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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023055485
(43)【公開日】2023-04-18
(54)【発明の名称】くさび緊結式支保工
(51)【国際特許分類】
   E04G 25/00 20060101AFI20230411BHJP
   E04G 7/32 20060101ALI20230411BHJP
【FI】
E04G25/00 C
E04G7/32 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021164904
(22)【出願日】2021-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】000167233
【氏名又は名称】光洋機械産業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】原田 浩司
(72)【発明者】
【氏名】田中 圭一
(72)【発明者】
【氏名】加藤 健太
【テーマコード(参考)】
2E150
【Fターム(参考)】
2E150JB02
2E150JC02
2E150JC04
2E150JE01
2E150JE03
2E150JE13
(57)【要約】
【課題】筋交いと支柱との連結作業を容易に行うことができ、連結時の作業性を向上させることのできるくさび緊結式支保工を提供する。
【解決手段】本発明のくさび緊結式支保工1は、水平方向に所定の間隔を隔てて立設された一対の支柱3と、高さ方向に所定の間隔を隔てて、かつ両支柱3の間に水平方向に延びて設けられた一対の水平つなぎ材10,11と、一対の支柱3及び一対の水平つなぎ材10,11で構成される枠状領域の内側において斜め方向に設けられる筋交い15と、からなる。筋交い15の一端は、一方の支柱3に連結され、筋交い15の一端と一方の支柱3とは、それぞれに形成された貫通孔8,19を挿通する取付ピン21によって連結される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に所定の間隔を隔てて立設された一対の支柱と、
高さ方向に所定の間隔を隔てて、かつ両支柱の間に水平方向に延びて設けられた一対の水平つなぎ材と、
前記一対の支柱及び前記一対の水平つなぎ材で構成される枠状領域の内側において斜め方向に設けられる筋交いと、からなる構造を基本構造とし、
この基本構造が上下方向、左右方向または奥行方向に複数設けられてなるくさび緊結式支保工であって、
少なくとも前記筋交いの一端は、前記一方の支柱に連結され、
前記筋交いの一端と前記一方の支柱とは、それぞれに形成された貫通孔を挿通する取付ピンによって連結されることを特徴とする、くさび緊結式支保工。
【請求項2】
前記筋交いの他端は、前記他方の支柱に連結され、
前記筋交いの他端と前記他方の支柱とは、それぞれに形成された貫通孔を挿通する取付ピンによって連結される、請求項1に記載のくさび緊結式支保工。
【請求項3】
水平方向に所定の間隔を隔てて立設された一対の支柱と、
高さ方向に所定の間隔を隔てて、かつ両支柱の間に水平方向に延びて設けられた一対の水平つなぎ材と、
前記一対の水平つなぎ材の間に水平方向に延びた中間水平つなぎ材と、
前記一対の水平つなぎ材のうちの上側の水平つなぎ材、前記中間水平つなぎ材及び前記一対の支柱で構成される枠状領域の内側において斜め方向に設けられる上側筋交いと、
前記一対の水平つなぎ材のうちの下側の水平つなぎ材、前記中間水平つなぎ材及び前記一対の支柱で構成される枠状領域の内側において斜め方向に設けられる下側筋交いと、
前記上側の水平つなぎ材、前記中間水平つなぎ材並びに前記一対の支柱で構成される上側領域、及び前記下側の水平つなぎ材、前記中間水平つなぎ材並びに前記一対の支柱で構成される下側領域からなる構造を基本構造とし、
この基本構造が上下方向、左右方向または奥行方向に複数設けられてなるくさび緊結式支保工であって、
少なくとも前記上側筋交いの一端は、前記一方の支柱に連結され、
