(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023055527
(43)【公開日】2023-04-18
(54)【発明の名称】診断システム、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H02J 13/00 20060101AFI20230411BHJP
【FI】
H02J13/00 301D
H02J13/00 301A
H02J13/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021164978
(22)【出願日】2021-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西田 尚功
(72)【発明者】
【氏名】高橋 栄也
(72)【発明者】
【氏名】武田 翔
【テーマコード(参考)】
5G064
【Fターム(参考)】
5G064AA01
5G064AB05
5G064AC08
5G064CB03
5G064CB16
5G064DA02
(57)【要約】
【課題】受変電設備の点検にかかる負担を軽減することが可能な診断システム、及びプログラムを提供する。
【解決手段】実施形態の診断システムは、受変電設備を撮影する撮影装置と、携帯端末と、サーバ装置とを備える。前記撮影装置は、前記受変電設備の画像データを撮影させる撮影制御部と、前記撮影制御部が撮影させた前記画像データを近距離無線通信により送信する第1近距離通信部と、を備える。前記携帯端末は、前記画像データを前記近距離無線通信により受信する第2近距離通信部と、前記第2近距離通信部が受信した前記画像データを記憶させる記憶制御部と、前記記憶制御部に記憶された前記画像データを送信する送信部と、を備える。前記サーバ装置は、前記画像データを受信する受信部と、前記画像データに基づいて、前記受変電設備を診断する診断部と、前記診断部により診断結果を通知する通知部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受変電設備を撮影する撮影装置と、携帯端末と、サーバ装置とを備える診断システムであって、
前記撮影装置は、
前記受変電設備の画像データを撮影させる撮影制御部と、
前記撮影制御部が撮影させた前記画像データを近距離無線通信により送信する第1近距離通信部と、
を備え、
前記携帯端末は、
前記画像データを前記近距離無線通信により受信する第2近距離通信部と、
前記第2近距離通信部が受信した前記画像データを記憶させる記憶制御部と、
前記記憶制御部に記憶された前記画像データを送信する送信部と、
を備え、
前記サーバ装置は、
前記画像データを受信する受信部と、
前記画像データに基づいて、前記受変電設備を診断する診断部と、
前記診断部により診断結果を通知する通知部と、
を備える診断システム。
【請求項2】
前記携帯端末は、前記撮影装置に前記受変電設備を撮影させる操作を受け付ける操作部を更に備え、
前記第2近距離通信部は、前記操作部が前記受変電設備を撮影させる操作を受け付けた場合に、撮影を指示する撮影指示情報を送信し、
前記第1近距離通信部は、前記撮影指示情報を受信し、
前記撮影制御部は、前記第1近距離通信部が前記撮影指示情報を受信した場合に、前記受変電設備を撮影する、
請求項1に記載の診断システム。
【請求項3】
前記撮影制御部は、少なくとも前記受変電設備が放射する熱を撮影させ、
前記診断部は、前記受変電設備が放射する熱が撮影された前記画像データに基づいて、前記受変電設備の過熱状態を診断する、
請求項1又は請求項2に記載の診断システム。
【請求項4】
前記撮影制御部は、少なくとも前記受変電設備を可視光により撮影させ、
前記診断部は、前記画像データに基づいて、前記受変電設備の汚損状態を診断する、
請求項1から請求項3の何れか一項に記載の診断システム。
【請求項5】
前記撮影制御部は、少なくとも前記受変電設備を可視光により撮影し、
前記診断部は、前記画像データに基づいて、前記受変電設備が有する絶縁体の劣化状態を診断する、
請求項1から請求項4の何れか一項に記載の診断システム。
【請求項6】
前記サーバ装置は、前記受信部が受信した前記画像データを蓄積する蓄積部を更に備え、
前記診断部は、前記蓄積部により蓄積された前記画像データと、前記受信部が受信した前記画像データとに基づいて、前記受変電設備を診断する、
請求項1から請求項5の何れか一項に記載の診断システム。
【請求項7】
携帯端末のコンピュータを、
