(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023055584
(43)【公開日】2023-04-18
(54)【発明の名称】物品を固定金具を用いて壁に取付けることが可能な間仕切り壁、及びその設置方法
(51)【国際特許分類】
E04F 13/08 20060101AFI20230411BHJP
E04B 2/74 20060101ALI20230411BHJP
A47B 96/06 20060101ALI20230411BHJP
A47B 55/00 20060101ALI20230411BHJP
A47B 96/14 20060101ALI20230411BHJP
A47B 47/02 20060101ALI20230411BHJP
【FI】
E04F13/08 H
E04B2/74 541A
E04F13/08 101F
A47B96/06 C
A47B55/00
A47B96/06 F
A47B96/14 F
A47B47/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021165114
(22)【出願日】2021-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】501390079
【氏名又は名称】ドゥーマンズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126826
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 克之
(72)【発明者】
【氏名】二宮健一
(72)【発明者】
【氏名】大谷竹男
(72)【発明者】
【氏名】岡田信生
【テーマコード(参考)】
2E110
3B054
3B067
【Fターム(参考)】
2E110AA42
2E110AB04
2E110AB23
2E110CA07
2E110CC03
2E110DA09
2E110DB13
2E110DC02
3B054EA03
3B054FA01
3B067AA00
3B067AA07
3B067AB04
3B067BA01
3B067DA00
(57)【要約】 (修正有)
【課題】家具等の荷重がかかる物品を壁に取付けて支持することが可能な間仕切り壁を提供する。
【解決手段】部屋の中の所望の位置に複数の間柱11、12,13、14を一定の距離隔てて立設し、立設された複数の間柱の互いに対向する側面部に固定金具を用いてパネル21,22,23を取り付けることによって壁を構成すると共に、当該複数の間柱の正面部に物品を固定金具を用いて取り付けることによって物品を壁の前面において固定して、その状態で物品の荷重を支える。
【選択図】
図2(A)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を壁の前面に固定金具を用いて取付けることが可能な間仕切り壁であって、
所定の天井高を有する部屋の第一の位置において、前記部屋の床面に対して垂直に立てられて、柱の上端と下端がそれぞれ前記部屋の天井と床に接続して固定された第一の間柱と、
前記第一の位置から所定の距離離れた第二の位置において、前記部屋の床面に対して垂直に立てられて、柱の上端と下端がそれぞれ前記部屋の天井と床に接続して固定された第二の間柱と、
前記第一の間柱と前記第二の間柱の間に取り付けられた第一の壁板パネル、を備え、
前記第一の間柱と前記第二の間柱の互いに対向する側面にはそれぞれ壁板パネル取付構造が設けられており、前記第一の壁板パネルの左右両端がそれぞれ前記壁板パネル取付構造に固定金具を用いて嵌合固定されて壁を構成しており、
前記第一の間柱と前記第二の間柱の正面部には、それぞれ柱の長手方向に沿って一定の間隔で複数の物品取付構造が設けられており、
間仕切り壁に取り付ける物品の左右両端を前記第一の間柱と前記第二の間柱の正面部に設けられた前記複数の物品取付構造に固定金具を用いて雄雌嵌合させることによって、前記物品を前記第一の壁パネルの前面に取り付けて、その状態で前記物品の荷重を前記第一の間柱と前記第二の間柱によって支えることができるように構成されている、
