(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023005575
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】塗布体付き化粧料容器
(51)【国際特許分類】
A45D 34/04 20060101AFI20230111BHJP
A45D 34/00 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
A45D34/04 510A
A45D34/00 510A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021107577
(22)【出願日】2021-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】591147339
【氏名又は名称】株式会社トキワ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】金高 健悟
(57)【要約】
【課題】塗布体を交換したい場合、廃棄部品を少なくしエコロジー容器とすると共に、簡単な塗布体の交換を可能とし、加えて、塗布体を洗浄して再使用することも可能とする。
【解決手段】ホルダ5が把持体6の爪片6h側となる一端側へ向かうように、把持体6を軸線方向に移動することにより、爪片6hをホルダ5の内側へ縮径させて収容させ塗布体4を爪片6hにより把持可能とする。また、ホルダ5が一端側とは軸線方向反対側へ向かうように、把持体6を軸線方向に移動することにより、ホルダ5の内側に縮径され収容されていた爪片6hを拡径し、爪片6hにより把持されていた塗布体4を容易に取り出し可能とする。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体と、
前記容器本体に着脱可能に装着されるホルダと、
前記ホルダと係合可能且つ前記ホルダの内側を軸線方向に移動可能であり、塗布体を軸線方向一端側に把持可能な把持体と、を備えた塗布体付き化粧料容器であって、
前記把持体の前記一端側には、前記塗布体を把持するための複数の爪片が軸線周りに沿って並設されており、
前記ホルダが前記把持体の前記一端側へ向かうように、前記把持体を軸線方向に移動し前記ホルダと係合すると、前記爪片が前記ホルダの内側へ縮径して収容され、
前記ホルダが前記一端側とは軸線方向反対側となる他端側へ向かうように、前記把持体を軸線方向に移動すると、前記ホルダの内側に縮径され収容されていた前記爪片が拡径することを特徴とする塗布体付き化粧料容器。
【請求項2】
前記把持体は、前記ホルダに対して軸線周りに回転することにより軸線方向に移動し、
前記把持体の前記他端側は操作部とされて前記ホルダから軸線方向に突出し露出しており、断面非円形であることを特徴とする請求項1記載の塗布体付き化粧料容器。
【請求項3】
前記把持体には、前記ホルダと係合する前に前記ホルダから脱落しないためのストッパが設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の塗布体付き化粧料容器。
【請求項4】
前記把持体の外周面には雄螺子が設けられると共に、前記ホルダの内側には螺合突起が設けられ、前記雄螺子と前記螺合突起とは螺合係合しており、
前記螺合突起は、前記ホルダの片持ちバネとなっている部分に設けられることで、前記ホルダの径方向に弾性変形可能であることを特徴とする請求項3記載の塗布体付き化粧料容器。
【請求項5】
前記容器本体には、前記塗布体を覆うキャップが着脱可能に装着され、
前記キャップには、前記塗布体に接触する化粧料を収容したレフィル容器が備えられ、
前記レフィル容器は、交換可能とされていることを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の塗布体付き化粧料容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布体付き化粧料容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、化粧料を塗布するための塗布体を備える塗布体付き化粧料容器として、以下の特許文献1に記載のものが知られている。この特許文献1に記載の塗布体付き化粧料容器では、円筒状の蓋部内に中筒が配設されると共に、中筒内に支持杆が配設され、この支持杆の先端に複数の爪片が設けられている。これらの複数の爪片は、中筒内に配置されることにより、開かないように閉じられ塗布体を爪片間に保持している。そして、蓋部に外筒が着脱可能に装着されることにより、外筒内の中皿の化粧料に、中筒から中皿側へ突出する塗布体が接触し、化粧料の残量が少なくなっても、中皿の化粧料に塗布体が常時密着するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記塗布体付き化粧料容器にあっては、例えば経時劣化や色替え等の理由で、塗布体を交換しようとしても、塗布体は、中筒への挿入により開かないように閉じている複数の爪片に挟まれ確実に保持されているため、取り出すことは難しい。
【0005】
また、塗布体を保持している支持杆ごと取り出そうとしても、中筒内の環状突起が、支持杆のストッパ同士の間に挟持され抜け止め(所謂嵌め殺し)の構造となっているため、支持杆ごと交換することも難しい。そもそも特許文献1に記載の塗布体付き化粧料容器にあっては、塗布体の交換は想定していない。
【0006】
ここで、塗布体を備えたレフィル容器を交換する化粧料容器も知られているが、その場合には、塗布体以外のレフィル容器も一緒に廃棄することになり廃棄部品が多く、エコロジーの観点から改善が求められている。
【0007】
