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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023005582
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】侵入検出システム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20230111BHJP
   E02F 9/24 20060101ALI20230111BHJP
   E02F 3/43 20060101ALI20230111BHJP
   G06T 7/70 20170101ALI20230111BHJP
   G01C 3/06 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
G06T7/00 C
E02F9/24 B
E02F3/43 M
G06T7/70 A
G06T7/00 300D
G01C3/06 120Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021107592
(22)【出願日】2021-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】宗正 佳樹
(72)【発明者】
【氏名】細 幸広
(72)【発明者】
【氏名】藤原 翔
(72)【発明者】
【氏名】邱 進軍
【テーマコード(参考)】
2D003
2D015
2F112
5L096
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003BA07
2D003DB05
2D015GA03
2D015GB00
2F112AD01
2F112CA12
5L096AA09
5L096BA02
5L096CA02
5L096CA18
5L096DA02
5L096FA66
5L096FA69
5L096MA07
(57)【要約】
【課題】作業エリア内で作業中の作業機械以外の物体が作業エリア内に侵入したのを正確に検出することが可能な侵入検出システムを提供する。
【解決手段】作業エリア70内で作業中の作業機械20の位置を取得するGNSSセンサと、作業エリア70外に設けられ、作業エリア70の内外に位置する物体までの距離を示す点群データを取得するLiDAR2と、点群データの各点の位置を算出する位置算出手段と、作業機械20の位置と、点群データの各点の位置とに基づいて、点群データの中から、作業機械20に対応する部分を特定データとして特定する特定手段と、特定データ以外の点群データに基づいて、作業エリア70内に物体が侵入したのを検出する検出手段と、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業エリア内で作業中の作業機械の位置を取得する機械位置取得手段と、
前記作業エリア外に設けられ、前記作業エリアの内外に位置する物体までの距離を示す点群データを取得する点群データ取得部と、
前記点群データの各点の位置を算出する位置算出手段と、
前記作業機械の位置と、前記点群データの各点の位置とに基づいて、前記点群データの中から、前記作業機械に対応する部分を特定データとして特定する特定手段と、
前記特定データ以外の前記点群データに基づいて、前記作業エリア内に物体が侵入したのを検出する検出手段と、
を有することを特徴とする侵入検出システム。
【請求項2】
前記機械位置取得手段が、測位センサまたは測距センサであることを特徴とする請求項1に記載の侵入検出システム。
【請求項3】
前記作業機械には、前記作業機械の位置を前記作業機械の外部から取得させることが可能な目印が設けられており、
前記機械位置取得手段は、
前記目印を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段が撮像した前記目印に基づいて、前記作業機械の位置を算出する機械位置算出手段と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の侵入検出システム。
【請求項4】
前記作業機械の寸法、形状、および、姿勢に基づいて、前記作業機械の三次元形状データを算出する三次元形状データ算出手段と、
前記作業機械の位置において、前記三次元形状データを前記点群データに重畳させる重畳手段と、
を有し、
前記特定手段は、前記点群データのうち前記三次元形状データが重なる部分を、前記特定データとして特定することを特徴とする請求項1又は2に記載の侵入検出システム。