部屋の中の所望の位置に設置して、物品を壁の前面に固定金具を用いて取付けることが可能な間仕切り壁。
【請求項2】
前記第一の間柱と前記第二の間柱の間の距離は、壁板パネルとして用いる標準規格の板材の横寸法に合わせて設定されている、請求項1に記載の間仕切り壁。
【請求項3】
前記物品の左右両端に固定金具が取り付けられており、前記第一の間柱と第二の間柱の間の距離は、壁に取り付ける物品を前記第一の間柱と第二の間柱の正面に前記固定金具を用いて取り付けることが可能な距離に設定されている、請求項1又は2に記載の間仕切り壁。
【請求項4】
前記第一の間柱の側面と前記第二の間柱の側面にはそれぞれ柱の長手方向に沿って一定間隔で複数のダボ穴が形成されており、前記複数のダボ穴にダボが挿入されて壁板パネル取付構造を構成している、請求項1~3のいずれか一項に記載の間仕切り壁。
【請求項5】
前記第一の壁板パネルを、前記第一の間柱と前記第二の間柱の側面のダボ穴に挿入されたダボに固定金具を用いて嵌合させることによって、前記第一の壁板パネルが前記第一の間柱と前記第二の間柱の間に取り付けられている、請求項1~4のいずれか一項に記載の間仕切り壁。
【請求項6】
前記第一の間柱と第二の間柱は、正面中央部に柱の長手方向に沿って連続した溝が掘られて凹の断面形状が形成されており、前記溝は第一の間柱と第二の間柱の側面に開けられたダボ穴と連通している。前記第一の間柱と第二の間柱の側面のダボ穴に挿入されたダボは前記溝を通って前記第一の間柱と前記第二の間柱を貫通しており、前記物品に取り付けられた固定金具を前記ダボが前記溝を通る部分に雄雌嵌合させることによって、前記物品を前記第一と第二の間柱に取り付けることが可能なように構成されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の間仕切り壁。
【請求項7】
前記物品は前記第一の壁板パネルと同等の幅を有する直方体形状の収納棚であり、前記収納棚は壁に対して垂直に取り付けられる、請求項1~6のいずれか一項に記載の間仕切り壁。
【請求項8】
前記物品は前記第一の壁板パネルと同等の幅を有するキャビネットである、請求項1~7のいずれか一項に記載の間仕切り壁。
【請求項9】
前記第一の位置と前記第二の位置の延長直線上にあって前記第二の位置から前記所定の距離離れた第三の位置において、前記部屋の床面に対して垂直に立てられて、柱の上端と下端がそれぞれ前記部屋の天井と床に接続して固定された第三の間柱と、前記第二の間柱と前記第三の間柱の間に取付けられた第二の壁板パネルを備え、
前記第二の壁板パネルは、その左右両端が前記第二の間柱と前記第三の間柱の互いに対向する側面に固定金具を用いて取り付けられて、前記第一の壁板と共に間仕切り壁を構成している、請求項1~8のいずれか一項に記載の間仕切り壁。
【請求項10】
前記第一の間柱の正面部と前記第二の間柱の正面部の物品取付構造に固定金具を用いて取り付けられた収納棚と、前記第二の間柱の正面部と前記第三の間柱の正面部の物品取付構造に固定金具を用いて取り付けられた収納棚とが隣接平行して、連続した収納棚を形成するように構成されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の間仕切り壁。
【請求項11】
部屋の中の所望の位置に間仕切り壁を設置して、物品を固定金具を用いて前記間仕切り壁に取付ける方法であって、
所定の天井高を有する部屋の第一の位置において、第一の間柱を前記部屋の床面に対して垂直に立てて、柱の上端と下端をそれぞれ前記部屋の天井と床に接続して固定するステップと、
前記第一の位置から所定の距離離れた第二の位置において、第二の間柱を前記部屋の床面に対して垂直に立てて、柱の上端と下端がそれぞれ前記部屋の天井と床に接続して固定するステップと、
第一の壁板パネルを前記第一の間柱と前記第二の間柱の間に取り付けるステップ、を含み、
