(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023055819
(43)【公開日】2023-04-18
(54)【発明の名称】抗酸化活性を有するペプチド及びこれを含む組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/198 20060101AFI20230411BHJP
A61P 39/06 20060101ALI20230411BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230411BHJP
A61K 8/44 20060101ALI20230411BHJP
A61K 8/64 20060101ALI20230411BHJP
A61Q 19/08 20060101ALI20230411BHJP
A61K 38/06 20060101ALI20230411BHJP
A61K 31/401 20060101ALI20230411BHJP
A61K 31/405 20060101ALI20230411BHJP
A61K 31/4172 20060101ALI20230411BHJP
C07K 1/12 20060101ALI20230411BHJP
C07K 1/14 20060101ALI20230411BHJP
C07K 1/34 20060101ALI20230411BHJP
C07K 5/072 20060101ALI20230411BHJP
C07K 5/093 20060101ALI20230411BHJP
C07K 1/16 20060101ALI20230411BHJP
A23L 33/18 20160101ALI20230411BHJP
C12P 1/00 20060101ALI20230411BHJP
C12N 1/16 20060101ALI20230411BHJP
C12N 5/071 20100101ALI20230411BHJP
【FI】
A61K31/198
A61P39/06 ZNA
A61P43/00 105
A61K8/44
A61K8/64
A61Q19/08
A61K38/06
A61K31/401
A61K31/405
A61K31/4172
C07K1/12
C07K1/14
C07K1/34
C07K5/072
C07K5/093
C07K1/16
A23L33/18
C12P1/00 A
C12N1/16 J
C12N5/071
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012253
(22)【出願日】2023-01-30
(62)【分割の表示】P 2021530761の分割
【原出願日】2019-08-08
(31)【優先権主張番号】10-2018-0092237
(32)【優先日】2018-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Witepsol
2.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】521056847
【氏名又は名称】センピョ フーズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】弁理士法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イ,デヒ
(72)【発明者】
【氏名】オム,ヘンニム
(72)【発明者】
【氏名】チョン,ムンギョン
(72)【発明者】
【氏名】ホン,ミナ
(72)【発明者】
【氏名】パク,チョンヒ
(72)【発明者】
【氏名】パク,ヨンハク
(72)【発明者】
【氏名】ホ,ビョンソク
(57)【要約】 (修正有)
【課題】優れた抗酸化活性を有する機能性ペプチドであって、生体適合性に優れながらも従来のGSHに比べて顕著に優れた抗酸化活性を有するペプチドを提供する。
【解決手段】一般式1及び一般式2で表示されるアミノ酸配列から選ばれるいずれか一つ以上のペプチドを含む抗酸化組成物である。
[一般式1]γ-Glu-Xaa
1
[一般式2]γ-Glu-Xaa
2-Xaa
3
前記ペプチドは、γ-GLU-CYS(S-Me)(O2)、γ-GLU-HIS、γ-GLU-ILE、γ-GLU-GLN-GLU、γ-GLU-THR-GLY、γ-GLU-VAL-CYSからなる群から選ばれるいずれか一つ以上であり得る。
【効果】本発明のペプチドは、酸化的ストレスによって誘発された活性酸素による生体組織や細胞の損傷を効果的に回復させたり、或いは抗酸化活性を促進させることができる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式1及び一般式2で表示されるアミノ酸配列から選ばれるいずれか一つ以上のペプチドを含む抗酸化組成物。
[一般式1]
γ-Glu-Xaa1
[一般式2]
γ-Glu-Xaa2-Xaa3
式中、
Xaa1は、アラニン(A)、システイン(C)、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、フェニルアラニン(F)、グリシン(G)、ヒスチジン(H)、イソロイシン(I)、ロイシン(L)、アスパラギン(N)、プロリン(P)、グルタミン(Q)、アルギニン(R)、トレオニン(T)、バリン(V)、バリンアミド(valine amide)(V-NH2)、バリノール(2-アミノ-3-メチル-1-ブタノール)(Valinol(2-Amino-3-methyl-1-butanol))(V-ol)、トリプトファン(W)、チロシン(Y)、オルニチン(ORN)、メチオニンスルホキシド(methionine sulfoxide)(M(O))、チオール基の水素がメチル基に置換されたシステイン(C(S-Me))、チオール基の水素がメチル基に置換され、スルホキシド構造を有するシステイン(S-Me)(O2)、及び2-アミノ酪酸(Abu)から選ばれるいずれか一つのアミノ酸であり、
Xaa2は、システイン(C)、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、フェニルアラニン(F)、グリシン(G)、ヒスチジン(H)、イソロイシン(I)、ロイシン(L)、アスパラギン(N)、プロリン(P)、グルタミン(Q)、アルギニン(R)、セリン(S)、トレオニン(T)、バリン(V)、バリンアミド(valine amide)(V-NH2)、バリノール(2-アミノ-3-メチル-1-ブタノール)(Valinol(2-Amino-3-methyl-1-butanol))(V-ol)、トリプトファン(W)、チロシン(Y)、オルニチン(ORN)、メチオニンスルホキシド(methionine sulfoxide)(M(O))、チオール基の水素がメチル基に置換されたシステイン(C(S-Me))、チオール基の水素がメチル基に置換され、スルホキシド構造を有するシステイン(S-Me)(O2)、及び2-アミノ酪酸(Abu)から選ばれるいずれか一つのアミノ酸であり、
Xaa3は、アラニン(A)、システイン(C)、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、フェニルアラニン(F)、グリシン(G)、ヒスチジン(H)、リジン(K)、メチオニン(M)、アスパラギン(N)、プロリン(P)、グルタミン(Q)、アルギニン(R)、バリン(V)及びオルニチン(ORN)から選ばれるいずれか一つのアミノ酸である。
【請求項2】
前記ペプチドは、γ-GLU-ALA、γ-GLU-CYS、γ-GLU-CYS(S-Me)、γ-GLU-CYS(S-Me)(O2)、γ-GLU-ASP、γ-GLU-GLU、γ-GLU-PHE、γ-GLU-GLY、γ-GLU-HIS、γ-GLU-ILE、γ-GLU-LEU、γ-GLU-MET(O)、γ-GLU-ASN、γ-GLU-ORN、γ-GLU-PRO、γ-GLU-GLN、γ-GLU-ARG、γ-GLU-THR、γ-GLU-VAL、γ-GLU-VAL-NH2、γ-GLU-TRP、γ-GLU-TYR、γ-GLU-VAL-ol、γ-GLU-GLN-GLU、γ-GLU-GLU-GLU、γ-GLU-ILE-GLY、γ-GLU-PRO-GLY、γ-GLU-GLN-GLN、γ-GLU-SER-GLY、γ-GLU-THR-GLY、γ-GLU-VAL-GLY、γ-GLU-VAL-ALA、γ-GLU-VAL-CYS、γ-GLU-VAL-ASP、γ-GLU-VAL-GLU、γ-GLU-VAL-PHE、γ-GLU-VAL-HIS、γ-GLU-VAL-LYS、γ-GLU-VAL-MET、γ-GLU-VAL-ASN、γ-GLU-VAL-ORN、γ-GLU-VAL-PRO、γ-GLU-VAL-ARG、γ-GLU-VAL-VAL、γ-GLU-CYS(S-Me)-GLY、γ-GLU-Abu-GLY及びγ-GLU-LEU-GLYからなる群から選ばれるいずれか一つ以上であることを特徴とする、請求項1に記載の抗酸化組成物。
【請求項3】
前記ペプチドは、γ-GLU-ALA、γ-GLU-CYS、γ-GLU-CYS(S-Me)、γ-GLU-CYS(S-Me)(O2)、γ-GLU-GLY、γ-GLU-HIS、γ-GLU-ILE、γ-GLU-LEU、γ-GLU-ASN、γ-GLU-PRO、γ-GLU-GLN、γ-GLU-THR、γ-GLU-VAL-NH2、γ-GLU-TRP、γ-GLU-TYR及びγ-GLU-VAL-olからなる群から選ばれるいずれか一つ以上であることを特徴とする、請求項1に記載の抗酸化組成物。
【請求項4】
前記ペプチドは、γ-GLU-CYS、γ-GLU-CYS(S-Me)、γ-GLU-CYS(S-Me)(O2)、γ-GLU-GLY、γ-GLU-HIS、γ-GLU-ILE、γ-GLU-GLN、γ-GLU-TRP及びγ-GLU-TYRからなる群から選ばれるいずれか一つ以上であることを特徴とする、請求項1に記載の抗酸化組成物。
【請求項5】
前記ペプチドは、γ-GLU-GLN-GLU、γ-GLU-ILE-GLY、γ-GLU-PRO-GLY、γ-GLU-SER-GLY、γ-GLU-THR-GLY、γ-GLU-VAL-CYS、γ-GLU-VAL-ASP、γ-GLU-VAL-GLU、γ-GLU-VAL-PHE、γ-GLU-VAL-MET、γ-GLU-VAL-ASN及びγ-GLU-VAL-ARGからなる群から選ばれるいずれか一つ以上であることを特徴とする、請求項1に記載の抗酸化組成物。
【請求項6】
前記ペプチドは、γ-GLU-CYS(S-Me)(O2)、γ-GLU-HIS、γ-GLU-CYS、γ-GLU-CYS(S-Me)、γ-GLU-GLY、γ-GLU-ILE、γ-GLU-GLN、γ-GLU-TRP、γ-GLU-TYR、γ-GLU-GLN-GLU、γ-GLU-ILE-GLY、γ-GLU-PRO-GLY、γ-GLU-SER-GLY、γ-GLU-THR-GLY、γ-GLU-VAL-CYS、γ-GLU-VAL-ASP、γ-GLU-VAL-GLU、γ-GLU-VAL-PHE、γ-GLU-VAL-MET、γ-GLU-VAL-ASN及びγ-GLU-VAL-ARGからなる群から選ばれるいずれか一つ以上であることを特徴とする、請求項1に記載の抗酸化組成物。
【請求項7】
前記ペプチドは、γ-GLU-CYS(S-Me)(O2)、γ-GLU-HIS、γ-GLU-ILE、γ-GLU-GLN-GLU、γ-GLU-THR-GLY、γ-GLU-VAL-CYSからなる群から選ばれるいずれか一つ以上であることを特徴とする、請求項1に記載の抗酸化組成物。
【請求項8】
a)酵母懸濁液に酵素を添加して加水分解させる段階;及び
b)加水分解後に得られた酵母加水分解物から500Da以下の分子量を有するペプチド分画物を回収する段階;で構成される抗酸化組成物の製造方法。
【請求項9】
前記a)段階は、
a-1)前記酵母懸濁液の固形分対比で0.5~1.5重量%アルカラーゼを添加し、3~5時間1次加水分解させる段階;
a-2)前記1次加水分解物の固形分対比で0.5~1.5重量%フラボザイムを添加し、5~15時間2次加水分解させる段階;及び
a-3)前記2次加水分解物の固形分対比で0.1~0.5重量%アルカラーゼとフラボザイムを添加し、20~30時間2次加水分解させる段階;を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
一般式1及び一般式2で表示されるアミノ酸配列から選ばれるいずれか一つ以上のペプチドを有効成分とする細胞の酸化的損傷治療用薬学組成物。
[一般式1]
γ-Glu-Xaa1
[一般式2]
γ-Glu-Xaa2-Xaa3
式中、
Xaa1は、アラニン(A)、システイン(C)、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、フェニルアラニン(F)、グリシン(G)、ヒスチジン(H)、イソロイシン(I)、ロイシン(L)、アスパラギン(N)、プロリン(P)、グルタミン(Q)、アルギニン(R)、トレオニン(T)、バリン(V)、バリンアミド(valine amide)(V-NH2)、バリノール(2-アミノ-3-メチル-1-ブタノール)(Valinol(2-Amino-3-methyl-1-butanol))(V-ol)、トリプトファン(W)、チロシン(Y)、オルニチン(ORN)、メチオニンスルホキシド(methionine sulfoxide)(M(O))、チオール基の水素がメチル基に置換されたシステイン(C(S-Me))、チオール基の水素がメチル基に置換され、スルホキシド構造を有するシステイン(S-Me)(O2)、及び2-アミノ酪酸(Abu)から選ばれるいずれか一つのアミノ酸であり、
Xaa2は、システイン(C)、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、フェニルアラニン(F)、グリシン(G)、ヒスチジン(H)、イソロイシン(I)、ロイシン(L)、アスパラギン(N)、プロリン(P)、グルタミン(Q)、アルギニン(R)、セリン(S)、トレオニン(T)、バリン(V)、バリンアミド(valine amide)(V-NH2)、バリノール(2-アミノ-3-メチル-1-ブタノール)(Valinol(2-Amino-3-methyl-1-butanol))(V-ol)、トリプトファン(W)、チロシン(Y)、オルニチン(ORN)、メチオニンスルホキシド(methionine sulfoxide)(M(O))、チオール基の水素がメチル基に置換されたシステイン(C(S-Me))、チオール基の水素がメチル基に置換され、スルホキシド構造を有するシステイン(S-Me)(O2)、及び2-アミノ酪酸(Abu)から選ばれるいずれか一つのアミノ酸であり、
