(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023055492
(43)【公開日】2023-04-18
(54)【発明の名称】ワーク補修方法とワーク補修装置
(51)【国際特許分類】
B27D 1/00 20060101AFI20230411BHJP
B27L 5/00 20060101ALI20230411BHJP
【FI】
B27D1/00 M
B27D1/00 A
B27L5/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021164919
(22)【出願日】2021-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】502097698
【氏名又は名称】株式会社 千代田組
(71)【出願人】
【識別番号】508315383
【氏名又は名称】株式会社マイダス
(71)【出願人】
【識別番号】000221096
【氏名又は名称】東芝システムテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100144749
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正英
(74)【代理人】
【識別番号】100076369
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正治
(72)【発明者】
【氏名】西野 雅美
(72)【発明者】
【氏名】末永 恵三
(72)【発明者】
【氏名】武井 義典
(72)【発明者】
【氏名】白鳥 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】小柳 智
(72)【発明者】
【氏名】川崎 謙一
【テーマコード(参考)】
2B200
【Fターム(参考)】
2B200AA05
2B200AA07
2B200BA01
2B200CA09
2B200EC09
2B200FA01
2B200GA04
2B200GB15
2B200HA14
(57)【要約】
【課題】 欠陥補修の作業労力の削減と補修後のワークの品質の安定化を図ると共に、資源やコストの無駄を排除できるワーク補修方法とワーク補修装置を提供する。
【解決手段】 本発明のワーク補修方法は、ワーク表面を検査する工程と、当該検査の結果に基づいて充填する補修剤の量を算出する工程と、算出された量の補修剤を補修ロボットで欠陥に充填する工程と、欠陥に充填された補修剤を補修ロボットで均す工程を含む方法である。本発明のワーク補修装置は、ワーク表面を検査する検査装置と、検査装置での検査の結果に基づいて充填する補修剤の量を算出する充填量算出部と、充填量算出部で算出された量の補修剤を欠陥に充填し、その補修剤を均す補修ロボットを備えたものである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークの補修方法において、
検査装置によってワーク表面を検査する工程と、
前記工程でワーク表面に欠陥が見つかった場合に、当該検査の結果に基づいて当該欠陥に充填する補修剤の量を算出する工程と、
前記工程で算出された量の補修剤を補修ロボットで前記欠陥に充填する工程と、
前記欠陥に充填された補修剤を前記補修ロボットで均す工程を含む、
ことを特徴とするワーク補修方法。
【請求項2】
請求項1記載のワーク補修方法において、
検査装置での検査結果に基づいて欠陥の容積を算出し、
前記工程で算出された容積に基づいて補修剤の充填量を算出する、
ことを特徴とするワーク補修方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載のワーク補修方法において、
複数台のレーザセンサ又は画像処理センサによって個々のワークの二以上の面を検査する、
ことを特徴とするワーク補修方法。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のワーク補修方法において、
空気圧によって又はサーボモータの駆動によって補修剤を欠陥に充填する、
ことを特徴とするワーク補修方法。
【請求項5】
ワークの補修装置において、
前記ワーク表面を検査する検査装置と、
前記検査装置で欠陥が見つかった場合に、当該検査の結果に基づいて当該欠陥に充填する補修剤の量を算出する充填量算出部と、
前記充填量算出部で算出された量の補修剤を前記欠陥に充填し、その補修剤を均す補修ロボットを備えた、
ことを特徴とするワーク補修装置。
【請求項6】
請求項5記載のワーク補修装置において、
検査装置での検査結果に基づいて欠陥の容積を算出する容積算出部と、
前記容積算出部で算出された容積から補修剤の充填量を算出する充填量算出部を備えた、
ことを特徴とするワーク補修装置。
【請求項7】
請求項5又は請求項6記載のワーク補修装置において、
検査装置として複数台のレーザセンサ又は画像処理センサを備えた、
ことを特徴とするワーク補修装置。
【請求項8】
請求項5から請求項7のいずれか1項に記載のワーク補修装置において、
補修ロボットは、空気圧によって又はサーボモータの駆動によって補修剤を吐出する吐出部を備えた、
ことを特徴とするワーク補修装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークの欠陥の補修方法及び補修装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図11(a)~(d)に示すように、建築材料等として利用される木材(ワーク)の中には、穴X1や節X2、段差X3、欠けX4等の欠陥が含まれているものがある。間柱や根太、野縁など壁や床、天井の内側に設けられるワークには強度が要求されることから、欠陥がある場合にはその欠陥を補修する必要がある。
【0003】