前記第一の間柱の前記第二の間柱に対向する第一の側面と、前記第二の間柱の前記第一の間柱に対向する第二の側面にそれぞれ壁板パネル取付構造を設け、前記第一の壁板パネルの左右両端を前記第一の側面と前記第二の側面に設けられた壁板パネル取付構造に固定金具を用いて嵌合することによって壁を構成し、
固定金具を備えた物品を、前記第一の間柱と前記第二の間柱の正面部に一定間隔で取り付けられた前記複数の物品取付構造に雄雌嵌合によって取り付けることによって、前記第一の壁パネルの前面に前記物品を取り付けて、前記第一の間柱と第二の間柱によって前記物品の荷重を支える、
部屋の中の所望の位置に間仕切り壁を設置して、物品を固定金具を用いて前記間仕切り壁に取付ける方法。
【請求項12】
前記第一の間柱と前記第二の間柱の間の距離は、壁板パネルとして用いる標準規格の板材の横寸法に合わせて設定する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記物品の左右両端にそれぞれ固定金具を取り付け、前記第一の間柱と第二の間柱の間の距離を、前記物品の左右両端を前記第一の間柱と第二の間柱の正面の物品取付構造に固定金具を用いて取り付けることが可能な距離に設定する、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記第一の間柱と前記第二の間柱の両側面に、柱の長手方向に沿って一定間隔で複数のダボ穴を形成し、前記複数のダボ穴にダボを挿入して貫通させて前記第一の間柱と第二の間柱の両側面から突出させて壁板パネル取付構造を形成し、前記第一の壁板を、その左右両端に取り付けられた固定金具を前記第一の間柱と第二の間柱の側面から突出した一つ又は複数のダボに嵌合させることによって、前記第一の壁板パネルを前記第一の間柱と前記第二の間柱の間に取り付ける、請求項11~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記第一と第二の間柱は、正面中央部に柱の長手方向に沿って連続した溝が掘られて凹の断面形状を形成し、前記溝は第一の間柱と第二の間柱の側面に開けられたダボ穴と連通しており、前記第一の間柱と第二の間柱の側面のダボ穴に挿入されたダボは前記溝を通って前記第一の間柱と前記第二の間柱を貫通しており、前記物品に取り付けられた固定金具を前記ダボが前記溝を通る部分に雄雌嵌合させることによって、前記物品を前記第一と第二の間柱に取り付ける、請求項11~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記物品は前記第一の壁板パネルと同等の幅を有する直方体形状の収納棚であり、前記収納棚は壁に対して垂直方向に取り付けられる、請求項11~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記第一の位置と前記第二の位置の延長上にあって前記第二の位置から所定の距離離れた第三の位置において、第三の柱を前記部屋の床面に対して垂直に立てて、柱の上端と下端をそれぞれ前記部屋の天井と床に接続して固定し、前記第二の間柱と前記第三の間柱の間に第二の壁板を取り付ける、請求項11~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記第一の間柱の正面部と前記第二の間柱の正面部の物品取付構造に固定金具を用いて第一の収納棚を取り付け、前記第二の間柱の正面部と前記第三の間柱の正面部の物品取付構造に固定金具を用いて第二の収納棚を取り付け、前記第一の収納棚と前記第二の収納棚とを隣接平行して、連続した収納棚を形成するように構成する、請求項11~17のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を固定金具を用いて壁に取付けることが可能な間仕切り壁、及びその設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
個人住宅、業務用オフィスを問わず、部屋は一般に外装壁や内装壁に囲まれている。壁に家具を取り付けるには、取付ける壁の内部に支持構造があるかどうかを確かめて、支持構造がない場合には、壁に穴を開けて補強材を接着し、ビス等を用いて家具を取り付けて固定している。
