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特開2023-5581脱毛防止化粧品を浸透させるためのツールおよびそのツールを使用するキット
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  • 特開-脱毛防止化粧品を浸透させるためのツールおよびそのツールを使用するキット 図1A
  • 特開-脱毛防止化粧品を浸透させるためのツールおよびそのツールを使用するキット 図1B
  • 特開-脱毛防止化粧品を浸透させるためのツールおよびそのツールを使用するキット 図2
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  • 特開-脱毛防止化粧品を浸透させるためのツールおよびそのツールを使用するキット 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023005581
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】脱毛防止化粧品を浸透させるためのツールおよびそのツールを使用するキット
(51)【国際特許分類】
   A61H 7/00 20060101AFI20230111BHJP
【FI】
A61H7/00 300K
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021107586
(22)【出願日】2021-06-29
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ゴーラヴ・アガルワル
(72)【発明者】
【氏名】劉 ▲シュ▼
(72)【発明者】
【氏名】シルヴィ・リウ
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ・ブール
【テーマコード(参考)】
4C100
【Fターム(参考)】
4C100AA40
4C100AC03
4C100AF02
4C100BB01
4C100CA01
4C100DA01
(57)【要約】
【課題】脱毛防止化粧品を浸透させるための個人使用のツールと、美容グレードの脱毛防止剤の皮膚への浸透を強化することができる個人使用のキットとを提供すること。
【解決手段】本発明によるツールは、ハンドルと、サポートと、微細構造アレイとを含む。サポートは、ハンドルに接続されるように構成される。微細構造アレイは、サポートの上に設置される。微細構造アレイは、皮膚を擦過するように構成される。本発明によるキットは、本発明によるツールと本発明による脱毛防止化粧品とが組み合わされたキットである。脱毛防止化粧品は、1つまたは複数の脱毛防止剤を含む。1つまたは複数の脱毛防止剤は、少なくとも2,4-ジアミノピリミジン-3-N-オキシドまたはその誘導体を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱毛防止化粧品を浸透させるためのツールであって、
ハンドルと、
前記ハンドルに接続するように構成されたサポートと、
前記サポートに設置された微細構造のアレイと、
を含み、前記微細構造のアレイは皮膚を擦過するように構成されている、ツール。
【請求項2】
前記ハンドルには、駆動機構が設けられ、
前記駆動機構は、前記サポートに接続され、
前記駆動機構は、前記サポートに設置された前記アレイを、前記アレイに直角の方向において前記ハンドルに対して往復させるように構成されている、請求項1に記載のツール。
【請求項3】
前記ハンドルは中空部を有し、前記駆動機構は前記ハンドルの前記中空部内に設けられている、請求項2に記載のツール。
【請求項4】
前記アレイの前記微細構造の高さが、50ミクロンから500ミクロンである、請求項1から3のいずれか一項に記載のツール。
【請求項5】
前記アレイの前記微細構造はとがった形状を有し、
前記微細構造は複数の微細構造であり、2つの隣接する微細構造の間の距離は、200ミクロンから800ミクロンに及ぶ、請求項1から4のいずれか一項に記載のツール。
【請求項6】
前記微細構造は、前記皮膚の表面から最大50ミクロンの深さまで、前記皮膚を擦過するように構成されている、請求項1から5のいずれか一項に記載のツール。
【請求項7】
前記アレイは、前記脱毛防止化粧品を前記アレイから前記皮膚に適用することができるように、前記脱毛防止化粧品に流体接続するように構成されている、請求項1から6のいずれか一項に記載のツール。
【請求項8】
前記ハンドルは、前記脱毛防止化粧品を保持するための中空貯蔵部を有する、請求項7に記載のツール。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載のツールと、脱毛防止化粧品と、が組み合わされたキットであって、
前記脱毛防止化粧品は、1つまたは複数の脱毛防止剤を含み、前記1つまたは複数の脱毛防止剤は、少なくとも2,4-ジアミノピリミジン-3-N-オキシドまたはその誘導体を含む、キット。
【請求項10】
前記ツールは、皮膚を最大50ミクロンの深さまで擦過するように構成されており、前記脱毛防止化粧品は、前記皮膚に適用され得る、請求項9に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱毛防止化粧品を浸透させるためのツールおよびそのツールを使用するキットに関する。より詳細には、本発明は、皮膚の表層リサーフェシング(superficial resurfacing)を実行することによって美容グレードの脱毛防止剤の皮膚への浸透を強化するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪の生長および再生は、主に、毛包およびそれらのマトリックス環境の活動によって決定される。地毛の抜け落ちまたは喪失は、通常の生理的状態では平均して一日に数百本の毛髪であると推定され得る。毛髪の身体的再生プロセスは、年齢とともに自然進化を受ける。毛髪の再生サイクル(recycling cycle)が短くなるにつれて、毛髪はより細くなる。ホルモンバランスの乱れ、生理的ストレスなど、いくつかの他の要因が、現象を際立たせる可能性があることも知られている。
【0003】
そのような脱毛症を改善するために、脱毛症を治療するための薬剤グレードの薬品(pharmaceutical grade agents)が使用されていた。脱毛症を治療するための最もよく知られている薬品は、ミノキシジルおよびフィナステライドである。
【0004】
