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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023055520
(43)【公開日】2023-04-18
(54)【発明の名称】エアシャワー装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/06 20060101AFI20230411BHJP
   F24F 8/108 20210101ALI20230411BHJP
   F24F 8/22 20210101ALI20230411BHJP
   A61L 9/16 20060101ALI20230411BHJP
   A61L 9/20 20060101ALI20230411BHJP
   F24F 8/167 20210101ALN20230411BHJP
【FI】
F24F7/06 C
F24F8/108
F24F8/22
A61L9/16 F
A61L9/20
F24F8/167
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021164967
(22)【出願日】2021-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(71)【出願人】
【識別番号】503359821
【氏名又は名称】国立研究開発法人理化学研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】谷口 明
(72)【発明者】
【氏名】滝澤 勇輝
(72)【発明者】
【氏名】北島 信行
(72)【発明者】
【氏名】橋本 真伊知
(72)【発明者】
【氏名】小谷 朋央貴
(72)【発明者】
【氏名】木村 健一
(72)【発明者】
【氏名】久保田 洋
(72)【発明者】
【氏名】和田 智之
(72)【発明者】
【氏名】小川 貴代
【テーマコード(参考)】
3L058
4C180
【Fターム(参考)】
3L058BF04
4C180AA02
4C180AA07
4C180AA16
4C180CC03
4C180DD03
4C180DD09
4C180EB46X
4C180HH05
4C180HH15
4C180HH19
4C180KK04
4C180LL04
4C180LL11
4C180MM10
(57)【要約】
【課題】ウイルスを不活性化または死滅させることができるエアシャワー装置を提供すること。
【解決手段】エアシャワー装置は、第1の側壁部に人が入退可能な扉を含むブースと、ブースに空気を送風する送風ユニットと、を含み、送風ユニットは、ブース内に人が入室しているときに作動する第1の送風ファンと、空気を循環させる第2の送風ファンと、空気を浄化する空気清浄フィルタと、空気清浄フィルタに紫外線を照射する第1の光源と、を含む。エアシャワー装置は、さらに、ブース内を照射する第2の光源を含み、第2の光源は、200nm以上240nm以下の範囲に波長のピークを有する紫外線を照射してもよい。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の側壁部に人が入退可能な扉を含むブースと、
前記ブースに空気を送風する送風ユニットと、を含み、
前記送風ユニットは、
前記ブース内に前記人が入室しているときに作動する第1の送風ファンと、
前記空気を循環させる第2の送風ファンと、
前記空気を浄化する空気清浄フィルタと、
前記空気清浄フィルタに紫外線を照射する第1の光源と、を含む、エアシャワー装置。
【請求項2】
さらに、前記ブース内を照射する第2の光源を含み、
前記第2の光源は、200nm以上240nm以下の範囲に波長のピークを有する紫外線を照射する、請求項1に記載のエアシャワー装置。
【請求項3】
前記第2の光源からの前記紫外線は、前記第1の送風ファンおよび前記第2の送風ファンが停止しているときに照射される、請求項2に記載のエアシャワー装置。
【請求項4】
第1の側壁部に人が入退可能な扉を含むブースと、
前記ブースに空気を送風する送風ユニットと、を含み、
前記送風ユニットは、
前記ブース内に前記人が入室しているときに作動する第1の風量と、定常的に空気を循環させる前記第1の風量よりも少ない第2の風量との切替可能な第1の送風ファンと、
前記空気を浄化する空気清浄フィルタと、
前記空気清浄フィルタに紫外線を照射する第1の光源と、を含む、エアシャワー装置。
【請求項5】
さらに、前記ブース内を照射する第2の光源を含み、
前記第2の光源は、200nm以上240nm以下の範囲に波長のピークを有する紫外線を照射する、請求項4に記載のエアシャワー装置。
