(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023055792
(43)【公開日】2023-04-18
(54)【発明の名称】無アルカリガラス要素による屈曲可能なガラス物品
(51)【国際特許分類】
C03C 3/083 20060101AFI20230411BHJP
C03C 21/00 20060101ALI20230411BHJP
C03C 3/091 20060101ALI20230411BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20230411BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20230411BHJP
【FI】
C03C3/083
C03C21/00 101
C03C3/091
G09F9/00 302
G09F9/30 308Z
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023010172
(22)【出願日】2023-01-26
(62)【分割の表示】P 2021034179の分割
【原出願日】2015-11-04
(31)【優先権主張番号】62/074,940
(32)【優先日】2014-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー マイケル グロス
(72)【発明者】
【氏名】ポール ジョン シュスタック
(57)【要約】 (修正有)
【課題】屈曲可能なガラス物品、スタックアセンブリ、および電子デバイスアセンブリを提供する。
【解決手段】実質的にアルカリイオンを含有しない組成と、約40GPaから約100GPaの弾性率と、約20μmから約100μmの最終厚さと、ガラス要素の屈曲の際に実質的に伸張される第一主要面と、屈曲の際に実質的に圧縮される第二主要面とを有するガラス要素であって、当該主要面が、最終厚さを少なくとも20μm上回る初期厚さから当該最終厚さへの事前の材料除去によって特徴付けられる、ガラス要素を含む、屈曲可能なスタックアセンブリが提示される。当該ガラス要素は、第一主要面上の保護層も含む。さらに、当該ガラス要素は、屈曲の際に当該要素が約25℃および約50%の相対湿度において少なくとも60分間にわたって約15mmの曲げ半径に保持される場合に破損がないことによって特徴付けられる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り畳み可能なディスプレイと、
前記折り畳み可能なディスプレイの使用者に面する部分の前記折り畳み可能なディスプレイの上に配置されたカバーガラス層であって、該カバーガラス層は、前記カバーガラス層の上面および前記カバーガラス層の底面のうちの少なくとも1つの圧縮応力領域を含み、前記圧縮応力領域が、複数のイオン交換可能な金属イオンおよび複数のイオン交換された金属イオンを含み、前記イオン交換金属イオンは、前記イオン交換金属イオンの原子半径より大きな原子半径を有する、カバーガラス層と、
前記カバーガラス層の下方に配置された屈曲可能な封入材であって、複数の電子部品を封入するように構成され、
20μmから100μmの範囲の厚さと、
40GPaから100GPaの範囲の弾性率を有するガラス材料と、を有する屈曲可能な封入材と、
を備え、
前記ガラス材料が、アルカリ不含のガラス組成物からなる物品。
【請求項2】
前記ガラス材料を構成するガラス要素が、57GPaから82GPaの範囲の弾性率を有することを特徴とする請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記ガラス材料を構成するガラス要素が、40GPaから65GPaの範囲の弾性率を有することを特徴とする請求項1に記載の物品。
【請求項4】
前記ガラス材料を構成するガラス要素が融合線を有する、請求項1に記載の物品。
【請求項5】
前記ガラス材料が、アルミノケイ酸組成物、ホウケイ酸組成物、アルミノホウケイ酸組成物、またはケイ酸ガラス組成物からなる、請求項1~4のいずれか1項に記載の物品。
【請求項6】
前記ガラス材料が、64モル%~69モル%のSiO2と、5モル%~12モル%のAl2O3を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の物品。
【請求項7】
前記ガラス要素は、屈曲の際に前記カバーガラス層が約25℃および約50%の相対湿度において少なくとも60分間にわたって約15mmの曲げ半径に保持される場合に破損がないことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の物品。
【請求項8】
前記ガラス要素が、屈曲の際に前記カバーガラス層が約25℃および約50%の相対湿度において少なくとも60分間にわたって約5mmの曲げ半径に保持される場合に破損がないことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の物品。
【請求項9】
前記ガラス要素が、約25℃および約50%の相対湿度において約15mmの曲げ半径による200,000サイクルの屈曲を受けた後で破損がないことがないことを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の物品。
【請求項10】
一つまたは複数の前記カバーガラス層を含む屈曲可能なカバーをさらに含み、
前記カバーの底面が、(i)約1GPa未満の弾性率を有するおよそ25μmの厚さの感圧性接着剤および(ii)約10GPa未満の弾性率を有するおよそ50μmの厚さのポリエチレンテレフタレート層によって支持され、かつ当該カバーガラス層の使用者に面する上面が、200μm直径の平坦な底面を有するステンレス鋼ピンによって負荷される場合の、約1.5kgfを超える貫入抵抗性によって特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の物品。
【請求項11】
前記ガラス要素は、0.6MPa・m1/2のKIC破壊靭性を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の物品。
【請求項12】
前記カバーは、8H以上の鉛筆硬度を含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の物品。
【請求項13】
前記ガラス要素は、前記ガラス要素の屈曲の際に伸長される第一主表面と、前記屈曲時に実質的に圧縮状態にある第二主表面とを含み、
上記第一主要面と、当該第一主要面からカバーガラス層の厚さの半分までの間の上記カバーガラス層の領域とが、約200nm以下の平均最長断面寸法を有する複数の欠陥によって特徴付けられる欠陥分布を有する実質的に欠陥を含まない領域を画定する、請求項1~12のいずれか1項に記載の物品。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、特願2021-34179号を原出願として令和5年1月26日に分割したものである。
【技術分野】
【0002】
本開示は、概して、屈曲可能なガラス物品、スタックアセンブリ、および電子デバイスアセンブリ、ならびにそれらを製造するための様々な方法に関する。より詳しくは、本開示は、無アルカリガラス要素を含むこれらの物品およびアセンブリの屈曲可能型、ならびにそれらを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
従来は本質的に剛性である製品および構成要素の可撓型が、新しい用途のために概念化されている。例えば、可撓性電子デバイスは、薄く軽量で可撓性の特性を提供することができ、それらは、新しい用途、例えば、湾曲したディスプレイおよびウエラブルデバイスなどの機会を提供する。これらの可撓性の電子デバイスの多くが、これらのデバイスの電子部品の保持および取り付けのために、可撓性基板を利用している。ポリマー箔は、疲労破損に対する耐性を含むいくつかの利点を有するが、周辺部光透過性、熱安定性の不足、および限られた気密性という弱点を抱えている。ポリマー箔が電子デバイスの背面板または基板として用いられる場合、それらにおける限られた耐熱性により、これらのデバイスに用いられる電子部品の処理および製造が著しく制限される。
【0004】
これらの電子デバイスのいくつかも、可撓性ディスプレイを利用することができる。光透過性および熱安定性は、多くの場合、可撓性ディスプレイ用途にとって重要な特性である。さらに、可撓性ディスプレイは、特に、タッチスクリーン機能を有し、および/または折り畳み可能な可撓性ディスプレイの場合、小さい曲げ半径での破損に対する抵抗性を含む、高い疲労抵抗性および貫入抵抗性を有していなければならない。
【0005】
従来の可撓性ガラス材料は、可撓性基板および/またはティスプレイ用途にとって必要とされる特性の多くを提供する。しかしながら、これらの用途にガラス材料を利用する努力は、これまで、ほとんど成功していない。一般的に、ガラス基板は、非常に低い厚さレベル(<25μm)に製造することにより、さらに小さい曲げ半径を達成することができる。しかしながら、これらの「薄い」ガラス基板は、限られた貫入抵抗性という欠点を抱えている。同時に、より厚いガラス基板(>150μm)は、より良好な貫入抵抗性を有するように製造することができるが、これらの基板は、屈曲の際の好適な疲労抵抗性および機械的信頼性を欠いている。さらに、いくつかの従来のガラス基板組成物は、比較的高いアルカリイオンレベルを有するという欠点を有する。これらの組成物で作製されたガラス基板は、これらの基板上に取り付けられた電子デバイスおよび電子部品の性能を低下させ得るアルカリイオンの移動に影響を受けやすい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、特に柔軟な電子デバイス用途のための、可撓性の背面板、基板、ならびに/あるいはディスプレイ用途および機能における信頼性の高い使用のための、ガラス材料、部品、アセンブリ、およびデバイス構成が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様により、実質的にアルカリイオンを含有しない組成と、約40GPaから約100GPaの弾性率と、約20μmから約100μmの最終厚さと、ガラス要素の屈曲の際に実質的に伸張される第一主要面と、屈曲の際に実質的に圧縮される第二主要面とを有するガラス要素であって、当該主要面が、最終厚さを少なくとも20μm上回る初期厚さから当該最終厚さへの事前の材料除去によって特徴付けられる、ガラス要素を含む、屈曲可能なスタックアセンブリが提供される。当該ガラス要素は、第一主要面上の保護層も含む。さらに、当該ガラス要素は、屈曲の際に当該要素が約25℃および約50%の相対湿度において少なくとも60分間にわたって約15mmの曲げ半径に保持される場合に破損がないことによって特徴付けられる。いくつかの態様により、当該ガラス要素の組成は、0.5モル%未満のLi2O、Na2O、K2O、Rb2O、およびCs2Oのそれぞれを有する。
【0008】
一態様により、実質的にアルカリイオンを含有しない組成と、約40GPaから約100GPaの弾性率と、少なくとも0.6MPa・m1/2のKIC破壊靱性と、約20μmから約100μmの厚さと、ガラス要素の屈曲の際に実質的に伸張される第一主要面と、屈曲の際に実質的に圧縮される第二主要面とを有するガラス要素を含む、屈曲可能なスタックアセンブリが提供される。当該ガラス要素はさらに、第一主要面上の保護層も含む。
