IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ カーボンスリーディー,インコーポレイテッドの特許一覧

特開2023-55693付加製造において有用な光重合性樹脂のブロッキング基
<>
  • 特開-付加製造において有用な光重合性樹脂のブロッキング基 図1
  • 特開-付加製造において有用な光重合性樹脂のブロッキング基 図2
  • 特開-付加製造において有用な光重合性樹脂のブロッキング基 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023055693
(43)【公開日】2023-04-18
(54)【発明の名称】付加製造において有用な光重合性樹脂のブロッキング基
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/314 20170101AFI20230411BHJP
   B29C 64/124 20170101ALI20230411BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20230411BHJP
   B33Y 70/00 20200101ALI20230411BHJP
   B29C 64/40 20170101ALI20230411BHJP
   C08G 18/80 20060101ALI20230411BHJP
【FI】
B29C64/314
B29C64/124
B33Y10/00
B33Y70/00
B29C64/40
C08G18/80
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022211476
(22)【出願日】2022-12-28
(62)【分割の表示】P 2019565564の分割
【原出願日】2018-06-07
(31)【優先権主張番号】62/516,893
(32)【優先日】2017-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515220524
【氏名又は名称】カーボン,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【弁理士】
【氏名又は名称】水島 亜希子
(72)【発明者】
【氏名】チェン,カイ
(72)【発明者】
【氏名】ライト,アンドリュー・ゴードン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ムー・サン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】3次元物体を形成する方法、および該方法において有用な重合性液体組成物を提供する。
【解決手段】重合性液体が、(i)光重合性の第1の構成要素、および(ii)熱重合性の第2の構成要素の混合物を含み、熱重合性の第2の構成要素が、(i)揮発性のブロッキング基でブロックされた第1のブロック反応性の構成成分、および任意選択的で(ii)硬化剤を含む、3次元物体を形成する方法が、本明細書において提供される。形成された3次元中間体を十分に加熱すると、揮発性のブロッキング基が切断され、3次元中間体から蒸発して、3次元物体が形成する。また、本方法によって製造された3次元物体も提供される。さらに、本方法の実施において有用な重合性液体組成物、ならびに重合性液体組成物に有用なプレポリマーおよびモノマーが提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元物体を形成する方法であって、
(a)支持体およびビルド面を有する光透過性部材を用意するステップであって、前記
支持体および前記ビルド面がそれらの間のビルド領域を規定するステップと、
(b)前記ビルド領域を重合性液体で満たすステップであって、前記重合性液体が、(
i)光重合性の第1の構成要素、および(ii)熱重合性の第2の構成要素を含み、
前記熱重合性の第2の構成要素が、(i)揮発性のブロッキング基でブロックされた
第1のブロック反応性の構成成分、および任意選択的で好ましくは(ii)硬化剤を含む
ステップと、
(c)前記ビルド領域に、前記光透過性部材を通して光を照射して、前記第1の構成要
素から固体ポリマースキャフォールドを形成し、また前記支持体および前記ビルド面を互
いに離れるように前進させて、前記3次元物体と同じ形状または前記3次元物体に付与さ
れる形状を有し、非重合形態の前記第1のブロック反応性の構成成分を含有する3次元中
間体を形成するステップと、ならびに次いで、
(d)前記3次元中間体を、(i)前記揮発性のブロッキング基を前記反応性の構成成
分から切断し、(ii)前記ブロック反応性の構成成分を、それ自体および/または前記
硬化剤と、ならびに(iii)前記3次元中間体から蒸発する前記揮発性のブロッキング
基と重合させるのに十分に加熱して、前記3次元物体を形成するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記揮発性のブロッキング基が、ケトキシム、アミド、イミド、イミダゾール、ピラゾ
ール、アルコールまたは立体障害アミンのブロッキング基を含む、請求項1に記載の方法
【請求項3】
前記第1のブロック反応性の構成成分が、ブロックポリイソシアネートを含む、請求項
1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のブロック反応性の構成成分が、ケトキシムでブロックされたポリイソシアネ
ートを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記硬化剤が、ポリオール、ポリアミン、ポリエーテルアミンまたはそれらの組合せを
含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記3次元物体が、前記第1の構成要素および前記第2の構成要素から形成された、ポ
リマーブレンド、相互侵入ポリマーネットワーク、セミ相互侵入ポリマーネットワークま
たは逐次相互侵入ポリマーネットワークを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方
法。
【請求項7】
前記第2の構成要素が、ポリウレタン、ポリ尿素またはそれらのコポリマーへの前駆体
、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、シアン酸エステル樹脂または天然ゴムを含む、請求項
1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のブロック反応性の構成成分が、1、2、5または10重量パーセントから3
0、40もしくは50重量パーセントまたはそれよりも多い量で、前記重合性液体中に含
まれる、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記重合性液体が、少なくとも1種の光重合開始剤(例えば、0.1~1または5重量
パーセントの量の)、任意選択的で少なくとも1種の色素(例えば、0.001または0
.01~1または5重量パーセントの量の)、および任意選択的で少なくとも1種の充填
剤(例えば、0.01または0.1~20または50重量パーセントの量の)をさらに含
む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記光重合性の第1の構成要素が、光反応性のブロッキング基でブロックされた第2の
ブロック反応性の構成成分を含み、
前記加熱ステップ(d)が、前記第2の反応性の構成成分の光重合によって生成された
前記固体ポリマースキャフォールドの少なくとも一部が分解し、熱重合に関与する構成成
分を形成して、前記3次元物体を形成する条件下で実施される、請求項1~9のいずれか
一項に記載の方法。
【請求項11】
前記第2のブロック反応性の構成成分が、2つ以上のエチレン性不飽和末端基を有する
ブロックポリイソシアネートを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第2のブロック反応性の構成成分が、1、2、5または10重量パーセントから3
0、40もしくは50重量パーセントまたはそれよりも多い量で、前記重合性液体中に含
まれる、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1のブロック反応性の構成成分(例えば、VBPU)および前記第2のブロック
反応性の構成成分(例えば、ABPU)が、1:5、1:10または1:20~5:1、
10:1または20:1の重量比で、前記重合性液体中に共に含まれる、請求項10~1
2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
(i)前記物体がエラストマー性であり、-20もしくは0℃以下のガラス転移温度を
有するポリマーを含む、または
(ii)前記物体が剛性であり、少なくとも50もしくは70℃のガラス転移温度を有
するポリマーを含む、
請求項10~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記照射および/または前記前進ステップが、同時にまた、(i)前記ビルド面と接触
した重合性液体のデッドゾーンを連続的に維持し、(ii)前記デッドゾーンと前記固体
ポリマーとの間の、それらの各々と接触した、部分的に硬化された形態の前記第1の構成
要素を含む重合ゾーンの勾配を連続的に維持しながら実施される、請求項1~14のいず
れか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記光透過性部材が、半透性部材を含み、前記デッドゾーンを連続的に維持することが
、前記光透過性部材を通して重合の阻害剤を供給し、それによって前記デッドゾーンおよ
び任意選択的で重合ゾーンの前記勾配の少なくとも一部に阻害剤の勾配を作ることによっ
て実施される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記光透過性部材が、フルオロポリマーを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の構成要素が、フリーラジカル重合性液体を含み、前記阻害剤が、酸素を含む