Xaa3は、アラニン(A)、システイン(C)、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、フェニルアラニン(F)、グリシン(G)、ヒスチジン(H)、リジン(K)、メチオニン(M)、アスパラギン(N)、プロリン(P)、グルタミン(Q)、アルギニン(R)、バリン(V)及びオルニチン(ORN)から選ばれるいずれか一つのアミノ酸である。
【請求項11】
前記細胞の酸化的損傷は、自由ラジカル又は反応性酸素種(ROS)の生成によるものであることを特徴とする、請求項10に記載の薬学組成物。
【請求項12】
一般式1及び一般式2で表示されるアミノ酸配列から選ばれるいずれか一つ以上のペプチドを有効成分として含む抗酸化用食品組成物。
[一般式1]
γ-Glu-Xaa1
[一般式2]
γ-Glu-Xaa2-Xaa3
式中、
Xaa1は、アラニン(A)、システイン(C)、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、フェニルアラニン(F)、グリシン(G)、ヒスチジン(H)、イソロイシン(I)、ロイシン(L)、アスパラギン(N)、プロリン(P)、グルタミン(Q)、アルギニン(R)、トレオニン(T)、バリン(V)、バリンアミド(valine amide)(V-NH2)、バリノール(2-アミノ-3-メチル-1-ブタノール)(Valinol(2-Amino-3-methyl-1-butanol))(V-ol)、トリプトファン(W)、チロシン(Y)、オルニチン(ORN)、メチオニンスルホキシド(methionine sulfoxide)(M(O))、チオール基の水素がメチル基に置換されたシステイン(C(S-Me))、チオール基の水素がメチル基に置換され、スルホキシド構造を有するシステイン(S-Me)(O2)、及び2-アミノ酪酸(Abu)から選ばれるいずれか一つのアミノ酸であり、
Xaa2は、システイン(C)、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、フェニルアラニン(F)、グリシン(G)、ヒスチジン(H)、イソロイシン(I)、ロイシン(L)、アスパラギン(N)、プロリン(P)、グルタミン(Q)、アルギニン(R)、セリン(S)、トレオニン(T)、バリン(V)、バリンアミド(valine amide)(V-NH2)、バリノール(2-アミノ-3-メチル-1-ブタノール)(Valinol(2-Amino-3-methyl-1-butanol))(V-ol)、トリプトファン(W)、チロシン(Y)、オルニチン(ORN)、メチオニンスルホキシド(methionine sulfoxide)(M(O))、チオール基の水素がメチル基に置換されたシステイン(C(S-Me))、チオール基の水素がメチル基に置換され、スルホキシド構造を有するシステイン(S-Me)(O2)、及び2-アミノ酪酸(Abu)から選ばれるいずれか一つのアミノ酸であり、
Xaa3は、アラニン(A)、システイン(C)、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、フェニルアラニン(F)、グリシン(G)、ヒスチジン(H)、リジン(K)、メチオニン(M)、アスパラギン(N)、プロリン(P)、グルタミン(Q)、アルギニン(R)、バリン(V)及びオルニチン(ORN)から選ばれるいずれか一つのアミノ酸である。
【請求項13】
一般式1及び一般式2で表示されるアミノ酸配列から選ばれるいずれか一つ以上のペプチドを有効成分として含む抗酸化用飼料組成物。
[一般式1]
γ-Glu-Xaa1
[一般式2]
γ-Glu-Xaa2-Xaa3
式中、
Xaa1は、アラニン(A)、システイン(C)、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、フェニルアラニン(F)、グリシン(G)、ヒスチジン(H)、イソロイシン(I)、ロイシン(L)、アスパラギン(N)、プロリン(P)、グルタミン(Q)、アルギニン(R)、トレオニン(T)、バリン(V)、バリンアミド(valine amide)(V-NH2)、バリノール(2-アミノ-3-メチル-1-ブタノール)(Valinol(2-Amino-3-methyl-1-butanol))(V-ol)、トリプトファン(W)、チロシン(Y)、オルニチン(ORN)、メチオニンスルホキシド(methionine sulfoxide)(M(O))、チオール基の水素がメチル基に置換されたシステイン(C(S-Me))、チオール基の水素がメチル基に置換され、スルホキシド構造を有するシステイン(S-Me)(O2)、及び2-アミノ酪酸(Abu)から選ばれるいずれか一つのアミノ酸であり、
Xaa2は、システイン(C)、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、フェニルアラニン(F)、グリシン(G)、ヒスチジン(H)、イソロイシン(I)、ロイシン(L)、アスパラギン(N)、プロリン(P)、グルタミン(Q)、アルギニン(R)、セリン(S)、トレオニン(T)、バリン(V)、バリンアミド(valine amide)(V-NH2)、バリノール(2-アミノ-3-メチル-1-ブタノール)(Valinol(2-Amino-3-methyl-1-butanol))(V-ol)、トリプトファン(W)、チロシン(Y)、オルニチン(ORN)、メチオニンスルホキシド(methionine sulfoxide)(M(O))、チオール基の水素がメチル基に置換されたシステイン(C(S-Me))、チオール基の水素がメチル基に置換され、スルホキシド構造を有するシステイン(S-Me)(O2)、及び2-アミノ酪酸(Abu)から選ばれるいずれか一つのアミノ酸であり、
Xaa3は、アラニン(A)、システイン(C)、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、フェニルアラニン(F)、グリシン(G)、ヒスチジン(H)、リジン(K)、メチオニン(M)、アスパラギン(N)、プロリン(P)、グルタミン(Q)、アルギニン(R)、バリン(V)及びオルニチン(ORN)から選ばれるいずれか一つのアミノ酸である。
【請求項14】
一般式1及び一般式2で表示されるアミノ酸配列から選ばれるいずれか一つ以上のペプチドを有効成分として含む抗酸化用化粧料組成物。
[一般式1]
γ-Glu-Xaa1
[一般式2]
γ-Glu-Xaa2-Xaa3
式中、
Xaa1は、アラニン(A)、システイン(C)、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、フェニルアラニン(F)、グリシン(G)、ヒスチジン(H)、イソロイシン(I)、ロイシン(L)、アスパラギン(N)、プロリン(P)、グルタミン(Q)、アルギニン(R)、トレオニン(T)、バリン(V)、バリンアミド(valine amide)(V-NH2)、バリノール(2-アミノ-3-メチル-1-ブタノール)(Valinol(2-Amino-3-methyl-1-butanol))(V-ol)、トリプトファン(W)、チロシン(Y)、オルニチン(ORN)、メチオニンスルホキシド(methionine sulfoxide)(M(O))、チオール基の水素がメチル基に置換されたシステイン(C(S-Me))、チオール基の水素がメチル基に置換され、スルホキシド構造を有するシステイン(S-Me)(O2)、及び2-アミノ酪酸(Abu)から選ばれるいずれか一つのアミノ酸であり、
Xaa2は、システイン(C)、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、フェニルアラニン(F)、グリシン(G)、ヒスチジン(H)、イソロイシン(I)、ロイシン(L)、アスパラギン(N)、プロリン(P)、グルタミン(Q)、アルギニン(R)、セリン(S)、トレオニン(T)、バリン(V)、バリンアミド(valine amide)(V-NH2)、バリノール(2-アミノ-3-メチル-1-ブタノール)(Valinol(2-Amino-3-methyl-1-butanol))(V-ol)、トリプトファン(W)、チロシン(Y)、オルニチン(ORN)、メチオニンスルホキシド(methionine sulfoxide)(M(O))、チオール基の水素がメチル基に置換されたシステイン(C(S-Me))、チオール基の水素がメチル基に置換され、スルホキシド構造を有するシステイン(S-Me)(O2)、及び2-アミノ酪酸(Abu)から選ばれるいずれか一つのアミノ酸であり、
Xaa3は、アラニン(A)、システイン(C)、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、フェニルアラニン(F)、グリシン(G)、ヒスチジン(H)、リジン(K)、メチオニン(M)、アスパラギン(N)、プロリン(P)、グルタミン(Q)、アルギニン(R)、バリン(V)及びオルニチン(ORN)から選ばれるいずれか一つのアミノ酸である。
【請求項15】
細胞の酸化的損傷の予防又は治療用医薬の製造のための、一般式1及び一般式2で表示されるアミノ酸配列から選ばれるいずれか一つ以上のペプチドの用途。
[一般式1]
γ-Glu-Xaa1
[一般式2]
γ-Glu-Xaa2-Xaa3
式中、
Xaa1は、アラニン(A)、システイン(C)、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、フェニルアラニン(F)、グリシン(G)、ヒスチジン(H)、イソロイシン(I)、ロイシン(L)、アスパラギン(N)、プロリン(P)、グルタミン(Q)、アルギニン(R)、トレオニン(T)、バリン(V)、バリンアミド(valine amide)(V-NH2)、バリノール(2-アミノ-3-メチル-1-ブタノール)(Valinol(2-Amino-3-methyl-1-butanol))(V-ol)、トリプトファン(W)、チロシン(Y)、オルニチン(ORN)、メチオニンスルホキシド(methionine sulfoxide)(M(O))、チオール基の水素がメチル基に置換されたシステイン(C(S-Me))、チオール基の水素がメチル基に置換され、スルホキシド構造を有するシステイン(S-Me)(O2)、及び2-アミノ酪酸(Abu)から選ばれるいずれか一つのアミノ酸であり、
Xaa2は、システイン(C)、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、フェニルアラニン(F)、グリシン(G)、ヒスチジン(H)、イソロイシン(I)、ロイシン(L)、アスパラギン(N)、プロリン(P)、グルタミン(Q)、アルギニン(R)、セリン(S)、トレオニン(T)、バリン(V)、バリンアミド(valine amide)(V-NH2)、バリノール(2-アミノ-3-メチル-1-ブタノール)(Valinol(2-Amino-3-methyl-1-butanol))(V-ol)、トリプトファン(W)、チロシン(Y)、オルニチン(ORN)、メチオニンスルホキシド(methionine sulfoxide)(M(O))、チオール基の水素がメチル基に置換されたシステイン(C(S-Me))、チオール基の水素がメチル基に置換され、スルホキシド構造を有するシステイン(S-Me)(O2)、及び2-アミノ酪酸(Abu)から選ばれるいずれか一つのアミノ酸であり、
Xaa3は、アラニン(A)、システイン(C)、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、フェニルアラニン(F)、グリシン(G)、ヒスチジン(H)、リジン(K)、メチオニン(M)、アスパラギン(N)、プロリン(P)、グルタミン(Q)、アルギニン(R)、バリン(V)及びオルニチン(ORN)から選ばれるいずれか一つのアミノ酸である。
【請求項16】
前記細胞の酸化的損傷は、自由ラジカル又は反応性酸素種(ROS)の生成によるものであることを特徴とする、請求項15に記載のペプチドの用途。
【請求項17】
ヒト、又はヒト以外の動物に一般式1及び一般式2で表示されるアミノ酸配列から選ばれるいずれか一つ以上のペプチドを経口投与する細胞の酸化的損傷の治療方法。
[一般式1]
γ-Glu-Xaa1
[一般式2]
γ-Glu-Xaa2-Xaa3
式中、
Xaa1は、アラニン(A)、システイン(C)、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、フェニルアラニン(F)、グリシン(G)、ヒスチジン(H)、イソロイシン(I)、ロイシン(L)、アスパラギン(N)、プロリン(P)、グルタミン(Q)、アルギニン(R)、トレオニン(T)、バリン(V)、バリンアミド(valine amide)(V-NH2)、バリノール(2-アミノ-3-メチル-1-ブタノール)(Valinol(2-Amino-3-methyl-1-butanol))(V-ol)、トリプトファン(W)、チロシン(Y)、オルニチン(ORN)、メチオニンスルホキシド(methionine sulfoxide)(M(O))、チオール基の水素がメチル基に置換されたシステイン(C(S-Me))、チオール基の水素がメチル基に置換され、スルホキシド構造を有するシステイン(S-Me)(O2)、及び2-アミノ酪酸(Abu)から選ばれるいずれか一つのアミノ酸であり、
Xaa2は、システイン(C)、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、フェニルアラニン(F)、グリシン(G)、ヒスチジン(H)、イソロイシン(I)、ロイシン(L)、アスパラギン(N)、プロリン(P)、グルタミン(Q)、アルギニン(R)、セリン(S)、トレオニン(T)、バリン(V)、バリンアミド(valine amide)(V-NH2)、バリノール(2-アミノ-3-メチル-1-ブタノール)(Valinol(2-Amino-3-methyl-1-butanol))(V-ol)、トリプトファン(W)、チロシン(Y)、オルニチン(ORN)、メチオニンスルホキシド(methionine sulfoxide)(M(O))、チオール基の水素がメチル基に置換されたシステイン(C(S-Me))、チオール基の水素がメチル基に置換され、スルホキシド構造を有するシステイン(S-Me)(O2)、及び2-アミノ酪酸(Abu)から選ばれるいずれか一つのアミノ酸であり、
Xaa3は、アラニン(A)、システイン(C)、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、フェニルアラニン(F)、グリシン(G)、ヒスチジン(H)、リジン(K)、メチオニン(M)、アスパラギン(N)、プロリン(P)、グルタミン(Q)、アルギニン(R)、バリン(V)及びオルニチン(ORN)から選ばれるいずれか一つのアミノ酸である。
【請求項18】