前記上側筋交いの一端と前記一方の支柱とは、それぞれに形成された貫通孔を挿通する取付ピンによって連結されることを特徴とする、くさび緊結式支保工。
【請求項4】
前記上側筋交いの他端は、前記中間水平つなぎ材に連結され、
前記下側筋交いの一端は、前記中間水平つなぎ材に連結され、
前記下側筋交いの他端は、前記他方の支柱に連結され、
前記上側筋交い、前記下側筋交い、前記中間水平つなぎ材及び前記他方の支柱は、それぞれに形成された貫通孔を挿通する取付ピンによってそれぞれ連結される、請求項3に記載のくさび緊結式支保工。
【請求項5】
前記一対の支柱の間には、水平方向に延びる手摺りが設けられている、請求項1ないし4のいずれかに記載のくさび緊結式支保工。
【請求項6】
前記一対の支柱の間であって、いずれかの水平つなぎ材には足場板が配置され、
前記足場板の周囲には幅木が設けられている、請求項1ないし5のいずれかに記載のくさび緊結式支保工。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設工事に用いられるくさび緊結式支保工に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばコンクリートが打設された型枠を支持するための支保工が建設工事において用いられている。支保工の中には、支柱に対してくさび部材等を用いて他の構成部材を連結するくさび緊結式支保工がある(例えば特許文献1参照)。
【0003】
図7は、上記特許文献1に示された、従来のくさび緊結式支保工(以下、単に「支保工」という)の一例を示す概略正面図である。この図によれば、支保工31は、例えば基礎B上に並設されたジャッキ32と、ジャッキ32に連結され、上下方向に延びる支柱33と、水平方向に延びるつなぎ材34と、斜め方向に延びる筋交い35とにより構成されている。
【0004】
図8は、上記支保工31における筋交い35と支柱33との連結構造を示す図である。筋交い35は、支柱33に形成されたホルダ36に係止部材37が係止され、ホルダ36と係止部材37との間にくさびに相当する挟持部材38が挿入固定されることにより、支柱33に連結される。
【0005】
この支保工31によれば、筋交い35が支柱33に連結される際、現場作業者は、挟持部材38をハンマー等で打ち込む必要がある。そのため、筋交い35と支柱33との連結作業が手間であるという問題点があった。
【0006】
また、従来の他の支保工の一例として図9に示すものがある。この図によれば、他の支保工41は、その基本的構成が図7に示した支保工31と同様であるが、筋交い42の支柱43に対する連結構造において、くさび式クランプ45が用いられている点で異なる。
【0007】
くさび式クランプ45は、図10に示すように、筋交い42の端部に設けられ、クランプ可動部46と、クランプ固定部47と、くさび48とによって構成される。そして、筋交い42が支柱43に連結される際、クランプ可動部46及びクランプ固定部47によって支柱43が把持され、クランプ可動部46とクランプ固定部47の間にくさび48が緊結されることにより、筋交い42が支柱43に連結される。
【0008】
他の支保工41によれば、現場作業者は、図7に示した支保工31と同様に、筋交い42を支柱43に連結する際、くさび48をハンマー等で打ち込む必要がある。そのため、クランプ可動部46及びクランプ固定部47が所望の把持位置からずれることがあり(図10の矢印S参照)、支保工41における支持力を損なう要因になることがある。また、現場作業者は、くさび48をハンマー等で打ち込むので、図7に示した支保工31と同様に、筋交い42と支柱43との連結作業が手間であるという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】実用新案登録第3168096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、筋交いと支柱との連結作業を容易に行うことができ、連結時の作業性を向上させることのできるくさび緊結式支保工を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