(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023055888
(43)【公開日】2023-04-18
(54)【発明の名称】遺伝子操作された細胞を調製するための方法および組成物
(51)【国際特許分類】
C12N 5/10 20060101AFI20230411BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20230411BHJP
C12N 15/86 20060101ALI20230411BHJP
C12N 15/867 20060101ALI20230411BHJP
C12N 1/00 20060101ALI20230411BHJP
C12N 5/0783 20100101ALI20230411BHJP
A61K 35/17 20150101ALI20230411BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20230411BHJP
【FI】
C12N5/10
C12N15/12 ZNA
C12N15/86 Z
C12N15/867 Z
C12N1/00 B
C12N5/0783
A61K35/17
A61P37/02
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015156
(22)【出願日】2023-02-03
(62)【分割の表示】P 2020506981の分割
【原出願日】2018-08-09
(31)【優先権主張番号】62/543,359
(32)【優先日】2017-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516316897
【氏名又は名称】ジュノー セラピューティクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ボニハディ マーク エル.
(57)【要約】 (修正有)
【課題】細胞療法用のT細胞を調製するための方法、該方法によって作製される組成物、および対象へ該細胞を投与する方法を提供する。
【解決手段】本開示は、操作されたT細胞、例えば、遺伝子操作された受容体、例えば、組換えTCRおよびキメラ抗原受容体などの遺伝子操作された抗原受容体、または他の組換えキメラ受容体を発現する、操作されたT細胞の調製に関する。方法の特徴には、他の方法と比較してより一貫したかつ/もしくは予測可能なT細胞産物、および/またはより低い毒性を生じることが含まれる。提供される方法は、刺激条件下で細胞をインキュベートして、刺激された組成物において非ナイーブ様T細胞と比較してナイーブ様T細胞の増大または増殖を誘導する工程を含み、ナイーブ様T細胞に由来する細胞の優先的な形質導入をもたらす。方法の特徴にはまた、他の方法と比較した、費用、工程の数、および資源支出額の低減も含まれ得る。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a) 2~6日間、刺激条件下で、ナイーブ様T細胞および非ナイーブ様T細胞を含むT細胞の集団を含むインプット組成物をインキュベートする工程であって、該刺激条件が、TCR複合体の1つもしくは複数の構成要素の1つもしくは複数の細胞内シグナル伝達ドメインおよび/または1つもしくは複数の共刺激分子の1つもしくは複数の細胞内シグナル伝達ドメインを活性化することができる刺激試薬を含み、それによって、刺激された組成物を生成する、工程;ならびに
(b) 遺伝子操作された組換え受容体をコードする核酸を、前記刺激されたT細胞の組成物中に導入する工程であって、該導入する工程が、前記インキュベートする工程の少なくとも一部分の最中に実施される、工程
を含む、T細胞を遺伝子操作するための方法。
【請求項2】
2~6日間、刺激条件下で、ナイーブ様T細胞および非ナイーブ様T細胞を含むT細胞の集団を含むインプット組成物をインキュベートする工程を含む、T細胞を遺伝子操作するための方法であって、
前記刺激条件が、TCR複合体の1つもしくは複数の構成要素の1つもしくは複数の細胞内シグナル伝達ドメインおよび/または1つもしくは複数の共刺激分子の1つもしくは複数の細胞内シグナル伝達ドメインを活性化することができる刺激試薬の存在を含み、それによって、刺激された組成物を生成し;かつ
刺激条件下でインプット組成物をインキュベートする工程が、遺伝子操作された組換え受容体をコードする核酸を導入する工程の前に、その最中に、および/またはその後に行われる、
方法。
【請求項3】
前記インキュベートする工程が、少なくとも3日間実施される、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記インキュベートする工程が、少なくとも4日間実施される、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記インキュベートする工程が、少なくとも5日間実施される、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記インキュベートする工程が、少なくとも6日間実施される、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項7】
(a) 刺激条件下で、培養開始量のナイーブ様T細胞またはそのCD8+ T細胞サブセットを含むT細胞を含むインプット組成物をインキュベートし、それによって、刺激された組成物を生じさせる、インキュベートする工程であって、該刺激条件が、TCR複合体の1つもしくは複数の構成要素の1つもしくは複数の細胞内シグナル伝達ドメインおよび/または1つもしくは複数の共刺激分子の1つもしくは複数の細胞内シグナル伝達ドメインを活性化することができる刺激試薬の存在を含み、それによって、刺激された組成物を生成する、工程;ならびに
(b) 遺伝子操作された組換え受容体をコードする核酸を、前記刺激された細胞組成物中に導入する工程
を含む、T細胞を刺激するための方法であって、それによって、遺伝子操作された組換え受容体を発現するT細胞を含むアウトプット組成物を生成する、方法。
【請求項8】
前記T細胞が、ナイーブ様T細胞および非ナイーブ様T細胞を含み、前記刺激条件が、前記刺激された組成物において非ナイーブ様T細胞と比較してナイーブ様T細胞の増大または増殖を優先的に誘導する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記導入する工程が、前記インキュベートする工程の少なくとも一部分の最中に実施されるか、または前記インキュベートする工程の後に実施される、請求項7または請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記培養開始量のナイーブ様T細胞またはそのCD8+ T細胞サブセットが、0.1×108~5×108個または約0.1×108~5×108個、0.1×108~4×108個または約0.1×108~4×108個、0.1×108~2×108個または約0.1×108~2×108個、0.1×108~1×108個または約0.1×108~1×108個、1×108~5×108 個または約1×108~5×108 個、1×108~4×108個または約1×108~4×108個、1×108~2×108個または約1×108~2×108個、2×108~5×108個または約2×108~5×108個、2×108~4×108個または約2×108~4×108個のナイーブ様T細胞またはそのCD8+ T細胞サブセットである、請求項7~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記培養開始量のナイーブ様T細胞またはそのCD8+ T細胞サブセットが、少なくとも0.5×108個、0.75×108個、1×108個、1.5×108個、2×108個、もしくは4×108個のナイーブ様T細胞もしくはそのCD8+ T細胞サブセットであるか、または少なくとも約0.5×108個、0.75×108個、1×108個、1.5×108個、2×108個、もしくは4×108個のナイーブ様T細胞もしくはそのCD8+ T細胞サブセットであるか、または0.5×108個、0.75×108個、1×108個、1.5×108個、2×108個、もしくは4×108個のナイーブ様T細胞もしくはそのCD8+ T細胞サブセットであるか、または約0.5×108個、0.75×108個、1×108個、1.5×108個、2×108個、もしくは4×108個のナイーブ様T細胞もしくはそのCD8+ T細胞サブセットである、請求項7~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記培養開始量のナイーブ様T細胞またはそのCD8+ T細胞サブセットが、少なくとも2×108個のナイーブ様T細胞もしくはそのCD8+ T細胞サブセットであるか、または少なくとも約2×108個のナイーブ様T細胞もしくはそのCD8+ T細胞サブセットであるか、または2×108個のナイーブ様T細胞もしくはそのCD8+ T細胞サブセットであるか、または約2×108個のナイーブ様T細胞もしくはそのCD8+ T細胞サブセットである、請求項7~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
刺激条件下で、1×108~4×108個または約1×108~4×108個のナイーブ様T細胞またはそのCD8+ T細胞サブセットである培養開始量のナイーブ様T細胞またはそのCD8+ T細胞サブセットを含むT細胞を含むインプット組成物をインキュベートし、それによって、刺激された組成物を生じさせる、インキュベートする工程であって、該刺激条件が、TCR複合体の1つもしくは複数の構成要素の1つもしくは複数の細胞内シグナル伝達ドメインおよび/または1つもしくは複数の共刺激分子の1つもしくは複数の細胞内シグナル伝達ドメインを活性化することができる刺激試薬の存在を含み、それによって、刺激された組成物を生成する、工程
を含む、T細胞を刺激するための方法。
【請求項14】
前記T細胞が、ナイーブ様T細胞および非ナイーブ様T細胞を含み、前記刺激条件が、前記刺激された組成物において非ナイーブ様T細胞と比較してナイーブ様T細胞の増大または増殖を優先的に誘導する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記培養開始量のナイーブ様T細胞またはそのCD8+ T細胞サブセットが、少なくとも2×108個のナイーブ様T細胞もしくはそのCD8+ T細胞サブセットであるか、または少なくとも約2×108個のナイーブ様T細胞もしくはそのCD8+ T細胞サブセットであるか、または2×108個のナイーブ様T細胞もしくはそのCD8+ T細胞サブセットであるか、または約2×108個のナイーブ様T細胞もしくはそのCD8+ T細胞サブセットである、請求項13または請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記培養開始量が、ナイーブ様CD8+ T細胞の量である、請求項7~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記ナイーブ様T細胞またはナイーブ様CD8+ T細胞が、
CD45RA、CD27、CD28、およびCCR7からなる群より選択されるT細胞活性化マーカーについて表面陽性である;かつ/または
CD25、CD45RO、CD56、CD62L、KLRG1からなる群より選択されるマーカーについて表面陰性である;かつ/または
低発現のCD95を有する:かつ/または
IL-2、IFN-γ、IL-4、IL-10からなる群より選択されるサイトカインの細胞内発現について陰性である、
請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記ナイーブ様細胞またはナイーブ様CD8+細胞が、
CD45RA、CD27、CD28、およびCCR7からなる群より選択されるT細胞活性化マーカーについて表面陽性である;かつ/または
CD45RO、CD56、KLRG1からなる群より選択されるマーカーについて表面陰性である;かつ/または
低発現のCD95を有する、
請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記ナイーブ様T細胞またはナイーブ様CD8+細胞が、CD45RA+、CD27+、CCR7+、および/またはCD45RO-である、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記非ナイーブ様T細胞が、
CD45RA、CD27、CD28、およびCCR7からなる群より選択されるT細胞活性化マーカーについて表面陰性である;かつ/または
CD25、CD45RO、CD56、CD62L、KLRG1、およびパーフォリンからなる群より選択されるマーカーについて表面陽性である;かつ/または
IL-2、IFN-γ、IL-4、IL-10からなる群より選択されるサイトカインの細胞内発現について陽性である;かつ/または
高発現のCD95を有する、
請求項1~7、8~12、および14~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記非ナイーブ様T細胞が、CD45RA-、CD27-、CCR7-、および/またはCD45RO+である、請求項1~7、8~12、および14~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記インプット組成物の細胞が、前記インキュベーションの前に、ナイーブ様T細胞と非ナイーブ様T細胞とを区別する内在性T細胞表面マーカーに基づく選択工程に供されていないまたは供されない、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
遺伝子操作された組換え受容体を、前記刺激された細胞中に導入する工程をさらに含み、それによって、遺伝子操作された組換え受容体を発現するT細胞を含むアウトプット組成物を生成する、請求項13~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
刺激条件下で組成物をインキュベートする工程が、遺伝子操作された組換え受容体をコードする核酸を導入する工程の前に、その最中に、および/またはその後に行われる、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記組換え受容体が、
ある疾患、障害、または状態の、細胞または組織に関連している、それに特異的である、かつ/またはその上に発現している標的抗原
に結合することができる、請求項1~12および23~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記疾患、障害、または状態が、感染性疾患もしくは障害、自己免疫疾患、炎症性疾患、または腫瘍もしくはがんである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記標的抗原が腫瘍抗原である、請求項25または請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記標的抗原が、αvβ6インテグリン(avb6インテグリン)、B細胞成熟抗原(BCMA)、炭酸アンヒドラーゼ9(CAIX)、Her2/neu(受容体チロシンキナーゼerbB2)、L1-CAM、B7-H3、B7-H6、炭酸アンヒドラーゼ9(CA9;CAIXまたはG250としても知られる)、がん-精巣抗原、がん/精巣抗原1B(CTAG;NY-ESO-1およびLAGE-2としても知られる)、がん胎児性抗原(CEA)、およびB型肝炎表面抗原、抗葉酸受容体、サイクリン、サイクリンA2、C-Cモチーフケモカインリガンド1(CCL-1)、CD19、CD20、CD22、CD23、CD24、CD30、CD33、CD38、CD44、CD44v6、CD44v7/8、CD123、CD133、CD138、CD171、コンドロイチン硫酸プロテオグリカン4(CSPG4)、上皮成長因子タンパク質(EGFR)、上皮糖タンパク質2(EPG-2)、上皮糖タンパク質40(EPG-40)、エフリンB2、エフリン受容体A2(EPHa2)、erb-B2、erb-B3、erb-B4、erbB二量体、III型上皮成長因子受容体変異(EGFR vIII)、葉酸結合タンパク質(FBP)、Fc受容体様5(FCRL5;Fc受容体ホモログ5またはFCRH5としても知られる)、胎児アセチルコリン受容体(胎児AchR)、葉酸結合タンパク質(FBP)、葉酸受容体α、ガングリオシドGD2、O-アセチル化GD2(OGD2)、ガングリオシドGD3、グリピカン-3(GPC3)、Gタンパク質共役受容体5D(GPRC5D)、Her2/neu(受容体チロシンキナーゼerbB2)、Her3(erb-B3)、Her4(erb-B4)、erbB二量体、ヒト高分子量黒色腫関連抗原(HMW-MAA)、B型肝炎表面抗原、ヒト白血球抗原A1(HLA-A1)、ヒト白血球抗原A2(HLA-A2)、IL-22受容体α(IL-22R-α)、IL-13R-アルファ2(IL-13Rα2)、キナーゼインサートドメイン受容体(kdr)、κ軽鎖、ルイスY、L1細胞接着分子(L1-CAM)、L1-CAMのCE7エピトープ、ロイシンリッチリピート含有8ファミリーメンバーA(LRRC8A)、ルイスY、黒色腫関連抗原(MAGE)-A1、MAGE-A3、MAGE-A6、MAGE-A10、メソテリン(MSLN)、c-Met、マウスサイトメガロウイルス(CMV)、ムチン1(MUC1)、MUC16、ナチュラルキラーグループ2メンバーD(NKG2D)リガンド、メランA(MART-1)、神経細胞接着分子(NCAM)、胎児腫瘍性抗原、黒色腫の優先発現抗原(PRAME)、プロゲステロン受容体、前立腺特異抗原、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、受容体チロシンキナーゼ様オーファン受容体1(ROR1)、サバイビン、栄養膜糖タンパク質(TPBG;5T4としても知られる)、腫瘍関連糖タンパク質72(TAG72)、チロシナーゼ関連タンパク質1(TRP1;TYRP1またはgp75としても知られる)、チロシナーゼ関連タンパク質2(TRP2;ドパクロムトートメラーゼ、ドパクロムデルタ-イソメラーゼ、またはDCTとしても知られる)、葉酸受容体-a、8H9、二重抗原、糖タンパク質100(gp100)、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)、血管内皮増殖因子受容体2(VEGF-R2)、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、ウィルムス腫瘍1(WT-1)、病原体特異的または病原体発現抗原、およびユニバーサルタグに関連する抗原の中から選択される、請求項25~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記組換え受容体が、機能的非TCR抗原受容体もしくはTCRまたはその抗原結合断片であるかまたはそれを含む、請求項1~12および23~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記組換え受容体がキメラ抗原受容体(CAR)である、請求項1~12および23~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記組換え受容体が、標的抗原に特異的に結合する抗原結合ドメインを含む細胞外ドメインと、ITAMを含む細胞内シグナル伝達ドメインとを含む、請求項1~12および23~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記抗原結合ドメインが、抗体、または任意で一本鎖断片であるその抗体断片であるかまたはそれを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記細胞内シグナル伝達ドメインが、CD3鎖、任意でCD3-ゼータ(CD3ζ)鎖の細胞内シグナル伝達ドメイン、またはそのシグナル伝達部分であるかまたはそれを含む、請求項31または請求項32に記載の方法。
