(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023055523
(43)【公開日】2023-04-18
(54)【発明の名称】ビーム整形レンズ、ビーム整形素子、内視鏡用光源装置、および、内視鏡
(51)【国際特許分類】
A61B 1/07 20060101AFI20230411BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20230411BHJP
G02B 23/26 20060101ALI20230411BHJP
G02B 21/06 20060101ALI20230411BHJP
G02B 13/00 20060101ALI20230411BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20230411BHJP
F21V 7/00 20060101ALI20230411BHJP
F21V 5/04 20060101ALI20230411BHJP
F21V 8/00 20060101ALI20230411BHJP
G02B 15/14 20060101ALI20230411BHJP
G02B 27/09 20060101ALI20230411BHJP
F21W 131/205 20060101ALN20230411BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20230411BHJP
【FI】
A61B1/07 731
A61B1/00 511
G02B23/26 B
G02B21/06
G02B13/00
F21S2/00 610
F21V7/00 570
F21V5/04 100
F21V8/00 200
G02B15/14
G02B27/09
F21W131:205
F21Y115:30
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021164970
(22)【出願日】2021-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】391009936
【氏名又は名称】株式会社住田光学ガラス
(71)【出願人】
【識別番号】319016932
【氏名又は名称】ニレック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100195556
【弁理士】
【氏名又は名称】柿沼 公二
(74)【代理人】
【識別番号】100147692
【弁理士】
【氏名又は名称】下地 健一
(72)【発明者】
【氏名】大竹 潤
(72)【発明者】
【氏名】渡部 洋己
(72)【発明者】
【氏名】弟月 英児
(72)【発明者】
【氏名】竹永 祐一
【テーマコード(参考)】
2H040
2H052
2H087
4C161
【Fターム(参考)】
2H040BA09
2H040CA04
2H040CA09
2H040CA11
2H052AA09
2H052AC26
2H052AC34
2H087KA09
2H087KA10
2H087LA24
2H087LA25
2H087LA26
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2H087PA17
2H087PB01
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2H087PB04
2H087QA01
2H087QA03
2H087QA05
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2H087QA16
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2H087QA36
2H087QA37
2H087QA41
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2H087QA45
2H087RA03
2H087RA45
4C161GG01
4C161JJ11
4C161QQ02
4C161QQ04
4C161QQ07
(57)【要約】
【課題】より均一な光強度分布を有する照明光を生成する。
【解決手段】ビーム整形レンズは、形状が滑らかに変化する凹面を含む第1の面と、前記凹面と略相似形状の凸面を含む第2の面とを有し、前記第1の面に入射した外周部から中心部に向けて連続的に増加する光強度分布を有する平行光である第1の光ビームを、前記第1の光ビームより平坦な光強度分布を有する平行光である第2の光ビームに変換する
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
滑らかな形状の凹面を含む第1の面と、
前記凹面と略相似形状の凸面を含む第2の面とを有し、
前記第1の面に入射した外周部から中心部に向けて連続的に増加する光強度分布を有する平行光である第1の光ビームを、前記第1の光ビームより平坦な光強度分布を有する平行光である第2の光ビームに変換する、ビーム整形レンズ。
【請求項2】
