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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023055453
(43)【公開日】2023-04-18
(54)【発明の名称】台車及びそれを備えた検査装置
(51)【国際特許分類】
   B60B 19/00 20060101AFI20230411BHJP
【FI】
B60B19/00 J
B60B19/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021164850
(22)【出願日】2021-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】320005154
【氏名又は名称】日本製鋼所M&E株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】宇川 祐丞
(57)【要約】
【課題】磁性体構造物の検査装置に好適な台車を提供すること。
【解決手段】一実施形態に係る台車は、第1の磁石車輪を浮上させる車輪リフタを備え、第1の磁石車輪を後輪として当該後輪が突起を乗り越えようとする際、車輪リフタによって第1の磁石車輪を磁性体構造物の表面から浮上させ、第1の磁石車輪が突起に乗り上げる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に突起を有する磁性体構造物の前記表面を自走可能な台車であって、
前記磁性体構造物に吸着可能な第1及び第2の磁石車輪と、
前記第1及び第2の磁石車輪のそれぞれを回転駆動する第1及び第2の駆動源と、
前記第1の磁石車輪を浮上させる車輪リフタと、を備え、
前記第1の磁石車輪を後輪として当該後輪が前記突起を乗り越えようとする際、前記車輪リフタによって前記第1の磁石車輪を前記磁性体構造物の前記表面から浮上させ、前記第1の磁石車輪が前記突起に乗り上げる、
台車。
【請求項2】
前記車輪リフタは、
径方向外側に向かって突出した爪部を有し、前記第1の磁石車輪の回転軸よりも前記第2の磁石車輪側に設けられた回転軸を中心として、回転する第1の回転体であり、
前記第1の磁石車輪を後輪として当該後輪が前記突起を乗り越えようとする際、前記第1の回転体の爪部が前記突起又は前記突起同士を連結する連結部材に当接することによって、前記第1の磁石車輪を前記磁性体構造物の前記表面から浮上させる、
請求項1に記載の台車。
【請求項3】
前記車輪リフタは、
径方向外側に向かって突出した爪部を有し、前記第2の磁石車輪の回転軸よりも前記第1の磁石車輪側に設けられた回転軸を中心として、回転する第2の回転体をさらに備え、
前記第2の磁石車輪を後輪として当該後輪が前記突起を乗り越えようとする際、前記第2の回転体の爪部が前記突起又は前記連結部材に当接することによって、前記第2の磁石車輪を前記磁性体構造物の前記表面から浮上させる、
請求項2に記載の台車。
【請求項4】
前記第1の回転体は、前記第1の磁石車輪の軸方向両端のそれぞれに設けられており、
前記第2の回転体は、前記第2の磁石車輪の軸方向両端のそれぞれに設けられている、
請求項3に記載の台車。
【請求項5】
前記第1及び第2の回転体の爪部は、それぞれ複数設けられている、
請求項3に記載の台車。
【請求項6】
前記第1及び第2の磁石車輪が、樹脂材料によって被覆されている、
請求項1に記載の台車。
【請求項7】
前記樹脂材料が、ウレタン樹脂である、
請求項6に記載の台車。
【請求項8】
表面に突起を有する磁性体構造物を前記表面から検査するプローブと、
前記プローブが搭載されると共に、前記磁性体構造物の前記表面を自走可能な台車と、を備えた検査装置であって、
前記台車は、
前記磁性体構造物に吸着可能な第1及び第2の磁石車輪と、
前記第1及び第2の磁石車輪のそれぞれを回転駆動する第1及び第2の駆動源と、
前記第1の磁石車輪を浮上させる車輪リフタと、を備え、
前記第1の磁石車輪を後輪として当該後輪が前記突起を乗り越えようとする際、前記車輪リフタによって前記第1の磁石車輪を前記磁性体構造物の前記表面から浮上させ、前記第1の磁石車輪が前記突起に乗り上げる、
検査装置。
【請求項9】
前記車輪リフタは、
径方向外側に向かって突出した爪部を有し、前記第1の磁石車輪の回転軸よりも前記第2の磁石車輪側に設けられた回転軸を中心として、回転する第1の回転体であり、
前記第1の磁石車輪を後輪として当該後輪が前記突起を乗り越えようとする際、前記第1の回転体の爪部が前記突起又は前記突起同士を連結する連結部材に当接することによって、前記第1の磁石車輪を前記磁性体構造物の前記表面から浮上させる、
請求項8に記載の検査装置。
【請求項10】
前記車輪リフタは、
