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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023055733
(43)【公開日】2023-04-18
(54)【発明の名称】タンクローリーの配管構造
(51)【国際特許分類】
   B67D 7/78 20100101AFI20230411BHJP
   B60P 3/22 20060101ALI20230411BHJP
【FI】
B67D7/78 D
B60P3/22 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003916
(22)【出願日】2023-01-13
(62)【分割の表示】P 2021118487の分割
【原出願日】2021-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】000187208
【氏名又は名称】昭和飛行機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(72)【発明者】
【氏名】天川 英樹
(72)【発明者】
【氏名】泉 昇太
(57)【要約】
【課題】荷下ろし後の残液絞りを不要にでき、かつ荷卸し時の誤操作による事故を防止できるタンクローリーの配管構造を提供する。
【解決手段】タンクローリーの配管構造1であって、タンクの底部に設けられた弁体である底弁17に接続された配管である集合管19と、集合管19の端部である連結部23から互いに異なる向きに分岐した配管であって荷卸しの際に貯蔵タンクに接続される複数の荷卸し配管25と、連結部23に設けられ複数の荷卸し配管25の開閉の切換を行う切換弁27と、切換弁27の駆動を制御する切換弁制御部を有する駆動制御手段と、貯蔵タンクに接続された荷卸し配管25を示す接続信号を切換弁制御部に送信する接続信号送信部とを備え、切換弁制御部は受信した接続信号にもとづき自動で切換弁27を駆動させて、貯蔵タンクに接続された荷卸し配管25を開放し他の荷卸し配管25を閉鎖する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンクローリーのタンク内に貯蔵された貨物である流体を前記タンクから外部の貯蔵タンクに移送する作業である荷卸しを行う際の貨物の流路であり、前記タンクに接続されるタンクローリーの配管構造であって、
前記タンクの底部に設けられた弁体である底弁に接続された配管である集合管と、
前記集合管の端部である連結部から互いに異なる向きに分岐した配管であって、前記荷卸しの際に前記貯蔵タンクに接続される複数の荷卸し配管と、
前記連結部に設けられ、複数の前記荷卸し配管の開閉の切換を行う切換弁と、
前記切換弁の駆動を制御する切換弁制御部を有する駆動制御手段と、
前記貯蔵タンクに接続された前記荷卸し配管を示す接続信号を前記切換弁制御部に送信する接続信号送信部とを備え、
前記切換弁制御部は、受信した前記接続信号にもとづき自動で前記切換弁を駆動させて、前記貯蔵タンクに接続された前記荷卸し配管を開放し、他の前記荷卸し配管を閉鎖することを特徴とするタンクローリーの配管構造。
【請求項2】
前記接続信号送信部は、前記荷卸し配管の吐出口と前記貯蔵タンクとの接続部にそれぞれ設置される検出端子を有する請求項1に記載のタンクローリーの配管構造。
【請求項3】
前記切換弁は、前記連結部における複数の前記荷卸し配管との接続部分に各々設けられた複数の二方弁であり、
前記駆動制御手段は、
複数の前記二方弁に各々設けられ前記二方弁を開閉するロータリアクチュエータと、
前記ロータリアクチュエータの駆動を制御する前記切換弁制御部を備え、
前記切換弁制御部は、
前記貯蔵タンクに接続された前記荷卸し配管を示す信号である前記接続信号を受信すると、前記接続信号が示す前記荷卸し配管を開閉する前記二方弁を開放し、他の前記荷卸し配管を開閉する前記二方弁を閉鎖するように前記ロータリアクチュエータを駆動する請求項1または2に記載のタンクローリーの配管構造。
【請求項4】
前記底弁の開閉を制御し、かつ前記接続信号を取得する底弁制御部と、
複数の前記荷卸し配管の実際の開閉状態を示す開閉情報を取得して前記底弁制御部に送信する開閉情報取得部を備え、
前記底弁制御部は、
前記開閉情報が示す実際の開閉状態が、前記接続信号が示す前記荷卸し配管が開放され、かつ他の前記荷卸し配管が閉鎖されているという条件を満たすか否かを判断し、条件を満たす場合は前記底弁を開き、条件を満たさない場合は前記底弁を閉鎖した状態を維持する又は前記底弁を閉鎖する請求項3に記載のタンクローリーの配管構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はタンクローリーの配管構造に関する。
【背景技術】
【0002】
タンクローリーは石油等の流体を貨物として運搬する車両であり、貨物を貯蔵するタンクと、運搬先の貯蔵タンクにタンク内の貨物を荷卸しする際に貨物が搬送される流路となる配管構造を荷台に搭載する。配管構造はタンクローリーのタンクと運搬先の貯蔵タンクを接続する荷卸し配管と呼ばれる配管を含む。一方で、荷下ろし先でタンクローリーが駐車した際に路面が車両の左右に傾斜していると、車両の左右両側に荷卸し配管を分岐させた場合、荷下ろし配管の一方が上方に、他方が下方に傾斜する。この状態で上方に傾斜した荷卸し配管から荷卸しを行うと荷卸し完了後も、下方に傾斜した側の荷卸し配管内に貨物が残液として貯留する。車両後部にも荷卸し配管を設けて荷卸しを行う場合、左右に分岐した荷卸し配管に貨物が流れ込んで残液が貯留する場合もある。残液を放置して残液と種類の異なる貨物をタンクに積み込むと、残液と貨物が配管構造中で混合するコンタミネーションと呼ばれる貨物汚染が生じる。そのため、残液を荷卸し配管から排出する残液絞りと呼ばれる作業が必要となり、作業員の負担になっていた。
【0003】
残液を減らす構造として、荷下ろし配管を下方に傾斜させ、傾斜面にタンクローリーが駐車しても水平面に対し荷卸し配管が下を向くようにして、荷卸し配管内の貨物の排出を促す構造がある(特許文献1)。しかし、この構造では荷卸しに使用しない荷卸し配管内に貨物が流入するのを防げないので残液を完全に無くすことは難しかった。
【0004】
そこで、荷卸し配管の分岐点に各々切換弁を設けた構造が知られている(特許文献2)。この構造では荷下ろし時に貯蔵タンクに接続する荷卸し配管の切換弁のみを開放し、荷下ろしに用いない他の荷卸し配管は切換弁を閉鎖して貨物が流れ込まないようにする。そのため、荷下ろし後に貨物が荷卸し配管内に残存せず、残液絞りが不要になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-137452号公報