受変電設備の画像データを近距離無線通信により受信する第2近距離通信部と、
前記第2近距離通信部が受信した前記画像データを記憶させる記憶制御部と、
前記記憶制御部に記憶された前記画像データを送信する送信部と、
して機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、診断システム、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発電所から変電所等から送電された電力を変電し、配電するスイッチギヤ等の受変電設備が設置された施設では、施設の担当者ではなく、受変電設備のメーカの保守員が、受変電設備の点検などの保守作業を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、保守員は、その都度、施設に行き、受変電設備の点検を行わなければならず煩雑であった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、受変電設備の点検にかかる負担を軽減することが可能な診断システム、及びプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の実施形態の診断システムは、受変電設備を撮影する撮影装置と、携帯端末と、サーバ装置とを備える。前記撮影装置は、前記受変電設備の画像データを撮影させる撮影制御部と、前記撮影制御部が撮影させた前記画像データを近距離無線通信により送信する第1近距離通信部と、を備える。前記携帯端末は、前記画像データを前記近距離無線通信により受信する第2近距離通信部と、前記第2近距離通信部が受信した前記画像データを記憶させる記憶制御部と、前記記憶制御部に記憶された前記画像データを送信する送信部と、を備える。前記サーバ装置は、前記画像データを受信する受信部と、前記画像データに基づいて、前記受変電設備を診断する診断部と、前記診断部により診断結果を通知する通知部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態にかかる診断システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施形態にかかる撮影装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態にかかる携帯端末の構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、実施形態にかかる診断サーバの構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、実施形態にかかる診断システムが実行する中継処理の一例を示すシーケンス図である。
【
図6】
図6は、実施形態にかかる診断サーバが実行する診断処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に好適な実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、実施形態にかかる診断システム1の構成の一例を示すブロック図である。診断システム1は、受変電設備10を診断するシステムである。診断システム1は、受変電設備10を撮影する撮影装置20と、携帯端末30と、診断サーバ40とを備える。受変電設備10は、発電所から変電所等から送電された電力を変電し、配電するスイッチギヤなどの装置である。
【0009】
撮影装置20は、受変電設備10を撮影する装置である。なお、
図1に示す診断システム1は、一台の撮影装置20により受変電設備10を撮影しているが、複数台の撮影装置20により受変電設備10を撮影してもよい。また、撮影装置20は、撮影情報を携帯端末30に送信する。撮影情報は、受変電設備10を撮影した画像データ、撮影した日時を示す日時情報、撮影装置20を識別するための装置識別情報を有する。
【0010】
携帯端末30は、スマートフォンやタブレット端末等の携帯可能な端末である。携帯端末30は、撮影装置20から撮影情報を取得する。また、携帯端末30は、取得した撮影情報を診断サーバ40に送信する。ここで、受変電設備10は、地下などの電波が届かない場所に設置されることがある。このような場合に、施設の管理者は、撮影装置20が診断サーバ40に撮影情報を送信するためには、通信設備を新たに設置しなければならない。携帯端末30は、撮影情報を中継することにより、通信設備の設置を抑制することができる。
【0011】
