行遮断バーの長手方向及び前記通行遮断バーの長手方向と交差する方向に移動固定自在となるように構成されていることを特徴とする車線規制装置。
【請求項2】
請求項1記載の車線規制装置において、前記矢印表示部は連結部材を介して前記通行遮断バーに設けられており、この連結部材は、前記通行遮断バーに設けられる第一部材と、この第一部材にスライド移動固定自在に連結され前記矢印表示部に設けられる第二部材とで構成されていることを特徴とする車線規制装置。
【請求項3】
請求項2記載の車線規制装置において、前記第一部材に対する前記第二部材のスライド方向は、前記通行遮断バーの長手方向と交差する方向に設定されていることを特徴とする車線規制装置。
【請求項4】
請求項2,3いずれか1項に記載の車線規制装置において、前記第一部材は前記通行遮断バーに対して該通行遮断バーの長手方向に移動固定自在に被篏連結されていることを特徴とする車線規制装置。
【請求項5】
請求項1~4いずれか1項に記載の車線規制装置において、前記矢印表示部は、前記通行遮断バー若しくは前記駆動本体部に対して車両衝突時の飛散を防止する線状部材で連結されていることを特徴とする車線規制装置。
【請求項6】
中央分離帯部,この中央分離部の左右に設けられる左右車道部及びこの左右車道部夫々の側方に設けられる左右路肩部を有する路面部を改修する際の車線規制方法であって、前記路面部を、前記中央分離帯部及び左右車道部夫々の一部から成り複数車線を有する中央領域部と、この中央領域部の左側に設けられ前記左車道部の一部及び前記左路肩部から成り複数車線を有する左領域部と、前記中央領域部の右側に設けられ前記右車道部の一部及び前記右路肩部から成り複数車線を有する右領域部に区分し、前記中央領域部,前記左領域部及び前記右領域部のいずれか一つを改修する場合において、改修する領域部以外の領域部を車道領域部として利用し、この車道領域部の車線を規制する場合に請求項1~5いずれか1項に記載の車線規制装置を用いることを特徴とする車線規制方法。
【請求項7】
請求項6記載の車線規制方法において、前記中央領域部を改修する場合は車道領域部として利用する前記左領域部,前記右領域部のいずれか一方若しくは双方の車線を規制することを特徴とする車線規制方法。
【請求項8】
請求項6記載の車線規制方法において、前記左領域部を改修する場合は車道領域部として利用する前記中央領域部,前記右領域部のいずれか一方若しくは双方の車線を規制することを特徴とする車線規制方法。
【請求項9】
請求項6記載の車線規制方法において、前記右領域部を改修する場合は車道領域部として利用する前記中央領域部,前記左領域部のいずれか一方若しくは双方の車線を規制することを特徴とする車線規制方法。
【請求項10】
請求項6~9いずれか1項に記載の車線規制方法において、前記路面部は、橋梁を構成する橋脚部の上部に設けられるものであることを特徴とする車線規制方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車線規制装置及び車線規制方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、例えば高速道路の車線を規制するための装置として特許文献1に開示される自動規制装置(以下、従来例)を提案している。
【0003】
この従来例は、車道領域部の側方位置(例えば中央分離帯)に設けられる駆動本体部と、この駆動本体部に起伏自在に設けられ伏状態において車道領域部上に水平突出状態となり車両の通行を遮断する通行遮断バーとから成り、駆動本体部は、遠隔操作機器から送信される無線信号に基づき駆動するように設けられ、通行遮断バーは遠隔操作機器による遠隔操作により起伏動するように構成されており、一つの規制区間においてこの従来例を複数設置して使用するものである。
【0004】
具体的には、例えば高速道路などの片側二車線の車道領域部における追越車線を規制する場合、通行遮断バーの長さが異なる従来例を複数用意し、この各従来例を所定間隔(約10m間隔)を介し、且つ、走行方向における手前側から奥側へ行くに従い順に通行遮断バーの長さが長くなるように中央分離帯に設置する。尚、車線の規制方法としては、同じ長さの通行遮断バーの設置位置を変えて車道領域部上への水平突出度合いを調整する場合もある。
【0005】
作業者は、車両が来ていないことを確認した後、遠隔操作機器を用いて各従来例を作動させると、通行遮断バーは伏動して車道領域部上に水平状態となり車両の通行が遮断され、一車線分(追越車線)が規制される為、車両は隣の車線(走行車線)へ誘導される。
【0006】
従って、従来例は、それまで行われていた手作業で誘導看板を設置して車線を規制する場合に比し、車線の規制作業が安全に行えることになり、しかも、上記の車線規制方法によれば全ての車線(追越車線及び走行車線)を規制する場合のような通行止めをしなくて良い為、通行障害を可及的に抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実用新案登録第3224688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本出願人は、前述した車線規制装置についてより実用的な機能を付与すべく更なる検討を重ねた結果、従来に無い実用的な車線規制装置及び車線規制方法を開発した。
【課題を解決するための手段】
【0009】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0010】
車道領域部55若しくはその近傍に設けられる駆動本体部1と、この駆動本体部1に駆動可能に設けられ前記車道領域部55上に水平状態となり車両Cの通行を遮断する通行遮断バー2とを備えた車線規制装置であって、前記通行遮断バー2の先端部には矢印表示部3が設けられ、この矢印表示部3は、前記通行遮断バー2の長手方向及び前記通行遮断バー2の長手方向と交差する方向に移動固定自在となるように構成されていることを特徴とする車線規制装置に係るものである。
【0011】
また、請求項1記載の車線規制装置において、前記矢印表示部3は連結部材4を介して前記通行遮断バー2に設けられており、この連結部材4は、前記通行遮断バー2に設けられる第一部材5と、この第一部材5にスライド移動固定自在に連結され前記矢印表示部3に設けられる第二部材6とで構成されていることを特徴とする車線規制装置に係るものである。
【0012】
また、請求項2記載の車線規制装置において、前記第一部材5に対する前記第二部材6のスライド方向は、前記通行遮断バー2の長手方向と交差する方向に設定されていることを特徴とする車線規制装置に係るものである。
【0013】