【請求項34】
細胞内シグナル伝達領域が、共刺激シグナル伝達領域をさらに含む、請求項31~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記共刺激シグナル伝達領域が、T細胞共刺激分子の細胞内シグナル伝達ドメインまたはそのシグナル伝達部分を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記共刺激シグナル伝達領域が、CD28、4-1BB、もしくはICOSの細胞内シグナル伝達ドメインまたはそのシグナル伝達部分を含む、請求項34または請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記CARが、抗原に特異的なscFv、膜貫通ドメイン、任意で4-1BBであるかもしくはそれを含む共刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメイン、および、任意でCD3ζシグナル伝達ドメインであるかもしくはそれを含む、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインを含み、かつ任意で、膜貫通ドメインとscFvとの間にスペーサーをさらに含む;
前記CARが、順番に、抗原に特異的なscFv、膜貫通ドメイン、任意で4-1BBシグナル伝達ドメインであるかもしくはそれを含む、共刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメイン、および、任意でCD3ζシグナル伝達ドメインである、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインを含む;または
前記CARが、順番に、抗原に特異的なscFv、スペーサー、膜貫通ドメイン、任意で4-1BBシグナル伝達ドメインである、共刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメイン、および、任意でCD3ζシグナル伝達ドメインであるかもしくはそれを含む、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインを含む、
請求項30~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記刺激試薬が、TCR複合体のメンバーに特異的に結合する一次作用物質を含む、請求項1~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記刺激試薬が、CD3に特異的に結合する一次試薬を含む、請求項1~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記一次作用物質が、抗体または抗原結合断片である、請求項38または請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記刺激物質が、T細胞共刺激分子に特異的に結合する二次作用物質をさらに含み、任意で、該共刺激分子が、CD28、CD137(4-1-BB)、OX40、またはICOSからなる群より選択される、請求項38または請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記一次作用物質が、抗体または抗原結合断片である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記刺激試薬が、抗CD3抗体である一次作用物質と、抗CD28抗体である二次作用物質とを含む、請求項1~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記一次物および/または二次物が、固体支持体の表面上に存在する、請求項38~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記固体支持体が、ビーズであるかまたはそれを含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記ビーズが、3.5μmよりも大きいかまたは約3.5μmよりも大きいが、約9μm以下または約8μm以下または約7μm以下または約6μm以下または約5μm以下の直径を含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記ビーズが、4.5μmのまたは約4.5μmの直径を含む、請求項45または請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記ビーズが、リンパ球または抗原提示細胞と同じサイズである直径、またはほぼ同じサイズである直径を含む、請求項45~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記ビーズが不活性である、請求項45~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記ビーズが、ポリスチレン表面であるかまたはそれを含む、請求項45~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記ビーズが、磁性または超常磁性コアを含む、請求項45~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記刺激条件が、1:1~10:1または約1:1~10:1、1:1~8:1または約1:1~8:1、1:1~6:1または約1:1~6:1、1:1~4:1または約1:1~4:1、1:1~3:1または約1:1~3:1、2:1~4:1または約2:1~4:1、2:1~3:1または約2:1~3:1、1:1~2:1または約1:1~2:1、4:1~10:1または約4:1~10:1、4:1~8:1または約4:1~8:1、4:1~6:1または約4:1~6:1、6:1~10:1または約6:1~10:1、6:1~8:1または約6:1~8:1、8:1~10:1または約8:1~10:1、1:1~1:10または約1:1~1:10、1:1~1:8または約1:1~1:8、1:1~1:6または約1:1~1:6、1:1~1:4または約1:1~1:4、1:2~1:3または約1:2~1:3であるビーズ対細胞の比で、細胞をインキュベートすることを含む、請求項45~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
(a) 2~6日間、刺激条件下で、ナイーブ様T細胞および非ナイーブ様T細胞を含むT細胞の集団を含むインプット組成物をインキュベートする工程であって、該刺激条件が、ビーズに付着している、抗CD3抗体と抗CD28抗体である二次作用物質とを含む刺激試薬を含み、該インキュベートする工程中のビーズ対細胞の比が、1:1~4:1または約1:1~4:1である、工程;ならびに
(b) 遺伝子操作された組換え受容体をコードする核酸を、前記刺激されたT細胞の組成物中に導入する工程であって、該導入する工程が、前記インキュベートする工程の少なくとも一部分の最中に実施される、工程
を含む、T細胞を遺伝子操作するための方法。
【請求項54】
2~6日間、刺激条件下で、ナイーブ様T細胞および非ナイーブ様T細胞を含むT細胞の集団を含むインプット組成物をインキュベートする工程を含む、T細胞を遺伝子操作するための方法であって、
前記刺激条件が、ビーズに付着している、抗CD3抗体と抗CD28抗体である二次作用物質とを含む刺激試薬を含み、前記インキュベートする工程中のビーズ対細胞の比が、1:1~4:1または約1:1~4:1であり;かつ
刺激条件下でインプット組成物をインキュベートする工程が、遺伝子操作された組換え受容体をコードする核酸を導入する工程の前に、その最中に、および/またはその後に行われる、方法。
【請求項55】
前記ビーズ対細胞の比が、3:1からまたは約3:1からである、請求項52~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記ビーズ対細胞の比が、1:1からまたは約1:1からである、請求項52~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記T細胞が、生物学的試料由来であり、任意で、該生物学的試料が、ヒト対象由来である、請求項1~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記生物学的試料が、全血試料、バフィーコート試料、末梢血単核細胞(PBMC)試料、未分画T細胞試料、リンパ球試料、白血球試料、アフェレーシス産物、または白血球アフェレーシス産物であるかまたはそれを含む、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記T細胞が、CD4+および/またはCD8+細胞を含む、請求項1~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記T細胞が、CD4+およびCD8+ T細胞を含み、かつCD4+対CD8+のT細胞の比が、2:1または約2:1~1:5または約1:5である、請求項1~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記T細胞が、CD4+およびCD8+ T細胞を含み、かつCD4+細胞対CD8+細胞の比が、1:1、1:2、2:1、1:3、もしくは3:1であるか、または約1:1、約1:2、約2:1、約1:3、もしくは約3:1である、請求項1~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記ナイーブ様T細胞が、ナイーブ様CD4+ T細胞および/またはナイーブ様CD8+ T細胞を含む、請求項1~61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記ナイーブ様T細胞がポリクローナルである、請求項1~62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記刺激条件が、N-アセチルシステイン(NAC)を含まない、請求項1~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記刺激条件が、IL-15および/またはIL-7を含まない、請求項1~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記刺激条件が、死または非ナイーブ様T細胞またはその亜集団を結果としてもたらすかまたは誘導する、請求項1~65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
前記刺激条件が、非ナイーブ様T細胞またはその亜集団の活性化誘導細胞死(AICD)を結果としてもたらす、請求項1~66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
前記インキュベーションの最中におよび/または前記刺激された組成物に、DNアーゼを添加する工程をさらに含む、請求項1~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
前記インキュベーションが、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、もしくは16日間よりも長く、または約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、もしくは約16日間実施される、請求項7~65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
前記刺激された組成物における、ナイーブ様T細胞に由来する細胞のパーセントが、前記インプット組成物におけるナイーブ様細胞のパーセントと比較して、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、50倍、100倍よりも大きく、または約1.5倍、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約7倍、約8倍、約9倍、約10倍、約50倍、約100倍よりも大きく増加している、請求項1~69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
前記刺激された組成物における、非ナイーブ様T細胞に由来する細胞と比較したナイーブ様T細胞に由来する細胞の比が、前記インプット組成物における非ナイーブ様T細胞と比較したナイーブ様T細胞の比と比較して、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、50倍、100倍よりも大きく、または約1.5倍、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約7倍、約8倍、約9倍、約10倍、約50倍、約100倍よりも大きく増加している、請求項1~70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
前記刺激された組成物が、75%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%よりも多くの、前記インプット組成物のナイーブ様T細胞に由来する細胞を含む、請求項1~71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
前記刺激された組成物が、10%未満の、非ナイーブ様T細胞に由来する細胞を含む、請求項1~72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
前記刺激された組成物が、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、または0.1%未満の、非ナイーブT細胞に由来する細胞を含む、請求項1~73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
前記インプット組成物における細胞のうち、非ナイーブ様T細胞と比較してより大きなパーセンテージのナイーブ様T細胞が、増殖するようにかつ/または活性化されるように誘導される、請求項1~74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
前記インプット組成物において非ナイーブ様であったT細胞のパーセンテージと比較してより大きなパーセンテージの、前記インプット組成物においてナイーブ様であったT細胞が、前記インキュベーションの開始後1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10日目に分裂している、請求項1~75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
前記刺激条件が、該条件下でのインキュベーションの開始後1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10日目に、ヒト非ナイーブ様T細胞と比較してより大きなパーセンテージの、ヒトナイーブ様T細胞集団の細胞の増殖を誘導することができる、請求項1~76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
(i) 非ナイーブ様T細胞が、エフェクターT(TEFF)細胞、メモリーT細胞、セントラルメモリーT細胞(TCM)、エフェクターメモリーT(TEM)細胞、およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるか、または(ii) 非ナイーブ様T細胞が、エフェクターT(TEFF)細胞および/もしくはメモリーT細胞を含むかもしくはそれからなる複数のT細胞であり、該メモリーT細胞がセントラルメモリーT細胞(TCM)および/もしくはエフェクターメモリーT(TEM)細胞を任意で含む、請求項1~77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
前記インプット組成物におけるナイーブ様T細胞のパーセンテージが、前記インプット組成物におけるナイーブ様T細胞に由来する、前記刺激された組成物における操作された細胞のパーセンテージより小さい、請求項1~78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
核酸が導入された細胞のうちのより大きなパーセンテージが、前記インプット組成物における非ナイーブ様T細胞と比較した、前記インプット組成物におけるナイーブ様T細胞であるか、またはその増殖に由来する、請求項1~12および23~79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
前記導入が、組換え受容体をコードする核酸を含むウイルスベクターでの形質導入による、請求項1~12および23~80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
前記ウイルスベクターが、レトロウイルスベクターである、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記ウイルスベクターが、レンチウイルスベクターまたはガンマレトロウイルスベクターである、請求項81または請求項82に記載の方法。
【請求項84】
前記刺激された組成物における非ナイーブ様T細胞と比較したナイーブ様T細胞の比が、前記インプット組成物における非ナイーブ様T細胞と比較したナイーブ様T細胞の比と比較して、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍 、7倍、8倍、9倍、10倍、50倍、100倍よりも大きく、または約1.5倍、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍 、約7倍、約8倍、約9倍、約10倍、約50倍、約100倍よりも大きく増加している、請求項1~83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
前記刺激された組成物が、前記インプット組成物と比較してよりポリクローナルまたはマルチクローナルである、請求項1~84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
インビトロまたはエクスビボで行われる、請求項1~85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
