(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023055879
(43)【公開日】2023-04-18
(54)【発明の名称】飲食用組成物
(51)【国際特許分類】
A23L 5/00 20160101AFI20230411BHJP
A23L 2/39 20060101ALI20230411BHJP
A23L 2/00 20060101ALI20230411BHJP
A23L 2/52 20060101ALI20230411BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20230411BHJP
A23L 2/38 20210101ALI20230411BHJP
【FI】
A23L5/00 K
A23L2/00 Q
A23L2/00 B
A23L2/00 F
A23L33/105
A23L2/38 C
A23L2/38 R
A23L2/38 J
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015025
(22)【出願日】2023-02-03
(62)【分割の表示】P 2019004012の分割
【原出願日】2018-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】398028503
【氏名又は名称】株式会社東洋新薬
(72)【発明者】
【氏名】森川 琢海
(72)【発明者】
【氏名】高垣 欣也
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明の課題は、炭の有効利用を目的として、汎用性の高い炭含有飲食用組成物を提供することにある。
【解決手段】炭と、スグリ、黒大豆、黒酢、高麗人参又は大麦若葉からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする飲食用組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭と、大麦若葉、スグリ、黒大豆又は黒酢からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする飲食用組成物
(ただし、
アサイー、トマト、イチゴ、サクランボ、クランベリー、ラズベリー、ボイセンベリー、リンゴンベリー、パプリカ、カムカム、ニンジン、トウガラシ、ウメ、バラ、ザクロ、赤ガウクルア、カシス、クコの実、アセロラ、ドラゴンフルーツ、カクタスフルーツ、ムラサキ芋、ブ ラックカラント、赤ブドウ、ワイルドブルーベリー、ワイルドビルベリー、エルダーベリー、紫ウコン、プルーン、レッドビート、グレープフルーツ、オレンジ、パパイヤ、カボチャ、パイナップル、アプリコット、マンゴー、レモン、黄マカ、春ウコン、シロブドウ、モモと黒カリンを含むアサイースムージーと、
サフラワー油、植物発酵エキス末(黒糖、葉菜類、果実類、根菜類、イモ類、野草類、キノコ類、海藻類、など)、黒酢、酒粕ファイバー、発酵黒ニンニクエキス末、黒酢末、穀物発酵エキス末と多穀麹(大麦、あわ、ひえ、きび、タカキビ、紫黒米、米粉)を含むカプセル状のサプリメントと、
バジルシード、黒ショウガ、黒胡椒、黒大豆、黒タマネギ、黒米、黒酢、黒糖、黒松の実、黒ゴマ、黒スグリと竹炭を含むスムージーと、
デキストリン、大麦若葉、有機モリンガ粉末、抹茶、アカシア食物繊維、ヤシ殻活性炭、鎌倉珪竹炭、伊那赤松妙炭、イヌリンとラフィノースを含む青汁と、
黒大豆、黒ごま、ヒジキ、炭粉、ビール酵母粉、粉末乳酸菌と純黒糖を含む粉末の黒汁と、
黒酢入りサツマイモ炭抽出物含有水と豆乳を含む豆腐と、
竹粉末とサラシア乾燥エキス粉末とを主成分とする栄養補助食品であって、前記主成分に黒酢もろみ粉末、竹炭粉末、カルシウム粉末の1種以上を含む栄養補助食品と、
黒ごま、黒米、黒豆、黒松の実、黒かりん、黒酢、黒糖、梅肉エキスと炭を混在させた惣菜用調味料と
を除く。)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭と特定の素材を含有する飲食用組成物に関する。
【0002】
炭の大部分は炭素の他、酸素、水素、カルシウムなどからなる多孔質の物質であり、その微細な穴に多様な物質を吸着させる性質がある。
【0003】
