(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023055710
(43)【公開日】2023-04-18
(54)【発明の名称】刺激制御装置、刺激制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20230411BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20230411BHJP
A61M 21/00 20060101ALI20230411BHJP
【FI】
G08G1/16 F
A61B5/00 A
A61M21/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023002098
(22)【出願日】2023-01-11
(62)【分割の表示】P 2018142505の分割
【原出願日】2018-07-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500403929
【氏名又は名称】パイオニアシステムテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菅谷 和実
(72)【発明者】
【氏名】安士 光男
(72)【発明者】
【氏名】竹内 吉和
(72)【発明者】
【氏名】垣坂 皓太
(72)【発明者】
【氏名】村上 尚希
(57)【要約】
【課題】
利用者の覚醒のために適切なタイミングで刺激を発生させることが可能な刺激制御装置を提供する。
【解決手段】
刺激制御装置は、利用者の生体情報を取得する生体情報取得手段と、前記生体情報に基づいて数値を生成する数値生成手段と、前記数値が第1の閾値を超えた際に前記利用者を刺激する刺激手段に対して刺激の開始を指示する開始指示手段と、前記刺激手段に対する前記利用者からの前記刺激の停止指示を取得する停止指示取得手段と、前記停止指示を取得した際の前記数値に基づいて前記第1の閾値を設定する設定手段と、を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の生体情報を取得する生体情報取得手段と、
前記生体情報に基づいて数値を生成する数値生成手段と、
前記数値が第1の閾値を超えた際に前記利用者を刺激する刺激手段に対して刺激の開始を指示する開始指示手段と、
前記刺激手段に対する前記利用者からの前記刺激の停止指示を取得する停止指示取得手段と、
前記停止指示を取得した際の前記数値に基づいて前記第1の閾値を設定する設定手段と、
前記刺激手段に対して、前記数値が第2の閾値を超えた際に刺激の停止を指示する停止指示手段と、
を有することを特徴とする刺激制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刺激制御装置、刺激制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のドライバの居眠りを避けるために、警告音等を発することによりドライバの覚醒を支援する覚醒支援装置が知られている。
【0003】
このような覚醒支援装置としては、ドライバの眠気度合が基準に達した場合に覚醒の支援を希望するかをドライバに質問し、覚醒支援を希望する回答が得られた場合に覚醒支援を行う覚醒支援装置が特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の覚醒支援装置は、ドライバから回答が得られるまでは覚醒の支援を行わない。このため、何らかの事情によりドライバが回答を行わない場合ドライバの覚醒を支援することができないという問題が課題の一例として挙げられる。
【0006】
また、特許文献1には、強い眠気度合いが検出された場合にドライバからの回答を待たずに覚醒支援が開始されることが開示されている。しかし、このような状況下では、ドライバの眠気がすでに強いため覚醒させるまでに時間がかかる問題が課題の一例として挙げられる。
【0007】