請求項1~86のいずれか一項に記載の方法によって作製される、アウトプット組成物。
【請求項88】
請求項87に記載のアウトプット組成物を含む、薬学的組成物。
【請求項89】
薬学的担体をさらに含む、請求項88に記載の薬学的組成物。
【請求項90】
請求項1~6のいずれか一項に記載の方法によって作製されるアウトプット組成物を、または請求項88もしくは請求項89に記載の薬学的組成物を、哺乳動物対象へ投与する工程を含む、処置の方法。
【請求項91】
細胞が、該細胞が投与される対象に由来する、請求項90に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、「METHODS AND COMPOSITIONS FOR PREPARING GENETICALLY ENGINEERED CELLS」と題する2017年8月9日に出願された米国特許仮出願第62/543,359号の優先権を主張し、その内容は全体が参照により組み入れられる。
【0002】
配列表の参照による組み入れ
本出願は、電子形式の配列表と共に提出されている。配列表は、サイズが35,434キロバイトである、2018年7月11日に作成された735042010540SEQLIST.txtと題するファイルとして提供される。配列表の電子形式の情報は、その全体が参照により組み入れられる。
【0003】
分野
本開示は、細胞療法用のT細胞を調製するための方法、該方法によって作製される組成物、および対象へ該細胞を投与する方法に関する。特に、本開示は、操作されたT細胞、例えば、遺伝子操作された受容体、例えば、操作された(組換え)TCRおよびキメラ抗原受容体(CAR)などの遺伝子操作された抗原受容体、または他の組換えキメラ受容体を発現する、操作されたT細胞の調製に関する。方法の特徴には、他の方法と比較してより一貫したかつ/もしくは予測可能なT細胞産物、および/またはより低い毒性を生じさせることが含まれる。提供される方法は、刺激条件下で細胞をインキュベートして、刺激された組成物において非ナイーブ様T細胞と比較してナイーブ様T細胞の増大または増殖を誘導する工程を含み、これは次に、ナイーブ様T細胞に由来する細胞の優先的な形質導入を結果としてもたらすことができる。方法の特徴にはまた、他の方法と比較した、費用、工程の数、および資源支出額の低減も含まれ得る。
【背景技術】
【0004】
背景
治療用途の細胞を調製するため、および細胞を投与するために、様々な方法が利用可能である。例えば、ある特定の亜集団の枯渇または濃縮を含む方法を含めて、操作および細胞療法のために、T細胞を含む細胞を調製するための方法が、利用可能である。例えば、ある特定の養子細胞療法施与に関連する毒性を低減させるため、製造プロセスを改善するため、改善された施与を可能にするため、および/または費用もしくは他の資源を低減させるために、改善された方法が必要とされる。そのような必要を満たす方法、細胞、組成物、キット、およびシステムが提供される。
【発明の概要】
【0005】
概要
2~6日間、刺激条件下で、ナイーブ様T細胞および非ナイーブ様T細胞を含むT細胞の集団を含むインプット組成物をインキュベートする工程であって、該刺激条件が、TCR複合体の1つもしくは複数の構成要素の1つもしくは複数の細胞内シグナル伝達ドメインおよび/または1つもしくは複数の共刺激分子の1つもしくは複数の細胞内シグナル伝達ドメインを活性化することができる刺激試薬を含み、それによって、刺激された組成物を生成する、工程;ならびに、遺伝子操作された組換え受容体をコードする核酸を、刺激されたT細胞の組成物中に導入する工程であって、該導入する工程が、インキュベートする工程の少なくとも一部分の最中に実施される、工程を含む、T細胞を遺伝子操作するための方法が、本明細書において提供される。
【0006】
2~6日間、刺激条件下で、ナイーブ様T細胞および非ナイーブ様T細胞を含むT細胞の集団を含むインプット組成物をインキュベートする工程を含む、T細胞を遺伝子操作するための方法であって、該刺激条件が、TCR複合体の1つもしくは複数の構成要素の1つもしくは複数の細胞内シグナル伝達ドメインおよび/または1つもしくは複数の共刺激分子の1つもしくは複数の細胞内シグナル伝達ドメインを活性化することができる刺激試薬の存在を含み、それによって、刺激された組成物を生成し;かつ、該刺激条件下でインプット組成物をインキュベートする工程が、遺伝子操作された組換え受容体をコードする核酸を導入する工程の前に、その最中に、および/またはその後に行なわれる方法が、本明細書において提供される。いくつかの態様において、インキュベートする工程は、少なくとも3日間実施される。いくつかの場合には、インキュベートする工程は、少なくとも4日間実施される。いくつかの態様において、インキュベートする工程は、少なくとも5日間実施される。いくつかの態様において、インキュベートする工程は、少なくとも6日間実施される。
【0007】
(a) 刺激条件下で、培養開始量のナイーブ様T細胞またはそのCD8+ T細胞サブセットを含有するT細胞を含有するインプット組成物をインキュベートし、それによって、刺激された組成物を生じさせる、インキュベートする工程;および(b) 遺伝子操作された組換え受容体をコードする核酸を、刺激された細胞組成物中に導入する工程を含む、T細胞を刺激するための方法であって、それによって、遺伝子操作された組換え受容体を発現するT細胞を含有するアウトプット組成物を生成する方法が、本明細書において提供される。いくつかの態様において、T細胞は、ナイーブ様T細胞および非ナイーブ様T細胞を含有し、刺激条件は、刺激された組成物において非ナイーブ様T細胞と比較して、ナイーブ様T細胞の増大または増殖を優先的に誘導する。いくつかの態様において、導入する工程は、インキュベートする工程の少なくとも一部分の最中に実施されるか、またはインキュベートする工程の後に実施される。
【0008】
いくつかの態様において、培養開始量のナイーブ様T細胞またはそのCD8+ T細胞サブセットは、0.1×108~5×108個または約0.1×108~5×108個、0.1×108~4×108個または約0.1×108~4×108個、0.1×108~2×108個または約0.1×108~2×108個、0.1×108~1×108個または約0.1×108~1×108個、1×108~5×108個または約1×108~5×108個、1×108~4×108個または約1×108~4×108個、1×108~2×108個または約1×108~2×108個、2×108~5×108個または約2×108~5×108個、2×108~4×108個または約2×108~4×108個のナイーブ様T細胞またはそのCD8+ T細胞サブセットである。いくつかの場合には、培養開始量のナイーブ様T細胞またはそのCD8+ T細胞サブセットは、少なくとも0.5×108個、0.75×108個、1×108個、1.5×108個、2×108個、もしくは4×108個のナイーブ様T細胞もしくはそのCD8+ T細胞サブセットであるか、または少なくとも約0.5×108個、0.75×108個、1×108個、1.5×108個、2×108個、もしくは4×108個のナイーブ様T細胞もしくはそのCD8+ T細胞サブセットであるか、または0.5×108個、0.75×108個、1×108個、1.5×108個、2×108個、もしくは4×108個のナイーブ様T細胞もしくはそのCD8+ T細胞サブセットであるか、または約0.5×108個、約0.75×108個、約1×108個、約1.5×108個、約2×108個、もしくは約4×108個のナイーブ様T細胞もしくはそのCD8+ T細胞サブセットである。いくつかの例において、培養開始量のナイーブ様T細胞またはそのCD8+ T細胞サブセットは、少なくとも2×108個のナイーブ様T細胞もしくはそのCD8+ T細胞サブセットであるか、または少なくとも約2×108個のナイーブ様T細胞もしくはそのCD8+ T細胞サブセットであるか、または2×108個のナイーブ様T細胞もしくはそのCD8+ T細胞サブセットであるか、または約2×108個のナイーブ様T細胞もしくはそのCD8+ T細胞サブセットである。
【0009】
刺激条件下で、1×108~4×108個または約1×108~4×108個のナイーブ様T細胞またはそのCD8+ T細胞サブセットの、培養開始量のナイーブ様T細胞またはそのCD8+ T細胞サブセットを含有するT細胞を含むインプット組成物をインキュベートし、それによって、刺激された組成物を生じさせる、インキュベートする工程を含む、T細胞を刺激するための方法が提供される。いくつかの局面において、T細胞は、ナイーブ様T細胞および非ナイーブ様T細胞を含有し、刺激条件は、刺激された組成物において非ナイーブ様T細胞と比較して、ナイーブ様T細胞の増大または増殖を優先的に誘導する。
【0010】
いくつかの態様において、培養開始量のナイーブ様T細胞またはそのCD8+ T細胞サブセットは、少なくとも2×108個のナイーブ様T細胞もしくはそのCD8+ T細胞サブセットであるか、または少なくとも約2×108個のナイーブ様T細胞もしくはそのCD8+ T細胞サブセットであるか、または2×108個のナイーブ様T細胞もしくはそのCD8+ T細胞サブセットであるか、または約2×108個のナイーブ様T細胞もしくはそのCD8+ T細胞サブセットである。いくつかの局面において、培養開始量は、ナイーブ様CD8+ T細胞の量である。
【0011】
いずれかのそのような態様のうちのいくつかにおいて、ナイーブ様T細胞またはナイーブ様CD8+ T細胞は、CD45RA、CD27、CD28、およびCCR7からなる群より選択されるT細胞活性化マーカーについて表面陽性であり;かつ/またはCD25、CD45RO、CD56、CD62L、KLRG1からなる群より選択されるマーカーについて表面陰性であり;かつ/または低発現のCD95を有し;かつ/またはIL-2、IFN-γ、IL-4、IL-10からなる群より選択されるサイトカインの細胞内発現について陰性である。いくつかの態様において、ナイーブ様細胞またはナイーブ様CD8+細胞は、CD45RA、CD27、CD28、およびCCR7からなる群より選択されるT細胞活性化マーカーについて表面陽性であり;かつ/またはCD45RO、CD56、KLRG1からなる群より選択されるマーカーについて表面陰性であり;かつ/または低発現のCD95を有する。いくつかの態様において、ナイーブ様T細胞またはナイーブ様CD8+細胞は、CD45RA+、CD27+、CCR7+、CD62-、および/またはCD45RO-である。
【0012】
いずれかのそのような態様のうちのいくつかにおいて、非ナイーブ様T細胞は、CD45RA、CD27、CD28、およびCCR7からなる群より選択されるT細胞活性化マーカーについて表面陰性であり;かつ/またはCD25、CD45RO、CD56、CD62L、KLRG1、およびパーフォリンからなる群より選択されるマーカーについて表面陽性であり;かつ/またはIL-2、IFN-γ、IL-4、IL-10からなる群より選択されるサイトカインの細胞内発現について陽性であり;かつ/または高発現のCD95を有する。いくつかの局面において、非ナイーブ様T細胞は、CD45RA-、CD27-、CCR7-、CD62+、および/またはCD45RO+である。
【0013】
いくつかの態様において、インプット組成物の細胞は、インキュベーションの前に、ナイーブ様T細胞と非ナイーブ様T細胞とを区別する内在性T細胞表面マーカーに基づく選択工程に供されておらず、かつ供されない。
【0014】
いくつかの態様において、方法は、遺伝子操作された組換え受容体を刺激された細胞中に導入する工程をさらに含み、方法はそれによって、遺伝子操作された組換え受容体を発現するT細胞を含むアウトプット組成物を生成する。いくつかの場合には、刺激条件下で組成物をインキュベートする工程は、遺伝子操作された組換え受容体をコードする核酸を導入する工程の前に、その最中に、および/またはその後に行われる。
【0015】
いくつかの態様において、組換え受容体は、ある疾患、障害、または状態の、細胞または組織に関連している、それに特異的である、かつ/またはその上に発現している標的抗原に結合することができる。いくつかの例において、疾患、障害、または状態は、感染性疾患もしくは障害、自己免疫疾患、炎症性疾患、または腫瘍もしくはがんである。いくつかの例において、標的抗原は腫瘍抗原である。いくつかの態様において、標的抗原は、αvβ6インテグリン(avb6インテグリン)、B細胞成熟抗原(BCMA)、炭酸アンヒドラーゼ9(CAIX)、Her2/neu(受容体チロシンキナーゼerbB2)、L1-CAM、B7-H3、B7-H6、炭酸アンヒドラーゼ9(CA9;CAIXまたはG250としても知られる)、がん-精巣抗原、がん/精巣抗原1B(CTAG;NY-ESO-1およびLAGE-2としても知られる)、がん胎児性抗原(CEA)、およびB型肝炎表面抗原、抗葉酸受容体、サイクリン、サイクリンA2、C-Cモチーフケモカインリガンド1(CCL-1)、CD19、CD20、CD22、CD23、CD24、CD30、CD33、CD38、CD44、CD44v6、CD44v7/8、CD123、CD133、CD138、CD171、コンドロイチン硫酸プロテオグリカン4(CSPG4)、上皮成長因子タンパク質(EGFR)、上皮糖タンパク質2(EPG-2)、上皮糖タンパク質40(EPG-40)、エフリンB2、エフリン受容体A2(EPHa2)、erb-B2、erb-B3、erb-B4、erbB二量体、III型上皮成長因子受容体変異(EGFR vIII)、葉酸結合タンパク質(FBP)、Fc受容体様5(FCRL5;Fc受容体ホモログ5またはFCRH5としても知られる)、胎児アセチルコリン受容体(胎児AchR)、葉酸結合タンパク質(FBP)、葉酸受容体α、ガングリオシドGD2、O-アセチル化GD2(OGD2)、ガングリオシドGD3、グリピカン-3(GPC3)、Gタンパク質共役受容体5D(GPRC5D)、Her2/neu(受容体チロシンキナーゼerbB2)、Her3(erb-B3)、Her4(erb-B4)、erbB二量体、ヒト高分子量黒色腫関連抗原(HMW-MAA)、B型肝炎表面抗原、ヒト白血球抗原A1(HLA-A1)、ヒト白血球抗原A2(HLA-A2)、IL-22受容体α(IL-22R-α)、IL-13R-アルファ2(IL-13Rα2)、キナーゼインサートドメイン受容体(kdr)、κ軽鎖、ルイスY、L1細胞接着分子(L1-CAM)、L1-CAMのCE7エピトープ、ロイシンリッチリピート含有8ファミリーメンバーA(LRRC8A)、ルイスY、黒色腫関連抗原(MAGE)-A1、MAGE-A3、MAGE-A6、MAGE-A10、メソテリン(MSLN)、c-Met、マウスサイトメガロウイルス(CMV)、ムチン1(MUC1)、MUC16、ナチュラルキラーグループ2メンバーD(NKG2D)リガンド、メランA(MART-1)、神経細胞接着分子(NCAM)、胎児腫瘍性抗原、黒色腫の優先発現抗原(PRAME)、プロゲステロン受容体、前立腺特異抗原、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、受容体チロシンキナーゼ様オーファン受容体1(ROR1)、サバイビン、栄養膜糖タンパク質(TPBG;5T4としても知られる)、腫瘍関連糖タンパク質72(TAG72)、チロシナーゼ関連タンパク質1(TRP1;TYRP1またはgp75としても知られる)、チロシナーゼ関連タンパク質2(TRP2;ドパクロムトートメラーゼ、ドパクロムデルタ-イソメラーゼ、またはDCTとしても知られる)、葉酸受容体-a、8H9、二重抗原、糖タンパク質100(gp100)、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)、血管内皮増殖因子受容体2(VEGF-R2)、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、ウィルムス腫瘍1(WT-1)、病原体特異的または病原体発現抗原、およびユニバーサルタグに関連する抗原の中から選択される。
【0016】
いくつかの態様において、組換え受容体は、機能的非TCR抗原受容体もしくはTCRまたはその抗原結合断片であるかまたはそれを含有する。いくつかの態様において、組換え受容体はキメラ抗原受容体(CAR)である。
【0017】
いずれかのそのような態様のうちのいくつかにおいて、組換え受容体は、抗原結合ドメインを含有する細胞外ドメインを含有し、任意で該抗原結合ドメインは、標的抗原に特異的に結合する。いくつかの場合には、抗原結合ドメインは、抗体、または任意で一本鎖断片であるその抗体断片であるかまたはそれを含有する。いくつかの局面において、断片は、フレキシブルリンカーによって連結された抗体可変領域を含有する。いくつかの例において、断片はscFvを含有する。
【0018】
いくつかの態様において、組換え受容体は、スペーサーおよび/またはヒンジ領域をさらに含有する。いくつかの局面において、組換え受容体は、細胞内シグナル伝達領域を含有する。いくつかの例において、細胞内シグナル伝達領域は、細胞内シグナル伝達ドメインを含有する。いくつかの局面において、細胞内シグナル伝達ドメインは、一次シグナル伝達ドメイン、T細胞において一次活性化シグナルを誘導することができるシグナル伝達ドメイン、T細胞受容体(TCR)構成要素のシグナル伝達ドメイン、および/または免疫受容体チロシン活性化モチーフ(ITAM)を含有するシグナル伝達ドメインであるかまたはそれを含有する。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3鎖、任意でCD3-ゼータ(CD3ζ)鎖の細胞内シグナル伝達ドメイン、またはそのシグナル伝達部分であるかまたはそれを含有する。
【0019】
いくつかの態様において、組換え受容体は、細胞外ドメインと細胞内シグナル伝達領域との間に配置された膜貫通ドメインをさらに含有する。いくつかの局面において、細胞内シグナル伝達領域は、共刺激シグナル伝達領域をさらに含有する。いくつかの態様において、共刺激シグナル伝達領域は、T細胞共刺激分子の細胞内シグナル伝達ドメインまたはそのシグナル伝達部分を含有する。いくつかの場合には、共刺激シグナル伝達領域は、CD28、4-1BB、もしくはICOSの細胞内シグナル伝達ドメインまたはそのシグナル伝達部分を含有する。いくつかの態様において、CARは、抗原に特異的なscFv、膜貫通ドメイン、任意で4-1BBであるかまたはそれを含む共刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメイン、および、任意でCD3ζシグナル伝達ドメインであるかまたはそれを含む、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインを含み、かつ任意で、膜貫通ドメインとscFvとの間にスペーサーをさらに含み;CARは、順番に、抗原に特異的なscFv、膜貫通ドメイン、任意で4-1BBシグナル伝達ドメインであるかまたはそれを含む、共刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメイン、および、任意でCD3ζシグナル伝達ドメインである、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインを含み;または、CARは、順番に、抗原に特異的なscFv、スペーサー、膜貫通ドメイン、任意で4-1BBシグナル伝達ドメインである、共刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメイン、および、任意でCD3ζシグナル伝達ドメインであるかまたはそれを含む、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインを含む。