炭は、着色成分を吸着することによる脱色剤(特許文献1)、臭気物質を吸着する脱臭剤(特許文献2)として工業的に用いられており、ろ過及び精製の助剤として利用されている。また、近年、炭の有する効果を利用したサプリメントが注目されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6-65591
【特許文献2】特許第5814733
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、炭には独特の味があることや、液体への分散性が悪いことから、飲食品として摂取するためには改善が必要であった。
【0006】
本発明の課題は、炭の有効利用を目的として、汎用性の高い炭含有飲食用組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、炭の持つ機能について鋭意調査・研究した結果、炭とスグリ、黒大豆、黒酢、高麗人参又は大麦若葉(以下、特定の素材とも言う)とを組み合わせることにより、炭の呈味改善がなされること、水中での分散性が向上すること、更に、胆汁酸の吸着による血中コレステロール上昇抑制作用が飛躍的に向上することを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、以下の通りのものである。
[1] 炭と、スグリ、黒大豆、黒酢、高麗人参又は大麦若葉からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする飲食用組成物。
[2] 炭と、スグリ、黒大豆、黒酢、高麗人参又は大麦若葉からなる群より選ばれる少なくとも2種を含むことを特徴とする飲食用組成物。
[3] スグリ、黒大豆、黒酢、高麗人参又は大麦若葉からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする炭の呈味改善用組成物。
[4] スグリ、黒大豆、黒酢、高麗人参又は大麦若葉からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする炭の分散性向上用組成物。
[5] 炭と、スグリ、黒大豆、黒酢、高麗人参又は大麦若葉からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする血中コレステロール上昇抑制用組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、炭と特定の素材の組み合わせにより、炭の呈味が改善され、嗜好性に優れた飲食用組成物を提供できる。また、本発明によれば、分散性が向上した飲食用組成物を提供できる。また、本発明によれば、胆汁酸を吸着してコレステロールの吸収を阻害することにより、血中コレステロール上昇抑制作用を相乗的に向上させた飲食用組成物を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の組成物の官能評価の結果を示す図である。
【
図2】本発明の組成物の水中の分散性を示す図である。
【
図3】比較例3、比較例5及び実施例16の胆汁酸吸着能を示す図である。
【
図4】比較例3、比較例6及び実施例17の胆汁酸吸着能を示す図である。
【
図5】比較例3、比較例7及び実施例18の胆汁酸吸着能を示す図である。
【
図6】比較例3、比較例8、実施例19及び実施例20の胆汁酸吸着能を示す図である。
【
図7】比較例3、実施例21及び実施例22の胆汁酸吸着能を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の組成物は、炭(A)と、スグリ、黒大豆、黒酢、高麗人参又は大麦若葉からなる群(特定の素材;B)より選ばれる少なくとも1種とを含有することを特徴とする。炭と共に用いられる特定の素材は、1種単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0012】
本発明によれば、炭と特定の素材との組み合わせにより、炭の呈味を改善するとともに、分散性を向上させることができる。したがって、本発明の組成物は、飲食用組成物として高い利用性を有する。
【0013】
本発明によれば、炭と特定の素材との組み合わせにより、胆汁酸の吸着量を相乗的に向上させることができる。したがって、本発明は、血中コレステロールの上昇を抑制し、動脈硬化の予防にも役立つ。
【0014】