の側面によって提供されるくさび緊結式支保工は、水平方向に所定の間隔を隔てて立設された一対の支柱と、高さ方向に所定の間隔を隔てて、かつ両支柱の間に水平方向に延びて設けられた一対の水平つなぎ材と、前記一対の支柱及び前記一対の水平つなぎ材で構成される枠状領域の内側において斜め方向に設けられる筋交いと、からなる構造を基本構造とし、この基本構造が上下方向、左右方向または奥行方向に複数設けられてなるくさび緊結式支保工であって、少なくとも前記筋交いの一端は、前記一方の支柱に連結され、前記筋交いの一端と前記一方の支柱とは、それぞれに形成された貫通孔を挿通する取付ピンによって連結されることを特徴としている。
【0012】
本発明のくさび緊結式支保工において、前記筋交いの他端は、前記他方の支柱に連結され、前記筋交いの他端と前記他方の支柱とは、それぞれに形成された貫通孔を挿通する取付ピンによって連結されるとよい。
【0013】
本発明の第2の側面によって提供されるくさび緊結式支保工は、水平方向に所定の間隔を隔てて立設された一対の支柱と、高さ方向に所定の間隔を隔てて、かつ両支柱の間に水平方向に延びて設けられた一対の水平つなぎ材と、前記一対の水平つなぎ材の間に水平方向に延びた中間水平つなぎ材と、前記一対の水平つなぎ材のうちの上側の水平つなぎ材、前記中間水平つなぎ材及び前記一対の支柱で構成される枠状領域の内側において斜め方向に設けられる上側筋交いと、前記一対の水平つなぎ材のうちの下側の水平つなぎ材、前記中間水平つなぎ材及び前記一対の支柱で構成される枠状領域の内側において斜め方向に設けられる下側筋交いと、前記上側の水平つなぎ材、前記中間水平つなぎ材並びに前記一対の支柱で構成される上側領域、及び前記下側の水平つなぎ材、前記中間水平つなぎ材並びに前記一対の支柱で構成される下側領域からなる構造を基本構造とし、この基本構造が上下方向、左右方向または奥行方向に複数設けられてなるくさび緊結式支保工であって、少なくとも前記上側筋交いの一端は、前記一方の支柱に連結され、前記上側筋交いの一端と前記一方の支柱とは、それぞれに形成された貫通孔を挿通する取付ピンによって連結されることを特徴としている。
【0014】
本発明のくさび緊結式支保工において、前記上側筋交いの他端は、前記中間水平つなぎ材に連結され、前記下側筋交いの一端は、前記中間水平つなぎ材に連結され、前記下側筋交いの他端は、前記他方の支柱に連結され、前記上側筋交い、前記下側筋交い、前記中間水平つなぎ材及び前記他方の支柱は、それぞれに形成された貫通孔を挿通する取付ピンによってそれぞれ連結されるとよい。
【0015】
本発明のくさび緊結式支保工において、前記一対の支柱の間には、水平方向に延びる手摺りが設けられているとよい。
【0016】
本発明のくさび緊結式支保工において、前記一対の支柱の間であって、いずれかの水平つなぎ材には足場板が配置され、前記足場板の周囲には幅木が設けられているとよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、筋交いが隣り合う支柱同士の間を斜め方向に連結され、筋交いと支柱とは、両者に形成される貫通孔同士を挿通する取付けピンによって連結されるので、現場作業者は筋交いを支柱に容易に連結することができる。そのため、連結時の作業性を向上させることができ、ひいては支保工の組立て作業時間の短縮化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1実施形態に係るくさび緊結式支保工が適用される概略現場施工図であり、(a)は正面図、(b)は右側面図である。
図2図1に示すくさび緊結式支保工の基本構造を示し、(a)は正面図、(b)は右側面図である。
図3】支柱と筋交いの部分斜視図である。
図4図3に示す筋交いと支柱との連結状態を示す図である。
図5】第2実施形態に係るくさび緊結式支保工の基本構造を示し、(a)は正面図、(b)は右側面図である。
図6】第3実施形態に係るくさび緊結式支保工の基本構造を示し、(a)は正面図、(b)は右側面図である。
図7】従来のくさび緊結式支保工の正面図である。