【特許文献2】実公平03-15514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2に記載の技術は、荷下ろし配管が分岐している場合でも荷卸し後の残液絞りを不要にできる点で有用である。一方で特許文献2の構造では荷卸しの際に荷卸し配管の切換弁の開閉作業が必要になるため、荷下ろし時に切換弁の誤操作による貨物の流出等の事故を防止できる構造であれば、より好ましい。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、荷下ろし後の残液絞りを不要にでき、かつ荷卸し時の誤操作による事故を防止できるタンクローリーの配管構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明の一態様は、タンクローリーのタンク内に貯蔵された貨物である流体を前記タンクから外部の貯蔵タンクに移送する作業である荷卸しを行う際の貨物の流路であり、前記タンクに接続されるタンクローリーの配管構造であって、前記タンクの底部に設けられた弁体である底弁に接続された配管である集合管と、前記集合管の端部である連結部から互いに異なる向きに分岐した配管であって、前記荷卸しの際に前記貯蔵タンクに接続される複数の荷卸し配管と、前記連結部に設けられ、複数の前記荷卸し配管の開閉の切換を行う切換弁と、前記切換弁の駆動を制御する切換弁制御部を有する駆動制御手段と、前記貯蔵タンクに接続された前記荷卸し配管を示す接続信号を前記切換弁制御部に送信する接続信号送信部とを備え、前記切換弁制御部は、受信した前記接続信号にもとづき自動で前記切換弁を駆動させて、前記貯蔵タンクに接続された前記荷卸し配管を開放し、他の前記荷卸し配管を閉鎖することを特徴とする。
【0009】
この構成では、貯蔵タンクと荷卸し配管が接続されると、接続された荷卸し配管が開放されて貨物を流せるようになり、他の荷卸し配管が閉鎖されて貨物が流れ込まないようになる。
【0010】
よって、荷下ろし時に作業員が荷卸し配管を操作する作業が不要なので作業負担を増加させずに荷下ろし後の残液絞りを不要にでき、かつ荷卸し時に作業員が誤って貯蔵タンクと接続されていない荷卸し配管を開放する誤操作による事故を防止できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、荷下ろし後の残液絞りを不要にでき、かつ荷卸し時の誤操作による事故を防止できるタンクローリーの配管構造を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1の実施形態に係る配管構造を備えるタンクローリーの側面図である。
図2図1のタンクローリー及び地下に設けられた外部の貯蔵タンクを示す背面図である。
図3図1の配管構造の斜視図であり、切換弁制御部や接続信号送信部は記載を省略している。
図4図1の配管構造の変形例である。
図5図1の配管構造の機能ブロック図である。
図6】第1の実施形態に係る配管構造を用いた荷卸しの際の制御の手順を示すフロー図である。
図7】本発明の第2の実施形態に係る配管構造の機能ブロック図である。
図8】第2の実施形態に係る配管構造を用いた荷卸しの際の制御の手順を示すフロー図である。
図9】本発明の第3の実施形態に係る配管構造の機能ブロック図である。
図10】第3の実施形態に係る配管構造を用いた荷卸しの際の制御の手順を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に基づき本発明に好適な実施形態を詳細に説明する。
【0014】
最初に図1図5を参照して本発明の第1の実施形態に係る配管構造1を備えるタンクローリー3の概略構成を説明する。ここではタンクローリー3として、シャシ7にタンク13を搭載する単一車形式の車両としての移動タンク貯蔵所を例示する。
図1及び図2に示すようにタンクローリー3はシャシ7、タンク13、及び配管構造1を備える。
【0015】
シャシ7はタンクローリー3の車両としての骨格部分であり、例えば操舵輪である前輪9、駆動輪である後輪11、及び運転席やエンジンが搭載されるキャブ5等が設けられる。
【0016】
タンク13はタンクローリー3の貨物である流体を貯蔵する容器である。具体的な貨物としては、石油類、薬品類、食品類を例示できる。以下の説明では特に断りが無い限り、貨物としてガソリン、灯油、軽油、重油等の石油類や潤滑油等の油類をガソリンスタンド等の給油所等の地下に設置された図2に示す貯蔵タンク73に搬送する場合を例に第1の実施形態を説明する。
【0017】
タンク13は図2に示すように軸断面が楕円の円筒形状であり、円筒の軸がタンクローリー3の前後方向であるX方向を向いている。また図1に示すように円筒の両端が半球状に膨出している。図1に示すタンク13は円筒の軸に直交する楕円形の板状の仕切板14、16によってタンク室13a、13b、13cの3つの区画に分離されている。この構成では、タンク室13a、13b、13c内の貨物が他のタンク室の貨物と混合しないので、個々のタンク室に異種の貨物を搭載できる。また、貨物の容量がタンク13の容量よりも少ない場合は、タンク室13a、13b、13cの一部にのみ貨物を積載して、他のタンク室を空にすることもできる。
【0018】
図2ではタンク13の軸断面形状として楕円を例示しているが、貨物の搬送に必要なタンク容量を確保でき、かつ貨物を搭載できる強度を確保できるのであれば、楕円以外の形状でもよい。例えば軸断面の断面積を楕円よりも大きくしてタンク13の全長を短くするために、軸断面形状において、中心軸よりも下半分を楕円とし、上半分を角が丸い矩形にして上面を扁平にしてもよい。このような形状は変形楕円とも呼ばれる。
【0019】
また、図1ではタンク13をタンク室13a、13b、13cの3つの区画に分離した例を示しているが、タンク室の数はタンクローリー3の運転時の貨物の流動性、搬送する貨物の種類や荷卸しの際の作業性、タンク13の寸法を考慮して定義設定する。具体的なタンク室の数としては3室~9室程度を例示できる。
【0020】
タンク室13a、13b、13cはハッチ15a、15b、15cを最上部に備える。ハッチ15a、15b、15cは、貨物を搭載する際の入口となる開口及び開口を塞ぐ開閉式の扉で構成される。
【0021】
タンク13は底部に図示しない開口が設けられており、開口に底弁17が設けられている。よって底弁17はタンク13の底部に設けられる。図1ではタンク13がタンク室13a、13b、13cの3つの区画に区分されているので、タンク室13a、13b、13cの底部に図示しない開口が各々設けられており、開口に底弁17a、17b、17cが設けられる。底弁17a、17b、17cは開口を開閉する弁体であり、底弁17a、17b、17cを開放すると貨物がタンク室13a、13b、13cから放出される。
