(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023055611
(43)【公開日】2023-04-18
(54)【発明の名称】積層型キャパシタの内部電極の積層方向検出装置及び検出方法
(51)【国際特許分類】
H01G 13/00 20130101AFI20230411BHJP
H01G 4/30 20060101ALI20230411BHJP
【FI】
H01G13/00 331D
H01G4/30 311Z
H01G4/30 517
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022078417
(22)【出願日】2022-05-11
(31)【優先権主張番号】10-2021-0132444
(32)【優先日】2021-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ソン、スー ホワン
(72)【発明者】
【氏名】パク、セ フン
(72)【発明者】
【氏名】ムーン、ビョン チョル
(72)【発明者】
【氏名】アン、ヨン ギュ
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E082AA01
5E082AB03
5E082EE01
5E082FF05
5E082FG26
5E082GG10
5E082MM15
5E082MM19
(57)【要約】 (修正有)
【課題】積層型キャパシタの内部電極の積層方向検出装置及び検出方法を提供する。
【解決手段】積層型キャパシタ100の内部電極の積層方向検出装置は、複数の積層型キャパシタが連続で供給される供給部2を有し、供給された積層型キャパシタを一方向に移動させるキャパシタ移動部1と、コイルを含み、キャパシタ移動部上に設置され、それぞれの積層型キャパシタが接近する時、コイルのインダクタンスを検出してコイルのインダクタンス値の差によって積層型キャパシタの内部電極が積層された方向を判断するセンサー部10と、キャパシタ移動部上に設置され、センサー部により不適合積層型キャパシタとして選別された積層型キャパシタ100'を分離する分離部5とを含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の積層型キャパシタが連続で供給される供給部を有し、供給された積層型キャパシタを一方向に移動させるキャパシタ移動部と、
コイルを含み、前記キャパシタ移動部上に設置され、それぞれの積層型キャパシタが接近する時、前記コイルのインダクタンスを検出してコイルのインダクタンス値の差によって前記積層型キャパシタの内部電極が積層された方向を判断するセンサー部と、
前記キャパシタ移動部上に設置され、前記センサー部により不適合積層型キャパシタとして選別された積層型キャパシタを分離する分離部とを含む、積層型キャパシタの内部電極の積層方向検出装置。
【請求項2】
前記積層型キャパシタを挟んで前記センサー部と対向する位置に配置される磁性部材をさらに含む、請求項1に記載の積層型キャパシタの内部電極の積層方向検出装置。
【請求項3】
前記磁性部材の透磁率が100~5000である、請求項2に記載の積層型キャパシタの内部電極の積層方向検出装置。
【請求項4】
前記センサー部と前記積層型キャパシタとの間に配置され、前記積層型キャパシタの一面が密着して前記センサー部と前記積層型キャパシタとの間隔が一定に保持されるようにする間隔保持部材をさらに含む、請求項1から3の何れか1つに記載の積層型キャパシタの内部電極の積層方向検出装置。
【請求項5】
前記間隔保持部材は非磁性体からなる、請求項4に記載の積層型キャパシタの内部電極の積層方向検出装置。
【請求項6】
前記センサー部は、前記コイルの内径が前記積層型キャパシタの長さ方向の3.0倍以下であり、上記コイルの巻線数が下記の式1を満たす、請求項1に記載の積層型キャパシタの内部電極の積層方向検出装置。
式1)巻線数(N)≧20/(積層型キャパシタの長さ×コイルの内径)
【請求項7】
積層型キャパシタにコイルが含まれたセンサー部を接近させて、積層型キャパシタに含まれた内部電極の積層方向によるコイルのインダクタンス差をチェックし、チェックされた値を予め設定された基準インダクタンス値と比較して、積層型キャパシタの内部電極の積層方向を検出する方法。
【請求項8】
インダクタンスの測定周波数が50kHz~5Mhzである、請求項7に記載の積層型キャパシタの内部電極の積層方向を検出する方法。
【請求項9】
前記積層型キャパシタを挟んで前記センサー部と対向する位置に磁性部材を配置し、渦電流により発生するコイルのインダクタンス変化を増加させるようにする、請求項7に記載の積層型キャパシタの内部電極の積層方向を検出する方法。
【請求項10】