本発明は上記した点に鑑みてなされたものであり、利用者の覚醒のために適切なタイミングで刺激を発生させることが可能な刺激制御装置を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願請求項1に記載の刺激制御装置は、利用者の生体情報を取得する生体情報取得手段と、前記生体情報に基づいて数値を生成する数値生成手段と、前記数値が第1の閾値を超えた際に前記利用者を刺激する刺激手段に対して刺激の開始を指示する開始指示手段と、前記刺激手段に対する前記利用者からの前記刺激の停止指示を取得する停止指示取得手段と、前記停止指示を取得した際の前記数値に基づいて前記第1の閾値を設定する設定手段と、を有することを特徴とする。
【0009】
本願請求項11に記載の刺激制御方法は、利用者を刺激する刺激手段を制御する刺激制御装置が実行する刺激制御方法であって、前記利用者の生体情報を取得するステップと、前記生体情報に基づいて数値を生成するステップと、前記数値が第1の閾値を超えた際に前記刺激手段に対して刺激の開始を指示するステップと、前記刺激手段に対する前記利用者からの前記刺激の停止指示を取得するステップと、前記停止指示を取得した際の前記数値に基づいて前記第1の閾値を設定するステップと、を有することを特徴とする。
【0010】
本願請求項12に記載のプログラムは、コンピュータに、利用者の生体情報を取得するステップと、前記生体情報に基づいて数値を生成するステップと、前記数値が第1の閾値を超えた際に前記利用者を刺激する刺激手段に対して刺激の開始を指示するステップと、前記刺激手段に対する前記利用者からの前記刺激の停止指示を取得するステップと、前記停止指示を取得した際の前記数値に基づいて前記第1の閾値を設定するステップと、を実行させることを特徴とする。
【0011】
本願請求項13に記載の記録媒体は、コンピュータに、利用者の生体情報を取得するステップと、前記生体情報に基づいて数値を生成するステップと、前記数値が第1の閾値を超えた際に前記利用者を刺激する刺激手段に対して刺激の開始を指示するステップと、前記刺激手段に対する前記利用者からの前記刺激の停止指示を取得するステップと、前記停止指示を取得した際の前記数値に基づいて前記第1の閾値を設定するステップと、を実行させるためのプログラムを記録したことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施例1に係る刺激制御装置の機能ブロック図である。
【
図2】記憶部に格納されている閾値DBのテーブルの一例を示す説明図である。
【
図3】実施例1に係る刺激制御装置による処理を示すフロー図である。
【
図4】記憶部に格納されている閾値DBのテーブルの一例を示す説明図である。
【
図5】実施例2に係る刺激制御装置による処理を示すフロー図である。
【
図6】実施例2の変形例に係る刺激制御装置による処理を示すフロー図である。
【
図7】実施例3に係る刺激制御装置による処理を示すフロー図である。
【
図8】記憶部に格納されている閾値DBのテーブルの一例を示す説明図である。
【
図9】記憶部に格納されている閾値DBのテーブルの一例を示す説明図である。
【
図10】実施例5に係る刺激制御装置による処理を示すフロー図である。
【
図11】実施例6に係る刺激制御装置による処理を示すフロー図である。
【
図12】記憶部に格納されている閾値DBのテーブルの一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例0013】
以下に、実施例1の刺激制御装置10について説明する。
【0014】
刺激制御装置10は、自動車等の移動体に搭載されている。移動体は、自転車、オートバイ、飛行機等、自動車以外の移動体であっても良い。本実施例においては、移動体の一例である自動車に刺激制御装置を搭載した場合について説明する。
【0015】
図1は、実施例1に係る刺激制御装置10の機能ブロックを示す。
【0016】
入力部20は、生体センサBS及び表示装置DSからデータを取得可能に接続されているインターフェース部である。刺激制御装置10は、入力部20を介して生体センサBS及び表示装置DSからデータを受信する。
【0017】
生体センサBSは、自動車を運転するドライバ、すなわち利用者の生体情報を取得するセンサである。生体センサBSは、有線又は無線によって刺激制御装置10と通信可能に接続されている。生体情報としては、例えば、ドライバの体温、所定時間当たりの脈拍、血圧、所定時間当たりの呼吸数、所定時間当たりの瞬き数、所定時間当たりのあくびの数等が挙げられる。
【0018】