【0022】
配管構造1は、タンクローリー3のタンク13内に貯蔵された貨物である流体をタンク13から外部の貯蔵タンク73に移送する作業である荷卸しを行う際の貨物の流路であり、タンク13に接続される。
【0023】
より具体的には、図3図5に示すように配管構造1は集合管19、荷卸し配管25、切換弁27、及び駆動制御手段41を備える。
【0024】
集合管19は荷卸しの際に、タンク13を構成するタンク室13a、13b、13cから配管構造1に流入する貨物が最初に流入する管である。図3に示す集合管19は、荷下ろしの際にタンク室13a、13b、13cから配管構造1に流入する貨物を合流させて下流に送出する管であり、底弁17a、17b、17cに接続されている。集合管19は接続配管19a、上流側分岐配管19b、及び下流側分岐配管19cを備える。
【0025】
接続配管19aは底弁17a、17b、17cに直接接続される配管であり、図3に示すようにタンクローリー3の前後方向であるX方向に延在して、その上部に底弁17a、17b、17cが接続される。上流側分岐配管19b及び下流側分岐配管19cは接続配管19aと荷下ろし配管25を連結する配管である。上流側分岐配管19bは集合管19から分岐した配管であり、その上流側端部は集合管19の下方、ここでは底弁17aと底弁17bが設けられた部分の間の下方に接続される。上流側分岐配管19bの下流側端部はポンプ21における貨物の流入口に接続される。ポンプ21は荷卸しの際に貨物を加圧して流出を加勢する流体機械である。ポンプ21は荷卸しに必要な圧力を得られるのであれば、公知の遠心式、往復式、回転式のポンプを用いればよい。また、貨物は流体であるため、底弁17a、17b、17cを開放すると自重でもタンク室13a、13b、13cから配管構造1に流入する。そのため、荷下ろしの際にタンク室13a、13b、13cから配管構造1を介して所望の流速で貯蔵タンク73に貨物を自重で全て排出できる場合、ポンプ21は設けなくてもよい。
【0026】
下流側分岐配管19cはポンプ21と荷下ろし配管25を接続する配管であり、上流側の端部がポンプ21における貨物の流出口に接続される。下流側の端部は連結部23として、荷下ろし配管25が接続される。
【0027】
荷卸し配管25は荷卸しの際に図2に示す貯蔵タンク73に接続される配管であり、上流側端部が連結部23に接続され、下流側端部が、貯蔵タンク73に接続される吐出口29となる。図2に示す貯蔵タンク73は地下に埋設された容器を例示している。貯蔵タンク73は、貨物の流入口である地下配管71で地上と連通しており、地下配管71の上流側端部である注油口75が地上に露出している。
【0028】
荷下ろしの際は図2に示すように、地下配管71の注油口75と荷卸し配管25の吐出口29がホース61を介して接続される。これによりタンク13が配管構造1及びホース61を介して貯蔵タンク73に接続される。この際、タンクローリー3は路面83において、吐出口29と注油口75をホース61で連結できる位置に駐車する。
【0029】
図3に示すように荷卸し配管25は下流側端部である吐出口29に吐出弁31を備える。吐出弁31は吐出口29を閉鎖する弁体である。
【0030】
図3では荷卸し配管25として、集合管19の下流側分岐配管19cに設けられた連結部23から、互いに異なる向きに分岐した複数の荷卸し配管25a、25b、25cを例示している。
【0031】
具体的には荷卸し配管25a、25bは、連結部23からタンクローリー3の左右に分岐してタンクローリー3の左右両側に吐出口29a、29bが配置されている。より具体的にはタンクローリー3の右側に荷卸し配管25aが分岐して、タンクローリー3の右側に吐出口29aが配置される。また、タンクローリー3の左側に荷卸し配管25bが分岐して、タンクローリー3の左側に吐出口29bが配置される。
【0032】
このように、タンクローリー3の左右両側に吐出口29a、29bを各々配置することで、吐出口29a、29bの一方に貯蔵タンク73を接続すれば荷卸しができるため、タンクローリー3の左右どちら側からでも荷卸しができる。
【0033】
荷卸し配管25が分岐する向きは、互いに異なる向きであれば、左右以外の向きにさらに分岐させてもよい。例えば図3では連結部23から、さらにタンクローリー3の後方に向けて荷卸し配管25cが分岐してタンクローリー3の後端に吐出口29cが配置されている。
【0034】
このように荷卸し配管25をタンクローリー3の左右に加えて後方にも分岐させることで、タンクローリー3の後端の吐出口29に貯蔵タンク73の注油口75を接続すればタンクローリー3の後端からでも荷卸しができる。
【0035】
荷卸し配管25a~25cはいずれも構造は同じであり、下流側端部である先端に各々、吐出口29としての吐出口29a~29c及び吐出弁31としての吐出弁31a~31cを備える。荷卸し配管25a~25cの上流側端部は連結部23に接続される。ただし、荷卸し配管25a~25cの長さは互いに異なる場合がある。例えば図3では荷卸し配管25a、25bよりも荷卸し配管25cの方が長い。これは連結部23からタンクローリー3の後端までの距離が、連結部23からタンクローリー3の左右両端までの距離よりも長いためである。
【0036】
荷卸し配管25は互いに異なる向きに連結部23から分岐していればよいので、図4に示すように左右にのみ分岐しても良い。
【0037】
図3に示すように左右と後方に荷卸し配管25を分岐させるか、図4に示すように左右にのみ荷卸し配管25を分岐させるか、いずれの構成を採用するかは、各々の利点を考慮して適宜選択すればよい。例えば図3に示すように左右と後方に分岐させる場合、タンクローリー3の左右と後方から荷卸しができるため、荷下ろしの際の作業性の点で有利である。一方で図4に示すように左右にのみ分岐させる場合、左右と後方に分岐させる場合と比べて荷下ろし配管25の数が少なくなるため、コストが低くなり、設置スペースも小さくなる点で有利である。以下の説明では特に断りが無い限り、図3に示すように左右と後方に荷卸し配管25を分岐させる場合を例に本実施形態を説明する。
【0038】
荷卸し配管25a~25cは、水平に配置してもよいが、図3に示すように連結部23から吐出口29に向けて下方に傾斜して配置されるのが好ましい。下方に傾斜して配置することで、タンクローリー3が駐車した路面83に勾配があった場合でも、水平面に対する荷卸し配管25a~25cの傾斜角が俯角である限りは吐出口29a~29cが下を向く。そのため、荷卸しの際に荷卸し配管25a~25c内の傾斜する向きに沿って自重で荷卸し配管25a~25cから貨物が排出されるため、水平に配置する場合と比べて残液が生じにくくなる。
