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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023055403
(43)【公開日】2023-04-18
(54)【発明の名称】結束容器、結束具および載置台
(51)【国際特許分類】
   B65D 71/08 20060101AFI20230411BHJP
【FI】
B65D71/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021164758
(22)【出願日】2021-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】313004403
【氏名又は名称】株式会社フジシール
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大正谷 愛華
(72)【発明者】
【氏名】芳本 有史
(72)【発明者】
【氏名】綿世 真弓
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067AA22
3E067AB26
3E067AB81
3E067AC03
3E067AC11
3E067BA21A
3E067BB14A
3E067CA01
3E067FA01
3E067FB01
3E067FC03
(57)【要約】
【課題】高い生産効率にて生産することが可能な結束容器を提供する。
【解決手段】結束容器1は、載置台3と複数の容器本体2と結束帯4とを備える。複数の容器本体2は、各々の底部22が載置台3の天面31に当接するように載置台3上に載置される。結束帯4は、複数の容器本体2がその内側に配置されるように周回して設けられ、複数の容器本体2の各々の胴部23の一部に接触してこれを覆うことにより、複数の容器本体2を結束する。載置台3の周面33には、載置台3の内側に向けて切れ込んだ形状を有する被係止部33aが設けられ、結束帯4が、被係止部33aに達するように延在するとともに、被係止部33aに達した部分の結束帯4が内側に向けて収縮していることにより、結束帯4が被係止部33aに係止する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天面、底面および周面を有する載置台と、
各々が胴部および底部を有し、各々の前記底部が前記載置台の前記天面に当接するように前記載置台上に載置された複数の容器本体と、
前記複数の容器本体がその内側に配置されるように周回して設けられ、前記複数の容器本体の各々の前記胴部の一部に接触してこれを覆うことにより、前記複数の容器本体を結束するフィルムからなる結束帯とを備え、
前記載置台の前記周面には、前記載置台の内側に向けて切れ込んだ形状を有する被係止部が設けられ、
前記結束帯が、前記被係止部に達するように延在しているとともに、前記被係止部に達した部分の前記結束帯が内側に向けて収縮していることにより、前記結束帯が前記被係止部に係止している、結束容器。
【請求項2】
前記複数の容器本体の各々の前記底部に対向する部分の前記載置台の前記天面のうち、少なくとも一部に凹部が設けられている、請求項1に記載の結束容器。
【請求項3】
前記載置台が、当該載置台の前記底面が位置する側とは反対側に向けて突出するとともに、当該載置台の前記天面の縁部に沿って延在する突条部を有している、請求項1または2に記載の結束容器。
【請求項4】
前記天面の法線方向に沿って見た場合に、前記結束帯に接触してこれに覆われる部分の前記複数の容器本体の各々の前記胴部に対応する部分の前記載置台の外形線が、前記結束帯に接触してこれに覆われる部分の前記複数の容器本体の各々の前記胴部の外形線と重なっているか、これよりも内側に位置している、請求項1から3のいずれかに記載の結束容器。
【請求項5】
複数の容器本体を結束するための結束具であって、
複数の容器本体が載置される載置台と、
前記載置台の上方の空間を周回して取り囲むように設けられることにより、前記載置台に載置される複数の容器本体が収容される空間を形成するフィルムからなる結束帯とを備え、
前記載置台は、複数の容器本体が載置されることで複数の容器本体の底部が当接する天面と、底面および周面とを有し、
前記載置台の前記周面には、前記載置台の内側に向けて切れ込んだ形状を有する被係止部が設けられ、
前記結束帯が、前記被係止部に達するように延在しているとともに、前記被係止部の一部を少なくとも覆っている、結束具。
【請求項6】
複数の容器本体を結束するために、複数の容器本体が収容される空間を形成するフィルムからなる結束帯と共に用いられる載置台であって、
複数の容器本体が載置されることで複数の容器本体の底部が当接する天面と、底面および周面とを有し、