診断サーバ40は、クラウドコンピューティングなどのサーバ装置である。診断サーバ40は、撮影情報に基づいて、受変電設備10を診断する。そして、診断サーバ40は、診断結果を通知する。
【0012】
次に、診断システム1の各装置について説明する。
【0013】
図2は、実施形態にかかる撮影装置20の構成の一例を示すブロック図である。撮影装置20は、処理部201、記憶部202、近距離通信部203、可視光カメラ204、及び赤外線カメラ205を備える。
【0014】
処理部201は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)を備えるマイクロコンピュータである。CPUは、撮影装置20の動作を統括的に制御する。ROMは、各種プログラムやデータを記憶する記憶媒体である。RAMは、各種プログラムを一時的に記憶したり、各種データを書き換えたりするための記憶媒体である。そして、CPUは、RAMをワークエリア(作業領域)にして、ROMや記憶部202等に格納されたプログラムを実行する。これにより、処理部201は、各種機能を実現する。また、処理部201は、全部又は一部が半導体回路により実現されてもよい。
【0015】
記憶部202は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などの記憶装置である。例えば、記憶部202は、撮影装置20が有する機能を実現するためのプログラムを記憶する。
【0016】
近距離通信部203は、Bluetooth(登録商標)などの近距離無線通信を実行する。例えば、近距離通信部203は、Bluetooth(登録商標)などの近距離無線通信を実行するための通信モジュールである。
【0017】
可視光カメラ204は、可視光により撮影するカメラである。すなわち、可視光カメラ204は、受変電設備10の状態を示す可視光画像データを撮影する。
【0018】
赤外線カメラ205は、赤外線により撮影するカメラである。すなわち、赤外線カメラ205は、受変電設備10の熱状態を示す赤外線画像データを撮影する。なお、撮影装置20は、可視光カメラ204と赤外線カメラ205との両方に限らず、何れか一方を備えるものであってもよい。
【0019】
処理部201は、記憶部202等に格納されたプログラムを実行することにより、近距離通信制御部2001、及び撮影制御部2002を備える。
【0020】
近距離通信制御部2001は、近距離通信部203を制御して、近距離無線通信を実行する。更に詳しくは、近距離通信制御部2001は、近距離無線通信により携帯端末30と接続する。また、近距離通信制御部2001は、携帯端末30から受変電設備10の撮影を指示する撮影指示情報を受信する。また、近距離通信制御部2001は、撮影制御部2002が撮影させた画像データを有する撮影情報を近距離無線通信により送信する。
【0021】
撮影制御部2002は、可視光カメラ204と赤外線カメラ205とを制御して、受変電設備10の画像データを撮影する。例えば、撮影制御部2002は、近距離通信部203が撮影指示情報を受信した場合に、受変電設備10を撮影する。これにより、撮影制御部2002は、撮影情報を生成する。撮影情報は、撮影により生成された画像データ、撮影した日時を示す日時情報、及び撮影装置20を特定するための装置識別情報を有する。撮影情報は、画像データとして、可視光画像データを有していてもよいし、赤外線画像データを有していてもよいし、可視光画像データと赤外線画像データとの両方を有していてもよい。そして、撮影制御部2002は、可視光画像データと赤外線画像データとを生成した場合に、撮影情報を近距離通信制御部2001に送信させる。
【0022】
更に詳しくは、撮影制御部2002は、可視光撮影制御部2003及び赤外線撮影制御部2004を有する。なお、撮影制御部2002は、可視光撮影制御部2003と赤外線撮影制御部2004との両方に限らず、何れか一方を備えるものであってもよい。
【0023】
可視光撮影制御部2003は、可視光カメラ204を制御することにより、少なくとも受変電設備10を可視光により撮影させる。これにより、可視光撮影制御部2003は、受変電設備10を撮影した可視光画像データを生成する。例えば、可視光撮影制御部2003は、近距離通信制御部2001が撮影指示情報を受信した場合に、受変電設備10を撮影する。
【0024】
赤外線撮影制御部2004は、赤外線カメラ205を制御することにより、少なくとも受変電設備10が放射する熱を撮影させる。これにより、赤外線撮影制御部2004は、受変電設備10を撮影した赤外線画像データを生成する。例えば、赤外線撮影制御部2004は、近距離通信制御部2001が撮影指示情報を受信した場合に、受変電設備10を撮影する。