径方向外側に向かって突出した爪部を有し、前記第2の磁石車輪の回転軸よりも前記第1の磁石車輪側に設けられた回転軸を中心として、回転する第2の回転体をさらに備え、
前記第2の磁石車輪を後輪として当該後輪が前記突起を乗り越えようとする際、前記第2の回転体の爪部が前記突起又は前記連結部材に当接することによって、前記第2の磁石車輪を前記磁性体構造物の前記表面から浮上させる、
請求項9に記載の検査装置。
【請求項11】
前記第1の回転体は、前記第1の磁石車輪の軸方向両端のそれぞれに設けられており、
前記第2の回転体は、前記第2の磁石車輪の軸方向両端のそれぞれに設けられている、
請求項10に記載の検査装置。
【請求項12】
前記第1及び第2の回転体の爪部は、それぞれ複数設けられている、
請求項10に記載の検査装置。
【請求項13】
前記第1及び第2の磁石車輪が、樹脂材料によって被覆されている、
請求項8に記載の検査装置。
【請求項14】
前記樹脂材料が、ウレタン樹脂である、
請求項13に記載の検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、台車及びそれを備えた検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1、2には、煙突等の高所配管を検査するため、検査対象である配管の外周面を自走可能な台車が開示されている。なお、本明細書において、配管は、煙突を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-071976号公報
【特許文献2】特開2002-087342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明者は、表面に突起を有する配管等の磁性体構造物の当該表面を自走可能な台車の開発に際し、様々な課題を見出した。
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態に係る台車は、第1の磁石車輪を浮上させる車輪リフタを備え、前記第1の磁石車輪を後輪として当該後輪が突起を乗り越えようとする際、前記車輪リフタによって前記第1の磁石車輪を磁性体構造物の表面から浮上させ、前記第1の磁石車輪が前記突起に乗り上げる。
【発明の効果】
【0006】
前記一実施形態によれば、磁性体構造物の検査装置に好適な台車を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】比較例に係る台車の構成を模式的に示す側面図である。
図2】比較例に係る台車の構成を模式的に示す側面図である。
図3】第1の実施形態に係る台車の構成を模式的に示す斜視図である。
図4】第1の実施形態に係る台車の構成を模式的に示す側面図である。
図5】プラットフォームPFに対する磁石車輪MW1、MW2の操舵動作を示す模式平面図である。
図6】第1の実施形態に係る台車の動作を模式的に示す側面図である。
図7】第1の実施形態に係る台車の動作を模式的に示す側面図である。
図8】第2の実施形態に係る台車の構成を模式的に示す斜視図である。
図9】第2の実施形態に係る台車の動作を模式的に示す側面図である。
図10】第2の実施形態に係る台車の動作を模式的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、具体的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。但し、以下の実施形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜簡略化されている。
【0009】
(第1の実施形態)
<発明者による事前検討>
まず、図1図2を参照して、発明者が事前に検討した比較例に係る台車の構成について説明する。図1図2は、比較例に係る台車の構成を模式的に示す側面図である。
なお、図1図2及びその他の図面に示した右手系xyz直交座標は、構成要素の位置関係を説明するための便宜的なものであって、図面間で共通である。
【0010】
図1図2に示すように、比較例に係る台車は、プラットフォームPF、一対の車輪支持部材WS1、WS2、及び一対の磁石車輪MW1、MW2を備えている。ここで、図1図2には、検査対象である配管10の断面図が示されている。
【0011】
図1図2に示すように、配管10は、複数のパイプから構成される。各パイプは、本体部11とフランジ部12とを含み、フランジ部12同士が連結部材13(ボルト13a及びナット13b)によって連結されている。ここで、配管10は、鋼等の磁石が吸着可能な金属から構成される。図1図2は、台車が、配管10の長手方向(x軸方向)に進行する様子を示している。
【0012】
このように、配管10は、表面(外周面)に突起(フランジ部12)を有する磁性体構造物である。配管10が外周面に有する突起は、フランジ部12に限らず、例えばスティフナ等でもよい。