特許文献1は、ピリジンジカルボン酸の誘導体を提案している。特許文献1は、ピリジンジカルボン酸の誘導体を使用して、毛髪または睫毛など、人のケラチンの繊維の生長を誘導および/もしくは刺激すること、ならびに/またはそれらの抜け落ちを抑制することおよび/もしくはそれらの密度の増加をすることを提案している。これらの誘導体は、一般に、頭皮に適用するために水性アルコールローションの形で提案されて配合される。
【0005】
特許文献2は、脱毛症を治療するための薬品のジェリー状の組成物を提案している。脱毛症を治療するための薬品のジェリー状の組成物は、液だれを回避することによってより使いやすい使用法を可能にする。
【0006】
脱毛症を治療するための薬品の効果を十分に発揮するために、脱毛症を治療するための薬品が皮膚に浸透することを可能にすることが非常に重要である。
【0007】
脱毛症を治療するための薬品の浸透は、極微針、皮膚剥離のような機械的ツールによる皮膚の機械的破砕によって、またはイオントフォレシス、エレクトロポレーションなどのエネルギーによって強化され得る。
【0008】
具体的には、医療グレードの極微針が、ミノキシジルとの組合せで広く使用され、ミノキシジルの効能を強化することが報告されている。医療グレードの極微針は、脱毛症など、脱毛関連の問題を治療するために、皮膚科診療室および美容診療所などの医療機関においてよく知られている。
【0009】
特許文献3は、微小皮膚剥離(microdermabrasion)などの外皮摂動(integument perturbation)と、ミノキシジルなどの育毛促進剤とを組み合わせることを提案している。
【0010】
しかしながら、特許文献3に記載される微小皮膚剥離が使用される場合、摂動の目標深さが深い(100~150ミクロン)ので、特許文献3に記載される微小皮膚剥離は、副作用のリスクのために、皮膚科診療室および美容診療所などの医療機関において専門家によって実行される美容プロセスのみに限定される可能性がある。
【0011】
その一方で、家庭などにおける個人使用のための薬品の皮膚への浸透を強化する美容プロセスを個人が実行したいという要望がある。
【0012】
個人が取り扱うことが容易な美容グレードの脱毛防止剤は、低い副作用のリスクおよび消費者自身による使用の可能性によって、最近数十年の間に人気を得てきた。
【0013】
しかしながら、現在の状況は、個人使用のための美容グレードの脱毛防止剤の皮膚への浸透を強化することができる美容プロセスは、未だ開発されていない状況である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1352629号明細書
【特許文献2】仏国特許出願公開第3044550号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第3178465号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
従来技術の上記の問題に鑑みて、美容グレードの脱毛防止剤の皮膚への浸透を強化するための個人使用の方法を提供することが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この問題の広範な調査を通して、本発明者は、ふけが、美容グレードの脱毛防止剤の皮膚への浸透を妨げる主要因であることを理解した。本発明者は、ふけが、個人使用の方法によって容易に除去され得ることをさらに理解した。これらの発見に基づいて、本発明者は、美容グレードの脱毛防止剤の皮膚への浸透が、ふけが頭皮上に現れる前にふけを破壊するために、頭皮の表面から最大50ミクロンの深さまで頭皮を表層リサーフェシングすることによって容易に強化され得ることを理解した。その結果として、本発明が本発明者によってなされた。
【0017】
(脱毛防止化粧品を浸透させるためのツール)
上記で説明した目的を達成するために、本発明による脱毛防止化粧品を浸透させるためのツールは、ハンドルと、サポートと、微細構造アレイとを含む。サポートは、ハンドルに接続される。微細構造アレイは、サポート上に設置されたマイクロ/ナノ構造アレイであり得る。微細構造アレイは、皮膚を擦過する(abrade)ように構成される。
【0018】
本発明の好ましい実施形態では、微細構造アレイは、皮膚を所望の深さまで(皮膚の表面から最大50ミクロンの深さまで)表層リサーフェシングすることができる微細構造アレイであり得る。
【0019】
本発明の好ましい実施形態では、駆動機構が、ハンドル内に設けられる。駆動機構は、サポートに接続される。駆動機構は、サポート上に設置されたアレイを、ハンドルに対してアレイに直角の方向に往復させるように構成される。
【0020】
本発明の好ましい実施形態では、ハンドルは、中空部を有する。駆動機構は、ハンドルの中空部内に設けられる。
【0021】
本発明の好ましい実施形態では、アレイの微細構造の高さは、50~500ミクロンである。すなわち、微細構造の高さが50ミクロン未満である場合、十分な皮膚の表層リサーフェシングを実行することができない可能性があり、その結果、美容グレードの脱毛防止剤の皮膚への十分な浸透を実行することができない可能性がある。その一方で、微細構造の高さが500ミクロンを超える場合、皮膚は、所望の深さを超えて深く擦過され(scraped)すぎる可能性があり、それにより、個人使用のための美容プロセスにおいて使用することが困難になる可能性がある。本発明の好ましい実施形態では、微細構造の高さは、満足できる皮膚の表層リサーフェシング効果と個人使用のための美容プロセスの両方を達成するために、50~500ミクロン、好ましくは50~300ミクロン、より好ましくは50~150ミクロンの範囲内にあることが好ましい。本発明の好ましい実施形態では、微細構造の幅に対する高さの比は、0.5~10、好ましくは0.5~5、より好ましくは1~3の範囲内にあることが好ましい。
【0022】
本発明の好ましい実施形態では、アレイの微細構造は、とがった形状を有してよい。微細構造は、複数の微細構造である。2つの隣接する微細構造の間の距離は、200~800ミクロンに及ぶ。すなわち、2つの隣接する微細構造の間の距離が200ミクロン未満である場合、皮膚の所望の表層リサーフェシングを実行することができない可能性があり、美容グレードの脱毛防止剤の皮膚への十分な浸透を実行することができない可能性がある。その一方で、2つの隣接する微細構造の間の距離が800ミクロンを超える場合、皮膚は、所望の深さを超えて深く擦過されすぎる可能性があり、それにより、個人使用のための美容プロセスにおいてそのツールを使用することが困難になる場合がある。本発明の好ましい実施形態では、2つの隣接する微細構造の間の距離は、満足できる皮膚の表層リサーフェシング効果と個人使用のための美容プロセスの両方を達成するために、200~800ミクロンであることが好ましい。