【0020】
いくつかの態様において、共刺激シグナル伝達領域は、膜貫通ドメインと細胞内シグナル伝達領域との間にある。
【0021】
いずれかのそのような態様のうちのいくつかにおいて、刺激条件は、T細胞、CD4+ T細胞、および/もしくはCD8+ T細胞を活性化することができる刺激試薬とのインキュベーションを含み;TCR複合体を通してシグナルを誘導することができ;かつ/またはT細胞、CD4+ T細胞、および/もしくはCD8+ T細胞の増殖を誘導することができる。いくつかの態様において、刺激条件は、TCR複合体の1つもしくは複数の構成要素の1つもしくは複数の細胞内シグナル伝達ドメイン、および/または1つもしくは複数の共刺激分子の1つもしくは複数の細胞内シグナル伝達ドメインを活性化することができる刺激試薬とのインキュベーションを含む。いくつかの場合には、刺激試薬は、TCR複合体のメンバーに特異的に結合する、任意でCD3に特異的に結合する一次作用物質を含有する。いくつかの態様において、一次作用物質は、抗体または抗原結合断片である。
【0022】
いくつかの例において、刺激物質は、T細胞共刺激分子に特異的に結合する二次作用物質をさらに含み、任意で、該共刺激分子は、CD28、CD137(4-1-BB)、OX40、またはICOSからなる群より選択される。いくつかの態様において、一次作用物質は、抗体または抗原結合断片である。いくつかの態様において、一次作用物質および二次作用物質は、抗体を含み、任意で、1つまたは複数の刺激物質は、抗CD3抗体および抗CD28抗体とのインキュベーションを含む。
【0023】
いくつかの態様において、一次物および/または二次物は、固体支持体の表面上に存在する。いくつかの場合には、固体支持体は、ビーズであるかまたはそれを含有する。いくつかの態様において、ビーズは、3.5μmよりも大きいかまたは約3.5μmよりも大きいが、約9μm以下または約8μm以下または約7μm以下または約6μm以下または約5μm以下の直径を含有する。いくつかの例において、ビーズは、4.5μmまたは約4.5μmの直径を含有する。いくつかの局面において、ビーズは、リンパ球または抗原提示細胞と同じサイズである直径、またはほぼ同じサイズである直径を含有する。
【0024】
いくつかの態様において、ビーズは不活性である。いくつかの場合には、ビーズは、ポリスチレン表面であるかまたはそれを含有し、かつ任意で、磁性または超常磁性コアを含有する。
【0025】
いくつかの態様において、刺激条件は、1:1~10:1または約1:1~10:1、1:1~8:1または約1:1~8:1、1:1~6:1または約1:1~6:1、1:1~4:1または約1:1~4:1、1:1~3:1または約1:1~3:1、2:1~4:1または約2:1~4:1、2:1~3:1または約2:1~3:1、1:1~2:1または約1:1~2:1、4:1~10:1または約4:1~10:1、4:1~8:1または約4:1~8:1、4:1~6:1または約4:1~6:1、6:1~10:1または約6:1~10:1、6:1~8:1または約6:1~8:1、8:1~10:1または約8:1~10:1、1:1~1:10または約1:1~1:10、1:1~1:8または約1:1~1:8、1:1~1:6または約1:1~1:6、1:1~1:4または約1:1~1:4、1:2~1:3または約1:2~1:3であるビーズ対細胞の比で細胞をインキュベートすることを含む。いくつかの例において、ビーズ対細胞の比は、3:1からまたは約3:1からである。いくつかの態様において、ビーズ対細胞の比は、1:1からまたは約1:1からである。
【0026】
2~6日間、刺激条件下で、ナイーブ様T細胞および非ナイーブ様T細胞を含むT細胞の集団を含むインプット組成物をインキュベートする工程であって、該刺激条件が、ビーズに付着している、抗CD3抗体と抗CD28抗体である二次作用物質とを含む刺激試薬を含み、インキュベートする工程中のビーズ対細胞の比が、1:1~4:1または約1:1~4:1である、工程;ならびに、遺伝子操作された組換え受容体をコードする核酸を、刺激されたT細胞の組成物中に導入する工程であって、該導入する工程が、インキュベートする工程の少なくとも一部分の最中に実施される、工程を含む、T細胞を遺伝子操作するための方法が、本明細書において提供される。
【0027】
2~6日間、刺激条件下で、ナイーブ様T細胞および非ナイーブ様T細胞を含むT細胞の集団を含むインプット組成物をインキュベートする工程を含む、T細胞を遺伝子操作するための方法であって、該刺激条件が、ビーズに付着している、抗CD3抗体と抗CD28抗体である二次作用物質とを含む刺激試薬を含み、インキュベートする工程中のビーズ対細胞の比が、1:1~4:1または約1:1~4:1であり;かつ、刺激条件下でインプット組成物をインキュベートする工程が、遺伝子操作された組換え受容体をコードする核酸を導入する工程の前に、その最中に、および/またはその後に行われる方法が、本明細書において提供される。
【0028】
いずれかのそのような態様のうちのいくつかにおいて、T細胞は、生物学的試料由来であり、任意で該生物学的試料は、ヒト対象由来である。いくつかの場合には、生物学的試料は、全血試料、バフィーコート試料、末梢血単核細胞(PBMC)試料、未分画T細胞試料、リンパ球試料、白血球試料、アフェレーシス産物、または白血球アフェレーシス産物であるかまたはそれを含有する。
【0029】
いくつかの態様において、T細胞は、CD4+および/またはCD8+細胞を含有する。いくつかの態様において、T細胞は、CD4+およびCD8+ T細胞を含み、CD4+対CD8+ のT細胞の比は、2:1または約2:1~1:5または約1:5である。いくつかの場合には、CD4+細胞対CD8+細胞の比は、1:1、1:2、2:1、1:3、もしくは3:1であるか、または約1:1、約1:2、約2:1、約1:3、もしくは約3:1である。いくつかの態様において、ナイーブ様T細胞は、ナイーブ様CD4+ T細胞および/またはナイーブ様CD8+ T細胞を含む。
【0030】
いずれかのそのような態様のうちのいくつかにおいて、ナイーブ様T細胞はポリクローナルである。いくつかの場合には、ナイーブ様T細胞のクローン性は、クローンシーケンシング、任意で次世代シーケンシング、またはスペクトル型解析によって決定される。
【0031】
いくつかの態様において、ナイーブ様T細胞の存在、量、数、またはパーセンテージは、フローサイトメトリーによって検出される。
【0032】
いずれかのそのような態様のうちのいくつかにおいて、刺激条件は、N-アセチルシステイン(NAC)を含まない。いくつかの態様において、刺激条件は、IL-15および/またはIL-7を含有しない。いくつかの態様において、刺激条件は、死または非ナイーブ様T細胞またはその亜集団を結果としてもたらすかまたは誘導する。いくつかの局面において、刺激条件は、非ナイーブ様T細胞またはその亜集団の活性化誘導細胞死(AICD)を結果としてもたらす。
【0033】
いくつかの態様において、方法は、インキュベーションの最中にかつ/または刺激された組成物にDNアーゼを添加する工程をさらに含む。
【0034】
いくつかの態様において、インキュベーションは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、もしくは16日間よりも長く、または約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、もしくは約16日間実施される。いくつかの態様において、刺激された組成物における、ナイーブ様T細胞に由来する細胞のパーセントは、インプット組成物におけるナイーブ様細胞のパーセントと比較して1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、50倍、100倍よりも大きく、または約1.5倍、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約7倍、約8倍、約9倍、約10倍、約50倍、約100倍よりも大きく増加している。いくつかの態様において、刺激された組成物における、非ナイーブ様T細胞に由来する細胞と比較したナイーブ様T細胞に由来する細胞の比は、インプット組成物における非ナイーブ様T細胞と比較したナイーブ様T細胞の比と比較して1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、50倍、100倍よりも大きく、または約1.5倍、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約7倍、約8倍、約9倍、約10倍、約50倍、約100倍よりも大きく増加している。
【0035】
いくつかの場合には、刺激された組成物は、75%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%よりも多くの、インプット組成物のナイーブ様T細胞に由来する細胞を含有する。いくつかの態様において、刺激された組成物は、10%未満の、非ナイーブ様T細胞に由来する細胞を含有する。いくつかの例において、刺激された組成物は、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、または0.1%未満の、非ナイーブT細胞に由来する細胞を含有する。
【0036】
いくつかの態様において、インプット組成物における細胞のうち、非ナイーブ様T細胞と比較してより大きなパーセンテージのナイーブ様T細胞が、増殖するようにかつ/または活性化されるように誘導される。いくつかの局面において、インプット組成物において非ナイーブ様であったT細胞のパーセンテージと比較してより大きなパーセンテージの、インプット組成物においてナイーブ様であったT細胞が、前記インキュベーションの開始後1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10日目に分裂している。いくつかの場合には、刺激条件は、条件下でのインキュベーションの開始後1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10日目に、ヒト非ナイーブ様T細胞と比較してより大きなパーセンテージの、ヒトナイーブ様T細胞集団の細胞の増殖を誘導することができる。
【0037】
いずれかのそのような態様のうちのいくつかにおいて、非ナイーブ様T細胞は、エフェクターT(TEFF)細胞、メモリーT細胞、セントラルメモリーT細胞(TCM)、エフェクターメモリーT(TEM)細胞、およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるか;または、非ナイーブ様T細胞は、エフェクターT(TEFF)細胞および/もしくはメモリーT細胞を含むかもしくはそれからなる複数のT細胞であり、該メモリーT細胞は、セントラルメモリーT細胞(TCM)および/もしくはエフェクターメモリーT(TEM)細胞を任意で含有する。
【0038】
いくつかの態様において、インプット組成物におけるナイーブ様T細胞のパーセンテージは、インプット組成物におけるナイーブ様T細胞に由来する、刺激された組成物における操作された細胞のパーセンテージより小さい。いくつかの態様において、核酸が導入された細胞のうちのより大きなパーセンテージは、インプット組成物における非ナイーブ様T細胞と比較した、インプット組成物におけるナイーブ様T細胞であるか、またはその増殖に由来する。
【0039】
いずれかのそのような態様のうちのいくつかにおいて、導入は形質導入による。いくつかの態様において、核酸はウイルスベクターを含有する。いくつかの場合には、ウイルスベクターはレトロウイルスベクターである。いくつかの局面において、ウイルスベクターは、レンチウイルスベクターまたはガンマレトロウイルスベクターである。いくつかの態様において、導入は、核酸分子を含有するトランスポゾンの転位による。いくつかの態様において、刺激された組成物における非ナイーブ様T細胞と比較したナイーブ様T細胞の比は、インプット組成物における非ナイーブ様T細胞と比較したナイーブ様T細胞の比と比較して1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、50倍、100倍よりも大きく、または約1.5倍、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約7倍、約8倍、約9倍、約10倍、約50倍、約100倍よりも大きく増加している。いくつかの態様において、刺激された組成物は、インプット組成物と比較してよりポリクローナルまたはマルチクローナルである。いくつかの態様において、方法は、インビトロまたはエクスビボで行われる。
【0040】
本明細書に提供される方法のいずれかによって作製される、アウトプット組成物が提供される。また、記載されるアウトプット組成物を含有する薬学的組成物も提供される。いくつかの態様において、薬学的組成物は、薬学的担体をさらに含有する。
【0041】
記載される方法のいずれかによって作製されるアウトプット組成物または記載される薬学的組成物のいずれかを哺乳動物対象へ投与する工程を含む、処置の方法が提供される。いくつかの態様において、細胞は、細胞が投与される対象に由来する。
【発明を実施するための形態】
【0042】
詳細な説明
養子細胞療法用の細胞を調製するプロセスにおいて細胞をインキュベートする(例えば、刺激する)ための方法、ならびに該方法によって作製される組成物および細胞が、本明細書において提供される。いくつかの態様において、細胞は、いくつかの局面において遺伝子操作された抗原受容体を発現する、T細胞を含む。いくつかの態様において、遺伝子操作された抗原受容体は、遺伝子操作されたかまたは組換えのT細胞受容体(TCR)および機能的非TCR抗原受容体、例えばキメラ抗原受容体(CAR)を含む。
【0043】
いくつかの態様において、T細胞をインキュベートする(例えば、刺激する)ための方法が提供される。利用可能な方法は、T細胞の刺激のために抗CD3および抗CD28を使用している。しかし、現在利用可能な方法は、インキュベートプロセスを通して細胞の特異的な標的集団を得ること、およびより望ましいT細胞の集団およびその有益な結果を生じさせることに焦点を合わせていない。利用可能な方法はまた、インキュベートプロセスにおけるインプットT細胞集団からの望ましくないかつ特異的なT細胞集団の排除もその有益な結果も、結果としてもたらさない。さらに、利用可能な方法は、インキュベーションプロセス中のT細胞集団から、遺伝子操作された組換え受容体を発現するT細胞を含むアウトプット組成物を生成するために用いられる亜集団を排除するように設計されていない。利用可能な方法はまた、遺伝子操作、投薬、および/または臨床応答にとって有益である、より一貫したかつ/または予測可能なT細胞の集団を生じさせることを含む有益性を説明していない。
【0044】
いくつかの局面において、提供される態様は、他の刺激法と比較して増加した数の、より均一なかつ/または予測可能なT細胞の組成物を生成する方法を提供し、いくつかの局面において、望ましくないT細胞の集団、例えば、その存在が、効力、有効性、および安全性を予測することが難しいそのような不均一性を最終産物にもたらし得る細胞の削減または排除をさらに提供する。いくつかの態様において、提供される方法は、そのような遺伝子操作された細胞の多数または大部分が非ナイーブ様T細胞に由来する、遺伝子操作されたT細胞の生成に関する問題に対処する。いくつかの局面において、存続の欠如、消耗、およびまたは/または毒性に関する問題が、非ナイーブ様T細胞に由来する遺伝子操作された細胞を含有する、かつ/または非ナイーブ様T細胞に由来する遺伝子操作された細胞のパーセンテージもしくは数がある特定の閾値よりも上である、組成物を含む養子T細胞療法に関連し得る。いくつかの態様において、ナイーブ様細胞に由来する細胞が濃縮されている遺伝子操作されたT細胞組成物を結果としてもたらす方法は、健常細胞のパーセンテージの、および/またはそのようなナイーブ様細胞がそれほど濃縮されていない他の方法と比較して増加した存続を示す組成物における細胞の全体的な増加に関する特徴を示すことができる。
【0045】
したがって、本明細書に提供される養子療法用の操作されたT細胞を調製するための方法の中には、非ナイーブ様T細胞に由来する(またはCD27-、CD45RA-、CCR7-、CD62L+、もしくはCD45RO+ T細胞に由来する)細胞と比較してナイーブ様T細胞に由来する(またはCD27+、CD45RA+、CCR7+、CD62L-、もしくはCD45RO- T細胞に由来する)細胞の優先的な増大もしくは増殖、または遺伝子操作を結果としてもたらす条件を用いるものがある。いくつかの態様において、方法は、インプット組成物のナイーブ様T細胞に由来する細胞を含有する刺激された組成物を優先的に生じさせる刺激条件下で、ナイーブ様T細胞を含有するインプット組成物におけるT細胞をインキュベートする工程を含む。いくつかの局面において、T細胞集団は、ナイーブ様T細胞および非ナイーブ様T細胞両方の混合物を含有する。いくつかの態様において、刺激条件は、ナイーブ様T細胞と比較して非ナイーブ様T細胞における応答を優先的に誘導する。いくつかの場合には、応答は、非ナイーブ様T細胞の優先的な活性化を含み、これは、いくつかの態様において、細胞死をもたらし得る。
【0046】
いくつかの態様において、方法は、TCR複合体の1つもしくは複数の構成要素の1つもしくは複数の細胞内シグナル伝達ドメインおよび/または1つもしくは複数の共刺激分子の1つもしくは複数の細胞内シグナル伝達ドメインを活性化することができる刺激物質とのインキュベーションを含む刺激条件下で、細胞をインキュベートする工程を含む。いくつかの場合には、一次作用物質は、CD3に特異的に結合し、かつ/または共刺激分子は、CD28、CD137(4-1-BB)、OX40、もしくはICOSからなる群より選択される。例えば、いくつかの態様において、一次作用物質は、抗CD3であるかまたはそれを含み、二次作用物質は、抗CD28であるかまたはそれを含む。いくつかの場合には、一次作用物質および二次作用物質は、抗体を含み、かつ/または固体支持体の表面上に存在する。いくつかの例において、固体支持体はビーズである。
【0047】
いくつかの態様において、刺激条件は、インプット組成物の細胞をそのような刺激試薬、例えば、抗CD3/抗CD28ビーズとインキュベートすることを含み、ビーズ対細胞の比は、1:1~10:1または約1:1~10:1、1:1~8:1または約1:1~8:1、1:1~6:1または約1:1~6:1、1:1~4:1または約1:1~4:1、1:1~3:1または約1:1~3:1、4:1~10:1または約4:1~10:1、4:1~8:1または約4:1~8:1、4:1~6:1または約4:1~6:1、6:1~10:1または約6:1~10:1、6:1~8:1または約6:1~8:1、8:1~10:1または約8:1~10:1、1:1~1:10または約1:1~1:10、1:1~1:8または約1:1~1:8、1:1~1:6または約1:1~1:6、1:1~1:4または約1:1~1:4、1:2~1:3または約1:2~1:3である。いくつかの具体例において、ビーズ対細胞の比は、3:1からまたは約3:1からである。いくつかの場合には、ビーズ対細胞の比は、1:3からまたは約1:3からである。
