(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023055463
(43)【公開日】2023-04-18
(54)【発明の名称】受注支援システム
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20230411BHJP
G06Q 30/0645 20230101ALI20230411BHJP
G06Q 30/0601 20230101ALI20230411BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G06Q30/06 350
G06Q30/06 312
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021164868
(22)【出願日】2021-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 尚登
【テーマコード(参考)】
3C100
5L049
【Fターム(参考)】
3C100AA43
3C100AA68
3C100BB04
3C100BB13
3C100BB39
3C100CC03
5L049BB53
5L049BB54
5L049BB68
(57)【要約】
【課題】生産機械を簡便にマッチングできる受注支援システムを提供する。
【解決手段】受注支援システム1は、各生産機械10の生産機械情報を取得する取得部21と、各生産機械の生産機械情報を記憶する記憶部23と、製品の製作条件を入力する製作条件入力部30と、生産機械情報が製作条件にマッチングする受注可能生産機械を選出するマッチング部43とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品の製作の受注を支援する受注支援システムであって、
複数の生産機械それぞれの生産機械情報を取得する取得部と、
前記複数の生産機械それぞれの前記生産機械情報を記憶する記憶部と、
前記製品の製作条件を入力する製作条件入力部と、
前記複数の生産機械の中から、前記生産機械情報が前記製作条件にマッチングする受注可能生産機械を選出するマッチング部と、
を備える受注支援システム。
【請求項2】
前記生産機械情報は、テーブルサイズを含み、
前記製作条件は、前記製品のサイズを含み、
前記マッチング部は、前記テーブルサイズが前記製品のサイズ以上であるとき、前記生産機械情報が前記製作条件にマッチングすると判断する、
請求項1に記載の受注支援システム。
【請求項3】
前記生産機械情報は、稼働率をさらに含み、
前記マッチング部は、前記受注可能生産機械を2以上選出した場合、前記稼働率が低い順に優先順位を付ける、
請求項2に記載の受注支援システム。
【請求項4】
前記生産機械情報は、量産製品の形状をさらに含み、
前記製作条件は、前記製品の形状をさらに含み、
前記マッチング部は、前記受注可能生産機械を2以上選出した場合、前記量産製品の形状と前記製品の形状との類似度が高い順に優先順位を付ける、
請求項2に記載の受注支援システム。
【請求項5】
前記製品を1つ製作するために必要とされる単位時間を推定する推定部をさらに備え、
前記生産機械情報は、稼働率をさらに含み、
前記製作条件は、前記製品の発注予定数量をさらに含み、
前記マッチング部は、前記単位時間、前記発注予定数量及び前記稼働率に基づいて、前記発注予定数量の前記製品の製作に要する所要日数を求める、
請求項1に記載の受注支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、受注支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、生産機械を賃貸に出したい賃貸事業者が提示する賃貸可能生産機械リスト情報と、生産機械を賃借したい賃借事業者が提示する賃借希望生産機械リスト情報とをサーバー上で照合してマッチングする手法が開示されている。
【0003】
賃貸可能生産機械リスト情報及び賃借希望生産機械リスト情報それぞれには、地域、メーカー、商品名、型式、製造日、賃貸期間などが含まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の手法では、賃貸事業者及び賃借事業者ともに多くの情報を予め提示する必要があり煩雑である。
【0006】
本開示は、製品に適した生産機械を簡便にマッチングできる受注支援システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る受注支援システムは、製品の製作の受注を支援する。受注支援システムは、複数の生産機械それぞれの生産機械情報を取得する取得部と、複数の生産機械それぞれの生産機械情報を記憶する記憶部と、製品の製作条件を入力する製作条件入力部と、複数の生産機械の中から、生産機械情報が製作条件にマッチングする受注可能生産機械を選出するマッチング部とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、生産機械を簡便にマッチングできる受注支援システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係る受注支援システムの構成を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0010】
(受注支援システム1の構成)
受注支援システム1は、製品の製作の受注を支援するために利用される。