本発明は、このような課題を解決するために成されたものであり、塗布体を交換したい場合、廃棄部品が少なくエコロジー容器であると共に、簡単に塗布体を交換でき、加えて、塗布体を洗浄して再使用することもできる塗布体付き化粧料容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による塗布体付き化粧料容器は、容器本体と、容器本体に着脱可能に装着されるホルダと、ホルダと係合可能且つホルダの内側を軸線方向に移動可能であり、塗布体を軸線方向一端側に把持可能な把持体と、を備えた塗布体付き化粧料容器であって、把持体の一端側には、塗布体を把持するための複数の爪片が軸線周りに沿って並設されており、ホルダが把持体の一端側へ向かうように、把持体を軸線方向に移動しホルダと係合すると、爪片がホルダの内側へ縮径して収容され、ホルダが一端側とは軸線方向反対側となる他端側へ向かうように、把持体を軸線方向に移動すると、ホルダの内側に縮径され収容されていた爪片が拡径することを特徴とする塗布体付き化粧料容器。
【0009】
このような塗布体付き化粧料容器によれば、把持体の爪片に塗布体を把持させる場合には、ホルダが把持体の爪片側となる一端側へ向かうように、把持体を軸線方向に移動しホルダと係合する。すると、爪片がホルダの内側へ縮径して収容されるため、塗布体が爪片により把持される。この状態で、ホルダを容器本体に装着することにより、塗布体付き化粧料容器が構成され、把持体に把持された塗布体による塗布が可能となる。また、把持体の爪片から塗布体を取り出す場合には、ホルダを容器本体から取り外し、ホルダが一端側とは軸線方向反対側となる他端側へ向かうように、把持体を軸線方向に移動しホルダに対する係合を解除する。すると、ホルダの内側に縮径され収容されていた爪片が拡径するため、爪片により把持されていた塗布体が容易に取り出される。その結果、塗布体を交換したい場合には、塗布体のみを交換でき廃棄部品が少なくエコロジー容器であると共に、簡単に塗布体を交換でき、加えて、塗布体を洗浄して再使用することもできる。
【0010】
ここで、把持体は、ホルダに対して軸線周りに回転することにより軸線方向に移動し、把持体の他端側は操作部とされてホルダから軸線方向に突出し露出しており、断面非円形であると、操作部を持って容易に回転することができる。また、断面非円形の操作部が内挿可能な孔を有する別途のキャップを、操作部に対して外挿し回転方向に係合すれば、キャップによって、把持体をより容易に回転することができる。
【0011】
また、把持体には、ホルダと係合する前にホルダから脱落しないためのストッパが設けられていると、塗布体の交換や洗浄の際に、ストッパにより、ホルダから把持体が脱落することを防止でき、部品の紛失を防止できる。
【0012】
また、把持体の外周面には雄螺子が設けられると共に、ホルダの内側には螺合突起が設けられ、雄螺子と螺合突起とは螺合係合しており、螺合突起は、ホルダの片持ちバネとなっている部分に設けられることで、ホルダの径方向に弾性変形可能であると、螺合突起が径方向に開くため、組み立ての際に、螺合突起がストッパを超えて把持体の一端側へ進入し把持体の雄螺子と螺合することができる。
【0013】
また、容器本体には、塗布体を覆うキャップが着脱可能に装着され、キャップには、塗布体に接触する化粧料を収容したレフィル容器が備えられ、レフィル容器は、交換可能とされていると、化粧料が消費され新規な化粧料に交換したい場合、キャップ全体を交換せずに、レフィル容器のみを交換すれば良く、エコロジーである。
【発明の効果】
【0014】
このように本発明によれば、塗布体を交換したい場合、廃棄部品が少なくエコロジー容器であると共に、簡単に塗布体を交換でき、加えて、塗布体を洗浄して再使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る塗布体付き化粧料容器が適用された化粧料容器を示す縦断面図である。
【
図2】
図1中のホルダ装着部材を示す斜視図である。
【
図4】
図3に示すホルダ装着部材の縦断面図である。
【
図5】
図1中の塗布体付き化粧料容器の容器本体から取り外されたホルダ及び把持体並びに塗布体であるチップを示す側面図である。
【
図12】
図5に示す状態から塗布体であるチップを取り外した状態を示す側面図である。
【
図13】
図1中のキャップに代えて用いられるレフィル容器付きキャップを示す縦断面図である。
【
図14】本発明の第2実施形態に係る塗布体付き化粧料容器の容器本体から取り外されたホルダ及び把持体並びに塗布体であるブラシを示す側面図である。
【
図16】
図14に示す状態から塗布体であるブラシを取り外した状態を示す側面図である。
【
図18】本発明の第3実施形態に係る塗布体付き化粧料容器の容器本体から取り外されたホルダ及び把持体を示す斜視図であり、把持体の爪片がホルダの内側へ縮径している状態を示す斜視図である。
【
図19】
図18に示す状態から把持体が軸線方向に移動し爪片が拡径している状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明による塗布体付き化粧料容器の好適な実施形態について
図1~
図22を参照しながら説明する。なお、各図において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0017】
【0018】
図1は、本発明の第1実施形態に係る塗布体付き化粧料容器が適用された化粧料容器を示す縦断面図、
図2~
図4は、
図1中のホルダ装着部材を示す各図、
図5及び
図6は、
図1中の塗布体付き化粧料容器の容器本体から取り外されたホルダ及び把持体並びに塗布体であるチップを示す各図、
図7~
図9は、ホルダを示す各図、
図10及び
図11は、把持体を示す各図、
図12は、
図5に示す状態から塗布体であるチップを取り外した状態を示す側面図、
図13は、
図1中のキャップに代えて用いられるレフィル容器付きキャップを示す縦断面図である。
【0019】