【0009】
別の態様により、実質的にアルカリイオンを含有しない組成と、約40GPaから約100GPaの弾性率と、約20μmから約100μmの最終厚さと、ガラス要素の屈曲の際に実質的に伸張される第一主要面と、屈曲の際に実質的に圧縮される第二主要面とを有するガラス要素であって、当該主要面が、最終厚さを少なくとも20μm上回る初期厚さから当該最終厚さへの事前の材料除去によって特徴付けられる、ガラス要素を含む、屈曲可能なスタックアセンブリが提供される。当該ガラス要素は、第一主要面上の保護層も含む。さらに、当該ガラス要素は、当該要素が約25℃および約50%の相対湿度において約15mmの曲げ半径による200,000サイクルの屈曲を受けた後で破損がないことによって特徴付けられる。
【0010】
さらなる態様により、実質的にアルカリイオンを含有しない組成と、約40GPaから約100GPaの弾性率と、約20μmから約100μmの最終厚さと、2%以上の破損確率での少なくとも1000MPaの曲げ強度と、ガラス要素の屈曲の際に実質的に伸張される第一主要面と、屈曲の際に実質的に圧縮される第二主要面とを有するガラス要素であって、当該主要面が、当該最終厚さを少なくとも20μm上回る初期厚さから当該最終厚さへの事前の材料除去によって特徴付けられる、ガラス要素を含む、屈曲可能なスタックアセンブリが提供される。当該ガラス要素は、第一主要面上の保護層も含む。さらに、当該ガラス要素は、当該アセンブリに、第一主要面に積層された保護層の一部に10グラムの力(gf)でのキューブコーナー圧子による圧入を施した後での、曲げ強度の少なくとも90%の残留強度によって特徴付けられる。2%以上の破損確率における少なくとも1000MPaの必要な曲げ強度が、試験関連の人為性に関連して強度値が低下した試料のデータを除いた、ワイブル曲げ試験データの外挿に基づいていることは、理解されるべきである。
【0011】
追加の態様により、実質的にアルカリイオンを含有しないガラス組成と、約40GPaから約100GPaの弾性率と、約20μmから約100μmの最終厚さと、背面板の屈曲の際に実質的に伸張される第一主要面と、屈曲の際に実質的に圧縮される第二主要面とを有する屈曲可能な背面板であって、当該主要面が、当該最終厚さを少なくとも20μm上回る初期厚さから当該最終厚さへの事前の材料除去によって特徴付けられる、屈曲可能な背面板を含む、屈曲可能な電子デバイスアセンブリが提供される。当該アセンブリはさらに、当該背面板の第一主要面上の保護層と、当該背面板の第二主要面上の複数の電子部品とを含む。さらに、当該背面板は、屈曲の際に当該背面板が約25℃および約50%の相対湿度において少なくとも60分間にわたって約15mmの曲げ半径に保持される場合に破損がないことによって特徴付けられる。
【0012】
ある特定の態様により、当該屈曲可能な電子デバイスアセンブリはさらに、複数の電子部品を覆う屈曲可能なカバーであって、約25μmから約125μmの厚さ、第一主要面、および第二主要面を有するカバーも含む。当該カバーはさらに、(a)少なくとも90%の光透過率および第一主要面を有する第一ガラス層と、(b)第一ガラス層の第一主要面から当該第一ガラス層の第一深さまで広がる圧縮応力領域であって、当該第一ガラス層の第一主要面における少なくとも約100MPaの圧縮応力によって定義される、圧縮応力領域とを有する。さらに、当該屈曲可能なカバーは、(a)当該カバーが約25℃および約50%の相対湿度において少なくとも60分間にわたって約15mmの曲げ半径に保持される場合に破損がないこと、(b)当該カバーの第一主要面が、(i)約1GPa未満の弾性率を有するおよそ25μmの厚さの感圧性接着剤と、(ii)約10GPa未満の弾性率を有するおよそ50μmの厚さのポリエチレンテレフタレート層とによって支持され、かつ当該カバーの第二主要面が、200μmの直径の平坦な底面を有するステンレス鋼ピンによって負荷される場合の、約1.5kgf(約14.7N)を超える貫入抵抗性と、(c)8H以上の鉛筆硬度とによっても特徴付けられる。いくつかの態様により、当該屈曲可能なカバーの第一ガラス層の組成は、0.5モル%未満のLi2O、Na2O、K2O、Rb2O、およびCs2Oのそれぞれを有する。
【0013】
いくつかの実施形態において、当該屈曲可能な電子デバイスアセンブリはさらに、カバーの下方に位置されかつ背面板に接合された屈曲可能な封入材であって複数の電子部品を封入するように構成された封入材を含む。ある特定の態様において、当該封入材は、約25μmから約125μmの厚さを有し、さらに、(a)少なくとも90%の光透過率および第一主要面を有する第二ガラス層と、(b)第二ガラス層の第一主要面から第二ガラス層の第一深さまで広がる圧縮応力領域であって、当該第二ガラス層の第一主要面における少なくとも約100MPaの圧縮応力によって定義される、圧縮応力領域とを含む。当該封入材はさらに、当該封入材が約25℃および約50%の相対湿度において少なくとも60分間にわたって約15mmの曲げ半径に保持される場合に破損がないことによって特徴付けられる。いくつかの実践形態において、当該屈曲可能な封入材の第二層は、実質的にアルカリイオンを含有しないガラス組成を有する。いくつかの態様により、当該屈曲可能な封入材の組成は、0.5モル%未満のLi2O、Na2O、K2O、Rb2O、およびCs2Oのそれぞれを有する。
【0014】
当該開示のさらなる態様において、当該屈曲可能な電子デバイスアセンブリはさらに、カバーの下方に位置されかつ背面板に接合された屈曲可能な封入材であって、さらに複数の電子部品を封入するように構成された封入材と、当該封入材の第一主要面上の保護層とを含んでもよい。この態様において、当該封入材は、実質的にアルカリイオンを含有せず、少なくとも90%の光透過率を有するガラス組成、約40GPaから約100GPaの弾性率、約20μmから約100μmの最終厚さ、当該封入材の屈曲の際に実質的に伸張される第一主要面および屈曲の際に実質的に圧縮される第二主要面であり、最終厚さを少なくとも20μm上回る初期厚さから当該最終厚さへの事前の材料除去によって特徴付けられる当該主要面、ならびに、屈曲の際に当該封入材が約25℃および約50%の相対湿度において少なくとも60分間にわたって約15mmの曲げ半径に保持される場合に破損がないことによってさらに特徴付けられる。
【0015】
さらなる特徴および利点は以下の詳細な説明において述べられ、ある程度は、当業者にはその説明から容易に明らかとなるであろうし、あるいは、以下の詳細な説明、特許請求の範囲、および添付図面も含む、本明細書において説明されるような実施形態を実施することによって認められるであろう。
【0016】
上述の全般的説明および以下の詳細な説明の両方は、単なる例示であり、特許請求の範囲の本質および特質を理解するための概要または枠組みを提供することを意図していることは理解されたい。添付の図面は、さらなる理解を提供するために含められており、本明細書に組み込まれて本明細書の一部を成すものである。当該図面は、一つまたは複数の実施形態を例示するものであり、説明と共に、様々な実施形態の原理および作用を説明するのに役に立つ。本明細書において使用される方向を示す用語、例えば、上、下、右、左、前、後ろ、上部、下部などは、描かれたままの図に対する単なる言及であって、絶対的方向性を示すことを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】エッチングされ刻み目を入れた主要面を有する可撓性ガラス試料の群と、エッチングされた主要面を有する可撓性ガラス試料の別の群における、破損確率対破損時の負荷のワイブルプロット。
【
図2】本開示の態様による、実質的にアルカリイオンを含有しない組成を有する無アルカリガラス要素および保護層を含む屈曲可能なスタックアセンブリの斜視図。
【
図2A】
図2に示されたスタックアセンブリの断面図。
【
図2B】アセンブリの屈曲時における、
図2に示されたスタックアセンブリの断面図。
【
図3】特に、本開示のさらなる態様によるこれらのアセンブリにおいて用いられる無アルカリガラス要素の最大曲げ半径、弾性率、および厚さに関する、屈曲可能なスタックアセンブリの設計構成を示す概略図。
【
図3A】特に、本開示のさらなる態様によるこれらのアセンブリにおいて用いられる無アルカリガラス要素の最大曲げ半径、弾性率、および厚さに関する、屈曲可能なスタックアセンブリの設計構成を示す概略図。
【
図4】本開示のさらなる態様による、無アルカリガラス組成を有する屈曲可能な背面板と、保護層と、当該背面板上の電子デバイスとを含む電子デバイスアセンブリの斜視図。
【
図4A】アセンブリの屈曲時の、
図4に示される電子デバイスアセンブリの断面図。
【
図5】無アルカリガラス組成を有する屈曲可能な背面板と、保護層と、当該背面板上の電子デバイスと、電子部品を覆う屈曲可能なカバーと、当該カバーの下方に位置されかつ当該背面板に接合された、電子部品を封入する屈曲可能な封入材とを含む電子デバイスアセンブリの斜視図。
【
図5A】アセンブリの屈曲時の、
図5に示された電子デバイスアセンブリの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
その実施例が添付の図面に例示されている好ましい本実施形態について詳細に説明する。可能な限り、図面全体を通じて、同じもしくは類似の部分を指すために、同じ参照番号が使用される。範囲は、本明細書において、「約」一つの特定の値から、および/または、「約」別の特定値まで、と表現することができる。そのような範囲が表現されるとき、他の態様は、一方の特定の値から、および/または他方の特定の値までを含む。同様に、値が近似値で表される場合、「約」という先行する語を用いることで、この特定の値が、別の態様を形成することが理解されるであろう。さらに、各範囲の終点は、他方の終点との関連において、および他方の終点とは無関係に、双方とも有意であることが理解されるであろう。
【0019】
他の特徴および利点の中でも特に、本開示のスタックアセンブリ、ガラス要素、およびガラス物品(ならびにそれらの製造方法)は、小さい曲げ半径での機械的信頼性(例えば、静的伸張および疲労における、ならびに多くのサイクルにわたる動的屈曲における)を提供する。当該スタックアセンブリ、ガラス要素、および/またはガラス物品が、折り畳み可能なディスプレイ内の基板または背面板部品として使用される場合、小さい曲げ半径、およびアルカリイオン移動に対する感応性の低減は、特に有益である。例えば、当該要素、アセンブリ、または物品は、ディスプレイの一部が別の一部の上部を覆うように折り畳まれ、かつ基板または背面板が電子部品を有するような、ディスプレイにおいて使用することができる。より一般的には、当該スタックアセンブリ、ガラス要素、および/またはガラス物品は、貫入抵抗性が特に重要な場所である、折り畳み可能なディスプレイの、使用者に面する部分のカバーや、その上に電子部品が配設される、デバイス自体の中に内部的に配設された基板、または折り畳み可能なディスプレイデバイスにおける他の場所の、一つまたは複数として使用され得る。あるいは、当該スタックアセンブリ、ガラス要素、および/またはガラス物品は、ディスプレイを有さないデバイスだが、ガラス層がその有益な特性のために使用され、かつ折り畳み可能なディスプレイと同様の方式において非常に小さい曲げ半径へと折り畳まれるデバイスにおいて使用することもできる。
