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特開2023-55620椅子機能付き空調装置及び椅子機能付き空調装置を備えたブース
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023055620
(43)【公開日】2023-04-18
(54)【発明の名称】椅子機能付き空調装置及び椅子機能付き空調装置を備えたブース
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/029 20190101AFI20230411BHJP
   F24F 13/22 20060101ALI20230411BHJP
   A47C 7/74 20060101ALI20230411BHJP
   E04H 1/12 20060101ALI20230411BHJP
【FI】
F24F1/029
F24F1/02 371F
A47C7/74 A
E04H1/12 302Z
E04H1/12 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022122686
(22)【出願日】2022-08-01
(31)【優先権主張番号】P 2021164436
(32)【優先日】2021-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】591280186
【氏名又は名称】株式会社オリバー
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】松▲崎▼ 周平
(72)【発明者】
【氏名】浦隅 明弘
(72)【発明者】
【氏名】魚返 浩司
【テーマコード(参考)】
3B084
3L050
【Fターム(参考)】
3B084JE02
3L050BA01
3L050BA04
3L050BA05
3L050BD05
3L050BE00
3L050BF03
(57)【要約】
【課題】空調装置の高コスト化を回避でき、少ない消費電力で着座者毎の快適な作業環境を実現できる椅子機能付き空調装置及び椅子機能付き空調装置を備えた低コストで快適なブースを提供する。
【解決手段】調和空気TKを形成する空調ユニット2と、椅子1とが合体された椅子機能付き空調装置10であって、空調ユニットは、椅子の内部1Nに収納され、椅子の外部1Gに向けて調和空気を送風可能に形成された。空調ユニットは、椅子の着座部11下方の空きスペースに形成された収納室12に収納され、椅子の外周部13には、空調ユニットと連通された送風口14が形成されている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
調和空気を形成する空調ユニットと椅子とが合体された椅子機能付き空調装置であって、
前記空調ユニットは、前記椅子の内部に収納され、前記椅子の外部に向けて前記調和空気を送風可能に形成されたことを特徴とする椅子機能付き空調装置。
【請求項2】
請求項1に記載された椅子機能付き空調装置において、
前記空調ユニットは、前記椅子の着座部下方の空きスペースに形成された収納室に収納され、
前記椅子の外周部には、前記空調ユニットと連通された送風口が形成されていることを特徴とする椅子機能付き空調装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載された椅子機能付き空調装置において、
前記空調ユニットは、冷気を送風する冷気用ユニットと暖気を送風する暖気用ユニットとを隔壁を隔てて備え、
前記冷気用ユニットは、前記隔壁の上方に位置し、前記椅子の上側の外周部に形成された上部送風口と連通され、
前記暖気用ユニットは、前記隔壁の下方に位置し、前記椅子の下側の外周部に形成された下部送風口と連通されていることを特徴とする椅子機能付き空調装置。
【請求項4】
請求項3に記載された椅子機能付き空調装置において、
前記空調ユニットは、圧縮機と、凝縮器と、膨張弁と、蒸発器と、これらを順に結ぶ配管とを有し、前記配管内に冷媒を循環させるヒートポンプから成り、
前記冷気用ユニットには、前記蒸発器を通過する調和空気を前記上部送風口へ送風する第1送風ファンを備え、
前記暖気用ユニットには、前記凝縮器を通過する調和空気を前記下部送風口へ送風する第2送風ファンを備えたことを特徴とする椅子機能付き空調装置。
【請求項5】
請求項2に記載された椅子機能付き空調装置において、
前記空調ユニットは、冷気又は暖気を送風する送風用ユニットと、排熱風を送風する排風用ユニットとを隔壁を隔てて備え、
前記送風用ユニットは、前記隔壁の上方に位置し、前記椅子の上側の外周部に形成された上部送風口と連通され、
前記排風用ユニットは、前記隔壁の下方に位置し、前記椅子の下側の外周部に形成された下部送風口と連通されていることを特徴とする椅子機能付き空調装置。
【請求項6】
請求項5に記載された椅子機能付き空調装置において、
前記空調ユニットは、圧縮機と、送風用熱交換器と、膨張弁と、排風用熱交換器と、四方弁と、これらを結ぶ配管と、前記配管内を流れる冷媒とを有し、前記四方弁によって前記冷媒の流れる向きを切替え可能に形成されたヒートポンプから成り、
前記送風用ユニットには、前記送風用熱交換器を通過する冷気又は暖気を前記上部送風口へ送風する第1送風ファンを備え、
前記排風用ユニットには、前記排風用熱交換器を通過する排熱風を前記下部送風口へ送風する第2送風ファンを備えたことを特徴とする椅子機能付き空調装置。
【請求項7】
請求項6に記載された椅子機能付き空調装置において、
前記送風用熱交換器の下方に配設された第1ドレンパンと、前記第1ドレンパンに下流側で接続され前記排風用熱交換器の下方に配設された第2ドレンパンと、前記第2ドレンパンに下流側で接続されヒータ装置を有すると共に前記排熱風の送風経路に配置されたドレンプールとを備え、
前記第1ドレンパンに溜まった結露水を前記第2ドレンパンを経由して前記ドレンプールに集積し、前記ドレンプールに集積したドレン水を前記ヒータ装置によって蒸発させることを特徴とする椅子機能付き空調装置。
【請求項8】
請求項6又は請求項7に記載された椅子機能付き空調装置において、
前記椅子の前側脚部には、前記収納室に対して着座者の踵を挿入できる踵逃げ部を形成する仕切り板を備え、
前記仕切り板には、前記送風用熱交換器を通過する空気の導入口が形成されていることを特徴とする椅子機能付き空調装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載された椅子機能付き空調装置を備えたブースにおいて、
前記ブースは、前記椅子機能付き空調装置に座る着座者が一人又は数人で作業又は居住する室内空間を有し、前記椅子機能付き空調装置の外周を少なくとも三方向から囲む側壁板で区画可能に形成されていることを特徴とする椅子機能付き空調装置を備えたブース。
【請求項10】
請求項9に記載されたブースにおいて、
前記ブースには、床面から離間した位置で椅子機能付き空調装置を載置する床板を備え、前記床板には、前記椅子の下端部と隣接した位置に開閉可能な換気窓が形成されていることを特徴とするブース。
【請求項11】
請求項6乃至請求項8のいずれか1項に記載された椅子機能付き空調装置を備えたブースであって、
前記ブースは、前記椅子機能付き空調装置に座る着座者が一人又は数人で作業又は居住する室内空間を有し、前記椅子機能付き空調装置の外周を少なくとも三方向から囲む側壁板で区画可能に形成されていることを特徴とするブース。
【請求項12】
請求項11に記載されたブースにおいて、
前記側壁板は、前記椅子機能付き空調装置の外周を四方向から囲むように形成され、
前記ブースには、前記各側壁板の上端部と連結された天井板を備え、
前記上部送風口は、椅子の背凭れ部の上端部から斜め後上方へ向けて冷気又は暖気を送風するように形成されていることを特徴とするブース。
【請求項13】
請求項12に記載されたブースにおいて、
前記ブースには、床面から離間した位置で前記椅子機能付き空調装置を載置する床板を備え、前記床板には、前記椅子の下端部と隣接した位置に前記排風用熱交換器を通過する空気を前記床面側から導入する導入窓と前記排風用熱交換器を通過した排熱風を前記床面側へ排出する排出窓とが形成されていることを特徴とするブース。
【請求項14】
請求項13に記載されたブースにおいて、
前記床板の下面には、前記導入窓へ導入する空気の流路を規制する空気仕切り板と、前記排出窓から排出する排熱風の流路を規制する排風仕切り板とを備え、
前記空気仕切り板の開口部と前記排風仕切り板の開口部とを、互いに反対向きに形成したことを特徴とするブース。
【請求項15】
請求項13又は請求項14に記載されたブースにおいて、
前記排出窓と対向する床面には、前記排出窓より大きく形成された調湿シート材が配置されていることを特徴とするブース。
【請求項16】
請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載されたブースであって、
前記ブースは、前記椅子機能付き空調装置に座る着座者が一人又は数人で作業又は居住する室内空間を有し、前記椅子機能付き空調装置を載置する床部材と、前記床部材の外周縁から上方へ延設された枠部材と、前記枠部材を覆うシート部材とで区画可能に形成されていることを特徴とするブース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、椅子機能付き空調装置及び椅子機能付き空調装置を備えたブースに関し、より詳しくは、空調装置の高コスト化を回避でき、少ない消費電力で着座者毎の快適な作業環境を実現できる椅子機能付き空調装置及び当該椅子機能付き空調装置を備えた低コストで快適なブースに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、オフィスにおけるフリーな作業環境を実現するため、作業テーブルに固定席を設けず、仕事の状況に応じて空いている席に座って仕事を行うフリーアドレス制を採用するオフィスが増えている。また、コワーキングオフィスやシェアオフィス等の形態が増加する中で、パーティション等で仕切られた室内空間や一人又は複数人で利用可能に形成された個室等(以下、上記室内空間や個室等を含めて「ブース」とも言う)も増加する傾向にある。一方で、最近のコロナ禍に対応するため、可能な限り在宅勤務やテレワークが奨励され、オフィスにおける空席が増加する傾向にある。そのような中で、オフィスにおける快適な環境を、高コスト化を回避し、少ない消費電力で実現できる空調装置が求められている。そのため、例えば、オフィス空間における空調エリアを複数に分割し、空調エリア毎に真に着座する人の状態に応じて、空調エリア毎に適切な空調を行うことができる空調システムの発明が、特許文献1に開示されている。
【0003】
すなわち、特許文献1に開示された空調システム100は、図18に示すように、空調空間(オフィス空間)101が複数の空調エリア102にエリア分割され、空調エリア102毎に空調装置103と複数の椅子104とが設けられ、制御手段105は、空調エリア102に配置される全椅子104の数に対する人が着座した着座状態にある椅子104の数の比率である着座率に応じて空調装置103を運転制御する構成とされ、椅子104の夫々に、着座部104aにおける着座体(人)の存在を検出可能な着座体検出手段106と、着座部104aの温度である着座部温度を検出可能な温度検出手段107とが設けられ、制御手段105が、着座体検出手段106による検出結果及び温度検出手段107による検出結果に基づいて空調装置103を運転制御するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-1319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に開示された空調システム100は、以下のような問題があった。すなわち、空調エリア102に配置される全椅子104に人が着座した着座率100%の状態を前提として空調装置103を設置する必要があるので、空調装置103の大型化、高コスト化が避けられないという問題があった。
【0006】
また、空調空間(オフィス空間)101が複数の空調エリア102にエリア分割され、空調エリア102毎に空調装置103が設けられた作業環境では、空調エリア102に、パーティション等で仕切られた室内空間や一人又は複数人で利用可能に形成された個室等(ブース)を設置した場合、空調装置103によって上記ブース内の快適な空調を行うことが難しいという問題があった。この場合、上記ブース毎に新たな空調装置を設置することも考えられるが、既設の壁面等に新たな空調装置を施工し、配管することは容易ではなく、設置費用が嵩む等の問題もあった。
【0007】