【0023】
本発明の好ましい実施形態では、微細構造は、皮膚の表面から最大50ミクロンの深さまで皮膚を擦過するように構成される。
【0024】
本発明の好ましい実施形態では、アレイは、脱毛防止化粧品をアレイから皮膚に適用することができるように、脱毛防止化粧品に流体接続されるように構成される。
【0025】
本発明の好ましい実施形態では、ハンドルは、脱毛防止化粧品を含有するために中空貯蔵部を有する。
【0026】
(キット)
さらに、本発明による脱毛防止化粧品を浸透させるためのツールとの組合せの広範な調査を通して、本発明者は、多くの美容グレードの脱毛防止剤の中で、2,4-ジアミノピリミジン-3-N-オキシドまたはその誘導体の皮膚への浸透が十分に強化され得ること、および2,4-ジアミノピリミジン-3-N-オキシドまたはその誘導体の脱毛防止の効果が顕著に取得され得ることを理解した。その結果として、本発明によるキットが本発明者によって作られた。
【0027】
上述の目的を達成するために、本出願によるキットは、本発明による脱毛防止化粧品を浸透させるためのツールと脱毛防止化粧品とが組み合わされたキットである。脱毛防止化粧品は、1つまたは複数の脱毛防止剤を含む。1つまたは複数の脱毛防止剤は、少なくとも2,4-ジアミノピリミジン-3-N-オキシドまたはその誘導体を含む。
【0028】
本発明によるキットの好ましい実施形態では、脱毛防止化粧品を浸透させるためのツールは、皮膚を最大50ミクロンの深さまで擦過するように構成される。脱毛防止化粧品は、皮膚に適用され得る。
【0029】
本発明で使用される「脱毛防止」という用語は、ふけ防止、育毛、および脱毛防止を含む用語を指す。
【0030】
本発明で使用される「皮膚」という用語は、頭皮などを意味する。
【0031】
本発明で使用される「個人使用」という用語は、本発明によるツールのユーザが、ユーザに対して美容プロセスを実行する場合、および本発明によるツールのユーザが、ユーザと異なる人に対して美容プロセスを実行する場合を指す。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1A】本発明の実施形態によるツールが適用されなかった参照グループの皮膚と、本発明の実施形態によるツールが適用された治療グループの皮膚との間を比較した結果を示す図である。
図1B】本発明の実施形態によるツールが適用されなかった参照グループの皮膚と、本発明の実施形態によるツールが適用された治療グループの皮膚との間を比較した結果を示す図である。
図2】本発明の実施形態によるキットにおける使用に好適な、本発明の第1の実施形態による脱毛防止化粧品を浸透させるためのツールの概略構成の説明図である。
図3】本発明の実施形態によるキットにおける使用に好適な、本発明の第2の実施形態による脱毛防止化粧品を浸透させるためのツールの概略構成の説明図である。
図4】本発明の実施形態によるキットにおける使用に好適な、本発明の第3の実施形態による脱毛防止化粧品を浸透させるためのツールの概略構成の説明図である。
図5】本発明の実施形態によるキットにおける使用に好適な、本発明の第4の実施形態による脱毛防止化粧品を浸透させるためのツールの概略構成の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以後、本発明の好ましい実施形態について説明する。
【0034】
(キット)
本発明の実施形態によるキットは、個人使用のためのキットである。
【0035】
キットは、本発明の実施形態によるツールと本発明の実施形態による脱毛防止化粧品とが組み合わされたキットである。
【0036】
本発明の実施形態によるキットを使用して、頭皮などの皮膚を表層リサーフェシングすることによって、美容グレードの脱毛防止剤の頭皮などの皮膚への浸透を強化することができる。
【0037】
脱毛防止化粧品を浸透させるためのツールは、個人使用のためのツールである。脱毛防止化粧品を浸透させるためのツールは、頭皮などの皮膚のマイクロマッサージを実行するためのものである。
【0038】
皮膚のマイクロマッサージとして、脱毛防止化粧品を浸透させるためのツールは、皮膚の表面から最大50ミクロンの深さまで頭皮などの皮膚の表層リサーフェシングを機械的に実行することができる。
【0039】
美容グレードの脱毛防止剤が適用された頭皮などの皮膚が、ツールを使用してマイクロマッサージされ得る。これは、美容グレードの脱毛防止剤の頭皮などの皮膚への浸透をさらに強化する。
【0040】
脱毛防止化粧品は、液体化粧品である。脱毛防止化粧品は、1つまたは複数の美容グレードの脱毛防止剤を含む。1つまたは複数の美容グレードの脱毛防止剤は、少なくとも2,4-ジアミノピリミジン-3-N-オキシドまたはその誘導体を含む。
【0041】
(美容プロセス)
本発明の実施形態による美容プロセスは、本発明の実施形態によるキットを使用して実行され得る。本発明の実施形態による美容プロセスは、以下の1~3のステップを含むことができる。
【0042】
ステップ1(皮膚の準備): 脱毛防止化粧品を浸透させるためのツールを使用して、頭皮などの皮膚をマイクロマッサージする。
【0043】
ステップ2(脱毛防止化粧品の適用): 脱毛防止化粧品を頭皮などの皮膚に適用する。
【0044】
ステップ3(脱毛防止化粧品の浸透): ツールを使用して頭皮などの皮膚をマイクロマッサージする。
【0045】
ステップ1(皮膚の準備)では、頭皮などの皮膚の表層リサーフェシングが実行され得る。ステップ3(脱毛防止化粧品の浸透)では、脱毛防止剤の皮膚への浸透を強化することができるマイクロマッサージが、実行され得る。
【0046】
ステップ1(皮膚の準備)およびステップ2(脱毛防止化粧品の適用)は、同時に実行され得る。ステップ2(脱毛防止化粧品の適用)はまた、ステップ1(皮膚の準備)の後に実行されてもよい。
【0047】
ステップ1(皮膚の準備)およびステップ2(脱毛防止化粧品の適用)は、脱毛防止化粧品を浸透させるための同じツールを使用して実行され得る。ステップ2(脱毛防止化粧品の適用)はまた、ステップ1(皮膚の準備)において使用される脱毛防止化粧品を浸透させるためのツールと異なるツールを使用して実行されてもよい。
【0048】
ステップ3(脱毛防止化粧品の浸透)は、同じく、ステップ1(皮膚の準備)において使用される脱毛防止化粧品を浸透させるためのツールを使用して実行され得る。ステップ3(脱毛防止化粧品の浸透)はまた、ステップ1(皮膚の準備)において使用される脱毛防止化粧品を浸透させるためのツールと異なるツールを使用して実行されてもよい。