前記細胞の酸化的損傷は、自由ラジカル又は反応性酸素種(ROS)の生成によるものであることを特徴とする、請求項17に記載の細胞の酸化的損傷の治療方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗酸化活性を有する生体適合性ペプチド素材に関し、より詳細には、ラジカル消去能をはじめとして、抗酸化転写因子であるNrf2の発現と抗酸化酵素であるSOD2の発現を促進する機能を有するペプチド及びこれを含む組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、細胞は、生物学的過程によって現れる内因的要因(呼吸、体内エネルギー代謝など)と外部環境による外因的要因(汚染物質、毒性物質、紫外線、病原菌侵入など)によるストレスにより、細胞内で活性酸素種(reactive oxygen species(ROS))又は自由ラジカル(free radical)のような有害酸素を生成する。
【0003】
正常の細胞は代謝過程を通じて前記有害酸素を抗酸化酵素で除去する。しかし、ストレスが持続するなどの深刻な場合には、細胞内で有害酸素が除去されずに蓄積され、炎症反応や細胞損傷が起き、これは様々な疾患に進む原因となる。
【0004】
さらに、前記有害酸素によって細胞のDNA損傷、タンパク質変性、酵素不活性化などが起きることがあり、細胞内に拡散した、または、血流に乗って移動した脂質過酸化物は新しい活性酸素生成を促進させ、様々な組織で動脈硬化、癌、心筋梗塞、脳卒中、心臓疾患、リウマチ性関節炎、筋萎縮側索硬化症(amyotrophic laternal sclerosis)やパーキンソン病(Parkinson’s dis
ease,PD)のような退行性脳神経疾患(chronic neurodegenerative disease)、糖尿病、肝炎、腎臓炎、アトピー、自己免疫疾患、炎症反応、老化などの進行を促進する(Alam,M.N.et al.Saudi Pharm J.2013;Curr.Opin.Neurol.,9(4):260-264,1996)。
【0005】
その上、このような細胞内で起こるストレスは、細胞を破壊、皮膚真皮層の結合組織を切断、或いは交差結合を起こし、シワ形成、アトピー性皮膚炎、にきび又は皮膚癌のような皮膚関連疾病を起こす主要原因として知られている。
【0006】
これに対して、人体は、持続的に発生する活性酸素を除去し、損傷した細胞を治癒できる抗酸化体系を備えている。一例として、3個のアミノ酸(L-グルタミン酸、L-システイン、L-グリシン)が結合したグルタチオン(Glutathione(GSH))がある。グルタチオンは、グルタミンシステイリガーゼ(glutamate cysteine ligase(GCL))とグルタチオン合成酵素(glutathione synthetase(GS))によって合成され、抗酸化酵素系としてグルタチオンペロキシダーゼ(glutathione peroxidase(GPx))、グルタチオンレダクターゼ(glutathione reductase(GR))、グルタチオンエス-トランスフェラーゼ(glutathione S-transferase(GST))、キノンオキシドレダクターゼ(NADPH:quinone oxidoreductase1(NQO1))のような酵素の作用によって酸化-還元反応を繰り返し行い、抗酸化効能を示すなど、毒性物質を除去することが知られている(Mates,J.M.et al.Clinical biochemistry.1999;Vrankovic,J.et al.Turkish Journal of Biology.2012)。
【0007】
その他、酸化的ストレスに対する生体内主要防御機転は、細胞内に存在するNrf2(Nuclear factor erythroid 2-related factor 2)-ARE(Antioxidant response element)信号経路によるものであるが、前記Nrf2-ARE信号経路は、グルタチオン(glutathione)合成と抗酸化酵素系の合成を促進する。前記Nrf2は転写因子であり、酸化的ストレス状況でGPx、GR、GST、スーパーオキシドディスムターゼ(superoxide dismutase,SOD)、カタラーゼ(catalase)、NQO1、ヘムオキシゲナーゼ(Heme oxygenase-1(HO-1))のような抗酸化酵素を合成して活性酸素種を除去、抗酸化剤であるグルタチオンを合成するGCL、GSなどのような酵素の発現を調節して細胞内にグルタチオンの量を増加させる役割を担うものとして知られている。これによって活性酸素種を除去する、或いは攻撃性のない物質に転換させる(Lee,J.M.et al.J Biochem Mol Biol.2004)。
【0008】
また、Nrf2は様々な組織において活性酸素からの細胞生存率を向上させる。したがって、様々な組織内でNrf2発現が促進される場合、抗酸化に基づく細胞保護効能を有すると考えられる(Baird,L.et al.Arch Toxicol.2011)。
【0009】
人体内で抗酸化防御機転を効率的に維持させるためには、最も強力な活性酸素であるスーパーオキシドアニオンラジカル(superoxide anion radical)を一次に中和させるSOD酵素の生成と反応速度を正常化させることが最も重要な要因の一つである。しかし、人は加齢に伴ってSOD酵素の生成と反応速度が低下するため、これを補完してくれる食品の摂取が重要である。抗酸化酵素のうちSODは、細胞のエネルギー代謝過程で正常に発生する活性酸素を減少させる酵素であり、細胞の抗酸化防御体系において重要な役割を果たしている。哺乳動物においてSOD2は、mitochondrial Mn-SODと呼ばれる。
【0010】
しかしながら、公害や紫外線などの環境的ストレス又は生物学的ストレスを含む諸原因、老化及び退行性疾患のような老化と関連した疾病、経済成長及び食生活の変化などに伴う代謝症候群や成人病などによって人体の抗酸化体系は正常作動できなくなっていく。このような場合、抗酸化物質を供給して防御できるように、Nrf2電子因子を活性化させて活性酸素種を除去できる物質、すなわち、抗酸化剤の体内供給が要求される。このような抗酸化剤の体内供給要求に応じて、抗酸化剤又は抗酸化効果を有する食品、医薬などを摂取して前記疾病を予防又は治療する、或いは老化を遅延させようとする努力が多方面からなされているが、このような全ての条件を満たす抗酸化物質は開発されていないのが現状である。
【0011】
このような背景下で、本発明者らは、抗酸化効果を示しながら副作用がない食品原料を見出すために鋭意研究努力した結果、ペプチドが、抗酸化転写因子であるNrf2の発現を促進して活性酸素種を除去する機能、抗酸化酵素であるSOD2の発現を促進して活性酸素種を除去する機能、Nrf2とSOD2の発現を同時に促進して活性酸素種を除去する機能を有することにより、強い抗酸化効果があることを見出し、本発明を完成するに至った。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、素材自体に免疫反応がなく、生体復元後に無害に分解されながら、優れた抗酸化活性を示すことによって、適用時にラジカル消去能、Nrf2、SOD2の発現を促進して、抗酸化活性を増進させるペプチドを提供することを目的とする。このような抗酸化活性を有するペプチドは、生体組織又はその細胞に効果的に作用して酸化的ストレスに対する抗酸化活性を有する、細胞の酸化的損傷に関連した疾患治療剤として活用可能である。
【0013】
本発明は前記のような問題点を勘案して案出されたものであり、本発明の目的は、一般式1又は2で表示されるアミノ酸配列からなる抗酸化活性を有するペプチドのいずれか一つ以上を含む抗酸化組成物及びその製造方法を提供することである。
【0014】
本発明の他の目的は、前記ペプチドを有効成分とする細胞の酸化的損傷の予防、治療若しくは改善のための薬学組成物又はヒト以外の動物用薬学組成物を提供することである。
【0015】
本発明のさらに他の目的は、ヒト、又はヒト以外の動物に前記ペプチドを経口投与する細胞の酸化的損傷予防又は治療方法を提供することである。
【0016】
本発明のさらに他の目的は、細胞の酸化的損傷の予防若しくは治療用医薬、又は動物用医薬製造のための前記ペプチドの新規用途を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、一般式1又は2で表示されるアミノ酸配列からなる抗酸化活性を有するペプチドを含む抗酸化組成物を提供する。
【0018】
[一般式1]
γ-Glu-Xaa1
[一般式2]
γ-Glu-Xaa2-Xaa3
式中、
Xaa1は、アラニン(A)、システイン(C)、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、フェニルアラニン(F)、グリシン(G)、ヒスチジン(H)、イソロイシン(I)、ロイシン(L)、アスパラギン(N)、プロリン(P)、グルタミン(Q)、アルギニン(R)、トレオニン(T)、バリン(V)、バリンアミド(valine amide)(V-NH2)、バリノール(2-アミノ-3-メチル-1-ブタノール)(Valinol(2-Amino-3-methyl-1-butanol))(V-ol)、トリプトファン(W)、チロシン(Y)、オルニチン(ORN)、メチオニンスルホキシド(methionine sulfoxide)(M(O))、チオール基の水素がメチル基に置換されたシステイン(C(S-Me))、チオール基の水素がメチル基に置換され、スルホキシド構造を有するシステイン(S-Me)(O2)、及び2-アミノ酪酸(Abu)から選ばれるいずれか一つのアミノ酸であり、
Xaa2は、システイン(C)、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、フェニルアラニン(F)、グリシン(G)、ヒスチジン(H)、イソロイシン(I)、ロイシン(L)、アスパラギン(N)、プロリン(P)、グルタミン(Q)、アルギニン(R)、セリン(S)、トレオニン(T)、バリン(V)、バリンアミド(valine amide)(V-NH2)、バリノール(2-アミノ-3-メチル-1-ブタノール)(Valinol(2-Amino-3-methyl-1-butanol))(V-ol)、トリプトファン(W)、チロシン(Y)、オルニチン(ORN)、メチオニンスルホキシド(methionine sulfoxide)(M(O))、チオール基の水素がメチル基に置換されたシステイン(C(S-Me))、チオール基の水素がメチル基に置換され、スルホキシド構造を有するシステイン(S-Me)(O2)、及び2-アミノ酪酸(Abu)から選ばれるいずれか一つのアミノ酸であり、
Xaa3は、アラニン(A)、システイン(C)、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、フェニルアラニン(F)、グリシン(G)、ヒスチジン(H)、リジン(K)、メチオニン(M)、アスパラギン(N)、プロリン(P)、グルタミン(Q)、アルギニン(R)、バリン(V)及びオルニチン(ORN)から選ばれるいずれか一つのアミノ酸である。
【0019】
前記ペプチドは、γ-GLU-ALA、γ-GLU-CYS、γ-GLU-CYS(S-Me)、γ-GLU-CYS(S-Me)(O2)、γ-GLU-ASP、γ-GLU-GLU、γ-GLU-PHE、γ-GLU-GLY、γ-GLU-HIS、γ-GLU-ILE、γ-GLU-LEU、γ-GLU-MET(O)、γ-GLU-ASN、γ-GLU-ORN、γ-GLU-PRO、γ-GLU-GLN、γ-GLU-ARG、γ-GLU-THR、γ-GLU-VAL、γ-GLU-VAL-NH2、γ-GLU-TRP、γ-GLU-TYR、γ-GLU-VAL-ol、γ-GLU-GLN-GLU、γ-GLU-GLU-GLU、γ-GLU-ILE-GLY、γ-GLU-PRO-GLY、γ-GLU-GLN-GLN、γ-GLU-SER-GLY、γ-GLU-THR-GLY、γ-GLU-VAL-GLY、γ-GLU-VAL-ALA、γ-GLU-VAL-CYS、γ-GLU-VAL-ASP、γ-GLU-VAL-GLU、γ-GLU-VAL-PHE、γ-GLU-VAL-HIS、γ-GLU-VAL-LYS、γ-GLU-VAL-MET、γ-GLU-VAL-ASN、γ-GLU-VAL-ORN、γ-GLU-VAL-PRO、γ-GLU-VAL-ARG、γ-GLU-VAL-VAL、γ-GLU-CYS(S-Me)-GLY、γ-GLU-Abu-GLY及びγ-GLU-LEU-GLYからなる群から選ばれるいずれか一つ以上のペプチドであり得る。
【0020】
前記ペプチドは、γ-GLU-ALA、γ-GLU-CYS、γ-GLU-CYS(S-Me)、γ-GLU-CYS(S-Me)(O2)、γ-GLU-GLY、γ-GLU-HIS、γ-GLU-ILE、γ-GLU-LEU、γ-GLU-ASN、γ-GLU-PRO、γ-GLU-GLN、γ-GLU-THR、γ-GLU-VAL-NH2、γ-GLU-TRP、γ-GLU-TYR及びγ-GLU-VAL-olからなる群から選ばれるいずれか一つ以上のジペプチドであってもよい。
【0021】
前記ペプチドは、γ-GLU-CYS、γ-GLU-CYS(S-Me)、γ-GLU-CYS(S-Me)(O2)、γ-GLU-GLY、γ-GLU-HIS、γ-GLU-ILE、γ-GLU-GLN、γ-GLU-TRP及びγ-GLU-TYRからなる群から選ばれるいずれか一つ以上のジペプチドであってもよい。
【0022】
前記ペプチドは、γ-GLU-GLN-GLU、γ-GLU-ILE-GLY、γ-GLU-PRO-GLY、γ-GLU-SER-GLY、γ-GLU-THR-GLY、γ-GLU-VAL-CYS、γ-GLU-VAL-ASP、γ-GLU-VAL-GLU、γ-GLU-VAL-PHE、γ-GLU-VAL-MET、γ-GLU-VAL-ASN及びγ-GLU-VAL-ARGからなる群から選ばれるいずれか一つ以上のトリペプチドであってもよい。
【0023】
前記ペプチドは、γ-GLU-CYS(S-Me)(O2)、γ-GLU-HIS、γ-GLU-CYS、γ-GLU-CYS(S-Me)、γ-GLU-GLY、γ-GLU-ILE、γ-GLU-GLN、γ-GLU-TRP、γ-GLU-TYR、γ-GLU-GLN-GLU、γ-GLU-ILE-GLY、γ-GLU-PRO-GLY、γ-GLU-SER-GLY、γ-GLU-THR-GLY、γ-GLU-VAL-CYS、γ-GLU-VAL-ASP、γ-GLU-VAL-GLU、γ-GLU-VAL-PHE、γ-GLU-VAL-MET、γ-GLU-VAL-ASN及びγ-GLU-VAL-ARGからなる群から選ばれるいずれか一つ以上であってもよい。
【0024】
前記ペプチドは、γ-GLU-CYS(S-Me)(O2)、γ-GLU-HIS、γ-GLU-ILE、γ-GLU-GLN-GLU、γ-GLU-THR-GLY、γ-GLU-VAL-CYSからなる群から選ばれるいずれか一つ以上であってもよい。