【0020】
本開示の態様により、実質的にアルカリイオンを含有しない組成と、約40GPaから約100GPaの弾性率と、約20μmから約100μmの最終厚さとを有するガラス要素を含む屈曲可能なスタックアセンブリが提供される。当該アセンブリは、当該ガラス要素の一つまたは複数の主要面を覆う少なくとも一つの保護層も含む。当該ガラス要素の最終厚さは、材料除去プロセス、例えば、当該ガラス要素の各面から少なくとも10マイクロメートルを除去するエッチングプロセスなどの後の当該要素の厚さである。
【0021】
静的条件下および/またはサイクル条件下において破損することなく曲げることができる無アルカリの屈曲可能なガラス物品の能力は、少なくとも部分的に当該物品の強度に依存する。当該物品の強度は、多くの場合、当該物品に適用された応力場に対する当該物品における欠陥寸法および欠陥分布に依存する。製造の際、無アルカリガラス基板は、切断され、分離されるか、さもなければ最終形状またはほぼ最終形状へと分割される。これらのプロセス、およびそれらに関連するハンドリングは、多くの場合、当該物品に欠陥を生じさせ、それらは、当該物品の強度および靱性を低下させる。結果として、無アルカリガラス板は、多くの場合、250MPa以下の強度レベルを示す。約0.8MPa・m1/2の破壊靱性(KIC)値は、無アルカリガラス組成物において典型的である。下記の式(1)を用いることにより、ハンドリングおよび製造関連のダメージを受けたそのような物品に対して、約2.6マイクロメートルの最大欠陥寸法を見積もることが可能である:
KIC= Y*σ*a1/2 (1)
式中、aは、最大欠陥寸法であり、Yは、経験的に決定された亀裂形状因子であり、単体化および製造関連のハンドリングダメージに一般的に関連する表面スクラッチに対しては約1.12*π1/2である。
【0022】
材料除去プロセス、例えば、単体化の後に実施される酸エッチング手順などは、欠陥密度および欠陥寸法を減少させることにより無アルカリガラス物品(および他のガラス組成物)内の欠陥分布を著しく改善することができる。ガラスから材料を除去するために、当業者によって用いられる他のアプローチ(例えば、レーザーエッチングなど)を用いることもできる。本開示の態様により、これらの材料除去プロセスは、無アルカリガラス要素の強度を1000MPa以上の強度レベルまで高めることができる。式(1)を考慮すると、当該材料除去プロセスは、最大欠陥寸法であるaを約162nmまで減少させる。
【0023】
さらに、ハンドリングおよび単体化は、当該物品にダメージを生じ得るので、材料除去プロセスの後でのアルカリガラス物品(または他のガラス組成物を有する物品)の最小限の注意深いハンドリングでさえ、材料除去手法によって得られた物品における高められた強度を著しく低下させ得ることが予想される。
図1は、この点を実証する破損負荷および破損確率のワイブルプロットを表している。特に、材料除去プロセスおよび小さいキューブコーナー圧入を施された、非強化Corning Gorilla(登録商標)ガラス物品の群(すなわち、「B1-ディープエッチング」群)は、同じ組成および材料除去プロセス条件を有する試料の群(すなわち、「A1-ディープエッチング」群)と比較して、著しく低い強度値を示した。
図1において、試験した試料は、元々は約200マイクロメートルの厚さを有しており、これらは、ディープ酸エッチング手順によって厚さが75マイクロメートルまで減じられた。B1群では、当該試料に、約10gf(約0.1N)においてキューブコーナー圧入を施した。
【0024】
再び
図1を参照すると、A1群は、10%以上の破損確率において1000MPaを超える強度値を示した。さらに、1000MPaよりかなり低い強度値を有する二つのデータ点は、試験関連のハンドリングの際に不注意によりダメージを受けた異常値であると考えられる。結果として、A1群において
図1に示されるワイブル係数(すなわち、破損確率対破損時の応力の傾き)は、二つの異常値も含むという意味において、控え目な値である。当該異常値を群から無視する場合、結果として得られるワイブル係数は、おそらく2%以上の破損確率において、1000MPaを超える強度値が見積もられることを示している。それに対して、試料のB1群は、全ての破損確率において200MPa以下の強度値を示した。2%の破損確率では、予想される強度は、約150MPaである。非強化「Corning Gorilla」ガラス試料に関連して
図1において生じるデータは、無アルカリガラス試料によって生じる強度データに相当するであろうことが予想される。強度値およびワイブル係数は、無アルカリガラス組成を有する試料の群と非強化「Corning Gorilla」ガラス組成を有する試料の群の間においてわずかに異なり得るが、その一方で、
図1に示されるキューブコーナー圧入に関連する強度の低下において観察される傾向は、実質的に同等であることが予想される。
【0025】
これらの見解を考慮して、本開示の態様は、適用環境において引張応力を受ける無アルカリガラス要素の一つまたは複数の表面に保護層を加えることである。当該保護層は、電子デバイスまたは他の物品に当該ガラス要素を装着する前に、無アルカリガラス要素における高められた強度レベルが、追加のハンドリングおよび製造の際に維持されることを保証するであろうことが予想される。例えば、保護層は、屈曲の際に伸張状態にある無アルカリガラス要素の主要面と、当該要素の屈曲の際に引張応力にも晒される当該要素の端部の少なくとも一部に適用することができる。いくつかの態様において、当該保護層は、保護される無アルカリガラス要素の表面への接触を最小限に抑えるために適用される。100マイクロメートル以下の厚さのポリメチルメチルアクリレート(PMMA)などの材料の薄いポリマー性フィルムを、100マイクロメートル以下の厚さの接着層によって無アルカリガラス要素の主要面に接着することによって、それを保護することができる。ある特定の実施形態において、当該保護層は、以下のコーティング適用技術、すなわち、ディップ、スプレー、ローラー、スロットダイ、カーテン、インクジェット、オフセット印刷、グラビア、オフセットグラビア、刷毛塗り、転写印刷、キャストおよび硬化、ならびに当業者によって理解される他の好適なプロセスの、任意の一つまたは複数を用いて適用された、ナノシリカ粒子とエポキシ材料またはウレタン材料との混合物を含み得る。そのような混合物は、適用環境での当該要素の屈曲の際に引張応力を受けることが予想される無アルカリガラス要素の端部を保護するためにも用いることができる。
【0026】
図2~2Bを参照すると、本開示の一態様による屈曲可能なスタックアセンブリ100が表されている。当該アセンブリ100は、実質的にアルカリイオンを含有しない組成と、約40GPaから約100GPaの弾性率と、約20μmから約100μmの最終厚さ52と、当該要素の屈曲10の際に実質的に伸張される第一主要面54と、屈曲10の際に実質的に圧縮される第二主要面56とを有するガラス要素50を含む。
図2~2Bに表されるように、主要面54、56は、最終厚さ52を少なくとも20μm上回る初期厚さから当該最終厚さ52への事前の材料除去によって特徴付けられる。当該ガラス要素は、第一主要面54上の、ある厚さ72を有する保護層70も含む。さらに、当該ガラス要素50は、屈曲の際に当該要素50が約25℃および約50%の相対湿度において少なくとも60分間にわたって約15mmの曲げ半径40に保持される場合に破損がないことよって特徴付けられる。
【0027】
いくつかの態様により、
図2~2Bに表されるガラス要素50の組成は、0.5モル%未満のLi
2O、Na
2O、K
2O、Rb
2O、およびCs
2Oのそれぞれを有する。ある特定の実践形態において、ガラス要素50の無アルカリの性質は、0.45モル%未満、0.40モル%未満、0.35モル%未満、0.30モル%未満、0.25モル%未満、0.20モル%未満、0.15モル%未満、0.10モル%未満、または0.05モル%未満の、Li
2O、Na
2O、K
2O、Rb
2O、およびCs
2Oのそれぞれによって特徴付けられる。
【0028】
いくつかの実践形態において、屈曲可能なスタックアセンブリ100は、当該要素50が屈曲10の際に約25℃および約50%の相対湿度において少なくとも60分間にわたって約15mmの曲げ半径40に保持される場合に破損がないことによって特徴付けられるガラス要素50を含む。さらにより好ましくは、当該要素50は、当該要素が屈曲10の際に同一または同様の試験条件下において5mmの曲げ半径に保持される場合に破損がないことによって特徴付けられる。
図2~2Bに表されるスタックアセンブリ100は、予想される適用環境に一致した他の試験条件下(例えば、前に述べた値の約±10%以内の湿度および/または温度レベル)においても、同一または同様の曲げ半径(例えば、前に述べた曲げ半径の約±10%以内)が可能である。
【0029】
再び
図2~2Bを参照すると、ガラス要素50の主要面54上の屈曲可能なスタックアセンブリ100の保護層70は、様々な材料を含むことができる。好ましくは、当該保護層70は、少なくとも5マイクロメートルの厚さ72を有するポリマー性材料を含む。いくつかの態様において、保護層70の厚さ72は、ガラス要素50の厚さに応じて、5マイクロメートルから50マイクロメートルの範囲であり得る。より薄いガラス要素に対しては、その処理に関連する保護層の収縮によって当該要素が歪むのを防ぐために、先述の範囲の下限端の厚さ72を有する保護層70を用いることが好ましい。いくつかの態様により、当該ガラス要素の厚さが増加するのに伴って、保護層70の厚さ72も先述の範囲内において増加させることができる。
【0030】
前に説明したように、保護層70は、ナノシリカ粒子と、エポキシ材料およびウレタン材料のうちの少なくとも一方とを含み得る。保護層70のためのこれらの組成物、および他の好適な代替の組成物は、2014年10月17日に出願された米国特許出願第14/516,685号明細書においても開示されている。好ましい一例において、以下の組成を有するウレタンを、保護層70に用いることができる。すなわち、50%のオリゴマー(Ebecryl(登録商標) 8311:脂肪族ウレタンアクリレートに分散させた40%の20nmナノシリカ)、43.8%のモノマー(Sartomer Arkema SR531:環状トリメチロールプロパンホルマールアクリレート)、0.2%の光開始剤(MBF:ベンゾイルぎ酸メチル)、3.0%のシラン接着促進剤(APTMS:3-アクリルオキシプロピトリメトキシシラン)、および3.0%の接着促進剤(Sartomer Arkema CD9053:TMPEOTA中におけるアクリレートリン酸エステル)である。別の好ましい例において、以下の組成を有するエポキシを保護層70に用いることができる。すなわち、70.69%のNanopox(登録商標) C-620(40重量%の20nmの球状ナノシリカを含む脂環式エポキシ樹脂)、23.56%の「Nanopox」 C-680(50重量%の20nm球状ナノシリカを含むオキセタンモノマー)、3.00%のMomentive(商標) CoatOSil(登録商標) MP-200(シラン接着促進剤)、2.50%のDow Chemical Cyracure UVI-6976(商標)(カチオン性光開始剤)、および0.25%のCiba(商標) Tinuvin(登録商標) 292(ヒンダードアミン光安定剤)である。保護層70は、同一または同様な厚さを有する接着層によってガラス要素50の表面に接着されたポリマー層、ポリマー性フィルム、またはポリマー性シートも含み得る。