図1に示すように、化粧料容器100は、全体形状が筆記具の如き細長い丸棒状(スティック状)を成し良好な外観を呈するもので、長尺な円筒状の容器本体1の図示左側に棒状化粧料カートリッジ2を備えると共に、図示右側に塗布体付き化粧料容器3を備えている。棒状化粧料カートリッジ2は、容器本体1の図示左側に内挿されて着脱可能(着脱不能でも可)とされている。塗布体付き化粧料容器3は、容器本体1(実質的には容器本体1の図示右側部分)と、塗布体4と、ホルダ5と、把持体6と、を備えることにより構成されている。なお、以降においては、塗布体4、ホルダ5及び把持体6を備えた組立体を、ホルダ組50と呼ぶ。また、
図1において図示右側を軸線方向一端側とし、図示左側を他端側と呼ぶ場合がある。
【0020】
棒状化粧料Mは、ここでは、例えばアイブロウを始めとしたアイライナー、リップライナー等の種々の固形状の棒状化粧料とされている。棒状化粧料カートリッジ2は、容器本体1に相対回転可能に装着されたカートリッジ筒7を備えると共に、カートリッジ筒7内に、棒状化粧料Mと、棒状化粧料Mの後部を把持部8aに把持すると共に当該把持部8aに連設されて軸線方向後方へ延び外周面に雄螺子8bが形成された軸部8cを有し、カートリッジ筒7に対して同期回転可能且つ軸線方向に移動可能に係合する棒状化粧料支持体8と、棒状化粧料支持体8の雄螺子8bに螺合する雌螺子9aを有し、カートリッジ筒7に対して相対回転可能且つ軸線方向移動不能に係合する螺子筒9と、を備えている。螺子筒9の後部は、カートリッジ筒7の後端より軸線方向後方へ突出する突出部9bを有し、この突出部9bの外周面には、軸線方向に延びる突条9cが、容器本体1(詳しくは後述のホルダ装着部材10)に同期回転可能に係合するためのものとして、周方向に離間して複数個形成されている。
【0021】
従って、容器本体1と、カートリッジ筒7において容器本体1の先端から突出している先端部7aとを摘まんで相対回転すると、カートリッジ筒7に同期回転可能な棒状化粧料支持体8の雄螺子8bと、容器本体1と同期回転可能な螺子筒9の雌螺子9aとの螺合作用が働いて、棒状化粧料支持体8が進退し、棒状化粧料Mが、カートリッジ筒7の先端の開口から出没され、棒状化粧料Mによる塗布が可能とされている。
【0022】
容器本体1内のカートリッジ筒7の図示右側には、ホルダ装着部材10が収容されている。ホルダ装着部材10は、上記ホルダ組50を着脱可能に装着するためのものであると共に、棒状化粧料カートリッジ2において棒状化粧料支持体8が前進限に達してから、さらに容器本体1とカートリッジ筒7が同方向に相対回転されたときに所謂クラッチとして機能するためのものである。なお、ホルダ装着部材10及びホルダ組50においては、図示右側を先端側(前方)、図示左側を後端側(後方)として説明する。
【0023】
ホルダ装着部材10は、
図2~
図4に示すように、略円筒状に構成された樹脂による一体成形品であり、その後端部のクラッチ筒部10aと、その先端側の装着部10cと、これらのクラッチ筒部10aと装着部10cを接続し軸線方向に伸縮可能なバネ部10bと、を備えている。
【0024】
クラッチ筒部10aは、その後端で周方向の四等配の位置に、後方へ突出する突起部10dを有する。この突起部10dは、後方へ突出する側面視山型形状(3角形形状)を呈し、螺子筒9の突条9cに軸線周り回転方向に係合するものとして設けられている。また、クラッチ筒部10aは、その外周面の周方向の四等配の位置で突起部10dの周方向の同じ位置(軸線方向前方)に、外方へ突出し軸線方向に延びる突条10eを、容器本体1の内周面に周方向沿って複数が設けられ軸線方向に延びる凹溝1a(
図1参照)に回転方向に係合するものとして備えている。
【0025】
バネ部10bは、ほぼ螺旋状のスリットを備え、このスリットにより、クラッチ筒部10aの突起部10dを後方へ付勢する圧縮バネとして機能する樹脂バネである。バネ部10bの外周面で突条10eの軸線方向前方の180°離間する位置には、外方へ突出し軸線方向に延びる突条10fが、容器本体1の上記凹溝1aに回転方向に係合するものとして設けられている。なお、バネ部10bの樹脂バネに代えて、例えばSUSのバネを用いても良い。
【0026】
装着部10cは、バネ部10bの後端に連設された円筒部であり、その外周面には、円環状の凸部10gが、容器本体1の内周面に設けられた円環状の凹部1b(
図1参照)に軸線方向に係合するものとして設けられている。また、装着部10cの凸部10gより前方の先端部の外周面には、周方向に沿って凹凸が連続するローレット10hが、容器本体1の内周面に設けられ周方向に沿って凹凸が連続するローレット1c(
図1参照)に回転方向に係合するものとして設けられている。また、装着部10cの内周面には、雌螺子10iが、ホルダ5を装着するためのものとして設けられている。
【0027】
これらのクラッチ筒部10a、バネ部10b及び装着部10cを有するホルダ装着部材10は、
図1に示すように、容器本体1の筒孔の図示右側から、クラッチ筒部10aの突条10e、バネ部10bの突条10fが、容器本体1の凹溝1aと合うようにして内挿され、装着部10cの凸部10gが容器本体1の凹部1bに軸線方向に係合することにより、装着部10cが容器本体1に軸線方向に移動不能に装着される。また、クラッチ筒部10aの突条10e、バネ部10bの突条10fが、容器本体1の凹溝1aに回転方向に係合すると共に、装着部10cのローレット10hが、容器本体1のローレット1cに回転方向に係合することにより、ホルダ装着部材10が容器本体1に同期回転可能に装着されている。
【0028】
そして、この状態で、クラッチ筒部10aの突起部10dが、そのバネ部10bにより図示左側へ付勢されて螺子筒9の突条9c,9c同士の間に進入し回転方向に係合することによって、ホルダ装着部材10が螺子筒9に同期回転可能に装着されている。
【0029】