前記磁性部材の透磁率が100~5000である、請求項9に記載の積層型キャパシタの内部電極の積層方向を検出する方法。
【請求項11】
前記センサー部と前記積層型キャパシタとの間に非磁性体からなる間隔保持部材を配置し、前記間隔保持部材の一面に前記積層型キャパシタの一面が密着して前記センサー部と前記積層型キャパシタとの間隔が一定に保持されるようにする、請求項7から10の何れか1つに記載の積層型キャパシタの内部電極の積層方向を検出する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型キャパシタの内部電極の積層方向検出装置及び検出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
積層型キャパシタ(MLCC)は、顧客の要求に合わせ、かつ製品の特性を改善するために、PCB実装時に内部電極方向の整列を必要とする場合がある。
【0003】
従来は、磁石を使用して製品包装前に積層型キャパシタの内部電極方向を整列して顧客に提供していた。
【0004】
しかし、かかる磁石を使用する方法は、整列の正確度に限界があるため、所望でない方向に整列されたチップが流出する可能性を内在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国公開特許第2018-0061001号
【特許文献2】日本登録特許第6361570号
【特許文献3】日本登録特許第6107752号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、向上された正確度を有する積層型キャパシタの内部電極の積層方向検出装置及び検出方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面は、複数の積層型キャパシタが連続で供給される供給部を有し、供給された積層型キャパシタを一方向に移動させるキャパシタ移動部と、コイルを含み、上記キャパシタ移動部上に設置され、それぞれの積層型キャパシタが接近する時、上記コイルのインダクタンスを検出してコイルのインダクタンス値の差によって上記積層型キャパシタの内部電極が積層された方向を判断するセンサー部と、上記キャパシタ移動部上に設置され、上記センサー部により不適合積層型キャパシタとして選別された積層型キャパシタを分離する分離部とを含む、積層型キャパシタの内部電極の積層方向検出装置を提供する。
【0008】
本発明の一実施形態において、上記積層型キャパシタを挟んで上記センサー部と対向する位置に配置される磁性部材をさらに含むことができる。
【0009】
本発明の一実施形態において、上記磁性部材の透磁率は100~5000であることができる。
【0010】
本発明の一実施形態において、上記センサー部と上記積層型キャパシタとの間に配置され、上記積層型キャパシタの一面が密着して上記センサー部と上記積層型キャパシタとの間隔が一定に保持されるようにする間隔保持部材をさらに含むことができる。
【0011】
本発明の一実施形態において、上記間隔保持部材は非磁性体からなることができる。
【0012】
本発明の一実施形態において、上記センサー部は、上記コイルの内径が上記積層型キャパシタの長さ方向の3.0倍以下であり、上記コイルの巻線数が下記の式1を満たすことができる。式1)巻線数(N)≧20/(積層型キャパシタの長さ×コイルの内径)
【0013】
本発明の他の側面は、積層型キャパシタにコイルが含まれたセンサー部を接近させて、積層型キャパシタに含まれた内部電極の積層方向によるコイルのインダクタンス差をチェックし、チェックされた値を予め設定された基準インダクタンス値と比較して、積層型キャパシタの内部電極の積層方向を検出する方法を提供する。
【0014】
本発明の一実施形態において、インダクタンスの測定周波数は、好ましく50kHz~5Mhzであることができる。
【0015】
本発明の一実施形態において、上記積層型キャパシタを挟んで上記センサー部と対向する位置に磁性部材を配置し、渦電流により発生するコイルのインダクタンス変化を増加させるようにすることができる。
【0016】
本発明の一実施形態において、上記センサー部と上記積層型キャパシタとの間に非磁性体からなる間隔保持部材を配置し、上記間隔保持部材の一面に上記積層型キャパシタの一面が密着して上記センサー部と上記積層型キャパシタとの間隔が一定に保持されるようにすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一実施形態によると、積層型キャパシタの内部に含まれた内部電極の方向を感知できるように、コイル(Coil)を使用して、キャパシタ本体の内部電極の積層方向(水平/垂直)によるコイルのインダクタンス差を検出して、積層型キャパシタの内部電極方向の整列状態を簡便かつ正確に把握することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態により第1積層型キャパシタをセンサー部で検出することを概略的に示した斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態により第2積層型キャパシタをセンサー部で検出することを概略的に示した斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態による検出装置を概略的に示した平面図である。