【0003】
部屋の間取り用に、部屋の中に間仕切り壁を設置することが行われている。間仕切り壁には多くの種類のものが提案されているが、典型的には、床に支柱を立てて天井と固定して、パネルを取り付けて壁を構成する。これによって、大部屋を使用者のニーズに合わせて複数の部屋と通路等に間取りすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
部屋の既設の壁と同様、間仕切り壁に収納棚、家具等の物品を取り付ける必要が生じる。しかし、間仕切り壁が、部屋の中に支柱を立てて、支柱と支柱の間にパネルを取り付けて壁にしたものである場合、そのようにして作られた壁に収納棚、家具等の物品を取り付けるのは容易でないし、既設の壁と比べて強度的に弱いので、重量のある物品を長期間支え続けることは困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、発明者は鋭意検討した結果、複数の支柱(間柱)を一定の距離隔てて立設し、そのようにして立設された複数の間柱の互いに対向する側面部に固定金具を用いてパネルを取り付けることによって壁を構成すると共に、当該複数の間柱の正面部に物品を固定金具を用いて取り付けることに想到した。
【0007】
上記想到に基づいて、本発明の発明者は、物品を壁の前面に固定金具を用いて取付けることが可能な間仕切り壁であって、
所定の天井高を有する部屋の第一の位置において、前記部屋の床面に対して垂直に立てられて、柱の上端と下端がそれぞれ前記部屋の天井と床に接続して固定された第一の間柱と、
前記第一の位置から所定の距離離れた第二の位置において、前記部屋の床面に対して垂直に立てられて、柱の上端と下端がそれぞれ前記部屋の天井と床に接続して固定された第二の間柱と、
前記第一の間柱と前記第二の間柱の間に取り付けられた第一の壁板パネル、を備え、
前記第一の間柱と前記第二の間柱の互いに対向する側面にはそれぞれ壁板パネル取付構造が設けられており、前記第一の壁板パネルの左右両端がそれぞれ前記壁板パネル取付構造に固定金具を用いて嵌合固定されており、
前記第一の間柱と前記第二の間柱の正面部には、それぞれ柱の長手方向に沿って一定の間隔で複数の物品取付構造が設けられており、
間仕切り壁に取り付ける物品の左右両端を前記第一の間柱と前記第二の間柱の正面部に設けられた前記複数の物品取付構造に固定金具を用いて雄雌嵌合させることによって、前記物品を前記第一の壁パネルの前面に取り付けて、その状態で前記物品の荷重を前記第一の間柱と前記第二の間柱によって支えることができるように構成されている、
部屋の中の所望の位置に設置して、物品を壁の前面に固定金具を用いて取付けることが可能な間仕切り壁、という発明に到達した。
【0008】
好ましくは、前記第一の間柱と前記第二の間柱の間の距離は、壁板パネルとして用いる標準規格の板材の横寸法に合わせて設定されている。
【0009】
好ましくは、前記物品の左右両端には固定金具が取り付けられており、前記第一の間柱と第二の間柱の間の距離は、壁に取り付ける前記物品を前記第一の間柱と第二の間柱の正面に前記固定金具を用いて取り付けることが可能な距離に設定されている。
【0010】
好ましくは、前記第一の間柱の側面と前記第二の間柱の側面にはそれぞれ柱の長手方向に沿って一定間隔で複数のダボ穴が形成されており、前記複数のダボ穴にダボが挿入されて壁板パネル取付構造を構成している。
【0011】
好ましくは、前記第一の壁板パネルを、前記第一の間柱と前記第二の間柱の側面のダボ穴に挿入されたダボに固定金具を用いて嵌合させることによって、前記第一の壁板パネルが前記第一の間柱と前記第二の間柱の間に取り付けられている。
【0012】