比較例に係る台車は、検査対象である磁性体構造物の表面を自走可能な磁性体構造物検査装置用の台車である。検査対象である磁性体構造物は、表面に突起を有する磁性体からなる構造物であれば、何ら限定されず、例えば、煙突を含む配管、タンク等である。
【0013】
プラットフォームPFは、台車の本体部であって、配管を外側から検査するプローブが搭載される板状部材である。
ここで、図1には、プラットフォームPFに搭載されたプローブPR及びプローブPRを支持するアームARが図示されている。
【0014】
図1に示す例では、L字形状のアームARの根元部がプラットフォームPFに回動可能に支持されると共に、アームARの先端部にプローブPRが固定されている。
プローブPRは、例えば超音波検査プローブである。図1に二点鎖線で示すように、配管10の外周面にプローブPRを近付けて、超音波を照射して配管10の肉厚測定や内部探傷等の検査を行う。なお、図2には台車のみが図示されており、プローブPR及びアームARは図示されていない。
【0015】
車輪支持部材WS1は、磁石車輪MW1を回転可能に支持すると共に、磁石車輪MW1をプラットフォームPFに連結する。同様に、車輪支持部材WS2は、磁石車輪MW2を回転可能に支持すると共に、磁石車輪MW2をプラットフォームPFに連結する。
【0016】
磁石車輪MW1、MW2は、磁石から構成される車輪であり、モータ等の駆動源(不図示)によって、回転駆動される。磁石車輪MW1、MW2は、鋼等から構成される配管10に吸着しつつ、配管10の外周面上を進行できる。
【0017】
図1図2に示すように、台車がx軸正方向に進行する場合、磁石車輪MW1が後輪となり、磁石車輪MW2が前輪となる。反対に、台車がx軸負方向に進行する場合、磁石車輪MW1が前輪となり、磁石車輪MW2が後輪となる。すなわち、磁石車輪MW1、MW2は、台車の進行方向に応じて、前輪もしくは後輪となり得る。
【0018】
ここで、図1に示すように、磁石車輪MW1、MW2には、磁力による吸着力がz軸負方向に作用する。また、図1に示すように、台車がx軸正方向に進行する場合、前輪である磁石車輪MW2には、磁石車輪MW1の駆動トルクに応じたモーメント反力がz軸正方向に作用する。そのため、磁石車輪MW2には、吸着力から反力を減じた力がz軸負方向に作用する。従って、図2に示すように、前輪である磁石車輪MW2は、容易にフランジ部12に乗り上げることができる。
【0019】
他方、後輪である磁石車輪MW1には、磁石車輪MW2の駆動トルクに応じたモーメント反力がz軸負方向に作用する。そのため、磁石車輪MW1には、吸着力に反力を加えた力がz軸負方向に作用する。従って、図2に示すように、後輪である磁石車輪MW1は、配管10の本体部11に吸着したまま浮上できず、フランジ部12に乗り上げることができない。
【0020】
図2に示す例では、後輪である磁石車輪MW1が、配管10の本体部11に吸着したまま空回りしてしまい、フランジ部12に乗り上げることができない。さらに、磁石車輪MW1、MW2の駆動トルク(図2に示す反力)に対して、磁石車輪MW1、MW2の磁力(図2に示す吸着力)を相対的に小さくすると、二点鎖線で示すように、前輪である磁石車輪MW2がフランジ部12から浮上し、台車が後転してしまう。
【0021】
このように、比較例に係る台車では、磁石車輪MW1、MW2の駆動力及び磁力を調整しても、後輪が配管10のフランジ部12を乗り越えようとする際、後輪が配管10の本体部11に吸着したまま浮上できず、台車がフランジ部12を乗り越えられない。
なお、当然のことながら、図2において、台車には鉛直下方向に重力が作用する。図2において、例えばz軸負方向が鉛直下方向であるが、これに限定されない。
【0022】
<第1の実施形態に係る台車の構成>
次に、図3図4を参照して、第1の実施形態に係る台車の構成について説明する。図3は、第1の実施形態に係る台車の構成を模式的に示す斜視図である。図4は、第1の実施形態に係る台車の構成を模式的に示す側面図である。
【0023】
図3に示すように、第1の実施形態に係る台車は、図1に示す比較例に係る台車が備えるプラットフォームPF、一対の車輪支持部材WS1、WS2、及び一対の磁石車輪MW1、MW2に加え、一対の回転体RB1、RB2を備えている。
【0024】
プラットフォームPFは、台車の本体部であって、配管を外側から検査するプローブが搭載される板状部材である。図3に示すプラットフォームPFは、xy平面視矩形状の板状部材であるが、プローブを搭載できれば形状は限定されない。
なお、第1の実施形態に係る台車に搭載されるプローブの構成例は、例えば図1に示した比較例の場合と同様である。
【0025】
