(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023055723
(43)【公開日】2023-04-18
(54)【発明の名称】燃料流用の複合媒体
(51)【国際特許分類】
B01D 39/14 20060101AFI20230411BHJP
B01D 17/04 20060101ALI20230411BHJP
【FI】
B01D39/14 Z
B01D17/04 501D
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023003226
(22)【出願日】2023-01-12
(62)【分割の表示】P 2021076459の分割
【原出願日】2016-06-23
(31)【優先権主張番号】62/185,505
(32)【優先日】2015-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】591163214
【氏名又は名称】ドナルドソン カンパニー,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラーマチュラー, アフラル
(72)【発明者】
【氏名】ハウザー, ブラッドリー
(72)【発明者】
【氏名】カプール, ビジェイ
(72)【発明者】
【氏名】マドセン, マイク ジェー.
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ, デレク オー.
(72)【発明者】
【氏名】クリスト, チャールズ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】媒体の使用寿命を通して、燃料流から粒子を濾過し、そして混入した水を合体するための改良された濾過材を提供する。
【解決手段】燃料-水分離において使用するための濾過材は、粒子濾過層と、粒子濾過層の下流にあり、かつそれと連結した合体層とを有する。粒子濾過層は、実質的に、結合剤繊維および媒体繊維から構成される。合体層は、少なくとも70重量%のガラス繊維を有する。別の実施例としては、液体燃料用の濾過材は、粒子濾過層と、粒子濾過層の下流の合体層とを有する。粒子濾過層は、結合剤繊維および媒体繊維を有し、そしてメルトブローン材料を実質的に含まない。粒子濾過層の空気透過性対合体層の空気透過性の比率は、約3:1~約15:1の範囲である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結合剤繊維および媒体繊維を実質的に含んでなる粒子濾過層と、
前記粒子濾過層の下流にあり、かつ前記粒子濾過層と連結し、少なくとも70重量%のガラス繊維を含んでなる合体層と
を含んでなり、燃料流中の粒子を濾去し、かつ遊離水を合体させるために構成される、燃料-水分離において使用するための濾過材。
【請求項2】
前記媒体繊維が、ガラス繊維を含んでなる、請求項1および3~20のいずれか一項に記載の濾過材。
【請求項3】
前記媒体繊維が、セルロース繊維を含んでなる、請求項1~2および4~20のいずれか一項に記載の濾過材。
【請求項4】
前記媒体繊維が、ポリエステルステープル繊維を含んでなる、請求項1~3および5~20のいずれか一項に記載の濾過材。
【請求項5】
前記合体層が、ガラス繊維および結合剤材料を実質的に含んでなる、請求項1~4および6~20のいずれか一項に記載の濾過材。
【請求項6】
前記結合剤材料が、アクリルの樹脂を含んでなる、請求項1~5および7~20のいずれか一項に記載の濾過材。
【請求項7】
前記合体層が、少なくとも85重量%のガラス繊維を含んでなる、請求項1~6および8~20のいずれか一項に記載の濾過材。
【請求項8】
前記粒子濾過層が、空気中で親水性である、請求項1~7および9~20のいずれか一項に記載の濾過材。
【請求項9】
前記粒子濾過層が、約45cfm~約200cfmの空気透過性を有し、かつ前記合体層が、約3~約70cfmの空気透過性を有する、請求項1~8および10~20のいずれか一項に記載の濾過材。
【請求項10】
前記粒子濾過層が、約45cfm~約200cfmの空気透過性を有し、かつ前記合体層が、約10~約40cfmの空気透過性を有する、請求項1~9および11~20のいずれか一項に記載の濾過材。
【請求項11】
前記結合剤繊維が、2成分繊維である、請求項1~10および12~20のいずれか一項に記載の濾過材。
【請求項12】
前記合体層が、0.3μm~10μmの平均繊維径を有する、請求項1~11および13~20のいずれか一項に記載の濾過材。
【請求項13】
前記合体層が、0.69μm~7.5μmの平均繊維径を有する、請求項1~12および14~20のいずれか一項に記載の濾過材。
【請求項14】
前記合体層が、少なくとも2層の合体材料を含んでなる、請求項1~13および15~20のいずれか一項に記載の濾過材。
【請求項15】
前記合体層の下流にあり、かつ前記合体層と連結する支持層をさらに含んでなる、請求項1~14および16~20のいずれか一項に記載の濾過材。
【請求項16】
前記支持層が、セルロースを含んでなる、請求項1~15および17~20のいずれか一項に記載の濾過材。
【請求項17】
前記支持層が、2成分繊維を含んでなる、請求項1~16および18~20のいずれか一項に記載の濾過材。
【請求項18】
前記支持層が、ポリエステルスクリムを含んでなる、請求項1~17および19~20のいずれか一項に記載の濾過材。
【請求項19】
前記支持層が、金網を含んでなる、請求項1~18および20のいずれか一項に記載の濾過材。
【請求項20】
前記粒子濾過層および前記合体層のそれぞれが空気透過性を有し、かつ前記粒子濾過層対前記合体層の前記空気透過性の比率が、約3:1~約15:1の範囲である、請求項1~19のいずれか一項に記載の濾過材。
【請求項21】
結合剤繊維および媒体繊維を含んでなり、かつメルトブローン材料を実質的に含まない、粒子濾過層と、
前記粒子濾過層の下流の合体層とを含んでなり、前記粒子濾過層の前記空気透過性対前記合体層の前記空気透過性の比率が、約3:1~約15:1の範囲である、液体燃料用の濾過材。
【請求項22】
前記粒子濾過層が、空気中で親水性である、請求項21および23~42のいずれか一項に記載の濾過材。
【請求項23】
前記媒体繊維が、ガラス繊維を含んでなる、請求項21~22および24~42のいずれか一項に記載の濾過材。
【請求項24】
前記媒体繊維が、セルロース繊維を含んでなる、請求項21~23および25~42のいずれか一項に記載の濾過材。
【請求項25】
前記媒体繊維が、ステープルポリエステル繊維を含んでなる、請求項21~24および26~42のいずれか一項に記載の濾過材。
【請求項26】
前記合体層が、ガラス繊維および結合剤材料を実質的に含んでなる、請求項21~25および27~42のいずれか一項に記載の濾過材。
【請求項27】
前記結合剤材料が、アクリルの樹脂を含んでなる、請求項21~26および28~42のいずれか一項に記載の濾過材。
【請求項28】
前記合体層が、少なくとも70重量%のガラス繊維を含んでなる、請求項21~27および29~42のいずれか一項に記載の濾過材。
【請求項29】
前記合体層が、少なくとも85重量%のガラス繊維を含んでなる、請求項21~28および30~42のいずれか一項に記載の濾過材。
【請求項30】
前記粒子濾過層が、空気中で親水性である、請求項21~29および31~42のいずれか一項に記載の濾過材。
【請求項31】
前記粒子濾過層が、約45cfm~約200cfmの空気透過性を有し、かつ前記合体層が、約3~約70cfmの空気透過性を有する、請求項21~30および32~42のいずれか一項に記載の濾過材。
【請求項32】