好ましくは、前記第一の間柱と第二の間柱は、正面中央部に柱の長手方向に沿って連続した溝が掘られて凹の断面形状が形成されており、前記溝は第一の間柱と第二の間柱の側面に開けられたダボ穴と連通している。前記第一の間柱と第二の間柱の側面のダボ穴に挿入されたダボは前記溝を横断して前記第一の間柱と前記第二の間柱を貫通しており、前記物品に取り付けられた固定金具を前記ダボが前記溝を横断する部分に雄雌嵌合させることによって、前記物品を前記第一と第二の間柱に取り付けることが可能なように構成されている。
【0013】
好ましくは、前記物品は前記第一の壁板パネルと同等の幅を有する直方体形状の収納棚であり、前記棚板は壁に対して垂直に取り付けられて収納棚を構成する。
【0014】
好ましくは、前記物品は前記第一の壁板パネルと同等の幅を有するキャビネットである。
【0015】
好ましくは、前記第一の位置と前記第二の位置の延長直線上にあって前記第二の位置から前記所定の距離離れた第三の位置において前記部屋の床面に対して垂直に立てられて、柱の上端と下端がそれぞれ前記部屋の天井と床に接続して固定された第三の間柱と、前記第二の間柱と前記第三の間柱の間に取付けられた第二の壁板パネルを備え、
前記第二の壁板パネルは、その左右両端が前記第二の間柱と前記第三の間柱の互いに対向する側面に固定金具を用いて取り付けられて、前記第一の壁板と共に間仕切り壁を構成している。
【0016】
好ましくは、前記第一の間柱の正面部と前記第二の間柱の正面部の物品取付構造に固定金具を用いて取り付けられた第一の棚板と、前記第二の間柱の正面部と前記第三の間柱の正面部の物品取付構造に固定金具を用いて取り付けられた第二の棚板とが隣接平行して、一つの連続した収納棚を形成するように構成されている。
【0017】
さらに、本発明の発明者は、部屋の中の所望の位置に間仕切り壁を設置して、物品を固定金具を用いて前記間仕切り壁に取付ける方法であって、
所定の天井高を有する部屋の第一の位置において、第一の間柱を前記部屋の床面に対して垂直に立てて、柱の上端と下端をそれぞれ前記部屋の天井と床に接続して固定するステップと、
前記第一の位置から所定の距離離れた第二の位置において、第二の間柱を前記部屋の床面に対して垂直に立てて、柱の上端と下端がそれぞれ前記部屋の天井と床に接続して固定するステップと、
第一の壁板パネルを前記第一の間柱と前記第二の間柱の間に取り付けるステップ、を含み、
前記第一の間柱の前記第二の間柱に対向する第一の側面と、前記第二の間柱の前記第一の間柱に対向する第二の側面にそれぞれ壁板パネル取付構造を設け、前記第一の壁板パネルの左右両端を前記第一の側面と前記第二の側面に設けられた壁板パネル取付構造に固定金具を用いて嵌合することによって壁を構成し、
固定金具を備えた物品を、前記第一の間柱と前記第二の間柱の正面部に一定間隔で取り付けられた前記複数の物品取付構造に雄雌嵌合によって取り付けることによって、前記第一の壁板パネルの前面に前記物品を取り付けて、前記第一の間柱と第二の間柱によって前記物品の荷重を支える、
部屋の中の所望の位置に間仕切り壁を設置して、物品を固定金具を用いて前記間仕切り壁に取付ける方法、という発明に到達した。
【0018】
好ましくは、前記第一の間柱と前記第二の間柱の間の距離は、壁板パネルとして用いる標準規格の板材の横寸法に合わせて設定する。
【0019】
好ましくは、前記物品の左右両端にそれぞれ固定金具を取り付け、前記第一の間柱と第二の間柱の間の距離を、前記物品の左右両端を前記第一の間柱と第二の間柱の正面の物品取付構造に固定金具を用いて取り付けることが可能な距離に設定する。
【0020】
好ましくは、前記第一の間柱と前記第二の間柱の両側面に、柱の長手方向に沿って一定間隔で複数のダボ穴を形成し、前記複数のダボ穴にダボを挿入して貫通させて前記第一の間柱と第二の間柱の両側面から突出させて壁板パネル取付構造を形成し、
前記第一の壁板を、その左右両端に取り付けられた固定金具を前記第一の間柱と第二の間柱の側面から突出した一つ又は複数のダボに嵌合させることによって、前記第一の壁板パネルを前記第一の間柱と前記第二の間柱の間に取り付ける。
【0021】