前記周面には、結束帯が係止する部分である被係止部が設けられ、
前記被係止部が、当該載置台の内側に向けて切れ込んだ形状を有している、載置台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の容器本体が結束具によって結束されてなる結束容器、当該結束具、ならびに、当該結束具に具備される載置台に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、飲料や薬液等の液体を収容する容器本体の底部を保護する目的で、当該容器本体と載置台とが一体化された容器が普及している。当該容器においては、載置台上に1つの容器本体が載置されるとともに、これら載置台と1つの容器本体とを覆うように熱収縮フィルムが周回され、この熱収縮フィルムが収縮させられることにより、当該容器本体と当該載置台とが固定されている。
【0003】
当該構成の容器が開示された文献としては、たとえば、特表2008-509864号公報(特許文献1)、特開2012-236608号公報(特許文献2)、実開平6-42668号公報(特許文献3)等がある。
【0004】
一方で、複数の容器本体が互いに接触するように並べられた状態で、これら複数の容器本体が結束帯としての熱収縮フィルムによって結束されてなる結束容器も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2008-509864号公報
【特許文献2】特開2012-236608号公報
【特許文献3】実開平6-42668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1ないし3に開示された容器においては、熱収縮フィルムが載置台の底面に係止するように、熱収縮フィルムの下端が載置台の底面の周縁を覆うように収縮されている。このように構成した場合には、熱収縮フィルムによる容器本体と載置台との固定の際に、載置台上に載置された容器本体を載置台ごと作業台等から浮かせる必要があり、その製造は、必ずしも容易とは言えない。
【0007】
また、複数の容器本体が載置台上において結束されてなる結束容器において、複数の容器本体と載置台とを結束帯としての熱収縮フィルムによって固定する場合に、上記特許文献1ないし3に開示の如くの構成を採用した場合には、載置台上に複数の容器本体を載置した状態でこれら複数の容器本体と載置台とを熱収縮フィルムによって固定する必要があり、その製造は、非常に煩雑なものとなってしまう。
【0008】
したがって、本発明は、上述した問題を解決すべくなされたものであり、高い生産効率にて生産することが可能な結束容器、当該結束容器に具備される結束具、ならびに、当該結束具に具備される載置台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に基づく結束容器は、載置台と、複数の容器本体と、フィルムからなる結束帯とを備えている。上記載置台は、天面、底面および周面を有している。上記複数の容器本体は、その各々が胴部および底部を有しており、また、その各々の上記底部が上記載置台の上記天面に当接するように上記載置台上に載置されている。上記結束帯は、上記複数の容器本体がその内側に配置されるように周回して設けられており、上記複数の容器本体の各々の上記胴部の一部に接触してこれを覆うことにより、上記複数の容器本体を結束している。上記載置台の上記周面には、上記載置台の内側に向けて切れ込んだ形状を有する被係止部が設けられている。上記本発明に基づく結束容器にあっては、上記結束帯が、上記被係止部に達するように延在しているとともに、上記被係止部に達した部分の上記結束帯が内側に向けて収縮していることにより、上記結束帯が上記被係止部に係止している。
【0010】
上記本発明に基づく結束容器にあっては、上記複数の容器本体の各々の上記底部に対向する部分の上記載置台の上記天面のうち、少なくとも一部に凹部が設けられていることが好ましい。
【0011】
上記本発明に基づく結束容器にあっては、載置台が、当該載置台の上記底面が位置する側とは反対側に向けて突出するとともに、当該載置台の上記天面の縁部に沿って延在する突条部を有していることが好ましい。
【0012】
上記本発明に基づく結束容器にあっては、上記天面の法線方向に沿って見た場合に、上記結束帯に接触してこれに覆われる部分の上記複数の容器本体の各々の上記胴部に対応する部分の上記載置台の外形線が、上記結束帯に接触してこれに覆われる部分の上記複数の容器本体の各々の上記胴部の外形線と重なっているか、これよりも内側に位置していることが好ましい。
【0013】