【0025】
なお、可視光撮影制御部2003及び赤外線撮影制御部2004は、近距離通信制御部2001が撮影指示情報を受信した場合に限らず、他の条件が満たされた場合に、撮影してもよい。例えば、可視光撮影制御部2003及び赤外線撮影制御部2004は、一定時間が経過するごとに撮影してもよいし、特定の時刻の場合に撮影してもよいし、受変電設備10から特定の情報を受信した場合に撮影してもよい。
【0026】
図3は、実施形態にかかる携帯端末30の構成の一例を示すブロック図である。携帯端末30は、処理部301、記憶部302、近距離通信部303、通信部304、表示部305、及び操作部306を備える。
【0027】
処理部301は、例えば、CPU等のプロセッサ、ROM、及びRAMを備えるマイクロコンピュータである。CPUは、携帯端末30の動作を統括的に制御する。ROMは、各種プログラムやデータを記憶する記憶媒体である。RAMは、各種プログラムを一時的に記憶したり、各種データを書き換えたりするための記憶媒体である。そして、CPUは、RAMをワークエリア(作業領域)にして、ROMや記憶部302等に格納されたプログラムを実行する。これにより、処理部301は、各種機能を実現する。また、処理部301は、全部又は一部が半導体回路により実現されてもよい。
【0028】
記憶部302は、フラッシュメモリなどの記憶装置である。例えば、記憶部302は、撮影装置20が有する機能を実現するためのプログラムを記憶する。
【0029】
近距離通信部303は、Bluetooth(登録商標)などの近距離無線通信を実行する。例えば、近距離通信部303は、Bluetooth(登録商標)などの近距離無線通信を実行するための通信モジュールである。
【0030】
通信部304は、移動体通信や無線LAN(Local Area Network)を介した通信を実行する。通信部304は、無線通信を実行するための通信モジュールである。
【0031】
表示部305は、液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイなどの表示装置である。
【0032】
操作部306は、表示部305の画面上のタッチ箇所を検出することで各種操作を受け付ける入力装置である。なお、操作部306は、ハードウェアボタン等であってもよい。
【0033】
処理部301は、記憶部302等に格納されたプログラムを実行することにより、操作制御部3001、近距離通信制御部3002、記憶制御部3003、及び通信制御部3004を備える。
【0034】
操作制御部3001は、操作部306を制御して各種操作を受け付ける。例えば、操作制御部3001は、撮影装置20に受変電設備10を撮影させる操作を受け付ける。
【0035】
近距離通信制御部3002は、近距離通信部303を制御して、近距離無線通信を実行する。更に詳しくは、近距離通信制御部3002は、近距離無線通信により撮影装置20と接続する。また、近距離通信制御部3002は、操作制御部3001が受変電設備10を撮影させる操作を受け付けた場合に、撮影指示情報を送信する。また、近距離通信制御部3002は、撮影装置20から画像データを有する撮影情報を近距離無線通信により受信する。
【0036】
記憶制御部3003は、近距離通信制御部3002が受信した画像データを有する撮影情報を記憶部302に記憶させる。
【0037】
通信制御部3004は、通信部304を制御して、診断サーバ40との通信を実行する。更に詳しくは、通信制御部3004は、記憶部302に撮影情報が記憶されている場合に、記憶部302に記憶された画像データを有する撮影情報を診断サーバ40に送信する。この時、通信制御部3004は、診断サーバ40と通信可能であることを条件に、撮影情報を送信する。通信可能とは、移動体通信における基地局のアンテナや無線LANにおけるルータのアンテナとの通信が確立している状態である。なお、通信制御部3004は、操作制御部3001が撮影情報を送信する操作を受け付けた場合に撮影情報を送信してもよいし、他の条件が満たされた場合に撮影情報を送信してもよい。
【0038】
図4は、実施形態にかかる診断サーバ40の構成の一例を示すブロック図である。診断サーバ40は、処理部401、記憶部402、及び通信部403を備える。
【0039】