【0031】
図2~2Bに示される屈曲可能なスタックアセンブリ100は、高められた強度値を示す欠陥分布を有するガラス要素50によって構成することができる。ある特定の実践形態において、第一主要面54ならびに第一主要面54と最終厚さ62のおよそ半分との間の領域60は、約200nm以下の平均最長断面寸法を有する複数の欠陥によって特徴付けられる欠陥分布を有する、実質的に欠陥を含まない領域を画定する。いくつかの態様において、当該実質的に欠陥を含まない領域60は、領域60内の欠陥寸法を減じるために使用される処理条件に応じて、当該要素50内の様々な深さ(例えば、ガラス要素50の厚さ52の1/3から2/3)に広がり得る。
【0032】
本開示の他の態様により、
図2~2Bに示される屈曲可能なスタックアセンブリ100は、融合プロセスによって形成されたガラス要素50を含み得、ならびに当該要素の弾性率は、約40GPaから約65GPaの間である。したがって、当該ガラス要素50は、融合線(図示されず)を有し得る。ある特定の態様において、当該ガラス要素50は、約10
10Pa・sの粘度における700℃から800℃の間の仮想温度によって特徴付けることができ、好ましくは融合プロセスを用いて調製される。これらの仮想温度は、一般的に、ほとんどの無アルカリガラス組成物の仮想温度より高く、結果として、フロート法を用いて調製されアニール処理された組成物と比較して、より低い弾性率値を生じる。フロート法によって調製された無アルカリガラス組成物は、多くの場合、融合プロセスを用いて調製されたガラス要素と比べてより高い弾性率を有するので、あまり望ましくない。
【0033】
図2~2Bに示される屈曲可能なスタックアセンブリ100の別の実践形態において、当該アセンブリ100は、実質的にアルカリイオンを含有しない組成と、約40GPaから約100GPaの弾性率と、少なくとも0.6MPa・m
1/2のK
IC破壊靱性と、約20μmから約100μmの厚さ52とを有するガラス要素50を含む。当該ガラス要素50はさらに、要素50の屈曲10の際に実質的に伸張される第一主要面54、および当該屈曲10の際に実質的に圧縮される第二主要面56も含む。当該ガラス要素50はさらに、第一主要面54上の保護層70も含む。
【0034】
屈曲可能なスタックアセンブリ100のある特定の態様において、
図2~2Bに示されるように、ガラス要素50は、実質的にアルカリイオンを含有しない組成と、約40GPaから約100GPaの弾性率と、約20μmから約100μmの最終厚さ52とを有する。ガラス要素50はさらに、要素50の屈曲10の際に実質的に伸張される第一主要面54および当該屈曲10の際に実質的に圧縮される第二主要面56も含む。この態様において、主要面54、56は、最終厚さ52を少なくとも20μm上回る初期厚さから当該最終厚さ52への事前の材料除去によって特徴付けられる。ガラス要素50はさらに、第一主要面54上の保護層70も含む。さらに、ガラス要素50は、当該要素が約25℃および約50%の相対湿度において約15mmの曲げ半径40による200,000サイクルの屈曲を受けた後で破損がないことによって特徴付けられる。
【0035】
図2~2Bに示される屈曲可能なスタックアセンブリ100はさらに、実質的にアルカリイオンを含有しない組成と、約40GPaから約100GPaの弾性率と、約20μmから約100μmの最終厚さ52と、2%以上の破損確率での少なくとも1000MPaの曲げ強度とを有するガラス要素50で構成することもできる。ガラス要素50はさらに、要素50の屈曲10の際に実質的に伸張される第一主要面54、および当該屈曲10の際に実質的に圧縮される第二主要面56も含む。この構成において、主要面54、56は、最終厚さを少なくとも20μm上回る初期厚さから当該最終厚さ52への事前の材料除去によって特徴付けられる。ガラス要素50はさらに、第一主要面54上の保護層70も含む。さらに、当該ガラス要素は、当該アセンブリ100に対して、第一主要面54に積層された保護層70の一部に10gf(約0.1N)においてキューブコーナー圧子による圧入を施した後での、曲げ強度の少なくとも90%の残留強度によって特徴付けられる。
【0036】
図3によって実証されるように、様々な厚さおよび弾性率の無アルカリガラス要素を有する屈曲可能なスタックアセンブリ100を用いることにより、本開示の態様による25mm以下の曲げ半径を達成することができる。1000MPa以上の予想される強度レベルにより、最大強度値の1/5以下に引張応力を維持することによって、推定10年の寿命のための疲労破損抵抗性を得ることができる。したがって、200MPa以下の応力レベルを生じる曲げ半径は、当該無アルカリガラス要素における疲労関連の破損に影響されにくい。より詳細には、
図3に表される解空間を生成するために下記の式(2)を使用し、これは、スタックアセンブリ100に用いられたガラス要素に対して、200MPaの最大誘起引張応力σ
maxを仮定している:
R=(E
*h)/(1-v
2)
*2σ
max (2)
式中、Rは疲労関連の破損の無いスタックアセンブリの最大曲げ半径であり、hはガラス要素の厚さであり、Eはガラス要素の弾性率であり、vは無アルカリガラスに対するポアソン比である(0.2であると仮定した)。
【0037】
図3を参照すると、約82GPaの弾性率(「ガラスC」)および約100マイクロメートルの厚さを有するガラス要素50で構成された屈曲可能なスタックアセンブリ100は、約22mmの最大曲げ半径40が可能であることは明白である。例えば、厚さを20マイクロメートルまで減少させると、最大曲げ半径は約4mmまで向上する(すなわち、より鋭い屈曲が実現可能である)。同様に、約74GPaのより低い弾性率(「ガラスB」)および約100マイクロメートルの厚さを有するガラス要素50で構成された屈曲可能なスタックアセンブリ100は、約18mmの最大曲げ半径40が可能である。例えば、当該厚さを20マイクロメートルまで減少させると、最大曲げ半径は約4mm未満まで向上する。さらに、約57GPaの弾性率(「ガラスA」)および約100マイクロメートルの厚さを有するガラス要素50で構成された屈曲可能なスタックアセンブリ100は、約15mmの最大曲げ半径40が可能である。例えば、当該厚さを20マイクロメートルまで減少させると、最大曲げ半径は約3mmまで向上する。
【0038】
図3Aによって実証されるように、様々な厚さおよび弾性率の無アルカリガラス要素を有する屈曲可能なスタックアセンブリ100を用いることにより、本開示の態様による15mm以下の曲げ半径を達成することができる。1000MPa以上の予想される強度レベルにより、最大強度値の1/3以下に引張応力を維持することによって、推定10年の寿命のための疲労破損抵抗性を得ることができる。したがって、333MPa以下の応力レベルを生じる曲げ半径は、当該無アルカリガラス要素における疲労関連の破損に影響されにくい。より詳細には、
図3Aに表される解空間を生成するために下記の式(2)を使用し、これは、スタックアセンブリ100に用いられたガラス要素に対して、333MPaの最大誘起引張応力σ
maxを仮定している:
R=(E
*h)/(1-v
2)
*2σ
max (2)
式中、Rは疲労関連の破損の無いスタックアセンブリの最大曲げ半径であり、hはガラス要素の厚さであり、Eはガラス要素の弾性率であり、vは無アルカリガラスに対するポアソン比である(0.2であると仮定した)。
【0039】
図3Aを参照すると、約82GPaの弾性率(「ガラスC」)および約100マイクロメートルの厚さを有するガラス要素50で構成された屈曲可能なスタックアセンブリ100は、約13mmの最大曲げ半径40が可能であることは明白である。例えば、厚さを20マイクロメートルまで減少させると、最大曲げ半径は約2.5mmまで向上する(すなわち、より鋭い屈曲が実現可能である)。同様に、約74GPaのより低い弾性率(「ガラスB」)および約100マイクロメートルの厚さを有するガラス要素50で構成された屈曲可能なスタックアセンブリ100は、約11.5mmの最大曲げ半径40が可能である。例えば、当該厚さを20マイクロメートルまで減少させると、最大曲げ半径は約2.5mm未満まで向上する。さらに、約57GPaの弾性率(「ガラスA」)および約100マイクロメートルの厚さを有するガラス要素50で構成された屈曲可能なスタックアセンブリ100は、約9mmの最大曲げ半径40が可能である。例えば、当該厚さを20マイクロメートルまで減少させると、最大曲げ半径は約2mm未満まで向上する。
【0040】
図4~4Aを参照すると、実質的にアルカリイオンを含有しないガラス組成と、約40GPaから約100GPaの弾性率と、約20μmから約100μmの最終厚さ152とを有する屈曲可能な背面板150を含む屈曲可能な電子デバイスアセンブリ200が提供される。当該屈曲可能な背面板150は、背面板150の屈曲190の際に実質的に伸張される第一主要面154と、屈曲190の際に実質的に圧縮される第二主要面156とを有する。さらに、主要面154、156は、最終厚さ152を少なくとも20μm上回る初期厚さから当該最終厚さ152への事前の材料除去によって特徴付けられる。当該アセンブリ200はさらに、当該背面板150の第一主要面154上の保護層170、および当該背面板150の第二主要面156上の複数の電子部品180を含む。さらに、当該背面板150は、当該背面板が屈曲190の際に約25℃および約50%の相対湿度において少なくとも60分間にわたって約15mmの曲げ半径140に保持される場合に破損がないことによって特徴付けられる。
【0041】
図4Aに示されるように、アセンブリ200は、曲げ方向190に従って屈曲または湾曲させることができ、それにより、第一主要面154が伸張下に置かれ、および電子部品180を有する第二主要面156が圧縮される。結果的に、保護層170が、強度低下、および最終的に所定の曲げ半径140に対する疲労寿命性能の低下を生じ得る、ハンドリング関連の欠陥がその表面上において発達しないことを保証するために、伸張される第一主要面154を覆うように位置される。当該屈曲可能な電子デバイスアセンブリの構成要素である、屈曲可能な背面板150、実質的に欠陥を有さない領域160、および保護層170は、
図2~2Bに示される屈曲可能なスタックアセンブリ100に用いられたガラス要素50、実質的に欠陥を有さない領域60、および保護層70に相当することは認められるべきである。そのため、スタックアセンブリ100の上記において説明した変更例も、当該屈曲可能な電子デバイスアセンブリ200に適用可能である。
【0042】
いくつかの態様において、電子部品180は、少なくとも一つの薄膜トランジスタ(TFT)素子または少なくとも一つの有機発光ダイオード(OLED)素子を含む。耐熱性保護層170組成物が、当該デバイスアセンブリ200において用いられる場合、ポリマー背面板を有するシステムと比べて、背面板150上の電子部品180に対してより高い温度での処理を用いることができる。有利なことに、デバイスアセンブリ200におけるより高い温度能力を使用することにより、より高い製造歩留まりおよび/または背面板を収容するデバイスへの高性能電子デバイス部品の統合を実現することができる。
【0043】