本発明の組成物の形態としては、例えば、錠状、カプセル状、粉末状、顆粒状、液状、粒状、棒状、板状、ブロック状、固形状、丸状、ペースト状、クリーム状、カプレット状、ゲル状、チュアブル状、スティック状等を挙げることができる。これらの中でも、錠状、カプセル状、粉末状、顆粒状、液状の形態が好ましく、粉末状、顆粒状が特に好ましい。具体的には、サプリメントや、ペットボトル、缶、瓶等に充填された容器詰飲料や、水(湯)、牛乳、果汁等に溶解して飲むためのインスタント飲料や、食品添加剤を例示することができる。特にサプリメント、インスタント飲料は手軽に飲用しやすく、また嗜好性を高めることができるという点で好ましい。
【0015】
<炭(A)>
炭は、草木類や化合物、合成樹脂を高温条件で処理したものであり、主に燃料として使用される。本発明で使用できる炭としては、経口摂取可能な原料であれば特に制限はなく、例えば、備長炭に代表される木炭や、竹を原料とする竹炭、ヤシ殻、胡桃殻を原料とする活性炭等が挙げられる。その中でも、ヤシ殻活性炭、赤松炭、もみ殻由来の炭粉末から選ばれる少なくとも1種以上を用いることが好ましく、もみ殻由来の活性炭が特に好ましい。本発明に使用する際の形状としては、食用に適した形状であれば制限されないが、例えば、粉末状、粒状、繊維状、形成炭等が挙げられ、特定の素材と組み合わせることで炭の呈味果然効果、分散性向上効果、胆汁酸吸着能の向上効果が得られる点から、粉末状、粒状であることが好ましい。
【0016】
<特定の素材(B)>
本発明の組成物は、特定の素材(スグリ、黒大豆、黒酢、高麗人参又は大麦若葉から選ばれる少なくとも1種)を必須成分とする。以下、特定の素材について詳述する。
【0017】
・スグリ
スグリは、スグリ科スグリ属に分類される植物であり、その葉は生薬として、果実はゼリーやジャム等として利用されている。本発明においては、果実を使用するのが好ましい。本発明においては、例えば、セイヨウスグリ(グズベリー)、フサスグリ(アカスグリ)、クロスグリ(カシス)の果実が使用でき、好ましくはクロスグリ(カシス)である。クロスグリの果実は黒に近い濃紫色をしており、ビタミンCやアントシアニンを豊富に含んでいる。本発明において用いる際の加工方法は特に限定されず、果実の乾燥物、粉砕物又はその乾燥粉末(以下「粉砕末」とも言う)、搾汁物又はその乾燥粉末(以下「搾汁末」とも言う)、抽出物又はその乾燥粉末(以下「抽出末」とも言う)、顆粒、ペーストとして用いることができ、粉砕物又は粉砕末、搾汁又は搾汁末、抽出物又は抽出末が好ましく、炭と組み合わせることで炭の呈味果然効果、分散性向上効果、胆汁酸吸着能の向上効果が得られる点から、粉砕末、搾汁末、抽出末のような粉末であることが特に好ましい。
【0018】
・黒大豆
黒大豆は、マメ科ダイズ属に属する短日性の一年生草木の種子であり、アントシアニンを含む黒い種皮を有する。本発明で用いる際の形状は特に限定されず、生の状態のものを用いても良いし、焙煎、発酵等の加工がなされたものであってもよい。本発明においては、粉砕物、粉砕末、搾汁物、搾汁末、抽出物、抽出末であることが好ましく、粉砕末、搾汁末、抽出末が特に好ましい。また、炭と組み合わせることで炭の呈味果然効果、分散性向上効果、胆汁酸吸着能の向上効果が得られる点から、黒大豆を焙煎したものを粉砕した「きな粉」を用いることがとりわけ好ましい。
【0019】
・黒酢
黒酢は、醸造酢の一種であり、米や麦を発酵・熟成して生産される穀物酢に分類される。本発明に使用できる黒酢としては、米を原料とした米黒酢、大麦を原料とした大麦黒酢等が挙げられる。その中でも特に米、米麹、水を用いて生産される米黒酢が好ましい。本発明においては、例えば、液体、ペースト及び乾燥処理した粉末が挙げられる。ペーストや粉末とする場合、賦形剤を配合しても良い。本発明においては、炭と組み合わせることで炭の呈味果然効果、分散性向上効果、胆汁酸吸着能の向上効果が得られる点から、黒酢の乾燥粉末が好ましい。
【0020】
・高麗人参
高麗人参は、ウコギ科の高麗人参属に属する植物であり、御種人参(オタネニンジン)や朝鮮人参(チョウセンニンジン)とも呼ばれ、韓国や中国、日本等において約2,000年前から使われてきた生薬である。本発明で使用する高麗人参は、生の状態のものや、破砕、粉砕、抽出、乾燥、焙煎などの加工処理がなされたものであってもよい。本発明においては、粉砕末、搾汁及び搾汁末、抽出物及び抽出末のいずれかであることが好ましく、炭と組み合わせることで炭の呈味果然効果、分散性向上効果、胆汁酸吸着能の向上効果が得られる点から、粉砕末、搾汁末、抽出末が特に好ましい。
【0021】
・大麦茎葉