前記第1の面および前記第2の面は、同一の中心軸周りに軸対称であり、前記第1の面および前記第2の面は、前記第1の面に前記中心軸に平行な方向に入射した光線が、前記第2の面から前記中心軸に平行な方向に射出するように構成される、請求項1に記載のビーム整形レンズ。
【請求項3】
前記第1の面および前記第2の面は外周部で平坦であり、前記凹面および前記凸面はそれぞれ前記第1の面の外周部および前記第2の面の外周部と滑らかにつながっている、請求項1または2に記載のビーム整形レンズ。
【請求項4】
ガウシアン型またはランバート型の光強度分布を有する前記第1の光ビームを、トップハット型の光強度分布を有する前記第2の光ビームに変換するように構成される、請求項1から3の何れか一項に記載のビーム整形レンズ。
【請求項5】
重ねて配置された複数のビーム整形レンズを含むビーム整形素子であって、
前記ビーム整形レンズは、滑らかな形状の凹面を含む第1の面、および、前記凹面と略相似形状の凸面を含む第2の面とを有し、前記第1の面に入射した外周部から中心部に向けて連続的に増加する光強度分布を有する平行光である第1の光ビームを、前記第1の光ビームより平坦な光強度分布を有する平行光である第2の光ビームに変換する、
ビーム整形素子。
【請求項6】
第1の光源部と、
前記第1の光源部から射出された光を平行光である第1の光ビームに変換する第1のコリメート光学系と、
滑らかな形状の凹面を含む第1の面、および、前記凹面と略相似形状の凸面を含む第2の面とを有し、前記第1の面に入射した外周部から中心部に向けて連続的に増加する光強度分布を有する前記第1の光ビームを、前記第1の光ビームより平坦な光強度分布を有する平行光である第2の光ビームに変換する第1のビーム整形レンズと、
を備える内視鏡用光源装置。
【請求項7】
前記第1のコリメート光学系は、負の屈折力を有する第1のレンズと正の屈折力を有する第2のレンズとを含み、前記第1のレンズおよび前記第2のレンズの位置を連動して調整可能に構成されるズーム光学系を備える、請求項6に記載の内視鏡用光源装置。
【請求項8】
前記第1の光源部は、波長範囲が同一の光を射出する複数の光源と、それぞれの前記光源から射出された光を導光する複数の光ファイバと、前記複数の光ファイバの前記複数の光の射出側の端部を揃えて保持する光ファイバ終端保持部とを備える、請求項6または7に記載の内視鏡用光源装置。
【請求項9】
前記第1の光源部とは波長範囲の異なる光を射出する第2の光源部と、
前記第2の光源部から射出された光を平行光である第3の光ビームに変換する第2のコリメート光学系と、
滑らかな形状の凹面を含む第3の面、および、前記凹面と略相似形状の凸面を含む第4の面とを有し、前記第3の面に入射した外周部から中心部に向けて連続的に増加する光強度分布を有する前記第3の光ビームを、前記第3の光ビームより平坦な光強度分布を有する平行光である第4の光ビームに変換する第2のビーム整形レンズと、
前記第1のビーム整形レンズから射出した前記第2の光ビームと、前記第2のビーム整形レンズから射出した前記第4の光ビームとを合波する合波部と、
前記合波部で合波された前記第2の光ビームと前記第4の光ビームとを、内視鏡に導光するライトガイドに結合させる集光レンズと
を備える、請求項6に記載の内視鏡用光源装置。
【請求項10】
前記合波部はダイクロイックミラーを含む、請求項9に記載の内視鏡用光源装置。
【請求項11】
前記第1の光源部は白色光源を含み、前記第2の光源部は蛍光観察用の励起用光源を含む、請求項9または10に記載の内視鏡用光源装置。
【請求項12】
前記第2のコリメート光学系は、負の屈折力を有する第1のレンズと正の屈折力を有する第2のレンズとを含み、前記第1のレンズおよび前記第2のレンズの位置を連動して調整可能に構成されるズーム光学系を備える、請求項9から11の何れか一項に記載の内視鏡用光源装置。
【請求項13】
前記第2の光源部は、波長範囲が同一の光を射出する複数の光源と、それぞれの前記光源から射出された光を導光する複数の光ファイバと、前記複数の光ファイバの前記複数の光の射出側の端部を揃えて保持する光ファイバ終端保持部を備える、請求項9から12の何れか一項に記載の内視鏡用光源装置。
【請求項14】
前記第2のコリメート光学系の合成焦点距離は10mm以内であり、前記合波部は前記第2のビーム整形レンズから射出した前記第4の光ビームの所定の入射方向から±5°以内のずれを許容し、前記光ファイバ終端保持部の前記複数の光ファイバの射出側端部を収容する穴径は、1.2mm以下である、請求項13に記載の内視鏡用光源装置。
【請求項15】