か、または前記第1の構成要素が、酸触媒液体もしくはカチオン性重合性液体を含み、前
記阻害剤が、塩基を含む、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
請求項1~18のいずれか一項に記載の方法によって製造された3次元物体(例えば、
前記物体は3次元格子を含む)。
【請求項20】
付加製造による物体の製造において有用な重合性液体組成物(好ましくは非水性)であ
って、
(a)光重合性の第1の構成要素、および
(b)熱重合性の第2の構成要素
を含み、前記熱重合性の第2の構成要素が、
(i)揮発性のブロッキング基でブロックされた第1のブロック反応性の構成成分、お
よび
(ii)硬化剤
を含む、重合性液体組成物。
【請求項21】
前記揮発性のブロッキング基が、ケトキシム、アミド、イミド、イミダゾール、ピラゾ
ール、アルコールまたは立体障害アミンのブロッキング基を含む、請求項20に記載の組
成物。
【請求項22】
前記第1のブロック反応性の構成成分が、ブロックポリイソシアネートを含む、請求項
20または21に記載の組成物。
【請求項23】
前記第1のブロック反応性の構成成分が、ケトキシムでブロックされたポリイソシアネ
ートを含む、請求項20または21に記載の組成物。
【請求項24】
前記硬化剤が、ポリオール、ポリアミン、ポリエーテルアミンまたはそれらの組合せを
含む、請求項20~23のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項25】
前記第1のブロック反応性の構成成分が、1、2、5または10重量パーセントから3
0、40もしくは50重量パーセントまたはそれよりも多い量で、前記重合性液体中に含
まれる、請求項20~24のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項26】
前記重合性液体が、少なくとも1種の光重合開始剤(例えば、0.1~1または5重量
パーセントの量の)、任意選択的で少なくとも1種の色素(例えば、0.001または0
.01~1または5重量パーセントの量の)、および任意選択的で少なくとも1種の充填
剤(例えば、0.01または0.1~20または50重量パーセントの量の)をさらに含
む、請求項20~25のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項27】
前記光重合性の第1の構成要素が、光反応性のブロッキング基でブロックされた第2の
ブロック反応性の構成成分を含み、
任意選択的で、加熱の間、前記第2の反応性の構成成分の光重合によって生成された固
体ポリマースキャフォールドの少なくとも一部が分解し、熱重合に関与する構成成分を形
成する、請求項20~26のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項28】
前記第2のブロック反応性の構成成分が、2つ以上のエチレン性不飽和末端基を有する
ブロックポリイソシアネートを含む、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
前記第2のブロック反応性の構成成分が、1、2、5または10重量パーセントから3
0、40もしくは50重量パーセントまたはそれよりも多い量で、前記重合性液体中に含
まれる、請求項27または28に記載の組成物。
【請求項30】
前記第1のブロック反応性の構成成分(例えば、VBPU)および前記第2のブロック
反応性の構成成分(例えば、ABPU)が、1:5、1:10または1:20~5:1、
10:1または20:1の重量比で、前記重合性液体中に共に含まれた、請求項27~2
9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項31】
前記第2の構成要素が、ポリウレタン、ポリ尿素またはそれらのコポリマーへの前駆体
、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、シアン酸エステル樹脂または天然ゴムを含む、請求項
1~30のいずれか一項に記載の方法または組成物。
【請求項32】
式Iのプレポリマー化合物:
【化1】
[式中、
は、反応性のブロッキング基(例えば、アクリレート、メタクリレート、α-オレ
フィン、N-ビニル、アクリルアミド、メタクリルアミド、スチレン類、エポキシド、チ
オール、1,3-ジエン、ハロゲン化ビニル、アクリロニトリル、ビニルエステル、マレ
イミド、ビニルエーテルおよびエチレン性不飽和末端基を含む。)であり、
は、揮発性のブロッキング基(例えば、ケトキシム、アミド、イミド、イミダゾー
ル、オキシム、ピラゾール、アルコール、フェノール、立体障害アミン、ラクタム、スク
シンイミド、トリアゾールおよびフタルイミドを含む。)であり、
およびRは、脂肪族、芳香族または脂肪族および芳香族の混合された基を含む基
【化2】
から独立して選択され、
Xは、O、SまたはNRであり、ここでRは、Hまたは直鎖もしくは分枝状C
10アルキル基であり、
Zは、ポリマー有機基(例えば、(CH)であり、
nは、1~150の範囲の整数であり、
mは、1~100の範囲の整数である。]
【請求項33】
式IIのモノマー化合物:
【化3】
[式中、
は、反応性のブロッキング基(例えば、アクリレート、メタクリレート、α-オレ
フィン、N-ビニル、アクリルアミド、メタクリルアミド、スチレン類、エポキシド、チ
オール、1,3-ジエン、ハロゲン化ビニル、アクリロニトリル、ビニルエステル、マレ
イミド、ビニルエーテルおよびエチレン性不飽和末端基を含む。)であり、
は、揮発性のブロッキング基(例えば、ケトキシム、アミド、イミド、イミダゾー
ル、オキシム、ピラゾール、アルコール、フェノール、立体障害アミン、ラクタム、スク
シンイミド、トリアゾールおよびフタルイミドを含む。)であり、
は、脂肪族、芳香族または脂肪族および芳香族の混合された基(例えば、直鎖もし
くは分枝状C~C15アルキルまたは芳香族基)である。]
【請求項34】
がピラゾール
【化4】
である、請求項32に記載のプレポリマー化合物または請求項33に記載のモノマー化合
物。
【請求項35】
が、アクリレートまたはメタクリレート
【化5】
である、請求項32に記載のプレポリマー化合物または請求項33に記載のモノマー化合
物。
【請求項36】
が、アクリレートまたはメタクリレート
【化6】
である、請求項34に記載のプレポリマー化合物またはモノマー化合物。
【請求項37】
請求項32~36のいずれか一項に記載のプレポリマーまたはモノマー化合物を含む、
重合性液体組成物。
【請求項38】
硬化剤をさらに含む、請求項37に記載の組成物。
【請求項39】
前記重合性液体が、少なくとも1種の光重合開始剤(例えば、0.1~1または5重量
パーセントの量の)、任意選択的で少なくとも1種の色素(例えば、0.001または0
.01~1または5重量パーセントの量の)、および任意選択的で少なくとも1種の充填
剤(例えば、0.01または0.1~20または50重量パーセントの量の)をさらに含
む、請求項37または38に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に付加製造(additive manufacturing)に関し、詳細には、ステレオリソ
グラフィおよび連続液界面製造(CLIP)などの方法において有用な二重硬化樹脂に関
する。
【背景技術】
【0002】
従来の付加製造技術(多くの場合、「3Dプリンティング」と呼ばれる)において、3
次元物体の構築は、光重合性樹脂をパターン化した光(patterned light)に逐次的に曝露
することによって、段階式または層毎の様式で実施されている。一般に「ステレオリソグ
ラフィ(stereolithography)」と呼ばれる、Hullの米国特許第5236637号明細
書(例えば、図3~4を参照されたい)およびShkolnikの同第7892474号
明細書に記載されているものを含む多数の例が公知である。さらなる例は、Lawton
の米国特許第5391072号明細書および同第5529473号明細書、Johnの同
第7438846号明細書、El-Siblaniの同第8110135号明細書、なら
びにJoyceの米国特許出願公開第2013/0292862号明細書およびChen
らの同第2013/0295212号明細書に示されている。
【0003】
残念ながら、付加製造技術は、一般的に遅く、限られた範囲の機械特性を有する部品を
製造するものとして長く知られており、しばしばこのような製品を、単純な試作品を超え
た実際の使用には適さないものにしている。
【0004】
より最近では、「連続液界面製造(continuous liquid interface production)」(また
は「CLIP」)と呼ばれる技術が開発されている。これらの技術により、好ましくは無
層方式での、3次元物体の迅速な製造が可能となり、これによって、部品は所望の構造特
性および機械特性を有し得る。例えば、J.DeSimoneら、米国特許第92116
78号明細書、同第9205601号明細書および同第9216546号明細書、J.T
umblestonら、Continuous liquid interface p
roduction of 3D Objects、Science 347、1349
~1352(2015年3月16日オンラインで公開)、ならびにR.Januszie
wczら、Layerless fabrication with continuo
us liquid interface production、Proc.Natl
.Acad.Sci.USA 113、11703~11708(2016年10月18
日)を参照されたい。
【0005】
CLIPの速度および他の特質により、物体の形状が、付加製造法の光重合によって作
られ、物体の機械特性が、典型的にはこれに続く第2の硬化(例えば、焼成による)で作
られる、「二重硬化(dual cure)」ステレオリソグラフィ樹脂の開発への扉が開かれてい
る。最終製品においてある範囲の機械特性を提供する二重硬化樹脂は、例えば、J.Ro