図8図7に示すくさび緊結式支保工の筋交いと支柱との連結状態を示す図である。
図9】従来の他のくさび緊結式支保工の正面図である。
図10図9に示すくさび緊結式支保工の筋交いと支柱との連結状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0020】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係るくさび緊結式支保工(以下、単に「支保工」という)が適用される概略現場施工図であり、(a)は正面図、(b)は右側面図である。図1では、高さ方向の一部が省略されている。支保工1は、例えばコンクリート型枠を支持するものであり、図1に示すように上下方向に延びて設けられている。なお、図1に示す支保工1は、いわゆる四角塔式と呼称されるものである。
【0021】
支保工1は、基礎B上に平面視で矩形状に並ぶように4つのジャッキベース2が配置され、各ジャッキベース2の上方には、パイプ状の支柱3が水平方向に所定の間隔を隔ててそれぞれ設けられている。支柱3は、所定長さ(例えば1800mm)を有する基本支柱が所望の高さになるように複数連結されている。
【0022】
支保工1は、各支柱3の上部に大引受けジョイント4がそれぞれ設けられ、これら大引受けジョイント4の上部に大引き受けジャッキ5がそれぞれ設けられる。そして、大引き受けジャッキ5の上部に例えばコンクリート型枠Cが支持される。
【0023】
図2は、図1に示す支保工1の基本構造を示し、(a)は正面図、(b)は右側面図である。支保工1は、図2に示す基本構造が高さ方向において連続して設けられることにより構成される。なお、図2においては、後述する足場板や奥行き方向にある筋交い15等が省略されている。
【0024】
各支柱3には、高さ方向に所定の間隔を隔てて複数のフランジ7が形成されており(図2及び図3参照)、これらのフランジ7によって他の各構成部材が例えばくさび部材(図略)等を用いて支柱3に緊結される。また、支柱3には、その上端近傍及び下端近傍の所望位置に直径方向に貫通する貫通孔8が形成されている。この貫通孔8は、後述する筋交い15を連結するためのものである。
【0025】
この基本構造では、その下部において隣り合う支柱3同士を連結するように複数の水平つなぎ材10(「下側水平つなぎ材10」という)が設けられる。また、基本構造の上部において、隣り合う支柱3同士を連結するように水平つなぎ材11(「上側水平つなぎ材11」という)が設けられる。上側水平つなぎ材11は、下側水平つなぎ材10から高さ方向に所定の間隔(例えば一層分)を隔てて設けられている。各水平つなぎ材10,11は、本体部12がパイプ状に形成され、その両端には、支柱3のフランジ7に連結するための連結部材13がそれぞれ接続されている。
【0026】
各水平つなぎ材10,11には、水平方向に広がる複数の図示しない足場板が設置される。足場板は、その端部に形成された各フック(図略)が各水平つなぎ材10,11に掛け渡されることにより設置される。
【0027】
基本構造における2本の支柱3、下側水平つなぎ材10及び上側水平つなぎ材11で囲まれた枠状領域の内側に斜め方向に延びる筋交い15が設けられている。筋交い15は、長尺状の本体部16と、本体部16の両端に設けられ断面視で略コの字状に形成されたコ字状部17とを有している。
【0028】
コ字状部17は、本体部16に対してやや折れ曲げられて形成されており、コ字状部17同士は折れ曲げ方向が反対方向を向いている。コ字状部17は、図3に示すように、対向する一対の側壁面部18を有しており、各側壁面部18には、その厚み方向に貫通する貫通孔19がそれぞれ形成されている。これらの貫通孔19は、支柱3を連結するためのものである。また、側壁面部18の一方には、チェーン20を介して取付けピン21が接続されている。
【0029】
筋交い15の本体部16は、直径の異なる2つの円筒状部材から構成され、外側部材の内方で内側部材がスライド可能とされている。これにより、筋交い15の全体長さを調整することができ、例えば隣り合う支柱3同士の間隔に応じて筋交い15の長さを調整することができる。
【0030】