【請求項5】
前記点群データをクラスタ点群にクラスタリングするクラスタリング手段を有し、
前記位置算出手段は、前記クラスタ点群の位置を算出し、
前記特定手段は、前記作業機械の位置に一致する前記クラスタ点群を、前記特定データとして特定することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の侵入検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業エリア内で作業中の作業機械以外の物体が作業エリア内に侵入したのを検出する、侵入検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、作業機械の周囲に第1領域~第6領域を設定し、第1領域~第6領域のそれぞれに対して人物の有無を判定する干渉防止装置が開示されている。特許文献1では、作業機械に設けられた物体センサからの情報に基づいて、人物の有無を判定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-111970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、作業エリア内で作業中の作業機械以外の物体が作業エリア内に侵入したのを、作業エリアの外部から検出する場合、作業エリア内で作業中の作業機械と、作業エリア内に侵入した物体とを区別することができず、作業エリア内で作業中の作業機械を、作業エリア内に侵入した物体と誤って検出してしまう。
【0005】
本発明の目的は、作業エリア内で作業中の作業機械以外の物体が作業エリア内に侵入したのを正確に検出することが可能な侵入検出システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、作業エリア内で作業中の作業機械の位置を取得する機械位置取得手段と、前記作業エリア外に設けられ、前記作業エリアの内外に位置する物体までの距離を示す点群データを取得する点群データ取得部と、前記点群データの各点の位置を算出する位置算出手段と、前記作業機械の位置と、前記点群データの各点の位置とに基づいて、前記点群データの中から、前記作業機械に対応する部分を特定データとして特定する特定手段と、前記特定データ以外の前記点群データに基づいて、前記作業エリア内に物体が侵入したのを検出する検出手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、点群データの中から、作業エリア内で作業中の作業機械に対応する部分が特定データとして特定される。そして、特定データ以外の点群データに基づいて、作業エリア内に物体が侵入したのが検出される。点群データのうち、作業エリア内で作業中の作業機械に対応する部分は、特定データとして特定されているので、作業エリア内に侵入した、特定データ以外の点群データは、作業エリア内で作業中の作業機械以外の物体のものである。これにより、作業エリア内で作業中の作業機械以外の物体が作業エリア内に侵入したのを正確に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】作業機械の側面図である。
図2】作業エリア内で作業中の作業機械を示す図である。
図3】第1実施形態における侵入検出システムおよび作業機械の回路図である。
図4】LiDARが取得した点群データの一例を示す図である。
図5】3Dモデル生成部が算出した作業機械の三次元形状データの一例を示す図である。
図6】第2実施形態における侵入検出システムおよび作業機械の回路図である。
図7】作業エリア内外に位置するクラスタ点群の一例を示す図である。
図8】第3実施形態における侵入検出システムおよび作業機械の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0010】
[第1実施形態]
(作業機械の構成)
本発明の第1実施形態による侵入検出システムは、作業エリア内で作業中の作業機械以外の物体が作業エリア内に侵入したのを検出するものである。作業機械20の側面図である図1に示すように、作業機械20は、アタッチメント30で作業を行う機械であり、例えば油圧ショベルである。作業機械20は、下部走行体21と上部旋回体22とを備えた機械本体24と、アタッチメント30と、シリンダ40と、を有している。
【0011】
下部走行体21は、作業機械20を走行させる部分であり、例えばクローラを備える。上部旋回体22は、下部走行体21の上部に旋回装置25を介して旋回可能に取り付けられる。上部旋回体22の前部には、キャブ(運転室)23が設けられている。