llandら、米国特許第9453142号明細書および同第9598606号明細書、
ならびに米国特許出願公開第2016/0136889号明細書および同第2016/0
160077号明細書に記載されている。
【0006】
しかし、二重硬化の付加製造法の異なるステップの間に光重合性樹脂に課される要件は
、互いに競合する場合がある。例えば、中間「グリーン(green)」パート(例えば、低粘
度)を生成するための、付加製造によって容易に加工される液体樹脂をもたらす成分は、
妥当な強度の「グリーン」パートの生成に有害であり得る。また、強いグリーンパートを
もたらし得る成分は、焼成ステップ等の第2の硬化後の完成部品の機械特性に有害であり
得る。
【0007】
J.Rollandら(上掲)は、二重硬化樹脂において、グリーン物体を形成するの
を助けるものの、次いで、第2の(典型的には熱)硬化の間に分解して第2の硬化の間に
析出する構成成分(constituent)を形成する(これによって、完成部品の機械特性に寄与
する)光重合性成分を用いることにより、この問題を解決している。具体的には、光重合
性(「反応性」)ブロッキング基(blocking groups)を使用し、モノマーまたはプレポリ
マーの他の反応性イソシアネート(「NCO」)基をブロックして、光重合性の構成成分
を作った(スキーム1)が、このブロッキング基は、その後加熱により分解してNCO基
を脱マスク(unmask)し、その結果、それは後続の硬化(例えば、焼成による)において析
出して、完成物中にポリウレタンまたはポリ尿素ポリマーを生成できる。
【化1】
【0008】
上記のスキーム1において、H-Bは、UV反応性のブロッキング剤を表し、B
UV反応性のブロッキング基(例えば、アクリレート)を表し、Rは、有機基を表し、
波線は、ポリマー有機基(プレポリマーにおいて見られるような)を表し、xは、ここで
示される通りである。
【0009】
多くの使用については満足のいくものであるものの、前述したアプローチは、いくつか
の場合において、室温に近いガラス転移温度(T)を有する完成物を生成する化学系に
限定される。しかし、エラストマー性であるべき完成物では、実質的に室温未満のガラス
転移温度が好ましい。一方で、より剛性であるべき完成物では、実質的に室温を超えるガ
ラス転移温度が好ましい。さらに、使用されるUV反応性のブロッキング剤がより多いと
、最終材料中のポリウレタン/ポリ尿素重量画分を最大にすることが困難になり得る。配
合の観点から、UV画分は、Tに依存して脆すぎるかまたは壊れやすすぎるか(too bri
ttle or too fragile)のいずれかであり得るため、多くの場合、最終材料中により多くの
ポリウレタン/ポリ尿素画分を有することが望ましい。このように、既に開発されたもの
を補完する、付加製造のための二重硬化樹脂へのさらなるアプローチへのニーズが存在し
ている。
【発明の概要】
【0010】
3次元物体を形成する方法は、
(a)支持体およびビルド面を有する光透過性部材を用意するステップであって、支持
体およびビルド面がそれらの間のビルド領域を規定するステップ、
(b)ビルド領域を、(任意選択的であるが好ましくは非水性の)重合性液体で満たす
ステップであって、重合性液体が、(i)光重合性の第1の構成要素(component)、およ
び(ii)熱重合性の第2の構成要素の混合物を含み、
熱重合性の第2の構成要素が、(i)揮発性のブロッキング基でブロックされた第1の
ブロック反応性の構成成分、および任意選択的であるが好ましくは(ii)硬化剤を含む
ステップ、
(c)ビルド領域に、光透過性部材を通して光を照射して、第1の構成要素から固体ポ
リマースキャフォールドを形成し、また支持体およびビルド面を互いに離れるように前進
させて、3次元物体と同じ形状または3次元物体に付与される形状を有し、非重合形態の
第1のブロック反応性の構成成分を含有する3次元中間体を形成するステップ、ならびに
次いで、
(d)3次元中間体を、(i)揮発性のブロッキング基を反応性の構成成分から切断し
、(ii)ブロック反応性の構成成分を、それ自体および/または硬化剤と、ならびに(
iii)3次元中間体から蒸発する揮発性のブロッキング基と重合させるのに十分に加熱
して、3次元物体を形成するステップ((i)および(ii)は、任意の順序で、または
同時に起こり得ることに留意されたい)
によって実施することができる。
【0011】
一つの実施形態では、揮発性のブロッキング基は、ケトキシム、アミド、イミド、イミ
ダゾール、ピラゾール、アルコールまたは立体障害アミンのブロッキング基を含む。
【0012】
一つの実施形態では、第1のブロック反応性の構成成分は、ブロックポリイソシアネー
トを含む。
【0013】
一つの実施形態では、第1のブロック反応性の構成成分は、ケトキシムでブロックされ
たポリイソシアネートを含む。
【0014】
一つの実施形態では、硬化剤は、ポリオール、ポリアミン、ポリエーテルアミンまたは
これらの組合せを含む。
【0015】
一つの実施形態では、3次元物体は、第1の構成要素および第2の構成要素から形成さ
れた、ポリマーブレンド、相互侵入ポリマーネットワーク、セミ相互侵入(semi-interpen
etrating)ポリマーネットワークまたは逐次相互侵入(sequential interpenetrating)ポリ
マーネットワークを含む。
【0016】
一つの実施形態では、第2の構成要素は、ポリウレタン、ポリ尿素またはそれらのコポ
リマーへの前駆体、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、シアン酸エステル樹脂または天然ゴ
ムを含む。
【0017】
一つの実施形態では、第1のブロック反応性の構成成分は、1、2、5または10重量
パーセント~30、40もしくは50重量パーセントまたはそれよりも多い量で、重合性
液体中に含まれる。
【0018】
一つの実施形態では、重合性液体は、少なくとも1種の光重合開始剤(例えば、0.1
~1または5重量パーセントの量の)、任意選択的で少なくとも1種の色素(例えば、0
.001または0.01~1または5重量パーセントの量の)、および任意選択的で少な
くとも1種の充填剤(例えば、0.01または0.1~20または50重量パーセントの
量の)をさらに含む。
【0019】
一つの実施形態では、光重合性の第1の構成要素は、光反応性のブロッキング基でブロ
ックされた第2のブロック反応性の構成成分を含み、硬化ステップ(d)は、第2の反応
性の構成成分の光重合によって生成された固体ポリマースキャフォールドの少なくとも一
部が分解し、熱重合に関与する構成成分を形成する条件下で実施される、
【0020】
一つの実施形態では、第2のブロック反応性の構成成分は、2つ以上のエチレン性不飽
和末端基(ethylenically unsaturated end groups)を有するブロックポリイソシアネート
(blocked polyisocyanate)を含む。
【0021】
一つの実施形態では、第2のブロック反応性の構成成分は、1、2、5または10重量
パーセント~30、40もしくは50重量パーセントまたはそれよりも多い量で、重合性
液体中に含まれる。
【0022】
一つの実施形態では、第1のブロック反応性の構成成分(例えば、VBPU)および第
2のブロック反応性の構成成分(例えば、ABPU)は、1:5、1:10または1:2
0~5:1、10:1または20:1の重量比で、重合性液体中に共に含まれる。
【0023】
一つの実施形態では、(i)物体はエラストマー性であり、-20もしくは0℃以下の
ガラス転移温度を有するポリマーを含む、または(ii)物体は剛性であり、少なくとも
50もしくは70℃のガラス転移温度を有するポリマーを含む。
【0024】
本発明のさらなる態様は、前述した請求項に記載の方法によって製造される3次元物体
(例えば、物体が3次元格子を含む)である。
【0025】
本発明のさらなる態様は、前述したおよび以下でさらに記載される通りの重合性液体組
成物である。
【0026】
さらなる態様は、式Iのプレポリマー化合物:
【化2】
(式中、
は、反応性のブロッキング基であり、
は、揮発性のブロッキング基であり、
およびRは、脂肪族、芳香族または脂肪族および芳香族の混合された基を含む基
から独立して選択され、
Xは、O、SまたはNRであり、ここでRは、Hまたは直鎖もしくは分枝状C
10アルキル基であり、
Zは、ポリマー有機基であり、
nは、1、5、10、20または30~80、100または150の範囲の整数であり

mは、1、5、10または20~50、70または100の範囲の整数である)
である。
【0027】
さらなる態様は、式IIのモノマー化合物:
【化3】
(式中、
は、反応性のブロッキング基であり、
は、揮発性のブロッキング基であり、
は、脂肪族、芳香族または脂肪族および芳香族の混合された基である)
である。
【0028】
本発明のさらなる態様は、上述した通りのプレポリマーおよび/またはモノマー化合物
を含有する重合性液体組成物である。
【0029】
Levyの米国特許第3694389号明細書には、ケトキシムでブロックされたイソ
シアネートを含有する熱硬化性組成物が記載されているものの、コーティングとしてのこ
れらの使用のみが提案されている。
【0030】
本発明に係る前述のおよび他の目的および態様が、本明細書の図面および以下に示され
る明細書においてさらに詳細に説明される。本明細書で引用されるすべての米国特許参考
文献は、引用することによってそのすべてが本明細書の一部をなすものとする。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】非MEKO含有配合物(対照A)と比較した、配合物Iの動的機械分析(DMA)曲線を示す図である。対照A配合物は、以下の表2に記載されている。DMA:RSA-G2、温度勾配5℃/分、10Hz。
図2】非MEKO含有配合物(対照A)と比較した、配合物IIのDMA曲線を示す図である。DMA:RSA-G2、温度勾配5℃/分、10Hz。
図3】上記の図1~2との関連で記載されるものと同様の方式で調製された、配合物IIIのDMAデータを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