従来、ワークの欠陥の有無の確認や欠陥箇所の把握、欠陥箇所の補修は、作業員によって目視及び手作業で行われていた。しかし、欠陥の有無確認や位置把握、欠陥補修の精度は、作業員の熟練度に左右され、品質の安定化を図るのが難しかった。近年では、ワークの欠陥を自動で補修する方法及び装置(たとえば、特許文献1)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1の補修方法及び補修装置は、欠陥部を切削除去し、その切削部に予め用意した埋め木を埋め込むことによって集成材を修正するものであるが、使わない埋め木も含め予め用意しておく必要があるため、資源やコストの無駄につながりかねない。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、欠陥補修の作業労力の削減と補修後のワークの品質の安定化を図ることができ、資源やコストの無駄にもつながりにくいワーク補修方法とワーク補修装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[ワーク補修方法]
本発明のワーク補修方法は、検査装置によってワーク表面を検査する工程と、当該工程でワーク表面に欠陥が見つかった場合に、当該検査の結果に基づいて当該欠陥に充填する補修剤の量を算出する工程と、当該工程で算出された量の補修剤を補修ロボットで前記欠陥に充填する工程と、欠陥に充填された補修剤を当該補修ロボットで均す工程を含む方法である。
【0008】
[ワーク補修装置]
本発明のワーク補修装置は、ワーク表面を検査する検査装置と、検査装置での検査によって欠陥が見つかった場合に、当該検査の結果に基づいて当該欠陥に充填する補修剤の量を算出する充填量算出部と、充填量算出部で算出された量の補修剤を前記欠陥に充填し、その補修剤を均す補修ロボットを備えたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明のワーク補修方法及びワーク補修装置では、欠陥検査から欠陥補修までの工程を検査装置や補修ロボットによって自動化したため、欠陥補修の作業労力の削減と補修後のワークの品質の安定を図ることができる。また、特許文献1に開示の方法等のように、使わない埋め木を含め予め用意しておく必要がないため、資源やコストの無駄もない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明のワーク補修装置の一例を示す概要説明図。
【
図2】(a)は欠陥検査部の一例を示す概要側面図、(b)は(a)の概要平面図、(c)は欠陥検査部での集成材の回転角度の説明図。
【
図3】(a)は欠陥検査部の概要正面図、(b)は回転手段の一例を示す部分概要図。
【
図5】(a)は穴補修部の一例を示す概要側面図、(b)は(a)の概要平面図、(c)は穴補修部での集成材の回転角度の説明図。
【
図7】補修剤充填ユニットの一例を示す機能ブロック図。
【
図8】(a)は下段搬送部及び段差・角補修部の一例を示す概要側面図、(b)は(a)の段差・角補修部の概要平面図、(c)は(a)の下段搬送部の概要平面図。
【
図9】(a)は段差補修ロボットの一例を示す説明図、(b)は角補修ロボットの一例を示す説明図。
【
図11】(a)は集成材の穴の説明図、(b)は集成材の節の説明図、(c)は集成材の段差の説明図、(d)は集成材の欠けの説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施形態)
本発明のワーク補修方法及びワーク補修装置の実施形態の一例を、図面を参照して説明する。本発明のワーク補修方法及びワーク補修装置は、各種ワークの補修に用いることができるが、ここでは、ワークが複数枚のラミナを接合して構成された集成材Wの場合を一例として説明する。
【0012】
ワーク補修方法及びワーク補修装置の具体的な説明に先立ち、本願で用いる用語について説明する。
図11(a)~(d)に示すように、本願では、集成材Wの各面について、ラミナの積層方向一方の面を第一面W1、他方の面を第三面W3、ラミナの積層方向に直角する方向の一方の面を第二面W2、他方の面を第四面W4、集成材Wの長手方向一方の端面を第一端面S1、他方の端面を第二端面S2という。
【0013】
また、集成材Wのうち、第一面W1と第二面W2の間の辺を第一長辺E1と、第二面W2と第三面W3の間の辺を第二長辺E2と、第三面W3と第四面W4の間の辺を第三長辺E3と、第四面W4と第一面W1の間の辺を第四長辺E4という。
【0014】
また、本願では、
図11(a)に示すような穴X1や
図11(b)に示すような節X2、
図11(c)に示すような段差X3、
図11(d)に示すような長辺に現れる欠けX4を総称して欠陥という。
【0015】
[ワーク補修装置の全体構成]
以下、ワーク補修方法及びワーク補修装置について具体的に説明する。一例として
図1に示すワーク補修装置は、上下二段の搬送ラインを備えている。下段の搬送ラインには、欠陥検査部A1、欠陥検査部A1の下流側の穴補修部A2及び穴補修部A2の下流側の下段搬送部A3が、上段の搬送ラインには、段差・角補修部A4が設けられている。
【0016】
また、上下段の搬送ラインの下流側には、最下流に到達した集成材Wを取り出して別装置に払い出す(排出する)払出し部A5が設けられている。このほか、図示は省略しているが、欠陥検査部A1の側方には、補修できない欠陥を有する集成材W(悪品)を排出するための悪品排出ラインが設けられている。
【0017】
[欠陥検査部]
前記欠陥検査部A1は、集成材Wの表面の欠陥の有無や位置、表面積、深さ、形状等を検査するエリアである。
図2(a)(b)に示すように、この実施形態の欠陥検査部A1には、集成材Wを搬送する搬送手段11と、集成材Wの表面の欠陥を検出する欠陥検査手段20が設けられている。
【0018】
この実施形態の搬送手段11は、間隔を開けて平行に配置された二本の無端搬送体11a、11bを備えている。無端搬送体11a、11bには、図示しないモータで駆動するベルトコンベアやチェーンコンベアなど、既存のコンベアを用いることができる。無端搬送体11a、11bは二本より多くても少なくてもよい。集成材Wは、この二本の無端搬送体11a、11bで下流側へ搬送される。