また、それぞれの椅子104には、着座部104aにおける着座体の存在を検出可能な着座体検出手段106と、着座部104aの温度である着座部温度を検出可能な温度検出手段107とを設け、制御手段105が、着座体検出手段106による検出結果及び温度検出手段107による検出結果に基づいて空調装置103を運転制御するので、すべての椅子104に着座体検出手段106と温度検出手段107とを設ける必要があると共に、椅子104の位置を移動させても、着座体検出手段106と温度検出手段107とから制御手段105に信号伝達できる制御システムが必要となり、椅子104を含む制御システムの複雑化、高コスト化が避けられないという問題もあった。
【0008】
さらに、空調に対する快適性は、椅子104に座る着座体(人)の性別、体型、服装等によっても異なるので、制御手段105が、着座体検出手段106による検出結果及び温度検出手段107による検出結果に基づいて空調装置103を運転制御する方法では、椅子104に座る着座体(人)毎の快適性を確保することが難しいという問題があった。
【0009】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、空調装置の高コスト化を回避でき、少ない消費電力で着座者毎の快適な作業環境を実現できる椅子機能付き空調装置及び椅子機能付き空調装置を備えた低コストで快適なブースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明に係る椅子機能付き空調装置及び椅子機能付き空調装置を備えたブースは、次のような構成を有している。
(1)調和空気を形成する空調ユニットと椅子とが合体された椅子機能付き空調装置であって、
前記空調ユニットは、前記椅子の内部に収納され、前記椅子の外部に向けて前記調和空気を送風可能に形成されたことを特徴とする。
【0011】
本発明においては、空調ユニットは、椅子の内部に収納され、椅子の外部に向けて調和空気を送風可能に形成されたので、空調ユニットが椅子と共に室内を自由に移動できる。そのため、フリーアドレスオフィスや、コワーキングオフィス、シェアオフィス等の様々な形態のオフィスに対して、新たな空調装置を設置することなく、快適な作業環境を実現できる。また、空調ユニットは、椅子に座る着座者の周辺を空調できる程度の小型のものであれば良く、空調装置の高コスト化を回避できる。さらに、着座者が座る椅子の空調ユニットのみを、着座者の必要に応じて稼働させることができ、少ない消費電力で着座者毎の快適な作業環境を実現できる。
【0012】
よって、本発明によれば、空調装置の高コスト化を回避でき、少ない消費電力で着座者毎の快適な作業環境を実現できる椅子機能付き空調装置を提供することができる。
【0013】
(2)(1)に記載された椅子機能付き空調装置において、
前記空調ユニットは、前記椅子の着座部下方の空きスペースに形成された収納室に収納され、
前記椅子の外周部には、前記空調ユニットと連通された送風口が形成されていることを特徴とする。
【0014】
本発明においては、空調ユニットは、椅子の着座部下方の空きスペースに形成された収納室に収納され、椅子の外周部には、空調ユニットと連通された送風口が形成されているので、椅子としてのデザイン上の自由度を確保しつつ、椅子の空きスペースを利用して空調ユニットをコンパクトに収容できる。また、空調ユニットによって椅子の重量が増加するが、空調ユニットが椅子の着座部下方の空きスペースに形成された収納室に収納されたことによって、椅子の重心位置を下方に配置でき、椅子を必要な位置にバランスよく設置させ又は楽に移動させることができる。また、椅子の外周部には、空調ユニットと連通された送風口が形成されているので、送風口を椅子の外周部における適宜位置に形成するだけで、椅子に座る着座者に対して快適な調和空気を送風できる。
【0015】
(3)(1)又は(2)に記載された椅子機能付き空調装置において、
前記空調ユニットは、冷気を送風する冷気用ユニットと暖気を送風する暖気用ユニットとを隔壁を隔てて備え、
前記冷気用ユニットは、前記隔壁の上方に位置し、前記椅子の上側の外周部に形成された上部送風口と連通され、
前記暖気用ユニットは、前記隔壁の下方に位置し、前記椅子の下側の外周部に形成された下部送風口と連通されていることを特徴とする。
【0016】
本発明においては、空調ユニットは、冷気を送風する冷気用ユニットと暖気を送風する暖気用ユニットとを隔壁を隔てて備え、冷気用ユニットは、隔壁の上方に位置し、椅子の上側の外周部に形成された上部送風口と連通され、暖気用ユニットは、隔壁の下方に位置し、椅子の下側の外周部に形成された下部送風口と連通されているので、暖気が集まりやすい椅子の上側に対して冷気用ユニットから冷気を効率的に送風でき、冷気が集まりやすい椅子の下側に対して暖気用ユニットから暖気を効率的に送風できる。そのため、椅子に座る着座者に対してより一層快適な作業環境を実現できる。
【0017】
(4)(3)に記載された椅子機能付き空調装置において、
前記空調ユニットは、圧縮機と、凝縮器と、膨張弁と、蒸発器と、これらを順に結ぶ配管とを有し、前記配管内に冷媒を循環させるヒートポンプから成り、
前記冷気用ユニットには、前記蒸発器を通過する調和空気を前記上部送風口へ送風する第1送風ファンを備え、
前記暖気用ユニットには、前記凝縮器を通過する調和空気を前記下部送風口へ送風する第2送風ファンを備えたことを特徴とする。
【0018】
本発明においては、空調ユニットは、圧縮機と、凝縮器と、膨張弁と、蒸発器と、これらを順に結ぶ配管とを有し、配管内に冷媒を循環させるヒートポンプから成るので、空調ユニットをコンパクトに形成でき、少ない消費電力で加熱、冷却の機能を効率的に実現することができる。
【0019】
また、冷気用ユニットには、蒸発器を通過する調和空気を上部送風口へ送風する第1送風ファンを備えたので、膨張弁で冷却された冷媒が蒸発器を通過する空気の熱を吸収することによって冷却させた調和空気を、第1送風ファンが上部送風口から椅子の上側の外周部へ送り出すことができ、着座者の頭部周辺の温度を効果的に下げることができる。
【0020】
また、暖気用ユニットには、凝縮器を通過する調和空気を下部送風口へ送風する第2送風ファンを備えたので、圧縮機で加熱された冷媒が凝縮器を通過する空気に熱を放出することによって加熱された調和空気を、第2送風ファンが下部送風口から椅子の下側の外周部へ送り出すことができ、着座者の足元周辺の温度を効果的に上げることができる。そのため、椅子に座る着座者に対してより一層快適な作業環境を実現できる。
【0021】
(5)(2)に記載された椅子機能付き空調装置において、
前記空調ユニットは、冷気又は暖気を送風する送風用ユニットと、排熱風を送風する排風用ユニットとを隔壁を隔てて備え、
前記送風用ユニットは、前記隔壁の上方に位置し、前記椅子の上側の外周部に形成された上部送風口と連通され、
前記排風用ユニットは、前記隔壁の下方に位置し、前記椅子の下側の外周部に形成された下部送風口と連通されていることを特徴とする。
【0022】
本発明においては、空調ユニットは、冷気又は暖気を送風する送風用ユニットと、排熱風を送風する排風用ユニットとを隔壁を隔てて備え、送風用ユニットは、隔壁の上方に位置し、椅子の上側の外周部に形成された上部送風口と連通され、排風用ユニットは、隔壁の下方に位置し、椅子の下側の外周部に形成された下部送風口と連通されているので、椅子の上側に座る着座者の上体側に対して送風用ユニットから冷気又は暖気の調和空気を効率的に送風でき、また、着座者の足元側にて排風用ユニットから不要な排熱風を逃すことができる。そのため、椅子に座る着座者に対してより一層快適な作業環境を実現できる。
【0023】
(6)(5)に記載された椅子機能付き空調装置において、
前記空調ユニットは、圧縮機と、送風用熱交換器と、膨張弁と、排風用熱交換器と、四方弁と、これらを結ぶ配管と、前記配管内を流れる冷媒とを有し、前記四方弁によって前記冷媒の流れる向きを切替え可能に形成されたヒートポンプから成り、
前記送風用ユニットには、前記送風用熱交換器を通過する冷気又は暖気を前記上部送風口へ送風する第1送風ファンを備え、
前記排風用ユニットには、前記排風用熱交換器を通過する排熱風を前記下部送風口へ送風する第2送風ファンを備えたことを特徴とする。
【0024】
本発明においては、空調ユニットは、圧縮機と、送風用熱交換器と、膨張弁と、排風用熱交換器と、四方弁と、これらを結ぶ配管と、配管内を流れる冷媒とを有し、四方弁によって冷媒の流れる向きを切替え可能に形成されたヒートポンプから成り、送風用ユニットには、送風用熱交換器を通過する冷気又は暖気を上部送風口へ送風する第1送風ファンを備え、排風用ユニットには、排風用熱交換器を通過する排熱風を下部送風口へ送風する第2送風ファンを備えたので、空調ユニットをコンパクトに形成でき、少ない消費電力で加熱、冷却の機能を効率的に実現することができる。
【0025】
また、空調ユニットは、四方弁によって冷媒の流れる向きを切替え可能に形成されたヒートポンプから成り、送風用ユニットには、送風用熱交換器を通過する冷気又は暖気を上部送風口へ送風する第1送風ファンを備えたので、冷房時において、低圧低温の冷媒が流れる送風用熱交換器に送風される空気の熱を低圧低温の冷媒が吸収することによって冷却させた冷気を、第1送風ファンが上部送風口から椅子の上側へ送り出すことができ、着座者の上体周辺の温度(室温)を効果的に下げることができる。また、四方弁によって冷媒の流れる向きを切替えた暖房時において、高圧高温の冷媒が流れる送風用熱交換器に送風される空気を高圧高温の冷媒が加熱することによって温めた暖気を、第1送風ファンが上部送風口から椅子の上側へ送り出すことができ、着座者の上体周辺の温度(室温)を効果的に上げることができる。
【0026】
また、排風用ユニットには、排風用熱交換器を通過する排熱風を下部送風口へ送風する第2送風ファンを備えたので、冷房時において、高圧高温の冷媒が流れる排風用熱交換器に送風される空気を高圧高温の冷媒が加熱することによって温めた不要な排熱風を、第2送風ファンが下部送風口から椅子の下側へ逃すことによって、着座者の上体周辺の温度(室温)を適切な状態に保つことができる。また、四方弁によって冷媒の流れる向きを切替えた暖房時において、低圧低温の冷媒が流れる排風用熱交換器に送風される空気を低圧低温の冷媒が冷却することによって冷やした不要な排熱風を、第2送風ファンが下部送風口から椅子の下側へ逃すことによって、着座者の上体周辺の温度(室温)を適切な状態に保つことができる。そのため、椅子に座る着座者に対してより一層快適な作業環境を実現できる。
【0027】
(7)(6)に記載された椅子機能付き空調装置において、
前記送風用熱交換器の下方に配設された第1ドレンパンと、前記第1ドレンパンに下流側で接続され前記排風用熱交換器の下方に配設された第2ドレンパンと、前記第2ドレンパンに下流側で接続されヒータ装置を有すると共に前記排熱風の送風経路に配置されたドレンプールとを備え、
前記第1ドレンパンに溜まった結露水を前記第2ドレンパンを経由して前記ドレンプールに集積し、前記ドレンプールに集積したドレン水を前記ヒータ装置によって蒸発させることを特徴とする。
【0028】
本発明においては、送風用熱交換器の下方に配設された第1ドレンパンと、第1ドレンパンに下流側で接続され排風用熱交換器の下方に配設された第2ドレンパンと、第2ドレンパンに下流側で接続されヒータ装置を有すると共に排熱風の送風経路に配置されたドレンプールとを備え、第1ドレンパンに溜まった結露水を第2ドレンパンを経由してドレンプールに集積し、ドレンプールに集積したドレン水をヒータ装置によって蒸発させるので、空調ユニットを運転したときに発生するドレン水は、自動的に気化させて排熱風と共に外部へ放出させることができる。そのため、ドレン水を貯留するタンクやドレン水の排出管等を設置する必要がなく、本椅子機能付き空調装置を自由な位置に移動でき、利便性をより一層高めることができる。
【0029】
また、第1ドレンパンに溜まった結露水を第2ドレンパンを経由してドレンプールに集積し、ドレンプールに集積したドレン水をヒータ装置によって蒸発させるので、例えば、冷房時に、低圧低温の冷媒が流れる送風用熱交換器に結露して第1ドレンパンに溜まった結露水が、第2ドレンパンを経由する際、高圧高温の冷媒が流れる排風用熱交換器に加熱されてドレンプールに温度上昇されたドレン水として集積される。そのため、ドレンプールに集積したドレン水をヒータ装置によって素早く沸騰させて蒸発させることができる。その結果、ドレン水を少ない消費電力で効率的に蒸発させることができる。
【0030】
(8)(6)又は(7)に記載された椅子機能付き空調装置において、
前記椅子の前側脚部には、前記収納室に対して着座者の踵を挿入できる踵逃げ部を形成する仕切り板を備え、
前記仕切り板には、前記送風用熱交換器を通過する空気の導入口が形成されていることを特徴とする。
【0031】