また、請求項2,3いずれか1項に記載の車線規制装置において、前記第一部材5は前記通行遮断バー2に対して該通行遮断バー2の長手方向に移動固定自在に被篏連結されていることを特徴とする車線規制装置に係るものである。
【0014】
また、請求項1~4いずれか1項に記載の車線規制装置において、前記矢印表示部3は、前記通行遮断バー2若しくは前記駆動本体部1に対して車両衝突時の飛散を防止する線状部材7で連結されていることを特徴とする車線規制装置に係るものである。
【0015】
また、中央分離帯部51,この中央分離部51の左右に設けられる左右車道部52及びこの左右車道部52夫々の側方に設けられる左右路肩部53を有する路面部50を改修する際の車線規制方法であって、前記路面部50を、前記中央分離帯部51及び左右車道部52夫々の一部から成り複数車線を有する中央領域部A1と、この中央領域部A1の左側に設けられ前記左車道部52の一部及び前記左路肩部53から成り複数車線を有する左領域部A2と、前記中央領域部A1の右側に設けられ前記右車道部52の一部及び前記右路肩部53から成り複数車線を有する右領域部A3に区分し、前記中央領域部A1,前記左領域部A2及び前記右領域部A3のいずれか一つを改修する場合において、改修する領域部以外の領域部を車道領域部55として利用し、この車道領域部55の車線55aを規制する場合に請求項1~5いずれか1項に記載の車線規制装置を用いることを特徴とする車線規制方法に係るものである。
【0016】
また、請求項6記載の車線規制方法において、前記中央領域部A1を改修する場合は車道領域部55として利用する前記左領域部A2,前記右領域部A3のいずれか一方若しくは双方の車線55aを規制することを特徴とする車線規制方法に係るものである。
【0017】
また、請求項6記載の車線規制方法において、前記左領域部A2を改修する場合は車道領域部55として利用する前記中央領域部A1,前記右領域部A3のいずれか一方若しくは双方の車線55aを規制することを特徴とする車線規制方法に係るものである。
【0018】
また、請求項6記載の車線規制方法において、前記右領域部A3を改修する場合は車道領域部55として利用する前記中央領域部A1,前記左領域部A2のいずれか一方若しくは双方の車線55aを規制することを特徴とする車線規制方法に係るものである。
【0019】
また、請求項6~9いずれか1項に記載の車線規制方法において、前記路面部50は、橋梁54を構成する橋脚部54aの上部に設けられるものであることを特徴とする車線規制方法に係るものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明は上述のように構成したから、安全に車線規制を行うことができ、しかも、矢印表示部をドライバー目線から見易い位置に調整することができるなど、従来にない実用的な車線規制装置及び車線規制方法となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本実施例に係る説明図である。
図2】本実施例に係るの要部の説明図である。
図3】本実施例に係る要部の説明図である。
図4】本実施例に係る要部の説明断面図である。
図5】本実施例に係る要部の動作説明図である。
図6】本実施例に係る要部の説明図である。
図7】橋梁54における路面部50の改修工法の説明図である。
図8】橋梁54における路面部50の改修工法の説明図である。
図9】橋梁54における路面部50の改修工法の説明図である。
図10】橋梁54における路面部50の改修工法の説明図である。
図11】本実施例に係る車線規制装置Sを用いた車線規制方法の説明図である。
図12】本実施例に係る車線規制装置Sを用いた車線規制方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0023】
例えば、車道領域部55に設けられる複数の車線55aの一部を規制する場合、駆動本体部1の駆動により通行遮断バー2は車道領域部55上に水平状態となることで、一部の車線55aにおける車両Cの通行が遮断される。
【0024】
ところで、本発明は、常時設置しておく場合や、所定の期間だけ一時的に設置する場合があるが、設置場所(車道領域部55)は平坦で一直線とは限らず、高低差があったり、カーブしていたりする場所があり、例えば、本発明を複数台設置する場合には、単に設置しただけでは実際に車両Cを運転するドライバー目線において前後の矢印表示部3が重なったり整然とした状態ではない不規則な並びとなってしまう場合がある。尚、本発明を一台設置する場合においても、矢印表示部3の位置がドライバー目線に合わない場合がある。
【0025】
この点、本発明は、矢印表示部3は、通行遮断バー2の長手方向及び通行遮断バー2の長手方向と交差する方向に移動固定自在となるように構成されているから、矢印表示部3をドライバー目線から見易い状態となるように簡易且つ確実に調整することができる。
【実施例0026】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0027】
本実施例は、車道領域部55若しくはその近傍に設けられる駆動本体部1と、この駆動本体部1に駆動可能に設けられ車道領域部55上に水平状態となり車両Cの通行を遮断する通行遮断バー2とを備えた車線規制装置Sである。
【0028】
以下、本実施例に係る構成各部について詳細な説明をする。
【0029】
駆動本体部1は、図1に図示したように下部に接地部1bを有する縦長ボックス形状の装置本体1aの内部に駆動部(電動モーター)を設けて構成されており、車道領域部55若しくはその近傍に設置しても邪魔とならない適宜な寸法(径)に設定されている。尚、装置本体1aは、接地部1bとの連設部を軸に水平回動自在に設けられている。
【0030】
また、駆動本体部1(駆動部)は、その周辺位置に設置される制御部8(制御盤)により作動制御される。
【0031】
この制御部8は、遠隔操作機器(リモコン)から送信される無線信号を受信し、駆動本体部1(駆動部)や後述する矢印表示部3や回転灯16等へ制御信号を送信するように設けられている。
【0032】
従って、駆動本体部1(駆動部)は、遠隔操作機器から送信される無線信号に基づき駆動する。尚、制御部8は遠隔地の指令室におけるコンピュータ操作や現場作業員のモバイル操作によりインターネット回線を介して送信される無線信号を受信して各種機器に制御信号を送信する構成としても良い。
【0033】
本実施例では、図6に図示したように駆動本体部1及び制御部8にケーブル9(電源線及び制御線)の端子部9aを接続するソケット部10が設けられ、この駆動本体部1と制御部8、そして、駆動本体部1を複数設置する場合における駆動本体部1同士はケーブル9を介して直列に接続するように構成されている。
【0034】