【0025】
本発明は、下記段階で構成される抗酸化組成物の製造方法を提供する。
a)酵母懸濁液に酵素を添加して加水分解させる段階、及び
b)加水分解後に得られた酵母加水分解物から500Da以下の分子量を有するペプチド分画物を回収する段階。
【0026】
前記a)段階は、a-1)前記酵母懸濁液の固形分対比で0.5~1.5重量%アルカラーゼを添加し、3~5時間1次加水分解させる段階;
a-2)前記1次加水分解物の固形分対比で0.5~1.5重量%フラボザイムを添加し、5~15時間2次加水分解させる段階;及び
a-3)前記2次加水分解物の固形分対比で0.1~0.5重量%アルカラーゼとフラボザイムを添加し、20~30時間2次加水分解させる段階;を含むことができる。
【0027】
本発明は、前記一般式1及び一般式2で表示されるアミノ酸配列から選ばれるいずれか一つ以上のペプチドを有効成分とする細胞の酸化的損傷治療用薬学組成物、食品組成物、飼料組成物、化粧料組成物を提供する。
【0028】
前記細胞の酸化的損傷は、自由ラジカル又は反応性酸素種(ROS)の生成によるものであり得る。
【0029】
本発明は細胞の酸化的損傷の予防又は治療用医薬の製造のための、前記一般式1及び一般式2で表示されるアミノ酸配列から選ばれるいずれか一つ以上のペプチドの用途を提供する。
【0030】
本発明は、ヒト、又はヒト以外の動物に前記一般式1及び一般式2で表示されるアミノ酸配列から選ばれるいずれか一つ以上のペプチドを経口投与する、細胞の酸化的損傷の治療方法を提供する。
【0031】
前記細胞の酸化的損傷は、自由ラジカル又は反応性酸素種(ROS)の生成によるものであり得る。
【発明の効果】
【0032】
本発明は、優れた抗酸化活性を有する機能性ペプチドであって、抗酸化活性が微弱であるという従来の限界を克服するために、生体適合性に優れながらも従来のGSHに比べて著しく優れた抗酸化活性を有するペプチドを提供する。本発明のペプチドは、酸化的ストレスによって誘発された活性酸素による生体組織や細胞の損傷を効果的に回復、或いは抗酸化活性を促進させることができる。したがって、このような抗酸化活性を有するペプチドは酸化的ストレスによる細胞損傷に効果的に作用し、細胞損傷を予防及び回復させることに活用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1A】それぞれの酵母加水分解物(A4、AF10、AF24)に対するDPPH消去能を測定したグラフである。ここで、Controlは、なんの酵素でも処理していない酵母加水分解物で、A2は、アルカラーゼで2時間分解された酵母加水分解物で、A4は、アルカラーゼで4時間分解された酵母加水分解物で、AF10は、アルカラーゼで4時間分解後にフラボザイムで10時間分解した酵母加水分解物で、AF24は、アルカラーゼで4時間分解後にフラボザイムで10時間分解した後、24時間追加分解した酵母加水分解物である。
【
図1B】それぞれの酵母加水分解物(A4、AF10、AF24)に対する還元力を測定したグラフである。
【
図2A】それぞれの酵母加水分解物の分画物(製造例1~4)に対するDPPH消去能を測定したグラフである。ここで、Controlは、なんの酵素でも処理していない酵母加水分解物で、10kDa以上は、製造例1の酵母加水分解物の分画物で、10~5kDaは、製造例2の酵母加水分解物の分画物で、5~1kDaは、製造例3の酵母加水分解物の分画物で、1kDa以下は、製造例4の酵母加水分解物の分画物である。
【
図2B】それぞれの酵母加水分解物の分画物(製造例1~4)に対する還元力を測定したグラフである。
【
図3】抗酸化活性を有するペプチドをスクリーニングするために、実験例2から選ばれた1kDa以下酵母加水分解物濾過液を高性能液体クロマトグラフィー(high performance liquid chromatography,HPLC)で分子量分布を確認し、分子量によって2次分画物(I、II、III)を表記したグラフである。
【
図4A】酵母加水分解物のうち抗酸化活性が最も優れた2次分画物IIから同定された代表的なペプチドのMS/MSスペクトル及び予想構造を示すグラフである。ここでは、γ-Glu-Cys-Gly(GSH)である。
【
図4B】酵母加水分解物のうち抗酸化活性が最も優れた2次分画物IIから同定された代表的なペプチドのMS/MSスペクトル及び予想構造を示すグラフである。ここでは、γ-Glu-Val-Glyである。
【
図4C】酵母加水分解物のうち抗酸化活性が最も優れた2次分画物IIから同定された代表的なペプチドのMS/MSスペクトル及び予想構造を示すグラフである。ここでは、γ-Glu-Cys、Dはγ-Glu-Valである。
【
図4D】酵母加水分解物のうち抗酸化活性が最も優れた2次分画物IIから同定された代表的なペプチドのMS/MSスペクトル及び予想構造を示すグラフである。ここでは、γ-Glu-Valである。
【
図5A】酵母加水分解物から確認された100種のペプチドに対するNrf2 mRNA発現量をリアルタイムPCRを用いて分析したグラフである。
【
図5B】酵母加水分解物から確認された100種のペプチドに対するNrf2 mRNA発現量をリアルタイムPCRを用いて分析したグラフである。
【
図5C】酵母加水分解物から確認された100種のペプチドに対するNrf2 mRNA発現量をリアルタイムPCRを用いて分析したグラフである。
【
図6】酵母加水分解物から確認された100種のペプチドに対するSOD2 mRNA発現量をリアルタイムPCRを用いて分析したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明について詳しく説明する。
【0035】
代表的なアミノ酸とそれぞれの略語は、以下のとおりである。アラニン(Ala,A)、イソロイシン(Ile,I)、ロイシン(Leu,L)、メチオニン(Met,M)、フェニルアラニン(Phe,F)、プロリン(Pro,P)、トリプトファン(Trp,W)、バリン(Val,V)、アスパラギン(Asn,N)、システイン(Cys,C)、グルタミン(Gln,Q)、グリシン(Gly,G)、セリン(Ser,S)、トレオニン(Thr,T)、チロシン(Try,Y)、アスパラギン酸(Asp,D)、グルタミン酸(Glu,E)、アルギニン(Arg,R)、ヒスチジン(His,H)、リジン(Lys,K)。
【0036】
また、修飾されたアミノ酸とそれぞれの略語は、以下のとおりである。バリンアミド(valine amide)(V-NH2)、バリノール(2-アミノ-3-メチル-1-ブタノール)(Valinol(2-Amino-3-methyl-1-butanol))(V-ol)、オルニチン(ORN)、メチオニンスルホキシド(methionine sulfoxide)(M(O))、チオール基の水素がメチル基に置換されたシステイン(C(S-Me))、チオール基の水素がメチル基に置換され、スルホキシド構造を有するシステイン(S-Me)(O2)、及び2-アミノ酪酸(Abu)。特に、式中で(O2)はスルホキシド構造であることを意味する。
【0037】
本発明において、ペプチドとは、ペプチド結合によってアミノ酸残基が互いに結合して形成された線形の分子を意味する。
【0038】
本発明のペプチドは、当業界に公知の化学的合成方法、特に、固相合成技術(solid-phase synthesis technique)によって製造できる(Merrifield,J.Amer.Chem.Soc.85:2149-54(1963);Stewart,et al.,Solid Phase Peptide Synthesis,2nd.ed.,Pierce Chem.Co.:Rockford,111(1984))。
【0039】
本明細書において、“抗酸化活性”という用語は、環境的ストレス又は生物学的ストレスによる細胞内代謝又は紫外線の影響による酸化的ストレスによって反応性の高い自由ラジカル(free radical)又は活性酸素種(reactive oxygen species;ROS)による細胞の酸化を抑制することを意味し、自由ラジカル又は活性酸素種を除去してそれによる細胞の損傷が減少することを含む。
【0040】
本発明において、“抗酸化組成物” という用語は、組成物の全重量に対して抗酸化ペプチドを20~50重量%、好ましくは30~40重量%で含む組成物を意味し、前記組成物は薬学的に許容可能な、担体、賦形剤又は希釈剤を含むことができ、これは通常の技術者にとって周知の技術的内容に該当する。
【0041】
本発明の一態様は、次の一般式1及び一般式2で表示されるアミノ酸配列から選ばれるいずれか一つ以上のペプチドを含む抗酸化組成物に関する:
[一般式1]
γ-Glu-Xaa1
[一般式2]
γ-Glu-Xaa2-Xaa3
式中、
Xaa1は、アラニン(A)、システイン(C)、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、フェニルアラニン(F)、グリシン(G)、ヒスチジン(H)、イソロイシン(I)、ロイシン(L)、アスパラギン(N)、プロリン(P)、グルタミン(Q)、アルギニン(R)、セリン(S)、トレオニン(T)、バリン(V)、バリノール(2-アミノ-3-メチル-1-ブタノール)(Valinol(2-Amino-3-methyl-1-butanol))(V-ol)、トリプトファン(W)、チロシン(Y)、オルニチン(ORN)、メチオニンスルホキシド(methionine sulfoxide)(M(O))、チオール基の水素がメチル基に置換されたシステイン(C(S-Me))、チオール基の水素がメチル基に置換され、スルホキシド構造を有するシステイン(S-Me)(O2)、及び2-アミノ酪酸(Abu)から選ばれるいずれか一つのアミノ酸であり、
Xaa2は、システイン(C)、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、フェニルアラニン(F)、グリシン(G)、ヒスチジン(H)、イソロイシン(I)、ロイシン(L)、アスパラギン(N)、プロリン(P)、グルタミン(Q)、アルギニン(R)、セリン(S)、トレオニン(T)、バリン(V)、バリノール(2-アミノ-3-メチル-1-ブタノール)(Valinol(2-Amino-3-methyl-1-butanol))(V-ol)、トリプトファン(W)、チロシン(Y)、オルニチン(ORN)、メチオニンスルホキシド(methionine sulfoxide)(M(O))、チオール基の水素がメチル基に置換されたシステイン(C(S-Me))、チオール基の水素がメチル基に置換され、スルホキシド構造を有するシステイン(S-Me)(O2)、及び2-アミノ酪酸(Abu)から選ばれるいずれか一つのアミノ酸であり、
Xaa3は、アラニン(A)、システイン(C)、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、フェニルアラニン(F)、グリシン(G)、ヒスチジン(H)、リジン(K)、メチオニン(M)、アスパラギン(N)、プロリン(P)、グルタミン(Q)、アルギニン(R)、バリン(V)及びオルニチン(ORN)から選ばれるいずれか一つのアミノ酸である。
【0042】
本発明において、前記一般式は、本発明のペプチド構造を表現するために記載されたものであり、その修飾も本発明に属するということが当業者には明らかに認識できよう。
【0043】
一実施形態において、本発明のペプチドのN末端又はC末端は、ヒドロキシ基(-OH)又はアミノ基(-NH2)に修飾されてもよい。前記アミノ酸の修飾は、本発明のペプチドの安定性を大きく改善させる作用を有する。ここで、前記用語“安定性”は、in vivo安定性及び保存安定性(例:常温保存安定性)を意味する。前記保護基は、生体内のタンパク質切断酵素の攻撃から本発明に係るペプチドを保護する作用を有する。
【0044】
本発明の抗酸化活性を有するペプチドは、順次の酵素分解段階を通じて酵母加水分解物を得、これから1次、2次分離精製してペプチドを分離した後、これらペプチドのNrf2、SOD2 mRNAの促進効果を比較して得られたものである。このペプチドは、天然のGSHペプチドに比べてNrf2 mRNA、SOD2 mRNAの促進活性がより高く、短い配列(2~3個のアミノ酸残基からなる。)のペプチドだけでも、著しく優れた抗酸化効果(DPPH消去能、還元力、Nrf2 mRNA発現促進、SOD2 mRNA発現促進)を有するので、抗酸化活性を有する様々な分野に有用に利用可能である。
【0045】
したがって、本発明に係る抗酸化活性を有するペプチドは、活性酸素を除去し、細胞、組織又は器官の酸化的ストレスによって誘発される活性酸素による酸化的損傷を予防又は治療するための組成物の形態で提供することができる。また、前記抗酸化組成物は、活性酸素に対する細胞損傷を予防又は治療する効果を有する飼料、飼料添加剤又は食品添加剤として提供されてもよい。
【0046】
本発明の一般式1又は2で表示されるアミノ酸配列からなるペプチドは、L-グルタミン酸のガンマ鎖にアミノ酸残基が順次に結合して2~3個の短い配列を有するものである。
【0047】
具体的に、前記一般式1又は2で表示されるアミノ酸配列からなるペプチドは、抗酸化活性を有するものであり、γ-GLU-ALA、γ-GLU-CYS、γ-GLU-CYS(S-Me)、γ-GLU-CYS(S-Me)(O2)、γ-GLU-ASP、γ-GLU-GLU、γ-GLU-PHE、γ-GLU-GLY、γ-GLU-HIS、γ-GLU-ILE、γ-GLU-LEU、γ-GLU-MET(O)、γ-GLU-ASN、γ-GLU-ORN、γ-GLU-PRO、γ-GLU-GLN、γ-GLU-ARG、γ-GLU-THR、γ-GLU-VAL、γ-GLU-VAL-NH2、γ-GLU-TRP、γ-GLU-TYR、γ-GLU-VAL-ol、γ-GLU-GLN-GLU、γ-GLU-ALA-GLY、γ-GLU-GLU-GLU、γ-GLU-ILE-GLY、γ-GLU-PRO-GLY、γ-GLU-GLN-GLN、γ-GLU-SER-GLY、γ-GLU-THR-GLY、γ-GLU-VAL-GLY、γ-GLU-VAL-ALA、γ-GLU-VAL-CYS、γ-GLU-VAL-ASP、γ-GLU-VAL-GLU、γ-GLU-VAL-PHE、γ-GLU-VAL-HIS、γ-GLU-VAL-LYS、γ-GLU-VAL-MET、γ-GLU-VAL-ASN、γ-GLU-VAL-ORN、γ-GLU-VAL-PRO、γ-GLU-VAL-ARG、γ-GLU-VAL-VAL、γ-GLU-CYS(S-Me)-GLY、γ-GLU-Abu-GLY及びγ-GLU-LEU-GLYからなる群から選ばれるいずれか一つ以上であり得る。
【0048】