第1の光源部、前記第1の光源部から射出された光を平行光である第1の光ビームに変換する第1のコリメート光学系、および、滑らかな形状の凹面を含む第1の面、および、前記凹面と略相似形状の凸面を含む第2の面とを有し、前記第1の面に入射した外周部から中心部に向けて連続的に増加する光強度分布を有する前記第1の光ビームを、前記第1の光ビームより平坦な光強度分布を有する平行光である第2の光ビームに変換する第1のビーム整形レンズ、を含む内視鏡用光源装置を備える内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビーム整形レンズ、ビーム整形素子、内視鏡用光源装置、および、内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡診断において、白色光を用いて組織表層の観察を行う一般診断と、特殊な波長範囲域の光を励起光として用いて生体深部の蛍光を観察する蛍光観察とが行われている。例えば、特許文献1および2では、光源装置において白色光および励起光であるレーザ光を合波して、内視鏡用の光源として使用している。また、引用文献3では、複数のレーザ光源からの光を束ねて蛍光観察に用いる内視鏡用の光源装置において、照明光のスペックルを低減する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-62326号公報
【特許文献2】特開2016-2302号公報
【特許文献3】特開2009-240560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、近年、内視鏡の画角が広がることにより生体組織の広範囲な観察が可能になってきた。しかし、内視鏡で使用されるLED(light emitting diode)およびレーザ等の光源は、外周部から中心に向かって強度が高くなる光強度分布を有している。これらの光を用いて広画角で内視鏡観察を行おうとすると、視野の中心部が明るく外周部が暗くなってしまう。外周部を明るくするため、光源の出力を高くすると、中心部の光強度が高くなり過ぎて、観察対象の生体組織を損傷させる虞がある。このため、従来の内視鏡用光源では、生体組織を広範囲で正確に観察をすることが困難な場合がある。
【0005】
したがって、これらの点に着目してなされた本開示の目的は、より均一な光強度分布を有する照明光を生成することができる、ビーム整形レンズ、ビーム整形素子、内視鏡用光源装置、および、この内視鏡用光源装置を備える内視鏡を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、外周部から中心部に向けて連続的に増加する光強度分布を有する第1の光ビームを、入射光よりも平坦な光強度分布を有する第2の光ビームに変換するビーム整形レンズを用いることにより、上記目的が達成できることを見出した。
【0007】
すなわち、上記目的を達成するビーム整形レンズは、滑らかな形状の凹面を含む第1の面と、前記凹面と略相似形状の凸面を含む第2の面とを有し、前記第1の面に入射した外周部から中心部に向けて連続的に増加する光強度分布を有する平行光である第1の光ビームを、前記第1の光ビームより平坦な光強度分布を有する平行光である第2の光ビームに変換することを特徴とする。
【0008】
上記ビーム整形レンズは、前記第1の面および前記第2の面が、同一の中心軸周りに軸対称であり、前記第1の面および前記第2の面は、前記第1の面に前記中心軸に平行な方向に入射した光線が、前記第2の面から前記中心軸に平行な方向に射出するように構成されることが好ましい。
【0009】
上記ビーム整形レンズは、前記第1の面および前記第2の面が外周部で平坦であり、前記凹面および前記凸面がそれぞれ前記第1の面の外周部および前記第2の面の外周部と滑らかにつながっていることが好ましい。
【0010】
上記ビーム整形レンズは、ガウシアン型またはランバート型の光強度分布を有する前記第1の光ビームを、トップハット型の光強度分布を有する前記第2の光ビームに変換するように構成されることが好ましい。
【0011】
上記目的を達成するビーム整形素子は、重ねて配置された複数のビーム整形レンズを含むビーム整形素子であって、前記ビーム整形レンズは、滑らかな形状の凹面を含む第1の面、および、前記凹面と略相似形状の凸面を含む第2の面とを有し、前記第1の面に入射した外周部から中心部に向けて連続的に増加する光強度分布を有する平行光である第1の光ビームを、前記第1の光ビームより平坦な光強度分布を有する平行光である第2の光ビームに変換することを特徴とする。
【0012】
上記目的を達成する内視鏡用光源装置は、第1の光源部と、前記第1の光源部から射出された光を平行光である第1の光ビームに変換する第1のコリメート光学系と、滑らかな形状の凹面を含む第1の面、および、前記凹面と略相似形状の凸面を含む第2の面とを有し、前記第1の面に入射した外周部から中心部に向けて連続的に増加する光強度分布を有する前記第1の光ビームを、前記第1の光ビームより平坦な光強度分布を有する平行光である第2の光ビームに変換する第1のビーム整形レンズとを備えることを特徴とする。
【0013】
上記内視鏡用光源装置は、前記第1のコリメート光学系が、負の屈折力を有する第1のレンズと正の屈折力を有する第2のレンズとを含み、前記第1のレンズおよび前記第2のレンズの位置を連動して調整可能に構成されるズーム光学系を備えることが好ましい。
【0014】
上記内視鏡用光源装置は、前記第1の光源部が、波長範囲が同一の光を射出する複数の光源と、それぞれの前記光源から射出された光を導光する複数の光ファイバと、前記複数の光ファイバの前記複数の光の射出側の端部を揃えて保持する光ファイバ終端保持部とを備えることが好ましい。
【0015】