【0049】
本発明の実施形態によるキットを使用して本発明の実施形態による美容プロセスを実行することによって、美容グレードの脱毛防止剤の頭皮などの皮膚への浸透を容易に強化することができる。
【0050】
(脱毛防止化粧品を浸透させるためのツール)
脱毛防止化粧品を浸透させるためのツールは、ハンドルと、サポートと、微細構造アレイとを含む。
【0051】
ハンドルは、脱毛防止化粧品を浸透させるためのツールの本体または筐体であり得る。ハンドルは、細長いハンドルであり得る。より具体的には、細長いハンドルは、ユーザが片手で細長いハンドルを保持するのに十分な厚さを有するロッド部材であり得る。ハンドルの表面は、滑り止めのテクスチャまたは材料を設けられ得る。
【0052】
サポートは、ハンドル上に設けられるように構成される。サポートは、ハンドルが接続される第1の表面と、第1の表面の反対側の第2の表面とを有する。
【0053】
サポートは、それがハンドルに対して動くことができないように、ハンドルに固定され得る。たとえば、ハンドルおよびサポートは、一体に形成された一体部材であり得る。
【0054】
代替的に、サポートは、それがハンドルに対して回転することができるように、ハンドル上に設けられ得る。代替的に、サポートは、ハンドルに対して直線的に可動であるように、ハンドル上に設けられ得る。
【0055】
アレイは、サポート上に設置されたアレイである。アレイは、サポートの第2の表面上に設置される。アレイは、サポートの第2の表面全体の上に形成され得る。代替的に、アレイは、サポートの第2の表面上に部分的に形成され得る。アレイは、皮膚をマイクロマッサージするように構成される。
【0056】
アレイの一端は、サポートによって支持される。アレイは、サポートに接着され得る。代替的に、アレイは、サポートと一体に形成されてもよい。アレイの他端は、ざらついた表面(abrasive surface)を有する。ざらついた表面は、制御された、特に落屑された皮膚剥奪を実行することができるように構成される。具体的には、ざらついた表面は、皮膚の表面から最大50ミクロンの深さまで皮膚を機械的に擦過することができるように構成される。より具体的には、ざらついた表面は、マイクロ/ナノ構造などの微細構造を有する。微細構造は、たとえば、平坦でなくなるように表面をテクスチャ処理することによって形成されてもよく、または細かい粒状部材を表面に接着することによって形成されてもよい。
【0057】
ツールでは、アレイが、皮膚の表面に当てられ、アレイが、皮膚面に直角の方向に直線的に動かされることが好ましい。ツールは、アレイを皮膚面に直角の方向に直線的に往復させることによって、すなわち、繰り返し軽打する/振るわせることによって、アレイを皮膚の表面に当てることがより好ましい。加えて、ツールは、上述の直線運動の代わりに、または上述の直線運動と組み合わせて、回されてもよい。
【0058】
ツールは、アレイを、皮膚の表面に対して上記で説明した直線運動および/または回転運動において手動で動かすこともできる。代替的に、ツールは、アレイを、皮膚の表面に対して上述の直線運動および/または回転運動において自動的に駆動できることが、より好ましい。
【0059】
ツールを自動的に駆動するために、ツールは、後で説明する駆動機構を設けられ得る。駆動機構は、ツール(ハンドルなど)の外側に設けられ得る。代替的に、駆動機構は、ツール(ハンドルなど)の中空部の中に設けられることが好ましい。駆動機構は、バッテリと、バッテリの電気によって駆動されるモータと、モータの駆動力をアレイに伝達するように構成された動力伝達機構とを含み得る。
【0060】
脱毛防止化粧品を皮膚に自動的に適用するために、脱毛防止化粧品を浸透させるためのツールは、後で説明する容器などの供給機構を設けられ得る。供給機構は、脱毛防止化粧品を浸透させるためのツール(ハンドルなど)の外側に設けられ得る。代替的に、供給機構は、脱毛防止化粧品を浸透させるためのツール(ハンドルなど)の中空部の中に設けられることが、より好ましい。
【0061】
<ざらついた表面>
ざらついた表面は、制御された皮膚の剥奪を実行することができるか、またはより具体的には、角質層および表皮のみに浸透することができるか、またはより具体的には、皮膚を最大で50ミクロンの深さまで剥離することができる、ざらついた表面であり得る。ざらついた表面は、マイクロ/ナノサイズなどの微細構造を有する。ざらついた表面として、80~150ミクロンの突起高さを有する微細構造を有するシリコーンベースのマイクロチップも使用され得る。
【0062】
さらに、ざらついた表面は、繊維、プラスチック、合成物、金属、またはそれらの混合物のような任意の材料で作られ得る。ざらついた表面は、表面上にアルミナのような研磨粒子をコーティングすることによって、またはダイヤモンドチップワンド(diamond tip wand)を使用することによって、または金属もしくはポリマーのシート上にとがった微細構造を形成することによって形成され得る。
【0063】
研磨された粒子またはダイヤモンドチップも、ざらついた表面上で使用され得る。微小皮膚剥離ツールのざらついた表面として使用される研磨粒子およびダイヤモンドチップも、ざらついた表面として使用され得る。
【0064】
本発明のざらついた表面は、限定はしないが、パナソニックからのPMDパーソナルプロダーム(PMD: personal Proderm device)デバイスもしくはMicroderm GLOミニダイヤモンド微小皮膚剥離デバイス、またはNeutrogena微小皮膚剥離シートにおいて使用されるざらついた表面であり得る。
【0065】
ポリマーまたは金属のシートの微細構造が、ざらついた表面上に形成され得る。ざらついた表面は、微小成形もしくはエッチングまたは3-D印刷技法のいずれかによって取得され得る。Microbase(台湾)からのPLAベースの極微針、Nanomed(中国)からのシリコーンチップベースの極微針、Raphas(韓国)からのヒアルロン酸ベースの極微針において使用され得る微細構造が、本発明の微細構造として形成され得る。
【0066】
微細構造の数は、単一の微細構造であり得るか、またはN×Mサイズの微細構造のアレイの形であり得る。ここで、MおよびNは、任意の絶対数であり得る。2つの微細構造の間の距離は、200~800ミクロンであり得るが、より好ましくは400~600ミクロンである。
【0067】
ざらついた表面の平面形状は、限定はしないが、正方形、長方形または円形であり得る。好ましくは、微細構造の形状は、円錐または針の形状である。
