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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023055432
(43)【公開日】2023-04-18
(54)【発明の名称】ファイル
(51)【国際特許分類】
   B42F 7/00 20060101AFI20230411BHJP
【FI】
B42F7/00 J
B42F7/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021164813
(22)【出願日】2021-10-06
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1) 案件を提案した日:令和3年6月22日 案件を提案した場所:オンライン開催(下記URL) https://askul.zoom.us/j/84071597980?pwd=UzFMWU5vemhOOXZyMWY2Y0V2NUVOZz09 公開者:コクヨ株式会社 (2) 案件を提案した日:令和3年7月2日 案件を提案した場所:コクヨ株式会社 東京ショールーム(東京都港区港南1丁目8番35号) 公開者:コクヨ株式会社 (3) 案件を提案した日:令和3年8月19日 案件を提案した場所:オンライン開催(下記URL) https://meet.google.com/dom-paoz-ree 公開者:コクヨ株式会社 (4) 案件を提案した日:令和3年8月23日 案件を提案した場所:コクヨ株式会社 本社(大阪府大阪市東成区大今里南6丁目1番1号) 公開者:コクヨ株式会社 (5) 案件を提案した日:令和3年8月23日 案件を提案した場所:オンライン開催(下記URL) https://meet.google.com/wud-nfkt-mug?authuser=0&pli=1 公開者:コクヨ株式会社 (6) 案件を提案した日:令和3年8月30日 案件を提案した場所:オンライン開催(下記URL) https://meet.google.com/hbx-uzcg-utc 公開者:コクヨ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 一博
(72)【発明者】
【氏名】三本 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】杉田 真由
【テーマコード(参考)】
2C017
【Fターム(参考)】
2C017QA03
2C017QA06
2C017QA13
2C017QB03
2C017QE01
(57)【要約】
【課題】表紙と、表紙の内面側に重ね合わせて状態で設けた複数の区成シートとを有したファイルにおいて、片手で紙葉類を扱う場合であっても、いずれかの区成シートと、その区成シートの表紙側に隣接する区成シート(又は表紙)との間に紙葉類を潜り込ませる作業を容易に行うことができるようにする。
【解決手段】表紙1と、表紙1の一方の面に重ね合わされインデックス部をそれぞれ位置をずらせて設けた複数の区成シート2~4とを有したファイルFにおいて、各区成シート2~4の開口端である斜辺2e、3e、4eが互いにずらせてあり全ての区成シート2~4の開口端である斜辺2e、3e、4eの少なくとも一部が表出しているとともに、表紙1又は表紙側に隣接する他の区成シート2、3から厚み方向に離間している構成を採用する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表紙と、表紙の一方の面に重ね合わされインデックス部をそれぞれ位置をずらせて設けた複数の区成シートとを有したファイルであって、
各区成シートの開口端が互いにずらせてあり全ての区成シートの開口端の少なくとも一部が表出しているとともに、表紙又は表紙側に隣接する他の区成シートから厚み方向に離間しているファイル。
【請求項2】
表紙と表紙に最も近い区成シートとの間及び互いに隣接する区成シート同士の間にそれぞれ収納ポケットが形成されており、各収納ポケットが直交する2方向に開口しているとともに、各区成シートの開口端近傍に凹部が形成されておりその凹部より端縁側が表紙又は表紙側に隣接する他の区成シートから厚み方向に離間している請求項1記載のファイル。
【請求項3】
各区成シートが略矩形状をなし表紙及び各区成シートの隣接する2辺に沿った端縁に沿ってこれらが接着された接着部を設けているとともに、各区成シートの開口縁の一部が他の2辺により形成される角部を切り欠いた斜辺であり、その斜辺の近傍に前記凹部が形成されている請求項2記載のファイル。