上記内視鏡用光源装置は、前記第1の光源部とは波長範囲の異なる光を射出する第2の光源部と、前記第2の光源部から射出された光を平行光である第3の光ビームに変換する第2のコリメート光学系と、滑らかな形状の凹面を含む第3の面、および、前記凹面と略相似形状の凸面を含む第4の面とを有し、前記第3の面に入射した外周部から中心部に向けて連続的に増加する光強度分布を有する前記第3の光ビームを、前記第3の光ビームより平坦な光強度分布を有する平行光である第4の光ビームに変換する第2のビーム整形レンズと、前記第1のビーム整形レンズから射出した前記第2の光ビームと、前記第2のビーム整形レンズから射出した前記第4の光ビームとを合波する合波部と、前記合波部で合波された前記第2の光ビームと前記第4の光ビームとを、内視鏡に導光するライトガイドに結合させる集光レンズとを備えることが好ましい。
【0016】
上記内視鏡用光源装置は、前記合波部がダイクロイックミラーを含むことが好ましい。
【0017】
上記内視鏡用光源装置は、前記第1の光源部が白色光源を含み、前記第2の光源部が蛍光観察用の励起用光源を含むことが好ましい。
【0018】
上記内視鏡用光源装置は、前記第2のコリメート光学系が、負の屈折力を有する第1のレンズと正の屈折力を有する第2のレンズとを含み、前記第1のレンズおよび前記第2のレンズの位置を連動して調整可能に構成されるズーム光学系を備えることが好ましい。
【0019】
上記内視鏡用光源装置は、前記第2の光源部が、波長範囲が同一の光を射出する複数の光源と、それぞれの前記光源から射出された光を導光する複数の光ファイバと、前記複数の光ファイバの前記複数の光の射出側の端部を揃えて保持する光ファイバ終端保持部とを備えることが好ましい。
【0020】
上記内視鏡用光源装置は、前記第2のコリメート光学系の合成焦点距離が10mm以内であり、前記合波部が前記第2のビーム整形レンズから射出した前記第4の光ビームの所定の入射方向から±5°以内のずれを許容し、前記光ファイバ終端保持部の前記複数の光ファイバの射出側端部を収容する穴径が、1.2mm以下であることが好ましい。
【0021】
上記目的を達成する内視鏡は、第1の光源部、前記第1の光源部から射出された光を平行光である第1の光ビームに変換する第1のコリメート光学系、および、滑らかな形状のる凹面を含む第1の面、および、前記凹面と略相似形状の凸面を含む第2の面とを有し、前記第1の面に入射した外周部から中心部に向けて連続的に増加する光強度分布を有する前記第1の光ビームを、前記第1の光ビームより平坦な光強度分布を有する平行光である第2の光ビームに変換する第1のビーム整形レンズ、を含む内視鏡用光源装置を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本開示によれば、第1の面に入射した外周部から中心部に向けて連続的に増加する光強度分布を有する平行光である第1の光ビームを、第1の光ビームより平坦な光強度分布を有する平行光である第2の光ビームに変換するので、より均一な光強度分布を有する照明光を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】一実施形態に係るビーム整形レンズの形状を、該ビーム整形レンズを透過する平行光線の軌跡とともに示す断面図である。
【
図2】ビーム整形レンズに入射する光の光強度分布の一例を示す図である。
【
図3】
図2に示す光強度分布を有する光が、ビーム整形レンズを透過した後の光強度分布の一例を示す図である。
【
図4】2枚のビーム整形レンズから構成されるビーム整形素子の一例を示す図である。
【
図5】一実施形態に係る内視鏡用光源装置の概略構成を示す図である。
【
図7】
図5のズーム光学系の作用を説明する図である。
【
図8】ライトガイドの入射端の光強度分布と射出端の光強度分布とを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照して説明する。以下の説明で用いられる図は模式的なものである。図面上の寸法および比率等は現実のものとは必ずしも一致していない。
【0025】
(ビーム整形レンズ)
図1は、一実施形態に係るビーム整形レンズ1の断面図である。ビーム整形レンズ1は、光軸Oに沿う方向に見た場合、例えば、円形の外形を有している。ビーム整形レンズ1は、所望の波長の光を透過させるガラスまたは樹脂等の材料で構成される。ビーム整形レンズ1は、第1の面2と第2の面3とを有する。第1の面2は、光の入射側の面とすることができる。第2の面3は、光の射出側の面とすることができる。第1の面2は、滑らかな形状の凹面2aを有する。第2の面3は、凹面2aと略相似形状の凸面3aを有している。第1の面2および第2の面3は、光軸Oを中心軸としてこの光軸O周りに軸対称な形状を有している。
【0026】
第1の面2の外周部2bおよび第2の面3の外周部3bは、光軸Oに対して直交する平坦な面となっている。第1の面2の凹面2aと外周部2bは、滑らかにつながっている。また、第2の面3の凸面3aと外周部3bとは、滑らかにつながっている。
【0027】
図1には、光軸Oに平行な方向から第1の面2に入射する光線の軌跡が示される。