【0039】
荷卸し配管25a~25cの傾斜角は大きくなるほど、路面83の勾配が大きくても吐出口29a~29cが下を向くようになるが、傾斜角が大きすぎると配管構造1の設置に要する鉛直方向、ここではZ方向のスペースが大きくなる。そのため、タンクローリー3が駐車することが想定される路面83の勾配と、配管構造1を設置する鉛直方向のスペースとの兼ね合いで荷卸し配管25a~25cの傾斜角を適宜設定する。
【0040】
切換弁27は荷卸し配管25と集合管19の接続部分の開閉の切換を行う弁体であり、連結部23に設けられる。図3では切換弁27として、連結部23における、荷卸し配管25a~25cの上流側端部との接続部分に設けられた二方弁27a~27cを例示している。具体的には、二方弁27aは連結部23における、荷卸し配管25aの上流側端部との接続部分に設けられる。二方弁27bは連結部23における、荷卸し配管25bの上流側端部との接続部分に設けられる。二方弁27cは連結部23における、荷卸し配管25cの上流側端部との接続部分に設けられる。
【0041】
この構成では、二方弁27aが開放されると集合管19と荷卸し配管25aが開通し、集合管19から荷卸し配管25aに貨物が流入可能になる。二方弁27aが閉鎖されると集合管19と荷卸し配管25aの間が閉鎖され、集合管19から貨物を荷卸し配管25aに流そうとしても、二方弁27aで止められる。同様に、二方弁27bが開放されると集合管19と荷卸し配管25bが開通し、二方弁27bが閉鎖されると集合管19と荷卸し配管25bの間が閉鎖される。二方弁27cが開放されると集合管19と荷卸し配管25cが開通し、二方弁27cが閉鎖されると集合管19と荷卸し配管25cの間が閉鎖される。
【0042】
図5に示す駆動制御手段41は二方弁27a~27cを駆動し、かつその駆動を制御する手段である。駆動制御手段41は、荷下ろしの際に貯蔵タンク73に1つの荷卸し配管25が接続されると、接続された荷卸し配管25からの荷卸しを可能とするため、接続された荷卸し配管25を開放するように切換弁27を駆動する。また、接続されていない荷卸し配管25に貨物が流れ込まないように、他の荷卸し配管25を閉鎖するように切換弁27を駆動する。
【0043】
具体的には、荷下ろしの際に貯蔵タンク73に1つの吐出口29が接続されると、接続された吐出口29を備える荷卸し配管25を開放し、他の荷卸し配管25を閉鎖するように切換弁27を駆動する。
【0044】
例えば荷下ろしの際に貯蔵タンク73に吐出口29bが接続されると、接続された吐出口29bを備える荷卸し配管25bの二方弁27bを開放し、荷卸し配管25aの二方弁27a、及び荷卸し配管25cの二方弁27cを閉鎖する。
【0045】
このように、配管構造1は、貯蔵タンク73と荷卸し配管25が接続されると、接続された荷卸し配管25のみが開放されて貨物を流せるようになり、他の荷卸し配管25が閉鎖されて貨物が流れ込まないようになる。
【0046】
そのため、荷下ろし時に作業員が切換弁27を操作する作業が不要になるので作業負担を増加させずに荷下ろし後の残液絞りを不要にできる。また荷卸し時に作業員が誤って貯蔵タンク73と接続されていない荷卸し配管25を開放する誤操作を防止でき、誤操作による貨物の流出等の事故を防止できる。
【0047】
駆動制御手段41としては図5に示すようにロータリアクチュエータ43a~43c、及び切換弁制御部51を備える構造を例示できる。
【0048】
ロータリアクチュエータ43a~43cは二方弁27a~27cを回転させることで開閉する駆動機構であり、空気圧アクチュエータを例示できるが、電動式でもよい。
【0049】
図3及び図5に示すように、ロータリアクチュエータ43aは二方弁27aに接続されてこれを開閉し、ロータリアクチュエータ43bは二方弁27bに接続されてこれを開閉する。ロータリアクチュエータ43cは二方弁27cに接続されてこれを開閉する。
【0050】
切換弁制御部51はロータリアクチュエータ43a~43cの駆動を制御する装置である。ロータリアクチュエータ43a~43cが駆動する二方弁27a~27cは「開」と「閉」の2つの状態を少なくとも維持する必要がある。よって、切換弁制御部51はロータリアクチュエータ43a~43cの位相を少なくとも「開」と「閉」に対応した2通りに維持する。ロータリアクチュエータ43a~43cが空気圧アクチュエータの場合、切換弁制御部51としては、空気圧回路を介してロータリアクチュエータ43a~43cと接続される制御弁等を有する制御機器を例示できる。ロータリアクチュエータ43a~43cが電気式の場合、切換弁制御部51としては、ロータリアクチュエータ43a~43cと電気的に接続されたコンピュータを例示できる。切換弁制御部51はタンクローリー3に設置される。具体的な設置位置はタンクローリー3の走行や荷卸しの妨げにならない位置であればよいが、荷卸し配管25の近傍に設けられるのが好ましい。これは、切換弁制御部51は荷卸し配管25の開閉を制御する装置であるため、荷卸し配管25の近くに設けた方が荷卸し中の作業員が切換弁制御部51の動作を確認する等の理由で切換弁制御部51にアクセスする際に、アクセスが容易であるためである。
【0051】
切換弁制御部51は、貯蔵タンク73に接続された荷卸し配管25を示す信号である接続信号を受信すると、接続信号が示す荷卸し配管25を開閉する切換弁27を開放するようにロータリアクチュエータ43の駆動を制御する。一方で他の荷卸し配管25を開閉する切換弁27を閉鎖するようにロータリアクチュエータ43の駆動を制御する。
【0052】
例えば、受信した接続信号が荷卸し配管25aを示す信号である場合、切換弁制御部51は、接続信号が示す荷卸し配管25aを開閉する二方弁27aを開放するようにロータリアクチュエータ43の駆動を制御する。一方で他の荷卸し配管25b、25cを開閉する二方弁27b、27cを閉鎖するようにロータリアクチュエータ43の駆動を制御する。
【0053】
なお接続信号は貯蔵タンク73と接続された荷卸し配管25を特定できる信号であればよい。そのため貯蔵タンク73と接続された吐出口29を示す信号でもよい。
【0054】
この構成では、切換弁27としての二方弁27a~27cにロータリアクチュエータ43a~43cを設けた簡易な構造で作業負担を増加させずに荷下ろし後の残液絞りを不要にできる。また切換弁制御部51がロータリアクチュエータ43a~43cを駆動するので、荷卸し時に貯蔵タンク73と接続されていない荷卸し配管25a~25cを開閉する二方弁27a~27cを作業者が誤って開放することはない。