【0019】
搬送手段11には、上流側の外部機器(図示しない)から欠陥検査部A1に供給された集成材Wを所定位置に停止させるためのストップシリンダ12が二台横並びで設けられている。二台のストップシリンダ12(第一ストップシリンダ12a及び第二ストップシリンダ12b)は、二本の無端搬送体11a、11bの内側に配置されている。ストップシリンダ12は、二台より多くても少なくてもよい。
【0020】
両ストップシリンダ12a、12bは、無端搬送体11aの下端よりも低い位置から無端搬送体11aの上面よりも高い位置まで伸長するようにしてある。両ストップシリンダ12a、12bは同期して動作するようにしてある。集成材Wは、無端搬送体11aの上面よりも高い位置まで伸長した両ストップシリンダ12a、12bに当接することで、所定位置に停止するようにしてある。
【0021】
搬送手段11には、検査面を上方に向けるために集成材Wを回転させる回転手段13が、集成材Wの搬送方向に間隔をあけて三台設けられている。三台の各回転手段13(第一回転手段13A~第三回転手段13C)は、モータ13aと、モータ13aの動力を伝達する伝達機構13bと、伝達機構13bを介してモータ13aに接続された回転軸13cと、回転軸13cの長手方向に間隔をあけて配置された二枚の回転羽根13d(
図3(b)参照)を備えている。回転羽根13dは二枚より多くても少なくてもよい。
【0022】
図2(b)に示すように、各回転手段13A~13Cの手前側及び第三回転手段13Cの下流側には、搬送された集成材Wの長手方向の位置決めを行う二つ一組の端面シリンダ14が四組(端面シリンダ14A~14D)設けられている。各組の端面シリンダ14は、集成材Wの長手方向両外側に一つずつ設けられている。各組の端面シリンダ14は、各組を構成する両端面シリンダ14間に集成材Wが到達すると伸長し、当該集成材Wに当接して、当該集成材Wが長手方向の所定位置に位置決めされる。
【0023】
前記欠陥検査手段20は、集成材Wの各面の欠陥の有無等を検査する部分である。この実施形態の欠陥検査手段20は、搬送手段11の上方に配置されたリニアステージ15と、リニアステージ15に沿って移動する取付け体16と、取付け体16に取り付けられた検査装置17を備えている。
図3(a)に矢印で示すように、取付け体16及び取付け体16に取り付けられた検査装置17は、集成材Wの長手方向に沿って移動するようにしてある。
【0024】
図2(a)に示すように、この実施形態では、リニアステージ15と取付け体16と検査装置17が搬送方向に間隔をあけて二組設けられ、最上流の検査装置17(以下「第一検査装置17A」という)で集成材Wの第一面W1の検査が、上流側から二つ目の検査装置17(以下「第二検査装置17B」という)で集成材Wの第二面W2の検査が、上流側から三つ目の検査装置17(以下「第三検査装置17C」という)で集成材Wの第三面W3の検査が、最下流の検査装置(以下「第四検査装置17D」という)で第四面W4の検査が行われるようにしてある。
【0025】
前記リニアステージ15は、取付け体16を集成材Wの長手方向に沿って直線移動させるための装置であり、リニアガイドとリニアガイドに沿って移動するスライダを備えている。リニアステージ15には、既存の各種リニアガイドを用いることができる。
【0026】
前記取付け体16は検査装置17を取り付けるための部材である。
図2(a)に示すように、この実施形態の取付け体16は、リニアステージ15のスライダに固定された縦材16aと、縦材16aの下端に連結された横材16bと、横材16bの長手方向両端に設けられた取付けフランジ16cを備え、各取付けフランジ16cに検査装置17が取り付けられている。各取付け体16には検査装置17が二つ取り付けられている。
【0027】
前記検査装置17は、集成材Wの表面の欠陥の有無等を検出するための装置である。
図4に示すように、この実施形態の検査装置17は、レーザセンサ17aと、欠陥位置特定部17bと、容積算出部17cと、充填量算出部17dと、制御部17eと、通信部17fを備えている。
【0028】
前記レーザセンサ17aは集成材Wの表面の形状を測定する機能部、欠陥位置特定部17bはレーザセンサ17aでの検出信号に基づいて欠陥位置を座標で特定する機能部、容積算出部17cは欠陥の面積や深さから欠陥の容積を算出する機能部、充填量算出部17dは容積算出部17cで算出された容積から補修剤の充填量を算出する機能部である。
【0029】
前記制御部17eは検査装置17の全体を制御する機能部、通信部17fは欠陥の位置情報や容積情報、充填量情報等を後述する各種補修ロボット(穴補修ロボット18や段差補修ロボット24、角補修ロボット25)に送信する機能部である。
【0030】
前記レーザセンサ17aは、集成材Wの表面にレーザ光を照射して集成材Wの欠陥の位置や表面積、深さ、形状等を検出するものであり、既存の各種プロファイル測定器を用いることができる。
【0031】
[穴補修部]
前記穴補修部A2は、集成材Wの表面にある穴X1や節X2を補修剤Rで補修するエリアである。
図1に示すように、この実施形態の穴補修部A2には、集成材Wを搬送する搬送手段11と、集成材Wの表面にある穴X1や節X2を補修する穴補修ロボット18が設けられている。
【0032】
この実施形態の搬送手段11は、欠陥検査部A1に設けられた搬送手段から連続するものである。搬送手段11は、欠陥検査部A1の搬送手段11と別体のものとして構成することもできる。
【0033】
図5(a)(b)に示すように、搬送手段11には、欠陥検査部A1から供給された集成材Wを所定位置に停止させるためのストップシリンダ12が横並びで二台設けられている。二台のストップシリンダ12(第三ストップシリンダ12c及び第四ストップシリンダ12d)の構成は欠陥検査部A1のストップシリンダ12a、12bと同様である。
【0034】
搬送手段11には、その搬送方向に間隔をあけて三つの回転手段(第四回転手段13D~第六回転手段13F)が設けられている。