【0012】
アタッチメント30は、上下方向に回動可能に上部旋回体22に取り付けられる。アタッチメント30は、ブーム31と、アーム32と、バケット33と、を備える。ブーム31は、上下方向に回動可能(起伏可能)に上部旋回体22に取り付けられる。アーム32は、上下方向に回動可能にブーム31に取り付けられる。バケット33は、前後方向に回動可能にアーム32に取り付けられる。バケット33は、土砂(運搬物)の、掘削、均し、すくい、などの作業を行う部分である。なお、バケット33が保持する運搬物は、土砂に限定されず、石でもよく、廃棄物(産業廃棄物など)でもよい。
【0013】
シリンダ40は、アタッチメント30を油圧で回動させることが可能である。シリンダ40は、油圧式の伸縮シリンダである。シリンダ40は、ブームシリンダ41と、アームシリンダ42と、バケットシリンダ43と、を備える。
【0014】
ブームシリンダ41は、上部旋回体22に対してブーム31を回動させる。ブームシリンダ41の基端部は、上部旋回体22に回動可能に取り付けられる。ブームシリンダ41の先端部は、ブーム31に回動可能に取り付けられる。
【0015】
アームシリンダ42は、ブーム31に対してアーム32を回動させる。アームシリンダ42の基端部は、ブーム31に回動可能に取り付けられる。アームシリンダ42の先端部は、アーム32に回動可能に取り付けられる。
【0016】
バケットシリンダ43は、アーム32に対してバケット33を回動させる。バケットシリンダ43の基端部は、アーム32に回動可能に取り付けられる。バケットシリンダ43の先端部は、バケット33に回動可能に取り付けられたリンク部材34に、回動可能に取り付けられる。
【0017】
また、作業機械20は、角度センサ52と、傾斜角センサ60と、を有している。
【0018】
角度センサ52は、下部走行体21に対する上部旋回体22の旋回角度を検出する。角度センサ52は、例えば、エンコーダ、レゾルバ、又は、ジャイロセンサである。本実施形態では、上部旋回体22の前方が下部走行体21の前方と一致するときの上部旋回体22の旋回角度を0°としている。
【0019】
傾斜角センサ60は、アタッチメント30の姿勢を検出する。傾斜角センサ60は、ブーム傾斜角センサ61と、アーム傾斜角センサ62と、バケット傾斜角センサ63と、を備える。
【0020】
ブーム傾斜角センサ61は、ブーム31に取り付けられ、ブーム31の姿勢を検出する。ブーム傾斜角センサ61は、水平線に対するブーム31の傾斜角度を取得するセンサであり、例えば傾斜(加速度)センサ等である。なお、ブーム傾斜角センサ61は、ブームフットピン(ブーム基端)の回転角度を検出する回転角度センサや、ブームシリンダ41のストローク量を検出するストロークセンサであってもよい。
【0021】
アーム傾斜角センサ62は、アーム32に取り付けられ、アーム32の姿勢を検出する。アーム傾斜角センサ62は、水平線に対するアーム32の傾斜角度を取得するセンサであり、例えば傾斜(加速度)センサ等である。なお、アーム傾斜角センサ62は、アーム連結ピン(アーム基端)の回転角度を検出する回転角度センサや、アームシリンダ42のストローク量を検出するストロークセンサであってもよい。
【0022】
バケット傾斜角センサ63は、リンク部材34に取り付けられ、バケット33の姿勢を検出する。バケット傾斜角センサ63は、水平線に対するバケット33の傾斜角度を取得するセンサであり、例えば傾斜(加速度)センサ等である。なお、バケット傾斜角センサ63は、バケット連結ピン(バケット基端)の回転角度を検出する回転角度センサや、バケットシリンダ43のストローク量を検出するストロークセンサであってもよい。
【0023】
作業エリア内で作業中の作業機械20を示す図である図2に示すように、作業機械20は、作業エリア70内で作業を行う。侵入検出システム1は、作業エリア70内で作業中の作業機械20以外の物体が作業エリア70内に侵入したのを、作業エリア70の外部から検出する。この場合、作業エリア70内で作業中の作業機械20と、作業エリア70内に侵入した、作業機械20以外の物体とを区別する必要がある。
【0024】
(侵入検出システムおよび作業機械の回路構成)
侵入検出システム1および作業機械20の回路図である図3に示すように、作業機械20は、作業機側コントローラ11と、記憶装置12と、GNSSセンサ13と、作業機械側通信装置14と、を有している。
【0025】
