(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023055558
(43)【公開日】2023-04-18
(54)【発明の名称】買い物代行システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20230411BHJP
G06Q 20/22 20120101ALI20230411BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q20/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021165037
(22)【出願日】2021-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】594103301
【氏名又は名称】三井住友カード株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 真司
【テーマコード(参考)】
5L049
5L055
【Fターム(参考)】
5L049CC11
5L055AA51
(57)【要約】
【課題】キャッシュレス精算を可能にするチケット式の買い物代行システムおよび方法を提供する。
【解決手段】買い物代行システムは、依頼人によって登録された決済手段に対応するチケットを発行するチケット発行手段と、チケットを請負人端末に設定するチケット設定手段と、チケットが利用された決済情報を受信してチケット分の売上を記憶し、売上を決済手段の発行会社の売上へ変換する変換手段とを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
買い物代行システムであって、
依頼人によって登録された決済手段に対応するチケットを発行するチケット発行手段と、
前記チケットを請負人端末に設定するチケット設定手段と、
前記チケットが利用された決済情報を受信してチケット分の売上を記憶し、前記売上を前記決済手段の発行会社の売上へ変換する変換手段と
を備えた、買い物代行システム。
【請求項2】
前記チケットは、前記発行会社の識別番号、利用金額、有効期限、および利用回数制限を含むトークンであることを特徴とする請求項1に記載の買い物代行システム。
【請求項3】
前記チケット設定手段は、前記請負人端末に前記チケットを電子メールで送信するか、あるいはダウンロードさせることによって、前記請負人端末に前記チケットを設定することを特徴とする請求項1または2に記載の買い物代行システム。
【請求項4】
前記決済手段は、クレジットカード決済、デビット決済、または電子マネー決済であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の買い物代行システム。
【請求項5】
前記依頼人によって設定された買い物条件に基づいて、前記依頼人と請負人とをマッチングするマッチング手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の買い物代行システム。
【請求項6】
前記買い物条件は、前記請負人の条件として、前記請負人の住所または請負回数を含むことを特徴とする請求項5に記載の買い物代行システム。
【請求項7】
販売店端末から受信したチケット情報に基づいて、前記チケットの条件をチェックするチェック手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の買い物代行システム。
【請求項8】
前記チケット情報は、前記チケットに設定された前記発行会社の識別番号、利用金額、有効期限、および利用回数制限を含むことを特徴とする請求項7に記載の買い物代行システム。
【請求項9】
買い物代行システムによって実行される方法であって、
依頼人によって登録された決済手段に対応するチケットを発行することと、
前記チケットを請負人端末に設定することと、
前記チケットが利用された決済情報を受信してチケット分の売上を記憶し、前記売上を前記決済手段の発行会社の売上へ変換することと
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、買い物代行システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、買い物の代行を依頼する依頼人が、買い物の代行を請け負う請負人に依頼して、買い物の代行を行う買い物代行システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
買い物代行を個人間の請負で実施する場合、買い物後には精算のために、現金の受け渡しや金融機関への振り込みなどを行う必要があるが、現金の受け渡しや振り込みなどは手間がかかってしまう。そこで、キャッシュレスで精算を行うことができる方法として、例えば、特許文献1には、請負人に対してプリペイド型のクレジットカードを発行して、買い物代行を実施する方法が開示されている。しかしながら、かかる方法では、新たにクレジットカードを発行したり、店舗の商品情報を把握した上で与信枠を設定したりする必要があるなど、煩雑な処理が必要となってしまう。
【0005】