従って、従来のように駆動本体部1を複数設置する場合、各駆動本体部1を個別に制御部8と連結していた従来に比し、設置作業が簡易となり作業時間を確実に短縮することができる。
【0035】
また、制御部8には、該制御部8及び駆動部の電源となる携帯型バッテリー11(ポータブル電源)が設けられており、更に、100V受電可能な受電装置が設けられている。
【0036】
また、駆動本体部1(駆動部)には回動部12が設けられている。
【0037】
この回動部12は、図1に図示したように基端部が装置本体1aの上端部に回動軸12aを介して枢着され、この回動軸12aは前述した駆動部の駆動により回動自在に設けられている。
【0038】
従って、回動部12及び後述する通行遮断バー2は、駆動部の駆動により上下方向に起伏回動する。
【0039】
また、回動部12の先端部には、通行遮断バー2を水平回動自在に枢着連結する水平回動連結部12bが設けられている。
【0040】
この水平回動連結部12bは、図1に図示したように回動部12の先端部に設けられる軸受部12b’と、通行遮断バー2の基端部に設けられる軸部12b”とで構成されており、この軸受部12b’に対する軸部12b”の回動を規制する回動規制機構が設けられている。
【0041】
この回動規制機構は、例えば通行遮断バー2に車両Cが衝突した場合など、水平方向に所定の負荷以上の力がかかった場合には、通行遮断バー2の水平回動を許容するように構成されている。
【0042】
また、回動部12の基端部には該回動部12の起動を補助する重り部12cが設けられている。
【0043】
尚、本実施例では、回動部12及び通行遮断バー2は駆動部の駆動により上下方向に起伏回動するように設けたが、水平方向に水平回動するように設けても良い。
【0044】
通行遮断バー2は、図1~5に図示したように適宜な金属製の部材で形成された丸棒状体であり、その基端部(軸部12b”)が前述した回動部12に枢着されている。
【0045】
従って、通行遮断バー2は遠隔操作機器による遠隔操作により上下方向に起伏動する。
【0046】
また、通行遮断バー2の先端部には矢印表示部3が着脱自在に設けられている。
【0047】
具体的には、矢印表示部3は、図1~4に図示したように適宜な合成樹脂製の板状体であり、その表面に矢印形状を呈する矢印発光部3aを設けて構成されている。
【0048】
この矢印発光部3aは、駆動本体部1及び通行遮断バー2(回動部12)を介してケーブル13が接続され、制御部8により点滅・点灯など制御される。
【0049】
また、この矢印表示部3は、連結部材4を介して通行遮断バー2に設けられており、通行遮断バー2の長手方向及び通行遮断バー2の長手方向と交差する方向に移動固定自在となるように構成されている。
【0050】
この連結部材4は、通行遮断バー2に設けられる第一部材5と、この第一部材5にスライド移動固定自在に連結され矢印表示部3に設けられる第二部材6とで構成されている。
【0051】
第一部材5は、図2~4に図示したように適宜な金属製の部材で形成した長尺体であり、上下位置に間隔を介して対設される一対の板部材5aと、この板部材5aの長手方向の3箇所に架設される凹湾曲部材5bとで構成され、この板部材5aと凹湾曲部材5bとの連設部には後述する第二部材6に設けられるスライドナット14に螺着するボルト15を止着する止着孔5cが設けられている。
【0052】
従って、第一部材5は、凹湾曲部材5bを通行遮断バー2に被篏させた状態でボルト15及びスライドナット14を介して第二部材6に連結することができ、ボルト15の締め付け螺動により通行遮断バー2に対して第一部材5が圧接して該通行遮断バー2の長手方向への移動が阻止され、反対に、ボルト15の緩め螺動により通行遮断バー2に対する第一部材5の圧接が解除されて該通行遮断バー2の長手方向へ約20cmの範囲で移動が許容される。
【0053】
よって、この構成から矢印表示部3は通行遮断バー2の長手方向(通行遮断バー2を水平状態とした際の水平方向)に移動固定自在となる(図3,5参照)。
【0054】
第二部材6は、図2~4に図示したように適宜な金属製の部材で形成した枠状体であり、矢印表示部3の裏面上下対向位置に付設(リベット止め)される断面L字状の横部材6aと、この横部材6a間に架設され内部にスライドナット14が回り止め状態でスライド自在に収納される角筒形状の縦部材6bとで構成されている。
【0055】
この縦部材6bの外面には筒孔6b’内と貫通するスリット6b”が長手方向に設けられており、このスリット6b”に第一部材5のボルト15を挿通して筒孔6b’内のスライドナット14に螺着するように構成されている。
【0056】
従って、ボルト15の締め付け螺動により筒孔6b’内面に対してスライドナット14が圧接してスライド移動が阻止され、反対に、ボルト15の緩め螺動により筒孔6b’内面に対してスライドナット14の圧接が解除されて約20cmの範囲で移動が許容されることになり、第一部材5に対する第二部材6のスライド方向は、通行遮断バー2の長手方向と交差する方向(通行遮断バー2を水平状態とした場合の上下方向)となる。
【0057】
よって、この構成から、矢印表示部3は、通行遮断バー2の長手方向と交差する方向(通行遮断バー2を水平状態とした際の垂直上下方向)に移動固定自在となる(図3,5参照)。
【0058】
尚、本実施例では、矢印表示部3は、手動により通行遮断バー2の長手方向及び通行遮断バー2の長手方向と交差する方向に移動自在となるように構成されているが、適宜な駆動部を設けて遠隔操作機器による遠隔操作により駆動移動するようにしても良い。
【0059】
符号6a’は後述する線状部材7を貫挿連結するための連結孔である。
【0060】
また、矢印表示部3は、通行遮断バー2(若しくは駆動本体部1)に対して車両衝突時の飛散を防止する線状部材7で連結されている。
【0061】
この線状部材7は図3に図示したようにワイヤーであり、連結部材4と通行遮断バー2に巻回連結されている(連結部材4に対しては第二部材6の連結孔6a’に挿通固定されている。)。尚、この矢印表示部3及び後述する回転灯16の飛散を防止する線状部材7は駆動本体部1に連結するようにしても良い。
【0062】
また、通行遮断バー2の上面には回転灯16が設けられている。
【0063】
この回転灯16は、駆動本体部1及び通行遮断バー2(回動部12)を介してケーブルが接続され、制御部8により点灯・回転など制御される。
【0064】
また、本実施例では、この回転灯16も車両衝突時の飛散を防止する線状部材7を介して通行遮断バー2に巻回連結されている。
【0065】
以上の構成から成る本実施例に係る車線規制装置Sを用いた車線規制方法について説明する。
【0066】