【0055】
図5では接続信号を送信する送信機として接続信号送信部47を例示している。接続信号送信部47としてはタンクローリー3に設置されたコンタミ防止装置が挙げられる。
【0056】
コンタミ防止装置は、貯蔵タンク73が貯蔵する油種と異なる油をタンクローリー3が貯蔵タンク73に荷卸しするのを防止する装置である。具体的には貯蔵タンク73と荷卸し配管25が接続された場合、貯蔵タンク73が貯蔵する油種と、接続された荷卸し配管25を介してタンクローリー3から荷卸しされる油種が一致した場合にのみ底弁17a~17cを開く装置である。
【0057】
コンタミ防止装置が油種の一致/不一致を判定するためには、貯蔵タンク73と荷卸し配管25が接続されている必要があるため、コンタミ防止装置は貯蔵タンク73と荷卸し配管25が接続されたか否かを検出する機能を有する。そのため接続信号送信部47としてコンタミ防止装置を利用できる。具体的には貯蔵タンク73と荷卸し配管25の接続をコンタミ防止装置が検出した場合に、接続した荷卸し配管25を示す情報を接続信号として切換弁制御部51がコンタミ防止装置から取得すればよい。
【0058】
ただし、接続信号送信部47は貯蔵タンク73と荷卸し配管25の接続を検出して、接続された荷卸し配管25を示す情報を接続信号として切換弁制御部51に送信できる構造であればよい。このような構造を有する装置としては、貯蔵タンク73と吐出口29との接続部に接続を検出する検出端子を各々設けて、端子同士が接触した場合に接続信号を接続信号送信部47に送信する装置でもよい。
以上が第1の実施形態に係る配管構造1を備えるタンクローリー3の概略構成の説明である。
【0059】
次に第1の実施形態に係る配管構造1を用いた荷卸しの手順について、タンクローリー3が貯蔵タンク73にタンク13内の貨物を荷卸しする場合を例に説明する。
【0060】
まず、荷卸しの際にタンクローリー3の運転手や荷卸しの作業員が行う操作について、図2を参照して説明する。
【0061】
荷卸しの際には貯蔵タンク73と荷卸し配管25とを接続する必要がある。より具体的には図2に示すように貯蔵タンク73の地下配管71の注油口75と、タンクローリー3の吐出口29a~29cのいずれかを、ホース61を介して接続する必要がある。そこでまず、貯蔵タンク73の地下配管71の注油口75と吐出口29a~29cのいずれかを、ホース61を介して接続できる位置でタンクローリー3を運転手が駐車する。具体的には、注油口75と吐出口29a~29cのいずれかとの距離がホース61の長さ以下の位置でタンクローリー3を駐車して輪留め等で駐車位置を固定する。図2では注油口75と吐出口29bの距離がホース61の長さ以下の位置でタンクローリー3を駐車している。
【0062】
次に、荷下ろしの作業員、例えばタンクローリー3の運転手が貯蔵タンク73の地下配管71の注油口75と、タンクローリー3の荷卸し配管25の吐出口29とを、ホース61を介して接続する。例えば図2の矢印Aに示すようにホース61の下流側端部65と注油口75を接続し、図2の矢印Bに示すようにホース61の上流側端部63と吐出口29bを接続する。これにより、貯蔵タンク73と荷卸し配管25が接続される。この際、接続信号送信部47は貯蔵タンク73と接続された荷卸し配管25を示す信号を接続信号として切換弁制御部51に送信する。
以上が荷卸しの際のタンクローリー3の運転手及び荷卸しの作業員の操作の説明である。
次に荷卸しの際の切換弁制御部51の制御の手順の一例について、図6を参照して説明する。
【0063】
まず切換弁制御部51は貯蔵タンク73に荷卸し配管25a~25cのいずれかが接続されたか否かを接続信号送信部47から送信された接続信号から判断し、接続されたと判断した場合はS2に進む。貯蔵タンク73に荷卸し配管25a~25cのいずれも接続されていないと判断した場合はリターンする(図6のS1)。
【0064】
S1で荷卸し配管25a~25cのいずれかが貯蔵タンク73に接続されたと判断した場合、切換弁制御部51は、貯蔵タンク73に接続された荷卸し配管25を開放し、他の荷卸し配管を閉鎖する(図6のS2)。具体的には荷卸し配管25bが貯蔵タンク73に接続されている場合、荷卸し配管25bを開閉する二方弁27bを開放するようにロータリアクチュエータ43bの駆動を制御する。一方で、荷卸し配管25a、25cを開閉する二方弁27a、27cを閉鎖するようにロータリアクチュエータ43a、43cの駆動を制御する。これにより、貯蔵タンク73に接続された荷卸し配管25bのみが開放され、貯蔵タンク73に接続されていない荷卸し配管25a、25cが閉鎖される。以上が荷卸しの際の切換弁制御部51の制御の手順の一例の説明である。
【0065】
その後はコンタミ防止装置等が貯蔵タンク73に貯蔵された油種と、タンクローリー3のタンク13に貯蔵された油種が一致するかを検出し、一致する場合は底弁17a~17cを開く。さらに、貯蔵タンク73に接続された荷卸し配管25の吐出弁31を手動又は切換弁制御部51やコンタミ防止装置の制御で開放する。これにより、タンク13のタンク室13a~13cに貯蔵された油が接続配管19a、上流側分岐配管19b、ポンプ21、下流側分岐配管19c、荷下ろし配管25b、ホース61、及び地下配管71を介して貯蔵タンク73に流入し、貯蔵される。この際、ポンプ21を駆動することで油を加圧して流入を加勢してもよい。
【0066】
予め定められた所定量以上の油、例えばタンク13内の全ての油が貯蔵タンク73に貯蔵されると、荷下ろしは終了となる。荷卸しが終了となるとコンタミ防止装置等の底弁17a~17cの開閉を制御する装置が底弁17a~17cを閉鎖する。その後、切換弁制御部51は二方弁27a~27cの全てを閉鎖する。さらに、すべての吐出弁31を手動又は切換弁制御部51やコンタミ防止装置の制御で閉鎖する。
以上が第1の実施形態に係る配管構造1を用いた荷卸しの手順の説明である。
【0067】
このように第1の実施形態の配管構造1は集合管19、荷卸し配管25、切換弁27、及び駆動制御手段41を備える。駆動制御手段41は貯蔵タンク73と1つの荷卸し配管25が接続されると、接続された荷卸し配管25のみを開放し、他の荷卸し配管25を閉鎖するように切換弁27を駆動する。
【0068】
この構成では貯蔵タンク73と荷卸し配管25が接続されると、接続された荷卸し配管25が開放されて貨物を流せるようになり、他の荷卸し配管25が閉鎖されて貨物が流れ込まないようになる。
【0069】
そのため、作業員が切換弁27を操作する作業が不要になり、作業負担を増加させずに荷下ろし後の残液絞りを不要にでき、かつ荷卸し時に誤って貯蔵タンク73と接続されていない荷卸し配管25を開放する誤操作を防止できる。