本開示は、このような問題に鑑みてなされたものであり、キャッシュレス精算を可能にするチケット式の買い物代行システムおよび方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様による買い物代行システムは、依頼人によって登録された決済手段に対応するチケットを発行するチケット発行手段と、前記チケットを請負人端末に設定するチケット設定手段と、前記チケットが利用された決済情報を受信してチケット分の売上を記憶し、前記売上を前記決済手段の発行会社の売上へ変換する変換手段とを備える。
【0007】
また、本開示の一態様による買い物代行システムによって実行される方法は、依頼人によって登録された決済手段に対応するチケットを発行することと、前記チケットを請負人端末に設定することと、前記チケットが利用された決済情報を受信してチケット分の売上を記憶し、前記売上を前記決済手段の発行会社の売上へ変換することとを含む。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、キャッシュレス精算を可能にするチケット式の買い物代行システムおよび方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態に係る買い物代行システムの概略構成図である。
【
図2】一実施形態に係るコンピュータのハードウェア構成例を示す図である。
【
図3】一実施形態に係る買い物代行システムの機能構成例を示す図である。
【
図4】一実施形態に係る買い物代行方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付の図面を参照して、本開示の実施形態について詳細に説明する。本明細書及び添付の図面を通して同じ要素には同じ符号を付し、重複する説明は省略する。
【0011】
(システム構成例)
図1は、一実施形態に係る買い物代行システムの概略構成図である。買い物代行システム103は、依頼人端末101および請負人端末102と、インターネットなどのネットワーク104を介して通信可能に接続されている。また、買い物代行システム103は、サービスや商品を提供する販売店の販売店端末105と、外部からのアクセスが制限される専用回線などのセキュアなネットワーク106を介して通信可能に接続されている。ネットワーク104、106は、LAN(Local Area Network)およびWAN(Wide Area Network)を含む有線または無線ネットワークを含んでよい。
【0012】
買い物代行システム103は、1つまたは複数のサーバコンピュータによって構成され、本実施形態の買い物代行サービスに関する各種処理を行う。依頼人端末101および請負人端末102は、スマートフォン、タブレット端末、PC(Personal Computer)などのコンピュータとすることができる。また、販売店端末105は、POS(Point Of Sale)端末、タブレット端末、PC(Personal Computer)などのコンピュータとすることができる。
【0013】
依頼人端末101および請負人端末102は、専用のアプリケーションを介して買い物代行システム103にアクセスしてもよいし、買い物代行システム103が提供するWEB画面にWEBブラウザを介してアクセスしてもよい。
【0014】
なお、図示された依頼人端末101、請負人端末102、および販売店端末105の数は、図示された数に限定されるものではない。
【0015】
(コンピュータのハードウェア構成)
図2は、一実施形態に係るコンピュータのハードウェア構成例を示す。コンピュータ200は、買い物代行システム103を構成する1つまたは複数のサーバコンピュータとすることができる。
【0016】
本実施形態におけるコンピュータ200は、プロセッサ201と、メモリ202と、記憶装置203と、通信インターフェース(I/F)205と、入力装置206と、表示装置207とを備え、これらはバス210を介して通信可能に接続されている。
【0017】
プロセッサ201は、CPU(Central Processing Unit)であって、バス210を介して接続された各構成要素を制御し、データを処理する。また、プロセッサ201は、メモリ202または記憶装置203に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、本実施形態に係る各種処理を実行する。
【0018】
メモリ202は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などのメモリとすることができ、本実施形態に係る各種処理を実行するためのプログラム及びデータを記憶する。RAMは、ワークメモリとして動作し、プロセッサ201が読み出したプログラムをロードすることができる。
【0019】
記憶装置203は、HDD(Hard Disk Drive)、SDD(Solid State Drive)などの大容量記憶装置とすることができ、本実施形態に係る各種処理を実行するためのプログラム及びデータを記憶する。
【0020】
通信インターフェース(I/F)205は、有線または無線ネットワークに接続し、データを送受信するためのインターフェースであって、他のコンピュータとの通信を可能にする。