【請求項6】
前記第2の光源からの前記紫外線は、前記第1の風量および前記第2の風量の作動が停止しているときに照射される、請求項5に記載のエアシャワー装置。
【請求項7】
前記第2の光源からの前記紫外線は、前記人の入室時および退室後の所定の時間の少なくとも一方において照射される、請求項2または請求項5に記載のエアシャワー装置。
【請求項8】
前記所定の時間は、0.1(秒)以上900(秒)以下である、請求項7に記載のエアシャワー装置。
【請求項9】
前記送風ユニットは、前記ブースの天井部の上方に配置されている、請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載のエアシャワー装置。
【請求項10】
前記送風ユニットは、前記ブースの前記第1の側壁部と異なる第2の側壁部に隣接して配置されている、請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載のエアシャワー装置。
【請求項11】
前記空気清浄フィルタは、前記第1の送風ファンの吸入口側に配置されている、請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載のエアシャワー装置。
【請求項12】
前記空気清浄フィルタは、前記第1の送風ファンの吹出口側に配置されている、請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載のエアシャワー装置。
【請求項13】
前記第1の光源は、前記空気清浄フィルタの入口側に配置されている、請求項1乃至請求項12のいずれか一項に記載のエアシャワー装置。
【請求項14】
前記第1の光源は、前記空気清浄フィルタの出口側に配置されている、請求項1乃至請求項12のいずれか一項に記載のエアシャワー装置。
【請求項15】
前記第1の光源から照射される前記紫外線は、UV-Cである、請求項1乃至請求項14のいずれか一項に記載のエアシャワー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態は、エアシャワー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空気中に浮遊する微粒子または微生物などの数が一定の水準以下となるように管理されたクリーンルームでは、クリールームの入口にエアシャワー装置が設置されている。入室者は、まず、エアシャワー装置の中で衣類などに付着した微粒子または微生物などを吹き飛ばし、クリーンルーム内に入室する。これにより、クリーンルームの清浄度が一定の水準に維持される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
近年では、インフルエンザまたは新型コロナウイルスなどによる感染症の拡大を防ぐため、クリーンルーム以外にも、住宅などの建物の出入口にエアシャワー装置が設置される機会が増加している(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-163108号公報
【特許文献2】特開2019-112813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、感染症の拡大防止という観点においては、エアシャワー装置でウイルスなどを吹き飛ばしただけでは十分ではない。というのも、生きているウイルスが、エアシャワー装置から建物に入り込む可能性がある。そのため、感染症の拡大防止においては、エアシャワー装置でウイルスを吹き飛ばすだけでなく、ウイルスを不活性化または死滅させることが必要である。
【0006】
本発明の一実施形態は、上記問題に鑑み、ウイルスを不活性化または死滅させることができるエアシャワー装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係るエアシャワー装置は、第1の側壁部に人が入退可能な扉を含むブースと、ブースに空気を送風する送風ユニットと、を含み、送風ユニットは、ブース内に人が入室しているときに作動する第1の送風ファンと、空気を循環させる第2の送風ファンと、空気を浄化する空気清浄フィルタと、空気清浄フィルタに紫外線を照射する第1の光源と、を含む。
【0008】
本発明の一実施形態に係るエアシャワー装置は、第1の側壁部に人が入退可能な扉を含むブースと、ブースに空気を送風する送風ユニットと、を含み、送風ユニットは、ブース内に人が入室しているときに作動する第1の風量と、定常的に空気を循環させる第1の風量よりも少ない第2の風量との切替可能な第1の送風ファンと、空気を浄化する空気清浄フィルタと、空気清浄フィルタに紫外線を照射する第1の光源と、を含む。