作業機側コントローラ11には、角度センサ52が検出した、下部走行体21に対する上部旋回体22の旋回角度(姿勢)に関する情報が入力される。また、作業機側コントローラ11には、ブーム傾斜角センサ61が検出した、ブーム31の姿勢に関する情報が入力される。また、作業機側コントローラ11には、アーム傾斜角センサ62が検出した、アーム32の姿勢に関する情報が入力される。また、作業機側コントローラ11には、バケット傾斜角センサ63が検出した、バケット33の姿勢に関する情報が入力される。
【0026】
記憶装置12は、作業機械20の寸法(アタッチメント30の寸法)、および、作業機械20の形状(アタッチメント30の形状)に関する情報を記憶している。
【0027】
GNSS(Global Navigation Satellite System)センサ(機械位置取得手段)13は、作業エリア内で作業中の作業機械20の位置を取得する。GNSSセンサ13は、測位センサであり、グローバル座標系のおける作業機械20の位置を取得する。なお、GNSSセンサ13の代わりに、GPSセンサなどの測位センサや、トータルステーションなどの測距センサを用いてもよい。
【0028】
作業機械側通信装置14は、侵入検出システム1の後述する通信装置3と通信可能である。
【0029】
侵入検出システム1は、LiDAR2と、通信装置3と、コントローラ5と、を有している。
【0030】
図2に示すように、LiDAR(Light Detection and RangingまたはLaser Imaging Detection and Ranging)(点群データ取得部)2は、作業エリア70外に設けられている。LiDAR2は、LiDAR2が取り付けられている位置から作業エリア70の内外に位置する物体までの距離を示す点群データを取得する。LiDAR2が取得した点群データの一例を図4に示す。図の真ん中に図示された円筒の内側が、作業エリア70である。
【0031】
図3に戻って、通信装置3は、作業機械20の作業機械側通信装置14と通信可能である。通信装置3は、GNSSセンサ13が取得した、作業機械20の位置に関する情報を、作業機械20から受信する。また、通信装置3は、記憶装置12が記憶する、作業機械20の寸法(アタッチメント30の寸法)、および、作業機械20の形状(アタッチメント30の形状)に関する情報を、作業機械20から受信する。また、通信装置3は、角度センサ52および傾斜角センサ60(ブーム傾斜角センサ61、アーム傾斜角センサ62、バケット傾斜角センサ63)が検出した、作業機械20の姿勢(上部旋回体22の姿勢、アタッチメント30の姿勢)に関する情報を、作業機械20から受信する。
【0032】
コントローラ5は、座標変換部81と、3Dモデル生成部82と、作業機械特定部83と、侵入検出部84と、を有している。
【0033】
座標変換部(位置算出手段)81は、LiDAR2が取得した点群データの各点の位置を算出する。具体的には、座標変換部81は、LiDAR2が取り付けられているグローバル座標系の位置(座標)と、LiDAR2から点群データの各点までの距離とを用いて、グローバル座標系における点群データの各点の位置(三次元座標)を算出する。
【0034】
3Dモデル生成部(三次元形状データ算出手段)82は、通信装置3が受信した、作業機械20の寸法、形状、および、姿勢の情報に基づいて、作業機械20の三次元形状データを算出する。3Dモデル生成部82が算出した作業機械20の三次元形状データ75の一例を図5に示す。
【0035】
図3に戻って、作業機械特定部(特定手段)83は、作業機械20の位置と、点群データの各点の位置とに基づいて、点群データの中から、作業機械20に対応する部分を特定データとして特定する。まず、作業機械特定部(重畳手段)83は、作業機械20の位置において、3Dモデル生成部82が算出した三次元形状データを点群データに重畳させる。図4では、点線71で囲われた領域において、図5に示す三次元形状データ75が点群データに重畳されることになる。作業機械特定部83は、点群データのうち、三次元形状データ75が重なる部分を、特定データとして特定する。これにより、点群データのどの部分が、作業機械20に対応しているのかがわかる。
【0036】
図3に戻って、侵入検出部(検出手段)84は、特定データ以外の点群データに基づいて、作業エリア内に物体が侵入したのを検出する。点群データのうち、作業エリア70内で作業中の作業機械20に対応する部分は、特定データとして特定されているので、作業エリア70内に侵入した、特定データ以外の点群データは、作業エリア70内で作業中の作業機械20以外の物体のものである。これにより、作業エリア70内で作業中の作業機械20以外の物体が作業エリア70内に侵入したのを正確に検出することができる。