すなわち、螺子筒9は、ホルダ装着部材10を介して、容器本体1に同期回転可能に装着されており、従って、容器本体1がカートリッジ筒7に対して相対回転されると、ホルダ装着部材10を介して螺子筒9が容器本体1と同期回転し、螺子筒9に螺合する棒状化粧料支持体8が進退する。そして、棒状化粧料支持体8が前進限に達してから、さらに容器本体1が同方向に回転されると、ホルダ装着部材10のクラッチ筒部10aの突起部10dが、バネ部10bの付勢力に抗し回転しながら前進し(図示右側へ移動し)、次いで、バネ部10bの付勢力により後退して(図示左側へ移動して)螺子筒9の隣の突条9c,9c同士の間に進入することにより、前述したクラッチ機能を発揮し、部品の損傷を防止できるようになっている。
【0030】
次に、容器本体1において、棒状化粧料カートリッジ2の軸線方向反対側に着脱可能に装着されるホルダ組50について説明する。ホルダ組50は、前述したように、塗布体4、ホルダ5及び把持体6により構成されている。
【0031】
塗布体4は、ここでは、化粧料を塗布するためのチップとされている。チップ4は、
図6に示すように、把持体6の先端部の後述の爪片6hから前方へ突出し露出する部分が塗布部4aとされている。塗布部4aは、軸線方向に短尺で先細の略弾丸形状に形成され、先細の先端部を除く部分の外周面が、径方向外方へ多少膨出する柱状を呈している。なお、化粧料は、チップ4により塗布できる化粧料であれば、限定されない。
【0032】
チップ4の塗布部4aに連設され後方(図示左側)へ続く基部4bは、塗布部4aの後端面より小径で短尺な円柱形状を呈し、把持体6の先端部に把持されるものとして設けられている。
【0033】
ホルダ5は、
図1に示すように、容器本体1に対してホルダ装着部材10を介してホルダ組50を着脱可能に装着すると共に、
図5及び
図6に示すように、把持体6を、軸線方向に移動可能且つ係合可能に支持するものである。
【0034】
ホルダ5は、
図5~
図9に示すように、軸線方向に長尺をなし、略段付き円筒状に形成されている。ホルダ5の軸線方向略中央には、径方向に拡径し、容器本体1の後端面に突き当てるための段差部(鍔部)5aを備え、段差部5aより軸線方向前側(図示右側)の外周面には、有頂円筒状のキャップ11の円環状の凹部11a(
図1参照)に軸線方向に係合するための凸部5bが円環状に設けられている。また、ホルダ5の先端部の内周面は、段差面5hを介して拡径されている。段差面5hは、把持体6の後述の把持部6aの後端面が突き当たるものである(
図6参照)。
【0035】
ホルダ5の段差部5aより軸線方向後側の外周面には、ホルダ装着部材10の雌螺子10i(
図1参照)に螺合する雄螺子5cが形成されている。ホルダ5の雄螺子5cより軸線方向後側で軸線を挟む180°対称位置には、片持ちバネ状の弾性部5eが形成されている。弾性部5eは、周壁に穿設され内外を連通するコの字状割溝5fにより形成され、成形材である合成樹脂等の可撓性に従って板バネの役割を果たし、ホルダ5の径方向に弾性変形可能とされている。
【0036】
弾性部5eの内周面には、把持体6の後述の雄螺子6cに螺合係合(螺合結合)するための螺合突起5gが設けられている。弾性部5eは、径方向に開くため、ホルダ組50の組み立ての際に、弾性部5eの螺合突起5gが、把持体6の後述の円環状のストッパ6dを後方から乗り超えて把持体6の雄螺子6c側へ進入することを可能とする。
【0037】
把持体6は、
図5、
図6,
図10及び
図11に示すように、軸線方向に長尺をなし、チップ4の基部4bを把持するための把持部6aと、この把持部6aより後側(図示左側)に連設される軸体部6bと、を備えている。
【0038】
軸体部6bは、軸線方向に延在する断面円形の軸体であり、当該軸体部6bの軸線方向略中央より後側の外周面には、ホルダ5の螺合突起5gに螺合係合する雄螺子6cが所定長後方へ延びるように設けられている。軸体部6bの雄螺子6cより後方の外周面には、ストッパ6dが円環状に突設されている。ストッパ6dの外径は、ホルダ5の対向する螺合突起5g,5g同士の間の距離より長く設定されている。すなわち、ストッパ6dは、把持体6の雄螺子6cがホルダ5の螺合突起5gに螺合係合する前の状態において(螺合突起5gがストッパ6dと雄螺子6cとの間に位置している状態において)、螺合突起5gがストッパ6dに軸線方向に当接し、把持体6がホルダ5から軸線方向後方へ脱落する(抜け落ちる)ことを防止するものとして設けられている。
【0039】
軸体部6bのストッパ6dの後側は、ストッパ6dの後側に連設され後方へ延びる断面非円形の操作部6eとされている。操作部6eは、
図10に示すように、断面略長方形状の軸部の短辺側の外面に軸線方向に延びる突条を設けたものであり、突条の外面は、ストッパ6dの外面に面一となるように連設され後方へ延びている。従って、操作部6eの長方形状の長辺側の外面同士の間の距離は、ホルダ5の螺合突起5g,5g同士の間の距離より長くなっている一方で、長方形状の短辺側(突条)の外面同士の間の距離は、ホルダ5の螺合突起5g,5g同士の間の距離より短くなっており、軸体部6bのストッパ6dの後側で長方形状の長辺側の外面に、ホルダ5の螺合突起5gを対向させた状態では、ホルダ5は把持体6に対して抵抗なく軸線方向に移動可能とされている。
【0040】
把持体6の先端の把持部6aは、断面円形の軸体部6bより拡径された円板状の基部6fを備えている。この基部6fの前側の中央には、チップ4の基部4bの後端面を突き当てるための凸部6gが前方へ短尺に突設されている。
【0041】
基部6fの外周部の周方向の4等配の位置には、前方へ突出する爪片6hが、凸部6gに突き当てられたチップ4の基部4bを支持するためのものとして、軸線周りに沿って並設されている。爪片6hは、2段階で前方へ延びており、基部6fから前方へ傾斜しながら径方向外方へ延びる傾斜部6iと、傾斜部6iの先端に連設されて前方へ真っ直ぐに延び、チップ4の基部4bを把持するための把持片部6jと、を備えている。
図10及び
図11に示す状態では、爪片6hは、拡径された状態で、対向する把持片部6j,6j同士の間はチップ4の基部4bより大径となっている。
【0042】
次に、ホルダ組50の組み立てについて説明する。先ず、チップ4の基部4bを把持体6の基部6fの凸部6gに突き当てる(