ここで本発明を、本発明の実施形態が示される添付の実施例を参照して、以下でより完
全に記載する。しかし、本発明は、多くの異なる形態で具体化することができ、本明細書
で示される実施形態に限定されると解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態
は、本開示が、完全かつ完璧なものになり、当業者に本発明の範囲およびその具体例を完
全に伝えるために提供される。
【0033】
本明細書で使用される場合、「および/または」という用語は、関連する列挙された項
目の任意のすべての可能な組合せまたはそれらのうちの1つもしくは複数、ならびに選択
肢(「または」)で解釈される場合、組合せの欠如を含む。
【0034】
本明細書で使用される場合、「ABPU」は、例えば、Rollandらの米国特許第
9453142号明細書および同第9598606号明細書に記載されている、UV硬化
性で、(メタ)アクリレートでブロックされたポリウレタン/ポリ尿素(すなわち、反応
性ブロックポリウレタン)を指す。ABPUは、反応性ブロックポリウレタンである。好
適な反応性(またはUV硬化性)ブロッキング基の特定の例は、3級アミン含有(メタ)
アクリレート(例えば、t-ブチルアミノエチルメタクリレート、t-BAEMA)であ
る。しかし、t-BAEMAは、約室温のガラス転移温度を有し、これは、以下でさらに
議論されるように、剛性またはエラストマー性物体の製造にあまり好ましくないことに留
意されたい。
【0035】
本明細書で使用される場合、「VBPU」は、揮発性のブロッキング基でブロックされ
たポリウレタン/ポリ尿素を指す。
【0036】
本発明を実施するために使用され得る揮発性ブロッキング剤には、例えば、ケトキシム
、アミド、イミド、イミダゾール、ピラゾール、アルコールおよび立体障害アミン、例え
ば、2-ブタノンオキシム(メチルエチルケトキシムまたは「MEKO」とも呼ばれる)
、アセトンオキシム、シクロペンタノンオキシム、シクロヘキサノンオキシム、ε-カプ
ロラクタム、N-メチルアセトアミド、イミダゾール、スクシンイミド、ベンゾトリアゾ
ール、N-ヒドロキシフタルイミド、1,2,4-トリアゾール、2-エチル-1-ヘキ
サノール、フェノール、3,5-ジメチルピラゾール、2,2,6,6-テトラメチルピ
ペリジンおよびジイソプロピルアミン(例えば、スキーム2を参照されたい)が含まれる

【化4】
【0037】
本明細書で使用される場合、「揮発性のブロッキング基(volatile blocking group)」
は、上で記載される通りの揮発性ブロッキング剤の、反応性化合物(例えば、ジイソシア
ネートモノマーまたはプレポリマー)の反応性基(特にイソシアネート基)への共有結合
によって生成された置換基を指す。
【0038】
本発明の実施において有用なポリイソシアネート(ジイソシアネートを含む)には、1
,1’-メチレンビス(4-イソシアナトベンゼン)(MDI)、2,4、-ジイソシア
ナト-1-メチルベンゼン(TDI)、メチレン-ビス(4-シクロヘキシルイソシアネ
ート)(H12MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイ
ソシアネート(IPDI)、ポリマーMDI、1,4-フェニレンジイソシアネート(P
PDI)およびo-トリジンジイソシアネート(TODI)が含まれるが、これらに限定
されない。好ましいジイソシアネートは、Covestro AGによって供給されるD
esmodur Wなどの、H12MDIである。さらなる例には、Levyの米国特許
第3694389号明細書に示されるものが含まれるが、これらに限定されない。
【0039】
本発明を実施し、プレポリマーおよび揮発性のブロッキング基からVBPUを調製する
ために有用な触媒には、ジブチルスズジラウレート、第1スズオクトエートおよびビスマ
スオクトエートが含まれるが、これらに限定されない。好ましい触媒は、King In
dustries,Incによって供給されるビスマス触媒K-KAT 348である。
【0040】
本発明の実施において(例えば、樹脂構成成分としてのプレポリマーの調製のために)
、有用なポリオール、ポリアミンおよびポリチオールは、公知である。例には、ポリ(エ
チレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(トリメチレングリコール)
、ポリ(テトラメチレングリコール)(PTMO)、ヒドロキシ末端ポリ(ジメチルシロ
キサン)、ポリエステルジオール、とりわけ、ポリカプロラクトン(PCL)ジオール、
PTMO-PCLコポリマージオール(Perstorp製Capa 7201A)、ヒ
ドロキシ末端ポリブタジエンおよびポリエーテルアミン(例えば、Huntsman C
orporation製JEFFAMINE(登録商標))が含まれるが、これらに限定
されない。好ましいポリオール、ポリアミンおよびポリチオールは、500~3000D
aの平均Mを有するPTMOである。
【0041】
本発明の実施のために(例えば、中間物の形成後、プレポリマーと反応するために)、
有用な硬化剤は、公知である。例には、ポリオール、例えば、ジオール(例えば、エチレ
ングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサン
ジオール、ヒドロキノンビス(2-ヒドロキシエチル)エーテル、1,4-シクロヘキサ
ンジメタノール)、脂肪族、芳香族ならびに脂肪族および芳香族が混合された、ポリアミ
ン、例えば、ジアミン(例えば、4,4’-メチレンジシクロヘキサンアミン(PACM
)、4,4’-メチレンビス(2-メチルシクロヘキシル-アミン)(MACM)、エチ
レンジアミン、イソホロンジアミン、ジエチルトルエンジアミン)、ならびにポリエーテ
ルアミン(例えば、Huntsman Corporation製JEFFAMINE(
登録商標))が含まれるが、これらに限定されない。
【0042】
本発明において有用な光重合開始剤には、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾ
イル)ホスフィンオキシド(TPO)、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイ
ル)ホスフィンオキシド(PPO)、2-イソプロピルチオキサントンおよび/または4
-イソプロピルチオキサントン(ITX)などが含まれるが、これらに限定されない。
【0043】
本明細書で使用される場合、「希釈剤」は、UV硬化性希釈剤(例えば、モノアクリレ
ート、モノ-メタクリレート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、アクリルアミド
、メタクリルアミドなど)、および非UV硬化性希釈剤(例えば、可塑剤、例えばフタル
酸ビス(2-エチルヘキシル)、フタル酸ビス(2-プロピルヘプチル)、フタル酸ジイ
ソノニル、トリメリト酸トリ-(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ビス(2-エチルヘ
キシル)、アジピン酸ジイソノニル、セバシン酸ジブチル、マレイン酸ジイソブチルなど
)の両方を含む。
【0044】
本明細書で使用される場合、「溶媒」は、例えば、ジエチルエーテル、テトラフドロフ
ラン、酢酸エチル、ベンゼン、トルエン、N,N-ジメチルホルムアミド、炭酸プロピレ
ン、炭酸ジメチルなどを含む。
【0045】
本明細書で使用される場合、「軟質セグメント(soft segment)」および「硬質セグメン
ト(hard segment)」は、ポリマー化学分野におけるそれらの通常の意味を有する。「軟質
セグメント」は、典型的には、室温未満のガラス転移温度を有する高分子量鎖を指し、一
般に、非晶質または部分的に結晶質であり、コポリマーに可撓性をもたらし、一般に、大
きな自由度数を有する。本明細書で使用される場合、「硬質セグメント」は、セグメント
化コポリマーに機械的完全性または強度をもたらし得る、より高いガラス転移温度の、一
般に結晶質で、剛性の、一般にオリゴマー分子量セグメントを指す。
【0046】
[1.VBPUの生成]
VBPUは、公知の手順(例えば、Levyの米国特許第3,694,389号を参照
されたい)または以下の開示に基づいて当業者に明らかになるその変形形態に従って、調
製することができる。
【0047】
VBPUの第1の合成例が以下のスキーム3に示され、ここで、Rは、有機基(例え
ば、任意選択的で置換された脂肪族、芳香族または脂肪族および芳香族の混合された基)
を表し、波線は、有機基のポリマー(プレポリマーに見られるような)を表し、H-B
は、揮発性ブロッキング剤を表し、Bは、揮発性のブロッキング基を表し、xは、以下
に示される通りである。
【化5】
【0048】
一つの実施形態では、そのような基を組み込むことの利益は、そのことが、ポリウレタ
ン/ポリ尿素およびUV網目パーセンテージを制御することによって最終機械特性を調整
する複数の方法を提供し、得られるガラス転移温度(T)および機械特性を制御するこ
とが可能になることである。スキーム3に示されるように、揮発性のブロッキング基でブ
ロックされたポリウレタン/ポリ尿素(VBPU)プレポリマーを、UV硬化性配合物、
例えば、J.Rollandら、米国特許第9,453,142号および同第9,598
,606号に記載されている通りのアクリレートでブロックされたポリウレタン(ABP
U)を含有するものに添加することができる。
【0049】
あるいは、VBPUは、スキーム4に示されるように、別々に、またはUV反応性プレ
ポリマーと合わせて合成することができる。
【化6】
【0050】
スキーム4において、Rは、任意選択的で置換された脂肪族、芳香族、または脂肪族
および芳香族の混合された基を表し、H-Bは、揮発性ブロッキング剤を表し、B
、揮発性のブロッキング基を表す。
【0051】
スキーム5に示されるように、VBPUを含有する二重硬化樹脂からグリーン中間物が
生成されると、次いで、該中間物中のVBPUが、硬化剤(スキーム5のH-y-R