【
図4】本発明の一実施形態による検出装置でセンサー部の作動原理を概略的に示した図面である。
【
図5】本発明の他の実施形態による内部電極の積層方向を検出する方法を概略的に示した図面である。
【
図6】(a)及び(b)は本発明のまた他の実施形態による内部電極の積層方向を検出する方法を概略的に示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は、いくつかの他の形態に変形することができ、本発明の範囲が以下説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(又は強調表示や簡略化表示)がされることがある。
【0020】
また、各実施形態の図面に示された同一思想の範囲内の機能が同一である構成要素は、同一の参照符号を付与して説明する。
【0021】
さらに、明細書全体において、ある構成要素を「含む」というのは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0022】
以下、本発明の実施形態を明確に説明するために積層型キャパシタの方向を定義すると、図面に表示されたX、Y及びZはそれぞれ、積層型キャパシタの長さ方向、幅方向及び厚さ方向と定義されることができる。
【0023】
積層型キャパシタは、超小型へ次第に薄型化されることにより、内部に含まれる内部電極の方向を容易に検出可能な技術がより必要な実情である。
【0024】
本発明は、積層型キャパシタの内部に含まれる内部電極の積層方向を検出する装置及び該装置を利用して積層型キャパシタの積層タイプを検出する方法に関するものである。
【0025】
本発明の一実施形態に適用される積層型キャパシタは、後述する内部電極の積層方向によって第1積層型キャパシタと第2積層型キャパシタに区分される。
【0026】
ここで、第1積層型キャパシタは、複数の内部電極が実装面に対して水平の方向に積層される構造を有し、第2積層型キャパシタは、複数の内部電極が実装面に対して垂直の方向に積層される構造を有する。
【0027】
図1は、本発明の一実施形態により第1積層型キャパシタをセンサー部で検出することを概略的に示した斜視図であり、
図2は、本発明の一実施形態により第2積層型キャパシタをセンサー部で検出することを概略的に示した斜視図である。
【0028】
図1を参照すると、一実施形態による第1積層型キャパシタ101は、キャパシタ本体110と第1外部電極131及び第2外部電極132とを含む。
【0029】
キャパシタ本体110は、複数の誘電体層111をZ方向に積層した後に焼成したもので、キャパシタ本体110の互いに隣接する誘電体層111間の境界は、走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を利用せずには確認し難い程に一体化されることがある。
【0030】
この時、キャパシタ本体110は略六面体状であることができるが、本発明がこれに限定されるものではない。また、キャパシタ本体110の形状、寸法及び誘電体層111の積層数が本実施形態の図面に示されたものに限定されない。
【0031】
本実施形態では、説明の便宜のために、キャパシタ本体110のZ方向に互いに対向する両面を第1面及び第2面と、第1面及び第2面と連結され、Z方向に垂直かつX方向に互いに対向する両面を第3面及び第4面と、第1面及び第2面と連結され、第3面及び第4面と連結され、Z方向に垂直かつY方向に互いに対向する両面を第5面及び第6面と定義する。
【0032】
また、第1積層型キャパシタ101の実装面は、キャパシタ本体110の第1面であることができる。
【0033】
かかるキャパシタ本体110は、誘電体層111と第1内部電極121及び第2内部電極122を含み、キャパシタの容量形成に寄与する部分としてのアクティブ領域と、上下マージン部としてZ方向に上記アクティブ領域の上下部にそれぞれ配置される上部及び下部カバー領域を含むことができる。
【0034】
第1内部電極121及び第2内部電極122は、互いに異なる極性が印加される電極であり、誘電体層111を挟んでZ方向に沿って交互に配置され、一端がキャパシタ本体110の第3面及び第4面を通じてそれぞれ露出することができる。
