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▶ 香▲高▼ 幹夫の特許一覧

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  • 特開-多機能移植ゴテ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023055583
(43)【公開日】2023-04-18
(54)【発明の名称】多機能移植ゴテ
(51)【国際特許分類】
   A01C 5/02 20060101AFI20230411BHJP
【FI】
A01C5/02 A
A01C5/02 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021165113
(22)【出願日】2021-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】511222076
【氏名又は名称】香▲高▼ 幹夫
(74)【代理人】
【識別番号】240000039
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人 衞藤法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】香▲高▼ 幹夫
(57)【要約】
【課題】移植する植物の大きさ、とくに高さ方向に対する干渉を気にすることなく作業でき、作業の自由度が高く、構造も簡単で経済的に製造できる多機能移植ゴテを提供する。
【解決手段】多機能移植ゴテであって、下端に掘削刃部と上端にハンドル部を有し、凹面が形成されて横断面視で部分円筒形状に形成された一対の掘削板と、該一対の掘削板を、その凹面同士が対向した状態で上下動可能及び左右に傾斜可能に保持するガイド溝を備えると共に、掘削土壌の上に設置されるガイド板とからなることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下端に掘削刃部と上端にハンドル部を有し、凹面が形成されて横断面視で部分円筒形状に形成された一対の掘削板と、
該一対の掘削板を、その凹面同士が対向した状態で上下動可能及び左右に傾斜可能に保持するガイド溝を備えると共に、掘削土壌の上に設置されるガイド板と
からなる
ことを特徴とする多機能移植ゴテ。
【請求項2】
前記ガイド溝が、少なくとも前記掘削板の凹面が摺動可能に形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の多機能移植ゴテ。
【請求項3】
前記掘削刃部が鋸刃である
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の多機能移植ゴテ。
【請求項4】
前記ガイド板が嵌合可能な固定盤を設けた
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の多機能移植ゴテ。
【請求項5】
前記ハンドル部の上端に所定長さの柄部を備えた
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の多機能移植ゴテ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、園芸用の移植ゴテに関し、殖生している苗木等をその周囲の土ごと掘り出し、他の土壌に移植するための多機能移植ゴテに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、園芸作業において、植物の移植や苗を植え付ける際には、差込体とこの差込体の基端に取り付けられた柄とからなる移植ゴテ(こて、スコップ、ショベルということもある。)を用いることが一般的である。普通の移植ゴテは、柄部を把持し、柄部の先に設けられた小皿形状の匙部を土壌に垂直若しくは任意の角度に傾斜させて差し込み、掘削して植栽穴を穿つことに主に用いられる。
【0003】