本実施例では、車線規制の対象となる路面部50として、中央分離帯部51,この中央分離部51の左右に設けられる左右車道部52及びこの左右車道部52夫々の側方に設けられる左右路肩部53を有する既設の路面部50であって、橋梁54を構成する橋脚部54aの上部に設けられる路面部50(主桁部と上面に舗装路が形成される床版部で構成される路面部50)を採用し、この路面部50を改修する改修工法(橋梁改修工法)の際に車線規制装置Sを用いて車線規制する。尚、路面部50としては前述した橋梁54に設けられる路面部50に限られない。
【0067】
具体的には、この路面部50を改修する改修工法(橋梁改修工法)は、路面部50を、中央分離帯部51及び左右車道部52夫々の一部から成り複数車線55aを有する中央領域部A1(2車線を確保するだけの左右幅を有する領域)と、この中央領域部A1の左側に設けられ左車道部52の一部及び左路肩部53から成り複数車線55aを有する左領域部A2(2車線を確保するだけの左右幅を有する領域)と、中央領域部A1の右側に設けられ右車道部52の一部及び右路肩部53から成り複数車線55aを有する右領域部A3(2車線を確保するだけの左右幅を有する領域)に区分し(図7参照)、この中央領域部A1,左領域部A2及び右領域部A3のいずれか一つの領域部を改修領域部とする場合において、この改修する領域以外のその他二つ領域部夫々を複数の車線55aを有する車道領域部55として利用する工法である。
【0068】
図8は、中央領域部A1の路面部50を改修する際、左領域部A2及び右領域部A3を車道領域部55(片側二車線の上り線及び下り線)とした場合であり、図9は、右領域部A3の路面部50を改修する際、中央領域部A1及び左領域部A2を車道領域部55(片側二車線の上り線及び下り線)とした場合であり、図10は、左領域部A2の路面部50を改修する際、中央領域部A1及び右領域部A3を車道領域部55(片側二車線の上り線及び下り線)とした場合である。
【0069】
実際に、この各路面部50の改修は、塩害や経年劣化により損傷した既設の路面部50及び橋脚部54aの上端部を撤去し(左領域部A2及び右領域部A3の改修時においては壁高欄も撤去する)、この撤去した部位に予め工場にて型成形により高精度に作製されたプレキャスト部材(床版機能を有する主桁部材50A,左右方向の橋脚部54a間に載置架設される横梁部材50B,壁高欄部材50c)を配設し、主桁部材50Aの上面に舗装路を形成することで行われる。尚、各領域部に配設される横梁部材50B同士間にはPC鋼材が設置される。
【0070】
また、前述した路面部50の改修工法(橋梁改修工法)の際、例えば、比較的交通量の少ない日に車道領域部55として利用する領域部の車線55aを規制(車線数を減少)し、改修する領域部を拡張して作業性を向上することができる。
【0071】
即ち、中央領域部A1を改修する場合は、車道領域部55として利用する左領域部A2,右領域部A3のいずれか一方若しくは双方の車線55aを規制し、左領域部A2を改修する場合は、車道領域部55として利用する中央領域部A1,右領域部A3のいずれか一方若しくは双方の車線55aを規制し、右領域部A3を改修する場合は、車道領域部55として利用する中央領域部A1,左領域部A2のいずれか一方若しくは双方の車線55aを規制する。
【0072】
図11,12は中央領域部A1の改修時に車道領域部55として利用する左領域部A2,右領域部A3の双方における一つの車線55aを規制した場合であり、非工事区間と工事区間との境界に位置する平面方向から見て傾斜した車道領域部55の近傍に複数台の車線規制装置S(駆動本体部1)を間隔を介して設置している。これら車線規制装置Sの周辺位置には制御部8が設けられ、この車線規制装置Sと制御部8及び車線規制装置S同士はケーブル9を介して直列に接続している。尚、設置する車線規制装置Sの台数は車道領域部55等の条件によって決定される。
【0073】
現場作業員は、車道領域部55の上流方面から車両Cが来ていないかを確認した後、遠隔操作機器を操作して通行遮断バー2を一斉に伏し状態とする。
【0074】
具体的には、各車線規制装置Sに係る駆動本体部1は、遠隔操作機器から送信される無線信号に基づいて駆動し、通行遮断バー2は伏動して車道領域部55上に水平突出状態となることで車両Cの通行が遮断され、隣の車線55a(走行車線)へ車両Cを誘導するよう一車線分(追越車線)が規制される。この状態において、仮にドライバー目線から見え難い矢印表示部3があった場合、矢印表示部3を通行遮断バー2の長手方向や通行遮断バー2の長手方向と交差する方向に適宜移動固定することで、ドライバー目線から見易い状態となるように調整することができる。
【0075】
符号17は矢印表示を有する路面載置タイプの誘導看板、18は規制された車線55a内への一般車両Cの侵入禁止を表示するロードコーン、19は改修工事領域の周囲に設置され作業車両等の出入口部19aを有する架設防護柵である。
【0076】
本実施例は上述のように構成したから、安全に車線規制を行うことができ、しかも、矢印表示部3をドライバー目線から見易い位置に調整することができる。
【0077】
また、本実施例は、矢印表示部3は連結部材4を介して通行遮断バー2に設けられており、この連結部材4は、通行遮断バー2に設けられる第一部材5と、この第一部材5にスライド移動固定自在に連結され矢印表示部3に設けられる第二部材6とで構成されているから、前述した作用効果を簡易且つ確実に奏することができる。
【0078】
また、本実施例は、第一部材5に対する第二部材6のスライド方向は、通行遮断バー2の長手方向と交差する方向に設定され、更に、第一部材5は通行遮断バー2に対して該通行遮断バー2の長手方向に移動固定自在に被篏連結されているから、前述した作用効果を簡易且つ確実に奏するのは勿論、簡易構造故にコスト安にして量産性に優れることになる。
【0079】
また、本実施例は、矢印表示部3は、通行遮断バー2(若しくは駆動本体部1)に対して車両衝突時の飛散を防止する線状部材7で連結されているから、万一の事故の際における危険を抑制することができる。
【0080】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0081】
A1 中央領域部
A2 左領域部
A3 右領域部
C 車両
1 駆動本体部
2 通行遮断バー
3 矢印表示部
4 連結部材
5 第一部材
6 第二部材
7 線状部材
50 路面部
51 中央分離帯部
52 左右車道部
53 左右路肩部
54 橋梁
54a 橋脚部
55 車道領域部