車輪支持部材WS1は、磁石車輪(第1の磁石車輪)MW1を回転可能に支持すると共に、磁石車輪MW1をプラットフォームPFに連結する。同様に、車輪支持部材WS2は、磁石車輪(第2の磁石車輪)MW2を回転可能に支持すると共に、磁石車輪MW2をプラットフォームPFに連結する。さらに、車輪支持部材WS1は回転体(第1の回転体)RB1を回転可能に支持し、車輪支持部材WS2は回転体(第2の回転体)RB2を回転可能に支持する。
【0026】
より詳細には、図3に示すように、車輪支持部材WS1、WS2のそれぞれは、プラットフォームPFと対向する天板と、天板の長手方向(y軸方向)両端から略垂直に立ち上がった一対の側壁とを備えたyz断面において角U字状の部材である。
車輪支持部材WS1、WS2は同様の構成を有するため、車輪支持部材WS1のみについて説明する。
【0027】
車輪支持部材WS1の天板は、プラットフォームPFに対し、z軸に平行な回転軸を軸として回動可能に連結されている。そのため、図5に示すように、磁石車輪MW1もプラットフォームPFに対し、z軸に平行な回転軸を軸として回動でき、本実施形態に係る台車は操舵可能である。図5は、プラットフォームPFに対する磁石車輪MW1、MW2の操舵動作を示す模式平面図である。
【0028】
このように、本実施形態に係る台車は操舵可能であり、配管の長手方向に沿って前進もしくは後退するだけでなく、配管の周方向にも螺旋状に移動できる。さらに、特に限定されないが、図5に示すように、本実施形態に係る台車では、磁石車輪MW1、MW2を同位相で操舵できる。
【0029】
車輪支持部材WS1の一対の側壁は、磁石車輪MW1の回転軸の両端を回転可能に支持している。さらに、車輪支持部材WS1の一対の側壁のそれぞれは、当該側壁と磁石車輪MW1との間に設けられた回転体RB1の回転軸を回転可能に支持している。
【0030】
磁石車輪MW1、MW2は、磁石から構成される車輪である。図3に示すように、磁石車輪MW1は、永久磁石部材PM1及びヨーク部材Y11、Y12を備えている。
永久磁石部材PM1は、永久磁石から構成された円板状又はリング状の部材である。永久磁石部材PM1は、複数に分割されていてもよい。すなわち、永久磁石部材PM1は、円板状又はリング状に配置された複数の永久磁石から構成されていてもよい。
【0031】
永久磁石部材PM1は、磁石車輪MW1の車軸の中央部に設けられている。永久磁石部材PM1のy軸方向両側には、円板状のヨーク部材Y11、Y12が設けられている。このように、永久磁石部材PM1は、ヨーク部材Y11、Y12によって、挟持されると共に、磁力が高められている。
【0032】
同様に、磁石車輪MW2は、永久磁石部材PM2及びヨーク部材Y21、Y22を備えている。
永久磁石部材PM2は、永久磁石から構成された円板状又はリング状の部材である。永久磁石部材PM2は、複数に分割されていてもよい。すなわち、永久磁石部材PM2は、円板状又はリング状に配置された複数の永久磁石から構成されていてもよい。
【0033】
永久磁石部材PM2は、磁石車輪MW2の車軸の中央部に設けられている。永久磁石部材PM2のy軸方向両側には、円板状のヨーク部材Y21、Y22が設けられている。このように、永久磁石部材PM2は、ヨーク部材Y21、Y22によって、挟持されると共に、磁力が高められている。
【0034】
なお、磁石車輪MW1、MW2において、永久磁石部材をヨーク部材に置換し、ヨーク部材を永久磁石部材に置換してもよい。すなわち、車軸の中央部に設けられた1つのヨーク部材が、一対の永久磁石部材によって挟持された構成でもよい。
【0035】
磁石車輪MW1、MW2の外周面は、樹脂材料によって被覆されていてもよい。磁石車輪MW1、MW2と配管10との間の摩擦係数を大きくすることができる。樹脂材料としては、例えばウレタン樹脂が好適である。
【0036】
また、図4に示すように、磁石車輪MW1は、モータ(第1の駆動源)MT1によって回転駆動され、磁石車輪MW2は、モータ(第2の駆動源)MT2によって回転駆動される。なお、図3では、モータMT1、MT2は省略されている。
【0037】
モータMT1、MT2の動作は、図示しない制御部によって制御される。当該制御部は、コンピュータとしての機能を有し、例えばCPU(Central Processing Unit)等の演算部と、各種制御プログラムやデータ等が格納されたRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等の記憶部と、を備えている。
【0038】
ここで、図6図7は、第1の実施形態に係る台車の動作を模式的に示す側面図である。図6図7には、検査対象である配管10の断面図が示されている。なお、図6図7には、理解を容易にするため、台車のプラットフォームPF、磁石車輪MW1、MW2、及び回転体RB1、RB2のみが示されている。
【0039】