処理部401は、例えば、CPU等のプロセッサ、ROM、及びRAMを備えるマイクロコンピュータである。CPUは、診断サーバ40の動作を統括的に制御する。ROMは、各種プログラムやデータを記憶する記憶媒体である。RAMは、各種プログラムを一時的に記憶したり、各種データを書き換えたりするための記憶媒体である。そして、CPUは、RAMをワークエリア(作業領域)にして、ROMや記憶部402等に格納されたプログラムを実行する。これにより、処理部401は、各種機能を実現する。また、処理部401は、全部又は一部が半導体回路により実現されてもよい。
【0040】
記憶部402は、HDDやSSDなどの記憶装置である。例えば、記憶部402は、診断サーバ40が有する機能を実現するためのプログラムを記憶する。
【0041】
通信部403は、移動体通信や無線LANを介した通信を実行する。通信部403は、無線通信を実行するための通信モジュールである。
【0042】
処理部401は、記憶部402等に格納されたプログラムを実行することにより、通信制御部4001、画像蓄積部4002、診断部4003、通知部4007、及び閾値設定部4008を備える。
【0043】
通信制御部4001は、通信部403を制御して、携帯端末30との通信を実行する。例えば、通信制御部4001は、画像データを有する撮影情報を携帯端末30から受信する。
【0044】
画像蓄積部4002は、通信制御部4001が受信した撮影情報が有する画像データを蓄積する。更に詳しくは、画像蓄積部4002は、通信制御部4001が撮影情報を受信した場合に、撮影情報が有する装置識別情報ごとに日時情報と画像データとを記憶部402に記憶させる。すなわち、画像蓄積部4002は、装置識別情報ごとに日時情報と、可視光画像データと赤外線画像データとを関連付けて記憶させる。
【0045】
診断部4003は、画像データに基づいて、受変電設備10を診断する。例えば、診断部4003は、画像蓄積部4002により蓄積された画像データと、通信制御部4001が受信した画像データとに基づいて、受変電設備10を診断する。更に詳しくは、診断部4003は、過熱度判定部4004、汚損度判定部4005、及び絶縁劣化度判定部4006を備える。
【0046】
過熱度判定部4004は、受変電設備10が放射する熱が撮影された赤外線画像データに基づいて、受変電設備10の過熱状態を診断する。更に詳しくは、過熱度判定部4004は、赤外線画像データに写った受変電設備10のうち、過熱状態を診断する部分を検出する。過熱度判定部4004は、検出した部分の温度を赤外線画像データから抽出する。そして、過熱度判定部4004は、抽出した温度が閾値を超えるか否かを判定する。
【0047】
汚損度判定部4005は、可視光画像データに基づいて、受変電設備10の汚損状態を診断する。汚損状態とは、埃や粉塵や塩化ナトリウム等の付着物の付着や傷など受変電設備10の汚損の状態である。更に詳しくは、汚損度判定部4005は、可視光画像データに写った受変電設備10のうち、汚損状態を診断する部分を検出する。
【0048】
診断する部分は、付着物が付着したり傷がついたりする等の汚損状態になると色が変化したり模様が付されたりする。そこで、汚損度判定部4005は、診断する部分の色や模様に基づいて、汚損状態の度合いを示す汚損度を算出する。
【0049】
例えば、汚損度判定部4005は、画像蓄積部4002が蓄積した可視光画像データと、通信制御部4001が受信した可視光画像データとを比較することにより汚損度を算出する。汚損度判定部4005は、受変電設備10が設置された時の可視光画像データと比較してもよいし、過去の可視光画像データのうち最も新しい可視光画像データと比較してもよいし、平均的な可視光画像データと比較してもよい。そして、汚損度判定部4005は、算出した汚損度が閾値を超えるか否かを判定する。
【0050】
絶縁劣化度判定部4006は、可視光画像データに基づいて、受変電設備10が有する絶縁体の劣化状態を診断する。ここで、絶縁体は、劣化すると変色する。そこで、絶縁劣化度判定部4006は、絶縁体の色により絶縁体の劣化状態を診断する。
【0051】
更に詳しくは、絶縁劣化度判定部4006は、可視光画像データに写った受変電設備10のうち、絶縁体の劣化状態を診断する部分を検出する。絶縁劣化度判定部4006は、診断する部分の色を可視光画像データから抽出する。
【0052】
また、絶縁劣化度判定部4006は、抽出した色に基づいて、絶縁状態の劣化の度合いを示す絶縁劣化度を算出する。例えば、絶縁劣化度判定部4006は、画像蓄積部4002が蓄積した可視光画像データと、通信制御部4001が受信した可視光画像データとを比較することにより絶縁劣化度を算出する。絶縁劣化度判定部4006は、受変電設備10が設置された時の可視光画像データと比較してもよいし、過去の可視光画像データのうち最も新しい可視光画像データと比較してもよいし、平均的な可視光画像データと比較してもよい。