図1に示すように、光軸O上を通る光線、および、外周部2bに入射する光線は、第1の面2に垂直に入射し、第2の面3から垂直に射出する。これらの光線の軌跡は、ビーム整形レンズ1を透過することにより偏向されない。一方、第1の面2の凹面2a(ただし、光軸O上を除く)に入射する光線は、第1の面2で光軸Oから離れる方向に屈折されてビーム整形レンズ1に入射する。ビーム整形レンズ1内を進行した光線は、第2の面3の凸面3aで光軸Oに平行な方向に屈折して、ビーム整形レンズ1から射出する。ビーム整形レンズ1の第1の面2と第2の面3とは、このように、光軸Oに平行な方向から第1の面2に入射した光線が、第2の面3から光軸Oに平行な方向に射出するように設計されてよい。
【0028】
図1に示すように、光軸Oに平行な方向から第1の面2に入射した平行光の光ビームは、光軸Oに近い中心部分の光強度分布が低下し、光軸Oから離れた外周部3bに近い部分の光強度分布が増加した平行光の光ビームとなって、第2の面3から射出する。また、入射する光ビームの外径が、ビーム整形レンズ1の第1の面2の外周部2bに達する大きさのとき、ビーム整形レンズ1を透過することにより光ビームの径は変化しない。なお、本開示において「平行光」とは、ビーム内の全ての光線が他の光線と互いに平行になっている状態を意味する。
【0029】
図2は、ビーム整形レンズ1に入射する光ビームの光強度分布の一例として、ガウシアン型の光強度分布を示す。横軸は、光ビームの中心を原点とする位置を示す。縦軸は、光強度を示す。ガウシアン型の光強度分布では、光ビームの強度は、外周部から中心に向かうに従って増加する。一般に、レーザ光源から射出される光は、
図2に示すようなガウシアン型の光強度分布を有する。また、マルチモードファイバから射出する光は、ガウシアン型の光強度分布の中央部がつぶれた形状を有する。一方、LEDから射出される光は、ランバート型の光強度分布を有する。ランバート型の光強度分布においても、光強度は、外周部から中心に向かうに従って増加する。
【0030】
図3は、
図2に示すガウシアン型の光強度分布を有する光ビームが、ビーム整形レンズ1を透過した後の、光強度分布の一例を示す図である。
図3の縦軸および横軸は、
図2と同様である。ビーム整形レンズ1は、光ビームの中心部分の光強度を低下させ、外周部分の光強度を増加させる。その結果、ビーム整形レンズ1を射出した光ビームは、より平坦なトップハット型の光強度分布を有する。光強度分布が平坦であるとは、光強度分布がより均一であることを意味する。光強度分布は、少なくとも光軸Oが通る中央部を含む領域で平坦に近い形状となる。したがって、ビーム整形レンズ1を射出する光ビームの光強度分布は、ビーム整形レンズ1に入射する光ビームの光強度分布よりも均一な分布に近くなる。
【0031】
ビーム整形レンズ1は、入射する光ビームの光強度分布、射出する光ビームの所望の光強度分布、および、材料の屈折率等を考慮して、第1の面2および第2の面3の形状を設計されたレンズとすることができる。射出する光の所望の光強度分布は、平坦なトップハット型のものに限られない。例えば、内視鏡で生体の内部を観察する場合、中心部よりも外周部の方が観察対象までの距離が遠いので、光ビームの中心よりも外周側の方に高い光強度が必要とされることがある。
【0032】
ビーム整形レンズ1は、第1の面2の凹面2aと第2の面3の凸面3aとが、略相似形状をしているので、一枚の樹脂などの透明な板状部材に、熱及び圧力を加えて湾曲させて製造することができる。したがって、ビーム整形レンズ1は安価に製造することができる。
【0033】
(ビーム整形素子)
異なる所望の光強度分布に対応するため、
図4に示すように、複数のビーム整形レンズ1を組み合わせてビーム整形素子5を構成することができる。複数のビーム整形レンズ1は、互いの光軸Oが一致するように重ねて配置される。例えば、光強度分布の変換効果が低いビーム整形レンズ1を予め複数用意しておき、入射する光ビームの光強度分布と、射出する光ビームの所望の光強度分布に基づいて、ビーム整形レンズ1を組み合わせる数を決定することができる。
【0034】
(内視鏡用光源装置)
図5を用いて、ビーム整形レンズ1を用いた内視鏡用光源装置10について説明する。内視鏡用光源装置10は、白色光を用いた生体組織表層の診断、および、特殊な波長範囲の光を励起光として用いて生体組織の深部の蛍光を観察する蛍光観察の双方を行うことができる内視鏡の光源として使用される。
【0035】
内視鏡用光源装置10は、第1の光源部11、第1のコリメート光学系12、第1のビーム整形レンズ1A、第2の光源部21、第2のコリメート光学系22、第2のビーム整形レンズ1B、ダイクロイックミラー31、および、集光レンズ32を含む。
【0036】
第1の光源部11は、例えば白色LEDを用いた白色光源である。第1のコリメート光学系12は、第1の光源部11から射出された発散する白色光を、平行光である第1の光ビームL1に変換する。第1のコリメート光学系12は、1つ以上のレンズを含んでよい。第1のコリメート光学系12から射出した第1の光ビームL1は、外周部から中心部に向けて連続的に増加する光強度分布を有する。外周部から中心部に向けて連続的に増加する光強度分布は、例えば、ガウシアン型またはランバート型の光強度分布である。
【0037】