本発明に基づく結束具は、複数の容器本体を結束するためのものであって、複数の容器本体が載置される載置台と、フィルムからなる結束帯とを備えている。上記結束帯は、上記載置台の上方の空間を周回して取り囲むように設けられることにより、上記載置台に載置される複数の容器本体が収容される空間を形成している。上記載置台は、複数の容器本体が載置されることで複数の容器本体の底部が当接する天面と、底面および周面とを有している。上記載置台の上記周面には、上記載置台の内側に向けて切れ込んだ形状を有する被係止部が設けられている。上記本発明に基づく結束具にあっては、上記結束帯が、上記被係止部に達するように延在しているとともに、上記被係止部の一部を少なくとも覆っている。
【0014】
本発明に基づく載置台は、複数の容器本体を結束するために、複数の容器本体が収容される空間を形成するフィルムからなる結束帯と共に用いられるものであって、複数の容器本体が載置されることで複数の容器本体の底部が当接する天面と、底面および周面とを有している。上記周面には、結束帯が係止する部分である被係止部が設けられている。上記被係止部は、当該載置台の内側に向けて切れ込んだ形状を有している。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、高い生産効率にて生産することが可能な結束容器、当該結束容器に具備される結束具、ならびに、当該結束具に具備される載置台を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施の形態に係る結束容器の正面図である。
図2図1に示す結束容器の側面図である。
図3図1に示す結束容器の模式断面図である。
図4図1に示す載置台の周面の近傍を拡大した模式断面図である。
図5図1に示す載置台の平面図である。
図6】実施の形態に係る結束容器の製造方法を示す模式断面図である。
図7】実施の形態に係る結束容器の製造方法を示す模式断面図である。
図8】実施の形態に係る結束容器の製造方法を示す模式断面図である。
図9】実施の形態に係る結束容器の製造方法を示す模式断面図である。
図10】第1変型例に係る載置台の周面の近傍を拡大した模式断面図である。
図11】第2変型例に係る載置台の周面の近傍を拡大した模式断面図である。
図12】第3変型例に係る載置台の周面の近傍を拡大した模式断面図である。
図13】第4変型例に係る載置台の周面の近傍を拡大した模式断面図である。
図14】第5変型例に係る載置台の周面の近傍を拡大した模式断面図である。
図15】第6変型例に係る載置台の周面の近傍を拡大した模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。以下に示す実施の形態は、容器本体としての複数のバイアル瓶が結束されてなる結束容器に本発明を適用した場合を例示するものである。なお、以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0018】
図1は、実施の形態に係る結束容器の正面図であり、図2は、図1に示す結束容器の側面図である。図3は、図2中に示すIII-III線に沿った模式断面図である。図4は、図1に示す載置台の周面の近傍を拡大した模式断面図であり、図5は、当該載置台の平面図である。まず、これら図1ないし図5を参照して、本実施の形態に係る結束容器1、結束具5ならびに載置台3の構成について説明する。
【0019】
図1ないし図5に示すように、結束容器1は、複数の容器本体2と、これら複数の容器本体2が載置された載置台3と、載置台3上に載置された複数の容器本体2を覆うことで当該複数の容器本体2を結束する結束帯4とを備えている。結束具5は、このうちの載置台3および結束帯4によって構成されている。
【0020】
図1ないし図4に示すように、容器本体2は、薬液26を収容するためのものであり、筒状の胴部23と、胴部23の軸方向に位置する口部21および底部22とを有している。胴部23の口部21寄りの端部には、傾斜形状の肩部23aが設けられている。なお、図4においては、薬液26の図示を省略している(後述する図10ないし図15においても同様である)。
【0021】
容器本体2は、たとえばホウケイ酸ガラスからなる有底円筒状のバイアル瓶である。なお、容器本体2の形状は、特に有底円筒状に限定されるものではなく、たとえば有底角筒状等であってもよい。
【0022】
容器本体2の数は、特にこれが制限されるものではなく、複数であれば幾つであってもよい。本実施の形態における結束容器1においては、2つの容器本体2が具備されており、これら2つの容器本体2は、各々の胴部23同士が当接した状態で配置されている。なお、3つ以上の容器本体2が具備される場合においては、1つの容器本体2とこれに隣り合う容器本体2とが、各々の胴部23同士が当接した状態で配置されればよい。
【0023】