例えば、特許文献1には、柄体を湾曲させて構造上強靭かつ作業性が良好になるように改良した移植こてが記載されている。このような移植こてを使用して植物の苗木等を花壇から植木鉢へ移植する際には、苗木周囲の土壌を数回掘削し、苗木を土と共に掘り起こす。その際、作業者は移植ゴテが干渉(触れたりぶつかったりすること)して苗木を傷つけないよう移植する植物のサイズ、形状及び種類に応じて慎重に掘削することが要求される。
【0004】
一方、鉢植えされた植物を花壇の土壌へ移植する際には、特許文献1乃至3記載のような掘削治具を用いる。移植手順として、先ず作業者は掘削治具を用いて、移植先の土壌を適切な範囲掘削して移植穴を穿つ。次いで、鉢から植物を引き抜いて、掘削した移植穴に植物を移植し、必要であれば周辺に盛り土をする。鉢から植物を取り出す方法は、移植ゴテを用いる他、作業者が植物を手で引き抜く、若しくは鉢自体を壊して取り出している。また、苗や球根が比較的小さい植物の移植については、特許文献4に開示されている「園芸用移植スコップ」を用いることができる。
【0005】
特許文献2には、軸ピンに回転自在に取付けられた対称形の2本の棒の下端に、各々半円筒形スコップ刃が互いに平行になるように装着されたハサミ式の穴掘りスコップが開示されている(特許文献2参照。)。特許文献3には、ショベル状部材とフォーク状部材からなり、これらは各々、半円筒形状の差込体と、この差込体の基端部に形成された取付部材と、この取付部材に取り付けられた柄体を具備し、これらショベル状部材とフォーク状部材を差込体の凹面同士を対向させて着脱可能なヒンジ部により回動自在に取り付け、植付けのための穴の形成が容易で、幅広い用途に適用可能な植付具が提案されている(特許文献3参照。)。
【0006】
また、特許文献4には、並行に対向した2本のスコップに下端を刃とし、上端にハンドルに固定したバネ部を持つ柄を装着し、バネ部の下にハンドルと一緒に握ることのできるベルトを橋し渡して装着し、必要な深さの位置で引きベルトに指をかけハンドルと一緒に握ることにより、向い合った刃が引きベルトに引かれてそれぞれ内側に傾き、二つの刃の間に挟まれた土を圧縮・保持できる移植スコップが開示されている(特許文献4参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実用新案登録第3041215号公報
【特許文献2】実用新案登録第3068866号公報
【特許文献3】特開平10-234205号公報
【特許文献4】特開2004-154111号公報
【特許文献5】実用新案登録第3131860号公報
【特許文献6】特開2016-142123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、土壌を掘削するにあたり、従来の移植ゴテは掘削範囲が広くなると土壌に差し込む必要回数が増し、多大な労力を要する。さらに、移植ゴテの形状は、半円形の湾曲面となっているため、掘削土がこぼれやすく、根土ごと移植することが困難である。また、特許文献2又は特許文献3に記載の掘削用具は、土壌のみの掘削には有効であるが、植物と植物周囲の土を共に掘削する際には、使用場所が自ずと制限される。これは対向配置した一対のスコップの連結部分が半円の中心に配されているので、当該連結部分が植物の大きさや形状によっては干渉するためである。
【0009】
そこで、例えば、第1のコテ本体のスライド用ボックスに第2のコテを柄部方向にスライド可能に取り付け。且つ、第1のコテ本体に第2のコテをスライド用ボックスを介して回転可能に取り付け、これらのコテ先の間に挟み込んだ土ごと移植コテを上に引き上げることで、花、野菜等の苗木、各種球根等を植える時に円柱状の綺麗な穴を開けることができるようにされたもの(特許文献5参照。)、長尺の柄部を有する一対の刃板その柄部の下端に設けられて、接続部材によって一対の刃板の土砂保持面が相対向に接近離間するよう揺動自在に接続され、苗木をその周囲の土と共に掘り起こすことができる複合スコップが提案されている(特許文献6参照。)。
また、特許文献1~6に記載された発明は、一旦、土壌を掘削すると、匙部の刃面に土が付着し、連続して掘削作業を行う場合には、この付着した土が邪魔になるので、その都度除去する必要があり、作業効率が悪い。
本発明もまた上記従来技術の課題に鑑みなされたものであり、移植する植物の大きさ、とくに高さ方向に対する干渉を気にすることなく、使い勝手が良い多機能移植ゴテを提供することを目的とする。