【0009】
エアシャワー装置は、さらに、ブース内を照射する第2の光源を含み、第2の光源は、200nm以上240nm以下の範囲に波長のピークを有する紫外線を照射してもよい。
【0010】
第2の光源からの紫外線は、第1の送風ファンおよび第2の送風ファンが停止しているときに照射されてもよい。
【0011】
第2の光源からの紫外線は、第1の風量および第2の風量の作動が停止しているときに照射されてもよい。
【0012】
第2の光源からの紫外線は、人の入室時および退室後の所定の時間の少なくとも一方において照射されてもよい。
【0013】
所定の時間は、0.1(秒)以上900(秒)以下であってもよい。
【0014】
送風ユニットは、ブースの天井部の上方に配置されていてもよい。送風ユニットは、ブースの第1の側壁部と異なる第2の側壁部に隣接して配置されていてもよい。
【0015】
空気清浄フィルタは、第1の送風ファンの吸入口側に配置されていてもよい。空気清浄フィルタは、第1の送風ファンの吹出口側に配置されていてもよい。
【0016】
第1の光源は、空気清浄フィルタの入口側に配置されていてもよい。第1の光源は、空気清浄フィルタの出口側に配置されていてもよい。
【0017】
第1の光源から照射される紫外線は、UV-Cであってもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明の一実施形態に係るエアシャワー装置は、人の衣類などに付着したウイルスを不活性化または死滅させることができるため、生きているウイルスの拡散を防止し、感染症の拡大を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係るエアシャワー装置の外観を説明する模式図である。
図2】本発明の一実施形態に係るエアシャワー装置の内部を説明する模式図である。
図3】本発明の一実施形態に係るエアシャワー装置の送風ユニットの構成を説明する模式図である。
図4】本発明の一実施形態に係るエアシャワー装置の内部を説明する模式図である。
図5】本発明の一実施形態に係るエアシャワー装置の送風ユニットの構成を説明する模式図である。
図6】本発明の一実施形態に係るエアシャワー装置の内部を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の各実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、実施形態はあくまで一例にすぎず、当業者が、発明の主旨を保ちつつ適宜変更することによって容易に想到し得るものについても、当然に本発明の範囲に含まれる。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、または形状などが模式的に表される場合がある。しかし、図示された形状などはあくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0021】
本明細書において、説明の便宜上、「上」もしくは「上方」または「下」もしくは「下方」という語句を用いて説明するが、これらの語句は各構成の上下関係を説明しているに過ぎない。例えば、構造物が設置される場合、構造物が通常設置される設置面側を「下」または「下方」とする。
【0022】
本明細書において、各構成に付記される「第1」、「第2」、または「第3」などの文字は、各構成を区別するために用いられる便宜的な標識であり、特段の説明がない限り、それ以上の意味を有さない。
【0023】
本明細書および図面において、同一または類似する複数の構成を総じて表記する際には同一の符号を用い、これらの複数の構成のそれぞれを区別して表記する際には、大文字のアルファベットを添えて表記する場合がある。また、1つの構成のうちの複数の部分を区別して表記する際には、ハイフンと自然数を用いる場合がある。
【0024】
<第1実施形態>
図1図3を参照して、本発明の一実施形態に係るエアシャワー装置10について説明する。
【0025】
図1および図2は、それぞれ、本発明の一実施形態に係るエアシャワー装置10の外観および内部を説明する模式図である。図1および図2に示すように、エアシャワー装置10は、ブース100、送風ユニット200、ダクト300、および制御部400を含む。
【0026】
ブース100は、床部、天井部、および4つの側壁部によって囲まれた箱体状を有する。図1に示すように、ブース100は、4つの側壁部の中の1つ(第1の側壁部)に人が入退可能な扉110を有する。そのため、利用者は、扉110から入室し、ブース100内で空気が吹き付けられて、扉110から退室する。ブース100内で空気が吹き付けられることにより、利用者の頭髪、衣類、または靴などに付着した微粒子またはウイルスを除去することができる。なお、扉110は、外部から視認することができるように透光性を有していてもよい。扉110として、例えば、アクリル板を用いることができる。