【0037】
(効果)
以上に述べたように、本実施形態に係る侵入検出システム1によれば、点群データの中から、作業エリア70内で作業中の作業機械20に対応する部分が特定データとして特定される。そして、特定データ以外の点群データに基づいて、作業エリア70内に物体が侵入したのが検出される。点群データのうち、作業エリア70内で作業中の作業機械20に対応する部分は、特定データとして特定されているので、作業エリア70内に侵入した、特定データ以外の点群データは、作業エリア70内で作業中の作業機械20以外の物体のものである。これにより、作業エリア70内で作業中の作業機械20以外の物体が作業エリア70内に侵入したのを正確に検出することができる。
【0038】
また、機械位置取得手段が、GNSSセンサ13などの測位センサまたは測距センサである。これにより、作業エリア70内で作業中の作業機械20の位置を正確に取得することができる。よって、点群データの中から、特定データを正確に特定することができる。
【0039】
また、点群データのうち、作業機械20の三次元形状データ75が重なる部分が、特定データとして特定される。作業機械20の三次元形状データ75を用いることで、特定データを正確に特定することができる。
【0040】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態の侵入検出システム101について、図面を参照しつつ説明する。なお、第1実施形態と共通する構成およびそれにより奏される効果については説明を省略し、主に、第1実施形態と異なる点について説明する。なお、第1実施形態と同じ部材については、第1実施形態と同じ符号を付している。
【0041】
第1実施形態では、3Dモデル生成部82が、作業機械20の三次元形状データ75を算出し、作業機械特定部83が、算出した三次元形状データ75を点群データに重畳させることで、特定データを特定していた。これに対して、本実施形態では、LiDAR2が取得した点群データをクラスタ点群にクラスタリングし、作業機械20の位置に一致するクラスタ点群を、特定データとして特定する。
【0042】
(侵入検出システムおよび作業機械の回路構成)
侵入検出システム101および作業機械20の回路図である図6に示すように、侵入検出システム101のコントローラ105は、クラスタリング部85と、作業機械特定部83と、侵入検出部84と、を有している。
【0043】
クラスタリング部(クラスタリング手段)85は、LiDAR2が取得した点群データをクラスタ点群にクラスタリングする。作業エリア70内外に位置するクラスタ点群76の一例を図7に示す。クラスタリング部(位置算出手段)85は、LiDAR2が取り付けられているグローバル座標系の位置(座標)と、LiDAR2からクラスタ点群76までの距離とを用いて、グローバル座標系におけるクラスタ点群76の位置を算出する。
【0044】
作業機械特定部83は、GNSSセンサ13が取得した作業機械20の位置に一致するクラスタ点群を、特定データとして特定する。侵入検出部84は、特定データ以外の点群データに基づいて、作業エリア70内に物体が侵入したのを検出する。
【0045】
このように、点群データをクラスタ点群にクラスタリングすることで、特定データを特定しやすくできる。また、作業機械20の三次元形状データ75を算出する必要がないので、ノイズによる影響を受けにくい。また、寸法が異なる作業機械20でも、点群データをクラスタリングすることで、特定データを好適に特定することができる。
【0046】
その他は、第1実施形態と同じであるので、その説明を省略する。
【0047】
(効果)
以上に述べたように、本実施形態に係る侵入検出システム101によれば、作業機械20の位置に一致するクラスタ点群が、特定データとして特定される。点群データをクラスタ点群にクラスタリングすることで、特定データを特定しやすくできる。また、作業機械20の三次元形状データ75を算出する必要がないので、ノイズによる影響を受けにくい。また、寸法が異なる作業機械20でも、点群データをクラスタリングすることで、特定データを好適に特定することができる。
【0048】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態の侵入検出システム201について、図面を参照しつつ説明する。なお、第2実施形態と共通する構成およびそれにより奏される効果については説明を省略し、主に、第2実施形態と異なる点について説明する。なお、第2実施形態と同じ部材については、第1実施形態と同じ符号を付している。
【0049】
