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  • 特開-管楽器用マウスピースの製造方法 図1
  • 特開-管楽器用マウスピースの製造方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023055642
(43)【公開日】2023-04-18
(54)【発明の名称】管楽器用マウスピースの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G10D 9/02 20200101AFI20230411BHJP
   G10D 9/08 20200101ALI20230411BHJP
【FI】
G10D9/02 200
G10D9/08
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145391
(22)【出願日】2022-09-13
(31)【優先権主張番号】10-2021-0132468
(32)【優先日】2021-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】522355134
【氏名又は名称】チョ,ミョン ソプ
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】チョ,ミョン ソプ
(57)【要約】
【課題】管楽器を演奏するときに口で使用するマウスピースの製造において、高強度の鉱物材と合成樹脂材とを混合した形態の優れた共鳴特性を有するマウスピースを製造することで、容易な演奏が可能であり、鮮明で豊かな音を提供することができるようにし、製造工程を改善して大量生産を可能にしながら製造コストを低めることができ、廃棄される廃資源を材料として再活用して環境に優しい管楽器用マウスピースの製造方法を提供する。
【解決手段】合成樹脂素材の第1材料と鉱物材の第2材料とをそれぞれ粉末化する段階と、前記第1材料と第2材料とを所定の比で混合する段階と、前記混合された材料を溶融させて所定の断面形状の1次成形物を連続的に押し出す段階と、前記押し出された1次成形物を所定の間隔で切断する段階と、前記切断された1次成形物をマウスピース形態に加工して2次成形物を形成する段階とを含む。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂素材の第1材料と鉱物材の第2材料とをそれぞれ粉末化する段階(S-1)と、
前記第1材料と前記第2材料とを所定の比で混合する段階(S-2)と、
混合された材料を溶融させて所定の断面形状の1次成形物を連続的に押し出す段階(S-3)と、
押し出された前記1次成形物を所定の間隔で切断する段階(S-4)と、
切断された前記1次成形物をマウスピース形態に加工して2次成形物を形成する段階(S-5)と、を含むことを特徴とする、管楽器用マウスピースの製造方法。
【請求項2】
前記粉末化する段階(S-1)で、前記第1材料は硬質ゴム(hard rubber)を適用することを特徴とする、請求項1に記載の管楽器用マウスピースの製造方法。
【請求項3】
前記粉末化する段階(S-1)で、前記第2材料は、金、銀、銅、鉛、亜鉛、鉄、マンガン、重石、モリブデナイト、スズ、ビスマス、輝安鉱、石灰石、ドロマイト、珪石、珪砂、長石、蛇紋石、カオリン、黒鉛、滑石、アガルマトライト、珪藻岩、石綿、蛍石、雲母、絹雲母、紅柱石、砂金、モナザイト、ジルコン、チタン鉄鉱、磁鉄鉱、柘榴石のうちの少なくとも1種以上を適用することを特徴とする、請求項1に記載の管楽器用マウスピースの製造方法。
【請求項4】
前記所定の比で混合する段階(S-2)で、前記第2材料は10~70重量部で混合することを特徴とする、請求項1に記載の管楽器用マウスピースの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は管楽器用マウスピースの製造方法に関し、より詳しくは管楽器を演奏するときに口で加えて使用するマウスピースの製造において、高強度の鉱物材と合成樹脂材とを混合した形態の優れた共鳴特性を有するマウスピースを製造することで、容易な演奏が可能であり、鮮明で豊かな音を提供することができるようにし、製造工程を改善して大量生産を可能にしながら製造コストを低めることができ、廃棄される廃資源を材料として再活用して環境に優しい管楽器用マウスピースの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、管楽器は、リコーダー、サクソフォン、チューバ、ホルン、バスーン、コルネット、ラッパ、トランペット、トロンボーンのように管に口で空気を吹き入れて音を出す楽器を意味するものであり、管楽器の音は、楽器自体の構造及び長さによって、かつ演奏者が管楽器に結合されたマウスピースを通して吹き入れる空気の振動によって左右される。
【0003】
このような管楽器に結合されるマウスピース(mouthpiece)についてより詳細に説明すると、マウスピースは演奏者が唇を当てて空気を吹き入れる過程で最初に空気の振動が発生する部分に相当する。このときに発生した空気の振動は管内の空気を振動させて音の大きさを拡張させる。マウスピースは、音色、音の高低、音の持続時間を決定する重要な要素であり、これらはマウスピースの形態や素材によって大きく変わる。
【0004】