【0035】
この時、第1内部電極121及び第2内部電極122は、中間に配置された誘電体層111により互いに電気的に絶縁されることができる。
【0036】
このようにキャパシタ本体110の第3面及び第4面を通じて交互に露出する第1内部電極121及び第2内部電極122の端部は、後述するキャパシタ本体110の第3面及び第4面に配置される第1外部電極131及び第2外部電極132とそれぞれ接続して電気的に連結されることができる。
【0037】
上記のような構成により、第1外部電極131及び第2外部電極132に所定の電圧を印加すると、第1内部電極121及び第2内部電極122の間に電荷が蓄積される。
【0038】
この時、第1積層型キャパシタ101の静電容量は、アクティブ領域においてZ方向に沿って互いに重畳する第1内部電極121及び第2内部電極122のオーバーラップされた面積と比例する。
【0039】
また、第1内部電極121及び第2内部電極122を形成する材料は特に制限されず、例えば、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、パラジウム-銀(Pd-Ag)合金などの貴金属材料、ニッケル(Ni)、及び銅(Cu)のうち一つ以上の物質からなる導電性ペーストを使用して形成されることができる。
【0040】
第1外部電極131は、キャパシタ本体110のX方向の一側端部に配置される。
【0041】
また、第1外部電極131は、キャパシタ本体110の第3面3上に配置される第1接続部と、上記第1接続部においてキャパシタ本体110の第1面、第2面、第5面及び第6面の一部に向かって延長する第1バンド部とを含むことができる。
【0042】
第2外部電極132は、第1外部電極131と異なる極性の電圧が提供され、キャパシタ本体110のX方向の他側端部に配置される。
【0043】
また、第2外部電極132は、キャパシタ本体110の第4面上に配置される第2接続部と、上記第2接続部においてキャパシタ本体110の第1面、第2面、第5面及び第6面の一部に向かって延長する第2バンド部とを含むことができる。
【0044】
図2を参照すると、第2積層型キャパシタ102は、誘電体層111と第1内部電極123及び第2内部電極124がY方向に積層され、かかる点を除いた残りの構造は、上述した
図1の第1積層型キャパシタ101と類似するため、重複を避けるためにこれに対する具体的な説明を省略する。
【0045】
図3は、本発明の一実施形態による検出装置を概略的に示した平面図である。
【0046】
図3及び
図4を参照すると、本発明の一実施形態の一積層型キャパシタの内部電極の積層方向を検出する装置は、キャパシタ移動部1、センサー部10及び分離部5を含む。
【0047】
キャパシタ移動部1は、複数の積層型キャパシタ100が一つずつ連続で供給される供給部2を有し、供給された積層型キャパシタ100を一方向に移動させる役割をする。ここで図面符号100は、積層方向が確認される前の第1または第2積層型キャパシタを指す。
【0048】
センサー部10はコイル11を含み、キャパシタ移動部1上に設置される。
【0049】
かかるセンサー部10は、それぞれの積層型キャパシタ100が接近する時、コイル11のインダクタンスを検出して、コイル11のインダクタンス値の差によって該当する積層型キャパシタ100の内部電極が積層された方向が実装面に対して垂直であるか水平であるかを判断する役割をする。
【0050】
この時、積層型キャパシタのサイズが小さ過ぎる場合、センサー部10により測定されるインダクタンスの変化が小さく、インダクタンス変化の検出が難しいため、積層タイプを鑑別し難い場合が発生し得る。
【0051】
かかる問題を解決するためには、センサー部10に含まれるコイル11のサイズを小さくすることが有利である。
【0052】
この時、コイル11の内径は、好ましくは積層型キャパシタ100のX方向の長さの3.0倍以下であることができる。例えば、積層型キャパシタ100のX方向の長さが0.6mmであれば、コイル11の内径は1.8mm以下であることができる。
【0053】
但し、コイル11の内径が小さければ発生するインダクタンスが減少するため、コイル11の巻線数(コイルが巻かれた回数)を増加させて適正な水準のインダクタンスが実現されるようにする必要がある。
【0054】
この時、好ましいコイルの巻線数は、次の式1で求められる。
式1)巻線数(N)≧20/(積層型キャパシタのX方向の長さ×コイルの内径)
【0055】
分離部5はキャパシタ移動部2上に設置され、センサー部10により不適合積層型キャパシタとして選別された積層型キャパシタ100'を分離する役割をする。ここで、図面符号4は、分離部5がキャパシタ移動部2と連結される地点を表す。