第1実施形態および第2実施形態では、GNSSセンサ13が取得した、作業機械20の位置に関する情報を用いて、特定データを特定していた。これに対して、本実施形態では、カメラ4(図2参照)を用いて作業機械20の位置を取得する。
【0050】
(侵入検出システムおよび作業機械の回路構成)
侵入検出システム201および作業機械20の回路図である図8に示すように、侵入検出システム201は、LiDAR2と、カメラ4と、コントローラ205と、を有している。コントローラ205は、クラスタリング部85と、機械位置算出部86と、作業機械特定部83と、侵入検出部84と、を有している。カメラ4と機械位置算出部86とは、機械位置取得手段を構成している。
【0051】
図1に示すように、作業機械20の上部旋回体22には、作業機械20の位置を作業機械20の外部から取得させることが可能な目印90が設けられている。本実施形態では、目印90は、ARマーカである。ARマーカとは、AR(拡張現実)において現実空間に重畳表示する画像及びその位置を指定するための識別情報が記された標識のことである。なお、目印90は、作業機械20の位置の情報の他に、作業機械20の寸法などの情報を作業機械20の外部から取得させることが可能であってもよい。
【0052】
図2に示すように、カメラ(撮像手段)4は、作業エリア70外に設けられている。カメラ4は、上部旋回体22に設けられた目印90を撮像する。
【0053】
図8に戻って、機械位置算出部(機械位置算出手段)86は、カメラ4が撮像した目印90に基づいて、作業機械20の位置を算出する。機械位置算出部86は、カメラ4が取り付けられているグローバル座標系の位置(座標)と、カメラ4から目印90までの距離とを用いて、グローバル座標系における目印90の位置を算出する。このとき、侵入検出システム201(作業機械20の外部)と作業機械20との間で通信を行う必要がない。よって、作業機械20が通信機器を搭載していない場合であっても、作業機械20の位置を取得することができる。
【0054】
クラスタリング部85は、LiDAR2が取得した点群データをクラスタ点群にクラスタリングする。作業機械特定部83は、作業機械20の位置に一致するクラスタ点群を、特定データとして特定する。侵入検出部84は、特定データ以外の点群データに基づいて、作業エリア70内に物体が侵入したのを検出する。
【0055】
その他は、第2実施形態と同じであるので、その説明を省略する。
【0056】
(効果)
以上に述べたように、本実施形態に係る侵入検出システム201によれば、カメラ4が撮像した目印90に基づいて、作業機械20の位置が算出される。このとき、作業機械20の外部と作業機械20との間で通信を行う必要がない。よって、作業機械20が通信機器を搭載していない場合であっても、作業機械20の位置を取得することができる。
【0057】
以上、本発明の実施形態を説明したが、具体例を例示したに過ぎず、特に本発明を限定するものではなく、具体的構成などは、適宜設計変更可能である。また、発明の実施の形態に記載された、作用及び効果は、本発明から生じる最も好適な作用及び効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用及び効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0058】
1,101,201 侵入検出システム
2 LiDAR(点群データ取得部)
3 通信装置
4 カメラ(撮像手段)
5,105,205 コントローラ
11 作業機側コントローラ
12 記憶装置
13 GNSSセンサ(機械位置取得手段)
14 作業機械側通信装置
20 作業機械
21 下部走行体
22 上部旋回体
23 キャブ
24 機械本体
25 旋回装置
30 アタッチメント
31 ブーム
32 アーム
33 バケット
34 リンク部材
40 シリンダ
41 ブームシリンダ
42 アームシリンダ
43 バケットシリンダ
52 角度センサ
60 傾斜角センサ
61 ブーム傾斜角センサ
62 アーム傾斜角センサ
63 バケット傾斜角センサ
70 作業エリア
71 点線
75 三次元形状データ
76 クラスタ点群
81 座標変換部(位置算出手段)
82 3Dモデル生成部(三次元形状データ算出手段)
83 作業機械特定部(特定手段、重畳手段)
84 侵入検出部(検出手段)
85 クラスタリング部(クラスタリング手段、位置算出手段)
86 機械位置算出部(機械位置算出手段)
90 目印
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8