第1のビーム整形レンズ1Aは、
図1に示したビーム整形レンズ1と同様に構成されるレンズである。第1のビーム整形レンズ1Aは、第1の光ビームL1を、第1の光ビームL1より平坦な光強度分布を有する平行光である第2の光ビームL2に変換する。第2の光ビームL2は、該第2の光ビームL2の外周部の近傍から中心部まで平坦な光強度分布を有してよい。
【0038】
第2の光源部21は、例えば、蛍光観察用の励起用光源として第1の光源211aおよび第2の光源211bを含む。第1の光源211aおよび第2の光源211bは、観察対象を励起する特定の波長範囲の光を射出する。第1の光源211aおよび第2の光源211bは、例えば、近赤外線レーザである。本実施形態では、蛍光観察用に十分な強度の光を得るために、波長範囲が同一の光を射出する複数の光源を使用する。蛍光観察用の光源は、単体では強度が不十分な場合が多いので、このように、複数の励起光用の光源を使用することがある。また、バックアップ用の光源として複数の光源を設けることもある。なお、第2の光源部21に含まれる光源は、2つに限られない。第2の光源部21に含まれる光源は1つでもよく、3つ以上であってもよい。
【0039】
第2の光源部21は、さらに、第1の光源211aから射出される光を導光する第1の光ファイバ212a、第2の光源211bから射出される光を導光する第2の光ファイバ212bを含む。第1の光ファイバ212aおよび第2の光ファイバ212bは、マルチモードファイバを採用することができる。
【0040】
第2の光源部21は、さらに、第1の光ファイバ212aおよび第2の光ファイバ212bの射出側の端部を揃えて保持するフェルール213を含む。フェルール213の射出側端面の一例が、
図6に示される。フェルール213は、中心に光ファイバを挿入するファイバ穴213aを有する、例えば、ジルコニア等のセラミックまたはステンレス等でできた円柱状の部材である。フェルール213は、光ファイバ終端保持部である。第1の光ファイバ212aおよび第2の光ファイバ212bを伝搬したレーザ光は、フェルール213のファイバ穴213aから射出する。フェルール213の第1の光ファイバ212aおよび第2の光ファイバ212bの射出側端部を収容するファイバ穴213aの穴径は、例えば、1.2mm以下であり、後段の第2のビーム整形レンズ1Bの径(例えば、約20mm)よりもはるかに小さい。
【0041】
フェルール213から射出したレーザ光は、第2のコリメート光学系22により、平行光である第3の光ビームL3に変換される。第2のコリメート光学系22は、
図7に示すように、負の屈折力を有する第1のレンズ22aと、正の屈折力を有する第2のレンズ22bとを含む。第2のコリメート光学系22において、第1のレンズ22aと第2のレンズ22bとを連動させて光軸方向に変位させることにより、第2のレンズ22bから射出する第3の光ビームL3を、平行光のままビーム径を変化させることができる。すなわち、第2のコリメート光学系22は、第1のレンズ22aと第2のレンズ22bとを連動させて調整可能に構成することにより、ビーム径を変更可能なズーム光学系として機能する。なお、第2のレンズ22bは、第2のビーム成形レンズ1Bと個別に位置調整できてもよく、第2のビーム整形レンズ1Bとともに位置調整できてもよい。
【0042】
第2のコリメート光学系22から射出した第3の光ビームL3は第1の光ビームL1と同様に、外周部から中心部に向けて連続的に増加する光強度分布を有する。第3の光ビームL3はガウシアン型の光強度分布であってよい。第2のビーム整形レンズ1Bは、
図1に示したビーム整形レンズ1と同様に構成されるレンズである。第2のビーム整形レンズ1Bは、滑らかな形状の凹面を含む第3の面、および、この凹面と略相似形状の凸面を含む第4の面とを有する。第2のビーム整形レンズ1Bは、第3の光ビームL3を、第3の光ビームL3より平坦な光強度分布を有する平行光である第4の光ビームL4に変換する。第4の光ビームL4は、該第4の光ビームL4の外周部の近傍から中心部まで平坦な光強度分布を有することができる。
【0043】
ダイクロイックミラー31は、合波部を構成する。ダイクロイックミラー31は、第2の光源部21から射出される特定波長の光を反射し、その他の波長範囲の光を透過させる光学特性を有する。特定波長の光が近赤外光の場合、第1の光源部11から射出される白色光の第2の光ビームL2は、近赤外波長の部分を除く、あるいは近赤外波長より短い波長を有する光の大部分がダイクロイックミラー31を透過する。第2の光源部21から射出される近赤外光の第4の光ビームL4は、ダイクロイックミラー31により反射される。
【0044】
一実施形態において、ダイクロイックミラー31は、
図5に示されるように、互いに直交する第1のビーム整形レンズ1Aおよび第2のビーム整形レンズ1Bの光軸に対して、それぞれ正確に45°をなすように配置される。これにより、第1のビーム整形レンズ1Aから射出してダイクロイックミラー31を透過する第2の光ビームL2と、第2のビーム整形レンズ1Bから射出してダイクロイックミラー31で反射される第4の光ビームL4とは合波される。なお、第1のビーム整形レンズ1Aおよび第2のビーム整形レンズ1Bの光軸と、ダイクロイックミラー31とのなす角度は、45°に限定されない。