前記粒子濾過層が、約45cfm~約200cfmの空気透過性を有し、かつ前記合体層が、約10~約40cfmの空気透過性を有する、請求項21~31および33~42のいずれか一項に記載の濾過材。
【請求項33】
メルトブローン材料を実質的に含まない、請求項21~32および34~42のいずれか一項に記載の濾過材。
【請求項34】
前記合体層が、0.3μm~10μmの平均繊維径を有する、請求項21~33および35~42のいずれか一項に記載の濾過材。
【請求項35】
前記合体層が、0.69μm~7.5μmの平均繊維径を有する、請求項21~34および36~42のいずれか一項に記載の濾過材。
【請求項36】
前記合体層が、少なくとも2層の合体材料を含んでなる、請求項21~35および37~42のいずれか一項に記載の濾過材。
【請求項37】
前記合体層の下流にある支持層をさらに含んでなる、請求項21~36および38~42のいずれか一項に記載の濾過材。
【請求項38】
前記合体層が、前記支持層と連結している、請求項21~37および39~42のいずれか一項に記載の濾過材。
【請求項39】
前記支持層が、セルロースを含んでなる、請求項21~38および40~42のいずれか一項に記載の濾過材。
【請求項40】
前記支持層が、2成分繊維を含んでなる、請求項21~39および41~42のいずれか一項に記載の濾過材。
【請求項41】
前記支持層が、金網を含んでなる、請求項21~40および42のいずれか一項に記載の濾過材。
【請求項42】
前記結合剤繊維が、2成分結合剤繊維を含んでなる、請求項21~41のいずれか一項に記載の濾過材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、全ての国を指定国とする出願人である、米国企業、DONALDSON COMPANY,INC.、ならびに全ての国を指定国とする発明者であるインド国市民、Aflal Rahmathullah;米国市民、Bradly Hauser;米国市民、Vijay Kapoor;米国市民、Mike J.Madsen;米国市民、Derek O.Jones;および米国市民、Charles Christの名義で2016年6月23日にPCT国際特許出願として出願されたものであり、2015年6月26日に出願された米国特許出願第62/185,505号の優先権を主張するものである。なお、上記出願の内容は、全体として参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
本技術は、一般に、濾過材に、特に、燃料流用の合体および微粒子濾過材に関する。
【背景技術】
【0003】
内燃エンジンで使用される液体燃料の濾過は、しばしば、適切なエンジン性能に欠くことができない。例えば、種々のディーゼルエンジンは、現在、ディーゼル燃料に見出される可能性のある水および粒子をターゲットにする燃料濾過材を使用する。このような水および粒子の除去は、好ましいエンジン性能を提供するために、ならびにエンジン構成要素をダメージから守るために必要である。分離相として燃料に存在する遊離水は、空洞現象および腐食、ならびに微生物増殖促進によるエンジン構成要素へのダメージを含めて、様々な問題を引き起こすため、重大な懸念となる可能性がある。遊離水は、連続相として存在し、かつエンジン性能に対する懸念がほとんどない溶解水とは異なる。遊離水は、粗い、および/または乳化水として分類することができる様々なサイズの液滴として懸濁している可能性がある。粗い水は、一般に、直径60ミクロン未満の水の液滴を意味し、そして乳化水は、一般に、直径が60ミクロンより大きい水の液滴を意味する。いくつかの既存の燃料濾過技術によって、燃料に混入した遊離水をより大きい液滴中に合体させ、それによって、燃料から水を分離することをより容易にさせる試みがあったが、一般に使用されるいくつかの燃料添加剤が水液滴を安定させる可能性があり、それによって、遊離水を合体させることが困難になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
微粒子汚染物質は、エンジン性能の重大な問題を生じるおそれもあり、そしてエンジンへのダメージをもたらすおそれもある。微粒子汚染としては、ダストおよびダートなどの硬質粒子砕片、ならびに燃料劣化物(FDP)を含む燃料汚染物(FCP)、ワックス、アスファルテン、ステロールグルコシド、ステリルグルコシドおよびステロールグリコシドなどの汚染物質を挙げることができる。さらに複雑な問題としては、微粒子汚染は、遊離水を効果的に合体させる合体媒体の能力を妨害する。いくつかの技術によって、合体媒体層の前に上流粒子濾過層を有する媒体を使用することによって、この問題を解決する試みがあったが、合体層の有効性は、一般に、粒子濾過層の寿命に限定される。そのようなものとして、媒体の使用寿命を通して、燃料流から粒子を濾過し、そして混入した水を合体するための改良された濾過材が望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に開示される技術は、一般に、粒子濾過層と、粒子濾過層の下流にあり、かつそれと連結した合体層とを有する、燃料-水分離において使用するための濾過材に関する。粒子濾過層は、実質的に、結合剤繊維および媒体繊維から構成される。合体層は、少なくとも70重量%のガラス繊維を有する。いくつかの例示的実施形態において、液体燃料用の濾過材は、粒子濾過層と、粒子濾過層の下流の合体層とを有する。粒子濾過層は、結合剤繊維および媒体繊維を有し、そしてメルトブローン材料を実質的に含まない。粒子濾過層の空気透過性対合体層の空気透過性の比率は、約3:1~約15:1の範囲である。
【0006】
この要約は、本出願の教示のいくつかの概要であって、そして本主題の排他的または徹底的な処理としては意図されない。さらなる詳細は、詳細な説明および添付の請求の範囲に見出される。他の態様は、次の詳細な記述を読み、そして理解すること、およびその一部分を形成する図画を見ることで、当業者に明白であろう。これらのそれぞれは、限定的な意味で解釈されない。
【0007】
例は、次の図画に関連して、より完全に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本明細書に記載された技術のいくつかの実施形態と一貫する媒体構造の断面概略図である。
【
図2】本明細書に記載された技術のいくつかの実施形態と一貫する別の媒体構造の断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書の実施形態は、様々な変形および変更形態の影響を受けやすいが、その特性は実施例および図面により示されており、以後、詳細に説明される。しかしながら、本発明の範囲が、記載された特定の実施例に限定されないことは理解されるべきである。一方、本発明は、本明細書の精神および範囲内の変形、均等物および変更を包含するように意図される。
【0010】
図1は、本明細書に開示される技術と一貫する実施例の濾過材100を示す。濾過材100は、一般に、燃料-水分離での使用のために構成される。濾過材100は、種々の実施形態において、燃料から粒子を濾過するための使用のために構成される。濾過材100は、一般に、燃料流注の微粒子を濾去し、そして遊離水を合体させるために構成される。濾過材100は、一般に、粒子濾過層110と、粒子濾過層110の下流にある合体層120と、合体層120の下流にある支持層130とを有する。
【0011】