【0070】
次に第2の実施形態に係る配管構造1aについて図3図7及び図8を参照して説明する。第2の実施形態は、第1の実施形態において、切換弁27の操作を手動とし、切換弁27の開閉状態に基づき底弁17a、17b、17cの開閉を底弁制御部55が制御する構成にしたものである。なお、第2の実施形態において、第1の実施形態と同様の機能を果たす要素については同一の番号を付し、主に第1の実施形態と異なる部分について説明する。
まず第2の実施形態に係る配管構造1aの構成について図3及び図7を参照して説明する。
【0071】
第2の実施形態に係る配管構造1aは図3に示す配管構造1と同様に集合管19、荷卸し配管25、及び切換弁27を備える。一方で配管構造1aは切換弁27を手動で操作する構成なので、ロータリアクチュエータ43a~43c及び切換弁制御部51を有さず、これらの替わりに図7に示す切換ハンドル81a、81b、81cを備える。切換ハンドル81a、81b、81cは二方弁27a、27b、27cに各々取り付けられた手動のハンドル式開閉弁機構であり、作業員のハンドル操作により二方弁27a、27b、27cを手動で開閉する。
また、図7に示すように配管構造1aは底弁制御部55及び開閉情報取得部53a~53cを備える。
【0072】
底弁制御部55は底弁17a~17cの開閉を制御する装置であり、底弁17a~17cを開閉する図示しないアクチュエータと接続され、図示しないアクチュエータを駆動することで底弁17a~17cの開閉を制御する。底弁制御部55は、さらに接続信号送信部47から接続信号を取得するようにも構成されている。
【0073】
底弁制御部55は例えばコンタミ防止装置の制御部である。コンタミ防止装置は貯蔵タンク73と荷卸し配管25が接続された場合、貯蔵タンク73が貯蔵する油種と、接続された荷卸し配管25を介してタンクローリー3から荷卸しされる油種が一致した場合にのみ底弁17a~17cを開く装置である。そのためコンタミ防止装置は底弁17a~17cの開閉制御を必然的に行うので、底弁制御部55として用いることができる。
【0074】
開閉情報取得部53a~53cは、複数の荷卸し配管25である荷卸し配管25a~25cの実際の開閉状態を示す開閉情報を取得して底弁制御部55に送信する装置である。より具体的には開閉情報取得部53a~53cは、切換弁27としての二方弁27a~27cの実際の開閉状態を示す開閉情報を取得して底弁制御部55に送信する装置であり、底弁制御部55と電気的に接続される。
【0075】
図7では開閉情報取得部53aが二方弁27a、つまり荷卸し配管25aの開閉情報を取得する。開閉情報取得部53bが二方弁27b、つまり荷卸し配管25bの開閉情報を取得する。開閉情報取得部53cが二方弁27c、つまり荷卸し配管25cの開閉情報を取得する。
【0076】
具体的な開閉情報取得部53aの構成としては、作業員が自分で開閉した二方弁27a~27cの実際の開閉状態を、作業員自身が手動で入力する構成が挙げられる。この構成では、開閉情報取得部53a~53cは、二方弁27a~27cの実際の開閉状態に対応したリミットスイッチ等のОN/OFF機構を各々が備えている。二方弁27aを開放して二方弁27b、27cを閉鎖した場合、作業員は二方弁27aに対応した開閉情報取得部53aのリミットスイッチをONにし、二方弁27b、27cに対応した開閉情報取得部53b、53cのリミットスイッチをOFFにする。さらに、開閉情報取得部53a~53cは、リミットスイッチのON/OFF情報を開閉情報として底弁制御部55に送信する構成にすればよい。
【0077】
ただし、開閉情報取得部53a~53cは、二方弁27a~27cの実際の開閉状態を示す開閉情報を取得して底弁制御部55に送信できるのであれば、例えば二方弁27a~27cの実際の開閉状態を自動で検出するバルブセンサ等でもよい。
【0078】
底弁制御部55は接続信号を受信した場合、開閉情報が示す開閉状態が、接続信号が示す、貯蔵タンク73に接続された荷卸し配管25が開放され、かつ他の荷卸し配管25が閉鎖されているという条件を満たすか否かを判断する。条件を満たす場合は底弁17a~17cを開放し、条件を満たさない場合は底弁17a~17cを閉鎖する。なお、荷下ろしを開始する前は底弁17a~17cが閉鎖されているため、条件を満たさないと判定した時点では、通常は底弁17a~17cが閉鎖されているが、この場合は底弁17a~17cを閉鎖した状態を維持する。
【0079】
例えば、接続信号が荷卸し配管25aを示す情報であった場合、荷卸し配管25aが貯蔵タンク73に接続されている。そのため、荷下ろしを行うためには荷卸し配管25aが開放されている必要があり、そのためには二方弁27aが開放されている必要がある。一方で荷卸し配管25b、25cは閉鎖されている必要があり、そのためには二方弁27b、27cが閉鎖されている必要がある。しかしながら例えば作業員の作業ミスで二方弁27aが閉鎖された場合、荷卸し配管25aが開放されないので底弁17a~17cを開放しても荷下ろしができない。また作業員の作業ミスで二方弁27b、27cが開放された場合、底弁17a~17cを開放すると、貯蔵タンク73に接続されていない荷卸し配管25b、25cに油が流入する。
【0080】
そこで、底弁制御部55は、貯蔵タンク73に接続された荷卸し配管25から荷卸しを行うために必要な切換弁27の開閉条件と、切換弁27の実際の開閉状態が一致しない場合は底弁17a~17cを閉鎖する。
【0081】
この構成では、切換弁27の故障や誤操作で、開放すべき切換弁27が開放されてない場合に底弁17a~17cを開放しても荷卸しが始まらないという事故の発生を防止できる。また、切換弁27の故障や誤操作で、閉鎖すべき切換弁27が開放されている場合に貯蔵タンク73と接続されていない荷卸し配管25に油が流入して、流入した荷卸し配管25の残油絞りの必要が生じたり、貨物が流出したりする事故を防止できる。
以上が第2の実施形態に係る配管構造1aの構成の説明である。
【0082】
次に第2の実施形態に係る配管構造1aを用いた荷卸しの手順について、タンクローリー3が貯蔵タンク73にタンク13内の貨物を荷卸しする場合を例に説明する。
【0083】
まず、荷卸しの際にタンクローリー3の運転手や荷卸しの作業員が行う操作について、図2を参照して説明する。
【0084】
最初に第1の実施形態と同様に、貯蔵タンク73の地下配管71の注油口75と、タンクローリー3の吐出口29a~29cのいずれかを、ホース61を介して接続できる位置でタンクローリー3を運転手が駐車する。
【0085】