【0048】
方法は概して、刺激されたT細胞の組成物の遺伝子操作のための工程をさらに含む。遺伝子操作は、最初のインキュベーションの開始に続いてもしくはその後の任意の時点で、および/またはインキュベーションと同時に、刺激された組成物に対して実施または開始されてもよい。いくつかの態様において、細胞は、そのような遺伝子操作された分子をコードする核酸と、核酸が導入されて遺伝子操作された分子が組成物中の細胞において発現され、それによってアウトプット組成物を生成するように、インキュベートされる。遺伝子操作された分子の中には、タンパク質、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)、およびリガンド結合細胞外部分と細胞内シグナル伝達部分とを有するキメラ受容体などの他の組換え受容体を含む、遺伝子操作された抗原受容体がある。
【0049】
また、記載される方法において用いられるかまたはそれによって生成される、培養開始組成物、刺激された組成物、およびアウトプット組成物も提供される。また、そのような組成物および細胞の、がん患者を含むその必要がある対象への投与を含む方法も提供される。さらに、本明細書に記載される方法のいずれかによって作製される組成物および/または細胞を含むキットが提供される。
【0050】
方法は、有利であることができ、かつより望ましい産物を作製することができる。いくつかの態様において、提供される方法は、より一貫した製造プロセスを可能にする。いくつかの態様において、提供される方法は、細胞を操作する後期の工程において、より均一な形質導入および/または増大を結果としてもたらす細胞を作製する。いくつかの態様において、より均一な形質導入および/または増大は、製造プロセスを通してより予測可能であるT細胞産物をもたらすことができる。いくつかの場合には、T細胞産物は、対象への投与のためにより一貫して投薬することができる。そのような特徴は、いくつかの状況で、養子細胞療法後の対象において、潜在的な毒性ならびに/または関連するアウトカムおよび症状を低減させるかまたは阻止する可能性がある。
【0051】
本出願において言及される特許文書、科学論文、およびデータベースを含むすべての刊行物は、あたかも各々個々の刊行物が個別に参照により組み入れられるのと同じ程度に、すべての目的でその全体が参照により組み入れられる。本明細書において示される定義が、参照により本明細書に組み入れられる特許、出願、公開出願、および他の刊行物において示される定義と相反するか、またはさもなければ矛盾する場合は、本明細書において示される定義が、参照により本明細書に組み入れられる定義よりも優先される。
【0052】
本明細書において用いられる節の見出しは、組織化の目的だけのものであり、記載されている主題を限定すると解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図1A】
図1A~1Dは、ビーズベースの刺激試薬(ビーズ)、ビーズベースの刺激試薬および基本培地におけるインキュベーション(ビーズ-基本培地)、またはオリゴマー刺激試薬(オリゴマー)を含む増大プロセスおよび非増大プロセスから生成されたCAR+ T細胞組成物由来の結果を図示する。
図1Aは、CCR7およびCD27の両方が陽性のCD4+およびCD8+ T細胞のパーセンテージを図示する。
【
図1B】
図1A~1Dは、ビーズベースの刺激試薬(ビーズ)、ビーズベースの刺激試薬および基本培地におけるインキュベーション(ビーズ-基本培地)、またはオリゴマー刺激試薬(オリゴマー)を含む増大プロセスおよび非増大プロセスから生成されたCAR+ T細胞組成物由来の結果を図示する。
図1Bは、CD4+CAR+ T細胞に対するCCR7+CD27+細胞のパーセンテージを図示する。
【
図1C】
図1A~1Dは、ビーズベースの刺激試薬(ビーズ)、ビーズベースの刺激試薬および基本培地におけるインキュベーション(ビーズ-基本培地)、またはオリゴマー刺激試薬(オリゴマー)を含む増大プロセスおよび非増大プロセスから生成されたCAR+ T細胞組成物由来の結果を図示する。
図1Cは、CD8+CAR+ T細胞に対するCCR7+CD27+細胞のパーセンテージを図示する。
【
図1D】
図1A~1Dは、ビーズベースの刺激試薬(ビーズ)、ビーズベースの刺激試薬および基本培地におけるインキュベーション(ビーズ-基本培地)、またはオリゴマー刺激試薬(オリゴマー)を含む増大プロセスおよび非増大プロセスから生成されたCAR+ T細胞組成物由来の結果を図示する。
図1Dは、1日目の活性化(d1 AMAT)、2日目の形質導入(d2 XMAT)、および培養の開始後の様々な時間(d4 INOC+2、d6 INOC+4、d7 INOC+5)を含む、製造のプロセス中の様々な日の増大プロセス由来の代表的なドナーから生成されたCCR7+CD27+細胞のパーセンテージを示す。
【
図2A】
図2A~2Dは、ある特定の閾値レベルよりも上またはそれよりも下である、あるパーセンテージのCCR7
+CD27
+CAR
+ T細胞をCD4
+CAR
+ T細胞の中で含有する組成物を投与された群に分けられた、CAR
+ T細胞組成物を投与された対象についてのカプラン・マイヤー生存曲線(
図2Aは無憎悪生存期間に対して)を示す。
【
図2B】
図2A~2Dは、ある特定の閾値レベルよりも上またはそれよりも下である、あるパーセンテージのCCR7
+CD27
+CAR
+ T細胞をCD8
+CAR
+ T細胞の中で含有する組成物を投与された群に分けられた、CAR
+ T細胞組成物を投与された対象についてのカプラン・マイヤー生存曲線(
図2Bは無憎悪生存期間に対して)を示す。
【
図2C】
図2A~2Dは、ある特定の閾値レベルよりも上またはそれよりも下である、あるパーセンテージのCCR7
+CD27
+CAR
+ T細胞をCD4
+CAR
+ T細胞の中で含有する組成物を投与された群に分けられた、CAR
+ T細胞組成物を投与された対象についてのカプラン・マイヤー生存曲線(
図2Cは奏効の期間に対して)を示す。
【
図2D】
図2A~2Dは、ある特定の閾値レベルよりも上またはそれよりも下である、あるパーセンテージのCCR7
+CD27
+CAR
+ T細胞をCD8
+CAR
+ T細胞の中で含有する組成物を投与された群に分けられた、CAR
+ T細胞組成物を投与された対象についてのカプラン・マイヤー生存曲線(
図2Dは奏効の期間に対して)を示す。
【
図3】
図3は、操作前の単離されたCD4+およびCD8+ T細胞組成物(CMAT)の、ならびに操作後のCD4+およびCD8+治療用CAR+ T細胞組成物のT細胞クローン性を示す(シャノン指数を適用した)。
【0054】
I. T細胞をインキュベートする(例えば、刺激する)ための方法
養子細胞療法用の細胞を調製するプロセスにおいて、細胞をインキュベートする(例えば、刺激する)ための方法、ならびに該方法によって作製される組成物および細胞が、本明細書において提供される。いくつかの態様において、細胞は、典型的には、いくつかの態様において遺伝子操作された抗原受容体、例えば、遺伝子操作されたかまたは組換えのT細胞受容体(TCR)および機能的非TCR抗原受容体、例えばキメラ抗原受容体(CAR)を発現する、T細胞を含む。
【0055】
いくつかの態様において、刺激条件下で、ナイーブ様T細胞および非ナイーブ様T細胞を含むT細胞の集団を含有するインプット組成物をインキュベートする工程であって、該インプット組成物が、培養開始量のナイーブ様T細胞またはそのCD8+ T細胞サブセットを含有し、それによって、刺激された組成物を生じさせる、工程を含む、T細胞をインキュベートする(例えば、刺激する)ための方法が提供される。いくつかの局面において、刺激条件は、刺激された組成物において非ナイーブ様T細胞と比較して、ナイーブ様T細胞の増大または増殖を優先的に誘導する。いくつかの態様において、方法は、遺伝子操作された組換え受容体をコードする核酸を、刺激された細胞組成物中に導入する工程をさらに含み、該方法はそれによって、遺伝子操作された組換え受容体を発現するT細胞を含むアウトプット組成物を生成する。いくつかの局面において、導入する工程は、インキュベートする工程の少なくとも一部分の最中に実施されるか、またはインキュベートする工程の後に実施される。いくつかの態様において、インプット組成物の細胞は、インキュベーションの前に、ナイーブ様T細胞と非ナイーブ様T細胞とを区別する内在性T細胞表面マーカーに基づく選択工程に供されていないか、または供されない。
【0056】
提供される方法のいくつかの態様において、遺伝子操作された組換え受容体をコードする核酸を導入する工程は、遺伝子操作された組換え受容体をコードする核酸を導入する工程の前に、その最中に、および/またはその後に行われる。いくつかの態様において、方法は、遺伝子操作された組換え受容体をコードする核酸を導入する工程の前に、刺激条件下で組成物をインキュベートする工程を含む。いくつかの場合には、方法は、遺伝子操作された組換え受容体をコードする核酸を導入する工程の最中に、刺激条件下で組成物をインキュベートする工程を含む。いくつかの態様において、方法は、遺伝子操作された組換え受容体をコードする核酸を導入する工程の後に、刺激条件下で組成物をインキュベートする工程を含む。
【0057】
ある特定の態様において、刺激条件は、細胞表面部分に結合する1つまたは複数の作用物質がそれに付着している、磁性ビーズなどの表面を含む。1つの態様において、表面には、少なくとも抗CD3抗体が付着している。別の態様において、表面には、抗CD3および/または抗CD28抗体が付着している。いくつかの態様において、インプット組成物におけるT細胞の少なくとも1つの集団のうちの少なくとも実質的な一部分は、おおよそインキュベートする工程の後に欠失している。1つの態様において、刺激条件における細胞対ビーズの比は、約50:1~約5:1である。ある特定の態様において、比は約100:1~約1:1である。いくつかの態様において、比は約1:1~1:50である。ある特定の態様において、比は、少なくとも約40:1、35:1、30:1、25:1、20:1、15:1、14:1、13:1、12:1、11:1、10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、または1:10である。1つの特定の態様において、比は、約3:1である。1つの特定の態様において、比は約1:3である。
【0058】
本明細書に提供される方法のいくつかの態様において、培養条件は、ナイーブ様T細胞と比較して、非ナイーブ様T細胞の増殖、刺激、および/または活性化を優先的に誘導する。いくつかの態様において、インキュベートする(例えば、刺激する)方法は、インプット組成物のナイーブ様T細胞に由来する所望の数の細胞から構成される所望のアウトプット組成物を生成する。本明細書に記載されるT細胞を刺激する方法を用いるいくつかの態様において、インプット組成物における細胞のうち、非ナイーブ様T細胞と比較してより大きいパーセンテージのナイーブ様T細胞が、増殖するように誘導され、かつ/または増大する。いくつかの局面において、本明細書に記載される刺激する方法から結果として生じる刺激された組成物は、10%未満の、非ナイーブ様T細胞に由来する細胞を含有する。いくつかの例において、刺激された組成物は、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、または0.1%未満の、非ナイーブT細胞に由来する細胞を含有する。いくつかの態様において、インプット組成物において非ナイーブ様であったT細胞のパーセンテージと比較してより大きなパーセンテージの、インプット組成物においてナイーブ様であったT細胞は、前記インキュベーションの開始後1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10日目に分裂している。いくつかの場合には、T細胞を刺激するための方法の刺激条件は、細胞の特定の亜集団において細胞死を誘導する。特定の例において、方法の刺激条件は、非ナイーブ様T細胞の活性化を誘導し、それによって、活性化誘導細胞死(AICD)を誘導する。
【0059】
1つの局面において、方法は、インプット組成物の非ナイーブ様T細胞を優先的に活性化し、それによって、インプット組成物の非ナイーブ様T細胞の細胞死を誘導し、それによって、インプット組成物の非ナイーブ様細胞に由来するT細胞を、刺激された組成物から排除する。同時に、残った所望の細胞、例えば、インプット組成物のナイーブ様T細胞に由来する細胞は、活性化され、生き延び、かつ増大するように刺激され、それによって、不要なT細胞の亜集団の少なくとも実質的な一部分がそれから排除されている活性化細胞の集団を結果としてもたらす。さらに、本明細書に記載される方法によって提供されるインキュベート(例えば、刺激)条件は、スペクトル型解析、またはクローン性を定量化する他の方法によって示されるように、発現されるTCR遺伝子に関してポリクローン性をT細胞の集団に回復させる。いくつかの態様において、インプット組成物のナイーブ様T細胞に由来するアウトプット組成物における細胞の特徴は、特異的マーカーの発現によって示される。
【0060】
A. インプット組成物
T細胞をインキュベートする(例えば、刺激する)ための提供される方法において、方法は、刺激条件下で、T細胞の集団を含むインプット組成物をインキュベートする工程を含む。インプット組成物は、いくつかの局面において、例えば、ナイーブ様T細胞および非ナイーブ様T細胞を含む、T細胞の集団を含む。いくつかの態様において、T細胞の集団は、CD4+および/またはCD8+細胞を含む。いくつかの態様において、インプット組成物は、培養開始量の細胞を含む。いくつかの場合には、細胞の培養開始量は、インプット組成物におけるナイーブ様T細胞またはそのCD8+ T細胞サブセットの量に基づく。いくつかの局面において、ナイーブ様T細胞および/または非ナイーブ様T細胞などのT細胞の特異的サブセットは、特異的なマーカーまたは特徴を用いて同定することができる。いくつかの具体例において、細胞表面マーカーの発現が、T細胞のサブセットを評価するかつ/または特定するために用いられる。いくつかの局面において、インプット組成物のクローン性を、特徴決定することができる。
【0061】
いくつかの局面において、インプット組成物などの、インキュベートされるかつ/または操作される細胞の組成物は、ナイーブ様T細胞の事前選択に供されておらず、かつ供されない。いくつかの態様において、方法は、インプット組成物のナイーブ様細胞の陽性選択もしくは陰性選択または濃縮を含まない。いくつかの局面において、インプット組成物および/または刺激された組成物などの、刺激されているかつ/または操作されている細胞の組成物は、インキュベーション(例えば、刺激)の前にそのような選択に供されておらず、かつ供されない。いくつかの態様において、細胞は、インキュベーションの前に、CD27、CD28、CD45RA、CD45RO、CD56、CD62L、CD95、KLRG1、またはCCR7などの、ナイーブ様T細胞と非ナイーブ様T細胞とを区別するT細胞表面マーカーのレベルまたは存在に基づく選択工程に供されておらず、かつ/または供されない。例えば、いくつかの局面において、インプット組成物における細胞は、刺激条件下でのインキュベーションの前に、そのようなマーカーの発現に基づくかまたは表面発現に基づく選択に供されていない。いくつかの局面において、刺激された組成物における細胞は、遺伝子操作、例えば、核酸とのインキュベーションの前に、そのようなマーカーの発現に基づくかまたは表面発現に基づく選択に供されない。いくつかの局面において、インプット組成物をインキュベートする工程は、ナイーブ様T細胞を濃縮するためのマーカーの表面発現に基づく選択を伴わずに実施される。
【0062】
いくつかの態様において、方法は、他の方法と比較してより少ない選択工程を含み、例えば、T細胞のサブセットの選択を含まず、したがって、複数工程選択法と比較してより単純であり、かつ費用および/または資源を節約する利点を伴う。いくつかの態様において、方法は、メモリーT細胞もしくはそのサブセットおよび/またはナイーブ様T細胞に特徴的なマーカーの発現に基づく濃縮を含まない。いくつかの局面において、インプット組成物および/または刺激された組成物などの、インキュベートされる(例えば、刺激される)細胞の組成物は、そのような選択に供されておらず、かつ供されない。
【0063】
いくつかの例において、方法は、CD62L、CCR7、CD27、CD28、CD56、CD3、CD122、CD95、CD25、IL7-Rα、および/またはCD127などの、非ナイーブ様T細胞の特徴であるか、またはT細胞の特定の亜集団を見分けるマーカーに基づく陽性選択を含まない。いくつかの例において、方法は、CD62L、CCR7、CD27、CD28、CD56、CD3、CD122、CD95、CD25、IL7-Rα、および/またはCD127の発現に基づく陽性選択または濃縮を含まない。いくつかの態様において、方法は、そのようなマーカーに基づいてまたは特定のサブタイプを濃縮するために、濃縮されているかまたは陽性選択されている試料または組成物を用いない。
【0064】
いくつかの態様において、方法は、ナイーブ様T細胞と非ナイーブ様T細胞とを分離するかまたは見分けるように設計された、親和性に基づく選択工程を含まない。いくつかの例において、方法は、CD27、CD28、CD45RO、CD45RA、CD56、CCR7、CD95、KLRG1、および/またはCD62Lなどの、ナイーブ様細胞もしくは非ナイーブ様細胞の特徴であるか、または互いを見分けるマーカーに基づく陽性選択を含まない。いくつかの例において、方法は、そのようなマーカーの発現に基づく陽性選択または濃縮を含まない。いくつかの態様において、方法は、そのようなマーカーに基づいてまたはそのようなサブタイプを濃縮するために、濃縮されているかまたは陽性選択されている試料または組成物を用いない。
【0065】
細胞
いくつかの態様において、本明細書に提供される方法は、例えば、細胞の刺激、増大、増殖、および/または遺伝子操作、例えば形質導入の1つまたは複数の工程を含む方法に関連して、培養開始量のナイーブ様T細胞が含有される細胞のインプット組成物を調製するための1つまたは複数の工程を含む。細胞は概して、哺乳動物細胞などの真核細胞であり、典型的にはヒト細胞である。インプット組成物は、生物学的試料からの細胞の単離または選択を含む様々な方法によって、作製するかまたは生成することができる。いくつかの態様において、インプット組成物は、例えば、1つまたは複数の単離、選択、または濃縮工程から得られるかまたはそれに由来する、生物学的試料に由来するCD4+細胞および/またはCD8+細胞を含有する。いくつかの具体例において、インプット培養のCD4+細胞対CD8+細胞の比は、1:1、1:2、2:1、1:3、もしくは3:1であるか、または約1:1、約1:2、約2:1、約1:3、もしくは約3:1である。いくつかの態様において、単離されたCD4+ T細胞および/またはCD8+ T細胞を含有するインプット組成物は、ナイーブ様T細胞および非ナイーブ様T細胞の混合物を含有する。
【0066】