好ましくは、前記第一の間柱と第二の間柱の正面中央部に柱の長手方向に沿って連続した溝が掘られて凹の断面形状を形成し、前記溝を第一の間柱と第二の間柱の側面に開けられたダボ穴と連通させ、前記第一の間柱と第二の間柱の側面のダボ穴に挿入されたダボは前記溝を通って前記第一の間柱と前記第二の間柱を貫通しており、前記物品に取り付けられた固定金具を前記ダボが前記溝を通る部分に雄雌嵌合させることによって、前記物品を前記第一の間柱と第二の間柱に取り付ける。
【0022】
好ましくは、前記物品は前記第一の壁板パネルと同等の幅を有する直方体形状の棚板であり、前記棚板は壁に対して垂直方向に取り付けられて収納棚を構成する。
【0023】
好ましくは、前記第一の位置と前記第二の位置の延長上にあって前記第二の位置から所定の距離離れた第三の位置において、第三の柱を前記部屋の床面に対して垂直に立てて、柱の上端と下端をそれぞれ前記部屋の天井と床に接続して固定し、前記第二の間柱と前記第三の間柱の間に第二の壁板を取り付ける。
【0024】
好ましくは、前記第一の間柱の正面部と前記第二の間柱の正面部に設けられた物品取付構造に固定金具を用いて第一の棚板を取り付け、前記第二の間柱の正面部と前記第三の間柱の正面部の物品取付構造に固定金具を用いて第二の棚板を取り付け、前記第一の棚板と前記第二の棚板とを隣接平行して、一つの連続した収納棚を形成するように構成する。
【発明の効果】
【0025】
本発明の間仕切り壁の一つの実施態様では、間柱と間柱の間の距離を自由に設定できるので、壁板、キャビネット等の物品に用いられる板材の標準規格の横寸法に合わせて距離を設定することができる。それによって、市販の板材を用いたパネル、キャビネット等を取り付けることができる間仕切り壁を部屋の中に容易に構築することができる。
【0026】
本発明の間仕切り壁の一つの実施態様では、壁を部屋の所望の位置に容易に設置可能であり、尚且つ収納棚等の物品を壁板に取り付けるのではなく、間柱に固定金具を用いて取り付けるので、物品を壁の前面において高い耐久強度をもって支えることができる。
【0027】
本発明の間仕切り壁の一つの実施態様では、物品の左右両端に取り付けられた固定金具をそれぞれ間柱の正面部に取り付けられた複数の高さ位置の物品取付構造に嵌合させることができるので、使用者は間仕切り壁の前面において物品を所望の位置に容易に取り付けて固定することができる。
【0028】
本発明の間仕切り壁の一つの実施態様では、物品の左右両端に取り付けられた固定金具をそれぞれ間柱の正面部に取り付けられた複数の位置の物品取付構造に嵌合させることができるので、間仕切り壁の前面において物品を固定した状態で、物品の重力による荷重を、柱の長手方向に沿って設けられた複数の物品取付構造によって、長期間にわたってしっかりと支えることができる。
【0029】
本発明の間仕切り壁の一つの実施態様では、壁の前後両面に収納棚を取り付けることができることができるので、部屋の収納機能を格段に向上させることができる。
【0030】
本発明の間仕切り壁の一つの実施態様では、市販の2x4の板材に加工を付与して間柱として用いることができることができるので、容易かつ低コストで部屋の中に間仕切り壁を構築することができる。
【0031】
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】
図1は、本発明の間仕切り壁の一つの実施形態に、収納棚とキャビネットが取り付けられた状態を示す。
【
図2(A)】
図2(A)は、
図1の間仕切り壁の正面図を示す。
【
図2(B)】
図2(B)は
図1の間仕切り壁の上断面図を示す。
【
図4】
図4は、本発明の間仕切り壁の一つの実施形態の、壁板パネルを固定金具を用いて間柱に雄雌嵌合させた状態を示す。
【
図5】
図5は、本発明の間仕切り壁の一つの実施形態において、間柱に壁パネル及び収納棚を取り付けた状態の断面図を示す。
【
図6】
図6は、本発明の間仕切り壁の一つの実施形態において、壁板パネルの前面に収納棚が取り付けられている状態を示す断面図である。
【
図7】
