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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023055839
(43)【公開日】2023-04-18
(54)【発明の名称】目的地推測装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 16/9035 20190101AFI20230411BHJP
   G06F 16/906 20190101ALI20230411BHJP
   G01C 21/34 20060101ALI20230411BHJP
【FI】
G06F16/9035
G06F16/906
G01C21/34
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023013859
(22)【出願日】2023-02-01
(62)【分割の表示】P 2021092714の分割
【原出願日】2015-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】田村 雄一
(57)【要約】
【課題】目的地を入力する作業を意識することなく経路探索の目的地を設定できるようにする。
【解決手段】検索サイトで検索した検索語に関する情報を含む検索情報を取得する検索情報取得部と、検索語に、当該検索語の属性を示す属性情報を付する属性付与部と、属性毎に、当該属性が共通する検索語の出現頻度を求める検索語評価部と、出現頻度が所定の基準を満たす属性に含まれる検索語のうち、目的地に関する検索語を推測目的地候補として抽出する推測目的地候補抽出部と、を備える目的地推測装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検索サイトで検索した検索語に関する情報を含む検索情報を取得する検索情報取得部と、
前記検索語に、当該検索語の属性を示す属性情報を付する属性付与部と、
属性毎に、当該属性が共通する検索語の出現頻度を求める検索語評価部と、
前記出現頻度が所定の基準を満たす属性に含まれる検索語のうち、目的地に関する検索語を推測目的地候補として抽出する推測目的地候補抽出部と、
を備えることを特徴とする目的地推測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザが設定する目的地を推測する目的地推測技術に関する。
【背景技術】
【0002】
車載ナビゲーション装置、Webサイト等で提供される経路検索サービスでは、経路を探索する際に、目的地を設定することが必要である。一般に、経路探索に際しての目的地の設定は、ユーザから目的地の入力を受け付けることで行なわれている。目的地の入力方法としては、名称入力、住所入力、電話番号入力、地図上での指定、目的地設定履歴からの選択等種々の方法が採用されており、一般的な文字入力のほか音声認識を利用した目的地の入力も行なわれている。
【0003】
また、特許文献1に記載されているように、経路探索を行なう装置以外の装置、例えば、携帯端末装置で目的地を入力しておき、入力した目的地を、経路探索を行なう装置に転送することも提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-145751号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、経路探索に際しての目的地入力は、種々の方法が行なえるようになっているが、さらに新たな手法も提案されている。このことは、従来の目的地を入力する作業が必ずしも簡便ではなく、ユーザにとって煩わしく感じられ、この負担を軽減する手法を模索していることを示しているものと考えられる。
【0006】
ユーザが目的地設定のために目的地を入力する作業を敬遠するようになると、経路探索サービスを利用する機会が減少し、経路探索の利便さを享受できなくなり好ましくない。このため、ユーザが目的地を入力する作業を意識することなく経路探索の目的地を設定することができれば経路探索サービスがより身近なものとなり、経路探索サービスの利用機会が増加すると期待される。
【0007】