【0045】
ダイクロイックミラー31で合波された第2の光ビームL2と第4の光ビームL4とは、集光レンズ32によりライトガイド33の端部に集光され、ライトガイド33に結合され内視鏡の内部に導光される。ライトガイド33を導光された第2の光ビームL2と第4の光ビームL4とは、ライトガイド33の他の端部から射出して、観察対象の生体組織に照射される。
【0046】
ライトガイド33は、多数の光ファイバを束ねて光を伝搬させる。
図8に示すように、ライトガイド33に対して、集光レンズ32で集光させた光を入射端33aから入射させると、ライトガイド33の射出端33bから発散する光が射出する。入射端33aに入射する光の収束角θiと、射出端33bから射出される光の発散角θoとは、ほぼ等しくなる。また、
図8に示すように、入射端33aに入射する光の光強度分布が均一な場合、射出端33bを射出する光の光強度分布も概ね均一となる。
【0047】
本実施形態の内視鏡用光源装置10は、第1のビーム整形レンズ1Aを用いて、第1の光源部11から射出する白色光の光強度分布を均一にするので、組織表層の広範囲な部分を均一に照射することが可能になる。したがって、組織表層の広範囲でムラの少ない正確な内視鏡観察および診断が可能になる。さらに、内視鏡用光源装置10は、第2のビーム整形レンズ1Bを用いて、第2の光源部21から射出する励起用照明光を均一にするので、励起用照明光を観察対象の組織に対して均一に照射することが可能になる。これにより、蛍光観察においても、ムラの少ない正確な観察が可能になる。さらに、本実施形態の内視鏡用光源装置10によれば、外周部の組織を観察するために高出力の光源を用意する必要が無い。また、内視鏡用光源装置10によれば、外周部の観察のために広範囲な組織に強い光を照射して、中心部の一部の組織に損傷を与える虞を低減することができる。
【0048】
本実施形態で用いる第1のビーム整形レンズ1Aおよび第2のビーム整形レンズ1Bは、入射する平行光の光ビームを、平行光のままより平坦な光強度分布を有する光ビームに変換する。このことは、ダイクロイックミラー31を用いて、2つの光ビームを合波する本実施形態の内視鏡用光源装置10において特に有利である。ダイクロイックミラー31は、誘電体膜を用いるので、入射角依存性がある。ダイクロイックミラー31は、設計された入射角で用いないと、予め規定された透過および反射の波長特性を満たすことができない。
【0049】
また、内視鏡用光源装置10は、第2のコリメート光学系22に、蛍光観察用の照明光の径を変化させるズーム光学系を含む。第2のコリメート光学系22で、第3の光ビームL3の径を小さくすると、第4の光ビームL4の径が小さくなる。これを、ダイクロイックミラー31で反射した後に集光レンズ32によりライトガイド33に入射させると、
図8からわかるように、入射端33aにおける収束角θiが小さくなる。その結果、ライトガイド33の射出端33bにおける発散角θoも小さくなるので、内視鏡における励起用照明光の照射範囲が絞られる。すなわち、第2のコリメート光学系22で、第1のレンズ22aと第2のレンズ22bとの位置を調整することにより、蛍光観察の範囲を狭めるとともに、照射する励起光の強度を高くすることが可能になる。したがって、内視鏡用光源装置10は、特定の位置に蛍光観察の範囲を絞って光強度の高い励起光を照射して、生体組織の深部の正確な観察および診断を行うことを可能にする。内視鏡用光源装置10の利用者は、この機能を用いて、白色光により生体組織を観察しつつ、特定の箇所に絞って蛍光観察を行うことができる。
【0050】
また、内視鏡用光源装置10は、第1の光ファイバ212aおよび第2の光ファイバ212bの射出側の端部をフェルール213の微小なファイバ穴213aに通して揃えて保持することにより、2つの光源からの励起光を近接して射出させる。このことは、以下に説明するように内視鏡用光源装置10を小型化するうえで有利である。
【0051】
複数の光源を用いる場合、全ての光源をコリメート光学系の光軸上に配置することはできない。例えば、
図6の場合であっても、第2のコリメート光学系22の光軸は、ファイバ穴213aの中心に一致するように調整される。この場合、第1の光ファイバ212aおよび第2の光ファイバ212bの何れの中心も、第2のコリメート光学系22の光軸とはずれて配置される。
【0052】
光源をコリメート光学系の光軸から離れた位置に配置すると、その射出光は光源ごとに異なる角度を持ってコリメート光学系から射出される。射出光の角度をΘ、光軸と光源との距離をy、コリメート光学系の合成焦点距離をFとすると、
Θ=tan-1(y/F)
となる。
【0053】
前述のように、入射角が所定の角度から外れると、ダイクロイックミラーは、予め規定された透過および反射の波長特性を満たすことができない。射出光線の傾き角Θを小さくするためには、コリメート光学系の光軸と各光源の距離を狭めるか、または、焦点距離の長いコリメート光学系を使用する必要がある。しかし、焦点距離の長いコリメート光学系を使用する場合は光学系全体が大きくなる欠点がある。
【0054】