【0027】
エアシャワー装置10の隣接する2つの側壁部は、必ずしも角部を有して接続されていなくてもよい。2つの側壁部は、湾曲しながら連続的に接続されていてもよい。そのため、ブース100の形状は、箱体状に限られない。ブース100の形状は、円柱体状または楕円柱体状であってもよい。
【0028】
なお、エアシャワー装置10の一変形例として、ブース100の2つの側壁部(第1の側壁部および第1の側壁部と対面する第3の側壁部)に扉110が設けられる構成であってもよい。この場合、利用者は、第1の側壁部に設けられた扉110から入室し、第2の側壁部に設けられた扉110から退室することができる。
【0029】
ブース100の内部は、一人の人が留まることができる空間を有するが、これに限定されない。ブース100の内部は、複数の人が留まることができる空間を有していてもよい。
【0030】
図2に示すように、ブース100の天井部には、後述する送風ユニット200の吹出口の出口が連通されるように設けられている。送風ユニット200から送風された空気は、吹出口を通じてブース100内に吹き出される。
【0031】
また、図2に示すように、ブース100の床部には、グレーチング120が設けられている。送風ユニット200からブース100内に吹き出された空気は、除去された微粒子またはウイルスとともに、グレーチング120から排出される。
【0032】
また、図2に示すように、ブース100の側壁部には、センサ130が設置されている。センサ130は、ブース100内の人を感知することができる。センサ130として、例えば、赤外線センサなどを用いることができる。なお、センサ130の設置位置は、側壁部に限られない。センサ130は、天井部または床部に設置されていてもよい。
【0033】
送風ユニット200は、ブース100の天井部の上方に配置されている。換言すると、送風ユニット200は、ブース100の天井部に隣接して配置されている。送風ユニット200は、ブース100に空気を送風し、またはブース100内の空気を循環することができる。なお、送風ユニット200の構成の詳細は後述する。
【0034】
ダクト300は、ブース100の側壁部の側方に配置されている。ダクト300は、ブース100の側壁部と隣接して配置され、ブース100および送風ユニット200に接続されている。具体的には、ダクト300の一端は、グレーチング120の下方の空間と接続され、ダクト300の他端は、送風ユニット200の開口部と接続されている。ダクト300は、ブース100から排出された空気を送風ユニット200に戻すための配管である。すなわち、ブース100内の空気は、ブース100の床部に設けられたグレーチング120から排出され、ダクト300を通って送風ユニット200に再び供給される。
【0035】
なお、エアシャワー装置10の一変形例として、エアシャワー装置10は、ダクト300を含まない構成であってもよい。この場合、エアシャワー装置10は、例えば、建物などに設置された配管に接続されて使用される。すなわち、ブース100内の空気は、外部の配管を通じて循環される。
【0036】
制御部400は、データまたは情報を用いて演算処理を行うことができるコンピュータである。制御部400は、例えば、中央演算処理装置(Central Processing Unit:CPU)、マイクロプロセッサ(Micro Processing Unit:MPU)、またはランダムアクセスメモリ(Random Access Memory:RAM)などを含む。具体的には、制御部400は、プログラムを実行し、センサ130の検出信号を受信し、送風ユニット200を制御することができる。なお、制御部400は、ブース100の天井部、床部、または側壁部に、制御ボックスのような構成で配置することができるが、これに限定されない。
【0037】
図3は、本発明の一実施形態に係るエアシャワー装置10の送風ユニット200の構成を説明する模式図である。図3に示すように、送風ユニット200は、空気清浄フィルタ210、第1の光源220、第1の送風ファン230、第2の送風ファン240、送風管250、吹出口260、およびイオナイザー270を含む。
【0038】