図5~5Aを参照すると、
図4~4Aに示されるアセンブリに相当するデバイスアセンブリ200を用いる、屈曲可能な電子デバイスアセンブリ300が示されている。特に、アセンブリ300はさらに、複数の電子部品180を覆う屈曲可能なカバー260も含む。当該カバー260は、約25μmから約125μmの厚さ、第一主要面264、および第二主要面266を有し得る。当該カバー260はさらに、(a)少なくとも90%の光透過率、第一主要面264a、および第二主要面266aを有する第一ガラス層260a、ならびに(b)第一ガラス層260aの第一主要面264aから当該第一ガラス層の第一深さ268aまで広がる圧縮応力領域268であって、当該第一ガラス層260aの第一主要面264aにおける少なくとも約100MPaの圧縮応力によって定義される、圧縮応力領域268も有する。
【0044】
さらに、屈曲可能な電子デバイスアセンブリ300の屈曲可能なカバー260は、(a)当該カバー260が屈曲力190によって約25℃および約50%の相対湿度において少なくとも60分間にわたって約15mmの曲げ半径265に保持される場合に破損がないことと、(b)当該カバー260の第一主要面264が、(i)約1GPa未満の弾性率を有するおよそ25μmの厚さの感圧性接着剤、および(ii)約10GPa未満の弾性率を有するおよそ50μmの厚さのポリエチレンテレフタレート層によって支持され、かつ当該カバー260の第二主要面266が、200μm直径の平坦な底面を有するステンレス鋼ピンによって負荷される場合の、約1.5kgf(約14.7N)を超える貫入抵抗性と、(c)8H以上の鉛筆硬度と、によっても特徴付けられる。
図5~5Aに示されるように、圧縮応力領域268は、おそらく屈曲力190に関連する引張応力に晒されるであろうカバー260の一部に位置される。しかし、圧縮応力領域268は、カバー260の他の場所、適用環境において引張応力を受けることが基本的に予想される任意の領域、または高い強度レベルがカバーにとって有益であり得る他の領域(例えば、デバイスアセンブリ300を含むデバイスの使用者によるハンドリングに晒される表面など)にも位置することができることは理解されるべきである。
【0045】
屈曲可能なカバー260のある特定の態様において、厚さ262は、約25μmから約125μmの範囲であり得る。他の態様において、厚さ262は、約50μmから約100μm、または約60μmから約80μmの範囲であり得る。他の厚さ値も、屈曲可能なカバー260の厚さ262に対する先述の範囲内において用いることができる。
【0046】
屈曲可能なカバー260のいくつかの実施形態において、当該屈曲可能なカバー260は、カバー260の厚さ262に相当する厚さ262aを有する単一のガラス層260aを含む。他の態様において、カバー260は、二つ以上のガラス層260aを含んでいてもよい。その結果として、各ガラス層260aの厚さ262aは、約1μmから約125μmの範囲であり得る。当該屈曲可能なガラスカバー260は、一つまたは複数のガラス層260aに加えて、他の非ガラス層(例えば、伸展性のポリマー層など)を含むことができることも理解されるべきである。
【0047】
さらに屈曲可能なガラスカバー260のガラス層260aに関して、各ガラス層260aは、アルカリ不含のアルミノケイ酸ガラス組成物、ホウケイ酸ガラス組成物、アルミノホウケイ酸ガラス組成物、およびケイ酸ガラス組成物から作製することができる。各ガラス層260aは、アルカリを含有するアルミノケイ酸ガラス組成物、ホウケイ酸ガラス組成物、アルミノホウケイ酸ガラス組成物、およびケイ酸ガラス組成物からも作製することができる。ある特定の態様において、アルカリ土類変更剤を、先述の組成物のいずれにも加えることができる。例示的一態様において、下記のガラス組成は、ガラス層260aにとって好適である。すなわち、64~69%(モル%ベース)のSiO2;5~12%のAl2O3;8~23%のB2O3;0.5~2.5%のMgO;1~9%のCaO;0~5%のSrO;0~5%のBaO;0.1~0.4%のSnO2;0~0.1%のZrO2;および0~1%のNa2Oである。別の例示的態様において、下記の組成は、ガラス層260aにとって好適である。すなわち、約67.4%(モル%ベース)のSiO2;約12.7%のAl2O3;約3.7%のB2O3;約2.4%のMgO;0%のCaO;0%のSrO;約0.1%のSnO2;および約13.7%のNa2Oである。さらなる例示的態様において、下記の組成も、ガラス層260aにとって好適である。すなわち、68.9%(モル%ベース)のSiO2;10.3%のAl2O3;15.2%のNa2O;5.4%のMgO;および0.2%のSnO2である。いくつかの態様において、ガラス層260aの組成は、比較的低い弾性率(他の代替のガラスと比較して)を有するように選択される。ガラス層260aにおけるより低い弾性率は、屈曲の際の当該層260aにおける引張応力を減少させることができる。ガラス層260aのための組成を選択するために、他の基準、例えば、これらに限定されるわけではないが、欠陥の発生を最小限に抑えつつ低い厚さレベルの製造の容易さ、屈曲の際に生じる引張応力を相殺する圧縮応力領域の発達の容易さ、光透過性、および耐腐食性なども使用することができる。
【0048】
図5および5Aをさらに参照すると、電子デバイスアセンブリ300の屈曲可能なカバー260はさらに、ガラス層260aの第一主要面264aから当該ガラス層260aの第一深さ268aまで広がる圧縮応力領域268も含む。他の利点のなかでも特に、当該圧縮応力領域268は、屈曲の際にガラス層260aに生じた引張応力、特に、第一主要面264a付近において最大に達する引張応力を相殺するために、ガラス層260a内に用いることができる。圧縮応力領域268は、層260aの第一主要面264aにおいて少なくとも約100MPaの圧縮応力を含み得る。いくつかの態様において、第一主要面264aにおける圧縮応力は、約600MPaから約1000MPaである。他の態様において、当該圧縮応力は、ガラス層260aに圧縮応力を生じさせるために用いたプロセスに応じて、第一主要面264aにおいて1000MPaを超え得る(最高2000MPaまで)。当該圧縮応力は、本開示の他の態様において、第一主要面264aにおいて約100MPaから約600MPaの範囲でもあり得る。
【0049】
圧縮応力領域268内において、圧縮応力は、ガラス層264aの第一主要面から第一深さ268aまでの深さの関数として、当該ガラス層260a内において一定のままであるか、減少または増加し得る。そのため、圧縮応力領域268において、様々な圧縮応力プロファイルを用いることができる。さらに、当該深さ268aは、ガラス層264aの第一表面からおよそ15μm以下に設定することができる。他の態様において、当該深さ268aは、ガラス層264aの第一主要面から、ガラス層260aの厚さのおよそ1/3以下、またはガラス層260aの厚さの20%以下であるように設定することができる。
【0050】
図5および5Aを参照すると、当該屈曲可能なカバー260は、当該要素が約25℃および約50%の相対湿度において少なくとも60分間にわたって約15mmの曲げ半径265に保持される場合に破損がないことによって特徴付けられる。いくつかの態様において、曲げ半径265は、約10mmに設定することができ、またはいくつかの他の実践形態では、約5mmに設定することができる。用途における必要性に応じて、曲げ半径265を、約25mmおよび約5mm以内の値に設定することも実現可能である。本明細書において使用される場合、「故障」、「破損」などの用語は、折損、破壊、剥離、亀裂伝播、あるいは本開示のスタックアセンブリ、ガラス物品、およびガラス要素を、それらの意図される目的にとって好適ではない状態にする他のメカニズムを意味する。屈曲可能なカバー260が、これらの条件下において曲げ半径265に保持される場合、屈曲力190が、カバー260の端部に加わる。概して、屈曲力190の適用の際に、カバー260の第一主要面264に引張応力が生じ、ならびに第二主要面266に圧縮応力が生じる。曲げ試験の結果は、先述とは異なる温度および/または湿度レベルの試験条件下において変わり得ることも理解されるべきである。例えば、より小さな曲げ半径265(例えば、<5mm)を有する屈曲可能なカバー260は、50%相対湿度よりかなり低い湿度レベルで実施される曲げ試験で破損がないことによって特徴付けることもできる。
【0051】
屈曲可能なカバー260は、要素260の第一主要面264が、(i)約1GPa未満の弾性率を有するおよそ25μmの厚さの感圧性接着剤(「PSA」)および(ii)約10GPa未満の弾性率を有するおよそ50μmの厚さのポリエチレンテレフタレート層(「PET」)によって支持され、かつ当該カバー260の第二主要面266が、200μm直径の平坦な底面を有するステンレス鋼ピンによって(例えば、適用環境において屈曲可能な電子デバイスアセンブリ300の使用の際の、カバー260への影響をシミュレートするために)負荷される場合の、約1.5kgf(約14.7N)を超える貫入抵抗性によっても特徴付けられる。典型的には、本開示の態様による貫入試験は、0.5mm/分のクロスヘッド速度での変位制御下において実施される。ある特定の態様において、より高い弾性率を有する材料(例えば、屈曲可能なガラスカバー260)の試験に関連する金属ピンの変形によって生じ得るバイアスを避けるために、当該ステンレス鋼ピンは、特定の試験量(例えば、10回の試験)の後に新しいピンに交換される。いくつかの態様において、屈曲可能なカバー260は、ワイブルプロット内での5%以上の破損確率における約1.5kgf(約14.7N)を超える貫入抵抗性によって特徴付けられる。当該屈曲可能なカバー260は、ワイブル特性強度(すなわち、63.2%以上)において約3kgf(約29.4N)を超える貫入抵抗性によっても特徴付けることができる。ある特定の態様において、当該屈曲可能な電子デバイスアセンブリ300のカバー260は、約2kgf(約19.6N)以上、2.5kgf(約24.5N)以上、3kgf(約29.4N)以上、3.5kgf(約34.3N)以上、4kgf(約39.2N)以上、およびより高い範囲での貫入に耐えることができる。当該屈曲可能なカバー260は、8H以上の鉛筆硬度によっても特徴付けられる。
【0052】
図5Aを参照すると、屈曲可能なカバー260に圧縮応力領域268を発生させるためのイオン交換プロセスに依存する、屈曲可能な電子デバイスアセンブリ300の断面が示されている。当該アセンブリ300のいくつかの態様において、カバー260の圧縮応力領域268は、イオン交換プロセスによって発生させることができる。すなわち、圧縮応力領域268は、複数のイオン交換可能な金属イオンおよび複数のイオン交換された金属イオンを含み得、当該イオン交換された金属イオンは、領域268に圧縮応力を生じるように選択される。当該電子デバイスアセンブリ300のいくつかの態様において、当該イオン交換された金属イオンは、イオン交換可能な金属イオンの原子半径より大きな原子半径を有する。当該イオン交換可能なイオン(例えば、Na
+イオン)は、イオン交換プロセスを施される前に、屈曲可能なカバー260および層260aに存在する。イオン交換性イオン(例えば、K
+イオン)は、カバー260および一つまたは複数の層260aに取り込まれて、イオン交換可能なイオンのうちのいくつかと置き換わることができる。カバー260および層260a中へのイオン交換性イオン、例えば、K