図5(b)に示すように、各回転手段13D~13Fは、穴補修が必要な面を上方(穴補修ロボット18が作業をする方向)に向けるために集成材Wを回転させるものである。
【0035】
前記各回転手段13D~13Fの構成は欠陥検査部A1の回転手段13A~13Cと同様である。
図5(c)に示すように、この実施形態では、第四回転手段13Dによって集成材Wが45°回転し、第五回転手段13Eによって集成材Wが90°回転し、第六回転手段13Fによって集成材Wが45°回転するようにしてある。
【0036】
各回転手段13D~13Fの上流側には、搬送された集成材Wの長手方向の位置決めを行う二つ一組の端面シリンダ14が、集成材Wの長手方向両外側に設けられている。各組の端面シリンダ14E~14Gは、集成材Wが所定位置に到達すると伸長し、当該集成材Wに当接して当該集成材Wが長手方向の所定位置に位置決めされる。
【0037】
また、各回転手段13D~13Fの側方には、回転手段13D~13Fで回転した集成材Wの長手方向両端を抑えるための二つ一組の押さえシリンダ19が二組設けられている。二組の押さえシリンダ19(第一押さえシリンダ19A及び第二押さえシリンダ19B)によって、回転手段13D~13Fで回転した集成材Wの長手方向の位置決めが行われるほか、穴の補修中に集成材Wがその長手方向にずれるのが防止される。
【0038】
前記穴補修ロボット18は、集成材Wの表面にある穴X1や節X2に補修剤を充填して均すロボットである。
図1に示すように、この実施形態では四台の穴補修ロボット(第一穴補修ロボット18A~第四穴補修ロボット18D)が設けられている。第一穴補修ロボット18Aは第一面W1の穴を補修するもの、第二穴補修ロボット18Bは第二面W2の穴を補修するもの、第三穴補修ロボット18Cは第三面W3の穴を補修するもの、第四穴補修ロボット18Dは第四面W4の穴を補修するものである。
【0039】
第一穴補修ロボット18Aと第三穴補修ロボット18Cは搬送方向右側方に、第二穴補修ロボット18Bと第四穴補修ロボット18Dは搬送方向左側方に設けられている。第一穴補修ロボット18Aと第三穴補修ロボット18Cは、前者が上流側、後者が下流側となるように、搬送方向に間隔をあけて設けられている。同様に、第二穴補修ロボット18Bと第四穴補修ロボット18Dは前者が上流側、後者が下流側となるように、搬送方向に間隔をあけて設けられている。
【0040】
図6に示すように、この実施形態では、各穴補修ロボット18として、穴補修ハンド18aを備えた垂直多関節形のロボットを用いている。穴補修ハンド18aには、穴補修用混合ユニット18bと、補修剤Rを吐出するミキシングノズル(以下「穴補修用ノズル」という)18cと、吐出された補修剤を均す穴用均し治具18dが設けられている。
【0041】
この実施形態の穴用均し治具18dは平面視正方形状の平板であり、その中心部には穴補修用ノズル18cの先端が露出する貫通孔が形成されている。穴補修用ノズル18cからは、補修剤充填ユニット21で二剤(主剤と固化剤)が混合された補修剤が吐出されるようにしてある。
【0042】
一例として
図7に示す補修剤充填ユニット21は、主剤側供給系21Aと固化剤側供給系21Bを備えている。主剤側供給系21Aには、主剤側ポンプユニット21aと、主剤側高圧レギュレータ21bと、主剤側バルブスタンド21cと、主剤側自動ガン21dが設けられている。各構成は主剤側ヒータホース21eで接続されている。主剤側ヒータホース21eには主剤側温調盤21fが接続され、主剤が所定の温度及び粘度に保たれるようにしてある。
【0043】
主剤側ポンプユニット21aは、主剤容器(ペール缶)21gに貯留された主剤を吸引して主剤側高圧レギュレータ21bに送るためのもの、主剤側高圧レギュレータ21bは主剤側ポンプユニット21aから供給される主剤の圧力を一定の圧力に維持する(調整する)もの、主剤側バルブスタンド21cは主剤の液量や空気量を調整するための制御ユニット、主剤側自動ガン21dは所定量の主剤を吐出するもの、主剤側ヒータホース21eは主剤が移動する流路、主剤側温調盤21fは主剤側ヒータホース21eの温度を制御するものである。
【0044】
同様に、前記固化剤側供給系21Bには、固化剤側ポンプユニット21hと、固化剤側高圧レギュレータ21iと、固化剤側バルブスタンド21jと、固化剤側自動ガン21kが設けられている。各構成は固化剤側ヒータホース21mで接続されている。固化剤側ヒータホース21mには固化剤側温調盤21nが接続され、固化剤が所定の温度及び粘度に保たれるようにしてある。
【0045】
固化剤側ポンプユニット21hは、固化剤容器(ペール缶)21pに貯留された固化剤を吸引して固化剤側高圧レギュレータ21iに送るためのもの、固化剤側高圧レギュレータ21iは固化剤側ポンプユニット21hから供給される固化剤の圧力を一定の圧力に維持する(調整する)もの、固化剤側バルブスタンド21jは固化剤の液量や空気量を調整するための制御ユニット、固化剤側自動ガン21kは所定量の固化剤を吐出するもの、固化剤側ヒータホース21mは固化剤が移動する流路、固化剤側温調盤21fは固化剤側ヒータホース21mの温度を制御するものである。
【0046】
主剤側自動ガン21dは主剤側高圧ホース21rを介して、固化剤側自動ガン21kは固化剤側高圧ホース21sを介して共通の混合ユニット18(以下「穴補修用混合ユニット18b」という)に接続されている。穴補修用混合ユニット18bには穴補修用ノズル18cが接続され、穴補修用混合ユニット18bで混合された補修剤Rが穴補修用ノズル18cから吐出されるようにしてある。
【0047】
補修剤Rの吐出方法には空気圧を利用する方法やサーボモータを利用する方法などの種々の選択肢があるが、この実施形態では、空気圧によって補修剤Rを吐出する方法を採用している。この実施形態では、空気圧を一定に保持し、充填時間(穴補修用ノズル18cの開放時間)を変えることによって補修剤Rの吐出量が調節されるようにしてある。
【0048】