【請求項4】
各区成シートが略矩形状をなし表紙及び各区成シートの隣接する2辺に沿った端縁に沿ってこれらが接着された接着部を設けているとともに、この接着部が前記隣接する2辺により形成される角部から控えた位置で終了しており、前記接着部の終端から角までの部位を表紙と区成シートとの間又は区成シート同士がいずれも接着されておらず外部に開口する開口部としている請求項1、2又は3記載のファイル。
【請求項5】
表紙に最も近い区成シートの表紙への接着部位と表紙に2番目に近い区成シートの表紙への接着部位とを異ならせている請求項1、2、3又は4記載のファイル。
【請求項6】
1枚のシート状素材を折り返して2つの区成シートを形成し、折り返し箇所を両区成シートの下辺としているとともに、両区成シートの一端部を表紙又は他の区成シートに接着することにより両区成シート間に収納ポケットを形成している請求項1、2、3、4又は5記載のファイル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表紙と、表紙の内面側に重ね合わせて状態で設けた複数の区成シートとを有したファイルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、オフィスや医療機関等において、表紙と、表紙の内面側に重ね合わせて状態で設けた複数の区成シートとを有したファイルが広く用いられている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
このようなファイルは、表紙と表紙に最も近い区成シートとの間及び互いに隣接する区成シート同士の間にそれぞれ収納空間が形成されており、いずれかの収納空間に収納物である紙葉類をその記載内容等に基づき区分けして収納できるようになっている。
【0004】
ところで、このようなファイルのいずれかの収納空間に紙葉類を収納するに際し、いずれかの区成シートと、その区成シートの表紙側に隣接する区成シート(又は表紙)との間に紙葉類を潜り込ませる作業が必要であるが、特に片手で紙葉類を扱う場合にその作業を進めるのが難しいという問題が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3216876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上に述べた点に着目してなされたものであり、片手で紙葉類を扱う場合であっても、いずれかの区成シートと、その区成シートの表紙側に隣接する区成シート(又は表紙)との間に紙葉類を潜り込ませる作業を容易に行うことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明に係るファイルは、表紙と、表紙の一方の面に重ね合わされインデックス部をそれぞれ位置をずらせて設けた複数の区成シートとを有したものであって、各区成シートの開口端が互いにずらせてあり全ての区成シートの開口端の少なくとも一部が表出しているとともに、表紙又は表紙側に隣接する他の区成シートから厚み方向に離間しているものである。
【0008】
請求項2記載の発明に係るファイルは、請求項1記載のものにおいて、表紙と表紙に最も近い区成シートとの間及び互いに隣接する区成シート同士の間にそれぞれ収納ポケットが形成されており、各収納ポケットが直交する2方向に開口しているとともに、各区成シートの開口端近傍に凹部が形成されておりその凹部より端縁側が表紙又は表紙側に隣接する他の区成シートから厚み方向に離間しているものである。
【0009】
請求項3記載の発明に係るファイルは、請求項2記載のものにおいて、各区成シートが略矩形状をなし表紙及び各区成シートの隣接する2辺に沿った端縁に沿ってこれらが接着された接着部を設けているとともに、各区成シートの開口縁の一部が他の2辺により形成される角部を切り欠いた斜辺であり、その斜辺の近傍に前記凹部が形成されているものである。
【0010】
請求項4記載の発明に係るファイルは、請求項1、2又は3記載のものにおいて、各区成シートが略矩形状をなし表紙及び各区成シートの隣接する2辺に沿った端縁に沿ってこれらが接着された接着部を設けているとともに、この接着部が前記隣接する2辺により形成される角部から控えた位置で終了しており、前記接着部の終端から角までの部位を表紙と区成シートとの間又は区成シート同士がいずれも接着されておらず外部に開口する開口部としているものである。