大麦茎葉は大麦から得られる茎及び/又は葉のことを言う。本発明に用いる大麦茎葉の形状は特に限定されず、例えば、粉砕物、粉砕末、搾汁物、搾汁末、抽出物、抽出末などが挙げられる。本発明においては、大麦茎葉の粉砕末、搾汁及び搾汁末、抽出物及び抽出末が好ましく、炭と組み合わせることで炭の呈味果然効果、分散性向上効果、胆汁酸吸着能の向上効果が得られる点から、粉砕末、搾汁末、抽出末が特に好ましい。
【0022】
本発明の組成物は、特定の素材を配合することにより、炭の呈味が改善された組成物である。特定の素材を配合することで、炭が有する独特の味(マイルド、えぐ味、苦味、酸味、甘味)、臭いが改善された組成物を得ることができる。本発明の組成とすることで、一般的な食品への炭の添加を容易にし、食品への炭の利用用途を拡大することができる。
【0023】
また、本発明の組成物は、特定の素材を配合することにより、水中での炭の分散性が改善された組成物である。特定の素材を配合することで、水不溶性の物質である炭が水中で均一に分布する組成物を得ることができる。本発明の組成とすることで、製造時の炭の分布を均一にすることを可能にし、炭の利用用途を拡大することができる。
【0024】
また、本発明の組成物は、特定の素材を配合することにより、炭の吸着作用が増強された飲食用組成物であって、胆汁酸を吸着することによりコレステロールの吸収を阻害し、血中コレステロール上昇抑制効果を有するものである。例えば、医薬品(医薬部外品を含む)や、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品等の所定機関より効能の表示が認められた機能性食品などのいわゆる健康食品や、一般的な食品、食品添加剤等として用いることができる。
【0025】
本発明の組成物は、血中コレステロール上昇抑制のために用いられる血中コレステロール上昇抑制用組成物として用いることができ、かかる血中コレステロール上昇抑制用食品としては、炭及び特定の素材を含有し、血中コレステロール上昇抑制に用いられる点において、製品として他の製品と区別することができるものであれば特に制限されるものではなく、例えば、本発明に係る製品の本体、包装、説明書、宣伝物のいずれかに血中コレステロール上昇抑制作用の機能がある旨を表示したものが本発明の範囲に含まれる。なお、本発明の血中コレステロール上昇抑制用組成物は、製品の包装等に、本発明における組合せの成分(炭及び特定の素材)が血中コレステロール上昇抑制用の有効成分として表示されているものに限られない。例えば、有効成分を特定していないものであってもよく、炭のみを有効成分として表示したものであってもよい。
【0026】
具体的に、本発明の血中コレステロール上昇抑制用組成物としては、医薬品(医薬部外品を含む)やいわゆる健康食品が挙げられ、いわゆる健康食品においては、「コレステロールの上昇を抑える」、「コレステロールが気になる方に」、「コレステロールの吸収を抑える」、「コレステロールが高めの方に」等の表示したものを例示することができる。
【0027】
本発明の組成物における炭及び特定の素材の含有量としては、その効果の奏する範囲で適宜含有させればよい。
【0028】
一般的には、本発明の組成物がサプリメントの場合、炭、特定の素材の合計量が乾燥質量換算で全体の0.1~100質量%含まれていることが好ましく、1~85質量%含まれていることがより好ましく、3~70質量%含まれていることがさらに好ましい。
【0029】
また、本発明の組成物が、例えばインスタント飲料のような粉末、顆粒状の組成物である場合、炭、特定の素材の合計量が乾燥質量換算で全体の0.0001~80質量%含まれていることが好ましく、0.0005~70質量%含まれていることがより好ましく、0.001~60質量%含まれていることがさらに好ましい。
【0030】
本発明の組成物の摂取量としては特に制限はないが、本発明の効果をより顕著に発揮させる観点から、1日当たりの本発明の成分の摂取量が、50mg/日以上となるように摂取することが好ましく、75mg/日以上となるように摂取することがより好ましく、100mg/日以上となるように摂取することがさらに好ましい。
【0031】
炭(A)及び特定の素材(B)の配合質量比としては、乾燥質量換算で、(A):(B)=0.5~2000:1の範囲であることが好ましく、0.75~1000:1の範囲であることがより好ましく、1~500:1の範囲であることがさらに好ましく、1~300:1の範囲であることが特に好ましい。(A)及び(B)の配合比が、上記範囲であることにより、炭の呈味や分散性を改善するとともに、血中コレステロール上昇抑制作用に優れた組成物を得ることができる。