粒子濾過層110は、種々の実施形態において、結合剤繊維および媒体繊維から実質的に構成される。「実質的に構成される」または「実質的に含んでなる」という用語は、本明細書中、問題の材料が、特定の構成要素の少なくとも95重量%であることを意味するために使用される。種々の実施形態において、粒子濾過層110は、メルトブローン材料を実質的に含まない。粒子濾過層は、例えば、2012年3月16日出願の米国特許出願公開第2012/0234748号明細書、または別の例においては、2008年1月1日出願の米国特許第7,314,497号明細書、または別の例においては、2015年6月16日出願の米国特許第9,056,268号明細書に開示されるように構成されることが可能である。これらは、それぞれ、本明細書に参考によって組み込まれる。
【0012】
媒体繊維
媒体繊維は、調整可能な細孔径、透過性、効率等の主要な濾過性を媒体に付与する繊維である。媒体繊維は、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、セラミック繊維、ポリエステル、またはセルロースであり得る。本発明の粒子濾過層の幾つかの例示的な実施においては、ガラス繊維をかなり高い比率で用いることができる。ガラス繊維は、細孔径を調整すると共に、媒体中で他の繊維と協力して媒体に十分な流量、高い能力、十分な効率、および高い湿潤強度を付与する。
【0013】
ガラス繊維「供給源」という用語は、別々の原料として入手可能な、平均径およびアスペクト比によって特徴付けされるガラス繊維組成物を意味する。適した媒体には、A、C、D、E、Zero Boron E、ECR、AR、R、S、S-2、N等の名称で周知の種類のガラスが含まれ、一般には、強化繊維を作製するのに用いられる延伸法または断熱繊維の作製に用いられる紡糸法のいずれかにより繊維を作製することができる任意のガラス等である。このような繊維は、典型的には、直径が約0.1~10マイクロメートル、アスペクト比(長さを直径で除したもの)が約10~10,000で使用される。このような市販の繊維にはサイジング剤を塗工することにより特徴的なサイジングが施されている。一般に、好適なガラス繊維は、平均径が15ミクロン未満、より望ましくは10ミクロン未満、好ましくは5ミクロン未満であるべきである。好適なガラス材料の商業的な供給源としては以下が挙げられる:Lauscha International、Evanite、Johns Manville、Owen Corning他。
【0014】
ガラス繊維に加えて、媒体繊維に関するいくつかの実施において適切な代替的な繊維は、炭素繊維、セルロース繊維および/またはポリエステル繊維を含んでなる。いくつかの実施形態において、媒体繊維は、ステープル繊維である。一般に適切な炭素繊維は、25ミクロン未満、より望ましくは15ミクロン未満、好ましくは10ミクロン未満の平均径を有するべきである。適切な炭素材料の商業的な供給源としては、Unitika、Kynolなどが挙げられる。
【0015】
実施形態において、粒子濾過層は、ガラス繊維を、粒子濾過層の固形分全体の約10重量%~90重量%、または粒子濾過層の固形分全体の約20~80重量%、または粒子濾過層の固形分全体の約25%~75重量%、または粒子濾過層の固形分全体の約50重量%に相当する量で含む。幾つかの実施形態においては、1種を超えるガラス繊維供給源のブレンドが用いられ、1種を超えるガラス繊維供給源のブレンドは、粒子濾過層中のガラス繊維の全重量百分率を構成するように用いられる。この種の幾つかの実施形態においては、ガラス繊維供給源のブレンドは、粒子濾過層の透過性を調整するように選択される。例えば、幾つかの実施形態においては、平均繊維径が約0.3~0.5マイクロメートルのガラス繊維、平均繊維径が約1~2マイクロメートルのガラス繊維、平均繊維径が約3~6マイクロメートルのガラス繊維、平均繊維径が約6~10マイクロメートルのガラス繊維、および平均繊維径が約10~100マイクロメートルのガラス繊維のうちの1種を超えるガラス繊維供給源を様々な比率で(2種以上のブレンド等で)組み合わせることにより、粒子濾過層パックの透過性が増大する。この種の幾つかの実施形態においては、ガラス繊維のブレンドは、細孔径が調整されるように選択され、それによって粒子濾過層に規定の透過性が得られる。
【0016】
結合剤繊維
結合剤繊維は一般的に、媒体繊維の支持体となり、また媒体繊維に改善された取扱い性、強度、および耐圧縮性を付与できるように構成される。特定の実施においては、結合剤繊維はまた、完成紙料の形成、シートまたは層の形成、および後段の加工(厚み調整、乾燥、裁断、およびフィルタエレメントの形成を含む)における加工性も改善する。
【0017】
結合剤繊維としては、例えば、2成分繊維を用いることができる。本明細書において用いられる「2成分繊維」は、ある融点を有する少なくとも1種の繊維部分およびより低い融点を有する第2の熱可塑性部分を有する熱可塑性材料から形成された繊維を意味する。これらの繊維部分の物理的な構成は、典型的には、サイドバイサイド型または芯鞘型構造である。サイドバイサイド型構造においては、典型的には2種類の樹脂が並列構造で結合した形態で押出成形される。他の有用な形態としては、繊維の端部に残りの繊維よりも融点の低いポリマーから形成された葉部を有する多葉型2成分繊維が挙げられる。
【0018】
2成分繊維を使用することにより、別個の樹脂結合剤を使用せずに、または最小量の樹脂結合剤を使用して粒子濾過層の形成が可能になり、それによって結合剤樹脂による膜形成が大幅に低減されるかまたは防止されると共に、樹脂が媒体層の特定の位置に移行することにより媒体またはエレメントの均一性が失われることも防止される。2成分繊維を使用することにより、濾過材の圧縮を抑え、中実性を改善し、かつ引張強さを増大させることが可能になると共に、媒体層またはフィルタエレメントに添加されるガラス繊維および他のサブミクロン繊維材料等の媒体繊維の有用性が改善される。
【0019】
媒体繊維および結合剤繊維を様々な比率で組み合わせることにより、かなり高い濾過能力、透過性、および濾過寿命を有する比較的高強度の材料が形成される。この種の媒体は、任意的な第2の繊維および他の添加剤材料を用いて作製することができる。これらの成分を組み合わせることにより、かなり高い送液能力(flow capacity)、透過性、および高強度を有する高強度材料が形成される。
【0020】
2成分繊維用ポリマーの様々な組合せが使用され得るが、一般に第1ポリマー成分が第2ポリマー成分の溶融温度よりも低い温度、典型的には205℃未満で溶融することが重要である。さらに、2成分繊維は、典型的には媒体繊維(ガラス繊維等)と一緒に完全に混合されて、均一に分散される。2成分繊維の第1ポリマー成分を溶融させることは、2成分繊維に粘着性の骨格構造を形成させるために必要であり、これが冷却される際に多くの媒体繊維に加えて他の2成分繊維も捕捉して結合させる。芯鞘構造においては、低融点(例えば、約80~205℃)熱可塑性樹脂が典型的にはより高融点(例えば、約120~260℃)の材料の繊維の周囲に押出成形される。
【0021】
使用時の2成分繊維は、典型的には、繊維径が約5~50マイクロメートル、多くの場合は約10~20マイクロメートルであり、典型的には、繊維の形態は、全長が0.1~20ミリメートル、多くの場合は長さが約0.2~約15ミリメートルである。この種の繊維は、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート等)、ナイロン(ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6,12等)等の様々な熱可塑性材料から作製することができる。
【0022】