【0011】
請求項5記載の発明に係るファイルは、請求項1、2、3又は4記載のものにおいて、表紙に最も近い区成シートの表紙への接着部位と表紙に2番目に近い区成シートの表紙への接着部位とを異ならせているものである。
【0012】
請求項6記載の発明に係るファイルは、請求項1、2、3、4又は5記載のものにおいて、1枚のシート状素材を折り返して2つの区成シートを形成し、折り返し箇所を両区成シートの下辺としているとともに、両区成シートの一端部を表紙又は他の区成シートに接着することにより両区成シート間に収納ポケットを形成しているものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、片手で紙葉類を扱う場合であっても、いずれかの区成シートと、その区成シートの表紙側に隣接する区成シート(又は表紙)との間に紙葉類を潜り込ませる作業を容易に行うことができるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係るファイルを示す正面図。
図2】同実施形態に係るファイルを示す平面図。
図3】同実施形態に係るファイルの一半部を拡大して示す正面図。
図4図3におけるA-A線に沿った断端面図。
図5図3におけるB-B線に沿った断端面図。
図6図3におけるC-C線に沿った断端面図。
図7図3におけるD-D線に沿った断端面図。
図8図3におけるE-E線に沿った断端面図。
図9】同実施形態に係るファイルの表紙を示す正面図。
図10】同実施形態に係るファイルを構成するシート状の素材を示す正面図。
図11】同実施形態に係るファイルを構成するシート状の素材を示す正面図。
図12】同実施形態に係るファイルを構成するシート状の素材を示す正面図。
図13】同実施形態に係るファイルの板材及びクリップを示す正面図。
図14】同実施形態に係るファイルの組立の手順を示す説明図。
図15】同実施形態に係るファイルの組立の手順を示す説明図。
図16】同実施形態に係るファイルの他の利用態様を示す平面図。
図17】同実施形態に係るファイルの他の利用態様を示す正面図。
図18】同実施形態に係るファイルの他の利用態様を示す背面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態を、図1図18を参照して以下に述べる。
【0016】
本実施形態に係るファイルは、図1図3及び図16図18に示すように、表紙1と、表紙1の一方の片半部11に重ね合わされた複数、具体的には第1~第4の区成シート2~5と、表紙1の他方の片半部12に重ね合わされた板材6と、この板材5の上端部に接合されたクリップ7と、表紙2の区成シート2~5及び板材6を配した側と反対側の面に接続したバンド8とを有している。以下、4つの区成シート2~5のうち表紙1に最も近い区成シートを第1の区成シート2、この第1の区成シート2に隣接する区成シートを第2の区成シート3、この第2の区成シート3に隣接する区成シートを第3の区成シート4、この第3の区成シート4に隣接し表紙1から最も遠い区成シートを第4の区成シート5とそれぞれ称する。
【0017】
また、図4図8に示すように、表紙1と第1の区成シート2との間に第1の収納ポケットP1が、第1及び第2の区成シート2、3の間に第2の収納ポケットP2が、第2及び第3の区成シート3、4の間に第3の収納ポケットP3が、そして第3及び第4の区成シート4、5の間に小物類収納用の収納ポケットP4がそれぞれ形成されている。第1~第3の収納ポケットP1~P3は、直交する2方向、より具体的には上方及び右側方に開口している。その上で、第1~第4の区成シート2~5の開口端近傍に凹部2f、3f、4f、5fが形成されておりその凹部2f、3f、4f、5fより端縁側が表紙1又は表紙1側に隣接する他の区成シート2~4から厚み方向に離間している。
【0018】
より具体的には、表紙1は、例えばポリプロピレン等の樹脂製の透光性を有しないシート状の素材により形成されており、図1図6図9及び図16図18に示すように、略矩形状をなしているとともに、長手方向中央部に細長い背表紙部13を有する。また、この表紙1は、その全体を平面状に拡開させた図1図8に示すような見開き姿勢と、背表紙部13を挟んで両側の領域を重ね合わせた図16図18に示すような折り畳み姿勢とをとることが可能である。その上で、図1図8に示すように、見開き姿勢における背表紙部13より左側の領域すなわち見開き左半部11に第1~第4の区成シート2~5を重ね合わせているとともに、見開き姿勢における背表紙部13より右側の領域すなわち見開き右半部12に板材6を重ね合わせている。見開き左半部11及び見開き右半部12は、いずれも略矩形状をなし、折り畳み姿勢において先端(背表紙部13と反対側の端)同士が重なり合う。なお、表紙1の見開き左半部11における上縁の中央部には、折り畳み姿勢におけるクリップ7との干渉を避けるべく、切欠き部11xを設けている。