また、本発明は、作業時に掘削板(従来技術の移植ゴテの匙部に相当する部分。)に付着した土を簡単に除去することができ、使い勝手が良い多機能移植ゴテを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、多機能移植ゴテであって、下端に掘削刃部と上端にハンドル部を有し、凹面が形成されて横断面視で部分円筒形状に形成された一対の掘削板と、該一対の掘削板を、その凹面同士が対向した状態で上下動可能及び左右に傾斜可能に保持するガイド溝を備えると共に、掘削土壌の上に設置されるガイド板とからなることを特徴とする。また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の多機能移植ゴテであって、前記ガイド溝が、少なくとも前記掘削板の凹面が摺動可能に形成されていることを特徴とする。また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の多機能移植ゴテであって、前記掘削刃部が鋸刃であることを特徴とする。また、請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の多機能移植ゴテであって、前記ガイド板が嵌合可能な固定盤を設けたことを特徴とする。また、請求項5に記載の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の多機能移植ゴテであって、前記ハンドル部の上端に所定長さの柄部を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、以下の優れた効果がある。
(1)移植する植物の大きさ、とくに高さ方向に対する干渉を気にすることなく作業できる。
(2)作業時に掘削板(従来技術の移植ゴテの匙部に相当する部分。)に付着した土を簡単に除去することができる
(3)掘削板とガイド板を分離して設けたので、作業の自由度が高く、構造も簡単で経済的に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る多機能移植ゴテの一実施例を示す分解斜視図である。
図2】本発明に係る多機能移植ゴテのガイドリングの一実施例を示す(a)は平面図、(b)は斜視図である。
図3】本発明に係る多機能移植ゴテの掘削板の一実施例を示す斜視図である。
図4】本発明に係る多機能移植ゴテのガイドリングの他の実施例を示す(a)は平面図、(b)は斜視図である。
図5】本発明に係る多機能移植ゴテのガイドリングの他の実施例を示す(a)は平面図、(b)は斜視図である。
図6】本発明に係る多機能移植ゴテのガイドリングの他の実施例を示す平面図である。
図7】ガイドリングを地面にピン止めする状態を示す斜視図である。
図8】ガイドリングを地面にピン止めする別の状態を示す斜視図である。
図9】本発明に係る多機能移植ゴテの一実施例における使用状態を示す断面図であり、(a)は、移植ゴテを苗木の周囲の土壌に差し込んだ状態を示し、(b)は、移植ゴテを苗木及び土壌とともに持ち上げた状態を示す。
図10】本発明に係る多機能移植ゴテの他の実施例における使用状態を示す断面図である。(a)は、移植ゴテを苗木の周囲の土壌に差し込んでガイドリングを固定ピンで固定した状態を示し、(b)は、移植ゴテを苗木及び土壌とともに持ち上げた状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【実施例0013】
以下、図面に示す実施例に基づいて本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明に係る多機能移植ゴテを示す分解斜視図である。
図1に示すように、本発明に係る移植ゴテ1は、それぞれの横断面が部分円筒形状に形成された一対の掘削板2,2と、これら掘削板2,2を上下動可能及び左右に傾斜可能に保持する座板となる円板状のガイドリング3とからなり、掘削板2、2は各々の湾曲した凹面2d,2d同士が対向するように配置して使用される。掘削板2,2は、金属製又はプラスチック製であってよい。なお、部分円筒形状とは、円筒形状を中心軸方向に沿って分割したうちの一部分からなる形状である。例えば、半円筒形状も部分円筒形状に含まれる。