生体センサBSは、これらの生体情報を測定する任意の機器である。例えば、ドライバの脈拍を測定する場合、生体センサBSは、脈拍測定機能を有する脈拍計である。ドライバの血圧を測定する場合、生体センサBSは、血圧測定機能を有する血圧計である。ドライバの呼吸数を測定する場合、生体センサBSは、カメラで撮影したドライバの胸壁の上下運動を計測する計測器である。ドライバの瞬き数を測定する場合、生体センサBSは、カメラで撮影したドライバの瞼の上下運動を計測する計測器である。これらの機器は、自動車に備えられた機器であってもよいし、ドライバが身につけるウェアラブル機器であっても良い。
【0019】
表示装置DSは、例えば、自動車のセンターコンソールに設けられているディスプレイである。表示装置DSは、ドライバが刺激制御装置10に対して任意の情報を入力することが可能なタッチパネルディスプレイである。尚、刺激制御装置10に対して任意の情報を入力することが可能であれば表示装置DSに限られず、例えば、キーボード等の入力装置であってもよい。
【0020】
出力部22は、振動発生装置VBに接続されているインターフェース部である。刺激制御装置10は、振動発生装置VBの振動の開始及び振動の停止を制御することが可能である。
【0021】
振動発生装置VBは、刺激制御装置10からの指示に応じてドライバに対して覚醒を促す刺激である振動を与える。すなわち、振動発生装置VBは、ドライバに覚醒を促す刺激手段として機能する。振動発生装置VBは、例えば、自動車の運転席のシートに内蔵されている。
【0022】
記憶装置23は、例えばハードディスク装置やSSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリなどにより構成されている。記憶装置23は、BIOS(Basic Input Output System)、ソフトウェア等の各種プログラムを記憶する。
【0023】
また、生体情報からドライバの眠気度合いの情報を生成するための情報及び振動発生装置VBから振動の発生を開始させるドライバの眠気度合いの閾値である第1の閾値(以下、第1閾値とする)を格納可能である。具体的には、記憶装置23は、第1閾値をドライバごとに記録した閾値DB(Data Base)を格納可能である。
【0024】
制御部24は、演算処理装置としてのCPU(Central Processing Unit)24aと、主記憶装置としてのROM(Read Only Memory)24bと、RAM(Random Access Memory)24cと、を有するコンピュータによって実現される。CPU24aは、ROM24bや記憶装置23から処理内容に応じたプログラムを読み出してRAM24cに展開し、展開したプログラムと協働して、各種機能を実現する。
【0025】
入力部20、出力部22、記憶装置23、制御部24の各々は、システムバス25を介して互いに接続されている。
【0026】
制御部24は、入力部20を介して受信したドライバの生体情報を取得することが可能である。制御部24は、振動発生装置VBに対するドライバからの刺激の停止指示を取得することが可能である。具体的には、制御部24は、表示装置DSから入力された停止指示を入力部20を介して取得することが可能である。
【0027】
制御部24は、入力部20を介して受信した生体情報に基づいて数値等の値を生成することが可能である。具体的には、制御部24は、ドライバの生体情報に基づいてドライバの眠気度合いに関する数値を生成することが可能である。以下、制御部24が生成する数値を単に眠気度合い値と称する。
【0028】
制御部24は、眠気度合い値が第1閾値を超えた際に振動発生装置VBに対して刺激の開始を指示することが可能である。具体的には、制御部24は、出力部22を介して振動発生装置VBに刺激の開始を指示する信号を送信する。
【0029】
制御部24は、停止指示を取得した際のドライバの眠気度合い値に基づいて第1閾値を設定することが可能である。具体的には、制御部24は、表示装置DSで入力された振動発生装置VBの振動を停止する停止指示情報を取得した際の眠気度合い値に基づいて、記憶部23に記憶されている閾値DBに格納されている第1閾値を更新して設定する。
【0030】
制御部24は、複数のドライバから一のドライバを特定することが可能である。すなわち、制御部24は、停止指示を取得した際の眠気度合い値に基づいてドライバごとの第1の閾値を設定する。
【0031】