【0019】
第1の区成シート2は、本実施形態では表紙1と同一の素材、すなわちポリプロピレン等の樹脂製の透光性を有しないシート状の素材により形成されており、図1図3及び図10に示すように、略矩形状をなすとともに、前述したように、また、図4図8に示すように、表紙1との間に第1の収納ポケットP1を形成する。この区成シート2は、図1及び図3に示すように、見開き姿勢における上端縁2a及び右側端縁2bが開放されており、下端縁2cは後述するように第2の区成シート3の下端縁3cと連続しており、左側端縁2dの一部が表紙1に接着されている。また、見開き姿勢における上端縁2a及び右側端縁2bの境界部に角度を持って切り欠かれた斜辺2eを有し、その斜辺2eに連続させて右側端縁2bの上端部にインデックス部2iを有している。すなわち、この第1の区成シート2の開口端は、上端縁2a、斜辺2e及び右側端縁2bである。その上で、開口端のうち斜辺2e近傍に凹部2fが形成されておりその凹部2fより端縁側すなわち斜辺2e側が表紙から厚み方向に離間し、図8に示すように、表紙1との間に隙間P1aを形成しており、この隙間P1aを利用して紙葉類等を第1の収納ポケットP1内に収納できるようになっている。また、この第1の区成シート2は、図1図6及び図10に示すように、左側端縁2dの上端部に左側に向け突出した突出部2gを有しており、この突出部2gの左側端縁を表紙1の左側端縁1dに重ね合わせた状態で当該突出部2gを表紙1に溶着している。そして、この第1の区成シート2は、図1図3及び図10に示すように、第2の区成シート3と同一のシート状の素材を折り返したその一半部に形成されており、折り返し箇所がこの第1の区成シート2の下端縁2c、及び第2の区成シート3の下端縁3cとなっている。
【0020】
第2の区成シート3は、前述したように第1の区成シート2と同一のシート状の素材を折り返したその一半部に形成されており、略矩形状をなすとともに、前述したように、また、図4図8に示すように、第1の区成シート2との間に第2の収納ポケットP2を形成する。この区成シート3も、図1及び図3に示すように、見開き姿勢における上端縁3a及び右側端縁3bが開放されており、下端縁3cは前述したように第1の区成シート2の下端縁2cと連続しており、左側端縁3dの一部が表紙1に接着されている。また、見開き姿勢における上端縁3a及び右側端縁3bの境界部に角度を持って切り欠かれた斜辺3eを有している。すなわち、この第2の区成シート3の開口端は、上端縁3a、斜辺3e及び右側端縁3bである。また、この区成シート3の斜辺3eは、その下端が第1の区成シート2のインデックス部2iの下端に略一致しており、その斜辺3eに連続させて右側端縁3bの上端部にインデックス部3iを有している。その上で、開口端のうち斜辺3e近傍に凹部3fが形成されておりその凹部3fより端縁側すなわち斜辺3e側が第1の区成シート2から厚み方向に離間し、図4及び図8に示すように、第1の区成シート2との間に隙間P2aを形成しており、この隙間P2aを利用して紙葉類等を第2の収納ポケットP2内に収納できるようになっている。また、この第2の区成シート3は、図1図6及び図10に示すように、左側端縁3dの中間部に左側に向け突出した突出部3gを有しており、この突出部3gの左側端縁を表紙の左側端縁1dに重ね合わせた状態で当該突出部3gを表紙1に溶着している。なお、この第2の区成シート3の突出部3gは、第1の区成シート2の突出部2gと重なり合わずかつ下方に隣接する位置に設けられている。すなわち、第1の区成シート2の表紙1への接着部位と第2の区成シート3の表紙1への接着部位とは異ならせている。そして、この第2の区成シート3を略被覆するように第3の区成シート4が設けられている。
【0021】