55a 車線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2023-02-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央分離帯部,この中央分離部の左右に設けられる左右車道部及びこの左右車道部夫々の側方に設けられる左右路肩部を有する路面部を改修する際の車線規制方法であって、前記路面部を、前記中央分離帯部及び左右車道部夫々の一部から成り複数車線を有する中央領域部と、この中央領域部の左側に設けられ前記左車道部の一部及び前記左路肩部から成り複数車線を有する左領域部と、前記中央領域部の右側に設けられ前記右車道部の一部及び前記右路肩部から成り複数車線を有する右領域部に区分し、前記中央領域部,前記左領域部及び前記右領域部のいずれか一つを改修する場合、改修する領域部以外の領域部を車道領域部として利用し、この車道領域部の車線を規制する場合に下記の車線規制装置を用いることを特徴とする車線規制方法。

車道領域部若しくはその近傍に設けられる駆動本体部と、この駆動本体部に駆動可能に設けられ前記車道領域部上に水平状態となり車両の通行を遮断する通行遮断バーとを備えた車線規制装置であって、前記通行遮断バーの先端部には矢印表示部が設けられ、この矢印表示部は、前記通行遮断バーの長手方向及び前記通行遮断バーの長手方向と交差する方向に移動固定自在となるように構成された車線規制装置。
【請求項2】
請求項1記載の車線規制方法において、前記矢印表示部は連結部材を介して前記通行遮断バーに設けられており、この連結部材は、前記通行遮断バーに設けられる第一部材と、この第一部材にスライド移動固定自在に連結され前記矢印表示部に設けられる第二部材とで構成されていることを特徴とする車線規制方法
【請求項3】
請求項2記載の車線規制方法において、前記第一部材に対する前記第二部材のスライド方向は、前記通行遮断バーの長手方向と交差する方向に設定されていることを特徴とする車線規制方法
【請求項4】
請求項2,3いずれか1項に記載の車線規制方法において、前記第一部材は前記通行遮断バーに対して該通行遮断バーの長手方向に移動固定自在に被篏連結されていることを特徴とする車線規制方法
【請求項5】
請求項1~4いずれか1項に記載の車線規制方法において、前記矢印表示部は、前記通行遮断バー若しくは前記駆動本体部に対して車両衝突時の飛散を防止する線状部材で連結されていることを特徴とする車線規制方法
【請求項6】
請求項1~5いずれか1項に記載の車線規制方法において、前記中央領域部を改修する場合は車道領域部として利用する前記左領域部,前記右領域部のいずれか一方若しくは双方の車線を規制することを特徴とする車線規制方法。
【請求項7】
請求項1~5いずれか1項に記載の車線規制方法において、前記左領域部を改修する場合は車道領域部として利用する前記中央領域部,前記右領域部のいずれか一方若しくは双方の車線を規制することを特徴とする車線規制方法。
【請求項8】
請求項1~5いずれか1項に記載の車線規制方法において、前記右領域部を改修する場合は車道領域部として利用する前記中央領域部,前記左領域部のいずれか一方若しくは双方の車線を規制することを特徴とする車線規制方法。
【請求項9】
請求項1~8いずれか1項に記載の車線規制方法において、前記路面部は、橋梁を構成する橋脚部の上部に設けられるものであることを特徴とする車線規制方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車線規制方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、例えば高速道路の車線を規制するための装置として特許文献1に開示される自動規制装置(以下、従来例)を提案している。
【0003】
この従来例は、車道領域部の側方位置(例えば中央分離帯)に設けられる駆動本体部と、この駆動本体部に起伏自在に設けられ伏状態において車道領域部上に水平突出状態となり車両の通行を遮断する通行遮断バーとから成り、駆動本体部は、遠隔操作機器から送信される無線信号に基づき駆動するように設けられ、通行遮断バーは遠隔操作機器による遠隔操作により起伏動するように構成されており、一つの規制区間においてこの従来例を複数設置して使用するものである。
【0004】
具体的には、例えば高速道路などの片側二車線の車道領域部における追越車線を規制する場合、通行遮断バーの長さが異なる従来例を複数用意し、この各従来例を所定間隔(約10m間隔)を介し、且つ、走行方向における手前側から奥側へ行くに従い順に通行遮断バーの長さが長くなるように中央分離帯に設置する。尚、車線の規制方法としては、同じ長さの通行遮断バーの設置位置を変えて車道領域部上への水平突出度合いを調整する場合もある。
【0005】
作業者は、車両が来ていないことを確認した後、遠隔操作機器を用いて各従来例を作動させると、通行遮断バーは伏動して車道領域部上に水平状態となり車両の通行が遮断され、一車線分(追越車線)が規制される為、車両は隣の車線(走行車線)へ誘導される。
【0006】
従って、従来例は、それまで行われていた手作業で誘導看板を設置して車線を規制する場合に比し、車線の規制作業が安全に行えることになり、しかも、上記の車線規制方法によれば全ての車線(追越車線及び走行車線)を規制する場合のような通行止めをしなくて良い為、通行障害を可及的に抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実用新案登録第3224688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本出願人は、前述した車線規制装置についてより実用的な機能を付与すべく更なる検討を重ねた結果、従来に無い実用的な車線規制方法を開発した。
【課題を解決するための手段】
【0009】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0010】
中央分離帯部51,この中央分離部51の左右に設けられる左右車道部52及びこの左右車道部52夫々の側方に設けられる左右路肩部53を有する路面部50を改修する際の車線規制方法であって、前記路面部50を、前記中央分離帯部51及び左右車道部52夫々の一部から成り複数車線を有する中央領域部A1と、この中央領域部A1の左側に設けられ前記左車道部52の一部及び前記左路肩部53から成り複数車線を有する左領域部A2と、前記中央領域部A1の右側に設けられ前記右車道部52の一部及び前記右路肩部53から成り複数車線を有する右領域部A3に区分し、前記中央領域部A1,前記左領域部A2及び前記右領域部A3のいずれか一つを改修する場合、改修する領域部以外の領域部を車道領域部55として利用し、この車道領域部55の車線55aを規制する場合に下記の車線規制装置を用いることを特徴とする車線規制方法に係るものである。