【0014】
掘削板2,2の下端には鋸刃状の掘削刃2a,2aが形成され、上端には掘削板2,2の湾曲形状に倣った肉厚の把持条2b,2bとその直下に穿孔された横長で人の手が挿通可能な把持孔2c,2cとにより形成されたハンドル部4,4が形成され掘削板2,2の上端を作業者が把持できるようにされている。なお、掘削刃2a,2aを鋸刃状としたのは、後述するようにマルチフィルムを容易に切断するためであるので、マルチフィルムを切断することなく単に土壌の掘削として用いるのであれば、鋸刃状でなくてもよい。
【0015】
図1乃至図3に示すように、移植ゴテ1の一対の掘削板2,2は、土壌G(図9、又は、図10参照。)の表面に設置され、移植対称の植物Pの突出口となる円形の透孔3bが開口されて形成された円板状のガイドリング3の内周側に形成された相対するガイド溝(スリット)3a,3aに掘削板2,2の凹面2d,2d同士が対向した状態で挿入し、上下動可能及び左右に傾斜可能に保持される。ガイド溝3a,3aは、好ましくは、対応する掘削板2,2が上下動する際に、掘削板2,2の凹面2d,2dが、ガイド溝3a,3aに摺動可能に形成される。つまり、ガイド溝3a,3aの溝幅が、掘削板2,2の凹面2d,2d部分の厚さと同じ又はわずかに拡幅されて形成される。このように、ガイド溝3a,3aを形成することにより、土壌の掘削後に掘削板2,2をガイドリング3から引き抜くときに、掘削板2,2の凹面2d,2dがガイド溝3a,3aに摺動することで、掘削板2,2の凹面2d,2dに付着した土を容易に除去することができる。なお、掘削板2,2の凹面2d,2dの裏側は凸面2e,2eが形成されているが、上述したのと同様に、凸面2e,2eに付着した土も簡単に除去することができることはいうまでもない。
【0016】
このガイドリング3は、内周側に形成された相対するガイド溝(スリット)3a,3aが設けられた円板を基本形状とするが、図4に示すように、従来の移植ゴテを使用した場合、移植ゴテの匙部の補強リブ部分が通過可能に形成された一対の凹部3c,3cを設けたものや、図5に示すように、例えば、リング3を直径方向に2分割して、分割されたガイドリング3,3の端部同士を軸支手段5,5(図5では、螺子で示されている。)で軸支して連結し、この連結されたガイドリング3,3の両端部のいずれか一方を開放して、開放されていない他方の端部(軸支された部分)を支点として透孔3bが任意に拡大できるようにしたもの、図6に示すようにリング3の一部に切欠dを設け、例えば、苗木Pの移植作業時に、苗木Pを切欠dに通過させることで、苗木Pの幹と干渉することなくガイドリング3,3を配置できるようにしたもの等、植栽対象物の形状に応じて必要な形に形成することができる。
【0017】
さらに、図7に示すように、ガイドリング3よりも一回り大きい直径で、ガイドリング3が嵌合する段差6cを設けると共に、土壌Gの上に固定ピン7を打ち込んで固定される耳辺6aとピン挿通孔6bを形成した固定盤6を設けたもの、図8に示すように、植栽口の掘削のみを行うために、ガイドリング3の透孔3bを塞ぎ、略中央部に固定穴3dを設けて固定ピン7でガイドリング3をピン止めし、さらに強く固定するための足踏み片8を設けることもできる。
【0018】
図9及び図10に本発明多機能移植ゴテの使用方法を示す。
先ず、図9(a)に示すように、一対の掘削板2,2を、ガイドリング3のガイド溝3a,3aに挿入する。ガイド溝3a,3aの直径は、掘削する植物の周囲を囲むサイズで、ガイド溝3a,3aに沿って土壌Gに対して垂直に掘削板2,2を差し込む。次いで、図9(b)に示すように、双方の掘削板2,2のハンドル部4,4を外方向に拡げる操作をすることによって、掘削板2,2によって掘削土gを植物Pと共に挟持する。この状態で掘削板2,2を上方へ引き上げ、植物Pと掘削土gを掘削した後、移植先まで運搬する。図9(b)は、植木鉢等へ移植する前の状態である。そして、掘削と逆の手順で両掘削板2,2のハンドル部4,4を内方向に閉じる操作をすることによって、両掘削板2,2の下部を広げて掘削土gを解放し、植木鉢等へ移植する。