図6図7に示すように、磁石車輪MW1、MW2は、鋼等から構成される配管10に吸着しつつ、配管10の外周面上を進行できる。図6に示すように、台車がx軸正方向に進行する場合、磁石車輪MW1が後輪となり、磁石車輪MW2が前輪となる。図7に示すように、台車がx軸負方向に進行する場合、磁石車輪MW1が前輪となり、磁石車輪MW2が後輪となる。すなわち、磁石車輪MW1、MW2は、台車の進行方向に応じて、前輪もしくは後輪となり得る。
【0040】
<磁石車輪MW1、MW2の駆動機構>
ここで、図4を参照して、磁石車輪MW1、MW2の駆動機構について説明する。
図4に示すように、磁石車輪MW1はモータMT1によって駆動され、磁石車輪MW2はモータMT2によって駆動される。
図4に示す例では、モータMT1は、プラットフォームPFの長手方向の一端側(x軸負方向側端部)において、図3に示す車輪支持部材WS1(図4では不図示)の天板の側面に固定されている。モータMT2は、プラットフォームPFの長手方向の他端側(x軸正方向側端部)において、図3に示す車輪支持部材WS2(図4では不図示)の天板の側面に固定されている。
【0041】
なお、磁石車輪MW2の駆動機構は、磁石車輪MW1の駆動機構と同様であるため、以下では、磁石車輪MW1の駆動機構について説明する。また、図1図2に示す比較例に係る台車では、モータMT1、モータMT2が省略されているが、比較例に係る台車も同様の磁石車輪MW1、MW2の駆動機構を備えている。
【0042】
図4に示すように、磁石車輪MW1の駆動機構は、モータMT1、モータ軸ギアMG、車軸ギアWG、及び伝達ギアTG1、TG2を備える。
モータ軸ギアMGは、モータMT1の回転軸に固定されており、モータMT1の回転軸の回転に伴って回転する。
車軸ギアWGは、y軸方向において車輪支持部材WS1(図4では不図示)と磁石車輪MW1との間に設けられており、磁石車輪MW1の回転軸に固定されている。
【0043】
なお、図4では、理解を容易にするため、車輪支持部材WS1、WS2を省略すると共に、モータ軸ギアMG、車軸ギアWG、及び伝達ギアTG1、TG2をドット表示している。また、図3では、モータMT1及びモータ軸ギアMGを省略すると共に、車軸ギアWG及び伝達ギアTG1、TG2は、車輪支持部材WS1によって隠れており、図示されていない。
【0044】
図4に示すように、伝達ギアTG1、TG2は、モータ軸ギアMGと車軸ギアWGとの間に設けられており、モータ軸ギアMGの回転を車軸ギアWGに伝達する。伝達ギアTG1、TG2は、図3のy軸方向において車輪支持部材WS1(図4では不図示)と磁石車輪MW1との間に設けられており、車輪支持部材WS1に回転可能に支持されている。
【0045】
図4に示すように、伝達ギアTG1は、モータ軸ギアMG及び伝達ギアTG2と噛合し、モータ軸ギアMGの回転を伝達ギアTG2に伝達する。
伝達ギアTG2は、伝達ギアTG1及び車軸ギアWGと噛合し、伝達ギアTG1の回転を車軸ギアWGに伝達する。
【0046】
このように、モータMT1の回転軸に固定されたモータ軸ギアMGの回転が、伝達ギアTG1、TG2を介して、磁石車輪MW1の回転軸に固定された車軸ギアWGに伝達される。このような構成によって、モータMT1によって磁石車輪MW1が回転駆動される。
なお、図4に示す例では、2つの伝達ギアTG1、TG2が設けられているが、伝達ギアの個数は適宜決定され、2個に限定されない。
【0047】
図4に示すように、回転体RB1は、磁石車輪MW1の回転軸よりも磁石車輪MW2側に設けられた回転軸を中心として、磁石車輪MW1と同調して回転する。回転体RB1は、回転体径方向外側に向かって突出した2つの爪部CLを有している。2つの爪部CLは、回転体RB1の回転軸を介して対向配置されている。
【0048】
また、図3に示すように、一対の回転体RB1が、磁石車輪MW1の軸方向(y軸方向)両端に設けられている。また、回転体RB1は、y軸方向において車輪支持部材WS1(図4では不図示)と磁石車輪MW1との間に設けられており、回転体RB1の回転軸が車輪支持部材WS1の側壁に回転可能に支持されている。
【0049】
同様に、図4に示すように、回転体RB2は、磁石車輪MW2の回転軸よりも磁石車輪MW2側に設けられた回転軸を中心として、磁石車輪MW2と同調して回転する。回転体RB2は、回転体径方向外側に向かって突出した2つの爪部CLを有している。2つの爪部CLは、回転体RB2の回転軸を介して対向配置されている。
【0050】
回転体RB1と同様に、一対の回転体RB2が、磁石車輪MW2の軸方向(y軸方向)両端に設けられている。また、図3に示すように、回転体RB2は、y軸方向において車輪支持部材WS2(図4では不図示)と磁石車輪MW2との間に設けられており、回転体RB2の回転軸が車輪支持部材WS2の側壁に回転可能に支持されている。
【0051】
ここで、回転体RB1、RB2の駆動機構について説明する。図4に示すように、回転体RB1は、磁石車輪MW1を介してモータMT1によって駆動され、回転体RB2は、磁石車輪MW2を介してモータMT2によって駆動される。