2成分繊維は、破片を含んだ空気が高速で通過する際の機械的応力に耐えることができ、使用中に捕集した破片を維持することができ、さらには脱装着を繰り返す間に(between loadings)に繰り返される洗浄乾燥サイクルにも耐える、機械的に安定であるが強力かつ透過性を有する濾過材の形成に有用である。現在の技術に有用な2成分繊維はコア/シェル型(または鞘で覆われた)形態、サイドバイサイド型形態、海島型形態、または多葉型形態である。2成分繊維は、融点の異なる少なくとも2種類の熱可塑性材料から構成されている。幾つかの実施形態においては、粒子濾過層に有用な2成分繊維の芯または鞘のいずれかの形成に有用な熱可塑性ポリマーとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリ-α-オクテン等のポリオレフィン、およびその共重合体(線状低密度、低密度、高密度、超高密度、および他の名称の形態および組成を含む);ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン等のポリテトラハロエチレン;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、およびこれらの共重合体;ポリ塩化ビニル等のポリハロゲン化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン等のポリハロゲン化ビニリデン、およびこれらの共重合体;ポリビニルブチラール等のポリアセタール、ポリメタクリル酸エステル、ポリメタクリル酸メチルエステル等のアクリル系樹脂(ポリアクリレート)、ならびにアクリル酸の共重合体およびその塩等のこれらの共重合体;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6,10、ナイロン46等のポリアミドおよびこれらの共重合体;ポリスチレンおよびこれらの共重合体;ポリウレタン;ポリ尿素;セルロース系樹脂、すなわち硝酸セルロース、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、エチルセルロース等;エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、スチレン-ブタジエンブロック共重合体、KRATON(登録商標)ゴム等の、上の任意の材料の共重合体が挙げられる。
【0023】
実施形態においては、ポリオレフィン/ポリエステル鞘/芯型2成分繊維が用いられ、ポリオレフィン鞘部はポリエステル芯部よりも低温で溶融する。他の実施形態においては、芯部および鞘部として、2種のポリオレフィン、または2種のポリエステル、2種のポリハロゲン化ビニル、2種のポリハロゲン化ビニリデン、2種のポリアミドポリマー、または他の化学的に類似もしくは同一の任意の2種のポリマーが使用され、これらは組成(例えば、ポリマーの合成に使用される混合物の具体的なモノマー組成または共重合体中のモノマー濃度のブロック度(blockiness))、分子量、形態(分岐度や側鎖結晶化度等)等の違いに応じて融点または軟化点がより低いかまたは高いポリマー材料となる。
【0024】
幾つかの実施形態においては、2成分繊維の低融点成分は、芯/鞘型形態の鞘部(またはコア/シェル形態のシェル)として、多葉型形態の葉部として、海島型形態の「島」として、またはサイドバイサイド型形態の片側として用いられる。低融点成分は、これを用いて形成された濾過材パックに融着性を付与するものであり、ここで湿式またはエアレイド不織布ウェブは、この低融点成分の融点またはガラス転移温度を超え、かつ高融点成分の融点またはガラス転移温度よりも低い温度に加熱される。実施形態においては、形成された湿式またはエアレイド粒子濾過層内で溶融または軟化した繊維成分が、他の2成分繊維だけでなく他の任意の繊維および添加剤と接触することによって融着が達成される。
【0025】
このような実施形態においては、次いで温度が低下して意図された最終使用温度以下になると、2成分繊維の少なくとも一部は鞘部(または葉部または片側)に融着している一方で、粒子濾過層の形成に用いられたエアレイドまたは湿式法によって不織物に付与されたロフト、透過性、空隙率、目付、厚み等の特性は実質的に維持されている。これらの不織布の特性が維持されるのは、2成分繊維のより融点の高い芯部または片側が融着の最中も繊維状形態を維持していることによる。さらに、2成分繊維が融着されることによって、圧縮の低減や引張強さの増大等の所望の特性が付与され、さらに、2成分繊維が融着されることによって、粒子濾過層中におけるガラス繊維および他の第2の繊維および/または添加剤の有用性および保持力が改善される。
【0026】
幾つかの実施においては、E.I.DuPont Nemours(Wilmington DE)より入手可能なAdvansa 271Pとして周知の芯/鞘型2成分繊維が粒子濾過層に有用なハイロフトおよびローロフト濾過材のどちらを形成するのにも有用である。他の有用な2成分繊維としては、Fiber Innovation Technology,Inc.(Johnson City,TN)より入手可能な同心芯/鞘型繊維であるT-200シリーズ;Engineered Fibers Technology,LLC(Shelton,CT)より入手可能なKuraray N720;Nichimen America Inc.(New York,NY)より入手可能なNichimen 4080;および類似の素材が挙げられる。これらの繊維はすべて上述した融着性を示す。
【0027】
いくつかの実施形態において、粒子濾過層は、約50重量%のAdvansa 271P 2成分繊維(E.I.DuPont Nemours,Wilmington DEから入手可能)および約50重量%のLauscha B50ガラス微小繊維(Lauscha Fiber Intl.,Summerville,SCから入手可能)を有する。粒子濾過層は、湿式または抄紙方式プロセスによって形成され、約60g/m2~70g/m2の基本重量、0.125psiにおける0.5mm~0.65mmの層の厚み、0.125psi~1.5psiにおける15%~20%の圧縮率、0.125psiにおける6~7%の中実性が得られる。
【0028】
粒子濾過層の特性
粒子濾過層の性能特性は、粒子濾過層の繊維のサイズ、細孔構造、中実性、および圧縮率に関する属性の調整に影響される。一般に、中実性が比較的低くかつ圧縮率が低いと同時に、平均流量細孔径が比較的小さいが最大流量細孔径が比較的大きい媒体を使用すると、早期目詰まりを起こすことなく粒子を除去することができる例示的な媒体構成が得られる。いくつかの実施形態において、粒子濾過層は空気中で親水性であり、これは、First Ten Angstroms接触角計測器などの標準的な接触角測定デバイスを使用して測定する場合、空気中の水液滴が、90度未満の濾過層の表面との接触角を有することを意味する。粒子濾過層110の親水性は、空気中で疎水性となる傾向がある、燃料中での粒子濾過のために使用することができる従来のメルトブローン材料から区別することができる。「空気中で疎水性」とは、一般に、空気中の水液滴が、90度より大きい、媒体の表面との接触角を有することを意味する。
【0029】
一般に、媒体繊維の直径は結合剤繊維より小さい。例示的な実施形態においては、媒体繊維の平均径は5ミクロン未満であり、一方、結合剤繊維の平均径は5ミクロンを超える。より典型的には、媒体繊維の平均径は0.1~20ミクロン、場合により0.1~15ミクロンとなるであろう。幾つかの実施においては、媒体繊維の平均径は0.4~12ミクロンとなり、幾つかの実施においては0.4~6.5ミクロンとなるであろう。媒体繊維の平均径は10ミクロン未満、7.5ミクロン未満、6.5ミクロン未満、5ミクロン未満が望ましい場合が多い。結合剤繊維は、典型的には、直径が5~40ミクロン、より典型的には7~20ミクロン、多くの場合は10~14ミクロンとなるであろう。媒体繊維および結合剤繊維はいずれも直径を変化させることが可能であることに留意されたい。場合によっては、繊維の直径は長手方向に沿って変化することになるが、より一般的には、直径の異なる繊維が組み込まれるであろう。本明細書において用いられる繊維の直径は、媒体中に存在する繊維の平均繊維径に基づくことが理解されるであろう。