【0056】
そして、図面符号7は、センサー部10により適合な積層型キャパシタ100として選別された積層型キャパシタ100が図面符号6の位置に到逹すると商品として排出する排出部を示す。
【0057】
図4は、本発明の一実施形態による検出装置でセンサー部の作動原理を概略的に示した図面である。
【0058】
図4を参照して、本発明の内部電極の積層方向を検出する原理について説明する。
【0059】
コイル(C)で誘導された磁場(Magnetic field)MF2は、導電物質であるNi電極IE(本発明における第1及び第2内部電極)と測定コイルの平面が水平な形態の場合、Ni電極IEに渦電流(Eddy current)ECを生成するようになり、Ni電極IEに生成された渦電流ECは、渦電流磁場(Eddy current magnetic field)MF1を形成するようになる。
【0060】
このように生成された渦電流磁場MF1の影響により、コイルCの磁場MF2が干渉されるようになり、コイルCのインダクタンスに変化が発生し、これを測定し検出してNi電極IEの状態が水平であるか垂直であるかを検出することができる。
【0061】
例えば、
図1のように水平実装の場合、コイル10の平面と第1及び第2内部電極121、122が水平な形態で、これは渦電流が形成され易い条件であり、そのためインダクタンスの減少が大きく表れる。
【0062】
これと反対に、
図2のように垂直実装の場合、第1内部電極123及び第2内部電極124による渦電流の形成が小さいため、インダクタンスの減少が水平実装に比べて相対的に小さくなる。
【0063】
上記原理を利用して、積層型キャパシタに電流が流れるコイルを接近させ、その際に発生するコイルのインダクタンス値を測定すれば、積層型キャパシタの内部電極の積層方向が実装面に対して水平であるか垂直であるかを区別することができる。
【0064】
この時、インダクタンスの測定周波数は、好ましくは50kHz~5Mhzであることができる。測定周波数が50kHzより低い場合は、小型サイズの積層型キャパシタを測定する時にセンサーの敏感度が低く測定が正しく行われず、測定周波数が5Mhzより高い場合は、電流が表面だけに流れて積層型キャパシタの内部電極方向によるインダクタンス変化を測定し難くなるという問題が発生するおそれがある。
【0065】
下記の表1は、長さ、幅及び高さが2.0mm、1.25mm及び1.2mmの積層型キャパシタにおける水平積層タイプである第1積層型キャパシタと垂直積層タイプである第2積層型キャパシタの△Lを測定したものである。
【0066】
ここで、△Lは、積層型キャパシタがない場合にコイルに測定されるインダクタンス値をRefといい、コイルに電流を流して渦電流を発生させた場合にコイルに測定されるインダクタンス値の差を△Lと定義する。
【0067】
【0068】
表1を見ると、第1積層型キャパシタの場合、△Lがマイナス(-)と表れ、第2積層型キャパシタの場合、△Lがプラス(+)と表れて、インダクタンスの変化を通じて積層型キャパシタの内部電極の積層方向が区別可能なことを確認することができる。
【0069】
表2は、長さ、幅及び高さが1.6mm、0.8mm及び0.8mmの積層型キャパシタにおける第1積層型キャパシタ及び第2積層型キャパシタの△Lを測定したものである。
【0070】
【0071】
表2を見ると、第1積層型キャパシタの場合、△Lがマイナス(-)と表れ、第2積層型キャパシタの場合、△Lがプラス(+)と表れて、インダクタンスの変化を通じて積層型キャパシタの内部電極の積層方向が区別可能なことを確認することができる。
【0072】
表3は、長さ、幅及び高さが1.0mm、0.5mm及び0.5mmの積層型キャパシタにおける第1積層型キャパシタ及び第2積層型キャパシタの△Lを測定したものである。
【0073】
【0074】
表3を見ると、第1積層型キャパシタの場合、△Lがマイナス(-)と表れ、第2積層型キャパシタの場合、△Lがプラス(+)と表れて、インダクタンスの変化を通じて積層型キャパシタの内部電極の積層方向が区別可能なことを確認することができる。
【0075】
表4は、長さ、幅及び高さが0.6mm、0.3mm及び0.3mmの積層型キャパシタにおける第1積層型キャパシタ及び第2積層型キャパシタの△Lを測定したものである。
【0076】
【0077】
表4を見ると、第1積層型キャパシタの場合、△Lがマイナス(-)と表れ、第2積層型キャパシタの場合、△Lがプラス(+)と表れて、インダクタンスの変化を通じて積層型キャパシタの内部電極の積層方向が区別可能なことを確認することができる。
【0078】