たとえば、空気圧を0.5MPaで一定に保つ場合、補修剤Rを5g吐出したい場合には0.30sec程度、補修剤10gを吐出したい場合には0.50sec程度というように、穴補修用ノズル18cの開放時間を変えることによって補修剤Rの吐出量を調節することができる。
【0049】
また、この実施形態では、空気圧を二段階に切り替えられるようにしてある。具体的には、空気圧を0.3MPaと0.5MPaの二段階に切り替えられるようにし、標準的な処理速度でよい場合には空気圧0.3MPaの方を選択し、処理速度を標準的な処理速度よりも上げたいときには空気圧0.5MPaの方を選択することができるようにしてある。
【0050】
以上のように構成された補修剤充填ユニット21では、主剤容器21g内の主剤は主剤側ポンプユニット21aによって吸上げられ、主剤側高圧レギュレータ21b、主剤側バルブスタンド21c及び主剤側自動ガン21dを通って穴補修用混合ユニット18bに排出される。
【0051】
同様に、固化剤容器21p内の固化剤は固化剤側ポンプユニット21hによって吸上げられ、固化剤側高圧レギュレータ21i、固化剤側バルブスタンド21j及び固化剤側自動ガン21kを通って穴補修用混合ユニット18bに排出される。
【0052】
主剤側自動ガン21dから排出された主剤と、固化剤側自動ガン21kから排出された固化剤は穴補修用混合ユニット18bで混合され、穴補修用ノズル18cから吐出されて集成材Wの欠陥に充填される。充填された補修剤は、充填された直後に穴用均し治具18dによって集成材Wの表面と面一となるように均される。
【0053】
[下段搬送部]
前記下段搬送部A3は、穴補修が完了した集成材W又は欠陥が検出されなかった(穴補修の必要がなかった)良品を搬送するエリアである。この実施形態の下段搬送部A3は、集成材Wを搬送する搬送手段11を備えている。この搬送手段11は、欠陥検査部A1と穴補修部A2の双方の搬送手段11と連続するものであり、
図8(c)に示すように、二本の無端搬送体11a、11bを備えている。搬送手段11は、欠陥検査部A1の搬送手段11と別体のものとして構成することもできる。
【0054】
[段差・角補修部]
前記段差・角補修部A4は、集成材Wの第二面W2や第四面W4に生じるラミナのサイズに起因する段差X3や集成材Wの角部(長辺部)に現れる欠けX4を、補修剤Rで補修するエリアである。
図1及び
図8(a)に示すように、この実施形態の段差・角補修部A4は、下段搬送部A3の上方に設けられている。
【0055】
図8(b)に示すように、この実施形態の段差・角補修部A4には、集成材Wを搬送する上段搬送手段23と、集成材Wの第二面W2や第四面W4に現れる段差X3を補修する段差補修ロボット24と、集成材Wの角部に現れる欠けX4を補修する角補修ロボット25を備えている。
【0056】
この実施形態の上段搬送手段23は、下段の搬送ラインに設けられた搬送手段11と同様、間隔を開けて平行に配置された二本の上段無端搬送体23a、23bを備えている。上段無端搬送体23a、23bには、ベルトコンベアやチェーンコンベア、ローラーコンベアなど、既存のコンベアを用いることができる。上段無端搬送体23a、23bは集成材Wを搬送できるものであればよく、その数も二本より多くても少なくてもよい。
【0057】
図8(a)(b)に示すように、上段搬送手段23の上流側には、下段ラインで搬送された集成材Wを段差・角補修部A4の高さまで上昇させるための昇降シリンダ22と、昇降シリンダ22によって段差・角補修部A4の高さまで上昇した集成材Wを上段搬送手段23上に移動させる押出しシリンダ26が設けられている。昇降シリンダ22と押出しシリンダ26は、いずれも横並びで二台(昇降シリンダ22a、22b及び押出しシリンダ26a、26b)設けられている。いずれも二台より多くても少なくてもよい。
【0058】
この実施形態の上段搬送手段23には、段差補修ロボット24の上流側と角補修ロボット25の上流側のそれぞれに、集成材Wを所定位置に停止させるためのストップシリンダ12が横並びで二台ずつ(第五ストップシリンダ12e~第八ストップシリンダ12h)設けられている。いずれのストップシリンダ12e~12hも、二本の上段無端搬送体23a、23bの間に配置されている。
【0059】
各ストップシリンダ12e~12hの構成は、欠陥検査部A1のストップシリンダ12a、12bや穴補修部A2のストップシリンダ12c、12dと同様である。集成材Wは各ストップシリンダ12e~12hに当接することで所定位置に停止する。
【0060】
前記上段搬送手段23には、段差補修位置に到達した集成材Wの長手方向両端を押さえる二つ一組の押さえシリンダ19(以下「第三押さえシリンダ19C」という)と、角補修位置に到達した集成材Wの長手方向両端を押さえる二つ一組の押さえシリンダ19(以下「第四押さえシリンダ19D」という)が設けられている。
【0061】
各押さえシリンダ19C、19Dは図示しない回転モータに接続され、集成材Wを押さえた状態で当該集成材Wを180°回転させられるようにしてある。また、各押さえシリンダ19C、19Dは図示しない持上げシリンダに接続され、集成材Wを押さえた状態で当該集成材Wを所定位置まで上げたり、元の位置に降ろしたりできるようにしてある。
【0062】
前記段差補修ロボット24は、集成材Wの第二面W2や第四面W4に現れる段差X3を補修するためのロボットである。この実施形態では、一台の段差補修ロボット24で、第二面W2の段差X3と第四面W4の段差X3が順番に補修されるようにしてある。
【0063】
この実施形態では、段差補修ロボット24として、
図9(a)に示すような段差補修ハンド24aを備えた垂直多関節形のロボットを用いている。段差補修ハンド24aには、混合ユニット(以下「段差補修用混合ユニット」という)24bと、補修剤Rを吐出するミキシングノズル(以下「段差補修用ノズル」という)24cと、吐出された補修剤を均す段差用均し治具24dが設けられている。段差補修用混合ユニット24b、段差補修用ノズル24c及び段差用均し治具24dの構成は、それぞれ穴補修用混合ユニット18b、穴補修用ノズル18cと穴用均し治具18dの構成と同様である。
【0064】