車道領域部55若しくはその近傍に設けられる駆動本体部1と、この駆動本体部1に駆動可能に設けられ前記車道領域部55上に水平状態となり車両Cの通行を遮断する通行遮断バー2とを備えた車線規制装置であって、前記通行遮断バー2の先端部には矢印表示部3が設けられ、この矢印表示部3は、前記通行遮断バー2の長手方向及び前記通行遮断バー2の長手方向と交差する方向に移動固定自在となるように構成された車線規制装置。
【0011】
また、請求項1記載の車線規制方法において、前記矢印表示部3は連結部材4を介して前記通行遮断バー2に設けられており、この連結部材4は、前記通行遮断バー2に設けられる第一部材5と、この第一部材5にスライド移動固定自在に連結され前記矢印表示部3に設けられる第二部材6とで構成されていることを特徴とする車線規制方法に係るものである。
【0012】
また、請求項2記載の車線規制方法において、前記第一部材5に対する前記第二部材6のスライド方向は、前記通行遮断バー2の長手方向と交差する方向に設定されていることを特徴とする車線規制方法に係るものである。
【0013】
また、請求項2,3いずれか1項に記載の車線規制方法において、前記第一部材5は前記通行遮断バー2に対して該通行遮断バー2の長手方向に移動固定自在に被篏連結されていることを特徴とする車線規制方法に係るものである。
【0014】
また、請求項1~4いずれか1項に記載の車線規制方法において、前記矢印表示部3は、前記通行遮断バー2若しくは前記駆動本体部1に対して車両衝突時の飛散を防止する線状部材7で連結されていることを特徴とする車線規制方法に係るものである。
【0015】
また、請求項1~5いずれか1項に記載の車線規制方法において、前記中央領域部A1を改修する場合は車道領域部55として利用する前記左領域部A2,前記右領域部A3のいずれか一方若しくは双方の車線55aを規制することを特徴とする車線規制方法に係るものである。
【0016】
また、請求項1~5いずれか1項に記載の車線規制方法において、前記左領域部A2を改修する場合は車道領域部55として利用する前記中央領域部A1,前記右領域部A3のいずれか一方若しくは双方の車線55aを規制することを特徴とする車線規制方法に係るものである。
【0017】
また、請求項1~5いずれか1項に記載の車線規制方法において、前記右領域部A3を改修する場合は車道領域部55として利用する前記中央領域部A1,前記左領域部A2のいずれか一方若しくは双方の車線55aを規制することを特徴とする車線規制方法に係るものである。
【0018】
また、請求項1~8いずれか1項に記載の車線規制方法において、前記路面部50は、橋梁54を構成する橋脚部54aの上部に設けられるものであることを特徴とする車線規制方法に係るものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明は上述のように構成したから、安全に車線規制を行うことができ、しかも、矢印表示部をドライバー目線から見易い位置に調整することができるなど、従来にない実用的な車線規制方法となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本実施例に係る説明図である。
図2】本実施例に係るの要部の説明図である。
図3】本実施例に係る要部の説明図である。
図4】本実施例に係る要部の説明断面図である。
図5】本実施例に係る要部の動作説明図である。
図6】本実施例に係る要部の説明図である。
図7】橋梁54における路面部50の改修工法の説明図である。
図8】橋梁54における路面部50の改修工法の説明図である。
図9】橋梁54における路面部50の改修工法の説明図である。
図10】橋梁54における路面部50の改修工法の説明図である。
図11】本実施例に係る車線規制装置Sを用いた車線規制方法の説明図である。
図12】本実施例に係る車線規制装置Sを用いた車線規制方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0022】
例えば、車道領域部55に設けられる複数の車線55aの一部を規制する場合、駆動本体部1の駆動により通行遮断バー2は車道領域部55上に水平状態となることで、一部の車線55aにおける車両Cの通行が遮断される。
【0023】
ところで、本発明は、常時設置しておく場合や、所定の期間だけ一時的に設置する場合があるが、設置場所(車道領域部55)は平坦で一直線とは限らず、高低差があったり、カーブしていたりする場所があり、例えば、本発明を複数台設置する場合には、単に設置しただけでは実際に車両Cを運転するドライバー目線において前後の矢印表示部3が重なったり整然とした状態ではない不規則な並びとなってしまう場合がある。尚、本発明を一台設置する場合においても、矢印表示部3の位置がドライバー目線に合わない場合がある。
【0024】
この点、本発明は、矢印表示部3は、通行遮断バー2の長手方向及び通行遮断バー2の長手方向と交差する方向に移動固定自在となるように構成されているから、矢印表示部3をドライバー目線から見易い状態となるように簡易且つ確実に調整することができる。
【実施例0025】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0026】
本実施例は、車道領域部55若しくはその近傍に設けられる駆動本体部1と、この駆動本体部1に駆動可能に設けられ車道領域部55上に水平状態となり車両Cの通行を遮断する通行遮断バー2とを備えた車線規制装置Sである。
【0027】
以下、本実施例に係る構成各部について詳細な説明をする。
【0028】
駆動本体部1は、図1に図示したように下部に接地部1bを有する縦長ボックス形状の装置本体1aの内部に駆動部(電動モーター)を設けて構成されており、車道領域部55若しくはその近傍に設置しても邪魔とならない適宜な寸法(径)に設定されている。尚、装置本体1aは、接地部1bとの連設部を軸に水平回動自在に設けられている。
【0029】
また、駆動本体部1(駆動部)は、その周辺位置に設置される制御部8(制御盤)により作動制御される。
【0030】
この制御部8は、遠隔操作機器(リモコン)から送信される無線信号を受信し、駆動本体部1(駆動部)や後述する矢印表示部3や回転灯16等へ制御信号を送信するように設けられている。
【0031】
従って、駆動本体部1(駆動部)は、遠隔操作機器から送信される無線信号に基づき駆動する。尚、制御部8は遠隔地の指令室におけるコンピュータ操作や現場作業員のモバイル操作によりインターネット回線を介して送信される無線信号を受信して各種機器に制御信号を送信する構成としても良い。
【0032】