これまでのマウスピースは大部分が手作業で製作されてきて生産性が良くなく、現在普遍的に製造されて広く普及されるマウスピースの素材はハードラバー(Hard Rubber)または金属(Metal)である。ハードラバー素材のマウスピースは金属素材のマウスピースより安いという利点があるが、耐久性が弱く熱伝導率が劣って豊かな音を出すことができない欠点がある。一方、金属素材のマウスピースは熱伝導率に優れるが、素材の特性によって柔らかい音に適しなく、音色が硬い問題点がある。
【0005】
関連の先行技術として、韓国登録特許第10-0900756号(銀ナノを含有する楽器用マウスピース)は、マウスピースの製造において、銀ナノ粉末またはこれを希釈した銀ナノ溶液を、マウスピース胴体の外表面にマイクロ厚さで、乾式または湿式コーティングを含む蒸着、積層、薄膜、沈積、メッキ、及び噴射のうちでいずれか一つでコーティング処理する技術を開示している。
【0006】
前記先行技術はマウスピースに銀ナノコーティングを適用した技術であり、銀素材の抗菌機能を有することができるが、ナノサイズの粒子を有するコーティング層によってはマウスピースの耐久性や音色を調整することができない問題点があり、生産性を高めるための製造工程は含んでいない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国登録特許第10-0900756号公報
【特許文献2】韓国登録特許第10-1410824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は前記のような問題点を解決するために案出されたものであり、単一のマウスピースに鉱物材の特性及び合成樹脂材の特性を一緒に適用することができるように、鉱物材と合成樹脂材とを混合して製造することで、既存のマウスピースに比べて高い耐久性を有するようにしながら、素材特性によって優れた共鳴がなされるようにしてより容易に音を出すことができるようにし、鮮明で豊かな音を提供することができる管楽器用マウスピースの製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、鉱物材と合成樹脂材を効率的に混合しながら、鉱物材が離脱しないようにして不良率を最小化し、大量生産に適した製造方法を提供することで、マウスピースの値段を低めるとともに高品質のマウスを提供することができる管楽器用マウスピースの製造方法を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、合成樹脂素材の第1材料と鉱物材の第2材料とをそれぞれ粉末化する段階と、前記第1材料と前記第2材料とを所定の比で混合する段階と、前記混合された材料を溶融させて所定の断面形状の1次成形物を連続的に押し出す段階と、前記押し出された1次成形物を所定の間隔で切断する段階と、前記切断された1次成形物をマウスピース形態に加工して2次成形物を形成する段階とを含むことを特徴とする。
【0011】
また、前記粉末化する段階で、第1材料は硬質ゴム(hard rubber)を適用することを特徴とする。
【0012】
また、前記粉末化する段階で、第2材料は、金、銀、銅、鉛、亜鉛、鉄、マンガン、重石、モリブデナイト、スズ、ビスマス、輝安鉱、石灰石、ドロマイト、珪石、珪砂、長石、蛇紋石、カオリン、黒鉛、滑石、アガルマトライト、珪藻岩、石綿、蛍石、雲母、絹雲母、紅柱石、砂金、モナザイト、ジルコン、チタン鉄鉱、磁鉄鉱、柘榴石のうちの少なくとも1種以上を適用することを特徴とする。
【0013】
前記所定の比で混合する段階で、第2材料は10~70重量部で混合することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、マウスピースの製造において、鉱物材と合成樹脂材とを粉末化して混合して製造することで、鉱物材の特性によって既存のマウスピースに比べて高い耐久性を有するようにしながら、秒当たり振動の強度及び周期性を高めて優れた共鳴が発生するようにすることにより、容易に演奏することができるようにし、鮮明な音色、豊かな音量、ダイナミックな音高(音の高低演出-柔らかな音はより柔らかに、強い音はより強く)、余響のある音価(音の持続時間)を表現するのに適した効果を有する。
【0015】
また、本発明は、材料を粉末化してから混合し、1次成形及び2次成形工程によって鉱物材が離脱しないようにして不良率を最小化し、大量生産に適した製造方法を提供してマウスピースの値段を低めることができる高品質のマウスを提供することができる効果がある。
【0016】
さらに、本発明は、鉱物材及び合成樹脂材を廃棄される廃資源を用いて製造することにより、廃棄物を減らし、環境に優しい効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の管楽器用マウスピースの製造方法を示すブロック図である。
図2】本発明の管楽器用マウスピースの製造方法において後処理段階をさらに含む実施例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好適な実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。そして、本発明の説明において、関連した公知の機能や構成についての具体的な説明が本発明の要旨を不必要にあいまいにする可能性があると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0019】