そこで、本開示の内視鏡用光源装置10では、第1の光ファイバ212aおよび第2の光ファイバ212bの射出側の端部を揃えて、穴径の小さなファイバ穴213aを有するフェルール213に収容する。これにより、第2のコリメート光学系22の光軸と、第1の光ファイバ212aおよび第2の光ファイバ212bのそれぞれの中心軸との距離を近づけることが可能となる。よって、焦点距離の短い第2のコリメート光学系22を使用しても、光線の既定の角度からの傾き角の小さな状態で、第3の光ビームL3をダイクロイックミラー31へ導光することが可能になる。その結果、第2のコリメート光学系22を小さくすることができるので、内視鏡用光源装置10を小型化することが可能になる。
【0055】
一例として、第1の光源211aおよび第2の光源211bから射出される励起光の波長を785nmとする。また、第1の光ファイバ212aおよび第2の光ファイバ212bは、785nmの波長の光に対して開口数(NA:Numerical Aperture)が約0.5であるとする。さらに、第1の光ファイバ212aおよび第2の光ファイバ212bは、それぞれコア径が500μm、ファイバ径が540μmであるとする。これらを穴径1.2mmのファイバ穴を有するフェルールに挿入した場合、合成焦点距離10mmの第2のコリメート光学系22により、ダイクロイックミラー31への入射角度の広がりを3.4°以内に抑えることができることが計算できる。
【0056】
第2のコリメート光学系22の合成焦点距離が10mm以内であり、ダイクロイックミラー31が所定の入射方向から±5°以内のずれを許容する場合を想定する。レンズやダイクロイックミラーの多少の取り付け誤差を想定した場合でも、上記計算例から、フェルール213の第1の光ファイバ212aおよび第2の光ファイバ212bの射出側端部を収容するファイバ穴213aの穴径が少なくとも1.2mm以下であれば、ダイクロイックミラー31への励起光の入射角度の広がりを許容範囲内に抑えることができる。このような構成により、内視鏡用光源装置10を小型に構成することが可能になる。
【0057】
本開示に係る実施形態について、諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形又は修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形又は修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。
【0058】
本開示のビーム整形レンズおよびビーム整形素子は、内視鏡用光源装置に使用されるものとして説明した。しかし、ビーム整形レンズは、内視鏡用光源に使用されるものに限られない。本開示のビーム整形レンズは、光源から射出された光ビームの光強度分布をより平坦な光強度分布に変換する、種々の用途に適用することができる。
【0059】
上記実施形態における内視鏡用光源装置10は、白色光を射出する第1の光源部11と、励起光を射出する第2の光源部21とを有するものとしたが、本開示の内視鏡用光源装置はこれに限られない。例えば、内視鏡用光源装置は、一つの光源部とこれに対応するビーム整形レンズとを有して構成されてよい。すなわち、ビーム整形レンズは、白色光を用いた組織表層の診断、および、特殊な波長範囲の光を用いた蛍光観察の何れか一方のみを行う内視鏡においても、使用することができる。また、内視鏡用光源装置は、3つ以上の光源部を有してもよい。さらに、3つ以上の光源部の波長範囲が、それぞれ異なっていても良い。
【0060】
本開示の内視鏡用光源装置10は、内視鏡に使用されるものである。しかし、本開示の内視鏡用光源装置10と同様に構成される光源装置を、顕微鏡に使用することもできる。
【0061】
本開示において「第1」及び「第2」等の記載は、当該構成を区別するための識別子である。本開示における「第1」及び「第2」等の記載で区別された構成は、当該構成における番号を交換することができる。例えば、第1の光源211aは、第2の光源211bと識別子である「第1」と「第2」とを交換することができる。識別子の交換は同時に行われる。識別子の交換後も当該構成は区別される。識別子は削除してよい。識別子を削除した構成は、符号で区別される。本開示における「第1」及び「第2」等の識別子の記載のみに基づいて、当該構成の順序の解釈、小さい番号の識別子が存在することの根拠に利用してはならない。
【符号の説明】
【0062】
1 ビーム整形レンズ
1A 第1のビーム整形レンズ
1B 第2のビーム整形レンズ
2 第1の面
2a 凹面
2b 外周部
3 第2の面
3a 凸面
3b 外周部
5 ビーム整形素子
10 内視鏡用光源装置
11 第1の光源部
12 第1のコリメート光学系
21 第2の光源部
211a 第1の光源
211b 第2の光源
212a 第1の光ファイバ
212b 第2の光ファイバ
213 フェルール(光ファイバ終端保持部)
22 第2のコリメート光学系(ズーム光学系)
22a 第1のレンズ
22b 第2のレンズ
31 ダイクロイックミラー(合波部)
32 集光レンズ
33 ライトガイド
O 光軸(中心軸)
L1 第1の光ビーム
L2 第2の光ビーム
L3 第3の光ビーム
L4 第4の光ビーム