本発明においては、椅子の前側脚部には、着座者の踵を挿入できる踵逃げ部を形成する仕切り板を備え、仕切り板には、送風用熱交換器を通過する空気の導入口が形成されているので、椅子に着座した着座者が起立する際に、踵を踵逃げ部に挿入することによって、膝の曲げ角度を90度以下に屈曲させて、簡単に起立することができる。例えば、狭い室内でも、本椅子機能付き空調装置に着座する着座者が、簡単に立ち上がることができ、利便性をより一層高めることができる。
【0032】
(9)(1)乃至(4)のいずれか1つに記載された椅子機能付き空調装置を備えたブースであって、
前記ブースは、前記椅子機能付き空調装置に座る着座者が一人又は数人で作業又は居住する室内空間を有し、前記椅子機能付き空調装置の外周を少なくとも三方向から囲む側壁板で区画可能に形成されていることを特徴とする。
【0033】
本発明においては、椅子機能付き空調装置を備えたブースにおいて、ブースは、椅子機能付き空調装置に座る着座者が一人又は数人で作業又は居住する室内空間を有し、椅子機能付き空調装置の外周を少なくとも三方向から囲む側壁板で区画可能に形成されているので、着座者が座る椅子機能付き空調装置の空調ユニットのみで、ブース内の空調を快適な状態に保つことができる。そのため、ブース毎に新たな空調装置を設置する必要がなく、空調装置の高コスト化を回避できる。また、ブースは、椅子機能付き空調装置を少なくとも三方を囲む側壁板で区画可能に形成されているので、調和空気がブース外へ逃げるのを側壁板で抑制でき、空調ユニットの消費電力をより一層抑制することができる。そのため、椅子機能付き空調装置を備えた低コストで快適なブースを提供することができる。
【0034】
(10)(9)に記載されたブースにおいて、
前記ブースには、床面から離間した位置で椅子機能付き空調装置を載置する床板を備え、前記床板には、前記椅子の下端部と隣接した位置に開閉可能な換気窓が形成されていることを特徴とする。
【0035】
本発明においては、ブースには、床面から離間した位置で椅子機能付き空調装置を載置する床板を備え、床板には、椅子の下端部と隣接した位置に開閉可能な換気窓が形成されているので、ブース内の空調を快適な状態に保ちつつ、換気窓から古くなった調和空気をブース外へ逃がして、新鮮な空気と交換できる。そのため、空調ユニットが消費する電力の増加を抑制しながら、低コストで快適なブースを提供することができる。
【0036】
(11)(6)乃至(8)のいずれか1つに記載された椅子機能付き空調装置を備えたブースであって、
前記ブースは、前記椅子機能付き空調装置に座る着座者が一人又は数人で作業又は居住する室内空間を有し、前記椅子機能付き空調装置の外周を少なくとも三方向から囲む側壁板で区画可能に形成されていることを特徴とする。
【0037】
本発明においては、椅子機能付き空調装置を備えたブースにおいて、ブースは、椅子機能付き空調装置に座る着座者が一人又は数人で作業又は居住する室内空間を有し、椅子機能付き空調装置の外周を少なくとも三方向から囲む側壁板で区画可能に形成されているので、着座者が座る椅子機能付き空調装置の空調ユニットのみで、ブース内の空調を快適な状態に保つことができる。そのため、ブース毎に新たな空調装置を設置する必要がなく、空調装置の高コスト化を回避できる。また、ブースは、椅子機能付き空調装置を少なくとも三方を囲む側壁板で区画可能に形成されているので、調和空気がブース外へ逃げるのを側壁板で抑制でき、空調ユニットの消費電力をより一層抑制することができる。そのため、椅子機能付き空調装置を備えた低コストで快適なブースを提供することができる。
【0038】
(12)(11)に記載されたブースにおいて、
前記側壁板は、前記椅子機能付き空調装置の外周を四方向から囲むように形成され、
前記ブースには、前記各側壁板の上端部と連結された天井板を備え、
前記上部送風口は、椅子の背凭れ部の上端部から斜め後上方へ向けて冷気又は暖気を送風するように形成されていることを特徴とする。
【0039】
本発明においては、側壁板は、椅子機能付き空調装置の外周を四方向から囲むように形成され、ブースには、各側壁板の上端部と連結された天井板を備え、上部送風口は、椅子の背凭れ部の上端部から斜め後上方へ向けて冷気又は暖気を送風するように形成されているので、上部送風口から送風する冷気又は暖気を、ブースの側壁板に沿って天井板側へ上昇させ、天井板を経由して室内空間へ拡散させることができる。そのため、狭いブース内であっても、上部送風口から送風する冷気又は暖気が、直接、着座者に触れる不快感を回避できると共に、ブース内の空調をより均一で快適な状態に保ち続けることができる。
【0040】
(13)(12)に記載されたブースにおいて、
前記ブースには、床面から離間した位置で前記椅子機能付き空調装置を載置する床板を備え、前記床板には、前記椅子の下端部と隣接した位置に前記排風用熱交換器を通過する空気を前記床面側から導入する導入窓と前記排風用熱交換器を通過した排熱風を前記床面側へ排出する排出窓とが形成されていることを特徴とする。
【0041】
本発明においては、ブースには、床面から離間した位置で椅子機能付き空調装置を載置する床板を備え、床板には、椅子の下端部と隣接した位置に排風用熱交換器を通過する空気を床面側から導入する導入窓と排風用熱交換器を通過した排熱風を床面側へ排出する排出窓とが形成されているので、床板の導入窓からブース外の空気を導入し、排風用熱交換器を通過した排熱風を排出窓からブース外へ逃がすことができる。そのため、ブース内の調和空気と不要な排熱風とを分離することによって、空調ユニットの消費電力を低減でき、ブース内の空調を快適な状態に保ち続けることができる。そのため、空調ユニットが消費する電力の増加を抑制しながら、低コストで快適なブースを提供することができる。
【0042】
(14)(13)に記載されたブースにおいて、
前記床板の下面には、前記導入窓へ導入する空気の流路を規制する空気仕切り板と、前記排出窓から排出する排熱風の流路を規制する排風仕切り板とを備え、
前記空気仕切り板の開口部と前記排風仕切り板の開口部とを、互いに反対向きに形成したことを特徴とする。
【0043】
本発明においては、床板の下面には、導入窓へ導入する空気の流路を規制する空気仕切り板と、排出窓から排出する排熱風の流路を規制する排風仕切り板とを備え、空気仕切り板の開口部と排風仕切り板の開口部とを、互いに反対向きに形成したので、導入窓へ導入する空気と排出窓から排出する排熱風とが、床板の下方において混合するのを回避させることができる。そのため、排風用熱交換器における熱交換効率を向上でき、より少ない消費電力でブース内の空調を快適な状態に保持できる。
【0044】
(15)(13)又は(14)に記載されたブースにおいて、
前記排出窓と対向する床面には、前記排出窓より大きく形成された調湿シート材が配置されていることを特徴とする。
【0045】
本発明においては、排出窓と対向する床面には、排出窓より大きく形成された調湿シート材が配置されているので、調湿シート材が排熱風に含まれる湿気を吸収して外部へ放出することによって、床面で結露することを抑止できる。すなわち、本ブースでは、椅子機能付き空調装置のドレンプールに集積したドレン水をヒータ装置によって蒸発させたときの水蒸気が排熱風と共に排出窓から排出されて、床面で結露する可能性があった。しかし、排出窓と対向する床面には、排出窓より大きく形成された調湿シート材が配置されているので、排熱風に含まれる湿気を調湿シート材が吸収して、排出窓から離間した部位から外部の空気へ放出させ、床面で結露することを抑止できる。
【0046】
(16)(1)乃至(8)のいずれか1つに記載された椅子機能付き空調装置を備えたブースであって、
前記ブースは、前記椅子機能付き空調装置に座る着座者が一人又は数人で作業又は居住する室内空間を有し、前記椅子機能付き空調装置を載置する床部材と、前記床部材の外周縁から上方へ延設された枠部材と、前記枠部材を覆うシート部材とで区画可能に形成されていることを特徴とする。
【0047】
本発明においては、椅子機能付き空調装置を備えたブースにおいて、ブースは、椅子機能付き空調装置に座る着座者が一人又は数人で作業又は居住する空間を有し、椅子機能付き空調装置を載置する床部材と、床部材の外周縁から上方へ延設された枠部材と、枠部材を覆うシート部材とで区画可能に形成されているので、着座者が座る椅子機能付き空調装置の空調ユニットのみで、ブース内の空調を快適な状態に保つことができる。そのため、ブース毎に新たな空調装置を設置する必要がなく、空調装置の高コスト化を回避できる。また、ブースは、椅子機能付き空調装置を載置する床部材と、床部材の外周縁から上方へ延設された枠部材と、枠部材を覆うシート部材とで区画されているので、ブースの軽量化が可能であり、屋内に限らず、屋外にも簡単に設置できる。また、枠部材を覆うシート部材によって、調和空気がブース外へ逃げるのを簡単に抑制でき、空調ユニットの消費電力をより低コストで抑制することができる。そのため、椅子機能付き空調装置を備えた低コストで快適なブースを提供することができる。
【発明の効果】
【0048】
本発明によれば、空調装置の高コスト化を回避でき、少ない消費電力で着座者毎の快適な作業環境を実現できる椅子機能付き空調装置及び椅子機能付き空調装置を備えた低コストで快適なブースを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】本実施形態の第1実施例に係る椅子機能付き空調装置の概略断面図である。
図2図1に示すA-A断面図である。
図3図1に示すB-B断面図である。
図4図1に示す椅子機能付き空調装置における空調ユニットの概略システム構成図である。
図5図1に示す椅子機能付き空調装置の動作説明図であって、(A)は冷房時における空調ユニットの作動説明図を示し、(B)は暖房時における空調ユニットの動作説明図を示す。
図6】本実施形態の第2実施例に係る椅子機能付き空調装置の概略断面図である。
図7図6に示す椅子機能付き空調装置の斜視断面図である。
図8図6に示す椅子機能付き空調装置における空調ユニットの斜視断面図である。
図9図6に示す椅子機能付き空調装置における空調ユニットの概略システム構成図であって、冷房時の作動状態を示す。
図10図6に示す椅子機能付き空調装置における空調ユニットの概略システム構成図であって、暖房時の作動状態を示す。
図11図1に示す椅子機能付き空調装置を備えた第1実施例のブースの概略側面図である。
図12図6に示す椅子機能付き空調装置を備えた第2実施例のブースの概略斜視図である。
図13図12に示すC-C断面図である。
図14図13に示すD部の側面拡大図である。
図15図13に示すD部の底面斜視図である。
図16図15に示すD部の底面斜視図であって、床面に調湿シート材が配置された状態を示す。
図17図1又は図6に示す椅子機能付き空調装置を備えた第3実施例のブースの概略構成図である。
図18】特許文献1に開示された空調システムの概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
次に、本実施形態の一態様に係る椅子機能付き空調装置及び椅子機能付き空調装置を備えたブースについて、図面を参照して詳細に説明する。はじめに、本実施形態の第1、2実施例に係る椅子機能付き空調装置の構造及び動作方法を説明し、その後、当該椅子機能付き空調装置を備えた第1~3実施例のブースを説明する。
【0051】
<第1実施例の椅子機能付き空調装置の構造及び動作方法>
まず、本実施形態の第1実施例に係る椅子機能付き空調装置の構造及び動作方法を、図1図5を用いて説明する。図1に、本実施形態の第1実施例に係る椅子機能付き空調装置の概略断面図を示す。図2に、図1に示すA-A断面図を示す。図3に、図1に示すB-B断面図を示す。図4に、図1に示す椅子機能付き空調装置における空調ユニットの概略システム構成図を示す。図5に、図1に示す椅子機能付き空調装置の動作説明図であって、(A)は冷房時における空調ユニットの作動説明図を示し、(B)は暖房時における空調ユニットの動作説明図を示す。
【0052】
図1図5に示すように、本第1実施例の椅子機能付き空調装置10は、調和空気TKを形成する空調ユニット2と椅子1とが合体された椅子機能付き空調装置10であって、空調ユニット2は、椅子1の内部1Nに収納され、椅子1の外部1Gに向けて調和空気TKを送風可能に形成された椅子機能付き空調装置10である。また、空調ユニット2は、椅子1の着座部11下方の空きスペースに形成された収納室12に収納されている。そして、椅子1の外周部13には、空調ユニット2と連通された送風口14が形成されている。
【0053】