【0053】
または、絶縁劣化度に応じて何色になるのかが判明している場合には、絶縁劣化度判定部4006は、絶縁劣化度に応じた色と、可視光画像データから抽出した診断する部分の色とを比較することにより絶縁劣化度を算出してもよい。そして、汚損度判定部4005は、絶縁劣化度が閾値を超えるか否かを判定する。
【0054】
通知部4007は、診断部4003による診断結果を通知する。すなわち、通知部4007は、過熱度判定部4004による過熱状態の診断結果と、汚損度判定部4005による汚損状態の診断結果と、絶縁劣化度判定部4006による絶縁体の劣化状態の診断結果とを通知する。
【0055】
例えば、通知部4007は、携帯端末30に診断結果を通知する。なお、通知部4007は、携帯端末30に限らず、診断サーバ40に接続されている表示装置に通知してもよいし、メーカの保守員の端末に通知してもよいし、他の端末に通知してもよい。
【0056】
更に詳しくは、通知部4007は、過熱度判定部4004により過熱度が閾値を超えていると判定された場合に、閾値を超えて過熱していることを示す警告を通知する。一方、通知部4007は、過熱度判定部4004により過熱度が閾値を超えていないと判定された場合に、健全であることを通知する。
【0057】
また、通知部4007は、汚損度判定部4005により汚損度が閾値を超えていると判定された場合に、閾値を超えて汚損していることを示す警告を通知する。一方、通知部4007は、汚損度判定部4005により汚損度が閾値を超えていないと判定された場合に、健全であることを通知する。
【0058】
また、通知部4007は、絶縁劣化度判定部4006により絶縁劣化度が閾値を超えていると判定された場合に、閾値を超えて劣化していることを示す警告を通知する。一方、通知部4007は、絶縁劣化度判定部4006により絶縁劣化度が閾値を超えていないと判定された場合に、健全であることを通知する。
【0059】
閾値設定部4008は、過熱度判定部4004が判定に使用する閾値、汚損度判定部4005が判定に使用する閾値、及び絶縁劣化度判定部4006が判定に使用する閾値を設定する。
【0060】
次に、診断システム1が実行する処理について説明する。
【0061】
図5は、実施形態にかかる診断システム1が実行する中継処理の一例を示すシーケンス図である。中継処理は、診断システム1において、携帯端末30が撮影情報を中継する処理である。
【0062】
携帯端末30の近距離通信制御部3002は、撮影装置20と近距離無線通信により接続する接続処理を実行する(ステップS1)。例えば、近距離通信制御部3002は、撮影装置20に対して近距離無線通信による接続要求を送信する。
【0063】
撮影装置20の近距離通信制御部2001は、携帯端末30と近距離無線通信により接続する接続処理を実行する(ステップS2)。例えば、近距離通信制御部2001は、接続要求を受信する。このような処理により、携帯端末30と、撮影装置20とは、近距離無線通信により接続する。
【0064】
携帯端末30の操作制御部3001は、撮影装置20に受変電設備10の撮影を指示する操作を受け付ける(ステップS3)。携帯端末30の近距離通信制御部3002は、受変電設備10の撮影を指示する撮影指示情報を撮影装置20に送信する(ステップS4)。
【0065】
撮影装置20の近距離通信制御部2001は、携帯端末30から撮影指示情報を受信する(ステップS5)。撮影装置20の撮影制御部2002は、受変電設備10を撮影する(ステップS6)。これにより、撮影制御部2002は、撮影情報を生成する。
【0066】
また、撮影装置20の近距離通信制御部2001は、撮影情報を携帯端末30に送信する(ステップS7)。携帯端末30の近距離通信制御部3002は、撮影装置20から撮影情報を受信する(ステップS8)。
【0067】
携帯端末30の通信制御部3004は、撮影情報を送信可能であるか否を判定する(ステップS9)。撮影情報が送信不可の場合に(ステップS9;No)、通信制御部3004は、待機する。撮影情報が送信可能な場合に(ステップS9;Yes)、通信制御部3004は、撮影情報を送信する(ステップS10)。
【0068】
診断サーバ40の通信制御部4001は、携帯端末30から撮影情報を受信する(ステップS11)。診断サーバ40の診断部4003は、撮影情報に基づいて、受変電設備10を診断する診断処理を実行する(ステップS12)。診断サーバ40の通知部4007は、受変電設備10の診断結果を通知する(ステップS13)。