穴補修ハンド18aと同様、段差補修ハンド24aの段差補修用ノズル24cからも、補修剤充填ユニット21と同様のユニットで二剤(主剤と固化剤)が混合された補修剤Rが吐出されるようにしてある。このユニットの構成は、穴補修ロボット18の補修剤充填ユニット21と同様である。
【0065】
前記角補修ロボット25は、集成材Wの角(長辺)に現れる欠けX4を補修するロボットである。この実施形態では、一台の角補修ロボット25で第一長辺E1、第二長辺E2、第三長辺E3及び第四長辺E4の四辺に現れる欠けX4が順番に補修されるようにしてある。
【0066】
この実施形態では、角補修ロボット25として、
図9(b)に示すような、角補修ハンド25aを備えた垂直多関節形のロボットを用いている。角補修ハンド25aには、混合ユニット(以下「角補修用混合ユニット」という)25bと、補修剤Rを吐出するミキシングノズル(以下「角補修用ノズル」という)25cと、吐出された補修剤を均す角用均し治具25dが設けられている。
【0067】
角補修用混合ユニット25bの構成は、穴補修用混合ユニット18bや段差補修用混合ユニット24bの構成と同様であり、角補修用ノズル25cの構成は、穴補修用ノズル18cや段差補修用ノズル24cの構成と同様である。
【0068】
一例として
図9(b)に示す角用均し治具25dは、集成材Wの一面に宛がわれる第一均し面25eと集成材Wの他の一面に宛がわれる第二均し面25fを備えた側面視L字状の部材である。第一均し面25eの中心部には角補修用ノズル25cの先端が露出する貫通孔が形成されている。
【0069】
穴補修ハンド18aや段差補修ハンド24aと同様、角補修ハンド25aの角補修用ノズル25cからも、補修剤充填ユニット21と同様のユニットで二剤(主剤と固化剤)が混合された補修剤Rが吐出されるようにしてある。このユニットの構成は、穴補修ロボット18の補修剤充填ユニット21と同様である。
【0070】
[払出し部]
前記払出し部A5は、上下段の搬送ラインの最下流に到達した集成材Wを取り出して下流側の別装置に払い出すエリアである。
図1に示すように、この実施形態の払出し部A5は、下段搬送部A3及び段差・角補修部A4の下流側に設けられている。
【0071】
この実施形態の払出し部A5には、下段搬送部A3及び段差・角補修部A4の最下流に到達した補修済み又は補修不要な集成材Wを取り出して、別装置へ払い出す払出しロボット27が設けられている。一例として
図10に示す払出しロボット27は垂直多関節形のロボットであり、その先端には、エンドエフェクタとして集成材Wを把持する把持ハンド27aを備えている。
【0072】
この実施形態では、下段搬送部A3及び段差・角補修部A4の最下流に到達した補修済み又は補修不要な集成材Wが払出しロボット27で取り出され、別装置へ移動させられるようにしてある。なお、払出しの順番に特に制限はなく、下段搬送部A3及び段差・角補修部A4の最下流に到達した集成材Wを順次取り出して別装置へ移動させればよい。
【0073】
(ワーク補修装置の動作)
次に、本実施形態のワーク補修装置の動作について説明する。説明の便宜上、以下では、欠陥検査部A1の動作、穴補修部A2の動作、段差・角補修部A4の動作に分けて説明する。なお、下段搬送部A3及び払出し部A5の動作は前述のとおりである。
【0074】
[欠陥検査部での動作]
はじめに、
図2(a)~(c)を参照して欠陥検査部A1の動作について説明する。この実施形態のワーク補修装置の欠陥検査部A1では、次の手順で処理が行われる。
(1)検査対象である集成材Wが外部機器から搬送手段11に順次供給される。
(2)供給された集成材Wは搬送手段11で搬送され、第一ストップシリンダ12a及び第二ストップシリンダ12bによって、所定位置に停止する。
(3)停止した集成材Wは第一検査装置17Aの下側まで前進し、その位置で第一端面シリンダ14Aによって長手方向の位置決めが行われる。
(4)長手方向の位置決め後、第一検査装置17Aによって、集成材Wの第一面W1の検査が行われる。このとき、検査は、リニアステージ15の動作によって、第一検査装置17Aが集成材Wの長手方向に移動しながら行われ、第一面W1の全長が検査される。
(5)第一面W1の検査が終了すると、集成材Wは第一回転手段13Aでの回転位置に移動し、当該第一回転手段13Aによって90°回転して、第二面W2が上方に向けられる。
(6)回転した集成材Wは第二検査装置17Bの下側まで移動し、その位置で第二端面シリンダ14Bによって長手方向の位置決めが行われる。
(7)長手方向の位置決め後、第二検査装置17Bによって、集成材Wの第二面W2の検査が行われる。このとき、検査は、リニアステージ15の動作によって、第二検査装置17Bが集成材Wの長手方向に移動しながら行われ、第二面W2の全長が検査される。
(8)第二面W2の検査が終了すると、集成材Wは第二回転手段13Bでの回転位置に移動し、当該第二回転手段13Bによって90°回転し、第三面W3が上方に向けられる。
(9)回転した集成材Wは第三検査装置17Cの下側まで前進し、その位置で第三端面シリンダ14Cによって長手方向の位置決めが行われる。
(10)長手方向の位置決め後、第三検査装置17Cによって、集成材Wの第三面W3の検査が行われる。このとき、検査は、リニアステージ15の動作によって、第三検査装置17Cが集成材Wの長手方向に移動しながら行われ、第三面W3の全長が検査される。
(11)第三面W3の検査が終了すると、集成材Wは第三回転手段13Cでの回転位置に移動し、当該第三回転手段13Cによって90°回転し、第四面W4が上方に向けられる。
(12)回転した集成材Wは第四検査装置17Dの下側まで前進し、その位置で第四端面シリンダ14Dによって長手方向の位置決めが行われる。
(13)長手方向の位置決め後、第四検査装置17Dによって、集成材Wの第四面W4の検査が行われる。このとき、検査は、リニアステージ15の動作によって、第四検査装置17Dが集成材Wの長手方向に移動しながら行われ、第四面W4の全長が検査される。