第3の区成シート4は、例えばポリプロピレン等の樹脂製の透光性を有するシート状の素材により形成されており、略矩形状をなすとともに、前述したように、また、図4図8に示すように、第2の区成シート3との間に第3の収納ポケットP3を形成する。この区成シート4も、図1及び図3に示すように、見開き姿勢における上端縁4a及び右側端縁4bが開放されており、下端縁3cは第4の区成シート5に被覆されており、左側端縁4dの一部が表紙1に接着されている。また、見開き姿勢における上端縁4a及び右側端縁4bの境界部に角度を持って切り欠かれた斜辺4eを有している。すなわち、この第3の区成シート4の開口端は、上端縁4a、斜辺4e及び右側端縁4bである。また、この区成シート4の斜辺4eは、その下端が第2の区成シート3のインデックス部3iの下端に略一致している。第3の区成シート4の右側端縁4bは第1及び第2の区成シート2、3のインデックス部2i、3iの外側端縁に略一致しており、当該右側縁4b近傍部の上端部がインデックス部4iとして機能している。その上で、開口端のうち斜辺4e近傍に凹部4fが形成されておりその凹部4fより端縁側すなわち斜辺4e側が第2の区成シート3から厚み方向に離間し、図4図7及び図8に示すように、第2の区成シート3との間に隙間P3aを形成しており、この隙間P3aを利用して紙葉類等を第3の収納ポケットP3内に収納できるようになっている。また、この第3の区成シート4は、図1図3及び図11に示すように、左側端縁4dの上端部から中間部にかけて左側に向け突出した突出部4gを有しており、この突出部4gを第1及び第2の区成シート2、3の突出部2g、3gに重ね合わせた状態で、当該突出部4gを第1及び第2の区成シート2、3、並びに表紙1に溶着している。なお、この突出部4gの基端部は、第3の区成シート4を表紙1から離間させて表紙1との間に第1及び第2の区成シート2、3を配置できる空間を形成できるようにすべく、マチ4mとなっている。そして、この第3の区成シート4の下半部を被覆するように第4の区成シートが配されている。
【0022】
第4の区成シート5は、本実施形態では第3の区成シート4と同一の素材すなわちポリプロピレン等の樹脂製の透光性を有するシート状の素材により形成されており、略矩形状をなすとともに、前述したように、また、図6及び図7に示すように、第3の区成シート4との間に小物類収納用の収納ポケットP4を形成する。また、この第4の区成シート5は、図1図3及び図7に示すように、第1~第3の区成シート2~4と同一の幅寸法及び約半分の高さ寸法を有しており、第3の区成シート4の下半部に重なり合っている。この区成シート5は、見開き姿勢における上端縁5aが開放されており、右側端縁5bは第3の区成シート4に溶着されており、下端縁5cは後述するような態様で表紙1に溶着されており、左側端縁5dが表紙1に接着されている。なお、第4の区成シート5の左側端縁5d近傍の表紙1への接着部位は、第1及び第2の区成シート2、3の突出部2g、3g(表紙への接着部位)と重ならないように配されている。この第4の区成シートの開口端縁部すなわち上端縁5a近傍部にも凹部5fが形成されており、その凹部5fより上端縁5a側が第3の区成シート4から厚み方向に離間し、図7に示すように、第3の区成シート4との間に隙間P4aを形成しており、この隙間P4aを利用して紙葉類等を小物類収納用の収納ポケットP4内に収納できるようになっている。さらに、この第4の区成シート5には、図1図3及び図12に示すように、カード類を差し込んで収納することができるようにすべくスリット5sが設けられている。このスリット5s近傍にも凹部5tが形成されておりその凹部5tよりスリット5s側が第3の区成シート4から厚み方向に離間している。加えて、この第4の区成シート5は、図1図3及び図7に示すように、その下端縁5cが折り返されており、折り返された側の領域である取付領域5hを表紙1に溶着している。より具体的には、この取付領域5hは、下縁が表紙の下縁、右側端縁が表紙の右側端縁にそれぞれ略一致しており、上縁が円弧状をなす略扇形状ないし三角形状をなしており、その外周部が表紙1に溶着されている。その上で、この取付領域5hと第4の区成シート5との間に第3の区成シート4の下部が収納されている。なお、第4の区成シート5の左側端縁5d近傍の部位は、この区成シート5を表紙1から離間させて表紙1との間に第1~第3の区成シート2~4を配置できる空間を形成できるようにすべく、左側のマチ5m1となっている。また、取付領域5h近傍の部位も、この区成シート5を表紙1から離間させて表紙1との間に第1~第3の区成シート2~4を配置できる空間を形成できるようにすべく、下側のマチ5m2となっている。
【0023】