筋交い15は、図2(a)に示すように、その一端(同図では上端)が一方の支柱3(同図では右側)であって基本構造のやや上部に連結される。また、筋交い15の他端(同図では下端)は、他方の支柱3(同図では左側)であって基本構造のやや下部に連結される。
【0031】
筋交い15が支柱3に連結される際には(図3の矢印P参照)、現場作業者によって、支柱3の貫通孔8と、筋交い15のコ字状部17の貫通孔19とが位置合わせされ、図4に示すように、貫通孔8,19に対して取付けピン21が嵌挿される(矢印T参照)。これにより、筋交い15と支柱3とが連結される。
【0032】
図2に戻り、基本構造において隣り合う支柱3の中央にあるフランジ7同士には、水平方向に延びる第1手摺り22が緊結されている。また、第1手摺り22が緊結されるフランジ7の一つ下のフランジ7同士には、水平方向に延びる第2手摺り23が緊結されている。これら第1及び第2手摺り22,23は、筋交い15との干渉を防止するため、筋交い15に対して外側に回避するように形成されている。第1及び第2手摺り22,23は、現場作業者の足場板からの墜落を防止するためのものである。
【0033】
また、各水平つなぎ材10,11に配置された足場板(図略)の周囲には、平板状の幅木24が設けられている。幅木24は、例えば現場作業者の作業中における足場部材や工具等の落下を防止するためのものである。なお、本実施形態においては、筋交い15の下端が下側水平つなぎ材10ではなく他方の支柱3に連結されるので、下側水平つなぎ材10で囲まれる平面には、足場板をほぼ隙間なく配置することができる。そのため、この場合も足場部材や工具等の落下を防止することができる。
【0034】
上述のように、筋交い15が隣り合う支柱3同士の間を斜め方向に連結され、筋交い15と支柱3とは、両者に形成される貫通孔8,19同士を挿通する取付けピン21によって連結されるので、現場作業者は筋交い15を支柱3に容易に連結することができる。そのため、連結時の作業性を向上させることができ、ひいては支保工1の組立て作業時間の短縮化を図ることができる。
【0035】
従来の構成では、筋交いと支柱との連結に、くさびやくさび式クランプが用いられ、くさびをハンマー等で打ち込む必要があり、連結作業が手間であるという問題点があったが、本実施形態の支保工1によれば、くさび自体を用いることがないので、これらの問題点を解消することができる。また、クランプを用いることがないので、クランプが把持位置からずれるといった問題点を回避することができる。
【0036】
[第2実施形態]
図5は、本発明の第2実施形態に係る支保工1Aの基本構造を示し、(a)は正面図、(b)は右側面図である。
【0037】
この第2実施形態に係る支保工1Aは、基本構造において高さ方向の中央に水平方向に延びた水平つなぎ材25(以下、「中央水平つなぎ材25」という)が設けられ、その中央水平つなぎ材25の上下位置に2本の筋交い26が設けられている点で第1実施形態に係る支保工1とその構成が異なる。その他の構成については、第1実施形態の支保工1と同様である。
【0038】
中央水平つなぎ材25は、下側水平つなぎ材10及び上側水平つなぎ材11と同様の形状とされている。
【0039】
2本の筋交い26は、第1実施形態における筋交い15に比してそれぞれ短く形成されている。2本の筋交い26の各両端は、図5(a)に示すように、それぞれ各支柱3に連結されている。すなわち、基本構造の上側領域において、筋交い26の上端は一方の支柱3(同図では右側)の上方に連結され、筋交い26の下端は他方の支柱3(同図では左側)の中央水平つなぎ材25のやや上方に連結される。また、基本構造の下側領域において、筋交い26の上端は一方の支柱3の中央水平つなぎ材25のやや下方に連結され、筋交い26の下端は他方の支柱3の下方に連結される。
【0040】
この実施形態においても、各筋交い26はその両端にコ字状部17を有し、各筋交い26が支柱3に連結される際、両者の貫通孔に対して取付けピン21が挿通されて連結される。そのため、筋交い26と支柱3との連結作業を容易に行うことができる。
【0041】
[第3実施形態]