本実施例では、図6に図示したように駆動本体部1及び制御部8にケーブル9(電源線及び制御線)の端子部9aを接続するソケット部10が設けられ、この駆動本体部1と制御部8、そして、駆動本体部1を複数設置する場合における駆動本体部1同士はケーブル9を介して直列に接続するように構成されている。
【0033】
従って、従来のように駆動本体部1を複数設置する場合、各駆動本体部1を個別に制御部8と連結していた従来に比し、設置作業が簡易となり作業時間を確実に短縮することができる。
【0034】
また、制御部8には、該制御部8及び駆動部の電源となる携帯型バッテリー11(ポータブル電源)が設けられており、更に、100V受電可能な受電装置が設けられている。
【0035】
また、駆動本体部1(駆動部)には回動部12が設けられている。
【0036】
この回動部12は、図1に図示したように基端部が装置本体1aの上端部に回動軸12aを介して枢着され、この回動軸12aは前述した駆動部の駆動により回動自在に設けられている。
【0037】
従って、回動部12及び後述する通行遮断バー2は、駆動部の駆動により上下方向に起伏回動する。
【0038】
また、回動部12の先端部には、通行遮断バー2を水平回動自在に枢着連結する水平回動連結部12bが設けられている。
【0039】
この水平回動連結部12bは、図1に図示したように回動部12の先端部に設けられる軸受部12b’と、通行遮断バー2の基端部に設けられる軸部12b”とで構成されており、この軸受部12b’に対する軸部12b”の回動を規制する回動規制機構が設けられている。
【0040】
この回動規制機構は、例えば通行遮断バー2に車両Cが衝突した場合など、水平方向に所定の負荷以上の力がかかった場合には、通行遮断バー2の水平回動を許容するように構成されている。
【0041】
また、回動部12の基端部には該回動部12の起動を補助する重り部12cが設けられている。
【0042】
尚、本実施例では、回動部12及び通行遮断バー2は駆動部の駆動により上下方向に起伏回動するように設けたが、水平方向に水平回動するように設けても良い。
【0043】
通行遮断バー2は、図1~5に図示したように適宜な金属製の部材で形成された丸棒状体であり、その基端部(軸部12b”)が前述した回動部12に枢着されている。
【0044】
従って、通行遮断バー2は遠隔操作機器による遠隔操作により上下方向に起伏動する。
【0045】
また、通行遮断バー2の先端部には矢印表示部3が着脱自在に設けられている。
【0046】
具体的には、矢印表示部3は、図1~4に図示したように適宜な合成樹脂製の板状体であり、その表面に矢印形状を呈する矢印発光部3aを設けて構成されている。
【0047】
この矢印発光部3aは、駆動本体部1及び通行遮断バー2(回動部12)を介してケーブル13が接続され、制御部8により点滅・点灯など制御される。
【0048】
また、この矢印表示部3は、連結部材4を介して通行遮断バー2に設けられており、通行遮断バー2の長手方向及び通行遮断バー2の長手方向と交差する方向に移動固定自在となるように構成されている。
【0049】
この連結部材4は、通行遮断バー2に設けられる第一部材5と、この第一部材5にスライド移動固定自在に連結され矢印表示部3に設けられる第二部材6とで構成されている。
【0050】
第一部材5は、図2~4に図示したように適宜な金属製の部材で形成した長尺体であり、上下位置に間隔を介して対設される一対の板部材5aと、この板部材5aの長手方向の3箇所に架設される凹湾曲部材5bとで構成され、この板部材5aと凹湾曲部材5bとの連設部には後述する第二部材6に設けられるスライドナット14に螺着するボルト15を止着する止着孔5cが設けられている。
【0051】
従って、第一部材5は、凹湾曲部材5bを通行遮断バー2に被篏させた状態でボルト15及びスライドナット14を介して第二部材6に連結することができ、ボルト15の締め付け螺動により通行遮断バー2に対して第一部材5が圧接して該通行遮断バー2の長手方向への移動が阻止され、反対に、ボルト15の緩め螺動により通行遮断バー2に対する第一部材5の圧接が解除されて該通行遮断バー2の長手方向へ約20cmの範囲で移動が許容される。
【0052】
よって、この構成から矢印表示部3は通行遮断バー2の長手方向(通行遮断バー2を水平状態とした際の水平方向)に移動固定自在となる(図3,5参照)。
【0053】
第二部材6は、図2~4に図示したように適宜な金属製の部材で形成した枠状体であり、矢印表示部3の裏面上下対向位置に付設(リベット止め)される断面L字状の横部材6aと、この横部材6a間に架設され内部にスライドナット14が回り止め状態でスライド自在に収納される角筒形状の縦部材6bとで構成されている。
【0054】
この縦部材6bの外面には筒孔6b’内と貫通するスリット6b”が長手方向に設けられており、このスリット6b”に第一部材5のボルト15を挿通して筒孔6b’内のスライドナット14に螺着するように構成されている。
【0055】
従って、ボルト15の締め付け螺動により筒孔6b’内面に対してスライドナット14が圧接してスライド移動が阻止され、反対に、ボルト15の緩め螺動により筒孔6b’内面に対してスライドナット14の圧接が解除されて約20cmの範囲で移動が許容されることになり、第一部材5に対する第二部材6のスライド方向は、通行遮断バー2の長手方向と交差する方向(通行遮断バー2を水平状態とした場合の上下方向)となる。
【0056】
よって、この構成から、矢印表示部3は、通行遮断バー2の長手方向と交差する方向(通行遮断バー2を水平状態とした際の垂直上下方向)に移動固定自在となる(図3,5参照)。
【0057】
尚、本実施例では、矢印表示部3は、手動により通行遮断バー2の長手方向及び通行遮断バー2の長手方向と交差する方向に移動自在となるように構成されているが、適宜な駆動部を設けて遠隔操作機器による遠隔操作により駆動移動するようにしても良い。
【0058】
符号6a’は後述する線状部材7を貫挿連結するための連結孔である。
【0059】
また、矢印表示部3は、通行遮断バー2(若しくは駆動本体部1)に対して車両衝突時の飛散を防止する線状部材7で連結されている。
【0060】
この線状部材7は図3に図示したようにワイヤーであり、連結部材4と通行遮断バー2に巻回連結されている(連結部材4に対しては第二部材6の連結孔6a’に挿通固定されている。)。尚、この矢印表示部3及び後述する回転灯16の飛散を防止する線状部材7は駆動本体部1に連結するようにしても良い。
【0061】
また、通行遮断バー2の上面には回転灯16が設けられている。
【0062】
この回転灯16は、駆動本体部1及び通行遮断バー2(回動部12)を介してケーブルが接続され、制御部8により点灯・回転など制御される。
【0063】
また、本実施例では、この回転灯16も車両衝突時の飛散を防止する線状部材7を介して通行遮断バー2に巻回連結されている。