ここでは、椅子1には、着座者TZが座る着座部11と、着座部11の後方に起立する背凭れ部15と、着座部11の下方で収納室12の側方全体を包囲する脚部16とを備えているが、必ずしも、背凭れ部15を備えていないものでも良いし、背凭れ部15を倒してベッド(寝具)として使用できるものでも良い。なお、本椅子1には、着座部11が広く形成されたベッド(寝具)を含む。脚部16には、床面FLを移動可能に形成されたキャスタ17が装着されているが、キャスタ17の代わりに固定突起を装着しても良い。送風口14は、背凭れ部15の上端部151と脚部16の下端部18とに形成されているが、これに限定するのもではなく、椅子1の外周部13の適宜位置に送風口14を形成しても良い。
【0054】
以上のように、空調ユニット2は、椅子1の内部1Nに収納され、椅子1の外部1Gに向けて調和空気TKを送風可能に形成されたので、空調ユニット2が椅子1と共に室内を自由に移動できる。そのため、フリーアドレスオフィスや、コワーキングオフィス、シェアオフィス等の様々な形態のオフィスに対して、新たな空調装置を設置することなく、快適な作業環境を実現できる。また、空調ユニット2は、椅子1に座る着座者の周辺を空調できる程度の小型のものであれば良く、空調装置の高コスト化を回避できる。さらに、着座者が座る椅子1の空調ユニット2のみを、着座者の必要に応じて稼働させることができ、少ない消費電力で着座者毎の快適な作業環境を実現できる。また、空調ユニット2をリモコン操作で稼働させることによって、利便性を高めることもできる。
【0055】
また、空調ユニット2は、椅子1の着座部11下方の空きスペースに形成された収納室12に収納され、椅子1の外周部13には、空調ユニット2と連通された送風口14が形成されているので、椅子1としてのデザイン上の自由度を確保しつつ、椅子1の空きスペースを利用して空調ユニット2をコンパクトに収容できる。また、空調ユニット2によって椅子1の重量が増加するが、空調ユニット2が椅子1の着座部11下方の空きスペースに形成された収納室12に収納されたことによって、椅子1の重心位置を下方に配置でき、椅子1を必要な位置にバランスよく設置させ又は楽に移動させることができる。また、椅子1の外周部13には、空調ユニット2と連通された送風口14が形成されているので、送風口14を適宜位置に配置するだけで、椅子1に座る着座者毎に快適な調和空気を送風できる。
【0056】
また、空調ユニット2は、冷気TK1を送風する冷気用ユニット21と暖気TK2を送風する暖気用ユニット22とを隔壁27を隔てて備え、冷気用ユニット21は、隔壁27の上方に位置し、椅子1の上側の外周部13aに形成された上部送風口14aと連通され、暖気用ユニット22は、隔壁27の下方に位置し、椅子1の下側の外周部13bに形成された下部送風口14bと連通されていることが好ましい。
【0057】
この場合、冷気用ユニット21が送風する冷気TK1と暖気用ユニット22が送風する暖気TK2とが、隔壁27によって分離される。そして、暖気が集まりやすい椅子1の上側に対して冷気用ユニット21から冷気TK1を効率的に送風でき、冷気が集まりやすい椅子1の下側に対して暖気用ユニット22から暖気TK2を効率的に送風できる。そのため、椅子1に座る着座者TZに対してより一層快適な作業環境を実現できる。
【0058】
ここでは、冷気TK1を送風する上部送風口14aは、背凭れ部15の上端部151に形成されているが、これに限る必要はなく、例えば、着座部11の着座側や背凭れ部15の背ずり側等の各種位置に形成しても良い。上部送風口14aは、通気性を有する表皮材で覆われていても良い。また、各種位置に形成した上部送風口14aには、開閉弁又は調節弁を設け、操作レバー等を介して各上部送風口14aを開閉可能又は風量調節可能としても良い。上記構成によれば、椅子1に座る着座者TZの好みに合わせて、より一層快適な作業環境を実現できる。
【0059】
また、空調ユニット2は、適宜温度の冷気TK1と暖気TK2とを送風できるものであれば、特に限定する必要はないが、例えば、図1図4に示すように、圧縮機23と、凝縮器221と、膨張弁243と、蒸発器211と、これらを順に結ぶ配管241とを有し、配管241内に冷媒242を循環させるヒートポンプHPから成り、冷気用ユニット21には、蒸発器211を通過する調和空気(冷気TK1)を上部送風口14aへ送風する第1送風ファン251を備え、暖気用ユニット22には、凝縮器221を通過する調和空気(暖気TK2)を下部送風口14bへ送風する第2送風ファン252を備えたことが好ましい。
【0060】
なお、圧縮機23は、ガス化された冷媒242を圧縮し高圧高温にして送り出す装置である。凝縮器221は、ガス化された冷媒242を液化させて熱を外部へ放出する機能を有する熱交換器である。膨張弁243は、液化された冷媒242を急激に膨張させて低圧低温にさせる弁体である。蒸発器211は、低圧低温の冷媒242を外部から熱を吸収して蒸発させる機能を有する熱交換器である。凝縮器221と蒸発器211には、熱交換時の水滴を受けるドレンパン28が装着されている。また、凝縮器221のドレンパン28には、集積したドレン水を蒸発させるヒータ装置(例えば、PTCヒータ)281が配置されている。
【0061】
また、着座部11の前側に位置する脚部16には、第1送風ファン251が吸引する空気取り口が形成され、当該空気取り口にはフィルタ261が着脱可能に装着されている。また、脚部16の下端部18には、第2送風ファン252が吸引する空気取り口が形成され、当該空気取り口には他のフィルタ262が着脱可能に装着されている。
【0062】
この場合、空調ユニット2は、圧縮機23と、凝縮器221と、膨張弁243と、蒸発器211と、これらを順に結ぶ配管241とを備え、配管241内に冷媒242を循環させるヒートポンプHPから成るので、空調ユニット2をコンパクトに形成でき、少ない消費電力で加熱、冷却の機能を効率的に実現することができる。なお、空調ユニット2は、電源コードを介して外部電源から電力供給可能に形成しても良いが、非接触給電装置を介して電力供給可能に形成しても良い。
【0063】
また、冷気用ユニット21には、蒸発器211を通過する調和空気TKを上部送風口14aへ送風する第1送風ファン251を備えたので、膨張弁243で冷却された冷媒242が蒸発器211を通過する空気の熱を吸収することによって冷却させた調和空気(冷気TK1)を、第1送風ファン251が上部送風口14aから椅子1の上側の外周部13aへ送り出すことができ、着座者TZの頭部周辺の温度を効果的に下げることができる。
【0064】
また、暖気用ユニット22には、凝縮器221を通過する調和空気TKを下部送風口14bへ送風する第2送風ファン252を備えたので、圧縮機23で加熱された冷媒242が凝縮器221を通過する空気に熱を放出することによって加熱された調和空気(暖気TK2)を、第2送風ファン252が下部送風口14bから椅子1の下側の外周部13bへ送り出すことができ、着座者TZの足元周辺の温度を効果的に上げることができる。そのため、椅子1に座る着座者TZに対してより一層快適な作業環境を実現できる。
【0065】
具体的には、冷気用ユニット21と暖気用ユニット22は、冷房時には、図5(A)に示すように運転させ、暖房時には、図5(B)に示すように運転させる。すなわち、冷房時には、図5(A)に示すように、第1送風ファン251が作動して、着座部11の前側に位置する脚部16の空気取り口(フィルタ261)から周囲の空気を吸引して、蒸発器211に送風する。蒸発器211で冷媒242が熱を吸収することによって冷却させた調和空気(冷気TK1)を、第1送風ファン251が上部送風口14aから椅子1の上側の外周部13aへ送り出す。送り出された調和空気(冷気TK1)が、着座者TZの頭部周辺の温度を効果的に下げることができる。
【0066】
一方、冷房時においても、第2送風ファン252が作動して、脚部16の下端部18の空気取り口(フィルタ262)から周囲の空気を吸引して、凝縮器221に送風しても良い。凝縮器221で冷媒242が熱を放出することによって加熱された調和空気TKを、第2送風ファン252が下部送風口14bから椅子1の下側の外周部13bへ送り出す。送り出された調和空気(暖気TK2)は、椅子1の脚部16の下端部18から椅子1の周辺に拡散されるので、着座者TZの快適な空調環境を殆ど妨げない。
【0067】
また、暖房時には、図5(B)に示すように、第1送風ファン251が冷房時と逆方向に作動して、着座部11の前側に位置する脚部16の空気取り口(フィルタ261)から蒸発器211を通過した空気を送風する。蒸発器211で冷媒242が通過する空気から熱を吸収する。脚部16の空気取り口(フィルタ261)から送風された空気は、第2送風ファン252によって空気取り口(フィルタ262)から吸引される。
【0068】
一方、暖房時では、第2送風ファン252が冷房時と同方向に作動して、脚部16の下端部18の空気取り口(フィルタ262)から周囲の空気(空気取り口(フィルタ261)から送風された空気を含む)を吸引して、凝縮器221に送風する。圧縮機23で加熱した冷媒242の熱を凝縮器221で放出することによって加熱された調和空気TKを、第2送風ファン252が下部送風口14bから椅子1の下側の外周部13bへ送り出す。送り出された調和空気(暖気TK2)が、椅子1の脚部16の下端部18から椅子1の周辺に拡散され、着座者TZの足元付近における快適な空調環境を実現できる。
【0069】
<第2実施例の椅子機能付き空調装置の構造及び動作方法>
次に、本実施形態の第2実施例に係る椅子機能付き空調装置の構造及び動作方法を、図6図10を用いて説明する。図6に、本実施形態の第2実施例に係る椅子機能付き空調装置の概略断面図を示す。図7に、図6に示す椅子機能付き空調装置の斜視断面図を示す。図8に、図6に示す椅子機能付き空調装置における空調ユニットの斜視断面図を示す。図9に、図6に示す椅子機能付き空調装置における空調ユニットの概略システム構成図であって、冷房時の作動状態を示す。図10に、図6に示す椅子機能付き空調装置における空調ユニットの概略システム構成図であって、暖房時の作動状態を示す。
【0070】
図6図10に示すように、本第2実施例の椅子機能付き空調装置10Bは、調和空気TKを形成する空調ユニット2Bと椅子1Bとが合体された椅子機能付き空調装置10Bであって、空調ユニット2Bは、椅子1Bの内部1BNに収納され、椅子1Bの外部1BGに向けて調和空気TKを送風可能に形成された椅子機能付き空調装置10Bである。また、空調ユニット2Bは、椅子1Bの着座部11B下方の空きスペースに形成された収納室12Bに収納されている。そして、椅子1Bの外周部13Bには、空調ユニット2Bと連通された送風口14Bが形成されている。
【0071】
ここでは、第1実施例と同様に、椅子1Bには、着座者TZが座る着座部11Bと、着座部11Bの後方に起立する背凭れ部15Bと、着座部11Bの下方で収納室12Bの側方全体を包囲する脚部16Bとを備えているが、必ずしも、背凭れ部15Bを備えていないものでも良いし、背凭れ部15Bを倒してベッド(寝具)として使用できるものでも良い。なお、本椅子1Bには、着座部11Bが広く形成されたベッド(寝具)を含む。脚部16Bには、床面FLを移動可能に形成されたキャスタ17Bが装着されているが、キャスタ17Bの代わりに固定突起を装着しても良い。また、着座部11Bと背凭れ部15Bには、クッション部材が装着されているが、クッション部材は無くても良い。また、送風口14Bは、背凭れ部15Bの上端部151Bと脚部16Bの下端部18Bとに形成されているが、これに限定されるものではなく、椅子1Bの外周部13Bの適宜位置に送風口14Bを形成しても良い。
【0072】
以上のように、空調ユニット2Bは、椅子1Bの内部1BNに収納され、椅子1Bの外部1BGに向けて調和空気TKを送風可能に形成されたので、空調ユニット2Bが椅子1Bと共に室内を自由に移動できる。そのため、フリーアドレスオフィスや、コワーキングオフィス、シェアオフィス等の様々な形態のオフィスに対して、新たな空調装置を設置することなく、快適な作業環境を実現できる。また、空調ユニット2Bは、椅子1Bに座る着座者TZの周辺を空調できる程度の小型のものであれば良く、空調装置の高コスト化を回避できる。さらに、着座者TZが座る椅子1Bの空調ユニット2Bのみを、着座者TZの必要に応じて稼働させることができ、少ない消費電力で着座者TZ毎の快適な作業環境を実現できる。また、空調ユニット2Bをリモコン操作で稼働させることによって、利便性を高めることもできる。
【0073】
また、空調ユニット2Bは、椅子1Bの着座部11B下方の空きスペースに形成された収納室12Bに収納され、椅子1Bの外周部13Bには、空調ユニット2Bと連通された送風口14Bが形成されているので、椅子1Bとしてのデザイン上の自由度を確保しつつ、椅子1Bの空きスペースを利用して空調ユニット2Bをコンパクトに収容できる。また、空調ユニット2Bによって椅子1Bの重量が増加するが、空調ユニット2Bが椅子1Bの着座部11B下方の空きスペースに形成された収納室12Bに収納されたことによって、椅子1Bの重心位置を下方に配置でき、椅子1Bを必要な位置にバランスよく設置させ又は楽に移動させることができる。また、椅子1Bの外周部13Bには、空調ユニット2Bと連通された送風口14Bが形成されているので、送風口14Bを適宜位置に配置するだけで、椅子1Bに座る着座者B毎に快適な調和空気TKを送風できる。