図7は、本発明の間仕切り壁の一つの実施形態を部屋の中の所望の位置に設置するステップ1~6を示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を用いながら本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0034】
図1は、本発明の間仕切り壁の一つの実施形態を示す。
図1において、間仕切り壁1は床と天井の間に立設された複数の間柱10と、複数の間柱の間に取り付けられた壁板パネル20を備える。壁板パネル20に対して、複数段の収納棚30と、壁の下段には、キャビネット40が取り付けられている。
図2(A)は、
図1の間仕切り壁の正面図であり、
図2(B)は
図1の間仕切り壁の部分上断面図である。
図3は、
図1,2の間仕切り壁の横断面図を示す。
【0035】
図2(A)(B)を参照して、間柱11、12,13、14はそれぞれ柱の下端が部屋の床に接続固定され、柱の上端が部屋の天井に接続固定されている。間柱と間柱の間には、壁板パネル21,22,23が取り付けられて、間仕切り壁1を構成している。壁板パネル21,22,23の前面には、それぞれ棚板31,32,33が取り付けられている。さらに、下段には、それぞれキャビネット41,42,43が壁の前面に取り付けられている。間柱には一般的な2x4規格の木材を加工して用いることができる。しかし、2x4規格の木材に限られず、金属製でもプラスチック製でも、必要な強度を有し、尚且つ同様の形状に加工できる限り本発明の間柱に用いることができる。
【0036】
図2(A)及び
図3を参照して、間柱11、12,13の両側面には柱の長手方向に沿って複数のダボ穴が設けられている。
図4に示すように、各ダボ穴には細長い円柱形状のダボが挿入されて柱の両側面から突出し、各間柱の側面に壁板パネル取付構造を形成している。間柱にダボ穴を長手方向に一定間隔で複数設けて各ダボ穴にダボを挿入して壁板パネル取付構造を形成する。このように構成することにより、壁板パネルを間柱と間柱の間の所望の高さ位置に取り付けることができる。本発明に用いるダボの形状とサイズは、間柱の厚さ寸法と間柱に開けるダボ穴の形状と寸法に合わせて決められる。ダボは強度の点で、金属製のものが好ましく用いられるが、強度さえ満たされれば、金属製に限られず、木製、プラスチック製等のものも使うことができる。
【0037】
図4は、本発明の間仕切り壁の一つの実施形態において、壁板パネル22を固定金具を用いて間柱12に雄雌嵌合させた状態を示す。壁板パネル22の裏面に貼り付けられて固定された固定金具から延出するかぎ状の2本のフックが間柱12の側面から突出した2つのダボに雄雌嵌合されて、壁板パネル22が間柱12に取り付けられている。壁板パネルの固定金具を嵌合させるダボの数は特に制限はなく、一つであってもよいし、又は3つ以上であってもよい。壁板パネルの固定金具を嵌合させるダボの数が多い方が、よりしっかりと壁板パネルを間柱に固定することができる。
【0038】
図5は、本発明の間仕切り壁の一つの実施形態において、間柱11に壁パネル21,22、及び棚板31,32を取り付けた状態の断面図を示す。間柱11の左右両側面には前後二つのダボ穴が貫通しており、間柱11の正面の中央部には溝110が形成されており、溝110はダボ穴101と連通している。ダボ穴101には、ダボが挿入貫通されしており、間柱11の左右両側面に壁板パネル取付構造を形成している。
【0039】
図5及び
図2(B)を参照して、間柱11、12,13、14の正面中央部にはそれぞれ柱の長手方向に沿って連続した溝110,120,130、140が形成されている。溝の深さは、間柱の中央には届かないが、間柱の側面に開けたダボ穴と溝が連通するのに十分な深さを有している。間柱11の側面のダボ穴101に挿入されたダボは溝110を横断して間柱11の反対側の側面に形成されたダボ穴に抜けて間柱11を貫通している。ダボが溝110を横断して露出している部分は、溝110を通して固定金具のフックをダボに掛ける物品取付構造として用いられる。棚板31の右端に取り付けられた固定金具が、間柱11の溝110を横断しているダボに雄雌嵌合することによって、棚板31が間柱11に取り付けられる。同様に、収納棚32の左端に取り付けられた固定金具が、間柱11の溝110を横断しているダボに雄雌嵌合することによって、棚板32が間柱11に取り付けられている。