【0052】
なお、回転体RB2の駆動機構は、回転体RB1の駆動機構と同様であるため、以下では、回転体RB1の駆動機構について説明する。また、図1図2に示す比較例に係る台車は、回転体RB1、RB2及びその駆動機構を備えていない。
【0053】
図4に示すように、回転体RB1の駆動機構は、回転体軸ギアRG及び伝達ギアTG3を備える。
回転体軸ギアRGは、y軸方向において車輪支持部材WS1(図4では不図示)と磁石車輪MW1との間に設けられており、回転体RB1の回転軸に固定されている。
【0054】
伝達ギアTG3は、車軸ギアWG及び回転体軸ギアRGと噛合し、車軸ギアWGの回転を回転体軸ギアRGに伝達する。伝達ギアTG3は、図3のy軸方向において車輪支持部材WS1(図4では不図示)と磁石車輪MW1との間に設けられており、車輪支持部材WS1に回転可能に支持されている。
【0055】
このように、磁石車輪MW1の回転軸に固定された車軸ギアWGの回転が、伝達ギアTG3を介して、回転体RB1の回転軸に固定された回転体軸ギアRGに伝達される。このような構成によって、回転体RB1が磁石車輪MW1と同調して回転できる。ここで、車軸ギアWGと回転体軸ギアRGとの歯数比を調整することによって、磁石車輪MW1と回転体RB1との角速度比を調整できる。
なお、回転体RB1が磁石車輪MW1と同調して回転する必要はなく、回転体RB1を駆動させる駆動源を別途設けてもよい。
【0056】
<第1の実施形態に係る台車の動作>
次に、図6図7を参照して、第1の実施形態に係る台車の動作について説明する。なお、図6図7では、理解を容易にするため、台車のプラットフォームPF、磁石車輪MW1、MW2、及び回転体RB1、RB2のみが示されている。
【0057】
図6に示すように、台車がx軸正方向に進行する場合、磁石車輪MW1が後輪となり、磁石車輪MW2が前輪となる。後輪である磁石車輪MW1が配管10のフランジ部12を乗り越えようとして空回りすると、回転体RB1も回転し、爪部CLがフランジ部12又は連結部材13(すなわちボルト13aのヘッド)の外周面に当接する。
【0058】
その結果、後輪である磁石車輪MW1が、配管10の本体部11から浮上し、フランジ部12に乗り上げる。このように、回転体RB1は、磁石車輪MW1を後輪として当該後輪がフランジ部12を乗り越えようとする際、磁石車輪MW1を配管10の本体部11から浮上させる車輪リフタとして機能する。
【0059】
ここで、図6に示す例では、前輪である磁石車輪MW2に設けられた回転体RB2の回転軸は、連結部材13の中心軸よりも配管10の半径方向外側(z軸正方向側)に設けられている。
【0060】
なお、回転体RB2の回転軸は、連結部材13の中心軸よりも配管10の半径方向内側(z軸負方向側)に設けられていてもよいが、半径方向外側(z軸正方向側)に設けられている方が好ましい。
【0061】
他方、図7に示すように、台車がx軸負方向に進行する場合、磁石車輪MW1が前輪となり、磁石車輪MW2が後輪となる。後輪である磁石車輪MW2が配管10のフランジ部12を乗り越えようとして空回りすると、回転体RB2も回転し、爪部CLがフランジ部12又は連結部材13(すなわちナット13b)の外周面に当接する。
【0062】
その結果、後輪である磁石車輪MW2が、配管10の本体部11から浮上し、フランジ部12に乗り上げる。このように、回転体RB2は、磁石車輪MW2を後輪として当該後輪がフランジ部12を乗り越えようとする際、磁石車輪MW2を配管10の本体部11から浮上させる車輪リフタとして機能する。
【0063】
ここで、図7に示す例では、前輪である磁石車輪MW1に設けられた回転体RB1の回転軸は、連結部材13の中心軸よりも配管10の半径方向外側(z軸正方向側)に設けられている。
【0064】
なお、回転体RB1の回転軸は、連結部材13の中心軸よりも配管10の半径方向内側(z軸負方向側)に設けられていてもよいが、半径方向外側(z軸正方向側)に設けられている方が好ましい。
【0065】
以上に説明したように、本実施形態に係る台車は、径方向外側に向かって突出した爪部CLを有し、磁石車輪MW1の回転軸よりも磁石車輪MW2側に設けられた回転軸を中心として、回転する回転体RB1を備える。
【0066】
磁石車輪MW1を後輪として当該後輪がフランジ部12を乗り越えようとする際、回転体RB1の爪部CLがフランジ部12又は連結部材13に当接することによって、磁石車輪MW1が本体部11から浮上し、フランジ部12に乗り上げる。そのため、本実施形態に係る台車は、磁石車輪MW1を後輪として走行する場合、フランジ部12を乗り越えられる。
【0067】
同様に、本実施形態に係る台車は、径方向外側に向かって突出した爪部CLを有し、磁石車輪MW2の回転軸よりも磁石車輪MW1側に設けられた回転軸を中心として、回転する回転体RB2を備える。