【0074】
また、本第2実施例の椅子機能付き空調装置10Bにおいては、空調ユニット2Bは、冷気TK1又は暖気TK2を送風する送風用ユニット21Bと、排熱風HNを送風する排風用ユニット22Bとを隔壁27Bを隔てて備え、送風用ユニット21Bは、隔壁27Bの上方に位置し、椅子1Bの上側の外周部13Baに形成された上部送風口14Baと連通され、排風用ユニット22Bは、隔壁27Bの下方に位置し、椅子1Bの下側の外周部13Bbに形成された下部送風口14Bbと連通されていることが好ましい。
【0075】
この場合、椅子1Bの上側に座る着座者TZの上体側に対して送風用ユニット21Bから冷気TK1又は暖気TK2の調和空気TKを効率的に送風でき、また、着座者TZの足元側にて排風用ユニット22Bから不要な排熱風HNを逃すことができる。そのため、椅子1Bに座る着座者TZに対してより一層快適な作業環境を実現できる。なお、隔壁27Bは、送風用ユニット21Bによる冷気TK1又は暖気TK2を送風する流路と、排風用ユニット22Bによる排熱風HNを送風する流路とが、上下へY字状に分離するように形成されている。
【0076】
ここでは、冷気TK1又は暖気TK2を送風する上部送風口14Baは、背凭れ部15Bの上端部151Bに形成されている。また、上部送風口14Baは、冷気TK1又は暖気TK2を斜め後上方へ向けて送風するように形成され、また、背凭れ部15Bの幅方向へ細長く形成されているが、これに限る必要はない。上部送風口14Baは、例えば、着座部11Bの着座側や背凭れ部15Bの背ずり側等の各種位置に形成しても良く、その場合、通気性を有する表皮材で覆われていても良い。また、各種位置に形成した上部送風口14Baには、開閉弁又は調節弁を設け、操作レバー等を介して各上部送風口14Baを開閉可能又は風量調節可能としても良い。上記構成によれば、椅子1Bに座る着座者TZの好みに合わせて、より一層快適な作業環境を実現できる。
【0077】
また、本椅子機能付き空調装置10Bにおいては、空調ユニット2Bは、適宜温度の冷気TK1と暖気TK2とを送風できるものであれば、特に限定する必要はないが、例えば、図6図10に示すように、空調ユニット2Bは、圧縮機23Bと、送風用熱交換器211Bと、膨張弁243Bと、排風用熱交換器221Bと、四方弁244Bと、これらを結ぶ配管241Bと、配管241B内を流れる冷媒242とを有し、四方弁244Bによって冷媒242の流れる向きを切替え可能に形成されたヒートポンプHPBから成り、送風用ユニット21Bには、送風用熱交換器211Bを通過する冷気TK1又は暖気TK2を上部送風口14Baへ送風する第1送風ファン251Bを備え、排風用ユニット22Bには、排風用熱交換器221Bを通過する排熱風HNを下部送風口14Bbへ送風する第2送風ファン252Bを備えたものが好ましい。この場合、空調ユニット2Bをより快適でコンパクトに形成でき、また、少ない消費電力で加熱、冷却の機能を効率的に実現することができる。
【0078】
より具体的には、第1送風ファン251Bには、クロスフローファンを用いると良い。クロスフローファンは、円筒状のランナー内を気流が通り抜ける構造であるため、幅広い範囲にて均一な風量で静かに送風できる。そのため、着座者TZに対して、より快適な空調環境を実現できる。
【0079】
また、第2送風ファン252Bには、軸流ファンを用いると良い。軸流ファンは、中心軸に取り付けた羽根が旋回することによって、羽根の正面から吸い込んだ気流を後方へ吐き出す構造であるため、小型で高風量を得ることができる。そのため、第2送風ファン252Bを、よりコンパクトにして収納室12Bに収納でき、消費電力も節約できる。
【0080】
また、送風用熱交換器211Bと排風用熱交換器221Bは、冷媒242が流れるチューブが水平状に複数配設され、チューブの間に空気KK1、KK2が通過する隙間を有して略立方体状に形成されている。第1送風ファン251Bの上下寸法(筒外径)は、送風用熱交換器211Bの上下寸法より小さく形成され、第2送風ファン252Bの上下寸法は、排風用熱交換器221Bの上下寸法より小さく形成されていると良い。また、第1送風ファン251Bは、送風用熱交換器211Bに対して下流側(椅子後側)に配置され、第2送風ファン252Bは、排風用熱交換器221Bの上流側(椅子前側)に配置されていると良い。
【0081】
この場合には、椅子1Bの着座部11Bに沿って水平状に配置された空調ユニット2Bの仕切り板(送風ガイド板を兼ねる)261Bに対して、送風用ユニット21Bと排風用ユニット22Bとを隔てる隔壁27Bを、椅子1Bの前側で低く椅子1Bの後側で高くなるように、ステップ状に形成することができる。これによって、送風用ユニット21Bと排風用ユニット22Bとを上下方向で一部交差して配置でき、空調ユニット2Bを椅子1Bの収納室12B内に、より一層コンパクトに収納できる。なお、隔壁27Bの前端は、第2送風ファン252Bが羽根の正面から吸い込む空気KK2の流路を形成する垂直状の隔壁262Bに連結されている。また、隔壁262Bには、空調ユニット2Bの運転を制御する制御機器2SBが装着されている。
【0082】
また、空調ユニット2Bは、四方弁244Bによって冷媒242の流れる向きを切替え可能に形成されたヒートポンプHPBから成り、送風用ユニット21Bには、送風用熱交換器211Bを通過する冷気TK1又は暖気TK2を上部送風口14Baへ送風する第1送風ファン251Bを備えたので、図6図9に示すように、冷房時において、低圧低温の冷媒242(P3)が流れる送風用熱交換器211Bに送風される空気KK1の熱を低圧低温の冷媒242(P3)が吸収することによって冷却させた冷気TK1を、第1送風ファン251Bが上部送風口14Baから椅子1Bの上側へ送り出すことができ、着座者TZの上体周辺の温度(室温)を効果的に下げることができる。また、図6図10に示すように、四方弁244Bによって冷媒242の流れる向きを切替えた暖房時において、高圧高温の冷媒242(Q1)が流れる送風用熱交換器211Bに送風される空気KK1を高圧高温の冷媒242(Q1)が加熱することによって温めた暖気TK2を、第1送風ファン251Bが上部送風口14Baから椅子1Bの上側へ送り出すことができ、着座者TZの上体周辺の温度(室温)を効果的に上げることができる。
【0083】
また、排風用ユニット22Bには、排風用熱交換器221Bを通過する排熱風HNを下部送風口14Bbへ送風する第2送風ファン252Bを備えたので、図6図9に示すように、冷房時において、高圧高温の冷媒242(P1)が流れる排風用熱交換器221Bに送風される空気KK2を高圧高温の冷媒242(P1)が加熱することによって温めた不要な排熱風HNを、第2送風ファン252Bが下部送風口14Bbから椅子1Bの下側へ逃すことによって、着座者TZの上体周辺の温度(室温)を適切な状態に保つことができる。また、図6図10に示すように、四方弁244Bによって冷媒242の流れる向きを切替えた暖房時において、低圧低温の冷媒242(Q3)が流れる排風用熱交換器221Bに送風される空気KK2を低圧低温の冷媒242(Q3)が冷却することによって冷やした不要な排熱風HNを、第2送風ファン252Bが下部送風口14Bbから椅子1Bの下側へ逃すことによって、着座者TZの上体周辺の温度(室温)を適切な状態に保つことができる。そのため、椅子1Bに座る着座者TZに対してより一層快適な作業環境を実現できる。
【0084】
なお、図9図10に示すように、圧縮機23Bの入力端子231Bには、気液分離用のアキュームレータ245Bが装着され、圧縮機23Bの出力端子232Bには、送風用熱交換器211Bと排風用熱交換器221Bとアキュームレータ245Bとに接続された四方弁244Bが装着されている。そして、冷房時においては、四方弁244Bを介して、圧縮機23Bの出力端子232Bと排風用熱交換器221Bとが接続され、アキュームレータ245Bと送風用熱交換器211Bとが接続されている。また、暖房時においては、四方弁244Bを介して、圧縮機23Bの出力端子232Bと送風用熱交換器211Bとが接続され、アキュームレータ245Bと排風用熱交換器221Bとが接続されている。
【0085】
また、空調ユニット2Bは、冷房時と暖房時とで、以下のように作動する。すなわち、冷房時では、図6図9に示すように、圧縮機23Bによって高圧高温の気体状態P1になった冷媒242が、排風用熱交換器221Bに送られる。排風用熱交換器221Bでは、送風される空気KK2が高圧高温の冷媒242(P1)によって加熱される。加熱されて温められた不要な排熱風HNは、第2送風ファン252Bによって下部送風口14Bbから椅子1Bの下側へ逃す。排風用熱交換器221Bを通過した冷媒242は、排熱風HNに熱を奪われた分だけ温度が下がり、高圧中高温の液体P2となって膨張弁243Bに送られる。
【0086】
そして、冷媒242(P2)は、膨張弁243Bを通過する際、断熱膨張されて低圧低温の気体・液体の混合状態P3に変換され、送風用熱交換器211Bに送られる。送風用熱交換器211Bでは、送風される空気KK1が低圧低温の冷媒242(P3)によって冷却される。冷却された冷気TK1は、第1送風ファン251Bによって上部送風口14Baから椅子1Bの上側へ送り出されて、着座者TZの上体側の室温を効果的に下げることができる。また、送風用熱交換器211Bを通過した冷媒242は、低圧中低温の気体状態P4となって、アキュームレータ245Bを経由して圧縮機23Bに帰還するが、アキュームレータ245Bにて冷媒242中に含まれる液体を分離している。
【0087】
一方、暖房時では、図6図10に示すように、圧縮機23Bによって高圧高温の気体状態Q1になった冷媒242が、送風用熱交換器211Bに送られる。送風用熱交換器211Bでは、送風される空気KK1が高圧高温の冷媒242(Q1)によって加熱される。加熱されて温められた暖気TK2は、第1送風ファン251Bによって上部送風口14Baから椅子1Bの上側へ送り出されて、着座者TZの上体側の室温を効果的に上げることができる。送風用熱交換器211Bを通過した冷媒242は、暖気TK2に熱を奪われた分だけ温度が下がり、高圧中高温の液体Q2となって膨張弁243Bに送られる。
【0088】
そして、冷媒242(Q2)が膨張弁243Bを通過する際、断熱膨張されて低圧低温の気体・液体の混合状態Q3に変換され、排風用熱交換器221Bに送られる。排風用熱交換器221Bでは、送風される空気KK2が低圧低温の冷媒242(Q3)によって冷却される。冷却されて不要な排熱風HNは、第2送風ファン252Bによって下部送風口14Bbから椅子1Bの下側へ逃がす。そのため、着座者TZの上体側の室温を維持することができる。排風用熱交換器221Bを通過した冷媒242は、低圧中低温の気体状態Q4となって、アキュームレータ245Bを経由して圧縮機23Bに帰還するが、アキュームレータ245Bにて冷媒242(Q4)に含まれる液体を分離している。
【0089】
また、図9図10に示すように、送風用熱交換器211Bの近傍には、室温検知用の温度センサ246Baを備えている。この温度センサ246Baによって、室温が設定温度に到達したことを検出したときには、圧縮機23Bの運転を停止させ、室温が設定温度から外れたことを検出したときには、圧縮機23Bの運転を再開させる。これによって、室温を一定の状態に保持できる。また、排風用熱交換器221Bの近傍には、凍結防止用の温度センサ246Bbを備えている。この温度センサ246Bbによって、排風用熱交換器221Bの着霜を検出したときには、除霜運転を行う。
【0090】
また、本椅子機能付き空調装置10Bにおいては、図8図10に示すように、送風用熱交換器211Bの下方に配設された第1ドレンパン28Baと、第1ドレンパン28Baに下流側で接続され排風用熱交換器221Bの下方に配設された第2ドレンパン28Bbと、第2ドレンパン28Bbに下流側で接続されヒータ装置291Bを有すると共に排熱風HNの送風経路に配置されたドレンプール29Bとを備え、第1ドレンパン28Baに溜まった結露水を第2ドレンパン28Bbを経由してドレンプール29Bに集積し、ドレンプール29Bに集積したドレン水をヒータ装置291Bによって蒸発させることが好ましい。
【0091】
この場合、空調ユニット2Bを運転したときに発生するドレン水は、自動的に気化させて排熱風HNと共に外部1BGへ放出させることができる。そのため、ドレン水を貯留するタンクやドレン水の排出管等を別途設置する必要がなく、本椅子機能付き空調装置10Bを自由な位置に移動でき、利便性をより一層高めることができる。