空気清浄フィルタ210は、フィルタ繊維を含み、フィルタ繊維でブース100内で除去された微粒子またはウイルスを捕集することができる。すなわち、循環する空気は、空気清浄フィルタ210を通過することによって浄化される。空気清浄フィルタ210として、例えば、HEPAフィルタまたはULPAフィルタなどを用いることができる。また、空気清浄フィルタ210は、フィルタ繊維に酵素が固定化された殺菌空気清浄フィルタであってもよい。この場合、フィルタ繊維に捕集されたウイルスは、酵素によって分解される。すなわち、ウイルスを死滅させることができる。また、空気清浄フィルタ210には、光触媒パネルが設置されていてもよい。
【0039】
第1の光源220は、空気清浄フィルタ210に紫外線を照射することができる。第1の光源220から空気清浄フィルタ210に紫外線が照射されることにより、空気清浄フィルタ210のフィルタ繊維に捕集されたウイルスを不活性化することができる。ウイルスの不活性化は、ウイルスが、紫外線によって損傷したことに起因するものである。また、空気清浄フィルタ210に光触媒パネルが設置されている場合には、光触媒パネルにも紫外線が照射されることにより、光触媒を活性化させ、空気清浄フィルタ210を通過する空気を浄化(例えば、消臭など)することができる。第1の光源220として、例えば、紫外線LEDなどを用いることができる。
【0040】
第1の光源220から照射される紫外線は、100nm以上280nm以下の範囲に波長のピークを有するUV-Cであることが好ましい。紫外線の中でも、UV-Cは、フィルタ繊維に捕集されたウイルスを不活性化させる効果が高い。また、空気清浄フィルタ210に光触媒パネルが設置されている場合、第1の光源220から照射される紫外線は、315nm以上400nm以下の範囲に波長のピークを有するUV-Aであることが好ましい。紫外線の中でも、UV-Aは、光触媒を活性化させる効果が高い。
【0041】
第1の光源220は、UV-Cを照射する紫外線LEDおよびUV-Aを照射する紫外線LEDの少なくとも1つを含んでいればよく、UV-Cを照射する紫外線LEDおよびUV-Aを照射する紫外線LEDの両方を含んでいてもよい。第1の光源220に、UV-Cを照射する紫外線LEDおよびUV-Aを照射する紫外線LEDの両方が含まれる場合、UV-Cを照射する紫外線LEDとUV-Aを照射する紫外線LEDとが異なる位置に設置されていてもよい。
【0042】
第1の光源220は、常に、空気清浄フィルタ210に紫外線を照射してもよいが、制御部400によって制御されてもよい。例えば、制御部400は、ブース100内に人が入室している場合に、第1の光源220から空気清浄フィルタ210に紫外線を照射してもよい。また、制御部400は、第2の送風ファン240が作動しているときに、第1の光源220から空気清浄フィルタ210に紫外線を照射してもよい。
【0043】
第1の送風ファン230は、ブース100内に人が入室している場合に作動し、ブース100に風量の多い空気を送風することができる。すなわち、第1の送風ファン230は、ブース100内の人の頭髪、衣類、または靴などに付着した微粒子またはウイルスを吹き飛ばす風量で空気を循環させることができる。なお、第1の送風ファン230の作動のタイミングおよび時間は、制御部400によって制御される。
【0044】
第2の送風ファン240は、ブース100内に人が入室していない場合に作動し、ブース100内の空気を循環させることができる。第2の送風ファン240は、第1の送風ファン230よりも小型であり、第2の送風ファン240の風量は、第1の送風ファン230の風量よりも少ない。そのため、第2の送風ファン240は、定常的にブース100内の空気を循環させることができる。但し、第2の送風ファン240の作動は、これに限られない。第2の送風ファン240は、ブース100内に人が入室していない場合に停止していてもよく、ブース100内に人が入室している場合に第1の送風ファン230とともに停止していてもよい。
【0045】
送風管250は、空気清浄フィルタ210によって浄化された空気をブース100に送風することができる。すなわち、送風管250の入口は、第1の送風ファン230および第2の送風ファン240の吹出口側に設けられ、送風管250の出口は、ブース100と連通される吹出口260と接続されている。第1の送風ファン230または第2の送風ファン240から吹き出された空気は、送風管250を通って吹出口260から吹き出される。
【0046】
吹出口260は、送風管250の出口に接続され、ブース100側に、送風管250の直径よりも小さい直径の開口を有する。送風管250を通過した空気は、吹出口260の開口によって絞られてブース100内に吹き出される。
【0047】