図1は、受注支援システム1の構成を示すブロック図である。製品とは、生産機械10による生産工程を経て得られる生産物である。
【0011】
受注支援システム1は、複数の生産機械10、管理部20、製作条件入力部30及び解析部40を備える。
【0012】
1.生産機械10
図1では、生産機械10の一例として工作機械が図示されている。ただし、生産機械10は、工作機械に限られず、例えば、スポット溶接機、半導体関連装置、露光装置、化学処理装置、ワイヤボンダ、プローバ、電子部品挿入機、プリント基盤孔あけ機、組立装置、搬送装置及びシーリングなどが種別として挙げられる。工作機械としては、例えば、旋盤、フライス盤、中ぐり盤、マシニングセンタ、ジグポーラ、ボール盤、研削盤、放電加工機、ワイヤレスカット放電加工機、ワイヤソー、鈑金機械、鍛圧機械、レーザ加工機などの種別であってよい。
【0013】
複数の生産機械10は、同種の生産機械であってもよいし、異種の生産機械であってもよい。
図1では、生産機械10が4つ図示されているが、生産機械10の数は2以上であればよい。
【0014】
生産機械10は、テーブル11及びコントローラ12を有する。
【0015】
テーブル11は、ワークが載置される台である。テーブル11上ではワークに対する生産作業が行われる。
【0016】
コントローラ12は、NC(Numerical Control)プログラムに従って、生産作業を制御する。コントローラ12は、ネットワーク(例えば、インターネット)を介して管理部20と通信可能である。コントローラ12は、管理部20と通信する通信部を備えていてよい。コントローラ20は、通信部を備えるデータロガーとネットワークを介して、管理部20と通信してもよい。データロガーは、生産作業が実行されると、コントローラ12内の情報(信号)を選択して記憶し、管理部20に記憶されたデータを送信する。
【0017】
コントローラ12は、生産機械10の生産機械情報を管理部20に送信する。生産機械情報は、生産機械10のID(識別情報)、テーブルサイズ及び生産機械種別を含む。IDは、生産機械10に固有の記号(文字、数字など)である。テーブルサイズは、生産機械10の有効作業範囲を示す。テーブルサイズは、テーブル11の載置面のサイズ、或いは、テーブル11上に設けられた空間のサイズであってよい。コントローラ12は、テーブルサイズの代わりに生産機械10の稼働情報を取得してよく、この場合には、管理部20が稼働情報からテーブルサイズを推定することができる。生産機械種別は、予め入力によりコントローラ12に記憶されていてよく、或いは、IDと紐づけてデータロガーに記憶されていてもよい。
【0018】
本実施形態において、生産機械情報は、生産機械10の稼働率を含む。生産機械10の稼働率とは、例えば、1日(24時間)のうち生産機械10に電力が供給されていた給電時間の比率である。給電時間としては、過去の所定期間(例えば、直近の30日)において、1日ごとに実測した給電時間の平均値を用いてよい。
【0019】
2.管理部20
管理部20は、取得部21、貸出条件入力部22及び記憶部23を有する。管理部20の機能は、サーバーにより達成される。サーバーは、クラウドサーバーであってよい。
【0020】
取得部21は、ネットワークを介して各生産機械10のコントローラ12と通信可能である。取得部21は、各生産機械10のコントローラ12から、生産機械情報を取得(受信)する。
生産機械情報は、生産機械10における生産作業の実行を機に取得されてよい。生産機械情報は、適宜、データロガーに記憶され、データロガーから定期的に取得部21に送信されてもよい。生産機械情報は、取得の度に更新されてよい。
【0021】
貸出条件入力部22は、管理部20の管理者より入力を許諾されたユーザAから貸出条件の入力を受け付ける。貸出条件には、生産機械10のIDと貸出可能期間とが含まれる。ユーザAは、例えば、生産機械10の管理者である。ユーザAは、生産機械10の賃貸人であってよい。
【0022】
記憶部23は、取得部21が取得した生産機械情報と、貸出条件入力部22に入力された貸出条件とを対応付けて記憶する。具体的には、記憶部23は、生産機械情報及び貸出条件それぞれに含まれるIDを参照して、同一のIDごとに生産機械種別、テーブルサイズ、稼働率及び貸出条件を対応付けた生産機械リストを記憶する。
【0023】
3.製作条件入力部30
製作条件入力部30は、受注支援システム1を利用するユーザBから製作条件の入力を受け付ける。ユーザBは、上記ユーザAとは異なる。ユーザBは、典型的には、製品の発注者、又は、製品の発注者から依頼を受けた中間業者である。ユーザBは、生産機械10の賃借人であってよい。
【0024】
製作条件は、ユーザBが製作してもらいたいと考えている所望の製品に関する情報である。製作条件には、製品の3Dモデル及び発注予定数量が含まれる。3Dモデルは、製品の形状及びサイズを3次元で立体的に示すデータである。発注予定数量とは、ユーザBが発注する予定の合計数量(個数又は分量)である。製作条件は、製作方法を含んでもよい。
【0025】
製作条件入力部30は、ネットワークを介して解析部40と通信可能である。製作条件入力部30は、ユーザBによって入力された製作条件を解析部40に送信する。
【0026】
4.解析部40
解析部40は、通信部41、推定部42及びマッチング部43を有する。
【0027】
通信部41は、ネットワークを介して管理部20の記憶部23及び製作条件入力部30と通信可能である。通信部41は、製作条件入力部30から製作条件を取得(受信)する。通信部41は、製作条件入力部30から製作条件を取得すると、管理部20の記憶部23から生産機械リストを取得する。