そこで、本発明は、例えば、目的地を入力する作業を意識することなく経路探索の目的地を設定できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明である目的地推測装置は、検索サイトで検索した検索語に関する情報を含む検索情報を取得する検索情報取得部と、前記検索語に、当該検索語の属性を示す属性情報を付する属性付与部と、属性毎に、当該属性が共通する検索語の出現頻度を求める検索語評価部と、前記出現頻度が所定の基準を満たす属性に含まれる検索語のうち、目的地に関する検索語を推測目的地候補として抽出する推測目的地候補抽出部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
上記課題を解決するため、請求項7に記載の発明である目的地推測方法は、情報処理装置を用いた目的地推測方法であって、検索サイトで検索した検索語に関する情報を含む検索情報を取得するステップと、前記検索語に、当該検索語の属性を示す属性情報を付するステップと、属性毎に、当該属性が共通する検索語の出現頻度を求めるステップと、前記出現頻度が所定の基準を満たす属性に含まれる検索語のうち、目的地に関する検索語を推測目的地候補として抽出する推測目的地候補抽出ステップと、を含むことを特徴とする。
【0010】
上記課題を解決するため、請求項8に記載の発明であるコンピュータプログラムは、検索サイトで検索した検索語に関する情報を含む検索情報を取得する検索情報取得部、前記検索語に、当該検索語の属性を示す属性情報を付する属性付与部、属性毎に、当該属性が共通する検索語の出現頻度を求める検索語評価部、前記出現頻度が所定の基準を満たす属性に含まれる検索語のうち、目的地に関する検索語を推測目的地候補として抽出する推測目的地候補抽出部、として情報処理装置を機能させる。
【0011】
上記課題を解決するため、請求項9に記載の発明である記録媒体は、請求項8に記載のコンピュータプログラムを記録した情報処理装置で読み取り可能な記録媒体である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施例である目的地推測装置を適用した経路探索システムの構成例を示すブロック図である。
図2】経路探索システムの機器構成例を示す図である。
図3】経路探索システムの機器構成例を示す図である。
図4】推測目的地候補の抽出動作について説明するフローチャートである。
図5】検索語の分類によるグルーピングを説明する図である。
図6】推測目的地を決定する動作について説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態について説明する。本発明の実施の形態である目的地推測装置は、検索サイトで検索した検索語に関する情報を含む検索情報を取得する検索情報取得部と、前記検索語に、当該検索語の属性を示す属性情報を付する属性付与部と、属性毎に、当該属性が共通する検索語の出現頻度を求める検索語評価部と、前記出現頻度が所定の基準を満たす属性に含まれる検索語のうち、目的地に関する検索語を推測目的地候補として抽出する推測目的地候補抽出部と、を備えている。
【0014】
ユーザは、抽出された推測目的地候補の中から目的地を選択すればよいため、目的地を入力する作業から開放されることになる。
【0015】
ここで、前記検索情報は、前記検索語が検索された日時の情報を含み、前記日時の情報に基づいて前記推測目的地候補の中から推測目的地を決定する推測目的地決定部を備えてもよい。
【0016】
あるいは、ユーザの時間毎の位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部と、前記位置情報に基づいて前記推測目的地候補の中から推測目的地を決定する推測目的地決定部とを備えてもよい。
【0017】
また、ユーザの嗜好に関するユーザ嗜好情報に対する処理を行なう嗜好情報処理部と、前記ユーザ嗜好情報に基づいて前記推測目的地候補の中から推測目的地を決定する推測目的地決定部とを備えてもよい。
【0018】
また、前記検索語評価部は、前記日時の情報に基づいて分類毎に検索語の時間的な出現傾向を求め、前記推測目的地決定部は、前記推測目的地候補についての出現傾向が、あらかじめ定められたパターンに合致するか否かを判定してもよい。
【0019】
また、前記位置情報と前記検索語との関連において、ユーザの行動特性をあらかじめ定めたパターンに分類するユーザ特性評価部を備え、前記推測目的地決定部は、前記行動特性のパターンに基づいて前記推測目的地候補の中から推測目的地を決定してもよい。