いくつかの態様において、インプット組成物の細胞は、血液、骨髄、リンパ液、またはリンパ系器官に由来し、免疫系の細胞、例えば、リンパ球、典型的にはT細胞を含む、骨髄系細胞またはリンパ系細胞を含有する試料由来のものを含む、自然免疫または適応免疫の細胞である。細胞は、典型的には、初代細胞、例えば、対象から直接単離されたものおよび/または対象から単離されて凍結されたものである。いくつかの態様において、細胞は、T細胞または他の細胞型の1つまたは複数のサブセット、例えば、全T細胞集団、CD4+細胞、CD8+細胞、およびその亜集団、例えば、機能;活性化状態;成熟度;分化、増大、再循環、局在化、および/もしくは持続能力についての潜在能;抗原特異性;抗原受容体のタイプ;特定の器官もしくは区画における存在;マーカーもしくはサイトカイン分泌プロファイル;ならびに/または分化の程度によって定義されるものを含む。処置される対象に関して、細胞は、同種異系および/または自己由来であり得る。方法の中には、既製の方法が含まれる。いくつかの態様において、方法は、本明細書に記載されているように、細胞を対象から単離する工程、それらを調製する工程、処理する工程、培養する工程、および/または操作する工程、ならびに凍結保存の前または後に、それらを同じ患者中に再導入する工程を含む。
【0067】
T細胞ならびに/またはCD4+ T細胞および/もしくはCD8+ T細胞のサブタイプおよび亜集団の中には、ナイーブT(TN)細胞、エフェクターT細胞(TEFF)、メモリーT細胞およびそのサブタイプ、例えば、幹細胞メモリーT(TSCM)、セントラルメモリーT(TCM)、エフェクターメモリーT(TEM)、または最終分化エフェクターメモリーT細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、未熟T細胞、成熟T細胞、ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞、粘膜関連インバリアントT(MAIT)細胞、天然に存在するかつ適応性の制御性T(Treg)細胞、ヘルパーT細胞、例えば、TH1細胞、TH2細胞、TH3細胞、TH17細胞、TH9細胞、TH22細胞、濾胞性ヘルパーT細胞、α/βT細胞、およびδ/γT細胞がある。いくつかの態様において、細胞は、制御性T細胞(Treg)である。いくつかの態様において、細胞は、組換えFOXP3またはそのバリアントをさらに含む。
【0068】
いくつかの態様において、操作された細胞の調製は、1つまたは複数の培養工程および/または調製工程を含む。操作のための細胞は、生物学的試料などの試料、例えば、対象から得られるかまたはそれに由来するものから単離され得る。いくつかの態様において、細胞が単離される対象は、疾患もしくは状態を有するか、または細胞療法の必要があるか、または細胞療法が施与される対象である。いくつかの態様における対象は、特定の治療的介入、例えば、そのために細胞が単離され、処理され、かつ/または操作されている養子細胞療法の必要があるヒトである。
【0069】
したがって、いくつかの態様における細胞は、初代細胞、例えば、初代ヒト細胞である。試料には、組織、体液、および対象から直接採取された他の試料、ならびに分離、遠心分離、遺伝子操作(例えば、ウイルスベクターでの形質導入)、洗浄、および/またはインキュベーションなどの1つまたは複数の処理工程から結果として生じた試料が含まれる。生物学的試料は、生物学的供給源から直接得られた試料、または処理される試料であることができる。生物学的試料には、血液、血漿、血清、脳脊髄液、滑液、尿、および汗などの体液、組織および器官の試料が、それに由来する処理された試料を含めて含まれるが、それらに限定されない。
【0070】
いくつかの局面において、細胞が由来するかまたは単離される試料は、血液もしくは血液由来の試料であるか、またはアフェレーシスもしくは白血球アフェレーシスの産物であるかもしくはそれに由来する。例示的な試料には、全血、末梢血単核細胞(PBMC)、白血球、骨髄、胸腺、組織生検材料、腫瘍、白血病、リンパ腫、リンパ節、腸管関連リンパ組織、粘膜関連リンパ組織、脾臓、他のリンパ組織、肝臓、肺、胃、腸、結腸、腎臓、膵臓、乳房、骨、前立腺、子宮頸、精巣、卵巣、扁桃腺、もしくは他の器官、および/またはそれに由来する細胞が含まれる。試料には、細胞療法、例えば、養子細胞療法に関連して、自己由来および同種異系の供給源由来の試料が含まれる。
【0071】
いくつかの態様において、細胞は、細胞株、例えばT細胞株に由来する。いくつかの態様における細胞は、異種供給源から、例えば、マウス、ラット、非ヒト霊長類、またはブタから得られる。
【0072】
いくつかの態様において、細胞の単離は、1つまたは複数の調製工程および/または親和性に基づかない細胞分離工程を含む。いくつかの例において、例えば、不要な構成要素を除去する、所望の構成要素を濃縮する、特定の試薬に感受性の細胞を溶解するかまたは除去するために、細胞を、洗浄し、遠心分離し、かつ/または1つもしくは複数の試薬の存在下でインキュベートする。いくつかの例において、細胞は、密度、接着特性、サイズ、特定の構成要素に対する感受性および/または耐性などの1つまたは複数の特性に基づいて分離される。
【0073】
いくつかの例において、対象の循環血液由来の細胞は、例えば、アフェレーシスまたは白血球アフェレーシスによって得られる。試料は、いくつかの局面において、T細胞を含むリンパ球、単球、顆粒球、B細胞、他の有核白血球、赤血球、および/または血小板を含有し、いくつかの局面において、赤血球および血小板以外の細胞を含有する。
【0074】
いくつかの態様において、対象から収集された血球を、例えば、血漿画分を除去するため、および細胞をその後の処理工程に適切な緩衝液または培地に置くために洗浄する。いくつかの態様において、細胞を、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄する。いくつかの態様において、洗浄溶液は、カルシウムおよび/もしくはマグネシウム、ならびに/または多くのもしくはすべての二価カチオンを含まない。いくつかの局面において、洗浄工程は、半自動「フロースルー」遠心分離機(例えば、Cobe 2991細胞プロセッサ、Baxter)において、製造業者の説明書に従って達成される。いくつかの局面において、洗浄工程は、接線流濾過(TFF)によって、製造業者の説明書に従って達成される。いくつかの態様において、細胞を、洗浄後に、例えば、Ca++/Mg++を含まないPBSなどの様々な生体適合性緩衝液に再懸濁する。ある特定の態様において、血球試料の構成要素を除去し、細胞を、培養培地に直接再懸濁する。
【0075】
いくつかの態様において、方法は、密度に基づく細胞分離法、例えば、赤血球を溶解することによる末梢血からの白血球の調製、およびPercollまたはFicoll勾配を通した遠心分離を含む。
【0076】
いくつかの態様において、単離法は、表面マーカー、例えば、表面タンパク質、細胞内マーカー、または核酸などの1つまたは複数の特異的な分子の細胞における発現または存在に基づく、異なる細胞型の分離を含む。いくつかの態様において、そのようなマーカーに基づく分離のための任意の公知の方法が、用いられてもよい。いくつかの態様において、分離は、親和性または免疫親和性に基づく分離である。例えば、いくつかの局面における単離は、1つまたは複数のマーカー、典型的には細胞表面マーカーの細胞での発現または発現レベルに基づく、例えば、そのようなマーカーに特異的に結合する抗体または結合パートナーとのインキュベーション、ならびにその後概して続く、洗浄工程、および抗体または結合パートナーに結合していない細胞からの抗体または結合パートナーに結合した細胞の分離による、細胞および細胞集団の分離を含む。
【0077】
そのような分離工程は、試薬に結合した細胞がさらなる使用のために保持される陽性選択、および/または抗体もしくは結合パートナーに結合していない細胞が保持される陰性選択に基づくことができる。いくつかの例において、両方の画分が、さらなる使用のために保持される。いくつかの局面において、陰性選択は、分離が、所望の集団以外の細胞によって発現されるマーカーに基づいて最も良好に実施されるように、不均一な集団において細胞型を特異的に同定する抗体が利用可能ではない場合に、特に有用であり得る。
【0078】
分離は、特定の細胞集団または特定のマーカーを発現する細胞の100%の濃縮または除去を結果としてもたらす必要はない。例えば、マーカーを発現する細胞などの特定の型の細胞の陽性選択または濃縮は、そのような細胞の数またはパーセンテージを増加させることを指すが、マーカーを発現しない細胞の完全な非存在を結果としてもたらす必要はない。同様に、マーカーを発現する細胞などの特定の型の細胞の陰性選択、除去、または枯渇は、そのような細胞の数またはパーセンテージを減少させることを指すが、そのような細胞すべての完全な除去を結果としてもたらす必要はない。
【0079】
いくつかの例において、1つの工程由来の陽性選択または陰性選択された画分が、その後の陽性選択または陰性選択などの別の分離工程に供される、複数回の分離工程が実施される。いくつかの例において、例えば、細胞を、陰性選択のために標的とされるマーカーに各々特異的な多数の抗体または結合パートナーとインキュベートすることによって、単一の分離工程が、複数のマーカーを発現する細胞を同時に枯渇させることができる。同様に、細胞を、様々な細胞型上に発現される多数の抗体または結合パートナーとインキュベートすることによって、複数の細胞型を同時に陽性選択することができる。
【0080】
例えば、いくつかの局面において、T細胞の特異的な亜集団、例えば、1つまたは複数の表面マーカーについて陽性であるかまたは高レベルを発現する細胞、例えば、CD28+、CD62L+、CCR7+、CD27+、CD127+、CD4+、CD8+、CD56+、CD45RA+、CD95hi、および/またはCD45RO+ T細胞が、陽性選択または陰性選択の技法によって単離される。
【0081】
例えば、CD3+、CD28+ T細胞は、抗CD3/抗CD28コンジュゲート磁性ビーズ(例えば、DYNABEADS(登録商標)M-450 CD3/CD28 T Cell Expander)を用いて陽性選択することができる。
【0082】
いくつかの態様において、単離は、陽性選択による特定の細胞集団の濃縮、または陰性選択による特定の細胞集団の枯渇によって実施される。いくつかの態様において、陽性選択または陰性選択は、細胞を、それぞれ陽性選択または陰性選択される細胞上に発現される(マーカー+)かまたは比較的高いレベルで発現される(マーカー高)1つまたは複数の表面マーカーに特異的に結合する1つまたは複数の抗体または他の結合物質とインキュベートすることによって達成される。
【0083】
いくつかの態様において、T細胞は、B細胞、単球、または他の白血球などの非T細胞上に発現されるマーカー、例えばCD14の陰性選択によって、PBMC試料から分離される。いくつかの局面において、CD4+またはCD8+選択工程が、CD4+ヘルパーT細胞およびCD8+細胞傷害性T細胞を分離するために用いられる。そのようなCD4+およびCD8+集団は、1つまたは複数のナイーブ、メモリー、および/またはエフェクターT細胞亜集団上に発現されるかまたは比較的高い程度に発現されるマーカーについての陽性選択または陰性選択によって、さらに亜集団に選別することができる。
【0084】
いくつかの態様において、CD8+細胞は、例えば、それぞれの亜集団に関連する表面抗原に基づく陽性選択または陰性選択によって、ナイーブ、セントラルメモリー、エフェクターメモリー、および/またはセントラルメモリー幹細胞がさらに濃縮されるかまたは枯渇する。いくつかの態様において、セントラルメモリーT(TCM)細胞の濃縮は、有効性を増加させるために、例えば、いくつかの局面ではそのような亜集団において特に堅牢である、投与後の長期生存、増大、および/または生着を改善するために実施される。Terakura et al. (2012) Blood.1:72-82;Wang et al. (2012) J Immunother. 35(9):689-701を参照されたい。いくつかの態様において、TCM濃縮CD8+ T細胞とCD4+ T細胞とを組み合わせることは、有効性をさらに増強する。
【0085】
態様において、メモリーT細胞は、CD8+末梢血リンパ球のCD62L+およびCD62L-サブセットの両方に存在する。PBMCは、例えば抗CD8抗体および抗CD62L抗体を用いて、CD62L-CD8+および/またはCD62L+CD8+画分を濃縮するかまたは枯渇させることができる。
【0086】
いくつかの態様において、セントラルメモリーT(TCM)細胞の濃縮は、CD45RO、CD62L、CCR7、CD28、CD3、および/またはCD127の陽性または高い表面発現に基づき;いくつかの局面において、それは、CD45RAおよび/またはグランザイムBを発現するかまたは高発現する細胞についての陰性選択に基づく。いくつかの局面において、TCM細胞が濃縮されたCD8+集団の単離は、CD4、CD14、CD45RAを発現する細胞の枯渇、およびCD62Lを発現する細胞の陽性選択または濃縮によって実施される。1つの局面において、セントラルメモリーT(TCM)細胞の濃縮は、CD4発現に基づいて選択された細胞の陰性画分から出発して実施され、これが、CD14およびCD45RAの発現に基づく陰性選択、ならびにCD62Lに基づく陽性選択に供される。そのような選択は、いくつかの局面において同時に実施され、他の局面においては、連続的に任意の順序で実施される。いくつかの局面において、CD8+細胞集団または亜集団の調製において用いられるのと同じCD4発現に基づく選択工程がまた、CD4に基づく分離からの陽性画分および陰性画分が両方とも保持され、任意で1つまたは複数のさらなる陽性選択または陰性選択の工程後の、方法のその後の工程において用いられるように、CD4+細胞集団または亜集団を生成するためにも用いられる。
【0087】
特定の例において、PBMCの試料または他の白血球試料を、CD4+細胞の選択に供し、ここで、陰性画分および陽性画分は両方とも保持される。次いで、陰性画分を、CD14およびCD45RAまたはROR1の発現に基づく陰性選択、ならびにCD62LまたはCCR7などのセントラルメモリーT細胞に特徴的なマーカーに基づく陽性選択に供し、ここで、陽性選択および陰性選択はいずれかの順序で実施される。
【0088】
CD4+ Tヘルパー細胞は、細胞表面抗原を有する細胞集団を同定することによって、ナイーブ、セントラルメモリー、およびエフェクター細胞に選別される。CD4+リンパ球は、標準的な方法によって得ることができる。いくつかの態様において、ナイーブCD4+ Tリンパ球は、CD45RO-、CD45RA+、CD62L-、CD4+ T細胞である。いくつかの態様において、セントラルメモリーCD4+細胞は、CD62L+およびCD45RO+である。いくつかの態様において、エフェクターCD4+細胞は、CD62L-およびCD45RO-である。
【0089】
1つの例において、陰性選択によってCD4+細胞を濃縮するために、モノクローナル抗体カクテルは、典型的には、CD14、CD20、CD11b、CD16、HLA-DR、およびCD8に対する抗体を含む。いくつかの態様において、抗体または結合パートナーは、陽性選択および/または陰性選択のための細胞の分離を可能にするように、磁性ビーズまたは常磁性ビーズなどの固体支持体またはマトリックスに結合している。例えば、いくつかの態様において、細胞および細胞集団は、免疫磁気(または親和性磁気)分離技法(Methods in Molecular Medicine, vol. 58: Metastasis Research Protocols, Vol. 2: Cell Behavior In vitro and In vivo, p 17-25 Edited by: S. A. Brooks and U. Schumacher(著作権) Humana Press Inc., Totowa, NJにおいて概説されている)を用いて分離されるかまたは単離される。
【0090】
いくつかの局面において、分離されるべき細胞の試料または組成物を、小さな磁化可能または磁気応答性材料、例えば磁気応答性粒子または微小粒子、例えば常磁性ビーズ(例えば、DynalbeadsまたはMACSビーズなど)とインキュベートする。磁気応答性材料、例えば粒子は、概して、分離することが望ましい、例えば、陰性選択または陽性選択することが望ましい細胞、複数の細胞、または細胞の集団上に存在する分子、例えば表面マーカーに特異的に結合する結合パートナー、例えば抗体に、直接または間接的に付着している。
【0091】
いくつかの態様において、磁性粒子またはビーズは、抗体または他の結合パートナーなどの特異的結合メンバーに結合した磁気応答性材料を含む。いくつかの局面において、磁気分離法で用いられる磁気応答性材料を、用いることができる。適している磁性粒子には、参照により本明細書に組み入れられる、Moldayの米国特許第4,452,773号、および欧州特許明細書EP 452342 Bに記載されているものが含まれる。コロイドサイズの粒子、例えば、Owenの米国特許第4,795,698号およびLibertiらの米国特許第5,200,084号に記載されているものが、他の例である。
【0092】
インキュベーションは、概して、磁性粒子もしくはビーズに付着している抗体もしくは結合パートナー、または、そのような抗体もしくは結合パートナーに特異的に結合する二次抗体もしくは他の試薬などの分子が、試料内の細胞上に存在する場合は細胞表面分子に特異的に結合する条件下で実施される。
【0093】
いくつかの局面において、試料を磁場に置き、磁気応答性または磁化可能粒子が付着している細胞を、磁石に引きつけて、非標識細胞から分離する。陽性選択のためには、磁石に引きつけられる細胞が保持され;陰性選択のためには、引きつけられない細胞(非標識細胞)が保持される。いくつかの局面において、陽性選択と陰性選択との組み合わせが同じ選択工程中に行われ、ここで、陽性画分および陰性画分が保持され、さらに処理されるかまたはさらなる分離工程に供される。
【0094】
ある特定の態様において、磁気応答性粒子は、一次抗体または他の結合パートナー、二次抗体、レクチン、酵素、またはストレプトアビジンでコーティングされている。ある特定の態様において、磁性粒子は、1つまたは複数のマーカーに特異的な一次抗体のコーティングを介して細胞に付着している。ある特定の態様において、ビーズではなく細胞を、一次抗体または結合パートナーで標識し、次いで、細胞型特異的二次抗体または他の結合パートナー(例えば、ストレプトアビジン)でコーティングされた磁性粒子を添加する。ある特定の態様において、ストレプトアビジンコーティング磁性粒子を、ビオチン化一次抗体または二次抗体と組み合わせて用いる。
【0095】
いくつかの態様において、磁気応答性粒子は、その後インキュベート、培養、および/または操作されることになる細胞に付着したままであり;いくつかの局面において、粒子は、患者への投与のための細胞に付着したままである。いくつかの態様において、磁化可能または磁気応答性粒子は、細胞から除去される。磁化可能粒子を細胞から除去するための方法は、例えば、競合する非標識抗体、切断可能リンカーにコンジュゲートした磁化可能粒子または抗体などの使用を含むことができる。いくつかの態様において、磁化可能粒子は生分解性である。
【0096】