イオナイザー270は、吹出口260の近傍に設置され、吹出口260から吹き出される空気を除電することができる。これにより、ブース100内には除電された空気が送風されるため、微粒子またはウイルスの静電気に起因する再付着を防止することができる。なお、イオナイザー270の数は、特に限定されない。イオナイザー270は、複数の吹出口260のうちの少なくとも1つの近傍に設けられていればよい。
【0048】
ここで、送風ユニット200内の空気の流れについて説明する。図3の中の矢印は、空気の流れを表している。
【0049】
ダクト300を通った空気は、まず、空気清浄フィルタ210を通過する。空気清浄フィルタ210の入口側の空間と出口側の空間とは離隔されており、空気清浄フィルタ210によって浄化された空気は、浄化前の空気と混合されない。また、第1の光源220が、空気清浄フィルタ210の入口側に配置されており、第1の光源220から照射される紫外線により、空気清浄フィルタ210に捕集されたウイルスが不活性化される。したがって、浄化された空気は、生きているウイルスが低減された空気となる。
【0050】
空気清浄フィルタ210は、第1の送風ファン230および第2の送風ファン240の吸入口側に配置されている。そのため、浄化された空気は、第1の送風ファン230または第2の送風ファン240の吸入口から入り、吹出口から吹き出される。第1の送風ファン230または第2の送風ファン240の吹出口から吹き出された空気は、送風管250を通り、吹出口260からブース100内に吹き出される。
【0051】
以上、説明したように、本発明の一実施形態に係るエアシャワー装置10は、微粒子またはウイルスを捕集することができるだけでなく、空気清浄フィルタ210に第1の光源220から紫外線を照射することによって、捕集されたウイルスを不活性化または死滅させることができる。そのため、建物の出入口にエアシャワー装置10を設置することにより、建物に入り込むウイルスを低減し、建物内での感染症の拡大を防止することができる。
【0052】
<第2実施形態>
図4および図5を参照して、本発明の一実施形態に係るエアシャワー装置10Aについて説明する。なお、以下では、エアシャワー装置10Aの構成がエアシャワー装置10の構成と同様であるとき、エアシャワー装置10Aの構成の説明を省略する場合がある。
【0053】
図4は、本発明の一実施形態に係るエアシャワー装置10Aの内部を説明する模式図である。図4に示すように、エアシャワー装置10Aは、ブース100A、送風ユニット200A、ダクト300、および制御部400を含む。エアシャワー装置10Aでは、送風ユニット200Aは、ブース100Aの天井部の上方に配置されている。
【0054】
また、図4に示すように、ブース100Aの側壁部の下方には、吹込口140Aが設けられている。送風ユニット200Aからブース100A内に吹き出された空気は、除去された微粒子またはウイルスとともに、吹込口140Aから排出される。すなわち、吹込口140Aは、ダクト300の一端と接続されている。なお、吹込口140Aには、空気清浄フィルタ210で捕集される微粒子よりも大きい微粒子が捕集されるように、フィルタが設けられていてもよい。
【0055】
図5は、本発明の一実施形態に係るエアシャワー装置10Aの送風ユニット200Aの構成を説明する模式図である。図5に示すように、送風ユニット200Aは、空気清浄フィルタ210、第1の光源220、第1の送風ファン230、第2の送風ファン240、吹出口260A、およびイオナイザー270を含む。
【0056】
送風ユニット200Aでは、第1の送風ファン230および第2の送風ファン240の各々に、空気清浄フィルタ210および第1の光源220が配置されている。
【0057】
ここで、送風ユニット200A内の空気の流れについて説明する。図5の中の矢印は、空気の流れを表している。
【0058】
ダクト300を通った空気は、まず、第1の送風ファン230または第2の送風ファン240を通過する。すなわち、ダクト300を通った空気は、第1の送風ファン230または第2の送風ファン240の吸入口から入り、第1の送風ファン230または第2の送風ファン240の吹出口から吹き出される。
【0059】
空気清浄フィルタ210は、第1の送風ファン230または第2の送風ファン240の吹出口側に配置されており、第1の送風ファン230または第2の送風ファン240の吹出口から吹き出された空気は、空気清浄フィルタ210を通過する。空気清浄フィルタ210の入口側の空間と出口側の空間とは離隔されており、空気清浄フィルタ210によって浄化された空気は、浄化前の空気と混合されない。また、第1の光源220が、空気清浄フィルタ210の出口側に配置されており、第1の光源220から照射される紫外線により、空気清浄フィルタ210に捕集されたウイルスが不活性化される。したがって、浄化された空気は、生きているウイルスが低減された空気となる。