【0068】
磁石車輪MW2を後輪として当該後輪がフランジ部12を乗り越えようとする際、回転体RB2の爪部CLがフランジ部12又は連結部材13に当接することによって、磁石車輪MW2が本体部11から浮上し、フランジ部12に乗り上げる。そのため、本実施形態に係る台車は、磁石車輪MW2を後輪として走行する場合も、フランジ部12を乗り越えられる。
【0069】
<第1の実施形態に係る台車の変形例>
本実施形態に係る台車では、回転体RB1、RB2が、それぞれ2つの爪部CLを有しているが、爪部CLの個数は適宜決定され、2個に限定されない。例えば、爪部CLは、1個でもよく、3個又は4個でもよい。すなわち、爪部CLは、4個以下であることが好ましい。
【0070】
爪部CLが多い程、爪部CLがフランジ部12又は連結部材13に当接する頻度が増すため、短時間でフランジ部12を乗り越えられる。他方、爪部CLが4個を超えると、爪部CLがフランジ部12又は連結部材13に当接し難くなる。
さらに、回転体RB1、RB2において、爪部CLが3個又は4個の場合、爪部CLは回転軸周りに等間隔に設けられていてもよい。
【0071】
また、本実施形態に係る台車では、一対の回転体RB1が、磁石車輪MW1の軸方向(y軸方向)両端に設けられているが、これに限定されない。例えば、磁石車輪MW1の軸方向(y軸方向)中央部に1つの回転体RB1が設けられていてもよい。回転体RB2についても同様である。
さらに、磁石車輪MW1用の回転体RB1及び磁石車輪MW2用の回転体RB2のいずれか一方のみを備えていてもよい。
【0072】
さらに、図6図7に示す台車では、磁石車輪MW1の軸方向(y軸方向)両端に設けられた一対の回転体RB1を、同位相で回転させているが、一対の回転体RB1を異なる位相で回転させてもよい。
【0073】
同位相の場合、一対の回転体RB1の各爪部CLが略同じタイミングでフランジ部12又は連結部材13に当接し、図3に示す磁石車輪MW1のヨーク部材Y11、Y12が略同じタイミングで本体部11から浮上する。これに対し、異なる位相の場合、一対の回転体RB1の各爪部CLが異なるタイミングでフランジ部12又は連結部材13に当接し、磁石車輪MW1のヨーク部材Y11、Y12が別々のタイミングで浮上する。
【0074】
例えば、まず、図3に示すy軸負方向側の回転体RB1の各爪部CLがフランジ部12又は連結部材13に当接すると、磁石車輪MW1のヨーク部材Y11が本体部11から浮上する。次に、図3に示すy軸正方向側の回転体RB1の各爪部CLがフランジ部12又は連結部材13に当接すると、磁石車輪MW1のヨーク部材Y12が本体部11から浮上する。
【0075】
このように、磁石車輪MW1のヨーク部材Y11、Y12を別々のタイミングで浮上させることによって、より小さい力で磁石車輪MW1を本体部11から浮上させることができる。
一対の回転体RB2も、同様に、異なる位相で回転させてもよい。
【0076】
(第2の実施形態)
<第2の実施形態に係る台車の構成>
次に、図8を参照して、第2の実施形態に係る台車について説明する。図8は、第2の実施形態に係る台車の構成を模式的に示す斜視図である。図8は、図3に対応する。
【0077】
図8に示すように、本実施形態に係る台車は、図3に示すプラットフォームPF、車輪支持部材WS1、WS2、及び磁石車輪MW1、MW2に加え、回動バーB1、B2を備える。すなわち、本実施形態に係る台車は、磁石車輪MW1、MW2用の車輪リフタとして、図3に示す回転体RB1、RB2に代えて、回動バーB1、B2を備える。
【0078】
図8に示すように、回動バーB1は、一対のバーB11、B12、及び連結シャフトCS1を含み、プラットフォームPFの磁石車輪MW1側の端部に回動可能に連結されている。他方、回動バーB2は、一対のバーB21、B22、及び連結シャフトCS2を含み、プラットフォームPFの磁石車輪MW2側の端部に回動可能に連結されている。回動バーB1、B2は、図示しないモータ等の駆動源によって駆動される。
【0079】
直線状に延設された一対のバーB11、B12の根本部は、プラットフォームPFを介して対向するように、プラットフォームPFの磁石車輪MW1側の端部に回動可能に連結されている。一対のバーB11、B12の先端部は、磁石車輪MW1よりも外側(x軸負方向側)に張り出すと共に、y軸方向に延設された連結シャフトCS1によって互いに連結されている。ここで、連結シャフトCS1は、一対のバーB11、B12に回転可能に連結されていてもよい。また、連結シャフトCS1の表面が摩擦係数の小さい樹脂材料(例えばフッ素樹脂等)によって被覆されていてもよい。
【0080】