図6参照)。この状態で、チップ4の基部4bが把持片部6jにより倒れないように支えられるため、チップ4を真っ直ぐに組み付けやすくなっている。
【0043】
次いで、ホルダ5を把持体6の後端側から外挿し、把持体6の軸体部6bのストッパ6dの後側で長方形状の短辺側をホルダ5の螺合突起5gに対向させた状態で、把持体6の先端側へ移動させていく。すると、ホルダ5の螺合突起5gが円環状のストッパ6dに当接する(
図9~
図11参照)。この状態で、把持体6の操作部6eは、ホルダ5から軸線方向後方へ突出し露出している。
【0044】
螺合突起5gは、ホルダ5の片持ちバネとなっている部分に設けられ、ホルダ5の径方向に弾性変形可能なため、ホルダ5を把持体6の先端側へ移動させていくと、螺合突起5gが径方向に開き、螺合突起5gがストッパ6dを乗り超えていく。さらに、ホルダ5を把持体6の先端側へ移動させていくと、ホルダ5の螺合突起5gが把持体6の雄螺子6cに螺合係合(係合)する(
図6参照)。
【0045】
次いで、把持体6の操作部6eを持って把持体6をホルダ5に対して軸線周りに回転し、螺合突起5gを把持体6の雄螺子6cに螺合係合させた状態で、ホルダ5を把持体6の先端側へ移動させていくと、
図6に示すように、螺合突起5gが把持体6の雄螺子6cの前進限に達し、把持体6の基部6fの後端面がホルダ5の段差面5hに突き当たる。
【0046】
この状態では、把持部6aの爪片6hが、ホルダ5の先端部により内側へ縮径して収容される。これにより、爪片6hの傾斜部6iが内側へ縮径されると共に、爪片6hの把持片部6jが、内側へ縮径されてチップ4の基部4bを周囲から軸心側へ押し付けるため、チップ4の基部4bが爪片6hに把持され、
図1、
図5及び
図6に示すホルダ組50が得られる。
【0047】
ホルダ組50は、
図1に示すように、その後端側から容器本体1のホルダ装着部材10に内挿され、ホルダ5の雄螺子5cが、ホルダ装着部材10の雌螺子10iに螺合して螺子込まれ、ホルダ5の段差部5aが、容器本体1及びホルダ装着部材10の図示右側端面に突き当たることにより、ホルダ装着部材10を介して容器本体1に着脱可能に装着される。これにより、容器本体1(実質的には容器本体1の図示右側部分)及びホルダ組50により、塗布体付き化粧料容器3が構成されている。
【0048】
なお、容器本体1より図示右側でホルダ5の段差部5aより図示右側には、有頂円筒状でチップ4を覆い保護するためのキャップ11が、その凹部11aが、ホルダ5の凸部5bに軸線方向に係合することにより、ホルダ5に着脱可能に装着されている。
【0049】
このように構成された化粧料容器100の塗布体付き化粧料容器3のチップ4を使用する場合には、
図1参照しながら説明すると、キャップ11を取り外し、容器本体1を持ちながら、露出するチップ4の塗布部4aにより化粧料を塗布する。
【0050】
ここで、チップ4を、例えば経時劣化や色替え等の理由で交換する場合や、チップ4を洗浄して再使用する場合には、先ず、容器本体1とホルダ5の露出する段差部5a、先端部とを相対回転し、ホルダ5の雄螺子5cとホルダ装着部材10の雌螺子10iとの螺合を解除し、ホルダ組50を容器本体1(ホルダ装着部材10)から取り出す(
図5及び
図6参照)。
【0051】
次いで、
図5、
図6及び
図12を参照しながら説明すると、把持体6の操作部6eを持って把持体6をホルダ5に対して回転し、把持体6の雄螺子6cとホルダ5の螺合突起5gの螺合を解除する。
【0052】
すると、
図12に示すように、把持体6に対してホルダ5が後方へ移動し(後退し)、これにより、ホルダ5の内側に縮径され収容されていた爪片6hが拡径し、爪片6hにより把持されていたチップ4が容易に取り出される。
【0053】
また、このとき、
図9及び
図11を参照すれば、ホルダ5の螺合突起5gが把持体6のストッパ6dと雄螺子6cとの間に位置し、把持体6のストッパ6dの外径が、ホルダ5の螺合突起5g,5g同士の間の距離より大きいため、
図12に示すように、把持体6がホルダ5から脱落することが防止されている。
【0054】
そして、新たな別なチップ4や洗浄したチップ4を把持体6に取り付ける場合には、
図12に示す状態から、前述したホルダ組50の組み立て手順と同様に、把持体6の操作部6eを持って把持体6をホルダ5に対して回転し、
図6に示すように、ホルダ5の螺合突起5gと把持体6の雄螺子6cとを螺合係合させてホルダ5を把持体6の先端側へ移動させ、ホルダ5が前進限まで移動することにより、把持部6aの爪片6hが、ホルダ5の先端部により内側へ縮径して収容され、これにより、爪片6hの傾斜部6iが内側へ縮径されると共に、爪片6hの把持片部6jが、内側へ縮径されて、新たな別なチップ4や洗浄したチップ4が周囲から軸心側へ押し付けられ、その結果、新たな別なチップ4や洗浄したチップ4が爪片6hに把持され、新たなホルダ組50が得られる。この得られた新たなホルダ組50を、容器本体1に装着するには、前述したのと同様に、新たなホルダ組50を容器本体1のホルダ装着部材10に螺子込めば良い。
【0055】
このように、本実施形態によれば、把持体6の爪片6hにチップ4を把持させる場合には、ホルダ5が把持体6の爪片6h側となる一端側へ向かうように、把持体6を軸線方向に移動しホルダ5と螺合係合(係合)する。すると、爪片6hがホルダ5の内側へ縮径して収容されるため、チップ4が爪片6hにより把持される。この状態で、ホルダ5(ホルダ組50)を容器本体1にホルダ装着部材10を介して装着することにより、塗布体付き化粧料容器3が構成され、把持体6に把持されたチップ4による塗布が可能となる。また、把持体6の爪片6hからチップ4を取り出す場合には、ホルダ5を容器本体1から取り外し、ホルダ5が爪片6h側となる一端側とは軸線方向反対側となる他端側(操作部6e側)へ向かうように、把持体6を軸線方向に移動しホルダ5に対する螺合係合(係合)を解除する。すると、ホルダ5の内側に縮径され収容されていた爪片6hが拡径するため、爪片6hにより把持されていたチップ4が容易に取り出される。その結果、チップ4を交換したい場合には、チップ4のみを交換でき廃棄部品が少なくエコロジー容器であると共に、簡単にチップ4を交換でき、加えて、チップ4を洗浄して再使用することもできるようになっている。