いくつかの態様において、親和性に基づく選択は、磁気活性化細胞選別(MACS)(Miltenyi Biotec, Auburn, CA)を介する。磁気活性化細胞選別(MACS)システムは、磁化粒子が付着している細胞の高純度の選択ができる。ある特定の態様において、MACSは、外部磁場の印加後に非標的種および標的種が連続的に溶出されるモードで動作する。すなわち、磁化粒子に付着した細胞は、付着していない種が溶出される間、適所に保持される。次いで、この最初の溶出工程が完了した後に、磁場に捕捉されて溶出が阻止されていた種は、それらが溶出されて回収され得るように、何らかの方法で遊離される。ある特定の局面において、非標的細胞を、標識して、不均一な細胞の集団から枯渇させる。
【0097】
ある特定の態様において、単離または分離は、本発明の方法の単離、細胞調製、分離、処理、インキュベーション、培養、および/または製剤化工程のうちの1つまたは複数を実施するシステム、デバイス、または装置を用いて実施される。いくつかの局面において、システムは、例えば、エラー、使用者の取り扱い、および/または汚染を最小化するように、これらの工程の各々を閉鎖環境または無菌環境で実施するために用いられる。1つの例において、システムは、国際PCT公開番号WO2009/072003、またはUS 20110003380 A1に記載されているようなシステムである。
【0098】
いくつかの態様において、システムまたは装置は、統合もしくは自己完結型システムで、および/または自動化もしくはプログラム可能方式で、単離、処理、操作、および製剤化工程のうちの1つまたは複数、例えばすべてを実施する。いくつかの局面において、システムまたは装置は、システムまたは装置に接続されたコンピュータおよび/またはコンピュータプログラムを含み、これにより、使用者が処理、単離、操作、および製剤化工程をプログラムする、制御する、そのアウトカムを評価する、かつ/またはその様々な局面を調整することが可能になる。
【0099】
いくつかの局面において、分離工程および/または他の工程は、例えば、閉鎖系および無菌系における臨床規模レベルでの細胞の自動分離のために、CliniMACSシステム(Miltenyi Biotec)を用いて実施される。構成要素には、統合マイクロコンピュータ、磁気分離ユニット、蠕動ポンプ、および様々なピンチバルブが含まれ得る。いくつかの局面における統合コンピュータは、機器のすべての構成要素を制御し、標準化された順序で反復手順を行うようにシステムに指令する。いくつかの局面における磁気分離ユニットは、可動永久磁石および選択カラム用のホルダを含む。蠕動ポンプは、チューブセット全体の流速を制御し、ピンチバルブと共に、システムを通る緩衝液の制御された流れおよび細胞の継続的な懸濁を確実にする。
【0100】
いくつかの局面におけるCliniMACSシステムは、無菌非発熱性溶液において供給される抗体カップリング磁化可能粒子を用いる。いくつかの態様において、細胞の磁性粒子での標識化後に、細胞を、洗浄して過剰の粒子を除去する。次いで、細胞調製バッグをチューブセットに接続し、これを次に、緩衝液を含有するバッグおよび細胞収集バッグに接続する。チューブセットは、プレカラムおよび分離カラムを含むあらかじめ組み立てられた無菌チューブからなり、使い捨て専用である。分離プログラムの開始後、システムは、自動的に細胞試料を分離カラム上にアプライする。非標識細胞が一連の洗浄工程によって除去される間、標識細胞は、カラム内に保持される。いくつかの態様において、本明細書に記載される方法での使用のための細胞集団は、標識されておらず、カラムに保持されない。いくつかの態様において、本明細書に記載される方法での使用のための細胞集団は、標識されており、カラムに保持される。いくつかの態様において、本明細書に記載される方法での使用のための細胞集団は、磁場の除去後にカラムから溶出され、細胞収集バッグ内に収集される。
【0101】
ある特定の態様において、分離工程および/または他の工程は、CliniMACS Prodigyシステム(Miltenyi Biotec)を用いて実施される。いくつかの局面におけるCliniMACS Prodigyシステムは、遠心分離による細胞の自動洗浄および分画を可能にする細胞処理ユニットを備える。CliniMACS Prodigyシステムはまた、供給源細胞産物の巨視的層を識別することによって最適な細胞分画エンドポイントを決定する、搭載カメラおよび画像認識ソフトウェアも含むことができる。例えば、末梢血は、赤血球、白血球、および血漿層に自動的に分離され得る。CliniMACS Prodigyシステムはまた、例えば、細胞分化および増大、抗原負荷、ならびに長期細胞培養などの細胞培養プロトコルを達成する、統合細胞培養チャンバも含むことができる。入力ポートは、培地の無菌除去および補充を可能にすることができ、細胞を、統合顕微鏡を用いてモニターすることができる。例えば、Klebanoff et al. (2012) J Immunother. 35(9): 651-660、Terakura et al. (2012) Blood.1:72-82、およびWang et al. (2012) J Immunother. 35(9):689-701を参照されたい。
【0102】
いくつかの態様において、本明細書に記載される細胞集団を、複数の細胞表面マーカーについて染色された細胞が流体の流れにおいて運ばれるフローサイトメトリーを介して、収集し、かつ濃縮する(または枯渇させる)。いくつかの態様において、本明細書に記載される細胞集団を、調製規模(FACS)選別を介して、収集し、かつ濃縮する(または枯渇させる)。ある特定の態様において、本明細書に記載される細胞集団を、FACSに基づく検出システムと組み合わせた微小電気機械システム(MEMS)チップの使用によって、収集し、かつ濃縮する(または枯渇させる)(例えば、WO 2010/033140、Cho et al. (2010) Lab Chip 10:1567-1573;およびGodin et al. (2008) J Biophoton. 1(5):355-376を参照されたい)。どちらの場合も、細胞を、明確に定義されたT細胞サブセットの高純度での単離を可能にする、複数のマーカーで標識することができる。
【0103】
いくつかの態様において、抗体または結合パートナーは、陽性選択および/または陰性選択のための分離を容易にするために、1つまたは複数の検出可能なマーカーで標識される。例えば、分離は、蛍光標識抗体への結合に基づいてもよい。いくつかの例において、1つまたは複数の細胞表面マーカーに特異的な抗体または他の結合パートナーの結合に基づく細胞の分離は、例えば、調製規模(FACS)を含む蛍光活性化細胞選別(FACS)、および/または、例えばフローサイトメトリー検出システムと組み合わせた微小電気機械システム(MEMS)チップによって、流体の流れにおいて行われる。そのような方法は、同時に複数のマーカーに基づく陽性選択および陰性選択を可能にする。
【0104】
いくつかの態様において、調製法は、単離、インキュベーション、および/または操作の前または後のいずれかに、細胞を凍結する、例えば凍結保存するための工程を含む。いくつかの態様において、凍結およびその後の解凍工程は、細胞集団中の顆粒球を、およびある程度まで、単球を除去する。いくつかの態様において、細胞は、例えば、血漿および血小板を除去するための洗浄工程の後に、凍結溶液中に懸濁される。様々な公知の凍結溶液およびパラメータのいずれかが、いくつかの局面において用いられてもよい。1つの例は、20% DMSOおよび8%ヒト血清アルブミン(HSA)を含有するPBS、または他の適している細胞凍結培地を用いることを含む。次いで、これを培地で1:1希釈して、DMSOおよびHSAの最終濃度が、それぞれ10%および4%になるようにする。次いで、細胞を、1分あたり1°の速度で-80℃に凍結し、液体窒素貯蔵タンクの気相中で保管する。
【0105】
a. ナイーブ様T細胞
いくつかの態様において、方法は、ナイーブ様T細胞またはある特定の閾値量のナイーブ様T細胞を含むインプット組成物をインキュベートする工程を含む。本発明の方法の1つの局面は、インキュベートする工程(例えば、刺激する工程)の前に、CD27、CD28、CD56、CD62L、CD95、KLRG1、CD45RAもしくはCD45RO、サイトカイン(例えば、IL-2、IFN-γ、IL-4、IL-10)、サイトカイン受容体(例えば、CD25)、パーフォリン、接着分子(例えば、VLA-1、VLA-2、VLA-4、LPAM-1、LFA-1)、および/またはホーミング分子(例えば、L-セレクチン)などの様々なマーカーの発現に基づいて、細胞の亜集団について評価されているインプット組成物を提供する。ナイーブ様T細胞を同定するために、いくつかの態様において、ナイーブ様T細胞の様々な特徴を利用することができる。いくつかの態様において、ナイーブ様T細胞の特定のマーカーの発現を評価することができる。例えば、いくつかの場合には、ナイーブ様T細胞は、CD27、CD28、CD45RA、CD62L、およびCCR7からなる群より選択される、T細胞活性化マーカーを含むマーカーについて表面陽性である。いくつかの局面において、ナイーブ様T細胞は、CD56および/またはCD45ROについて表面陰性である。いくつかの局面において、ナイーブ様T細胞は、CD45ROについて表面陰性であり、かつCD27、CD45RA、およびCCR7について細胞表面陽性である。いくつかの場合には、ナイーブ様T細胞は、IL-2、IFN-γ、IL-4、および/またはIL-10などのサイトカインの細胞内発現について陰性である。いくつかのさらなる例において、ナイーブ様T細胞は、マーカーCD25および/またはパーフォリンの発現について陰性である。いくつかの場合には、ナイーブ様T細胞はCD95loである。
【0106】
ナイーブ様T細胞のマーカーの発現を評価するために、いくつかの態様における方法は、インビトロアッセイを行うことによってマーカーを検出する工程を含む。いくつかの例において、インビトロアッセイは、イムノアッセイ、アプタマーベースのアッセイ、組織学的もしくは細胞学的アッセイ、またはmRNA発現レベルアッセイである。いくつかの場合には、用いられるインビトロアッセイは、酵素結合免疫測定法(ELISA)、イムノブロッティング、免疫表現型決定、免疫沈降、ラジオイムノアッセイ(RIA)、免疫染色、フローサイトメトリーアッセイ、表面プラズモン共鳴(SPR)、化学発光アッセイ、ラテラルフローイムノアッセイ、阻害アッセイ、またはアビディティアッセイであることができる。いくつかの態様において、ナイーブ様T細胞のマーカーの発現は、RNA-seqによって決定される。
【0107】
インプット組成物のナイーブ様T細胞はまた、T細胞のクローン性によって評価することもできる。いくつかの態様において、T細胞の集団のクローン性を評価することは、T細胞の集団のクローン多様性の評価である。いくつかの態様において、ナイーブ様T細胞は、ポリクローナルまたはマルチクローナルである。T細胞の前記インプット組成物のポリクローン性は、所与の抗原に対する集団の応答の幅広さによって測定される。いくつかの局面において、インプット組成物は、抗原特異的細胞によって認識される異なるエピトープの数を測定することによって、評価することができる。これは、インビトロで抗原特異的T細胞を生成するためおよびクローニングするための標準的な技法を用いて、実施することができる。いくつかの態様において、ナイーブ様T細胞は、ナイーブ様T細胞の集団において優勢である単一のクローン型集団を有さず、ポリクローナル(またはマルチクローナル)である。
【0108】
例えばインプット組成物のT細胞の集団に関連して、いくつかの局面において、ポリクローン性の特徴は、複数のかつ広範な抗原特異性を有するT細胞の集団を指す。いくつかの態様において、ポリクローン性は、TCRレパートリーにおいて高い多様性を示すT細胞の集団に関する。いくつかの場合には、TCRレパートリーの多様性は、いくつかの点で、自己抗原および外来抗原に対する選択事象によって誘発されるV(D)J組換え事象による。いくつかの態様において、多様またはポリクローナルであるT細胞の集団は、集団中に存在する多数の多様なまたは異なるTCR転写物または産物の存在を解析が示す、T細胞の集団である。いくつかの態様において、高いかまたは比較的高いクローン性を示すT細胞の集団は、TCRレパートリーがより多様ではないT細胞の集団である。いくつかの態様において、T細胞の集団におけるいくつかの、例えば2つまたは3つのTCR転写物または産物の存在を解析が示す場合は、T細胞はオリゴクローナルである。いくつかの態様において、T細胞の集団における単一のTCR転写物または産物の存在を解析が示す場合は、T細胞はモノクローナルである。
【0109】
ナイーブ様T細胞などの、インプット組成物における細胞のクローン性は、いくつかの例において、クローンシーケンシング、任意で次世代シーケンシング、またはスペクトル型解析によって決定される。いくつかの局面において、相補性決定領域3(CDR3)をコードする配列を含む、TCRレパートリーを評価するために、T細胞由来のゲノムDNAまたはcDNAを用いて、次世代シーケンシング法を使用することができる。いくつかの態様において、RNA-seqによる全トランスクリプトームシーケンシングを使用することができる。いくつかの態様において、単一細胞シーケンシング法を用いることができる。
【0110】
いくつかの態様において、ポリクローン性は、スペクトル型解析(TCR Vβ、Vα、Vγ、またはVδ鎖超可変領域レパートリーの測定)によって評価するかまたは決定することができる。T細胞の集団は、所与のTCR Vβ、Vα、Vγ、またはVδファミリーについてのVβスペクトル型プロファイルが複数のピーク、典型的には5個以上の主なピークを、ほとんどの場合にはガウス分布を伴って有する時に、ポリクローナルと考えられる。ポリクローン性はまた、関心対象の抗原に対する抗原特異的クローンの生成および特徴決定によって定義することもできる。
【0111】
いくつかの態様において、クローン性を評価するための方法は、各々その全体が参照により組み入れられる、国際公開番号WO2012/048341、WO2014/144495、WO2017/053902、WO2016044227、WO2016176322、およびWO2012048340に記載されているような方法の様々な特徴を含むことができる。いくつかの態様において、そのような方法は、TCRなどの、細胞内の関心対象の標的ポリヌクレオチドについての配列情報を得るために用いることができる。標的遺伝子は、試料または細胞の集団由来の細胞のゲノムDNAまたはmRNAから得ることができる。試料または細胞の集団は、免疫細胞を含むことができる。例えば、標的TCR分子について、TCRの鎖をコードする遺伝子は、免疫細胞またはT細胞のゲノムDNAまたはmRNAから得ることができる。いくつかの態様において、出発材料は、TCRの鎖をコードする遺伝子から構成されるT細胞由来のRNAである。
【0112】
いくつかの態様において、シャノン指数を、クローンにフィルターをかけるための閾値として、クローン性に適用する(「シャノン調整されたクローン性」)。Chaara et al. (2018) Front Immunol 9:1038を参照されたい。
【0113】
いくつかの態様において、提供される方法は、インプット組成物由来のT細胞またはそのサブセットの集団のポリクローン性の増加を促進するか、または結果としてもたらす。いくつかの態様において、提供される方法は、インプット組成物由来のT細胞またはそのサブセットの集団の多様性の増加を促進するか、または結果としてもたらす。いくつかの態様において、インキュベートされたかまたは刺激された組成物の、T細胞またはそのCD4もしくはCD8サブセットは、方法を実施する前のインプット組成物におけるT細胞またはそのCD4もしくはCD8サブセットと比較して、低減したかまたは減少したクローン性を示す。いくつかの態様において、クローン性の程度は、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、もしくはそれよりも大きく、または約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約7倍、約8倍、約9倍、約10倍、もしくはそれよりも大きく減少している。
【0114】
提供される方法の1つの局面において、インプット組成物におけるT細胞の集団は、以下の「細胞インキュベーション」と題するセクションに記載されるように、活性化されるかまたはアポトーシスを誘導するように刺激され、それによって、細胞の集団から亜集団を排除する。同時に、残った所望の細胞、例えば、ナイーブ様細胞は、例えば、インプット組成物のナイーブ様T細胞に由来する細胞は、活性化され、かつ増大するように刺激され、それによって、不要なT細胞の亜集団(例えば非ナイーブ様T細胞)の少なくとも実質的な一部分がそれから排除されている活性化細胞の集団を結果としてもたらす。以前に述べられたように、本明細書に記載されるような刺激/活性化は、アポトーシス促進性組成物に対する細胞の集団の直接の曝露後に残っている細胞に対して実施されてもよい。さらに、本発明によって提供されるその後の刺激および活性化は、スペクトル型解析またはシーケンシング法によって示されるように、発現されるTCR遺伝子に関して、T細胞の集団に対してポリクローン性を回復させる。
【0115】
培養開始量
提供される方法の局面において、インプット組成物は、ナイーブ様T細胞の優先的な活性化または増大のための培養開始量を含む。いくつかの場合には、培養開始量は、組成物におけるナイーブ様T細胞またはそのCD8+ T細胞サブセットの数を含むか、またはそれについて決定されるかもしくはそれに基づく。したがって、提供される方法の局面において、インキュベーション(例えば、刺激)は、インプット組成物中に閾値または培養開始量のナイーブ様T細胞が存在する限り、非ナイーブT細胞の総数またはパーセンテージにかかわらず実施される。
【0116】
細胞をインキュベートする(例えば、刺激する)ための本明細書に提供される方法のいくつかの態様において、培養開始量のナイーブ様T細胞またはそのCD8+ T細胞サブセットは、0.1×108~5×108個または約0.1×108~5×108個、0.1×108~4×108個または約0.1×108~4×108個、0.1×108~2×108個または約0.1×108~2×108個、0.1×108~1×108個または約0.1×108~1×108個、1×108~5×108 個または約1×108~5×108 個、1×108~4×108個または約1×108~4×108個、1×108~2×108個または約1×108~2×108個、2×108~5×108個または約2×108~5×108個、2×108~4×108個または約2×108~4×108個のナイーブ様T細胞である。いくつかの場合には、培養開始量のナイーブ様T細胞またはそのCD8+ T細胞サブセットは、少なくとも0.5×108個、0.75×108個、1×108個、1.5×108個、2×108個、もしくは4×108個のナイーブ様T細胞であるか、または少なくとも約0.5×108個、0.75×108個、1×108個、1.5×108個、2×108個、もしくは4×108個のナイーブ様T細胞であるか、または0.5×108個、0.75×108個、1×108個、1.5×108個、2×108個、もしくは4×108個のナイーブ様T細胞であるか、または約0.5×108個、約0.75×108個、約1×108個、約1.5×108個、約2×108個、もしくは約4×108個のナイーブ様T細胞である。いくつかの例において、培養開始量のナイーブ様T細胞またはそのCD8+ T細胞サブセットは、少なくとも2×108個の細胞であるか、または少なくとも約2×108個の細胞であるか、または2×108個の細胞であるか、または約2×108個の細胞である。