【0032】
本発明の組成物は、必要に応じて、本発明の成分以外の他の成分(C)を添加して、公知の方法によって製造することができる。本発明の成分以外の他の成分としては、例えば、水溶性ビタミン(ビタミンB1、B2、B3、B5、B6、B12、B13、B15、B17、ビオチン、コリン、葉酸、イノシトール、PABA、ビタミンC、ビタミンP)、油溶性ビタミン(ビタミンA、D、E、K)等のビタミン類;カルシウム、マグネシウム、リン、鉄等のミネラル類;タウリン、ニンニク等に含まれる含硫化合物;ヘスペリジン、ケルセチン等のフラバノイド或いはフラボノイド類;コラーゲン等のタンパク質;ペプチド;アミノ酸;動物性油脂;植物性油脂;動物・植物の粉砕物又は抽出物等を挙げることができる。
【0033】
炭(A)、特定の素材(B)及び本発明の成分以外の他の成分(C)の配合質量比としては、乾燥質量換算で(A):(B):(C)=0.01~100:1:5~300の範囲であることが好ましく、0.1~50:1:10~200の範囲であることがより好ましく、0.5~10:1:25~150の範囲であることがさらに好ましく、1~10:1:50~100の範囲であることが特に好ましい。(A)、(B)及び(C)の配合比が、上記範囲であることにより、炭の呈味改善効果及び分散性改善効果をより有効に発揮することができる。
【実施例0034】
以下、実施例に基づき、本発明を説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではなく、本発明の課題を解決し得る限り、本発明は種々の態様を取ることができる。
【0035】
なお、被験物質用原料として、以下のものを用いた。
炭として、もみ殻由来の炭の粉末を用いた。
スグリとして、クロスグリの搾汁末を用いた。
黒大豆として、黒大豆きな粉を用いた。
黒酢として、黒酢の乾燥粉末を用いた。
高麗人参として、高麗人参のエタノール抽出末を用いた。
大麦茎葉として、大麦若葉の粉砕末を用いた。
【0036】
<官能評価>
各原料を、表1に示す割合で混合し、実施例1乃至14の粉状組成物を調製した。また、(A)を単独で添加した比較例1、(A)と、マスキング効果が知られるシクロデキストリンを配合した比較例2の粉状組成物を調製した。表1の単位はgである。調製した粉状組成物を100mLの飲料水に分散させ、飲料組成物を調製した。
【0037】
【0038】
該飲料組成物を被験者5人に摂取させ、表2の評価基準で官能評価を行った。評価項目は味(マイルド、えぐ味、苦味、酸味、甘味)、臭いとした。水を基準(0点)として、-3~3点の点数を付けて評価した。結果を
図1に示す。
【0039】
【0040】
図1に示すように、比較例1乃至2と比較して、(A)及び(B)を配合した実施例1乃至14において、味、臭いが改善されることが分かった。
【0041】
<水中分散性の評価>
表1に示した割合で調整した粉状組成物3.0gを、100mLの飲料水に添加した。30回撹拌した後、3分間静置して、水中分散性を観察した。分散性は、背景の黒い線が視認できるかを評価し、背景の黒い線が見えないものは「○」(分散性が良い)、黒い線が見えるものは「×」(分散性が悪い)と判断した。結果を表3及び
図2に示す。
【0042】
【0043】
表3及び
図2に示すとおり、比較例1乃至2と比較して、(A)及び(B)を配合した実施例1~14は、撹拌後の分散性が向上した。
【0044】
<胆汁酸吸着能試験>
各原料を表4に示すように配合し、実施例15乃至22及び比較例3乃至8の被験物質を調製した。
【0045】
【0046】
(サンプルの調製)
37℃に温めた食後人工腸液(FeSSIF:15mM タウロコール酸ナトリウム、3.75mM レシチン、144mM 酢酸 、101mM 水酸化ナトリウム、173mM 塩化ナトリウム、pH5.0)6mLに対して、被験物質を0.1%(W/V)濃度で加え、ボルテックスをした。その後、37℃恒温槽にて30分間100rpmで揺らしながら温めた。また、コントロールとして食後人工腸液6mLを37℃の恒温槽にて30分間100rpmで揺らしながら温めた。
【0047】
30分温めた後、2000rpmにて10分間遠心した。
【0048】
沈殿物(被験物質)を吸い取らないように、上清を3mLとり、上清に等量の酢酸エチルを添加し、30秒ボルテックスした。ボルテックス後、2000rpmにて10分間遠心した。