y-H)と反応して、最終物体中により高分子量のポリウレタン/ポリ尿素が生成されて
、その物体において所望の機械特性をもたらすのを助ける。
【化7】
【0052】
上記のスキーム5において、各xは、スキーム3で示される通りであり、各yは、そこ
で示される通りであり、各RおよびRは、独立して選択される、任意選択的で置換さ
れた、脂肪族、芳香族または脂肪族および芳香族の混合された基を表し、Bは、揮発性
のブロッキング基を表し、波線は、ポリウレタンまたはポリ尿素プレポリマーのポリマー
繰り返しセグメントを表す。
【0053】
スキーム6は、上記の一般スキーム3のより具体的な例を示し、触媒の存在下で、ジイ
ソシアネート分子を、ポリオール、ポリアミンもしくはポリチオールまたはこれらの組合
せと最初に反応させることを含む。次いで、残りのイソシアネート(NCO)が、揮発性
のブロッキング基2-ブタノンオキシム(メチルエチルケトキシムまたは「MEKO」)
と反応する。
【化8】
【0054】
スキーム6において、Rおよび波線は、上記のスキーム3との関連で示される通りで
あり、ジイソシアネート対ポリオール/ポリアミン/ポリチオールの当量比は、6:1~
1.5:1、好ましくは2.4:1~2:1であってもよい。
【0055】
以下のスキーム7~8は、上記の一般スキーム4のより具体的な例を示し、ジイソシア
ネート分子を揮発性のブロッキング基と、1:2のモル比で直接反応させることを含む。
これはまた、他の構成要素、例えば、UV硬化性希釈剤、非UV硬化性希釈剤(例えば、
可塑剤)、溶媒および/またはABPUの存在下で合成することもできる。
【化9】
【0056】
別の代替例では、VBPUは、スキーム9に示されるように、同じプレポリマー上に揮
発性のブロッキング基およびUV硬化性基を含んでもよく、ここで、H-Bは、UV硬
化性ブロッキング基であり、H-Bは、揮発性のブロッキング基である。
【化10】
【0057】
より具体的には、ABPUと共にそのような構造への例示的合成をスキーム10に示し
、ここで、UV硬化性ブロッキング基は、t-BAEMAであり、揮発性のブロッキング
基は、H12MDIジイソシアネートおよびPTMOと共に3,5-ジメチルピラゾール
(DMP)である。
【化11】
【0058】
[2.VBPUを含有する二重硬化樹脂]
上で記載される通りのVBPU(または、上で記載される通りの揮発性反応性基でブロ
ックされた、以下に記載される通りの他の「部分B」反応性の構成成分)は、Rolla
ndらの米国特許第9,453,142号および同第9,598,606号に記載のもの
を含むがこれらに限定されない、付加製造のための種々様々な二重硬化樹脂のうちのいず
れかに組み込むことができる。
【0059】
一般に、そのような樹脂は、(a)中間物を形成し得る(典型的には光触媒の存在下で
)光重合性モノマーおよび/またはプレポリマー、ならびに(b)熱(またはマイクロ波
、RFエネルギー)重合性(またはそうでなければ、さならなる重合性)モノマーおよび
/またはプレポリマーを含み得る。上で述べたように、本発明において、これらの構成成
分は、上で記載されるおよび以下でさらに議論される通りの有機希釈剤を補充されてもよ
い。
【0060】
A.光重合性モノマーおよび/またはプレポリマー。樹脂の「部分A」と呼ばれること
もあるこれらは、化学線または光への曝露によって重合し得るモノマーおよび/またはプ
レポリマーである。この樹脂は、2つ以上の官能性を有し得る。部分Aの目的は、形成さ
れている物体の形状を「ロックする」または1つもしくは複数のさらなる構成要素(例え
ば、部分B)のためのスキャフォールドを作ることである。重要なことに、部分Aは、フ
ォトリソグラフィの間の初期硬化後に、形成されている物体の形状を維持するのに必要な
最小量で、またはそれを超えて存在する。一つの実施形態では、この量は、全樹脂(重合
性液体)組成物の10、20または30重量パーセント未満に相当する。
【0061】
部分Aの構成成分、モノマーまたはプレポリマーに好適な、好適な反応性末端基の例に
は、アクリレート、メタクリレート、α-オレフィン、N-ビニル、アクリルアミド、メ
タクリルアミド、スチレン類、エポキシド、チオール、1,3-ジエン、ハロゲン化ビニ
ル、アクリロニトリル、ビニルエステル、マレイミドおよびビニルエーテルが含まれるが
、これらに限定されない。
【0062】
部分Aの硬化の態様は、「部分B」と呼ばれる第2の反応性樹脂の構成要素が、以下で
さらに議論されるように、第2のステップの間に硬化し得るスキャフォールドを提供する
ものである。
【0063】
一つの実施形態では、光重合性の構成要素(「部分A」の構成要素)が重合すると、更
なる硬化の間(例えば、加熱または焼成の間)に分解して、更なる(例えば、熱)硬化の
ための構成成分を形成し得ることに留意されたい。したがって、それは、一部は、「部分
B」の構成要素に変換されるが、他の部分(例えば、t-BAEMAなどの残存する光反
応性のブロッキング基)は、更なる硬化には関与しない場合があり、したがって、最終製
品の機械特性にほとんどまたはまったく寄与しない。実際、光重合性スキャフォールドの
そのような残存するフラグメントは、特に硬質および軟質セグメント含有量が、高または
低T製品を得るように調整される場合、そのような最終特性に悪影響であり得る。これ
らのような用途について、本明細書で記載される通りのVBPUをABPUと共に含むこ
とは、特に有利であり得る。
【0064】
B.熱重合性モノマーおよび/またはプレポリマー。「部分B」と呼ばれることもある
これらの構成成分は、部分Aの硬化反応後の第2の硬化反応に関与する反応性末端基を有
するモノマーおよび/またはプレポリマーの混合物を含む、それらからなる、または本質
的にそれらからなり得る。一般に、二重硬化樹脂について、部分Bを硬化するために使用
される方法の例には、物体またはスキャフォールドを、以下の組合せを含む、熱、水また
は水蒸気、部分Aが硬化する波長と異なる波長の光、触媒(さらなる加熱ありまたはなし
で)と接触させること、重合性液体からの溶媒の蒸発(例えば、加熱、真空またはこれら
の組合せを使用して)、マイクロ波照射などが含まれるが、これらに限定されない。この
場合、「部分B」樹脂の熱硬化が好ましい。
【0065】
部分Bの構成成分、モノマーまたはプレポリマーに好適な、好適な反応性末端基対の例
には、エポキシ/アミン、エポキシ/ヒドロキシル、オキセタン/アミン、オキセタン/
アルコール、イソシアネート/ヒドロキシル、イソシアネート/アミン、イソシアネ
ート/カルボン酸、無水物/アミン、アミン/カルボン酸、アミン/エステル、ヒドロキ
シル/カルボン酸、ヒドロキシル/酸塩化物、アミン/酸塩化物、ビニル/Si-H(ヒ
ドロシリル化)、Si-Cl/ヒドロキシル、Si-Cl/アミン、ヒドロキシル/アル
デヒド、アミン/アルデヒド、ヒドロキシメチルまたはアルコキシメチルアミド/アルコ
ール、アミノプラスト、アルキン/アジド(チオレン、Michael付加、Diels
-Alder反応、求核置換反応などを含むさらなる反応と共に、「クリックケミストリ
ー(click chemistry)」の一実施形態としても公知)、アルケン/硫黄(ポリブタジエン
加硫)、アルケン/過酸化物、アルケン/チオール、アルキン/チオール、ヒドロキシル
/ハロゲン化物、イソシアネート/水(ポリウレタンフォーム)、Si-OH/ヒドロ
キシル、Si-OH/水、Si-OH/Si-H(スズ触媒シリコーン)、Si-OH/
Si-OH(スズ触媒シリコーン)、パーフルオロビニル(カップリングしてパーフルオ
ロシクロブタンを形成する)など(ここで、イソシアネートは、保護イソシアネート(
例えば、オキシム)を含む)、Diels-Alder反応、オレフィンメタセシス重合
、Ziegler-Natta触媒を使用するオレフィン重合、開環重合(開環オレフィ
ンメタセシス重合、ラクタム、ラクトン、シロキサン、エポキシド、環式エーテル、イミ
ン、環式アセタールなどを含む)のためのジエン/求ジエン体などが含まれるが、これら
に限定されない。上記から留意されるように、「部分B」の構成要素は、一般に、少なく
とも1対の互いに反応性である化合物(例えば、ポリイソシアネートとポリアミン)を含
む。
【0066】
C.更なる樹脂成分。重合性液体(樹脂)中に含まれる光重合開始剤は、タイプIおよ
びタイプII光重合開始剤を含み、一般に使用されるUV光重合開始剤を含む、任意の好
適な光重合開始剤であってもよく、その例には、例えば、アセトフェノン(例えば、ジエ
トキシアセトフェノン)、ホスフィンオキシド、例えば、ジフェニル(2,4,6-トリ
メチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾ
イル)ホスフィンオキシド(PPO)、Irgacure 369などが含まれるが、こ
れらに限定されない。例えば、Rollandらの米国特許第9453142号明細書を
参照されたい。
【0067】
液体樹脂または重合性材料は、それに分散または懸濁された固体粒子を有し得る。製作
される最終製品に応じて、任意の好適な固体粒子を使用することができる。粒子は、金属
、有機/ポリマー、無機もしくは複合、またはこれらの混合物であってもよい。粒子は、
非伝導性、半伝導性または伝導性(金属および非金属またはポリマー伝導体を含む)であ
ってもよく、粒子は、磁性、強磁性、常磁性または非磁性であってもよい。粒子は、球形
、楕円形、円柱形などを含む任意の好適な形状のものであってよい。粒子は、任意の好適
なサイズ(例えば、1nm~20μmの範囲の平均直径)のものであってよい。
【0068】
粒子は、以下に記載される通りの活性剤または検出可能化合物を含んでもよいが、これ
らはまた、以下でまた議論されるように、液体樹脂中に溶解または可溶化されて提供され
てもよい。例えば、磁性もしくは常磁性粒子またはナノ粒子を用いることができる。
【0069】
液体樹脂は、再度、製作される製品の特定の目的に応じて、顔料、色素、希釈剤、活性
化合物または医薬化合物、検出可能化合物(例えば、蛍光、リン光、放射性)などを含む
、それに可溶化されるさらなる成分を有してもよい。そのようなさらなる成分の例には、