この状態では、掘削板2,2の凹面2d,2d又は凸面2e,2eには、余分な土が付着していることが多い。しかしながら、その後、次の作業に移るために、あるいは、作業を終了するために、掘削板2,2のハンドル部4,4を上方向へ持ち上げ、掘削板2,2をガイドリング3のガイド溝3a,3aを挿通させながら引き抜くことで、付着した土を容易に除去することができる。好ましくは、凹面2d,2d又は凸面2e,2eをガイド溝3a,3aに摺動させるように掘削板2,2をガイド溝3a,3aから引き抜くようにすれば、付着した土をより確実に除去することができる。
【0019】
次に、図10について説明する。図10は、図7で示したガイドリング3よりも一回り大きい直径で、ガイドリング3が嵌合する段差6cを設けると共に、土壌Gの上に固定ピン7を打ち込んで固定される耳辺6aとピン挿通孔6bを形成した固定盤6を用いた場合の移植の状態を説明する。
図10(a)に示すように土壌Gの表面に載置された固定盤6のピン挿通孔6b,6bに固定ピン7,7を打ち込んで、耳片6a,6a、つまり、固定盤6を土壌Gに固定する。そして、固定された固定盤6の段差6cにガイドリング3を嵌合させる。その状態で、一対の掘削板2,2を、ガイドリング3のガイド溝3a,3aに挿入する。ガイド溝3a,3aの直径は、掘削する植物の周囲を囲むサイズで、ガイド溝3a,3aに沿って土壌Gに対して垂直に掘削板2,2を差し込む。ここで、ガイドリング3が固定盤6に嵌合されているので、掘削板2,2をガイド溝3a,3aに沿って回動させることで、土壌Gを、ガイド溝3a,3aの形状に沿って、掘削する領域と掘削しない領域とに容易に分離することができる。次いで、図10(b)に示すように、双方の掘削板2,2のハンドル部4,4を外方向に拡げる操作をすることによって、掘削板2,2によって掘削土gを植物Pと共に挟持する。固定盤6は、土壌Gに固定したままである。この状態で掘削板2,2を上方へ引き上げ、植物Pと掘削土gを掘削した後、移植先まで運搬する。図10(b)は、植木鉢等へ移植する前の状態である。そして、掘削と逆の手順で両掘削板2,2のハンドル部4,4を内方向に閉じる操作をすることによって、両掘削板2,2の下部を広げて掘削土gを解放し、植木鉢等へ移植する。なお不図示であるが、ハンドル部4,4の上端に所定長さの柄部を設けた構成にすれば、作業者がこの柄部の上部を持つことで立ったまま作業することができる。この構成においては、ハンドル部4,4の把持孔2c,2cはなくてもよく、また、柄部の上端に把持部を設けてもよい。柄部は、ハンドル部4,4に着脱可能に取り付けられてもよく、ハンドル部4,4と一体的に形成されてもよい。
【0020】
また、合成樹脂製のマルチフィルムで苗木が被覆された土壌Gに植栽穴を掘削する作業がある。マルチフィルムは、高品質で安定した生産をするために野菜や花卉の栽培に用いられている。このマルチフィルムで被覆した土壌Gに植栽穴を開ける際には、マルチフィルムをカットする作業は必須である。通常はカッターナイフや円形に切り抜くマルチフィルムカッターが使用される。しかしながら、これらの用具は迅速に作業するためにかなりの熟練を要していた。本発明の掘削板2の下端に形成された鋸刃2aは、このマルチフィルムカッターとしての機能も備えている。
【産業上の利用可能性】
【0021】
なお、本発明は上記実施例の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲、実施形態の範囲で種々の変形例、例えば、ガイドリングを円形意外の形状、例えば矩形にすること、金属や合成樹脂以外への材質の変更も可能である。
【符号の説明】
【0022】
1 移植ゴテ
2 掘削板
2a 掘削刃
2b 把持条
2c 把持孔
3 ガイドリング
3a ガイド溝(スリット)
3b 透孔(植物突出口)
3c 凹部
3d 固定穴
4 ハンドル部
5 支軸
6 固定盤
6a 耳片
6b ピン挿通孔
6c 段差
7 固定ピン
8 足踏み片
d リングの切欠き
g 掘削土
G 土壌
P 植物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10