ここで、図1及び図3に示すように、第1、第2及び第3の区成シート2、3、4のインデックス部2i、3i、4iはそれぞれ互いに重なり合わないように位置をずらせて設けられているとともに、各区成シート2、3、4の開口端のうち少なくとも斜辺2e、3e、4eも互いに重なり合わないように、また斜辺2e、3e、4eが表出するように互いにずらせてある。そして、図4図8に示すように、第1~第4の区成シート2~5の開口端近傍に形成された凹部2f、3f、4f、5fより端縁側が表紙1又は表紙1側に隣接する他の区成シート2~4から厚み方向に離間しており、第1~第3の収納ポケットP1~P3及び小物類収納用の収納ポケットP4の開口端に紙葉類を挿入しやすくするための隙間P1a、P2a、P3a、P4aが形成されている。
【0024】
また、図1図6に示すように、第1、第2及び第3の区成シート2、3、4の突出部2g、3g、4g、並びに第4の区成シート5の左側端縁部5d及び取付領域5hの下縁部は、第1~第4の区成シート2~5を表紙1に接着するための接着部b1、b2となっている。これら接着部b1、b2は表紙の左側端縁1d及び下端縁1cに沿って形成されている。第1及び第2の区成シート2、3の下端縁2c、3cは、第3及び第4の区成シート4、5の間に収納されている。そして、第1及び第2の区成シート2、3の左側縁2d、3dは第3の区成シート4により被覆されており、第3の区成シート4の左側縁の下部は第4の区成シート5により被覆されている。以上のような構成により、第1~第3の収納ポケットP1~P3は上方及び右側方(背表紙13側)に向かって開口している。また、接着部b1、b2は、左下の角部から控えた位置で終了している。第1~第4の区成シート2~5の左下角部はそれぞれ切り欠かれ切欠部2k、3k、4k、5kを形成している。第1~第3の収納ポケットP1~P3、及び小物類収納用の収納ポケットP4は、これら切欠部2k、3k、4k、5kを介して外部に開口している。換言すれば、これら開口部2k、3k、4k、5kを介して各収納ポケットP1~P4に収納した紙葉類を外部に露出させることができるようになっている。
【0025】
以上に述べたように、表紙1の見開き右半部11には、第1~第4の区成シート2~5が重ね合わされており、全体として複数の収納ポケットP1~P4を有するファイルとしての機能を有する。一方、表紙1の見開き右半部12には、板材6及びクリップ7が取り付けられており、いわゆるクリップボードとしての機能を有する。
【0026】
板材6は、剛性を有しており、例えば発泡ポリプロピレン等の樹脂、木、金属等により形成されている。本実施形態では、図1に示すように、左側縁6d(背表紙13側の側縁)の両端部及び右側縁6b(背表紙13と反対側の側縁)の下端部をリベット等の止着具r2により表紙1の見開き右半部12に固定している。この板材6の上端部には、図1図3及び図13に示すように、クリップ7がリベットr1を介して接合されている。そして、この板材6の表面に紙葉類Pを配してその紙葉類Pをクリップ7で固定した状態で筆記を行えるようになっているとともに、表紙1の右上角部と板材6の右上角部との間の隙間から紙葉類等のシート状の収納物を差し込んで収納することができるようになっている。
【0027】
クリップ7は、前述したように、また、図13に示すように、板材6の上端部にリベットr1を介して接合されている。なお、このクリップ7は、クリップボードとして従来周知のものに用いられているものと同様の構成を有するので、詳細な説明は省略する。
【0028】
そして、このファイルFは、バンド8により折り畳み姿勢において表紙1の見開き左半部11と見開き右半部12とが離間しないようにすることができる。
【0029】
バンド8は、本実施形態では表紙1の板材6を接続した側の一半部における板材6と反対側の面のコーナー部分に配されており、ゴム等の弾性部材により形成されている。このバンド8は、図17及び図18に示すように、折り畳み姿勢において表紙1の両面に跨がるように巻き回され、表紙1の見開き左半部11と見開き右半部12とが離間しないように弾性力を及ぼす機能を有する。また、このバンド8の両端部は、図17及び図18に示すように、リベットr3等の止着具により止着されている。なお、このバンド8も、クリップボードとして従来周知のものに用いられているものと同様の構成を有するので、詳細な説明は省略する。
【0030】
次いで、このファイルの組立の概略的な手順を以下に述べる。
【0031】
まず、図10に示す第1のシート状素材S1を折り返し線L1で折り返し、第1及び第2の区成シート2、3を形成する。
【0032】
次いで、図11に示す第3の区成シート4となるべきシート状素材S2と図12に示す第4の区成シート5となるべきシート状素材S3とを、図14に示すように第3の区成シート4の右側縁4bとなるべき箇所で溶着し、第4の区成シート5となるべきシート状素材S2を折り返し部L2で折り返して取付領域5hを形成する。