図2は、記憶部23に格納されている閾値DBのテーブルの一例を示している。制御部24は、自動車のドライバの眠気度合い値が第1閾値を越えると、振動発生装置VBに振動させる開始指示を送信する。
図2に示すように、初期設定(初期値)の第1閾値は、ドライバの眠気度合い値が「6」に設定されている。尚、本実施例及び以後の実施例において、眠気度合い値は10段階の数値である。眠気度合い値が「10」に近づくほど、ドライバの覚醒状態は低い状態である。また、眠気度合い値が「1」に近づくほどドライバの覚醒状態は高い状態である。
【0032】
ドライバによって振動発生装置VBの振動を停止する操作が行われると、制御部24は、停止指示を受信する。制御部24は、停止指示を受信した際の眠気度合い値に基づいて第1閾値を設定する。
【0033】
例えば、第1閾値を「6」に設定し、想定される停止指示取得時の眠気度合い値を「3」とした場合、制御部24は、想定通りの結果が得られたときは、当該設定状態を維持する設定を行う。
【0034】
また、停止指示取得時のドライバの眠気度合い値が「5」又は「4」であったときは、ドライバは想定されている状態よりも覚醒していると考えられる。すなわち、生体情報に基づいて生成された眠気度合い値が実際のドライバの状態よりも高い数値で生成されている。この場合、制御部24は、第1閾値を高くなるように設定する。具体的には、制御部24は、停止指示取得時の眠気度合い値が「5」であるときは、第1閾値を「8」に設定する。また、制御部24は、停止指示取得時の眠気度合い値が「4」であるときは、第1閾値を「7」に設定する。
【0035】
さらに、停止指示取得時のドライバの眠気度合い値が「1」又は「2」であったときは、ドライバは想定されている状態よりも眠気が強い状態であると考えられる。すなわち、生体情報に基づいて生成された眠気度合い値が実際のドライバの状態よりも低い数値で生成されている。この場合、制御部24は、第1閾値を低くなるように設定する。具体的には、制御部24は、停止指示取得時の眠気度合い値が「1」であるときは、第1閾値を「4」に設定する。また、制御部24は、停止指示取得時の眠気度合い値が「2」であるときは、第1閾値を「5」に設定する。
【0036】
尚、制御部24は、ドライバごとに振動発生装置VBの振動を発生させる第1閾値を設定する。ドライバの特定は、特には限定されず、例えば、ドライバの情報を格納した記憶媒体を読み込むことにより行ってもよい。具体的には、カードに埋め込まれたIC(integrated circuit)チップからドライバの情報を読み出してもよい。また、予め一又は複数のドライバを記憶部23に記憶し、ユーザが表示装置DSを操作することにより、登録したドライバの情報を記憶部23から読み出してもよい。
【0037】
図3は、制御部24の処理フローを示している。
図3に示すように、制御部24は、生体センサBSから生体情報を取得する(ステップS101)。ステップS101において、制御部24は、ドライバの生体情報を取得する生体情報取得手段として機能する。尚、制御部24は、生体情報を所定時間ごとに取得し、取得した生体情報を記憶部23に順次格納するようにしてもよい。
【0038】
制御部24は、ステップS101で取得した生体情報に基づいて眠気度合い値を生成する(ステップS102)。ステップS102において、制御部24は、生体情報に基づいて数値を生成する数値生成手段として機能する。
【0039】
制御部24は、ステップS102において生成された眠気度合い値が第1閾値を越えているか判断する(ステップS103)。
【0040】
制御部24は、ステップS103の判断において眠気度合い値が第1閾値を越えていないと判断した場合(ステップS103:N)、再度生体情報を取得して(ステップS101)眠気度合い値を生成し(ステップS102)、当該生成された眠気度合い値が第1閾値を越えるかの判断が行われる(ステップS103)。
【0041】
ステップS103の判断において、制御部24は、眠気度合い値が第1閾値を越えていると判断した場合(ステップS103:Y)、振動発生装置VBに刺激を開始させる開始指示を送信する(ステップS104)。ステップS104において、制御部24は、数値が第1の閾値を超えた際にドライバを刺激する刺激手段、すなわち振動発生装置VBに対して刺激(振動)の開始を指示する開始指示手段として機能する。
【0042】