一実施形態によれば、前記ペプチドは、好ましくは一般式1のペプチドでよく、前記式において、Xaa1は、アラニン(A)、システイン(C)、グリシン(G)、ヒスチジン(H)、イソロイシン(I)、ロイシン(L)、アスパラギン(N)、プロリン(P)、グルタミン(Q)、トレオニン(T)、バリンアミド(valine amide)(V-NH2)、バリノール(2-アミノ-3-メチル-1-ブタノール)(Valinol(2-Amino-3-methyl-1-butanol))(V-ol)、トリプトファン(W)、チロシン(Y)、チオール基の水素がメチル基に置換されたシステイン(C(S-Me))、及びチオール基の水素がメチル基に置換され、スルホキシド構造を有するシステイン(S-Me)(O2)から選ばれるいずれか一つのアミノ酸であり得る。
【0049】
具体的に、前記一般式1のペプチドは、γ-GLU-ALA、γ-GLU-CYS、γ-GLU-CYS(S-Me)、γ-GLU-CYS(S-Me)(O2)、γ-GLU-GLY、γ-GLU-HIS、γ-GLU-ILE、γ-GLU-LEU、γ-GLU-ASN、γ-GLU-PRO、γ-GLU-GLN、γ-GLU-THR、γ-GLU-VAL-NH2、γ-GLU-TRP、γ-GLU-TYR及びγ-GLU-VAL-olからなる群から選ばれるいずれか一つ以上のジペプチドであり、これは、抗酸化効果の他、Nrf2 mRNA及びSOD2 mRNA発現促進効果も有し、従来の抗酸化効果を有するGSHに比べて短い配列であるにもかかわらず、同等又はより優れた効果を有するので、合成、製造及び保管において遥かに有用であるという長所がある。
【0050】
前記一般式1のペプチドは、より好ましくは、Xaa1がシステイン(C)、グリシン(G)、ヒスチジン(H)、イソロイシン(I)、グルタミン(Q)、トリプトファン(W)、チロシン(Y)、チオール基の水素がメチル基に置換されたシステイン(C(S-Me))、及びチオール基の水素がメチル基に置換され、スルホキシド構造を有するシステイン(S-Me)(O2)から選ばれるいずれか一つのアミノ酸であってもよい。これは、抗酸化効果を有するものと広く知られていたGSHに比べて著しく有意なNrf2発現及びSOD2発現の促進効果を同時に有しており、具体的に、γ-GLU-CYS、γ-GLU-CYS(S-Me)、γ-GLU-CYS(S-Me)(O2)、γ-GLU-GLY、γ-GLU-HIS、γ-GLU-ILE、γ-GLU-GLN、γ-GLU-TRP及びγ-GLU-TYRからなる群から選ばれるいずれか一つ以上のジペプチドであってもよい。
【0051】
一実施形態によれば、前記一般式2のペプチドにおいて、Xaa2は、グリシン(G)、イソロイシン(I)、プロリン(P)、セリン(S)、トレオニン(T)及びバリン(V)から選ばれるいずれか一つのアミノ酸であり、Xaa3は、システイン(C)、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、フェニルアラニン(F)、グリシン(G)、メチオニン(M)、アスパラギン(N)及びアルギニン(R)から選ばれるいずれか一つのアミノ酸である。これは、GSHに比べて著しく有意なレベルのNrf2発現及びSOD2発現の促進効果を有し、具体的に、γ-GLU-GLN-GLU、γ-GLU-ILE-GLY、γ-GLU-PRO-GLY、γ-GLU-SER-GLY、γ-GLU-THR-GLY、γ-GLU-VAL-CYS、γ-GLU-VAL-ASP、γ-GLU-VAL-GLU、γ-GLU-VAL-PHE、γ-GLU-VAL-MET、γ-GLU-VAL-ASN及びγ-GLU-VAL-ARGからなる群から選ばれるいずれか一つ以上のトリペプチドであってもよい。
【0052】
一実施形態によれば、GSHに比べて著しく有意なNrf2発現及びSOD2発現の促進効果を同時に有するペプチドは、より好ましくは、前記一般式1において、Xaa1は、システイン(C)、グリシン(G)、ヒスチジン(H)、イソロイシン(I)、グルタミン(Q)、トリプトファン(W)、チロシン(Y)、チオール基の水素がメチル基に置換されたシステイン(C(S-Me))及びチオール基の水素がメチル基に置換され、スルホキシド構造を有するシステイン(S-Me)(O2)から選ばれるいずれか一つのアミノ酸であり、前記一般式2において、Xaa2は、イソロイシン(I)、プロリン(P)、グルタミン(Q)、セリン(S)、トレオニン(T)及びバリン(V)から選ばれるいずれか一つのアミノ酸であり、Xaa3は、システイン(C)、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、フェニルアラニン(F)、グリシン(G)、メチオニン(M)、アスパラギン(N)及びアルギニン(R)から選ばれるいずれか一つのアミノ酸である。具体的に、γ-GLU-CYS(S-Me)(O2)、γ-GLU-HIS、γ-GLU-CYS、γ-GLU-CYS(S-Me)、γ-GLU-GLY、γ-GLU-ILE、γ-GLU-GLN、γ-GLU-TRP、γ-GLU-TYR、γ-GLU-GLN-GLU、γ-GLU-ILE-GLY、γ-GLU-PRO-GLY、γ-GLU-SER-GLY、γ-GLU-THR-GLY、γ-GLU-VAL-CYS、γ-GLU-VAL-ASP、γ-GLU-VAL-GLU、γ-GLU-VAL-PHE、γ-GLU-VAL-MET、γ-GLU-VAL-ASN及びγ-GLU-VAL-ARGからなる群から選ばれるいずれか一つ以上のペプチドが好ましい。
【0053】
最も好ましくは、前記一般式1において、Xaa1は、ヒスチジン(H)、イソロイシン(I)及びチオール基の水素がメチル基に置換され、スルホキシド構造を有するシステイン(S-Me)(O2)から選ばれるいずれか一つのアミノ酸であり、前記一般式2において、Xaa2は、グルタミン(Q)、トレオニン(T)及びバリン(V)から選ばれるいずれか一つのアミノ酸であり、Xaa3は、システイン(C)、グルタミン酸(E)及びグリシン(G)から選ばれるいずれか一つのアミノ酸である。
【0054】
具体的には、γ-GLU-CYS(S-Me)(O2)、γ-GLU-HIS、γ-GLU-ILE、γ-GLU-GLN-GLU、γ-GLU-THR-GLY、γ-GLU-VAL-CYSからなる群から選ばれるいずれか一つ以上のペプチドであり得るが、これは、抗酸化効果(還元力、DPPH消去能、及びNrf2 mRNA活性)を有する上に、陽性対照群であるGSHに比べて約2~3倍以上のNrf2 mRNA、SOD2 mRNAの発現量促進効果も有する。
【0055】
一方、γ-GLU-HISは、GSHに比べて2~8倍以上のNrf2、SOD2 mRNAの発現量促進効果を示す顕著な効果を有する。
【0056】
本発明の抗酸化組成物は、薬学組成物、健康食品組成物、飼料、飼料添加剤、化粧料組成物及びヒト以外の動物用薬学組成物などとしても用いることができる。
【0057】
本発明において、“抗酸化活性”は、環境的ストレス又は生物学的ストレスによる細胞内代謝又は紫外線の影響による酸化的ストレスによって反応性の高い自由ラジカル(free radical)又は活性酸素種(reactive oxygen species;ROS)による細胞の酸化を抑制することを意味し、自由ラジカル又は活性酸素種を除去し、これによる細胞の損傷が減少することを含む。これに関する効果は、in vitro実験から検証した。
【0058】
前記抗酸化組成物は、組成物全重量に対して抗酸化ペプチドを20~50重量%、好ましくは30~40重量%で含む組成物を意味し、前記組成物は、薬学的に許容可能な、担体、賦形剤又は希釈剤を含むことができ、これは、通常の技術者にとって周知の技術内容に該当する。
【0059】
本発明の他の態様は、次の段階を含むペプチド分画物を含む抗酸化組成物の製造方法に関する。
a)酵母懸濁液に酵素を添加して加水分解させる段階;及び
b)加水分解後に得られた酵母加水分解物を濾過又は精製し、500Da以下の分子量を有するペプチド分画物を回収する段階。
【0060】
前記a)段階は、好ましくは、a-1)前記酵母懸濁液の固形分対比で0.5~1.5重量%アルカラーゼを添加し、3~5時間1次加水分解させる段階;
a-2)前記1次加水分解物の固形分対比で0.5~1.5重量%フラボザイムを添加し、5~15時間2次加水分解させる段階;及び
a-3)前記2次加水分解物の固形分対比で0.1~0.5重量%アルカラーゼとフラボザイムを添加し、20~30時間2次加水分解させる段階;によって行ってもよい。前記方法によって酵母加水分解物を製造する場合、抗酸化効果に優れたペプチドを多量に含む分画物が得られる。
【0061】
前記加水分解段階は、40~70℃の温度で行われることが好ましい。40℃以下では加水分解がよく行われず、物理的ストレスによる抗酸化代謝物質の分泌も十分に誘導できないため、十分なペプチドが得難い。前記温度範囲が70℃を超えると、細胞の死滅が進行する不具合がある。
【0062】
前記加水分解段階のpH条件は6~7が好ましい。
【0063】
前記b)段階は、具体的には、加水分解後に得られた酵母加水分解物を分子量によって分画し、500Da以下の分子量を有するペプチド分画物を回収する。
【0064】
前記(b)段階を行う前に、前記酵母加水分解物から残余物を除去する段階をさらに含むことができ、残余物除去方法は、遠心分離、濾過など、公知の混合物から固形分を除去する方法を用いることができる。好ましくは、遠心分離を用いることができる。
【0065】
本発明の(b)段階の前に、前記酵母加水分解物に含まれた酵素を不活性化処理する段階をさらに含むことができる。この段階は、前記残余物除去段階の前後に行われ、好ましくは、(b)段階の前に、前記酵母加水分解物に含まれた酵素を不活性化処理し、遠心分離方法によって残余物を除去して上澄液を分離して得る方法を用いることができる。前記不活性化処理方法は、好ましくは、熱処理を用いることができ、加水分解物を100℃~120℃の温度で10~30分間維持する方法を用いることができる。
【0066】
前記(b)段階は、500Da以下の分子量を有するペプチド分画物を得る段階であり、分画物収得方法は、物質を分子量によって分離する公知の方法を用いることができ、例えば、透析、電気泳動及び各種カラムクロマトグラフィーなどを行うことができる。前記クロマトグラフィーは、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル浸透クロマトグラフィー、HPLC、逆相HPLC、親和性カラムクロマトグラフィー及び限外濾過などの技法を単独又は組合せで適用させて除去することができる。好ましくは、本発明の分画物収得方法は、透析膜を用いた透析方法によって目的分子量以上又は以下の物質を除去する方法であり得る。
【0067】
前記得られた分画物は、1000Da以下の分子量を有する分画であり、好ましくは、100Da~700Da以下の分子量を有する分画物である。より好ましくは、500Da以下の分子量を有する分画物であり得る。
【0068】
また、前記得られた全分画物に対して、抗酸化活性を有するペプチドは70~85重量%であり得る。
【0069】
本発明のさらに他の態様は、前記一般式1及び一般式2で表示されるアミノ酸配列から選ばれるいずれか一つ以上のペプチドを有効成分とする細胞の酸化的損傷治療用薬学組成物に関する。
【0070】
また、本発明は、前記一般式1及び一般式2で表示されるアミノ酸配列から選ばれるいずれか一つ以上のペプチドを有効成分とする細胞の酸化的損傷の予防、治療若しくは改善のための薬学組成物、又はヒト以外の動物用薬学組成物に関する。
【0071】
また、本発明は、ヒト、又はヒト以外の動物に、前記一般式1及び一般式2で表示されるアミノ酸配列から選ばれるいずれか一つ以上のペプチドを経口投与する、細胞の酸化的損傷の予防又は治療方法に関する。
【0072】
また、本発明は、細胞の酸化的損傷の予防若しくは治療用医薬、又は動物用医薬製造のための、前記一般式1及び一般式2で表示されるアミノ酸配列から選ばれるいずれか一つ以上のペプチドの新規用途に関する。
【0073】
本発明において、“細胞の酸化的損傷”という表現は、環境的ストレス又は生物学的ストレスによる細胞内代謝又は紫外線のような外因性原因による酸化的ストレスによって反応性の高い自由ラジカル(free radical)又は活性酸素種(reactive oxygen species;ROS)が誘発され、これによって細胞が損傷することを意味する。
【0074】
本明細書において用語‘有効成分として含む’とは、本発明のペプチドが細胞の酸化的損傷を改善、治療又は予防する効能又は活性を達成するのに十分な量を含むことを意味する。
【0075】
本発明において‘予防’とは、本発明に係る組成物を個体に投与して細胞の酸化的損傷の発病を抑制又は遅延させる全ての行為を意味し得る。本発明において‘治療’とは、本発明に係る組成物を、細胞の酸化的損傷が疑われる個体に投与し、細胞の酸化的損傷による症状が好転する、或いは有益となるようにする全ての行為を意味し得る。
【0076】
本発明が予防又は治療しようとする細胞の酸化的損傷による疾患の種類は制限されないが、好ましくは、内因性又は外因性原因によって細胞内代謝又は紫外線のような外因性原因による酸化的ストレスによって反応性の高い自由ラジカル(free radical)又は活性酸素種(reactive oxygen species;ROS)が誘発され、これによって細胞が損傷することから誘導される疾患であってもよい。
【0077】
前記細胞の酸化的損傷に関連した疾患は、多発性硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側鎖硬化症及び筋萎縮症から選ばれる神経退行性疾患;又は色素性網膜症、黄斑変性及び白内障のような眼球疾患;又は心筋梗塞、脳梗塞、虚血性疾患;又は関節炎、血管炎、糸球体腎炎及び紅斑性ループスから選ばれる炎症性疾患;及びアテローム性動脈硬化症から選ばれるいずれか一つ以上であってもよい。
【0078】
本発明において、前記一般式1及び一般式2で表示されるアミノ酸配列から選ばれるいずれか一つ以上のペプチドは、tBHP(直接作用酸化応力誘導作用剤(direct-acting oxidative stress-inducing agent)を処理し、酸化ストレスを誘導した細胞から抗酸化防御機転であるNrf2 mRNAとSOD2 mRNAの発現を促進及び上昇させることを確認した。このように、tBHPによって低下した細胞生存率を顕著に増加させることができる。すなわち、本発明の薬学組成物を添加する場合、抗酸化酵素活性を増加させることを発見したが、これは、抗酸化剤、基本的には酵素の発現を誘導し、細胞の適応を示唆する。
【0079】
前記一般式1及び一般式2で表示されるアミノ酸配列から選ばれるいずれか一つ以上のペプチドは、細胞性抗酸化活性を増加させ、内因性又は外因性原因による酸化的ストレスによる細胞損傷を抑制し、投与された容量において細胞毒性がなく、安定であるという点で相当な利点を有する。