【0049】
液の上層1.5mLを新しい遠沈管に移し、遠心エバポレーターを用いて、乾固した。
【0050】
乾固物に2-プロパノール600μLを加え、10秒間ボルテックスした。ボルテックス後、10分間超音波により懸濁した。
【0051】
その後、800rpmにて3分間遠心し、上清を1.5mLチューブに回収し、サンプルを得た。
【0052】
(胆汁酸濃度の測定)
総胆汁酸テストワコーを用いて、以下の方法でサンプル中の胆汁酸濃度を測定した。
【0053】
サンプル25μLに酵素液62.5μLを加え、よく混和した後に37℃で10分間加温した。その後、反応停止液を62.5μL加え、よく混和し、560nmにおける吸光度を測定した。また、サンプル25μLに盲検用酵素液62.5μLを加えたものも同様に反応させ、サンプルのブランクとした。
【0054】
グリココール酸の濃度を10、20、30、40、50μmol/Lに調整した2-プロパノール溶液25μLに、酵素液62.5μLを加え、よく混和した後に37℃で10分間加温した。その後、反応停止液を62.5μL加え、よく混和し、560nmにおける吸光度を測定し、検量線を作成した。また、グリココール酸の濃度を10μmol/Lに調整した2-プロパノール溶液25μLに、活性を持たない盲検用酵素液62.5μLを加えたものも同様に反応させ、それを標準液のブランクとした。
【0055】
検量線より、サンプルの胆汁酸濃度(μmol/L)を算出し、コントロールを100%とした場合の相対値(%)を算出した。
【0056】
その結果を
図3乃至7に示す。
図3乃至6は、添加成分ごとに、「(A)の単独添加」、「(B)の単独添加」、「(A)+(B)添加」の結果を表す。
図7は「(A)の単独添加」、「(A)+複数種の(B)添加」の結果を表す。縦軸は、コントロールを100%としたときの、反応溶液中の胆汁酸割合を示す。
【0057】
図3乃至6に示すように、(A)と特定の素材を組み合わせることにより、(A)及び(B)の単独添加と比較して胆汁酸割合が減少したことから、吸着量が向上したことがわかった。また、
図7に示すように、(A)と複数種の(B)を組み合わせることで、胆汁酸の吸着性が相乗的に上昇することがわかった。
【0058】
[製造例1](錠剤の製造)
下記成分からなる錠剤(200mg/粒)を製造した。得られた錠剤について呈味を評価したところ、炭特有の味、臭いが改善されたものであった。また、得られた組成物は血中コレステロール上昇抑制作用が期待できるものであった。
【0059】
炭粉末(赤松由来) 3%
クロスグリ抽出末 0.1%
高麗人参搾汁末 0.01%
大麦若葉粉砕末 1%
還元麦芽糖 35%
ステアリン酸カルシウム 2%
二酸化ケイ素 1%
セルロース 57.89%
【0060】
[製造例2](顆粒剤の製造)
下記成分からなる顆粒剤を製造した。得られた顆粒剤について呈味を評価したところ、炭特有の味、臭いが改善されたものであった。また、得られた組成物は水中での分散性が向上していた。また、得られた組成物は血中コレステロール上昇抑制作用が期待できるものであった。
【0061】
炭粉末(竹由来) 3%
黒酢液粉砕末 0.01%
高麗人参抽出末 0.01%
大麦若葉抽出末 1%
香料 0.17%
還元パラチノース 6.67%
ヒロドキシプロピルセルロース 89.14%
【0062】
[製造例3](インスタント粉末飲料の製造)
下記成分からなるインスタント粉末飲料を製造した。得られたインスタント粉末飲料について呈味を評価したところ、炭特有の味、臭いが改善されたものであった。また、得られた組成物は飲料調製時の分散性が向上していた。また、得られた組成物は血中コレステロール上昇抑制作用が期待できるものであった。
【0063】
炭粉末(ヤシ殻由来) 3%
黒大豆きな粉 0.01%
高麗人参抽出末 0.01%
大麦若葉粉砕末 1%
アスパルテーム 1%
スクラロース 5%
リンゴ酸 0.5%
ビタミンミックス 1%
色素製剤 0.5%
香料 0.25%
ポリデキストロース 87.73%
本発明によれば、炭と、スグリ、黒大豆、黒酢、高麗人参、大麦若葉から選ばれる少なくとも1種とを組み合わせることで、炭の呈味改善、分散性の向上がもたらされ、飲食品における炭の用途を拡大することができる。さらに本発明の効果として、血中コレステロール上昇抑制作用という付加価値を持つ飲食用組成物を提供することができる。