同様に、直線状に延設された一対のバーB21、B22の根本部は、プラットフォームPFを介して対向するように、プラットフォームPFの磁石車輪MW2側の端部に回動可能に連結されている。一対のバーB21、B22の先端部は、磁石車輪MW1よりも外側(x軸正方向側)に張り出すと共に、y軸方向に延設された連結シャフトCS2によって互いに連結されている。ここで、連結シャフトCS2は、一対のバーB21、B22に回転可能に連結されていてもよい。また、連結シャフトCS2の表面が摩擦係数の小さい樹脂材料(例えばフッ素樹脂等)によって被覆されていてもよい。
第2の実施形態に係る台車におけるその他の構成は、第1の実施形態に係る台車と同様であるため、説明を省略する。
【0081】
<第2の実施形態に係る台車の動作>
次に、図9図10を参照して、第2の実施形態に係る台車の動作について説明する。図9図10は、第2の実施形態に係る台車の動作を模式的に示す側面図である。図9図10には、検査対象である配管10の断面図が示されている。
【0082】
図9図10に示すように、台車がx軸正方向に進行する場合、磁石車輪MW1が後輪となり、磁石車輪MW2が前輪となる。後輪である磁石車輪MW1が配管10のフランジ部12を乗り越えようとする際、回動バーB1の先端部が磁石車輪MW1に近付くように、x軸負方向側からx軸正方向側に向かって回動する。回動バーB1の先端部(図示する例では、連結シャフトCS1)が配管10の本体部11に当接しつつ回動することによって、後輪である磁石車輪MW1が、配管10の本体部11から浮上し、フランジ部12に乗り上げる。
【0083】
図示しないが、同様に、台車がx軸負方向に進行する場合、磁石車輪MW1が前輪となり、磁石車輪MW2が後輪となる。後輪である磁石車輪MW2が配管10のフランジ部12を乗り越えようとする際、回動バーB2の先端部が磁石車輪MW2に近付くように、x軸正方向側からx軸正方向側に向かって回動する。回動バーB2の先端部(図示する例では、連結シャフトCS2)が配管10の本体部11に当接しつつ回動することによって、後輪である磁石車輪MW2が、配管10の本体部11から浮上し、フランジ部12に乗り上げる。
【0084】
以上に説明したように、本実施形態に係る台車は、磁石車輪MW1を浮上させる回動バーB1を備える。磁石車輪MW1を後輪として当該後輪がフランジ部12を乗り越えようとする際、回動バーB1の先端部が配管10の本体部11に当接しつつ回動することによって、磁石車輪MW1が、配管10の本体部11から浮上し、フランジ部12に乗り上げる。そのため、本実施形態に係る台車は、第1の実施形態に係る台車と同様に、磁石車輪MW1を後輪として走行する場合、フランジ部12を乗り越えられる。
【0085】
同様に、本実施形態に係る台車は、磁石車輪MW2を浮上させる回動バーB2を備える。磁石車輪MW2を後輪として当該後輪がフランジ部12を乗り越えようとする際、回動バーB2の先端部が配管10の本体部11に当接しつつ回動することによって、磁石車輪MW2が、配管10の本体部11から浮上し、フランジ部12に乗り上げる。そのため、本実施形態に係る台車は、第1の実施形態に係る台車と同様に、磁石車輪MW2を後輪として走行する場合も、フランジ部12を乗り越えられる。
【0086】
なお、磁石車輪MW1、MW2用の車輪リフタとして、図8に示す回動バーB1、B2に代えて、一対のシリンダを備えてもよい。
後輪である磁石車輪MW1が配管10のフランジ部12を乗り越えようとする際、磁石車輪MW1用のシリンダを作動させ、後輪である磁石車輪MW1を配管10の本体部11から浮上させる。そのため、磁石車輪MW1を後輪として走行する場合、フランジ部12を乗り越えられる。
【0087】
他方、後輪である磁石車輪MW2が配管10のフランジ部12を乗り越えようとする際、磁石車輪MW2用のシリンダを作動させ、後輪である磁石車輪MW2を配管10の本体部11から浮上させる。そのため、磁石車輪MW2を後輪として走行する場合も、フランジ部12を乗り越えられる。
シリンダの種類は、特に限定されないが、例えば、油圧シリンダ、エアシリンダ等である。
【0088】
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は既に述べた実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0089】
10 配管
11 本体部
12 フランジ部
13 連結部材
13a ボルト
13b ナット
AR アーム
B1、B2 回動バー
B11、B12、B21、B22 バー
CS1、CS2 連結シャフト
CL 爪部
MG モータ軸ギア
MT1、MT2 モータ
MW1、MW2 磁石車輪
PF プラットフォーム
PM1、PM2 永久磁石部材
PR プローブ
RB1、RB2 回転体
RG 回転体軸ギア
TG1、TG2、TG3 伝達ギア
WG 車軸ギア
WS1、WS2 車輪支持部材
Y11、Y12、Y21、Y22 ヨーク部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10