以下の組合せを含む、タンパク質、ペプチド、SiRNAなどの核酸(DNA、RNA)
、糖、小有機化合物(薬物および薬物様化合物)などが含まれるが、これらに限定されな
い。
【0070】
色素(dyes)/非反応性の光吸収剤(non-reactive light absorbers)。一つの実施形態で
は、本発明を実施するための重合性液体は、光、特にUV光を吸収する非反応性顔料また
は色素を含む。そのような光吸収剤の好適な例には、(i)酸化チタン(例えば、0.0
5もしくは0.1~1または5重量パーセントの量で含まれる)、(ii)カーボンブラ
ック(例えば、0.05もしくは0.1~1もしくは5重量パーセントの量で含まれる)
、および/または(iii)有機紫外線吸収剤、例えば、ヒドロキシベンゾフェノン、ヒ
ドロキシフェニルベンゾトリアゾール、オキサニリド、ベンゾフェノン、チオキサントン
、ヒドロキシフェニルトリアジンおよび/もしくはベンゾトリアゾール紫外線吸収剤(例
えば、Mayzo BLS1326)(例えば、0.001または0.005~1、2ま
たは4重量パーセントの量で含まれる)が含まれるが、これらに限定されない。好適な有
機紫外線吸収剤の例には、その開示が引用によって本明細書の一部をなす、米国特許第3
213058号明細書、同第6916867号明細書、同第7157586号明細書およ
び同第7695643号明細書に記載されているものが含まれるが、これらに限定されな
い。
【0071】
充填剤(fillers)。任意の好適な充填剤を、作製される部分または物体において所望の
特性に応じて、本発明に関連して使用することができる。したがって、充填剤は、固体ま
たは液体、有機または無機であってよく、以下のすべての組合せを含む、反応性および非
反応性ゴム:シロキサン、アクリロニトリル-ブタジエンゴム、反応性および非反応性熱
可塑性プラスチック(ポリ(エーテルイミド)、マレイミド-スチレンターポリマー、ポ
リアリレート、ポリスルホンおよびポリエーテルスルホンなどを含むがこれらに限定され
ない)、無機充填剤、例えばシリケート(例えば、タルク、粘土、シリカ、マイカ)、ガ
ラス、カーボンナノチューブ、グラフェン、セルロースナノ結晶などが含まれ得る。好適
な充填剤には、以下で議論される通りの、強靭化剤、例えばコア-シェルゴムが含まれる
【0072】
強靭化剤(tougheners)。1種または複数のポリマー強靭化剤および/または無機強靭化
剤を、本発明において、充填剤として使用することができる。一般に、米国特許出願公開
第20150215430号明細書を参照されたい。強靭化剤は、硬化製品中に、粒子の
形態で均一に分布し得る。粒子は、5ミクロン(μm)未満の直径であり得る。そのよう
な強靭化剤には、表面改質または機能化された、またはされていない、エラストマー、分
枝状ポリマー、ハイパーブランチポリマー、デンドリマー、ゴム状ポリマー、ゴム状コポ
リマー、ブロックコポリマー、コア-シェル粒子、酸化物または粘土などの無機材料、多
面体オリゴマーシルセスキオキサン(POSS)、炭素質材料(例えば、カーボンブラッ
ク、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、フラーレン)、セラミックスおよ
び炭化ケイ素が含まれるが、これらに限定されない。
【0073】
コア-シェルゴム。コア-シェルゴムは、ゴム状のコアを有する粒状材料(粒子)であ
る。そのような材料は公知であり、例えば、米国特許出願公開第20150184039
号明細書、ならびに米国特許出願公開第20150240113号明細書および米国特許
第6861475号明細書、同第7625977号明細書、同第7642316号明細書
、同第8088245号明細書、ならびにその他に記載されている。一つの実施形態では
、コア-シェルゴム粒子は、ナノ粒子(すなわち、1000ナノメートル(nm)未満の
平均粒径を有する)である。一般に、コア-シェルゴムナノ粒子の平均粒径は、500n
m未満、例えば、300nm未満、200nm未満、100nm未満またはさらには50
nm未満である。典型的には、そのような粒子は球形であり、そのため、粒径は直径であ
るが、しかし、粒子が球形でない場合、粒径は、粒子の最長寸法として定義される。好適
なコア-シェルゴムには、Kaneka Kane Ace MX 120、Kanek
a Kane Ace MX 153、Kaneka Kane Ace MX 154
、Kaneka Kane Ace MX 156、Kaneka Kane Ace
MX170、Kaneka Kane Ace MX 257およびKaneka Ka
ne Ace MX 120コア-シェルゴム分散剤およびこれらの混合物を含むKan
eka Kane Ace 15および120シリーズの製品を含む、Kaneka K
ane Aceの名称で株式会社カネカによって販売されているものが含まれるが、これ
らに限定されない。
【0074】
有機希釈剤。一つの実施形態では、本発明で使用するための希釈剤は、好ましくは、反
応性有機希釈剤、つまり、付加製造ステップの間に、それら自体または光重合性の構成要
素と、分解、異性化、交差反応または重合する希釈剤である。一般に、希釈剤(複数可)
は、重合性液体または樹脂の粘度を低減する(例えば、25摂氏度で15,000、10
,000、6,000、5,000、4,000または3,000センチポアズ以下に)
するのに十分な量で含まれる。希釈剤の好適な例には、N,N-ジメチルアクリルアミド
、N-ビニル-2-ピロリドンおよびN-ビニルホルムアミドまたはそれらの2種以上の
混合物が含まれるが、これらに限定されない。希釈剤は、任意の好適な量、典型的には、
1、5または10重量パーセントから約30もしくは40重量パーセントまで、またはそ
れを超えて、重合性液体中に含まれ得る。
【0075】
[3.反応性のブロッキング基および揮発性のブロッキング基を有する化合物]
本明細書に記載される樹脂(重合性液体)において有用であり得るプレポリマー化合物
には、式I:
【化12】
(式中、
は、反応性のブロッキング基(例えば、アクリレート、メタクリレート、α-オレフ
ィン、N-ビニル、アクリルアミド、メタクリルアミド、スチレン類、エポキシド、チオ
ール、1,3-ジエン、ハロゲン化ビニル、アクリロニトリル、ビニルエステル、マレイ
ミド、ビニルエーテルおよびエチレン性不飽和末端基を含む)であり、
は、揮発性のブロッキング基(例えば、任意選択的で置換された(例えば、直鎖また
は分枝状C~C10アルキル基などの好適な基で1、2、3または4回以上置換された
)、ケトキシム、アミド、イミド、イミダゾール、オキシム、ピラゾール、アルコール、
フェノール、立体障害アミン、ラクタム、スクシンイミド、トリアゾールおよびフタルイ
ミドを含む)であり、
およびRは、任意選択的で置換された(例えば、直鎖または分枝状C~C10
ルキル基などの好適な基で1、2、3または4回以上置換された)、脂肪族、芳香族また
は脂肪族および芳香族の混合された基を含む群
【化13】
から独立して選択され、
Xは、O、SまたはNRであり、ここでRは、Hまたは直鎖もしくは分枝状C~C
10アルキル基であり、
Zは、ポリマー有機基(例えば、(CH)であり、
nは、1、5、10、20または30~80、100または150の範囲の整数であり(
例えば、2400g/molのMWを有するPO3Gは、n=41を有し得、3000g
/molのMWを有するPO3Gは、n=51を有し得る。ポリ(プロピレングリコール
)4000g/molは、n=103を有し得る)、
mは、1、5、10または20~50、70または100の範囲の整数である)
のものが含まれる。
【0076】
本明細書に記載される樹脂において有用であり得るモノマー化合物には、式II:
【化14】
(式中、
は、反応性のブロッキング基(例えば、アクリレート、メタクリレート、α-オレフ
ィン、N-ビニル、アクリルアミド、メタクリルアミド、スチレン類、エポキシド、チオ
ール、1,3-ジエン、ハロゲン化ビニル、アクリロニトリル、ビニルエステル、マレイ
ミド、ビニルエーテルおよびエチレン性不飽和末端基を含む)であり、
は、揮発性のブロッキング基(例えば、任意選択的で置換された(例えば、直鎖また
は分枝状C~C10アルキル基などの好適な基で1、2、3または4回以上置換された
)、ケトキシム、アミド、イミド、イミダゾール、オキシム、ピラゾール、アルコール、
フェノール、立体障害アミン、ラクタム、スクシンイミド、トリアゾールおよびフタルイ
ミドを含む)であり、
は、任意選択的で置換された(例えば、直鎖または分枝状C~C10アルキル基な
どの好適な基で1、2、3または4回以上置換された)、脂肪族、芳香族または脂肪族お
よび芳香族の混合された基(例えば、直鎖もしくは分枝状C~C15アルキルまたは芳
香族基)である)
のものが含まれる。
【0077】
非限定的な例として、そのようなプレポリマーおよび/またはモノマー化合物は、反応
性のブロッキング基を有する末端基を有する化合物および/または揮発性のブロッキング
基を有する末端基を有する化合物との混合物として提供され得る(上記のスキーム10を
参照されたい)。
【0078】
一つの実施形態では、プレポリマーおよび/またはモノマー化合物は、樹脂組成物とし
て提供され得、その組成物は、硬化剤および/または上でさらに記載される通りの他の樹
脂の構成要素を含み得る。
【0079】
[4.付加製造における使用方法]
本明細書で記載される通りの重合性液体または樹脂を使用して、「グリーン」中間物を
生成する第1の「光」硬化(典型的には、付加製造による)に続くその中間物の第2の熱
硬化において、3次元物体が作製される。
【0080】
付加製造の技術は公知である。好適な技術には、一般にステレオリソグラフィとして公
知の、ボトムアップまたはトップダウン付加製造が含まれる。そのような方法は公知であ
り、例えば、Hullの米国特許第5236637号明細書、Lawtonの米国特許第
5391072号明細書および同第5529473号明細書、Johnの米国特許第74
38846号明細書、Shkolnikの米国特許第7892474号明細書、El-S
iblaniの米国特許第8110135号明細書、Joyceの米国特許出願公開第2