【0056】
また、把持体6は、ホルダ5に対して軸線周りに回転することにより軸線方向に移動し、把持体6の他端側は操作部6eとされてホルダ5から軸線方向に突出し露出しており、断面非円形であるため、操作部6eを持って容易に回転することができる。また、断面非円形の操作部6eが内挿可能な孔を有する別途のキャップを、操作部6eに対して外挿し回転方向に係合することにより、当該キャップによって、把持体6をより容易に回転することができる。
【0057】
また、把持体6には、ホルダ5と螺合係合(係合)する前にホルダ5から脱落しないためのストッパ6dが設けられているため、チップ4の交換や洗浄の際に、ストッパ6dにより、ホルダ5から把持体6が脱落することを防止でき、部品の紛失を防止できる。
【0058】
また、把持体6の外周面には雄螺子6cが設けられると共に、ホルダ5の内側には螺合突起5gが設けられ、雄螺子6cと螺合突起5gとは螺合係合しており、螺合突起5gは、ホルダ5の片持ちバネとなっている部分である弾性部5eに設けられることにより、ホルダ5の径方向に弾性変形可能であり、螺合突起5gが径方向に開くため、組み立ての際に、螺合突起5gがストッパ6dを超えて把持体6の一端側へ進入し把持体6の雄螺子6cと螺合することができる。
【0059】
なお、チップ4を略ラグビーボール形状(チップ4の基部4b(軸線方向他方側の端部)を、他方側を向く塗布部4aに代えたような形状)とし、爪片6hをラグビーボール形状の軸線方向他方側の端部を把持する円弧状の爪片としても良い。
【0060】
図13は、
図1中のキャップに代えて用いられるレフィル容器付きキャップを示す縦断面図である。
【0061】
図13に示すように、レフィル容器付きキャップ12は、軸線方向に長尺な円筒状のキャップ本体13と、キャップ本体13の図示右側となる先端部(一端側の端部)に着脱可能に装着された閉栓14と、キャップ本体13内に収容され、例えばパウダー等を始めとした化粧料M1を内部に充填したレフィル容器15と、キャップ本体13内で閉栓14とレフィル容器15との間に配置されレフィル容器15を図示左側となる後端部(他端側の端部)へ押圧する圧縮バネ16と、を備えている。
【0062】
レフィル容器15は、圧縮バネ16の付勢力により、キャップ本体13内の図示左側の移動限17まで移動可能となっている。そして、レフィル容器付きキャップ12をホルダ5に装着すると、化粧料M1が、
図1に示すチップ4に接触し押圧され、レフィル容器15は、図示右側となる先端部へ移動した状態にある。レフィル容器15は、圧縮バネ16によりチップ4側へ付勢されているため、化粧料M1が消費されると、図示左側となる後端部へ移動し、チップ4は化粧料M1と常時接触した状態にある。従って、レフィル容器付きキャップ12を取り外せば、直ぐに、チップ4による塗布が可能となっている。
【0063】
ここで、化粧料M1の消費が最大となると、新規な化粧料M1への交換が必用となる。この場合、使用者は、閉栓14を開け、圧縮バネ16及びレフィル容器15をキャップ本体13の図示右側の開放端から取り出し、新規な化粧料M1を充填した新規なレフィル容器15と、圧縮バネ16とを、開放端からキャップ本体13内へ収容し、閉栓14を閉じれば良い。
【0064】
このように、レフィル容器付きキャップ12を用いれば、化粧料M1が消費され新規な化粧料M1に交換したい場合、キャップ全体を交換せずに、レフィル容器15のみを交換すれば良く、エコロジーである。
【0065】
図14は、本発明の第2実施形態に係る塗布体付き化粧料容器の容器本体から取り外されたホルダ及び把持体並びに塗布体であるブラシを示す側面図、
図15は、
図14の縦断面図、
図16は、
図14に示す状態から塗布体であるブラシを取り外した状態を示す側面図である。
【0066】
この第2実施形態が第1実施形態と違う点は、塗布体を、チップ4からブラシ(巻線ブラシ)18に代えた点である。
【0067】
ここでは、
図14~
図16に示すように、ホルダ5及び把持体6は第1実施形態と共通に用いられている。ブラシ18は、
図15に示すように、ブラシ18の後端の芯線を保持するブラシ保持部材19に植設されて保持されている。ブラシ保持部材19は、例えば樹脂等より形成され、
図15及び
図16に示すように、一端側となる前半部19aが円柱状に形成されると共に、他端側となる後半部19bが、前半部19aより小径の円筒状に形成されている。この円柱状の前半部19aは、第1実施形態のチップ4の基部4bと外観がほぼ同形状に構成されている。
【0068】
そして、
図15に示すように、ブラシ18の芯線の後端面が把持体6の凸部6gに突き当てられる共に、円筒状の後半部19bの後端面が把持体6の円板状の基部6fの先端面に突き当てられた状態で、ホルダ5が把持体6の爪片6h側となる一端側へ向かうように、把持体6を軸線方向に移動しホルダ5と螺合係合(係合)すると、爪片6hがホルダ5の内側へ縮径して収容されるため、第1実施形態のチップ4の基部4bとほぼ外観が同形状のブラシ保持部材19の前半部19aが爪片6hにより把持され、ブラシ18がブラシ保持部材19を介して爪片6hにより把持されることになる。そして、ホルダ5、把持体6及びブラシ保持部材19を含むブラシ18により、ホルダ組60が構成されている。
【0069】
以降は、第1実施形態と同様に,ホルダ5を容器本体1にホルダ装着部材10を介して装着することにより、把持体6に把持されたブラシ18によるぼかし等を始めとした化粧料の塗布が可能となる。
【0070】
また、把持体6の爪片6hからブラシ18を取り出す場合には、ホルダ5を容器本体1から取り外し、ホルダ5が爪片6h側となる一端側とは軸線方向反対側となる他端側(操作部6e側)へ向かうように、把持体6を軸線方向に移動しホルダ5に対する螺合係合を解除する。すると、