本発明の管楽器用マウスピースの製造方法は、図1に示すように、合成樹脂素材の第1材料及び鉱物材の第2材料をそれぞれ粉末化する段階(S-1)と、前記第1材料と第2材料とを所定の比で混合する段階(S-2)と、前記混合された材料を溶融させて所定の断面形状の1次成形物を連続的に押し出す段階(S-3)と、前記押し出された1次成形物を所定の間隔で切断する段階(S-4)と、前記切断された1次成形物をマウスピースの形態に加工して2次成形物を形成する段階(S-5)とを含むことを特徴とする。
【0020】
前記粉末化する段階(S-1)は、合成樹脂素材の第1材料と鉱物材の第2材料とをそれぞれ粉砕機で粉砕して粉末化する過程である。第1材料と第2材料とは素材の強度に差が発生するので、互いに異なる粉砕機を用いてそれぞれ異なる環境で粉砕することが好ましい。この際、混合比を合わせるために同じ粒子大きさに粉砕することがよい。
【0021】
前記第1材料としては硬質ゴム(hard rubber)を適用することが好ましく、第2材料としては、金、銀、銅、鉛、亜鉛、鉄、マンガン、重石、モリブデナイト、スズ、ビスマス、輝安鉱及び希土類のような金属性鉱物材、または石灰石、ドロマイト、珪石、珪砂、長石、蛇紋石、カオリン、黒鉛、滑石、アガルマトライト、珪藻岩、石綿、蛍石、雲母、絹雲母及び紅柱石のような非金属性鉱物材、または砂金、モナザイト、ジルコン、チタン鉄鉱、磁鉄鉱、柘榴石のような砂鉱床鉱物資源を適用することができ、このうちの少なくとも1種以上を適用する。
【0022】
また、第1材料及び第2材料を廃棄される廃資源を用いて製造する場合、廃棄物を効果的に処理することができるので、環境に優しい製造方法を提供することができる。このように、第1材料及び第2材料として廃資源を用いる場合、粉末化する過程で異物除去工程及び洗浄工程をさらに経ること好ましい。
【0023】
前記所定の比で混合する段階(S-2)は、第1材料及び第2材料を単一の混合機に所定の比で投入し、均一に混合する混合工程に相当する。前記混合工程で投入される第2材料は10~70重量部の混合比で投入される。このように、第2材料の混合範囲を広く設定する理由は、第2材料の混合量によって音色が変わるので、演奏者の嗜好や性向によって調節するためである。すなわち、柔らかい音色を望めば第2材料の混合量を減らし、強い音色を望めば第2材料の混合量を増やす。
【0024】
このように、第2材料の混合比を広く適用したが、第2材料の混合比が10重量部未満の場合、鉱物材の特性があまりにも低くて効果が低下し、第2材料の混合比が70重量部を超える場合、成形を担当する第1材料の比が相対的に低下して円滑な成形ができない問題点がある。
【0025】
前記連続的に押し出す段階(S-3)は、第1材料と第2材料とが所定の比で混合された状態の材料を押出成形機で溶融して所定の断面を有する棒状の1次成形物を連続的に押出し成形する工程である。この過程で、溶融温度は鉱物材に相当する第2材料の溶融温度に設定せず、合成樹脂素材に相当する第1材料を基準に設定することが好ましいが、あまりにも高温に溶融する場合、第1材料の特性を失う問題点がある。
【0026】
しかし、例外的に第2材料として多くの鉱物材のうち低溶融温度を有する素材を適用する場合、第1材料及び第2材料が共に溶融することができるようにした溶融温度に設定することもできる。
【0027】
前記切断する段階(S-4)は、棒状に押し出された1次成形物を所定の間隔で切断する工程である。ここで、切断間隔はマウスピースのサイズに応じて自由に調節することができ、切断過程は1次成形物が完全に乾燥した状態で遂行する。
【0028】
その後、2次成形物を形成する段階(S-5)は、マウスピースのサイズに合うように切断された1次成形物を表面切削方式の精密加工機械に投入してマウスピースの形態に精密加工することによって2次成形物に形成する段階である。
【0029】
本発明は、まずマウスピースの形態を有しない棒状の1次成形物を切断して2次成形物に精密加工する場合、生産性を大きく高めることができる利点を有する。第1材料及び第2材料が均一に混合された状態の堅固な1次成形物をマウスピース形態の2次成形物に加工するので、成形されたマウスピースから鉱物材が離脱するおそれがなく、鉱物材の分布度が一定になることができる利点を有する。
【0030】
仮に、単純金型方式で成形すれば、生産性が低下し、鉱物材が離脱する問題点と、マウスピースに含まれた鉱物材が成形過程で一側に偏る問題点とを有する。
【0031】
さらに、本発明は、図2に示すように、前記2次成形物を形成する段階(S-5)を経てからマウスピースの表面を強化する後処理段階(S-6)をさらに含むことができる。前記後処理段階(S-6)は第2材料の混合比によって変わることができる。第2材料の混合比が第1材料の混合比より高い場合、熱処理工程及び乾燥工程を適用することができ、第2材料の混合比が第1材料の混合比より低い場合、熱処理による第1材料の溶融問題が発生することがあるので、表面コーティング工程を適用することができる。
【0032】
以上で、本発明は前記実施例を参照して説明したが、本発明の技術思想の範囲内で多様な変形実施が可能であるというのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0033】
S-1~S-6 管楽器用マウスピースの製造方法
図1
図2