口部21には、薬液26を封止するための封止部材24が、当該口部21の開口を塞ぐようにして設けられている。また、封止部材24の上端側の部分は、口部カバー25によって覆われており、当該口部カバー25の下端は、口部21のフランジ部に係止している。このように構成することにより、容器本体2の開封前の状態において、封止部材24が口部21から脱落してしまうことが防止できる。
【0024】
封止部材24の材質は、各種の弾性材料にてこれを構成することができ、たとえばブチルゴム、フッ素ETFE、シリコンゴム等の種々のゴムとすることができる。口部カバー25の材質は、特にこれが制限されるものではないが、各種の金属材料あるいは樹脂材料等とすることができる。
【0025】
載置台3は、略平板状の部材からなり、天面31と、底面32と、周面33とを有している。上述した複数の容器本体2は、各々の底部22が載置台3の天面31に当接するように当該載置台3上に載置されており、これにより、複数の容器本体2の各々の底部22は、載置台3によって保護されることになる。
【0026】
図5に示すように、載置台3の平面視した場合における大きさおよび外形は、複数の容器本体2が安定してその上に載置されるために十分な大きさおよび外形とされる。具体的には、本実施の形態においては、載置台3の平面視した場合における形状は、2つの容器本体2が並べて載置されるものであるため、トラック形状とされている。また、載置台3の平面視した場合の大きさは、その長軸方向の大きさが2つの容器本体2の各々の底部22の直径の合計と略同一とされており、短軸方向の大きさが2つの容器本体2の各々の底部22の直径と略同一とされている。
【0027】
すなわち、本実施の形態に係る結束容器1においては、平面視した場合に(すなわち、天面31の法線方向に沿って見た場合に)、結束帯4に接触してこれに覆われる部分の複数の容器本体2の各々の胴部23に対応する部分の載置台3の外形線が、結束帯4に接触してこれに覆われる部分の複数の容器本体2の各々の胴部23の外形線と重なるように構成されている。
【0028】
なお、載置台3の平面視した場合における大きさおよび外形は、複数の容器本体2の配置、数および形状に応じて適宜変更可能である。
【0029】
一方、載置台3の厚みは、容器本体2の底部22を保護することができれば特に制限されるものではないが、1mm以上10mm以下とされることが好ましい。
【0030】
また、載置台3の材質は、特にこれが制限されるものではないが、たとえばABS樹脂等の各種の樹脂材料とすることができる。
【0031】
ここで、図3ないし図5に示すように、載置台3の天面31には、複数の容器本体2の各々の底部22に対向する部分のうちの少なくとも一部に、凹部31aが設けられている。凹部31aの平面視した場合の外形は、その長手方向における中央部に括れが設けられたトラック形状である。
【0032】
このように、載置台3の天面の所定位置に凹部31aを設けることにより、複数の容器本体2の一方または両方が万が一破損した場合(たとえば、ひび割れや欠け等が発生した場合)にも、これら複数の容器本体2の内部に収容されている薬液26が結束容器1の外部に漏れ出すことが効果的に抑制できることになる。すなわち、複数の容器本体2の一方または両方から漏れ出した薬液26が当該凹部31aによって受け止められることになるため、これが直ちに結束容器1の外部に漏れ出すことが防止できる。
【0033】
また、凹部31aの平面視した場合の外形を上述したような括れを有する形状とした場合には、凹部31aの容積を確保しつつ、複数の容器本体2の各々の底部22に当接する部分の載置台3の天面31の面積を確保することも可能になる。これにより、結束容器1からの薬液26の漏れ出しを防止しつつ、複数の容器本体2を安定した状態で載置台3上に載置できるようになる。
【0034】
なお、凹部31aの外形、大きさおよび深さは、特にこれが制限されるものではなく、複数の容器本体2の各々の外形および大きさに応じて適宜変更することができる。
【0035】
載置台3は、当該載置台3の底面32が位置する側とは反対側に向けて突出するとともに、当該載置台3の天面31の縁部に沿って延在する突条部31bを有している。突条部31bの内周面は、容器本体2の底部22の縁部に沿うように湾曲した形状を有している。
【0036】
載置台3の周面33は、傾斜角度の異なる2つの傾斜面を含んでいる。これら2つの傾斜面は、いずれも載置台3の内側に向けて切れ込んだ形状を有しており、これにより、周面33には、結束帯4が係止することが可能に構成された被係止部33aが設けられている。
【0037】
上述した2つの傾斜面のうちの上方に位置する方の傾斜面は、載置台3の法線方向に対して傾斜の程度が大きく、下方に位置する方の傾斜面は、当該法線方向に対して傾斜の程度が小さくなっている。このように構成することにより、周面33に被係止部33aを設けることが可能になるばかりでなく、載置台3の法線方向に対して傾斜する1つの傾斜面によってその周面を構成する場合に比べて、底面32の面積を大きくすることができる。したがって、このように構成することにより、結束容器1をより安定した状態で載置することが可能になる。