【0030】
粒子濾過層のさらなる特徴は、典型的に、中実性が比較的低いことにある。本明細書において用いられる中実性とは、固体繊維の体積を対象となる濾過材全体の体積で除したものであり、通常は百分率で表される。典型的な実施においては、粒子濾過層の中実性は、15パーセント未満、より典型的には12パーセント未満、より多くの場合は10パーセント未満である。特定の実施形態においては、中実性は9パーセント未満、8パーセント未満、または7パーセント未満である。粒子濾過層は、一般に、約45cfm~約200cfmの範囲の、Frazier透過性である空気透過性を有する。空気透過性は、0.5インチの水の圧力低下において、濾過材を通して流れるであろう空気(ft3-分-1-ft-2またはft-分-1)の量に関する。一般に、透過性は、この用語が使用される場合、Frazier Precision Instrument Co.Inc.,Gaithersburg,Marylandから入手可能であるFrazier Permeability Tester、あるいはAdvanced Testing Instruments Corp(ATI),Spartanburg,So.Carolina 29301から入手可能であるTexTest 3300またはTexTest 3310を使用して、ASTM D737に従って、Frazier Permeability Testによって評価される。
【0031】
粒子濾過層のさらなる特徴は、特に媒体の中実性の割に比較的圧縮率が低いことにある。圧縮率とは、流体が媒体を通過する方向の圧縮または変形に対する(すなわち)耐性である。媒体の圧縮に適した試験は、積み重ねた媒体に荷重を加えて圧縮して圧縮された百分率を求める、圧縮力対変位試験である。このような試験の例を以下に示す:直径2.54センチメートルのプローブおよび5kgのロードセルを使用して、全体の厚みが25mmとなるように積み重ねた媒体を圧縮する。速度を1mm/秒、開始時点の距離を底面から30mmとし、データトリガーを0.5gとして試験を実施した。最終荷重の標的は4,800gである。媒体試料としては直径2.22センチメートルの円形の大きさのものを用いることができ、試験プローブの真下に媒体試料の積層体が形成されるような方向に置く。このような実施において媒体に印加される圧力は約1.24kg/cm2である。積み重ねる試料は、全体の厚みが25mmとなるのに十分な数で使用すべきであり、したがって、試料の総数は試験に供する媒体材料の個々の厚みに応じて変化することになる。データを以下の式に基づいて解析する:
圧縮率(パーセント)=x/t1
(式中、t1は、荷重が0.5グラムのときの積み重ねた試料の底面からの厚みであり、t2は、荷重が4,800グラムのときの積み重ねた試料の底面からの厚みであり、xは、試験中のプローブの移動距離に等しく、これは距離t1-t2である)
この試験を実施するのに適した装置としては、例えば、Texture Expert Exceedソフトウェア(バージョン2.64)を用いたStable Micro SystemsからのTA.XT2i Texture Analyzerが挙げられる。
【0032】
粒子濾過層の圧縮強度は、材料の厚みを維持し、それによってその細孔構造、そして濾過流量および微粒子除去性能を維持するのに十分でなければならない。いくつかの実施形態において、粒子濾過層の1.24kg/cm2の加圧下における圧縮率は40パーセント未満である。他の実施においては、粒子濾過層の圧縮率は、1.24kg/cm2の加圧下で30パーセント未満、1.24kg/cm2の加圧下で20パーセント未満、1.24kg/cm2の加圧下で10パーセント未満である。さらに、粒子濾過層の圧縮率を中実性で除すと、多くの場合は4未満、より多くの場合は3未満であり、2未満とすることもでき、いくつかの実施においては1未満である。例えば、圧縮率が20パーセントであり中実性が10パーセントである実施においては、この数値は2.0である。
【0033】
粒子濾過層中のさらなる樹脂および繊維
機械的に安定な粒子濾過層中に、媒体繊維および場合により結合剤繊維を結合させるのを助けるために非繊維結合剤樹脂を使用することができる。この種の熱可塑性結合剤樹脂材料は乾燥粉末としてまたは溶剤系として使用することができるが、典型的には、熱可塑性ビニル樹脂の水性分散液である。非繊維樹脂系結合剤成分は、粒子濾過層に十分な強度を得るという目的には必ずしも必要ではないが、使用することは可能である。
【0034】
非繊維結合剤樹脂としては、酢酸ビニル材料、塩化ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアセチル樹脂、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン酢酸ビニル共重合体樹脂、熱硬化性樹脂(尿素フェノール、尿素ホルムアルデヒド、メラミン、エポキシ、ポリウレタン、硬化性不飽和ポリエステル樹脂、ポリ芳香族(polyaromatic)樹脂、レゾルシノール樹脂、同種のエラストマー樹脂等)が挙げられる。
【0035】
水溶性または水分散性結合剤ポリマーに適した材料は、一般には、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール性樹脂、ポリ尿素、ポリウレタン、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ポリエステル、およびアルキド樹脂等の水溶性または水分散性熱硬化性樹脂であり、具体的には、水溶性アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、およびポリアミド樹脂である。このような液体結合剤は、典型的には小板片の分散液であり、繊維を被覆して最終不織物基材中の繊維同士の接着を促進するものである。シート、媒体、またはフィルタ材料中に形成される細孔を塞ぐ膜を生じさせることなく繊維に完全な被覆を施すのに十分な樹脂が完成紙料中に添加される。樹脂は完成紙料に添加することもできるし、または形成後の媒体に適用することもできる。
【0036】
各不織層内で三次元的不織繊維ウェブを一つに結合させるために使用されるかまたはさらなる接着剤として使用されるラテックス結合剤は、当該技術分野において周知の様々なラテックス型接着剤から選択することができる。当業者は結合されるセルロース系繊維の種類に応じて具体的なラッテクス型接着剤を選択することができる。ラテックス型接着剤は噴霧や発泡等の周知の技法により適用することができる。通常は、固形分が15~25%のラテックス型接着剤が使用される。分散液は、繊維を分散させた後に結合剤材料を添加するかまたは結合剤材料を分散させた後に繊維を添加することにより作製することができる。分散液はまた、繊維の分散液を結合剤材料の分散液と混合することにより作製することもできる。分散液中の繊維の総濃度は、分散液の総重量を基準として0.01~5または0.005~2重量パーセントの範囲とすることができる。分散液中の結合剤材料の濃度は、繊維の総重量を基準として10~50重量パーセントの範囲とすることができる。
【0037】