【0021】
入力装置206は、キーボード、マウス、表示装置207を兼ねるタッチパネルディスプレイなどとすることができる。
【0022】
表示装置207は、液晶ディスプレイや、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイなどとすることができる。
【0023】
尚、コンピュータのハードウェア構成は上述した構成例に限定されるものではなく、その他の要素を含んでよい。
【0024】
(機能構成)
図3は、一実施形態に係る買い物代行システムの機能構成例を示す図である。買い物代行システム300は、依頼人登録部301、請負人登録部303、購入物設定部305、チケット発行部307、マッチング部309、チケット設定部311、チケット条件チェック部313、チケット売上処理部315、および売上変換部317を含む。これらの機能部は、コンピュータ200のプロセッサ201がメモリ202または記憶装置203に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより実装され得る。なお、特に本実施形態に関する機能部について説明するが、買い物代行システム300はその他の機能部も含み得る。
【0025】
依頼人登録部301は、依頼人端末101によって登録された依頼人の個人情報などを受け取り、買い物代行システム300に記憶する。また、依頼人登録部301は、登録された依頼人の情報に基づき、本人確認書類のデータなどを用いて本人確認を行い、買い物代行サービスを利用するためのアカウントを作成する。
【0026】
請負人登録部303は、請負人端末102によって登録された請負人の個人情報などを受け取り、買い物代行システム300に記憶する。また、請負人登録部303は、登録された請負人の情報に基づき、本人確認書類のデータなどを用いて本人確認を行い、買い物代行サービスの請負人用のアカウントを作成する。
【0027】
購入物設定部305は、依頼人端末101によって設定された買い物条件に基づいて、購入物の設定を行う。買い物条件には、依頼人が購入を希望する購入物の金額帯、物品名、個数、お届け日、お届け方法、買い物代行手数料、請負人の条件(例えば、請負人の住所や、これまでの請負回数)などが含まれる。
【0028】
チケット発行部307は、買い物条件で指定された購入物を購入するために、依頼人端末101によって設定された決済手段で利用可能なチケットを発行して、買い物代行システム300に記憶する。決済手段は、例えば、クレジットカード決済や、デビット決済、電子マネー決済などを利用することができる。チケットとは、決済手段の発行会社であるイシュアの識別番号、利用金額、有効期限、および利用回数制限を含むトークンとすることができる。本実施形態では、チケットとして、購入物を購入するだけの権利を請負人に譲渡することにより、キャッシュレス精算を可能にすることができる。
【0029】
マッチング部309は、依頼人と請負人とのマッチングを行う。例えば、買い物代行システム103は、依頼人端末101によって設定された請負人の条件に基づいて、登録された請負人を抽出して表示し、依頼人端末101に提示してよい。依頼人は、依頼人端末101に表示された請負人の中から、より好適な請負人を選択してよい。また、マッチング部309は、チャットなどの機能を提供し、依頼人と請負人との会話を可能にしてもよい。マッチング部309は、依頼人と請負人とが購入物の買い物代行について合意すると、設定された買い物条件をクローズする。
【0030】
チケット設定部311は、買い物代行について合意した請負人の請負人端末102に対してチケットを設定する。具体的には、チケット設定部311は、チケット発行部307によって発行されたチケットを、請負人端末102に送信する。例えば、チケット設定部311は、チケットを、電子メール等を使用して請負人端末102に送信してもよいし、請負人端末102がチケットを買い物代行システム103からダウンロードできるようにしてもよい。
【0031】
チケット条件チェック部313は、販売店端末105から受信したチケット情報に基づいて、チケットの条件チェックを行う。具体的には、チケットに設定された決済手段の発行会社であるイシュアの識別番号、利用金額、有効期限、利用回数制限などをチェックする。チケット条件チェック部313は、チェック結果が問題ない場合には、チケットの利用を許可する。
【0032】
チケット売上処理部315は、販売店端末105からチケット情報に基づいてチケット分の売上を買い物代行システム300に記憶する。
【0033】
売上変換部317は、買い物代行システム300に記憶されたチケット分の売上を、イシュア(決済手段の発行会社)への売上に変換する。
【0034】
尚、買い物代行システム300の機能構成は、上述した機能構成に限定されるものではなく、他の構成要素を含んでよい。
【0035】
(買い物代行方法)
図4は、一実施形態に係る買い物代行方法のフローチャートを示す。以下に説明する買い物代行方法の各ステップは、上述した依頼人端末101、請負人端末102、および買い物代行システム103によって実施される。
【0036】