【0064】
以上の構成から成る本実施例に係る車線規制装置Sを用いた車線規制方法について説明する。
【0065】
本実施例では、車線規制の対象となる路面部50として、中央分離帯部51,この中央分離部51の左右に設けられる左右車道部52及びこの左右車道部52夫々の側方に設けられる左右路肩部53を有する既設の路面部50であって、橋梁54を構成する橋脚部54aの上部に設けられる路面部50(主桁部と上面に舗装路が形成される床版部で構成される路面部50)を採用し、この路面部50を改修する改修工法(橋梁改修工法)の際に車線規制装置Sを用いて車線規制する。尚、路面部50としては前述した橋梁54に設けられる路面部50に限られない。
【0066】
具体的には、この路面部50を改修する改修工法(橋梁改修工法)は、路面部50を、中央分離帯部51及び左右車道部52夫々の一部から成り複数車線55aを有する中央領域部A1(2車線を確保するだけの左右幅を有する領域)と、この中央領域部A1の左側に設けられ左車道部52の一部及び左路肩部53から成り複数車線55aを有する左領域部A2(2車線を確保するだけの左右幅を有する領域)と、中央領域部A1の右側に設けられ右車道部52の一部及び右路肩部53から成り複数車線55aを有する右領域部A3(2車線を確保するだけの左右幅を有する領域)に区分し(図7参照)、この中央領域部A1,左領域部A2及び右領域部A3のいずれか一つの領域部を改修領域部とする場合において、この改修する領域以外のその他二つ領域部夫々を複数の車線55aを有する車道領域部55として利用する工法である。
【0067】
図8は、中央領域部A1の路面部50を改修する際、左領域部A2及び右領域部A3を車道領域部55(片側二車線の上り線及び下り線)とした場合であり、図9は、右領域部A3の路面部50を改修する際、中央領域部A1及び左領域部A2を車道領域部55(片側二車線の上り線及び下り線)とした場合であり、図10は、左領域部A2の路面部50を改修する際、中央領域部A1及び右領域部A3を車道領域部55(片側二車線の上り線及び下り線)とした場合である。
【0068】
実際に、この各路面部50の改修は、塩害や経年劣化により損傷した既設の路面部50及び橋脚部54aの上端部を撤去し(左領域部A2及び右領域部A3の改修時においては壁高欄も撤去する)、この撤去した部位に予め工場にて型成形により高精度に作製されたプレキャスト部材(床版機能を有する主桁部材50A,左右方向の橋脚部54a間に載置架設される横梁部材50B,壁高欄部材50c)を配設し、主桁部材50Aの上面に舗装路を形成することで行われる。尚、各領域部に配設される横梁部材50B同士間にはPC鋼材が設置される。
【0069】
また、前述した路面部50の改修工法(橋梁改修工法)の際、例えば、比較的交通量の少ない日に車道領域部55として利用する領域部の車線55aを規制(車線数を減少)し、改修する領域部を拡張して作業性を向上することができる。
【0070】
即ち、中央領域部A1を改修する場合は、車道領域部55として利用する左領域部A2,右領域部A3のいずれか一方若しくは双方の車線55aを規制し、左領域部A2を改修する場合は、車道領域部55として利用する中央領域部A1,右領域部A3のいずれか一方若しくは双方の車線55aを規制し、右領域部A3を改修する場合は、車道領域部55として利用する中央領域部A1,左領域部A2のいずれか一方若しくは双方の車線55aを規制する。
【0071】
図11,12は中央領域部A1の改修時に車道領域部55として利用する左領域部A2,右領域部A3の双方における一つの車線55aを規制した場合であり、非工事区間と工事区間との境界に位置する平面方向から見て傾斜した車道領域部55の近傍に複数台の車線規制装置S(駆動本体部1)を間隔を介して設置している。これら車線規制装置Sの周辺位置には制御部8が設けられ、この車線規制装置Sと制御部8及び車線規制装置S同士はケーブル9を介して直列に接続している。尚、設置する車線規制装置Sの台数は車道領域部55等の条件によって決定される。
【0072】
現場作業員は、車道領域部55の上流方面から車両Cが来ていないかを確認した後、遠隔操作機器を操作して通行遮断バー2を一斉に伏し状態とする。
【0073】
具体的には、各車線規制装置Sに係る駆動本体部1は、遠隔操作機器から送信される無線信号に基づいて駆動し、通行遮断バー2は伏動して車道領域部55上に水平突出状態となることで車両Cの通行が遮断され、隣の車線55a(走行車線)へ車両Cを誘導するよう一車線分(追越車線)が規制される。この状態において、仮にドライバー目線から見え難い矢印表示部3があった場合、矢印表示部3を通行遮断バー2の長手方向や通行遮断バー2の長手方向と交差する方向に適宜移動固定することで、ドライバー目線から見易い状態となるように調整することができる。
【0074】
符号17は矢印表示を有する路面載置タイプの誘導看板、18は規制された車線55a内への一般車両Cの侵入禁止を表示するロードコーン、19は改修工事領域の周囲に設置され作業車両等の出入口部19aを有する架設防護柵である。
【0075】
本実施例は上述のように構成したから、安全に車線規制を行うことができ、しかも、矢印表示部3をドライバー目線から見易い位置に調整することができる。
【0076】
また、本実施例は、矢印表示部3は連結部材4を介して通行遮断バー2に設けられており、この連結部材4は、通行遮断バー2に設けられる第一部材5と、この第一部材5にスライド移動固定自在に連結され矢印表示部3に設けられる第二部材6とで構成されているから、前述した作用効果を簡易且つ確実に奏することができる。
【0077】
また、本実施例は、第一部材5に対する第二部材6のスライド方向は、通行遮断バー2の長手方向と交差する方向に設定され、更に、第一部材5は通行遮断バー2に対して該通行遮断バー2の長手方向に移動固定自在に被篏連結されているから、前述した作用効果を簡易且つ確実に奏するのは勿論、簡易構造故にコスト安にして量産性に優れることになる。
【0078】
また、本実施例は、矢印表示部3は、通行遮断バー2(若しくは駆動本体部1)に対して車両衝突時の飛散を防止する線状部材7で連結されているから、万一の事故の際における危険を抑制することができる。
【0079】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0080】
A1 中央領域部
A2 左領域部
A3 右領域部
C 車両
1 駆動本体部
2 通行遮断バー
3 矢印表示部
4 連結部材
5 第一部材
6 第二部材
7 線状部材
50 路面部
51 中央分離帯部
52 左右車道部
53 左右路肩部
54 橋梁
54a 橋脚部
55 車道領域部
55a 車線