粒子濾過層は第2の繊維も含むことができ、その作製には、多くの親水性、疎水性、親油性、および疎油性繊維のいずれかが用いられる。これらの繊維は、ガラス(または他の媒体)繊維および2成分繊維と協力して流体材料が通過する際の機械的応力に耐えることができ、かつ使用中に捕集された微粒子を維持することができる、機械的に安定であるが強力かつ透過性を有する濾過材を形成するものである。第2の繊維は、典型的には単成分繊維であり、直径を約0.1~約50マイクロメートルの範囲とすることができ、かつ様々な材料から作製することができる。第2繊維の種類の1つは結合剤繊維であり、他の成分と協力して材料を結合させてシートにするものである。第2繊維の他の種類は構造繊維であり、他の成分と協力して乾燥および湿潤状態の材料の引張強さおよび破壊強さを増大させるものである。さらに、結合剤繊維としては、ポリ塩化ビニルやポリビニルアルコール等のポリマーから作製された繊維を挙げることができる。第2繊維としては、炭素/グラファイト繊維、金属繊維、セラミック繊維、およびこれらの組合せ等の無機繊維も挙げることができる。
【0038】
第2の熱可塑性繊維としては、これらに限定されるものではないが、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリプロピレン繊維、コポリエーテルエステル繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)繊維、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)繊維、液晶ポリマー(LCP)繊維、およびこれらの混合物であり得る。ポリアミド繊維としては、これらに限定されるものではないが、ナイロン6、66、11、12、612、および耐熱「ナイロン」(ナイロン46等)が挙げられ、セルロース系繊維、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール繊維(88%加水分解、95%加水分解、98%加水分解、および99.5%加水分解ポリマー等の、様々な加水分解度のポリビニルアルコールを含む)、綿、ビスコースレーヨン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリ乳酸、および他の一般的な種類の繊維が挙げられる。熱可塑性繊維は、通常、予め配合された従来の添加剤(酸化防止剤、安定剤、潤滑剤、強靭化剤等)を含み得る極細(直径約0.5~20デニール)ステープル短(長さ約0.1~5cm)繊維である。さらに、熱可塑性繊維は分散助剤で表面処理することができる。好ましい熱可塑性繊維はポリアミドおよびポリエチレンテレフタレート繊維であり、ポリエチレンテレフタレート繊維が最も好ましい。
【0039】
粒子濾過層の製造
粒子濾過層の作製における特定の実施形態においては、湿式または乾式加工のいずれかを用いて繊維マットが形成される。このマットを加熱することにより熱可塑性材料が溶融され、繊維が内部で接着することによって媒体が形成される。2成分繊維を、繊維に融合して機械的に安定な媒体を得ることが可能になる。2成分繊維が外側に熱的に結合する鞘部を有することによって、媒体層の内部で2成分繊維が他の繊維と結合する。
【0040】
粒子濾過層は、典型的には抄紙法を用いて作製される。しかしながら、エアレイド加工に適した類似の成分を用いてエアレイド法で媒体を作製することもできる。湿式シートの作製に使用される機械としては、手抄きシート設備、長網型抄紙機、円網型抄紙機、傾斜型抄紙機、コンビネーション型抄紙機、および適切に混合された紙を捕集し、抄造原料成分の1つまたは複数の層を形成し、水性流体成分を除去することにより湿潤シートを形成させることができる他の機械が挙げられる。
【0041】
例示的な湿式加工においては、媒体は、繊維状材料の水性媒体分散液を含む水性抄造原料から作製される。分散液の水性液体は、通常は水であるが、pH調整物質、界面活性剤、消泡剤、難燃剤、粘度調整剤、媒体処理剤(media treatment)、着色剤等の様々な他の材料を含むことができる。通常は、分散液を網または他の多孔質支持体で搬送し、分散固体を保持しながら液分を透過させることにより分散液から水性液体を脱落させ、湿紙組成物を生成させる。一旦湿潤組成物が支持体上に形成されたら、通常はさらに真空または他の加圧力で脱水し、さらに残りの液体を蒸発させて乾燥させる。液体を除去した後、典型的には熱可塑性繊維、樹脂、または形成された素材の他の部分の一部を溶融させることにより熱的に結合させる。溶融した材料が構成要素を結合させることにより層になる。
【0042】
この材料を含有する繊維スラリーは、典型的には混合によって比較的均一な繊維スラリーに形成される。次いで繊維スラリーは湿式抄紙法に付される。一旦スラリーが湿式シートに形成されたら、次いでこの湿式シートを乾燥し、キュアリングを行うかまたはそれ以外の処理を行うことにより、透過性を有するが実質的な乾燥シート、媒体、またはフィルタが形成される。一旦十分に乾燥されて濾過材に加工されたシートは、典型的には厚みが約0.25~1.9ミリメートルであり、目付が約20~200または30~150g・m-2である。通常、商業規模で処理を行う場合は、2成分マットは、市販の長網型、円網型、スチーブンスフォーマー(Stevens Former)、ロトフォーマー、インバーフォーマー(Inver Former)、ベンチフォーマー(Venti Former)、傾斜型デルタフォーマー機等の抄紙機を用いて加工される。
【0043】
幾つかの実施においては、傾斜型デルタフォーマー機が利用される。2成分マットの作製は、パルプおよびガラス繊維のスラリーを形成し、このスラリーを例えば混合タンク内で混合することにより行うことができる。この方法に使用される水の量は使用される設備の規模に応じて変化させることができる。完成紙料は従来のヘッドボックスを通過させることができ、ここで脱水されて移動する金網上に堆積し、吸引または真空により脱水されることによって2成分不織ウェブが形成される。次いでこのウェブを、従来の手段、例えば、かけ流し/吸い取り(flood and extract)法を用いて結合剤で被覆し、乾燥部を通過させることによりマットを乾燥させ、結合剤をキュアリングし、シート、媒体、またはフィルタを熱的に結合させることができる。結果として得られたマットを大型のロールで回収し、第2の媒体材料(セルロース媒体層等)と貼り合わせるかまたはフィルタエレメントに形成するためにさらに加工することができる。
【0044】
粒子濾過層110は、種々の実施形態において、複数の媒体層から構成されることができる。一般に、粒子濾過層110のそれぞれの媒体層は、本明細書に記載されるように構成されるであろう。そのような実施形態は、
図2に示されており、そしてこれは、以下により詳細に説明される。
【0045】
合体層
図1に戻ると、合体層120は、粒子濾過層110の下流に位置し、かつ粒子濾過層110に連結している。合体層120は、一般に、それを通過する燃料流における遊離水を合体させるように構成される。粒子濾過層110は、一般に、燃料流から微粒子汚染を捕捉するために構成され、それによって、捕捉された粒子が、合体層120の合体機能を妨害することが阻止される。しかしながら、いくつかの実施形態において、合体層は、燃料流中の微粒子を濾過するためにも構成されることができる。合体層120は、種々の形状を有することができる。
【0046】
合体層120は、約0.3μm~約10μm、または約0.69μm~約7.5μmの範囲の平均繊維径を有することができる。合体層120は、一般に、8psiにおいて測定される場合、約0.3mm~約1.0mmの範囲の厚さを有することができる。いくつかの実施形態において、合体層120は、8psiにおいて測定される場合、約0.4mm~約0.7mmの範囲の厚さを有することができる。合体層120は、一般に、約50g/m
2~約150g/m
2、または約80g/m