次に、荷下ろしの作業員が貯蔵タンク73の地下配管71の注油口75と吐出口29a~29cのいずれかを、ホース61を介して接続する。これにより、貯蔵タンク73と荷卸し配管25が接続される。なお、接続信号送信部47は貯蔵タンク73と荷卸し配管25が接続されると、接続された荷卸し配管25を示す信号を接続信号として底弁制御部55に送信する。コンタミ防止装置のように、底弁制御部55が接続信号送信部47を兼ねる場合は底弁制御部55が接続信号を取得する。
【0086】
次に、荷下ろしの作業員が貯蔵タンク73と接続された荷卸し配管25の切換弁27を手動で開放し、貯蔵タンク73と接続されていない荷卸し配管25の切換弁27を手動で閉鎖する。
以上が荷卸しの際のタンクローリー3の運転手及び荷卸しの作業員の操作の説明である。
次に荷卸しの際の底弁制御部55の制御の手順について図8を参照して説明する。
【0087】
まず、底弁制御部55は接続信号から、貯蔵タンク73に荷卸し配管25a~25cのいずれかが接続されたか否かを判断し、接続されたと判断した場合はS12に進み、接続されていないと判断した場合はS15に進む(図8のS11)。
【0088】
S11で貯蔵タンク73に荷卸し配管25a~25cのいずれかが接続されたと判断した場合、底弁制御部55は荷卸し配管25の開閉情報を取得する(図8のS12)。
【0089】
次に底弁制御部55は開閉情報が示す実際の開閉状態が、接続信号が示す荷下ろし配管25が開放され、かつ他の荷卸し配管25が閉鎖されているという条件を満たすか否かを判断する(図8のS13)。条件を満たすと判断した場合はS14に進み、条件を満たさないと判断した場合はS15に進む。
【0090】
S13で条件を満たすと判断した場合、底弁制御部55は底弁17a~17cを開く(図8のS14)。さらに、貯蔵タンク73に接続された荷卸し配管25の吐出弁31が開放されると、タンク室13a~13cに貯蔵された油が配管構造1a、ホース61、及び地下配管71を介して貯蔵タンク73に流入し、貯蔵される。
【0091】
S11で荷卸し配管25a~25cのいずれも貯蔵タンク73に接続されていないと判断した場合、底弁制御部55は底弁17a~17cを閉鎖する(図8のS15)。既に底弁17a~17cを閉鎖している場合は底弁17a~17cを閉鎖した状態を維持する。S13で条件を満たさないと判断した場合も底弁制御部55は底弁17a~17cを閉鎖する(図8のS15)。既に底弁17a~17cが閉鎖している場合は閉鎖した状態を維持する。
以上が荷卸しの際の底弁制御部55の制御の手順の説明である。
【0092】
このように第2の実施形態によれば、配管構造1aが集合管19、荷卸し配管25、切換弁27、底弁制御部55、及び開閉情報取得部53a~53cを備える。
【0093】
この構成では貯蔵タンク73に接続された荷卸し配管25から荷卸しを行うために必要な切換弁27の開閉条件と、切換弁27の実際の開閉状態が一致しない場合は底弁17a~17cが閉鎖される。
【0094】
そのため、荷下ろしの際の切換弁27の操作を手動で行う場合に、開閉する切換弁27を間違えた場合でも、貯蔵タンク73と接続されていない荷卸し配管25に貨物が流入する事故を防止できる。よって流入した荷卸し配管25の残油絞りの必要が生じたり、貨物が流出したりする事故を防止できる。また、底弁17a~17cを開放しても荷卸しが始まらないといった事故の発生も防止できる。
【0095】
次に、第3の実施形態について、図3図9及び図10を参照して説明する。第3の実施形態は第1の実施形態に第2の実施形態を組み込んだものである。
【0096】
なお、第3の実施形態において、第1及び第2の実施形態と同様の機能を果たす要素については同一の番号を付し、主に第1及び第2の実施形態と異なる部分について説明する。
最初に第3の実施形態に係る配管構造1bの構成について図3及び図9を参照して説明する。
【0097】
図3及び図9に示すように第3の実施形態に係る配管構造1bは第1の実施形態に係る配管構造1と同様の集合管19、荷卸し配管25、切換弁27、及び駆動制御手段41を備える。
【0098】
一方で配管構造1bは、図9に示すように第2の実施形態に係る配管構造1bと同様の底弁制御部55及び開閉情報取得部53a~53cも備える。
【0099】
配管構造1bは、荷卸し配管25a~25cのいずれかが貯蔵タンク73に接続された場合に、第1の実施形態と同様に、接続された荷卸し配管25から荷卸しを行うために必要な切換弁27の開閉を切換弁制御部51が行う。
【0100】
配管構造1bは、第2の実施形態と同様に、貯蔵タンク73に接続された荷卸し配管25から荷卸しを行うために必要な切換弁27の開閉条件と、切換弁27の実際の開閉状態が一致しない場合は底弁制御部55が底弁17a~17cを閉鎖する制御も行う。
【0101】
このように第3の実施形態において、第1の実施形態と第2の実施形態の両方の制御を行う理由は以下の通りである。
【0102】
第1の実施形態のように、貯蔵タンク73に接続された荷卸し配管25から荷卸しを行うために必要な切換弁27の開閉を切換弁制御部51が自動で行う場合、切換弁27の開閉操作を誤ることはないはずである。
【0103】
一方で、切換弁27やロータリアクチュエータ43が故障したり、連結部23に異物が混入して切換弁27に付着して切換弁27が動かなくなったりすると、切換弁制御部51の指示通りに切換弁27が開閉できなくなる場合がある。
【0104】
そこで、第3の実施形態では、第2の実施形態と同様に、貯蔵タンク73に接続された荷卸し配管25から荷卸しを行うために必要な切換弁27の開閉条件と、実際の開閉状態が一致しない場合は底弁17a~17cを閉鎖する。これにより、切換弁制御部51の指示通りに切換弁27が開閉できない場合にタンク13内の油が荷卸しに使用しない荷卸し配管25に流出する等の事故を防止できる。
以上が、第3の実施形態において、第1の実施形態と第2の実施形態の両方の制御を行う理由である。
【0105】
なお、第3の実施形態において開閉情報取得部53a~53cは、二方弁27a~27cの実際の開閉状態を自動で検出するバルブセンサ等が好ましい。理由は以下の通りである。第3の実施形態では貯蔵タンク73に接続された荷卸し配管25から荷卸しを行うために必要な切換弁27の開閉を切換弁制御部51が自動で行うため、作業員が切換弁27の開閉を手動で行わない。そのため、実際の開閉状態を作業員が知らないこともあるため、開閉情報取得部53a~53cは二方弁27a~27cの実際の開閉状態を自動で検出するのが好ましい。ただし、作業員が二方弁27a~27cの実際の開閉状態を目視等で確認できるのであれば、開閉情報取得部53a~53cは、リミットスイッチ等の手動のОN/OFF機構を備える装置でもよい。