【0038】
被係止部33aは、周面33の周方向に沿って当該周面33の少なくとも一部に設けられていればよいが、載置台3を平面視した場合に天面31を間に挟み込むように周面33の2箇所以上に設けられていることが好ましい。なお、本実施の形態においては、被係止部33aが、周面33の周方向にわたって全周に設けられている。
【0039】
また、天面31の法線方向における被係止部33aの形成位置は、特にこれが制限されるものではないが、被係止部33aが周面33のうちの天面31寄りの部分に設けられた場合には、結束容器1の製造に必要となる結束帯4を小型化することができ、被係止部33aが周面33のうちの底面32寄りの部分に設けられた場合には、結束帯4によって複数の容器本体2および載置台3をより強固に固定することができる。
【0040】
図1ないし図4に示すように、結束帯4は、載置台3上に載置された複数の容器本体2を覆うことで当該複数の容器本体2を結束するものであり、熱収縮フィルムにて構成されている。結束帯4は、複数の容器本体2がその内側に配置されるように周回して設けられており、複数の容器本体2の各々の胴部23の一部に接触してこれを覆うことにより、当該複数の容器本体2を結束している。
【0041】
ここで、熱収縮フィルムとは、所定の温度(たとえば70℃以上120℃以下等)に加熱されることによって収縮する性質(熱収縮性)を有する柔軟なフィルムをいう。
【0042】
熱収縮フィルムからなる結束帯4は、熱収縮フィルムの一方向(主たる熱収縮方向)を周方向として、その熱収縮フィルムを筒状に構成することによって得られる。かかる結束帯4は、たとえば、70℃以上120℃以下等の温度に加熱されることによって周方向に大きく収縮する。
【0043】
上記熱収縮フィルムは、柔軟性を有し、さらに、少なくとも一方向(当該一方向は、筒状に形成された際に周方向となる方向である)に熱収縮するフィルムであればどのようなものであってもよい。熱収縮フィルムは、樹脂成分を含む材料を成膜し、それを少なくとも一方向に延伸した後に、所定の温度で熱エージングすることによって得られる。
【0044】
なお、上記熱収縮フィルムとしては、上記一方向とは異なる他方向においても若干熱収縮性または熱伸張性するフィルムが用いられてもよい。他方向とは、好ましくはフィルム面内において上記一方向に直交する方向である。
【0045】
熱収縮フィルムを構成する材料としては、特にこれが制限されるものではないが、たとえば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリスチレン等のポリスチレン系樹脂、環状オレフィン系樹脂、ポリ乳酸等の生分解性樹脂、塩化ビニル系樹脂等の熱可塑性樹脂から選ばれる1種または2種以上の混合物等を主成分として含む樹脂組成物が挙げられる。また、熱収縮フィルムは、単層のものであってもよく、2層以上の積層体にて構成されていてもよい。
【0046】
また、結束帯4の厚みは、特にこれが限定されるものではないが、たとえば、20μm以上200μm以下とすることができる。なお、結束帯4には、必要に応じてデザイン印刷層、表面保護層、滑り層等の任意の層が設けられていてもよい。
【0047】
熱収縮する前の状態の結束帯4の大きさは、熱収縮によって複数の容器本体2を結束できる大きさであればどのような大きさであってもよいが、複数の容器本体2および載置台3の大きさに応じて適宜調整される。具体的には、熱収縮する前の状態の結束帯4の軸方向長さは、これが熱収縮した後の状態において、複数の容器本体2の各々の胴部23の少なくとも一部と載置台3の被係止部33aの少なくとも一部とを覆うことができる長さを有していればよく、複数の容器本体2の各々の肩部23aの少なくとも一部と載置台3の被係止部33aの少なくとも一部とを覆うことができる長さを有していればさらによい。
【0048】
ここで、図1ないし図3に示すように、熱収縮した後の状態における結束帯4は、容器本体2の肩部23aに達するように上方に向けて延在しているとともに、当該肩部23aに達した部分において内側に向けて収縮している。これにより、結束帯4は、肩部23aに係止している。
【0049】
また、図1ないし図4に示すように、熱収縮した後の状態における結束帯4は、載置台3の被係止部33aに達するように下方に向けて延在しているとともに、被係止部33aに達した部分において内側に向けて収縮している。これにより、結束帯4は、被係止部33aに係止している。
【0050】
このように構成した場合には、高い生産効率にて生産することが可能な結束容器1とすることができるが、その詳細については後述することとする。
【0051】