+イオンなどの取り込みは、当該要素または当該層を、イオン交換性イオンを含有する溶融塩浴(例えば、溶融KNO
3塩)に浸漬することによって実施することができる。この例において、K
+イオンは、Na
+イオンより大きな原子半径を有し、それが存在するガラスに局所的圧縮応力を生じさせる傾向がある。
【0053】
用いられるイオン交換プロセス条件に応じて、イオン交換性イオンを、第一主要面264aから第一イオン交換深さ268aまで与えることができ、これが、圧縮応力領域268のためのイオン交換圧縮応力深さ(「DOL」)を確立する。そのようなイオン交換プロセスによって、100MPaを大きく上回る(2000MPaの高さまで)、DOL内の圧縮応力レベルを達成することができる。前に述べたように、圧縮応力領域268における圧縮応力レベルは、屈曲力190によって生じ、カバー260および一つまたは複数のガラス層260aに生じた引張応力を相殺するために役立ち得る。
【0054】
他の処理関連の情報ならびに本開示による屈曲可能なカバー260要素のための代替の構成は、それぞれ2014年1月29日および2014年4月3日に出願された、米国特許仮出願第61/932,924号明細書および米国特許仮出願第61/974,732号明細書(集合的に、「’924および‘732出願」)において教示される屈曲可能なスタックアセンブリの態様から得ることができる。例えば、デバイスアセンブリ300は、カバー260内において、アルカリ含有組成物を含む様々なガラス組成物を用いることができるが、これは、カバー260が、電子部品180に直接には接触していないためである。デバイスアセンブリ300のいくつかの他の態様において、カバー260は、背面板150の上方における統合された電子部品(例えば、タッチセンサなど)ならびに当該背面板に取り付けられた電子部品180を用いることができる。そのような態様において、カバー260は、好ましくは、無アルカリガラス組成を採用するであろう。
【0055】
図5~5Aに示される屈曲可能な電子デバイスアセンブリ300のいくつかの態様において、当該アセンブリはさらに、カバー260の下方の、背面板150に接合された封入材250も含む。当該封入材250は、電子部品180を封入するように構成される。当該封入材は、いくつかの態様において、光学的に透明なポリマー性シーリング材料として構成され得る。しかしながら、当該封入材250は、
図5Aに示されるように当該アセンブリ300が屈曲力190を受けた場合に破損せずに封入材として機能するために、好適な機械的完全性を有しなければならないことは理解されるべきである。
【0056】
再び
図5~5Aを参照すると、屈曲可能な電子デバイスアセンブリ300の別の態様は、(a)少なくとも90%の光透過率、第一主要面254a、および第二主要面256aを有する第二ガラス層250aと、(b)第二ガラス層250aの第一主要面254aから第二ガラス層250aの第一深さ258aまで広がる圧縮応力領域258であって、当該第二ガラス層の第一主要面254aにおける少なくとも約100MPaの圧縮応力によって定義される圧縮応力領域258と、をさらに含む、約25μmから約125μmの厚さ252を有する屈曲可能なガラス層の形態において封入材250を用いている。封入材250はさらに、当該封入材が屈曲力190によって約25℃および約50%の相対湿度において少なくとも60分間にわたって約15mmの曲げ半径255に保持される場合に破損がないことによっても特徴付けられる。そのため、当該封入材250は、先の各節において説明した屈曲可能なガラスカバー260と同一または同様に構成することができる。
【0057】
屈曲可能な電子デバイスアセンブリ300のいくつかの態様の場合、屈曲可能なガラスカバー260に対して指定される貫入抵抗性および鉛筆硬度の要件は、封入材250に関しては制御していない。すなわち、封入材250は、おそらく製造人員またはデバイス所有者による直接的なハンドリングを受けないと思われ、これは、高い貫入抵抗性および鉛筆硬度の重要性を低下させる。本開示のある特定の他の態様において、封入材250は、上記において説明されたように、アルカリイオンを実質的に含有しないガラス組成を含み得る。アセンブリ300のこれらの態様は、概して、封入材250とその下の電子部品180との間の近接を必要とする。
図5では、封入材250の四つの周辺端部のうちの二つだけが、デバイスアセンブリ200の背面板150に密封接着されるように概略的に表されているが、実際には、四つ全ての周辺端部が、電子部品180に対して密閉環境を作り出すように密封接着される。封入材250は、当技術分野において既知である、フリットシーリングによって背面板150に密封接着され得る。
【0058】
屈曲可能な電子デバイスアセンブリ300のある特定の実践形態において、当該アセンブリは、375マイクロメートル以下、350マイクロメートル以下、325マイクロメートル以下、300マイクロメートル以下、275マイクロメートル以下、250マイクロメートル以下、225マイクロメートル以下、または200マイクロメートル以下の総厚さを有する。当該屈曲可能な電子デバイスアセンブリの総厚さは、概して、背面板150、封入材250、カバー260、および保護層170のそれぞれの厚さに依存する。前に概説したように、当該背面板の厚さは、事前の材料除去に関連する処理条件の程度に依存し得る。
【0059】
特許請求項の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な修正および変更を為すことができることは、当業者には明白であろう。例えば、
図2~2Bに示される屈曲可能なスタックアセンブリ100は、屈曲力10によって伸張されることが予想される、主要面254上の保護層70を含む。用途に合わせた屈曲によって引張応力を受けることが予想される、スタックアセンブリ100に用いられたガラス要素50(図示されず)における追加の表面上において保護層70が用いられるような、さらなる他の変更例も可能である。
【0060】
本明細書において説明される様々な態様は、あらゆる組み合わせにおいて組み合わせることができる。例えば、これらの態様は、以下において詳細に説明されるように組み合わせることができる。
【0061】
第一態様により、
実質的にアルカリイオンを含有しない組成、
約40GPaから約100GPaの弾性率、
約20μmから約100μmの最終厚さ、
ガラス要素の屈曲の際に実質的に伸張される第一主要面、および
当該屈曲の際に実質的に圧縮される第二主要面、
を有するガラス要素であって、当該主要面が、当該最終厚さを少なくとも20μm上回る初期厚さから当該最終厚さへの事前の材料除去によって特徴付けられる、ガラス要素と、
当該第一主要面上の保護層と、
を含む、屈曲可能なスタックアセンブリであって、当該ガラス要素が、上記屈曲の際に当該要素が約25℃および約50%の相対湿度において少なくとも60分間にわたって約25mmの曲げ半径に保持される場合に破損がないことによって特徴付けられる、屈曲可能なスタックアセンブリが提供される。
【0062】
第二態様により、上記ガラス要素が、上記屈曲の際に当該要素が約25℃および約50%の相対湿度において少なくとも60分間にわたって約15mmの曲げ半径に保持される場合に破損がないことによって特徴付けられる、第一態様による屈曲可能なスタックアセンブリが提供される。
【0063】
第三態様により、上記ガラス要素が、上記屈曲の際に当該要素が約25℃および約50%の相対湿度において少なくとも60分間にわたって約5mmの曲げ半径に保持される場合に破損がないことによって特徴付けられる、第一態様による屈曲可能なスタックアセンブリが提供される。
【0064】
第四態様により、上記保護層が、少なくとも5μmの厚さを有する、第一態様~第三態様のいずれか一つによる屈曲可能なスタックアセンブリが提供される。
【0065】
第五態様により、上記保護層が、ナノシリカ粒子と、エポキシ材料およびウレタン材料のうちの少なくとも一方とを含む、第四態様による屈曲可能なスタックアセンブリが提供される。
【0066】
第六態様により、上記保護層が、接着層によって上記第一主要面に積層されたポリマー層を含む、第四態様による屈曲可能なスタックアセンブリが提供される。
【0067】
第七態様により、上記ガラス要素の組成が、0.5モル%未満のLi2O、Na2O、K2O、Rb2O、およびCs2Oのそれぞれを有する、第一態様~第六態様のいずれか一つによる屈曲可能なスタックアセンブリが提供される。
【0068】
第八態様により、上記第一主要面と、当該第一主要面から最終厚さの半分までの間の上記要素の領域とが、約200nm以下の平均最長断面寸法を有する複数の欠陥によって特徴付けられる欠陥分布を有する実質的に欠陥を含まない領域を画定する、第一態様~第七態様のいずれか一つによる屈曲可能なスタックアセンブリが提供される。
【0069】
第九態様により、上記ガラス要素が融合線を有し、ならびに当該ガラス要素の弾性率が約40GPaから約65GPaである、第一態様~第八態様のいずれか一つによる屈曲可能なスタックアセンブリが提供される。
【0070】
第十態様により、上記ガラス要素がさらに、約1010Pa・sの粘度における700℃から800℃の間の仮想温度によって特徴付けられる、第九態様による屈曲可能なスタックアセンブリが提供される。
【0071】
第十一態様により、
実質的にアルカリイオンを含有しない組成、
約40GPaから約100GPaの弾性率、
少なくとも0.6MPa・m1/2のKIC破壊靱性、
約20μmから約100μmの厚さ、
ガラス要素の屈曲の際に実質的に伸張される第一主要面、および
当該屈曲の際に実質的に圧縮される第二主要面、
を有するガラス要素と、
当該第一主要面上の保護層と、
を含む、屈曲可能なスタックアセンブリが提供される。
【0072】
第十二態様により、上記保護層が、少なくとも5μmの厚さを有する、第十一態様による屈曲可能なスタックアセンブリが提供される。
【0073】
第十三態様により、上記保護層が、ナノシリカ粒子と、エポキシ材料およびウレタン材料のうちの少なくとも一方とを含む、第十二態様による屈曲可能なスタックアセンブリが提供される。
【0074】
第十四態様により、上記保護層が、接着層によって第一主要面に積層されたポリマー層を含む、第十二態様による屈曲可能なスタックアセンブリが提供される。
【0075】
第十五態様により、上記ガラス要素の組成が、0.5モル%未満のLi2O、Na2O、K2O、Rb2O、およびCs2Oのそれぞれを有する、第十一態様~第十四態様のいずれか一つによる屈曲可能なスタックアセンブリが提供される。
【0076】
第十六態様により、上記第一主要面と、当該第一主要面から上記厚さの半分までの間の上記要素の領域とが、約200nm以下の平均最長断面寸法を有する複数の欠陥によって特徴付けられる欠陥分布を有する実質的に欠陥を含まない領域を画定する、第十一態様~第十五態様のいずれか一つによる屈曲可能なスタックアセンブリが提供される。
【0077】
第十七態様により、上記ガラス要素が融合線を有し、ならびに当該ガラス要素の弾性率が約40GPaから約65GPaである、第十一態様~第十六態様のいずれか一つによる屈曲可能なスタックアセンブリが提供される。
【0078】
第十八態様により、上記ガラス要素がさらに、約1010Pa・sの粘度における700℃から800℃の間の仮想温度によって特徴付けられる、第十七態様による屈曲可能なスタックアセンブリが提供される。