【0106】
切換弁制御部51による制御と底弁制御部55による制御は、独立した制御としてもよい。この場合、第3の実施形態に係る配管構造1bにおいて、荷下ろし時の切換弁制御部51の動作は図6に記載した通りであり、荷下ろし時の底弁制御部55の動作は図8に記載した通りである。
【0107】
一方で、第3の実施形態における底弁制御部55による制御は切換弁制御部51による切換弁27の開閉制御が意図した通りになっているかを判定する制御である。そのため、切換弁制御部51が切換弁27の開閉制御を行った後で底弁制御部55による制御を開始してもよい。具体的には、切換弁制御部51と底弁制御部55を別の装置とする場合、切換弁制御部51が切換弁27の開閉操作を行った場合、開閉操作が終了したことを示す情報を底弁制御部55に送信し、この情報を受信してから底弁制御部55の動作を開始してもよい。このような情報を以下の説明では開閉操作終了情報と称す。なお、切換弁制御部51と底弁制御部55は別々の装置であってもよいし、1つの装置が切換弁制御部51と底弁制御部55の両方の機能を備えてもよい。
以上が第3の実施形態に係る配管構造1bの構成の説明である。
次に、第3の実施形態に係る配管構造1bを用いた荷卸しの際の制御の手順の一例を説明する。
【0108】
まず、荷卸しの際にタンクローリー3の運転手や荷卸しの作業員が行う操作について、図2を参照して説明する。
【0109】
最初に第1の実施形態と同様に貯蔵タンク73の地下配管71の注油口75と、タンクローリー3の吐出口29a~29cのいずれかを、ホース61を介して接続できる位置でタンクローリー3を運転手が駐車する。
【0110】
次に、荷下ろしの作業員が貯蔵タンク73の地下配管71の注油口75と吐出口29a~29cのいずれかをホース61を介して接続する。これにより、貯蔵タンク73と荷卸し配管25が接続される。なお、接続信号送信部47は貯蔵タンク73と荷卸し配管25が接続されると、接続された荷卸し配管25を示す信号を接続信号として底弁制御部55に送信する。コンタミ防止装置のように、底弁制御部55が接続信号送信部47を兼ねる場合は底弁制御部55が接続信号を取得する。
以上が荷卸しの際のタンクローリー3の運転手及び荷卸しの作業員の操作の説明である。
【0111】
次に荷卸しの際の切換弁制御部51及び底弁制御部55の制御の手順の一例について、図10を参照して説明する。
【0112】
まず切換弁制御部51は貯蔵タンク73に荷卸し配管25a~25cのいずれかが接続されたか否かを接続信号送信部47から送信された接続信号から判断し、接続されたと判断した場合はS22に進む。貯蔵タンク73に吐出口29a~29cのいずれも接続されていないと判断した場合はリターンする(図10のS21)。
【0113】
S21で貯蔵タンク73に荷卸し配管25a~25cのいずれかが接続されたと判断した場合、切換弁制御部51は、貯蔵タンク73に接続された荷卸し配管25を開放し、他の荷卸し配管25を閉鎖する(図10のS22)。
【0114】
S22が終了すると、切換弁制御部51は、切換弁27の開閉操作終了情報を底弁制御部55に送信する(図10のS23)。底弁制御部55は開閉操作終了情報を受信する(図10のS24)。
【0115】
底弁制御部55は開閉操作終了情報を受信すると、開閉情報取得部53a~53cから、切換弁27の開閉情報を取得する(図10のS25)。
【0116】
次に底弁制御部55は開閉情報が示す実際の開閉状態が、接続信号が示す荷下ろし配管25が開放され、かつ他の荷卸し配管25が閉鎖されているという条件を満たすか否かを判断する(図10のS26)。条件を満たすと判断した場合はS27に進み、条件を満たさないと判断した場合はS28に進む。
【0117】
S26で条件を満たすと判断した場合、底弁制御部55は底弁17a~17cを開く(図8のS27)。S26で条件を満たさないと判断した場合、底弁制御部55は底弁17a~17cを閉鎖する(図8のS28)。既に底弁17a~17cが閉鎖されている場合は閉鎖された状態を維持する。
以上が荷卸しの際の切換弁制御部51及び底弁制御部55の制御の手順の一例の説明である。
【0118】
このように第3の実施形態によれば、配管構造1bは、貯蔵タンク73に1つの荷卸し配管25が接続された場合に、接続された荷卸し配管25のみを開放し、他の荷卸し配管25を閉鎖するように切換弁27を駆動する。
【0119】
さらに第3の実施形態の配管構造1bは、貯蔵タンク73に接続された荷卸し配管25から荷卸しを行うために必要な切換弁27の開閉条件と、切換弁27の実際の開閉状態が一致しない場合は底弁制御部55が底弁17a~17cを閉鎖する制御も行う。
そのため、第1の実施形態及び第2の実施形態と同等の効果を奏する。
【0120】
また、切換弁制御部51の指示通りに切換弁27が開閉できない場合にタンク13内の油が荷卸しに使用しない荷卸し配管25に流出する等の事故を防止できる。
【0121】
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は実施形態に限定されない。当業者であれば、本発明の技術思想の範囲内において各種変形例及び改良例に想到するのは当然のことであり、これらも本発明に含まれる。
【0122】
例えば上記した実施形態ではタンクローリー3として、単一車形式の車両を例示したが、配管構造1を設置できるスペースと積載量があれば、セミトレーラ等の被牽引車形式の移動タンク貯蔵所にも本発明は適用できる。
【符号の説明】
【0123】
1、1a、1b:配管構造
3 :タンクローリー
5 :キャブ
7 :シャシ
9 :前輪
11 :後輪
13 :タンク
13a、13b、13c:タンク室
14、16:仕切板
15a、15b、15c:ハッチ
17、17a、17b、17c :底弁
19 :集合管
19a :接続配管
19b :上流側分岐配管
19c :下流側分岐配管
21 :ポンプ
23 :連結部
25、25a、25b、25c:荷卸し配管
27 :切換弁
27a、27b、27c:二方弁
29、29a、29b、29c :吐出口
31、31a、31b、31c :吐出弁
41 :駆動制御手段
43、43a、43b、43c :ロータリアクチュエータ
47 :接続信号送信部
51 :切換弁制御部
53a、53b、53c :開閉情報取得部
55 :底弁制御部
61 :ホース
63 :上流側端部
65 :下流側端部
71 :地下配管
73 :貯蔵タンク
75 :注油口
81a、81b、81c :切換ハンドル
83 :路面
図1
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図10