【0020】
本発明の実施の形態である目的地推測方法は、検索サイトで検索した検索語に関する情報を含む検索情報を取得するステップと、前記検索語に、当該検索語の属性を示す属性情報を付するステップと、属性毎に、当該属性が共通する検索語の出現頻度を求めるステップと、前記出現頻度が所定の基準を満たす属性に含まれる検索語のうち、目的地に関する検索語を推測目的地候補として抽出する推測目的地候補抽出ステップと、を含むものである。
【0021】
本発明の実施の形態であるコンピュータプログラムは、検索サイトで検索した検索語に関する情報を含む検索情報を取得する検索情報取得部、前記検索語に、当該検索語の属性を示す属性情報を付する属性付与部、属性毎に、当該属性が共通する検索語の出現頻度を求める検索語評価部、前記出現頻度が所定の基準を満たす属性に含まれる検索語のうち、目的地に関する検索語を推測目的地候補として抽出する推測目的地候補抽出部、として情報処理装置を機能させる。
【0022】
本発明の実施の形態である記録媒体は、上述のコンピュータプログラムを記録した記録媒体である。
【実施例0023】
図1は、本発明の一実施例である目的地推測装置を適用した経路探索システム10の構成例を示すブロック図である。本図に示すように、経路探索システム10は、目的地推測装置100、検索装置210、位置情報取得装置220、推測目的地提示装置230、経路探索装置240を備えて構成される。
【0024】
検索装置210は、インターネット310を利用可能な情報処理装置であり、Webブラウザ部211、検索リスト作成部212を備えている。Webブラウザ部211は、汎用的なWebブラウザソフトウェアで構成することができる。本実施形態では、ユーザは、Webブラウザ部211を使用して、汎用的な検索サイト300にアクセスし、キーワード検索を行なう。検索装置210は、ユーザが日常的に使用する情報処理装置であるため、検索に用いるキーワードは、経路探索に関するキーワードのみならず、趣味、生活、仕事等に関する種々雑多なキーワードが含まれる。
【0025】
検索リスト作成部212は、検索サイト300にアクセスしているWebブラウザ部211で検索に用いられたキーワードを取得し、リスト形式で保存する。ただし、キーワードの保存はリスト形式に限られない。検索リストには、キーワードとともに検索を行なった日時の情報も含めるものとする。検索リスト作成部212は、例えば、Webブラウザ部211に対するアドオンソフトウェアとして実現することができる。汎用的な検索サイト300のURLは既知であるため、検索サイト300で入力されたキーワードは容易に取得することができる。
【0026】
なお、検索リストには、検索結果としてリンクされたWebページが表示された場合に、そのWebページが閲覧された時間を含めるようにしてもよい。
【0027】
位置情報取得装置220は、ユーザとともに移動する装置であり、GPS(Global Positioning System)機能やアクセスポイント情報等により、ユーザの時間ごとの位置を示す位置情報を取得し、日時の情報を付して位置情報リストとして記録する。ただし、位置情報の保存はリスト形式に限られない。具体的には、携帯電話、スマートフォン、車載ナビゲーション装置等で構成することができる。
【0028】
目的地推測装置100は、検索装置210が作成した検索リスト等に基づいて、ユーザが希望する目的地を推測する装置であり、CPU、メモリ、通信装置等を備えたコンピュータプログラムを実施可能な情報処理装置を用いて構成することができる。目的地推測装置100は、検索サイト300での検索情報等に基づいて目的地を推測するため、ユーザが目的地を入力する作業は不要である。
【0029】
目的地推測装置100は、検索リスト取得部110、位置情報取得部120、推測目的地候補抽出部130、ユーザ特性評価部140、推測目的地決定部150を備えている。
【0030】
検索リスト取得部110は、所定のタイミングで検索装置210から検索リストを取得する。取得対象の検索装置210は、複数台であってもよい。ただし、取得するデータはリスト形式に限られない。位置情報取得部120は、所定のタイミングで位置情報取得装置220から位置情報リストを取得する。取得対象の位置情報取得装置220は、複数台であってもよい。ただし、取得するデータはリスト形式に限られない。