【0079】
第十九態様により、
実質的にアルカリイオンを含有しない組成、
約40GPaから約100GPaの弾性率、
約20μmから約100μmの最終厚さ、
ガラス要素の屈曲の際に実質的に伸張される第一主要面、および
当該屈曲の際に実質的に圧縮される第二主要面、
を有するガラス要素であって、当該主要面が、当該最終厚さを少なくとも20μm上回る初期厚さから当該最終厚さへの事前の材料除去によって特徴付けられる、ガラス要素と、
当該第一主要面上の保護層と、
を含む、屈曲可能なスタックアセンブリであって、当該ガラス要素が、約25℃および約50%の相対湿度において約25mmの曲げ半径による200,000サイクルの屈曲を受けた後で破損がないことによって特徴付けられる、屈曲可能なスタックアセンブリが提供される。
【0080】
第二十態様により、上記保護層が、少なくとも5μmの厚さを有する、第十九態様による屈曲可能なスタックアセンブリが提供される。
【0081】
第二十一態様により、上記保護層が、ナノシリカ粒子と、エポキシ材料およびウレタン材料のうちの少なくとも一方とを含む、第二十態様による屈曲可能なスタックアセンブリが提供される。
【0082】
第二十二態様により、上記保護層が、接着層によって上記第一主要面に積層されたポリマー層を含む、第二十態様による屈曲可能なスタックアセンブリが提供される。
【0083】
第二十三態様により、上記ガラス要素が、上記屈曲の際に当該要素が約25℃および約50%の相対湿度において少なくとも60分間にわたって約15mmの曲げ半径に保持される場合に破損がないことによって特徴付けられる、第十九態様~第二十二態様のいずれか一つによる屈曲可能なスタックアセンブリが提供される。
【0084】
第二十四態様により、上記ガラス要素が、上記屈曲の際に当該要素が約25℃および約50%の相対湿度において少なくとも60分間にわたって約5mmの曲げ半径に保持される場合に破損がないことによって特徴付けられる、第十九態様~第二十三態様のいずれか一つによる屈曲可能なスタックアセンブリが提供される。
【0085】
第二十五態様により、上記ガラス要素の組成が、0.5モル%未満のLi2O、Na2O、K2O、Rb2O、およびCs2Oのそれぞれを有する、第十九態様~第二十四態様のいずれか一つによる屈曲可能なスタックアセンブリが提供される。
【0086】
第二十六態様により、上記第一主要面と、当該第一主要面から最終厚さの半分までの間の当該要素の領域とが、約200nm以下の平均最長断面寸法を有する複数の欠陥によって特徴付けられる欠陥分布を有する実質的に欠陥を含まない領域を画定する、第十九態様~第二十五態様のいずれか一つによる屈曲可能なスタックアセンブリが提供される。
【0087】
第二十七態様により、上記ガラス要素が融合線を有し、ならびに当該ガラス要素の弾性率が約40GPaから約65GPaである、第十九態様~第二十六態様のいずれか一つによる屈曲可能なスタックアセンブリが提供される。
【0088】
第二十八態様により、上記ガラス要素がさらに、約1010Pa・sの粘度における700℃から800℃の間の仮想温度によって特徴付けられる、第二十七態様による屈曲可能なスタックアセンブリが提供される。
【0089】
第二十九態様により、
実質的にアルカリイオンを含有しない組成、
約40GPaから約100GPaの弾性率、
約20μmから約100μmの最終厚さ、
2%以上の破損確率での少なくとも1000MPaの曲げ強度、
ガラス要素の屈曲の際に実質的に伸張される第一主要面、および、
当該屈曲の際に実質的に圧縮される第二主要面、
を有するガラス要素であって、当該主要面が、当該最終厚さを少なくとも20μm上回る初期厚さから当該最終厚さへの事前の材料除去によって特徴付けられる、ガラス要素と、
当該第一主要面上の保護層と、
を含む、屈曲可能なスタックアセンブリであって、当該ガラス要素が、当該第一主要面に積層された当該保護層の一部に10gf(約0.1N)においてキューブコーナー圧子による圧入を施した後での、曲げ強度の少なくとも90%の残留強度によって特徴付けられる、
屈曲可能なスタックアセンブリが提供される。
【0090】
第三十態様により、上記保護層が、少なくとも5μmの厚さを有する、第二十九態様による屈曲可能なスタックアセンブリが提供される。
【0091】
第三十一態様により、上記保護層が、ナノシリカ粒子と、エポキシ材料およびウレタン材料のうちの少なくとも一方とを含む、第三十態様による屈曲可能なスタックアセンブリが提供される。
【0092】
第三十二態様により、上記保護層が、接着層によって上記第一主要面に積層されたポリマー層を含む、第三十態様による屈曲可能なスタックアセンブリが提供される。
【0093】
第三十三態様により、上記ガラス要素の組成が、0.5モル%未満のLi2O、Na2O、K2O、Rb2O、およびCs2Oのそれぞれを有する、第二十九態様~第三十二態様のいずれか一つによる屈曲可能なスタックアセンブリが提供される。
【0094】
第三十四態様により、上記第一主要面と、当該第一主要面から最終厚さの半分までの間の当該要素の領域とが、約200nm以下の平均最長断面寸法を有する複数の欠陥によって特徴付けられる欠陥分布を有する実質的に欠陥を含まない領域を画定する、第二十九態様~第三十三態様のいずれか一つによる屈曲可能なスタックアセンブリが提供される。
【0095】
第三十五態様により、上記ガラス要素が融合線を有し、ならびに当該ガラス要素の弾性率が約40GPaから約65GPaである、第二十九態様~第三十四態様のいずれか一つによる屈曲可能なスタックアセンブリが提供される。
【0096】
第三十六態様により、上記ガラス要素がさらに、約1010Pa・sの粘度における700℃から800℃の間の仮想温度によって特徴付けられる、第三十五態様による屈曲可能なスタックアセンブリが提供される。
【0097】
第三十七態様により、
実質的にアルカリイオンを含まないガラス組成、
約40GPaから約100GPaの弾性率、
約20μmから約100μmの最終厚さ、
背面板の屈曲の際に実質的に伸張される第一主要面、および、
当該屈曲の際に実質的に圧縮される第二主要面、
を含む屈曲可能な背面板であって、当該主要面が、当該最終厚さを少なくとも20μm上回る初期厚さから当該最終厚さへの事前の材料除去によって特徴付けられる、屈曲可能な背面板と;
当該背面板の第一主要面上の保護層と;
当該背面板の第二主要面上の複数の電子部品と、
を含む、屈曲可能な電子デバイスアセンブリであって、当該背面板が、当該屈曲の際に当該背面板が約25℃および約50%の相対湿度において少なくとも60分間にわたって約25mmの曲げ半径に保持される場合に破損がないことによって特徴付けられる、
屈曲可能な電子デバイスアセンブリが提供される。
【0098】
第三十八態様により、上記背面板が、上記屈曲の際に当該要素が約25℃および約50%の相対湿度において少なくとも60分間にわたって約15mmの曲げ半径に保持される場合に破損がないことによって特徴付けられる、第三十七態様による屈曲可能な電子デバイスアセンブリが提供される。
【0099】
第三十九態様により、上記背面板が、上記屈曲の際に当該要素が約25℃および約50%の相対湿度において少なくとも60分間にわたって約5mmの曲げ半径に保持される場合に破損がないことによって特徴付けられる、第三十七態様による屈曲可能な電子デバイスアセンブリが提供される。
【0100】
第四十態様により、上記保護層が、ナノシリカ粒子と、エポキシ材料およびウレタン材料のうちの少なくとも一方とを含む、第三十七態様~第三十九態様のいずれか一つによる屈曲可能な電子デバイスアセンブリが提供される。
【0101】
第四十一態様により、上記背面板の組成が、0.5モル%未満のLi2O、Na2O、K2O、Rb2O、およびCs2Oのそれぞれを有する、第三十七態様~第四十態様のいずれか一つによる屈曲可能な電子デバイスアセンブリが提供される。
【0102】
第四十二態様により、上記電子部品が、少なくとも一つの薄膜トランジスタ素子を含む、第三十七態様~第四十一態様のいずれか一つによる屈曲可能な電子デバイスアセンブリが提供される。
【0103】
第四十三態様により、上記電子部品が、少なくとも一つのOLED素子を含む、第三十七態様~第四十二態様のいずれか一つによる屈曲可能な電子デバイスアセンブリが提供される。
【0104】
第四十四態様により、
上記複数の電子部品を覆う屈曲可能なカバーであって、約25μmから約125μmの厚さと、第一主要面と、第二主要面とを有する屈曲可能なカバーをさらに含み
(a)少なくとも90%の光透過率および第一主要面を有する第一ガラス層と
(b)当該第一ガラス層の当該第一主要面から当該第一ガラス層の第一深さまで広がる圧縮応力領域であって、当該第一ガラス層の第一主要面における少なくとも約100MPaの圧縮応力によって定義される、圧縮応力領域と、
をさらに含む、第三十七態様~第四十三態様のいずれか一つによる屈曲可能な電子デバイスアセンブリであって、当該屈曲可能なカバーが
(a)当該カバーが約25℃および約50%の相対湿度で少なくとも60分間にわたって約25mmの曲げ半径において保持される場合に破損がないことと
(b)当該カバーの第一主要面が、(i)約1GPa未満の弾性率を有するおよそ25μmの厚さの感圧性接着剤、および(ii)約10GPa未満の弾性率を有するおよそ50μmの厚さのポリエチレンテレフタレート層によって支持され、かつ当該カバーの当該第二主要面が、200μm直径の平坦な底面を有するステンレス鋼ピンによって負荷される場合の、約1.5kgf(約14.7N)を超える貫入抵抗性と
(c)8H以上の鉛筆硬度と、
によって特徴付けられる、屈曲可能な電子デバイスアセンブリが提供される。
【0105】
第四十五態様により、250μm以下の総厚さを有する、第四十四態様による屈曲可能な電子デバイスアセンブリが提供される。
【0106】
第四十六態様により、さらに、上記カバーの下方に位置されかつ上記背面板に接合された屈曲可能な封入材であって、複数の電子部品を封入するように構成される封入材を含む、第四十四態様による屈曲可能な電子デバイスアセンブリが提供される。
【0107】
第四十七態様により、上記封入材が、約25μmから約125μmの厚さを有し
(a)少なくとも90%の光透過率および第一主要面を有する第二ガラス層と
(b)第二ガラス層の第一主要面から第二ガラス層の第一深さまで広がる圧縮応力領域であって、当該第二ガラス層の第一主要面における少なくとも約100MPaの圧縮応力によって定義される、圧縮応力領域と、
をさらに含み、当該封入材がさらに、当該封入材が約25℃および約50%の相対湿度において少なくとも60分間にわたって約25mmの曲げ半径に保持される場合に破損がないことによって特徴付けられる、第四十六態様による屈曲可能な電子デバイスアセンブリが提供される。
【0108】
第四十八態様により、上記第二ガラス層が、実質的にアルカリイオンを含有しないガラス組成を有する、第四十七態様による屈曲可能な電子デバイスアセンブリが提供される。
【0109】
第四十九態様により、375μm以下の総厚さを有する、第四十七態様または第四十八態様による屈曲可能な電子デバイスアセンブリが提供される。
【0110】
第五十態様により、
上記カバーの下方に位置されかつ上記背面板に接合された屈曲可能な封入材であって、さらに複数の電子部品を封入するように構成された封入材と、
当該封入材の第一主要面上の保護層と、