【0080】
前記‘医薬’、‘動物用薬学組成物’又は‘動物用医薬’は、有効成分として、前記ペプチドの他、薬学組成物などの製造に通常用いられる適切な添加剤、担体、賦形剤及び希釈剤をさらに含むことができる。本発明に係る薬学的に許容可能な添加剤、担体、賦形剤及び希釈剤は、前記組成物に対して0.1~90重量部含んでいてもよいが、これに限定されない。
【0081】
前記添加剤としては、澱粉、ゼラチン化澱粉、微結晶セルロース、ポビドン、コロイダルシリコンジオキシド、リン酸水素カルシウム、ラクトース、マンニトール、飴、アラビアガム、全糊化澱粉、トウモロコシ澱粉、粉末セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、オパドライ(opary)、澱粉グリコール酸ナトリウム、カルナバ蝋、合成ケイ酸アルミニウム、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、白糖、デキストロース、ソルビトール及びタルクなどを用いることができる。
【0082】
前記‘担体’は、細胞又は組織内への化合物の付加を容易にする化合物である。前記‘希釈剤’は、対象化合物の生物学的活性形態を安定化させるだけでなく、化合物を溶解させる水で希釈される化合物である。
【0083】
前記担体、賦形剤及び希釈剤は、特に限定されないが、例えば、乳糖、ブドウ糖、砂糖、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、澱粉、アカシアガム、アルギネート、ゼラチン、カルシウムホスフェート、ケイ酸カルシウム、セルロース、メチルセルロース、微晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、水、ヒドロキシ安息香酸メチル、ヒドロキシ安息香酸プロピル、タルク、ステアリン酸マグネシウム及び鉱物油などを挙げることができる。
【0084】
前記医薬、動物用薬学組成物又は動物用医薬の使用量は、患者又は治療対象動物の年齢、性別、体重によって異なり得るが、特に、治療対象個体の状態、治療対象疾患の特定のカテゴリー又は種類、投与経路、使用される治療剤の属性に依存し得る。
【0085】
本発明の薬学組成物は、実際の臨床投与時に、経口及び非経口の様々な剤形で投与できるが、製剤化する場合には、通常用いられる充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩解剤、界面活性剤などの希釈剤又は賦形剤を用いて調製することができる。経口投与のための固形製剤には、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤などが含まれ、このような固形製剤は、前記ペプチドに少なくとも一つ以上の賦形剤、例えば、澱粉、炭酸カルシウム、スクロース、ラクトース又はゼラチンなどを混ぜて調製することができる。また、単純な賦形剤の他、ステアリン酸マグネシウム、タルクのような潤滑剤も用いることができる。経口投与のための液状製剤には、懸濁剤、耐溶液剤、乳剤及びシロップ剤などが該当するが、通常用いられる単純希釈剤である水、液状パラフィンの他、様々な賦形剤、例えば湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などが含まれてもよい。非経口投与のための製剤としては、滅菌された水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤、坐剤を含むことができる。非水性溶剤、懸濁剤には、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブオイルのような植物性油、オレイン酸エチルのような注射可能なエステルなどを用いることができる。坐剤の基剤には、ウィテップゾール(witepsol)、マクロゴール、ツイン(tween)61、カカオ脂、ラウリン脂、グリセロゼラチンなどを用いることができる。
【0086】
本発明の薬学組成物は、目的とする方法によって経口投与又は非経口投与でき、非経口投与時に、皮膚外用又は腹腔内注射、直腸内注射、皮下注射、静脈注射、筋肉内注射又は胸部内注射の注入方式を選択することが好ましい。
【0087】
本発明の薬学組成物の投与量は、患者の体重、年齢、性別、健康状態、食餌、投与時間、投与方法、排泄率及び疾患の重症度によってその範囲が様々であり、1日投与量は、本発明のペプチドの量を基準に0.0001~100mg/kg、好ましくは0.001~10mg/kgであり、1日1回~6回投与できる。
【0088】
本発明の薬学組成物は、単独で、又は手術、放射線治療、ホルモン治療、化学治療及び生物学的反応調節剤を用いる方法と併用して使用することができる。
【0089】
本発明の薬学組成物の適用方法としては、特に制限されず、経口投与又は注射などを用いた全ての侵襲的又は非侵襲的投与が利用可能であり、坐薬投与又は経皮投与を採用してもよい。有効成分を、経口、注射などの投与方法に適した固体又は液体の医薬用担体と共に、慣用の医薬製剤の形態で投与できる。このような製剤としては、例えば、錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤などの固形剤の形態、溶液剤、懸濁剤、乳剤などの液剤の形態、凍結乾燥剤などの形態を挙げることができる。それらの製剤は、製剤上の常套手段によって調製することができる。また、本発明の医薬組成物には、医薬的、生理学的に許容される全ての固体又は液体の担体、添加物などを任意に添加してもよい。
【0090】
前記担体としては、例えば、グルコース、ラクトース、スクロース、澱粉、マンニトール、デキストリン、脂肪酸グリセリド、ポリエチレングリコール、ヒドロキシエチル澱粉、エチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ゼラチン、アルブミン、アミノ酸、水、生理食塩水などを挙げることができる。また、必要によって、本発明の医薬組成物に、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、結合剤、等張化剤などの慣用の添加剤を適宜添加することができる。
【0091】
前記治療方法は、ヒト、又はヒト以外の動物、特にほ乳動物に前記組成物を経口又は非経口投与することであり、例えば、内因性又は外因性酸化的ストレスによって細胞が損傷した、或いは細胞損傷が誘発された治療対象個体に前記組成物を経口投与することである。
【0092】
前記治療のための投与量、投与方法及び投与回数は、前記薬学組成物、医薬、動物用薬学組成物又は動物用医薬の投与量、投与方法及び投与回数を参考にすることができる。
【0093】
本発明のさらに他の態様は、前記一般式1及び一般式2で表示されるアミノ酸配列から選ばれるいずれか一つ以上のペプチドを有効成分として含む抗酸化用食品組成物に関する。
【0094】
前記食品組成物とは、前記ペプチドをカプセル、錠剤、粉末、顆粒、液状、丸、片状、ペースト状、シロップ、ゲル、ジェリー又はバー(bar)の形態に製剤化したものであってもよく、又は飲料、茶類、香辛料、ガム、菓子類などの食品素材に添加して一般食品の形態に製造したものであってもよい。これを摂取する場合、健康上特定の効果をもたらすものを意味するが、一般薬品とは違い、食品を原料とし、薬品の長期服用時に発生しうる副作用などがないという長所がある。
【0095】
前記食品組成物は、日常的に摂取することが可能な点で非常に有用である。このような食品組成物において、前記ペプチドの添加量は、対象である食品の種類によって異なるため一様に規定することはできないが、食品本来の味を損なわない範囲で添加すればよく、対象食品に対して通常0.01~50重量%、好ましくは0.1~20重量%の範囲とする。また、カプセル、錠剤、粉末、顆粒、液状、丸、片状、ペースト状、シロップ、ゲル、ジェリー又はバー(bar)形態の食品の場合には、通常0.1~100重量%、好ましくは0.5~80重量%の範囲で添加すればよい。
【0096】
前記食品組成物は、有効成分として、前記一般式1及び一般式2で表示されるいずれか一つ以上のペプチドの他、食品製造時に通常添加される成分を含むことができ、例えば、タンパク質、炭水化物、脂肪、栄養素、調味剤及び香味剤を含む。上述した炭水化物の例は、モノサッカライド、例えば、ブドウ糖、果糖など;ジサッカライド、例えば、マルトース、スクロース、オリゴ糖など;及びポリサッカライド、例えば、デキストリン、シクロデキストリンなどのような通常の糖及びキシリトール、ソルビトール、エリトリトールなどの糖アルコールである。
【0097】
香味剤として天然香味剤[タウマチン、ステビア抽出物(例えば、レバウジオシドA、グリチルリチンなど])及び合成香味剤(サッカリン、アスパルテームなど)を用いることができる。例えば、本発明の食品組成物がドリンク剤と飲料類として製造される場合には、本発明の前記ペプチドの他、クエン酸、液状果糖、砂糖、ブドウ糖、酢酸、リンゴ酸、果汁、及び各種植物抽出液などをさらに含むことができる。
【0098】
本発明の食品組成物は、ヒト用食品、飲料、動物用飼料及び飼料添加剤を含む。
【0099】
さらに、本発明によって得られた前記一般式1及び一般式2で表示されるいずれか一つ以上のペプチドを活性成分として含む動物用飼料添加剤において、前記ペプチドは、多糖体で構成され、粉末形態に作製して、動物飼料にさらに含まれる動物用飼料添加剤を製造することができる。この場合、動物用飼料は、動物用粉末飼料、子牛代用乳又は子豚の餌付け飼料などからなる群から選べばよく、前記ペプチドの乾燥重量対比の含有量は、飼料1kg当たり1~2g(0.1%レベル)の範囲内であれば十分である。
【0100】
本発明の食品及び健康食品組成物は、本発明のペプチドをそのまま添加、或いは他の食品又は食品成分と併用することができ、通常の方法にて適宜使用することができる。
【0101】
また、本発明のさらに他の態様は、前記一般式1及び一般式2で表示されるアミノ酸配列から選ばれるいずれか一つ以上のペプチドを有効成分として含む抗酸化用化粧料組成物に関する。
【0102】
前記抗酸化用化粧料組成物は、皮膚外用軟膏、クリーム、柔軟化粧水、栄養化粧水、パック、エッセンス、ヘアトニック、シャンプー、リンス、ヘアーコンディショナー、ヘアートリートメント、ジェル、スキンローション、スキンソフナー、スキントナー、アストリンゼント、ローション、ミルクローション、モイスチャーローション、栄養ローション、マッサージクリーム、栄養クリーム、アイクリーム、モイスチャークリーム、ハンドクリーム、マスクパック、ファウンデーション、栄養エッセンス、サンスクリーン、石鹸、クレンジングフォーム、クレジングローション、クレンジングクリーム、ボディーローション及びボディークレンザーからなる群から選ばれる剤形を有することができるが、これに限定されない。それらの各剤形の組成物は、その剤形の製剤化に必要であり、適宜各種の基剤及び添加物を含有でき、それらの成分の種類と量は当業者にとって容易に選定可能である。
【0103】
本発明の剤形がペースト、クリーム又はゲルである場合には、担体成分として、動物繊維、植物繊維、ワックス、パラフィン、澱粉、トラカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイト、シリカ、タルク又は酸化亜鉛などを用いることができる。
【0104】
本発明の剤形がパウダー又はスプレーである場合は、担体成分として、ラクトース、タルク、シリカ、酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム又はポリアミドパウダーを用いることができ、特に、スプレーの場合は、さらに、クロロフルオロヒドロカーボン、プロパン/ブタン又はジメチルエーテルのような推進剤を含むことができる。
【0105】
本発明の剤形が溶液又は乳濁液である場合は、担体成分として、溶媒、溶媒化剤又は乳濁化剤が用いられ、例えば、水、エタノール、イソプロパノール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチルグリコールオイル、グリセロール脂肪族エステル、ポリエチレングリコール又はソルビタンの脂肪酸エステルが用いられる。
【0106】
本発明の剤形が懸濁液の場合は、担体成分として、水、エタノール又はプロピレングリコールのような液状希釈剤、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールエステル及びポリオキシエチレンソルビタンエステルのような懸濁剤、微結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天、又はトラカントなどを用いることができる。
【0107】
本発明の剤形が界面活性剤含有クレンザーである場合は、担体成分として、脂肪族アルコールサルフェート、脂肪族アルコールエーテルサルフェート、スルホコハク酸モノエステル、イセチオネート、イミダゾリニウム誘導体、メチルタウレート、サルコシネート、脂肪酸アミドエーテルサルフェート、アルキルアミドベタイン、脂肪族アルコール、脂肪酸グリセリド、脂肪酸ジエタノ-ルアミド、植物性油、ラノリン誘導体又はエトキシル化グリセロール脂肪酸エステルなどを用いることができる。
【実施例0108】
以下、好ましい実施例を挙げて本発明をより詳細に説明する。ただし、これらの実施例は本発明をより具体的に説明するためのものであり、本発明の範囲がこれらによって限定されないことは、当業界における通常の知識を有する者には明らかであろう。
【0109】
実験例1.酵母の加水分解物から抗酸化活性を有する低分子ペプチドのスクリーニング
1.酵母の加水分解物製造
酵母(Saccharomyces cerevisiae)菌体をpH7.0に調節して60℃に到達するように加熱した後、エンドペプチダーゼ(アルカラーゼ)を固形分対比で1%投入し、その後、2時間又は4時間酵素分解を行った(‘A2’又は‘A4’試料)。アルカラーゼで分解された試料(A4)にエキソペプチダーゼ(フラボザイム)を固形分対比で1%投入した後、10時間酵素分解を行った(‘AF10’試料)。合計10時間分解後、55℃でアルカラーゼとフラボザイムを固形分対比で0.125%投入した後、24時間酵素分解を行った(‘AF24’試料)。分解された上澄み液を85℃で30分間失活させた後、限外濾過工程を用いて、分子量10kDa未満のペプチドを分離した。前記アルカラーゼとフラボザイムはノボザイムから購入した。
【0110】
前記それぞれの酵母加水分解物(A4、AF10、AF24)における抗酸化効能(DPPH)と還元力(reducing power)を測定した。
【0111】
2.DPPH(2,2-diphenyl-1-picryl-hydrazyl-hydrate)分析方法