ステップS401において、買い物代行の依頼人は、依頼人端末101を用いて買い物代行システム103にアクセスし、買い物代行サービスに登録する。ここでは、依頼人の個人情報などを登録する。
【0037】
ステップS403において、買い物代行システム103では、登録された情報に基づいて、依頼人の本人確認が行われる。本人確認結果は、依頼人端末101に通知することができる。
【0038】
ステップS405において、買い物代行システム130は、本人確認に成功した登録情報に基づいて、買い物代行サービスを利用するための依頼人のアカウントを作成する。買い物代行システム103は、作成したアカウントの情報を、依頼人端末101に通知する。
【0039】
ステップS407において、依頼人は、依頼人端末101を用いて買い物代行システム103にアクセスし、買い物条件を設定する。設定された買い物条件が、依頼人による買い物代行の依頼となる。買い物条件には、金額帯、物品、個数、お届け日、お届け方法、買い物代行手数料、請負人の条件などが含まれる。
【0040】
ステップS409において、買い物代行システム103は、設定された買い物条件に基づいて購入物の設定を行う。購入物に関する情報は、買い物代行システム103上で請負人が請負人端末102を利用して選択可能なように公開される。
【0041】
ステップS411において、依頼人は、依頼人端末101を用いて買い物代行システム103にアクセスし、キャッシュレス精算を行うための決済手段を設定する。決済手段は、例えば、クレジットカード決済や、デビット決済、電子マネー決済などを利用することができる。
【0042】
ステップS413において、買い物代行システム103は、設定された購入物を購入するために、設定された決済手段に対応するチケットを発行して、買い物代行システム103に記憶する。チケットとは、決済手段の発行会社であるイシュアの識別番号、利用金額、有効期限、および利用回数制限を含むトークンとすることができる。本実施形態では、チケットとして、購入物を購入するだけの権利を請負人に譲渡することにより、キャッシュレス精算を可能にすることができる。
【0043】
ステップS415において、請負人は、請負人端末102を利用して買い物代行システム103にアクセスし、買い物代行システム103上に設定された購入物の請負を選択する。
【0044】
ステップS417において、買い物代行システム103は、依頼人と請負人とをマッチングする。例えば、買い物代行システム103は、チャットなどの機能を提供し、依頼人と請負人との会話を可能にする。買い物代行システム103は、依頼人と請負人とが購入物の買い物代行について合意すると、設定された買い物条件をクローズする。
【0045】
ステップS419において、買い物代行システム103は、請負人の請負人端末102に対してチケットを設定する。具体的には、買い物代行システム103は、ステップS413で発行したチケットを請負人端末102に送信する。例えば、買い物代行システム103は、チケットを、電子メール等を使用して請負人端末102に送信してもよいし、請負人端末102がチケットを買い物代行システム103からダウンロードできるようにしてもよい。
【0046】
ステップS421において、請負人は、請負人端末102に、チケットを登録する。例えば、請負人端末102は、電子メール等で受信したチケットを記憶してもよいし、買い物代行システム103からダウンロードしたチケットを記憶してよい。
【0047】
ステップS425において、請負人には、請負人端末102に登録されたチケットを利用して、購入物の買い物を行う。
【0048】
ステップS423において、販売店の店員は販売店端末105において、チケットを利用して決済を行い、請負人にたいして購入物である商品を提供する。また、販売店端末105は、決済に利用したチケットに関する情報を、買い物代行システム103に送信する。買い物代行システム103は、チケットが利用されたことを依頼人端末101に通知してもよい。
【0049】
ステップS427において、買い物代行システム103は、販売店端末105から受信したチケット情報に基づいて、チケットの条件チェックを行う。具体的には、チケットに設定された利用金額、有効期限、利用回数制限などをチェックする。
【0050】
ステップS429において、請負人は、購入物を依頼人に届け、ステップS431において、依頼人は購入物を受け取る。
【0051】
ステップS433において、買い物代行システム103は、販売店端末105からチケットが利用された決済情報を受信してチケット分の売上を記憶し、S435において、イシュアへ売上を変換する。
【0052】
ステップS437において、依頼人には、依頼人端末101を用いて、チケットおよび手数料の精算を行う。
【0053】
以上説明したように、本実施形態によると、キャッシュレス精算を可能にするチケット式の買い物代行システムおよび方法を提供することができる。
【符号の説明】
【0054】
300 買い物代行システム
301 依頼人登録部
303 請負人登録部
305 購入物設定部
307 チケット発行部
309 マッチング部
311 チケット設定部
313 チケット条件チェック部
315 チケット売上処理部
317 売上変換部