図16に示すように、ホルダ5の内側に縮径され収容されていた爪片6hが拡径するため、爪片6hにより把持されていたブラシ18がブラシ保持部材19ごと容易に取り出される。その結果、ブラシ18を交換したい場合には、ブラシ18及びブラシ保持部材19のみを交換でき廃棄部品が少なくエコロジー容器であると共に、簡単にブラシ18を交換でき、加えて、ブラシ18を洗浄して再使用することもできるようになっている。
【0071】
また、ホルダ5及び把持体6は、第1実施形態と共通に用いられているため、第1実施形態と同様な作用・効果、すなわち、操作部6eによる容易な回転操作、ストッパ6dによるホルダ5からの把持体6の脱落防止、螺合突起5gがホルダ5の径方向に弾性変形可能であることによりストッパ6dを超えて把持体6の一端側へ進入し把持体6の雄螺子6cと螺合できる等の作用・効果も奏する。
【0072】
なお、第2実施形態においては、
図1に示すような、有頂円筒状の通常のキャップが用いられる。因みに、第1、第2実施形態では、爪片6hを傾斜部6i、把持片部6jを備える2段階としているが、テーパ状に先広に広がる爪片を用いることも可能である。
【0073】
図17は、
図14~
図16中の把持体に代えて用いられる他の把持体を示す斜視図であり、第1、第2実施形態の把持体6と同様な部分には同一の符号が付してある。
【0074】
図17に示す把持体20が、第1、第2実施形態の把持体6と違う点は、爪片6hを爪片20hに代えると共に、基部6fの凸部6g(
図15参照)をなくした点である。
【0075】
爪片20hは、基部6fの外周部の周方向の4等配の位置から前方へほぼ真っ直ぐに(直線状に)突出する爪片となっている。爪片20hの内面には基端から先端まで軸線方向に沿って延びると共に、軸心に向かって突出するリブ20aが、ブラシ保持部材19がないブラシ18の芯線を直接把持するものとして設けられている。また、爪片20hは、その先端部に、外面が拡径する拡径部(凸部)20bを備えている。
【0076】
このような爪片20hによれば、爪片20hが、ホルダ5の先端部により内側へ縮径して収容されると、爪片20hの拡径部(凸部)20bがホルダ5の内周面に当接し、周方向に並設された爪片20hのリブ20aが軸心側へ移動し、ブラシ18の後端部の芯線がリブ20aにより周囲から軸心側へ押し付けられる。このため、ブラシ保持部材19がないブラシ18のその芯線を直接把持できるようになっている。すなわち、ブラシ保持部材19のないブラシ18の芯線を直接把持する場合に使用でき、ブラシ18のみを交換できるため、廃棄部品がより少なく、よりエコロジー容器である。また、他の効果は第2実施形態と同様である。
【0077】
なお、第1、第2実施形態の爪片6hの内面にリブ20aを付けて挟むようにして把持しても良く、また、爪片6hの先端部の外面に拡径部(凸部)20bを設けても良い。また、リブ20aや拡径部(凸部)20bは、前述したテーパ状に先広に広がる爪片に対しても適用できる。
【0078】
図18は、本発明の第3実施形態に係る塗布体付き化粧料容器の容器本体から取り外されたホルダ及び把持体を示す斜視図であり、把持体の爪片がホルダの内側へ縮径している状態を示す斜視図、
図19は、
図18に示す状態から把持体が軸線方向に移動し爪片が拡径している状態を示す斜視図、
図20は、
図19の縦断面図、
図21は、
図18~
図20中のホルダを示す斜視図、
図22は、
図18~
図20中の把持体を示す斜視図である。
【0079】
この第3実施形態にあっては、第1、第2実施形態のような、ホルダ5が把持体6の一端側へ向かうように、把持体6を軸線方向に回転移動(移動)することによりホルダ5と螺合係合すると、爪片6hがホルダ5の内側へ縮径して収容され、塗布体としてのチップ4やブラシ18(ブラシ保持部材19)を把持する構成に代えて、
図18~
図20に示すように、ホルダ25が把持体26の一端側となる先端側へ向かうように、把持体26を軸線方向にスライド移動(移動)することによりホルダ25と係合すると、開閉爪片26hがホルダ25の内側へ縮径して収容されて塗布体である例えばチップ4を把持する構成とされている。
【0080】
具体的には、把持体26は、
図18、
図19及び
図22に示すように、軸線方向に長尺をなし、塗布体を例えばチップ4とした場合に、チップ4を把持するための開閉爪片(爪片)26hを径方向に対向して一対備えると共に、周方向に沿って開閉爪片26h,26h同士の間に、直線状に延びる一対の固定爪片26k,26kを備えている。
【0081】
開閉爪片26hは、基部26f(
図22参照)から前方へ真っ直ぐに延びる直線部26iと、直線部26iの先端から傾斜しながら径方向外方へ延び、チップ4の基部4bを把持するための把持片部26jと、を備えている。
【0082】
固定爪片26kは、内周面に
図17で示したのと同様なリブ26aを、チップ4を把持するためのものとして備えている。固定爪片26kのそれぞれには、周方向に沿って固定爪片26kより多少幅狭となって(小さくなって)軸線方向後方へ続く連結部26mが連設されており、連結部26m、26m同士の後端部には、連結部26m、26m同士を繋ぎ、中央に長方形状の孔を有する長方形状の連結板26nが連設されている。また、把持体26の連結板26nの先端部の上下面には、把持体26がホルダ25に対して軸線方向にスライド移動(移動)する際に、前進限でホルダ25の後述する突起25rに当接し、後退限でホルダ25の後述する係合溝25pに係合する断面半円状のストッパ26tが、連結板26nの先端部に沿うようにして上下に突設されている。
【0083】