なお、結束帯4として用いられるフィルムとしては、上述した熱収縮フィルムに限定されるものではなく、これに代えて自己収縮性を有する自己収縮フィルム(ストレッチフィルム)が用いられてもよい。自己伸縮性とは、引っ張られることで拡張し、引っ張り力が解除されるとほぼ元の形状に戻る性質(自己伸縮性)をいう。さらには、結束帯4として用いられるフィルムとしては、熱収縮性と併せて自己伸縮性を有するフィルムが用いられてもよい。
【0052】
図6ないし図9は、それぞれ本実施の形態に係る結束容器の製造方法を示す模式断面図である。次に、これら図6ないし図9を参照して、上述した本実施の形態に係る結束容器1を製造する場合の具体的な製造方法の一例について説明する。
【0053】
まず、図6に示すように、複数の容器本体2を結束するための載置台3が準備され、当該載置台3が、図示しない作業台等の上に配置される。
【0054】
次に、図7に示すように、載置台3上に複数の容器本体2が載置される。具体的には、複数の容器本体2が、各々の底部22が載置台3の天面31に当接するように当該載置台3上に載置される。
【0055】
ここで、載置台3は、上述したように、当該載置台3の天面31の縁部に沿って延在する突条部31bを有しており、突条部31bの内周面は、容器本体2の底部22の縁部に沿うように湾曲した形状を有している。
【0056】
そのため、このように構成することにより、当該載置台3上に複数の容器本体2を載置するに際して、複数の容器本体2の各々の底部22と載置台3との間の密着性を向上させることができ、これにより、複数の容器本体2を、より安定した状態で載置台3上に載置することができる。
【0057】
さらに、このように構成した場合には、複数の容器本体2が載置台3から食み出るように位置ずれしてしまうことが効果的に抑制できることになる。すなわち、複数の容器本体2が載置台3の外側に食み出すように配置された場合にも、湾曲した形状をその内周面に有する突条部31bが、当該複数の容器本体2を載置台3の内側に向けて回帰させることになり、複数の容器本体2を位置決めするガイドとして機能することになる。
【0058】
次に、図8に示すように、載置台3および当該載置台3上に載置された複数の容器本体2に対して結束帯4が位置決めして配置される。具体的には、筒状の結束帯4が、複数の容器本体2および載置台3がその内側の空間に収容されるように位置決めして配置される。
【0059】
このとき、結束帯4は、後述する熱収縮工程を経た状態において、複数の容器本体2の各々の肩部23aの少なくとも一部と載置台3の被係止部33aの少なくとも一部とを覆うこととなるように、その軸方向における位置が調整される。
【0060】
ここで、上述したように、載置台3の天面31の法線方向に沿って見た場合に、結束帯4に接触してこれに覆われることとなる部分の複数の容器本体2の各々の胴部23に対応する部分の載置台3の外形線が、結束帯4に接触してこれに覆われることとなる部分の複数の容器本体2の各々の胴部23の外形線と重なるように構成されていれば、結束帯4を必要以上に大きくすることが不要になり、結束帯4を十分に小さくすることができる。したがって、このように構成すれば、結束帯4の材料使用量を低減することができ、製造コストを削減することができる。
【0061】
さらに、このように構成した場合には、結束帯4を熱収縮させるために必要な入熱量を小さくすることができるため、複数の容器本体2に収納された薬液26の品質に結束帯4を熱収縮させるための熱が悪影響を及ぼしてしまうリスクを効果的に低減することもできる。
【0062】
なお、結束帯4の材料使用量を低減したり、結束帯4を熱収縮させるための熱が薬液26の品質に悪影響を与えないようにしたりする観点からは、載置台3の天面31の法線方向に沿って見た場合に、結束帯4に接触してこれに覆われることとなる部分の複数の容器本体2の各々の胴部23に対応する部分の載置台3の外形線が、結束帯4に接触してこれに覆われることとなる部分の複数の容器本体2の各々の胴部23の外形線よりも内側に位置するように構成してもよい。
【0063】
また、本実施の形態においては、載置台3がその周面33に被係止部33aを有した構成であるため、結束帯4は、その下端部が載置台3の底面32に達する長さを有している必要はなく、上述したように、その下端が被係止部33aの少なくとも一部を覆う長さを有していればよい。そのため、結束帯4を必要以上に大きくすることが不要になり、結束帯4を十分に小さくすることができる。
【0064】
したがって、このように構成すれば、結束帯4の材料使用量を低減することができ、製造コストを削減することができるとともに、複数の容器本体2に収納された薬液26の品質に結束帯4を熱収縮させるための熱が悪影響を及ぼしてしまうリスクを効果的に低減することもできる。
【0065】