【0033】
それから、図15に示すように第4の区成シート5の取付領域5hを表紙1の下端部に溶着するとともに板材6及びクリップ7を表紙1に取り付けて溶着し、第1及び第2の区成シート2、3を表紙の左半部11に重ね合わせ、これら第1及び第2の区成シート2、3の突出部2g、3gをそれぞれ表紙1の左側端1d近傍部に重ね合わせる。そして、第4の区成シート5を第3の区成シート4ごと折り返し、第4の区成シート5の左側端部4dを表紙1の左側端部1dに溶着するとともに、第3の区成シートの突出部4gを第1及び第2の区成シート2、3の突出部2g、3gに重ね合わせ、これら突出部2g、3g、4gを表紙1の左側端1d近傍部に溶着する。
【0034】
ここで、図1は本実施形態に係るファイルFの見開き姿勢を示す正面図である。図2は同ファイルの見開き姿勢を示す平面図である。図3は、同ファイルFの見開き姿勢における左半部を拡大して示す正面図である。図4は、図3におけるA-A線に沿った断端面図である。図5は、図3におけるB-B線に沿った断端面図である。図6は、図3におけるC-C線に沿った断端面図である。図7は、図3におけるD-D線に沿った断端面図である。図8は、図3におけるE-E線に沿った断端面図である。図9は、本実施形態に係るファイルの表紙1を示す正面図である。図10は、同ファイルFの第1及び第2の区成シート2、3となるべきシート状の素材S1を示す正面図である。図11は、同ファイルFの第3の区成シート4となるべきシート状の素材S2を示す正面図である。図12は、同ファイルFの第4の区成シートとなるべきシート状の素材S3を示す正面図である。図13は、同ファイルFの板材6及びクリップ7を示す正面図である。図14は、同実施形態におけるシート状の素材S2、S3を接着した状態を示す背面図である。図15の(a)は、同実施形態におけるシート状の素材S2、S3を表紙1に接着した状態を示す正面図であり、同図の(b)は、同図の(a)におけるG-G線に沿った断端面図である。。図16は、同ファイルFの折り畳み姿勢を示す平面図である。図17は、同ファイルFの折り畳み姿勢を示す正面図である。図18は、同ファイルFの折り畳み姿勢を示す背面図である。なお、図1図3図9図12図14及び図15において、表紙1及び各区成シート2~5に設定した折り曲げ線は二点鎖線で示している。また、図10図12においては、各区成シート2~5とした状態における各部位に対応する箇所にも符号を付している。
【0035】
以上のような構成によれば、各区成シート2~5の開口端が互いにずらせてあり全て表出しているとともに、表紙1又は表紙1側に隣接する他の区成シート2~4から厚み方向に離間しているので、表紙1と第1の区成シート2の斜辺2eとの間、第1の区成シート2と第2の区成シート3の斜辺3eとの間、第2の区成シート3と第3の区成シート4の斜辺4eとの間、並びに第3の区成シート4と第4の区成シート5の上端縁5aとの間にそれぞれ生じる隙間に収納物である紙葉類を差し込みやすくなる。従って、片手で紙葉類を扱う場合であっても、いずれかの区成シート2~5と、その区成シート2~5の表紙1側に隣接する区成シート2~4(又は表紙1)との間に紙葉類を潜り込ませる作業を容易に行うことができる。
【0036】
また、第1~第3の区成シート2~4が略矩形状をなし表紙1及び各区成シート2~4の左側端縁1d~4d及び下端縁1c~4cに沿ってこれらが接着された接着部b1、b2を設けているとともに、各区成シート2~4の開口縁の一部、より具体的には上端縁2a、3a、4aと右側端縁2b、3b、4bとの境界部が角部を切り欠いた直線状の斜辺2e、3e、4eであり、その斜辺2e、3e、4eの近傍に直線状の凹部2f、3f、4fが形成されているので、斜辺2e、3e、4eに沿った各端縁が表紙1又は表紙1側に隣接する区成シート2、3から浮き上がる。そのため、区成シート2~4をめくって収納ポケットP1~P3に収納した書類を取り出す操作を容易に行うことができるとともに、斜辺2e、3e、4eから紙葉類を収納ポケットP1~P3に収納する操作も容易に行うことができる。
【0037】
加えて、接着部b1、b2の終端から角までの部位を、表紙1と第1の区成シート2との間又は区成シート2~4同士がいずれも接着されておらず、当該部位に形成した切欠部2k、3k、4kを介して収納ポケットP1~P3を外部に開口させているので、この開口部から収納物である紙葉類等の一角部を露出させることにより、収納部をより奥まで収納ポケットP1~P3に収納させることができる。