【0069】
以上により、診断システム1は、中継処理を終了する。
【0070】
図6は、実施形態にかかる診断サーバ40が実行する診断処理の一例を示すフローチャートである。診断処理は、受変電設備10を診断する処理である。
【0071】
過熱度判定部4004は、過熱度について未判定であるか否かを判定する(ステップS21)。過熱度について未判定の場合に(ステップS21;Yes)、過熱度判定部4004は、撮影情報に基づいて、過熱度を取得する(ステップS22)。
【0072】
過熱度判定部4004は、過熱度が閾値未満であるか否かを判定する(ステップS23)。過熱度が閾値未満の場合に(ステップS23;Yes)、通知部4007は、受変電設備10が健全であることを通知する(ステップS24)。
【0073】
過熱度が閾値を超えている場合に(ステップS23;No)、通知部4007は、受変電設備10が閾値を超えて過熱していることを示す警告を通知する(ステップS25)。
【0074】
過熱度について判定済みの場合に(ステップS21;No)、汚損度判定部4005は、汚損度について未判定であるか否かを判定する(ステップS26)。汚損度について未判定の場合に(ステップS26;Yes)、汚損度判定部4005は、撮影情報に基づいて、汚損度を取得する(ステップS27)。
【0075】
汚損度判定部4005は、汚損度が閾値未満であるか否かを判定する(ステップS28)。汚損度が閾値未満の場合に(ステップS28;Yes)、通知部4007は、受変電設備10が健全であることを通知する(ステップS29)。
【0076】
汚損度が閾値を超えている場合に(ステップS28;No)、通知部4007は、受変電設備10が閾値を超えて汚損していることを示す警告を通知する(ステップS30)。
【0077】
汚損度について判定済みの場合に(ステップS26;No)、絶縁劣化度判定部4006は、絶縁劣化度を取得する(ステップS31)。
【0078】
絶縁劣化度判定部4006は、絶縁劣化度が閾値未満であるか否かを判定する(ステップS32)。絶縁劣化度が閾値未満の場合に(ステップS32;Yes)、通知部4007は、受変電設備10が健全であることを通知する(ステップS33)。
【0079】
絶縁劣化度が閾値を超えている場合に(ステップS32;No)、通知部4007は、受変電設備10が閾値を超えて絶縁が劣化していることを示す警告を通知する(ステップS34)。
【0080】
以上により、診断サーバ40は、診断処理を終了する。
【0081】
以上のように、本実施形態にかかる診断システム1は、撮影装置20と、携帯端末30と、診断サーバ40とを備える。撮影装置20は、受変電設備10の画像データを撮影する。そして、撮影装置20は、画像データを有する撮影情報を近距離無線通信により携帯端末30に送信する。携帯端末30は、撮影情報を受信した場合に、記憶部302等に記憶させる。また、携帯端末30は、記憶部302等に記憶した撮影情報を診断サーバ40に送信する。診断サーバ40は、受信した撮影装置20が有する画像データに基づいて、受変電設備10を診断する。
【0082】
よって、診断システム1は、メーカの保守員が施設に行き、受変電設備10の点検を行う必要が無いため、受変電設備10の点検にかかる負担を軽減することが可能となる。さらに、受変電設備10を有する施設は、携帯端末30が画像データを有する撮影情報を中継するため、受変電設備10が設置された場所に通信設備を設けることなく、診断システム1を導入することができる。
【0083】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0084】
1…診断システム、10…受変電設備、20…撮影装置、201…処理部、202…記憶部、203…近距離通信部、204…可視光カメラ、205…赤外線カメラ、2001…近距離通信制御部、2002…撮影制御部、2003…可視光撮影制御部、2004…赤外線撮影制御部、30…携帯端末、301…処理部、302…記憶部、303…近距離通信部、304…通信部、305…表示部、306…操作部、3001…操作制御部、3002…近距離通信制御部3003…記憶制御部、3004…通信制御部、40…診断サーバ、401…処理部、402…記憶部、403…通信部、4001…通信制御部、4002…画像蓄積部、4003…診断部、4004…過熱度判定部、4005…汚損度判定部、4006…絶縁劣化度判定部、4007…通知部、4008…閾値設定部。