【0031】
推測目的地候補抽出部130は、検索リスト取得部110が取得した検索リストに基づいて、推測目的地の候補を抽出するブロックであり、検索語抽出部131、検索語属性付与部132、検索語評価部133、推測目的地候補抽出部134、辞書DB135を備えている。
【0032】
検索語抽出部131は、検索リストに記録されたキーワードから検索語を抽出する処理を行なう。抽出した検索語にも抽出元のキーワードの日時情報を継承させる。すなわち、ユーザが入力するキーワードは、必ずしも一語とは限られず、複数の言葉が入力されたり、文章が入力されたりすることもある。検索語抽出部131は、既存の文章解析技術等を用いて検索リストに記録されたキーワードから検索語を抽出する。なお、検索語は、単語とは限られず、後述する辞書DB135に登録されている用語に対応させるようにする。
【0033】
検索語属性付与部132は、検索語抽出部131によって抽出された各検索語に属性を付与する処理を行なう。属性には、分類、目的地フラグが含まれるものとし、属性の付与の際には辞書DB135を参照する。辞書DB135は、用語毎に分類、目的地フラグの情報をあらかじめ記録しているデータベースである。辞書DB135は、目的地推測装置100の外部に設けてもよい。
【0034】
辞書DB135において、分類は、例えば、「レジャー」→「スキー」→「スキー場」という具合に階層化されている。例えば、その用語がレジャー全般に関するものであれば、分類は「レジャー」となり、その用語がスキー全般に関するものであれば、分類は「レジャー」の子分類である「スキー」となり、その用語が特定のスキー場に関するものであれば、分類は「スキー」の子分類である「スキー場」となる。分類を階層化して定めておくことにより、辞書DB135を参照することにより、親分類の用語や子分類の用語を把握することができる。
【0035】
なお、ひとつの用語に複数個の分類を設定することができる。例えば、「降雪情報」という用語の分類として、「スキー」「気候」といった2つの分類を設定することができる。
【0036】
目的地フラグは、用語が目的地に関するものであるかを判別するために、その用語が目的地となり得るか否かを示すフラグである。例えば、「スキー板」という用語は目的地とはなり得ないが、「AAスキー場」という用語は目的地となり得る。ここでは、目的地フラグのオンが、目的地となり得る用語であることを示すものとする。
【0037】
検索語評価部133は、検索語属性付与部132により属性が付与された検索語群の評価を行ない、分類毎の出現頻度を示す指標である出現度数と時間的な出現傾向を求める処理を行なう。具体的には、検索語に付与された分類毎にグルーピングを行なって、分類毎に出現度数を集計し、検索語に付された検索日時情報に基づいて出現傾向を分類する。出現傾向は、例えば、定常的に出現、間欠的に出現、週末に出現、休み明けに出現、直近に急増等のパターンとそれぞれの判定基準とをあらかじめ定めておき、当てはまる1または複数のパターンを選定することで分類することができる。
【0038】
推測目的地候補抽出部134は、出現度数の高い分類に含まれる検索語のうち、目的地フラグがオンである検索語を推測目的地候補として抽出する処理を行なう。推測目的地候補は複数個抽出することができ、例えば、出現度数の上位から所定個数の分類を対象に推測目的地候補を抽出したり、出現度数が基準値を超える分類を対象に推測目的地候補を抽出したりすることができる。
【0039】
ユーザ特性評価部140は、ユーザ個人の特性を評価するブロックであり、テンプレートマッチング部141、嗜好情報処理部142、テンプレートDB143を備えている。
【0040】
テンプレートマッチング部141は、検索語や分類の出現度数、出現傾向と位置情報とからユーザの行動特性を分類する処理を行なう。ユーザの行動特性は、ユーザの行動特性のモデルを判定基準とともに記録したテンプレートDB143を参照して行なう。
【0041】
行動特性のモデルは、例えば、「週末に検索した場所は、翌週末に訪れる」「検索した場所は翌日に訪れる」「普段検索しない場所を検索するとその場所を訪れる」「日曜日は遠出をする」「訪れる場所は、長期的に検索する」「地図を検索するとその場所を訪れる」「午前中に検索した場所に午後に訪れる」「検索と移動とに関連性なし」等とすることができ、それぞれのモデルについて検索語や分類の出現度数、出現傾向と位置情報に基づく判定基準が定められる。