【0040】
図5に示すように、壁板パネル21,22は、間柱11の側面を超えて正面部を部分的に覆っている。間柱の存在を外部に露出させない方が審美的に好ましいが、壁板パネルが間柱の正面部を全面的に覆ってしまうと、開口部が塞がれて収納棚等の物品を間柱に取り付けることができなくなる。従って、間柱の正面部は壁パネルによって全面的に覆わずに少なくとも部分的に開口させて、収納棚の固定金具を開口部から挿入してダボにアクセス可能にしておくことが必要である。
【0041】
図6及び
図3を参照して、壁板パネル21の前面には棚板31が取り付けられている。棚板31の左端部に取り付けられた固定金具を、間柱11の右正面に設けられた物品取付構造(ダボ穴103、104に挿入されたダボ)に雄雌嵌合させた状態を示す。固定金具311は棚板31の端面に貼り付けられてビスを用いて強固に固定接着されている。固定金具のフックは、間柱11の縦方向に隣接するダボ穴103と104に挿入されたダボと雄雌嵌合されており、花瓶が載置された収納棚の荷重を、ダボ穴103と104に挿入された二つのダボによって支えている。本発明において、固定金具は、鉄等の金属製のものが高い強度を有しいるので、好適に用いられる。しかし、金属製でなくても、例えば硬質のプラスチック製のものも、要求される強度を満たすことができれば用いることができる。本発明の固定金具はその意味に解釈されるべきである。
【0042】
間仕切り壁1に取り付ける物品が収納棚である場合について説明したが、本発明の間仕切り壁に取り付けることができる物品は収納棚に限られず、キャビネット、テレビ等の電化製品等、およそ固定金具を用いて間柱に係合固定させることができるものであれば良い。
図1及び
図2(A)を参照して、間仕切り壁1の下段には、キャビネット40が取り付けられている。キャビネット40の左右両端には、固定金具金物401,402が取り付けられており、固定金具が間柱の正面部に設けられた物品取付け構造に雄雌嵌合によって接続固定されている。
【0043】
図7は、本発明の間仕切り壁の一つの実施形態を部屋の中の所望の位置に設置する方法を示す。
<ステップ1>
2x4の木板の正面中央部に溝を形成すると共に、側面に一定間隔で複数のダボ穴を形成し、各穴にダボを挿入した間柱を、必要な本数作製する。
<ステップ2>
第一の間柱を部屋の中の所望の第一の位置に立てる。
<ステップ3>
第一の間柱から所定の距離離れた第二の位置に第二の間柱を立てる。
<ステップ4>
第二の間柱から所定の距離離れた第三の位置に第三の間柱を立てる。
<ステップ5>
第一の間柱と第二の間柱と第二の間柱と第三の間柱の間に壁板パネルを取り付ける。
<ステップ6>
左右端部に固定金具を備えた第一の棚板と第二の棚板を間柱の正面部の溝を横断するダボに固定金具を用いて取り付ける。
【0044】
本発明の間仕切り壁は、居住スペースの間取りに用いる他、店舗の陳列棚、本屋の書棚等、及びそれらの改装等、多くの分野において用いることが可能である。
【0045】
以上、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内において種々の実施形態に変更して実施することが可能である。
【符合の説明】
【0046】
1 間仕切り壁、11 第一の間柱、12 第二の間柱、13 第三の間柱、14 第四の間柱、20 壁板パネル、21 第一の壁板パネル、22 第二の壁板パネル、23 第三の壁板パネル、30 収納棚、31 第一の棚板、32 第二の棚板、33 第三の棚板、40 キャビネット 41 第一のキャビネット、42 第二のキャビネット、43 第三のキャビネット、101 第一のダボ穴、102 第二のダボ穴、103 第三のダボ穴、104 第四のダボ穴、105 第五のダボ穴、110 第一の間柱正面部の溝、120 第二の間柱正面部の溝、130 第三の間柱正面部の溝、311 固定金具