【0092】
また、第1ドレンパン28Baに溜まった結露水を第2ドレンパン28Bbを経由してドレンプール29Bに集積し、ドレンプール29Bに集積したドレン水をヒータ装置291Bによって蒸発させるので、例えば、冷房時に、低圧低温の冷媒242が流れる送風用熱交換器211Bに結露して第1ドレンパン28Baに溜まった結露水が、第2ドレンパン28Bbを経由する際、高圧高温の冷媒242(P1)が流れる排風用熱交換器221Bに加熱されてドレンプール29Bに温度上昇されたドレン水として集積される。そのため、ドレンプール29Bに集積したドレン水をヒータ装置291Bによって素早く沸騰させて蒸発させることができる。その結果、ドレン水を少ない消費電力で効率的に蒸発させることができる。
【0093】
ここでは、第1ドレンパン28Baは、第2ドレンパン28Bbより高い位置に配置され、第2ドレンパン28Bbは、ドレンプール29Bより高い位置に配置され、第1ドレンパン28Baと第2ドレンパン28Bbとが配管で接続され、第2ドレンパン28Bbとドレンプール29Bとが配管で接続されている。第1ドレンパン28Baに溜まった結露水は、第2ドレンパン28Bbに一定量溜まるまで集積された後に、ドレンプール29Bに集積される。ドレンプール29Bには、集積されたドレン水の下限位置を検出する下限水位センサ292Bと上限位置を検出する上限水位センサ293Bとを備え、ドレンプール29Bに集積されたドレン水が下限位置と上限位置との間で維持されるように、ヒータ装置291Bを作動させる。
【0094】
なお、ヒータ装置291Bは、PCT(Positive Temperature Coefficient:正温度係数)ヒータが好ましい。PCTヒータは、温度が上がると抵抗値も上がる性質を有するので、温度はある一定の温度で安定する。そのため、外部的な制御を必要とせず、自ら適温をコントロールでき、消費電力量をより一層節約できる。
【0095】
また、本椅子機能付き空調装置10Bにおいては、図6図7に示すように、椅子1Bの前側脚部16Baには、着座者TZの踵KTを挿入できる踵逃げ部KTNを形成する仕切り板161Bを備え、仕切り板161Bには、送風用熱交換器211Bを通過する空気KK1の導入口162Bが形成されていることが好ましい。この場合、椅子1Bに着座した着座者TZが起立する際に、踵KTを踵逃げ部KTNに挿入することによって、膝HZの曲げ角度を90度以下に屈曲させて、簡単に起立することができる。例えば、狭い室内でも、本椅子機能付き空調装置10Bに着座する着座者TZが、簡単に立ち上がることができ、本椅子機能付き空調装置10Bにおける利便性をより一層高めることができる。
【0096】
<本椅子機能付き空調装置を備えた第1実施例のブース>
次に、他の実施形態に係る椅子機能付き空調装置を備えた第1実施例のブースを、図1図11を用いて説明する。図11に、図1に示す椅子機能付き空調装置を備えた第1実施例のブースの概略側面図を示す。
【0097】
図1図11に示すように、本椅子機能付き空調装置10を備えた第1実施例のブース50は、本椅子機能付き空調装置10に座る着座者TZが一人又は数人で作業又は居住する室内空間SKを有し、椅子機能付き空調装置10の外周を少なくとも三方向から囲む側壁板52で区画可能に形成されている。図11では、本ブース50は、椅子機能付き空調装置10を載置する床板51と、椅子機能付き空調装置10の外周を少なくとも三方向(ここでは、四方向)から囲む側壁板52と、一方向の側壁板52に設置されたドア521と、側壁板52の上方を塞ぐ天井板53とで区画され、1つの個室又は小屋のように形成されているが、これに限る必要はない。例えば、床板51とドア521と天井板53とが無く、椅子機能付き空調装置10の外周を三方向から囲む側壁板52(いわゆる、パーティション)のみで仕切られた室内空間SKから成るブースでも良い。また、図11では、一人用の個室から成るブース50が例示されているが、二人用、四人用等の複数人で使用するブースでも良いことは、勿論である。
【0098】
また、本ブース50は、オフィス内の床面FLに設置可能に形成され、必要な情報機器も設置可能に形成されている。そのため、少人数の会議やテレワーク等に使用することができる。また、本ブース50を構成する床板51、側壁板52、ドア521、天井板53等は、オフィス内で簡単に分解又は組立てでき、その設置位置を移動することも容易である。なお、本ブース50は、屋内に限らず、屋外に設置したものでも良い。
【0099】
以上のように、本ブース50は、椅子機能付き空調装置10に座る着座者TZが一人又は数人で作業又は居住する空間SKを有し、椅子機能付き空調装置10の外周を少なくとも三方向から囲む側壁板52で区画可能に形成されているので、着座者TZが座る椅子機能付き空調装置10の空調ユニット2のみで、ブース50内の空調を快適な状態に保つことができる。そのため、ブース50毎に新たな空調装置を設置する必要がなく、空調装置の高コスト化を回避できる。
【0100】
また、本ブース50は、椅子機能付き空調装置10の外周を少なくとも三方向から囲む側壁板52で区画可能に形成されているので、調和空気TKがブース50外へ逃げるのを抑制でき、空調ユニット2の消費電力をより一層抑制することができる。その結果、椅子機能付き空調装置10を備えた低コストで快適なブース50を提供することができる。
【0101】
なお、本ブース50が、図11に示すように、椅子機能付き空調装置10を載置する床板51とドア521付きの側壁板52と天井板53とで区画されている場合には、ブース50外からの熱の侵入やブース50外への熱の拡散を、より確実に低減又は防止できる。そのため、空調ユニット2の消費電力をより一層抑制することができる。
【0102】
また、本ブース50には、床面FLから離間した位置で椅子機能付き空調装置10を載置する床板51を備え、床板51には、椅子1の下端部18と隣接した位置に開閉可能な換気窓511が形成されていることが好ましい。この場合、ブース50内の空調を快適な状態に保ちつつ、換気窓511から古くなった調和空気(暖気TK2)をブース50外へ逃がして、新鮮な空気TK3と交換できる。そのため、空調ユニット2が消費する電力の増加を抑制しながら、低コストで快適なブース50を提供することができる。
【0103】
例えば、図1図11に示すように、本椅子機能付き空調装置10を冷房用に稼働させる場合、背凭れ部15の上端部151に形成した上部送風口14aからブース内の空間SKに調和空気TK(冷気TK1)を循環させると共に、換気窓511を開放して、暖気用ユニット22によって加熱された調和空気(暖気TK2)を、第2送風ファン252が下部送風口14bから換気窓511を介してブース外へ送り出すことができ、着座者TZの足元周辺の温度上昇を抑制させることができる。また、本椅子機能付き空調装置10を暖房用に稼働させる場合、換気窓511を閉鎖して、暖気用ユニット22によって加熱された調和空気(暖気TK2)を、第2送風ファン252が下部送風口14bから床板51を介してブース内へ送り出すことができ、着座者TZの足元周辺の温度上昇を促進させることができる。
【0104】
<本椅子機能付き空調装置を備えた第2実施例のブース>
次に、他の実施形態に係る椅子機能付き空調装置を備えた第2実施例のブースを、図6図12図16を用いて説明する。図12に、図6に示す椅子機能付き空調装置を備えた第2実施例のブースの概略斜視図を示す。図13に、図12に示すC-C断面図を示す。図14に、図13に示すD部の側面拡大図を示す。図15に、図13に示すD部の底面斜視図を示す。図16に、図15に示すD部の底面斜視図であって、床面に調湿シート材が配置された状態を示す。
【0105】
図6図12図16に示すように、本椅子機能付き空調装置10Bを備えた第2実施例のブース50Bは、椅子機能付き空調装置10Bに座る着座者TZが一人又は数人で作業又は居住する室内空間SKを有し、椅子機能付き空調装置10Bの外周を少なくとも三方向から囲む側壁板52Bで区画可能に形成されている。したがって、第1実施例の場合と同様に、着座者TZが座る椅子機能付き空調装置10Bの空調ユニット2Bのみで、ブース50B内の空調を快適な状態に保つことができる。そのため、ブース50B毎に新たな空調装置を設置する必要がなく、空調装置の高コスト化を回避できる。また、ブース50Bは、椅子機能付き空調装置10Bを少なくとも三方を囲む側壁板52Bで区画可能に形成されているので、調和空気TKがブース50B外へ逃げるのを側壁板52Bで抑制でき、空調ユニット2Bの消費電力をより一層抑制することができる。そのため、椅子機能付き空調装置10Bを備えた低コストで快適なブース50Bを提供することができる。
【0106】
また、本椅子機能付き空調装置10Bを備えた第2実施例のブース50Bにおいては、図12図13に示すように、側壁板52Bは、椅子機能付き空調装置10Bの外周を四方向から囲むように形成され、ブース50Bには、各側壁板52Bの上端部と連結された天井板53Bを備え、上部送風口14Baは、椅子1Bの背凭れ部15Bの上端部151Bから斜め後上方へ向けて冷気TK1又は暖気TK2を送風するように形成されていることが好ましい。
【0107】
この場合、上部送風口14Baから送風する冷気TK1又は暖気TK2を、ブース50Bの側壁板52Bに沿って天井板53B側へ上昇させ、天井板53Bを経由して室内空間SKへ拡散させることができる。そのため、狭いブース50B内であっても、上部送風口14Baから送風する冷気TK1又は暖気TK2が、直接、着座者TZに触れる不快感を回避できると共に、ブース50内の空調をより均一で快適な状態に保ち続けることができる。
【0108】
ここでは、図12図14に示すように、本椅子機能付き空調装置10Bは、椅子1Bの背凭れ部15Bをブース50Bの左側の側壁板52Baに略当接した状態で、床板51Bに設置されている。椅子1Bの脚部16Bには、キャスタ17Bは無く、脚部16Bの下端部18Bが、直接、床板51Bに当接している。また、椅子1Bの背凭れ部15Bが略当接した左側の側壁板52Baと対向する右側の側壁板52Bbには、椅子1Bの着座部11Bより上方にテーブル板561Bが水平状に装着され、テーブル板561Bの上方にモニター画面562Bが装着されている。なお、ブース50Bの前側の側壁板52Bには、ドア521Bが装着されている。また、天井板53Bには、スプリンクラー532Bと換気扇533とが装着されている。
【0109】
また、天井板53Bと右側の側壁板52Bbとが交差するコーナ部には、円弧状のガイド壁531Bが装着されている。この場合、椅子1Bの背凭れ部15Bの上端部151Bに形成された上部送風口14Baから送風される冷気TK1又は暖気TK2の調和空気TKは、左側の側壁板52Baに沿って天井板53Bまで上昇した後、天井板53Bからガイド壁531Bと右側の側壁板52Bbとに沿って下降して、テーブル板561Bに当接してから室内側へ流れる。そのため、調和空気TK(冷気TK1又は暖気TK2)は、着座者TZに対して直接的に当たることを回避しながら、室内空間SKへ拡散することができる。なお、円弧状のガイド壁531Bは、必要に応じて装着すれば良い。
【0110】
また、本椅子機能付き空調装置10Bを備えた第2実施例のブース50Bにおいては、図13図14に示すように、ブース50Bには、床面FLから離間した位置で椅子機能付き空調装置10Bを載置する床板51Bを備え、床板51Bには、椅子1Bの下端部18Bと隣接した位置に排風用熱交換器221Bを通過する空気KK2を床面FL側から導入する導入窓511Bと排風用熱交換器221Bを通過した排熱風HNを床面FL側へ排出する排出窓512Bとが形成されていることが好ましい。なお、床板51Bの隅部には、床面FLとの隙間を調節する調節ネジ514Bが装着されている。
【0111】
この場合、床板51Bの導入窓511Bからブース50B外の空気KK2を導入し、排風用熱交換器221Bを通過した排熱風HNを排出窓512Bからブース50B外へ逃がすことができる。そのため、ブース50内の調和空気TKと不要な排熱風HNとを分離することによって、空調ユニット2Bの消費電力を低減でき、ブース50B内の空調を快適な状態に保ち続けることができる。その結果、空調ユニット2Bが消費する電力の増加を抑制しながら、低コストで快適なブース50Bを提供することができる。なお、床板51Bの下面には、導入窓511Bに導入する空気KK2のフィルタ装置513Bが着脱可能に装着されている。フィルタ装置513Bは、本ブース50Bの前後方向に延設され、ブース50Bの前面(ドア521B側)に引き出して、フィルタ交換が可能に形成されている。
【0112】