【0042】
テンプレートマッチング部141は、推測目的地候補抽出部130が推測目的地候補を抽出する過程で使用した日時情報が付された検索語に関する情報と、位置情報取得部120が取得したユーザの日時情報が付された位置情報とから、ユーザの行動特性に当てはまる1または複数のタイプを判別して、分類を行なう。
【0043】
例えば、ゴルフ場に関する検索が週末に出現するという出現傾向に分類されている場合に、そのゴルフ場の位置情報が翌週末に得られていることが多ければ、「週末に検索した場所は、翌週末に訪れる」という行動特性に分類されることになる。
【0044】
嗜好情報処理部142は、ユーザの嗜好に関する嗜好情報に対する処理を行なう。例えば、ユーザがあらかじめ嗜好対象を登録している場合には、その対象を嗜好情報として記録する。嗜好対象は、例えば、「スキー」「釣り」等とすることができ、辞書DB135の分類や用語に対応させることが望ましい。
【0045】
また、嗜好情報処理部142は、推測目的地候補抽出部130が推測目的地候補を抽出する過程で使用した検索語に関する情報に基づいて、嗜好情報を更新していく。例えば、ユーザが登録した嗜好に「野球」が含まれていない場合に、「野球」に関する検索が著しく増えている場合には、嗜好情報に「野球」を追加することができる。逆に、嗜好情報に「釣り」が記録されている場合に、長期間「釣り」に関する検索がまったく行なわれていない場合には、嗜好情報から「釣り」を削除してもよい。
【0046】
推測目的地決定部150は、推測目的地候補抽出部130が抽出した推測目的地候補から1または複数個の推測目的地を決定するブロックであり、評価制御部151、ファクター評価部152を備えている。
【0047】
評価制御部151は、検索における推測目的地候補の出現度数と、ファクター評価部152が行なう種々のファクターを考慮した評価とに基づいて推測目的地を決定する処理を行なう。ファクター評価部152は、ユーザの嗜好、行動特性、出現傾向の各ファクターについて推測目的地候補の評価を行なう。ただし、ファクター評価部152が評価を行なうファクターは例示であり、本例に限られない。
【0048】
ユーザの嗜好ファクターの評価においては、嗜好情報処理部142が更新等した嗜好情報を参照し、行動特性ファクターの評価においては、テンプレートマッチング部141が分類したユーザの行動特性タイプ等を参照し、出現傾向ファクターの評価においては、検索語評価部133が分類した出現傾向を参照する。
【0049】
推測目的地提示装置230は、目的地推測装置100が決定した推測目的地をユーザに提示する。推測目的地の提示は、例えば、推測目的地を画面に表示することによって行なうことができる。推測目的地が1つの場合には、その推測目的地を経路探索の目的地として設定するか否かの指示を受け付けるようにし、推測目的地が複数の場合には、いずれかの推測目的地を経路探索の目的地として設定するか、あるいはいずれの推測目的地とも経路探索の目的地として設定しないかの指示を受け付けるようにすることが望ましい。
【0050】
経路探索装置240は、ユーザが設定した目的地に対する経路探索を行なう装置である。経路探索装置240は、車載ナビゲータ装置や経路検索サービスを提供するサービスサーバ等で構成することができる。
【0051】
上述の経路探索システム10は、実装上種々の機器構成で実現することができる。例えば、図2(a)に示すように、それぞれインターネット310に接続したPCとスマートフォンと車載ナビゲータ装置で経路探索システム10を構成し、PCを検索装置210として機能させ、スマートフォンを検索装置210、位置情報取得装置220として機能させ、車載ナビゲータ装置を目的地推測装置100、位置情報取得装置220、推測目的地提示装置230、経路探索装置240として機能させることができる。
【0052】
この場合、ユーザがPCやスマートフォンで検索したキーワードが推測目的地決定のために取得されることになる。また、スマートフォンを携帯して移動した場所と車載ナビゲータ装置が搭載された車で移動した場所が位置情報として取得されることになる。推測目的地の決定は車載ナビゲータ装置が行ない、目的地への経路探索も車載ナビゲータ装置で行なわれる。