2~約115g/m
2の範囲の基本重量を有するように構成される。合体層120は、粒子濾過層110の基本重量より高い基本重量を有することができる。合体層120は、一般に、粒子濾過層110の空気透過性より低い空気透過性を有する。いくつかの実施形態において、合体層120は、約3cfm~約70cfmの範囲の空気透過性を有する。いくつかの特定の実施形態において、合体層120は、10~40cfmの空気透過性の範囲を有する。いくつかの実施形態において、合体層120は、以下で
図2を参照して記載される実施形態におけるような、隣接する合体材料の複数の層であることが可能である。
【0047】
種々の実施形態において、合体層120は、湿式媒体である。合体層120は、繊維、表面処理および結合剤材料から実質的に構成され、このことは、合体層120が、少なくとも95重量%の繊維、表面処理および結合剤材料であることを意味する。いくつかの実施形態において、合体層120は、表面処理によってコーティングされた不織繊維マットであり、繊維は結合剤材料で接着されている。表面処理は、一般に、その中の繊維の表面エネルギーを変化させるように構成され、そして結合剤材料は、一般に、合体層120の繊維を接着させるように構成される。
【0048】
合体層120の繊維は、種々の種類の繊維および繊維の組合せであることが可能であり、そして一般に、不織物である。合体層120の繊維は、ガラス繊維、天然繊維、合成繊維、ポリマー繊維、セラミック繊維、金属繊維、炭素繊維およびそれらの組合せであることができる。他の種類の繊維も確かに考察される。いくつかの実施形態において、合体層120は、ガラス繊維およびポリエステル繊維を有する。繊維は、合体層120の50重量%~95重量%であることが可能である。いくつかの実施形態において、合体層120は、少なくとも70重量%のガラス繊維である。いくつかの実施形態において、合体層120は、少なくとも85重量%のガラス繊維である。
【0049】
表面処理は、一般に、合体層120内での繊維の表面特性を変更するように構成される。表面処理は、種々の形状および組成を有することができ、そしていくつかの実施形態において、表面処理は、フッ素を含有する化合物である。合体層の繊維において使用することができる表面処理の一例は、ポリテトラフルオロエチレン分散体である。表面処理のいくつかの他の例は、フルオロアルキルアクリレートポリマー、ペルフルオロアルキルメチルアクリレートコポリマー、フッ化炭化水素、フルオロアクリレートポリマー、フルオロアルキルメタクリレートポリマー、ペルフルオロアルコキシポリマー(PFA)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)である。表面処理は、合体層120の0.01重量%~25重量%の範囲であることができる。いくつかの実施形態において、表面処理は、合体層120の5重量%~20重量%または10重量%~15重量%であることができる。
【0050】
結合剤材料は、一般に、合体層120において繊維を結合するように構成される。結合剤材料は、例として、ポリアクリレートまたはエポキシであることができる。いくつかの特定の例において、結合剤材料は、アクリルラテックス結合剤である。いくつかの例において、結合剤材料は、スチレン/アクリロニトリルコポリマー樹脂である。結合剤材料は、乳化ポリマー、樹脂、エポキシ、溶液ポリマー、スチレン-アクリレート、スチレン-ブタジエン、アクリル、ビニルアセテート、アクリロニトリル、ウレタン、尿素ホルムアルデヒド、メラミンホルムアルデヒド、酸化アクリレート、ポリビニルアルコールおよびそれらの組合せであることが可能である。一実施形態において、結合剤材料は、1またはそれ以上の官能基を含んでなるように変性されたポリマーであることができる。例えば、ポリマーは、追加のカルボキシレートを含むように官能化されてもよい。合体層120は、3重量%~約40重量%の結合剤材料、あるいは約5重量%~約25重量%の結合剤材料、または約10重量%~約20重量%の結合剤材料であることができる。
【0051】
図1および
図2に示されるものを含む、本明細書に開示される技術のいくつかの実施形態は、合体層120の下流に配置され、かつ合体層120に連結された支持層130を有する。支持層130は、種々の材料および材料の組合せから構成することができるが、一般に、粒子濾過層110および合体層120への構造的支持を提供するように設定される。種々の実施形態において、支持層130は、少なくとも、比較的損なわれずに水液滴が濾過材100を出ることができ、そして合体層120からの合体した水の乳化を防ぐように構成される。
【0052】
いくつかの実施形態において、支持層は、2成分繊維である。いくつかのそのような実施形態において、2成分繊維は、Asheville,North Carolinaに本拠地を置く、Bonar Inc.によって供給されるColback(登録商標)などのナイロンシースを有する実質的に連続のポリエステル繊維である。いくつかの他の実施形態において、支持層130はセルロース材料である。いくつかの実施形態において、支持層130は、不織ポリエステルスクリムなどのスクリムである。いくつかの実施形態において、ポリエステルスクリムは、Charlotte,North Carolinaに本拠地を置く、Polymer Group,Inc.によって供給されるReemayである。支持層130は、セルロースおよびポリエステルなどの材料の組合せであることができる。いくつかの実施形態において、支持層130は金網である。他の材料は、確かに支持層130のために考慮される。
【0053】
支持層130は、1種またはそれ以上の結合材料を有することもできる。例えば、いくつかの実施形態において、支持層は、フェノール樹脂または他のいずれかの種類の結合剤によって飽和している。支持層130は、支持層130の特性を調整するための1種またはそれ以上の組成物で処理されることもできる。いくつかの実施形態において、支持層130は、約17g/m2~約200g/m2の基本重量を有する。支持層130は、一般に、10cfm~約1000cfmの空気透過性を有する。いくつかの実施形態において、支持層130は、約30cfmの空気透過性を有する。
【0054】
支持層130が、粒子濾過層110中の媒体繊維の平均径より大きい直径または断面を有する繊維を含むことができることは理解されるであろう。
【0055】
合体層120は、粒子濾過層110に連結している。支持層130は、合体層120に連結している。「連結する」という句は、それぞれの層が互いに対して固定されていることを意味するように意図される。いくつかの実施形態において、層は、濾過要素に接着することによって互いに対して固定されるか、または結合されていない。いくつかの実施形態において、それぞれの層は、一緒にラミネートされる。例えば、いくつかの実施形態において、低温結晶質ポリマー粉末は、多数の異なる濾過要素形状に容易に製造できる複合媒体を製造するように、一緒に層をラミネートするために使用される。接着ラミネーションまたは熱結合手段などの媒体層を一緒にラミネートする他の方法も、ウェブ接着剤、ホットメルトなどの使用によって可能である。いくつかの実施形態において、層は結合されていない。
【0056】
本明細書に開示される技術と一貫する、濾過材100は、種々の異なる形状を有することができる。少なくとも1つの実施形態において、濾過材100は、メルトブローン材料を含まない。濾過材100は、100g/m2~500g/m2、200g/m2~400g/m2、または250g/m2~350g/m2の基本重量を有することができる。濾過材100は、1.5psiで測定した場合、0.5mm~4mmまたは1mm~2mmの範囲の厚さを有する。一般に、合体層120の空気透過性は、粒子濾過層110の空気透過性より低いであろう。