【0060】
空気清浄フィルタ210によって浄化された空気は、吹出口260Aからブース100A内に吹き出される。
【0061】
以上、説明したように、本発明の一実施形態に係るエアシャワー装置10Aは、微粒子またはウイルスを捕集することができるだけでなく、空気清浄フィルタ210に第1の光源220から紫外線を照射することによって、捕集されたウイルスを不活性化または死滅させることができる。そのため、建物の出入口にエアシャワー装置10Aを設置することにより、建物に入り込むウイルスを低減し、建物内での感染症の拡大を防止することができる。
<第3実施形態>
図6を参照して、本発明の一実施形態に係るエアシャワー装置10Bについて説明する。なお、以下では、エアシャワー装置10Bの構成がエアシャワー装置10の構成と同様であるとき、エアシャワー装置10Bの構成の説明を省略する場合がある。
【0062】
図6は、本発明の一実施形態に係るエアシャワー装置10Bの内部を説明する模式図である。図6に示すように、エアシャワー装置10Bは、ブース100B、送風ユニット200B、および制御部400を含む。エアシャワー装置10Bでは、送風ユニット200Bは、ブース100Bの扉110が設けられた第1の側壁部と異なる第2の側壁部に隣接して配置されている。
【0063】
図6に示すように、ブース100Bには、複数の第2の光源150Bが設けられている。第2の光源150Bは、側壁部に設けられていてもよく、天井部に設けられていてもよい。また、第2の光源150Bは、ブース100Bの側壁部または天井部に埋設されていてもよい。
【0064】
第2の光源150Bは、ブース100B内の人に向けて紫外線を照射することができる。第2の光源150Bから人に向けて紫外線が照射されることにより、人の衣類などに付着している、または人の衣類から吹き飛ばされたウイルスを不活性化することができる。第2の光源150Bから照射される紫外線は、200nm以上240nm以下の範囲に波長のピークを有する紫外線であることが好ましい。200nm以上240nm以下の範囲に波長のピークを有する紫外線は、人に対する安全性が確保され、かつ、ウイルスを不活性化することができる。第2の光源150Bとして、例えば、紫外線LEDなどを用いることができる。
【0065】
なお、第2の光源150Bは、ブース100B内に人が入室していない場合においても、ブース100B内に紫外線を照射することができる。例えば、ブース100B内から人が退室した後に、第2の光源150Bは、所定の時間、ブース100B内に紫外線を照射することできる。これにより、人がブース100B内から退室した後においても、ブース100B内に残存するウイルスを不活性化することができる。なお、所定の時間は、0.1(秒)以上900(秒)以下であり、好ましくは0.1(秒)以上180(秒)以下である。この時間の紫外線照射であれば、ウイルスを十分に不活性化することができる。
【0066】
また、図6に示すように、送風ユニット200Bは、空気清浄フィルタ210、第1の光源220、第1の送風ファン230B、吹出口260B、およびイオナイザー270を含む。
【0067】
第1の送風ファン230Bは、ポールチェンジモータを含み、ファンの回転数を調整することができる。換言すると、第1の送風ファン230Bは、風量を調整することができる。そのため、第1の送風ファン230Bは、ブース100B内に人が入室しているときは、風量を多くし、ブース100B内に人が入室していないときは、風量を少なくすることができる。すなわち、第1の送風ファン230Bは、ブース100B内に人が入室しているときは、人に付着した微粒子およびウイルスを吹き飛ばす第1の風量で作動する一方、定常的には、第1の風量よりも少ない第2の風量で空気を循環させる。なお、第1の送風ファン230Bの風量調整は、制御部400によって制御されてもよい。
【0068】
上述したように、第2の光源150Bは、ブース100B内の人に紫外線を照射することができるが、ブース100B内に人が入室し、第1の送風ファン230Bが第1の風量で作動する前に第2の光源150Bによる紫外線の照射が行われてもよい。すなわち、第2の光源150Bからの紫外線の照射は、第2の風量で作動しているときに照射されてもよい。
【0069】
なお、第1の送風ファン230Bの作動は、上述したものに限られない。第1の送風ファン230Bは、ブース100B内に人が入室していない場合に停止していてもよく、ブース100内に人が入室している場合に停止していてもよい。例えば、ブース100B内に人が入室している場合において、第2の光源150Bから人に向けて紫外線が照射されているときに、第1の送風ファン230Bが停止していてもよい。