【0068】
とがった本体などの微細構造は、10~500ミクロン、好ましくは10~300ミクロン、より好ましくは10~100ミクロンの幅を有し得る。
【0069】
これらの微細構造は、シリコーン、ガラス、金属、フォトレジスト、セラミック、生物分解性プラスチック、およびセルロース誘導体のグループからの材料で作られ得る。微細構造の材料は、任意の体液中に溶解すべきでなく、好ましくは、単一結晶シリコーン、ステンレス鋼、ポリエチレン、または皮膚および/もしくは人体に埋め込み可能であり得る任意の材料である。極微針は、無菌であるかまたは使用前に消毒されることが好ましく、および使い捨てであることが好ましい。
【0070】
(適用)
ツールの材料および適用の方法(ローリングタイプまたはスタンプタイプ)の選択は、対象の領域(対象の領域の毛髪の密度および周囲の領域)、皮膚の感受性などに依存する。
【0071】
しかしながら、本発明の好ましい実施形態では、毛髪の存在下でツールを適用することにおける容易さに起因して、とがった微細構造を有する硬いざらついた表面のスタンプタイプのツールが、好ましいオプションである。
【0072】
本発明のツールの適用時間は、表面に対して(of the surface)3秒/cm2から5分/cm2まで、より好ましくは30から60秒/cm2まで変動することができる。
【0073】
(脱毛防止化粧品)
本発明の実施形態によるキット内で使用されることが好ましい脱毛防止化粧品は、1つまたは複数の美容グレードの脱毛防止剤を含む。
【0074】
具体的には、1つまたは複数の美容グレードの脱毛防止剤は、2,4-ジアミノピリミジン-3-N-オキシドまたはその誘導体を含む。より具体的には、2,4-ジアミノピリミジン-3-N-オキシド、ならびに/またはその塩のうちの1つおよび/もしくはその水和物のうちの1つを含む。
【0075】
本発明の実施形態による脱毛防止剤は、有利には、以下の化合物、2,4-ジアミノピリミジン-3-N-オキシドおよび/またはその有機酸塩もしくは無機物のうちのいずれか、および/またはその水和物のうちのいずれか、およびピリジンジカルボン酸(dicarboxylic pyridine acid)のエステルおよび/またはそれらの塩、ならびにそれらの混合から選択され得る。具体的には、脱毛を抑制するために、ピリジンジカルボン酸のエステルおよび/またはそれらの塩が選択され得る。
【0076】
2,4-ジアミノピリミジン-3-N-オキシド(または、アミネキシルもしくはジアミノピリミジンオキシド)は、以下の化学式(I)を有する。
【0077】
【化1】
【0078】
使用され得る有機酸塩または無機酸塩の中で、特に、塩酸塩、硫酸塩、クエン酸塩、および酢酸塩を挙げることができる。水和物として、特に、一水和物を挙げることができる。好ましくは、無塩の製品(unsalted product)が、一水和物の形で使用される。
【0079】
本発明によれば、式(I)の化合物の塩は、式(I)の化合物の有機塩または無機塩を指し、これらの塩は、生理的に受容可能である。無機塩として、ナトリウムまたはカリウム、ならびに亜鉛(Zn2+)、カルシウム(Ca2+)、銅(Cu2+)、鉄(Fe2+)、ストロンチウム(Sr2+)、マグネシウム(Mg2+)、マンガン(Mn2+); 水酸化物、炭酸塩、および塩化物を挙げることができる。有機塩として、トリエタノールアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ヘキサデシルアミン塩、N、N、N'、N'-テトラキス-(ヒドロキシプロピル-2)エチレンジアミンおよびトリスヒドロキシメチルアミノメタンを挙げることができる。
【0080】
好ましくは、本発明による化粧品組成物は、化粧品組成物の総重量に対して0.001~20重量%、好ましくは0.01~15重量%、特に0.1~10重量%、さらに良好には0.5~9重量%、またはさらには1~8重量%に及ぶ量の1つまたは複数の脱毛防止剤を含む。
【0081】
(配合)
本発明の実施形態による脱毛防止剤(2,4-ジアミノピリミジン-3-N-オキシド)を含む脱毛防止化粧品の具体的な配合を以下に示す。
【0082】
【表1】
【0083】
【表2】
【0084】
【表3】
【0085】
組成物の例は、少なくとも1つの毛髪抜け落ち防止剤、0.01と5%との間の2,4-ジアミノピリミジン-3-N-オキシドおよび無痛化剤(オクトピロックス、tween 21、レシチン、パンテノール)を含む。
【0086】
【表4】
【0087】
【表5】
【0088】
(リサーフェシング効果の評価)
本発明の図2に示す、後で説明する第1の実施形態によるツールによる皮膚に対する表層リサーフェシング効果が、SEMイメージングを用いてツールを使用して観察された。
【0089】
<評価方法>
同じドナーからの人の皮膚が準備され、各グループに対して2×2cmの面積を有する2つのグループに分割された。
【0090】
治療グループでは、皮膚サンプルが、円運動において3分間、本発明による第1の実施形態(図2)によるツールを用いて治療された。
【0091】
治療グループに対して使用されたツールの仕様は、以下のとおりである。
・ざらついた表面のタイプ: 5000rpmの振動モータに接続されたシリコーンベースのざらついた表面。
治療グループに対して使用されたツールの他の仕様は、以下のとおりである。
・ざらついた表面のサイズ: 3×3mm
・微細構造の高さ: 80ミクロン
・微細構造のベースの直径: 35ミクロン
・2つの微細構造の間の距離: 450ミクロン
・適用: 全面積をスキャンするために外側から内側に線に沿って円運動でツールを動かす。
・速度: 全面積のスキャニングのために10秒、18のスキャニングに合計約3分かかる。
・加える力: 約10Nの軽い圧力。
【0092】
制御グループでは、皮膚が、治療を受けずに準備された。次いで、治療された各皮膚に対して0.5×0.5cmの面積が切断され、粘着テープで試料台上に固定された。試料を準備した後、試料台が試料チャンバ内の試料移動台に固定され、次いで、チャンバが自動的に真空にされた。SEMイメージング観察が、1kVの加速電圧のもとで3000倍の倍率で行われた。
【0093】
図1は、皮膚のSEM画像の比較結果を示す。比較結果は、後で説明する本発明の図2に示す第1の実施形態によるツールが適用されない参照グループの皮膚と、後で説明する本発明の図2に示す第1の実施形態によるツールが適用された治療グループの皮膚とのSEM画像を示す。
【0094】
<結果>