【0038】
第1の区成シート2の表紙1への接着部位と第2の区成シート3の表紙1への接着部位とを異ならせている、より具体的第1の区成シート2の突出部2gの高さ方向位置と第2の区成シート3の突出部3gの高さ方向位置を完全に異ならせ、これら突出部2g、3gを表紙に接着するようにしているので、これら第1及び第2の区成シート2、3の表紙1への接着部位が重ならず、これらの区成シート2、3を表紙1により確実に接着することができる。
【0039】
1枚のシート状素材S1を折り返して第1及び第2の区成シート2、3を形成し、折り返し箇所L1を両区成シート2、3の下端縁2c、3cとしているとともに、両区成シート2、3の一端部を表紙1に接着することにより両区成シート2、3間に第2の収納ポケットP2を形成しているので、部品点数や区成シートの接着箇所の削減を有効に図ることができる。
【0040】
そして、第4の区成シート5を安定して取り付けるべく、その下端縁5cを折り返し、折り返された側の領域である略扇形状ないし三角形状の取付領域5hの外周部を表紙1に溶着しているが、その取付領域5hの上縁が円弧状をなしているので、収納物である紙葉類を第1の収納ポケットP1に収納する際に紙葉類が取付領域5hに引っかかる不具合の発生が抑制される。
【0041】
なお、本発明は以上に述べた実施形態に限らない。
【0042】
例えば、上述した実施形態では表紙の一半部に剛性を有する板材及びクリップを表紙に固定し、クリップボードとしても使用可能にしているが、表紙の一半部に板材を固定せずに折り畳み姿勢において区成シートを被覆するカバーとしての機能のみを有するような構成を採用してもよい。
【0043】
上述した実施形態では区成シートの枚数を4枚としているが、区成シートの枚数は2枚以上であれば任意に設定してよい。
【0044】
上述した実施形態では開口縁部近傍に凹部を設け、この凹部よりも開口端縁側を表紙又は表紙側に隣接する他の区成シートから厚み方向に離間させているが、区成シートの開口縁部を表紙又は表紙側に隣接する他の区成シートから離間させるための構成も、種々のものを採用してよい。
【0045】
上述した実施形態では、第1~第3の区成シートは右上隅部に斜辺を有し、第4の区成シートは第3の区成シートの下半部に重なり合う矩形状としているが、各区成シートの形状も任意に設定してよい。すなわち、小物類収納用の収納ポケットを設ける代わりに、全ての区成シートの幅寸法及び高さ寸法を同一に設定するようにしてもよい。また、区成シートの幅寸法を全て同一とする一方、区成シートの高さ寸法は表紙から遠ざかるにつれ小さくし、各区成シートの上縁部が見開き姿勢において全て露出するような構成を採用してもよい。
【0046】
上述した実施形態では、見開き姿勢における区成シートの左下角部を外部に開口する開口部としているが、各区成シートの左側辺及び下辺の全体を表紙に接着するようにしてももちろんかまわない。
【0047】
上述した実施形態では、第1、第2及び第4の区成シートの表紙への接着部位をそれぞれ異ならせているが、全ての区成シートの表紙への接着部位をそれぞれ異ならせるようにしてもよく、逆に上述したように全ての区成シートの一端縁ないし下辺の全体又は角部を除く略全体を表紙に接着するようにしてももちろんかまわない。
【0048】
そして、上述した実施形態では、1枚のシート状素材を折り返して2つの区成シートを形成しているが、各区成シートをそれぞれ異なるシート状の素材により形成してももちろんよい。
【0049】
加えて、上述した実施形態では、区成シートの開口端近傍に設けた凹部は直線状に形成しているが、例えば円弧状等、直線状以外の形状に形成してもよい。
【0050】
その他、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々に変更してよい。
【符号の説明】
【0051】
F…ファイル
1…表紙
2、3、4、5…区成シート
2a、3a、4a…区成シートの開口端(上端縁)
5a…区成シートの開口端(上端縁)
2b、3b、4b…区成シートの開口端(右側端縁)
2e、3e、4e…区成シートの開口端(斜辺)
2f、3f、4f、5f…凹部
2i、3i、4i…インデックス部
2k、3k、4k、5k…角部
P1~P4…収納ポケット
b1、b2…接着部
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