図6は、本発明の第3実施形態に係る支保工1Bの基本構造を示し、(a)は正面図、(b)は右側面図である。
【0042】
この第3実施形態の支保工1Bでは、貫通孔(後述)が形成された中央水平つなぎ材27が設けられる点、その中央水平つなぎ材27を基準にしてその上下方向に第1筋交い28及び第2筋交い29が設けられている点、さらに中央水平つなぎ材27が設けられる近傍位置で貫通孔が形成されていない支柱30が用いられている点で第2実施形態に係る支保工1Aとその構成が異なる。その他の構成については、第2実施形態の支保工1Aと同様である。
【0043】
中央水平つなぎ材27は、その両端近傍に水平方向にかつ直径方向に貫通する貫通孔(図略)が形成されている。これらの貫通孔は、第1及び第2筋交い28,29をそれぞれ連結するためのものである。
【0044】
第1及び第2筋交い28,29は、各両端にコ字状部17を有し、両端のコ字状部17の折れ曲げ方向が互いに内側を向いており、折れ曲げ方向が反対方向を向く第2実施形態の筋交い26とは異なる。
【0045】
第1筋交い28は、図6(a)に示すように、その上端が一方の支柱30(同図では右側)の上方近傍に連結されている。第1筋交い28の下端は、中央水平つなぎ材27の他方支柱30側(同図では左側)の近傍に連結されている。また、第2筋交い29は、その上端が中央水平つなぎ材27の一方支柱30側(同図では右側)の近傍に連結されている。第2筋交い29の下端は、他方支柱30側(同図では左側)の下方近傍に連結されている。
【0046】
支柱30は、基本構成が第1及び第2実施形態の支柱3と同様であるが、中央水平つなぎ材27が連結されるフランジ7の近傍において貫通孔が形成されていない点で支柱3と異なる。
【0047】
この実施形態においても、第1筋交い28の上端及び第2筋交い29の下端がそれぞれ支柱30に連結される際、両者の貫通孔に対して取付けピン21が挿通されて連結される。そのため、第1及び第2筋交い28,29と支柱30との連結作業を容易に行うことができる。
【0048】
また、基本構造において高さ方向の中央に中央水平つなぎ材27が設けられ、第1及び第2筋交い28,29がその中央水平つなぎ材27に対してそれを挟むようにして上下に連結されるので、第2実施形態の支保工1Aに比べ、支保工としての支持力を高めることができ、より強固にコンクリート型枠Cを支持することができる。
【0049】
特に、第3実施形態の支保工1Bでは、支柱30は、中央水平つなぎ材27が連結される位置近傍に貫通孔が形成されておらず、換言すればいわゆる座屈長の中央近傍に貫通孔が形成されていないので、支柱30の強度が高められている。そのため、これによっても第2実施形態の支保工1Aに比べ、支保工としての支持力を高めることができる。
【0050】
なお、本発明の範囲は上述した実施の形態に限定されるものではなく、発明の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。例えば上記第1実施形態に係る支保工1の筋交い15の下端は、例えば第2手摺り23の配置位置に設けられた水平つなぎ材に連結されてもよい。また、第1実施形態に係る支保工1の支柱3は、これに代えて例えば第3実施形態の支柱30が用いられてもよい。
【0051】
また、上記実施形態に係る支保工1,1A,1Bの基本構造は、いわゆる四角塔式の支保工に適用されたが、これに限らず例えばべた支柱式あるいは列支柱式の支保工に適用されてもよい。また、支保工1,1A,1Bは、コンクリート型枠以外の重量物を支持するものであってもよい。また、上記実施形態において支保工1,1A,1Bの各構成部材は、上記した実施形態の形状、大きさ、数量及び位置関係等に限るものではない。
【符号の説明】
【0052】
1,1A,1B くさび緊結式支保工
3,30 支柱
8 貫通孔(支柱の)
10 下側水平つなぎ材
11 上側水平つなぎ材
15,26,28,29 筋交い
17 コ字状部
19 貫通孔(コ字状部の)
21 取付けピン
22 第1手摺り
23 第2手摺り
25,27 中間水平つなぎ材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10