ドライバによって振動発生装置VBの振動を停止する停止指示が表示装置DSから入力されると、当該停止指示が表示装置DSから送信される。
【0043】
制御部24は、表示装置DSから送信された停止指示を取得したか判断する(ステップS105)。ステップS105において、制御部24は、振動発生装置VBに対するドライバからの振動の停止指示を取得する停止指示取得手段として機能する。制御部24は、ステップS105の判断において停止指示を取得したと判断すると(ステップS105:Y)、停止指示を取得した際のドライバの生体情報を取得し(ステップS106)、ステップS106で取得した生体情報に基づいて眠気度合い値を生成する(ステップS107)。制御部24は、ステップS107で生成した眠気度合い値に基づいて第1閾値を設定する(ステップS108)。ステップS108において、制御部24は、停止指示を取得した際の眠気度合い値に基づいて第1の閾値を設定する設定手段として機能する。
【0044】
尚、ステップS105の判断は、停止指示を取得するまで繰り返される(ステップS105:N)。
【0045】
ステップS107において生成された眠気度合い値は、ステップS107の眠気度合い値の生成処理を行う毎に記憶部23に記憶されてもよい。この場合、制御部24は、複数回に亘って停止指示を取得した際の眠気度合い値を取得し、当該複数回に亘って取得された眠気度合い値に基づいて第1閾値を設定するようにしてもよい。
【0046】
具体的には、例えば、制御部24は、直近の4回のステップS107の眠気度合い値の生成処理によって生成された眠気度合い値の平均値を算出し、当該算出された平均値に基づいて第1閾値を設定してもよい。また、例えば、制御部24は、ステップS107で生成された全ての眠気度合い値の平均値を算出し、当該算出された平均値に基づいて第1閾値を設定してもよい。さらに、例えば、制御部24は、ステップS107で生成された眠気度合い値のうち、任意の複数の眠気度合い値を抽出して平均値を算出し、当該算出された平均値に基づいて第1閾値を設定してもよい。さらに、例えば、制御部24は、ステップS107で生成された眠気度合い値の移動平均に基づいて第1閾値を設定してもよい。
【0047】
また、本実施例においては、刺激手段として振動発生装置VBを用いた。しかし、刺激手段は、振動発生装置に限られず、たとえば、音声を出力するスピーカであってもよい。また、他の刺激手段としては、移動体に搭載されたエアコンであってもよい。例えば、移動体の室内の温度を下げることによりドライバに刺激を与えてもよい。また、エアコンの冷風をドライバの顔に当てることによりドライバに刺激を与えてもよい。さらに、ミントなどの覚醒効果の高い香りを出力することによりドライバに刺激を与えてもよい。
【0048】
さらに、本実施例においては、制御部24は、ドライバの生体情報に基づいて眠気度合い値を生成した。制御部24は、生成した眠気度合い値が第1閾値を越えた場合に、振動発生装置VBに振動を発生させる開始指示を送信した。しかし、制御部24は、眠気度合い値を生成せずに、ドライバの生体情報に基づいて振動発生装置VBに振動を発生させる開始指示を送信するようにしてもよい。例えば、制御部24は、ドライバの心拍数、呼吸数、血圧などの数値が閾値を越えた場合に、振動発生装置VBに振動を発生させる開始指示を送信するようにしてもよい。
【0049】
以上のように、本実施例に係る刺激制御装置によれば、ドライバが振動発生装置VBの停止操作を行った際、すなわち、停止指示を取得した際の眠気度合い値に基づいて、振動発生装置VBの振動を開始する眠気度合い値の閾値を設定する。それ故、利用者にとって適切な状態で刺激を発生させることが可能となる。
【0050】
すなわち、振動発生装置VBの停止操作を行った際の眠気度合い値は、ドライバが確実に覚醒をしている状態である。このときのドライバの眠気度合い値はばらつきが少なく、一定の値が得られるものと推定される。このような一定の眠気度合い値に基づいて第1閾値を設定することにより、利用者にとって適切な状態で刺激を発生させることが可能となる。
実施例2の刺激制御装置10について説明する。実施例1の刺激制御装置10は、停止指示を取得した際の眠気度合い値に基づいて、振動発生装置VBの振動を開始する眠気度合い値の閾値、すなわち第1閾値を設定した。実施例2の刺激制御装置10は、ドライバが振動発生装置VBの停止操作を行った際の眠気度合い値に基づいて、振動発生装置VBの刺激を停止する眠気度合い値の閾値、すなわち第2閾値を設定する点で実施例1の刺激制御装置10と異なる。尚、実施例1と同一の構成については、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