図1に示すように、制御グループにおける皮膚(図1A)と比較すると、治療グループにおける皮膚(図1B)は、皮膚上を微細構造が通過したことによって皮膚形態上に、より多くのアレイパターンを示す。図1は、本発明の図2に示す第1の実施形態のツールによって、皮膚上に、上首尾の効率的なリサーフェシング効果を示す。
【0095】
上記で説明したように、満足できる皮膚の表層リサーフェシングが、後で説明する本発明の図2に示す第1の実施形態によるツールを使用して実行され得る。その結果として、本発明の実施形態による美容プロセスのステップ2(脱毛防止化粧品の適用)において適用される、美容グレードの脱毛防止剤の皮膚への浸透を強化することもできる。
【0096】
(脱毛防止剤の皮膚への浸透効果の評価)
次に、本発明の実施形態による美容プロセスによる脱毛防止剤の皮膚への浸透が、MALDIイメージングを使用して評価された。
【0097】
<評価方法>
豚の内耳の皮膚サンプルの2つのドナーが使用され、各ドナーに対して2つのサンプルが生成された。1つのサンプルは、各条件の治療に対するものである。皮膚は、PBSバッファで満たされた3D3セル上にセットされた。皮膚は、測定前の1時間の間に、皮膚温度(32±1℃)および皮膚の完全性(TEWL、水分蒸散計)に平衡化された。
【0098】
<条件>
条件1: 後で説明する本発明の実施形態による化粧品である上述の配合1が、局所に適用された。
【0099】
条件2: 最初に、皮膚が、本発明の図2に示す第1の実施形態によるツールを用いて治療され、次いで、配合1が皮膚上に適用された。
【0100】
条件2に対して、皮膚が、3D3セルから取り外されて、キムワイプ(Kim wipe)上に置かれた。本発明の図2に示す第1の実施形態によるツールが、円運動で60秒間、皮膚上に適用された。次いで、皮膚は、条件1と同じ条件で組成物を適用する前に、3D3セル上に戻してセットされた。それゆえ、両条件に対して、次いで、ジアミノピリミジンオキシド1.5%を含有する配合1が、10mg/cm2において皮膚上に適用された。レセプター液は、Hamiltonロボティックプラットフォーム(Hamilton robotic platform)を使用して16時間にわたって新鮮なレセプター液と部分的に(毎時300μl)交換された。16時間後、皮膚の表面が、イソプロパノール/水(20/80v/v)に浸した綿棒で洗浄され、軽いマッサージが30秒間実行された。その後、皮膚サンプルは、凍結され、各条件に対して6つの画像(サンプルごとに3つのセクションを有する2つの皮膚サンプル)が、正イオンモードにおいてCASI(選択されたイオンの連続的蓄積)収集法を使用して50μmの空間分解能においてMALDIイメージングによって分析された。各条件に対する各ドナーに対して皮膚全体のジアミノピリミジンオキシドが定量化され、組織のμg/gの単位で表現された。
【0101】
<結果>
Table 1(表6)は、各条件に対する皮膚全体のジアミノピリミジンオキシドの定量化を示す。
【0102】
【表6】
【0103】
Table 1(表6)に示すように、最初に本発明の図2に示す第1の実施形態によるツールを用いて皮膚の治療が実行され、次いで段落[0101]で説明した配合1の適用を実行された条件2は、皮膚が、段落[0101]で説明した配合1を適用されただけの条件1と比較して、アクティブな(ジアミノピリミジンオキシド)皮膚吸収の増加を劇的に示す。
【0104】
Table 1(表6)から、個人使用キット10は、ジアミノピリミジンオキシド(アミネキシル)の浸透を強化するために使用され得ることが理解され得る。具体的には、それは、ジアミノピリミジンオキシドの、頭皮の毛包などの皮膚への浸透を強化することができ、それは、脱毛に対してより速く、より大きい効果を有することができる。
【0105】
この結果から、本発明の実施形態によるキットは、本発明の実施形態による美容グレードの脱毛防止剤の頭皮などの皮膚への浸透を強化するために使用され得ることが理解され得る。
【0106】
(脱毛防止化粧品を浸透させるためのツール)
以後、本発明の実施形態によるキットにおいて使用するのに好適な脱毛防止化粧品を浸透させるためのツールについて、より具体的に説明する。
【0107】
(第1の実施形態)
図2は、本発明の第1の実施形態による、脱毛防止化粧品を浸透させるためのツールの概略構成を示す。
【0108】
図2に示す脱毛防止化粧品を浸透させるためのツール10は、スタンプタイプの脱毛防止化粧品を浸透させるためのツールである。
【0109】
ツール10は、ハンドル12と、サポート14と、アレイ16とを含む。
【0110】
本実施形態では、ハンドル12は、細長いハンドルである。
【0111】
サポート14は、細長いハンドル12の一端に設けられる。より具体的には、サポート14の一端は、細長いハンドル12の一端に設けられる。サポート14は、それが細長いハンドル12に対して動くことができないように、細長いハンドル12に固定される。
【0112】
アレイ16は、サポート14の上に設置される。より具体的には、アレイ16は、サポート14の他端に設置される。アレイ16は、それがサポート14に対して動くことができないように、サポート14に固定される。
【0113】
アレイ16は、ざらついた表面18を有する。本実施形態では、ざらついた表面18のサイズは、3×3mmであり得る。ざらついた表面18は、マイクロ/ナノ構造などの微細構造(微小構造)20を有する。より具体的には、ざらついた表面18は、複数の微細構造20を有する。逆円錐形など、とがった形状を有する微細構造20の高さは、80ミクロンであり得る。微細構造20の先端の直径は、15ミクロンであり得る。微細構造20の数は、81であり得る。
【0114】
ツール10のアレイ16は、皮膚22の表面に手動で当てられる。
【0115】
具体的には、ツール10では、ハンドル12は、ユーザの手で保持される。
【0116】
ツール10では、アレイ16は、ざらついた表面18が頭皮などの皮膚22の表面に平行であるように、皮膚22の表面に当てられる。
【0117】
ユーザは、皮膚22の表面に直角の方向に(アレイ16のざらついた表面18に直角の方向に)ツール10を直線的に手動で動かすことができる。
【0118】
その結果、アレイ16は、皮膚22の表面に直角の方向に直線的に動くことができる。
【0119】
その結果、皮膚22の表面は、微細構造20を有するアレイ16によって軽打され得る。これは、頭皮などの皮膚22の表面が、最大50ミクロンの深さまで擦過されることを可能にする。
【0120】