連結板26nの後端部の両側面には、外方へ突出し、使用者によるスライド操作を行うための操作部26uが配置され、操作部26uは、連結板26nから延びる操作支持部26rにより支持されている。操作部26uは、軸線方向視において、円弧及び弦により囲まれた形状を有する略錨状を呈している。そして、これらの操作支持部26r,連結板26nの側部、ストッパ26tの側端部、連結部26m、固定爪片26kは、ホルダ25に対して軸線方向へのスライド移動が可能となっている(
図18及び
図19参照)。
【0084】
ホルダ25は、容器本体1に対してホルダ装着部材10(
図1参照)を介して着脱可能に装着されると共に、
図18及び
図19に示すように、把持体26を、軸線方向に移動可能且つ係合可能に支持するものである。
【0085】
ホルダ25は、
図18図~
図21に示すように、軸線方向に長尺をなし、略段付き円筒状に形成されている。ホルダ25の軸線方向略中央には、径方向に拡径し、容器本体1の後端面(
図1参照)に突き当てるための段差部(鍔部)25aを備え、段差部25aより軸線方向前側(図示右側)の外周面には、
図1に示す有頂円筒状のキャップ11を着脱可能に装着するための凸部25bが半円環状に設けられている。
【0086】
ホルダ25の段差部25aより軸線方向後側の外周面には、ホルダ装着部材10の雌螺子10i(
図1参照)に螺合する雄螺子25cが形成されている。ホルダ25の段差部25aにおいて軸線方向略中央からホルダ25の先端に亘っては、軸線方向に沿って内外を連通すると共に先端から前方へ開放される一対のスリット25sが、径方向に対向し上記固定爪片26kに対応する位置に設けられている。
【0087】
図18及び
図19に示すように、スリット25sにおいて、段差部25aの軸線方向略中央から凸部25bの手前辺りまでが、把持体26の操作支持部26rを進退可能に収容するものとして形成されている。
図18~
図21に示すように、スリット25sにおいて凸部25bを先端側へ超えた位置には、把持体26が後退限に達したときに、把持体26の上下の断面半円状のストッパ26tが、軸線方向に係合する半円状の係合溝25pが上下にそれぞれ形成されている。
【0088】
スリット25sの係合溝25pより先端側は、ストッパ26tが軸線方向に移動可能となるように周方向に多少幅広のスリット25qとされ、スリット25qの先端部には、当該スリット25qを周方向に狭めるように突設される突起25rが、把持体26のスライド移動の前進限として設けられている。この突起25rより先端側は、把持体26の固定爪片26kが進退するスリットとして設けられている。
【0089】
そして、ホルダ25の先端の開口から、スリット25sに把持体26の操作支持部26rが合うようにして、把持体26を挿入していき、把持体26のストッパ26tがホルダ25の係合溝25pに係合することにより、把持体26が後退限に達する。すなわち、ホルダ25が把持体26の開閉爪片26h側となる一端側へ向かうように、把持体26の操作部26uを持って軸線方向に移動しホルダ25と係合する。すると、
図18に示すように、開閉爪片26hがホルダ25の内側へ縮径して収容されるため、チップ4が開閉爪片26h及び固定爪片26kにより把持することができる。このホルダ25を容器本体1にホルダ装着部材10を介して装着することにより、塗布体付き化粧料容器が構成され、把持体26に把持されたチップ4により塗布をすることができる。
【0090】
一方、ホルダ25を容器本体1から取り外し、ホルダ25が開閉爪片26h側となる一端側とは軸線方向反対側となる他端側へ向かうように、把持体26を軸線方向に移動しホルダ25に対する係合(把持体26のストッパ26tとホルダ25の係合溝25pとの係合)を解除する。すると、
図19及び
図20に示すように、ホルダ25の内側に縮径され収容されていた開閉爪片26hが拡径するため、開閉爪片26hにより把持されていたチップ4を容易に取り出すことができる。
【0091】
このように、第3実施形態にあっても、第1、第2実施形態と同様な作用・効果を奏するのはいうまでもない。
【0092】
なお、把持体26のストッパ26tは、ホルダ25の係合溝25pと係合する前に、把持体26が一端側へ移動しても突起25rに当接するため(
図19参照)、当該ストッパ26tにより把持体26がホルダ25から脱落することが防止されている。
【0093】
なお、第3実施形態は、ブラシ保持部材19を有するブラシ18に対しても適用可能であり、また、チップ4を用いる場合には、
図13に示すレフィル容器付きキャップ12を用いても良い。
【0094】
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、上記実施形態においては、特に好ましいとして、爪片を4個としているが、複数個であれば良い。
【0095】
また、上記実施形態においては、容器本体1にホルダ装着部材10を装着しているが、ホルダ装着部材10は、なくても良く、容器本体1の端部内に雌螺子を設け、ホルダ5,25を直接容器本体1に着脱可能に装着するようにしても良い。なお、ホルダ5,25の装着は螺合係合でも良く、嵌合係合等の他の係合でも勿論良い。
【0096】
また、上記実施形態においては、化粧料容器100は、図示左側に棒状化粧料カートリッジ2を着脱可能(不能でも可)に備えているが、棒状化粧料カートリッジ2に代えて、容器本体1の一端側にチップ4を備えるホルダ組を装着し、他端側に例えばブラシ18を備えるホルダ組を装着しても良く、種々のバリエーションを採用できる。さらには、容器本体1の図示左側には、棒状化粧料カートリッジ2や、ホルダ組等がなく、有底円筒状の容器本体1(容器本体1の図示右側部分のみで構成され有底部を有しているもの)と、容器本体1に着脱可能に装着されるホルダ組等を備えていれば良い。
【符号の説明】
【0097】
1…容器本体、3…塗布体付き化粧料容器、4…チップ(塗布体)、5,25…ホルダ、5e…弾性部(片持ちバネとなっている部分)、5g…螺合突起、6,20,26…把持体、6c…雄螺子、6d,26t…ストッパ、6e…操作部、6h、20h、26h…爪片、12…レフィル容器付きキャップ(キャップ)、15…レフィル容器、18…ブラシ(塗布体)、M1…化粧料。