【0028】
推定部42は、製作条件に含まれる製品の3Dモデルに基づいて、製品を1つ製作するために必要とされる単位時間を推定する。単位時間は、例えば、除去体積から推定することができる。除去体積とは、生産機械10による生産作業によりワーク(加工対象物)から除去される材料の体積である。ワークとは、製品の製作に用いられる素材のことである。
【0029】
マッチング部43は、複数の生産機械10の中から生産機械情報が製作条件にマッチングする生産機械(以下、「受注可能生産機械」という。)を選出する。マッチング部43は、製作条件と生産機械情報とを照合して、製作条件に好適な受注可能生産機械を選出する。具体的には、マッチング部43は、各生産機械10の生産機械情報に含まれるテーブルサイズと製作条件に含まれる製品のサイズとを比較して、テーブルサイズが製品のサイズ以上であるとき、その生産機械10の生産機械情報は製作条件にマッチングすると判断する。製作条件に製作方法が含まれるときは、製作方法に対応する生産機械種別の生産機械10を生産機械情報から抽出したうえで、その抽出情報から受注可能生産機械を選出してもよい。
【0030】
このように、本実施形態に係る受注支援システム1によれば、テーブルサイズと製品のサイズとに基づいて、製品に適した生産機械を簡便にマッチングすることができる。
【0031】
マッチング部43は、複数の生産機械10の中から受注可能生産機械を1つだけ選出してもよいし、2以上選出してもよい。
【0032】
マッチング部43は、受注可能生産機械を2以上選出した場合、各受注可能生産機械の生産機械情報に含まれる稼働率を参照して、稼働率が低い順に優先順位を付ける。マッチング部43は、稼働率が低いほど受注する余裕があるため、稼働率が低いほど優先順位を上にする。
【0033】
マッチング部43は、推定部42によって推定された単位時間と、製作条件に含まれる発注予定数量と、生産機械情報に含まれる稼働率とに基づいて、発注予定数量の製品を製作するのに要する所要日数を求める。具体的には、マッチング部43は、単位時間と発注予定数量とを乗ずることによって総製作時間を求めた後、稼働率から算出される1日の非稼働時間で総製作時間を割ることによって所要日数を求める。
【0034】
マッチング部43は、受注可能生産機械と、当該受注可能生産機械の優先順位と、当該受注可能生産機械を使用した場合の所要日数と、貸出条件として記された貸出可能期間とを対応付けた貸出可能リストをユーザBに提供する。貸出可能リストは、ユーザBが所有するディスプレイに表示されてもよいし、ユーザBが所有するプリンターに出力されてもよい。
【0035】
(変形例)
本開示は以上のような実施形態に限定されるものではなく、本開示の範囲を逸脱することなく種々の変形又は修正が可能である。
【0036】
(変形例1)
生産機械情報は、生産機械10の設置場所を含んでいてもよい。設置場所は、住所(国、州、都道府県、市区町村など)によって示されてもよいし、座標(経度及び緯度)によって示されてもよい。また、製作条件には、製品の受け取り場所が含まれていてもよい。生産機械情報に生産機械10の設置場所が含まれ、かつ、製作条件に製品の受け取り場所が含まれている場合、マッチング部43は、設置場所と受け取り場所との距離に応じて優先順位を調整してもよい。
【0037】
(変形例2)
製作条件は、製品の3Dモデルの代わりに、製品の2Dモデルを含んでいてもよい。2Dモデルであっても、製品の形状及びサイズを示すことができる。
【0038】
(変形例3)
上記実施形態において、マッチング部43は、受注可能生産機械を2以上選出した場合、稼働率が低い順に各受注可能生産機械に優先順位を付けることとしたが、優先順位の付け方は特に限られない。
【0039】
例えば、生産機械情報が量産製品の形状を含んでいる場合、マッチング部43は、量産製品の形状と発注予定の製品の形状との類似度が高い順に優先順位を付けることができる。
【0040】
量産とは、同一仕様の物を複数生産することである。量産製品とは、各生産機械10において過去に量産された製品のことである。量産製品の形状と発注予定の製品の形状との類似度は、AI(人工知能)を利用した周知の類似形状検索システムを用いて得ることができる。
【0041】
(変形例4)
上記実施形態において、マッチング部43は、各受注可能生産機械に優先順位を付け、また、発注予定数量の製品を製作するのに要する所要日数を求めることとしたが、これらのうち一方又は両方を行わなくてもよい。両方を行わない場合、生産機械情報は稼働率を含んでいなくてよい。
【0042】
(変形例5)
上記実施形態において、マッチング部43は、生産機械情報に含まれるテーブルサイズと、製作条件に含まれる製品のサイズとを比較してマッチングすることとしたが、製作条件にワークサイズが含まれている場合には、テーブルサイズとワークサイズとを比較してマッチングしてもよい。ワークサイズとは、加工対象物であるワークの外形寸法である。
【0043】
(変形例6)
上記実施形態において、管理部20は、貸出条件入力部22を有することとしたが、貸出条件入力部22を有していなくてよい。
【符号の説明】
【0044】
1 受注支援システム
10 生産機械
11 テーブル
12 コントローラ
20 管理部
21 取得部
22 貸出条件入力部
23 記憶部
30 製作条件入力部
40 解析部
41 通信部
42 推定部
43 マッチング部