酵母加水分解物のDPPH消去能による抗酸化力は、チェ・チャンソブ等(2003)とShekhar等(2014)の方法を用いて測定した。蒸留水に溶かしたサンプル試料(1~5000μg/ml)20μlをDPPH(0.111mM)が含まれているエタノール溶液180μlに添加した。これを25℃で30分間反応させた後、517nmで吸光度を測定した。標準曲線作成のためにアスコルビン酸が用いられ、DPPH消去能(%)は[(無添加吸光度-サンプル試料吸光度)/無添加吸光度]×100の数式で計算して求めた。
【0112】
3.還元力分析方法
酵母加水分解物の還元能力は、Oyaizu(1986)の方法を用いて測定した。具体的には、蒸留水に溶かしたサンプル試料(1~5000μg/ml、60μl)をリン酸緩衝液(150μl、0.2M、pH6.6)、フェリシアン化カリウム(K3Fe(CN)6、150μl、1%)と混合した後、50℃で20分間反応させた。さらに、トリクロロ酢酸(10%)150μlを入れた後、2000gで10分間遠心分離した。サンプル試料が含まれた上澄み液150μlをD.W150μl、FeCl3(30μl、0.1%)に添加した。これを25℃で10分間反応させた後、700nmで吸光度を測定した。
【0113】
4.結論
図1は、それぞれの酵母加水分解物(A4、AF10、AF24)に対するDPPH消去能(
図1A)と還元力(
図1B)を測定したグラフである。ここで、Controlは、なんの酵素でも処理していない酵母加水分解物であり、A2は、アルカラーゼで2時間分解された酵母加水分解物、A4は、アルカラーゼで4時間分解された酵母加水分解物、AF10は、アルカラーゼで4時間分解後にフラボザイムで10時間分解した酵母加水分解物、AF24は、アルカラーゼで4時間分解後にフラボザイムで10時間分解した後、24時間さらに分解した酵母加水分解物である。
【0114】
図1に示すように、アルカラーゼとフラボザイムを順次に処理して多段に分解したAF24の試料において最高のDPPH消去能及び還元力が得られることを確認した。すなわち、同一の酵母加水分解物においても酵素と時間によって異なるDPPH消去能(
図1A)と還元力(
図1B)を有することが分かる。したがって、本発明では、抗酸化効果を有するペプチドのスクリーニングのためにAF24試料を使用した。
【0115】
実験例2.酵母加水分解物の分子量によって1次分離及び各分画物の抗酸化活性分析
前記酵母加水分解物のうち、抗酸化活性に最も優れたAF24試料から、抗酸化活性に優れたペプチドを分離及び選定するために、前記AF24酵母加水分解物を分子量(サイズ)別に分画物を製造し、それに対する酸化効能(DPPH)及び還元力(reducing power)を測定して比較した。
【0116】
1.酵母加水分解物の分画物製造
具体的には、前記AF24酵母加水分解物を限外濾過膜サイズ10kDa、5kDa、1kDaでそれぞれ濾過し、分画別濾過液を105℃で48時間水分を除去した後、乾燥重量を測定し、以下の表1のように含有量を求めた。表1によれば、酵母加水分解物の分画物の大部分が1kDa以下のサイズを有する物質であることが分かる。
【0117】
【0118】
2.酵母加水分解物分子量(サイズ)別分画物の抗酸化活性実験
それぞれの酵母加水分解物の分画物(製造例1~4)に対して、実験例1のDPPH消去能及び還元力測定方法で、DPPH消去能及び還元力を測定した。
【0119】
図2は、それぞれの酵母加水分解物の分画物(製造例1~4)に対するDPPH消去能(
図2A)と還元力(
図2B)を測定したグラフである。ここで、Controlはなんの酵素でも処理していない酵母加水分解物であり、10kDa以上は、製造例1の酵母加水分解物の分画物であり、10~5kDaは、製造例2の酵母加水分解物の分画物であり、5~1kDaは、製造例3の酵母加水分解物の分画物であり、1kDa以下は、製造例4の酵母加水分解物の分画物である。
【0120】
図2に示すように、5kDa以下で6%以上のDPPH消去能を示し、1kDa以下の分画物(製造例4)で3~8倍以上の最高の抗酸化活性を示すことを確認した。還元力もDPPH消去能と同様に、1kDa以下の分画物(製造例4)で4倍以上の顕著に優れた抗酸化活性を示すことを確認した。そこで、本発明では、抗酸化効果を有するペプチドのスクリーニングのために、1kDa以下の酵母加水分解物濾過液を選定した。
【0121】
実験例3.1kDa以下酵母加水分解物濾過液を分子量によって2次分離
前記1kDa以下酵母加水分解物濾過液から分子量によって2次分離した後、抗酸化活性を測定して、抗酸化活性を有するペプチドをスクリーニングするための最終試料を選定した。
【0122】
1.HPLC分析
前記実験例2から選定された1kDa以下酵母加水分解物濾過液を、分子量分布度を確認し、分子量分布によって2次分離しようとした。このために、1kDa以下酵母加水分解物濾過液を高性能液体クロマトグラフィー(HPLC,Agilent 1200 series)機器及びGPCメソッドシステムソフトウェアを用いて、分子量分布度を確認した。このとき、HPLC条件は、以下の表2の通りである。
【0123】
HPCLは、具体的に、Agilent PL aquagel-OH 20カラムに1kDa以下の酵母加水分解物濾過液10μlを注入し、1分当り1mlの流速で合計20分間分離した。移動相は水とアセトニトリル、トリフルオロ酢酸をそれぞれ50、50、0.1の割合で混合して使用し、試料は220nmの波長で検出した。
【0124】
【0125】
2.結論
図3は、抗酸化活性を有するペプチドをスクリーニングするために、実験例2から選定された1kDa以下の酵母加水分解物濾過液を高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)で分子量分布を確認し、分子量によって2次分画物(I、II、III)を表記したグラフである。
【0126】
図3に示すように、実験例2から選定された1kDa以下の酵母加水分解物濾過液は、全分子量が1kDa(1,000ダルトン)以下であった。これは、分子量500ダルトン以上のペプチドが15.1%(2次分画物I)、分子量500ダルトン以下のペプチドが81.9%(2次分画物II)、アミノ酸が3.0%(2次分画物III)からなっていることを確認した。したがって、抗酸化活性を有するペプチドのスクリーニングのために、最も抗酸化活性に優れた2次分画物IIを最終選定し、2次分画物IIから
ペプチドを同定した。
【0127】
実験例4.2次分画物IIから抗酸化活性を有する100種のペプチド同定
最終選定された2次分画物IIから抗酸化機能性ペプチドをスクリーニングするために、2次分画物IIに存在するペプチドを同定し、抗酸化活性を比較した。
【0128】
1.ペプチド同定
ペプチドのアミノ酸配列分析のために質量分析機LC MS/MSシステム(Waters,USA)を用いたが、その条件及び方法は表3に示す。
【0129】
具体的には、最終選定された2次分画物II 5μlをLC MS/MSシステムに注入し、BEH C4カラムで分離した。移動相は、1分当たり0.2mlの流速で1分間100%の溶媒Aを流した後、9分間溶媒Aが100%から99%になるようにした。その後、0.5分間溶媒Aが99%から0%になるように減少させ、最終4.5分間では溶媒Aが再び100%になるようにした。質量スペクトルは、50~1200m/z範囲内においてポジティブモードで電子噴射イオン化を用いて分析した。その作動係数は、次の通りである:イオンソース温度、120℃;脱溶媒和(desovation)温度、400℃。試料分析はMassLynx 4.1 software(Waters,USA)を用いた。
【0130】
【0131】
2.結論
図4は、酵母加水分解物のうち抗酸化活性に最も優れた2次分画物IIから同定された
代表的なペプチドのMS/MSスペクトル及び予想構造を示すグラフである。
図4Aは、γ-Glu-Cys-Gly(GSH)、
図4Bは、γ-Glu-Val-Gly、
図4Cはγ-Glu-Cys、
図4Dはγ-Glu-Valである。
【0132】
図4に示すように、その結果、酵母加水分解物のうち抗酸化活性に最も優れた2次分画物IIから、合計100種のペプチドを確認した。
【0133】
実験例5.100種のペプチドに対するNrf2 mRNA発現量比較
1.100種のペプチド合成
前記確認された100種のペプチドを、固相合成技術(solid-phase synthesis technique)によって製造し、質量分析機LC-MS/MSシステム(Waters,USA)を用いて分析した。その後、合成されたペプチドと同定して設計された各ペプチドが同一構造であるかを確認するために、ペプチド指標物質のmono-isotope値(1.0ppm以下)を基準にXICモードで分子量値を抽出して正確に確認し、MS/MS上で2個以上のプロダクトイオン(product ion)が一致することを確認した。全ての試料及び指標物質はフルスキャン、ポジティブモードで測定した。
【0134】
2.100種のペプチドに対する抗酸化活性(Nrf2 mRNA発現量)分析
本発明においては、100種のペプチドに対して抗酸化活性を比較し、最終ペプチドを選定するために、PCRを用いてNrf2 mRNA発現変化を測定した。
【0135】
(1)細胞培養及び100種のペプチド処理
腎臓細胞であるHEK293細胞株をDMEM(Dulbecco Modified Eagle Medium)培地に6ウェルプレートのウェル当たり6.6×105個ずつ分注し、37℃、5% CO2条件で24時間培養した。翌日、無血清・無アミノ酸培地(serum and amino acid free media)に入れ替えた後、20時間以上さらに培養した。Tert-BHP(300uM)と100種のペプチドを500uM濃度でそれぞれ処理し、18時間培養した。
【0136】
(2)RNA抽出
前記(1)における100種のペプチドがそれぞれ処理された細胞からRNAを抽出するために、TRizol(Thermo Fisher Scientific)を用いてRNAを抽出した。RNAからcDNAを合成するために、GoScript(商標) Reverse Transcription System(Promega,Wisconsin,USA)を使用した。RNA 1μg、プライマーoligo dt 0.5μg、ランダムプライマー0.5μg、RT-PCR pre-mixtureを入れて25℃で5分アニール、42℃で60分エクステンション、70℃で15分失活の過程を経てcDNAを合成した。
【0137】
(3)cDNA合成及びPCR
PCRは、Maxime(商標) PCR PreMix(i-StarTaq)(Intron Biotechnology,Korea)を用いて行った。リアルタイムPCRは、SsoAdvanced(商標) Universal SYBR(登録商標) GreenSupermix(Biorad,USA)を使用した。PCRプレートウェルにcDNA 100ng、2μM(pmole/μl)プライマー、2X SsoAdvanced(商標) Universal SYBRR GreenSupermix 10μlとD.Wを添加した。次いで、95℃で3分、95℃で10秒、58℃で40秒、合計40サイクル(cycle)で行った。CFX96 Touch(商標)リアルタイムPCR検出システム(Bio-Rad,California,USA)を用いてPCR反応を行い、毎サイクル(cycle)が終わる度に蛍光強度を測定した。Nrf2発現を確認するためのPCR分析に使用したプライマー配列(primer sequence)を表4に示した。
【0138】
【0139】
3.結論
図5は、酵母加水分解物から確認された100種のペプチドに対するNrf2 mRNA発現量を、リアルタイムPCRを用いて分析したグラフである。
図5には、対照群(control)、陰性対照群であるtBHP(直接作用酸化応力誘導作用剤(direct-acting oxidative stress-inducing agent)のみ処理したもの、陽性対照群tBHP処理後、GSHペプチドを処理したもの、及び該当する100種ペプチド名(表5から表8参照)が記載されている。
【0140】
上記の実験例4から、合計100種のペプチドを確認した。それらに対してNrf2 mRNA発現量を比較した結果、Nrf2 mRNA発現量において増加数値を示す合計48種のペプチドを選定し、それらに対して定量的なNrf2 mRNA発現量を測定し、
図5に示した。選定された48種と非選定された残りのペプチドの化学式と構造式を、下記の表5から表8に示した。表5及び表6は、選定された48種のペプチドの配列である。表7及び表8は、非選定されたペプチドの配列である。
【0141】
【0142】
【0143】
【0144】
【0145】
表6及び表7において、α-GLUはグルタミン酸、β-GLUはβ-グルタミン酸を意味し、Nleはノルロイシン(Norleucine)、Nvaはノルバリン(Norvaline)、tL又はtLEUはtert-ロイシンを意味する。βA又はβALAは、β-アラニンを意味する。また、γ-GLUで表示される配列は、L-グルタミン酸のガンマ鎖にアミノ酸残基が順次に結合して形成されるものを意味する。
【0146】
すなわち、酵母加水分解物から合計100種のペプチドが確認されたが、Nrf2 mRNA発現を促進する‘抗酸化活性’を示すペプチドは合計48種に達することを確認した。
【0147】
正常細胞は、酸化剤であるtBHP処理時に、酸化ストレスによって成長阻害を受ける。tBHPが処理された細胞に、抗酸化効能を有するペプチド(peptide)を処理すれば、tBHPによる細胞の酸化及び成長が抑制され、細胞の成長が回復する。
【0148】
図5に示すように、48種のペプチド(γ-GLU-ALA、γ-GLU-CYS、γ-GLU-CYS(S-Me)、γ-GLU-CYS(S-Me)(O2)、γ-GLU-ASP、γ-GLU-GLU、γ-GLU-PHE、γ-GLU-GLY、γ-GLU-HIS、γ-GLU-ILE、γ-GLU-LEU、γ-GLU-MET(O)、γ-GLU-ASN、γ-GLU-ORN、γ-GLU-PRO、γ-GLU-GLN、γ-GLU-ARG、γ-GLU-THR、γ-GLU-VAL、γ-GLU-VAL-NH2、γ-GLU-TRP、γ-GLU-TYR、γ-GLU-VAL-ol、γ-GLU-GLN-GLU、γ-GLU-ALA-GLY、γ-GLU-GLU-GLU、γ-GLU-ILE-GLY、γ-GLU-PRO-GLY、γ-GLU-GLN-GLN、γ-GLU-SER-GLY、γ-GLU-THR-GLY、γ-GLU-VAL-GLY、γ-GLU-VAL-ALA、γ-GLU-VAL-CYS、γ-GLU-VAL-ASP、γ-GLU-VAL-GLU、γ-GLU-VAL-PHE、γ-GLU-VAL-HIS、γ-GLU-VAL-LYS、γ-GLU-VAL-MET、γ-GLU-VAL-ASN、γ-GLU-VAL-ORN、γ-GLU-VAL-PRO、γ-GLU-VAL-ARG、γ-GLU-VAL-VAL、γ-GLU-CYS(S-Me)-GLY、γ-GLU-Abu-GLY及びγ-GLU-LEU-GLY)は、Nrf2 mRNA発現を増加させる役割を果たすことを確認した。