【0053】
また、図2(b)に示すように、それぞれインターネット310に接続したPCとスマートフォンと車載ナビゲータ装置と目的地推測サービスサーバで経路探索システム10を構成し、PCを検索装置210として機能させ、スマートフォンを検索装置210、位置情報取得装置220として機能させ、車載ナビゲータ装置を位置情報取得装置220、推測目的地提示装置230、経路探索装置240として機能させ、目的地推測サービスサーバを目的地推測装置100として機能させることができる。
【0054】
すなわち、目的地推測サービスを行なう目的地推測サービスサーバを車載ナビゲータ装置とは独立して設けるようにしている。この場合、目的地推測サービスサーバで推測目的地が決定され、車載ナビゲータ装置に推測目的地が転送され、経路探索が行なわれることになる。ユーザがPCやスマートフォンで検索したキーワードが推測目的地決定のために取得され、スマートフォンを携帯して移動した場所と車載ナビゲータ装置が搭載された車で移動した場所が位置情報として取得されることは、図2(a)に示した例と同様である。
【0055】
また、図3(a)に示すように、それぞれインターネット310に接続したPCとスマートフォンと車載ナビゲータ装置とで経路探索システム10を構成し、PCを検索装置210、目的地推測装置100として機能させ、スマートフォンを検索装置210、位置情報取得装置220として機能させ、車載ナビゲータ装置を位置情報取得装置220、推測目的地提示装置230、経路探索装置240として機能させることができる。
【0056】
この場合、PCで推測目的地が決定され、車載ナビゲータ装置に推測目的地が転送され、経路探索が行なわれることになる。ユーザがPCやスマートフォンで検索したキーワードが推測目的地決定のために取得され、スマートフォンを携帯して移動した場所と車載ナビゲータ装置が搭載された車で移動した場所が位置情報として取得されることは、図2(a)に示した例と同様である。
【0057】
また、図3(b)に示すように、それぞれインターネット310に接続したPCとスマートフォンと車載ナビゲータ装置とで経路探索システム10を構成し、PCを検索装置210として機能させ、スマートフォンを目的地推測装置100、検索装置210、位置情報取得装置220、推測目的地提示装置230として機能させ、経路探索サービスサーバを経路探索装置240として機能させることができる。
【0058】
この場合、スマートフォンが推測目的地を決定し、経路探索サービスサーバに経路探索を依頼し、探索された経路の表示をスマートフォンが行なうことになる。ユーザがPCやスマートフォンで検索したキーワードが推測目的地決定のために取得され、スマートフォンを携帯して移動した場所と車載ナビゲータ装置が搭載された車で移動した場所が位置情報として取得されることは、図2(a)に示した例と同様である。なお、図2図3に示した機器構成は例示であり、他の機器構成で経路探索システム10を実現してもよい。
【0059】
次に、経路探索システム10を構成する目的地推測装置100の動作について説明する。目的地推測装置100の動作は、推測目的地候補の抽出動作と推測目的地決定動作とに分けることができる。推測目的地候補の抽出動作は、取得した検索リストから、推測目的地の候補を抽出する動作である。推測目的地決定動作は、推測目的地候補の中から種々のファクターを考慮して推測目的地を決定する動作である。なお、ユーザ特性評価部140が行なうユーザの行動特性のテンプレートマッチング動作と、ユーザの嗜好情報に対する処理は、上述の基準に従って適宜行なうようにする。
【0060】
以下に説明する動作例では、推測目的地の候補はあらかじめ抽出しておき、目的地設定の際に推測目的地候補の中から推測目的地を決定するものとする。これにより、目的地設定毎に推測目的地を抽出する手間を省くとともに、目的地設定の日時等に適した推測目的地を決定することができる。ただし、推測目的地の候補を抽出するタイミングと、推測目的地を決定するタイミングとは任意に定めることができる。
【0061】
まず、推測目的地候補の抽出動作について図4のフローチャートを参照して説明する。推測目的地候補の抽出動作は、検索リストにキーワードがある程度蓄積している必要があるため、所定のタイミングで行なえばよい(S101)。所定のタイミングは、例えば、定期的としたり、検索リストのサイズが所定量に達した場合としたりすることができる。