次に、結束帯4を加熱して熱収縮させる。具体的には、たとえばシュリンクヒーター(熱風等によってフィルムを収縮させる加熱装置)等を用いて熱風が吹き付けられることによって熱収縮した結束帯4が、複数の容器本体2の各々の肩部23aの少なくとも一部と載置台3の被係止部33aの少なくとも一部に密着することでこれに係止するようにする。このとき、上記熱風が吹き付けられることによって、複数の容器本体2の各々の胴部23の一部にも、結束帯4が密着することになる。
【0066】
これにより、図1ないし図4に示すように、複数の容器本体2が、載置台3上に載置された状態で結束されることになり、これと同時に、複数の容器本体2と載置台3とが、結束帯4によって固定されることになる。
【0067】
なお、上記においては、結束帯4の全面に熱風が吹き付けられる場合を例示して説明を行なったが、熱収縮前の結束帯4が複数の容器本体2および載置台3に概ねフィットする大きさを有するように構成した場合には、そのうちの複数の容器本体2の各々の肩部23aと載置台3の被係止部33aとに対応した部分のみに熱風が吹き付けられてもよい。
【0068】
ここで、上記熱風の温度は、結束帯4の熱収縮温度を考慮してたとえば70℃以上120℃以下等とされるが、薬液26の種類や複数の容器本体2の種類や厚み等を考慮して適宜変更が可能である。また、当該熱風の吹き付け時間を長くすることにより、上記熱風の温度を低くすることもできる。
【0069】
なお、上述した熱風に代えて、赤外線を照射したり、表面が加熱された治具等によって結束帯4を押圧したりすること等によって結束帯4を収縮させ、これにより複数の容器本体2を載置台3上において結束するとともに、複数の容器本体2と載置台3とを結束帯4によって相互に固定するようにしてもよい。
【0070】
なお、熱収縮フィルムに代えて、上述した自己収縮性を有する自己収縮フィルムが結束帯4として用いられる場合には、上述した載置台3および当該載置台3上に載置された複数の容器本体2に対して結束帯4が位置決めして配置される工程において、元の状態の内周長が、並べて配置される複数の容器本体2および載置台3よりも小さい筒状の結束帯4が、引っ張り機構等によって拡張された状態にてこれが位置決めして配置されることになる。さらに、上述した結束帯4を熱収縮させる工程に代えて上記引っ張り機構等による引っ張り力を解除する工程を行なうことで、結束帯4がほぼ元の形状に戻り、これにより、結束帯4が、複数の容器本体2の各々の肩部23aの少なくとも一部と載置台3の被係止部33aの少なくとも一部に密着することでこれに係止することになる。
【0071】
以上において説明した工程を経ることにより、上述した本実施の形態に係る結束容器1が製造されることになる。
【0072】
ここで、上述した載置台3上に複数の容器本体2が載置される工程(図7参照)の前に、図9に示す如くの結束具5を準備することとしてもよい。当該結束具5は、複数の容器本体2を結束するためのものであり、上述した載置台3および結束帯4を備えている。具体的には、結束具5においては、結束帯4が載置台3の上方の空間を周回して取り囲むように設けられており、これにより載置台3に載置される複数の容器本体2が収容される空間が載置台3上に予め設けられている。
【0073】
結束具5は、載置台3と結束帯4とがたとえば接着剤等によって仮留めされることで構成されていてもよく、また、図示しない保持機構等によって結束帯4が載置台3に対して位置決めされて保持されているのみでもよい。
【0074】
このようにして構成された結束具5の上述した空間に複数の容器本体2が収容されることにより、図8に示す如くの構成の複数の容器本体2、載置台3および結束帯4が得られることになり、この状態においてさらに結束帯4が熱収縮されることにより、上述した本実施の形態に係る結束容器1が製造できることになる。
【0075】
以上において説明した本実施の形態に係る結束容器1にあっては、上述したように、載置台3上に載置された複数の容器本体2を結束するための結束帯4が、載置台3の周面33に設けられた被係止部33aに達するように延在しているとともに、被係止部33aに達した部分において内側に向けて収縮していることにより、被係止部33aに係止している。そのため、結束帯4を熱収縮させることでその下端部を載置台3に係止する際に、当該結束帯4を載置台3の底面32に係止する必要がないため、複数の容器本体2と当該載置台3とを作業台等から浮かせる作業もまた不要になる。
【0076】
したがって、本実施の形態に係る結束容器1、結束具5ならびに載置台3とすることにより、結束容器1を高い生産効率にて生産することが可能になる。
【0077】
(第1ないし第5変形例)
図10ないし図15は、それぞれ第1ないし第6変形例に係る結束容器の周面の近傍を拡大した模式断面図である。以下、これら図10ないし図15を参照して、上述した実施の形態に基づいた第1ないし第6変形例に係る結束容器1A~1F、結束具5A~5Fならびに載置台3A~3Fについて説明する。