本発明の一実施形態によると、コイルで発生した渦電流(eddy current)を使用して積層型キャパシタの内部電極の積層方向を検出することで、製品の外観や形状に影響が少なく、測定速度が速く、繰返し再現性の高い効果を期待することができる。ここで、繰返し再現性が高いというのは、同一の製品を数回繰り返して測定した場合に発生する測定値の偏差が少ないという意味である。
【0079】
また、表1~表4から分かるように、キャパシタ本体の内部に金属電極を使用する全ての積層型キャパシタに適用可能であり、コイルのサイズ及びコイルに流れる電流を変化させて水平/垂直方向による△L差を大きくすることができ、これにより検出力をさらに改善することができる。
【0080】
このように構成された検出装置を利用して本発明の積層型キャパシタの内部電極の積層方向を検出する方法について具体的に説明する。
【0081】
本発明の一実施形態によると、積層型キャパシタにコイルが含まれたセンサー部を接近させ、積層型キャパシタに含まれた内部電極の積層方向によるコイルのインダクタンス差をチェックして、チェックされた値を予め設定された基準インダクタンス値と比較して、積層型キャパシタの内部電極の積層方向を検出することができる。
【0082】
図5は、本発明の他の実施形態による内部電極の積層方向を検出する方法を概略的に示した図面である。
【0083】
図5を参照すると、センサー部10のインダクタンス変化の感度を増加させるために、積層型キャパシタ100を挟んでセンサー部10のコイルと対向する反対側位置に磁性部材200が配置されることができる。
【0084】
この時、磁性部材200は、好ましくは透磁率の高い材料からなることができ、例えば鉄(Fe)などからなってよく、磁性部材200の好ましい透磁率は100~5000であることができる。
【0085】
このように透磁率の高い材料からなる磁性部材200をセンサー部10の反対側に位置させると、センサー部10のコイルで発生する磁場が分散することを防ぎ磁性部材200側に集めるため、渦電流により発生するコイルのインダクタンス変化を大きくしてセンサー部10の感度を増加させることができる。
【0086】
この時、磁性部材200のサイズは、測定しようとする積層型キャパシタ100のサイズの100~400%の時に効果があり、好ましくは測定しようとする積層型キャパシタのサイズの100~200%で最も良好な結果が得られる。
【0087】
図6(a)及び
図6(b)は、本発明のまた他の実施形態による内部電極の積層方向を検出する方法を概略的に示した図面である。
【0088】
一実施形態のセンサー部10は、測定距離の変化によって測定されたインダクタンス値が変化することができる。
【0089】
図6(a)を参照すると、例えば同一の規格の積層型キャパシタ100a、100bであっても微細にサイズの差を有することがあり、この時、センサー部10と積層型キャパシタ間の距離d1、d2が互いに異なると測定されたインダクタンス値に誤差が生じるため、積層型キャパシタ100a、100bの内部電極の積層方向が垂直であるか水平であるかを正確に区別し難くなるおそれがある。
【0090】
図6(b)を参照すると、本発明の一実施形態では、センサー部10とサイズ偏差を有する積層型キャパシタ100a、100b間に間隔保持部材300が配置されることができる。
【0091】
間隔保持部材300は、積層型キャパシタ100a、100bの一面が密着してセンサー部10と積層型キャパシタ100a、100bの間隔d1、d2が一定に保持されるようにする役割をする。そこで、積層型キャパシタ100a、100b間のサイズの散布があっても安定してインダクタンス値を測定することができるようになる。
【0092】
この時、間隔保持部材300は、非磁性体として伝導性のない材料からなることができ、例えば、PETフィルム、ガラス(Glass)などからなることができる。
【0093】
一方、本発明の一実施形態のセンサー部は、キャパシタ移動部の下側に配置されてもよい。
【0094】
この場合、キャパシタ移動部の支持面に積層型キャパシタが支持され、かかる支持面の下部にセンサー部が位置するため、積層型キャパシタ間のサイズ偏差があるとしても積層型キャパシタとセンサー部間の間隔が常に一定に保持されることができる。
【0095】
以上で本発明の実施形態について詳しく説明したが、本発明は上述した実施形態及び添付された図面により限定されるものではなく、添付された特許請求の範囲により限定する。従って、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で当該技術分野の通常の知識を有する者により多様な形態の置換、変形及び変更が可能であり、これも本発明の範囲に属するといえる。
【符号の説明】
【0096】
1:キャパシタ移動部
5:分離部
10:センサー部
100:積層型キャパシタ
200:磁性部材
300:間隔保持部材