013/0292862号明細書およびChenらの米国特許出願公開第2013/02
95212号明細書に記載されている。これらの特許および出願の開示は、それらの全体
が引用により本明細書の一部をなすものとする。
【0081】
一つの実施形態では、中間物は、連続液界面製造(CLIP)によって形成される。C
LIPは公知であり、例えば、PCT出願第PCT/US2014/015486号(2
015年12月15日に米国特許第9211678号明細書として公開)、同第PCT/
US2014/015506号(また、2015年12月8日に米国特許第920560
1号明細書として公開)、同第PCT/US2014/015497号(また、2015
年12月22日に米国特許第9216546号明細書として公開)、およびJ.Tumb
leston、D.Shirvanyants、N.Ermoshkinら、Conti
nuous liquid interface production of 3D
Objects、Science 347、1349~1352(2015年3月16日
にオンラインで公開)に記載されている。R.Janusziewczら、Layerl
ess fabrication with Continuous liquid i
nterface production、Proc.Natl.Acad.Sci.U
SA 113、11703~11708(2016年10月18日)も参照されたい。一
つの実施形態では、CLIPは、上で記載される通りのボトムアップ3次元製作の特徴を
用いるが、照射および前記前進ステップは、例えば、(i)前記ビルド面と接触した重合
性液体のデッドゾーンを連続的に維持し、(ii)デッドゾーンと固体ポリマーとの間の
、それらの各々と接触した、部分的に硬化された形態の第1の構成要素を含む重合ゾーン
(例えば、作用面)の勾配(ramp)を連続的に維持することによって、作成中の物体とビル
ド面またはウィンドウとの間の安定なもしくは一貫した液界面も同時に維持しながら実施
される。CLIPの一つの実施形態では、光透過性部材は、半透性部材(例えば、フルオ
ロポリマー)を含み、デッドゾーンを連続的に維持することは、光透過性部材を通して重
合の阻害剤を供給し、それによってデッドゾーンに、および任意選択的で重合ゾーンの勾
配の少なくとも一部に阻害剤の勾配を作ることによって実施される。本発明で使用され得
、半透性「ウィンドウ」またはウィンドウ構造の必要性をなくす可能性のある、CLIP
を実施するための他のアプローチには、非混和液を含む液界面の利用(L.Robeso
nら、国際公開第2015/164234号、2015年10月29日公開を参照された
い)、電気分解による阻害剤としての酸素の生成(I Cravenら、国際公開第20
16/133759号、2016年8月25日公開を参照されたい)、および光活性剤が
連結した、磁力により位置決め可能な粒子の重合性液体への組込み(J.Rolland
、国際公開第2016/145182号、2016年9月15日公開を参照されたい)が
含まれる。
【0082】
中間3次元物体が形成された後、それは、任意選択的で洗浄され、任意選択的で乾燥(
例えば、風乾)され、および/またはすすがれる(任意の順序で)。次いで、それは、好
ましくは加熱によってさらに硬化される(一つの実施形態では、更なる硬化は、第1の硬
化と同時であってもよいが、またはRollandらの米国特許第9453142号明細
書に記載されているように、水への接触などの異なる機構によるものであってもよい)。
【0083】
加熱は、能動的加熱(例えば、電気、ガス、太陽光オーブンもしくはマイクロ波オーブ
ンまたはそれらの組合せなどのオーブン中での)または受動的加熱(例えば、周囲温度(
室温)での)であり得る。能動的加熱は、一般に、受動的加熱よりも迅速であり、一つの
実施形態で好ましいが、更なる硬化を行うのに十分な時間、中間体を周囲温度で単純に維
持するなどの受動的加熱が、一つの実施形態では、好ましい。
【0084】
一つの実施形態では、加熱ステップは、少なくとも第1の(オーブン)温度および第2
の(オーブン)温度で実施され、第1の温度は、周囲温度よりも高く、第2の温度は第1
の温度よりも高く、第2の温度は300℃未満である(例えば、周囲温度と第1の温度と
の間および/または第1の温度と第2の温度との間で、勾配をつけてまたは段階的に上昇
させる)。一つの実施形態では、加熱ステップは、少なくとも第1の(オーブン)温度お
よび第2の(オーブン)温度で実施され、第1の温度は、周囲温度よりも高く、第2の温
度は第1の温度よりも高く、第2の温度は300℃未満である(例えば、周囲温度と第1
の温度との間および/または第1の温度と第2の温度との間で、勾配をつけてまたは段階
的に上昇させる)。
【0085】
例えば、中間体は、約70℃~約150℃の第1の温度、次いで約150℃~200ま
たは250℃の第2の温度で、段階的方式で加熱されてもよく、各加熱の継続時間は、中
間体のサイズ、形状および/または厚さに依存する。別の実施形態では、中間体は、1分
当たり0.5℃~1分当たり5℃の加熱速度の変化で、周囲温度から70~150℃の温
度を経て、250または300℃の最終(オーブン)温度まで、勾配をつけた温度による
勾配加熱スケジュールによって加熱されてもよい。(例えば、米国特許第4785075
号明細書を参照されたい)。
【0086】
本発明は、以下の実施例でさらに詳細に説明される。以下で使用される略語は、上記の
発明を実施するための形態に示されている。SR252およびSR313Bは、Sart
omer(Arkema Group)から受け取った。K-KAT 348およびK-
KAT XK-651は、King Industries,Incから受け取った。
【実施例0087】
[実施例1]
<揮発性NCO-ブロッキング基[VBPU1]の合成>
反応器中に、Desmodur W(263.18g)およびK-KAT 348(0
.447g)を添加した。混合物を、70℃に加熱し、平均Mn約2,000のPTMO
(854.70g)を、3時間かけて滴下添加した。さらに1時間撹拌した後、温度を5
0℃に低下させた。MEKO(100.52g)を、温度を50℃に維持しながら3時間
かけて滴下添加し、さらに12時間撹拌した。NCO含有率が0.1%未満になったとき
、反応を完了した。VBPU1は、無色透明であり、25.0℃で304,000cPの
粘度を有した。
【0088】
[実施例2]
<UV反応性NCOブロッキング基を含む揮発性NCO-ブロッキング基[VBPU2]
の合成>
ABPU(1128.81g、モル比2.2:1.0:2.4のH12MDI:PTM
O(Mn約2,000Da):t-BAEMAで構成される)を含有する50℃の反応器
中に、Desmodur W(44.03g)を添加した。3時間撹拌した後、MEKO
(29.28g)を、1時間かけて滴下添加し、50℃で18時間撹拌した。NCO含有
率が0.1%未満になったとき、反応を完了した。VBPU2は、無色透明であり、25
.0℃で420,000cPの粘度を有した。
【0089】
[実施例3~5]
<樹脂配合物および製造手順の概説>
簡潔な概説では、光重合開始剤(例えば、TPO)をUV硬化性または非UV活性化合
物の選択された群からの希釈剤に溶解した。この溶液に、残りの構成要素ABPU、VB
PUおよび硬化剤を除く添加剤(例えば、粒子充填剤、色素、顔料、UV安定剤、UV吸
収剤および非反応性オリゴマー)を添加した。硬化剤を添加し、付加製造ステップによる
、好ましくはステレオリソグラフィによる、詳細には連続液界面製造(CLIP)による
サンプル3次元物体の製造の前に、混合した。UV硬化プロファイルを測定して、付加製
造パラメーターを得た。プリント部分を、有機溶媒で拭うかまたは洗浄し、加熱によって
またはマイクロ波によって後硬化した。加熱温度は、60℃~250℃、好ましくは80
℃~140℃であり得る。加熱時間は、数分~数日、好ましくは1~12時間であり得る
。配合物は、硬質セグメント重量パーセント(HS%)およびポリウレタン/ポリ尿素重
量パーセント(PU%)として記載され得る。HS%およびPU%についての計算を以下
に示す:
【数1】
【0090】
したがって、剛性系では、系をイソボルニルメタクリレート(IBOMA)などの高ガ
ラス転移温度(T)モノマーと配合することが望ましい。対照的に、エラストマー材料
は、ラウリルメタクリレート(LMA)などの低T希釈剤またはアジピン酸ジイソノニ
ル(DINA)などの可塑剤を選択するように選択され得る。
【0091】
[実施例3]
<VBPU1を含む配合物I>
以下の手順は、配合物中にVBPU1を使用する配合プロセスを記載している。HSは
、VBPUのジイソシアネート(H12MDI)構成要素およびABPUおよび硬化剤(
MACM)を含む。配合処方を以下に示す。
【表1】
【表2】
【0092】
光重合開始剤TPO(1.44g)を、IBOMA(48.63g)に溶解した。残り
のABPU1(38.61g)、ABPU2(30.78g)、VBPU1(15.11
g)およびヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール(0.41g)を、TPO-IBOM
A混合物に添加した。その後、MACM(10.01g)を、配合物に添加し、混合した
。樹脂のUV硬化プロファイルを測定した。サンプル3次元物体を、Carbon M1
装置上で製造し、清浄し、120℃で12時間焼成した。結果を図1および表3に示す。
【表3】
【0093】
[実施例4]
<VBPU1を含む配合物>
MEKO:H12MDI:PTMO(Mn約2,000Da)およびt-BAEMA:
12MDI:PTMO(Mn約2,000Da)の比を、任意の様々な比で添加した。
表4は、この実施例を例示する37%HSおよび57%PUを含有する配合物についての
処方を記載している。
【表4】
【0094】
光重合開始剤TPO(0.99g)を、IBOMA(34.74g)に溶解した。残り
のABPU1(19.31g)、ABPU2(21.03g)、VBPU1(16.79
g)およびヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール(0.21g)を、TPO-IBOM