【0062】
推測目的地候補の抽出動作を行なうタイミングであれば(S101:Yes)、検索リスト取得部110が、検索装置210の検索リスト作成部212から検索リストを取得する(S102)。
【0063】
そして、推測目的地候補抽出部130の検索語抽出部131が、検索リストに記録されたキーワードから検索語を抽出する(S103)。上述のように、検索語の抽出は既存の文章解析技術を用いて行なうことができる。
【0064】
検索語が抽出されると、検索語属性付与部132が、辞書DB135を参照して各検索語に対して属性を付与する(S104)。検索語に付与する属性には、分類と目的地フラグとが含まれる。1つの検索語に複数個の分類を付与してもよい。
【0065】
次に、検索語評価部133が、検索語の分類毎に出現度数を集計するとともに、検索語に付された検索日時に基づいて出現傾向を分類する(S105)。出現度数の集計では、検索語の分類毎にグルーピングを行なう。
【0066】
分類は階層化されているため、例えば、図5に示すようなグルーピングを行なうことができる。本図は、検索語として「AAスキー場」「BBスキー場」「スキー板」「レンタルスキー」「積雪情報」「XX野球場」「CCラーメン」「DD町ランチ」「ラーメン」が抽出された場合を例にしている。なお、四角で囲った検索語は目的地フラグがオンであること、すなわち、目的地となり得ることを示している。
【0067】
ここで、「AAスキー場」「BBスキー場」は「スキー場」の分類が付され、「スキー板」「レンタルスキー」は「スキー用品」の分類が付され、「積雪情報」は「スキー」と「気候」の分類が付され、「XX野球場」は「野球場」の分類が付され、「CCラーメン」「DD町ランチ」は「飲食店」の分類が付され、「ラーメン」は「飲食」の分類が付されているものとする。
【0068】
辞書DB153に、分類「スキー場」「スキー用品」の親分類として「スキー」が設定され、分類「野球場」の親分類として「野球」が設定され、「スキー」「野球」の親分類として「レジャー」が設定され、分類「飲食店」の親分類として「飲食」が設定されているものとする。図中に示された分類の包含関係は、この親子関係に基づいている。
【0069】
出現度数の集計は、例えば、最下層の分類に注目して行なうことができる。このとき、親分類に含まれる検索語の出現度数を子分類に承継するものとする。例えば、分類レジャーについての最下層分類である「スキー場」については、検索語の出現度数が2(AAスキー場、BBスキー場)であるが、親分類である「スキー」についての検索語の出現度数1(降雪情報)を加えて3とすることができる。分類「気候」については自身が最下層であるため、「気候」についての出現度数は1となる。同様の集計を各分類に行なうことで、分類毎の集計頻度を集計することができる。
【0070】
また検索語の検索日時情報を参照することで、分類毎に、定常的に出現、間欠的に出現、週末に出現、休み明けに出現、直近に急増等の出現傾向を定めることができる。
【0071】
最後に、推測目的地候補抽出部134が、出現度数の高い分類に含まれる検索語のうち、目的地フラグがオンである検索語を抽出する(S106)。抽出された検索語が推測目的地候補として抽出されたことになる。
【0072】
図5に示した例であれば、出現度数が3である分類に含まれる「AAスキー場」「BBスキー場」「CCラーメン」が推測目的地候補として抽出される。「スキー板」「レンタルスキー」は出現度数が3である分類に含まれるが目的地フラグがオフであるため抽出されない。
【0073】
次に、推測目的地を決定する動作について図6のフローチャートを参照して説明する。推測目的地を決定する動作は、推測目的地提示装置230の起動時に行なうことが好ましい。例えば、車載ナビゲータ装置を推測目的地提示装置230として機能させた場合には、自動車のエンジンをかけた時点に、その時点の情報をファクター評価に含めて推測目的地が決定される。このため、ユーザはエンジンをかけると推測目的地が自動的に提示されることになる。
【0074】
また、スマートフォンを推測目的地提示装置230として機能させた場合には、経路探索用のアプリケーションを立ち上げると推測目的地が自動的に提示されることになる。いずれの場合も、ユーザは、目的地を入力する作業を意識することなく経路探索の目的地を設定することができる。