また、本椅子機能付き空調装置10Bを備えた第2実施例のブース50Bにおいては、図14図15に示すように、床板51Bの下面には、導入窓511Bへ導入する空気KK2の流路を規制する空気仕切り板541Bと、排出窓512Bから排出する排熱風HNの流路を規制する排風仕切り板542Bとを備え、空気仕切り板541Bの開口部541Baと排風仕切り板542Bの開口部5423aとを、互いに反対向きに形成したことが好ましい。
【0113】
この場合、導入窓511Bへ導入する空気KK2と排出窓512Bから排出する排熱風HNとが、床板51Bの下方において混合するのを回避させることができる。そのため、排風用熱交換器221Bにおける熱交換効率を向上でき、より少ない消費電力でブース50B内の空調を快適な状態に保持できる。
【0114】
ここでは、空気仕切り板541Bと排風仕切り板542Bは、底面視で略S字状に形成され、空気仕切り板541Bの開口部541Baは、ブース50Bの前側の側壁板52B寄りに形成され、排風仕切り板542Bの開口部542Baは、ブース50Bの後側の側壁板52B寄りに形成されている。空気仕切り板541Bと排風仕切り板542Bは、床板51Bと床面FLとの隙間と略同一高さに形成されている。空気仕切り板541B及び排風仕切り板542Bと床面FLとの間に生じる微少隙間は、シールテープ543B等によって塞ぐと良い。
【0115】
また、本椅子機能付き空調装置10Bを備えた第2実施例のブース50Bにおいては、図14図16に示すように、排出窓512Bと対向する床面FLには、排出窓512Bより大きく形成された調湿シート材55Bが配置されていることが好ましい。
【0116】
この場合、調湿シート材55Bが排熱風HNに含まれる湿気を吸収して外部へ放出することによって、床面FLで結露することを抑止できる。すなわち、本ブース50Bでは、椅子機能付き空調装置10Bのドレンプール29Bに集積したドレン水をヒータ装置291Bによって蒸発させたときの水蒸気が排熱風HNと共に排出窓512Bから排出されて、床面FLで結露する可能性があった。しかし、排出窓512Bと対向する床面FLには、排出窓512Bより大きく形成された調湿シート材55Bが配置されているので、排熱風HNに含まれる湿気を調湿シート材55Bが吸収して、排出窓512Bから離間した部位から外部の空気へ放出させ、床面FLで結露することを抑止できる。
【0117】
ここでは、調湿シート材55Bは、導入窓511B及び排出窓512Bと対向する床面FLに配置されているので、排出窓512B側の調湿シート材55Bが吸収した湿気を、導入窓511B側の調湿シート材55Bを経由して、外部の空気に放散できる。そのため、椅子機能付き空調装置10Bの空調ユニット2Bを長時間稼働させた場合でも、調湿シート材55Bの湿気が飽和することを回避できる。調湿シート材55Bには、例えば、ケイ酸カルシウムに天然鉱物のバーミキュライト、珪藻土等が配合され、微細な空隙を有する板状体を用いることができる。
【0118】
なお、図12では、一人又は少人数用の個室から成るブース50Bが例示されているが、多数人で使用するブースでも良いことは、勿論である。また、本ブース50Bは、オフィス内の床面FLに設置可能に形成され、必要な情報機器も設置可能に形成されている。そのため、少人数の会議やテレワーク等に使用することができる。また、本ブース50Bを構成する床板51B、側壁板52B、ドア521B、天井板53B等は、オフィス内で簡単に分解又は組立てでき、オフィスの改変を伴うことなく、その設置位置を移動することも容易である。なお、本ブース50Bは、屋内に限らず、屋外に設置したものでも良い。
【0119】
<本椅子機能付き空調装置を備えた第3実施例のブース>
次に、他の実施形態に係る椅子機能付き空調装置を備えた第3実施例のブースを、図1図6図17を用いて説明する。図17に、図1又は図6に示す椅子機能付き空調装置を備えた第3実施例のブースの概略構成面図を示す。
【0120】
図1図6図17に示すように、本椅子機能付き空調装置10、10Bを備えた第3実施例のブース60は、椅子機能付き空調装置10、10Bに座る着座者が一人又は複数人で作業又は居住する室内空間SKを有し、椅子機能付き空調装置10、10Bを載置する床部材61と、床部材61の外周縁から上方へ延設された枠部材62と、枠部材62を覆うシート部材63とで区画可能に形成されている。
【0121】
ここで、椅子1、1Bは、長椅子でもベッド(寝具)でも良い。床部材61は、弾性体から成る床マットでも、剛性体から成る床板でも良い。また、枠部材62は、複数のフレーム材がドーム状に連結されて構成されているが、必ずしもドーム状に連結されたものに限らず、所定の広さを有する室内空間SKを確保できるものであれば良い。また、シート部材63は、枠部材62を上から覆うものであり、特に形状は問わないが、一部に出入り口を形成できれば良い。なお、本ブース60は、野外テントのように屋外に設置しても良いが、屋内(オフィス内)に設置しても良い。
【0122】
以上のように、本ブース60は、椅子機能付き空調装置10、10Bに座る着座者が一人又は複数人で作業又は居住する空間SKを有し、椅子機能付き空調装置10、10Bを載置する床部材61と、床部材61の外周縁から上方へ延設された枠部材62と、枠部材62を覆うシート部材63とで区画可能に形成されているので、着座者が座る椅子機能付き空調装置10、10Bの空調ユニット2、2Bのみで、ブース60内の空調を快適な状態に保つことができる。そのため、ブース60毎に新たな空調装置を設置する必要がなく、空調装置の高コスト化を回避できる。
【0123】
また、本ブース60は、椅子機能付き空調装置10、10Bを載置する床部材61と、床部材61から上方へ延設された枠部材62と、枠部材62を覆うシート部材63とで区画可能に形成されているので、ブース60の軽量化が可能であり、容易に搬送でき、屋内に限らず、屋外にも設置できる。また、枠部材62を覆うシート部材63によって、調和空気TKがブース60外へ逃げるのを簡単に抑制でき、空調ユニット2、2Bの消費電力をより低コストで抑制することができる。そのため、椅子機能付き空調装置10、10Bを備えた低コストで快適なブース60を提供することができる。
【0124】
<作用効果>
以上、詳細に説明したように、本実施形態に係る椅子機能付き空調装置10、10Bによれば、空調ユニット2、2Bは、椅子1、1Bの内部1N、1BNに収納され、椅子1、1Bの外部1G、1BGに向けて調和空気TKを送風可能に形成されたので、空調ユニット2、2Bが椅子1、1Bと共に室内を自由に移動できる。そのため、フリーアドレスオフィスや、コワーキングオフィス、シェアオフィス等の様々な形態のオフィスに対して、新たな空調装置を設置することなく、快適な作業環境を実現できる。また、空調ユニット2、2Bは、椅子1、1Bに座る着座者TZの周辺を空調できる程度の小型のものであれば良く、空調装置の高コスト化を回避できる。さらに、着座者TZが座る椅子1、1Bの空調ユニット2、2Bのみを、着座者TZの必要に応じて稼働させることができ、少ない消費電力で着座者TZ毎の快適な作業環境を実現できる。
【0125】
よって、本実施形態によれば、空調装置の高コスト化を回避でき、少ない消費電力で着座者TZ毎の快適な作業環境を実現できる椅子機能付き空調装置10、10Bを提供することができる。
【0126】
また、本実施形態によれば、空調ユニット2、2Bは、椅子1、1Bの着座部11、11B下方の空きスペースに形成された収納室12、12Bに収納され、椅子1、1Bの外周部13、13Bには、空調ユニット2、2Bと連通された送風口14、14Bが形成されているので、椅子1、1Bとしてのデザイン上の自由度を確保しつつ、椅子1、1Bの空きスペースを利用して空調ユニット2、2Bをコンパクトに収容できる。また、空調ユニット2、2Bによって椅子1、1Bの重量が増加するが、空調ユニット2、2Bが椅子1、1Bの着座部11、11B下方の空きスペースに形成された収納室12、12Bに収納されたことによって、椅子1、1Bの重心位置を下方に配置でき、椅子1、1Bを必要な位置にバランスよく設置させ又は楽に移動させることができる。また、椅子1、1Bの外周部13、13Bには、空調ユニット2、2Bと連通された送風口14、14Bが形成されているので、送風口14、14Bを椅子1、1Bの外周部13、13Bにおける適宜位置に形成するだけで、椅子1、1Bに座る着座者TZに対して快適な調和空気TKを送風できる。
【0127】
また、本実施形態によれば、空調ユニット2は、冷気TK1を送風する冷気用ユニット21と暖気TK2を送風する暖気用ユニット22とを隔壁27を隔てて備え、冷気用ユニット21は、隔壁27の上方に位置し、椅子1の上側の外周部13aに形成された上部送風口14aと連通され、暖気用ユニット22は、隔壁27の下方に位置し、椅子1の下側の外周部13bに形成された下部送風口14bと連通されているので、暖気が集まりやすい椅子1の上側に対して冷気用ユニット21から冷気TK1を効率的に送風でき、冷気が集まりやすい椅子1の下側に対して暖気用ユニット22から暖気TK2を効率的に送風できる。そのため、椅子1に座る着座者TZに対してより一層快適な作業環境を実現できる。
【0128】
また、本実施形態によれば、空調ユニット2は、圧縮機23と、凝縮器221と、膨張弁243と、蒸発器211と、これらを順に結ぶ配管241とを有し、配管241内に冷媒242を循環させるヒートポンプHPから成るので、空調ユニット2をコンパクトに形成でき、少ない消費電力で加熱、冷却の機能を効率的に実現することができる。
【0129】
また、冷気用ユニット21には、蒸発器211を通過する調和空気TKを上部送風口14aへ送風する第1送風ファン251を備えたので、膨張弁243で冷却された冷媒242が蒸発器211を通過する空気の熱を吸収することによって冷却させた調和空気TK(冷気TK1)を、第1送風ファン251が上部送風口14aから椅子1の上側の外周部13aへ送り出すことができ、着座者TZの頭部周辺の温度を効果的に下げることができる。
【0130】
また、暖気用ユニット22には、凝縮器221を通過する調和空気TKを下部送風口14bへ送風する第2送風ファン252を備えたので、圧縮機23で加熱された冷媒242が凝縮器221を通過する空気に熱を放出することによって加熱された調和空気(暖気TK2)を、第2送風ファン252が下部送風口14bから椅子1の下側の外周部13bへ送り出すことができ、着座者TZの足元周辺の温度を効果的に上げることができる。そのため、椅子1に座る着座者TZに対してより一層快適な作業環境を実現できる。
【0131】
また、本実施形態によれば、空調ユニット2Bは、冷気TK1又は暖気TK2を送風する送風用ユニット21Bと、排熱風HNを送風する排風用ユニット22Bとを隔壁27Bを隔てて備え、送風用ユニット21Bは、隔壁27Bの上方に位置し、椅子1Bの上側の外周部13Baに形成された上部送風口14Baと連通され、排風用ユニット22Bは、隔壁27Bの下方に位置し、椅子1Bの下側の外周部13Bbに形成された下部送風口14Bbと連通されているので、椅子1Bの上側に座る着座者TZの上体側に対して送風用ユニット21Bから冷気TK1又は暖気TK2の調和空気TKを効率的に送風でき、また、着座者TZの足元側にて排風用ユニット22Bから不要な排熱風HNを逃すことができる。そのため、椅子1Bに座る着座者TZに対してより一層快適な作業環境を実現できる。
【0132】
また、本実施形態によれば、空調ユニット2Bは、圧縮機23Bと、送風用熱交換器211Bと、膨張弁243Bと、排風用熱交換器221Bと、四方弁244Bと、これらを結ぶ配管241Bと、配管241B内を流れる冷媒242とを有し、四方弁244Bによって冷媒242の流れる向きを切替え可能に形成されたヒートポンプHPBから成り、送風用ユニット21Bには、送風用熱交換器211Bを通過する冷気TK1又は暖気TK2を上部送風口14Baへ送風する第1送風ファン251Bを備え、排風用ユニット22Bには、排風用熱交換器221Bを通過する排熱風HNを下部送風口14Bbへ送風する第2送風ファン252Bを備えたので、空調ユニット2Bをコンパクトに形成でき、少ない消費電力で加熱、冷却の機能を効率的に実現することができる。
【0133】
また、空調ユニット2Bは、四方弁244Bによって冷媒242の流れる向きを切替え可能に形成されたヒートポンプHPBから成り、送風用ユニット21Bには、送風用熱交換器211Bを通過する冷気TK1又は暖気TK2を上部送風口14Baへ送風する第1送風ファン251Bを備えたので、冷房時において、低圧低温の冷媒242(P3)が流れる送風用熱交換器211Bに送風される空気KK1の熱を低圧低温の冷媒242(P3)が吸収することによって冷却させた冷気TK1を、第1送風ファン251Bが上部送風口14Baから椅子1Bの上側へ送り出すことができ、着座者TZの上体周辺の温度(室温)を効果的に下げることができる。また、四方弁244Bによって冷媒242の流れる向きを切替えた暖房時において、高圧高温の冷媒242(Q1)が流れる送風用熱交換器211Bに送風される空気KK1を高圧高温の冷媒242(Q1)が加熱することによって温めた暖気TK2を、第1送風ファン251Bが上部送風口14Baから椅子1Bの上側へ送り出すことができ、着座者TZの上体周辺の温度(室温)を効果的に上げることができる。