A混合物に添加した。その後、MACM(6.87g)を、配合物に添加し、混合した。
樹脂のUV硬化プロファイルを測定した。サンプル3次元物体を、Carbon M1装
置上で製造し、清浄し、120℃で12時間焼成した。結果を図2および表5に示す。
【表5】
【0095】
[実施例5]
<VBPU2を含む配合物>
表6は、VBPU6を含有する実施例5の配合物を記載している。配合物は、37%H
Sおよび57%PUを含有する。
【表6】
【0096】
光重合開始剤TPO(0.99g)を、IBOMA(33.68g)に溶解した。残り
のABPU2(9.59g)、VBPU2(48.19g)およびヒドロキシフェニルベ
ンゾトリアゾール(0.21g)を、TPO-IBOMA混合物に添加した。その後、M
ACM(7.25g)を、配合物に添加し、混合した。樹脂のUV硬化プロファイルを測
定した。サンプル3次元物体をCarbon,IncのM1装置上で製造し、拭って清浄
し、次いで、120℃で12時間焼成した。結果を図3および表7に示す。
【表7】
【0097】
[実施例6]
<揮発性ブロッキング剤のガス放出>
上で記載される通りに製造したサンプル3次元物体を、最初の付加製造ステップ(光重
合反応は一般に発熱性であるため)の間、または後続の熱硬化ステップの間のいずれかで
再生された揮発性ブロッキング剤のガス放出によって生じた、ブリスター、気泡、細孔、
ピットまたは「フィッシュアイ」などの表面欠陥の証拠について検査した。実質的な欠陥
の形成は観察されなかった。
【0098】
[実施例7]
<アクリレートおよび揮発性NCO-ブロッキング基[VBPU3]の合成>
反応器中に、Desmodur W(580.50g)、SR313B(145.70
g)およびK-KAT XK-651(0.83g)を添加した。混合物を、70℃に加
熱し、平均Mn約2,000のPTMO(1489.50g)を、2時間かけて滴下添加
した。さらに5分間撹拌した後、3,5-ジメチルピラゾール(133.24g)を、一
度に添加した。1時間撹拌した後、混合物温度を50℃に低下させ、4-メトキシフェノ
ール(0.988g)を添加した。t-BAEMA(288.04g)を、2時間かけて
添加し、16時間撹拌した。次いで、SR252(654.19g)を添加し、混合物を
90分間撹拌した。NCO含有率が0.1%未満になったとき、反応を完了した。VBP
U3は、回収したとき、無色透明であり、25.0℃で20,600cPの粘度を有した
【0099】
[実施例8]
<VBPU3を含む配合物>
表8は、VBPU3を含有する実施例8についての配合物を記載している。配合物は、
38.5%HSおよび69%PUを含有する。
【表8】
【0100】
光重合開始剤TPO(0.66g)およびwikoff白色顔料(0.56g)を、V
BPU3(90.38g)に溶解した。その後、MACM(9.63g)を、配合物に添
加し、混合した。樹脂のUV硬化プロファイルを測定した。サンプル3次元物体をCar
bon,IncのM1装置上で製造し、拭って清浄し、次いで、120℃で12時間焼成
した。結果を表9に示す。
【表9】
【0101】
前述は、本発明の例示であり、その限定として解釈されるべきではない。本発明は、以
下の特許請求の範囲によって定義され、特許請求の範囲の等価物もこれに含まれる。
図1
図2
図3
【誤訳訂正書】
【提出日】2023-01-27
【誤訳訂正1】
【訂正対象書類名】特許請求の範囲
【訂正対象項目名】全文
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元物体を形成する方法であって、
(a)支持体およびビルド面を有する光透過性部材を用意するステップであって、前記支持体および前記ビルド面がそれらの間のビルド領域を規定するステップと、
(b)前記ビルド領域を重合性液体で満たすステップであって、前記重合性液体が、(i)光重合性の第1の構成要素、および(ii)熱重合性の第2の構成要素を含み、
前記熱重合性の第2の構成要素が、(i)揮発性のブロッキング基でブロックされた第1のブロック反応性の構成成分を含むステップと、
(c)前記ビルド領域に、前記光透過性部材を通して光を照射して、前記第1の構成要素から固体ポリマースキャフォールドを形成し、また前記支持体および前記ビルド面を互いに離れるように前進させて、前記3次元物体と同じ形状または前記3次元物体に付与される形状を有し、非重合形態の前記第1のブロック反応性の構成成分を含有する3次元中間体を形成するステップと、ならびに次いで、
(d)前記3次元中間体を十分に加熱して、(i)前記揮発性のブロッキング基を前記反応性の構成成分から切断し、(ii)前記ブロック反応性の構成成分を、それ自体および/または硬化剤と重合させかつ(iii)前記揮発性のブロッキング基を前記3次元中間体から蒸発させて、前記3次元物体を形成するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記揮発性のブロッキング基が、ケトキシム、アミド、イミド、イミダゾール、ピラゾール、アルコールまたは立体障害アミンのブロッキング基を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記揮発性のブロッキング基が、ケトキシム、ピラゾールまたはアルコールのブロッキング基を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のブロック反応性の構成成分が、ブロックポリイソシアネートを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のブロック反応性の構成成分が、ケトキシムでブロックされたポリイソシアネートを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
前記熱重合性の第2の構成要素が、(ii)硬化剤を含み、前記硬化剤が、ポリオール、ポリアミン、ポリエーテルアミンまたはそれらの組合せを含む、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の構成要素が、ポリウレタン、ポリ尿素またはそれらのコポリマーへの前駆体、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、シアン酸エステル樹脂または天然ゴムを含む、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
付加製造による物体の製造において有用な重合性液体組成物であって、
(a)光重合性の第1の構成要素、および
(b)熱重合性の第2の構成要素
を含み、前記熱重合性の第2の構成要素が、
(i)揮発性のブロッキング基でブロックされた第1のブロック反応性の構成成分、および
(ii)硬化剤
を含み、
前記光重合性の第1の構成要素が、光反応性のブロッキング基でブロックされた第2のブロック反応性の構成成分を含み、前記第2のブロック反応性の構成成分が、2つ以上のエチレン性不飽和末端基を有するブロックポリイソシアネートを含む、重合性液体組成物。
【請求項9】
前記揮発性のブロッキング基が、ケトキシム、アミド、イミド、イミダゾール、ピラゾール、アルコールまたは立体障害アミンのブロッキング基を含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記揮発性のブロッキング基が、ケトキシム、ピラゾールまたはアルコールのブロッキング基を含む、請求項8に記載の組成物
【請求項11】
前記第1のブロック反応性の構成成分が、ブロックポリイソシアネートを含む、請求項8~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記第1のブロック反応性の構成成分が、ケトキシムでブロックされたポリイソシアネートを含む、請求項8または9に記載の組成物。
【請求項13】
前記硬化剤が、ポリオール、ポリアミン、ポリエーテルアミンまたはそれらの組合せを含む、請求項8~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記第2の構成要素が、ポリウレタン、ポリ尿素またはそれらのコポリマーへの前駆体、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、シアン酸エステル樹脂または天然ゴムを含む、請求項8~13のいずれか一項に記載の組成物。
【誤訳訂正2】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0010
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0010】
3次元物体を形成する方法は、
(a)支持体およびビルド面を有する光透過性部材を用意するステップであって、支持体およびビルド面がそれらの間のビルド領域を規定するステップ、
(b)ビルド領域を、(任意選択的であるが好ましくは非水性の)重合性液体で満たすステップであって、重合性液体が、(i)光重合性の第1の構成要素(component)、および(ii)熱重合性の第2の構成要素の混合物を含み、
熱重合性の第2の構成要素が、(i)揮発性のブロッキング基でブロックされた第1のブロック反応性の構成成分、および任意選択的であるが好ましくは(ii)硬化剤を含むステップ、
(c)ビルド領域に、光透過性部材を通して光を照射して、第1の構成要素から固体ポリマースキャフォールドを形成し、また支持体およびビルド面を互いに離れるように前進させて、3次元物体と同じ形状または3次元物体に付与される形状を有し、非重合形態の第1のブロック反応性の構成成分を含有する3次元中間体を形成するステップ、ならびに次いで、
(d)前記3次元中間体を十分に加熱して、(i)前記揮発性のブロッキング基を前記反応性の構成成分から切断し、(ii)前記ブロック反応性の構成成分を、それ自体および/または硬化剤と重合させかつ(iii)前記揮発性のブロッキング基を前記3次元中間体から蒸発させて、前記3次元物体を形成するステップ((i)および(ii)は、任意の順序で、または同時に起こり得ることに留意されたい)
によって実施することができる。
【外国語明細書】