さらに、本発明の実施形態による脱毛防止化粧品が適用された頭皮などの皮膚22の表面は、本実施形態のツール10を使用して手動で軽打され得る。それにより、本発明の実施形態による脱毛防止化粧品が適用された皮膚22の表面は、本実施形態のツール10を使用してマイクロマッサージされ得る。その結果、本実施形態による美容グレードの脱毛防止剤の皮膚22への浸透が、さらに強化され得る。
【0121】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、ツールが皮膚の表面に手動で当てられる一例について説明した。しかしながら、ツールを皮膚の表面に自動的に当てることも好ましい。
【0122】
図3は、本発明の第2の実施形態によるツールの概略構成を示す。
【0123】
図3では、参照番号100が、図2に対応する部分に追加されたが、それについての説明は省略する。
【0124】
図2に示すツール110は、サポート114が、細長いハンドル112に対して直線的に往復することができるように構成される。
【0125】
この目的のために、ツール110は、駆動機構を設けられる。駆動機構は、細長いハンドル112上に設けられる。より具体的には、細長いハンドル112は、中空部124を有する。駆動機構は、細長いハンドル112の中空部124の中に設けられる。
【0126】
駆動機構は、電源126と、モータ128と、軸130とを含む。
【0127】
駆動機構は、サポート114上に設置されたアレイ116が、アレイ116のざらついた表面118に直角の方向に細長いハンドル112に対して直線的に往復することができるように構成される。この目的のために、駆動機構は、サポート114に接続される。より具体的には、電源126およびモータ128は、軸130を介してサポート114に接続される。
【0128】
それゆえ、サポート114は、駆動機構によってアレイ116のざらついた表面118に直角の方向に細長いハンドル112に対して直線的に往復することができる。
【0129】
その結果、アレイ116は、頭皮などの皮膚122の表面に直角の方向に直線的に往復することができる。
【0130】
その結果、頭皮などの皮膚122の表面は、アレイ116を使用して皮膚122の垂直方向から繰り返し軽打され得る。
【0131】
上記で説明したように、本実施形態によれば、ツール110は駆動機構をさらに含むので、ツール110のアレイ116による、より効果的な軽打/振動動作が提供され得る。
【0132】
アレイ116による皮膚の軽打の頻度は、10~1000回/分、好ましくは1000~8000回/分、より好ましくは3000~6000回/分であり得る。これは、同じく、連続的で安定的な皮膚穿孔を可能にする。
【0133】
その結果として、ユーザが皮膚122に向けてアレイ116を動かすために必要な力が、低減され得る。皮膚122は、最大50ミクロンの深さまで、より容易に擦過され得る。
【0134】
本発明の実施形態による脱毛防止化粧品は、本実施形態のツール110によって頭皮などの皮膚122の表面を自動的に軽打することによって、頭皮などの皮膚122の表面に容易に適用され得る。
【0135】
本発明の実施形態による脱毛防止化粧品が適用された皮膚122は、ツール110を使用して自動的にマッサージされ得る。その結果として、本発明の実施形態による脱毛防止化粧品の皮膚122への浸透が、さらに強化され得る。
【0136】
本実施形態では、モータ128は、5000rpmの振動モータであり得る。ざらついた表面118は、5000rpmの振動モータなどのモータ128に接続されたシリコーンベースのざらついた表面であり得る。
【0137】
ツール110は、ペン、スタンプ、または銃の形であり得る。
【0138】
本発明では、ツール110は、アレイ116のざらついた表面118に直角の方向に沿ってアレイ116を振るわせる発振器を含み得る。発振器は、アクチュエータとは独立しているかもしくは一体である圧電結晶であってよく、またはそれらの何らかの組合せであってもよい。
【0139】
(第3の実施形態)
第1の実施形態および第2の実施形態では、本発明のツールが脱毛防止化粧品を含まない一例について説明した。しかしながら、本発明のツールが脱毛防止化粧品を含有することも好ましい。
【0140】
その結果、本発明の実施形態による美容プロセスのステップ1(皮膚の準備)およびステップ2(脱毛防止化粧品の適用)は、本実施形態のツールなどの1つのツールを使用して同時に実行され得る。
【0141】
図4は、本発明の実施形態によるキットの概略構成を示す。キットは、本発明の第3の実施形態によるツールと、本発明の実施形態による脱毛防止化粧品とを含む。
【0142】
図4では、参照番号200が、図2に対応する部分に追加されたが、それについての説明は省略する。
【0143】
本実施形態では、ハンドル212は、中空部224を有する。
【0144】
ハンドル212の中空部224は、脱毛防止化粧品232が供給されるように構成される。より具体的には、ハンドル212の中空部224は、本発明のサポートとして容器214を設けられる。容器214は、本発明の実施形態による脱毛防止化粧品232を含有する。
【0145】
アレイ216は、容器214の一端上に設置される。
【0146】
本実施形態のツールでは、容器214は、それが、アレイ216のざらついた表面218に直角の方向にハンドル212に対して直線的に動くことができるように構成される。その結果、アレイ216は、皮膚222の表面に直角の方向に直線的に動くことができるように構成される。
【0147】
容器214内に含有される脱毛防止化粧品232は、アレイ216に流体接続されるように供給される。より具体的には、アレイ216のざらついた表面218は、1つまたは複数の開口234を有する。1つまたは複数の開口234は、容器214内に含有される脱毛防止化粧品232に流体接続されるように構成される。容器214内に含有される脱毛防止化粧品232は、アレイ216の開口234を通って皮膚222の表面に適用され得る。
【0148】
本実施形態のツール210は、容器214が、アレイ216のざらついた表面218に直角の方向にハンドル212に対して直線的に動くことができるように手動で直線的に動かされ得る。
【0149】
それゆえ、本発明の実施形態による美容プロセスのステップ1(皮膚の準備)は、本実施形態のツール210を使用して実行され得る。
【0150】
本実施形態のツール210は、容器214内に含有される脱毛防止化粧品232がアレイ216の開口234から自然に落下することができ、脱毛防止化粧品232が皮膚222の表面に適用され得るように、アレイ216のざらついた表面218に直角の方向にハンドル212に対して、容器214を手動で直線的に動かすことができる。その結果として、本発明の実施形態による美容プロセスのステップ2(脱毛防止化粧品の適用)は、本実施形態のツール210を使用して実行され得る。