制御部24は、振動発生装置VBに対して、ドライバの眠気度合い値が振動発生装置VBの刺激を停止する第2の閾値(以下、第2閾値とする)を超えた際に振動の停止を指示することが可能である。制御部24は、停止指示を取得した際のドライバの眠気度合い値に応じて第2閾値を設定する。
また、停止指示取得時のドライバの眠気度合い値が「5」又は「4」であったときは、ドライバは想定されている状態よりも覚醒していると考えられる。すなわち、生体情報に基づいて生成された眠気度合い値が実際のドライバの状態よりも高い数値で生成されている。この場合、制御部24は、第1閾値及び第2閾値を高くなるように設定する。具体的には、制御部24は、停止指示取得時の眠気度合い値が「5」であるときは、第1閾値を「8」にかつ第2閾値を「5」に設定する。また、制御部24は、停止指示取得時の眠気度合い値が「4」であるときは、第1閾値を「7」にかつ第2閾値を「4」に設定する。
さらに、停止指示取得時のドライバの眠気度合い値が「1」又は「2」であったときは、ドライバは想定されている状態よりも眠気が強い状態であると考えられる。すなわち、生体情報に基づいて生成された眠気度合い値が実際のドライバの状態よりも低い数値で生成されている。この場合、制御部24は、第1閾値及び第2閾値を低くなるように設定する。具体的には、制御部24は、停止指示取得時の眠気度合い値が「1」であるときは、第1閾値を「4」にかつ第2閾値を「1」に設定する。また、制御部24は、停止指示取得時の眠気度合い値が「2」であるときは、第1閾値を「5」にかつ第2閾値を「2」に設定する。
以上のように、本実施例に係る刺激制御装置によれば、ドライバが振動発生装置VBの停止操作を行った際、すなわち、停止指示を取得した際の眠気度合い値に基づいて、振動発生装置VBの振動を開始する眠気度合い値の閾値を設定する。それ故、利用者にとって適切な状態で刺激を発生させることが可能となる。
また、本実施例の刺激制御装置によれば、ドライバが振動発生装置VBの停止操作を行った際の眠気度合い値に基づいて、振動発生装置VBの刺激を停止する眠気度合い値の閾値を設定する。このため、ドライバの覚醒状態が最適な状態で振動発生装置VBの振動を停止することができる。それ故、ドライバの使用感を最適なものとすることが可能となる。
[変形例]
実施例2において制御部24は、第2閾値を設定した。制御部24は、設定した第2閾値に基づいて停止指示を振動発生装置VBに送信してもよい。
制御部24は、ステップS306で生成した眠気度合い値が第2閾値を下回るか否かを判断する(ステップS307)。制御部24は、ステップS307の判断において、ステップS306で生成した眠気度合い値が第2閾値を下回っていないと判断した場合(ステップS307:N)、停止指示を取得したか判断する(ステップS308)。
ステップS308の判断において、制御部24は、停止指示を取得したと判断した場合(ステップS308:Y)、停止指示を取得した際の生体情報を取得する(ステップS309)。制御部24は、ステップS309において取得した生体情報に基づいて眠気度合い値を生成し(ステップS310)、当該眠気度合い値に基づいて第1閾値及び第2閾値を設定する(ステップS311)。
ステップS308の判断において、制御部24は、停止指示を取得していないと判断した場合(ステップS308:N)、ステップS305の生体情報を取得する処理に戻る。
ステップS307の判断において、制御部24は、ステップS306で生成した眠気度合い値が第2閾値を越えて下回っていると判断した場合(ステップS307:Y)、振動発生装置VBに振動の停止指示を送信する(ステップS312)。ステップS312において、制御部24は、振動発生装置VBに対して、眠気度合い値が第2の閾値を超えた際に刺激の停止を指示する停止指示手段として機能する。
このように、制御部24は、ドライバの眠気度合い値が第2閾値を下回ったときに振動発生装置VBに停止指示を送信する。したがって、ドライバが停止操作を行うことなく振動発生装置VBの振動を停止することができるため、ユーザの利便性の向上を図ることが可能となる。