(14)第四面W4の検査が終了すると、集成材Wは欠陥検査部A1の下流側の穴補修部A2へ送られる。
【0075】
[穴補修部での動作]
次に、
図5(a)~(c)を参照して穴補修部A2の動作について説明する。この実施形態のワーク補修装置の穴補修部A2では、次の手順で処理が行われる。
(1)穴補修の対象である集成材Wが欠陥検査部A1から搬送手段11に順次供給される。
(2)供給された集成材Wは搬送手段11で搬送され、第三ストップシリンダ12c及び第四ストップシリンダ12dによって所定位置に停止する。
(3)停止した集成材Wは所定位置まで前進し、その位置で第五端面シリンダ14Eによって長手方向の位置決めが行われる。
(4)長手方向の位置決め後、集成材Wは第一穴補修ロボット18A及び第二穴補修ロボット18Bの下側まで前進する。
(5)第一穴補修ロボット18A及び第二穴補修ロボット18Bの下側まで前進した集成材Wは、第四回転手段13Dによって45°回転し、第一面W1及び第二面W2が上方に向けられる。
(6)第一面W1及び第二面W2が上方に向けられると、第一押さえシリンダ19Aによって当該集成材Wの長手方向両端面が押さえられる。
(7)集成材Wが第一押さえシリンダ19Aで押さえられると、第一穴補修ロボット18Aによって第一面W1の穴が、第二穴補修ロボット18Bによって第二面W2の穴が補修される。
(8)第一面W1及び第二面W2の穴補修が終了すると、当該集成材Wは所定位置まで前進し、その位置で第六端面シリンダ14Fによって長手方向の位置決めが行われる。
(9)長手方向の位置決め後、集成材Wは第五回転手段13Eの位置まで前進する。
(10)第五回転手段13Eの位置まで前進した集成材Wは、第五回転手段13Eによって90°回転し、第三面W3が上方に向けられる。
(11)第三面W3が上方を向いた集成材Wは、所定位置まで前進し、その位置で第七端面シリンダ14Gによって長手方向の位置決めが行われる。
(12)長手方向の位置決め後、集成材Wは第三穴補修ロボット18C及び第四穴補修ロボット18Dの下側まで前進する。
(13)第三穴補修ロボット18C及び第四穴補修ロボット18Dの下側まで前進した集成材Wは、第六回転手段13Fによって45°回転し、第三面W3及び第四面W4が上方に向けられる。
(14)第三面W3及び第四面W4が上方に向けられると、第二押さえシリンダ19Bによって当該集成材Wの長手方向両端面が押さえられる。
(15)集成材Wが第二押さえシリンダ19Bで押さえられると、第三穴補修ロボット18Cによって第三面W3の穴が、第四穴補修ロボット18Dによって第四面W4の穴が補修される。
(16)第三面W3及び第四面W4の穴補修が終了すると、集成材Wは穴補修部A2の下流側へ送られる。
【0076】
[段差・角補修部での動作]
次に、
図8(a)~(c)を参照して段差・角補修部A4の動作について説明する。この実施形態のワーク補修装置の段差・角補修部A4では、次の手順で処理が行われる。
(1)昇降シリンダ22a、22bで上段搬送手段23の高さまで上昇した集成材Wが、押出しシリンダ26a、26bによって搬送手段11に順次供給される。
(2)供給された集成材Wは搬送手段11で搬送され、第五ストップシリンダ12e及び第六ストップシリンダ12fによって所定位置に停止する。
(3)停止した集成材Wは所定位置まで前進し、第三押さえシリンダ19Cによって長手方向両端面が押さえられる。
(4)第三押さえシリンダ19Cで両端面が押さえられると、図示しない第一持上げシリンダによって第三押さえシリンダ19Cが所定位置まで持ち上げられる。
(5)第三押さえシリンダ19Cが所定位置まで持ち上げられると、図示しない回転モータによって第三押さえシリンダ19Cが回転し、段差のある第二面W2又は第四面W4が上方に向けられる。
(6)段差のある第二面W2又は第四面W4が上方に向けられると、段差補修ロボット24によって段差が補修される。
(7)第二面W2と第四面W4の双方に段差がある場合、回転モータによって第三押さえシリンダ19Cが回転し、段差のある第二面W2又は第四面W4が上方に向けられる。
(8)段差のある第二面W2又は第四面W4が上方に向けられると、段差補修ロボット24によって段差が補修される。
(9)段差補修が完了すると、第三押さえシリンダ19Cが元の位置まで降ろされ、集成材Wが上段搬送手段23に降ろされる。
(10)上段搬送手段23に降ろされた集成材Wは前進し、第七ストップシリンダ12g及び第八ストップシリンダ12hによって所定位置に停止する。
(11)停止した集成材Wは所定位置まで前進し、第四押さえシリンダ19Dによって長手方向両端面が押さえられる。
(12)第四押さえシリンダ19Dで両端面が押さえられると、図示しない第二持上げシリンダによって第四押さえシリンダ19Dが所定位置まで持ち上げられる。
(13)第四押さえシリンダ19Dが所定位置まで持ち上げられると、図示しない回転モータによって第四押さえシリンダ19Dが回転し、欠けが生じた長辺を含む面が上方に向けられる。
(14)欠けが生じた長辺を含む面が上方に向けられると、角補修ロボット25によって欠けが補修される。
(15)欠けが他の長辺にも生じている場合、上記(11)~(13)を繰り返し、すべての欠けを補修する。
【0077】
前記動作は一例であり、本実施形態のワーク補修装置はこれとは異なる動作をすることもある。たとえば、補修は欠陥のある面あるいは長辺についてのみ行われるため、前記動作のうち、不要な動作は適宜省略される。
【0078】
(その他の実施形態)
前記実施形態の構成は一例であり、本発明のワーク補修方法及びワーク補修装置は前記実施形態の構成に限定されるものではない。本発明のワーク補修装置は、所期の目的を達成できる範囲で、構成の追加や省略、入替え等の変更を加えることができる。
【0079】
以下、変更例の一例として、本発明のワーク補修方法及びワーク補修装置の他の実施形態について説明する。なお、説明の繰り返しを避けるため、前記実施形態と共通する部分についての説明は省略する。
【0080】