【0151】
本発明の実施形態による美容プロセスのステップ1(皮膚の準備)およびステップ2(脱毛防止化粧品の適用)は、本実施形態のツール210を使用して同時に実行され得る。
【0152】
本発明の実施形態による美容プロセスのステップ1(頭皮の準備)が実行され得、次いで、ステップ2(脱毛防止化粧品の適用)が、本実施形態のツール210を使用して実行され得る。
【0153】
(第4の実施形態)
図5では、本発明のサポートとして容器上に設置されたアレイが、手動で直線的に動かされる一例について説明した。しかしながら、容器上に設置されたアレイが、自動的に直線的に動かされ得ることも好ましい。
【0154】
その結果として、本発明の実施形態による美容プロセスにおけるステップ1(皮膚の準備)およびステップ2(脱毛防止化粧品の適用)は、より容易に実行され得る。
【0155】
図5は、本発明の実施形態によるキットの概略構成を示す。キットは、本発明の第4の実施形態によるツールと、本発明の実施形態による脱毛防止化粧品とを含む。
【0156】
図5では、参照番号100が、図4に対応する部分に追加されたが、それについての説明は省略する。図5では、参照番号200が、図3に対応する部分に追加されるが、それについての説明は省略する。
【0157】
本実施形態では、駆動機構は、ハンドル312の中空部324の中に設けられる。
【0158】
容器314も、ハンドル312の中空部324の中に設けられる。
【0159】
駆動機構が、容器314に接続される。より具体的には、駆動機構の軸330の一端が、容器314の一端に接続される。アレイ316は、容器314の他端上に設置される。
【0160】
駆動機構は、本発明のサポートとして容器314上に設置されたアレイ316を、アレイ316のざらついた表面318に直角の方向にハンドル312に対して直線的かつ自動的に往復する。
【0161】
本実施形態では、筐体336は、さらに、ハンドル312および容器314の外側の上に設けられ得る。
【0162】
本実施形態では、本発明のサポートとして容器314上に設置されたアレイ316は、自動的に直線的に動かされ得る。より具体的には、駆動機構は、容器314を、アレイ316のざらついた表面318に対して直角の方向にハンドル312に対して直線的かつ自動的に往復させることができる。その結果、容器314上に設置されたアレイ316は、アレイ316のざらついた表面318に直角の方向に自動的に直線的に往復することができる。これは、アレイ316を、皮膚322の表面に直角の方向に直線的かつ自動的に往復させることを可能にする。
【0163】
それにより、容器314内に含有される脱毛防止化粧品332は、アレイ316の開口334から自動的に落下することができ、脱毛防止化粧品332は、皮膚322の表面に適用される。その結果として、本発明の実施形態による美容プロセスのステップ2(脱毛防止化粧品の適用)は、本実施形態のツール310を使用して、より容易に実行され得る。
【0164】
本発明の実施形態による美容プロセスのステップ1(皮膚の準備)およびステップ2(脱毛防止化粧品の適用)は、本実施形態のツール310を使用することによって同時に、より容易に実行され得る、
【0165】
本発明の実施形態による美容プロセスのステップ1(皮膚の準備)の後に実行されるステップ2(脱毛防止化粧品の適用)も、本実施形態のツール310を使用することによって、より容易に実行され得る。
【0166】
(コントローラ)
本発明の実施形態による美容プロセスにおけるステップ1、ステップ2およびステップ3を自動的に実行するために、駆動機構がコントローラを含むことも好ましい。コントローラは、駆動機構の電源とモータとの間に設けられ得る。コントローラは、ステップ1(皮膚の準備)を自動的に実行するために駆動機構の動作を制御することができる。たとえば、駆動機構の動作(たとえば、往復運動のストローク幅、速度、時間など)が、アレイによって擦過される皮膚が、最大50ミクロンまでの深さを有するように制御される。
【0167】
本発明のツールは、所望の量の脱毛防止化粧品をツールから皮膚に所望のタイミングで自動的に適用するための供給機構を含み得る。コントローラは、ステップ2(脱毛防止化粧品の適用)を自動的に実行するために、供給機構の動作および/または駆動機構の動作を制御する。それにより、本発明のツールは、所望の量の脱毛防止化粧品をツールから皮膚に所望のタイミングで自動的に適用することができる。
【0168】
(技術的効果)
上記で説明したように、本発明のキットによって、本発明による脱毛防止化粧品の準備のためのツールと本発明による脱毛防止化粧品とが組み合わされた。それゆえ、本発明の個人使用のためのツールを使用することによって、頭皮などの皮膚の表面を容易に機械的にリサーフェシングすることができる。美容グレードの脱毛防止剤(2,4-ジアミノピリミジン-3-N-オキシドまたはその誘導体)を容易に適用することもできる。これらは、個人が、美容グレードの脱毛防止剤(2,4-ジアミノピリミジン-3-N-オキシドまたはその誘導体)の皮膚への浸透をより容易に、より効果的に強化することを可能にする。
【0169】
本発明の様々な実施形態が、図面を参照して上で説明されてきた。しかし、本発明はこれらの実施形態に限定されず、様々な修正および変更が、本発明の主旨および範囲から逸脱することなく、前述の実施形態に施されてもよく、そのような修正および変更は本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0170】
10 個人使用キット、ツール
12 ハンドル
14 サポート
16 アレイ
18 ざらついた表面
20 微細構造
22 皮膚
110 ツール
112 ハンドル
114 サポート
116 アレイ
118 ざらついた表面
120 微細構造
122 皮膚
124 中空部
126 電源
128 モータ
130 軸
210 ツール
212 ハンドル
214 容器
216 アレイ
218 ざらついた表面
220 微細構造
222 皮膚
224 中空部
232 脱毛防止化粧品
234 開口
310 ツール
312 ハンドル
314 容器
316 アレイ
318 ざらついた表面
320 微細構造
322 皮膚
324 中空部
326 電源
328 モータ
330 軸
332 脱毛防止化粧品
334 開口
336 筐体
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
【外国語明細書】