【0075】
推測目的地を決定する動作では、出現度数の高い推測目的地候補それぞれについて、ファクター評価部152が、種々のファクターを考慮した評価を行ない、評価制御部151が、総合的な評価の高い推測目的地候補を推測目的として決定する。本例では、嗜好ファクター、行動特性ファクター、出現傾向ファクターを考慮した評価を行なうが、他のファクター評価を採用してもよい。
【0076】
まず、上述の推測目的地抽出動作で得られた推測目的地候補を取得する(S201)。また、現在情報を取得する(S202)。現在情報は、日時、曜日等を含めることができる。採用するファクター評価によっては、温度、天気等の情報も含めてもよい。
【0077】
嗜好ファクター評価(S203)においては、嗜好情報処理部142が更新等するユーザの嗜好情報を参照し、嗜好情報に合致する推測目的地候補にポイントを加算する。嗜好情報に合致するかどうかは、推測目的地候補の親分類子分類を含めた分類を参照することで判断することができる。
【0078】
行動特性ファクター評価(S204)においては、テンプレートマッチング部141で分類されたユーザの行動特性に合致する推測目的地候補にポイントを加算する。例えば、ユーザの行動特性が「週末に検索した場所は、翌週末に訪れる」であった場合に、推測目的地候補に関する検索頻度が先週末に高く、現在情報が週末であれば、行動特性に合致するとしてその推測目的地候補にポイントを加算する。この場合、現在情報が平日であれば、ポイントは加算されないことになる。
【0079】
出現傾向ファクター評価(S205)においては、出現傾向が、目的地に設定する可能性が高いと想定される特徴を示している推測目的地候補にポイントを加算する。例えば、「定常的に出現」や「直近に急増」等と分類された推測目的地候補にポイントを加算する。
【0080】
評価制御部151は、出現度数と各ファクター評価とを総合的に評価して(S206)、推測目的地を決定する(S207)。例えば、出現度数に応じたポイントに、各ファクター評価のポイントを合計して、合計ポイントの最も高い推測目的地候補を推測目的地として決定する。このとき、合計ポイントの高い順に複数個の推測目的地候補を推測目的地として決定してもよい。もちろん、出現度数と各ファクター評価との総合的評価は種々の手法を用いることができる。
【0081】
例えば、推測目的地候補として抽出された「AAスキー場」「BBスキー場」「CCラーメン」のうち、ユーザが直近に「AAスキー場」を検索していた場合には、出現傾向ファクター評価でポイントが加算されるため、他のファクター評価が同等であれば、「AAスキー場」が推測目的地として決定されることになる。
【0082】
また、ユーザの行動特性で、例えば、「週末にレジャーに行く」「平日に外食する」というタイプに分類されている場合、目的地設定日が平日であれば「CCラーメン」の行動特性ファクター評価が高くなり、目的地設定日が週末であれば、「AAスキー場」「BBスキー場」の行動特性ファクター評価が高くなる。
【0083】
以上説明したように、本実施形態の経路探索システム10では、ユーザが経路探索のためではなく、日常的な検索に用いた検索語に基づいて推測目的地候補を抽出する。このため、目的地を入力する作業は意識する必要はない。また、抽出された推測目的地候補の中から経路探索時点の情報やユーザの行動特性等に基づいて推測目的地を決定するため、ユーザは、目的地を入力する作業を意識することなく経路探索の目的地を設定できるようになる。
【0084】
なお、推測目的地の候補を抽出する動作により抽出された推測目的地候補をユーザに提示してもよい。この場合であっても、ユーザは、候補の中から目的地を選択すればよいため、目的地を入力する作業から開放されることになる。
【符号の説明】
【0085】
10…経路探索システム
100…目的地推測装置
110…検索リスト取得部
120…位置情報取得部
130…推測目的地候補抽出部
131…検索語抽出部
132…検索語属性付与部
133…検索語評価部
134…推測目的地候補抽出部
135…辞書DB
140…ユーザ特性評価部
141…テンプレートマッチング部
142…嗜好情報処理部
143…テンプレートDB
150…推測目的地決定部
151…評価制御部
152…ファクター評価部
図1
図2
図3
図4
図5
図6