前記実施形態では、四つのレーザセンサを用いて集成材Wの四面W1~W4の検査を行う場合を一例としているが、レーザセンサは四つより多くても少なくてもよい。たとえば、レーザセンサの数を二つにし、各レーザセンサで同時に二面の検査を行えるようにすることもできる。
【0081】
具体的には、欠陥検査手段20を、前記実施形態の構成のほかに集成材Wの搬送方向先方側又は後方側の面を写すミラーを備えたものとし、レーザセンサに対向する面については実像を、ミラーに写った面については鏡像を利用して、欠陥の検査を行うようにすることができる。この場合、一台のレーザセンサで一度に二面の検査を行うことができ、二台のレーザセンサで一度に四面の検査を行うことができる。
【0082】
前記実施形態では、欠陥の検査を行う検査装置としてレーザセンサを用いる場合を一例としているが、検査装置には、集成材Wの表面を撮影する撮影部や当該撮影部で撮影された画像信号を処理する画像処理部を備えた画像処理センサ等を用いることもできる。画像処理センサには、各種画像処理カメラを用いることができる。
【0083】
この場合、四つの画像処理センサを用いて集成材Wの検査を行うことも、ミラーを用いて(実像と鏡像を用いて)二つの画像処理センサで検査を行うこともできる。
【0084】
前記実施形態では、説明を省略しているが、各補修ロボット(穴補修ロボット18、段差補修ロボット24、角補修ロボット25)には、補修後の補修面を撮影する補修面撮影手段を設けておくこともできる。
【0085】
この場合、補修面撮影手段で撮影された補修後画像を解析する補修面解析部と、補修面解析部での解析結果に基づいて補修箇所の修正の要否を判定する修正要否判定部を設けることができる。修正要否判定部での判定結果に基づいて修正が必要と判定された場合、各補修ロボットで補修箇所が修正されるようにすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明のワーク補修方法及びワーク補修装置は、各種ワークの補修に用いることができるが、集成材Wをはじめとする各種木材の補修に特に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0087】
11 搬送手段
11a 無端搬送体
11b 無端搬送体
12 ストップシリンダ
12a ストップシリンダ(第一ストップシリンダ)
12b ストップシリンダ(第二ストップシリンダ)
12c ストップシリンダ(第三ストップシリンダ)
12d ストップシリンダ(第四ストップシリンダ)
12e ストップシリンダ(第五ストップシリンダ)
12f ストップシリンダ(第六ストップシリンダ)
12g ストップシリンダ(第七ストップシリンダ)
12h ストップシリンダ(第八ストップシリンダ)
13 回転手段
13A 回転手段(第一回転手段)
13B 回転手段(第二回転手段)
13C 回転手段(第三回転手段)
13D 回転手段(第四回転手段)
13E 回転手段(第五回転手段)
13F 回転手段(第六回転手段)
13a モータ
13b 伝達機構
13c 回転軸
13d 回転羽根
14 端面シリンダ
14A 端面シリンダ(第一端面シリンダ)
14B 端面シリンダ(第二端面シリンダ)
14C 端面シリンダ(第三端面シリンダ)
14D 端面シリンダ(第四端面シリンダ)
14E 端面シリンダ(第五端面シリンダ)
14F 端面シリンダ(第六端面シリンダ)
14G 端面シリンダ(第七端面シリンダ)
15 リニアステージ
16 取付け体
16a 縦材
16b 横材
16c 取付けフランジ
17 検査装置
17A 検査装置(第一検査装置)
17B 検査装置(第二検査装置)
17C 検査装置(第三検査装置)
17D 検査装置(第四検査装置)
17a レーザセンサ
17b 欠陥位置特定部
17c 容積算出部
17d 充填量算出部
17e 制御部
17f 通信部
18 穴補修ロボット
18A 穴補修ロボット(第一穴補修ロボット)
18B 穴補修ロボット(第二穴補修ロボット)
18C 穴補修ロボット(第三穴補修ロボット)
18D 穴補修ロボット(第四穴補修ロボット)
18a 穴補修ハンド
18b 混合ユニット(穴補修用混合ユニット)
18c ミキシングノズル(穴補修用ノズル)
18d 穴用均し治具
19 押さえシリンダ
19A 押さえシリンダ(第一押さえシリンダ)
19B 押さえシリンダ(第二押さえシリンダ)
19C 押さえシリンダ(第三押さえシリンダ)
19D 押さえシリンダ(第四押さえシリンダ)
20 欠陥検査手段
21 補修剤充填ユニット
21A 主剤側供給系
21B 固化剤側供給系
21a 主剤側ポンプユニット
21b 主剤側高圧レギュレータ
21c 主剤側バルブスタンド
21d 主剤側自動ガン
21e 主剤側ヒータホース
21f 主剤側温調盤
21g 主剤容器(ペール缶)
21h 固化剤側ポンプユニット
21i 固化剤側高圧レギュレータ
21j 固化剤側バルブスタンド
21k 固化剤側自動ガン
21m 固化剤側ヒータホース
21n 固化剤側温調盤
21p 固化剤容器(ペール缶)
21r 主剤側高圧ホース
21s 固化剤側高圧ホース
22 昇降シリンダ
22a 昇降シリンダ
22b 昇降シリンダ
23 上段搬送手段
23a 上段無端搬送体
23b 上段無端搬送体
24 段差補修ロボット
24a 段差補修ハンド
24b 混合ユニット(段差補修用混合ユニット)
24c ミキシングノズル(段差補修用ノズル)
24d 段差用均し治具
25 角補修ロボット
25a 角補修ハンド
25b 混合ユニット(角補修用混合ユニット)
25c ミキシングノズル(角補修用ノズル)
25d 角用均し治具
25e 第一均し面
25f 第二均し面
26 押出しシリンダ
26a 押出しシリンダ
26b 押出しシリンダ
27 払出しロボット
27a 把持ハンド
A1 欠陥検査部
A2 穴補修部
A3 下段搬送部
A4 段差・角補修部
A5 払出し部
E1 第一長辺
E2 第二長辺
E3 第三長辺
E4 第四長辺
R 補修剤
S1 第一端面
S2 第二端面
W 集成材
W1 第一面
W2 第二面
W3 第三面
W4 第四面
X1 穴
X2 節
X3 段差
X4 欠け