【0149】
また、48種のペプチドのうち、陽性対照群であるGSHと同一又はより優れたNrf2 mRNA発現増加効果を有するジペプチドは、γ-GLU-ALA、γ-GLU-CYS、γ-GLU-CYS(S-Me)、γ-GLU-CYS(S-Me)(O2)、γ-GLU-ASP、γ-GLU-GLU、γ-GLU-PHE、γ-GLU-GLY、γ-GLU-HIS、γ-GLU-ILE、γ-GLU-LEU、γ-GLU-ASN、γ-GLU-ORN、γ-GLU-PRO、γ-GLU-GLN、γ-GLU-ARG、γ-GLU-THR、γ-GLU-VAL、γ-GLU-VAL-NH2、γ-GLU-TRP、γ-GLU-TYR及びγ-GLU-VAL-olと確認され、これは、GSHに比べて短い配列であるにもかかわらず、同等或いはより優れた効果を有することが分かる。
【0150】
また、48種のペプチドのうち、陽性対照群であるGSHに比べて有意に優れたNrf2 mRNA発現量を示すトリペプチドは、γ-GLU-GLN-GLU、γ-GLU-ILE-GLY、γ-GLU-PRO-GLY、γ-GLU-THR-GLY、γ-GLU-VAL-CYS、γ-GLU-VAL-ASP、γ-GLU-VAL-GLU、γ-GLU-VAL-PHE、γ-GLU-VAL-MET、γ-GLU-VAL-ASN及びγ-GLU-VAL-ARGと確認され、より好ましく、γ-GLU-CYS(S-Me)(O2)又はγ-GLU-HISは同一濃度において、陽性対照群であるGSHよりも4倍以上のNrf2 mRNAの発現量を増加させていることが分かる(正常レベルにNrf2 mRNAの発現量が回復した。)。特に、γ-GLU-HISに比べてα-GLU-HIS、β-GLU-HISは効果がなかった。
【0151】
実験例6.100種のペプチドに対するSOD2 mRNA発現量分析
他の抗酸化因子であるSOD2 mRNA発現を検討した。前記実験例5と同一にして、細胞株を培養し、RNA抽出、cDNA合成及びPCR実験を行った。具体的には次の通りである。
【0152】
1.実験例5における100種のペプチドに対する抗酸化活性(SOD2 mRNA発現量)分析
(1)細胞培養及び100種のペプチド処理
腎臓細胞であるHEK293細胞株をDMEM(Dulbecco Modified Eagle Medium)培地に6ウェルプレートのウェル当たり6.6×105個ずつ分注し、37℃、5% CO2条件で24時間培養した。翌日、無血清・無アミノ酸培地(serum and amino acid free media)に入れ替えた後、20時間以上さらに培養した。Tert-BHP(300uM)と100種のペプチドを500uM濃度でそれぞれ処理し、18時間培養した。
【0153】
(2)RNA抽出
前記(1)における100種のペプチドがそれぞれ処理された細胞からRNAを抽出するために、TRizol(Thermo Fisher Scientific)を用いてRNAを抽出した。RNAからcDNAを合成するために、GoScript(商標) Reverse Transcription System(Promega,Wisconsin,USA)を使用した。RNA 1μg、プライマーoligo dt 0.5μg、ランダムプライマー0.5μg、RT-PCR pre-mixtureを入れ、25℃で5分アニール、42℃で60分エクステンション、70℃で15分失活の過程を経てcDNAを合成した。
【0154】
(3)cDNA合成及びPCR
PCRは、Maxime(商標) PCR PreMix(i-StarTaq)(Intron Biotechnology,Korea)を用いて行った。リアルタイムPCRは、SsoAdvanced(商標) Universal SYBR GreenSupermix(Biorad,USA)を使用した。PCRプレートウェルにcDNA100ng,2μM(pmole/μl)プライマー、2X SsoAdvanced(商標) Universal SYBRR GreenSupermix 10μlとD.Wを添加した。次いで、95℃で3分、95℃で10秒、58℃で40秒、合計40サイクル(cycle)で行った。CFX96 Touch(商標)実時間PCR検出システム(Bio-Rad,California,USA)を用いてPCR反応を行い、毎サイクル(cycle)が終わる度に、蛍光強度を測定した。SOD2 mRNA発現を確認するためのPCR分析に用いたプライマー配列は、表9に示した。
【0155】
【0156】
2.結論
図6は、酵母加水分解物から確認された100種のペプチドに対するSOD2 mRNA発現量をリアルタイムPCRを用いて分析したグラフである。
図6には、対照群(control)、陽性対照群tBHP処理後にGSHペプチドを処理したもの、並びに表5及び表6における48種ペプチド名が記載されている。
【0157】
図6に示すように、酸化的ストレスによって発現するSOD2 mRNAの相対的な発現量を測定し、それぞれのペプチド別抗酸化効能を比較した。酵母加水分解物から得た合計100種のペプチドを対象にRT-PCRを行った結果、SOD2 mRNA発現が増加したものは、γ-GLU-CYS(S-Me)(O2)、γ-GLU-HIS、γ-GLU-ILE-GLY、γ-GLU-PRO-GLY、γ-GLU-GLN-GLU、γ-GLU-THR-GLY、γ-GLU-VAL-CYS、γ-GLU-VAL-ASP、γ-GLU-VAL-GLU、γ-GLU-VAL-PHE、γ-GLU-VAL-MET、γ-GLU-VAL-ASN、γ-GLU-VAL-ARG、γ-GLU-ALA、γ-GLU-CYS、γ-GLU-CYS(S-Me)、γ-GLU-GLY、γ-GLU-ILE、γ-GLU-LYS、γ-GLU-LEU、γ-GLU-MET、γ-GLU-MET(O)、γ-GLU-ASN、γ-GLU-PRO、γ-GLU-GLN、γ-GLU-THR、γ-GLU-VAL-NH2、γ-GLU-VAL-ol、γ-GLU-TRP、γ-GLU-TYR、γ-GLU-Abu-GLY、γ-GLU-GLN-GLN、γ-GLU-VAL-ALA、γ-GLU-VAL-GLY、γ-GLU-VAL-HIS、γ-GLU-VAL-LYS、γ-GLU-VAL-ORN、γ-GLU-VAL-PRO、γ-GLU-VAL-VALの39種のペプチドが確認された。これら以外のペプチドではSOD2 mRNA発現増加効果がほとんど観察されなかった。
【0158】
前記39種のペプチドにおけるSOD2 mRNA発現量を定量的に分析した結果、陽性対照群であるGSHと同等又はより高いSOD2 mRNA発現量を示すジペプチドは、γ-GLU-ALA、γ-GLU-CYS、γ-GLU-CYS(S-Me)、γ-GLU-CYS(S-Me)(O2)、γ-GLU-GLY、γ-GLU-HIS、γ-GLU-ILE、γ-GLU-LYS、γ-GLU-LEU、γ-GLU-MET、γ-GLU-MET(O)、γ-GLU-ASN、γ-GLU-PRO、γ-GLU-GLN、γ-GLU-THR、γ-GLU-VAL-NH2、γ-GLU-TRP、γ-GLU-TYR及びγ-GLU-VAL-olと確認され、これは、GSHに比べて短い配列であるにもかかわらず、同等又はより優れた効果を有することが分かる。
【0159】
また、陽性対照群であるGSHよりも有意に優れたSOD2 mRNA発現量を示すトリペプチドは、γ-GLU-GLN-GLU、γ-GLU-Abu-GLY、γ-GLU-ILE-GLY、γ-GLU-PRO-GLY、γ-GLU-SER-GLY、γ-GLU-THR-GLY、γ-GLU-VAL-CYS、γ-GLU-VAL-ASP、γ-GLU-VAL-GLU、γ-GLU-VAL-GLY、γ-GLU-VAL-HIS、γ-GLU-VAL-PHE、γ-GLU-VAL-MET、γ-GLU-VAL-ASN及びγ-GLU-VAL-ARGと確認された。
【0160】
好ましくは、約2~3倍以上のSOD2 mRNAの発現量促進効果を有するものは、γ-GLU-CYS(S-Me)(O2)、γ-GLU-HIS、γ-GLU-ILE、γ-GLU-MET(O)、γ-GLU-GLN-GLU、γ-GLU-THR-GLY、γ-GLU-VAL-CYSであった(正常レベル(control)のSOD2 mRNAの発現量に比べて著しく高かった。)。
【0161】
実験結果をまとめると、酵母(Saccharomyces cerevisiae)菌体を60℃で加熱し、アルカラーゼを4時間処理して分解した後、ここにフラボザイムを添加して10時間酵素分解し、アルカラーゼとフラボザイムを投入して24時間酵素分解させ、その後、上澄液を得て酵母加水分解物を製造した。前記製造された酵母加水分解物を限外濾過膜を用いて1kDa以下の分子量を持つ分画物を1次分離し、HPLCを用いて219.0981~406.1462の分子量([M+H]+(m/z))を持つ分画物を2次分離し、合計100種のペプチドを同定した。
【0162】
前記100種のペプチドに対して抗酸化活性(Nrf2、SOD2 mRNA)を分析した結果、合計48種のペプチド(γ-GLU-ALA、γ-GLU-CYS、γ-GLU-CYS(S-Me)、γ-GLU-CYS(S-Me)(O2)、γ-GLU-ASP、γ-GLU-GLU、γ-GLU-PHE、γ-GLU-GLY、γ-GLU-HIS、γ-GLU-ILE、γ-GLU-LEU、γ-GLU-MET(O)、γ-GLU-ASN、γ-GLU-ORN、γ-GLU-PRO、γ-GLU-GLN、γ-GLU-ARG、γ-GLU-THR、γ-GLU-VAL、γ-GLU-VAL-NH2、γ-GLU-TRP、γ-GLU-TYR、γ-GLU-VAL-ol、γ-GLU-GLN-GLU、γ-GLU-ALA-GLY、γ-GLU-GLU-GLU、γ-GLU-ILE-GLY、γ-GLU-PRO-GLY、γ-GLU-GLN-GLN、γ-GLU-SER-GLY、γ-GLU-THR-GLY、γ-GLU-VAL-GLY、γ-GLU-VAL-ALA、γ-GLU-VAL-CYS、γ-GLU-VAL-ASP、γ-GLU-VAL-GLU、γ-GLU-VAL-PHE、γ-GLU-VAL-HIS、γ-GLU-VAL-LYS、γ-GLU-VAL-MET、γ-GLU-VAL-ASN、γ-GLU-VAL-ORN、γ-GLU-VAL-PRO、γ-GLU-VAL-ARG、γ-GLU-VAL-VAL、γ-GLU-CYS(S-Me)-GLY、γ-GLU-Abu-GLY及びγ-GLU-LEU-GLY)が抗酸化効能を有することが分かった。
【0163】
陽性対照群であるGSHに比べて配列長がより短いジペプチドのうち、γ-GLU-ALA、γ-GLU-CYS、γ-GLU-CYS(S-Me)、γ-GLU-CYS(S-Me)(O2)、γ-GLU-GLY、γ-GLU-HIS、γ-GLU-ILE、γ-GLU-LEU、γ-GLU-ASN、γ-GLU-PRO、γ-GLU-GLN、γ-GLU-THR、γ-GLU-VAL-NH2、γ-GLU-TRP、γ-GLU-TYR及びγ-GLU-VAL-olは、GSHと同等又はそれ以上の著しく優れたNrf2、SOD2発現の促進活性を全て有することを確認した。中でも、GSHに比べて統計的に顕著に優れたNrf2、SOD2発現の促進活性を有するジペプチドは、γ-GLU-CYS、γ-GLU-CYS(S-Me)、γ-GLU-CYS(S-Me)(O2)、γ-GLU-GLY、γ-GLU-HIS、γ-GLU-ILE、γ-GLU-GLN、γ-GLU-TRP及びγ-GLU-TYRであった。
【0164】
また、陽性対照群であるGSHと配列長が同一であるトリペプチドのうち、γ-GLU-GLN-GLU、γ-GLU-ILE-GLY、γ-GLU-PRO-GLY、γ-GLU-SER-GLY、γ-GLU-THR-GLY、γ-GLU-VAL-CYS、γ-GLU-VAL-ASP、γ-GLU-VAL-GLU、γ-GLU-VAL-PHE、γ-GLU-VAL-MET、γ-GLU-VAL-ASN及びγ-GLU-VAL-ARGは、GSHに比べて統計的に有意な程度以上の顕著なNrf2、SOD2発現の促進活性を有することが確認された。
【0165】
すなわち、従来の抗酸化効果を有するものと知られていたGSHに比べてより優れたNrf2発現及びSOD2発現の促進効果を有する合計21種のペプチド(γ-GLU-CYS(S-Me)(O2)、γ-GLU-HIS、γ-GLU-CYS、γ-GLU-CYS(S-Me)、γ-GLU-GLY、γ-GLU-ILE、γ-GLU-GLN、γ-GLU-TRP、γ-GLU-TYR、γ-GLU-GLN-GLU、γ-GLU-ILE-GLY、γ-GLU-PRO-GLY、γ-GLU-SER-GLY、γ-GLU-THR-GLY、γ-GLU-VAL-CYS、γ-GLU-VAL-ASP、γ-GLU-VAL-GLU、γ-GLU-VAL-PHE、γ-GLU-VAL-MET、γ-GLU-VAL-ASN及びγ-GLU-VAL-ARG)が確認できた。
【0166】
これらの中でも、抗酸化効果(GSHと同等又はより優れた還元力とDPPH消去能、Nrf2 mRNA活性)を有する上に、陽性対照群であるGSHに比べて約2~3倍以上のSOD2 mRNAの発現量促進効果を有するものは、合計6種のペプチド(γ-GLU-CYS(S-Me)(O2)、γ-GLU-HIS、γ-GLU-ILE、γ-GLU-GLN-GLU、γ-GLU-THR-GLY、γ-GLU-VAL-CYS)が確認され、GSHに比べて2~8倍以上のNrf2、SOD2 mRNAの発現量促進効果を示すものはγ-GLU-HISと確認された。
本発明は、素材自体に免疫反応がなく、生体復元後に無害に分解されながら、優れた抗酸化活性を示すことによって、適用時にラジカル消去能、Nrf2、SOD2の発現を促進して、抗酸化活性を増進させるペプチドを提供することを目的とする。このような抗酸化活性を有するペプチドは、生体組織又はその細胞に効果的に作用して酸化ストレスに対する抗酸化活性を有する、細胞の酸化損傷に関連した疾患治療剤として活用可能である。
本発明は、優れた抗酸化活性を有する機能性ペプチドであって、抗酸化活性が微弱であるという従来の限界を克服するために、生体適合性に優れながらも従来のGSHに比べて著しく優れた抗酸化活性を有するペプチドを提供する。本発明のペプチドは、酸化ストレスによって誘発された活性酸素による生体組織や細胞の損傷を効果的に回復、或いは抗酸化活性を促進させることができる。したがって、このような抗酸化活性を有するペプチドは酸化ストレスによる細胞損傷に効果的に作用し、細胞損傷を予防及び回復させることに活用可能である。