をさらに含み、当該封入材が、
実質的にアルカリイオンを含有せず、少なくとも90%の光透過率を有するガラス組成と、
約40GPaから約100GPaの弾性率と、
約20μmから約100μmの最終厚さと、
当該封入材の屈曲の際に実質的に伸張される第一主要面と、
当該屈曲の際に実質的に圧縮される第二主要面と(この場合、当該主要面は、当該最終厚さを少なくとも20μm上回る初期厚さから当該最終厚さへの事前の材料除去によって特徴付けられる)、
屈曲の際に当該封入材が約25℃および約50%の相対湿度において少なくとも60分間にわたって約25mmの曲げ半径に保持される場合に破損がないことと、
によってさらに特徴付けられる、第四十四態様による屈曲可能な電子デバイスアセンブリが提供される。
【0111】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0112】
実施形態1
屈曲可能なスタックアセンブリにおいて、
ガラス要素であって、
実質的にアルカリイオンを含有しない組成、
約40GPaから約100GPaの弾性率、
約20μmから約100μmの最終厚さ、
ガラス要素の屈曲の際に実質的に伸張される第一主要面、および、
当該屈曲の際に実質的に圧縮される第二主要面、
を有し、当該主要面が、当該最終厚さを少なくとも20μm上回る初期厚さから当該最終厚さへの事前の材料除去、によって特徴付けられる、ガラス要素と、
当該第一主要面上の保護層と、
を含み、
当該ガラス要素が、当該屈曲の際に当該要素が約25℃および約50%の相対湿度において少なくとも60分間にわたって約15mmの曲げ半径に保持される場合に破損がないことによって特徴付けられる、屈曲可能なスタックアセンブリ。
【0113】
実施形態2
屈曲可能なスタックアセンブリにおいて、
ガラス要素であって、
実質的にアルカリイオンを含有しない組成、
約40GPaから約100GPaの弾性率、
少なくとも0.6MPa・m1/2のKIC破壊靱性、
約20μmから約100μmの厚さ、
ガラス要素の屈曲の際に実質的に伸張される第一主要面、および、
当該屈曲の際に実質的に圧縮される第二主要面、
を有するガラス要素と、
当該第一主要面上の保護層と、
を含む、屈曲可能なスタックアセンブリ。
【0114】
実施形態3
屈曲可能なスタックアセンブリにおいて、
ガラス要素であって、
実質的にアルカリイオンを含有しない組成、
約40GPaから約100GPaの弾性率、
約20μmから約100μmの最終厚さ、
ガラス要素屈曲の際に実質的に伸張される第一主要面、および、
当該屈曲の際に実質的に圧縮される第二主要面、
を有し、当該主要面が、当該最終厚さを少なくとも20μm上回る初期厚さから当該最終厚さへの事前の材料除去によって特徴付けられる、ガラス要素と、
当該第一主要面上の保護層と、
を含み、
当該ガラス要素が、当該要素が約25℃および約50%の相対湿度において約15mmの曲げ半径による200,000サイクルの屈曲を受けた後で破損がないことによって特徴付けられる、屈曲可能なスタックアセンブリ。
【0115】
実施形態4
屈曲可能なスタックアセンブリにおいて、
ガラス要素であって、
実質的にアルカリイオンを含有しない組成、
約40GPaから約100GPaの弾性率、
約20μmから約100μmの最終厚さ、
2%以上の破損確率での少なくとも1000MPaの曲げ強度、
ガラス要素の屈曲の際に実質的に伸張される第一主要面、および、
当該屈曲の際に実質的に圧縮される第二主要面、
を有し、当該主要面が、当該最終厚さを少なくとも20μm上回る初期厚さから当該最終厚さへの事前の材料除去によって特徴付けられる、ガラス要素と、
当該第一主要面上の保護層と、
を含み、
当該ガラス要素が、当該アセンブリに対して、当該第一主要面に積層された当該保護層の一部に10gf(約0.1N)においてキューブコーナー圧子による圧入を施した後での、曲げ強度の少なくとも90%の残留強度によって特徴付けられる、屈曲可能なスタックアセンブリ。
【0116】
実施形態5
上記保護層が、少なくとも5μmの厚さを有する、実施形態1~4のいずれか一つに記載の屈曲可能なスタックアセンブリ。
【0117】
実施形態6
上記保護層が、ナノシリカ粒子と、エポキシ材料およびウレタン材料のうちの少なくとも一方とを含む、実施形態1~5のいずれか一つに記載の屈曲可能なスタックアセンブリ。
【0118】
実施形態7
上記保護層が、接着層によって上記第一主要面に積層されたポリマー層を含む、実施形態1~5のいずれか一つに記載の屈曲可能なスタックアセンブリ。
【0119】
実施形態8
上記ガラス要素の組成が、0.5モル%未満のLi2O、Na2O、K2O、Rb2O、およびCs2Oのそれぞれを有する、実施形態1~7のいずれか一つに記載の屈曲可能なスタックアセンブリ。
【0120】
実施形態9
上記第一主要面と、当該第一主要面から最終厚さの半分までの間の上記要素の領域とが、約200nm以下の平均最長断面寸法を有する複数の欠陥によって特徴付けられる欠陥分布を有する実質的に欠陥を含まない領域を画定する、実施形態1~8のいずれか一つに記載の屈曲可能なスタックアセンブリ。
【0121】
実施形態10
上記ガラス要素が融合線を有し、ならびに当該ガラス要素の弾性率が約40GPaから約65GPaである、実施形態1~9のいずれか一つに記載の屈曲可能なスタックアセンブリ。
【0122】
実施形態11
上記ガラス要素がさらに、約1010Pa・sの粘度における700℃から800℃の間の仮想温度によって特徴付けられる、実施形態10に記載の屈曲可能なスタックアセンブリ。
【0123】
実施形態12
屈曲可能な電子デバイスアセンブリにおいて、
屈曲可能な背面板であって、
実質的にアルカリイオンを含まないガラス組成、
約40GPaから約100GPaの弾性率、
約20μmから約100μmの最終厚さ、
背面板の屈曲の際に実質的に伸張される第一主要面、および、
当該屈曲の際に実質的に圧縮される第二主要面、
を含み、該主要面が、当該最終厚さを少なくとも20μm上回る初期厚さから当該最終厚さへの事前の材料除去によって特徴付けられる、屈曲可能な背面板と、
当該背面板の第一主要面上の保護層と、
当該背面板の第二主要面上の複数の電子部品と、
を含み、
当該背面板が、当該屈曲の際に当該背面板が約25℃および約50%の相対湿度において少なくとも60分間にわたって約15mmの曲げ半径に保持される場合に破損がないことによって特徴付けられる、屈曲可能な電子デバイスアセンブリ。
【0124】
実施形態13
上記保護層が、ナノシリカ粒子と、エポキシ材料およびウレタン材料のうちの少なくとも一方とを含む、実施形態12に記載の屈曲可能な電子デバイスアセンブリ。
【0125】
実施形態14
上記背面板の組成が、0.5モル%未満のLi2O、Na2O、K2O、Rb2O、およびCs2Oのそれぞれを有する、実施形態12または13に記載の屈曲可能な電子デバイスアセンブリ。
【0126】
実施形態15
上記電子部品が、少なくとも一つの薄膜トランジスタ素子または少なくとも一つのOLED素子を含む、実施形態12~14のいずれか一つに記載の屈曲可能な電子デバイスアセンブリ。
【0127】
実施形態16
上記複数の電子部品を覆う屈曲可能なカバーであって、約25μmから約125μmの厚さと、第一主要面と、第二主要面とを有するカバーをさらに含み
(a)少なくとも90%の光透過率および第一主要面を有する第一ガラス層と
(b)当該第一ガラス層の当該第一主要面から当該第一ガラス層の第一深さまで広がる圧縮応力領域であって、当該第一ガラス層の第一主要面における少なくとも約100MPaの圧縮応力によって定義される、圧縮応力領域と、をさらに含み、
当該屈曲可能なカバーが
(a)当該カバーが約25℃および約50%の相対湿度で少なくとも60分間にわたって約15mmの曲げ半径において保持される場合に破損がないことと
(b)当該カバーの第一主要面が、(i)約1GPa未満の弾性率を有するおよそ25μmの厚さの感圧性接着剤、および(ii)約10GPa未満の弾性率を有するおよそ50μmの厚さのポリエチレンテレフタレート層によって支持され、かつ当該カバーの当該第二主要面が、200μm直径の平坦な底面を有するステンレス鋼ピンによって負荷される場合の、約1.5kgf(約14.7N)を超える貫入抵抗性と
(c)8H以上の鉛筆硬度と、
によって特徴付けられる、実施形態12~15のいずれか一つに記載の屈曲可能な電子デバイスアセンブリ。
【0128】
実施形態17
250μm以下の総厚さを有する、実施形態16に記載の屈曲可能な電子デバイスアセンブリ。
【0129】
実施形態18
上記背面板に接合された屈曲可能な封入材であって、上記複数の電子部品を封入するように構成された封入材、
をさらに含む、実施形態12~16のいずれか一つに記載の屈曲可能な電子デバイスアセンブリ。
【0130】
実施形態19
上記封入材が、約25μmから約125μmの厚さを有し
(a)少なくとも90%の光透過率および第一主要面を有する第二ガラス層と
(b)第二ガラス層の第一主要面から第二ガラス層の第一深さまで広がる圧縮応力領域であって、当該第二ガラス層の第一主要面における少なくとも約100MPaの圧縮応力によって定義される、圧縮応力領域と、
をさらに含み、当該封入材がさらに、当該封入材が約25℃および約50%の相対湿度において少なくとも60分間にわたって約15mmの曲げ半径に保持される場合に破損がないことによって特徴付けられる、実施形態18に記載の屈曲可能な電子デバイスアセンブリ。
【0131】
実施形態20
上記第二ガラス層が、実質的にアルカリイオンを含有しないガラス組成を有する、実施形態19に記載の屈曲可能な電子デバイスアセンブリ。
【0132】
実施形態21
約375μm以下の総厚さを有する、実施形態19または20に記載の屈曲可能な電子デバイスアセンブリ。
【0133】
実施形態22
上記背面板に接合された屈曲可能な封入材であって、さらに、上記複数の電子部品を封入するように構成された封入材と、
当該封入材の第一主要面上の保護層と、
をさらに含み、
当該封入材がさらに、
実質的にアルカリイオンを含有せず、少なくとも90%の光透過率を有するガラス組成、
約40GPaから約100GPaの弾性率、
約20μmから約100μmの最終厚さ、
当該封入材の屈曲の際に実質的に伸張される第一主要面、
当該屈曲の際に実質的に圧縮される第二主要面(この場合、当該主要面は、最終厚さを少なくとも20μm上回る初期厚さから当該最終厚さへの事前の材料除去によって特徴付けられる)、
当該屈曲の際に当該封入材が約25℃および約50%の相対湿度において少なくとも60分間にわたって約15mmの曲げ半径に保持される場合に破損がないこと、
によってさらに特徴付けられる、実施形態12~16のいずれか一つに記載の屈曲可能な電子デバイスアセンブリ。
【符号の説明】
【0134】
10、190 屈曲、屈曲力
40、140、255、265 曲げ半径
50 ガラス要素
52、62、152 最終厚さ
54、154、254、254a、264、264a 第一主要面
56、156、256、256a、266、266a 第二主要面
60、160 欠陥を有さない領域
70、170 保護層
72、252、262、262a 厚さ
100 屈曲可能なスタックアセンブリ
150 背面板
180 電子部品
200、300 屈曲可能な電子デバイスアセンブリ
250 封入材
260 屈曲可能なカバー
260a ガラス層
258、268 圧縮応力領域
258a、268a 第一深さ