【0070】
吹出口260Bは、ブース100の天井部または側壁部に設けられている。ブース100Bの床部には、吹込口140Bが設けられている。また、ブース100Bの第2の側壁部の下方または底部には、吹込口140Bが設けられている。送風ユニット200Bから送風された空気は、吹出口260Bを通じてブース100B内に吹き出され、除去された微粒子またはウイルスとともに、吹込口140Bから排出される。なお、吹込口140Bは、送風ユニット200Bと直接接続されていてもよく、ダクトを介して接続されていてもよい。
【0071】
ここで、送風ユニット200B内の空気の流れについて説明する。図6の中の矢印は、空気の流れを表している。
【0072】
床部の吹込口140Bから排出された空気は、側壁部に設けられた開口を介して、側壁部の吹込口140Bから排出された空気と合流して、第1の送風ファン230Bを通過する。すなわち、吹込口140Bから排出された空気は、第1の送風ファン230Bの吸入口から入り、第1の送風ファン230Bの吹出口から吹き出される。
【0073】
空気清浄フィルタ210は、第1の送風ファン230Bの吹出口側に配置されており、第1の送風ファン230Bの吹出口から吹き出された空気は、空気清浄フィルタ210を通過する。空気清浄フィルタ210の入口側の空間と出口側の空間とは離隔されており、空気清浄フィルタ210によって浄化された空気は、浄化前の空気と混合されない。また、第1の光源220が、空気清浄フィルタ210の出口側に配置されており、第1の光源220から照射される紫外線により、空気清浄フィルタ210に捕集されたウイルスが不活性化される。したがって、浄化された空気は、生きているウイルスが低減された空気となる。
【0074】
空気清浄フィルタ210によって浄化された空気は、吹出口260Bからブース100B内に吹き出される。
【0075】
以上、説明したように、本発明の一実施形態に係るエアシャワー装置10Bは、微粒子またはウイルスを捕集することができるだけでなく、空気清浄フィルタ210に第1の光源220から紫外線を照射することによって、捕集されたウイルスを不活性化または死滅させることができる。また、エアシャワー装置10Bは、ブース100B内の人に第2の光源150Bから紫外線を照射することによって、人の衣類などに付着している、または人の衣類から吹き飛ばされたウイルスを不活性化することができる。そのため、建物の出入口にエアシャワー装置10Bを設置することにより、建物に入り込むウイルスを低減し、建物内での感染症の拡大を防止することができる。
【0076】
本発明の実施形態は、相互に矛盾しない限りにおいて、適宜構成を組み合わせて実施することができる。例えば、第1実施形態に係るエアシャワー装置10または第2実施形態に係るエアシャワー装置10Aに、第3実施形態で説明した第2の光源150Bが設置されていてもよい。この場合、ブース100またはブース100A内に人が入室しているときに、第2の送風ファン240は、所定の時間停止していてもよい。具体的には、第2の光源150Bから紫外線が照射されているとき、第2の送風ファン240は、第1の送風ファン230とともに停止していてもよい。この場合、ブース100またはブース100A内の空気が循環されないため、人の衣類などに付着している微粒子またはウイルスの飛散を防止することができ、第2の光源150Bから照射される紫外線によって、効果的にウイルスを不活性化することができる。
【0077】
また、実施形態を基にして、当業者が適宜構成の追加、削除、もしくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略、もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0078】
上述した実施形態によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、または、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0079】
10、10A、10B:エアシャワー装置、 100、100A、100B:ブース、 110:扉、 120:グレーチング、 130:センサ、 140A、140B:吹込口、 150B:第2の光源、 200、200A、200B:送風ユニット、 210:空気清浄フィルタ、 220:第1の光源、 230、230B:第1の送風ファン、 240:第2の送風ファン、 250:送風管、 260、260A、260B:吹出口、 270:イオナイザー
図1
図2
図3
図4
図5
図6