【0134】
また、排風用ユニット22Bには、排風用熱交換器221Bを通過する排熱風HNを下部送風口14Bbへ送風する第2送風ファン252Bを備えたので、冷房時において、高圧高温の冷媒242(P1)が流れる排風用熱交換器221Bに送風される空気KK2を高圧高温の冷媒242(P1)が加熱することによって温めた不要な排熱風HNを、第2送風ファン252Bが下部送風口14Bbから椅子1Bの下側へ逃すことによって、着座者TZの上体周辺の温度(室温)を適切な状態に保つことができる。また、四方弁244Bによって冷媒242の流れる向きを切替えた暖房時において、低圧低温の冷媒242(Q3)が流れる排風用熱交換器221Bに送風される空気KK2を低圧低温の冷媒242(Q3)が冷却することによって冷やした不要な排熱風HNを、第2送風ファン252Bが下部送風口14Bbから椅子1Bの下側へ逃すことによって、着座者TZの上体周辺の温度(室温)を適切な状態に保つことができる。そのため、椅子1Bに座る着座者TZに対してより一層快適な作業環境を実現できる。
【0135】
また、本実施形態によれば、送風用熱交換器211Bの下方に配設された第1ドレンパン28Baと、第1ドレンパン28Baに下流側で接続され排風用熱交換器221Bの下方に配設された第2ドレンパン28Bbと、第2ドレンパン28Bbに下流側で接続されヒータ装置291Bを有すると共に排熱風HNの送風経路に配置されたドレンプール29Bとを備え、第1ドレンパン28Baに溜まった結露水を第2ドレンパン28Bbを経由してドレンプール29Bに集積し、ドレンプール29Bに集積したドレン水をヒータ装置291Bによって蒸発させるので、空調ユニット2Bを運転したときに発生するドレン水は、自動的に気化させて排熱風HNと共に外部へ放出させることができる。そのため、ドレン水を貯留するタンクやドレン水の排出管等を設置する必要がなく、本椅子機能付き空調装置10Bを自由な位置に移動でき、利便性をより一層高めることができる。
【0136】
また、第1ドレンパン28Baに溜まった結露水を第2ドレンパン28Bbを経由してドレンプール29Bに集積し、ドレンプール29Bに集積したドレン水をヒータ装置291Bによって蒸発させるので、例えば、冷房時に、送風用熱交換器211Bに結露して第1ドレンパン28Baに溜まった結露水が、第2ドレンパン28Bbを経由する際、高圧高温の冷媒242(P1)が流れる排風用熱交換器221Bに加熱されてドレンプール29Bに温度上昇されたドレン水として集積される。そのため、ドレンプール29Bに集積したドレン水をヒータ装置291Bによって素早く沸騰させて蒸発させることができる。その結果、ドレン水を少ない消費電力で効率的に蒸発させることができる。
【0137】
また、本実施形態によれば、椅子1Bの前側脚部16Baには、着座者TZの踵KTを挿入できる踵逃げ部KTNを形成する仕切り板161Bを備え、仕切り板161Bには、送風用熱交換器211Bを通過する空気KK1の導入口162Bが形成されているので、椅子1Bに着座した着座者TZが起立する際に、踵KTを踵逃げ部KTNに挿入することによって、膝HZの曲げ角度を90度以下に屈曲させて、簡単に起立することができる。例えば、狭い室内でも、本椅子機能付き空調装置10Bに着座する着座者TZが、簡単に立ち上がることができ、利便性をより一層高めることができる。
【0138】
また、本他の実施形態に係る椅子機能付き空調装置を備えたブース50によれば、ブース50は、椅子機能付き空調装置10に座る着座者TZが一人又は数人で作業又は居住する室内空間SKを有し、椅子機能付き空調装置10の外周を少なくとも三方向から囲む側壁板52で区画可能に形成されているので、着座者TZが座る椅子機能付き空調装置10の空調ユニット2のみで、ブース50内の空調を快適な状態に保つことができる。そのため、ブース50毎に新たな空調装置を設置する必要がなく、空調装置の高コスト化を回避できる。また、ブース50は、椅子機能付き空調装置10を少なくとも三方を囲む側壁板52で区画可能に形成されているので、調和空気TKがブース50外へ逃げるのを側壁板52で抑制でき、空調ユニット2の消費電力をより一層抑制することができる。そのため、椅子機能付き空調装置10を備えた低コストで快適なブース50を提供することができる。
【0139】
また、本他の実施形態に係るブース50によれば、ブース50には、床面FLから離間した位置で椅子機能付き空調装置10を載置する床板51を備え、床板51には、椅子1の下端部18と隣接した位置に開閉可能な換気窓511が形成されているので、ブース50内の空調を快適な状態に保ちつつ、換気窓511から古くなった調和空気(暖気TK2)をブース外へ逃がして、新鮮な空気TK3と交換できる。そのため、空調ユニット2が消費する電力の増加を抑制しながら、低コストで快適なブース50を提供することができる。
【0140】
また、本他の実施形態に係るブース50Bによれば、ブース50Bは、椅子機能付き空調装置10Bに座る着座者TZが一人又は数人で作業又は居住する室内空間SKを有し、椅子機能付き空調装置10Bの外周を少なくとも三方向から囲む側壁板52Bで区画可能に形成されているので、着座者TZが座る椅子機能付き空調装置10Bの空調ユニット2Bのみで、ブース50B内の空調を快適な状態に保つことができる。そのため、ブース50B毎に新たな空調装置を設置する必要がなく、空調装置の高コスト化を回避できる。また、ブース50Bは、椅子機能付き空調装置10Bを少なくとも三方を囲む側壁板52Bで区画可能に形成されているので、調和空気TKがブース50B外へ逃げるのを側壁板52Bで抑制でき、空調ユニット2Bの消費電力をより一層抑制することができる。そのため、椅子機能付き空調装置10Bを備えた低コストで快適なブース50Bを提供することができる。
【0141】
また、本他の実施形態に係るブース50Bによれば、側壁板52Bは、椅子機能付き空調装置10Bの外周を四方向から囲むように形成され、ブース50Bには、各側壁板52Bの上端部と連結された天井板53Bを備え、上部送風口14Baは、椅子1Bの背凭れ部15Bの上端部151Bから斜め後上方へ向けて冷気TK1又は暖気TK2を送風するように形成されているので、上部送風口14Baから送風する冷気TK1又は暖気TK2を、ブース50Bの側壁板52Bに沿って天井板53B側へ上昇させ、天井板53Bを経由して室内空間SKへ拡散させることができる。そのため、狭いブース50B内であっても、上部送風口14Baから送風する冷気TK1又は暖気TK2が、直接、着座者TZに触れる不快感を回避できると共に、ブース50内の空調をより均一で快適な状態に保ち続けることができる。
【0142】
また、本他の実施形態に係るブース50Bによれば、ブース50Bには、床面FLから離間した位置で椅子機能付き空調装置10Bを載置する床板51Bを備え、床板51Bには、椅子1Bの下端部18Bと隣接した位置に排風用熱交換器221Bを通過する空気KK2を床面FL側から導入する導入窓511Bと排風用熱交換器221Bを通過した排熱風HNを床面FL側へ排出する排出窓512Bとが形成されているので、床板51Bの導入窓511Bからブース50B外の空気KK2を導入し、排風用熱交換器221Bを通過した排熱風HNを排出窓512Bからブース50B外へ逃がすことができる。そのため、ブース50内の調和空気TKと不要な排熱風HNとを分離することによって、空調ユニット2Bの消費電力を低減でき、ブース50B内の空調を快適な状態に保ち続けることができる。そのため、空調ユニット2Bが消費する電力の増加を抑制しながら、低コストで快適なブース50Bを提供することができる。
【0143】
また、本他の実施形態に係るブース50Bによれば、床板51Bの下面には、導入窓511Bへ導入する空気KK2の流路を規制する空気仕切り板541Bと、排出窓512Bから排出する排熱風HNの流路を規制する排風仕切り板542Bとを備え、空気仕切り板541Bの開口部541Baと排風仕切り板542Bの開口部542Baとを、互いに反対向きに形成したので、導入窓511Bへ導入する空気KK2と排出窓512Bから排出する排熱風HNとが、床板51Bの下方において混合するのを回避させることができる。そのため、排風用熱交換器221Bにおける熱交換効率を向上でき、より少ない消費電力でブース50B内の空調を快適な状態に保持できる。
【0144】
また、本他の実施形態に係るブース50Bによれば、排出窓512Bと対向する床面FLには、排出窓512Bより大きく形成された調湿シート材55Bが配置されているので、調湿シート材55Bが排熱風HNに含まれる湿気を吸収して外部へ放出することによって、床面FLで結露することを抑止できる。すなわち、本ブース50Bでは、椅子機能付き空調装置10Bのドレンプール29Bに集積したドレン水をヒータ装置291Bによって蒸発させたときの水蒸気が排熱風HNと共に排出窓512Bから排出されて、床面FLで結露する可能性があった。しかし、排出窓512Bと対向する床面FLには、排出窓512Bより大きく形成された調湿シート材55Bが配置されているので、排熱風HNに含まれる湿気を調湿シート材55Bが吸収して、排出窓512Bから離間した部位から外部の空気へ放出させ、床面FLで結露することを抑止できる。
【0145】
また、他の実施形態に係る椅子機能付き空調装置10、10Bを備えたブース60によれば、ブース60は、椅子機能付き空調装置10、10Bに座る着座者TZが一人又は数人で作業又は居住する室内空間SKを有し、椅子機能付き空調装置10、10Bを載置する床部材61と、床部材61の外周縁から上方へ延設された枠部材62と、枠部材62を覆うシート部材63とで区画可能に形成されているので、着座者TZが座る椅子機能付き空調装置10、10Bの空調ユニット2、2Bのみで、ブース60内の空調を快適な状態に保つことができる。そのため、ブース60毎に新たな空調装置を設置する必要がなく、空調装置の高コスト化を回避できる。
【0146】
また、ブース60は、椅子機能付き空調装置10、10Bを載置する床部材61と、床部材61の外周縁から上方へ延設された枠部材62と、枠部材62を覆うシート部材63とで区画可能に形成されているので、ブース60の軽量化が可能であり、容易に搬送でき、屋内に限らず、屋外にも設置できる。また、枠部材62を覆うシート部材63によって、調和空気TKがブース60外へ逃げるのを簡単に抑制でき、空調ユニット2、2Bの消費電力をより低コストで抑制することができる。そのため、椅子機能付き空調装置10、10Bを備えた低コストで快適なブース60を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0147】
本発明は、空調装置の高コスト化を回避でき、少ない消費電力で着座者毎の快適な作業環境を実現できる椅子機能付き空調装置及び当該椅子機能付き空調装置を備えた低コストで快適なブースとして利用できる。
【符号の説明】
【0148】
1、1B 椅子
1N、1BN 内部
1G、1BG 外部
2、2B 空調ユニット
10、10B 椅子機能付き空調装置
11、11B 着座部
12、12B 収納室
13、13a、13b 外周部
13B、13Ba、13Bb 外周部
14、14B 送風口
14a、14Ba 上部送風口
14b、14Bb 下部送風口
15、15B 背凭れ部
16Ba 前側脚部
18、18B 下端部
21 冷気ユニット
21B 送風ユニット
22 暖気ユニット
22B 排風ユニット
23、23B 圧縮機
27、27B 隔壁
28Ba 第1ドレンパン
28Bb 第2ドレンパン
29B ドレンプール
50、50B、60 ブース
51、51B 床板
52、52B 側壁板
53、53B 天井板
55B 調湿シート材
61 床部材
62 枠部材
63 シート部材
151、151B 上端部
161B 仕切り板
162B 導入口
211 蒸発器
211B 送風用熱交換器
221 凝縮器
221B 排風用熱交換器
241、241B 配管
242 冷媒
243 膨張弁
244B 四方弁
251、251B 第1送風ファン
252、252B 第2送風ファン
291B ヒータ装置
511 換気窓
511B 導入窓
512B 排出窓
521、521B ドア
541B 空気仕切り板
542B 排風仕切り板
541Ba、542Ba 開口部
FL 床面
HP、HPB ヒートポンプ
HN 排熱風
KT 踵
KTN 踵逃げ部
TK 調和空気
TK1 冷気、調和空気
TK2 暖気、調和空気
TZ 着座者
SK 室内空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18