【0078】
図10ないし図14に示すように、第1ないし第5変形例に係る結束容器1A~1Eは、上述した実施の形態に係る結束容器1と比較した場合に、各々を構成する結束具5A~5Eのうちの載置台3A~3Eの周面33の形状のみが相違している。
【0079】
図10に示すように、第1変形例に係る結束容器1Aにおいては、載置台3Aの周面33が、互いに傾斜方向の異なる2つの傾斜面を含んでいる。より詳細には、これら2つの傾斜面のうちの上方に位置する方の傾斜面は、その下端が載置台3Aの内側に切れ込むように傾斜しており、下方に位置する方の傾斜面は、その下端が載置台3Aの外側に張り出すように傾斜している。また、これら2つの傾斜面のうちの上方に位置する方の傾斜面の下端は、下方に位置する方の傾斜面の上端に接続している。
【0080】
このように構成した場合には、上述した互いに傾斜方向の異なる2つの傾斜面のうちの上方に位置する方の傾斜面が、結束帯4の下端が係止する被係止部33aとして機能することになるため、上述した実施の形態において説明した効果に準じた効果が得られることになる。さらには、載置台3Aの底面32の面積が大きくなるため、結束容器1Aをより安定した状態で載置することも可能になる。
【0081】
図11に示すように、第2変形例に係る結束容器1Bにおいては、載置台3Bの周面33が1つの傾斜面によって構成されており、当該傾斜面は、その下端が載置台3Bの内側に切れ込むように傾斜している。
【0082】
また、図12に示すように、第3変形例に係る結束容器1Cにおいては、載置台3Cの天面31の法線方向における周面33の中央部が、当該載置台3Cの外側に向けて張り出すように湾曲している。
【0083】
また、図13に示すように、第4変形例に係る結束容器1Dにおいては、載置台3Dの周面33が段付き形状を有しており、これによりその下端側の部分が載置台3Dの内側に切れ込んでいる。
【0084】
また、図14に示すように、第5変形例に係る結束容器1Eにおいては、載置台3Eの周面33が1つの湾曲面によって構成されており、当該湾曲面は、その下端が載置台3Eの内側に切れ込むように湾曲している。
【0085】
これら第2ないし第5変形例に係る結束容器1B~1Eのように構成した場合にも、載置台3B~3Eの各々に設けられた当該載置台3B~3Eの内側に向けて切れ込む形状の部位が結束帯4の下端が係止する被係止部33aとして機能することになるため、上述した実施の形態において説明した効果に準じた効果が得られることになる。
【0086】
一方、図15に示すように、第6変形例に係る結束容器1Fにおいては、結束具5Fのうちの載置台3Fが、当該載置台3Fの天面31の縁部に突条部31b(図4等参照)を有していない。
【0087】
このように構成した場合には、上述した実施の形態において説明した結束容器1に比較して、突条部31bが設けられていないことに起因して複数の容器本体2を載置台3上に載置する際のガイド機能が得られないことにはなるものの、高い生産効率にて生産することが可能な結束容器とすることができる。
【0088】
以上において説明した実施の形態およびその変形例において示した各部の形状や構成、大きさ、数、材質等は、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々変更が可能である。
【0089】
また、上述した本発明の実施の形態およびその変形例においては、薬液等を収容することが可能に構成されたバイアル瓶を含む結束容器に本発明を適用した場合を例示して説明を行なったが、飲料等を収容することが可能に構成されたプラスチック製のボトル等に本発明を適用することとしてもよい。
【0090】
また、上述した本発明の実施の形態およびその変形例において示した特徴的な構成は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において当然に相互に組み合わせることができる。
【0091】
このように、今回開示した上記実施の形態およびその変形例はすべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって画定され、また特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【符号の説明】
【0092】
1,1A~1F 結束容器、2 容器本体、3,3A~3F 載置台、4 結束帯、5,5A~5F 結束具、21 口部、22 底部、23 胴部、23a 肩部、24 封止部材、25 口部カバー、26 薬液、31 天面、31a 凹部、31b 突条部、32 底面、33 周面、33a 被係止部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15