【0057】
粒子濾過層110および合体層120の空気透過性は、一般に関連する。粒子濾過層110の空気透過性対合体層120の空気透過性の比率は、一般に、約3:1~約15:1であろう。粒子濾過層110の空気透過性対合体層120の空気透過性の比率が非常に大きいいくつかの例において、合体層120は、粒子状物質を相対的に速く装填し、合体層120が早々にもつれて、それによって適切な合体が阻害される。他方、粒子濾過層110の空気透過性対合体層120の空気透過性の比率が非常に小さい場合、微粒子濾過のために不適切な寿命がもたらされるであろう。
【0058】
得られる濾過材100の空気透過性および成分層のそれぞれの空気透過性は、燃料流から合体される遊離水液滴のサイズに対応することが可能である。合体する遊離水液滴が粗いとして特徴づけられる場合、濾過材100の空気透過性は比較的大きくなることが可能である。合体する遊離水液滴が乳化しているとして特徴づけられる場合、濾過材100の空気透過性は比較的小さくなることが可能である。いくつかの実施形態において、濾過材100は、1cfm~50cfmの範囲の透過性を有する。いくつかの実施形態において、濾過材100は、3cfm~20cfmの範囲の透過性を有する。いくつかの実施形態において、濾過材100は、5cfm~10cfmの範囲の透過性を有する。
【0059】
図2は、本明細書に開示される技術と一貫する濾過材の別の例を示す。本実施形態において、濾過材200は、上流の粒子濾過層212、粒子濾過層210の下流の合体層220および合体層220の下流の支持層230を有する。粒子濾過層210は、上流の媒体層212および下流の媒体層214を有する。いくつかの実施形態において、上流の媒体層212および下流の媒体層214は、異なる細孔径および細孔径分布などの互いに異なる特性を有することができる。一般に、粒子濾過層210の空気透過性は、本明細書中、その成分層212、214の全体的な得られる空気透過性に指すものとして理解されるであろう。
【0060】
本実施形態において、合体層は、合体材料222、224の2層を有し、そしていくつかの実施形態においては、合体材料の追加層があることも可能である。
【0061】
図2は、合体層220の複数の層および粒子濾過層210の複数の層がある実施形態を示すが、粒子濾過層が複数の層を有するいくつかの実施形態において、単層である合体層が存在することも可能であることは理解されるべきである。同様に、合体層内に単層があるいくつかの実施形態において、粒子濾過層内に複数の層があることも可能である。本明細書に記載される技術において、複数の支持層があることも可能であることは理解されるであろう。
【実施例0062】
試験結果
本明細書に開示される技術と一貫する濾過材のフラットシートを、当該技術において既知の比較濾過材に対して試験した。特に、本明細書に開示される技術と一貫する実施例濾過材は、ガラス繊維およびに成分ポリエステル結合剤繊維の上流粒子濾過層を有した。粒子濾過層は、上流媒体層が下流媒体層より高い空気透過性を有する、2つの媒体層から構成される。粒子濾過層の全空気量透過性は、約120cfmであった。比較濾過材は、燃料濾過に関する微粒子濾過のために最適化されると広く考えられる従来のメルトブローンポリエステルの粒子濾過層を有した。メルトブローンポリエステルは、約25cfmの空気透過性を有した。実施例濾過材(試料B)および比較濾過材(試料A)は、両方とも同一の合体および支持層を有した。合体層は、約10cfmの空気透過性を有する、アクリル樹脂と結合した極小ガラス媒体であった。支持層は、ナイロンシースによって実質的に連続的なポリエステル繊維を有した。媒体の層は両試料において結合していなかった。
【0063】
15μmの平均水液滴径の水-燃料乳濁液(超低硫黄ディーゼル燃料)を用いて媒体を挑戦し、次いで、媒体を出る水液滴の径を測定することによって、比較および実施例媒体の合体能力を比較した。より大きい液滴は、より小さい液滴よりも容易に燃料流を沈降するため、比較的より大きい水液滴を達成する合体が一般に好ましい。液滴径を測定し、そして次の粒径分布値に関して記載する:D3,10、D3,50およびD3,90。D3,10値は、燃料中の水の全体積の10%が、D3,10値より小さい液滴径を有する水液滴によって定義される直径を表す。D3,50値は、水の体積の約50%が、D3,50値より小さい直径を有し、かつ水の体積の約50%が、D3,50値より大きい直径を有する水液滴によって定義される平均液滴径を表す。同様に、D3,90値は、水の全体積の90%が、D3,90値より小さい直径を有する液滴によって定義される液滴径を表す。
【0064】
クリーンである場合、比較媒体(試料A)および実施例媒体(試料B)は、比較的同様に機能した。しかしながら、ダストが装填した場合、実施例濾過材は、差圧および燃料からの水の合体の両方について、比較媒体よりも良好に機能した。
【0065】
ダストを装填するために、既知量のISO媒体試験ダストを、超低硫黄ディーゼル燃料中で懸濁させ、これをそれぞれの試料媒体に通した。それぞれの媒体に100mgのダストを装填し、そして媒体全体の差圧を測定した。比較濾過材(試料A’)全体の差圧は、実施例濾過材(試料B’)のものの2倍であった。そのうえ、実施例媒体(試料B’)から出るD3,10水液滴は、残すという状態で、比較媒体(試料A’)の径の3倍以上であった。最後に、実施例濾過材には、その差圧が比較媒体のものとほぼ等しくなるまで、さらにISO媒体試験ダストが装填され、これには230mgのダストが必要とされ(試料B’’)、比較媒体(試料A’)のものの2倍以上であった。試料B’’から出る水液滴の径を測定し、そしてD3,10値は、比較媒体(試料A’)のものの2倍以上であった。以下の表1は、関連データを反映する。
【0066】
【0067】
ダスト装填媒体のD3,10値は、実施例濾過材を使用する場合、より小さい液滴として燃料中により少ない体積の水が乳化して残ることが実証されるため、実施例濾過材(試料B’およびB’’)の性能を比較媒体(試料A’)から区別する。この試験データは、実施例濾過材のD3,10液滴径の低下レートが、比較濾過材よりも低いことも示唆する。この試験データは、本明細書に開示される技術と一貫する媒体が、より高いダスト保持能力を有し、したがって、比較媒体よりも比較的長い濾過材寿命を有するであろうことを実証する。さらに、そして驚くべきことに、この試験データは、上記媒体が比較媒体と同じ圧力低下を示す場合(したがって、媒体が同範囲まで「ファウルする」場合)、実施例媒体の合体性能は、比較媒体よりも特に良好なままであることも実証する。
【0068】
本明細書および添付の請求項で使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、内容が明らかに他を示さない限り、複数形も含むことは留意すべきである。したがって、例えば、「化合物」を含有する組成物の言及は、2種以上の化合物の混合物を含む。「or」という用語は、内容が明らかに他を示さない限り、一般に、「and/or」を含む意味で利用されることも留意するべきである。
【0069】
本明細書の全ての出版物および特許出願は、本技術が関連する当業者のレベルを示す。全ての出版物および特許出願は、それぞれの個々の出版物および特許出願が、特に、そして個々に参照によって示される場合のように、同範囲まで参照によって本明細書に組み込まれる。
【0070】
本技術は、種々の特定の、かつ好ましい実施形態およびテクニックを参照して記載された。しかしながら、本技術の精神および範囲内に残りながら、多くの変更および修正がなされてよいことは理解されるべきである。