【0117】
本明細書に記載される刺激条件下での本明細書に提供されるインキュベートするための方法のいくつかの態様において、ナイーブ様T細胞および非ナイーブ様T細胞を含むT細胞の集団を含むインプット組成物は、1×108~4×108個または約1×108~4×108個のナイーブ様T細胞またはそのCD8+ T細胞サブセットの培養開始量を含有する。いくつかの態様において、方法は、それによって、刺激された組成物を生じさせ、刺激条件は、刺激された組成物において非ナイーブ様T細胞と比較して、ナイーブ様T細胞の増大または増殖を優先的に誘導する。いくつかの局面において、培養開始量のナイーブ様T細胞またはそのCD8+ T細胞サブセットは、少なくとも2×108個の細胞であるか、または少なくとも約2×108個の細胞であるか、または2×108個の細胞であるか、または約2×108個の細胞である。いくつかの態様において、インプット組成物のナイーブ様T細胞および非ナイーブ様T細胞の量は、ほぼ同じである。いくつかの場合には、培養開始量は、ナイーブCD8+ T細胞の量である。いくつかの場合には、培養開始量は、インプット組成物における非ナイーブ様T細胞の量を考慮に入れない。いくつかの局面において、培養開始量は、刺激された組成物における標的非ナイーブ様T細胞の数に基づいて決定される。
【0118】
b. 非ナイーブ様T細胞
いくつかの態様において、方法は、ナイーブ様T細胞および非ナイーブ様T細胞を含むT細胞の集団を含むインプット組成物をインキュベートする工程を含む。いくつかの態様において、非ナイーブ様T細胞は、エフェクターT(TEFF)細胞、メモリーT細胞、セントラルメモリーT細胞(TCM)、エフェクターメモリーT(TEM)細胞、およびそれらの組み合わせを含む。本発明の方法の1つの局面は、インキュベートする工程(例えば、刺激する工程)の前に、CD27、CD28、CD56、CD62L、CD95、KLRG1、CD45RAもしくはCD45RO、サイトカイン(例えば、IL-2、IFN-γ、IL-4、IL-10)、サイトカイン受容体(例えば、CD25)、パーフォリン、接着分子(例えば、VLA-1、VLA-2、VLA-4、LPAM-1、LFA-1)、および/またはホーミング分子(例えば、L-セレクチン)などの様々なマーカーを発現する細胞の集団について評価されている、インプット組成物を提供する。非ナイーブ様T細胞を同定するために、いくつかの態様において、非ナイーブ様T細胞の様々な特徴を利用することができる。いくつかの態様において、非ナイーブ様T細胞の特定のマーカーの発現を評価することができる。例えば、いくつかの場合には、非ナイーブ様T細胞は、CD27、CD28、CD45RA、およびCCR7などの、T細胞活性化マーカーを含むマーカーについて表面陰性であり;かついくつかの場合には、非ナイーブ様T細胞は、CD62Lを含むマーカーについて表面陽性である。いくつかの局面において、非ナイーブ様T細胞は、CD56および/またはCD45ROについて表面陽性である。いくつかの局面において、非ナイーブ様T細胞は、CD45ROについて表面陽性であり、かつCD27、CD45RA、およびCCR7について細胞表面陰性である。いくつかの場合には、非ナイーブ様T細胞は、IL-2、IFN-γ、IL-4、および/またはIL-10などのサイトカインの細胞内発現について陽性である。いくつかのさらなる例において、非ナイーブ様T細胞は、マーカーCD25および/またはパーフォリンの発現について陽性である。いくつかの場合には、非ナイーブ様T細胞はCD95hiである。
【0119】
非ナイーブ様T細胞のマーカーの発現を評価するために、いくつかの態様における方法は、インビトロアッセイを行うことによってマーカーを検出する工程を含む。いくつかの例において、インビトロアッセイは、イムノアッセイ、アプタマーベースのアッセイ、組織学的もしくは細胞学的アッセイ、またはmRNA発現レベルアッセイである。いくつかの場合には、用いられるインビトロアッセイは、酵素結合免疫測定法(ELISA)、イムノブロッティング、免疫沈降、ラジオイムノアッセイ(RIA)、免疫染色、フローサイトメトリーアッセイ、表面プラズモン共鳴(SPR)、化学発光アッセイ、ラテラルフローイムノアッセイ、阻害アッセイ、またはアビディティアッセイであることができる。いくつかの態様において、非ナイーブ様T細胞のマーカーの発現は、RNA-seqによって決定される。
【0120】
インプット組成物の非ナイーブ様T細胞はまた、T細胞のクローン性によって評価することもできる。いくつかの態様において、非ナイーブ様T細胞はモノクローナルである。T細胞の前記インプット組成物のクローン性は、所与の抗原に対する集団の応答の幅広さによって測定される。いくつかの態様において、モノクローン性とは、低い多様性であるT細胞の集団を指す。いくつかの局面において、インプット組成物は、抗原特異的細胞によって認識される異なるエピトープの数を測定することによって、評価することができる。これは、インビトロで抗原特異的T細胞を生成するためおよびクローニングするための標準的な技法を用いて、実施することができる。いくつかの態様において、非ナイーブ様T細胞は、単一のTCR遺伝子再配列パターンの優勢を示す。非ナイーブ様T細胞などの、インプット組成物における細胞のクローン性は、いくつかの例において、クローンシーケンシング、任意で次世代シーケンシング、またはスペクトル型解析によって決定される。
【0121】
いくつかの態様において、T細胞の集団のクローン性を評価することは、T細胞の集団のクローン多様性の評価である。いくつかの態様において、モノクローナルであるT細胞の集団は、低い多様性を示すT細胞の集団を指す。例えばインプット組成物のT細胞の集団に関連して、モノクローン性とは、スペクトル型解析(TCR Vβ、Vα、Vγ、またはVδ鎖超可変領域レパートリーの測定)によって定義されるような単一の特異性を有するT細胞の集団を指す。T細胞の集団は、所与のTCR Vβ、Vα、Vγ、および/またはVδファミリーについてのVβ、Vα、Vγ、および/またはVδスペクトル型プロファイルが単一の優勢なピークを有する時に、モノクローナル(または単一特異性)と考えられる。スペクトル型解析は、配列ではなく、特定のサイズの再配列された可変遺伝子を見分ける。したがって、単一のピークは、接合領域に4個の可能性のあるヌクレオチド(アデニン(a)、グアニン(g)、シトシン(c)、もしくはチミン(t))のうちのいずれか1つまたは4個のヌクレオチドの組み合わせを含む、限定された数の再配列されたTCR可変遺伝子(Vβ、Vα、Vγ、またはVδ)のうちのいずれか1つを発現するT細胞の集団に相当し得ると理解される。ある特定の態様において、特定の長さに相当するバンド中に存在する再配列された可変領域の配列を決定するために、特定のバンドをクローニングして、シーケンシングすることが望ましい場合がある。
【0122】
いくつかの態様において、クローン性を評価するための方法は、各々その全体が参照により組み入れられる、国際公開番号WO2012/048341、WO2014/144495、WO2017/053902、WO2016044227、WO2016176322、およびWO2012048340に記載されているような方法の様々な特徴を含むことができる。いくつかの態様において、そのような方法は、TCRなどの、細胞内の関心対象の標的ポリヌクレオチドについての配列情報を得るために用いることができる。標的遺伝子は、試料または細胞の集団由来の細胞のゲノムDNAまたはmRNAから得ることができる。試料または細胞の集団は、免疫細胞を含むことができる。例えば、標的TCR分子について、TCRの鎖をコードする遺伝子は、免疫細胞またはT細胞のゲノムDNAまたはmRNAから得ることができる。いくつかの態様において、出発材料は、TCRの鎖をコードする遺伝子から構成されるT細胞由来のRNAである。いくつかの態様において、シャノン指数を、クローンにフィルターをかけるための閾値として、クローン性に適用する(「シャノン調整されたクローン性」)。Chaara et al. (2018) Front Immunol 9:1038を参照されたい。
【0123】
したがって、養子療法用の操作されたT細胞の調製におけるT細胞をインキュベートする(例えば、刺激する)ための方法の中には、非ナイーブ様T細胞に由来する(またはCD45RA-もしくはCD45RO+ T細胞に由来する)細胞と比較してナイーブ様T細胞に由来する(またはCD45RA+もしくはCD45RO- T細胞に由来する)細胞の増大および増殖を優先的に誘導する条件を用いるものがある。いくつかの態様において、ナイーブ様T細胞は、CD45RA+、CD45RO-、CD27+、およびCCR7+である。いくつかの態様において、非ナイーブ様T細胞は、CD45RA-、CD45RO+、CD27-、およびCCR7-である。いくつかの態様において、方法は、非ナイーブ様T細胞と比較してナイーブ様T細胞の増大または増殖を優先的に誘導する刺激条件下で、培養開始組成物におけるT細胞をインキュベートし、それによって、刺激された組成物を生成する工程を含む。提供される方法の使用において、上記のマーカーおよび特徴を用いたインプット組成物の評価が、方法の一部として利用されてもよい。
【0124】
B. 細胞インキュベーション
いくつかの態様において、提供される方法は、例えば、培養開始量のナイーブ様T細胞を含有するインプット組成物の、インプット組成物における細胞の育成、インキュベーション、培養、および/または遺伝子操作工程を含む。例えば、いくつかの態様において、記載されるような閾値数のナイーブ様T細胞が含有される、培養開始量の提供されるインプット組成物をインキュベートする、かつ/または操作するための方法が提供される。インキュベーションおよび/または操作は、ユニット、チャンバ、ウェル、カラム、チューブ、チューブセット、バルブ、バイアル、培養皿、バッグ、または細胞の培養もしくは育成のための他の容器などの、培養容器において実施され得る。
【0125】
いくつかの態様において、例えば、セクションIIに記載される方法のいずれかに従って、細胞を、遺伝子操作の前にまたはそれに関連して、インキュベートおよび/または培養する。インキュベーション工程は、培養、育成、刺激、活性化、および/または増殖を含むことができる。いくつかの態様において、組成物または細胞を、刺激条件または刺激物質の存在下でインキュベートする。そのような条件には、集団中の細胞の増殖、増大、活性化、および/もしくは生存を誘導するように、抗原曝露を模倣するように、ならびに/または、組換え受容体、例えばCARの導入のためなどの遺伝子操作のために細胞をプライミングするように、設計されたものが含まれる。
【0126】
条件は、特定の培地、温度、酸素含量、二酸化炭素含量、時間、作用物質、例えば、栄養素、アミノ酸、抗生物質、イオン、および/または刺激因子、例えばサイトカイン、ケモカイン、抗原、結合パートナー、融合タンパク質、組換え可溶性受容体、および細胞を活性化するように設計された任意の他の作用物質のうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0127】
いくつかの態様において、刺激条件または刺激物質は、TCR複合体の細胞内シグナル伝達ドメインを活性化することができる1つまたは複数の作用物質、例えばリガンドを含む。いくつかの局面において、作用物質は、T細胞におけるTCR/CD3細胞内シグナル伝達カスケードを作動するかまたは開始する。そのような作用物質は、TCRに特異的な抗体などの抗体、例えば抗CD3を含むことができる。いくつかの態様において、刺激条件は、共刺激受容体を刺激することができる1つまたは複数の作用物質、例えばリガンド、例えば抗CD28を含む。いくつかの態様において、そのような作用物質および/またはリガンドは、ビーズなどの固体支持体、および/または1つもしくは複数のサイトカインに結合していてもよい。任意で、増大法は、抗CD3抗体および/または抗CD28抗体を培養培地に(例えば、少なくとも約0.5 ng/mlの濃度で)添加する工程をさらに含んでもよい。
【0128】
提供される方法は、概して、非ナイーブ様T細胞に対してナイーブ様T細胞の増大または増殖を優先的に誘導する、かつ/またはナイーブ様T細胞と比較して非ナイーブ様T細胞における増大または増殖を優先的に誘導しない刺激条件の存在、設計、および/または使用を含む。いくつかの局面において、条件は、組成物中に存在する非ナイーブ様T細胞のみが、細胞死を誘導する様式で活性化されるように、活性化シグナルを誘導する作用物質を含む。そのような優先的な条件は、典型的には、操作された分子、例えば操作された抗原受容体をコードする核酸の導入の前の段階で用いられる。
【0129】
条件には、集団中の細胞の増殖、増大、活性化、および/もしくは生存を誘導するように設計されたものが含まれるが、それらに限定されない。いくつかの態様において、条件は、非ナイーブ様T細胞またはそのサブセットにおいて活性化する、かつ/または増殖もしくは分裂を誘導するのに十分な刺激シグナル、例えば、活性化シグナルを誘導する。ナイーブ様T細胞は、概して、活性化閾値に達するために、例えば、完全に活性化されて細胞周期中に進むために、TCR/CD3を介した最小シグナルを必要とする。この最小シグナルは、概して、非ナイーブ様T細胞および/またはそのある特定のサブセットにおいて活性化/細胞周期進入を誘導するのに必要とされるシグナルよりも高い。非ナイーブ様T細胞は、概して、活性化されて細胞周期中に入るために、ずっとより低いレベルのTCR/CD3結合を必要とする。いくつかの局面において、より強いシグナルは、非ナイーブ様細胞またはそのある特定の集団において、活性化誘導細胞死を引き起こすか、またはそのレベルを増加させることができる。
【0130】
したがって、いくつかの態様において、組成物がナイーブ様T細胞および非ナイーブ様T細胞を含み、かつ、ナイーブ様T細胞活性化に必要とされる活性化の閾値よりも下である活性化シグナルを誘導する条件が用いられる場合、主として非ナイーブ様T細胞が活性化されて、細胞死をもたらし得る刺激条件に影響されやすくなる。例えば、特定の刺激条件において、細胞死は、活性化誘導細胞死に起因してもよい。
【0131】
いくつかの局面において、刺激条件は、非ナイーブ様細胞における活性化誘導細胞死が、標準的な条件などの他の条件と比較して誘導されるようなものである。したがって、本発明は、任意の不要なT細胞の亜集団、例えば、インプット組成物の非ナイーブ様T細胞の少なくとも実質的な一部分の排除のための方法を提供する。提供される方法の目的で、実質的な一部分とは、不要な細胞の亜集団、例えば、インプット組成物の非ナイーブ様T細胞の少なくとも70%を意味する。ある特定の態様において、実質的な一部分とは、不要な細胞の亜集団、例えば、インプット組成物の非ナイーブ様T細胞の75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、およびそれよりも高くを意味する。例えば、非ナイーブ様T細胞の細胞死由来の細胞の排除は、様々な抗体および/またはペプチド-MHC四量体を用いたフローサイトメトリー解析、ならびに増殖およびクロム放出アッセイなどの機能的アッセイを含むがそれらに限定されない、任意の数の技法を用いて測定することができる。
【0132】
いくつかの態様において、細胞の排除から残った細胞構成要素を除去するために、酵素がインプット組成物に添加される。例えば、デオキシリボヌクレアーゼ(DNアーゼ)または組換えヒトデオキシリボヌクレアーゼI(Pulmozyme(登録商標))が、いくつかの例示的な態様においてインプット組成物に添加される。いくつかの局面において、刺激条件は、デオキシリボヌクレアーゼ(DNアーゼ)または組換えヒトデオキシリボヌクレアーゼI(Pulmozyme(登録商標))を含む。
【0133】
いくつかの場合には、刺激条件は、T細胞の特定のサブセット、例えば非ナイーブ様T細胞を保護するために補給される培養構成要素を含まない。したがって、いくつかの場合には、刺激条件の培養からの構成要素の除去が、非ナイーブ様T細胞の排除に寄与し得る。いくつかの局面において、刺激条件は、AICDを低減させることが公知であるかもしくは低減させる可能性が高い、および/または非ナイーブ細胞などのより古い細胞の生存を促進する培養試薬を除外するかまたはその濃度を低減させることによって、実施されるか、または追加的に実施される。いくつかの場合には、刺激条件は、N-アセチルシステインを含まないか、または低減した量もしくは濃度でN-アセチルシステインを含む。いくつかの場合には、刺激条件は、組換えIL-7および/もしくは組換えIL-15を含まないか、または低減した量もしくは濃度の組換えIL-7もしくはIL-15を含む。いくつかの態様において、非ナイーブ細胞の除去を追加的に補助するかまたは促進する培養添加物(例えば、CD45ROに付着した毒素)が、含まれ得る。
【0134】
ある特定の態様において、刺激および/または増大時間は、2~15日、2~12日、2~10日、2~8日、2~6日、2~4日、4~12日、4~10日、4~8日、4~6日、6~12日、6~10日、6~8日、8~12日、8~10日、または10~12日であり得る。いくつかの態様において、細胞は、少なくとも2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日間、または14日間よりも長くインキュベートされる。提供される方法の1つの態様において、混合物は、30分から数時間(約3時間)まで、約14日またはその間の任意の時間もしくは分の整数値までにわたって、培養されてもよい。別の態様において、混合物は、21日間培養されてもよい。1つの態様において、ビーズおよびT細胞は、約8日間、一緒に培養される。別の態様において、ビーズおよびT細胞は、少なくとも2~3日間または少なくとも約2~3日間、一緒に培養される。別の態様において、ビーズおよびT細胞は、少なくとも2日間もしくは少なくとも約2日間、または少なくとも48時間もしくは少なくとも約48時間、一緒に培養される。いくつかの局面において、T細胞の培養時間が60日以上であることができるように、数サイクルの刺激がまた、望ましい場合もある。
【0135】
インキュベーションおよび/または操作は、ユニット、チャンバ、ウェル、カラム、チューブ、チューブセット、バルブ、バイアル、培養皿、バッグ、または細胞の培養もしくは育成のための他の容器などの、培養容器において実施され得る。いくつかの態様において、組成物または細胞は、刺激条件または刺激物質の存在下でインキュベートされる。そのような条件には、集団中の細胞の増殖、増大、活性化、および/もしくは生存を誘導するように、抗原曝露を模倣するように、ならびに/または組換え抗原受容体の導入のためなどの遺伝子操作のために細胞をプライミングするように、設計されたものが含まれる。
【0136】
提供される方法は、概して、刺激条件下での(例えば、T細胞含有インプット組成物の)インキュベーションを含む。T細胞を刺激することに関連して、刺激条件は、概して、TCR複合体またはそのメンバー、例えばCD3に結合する、ライゲーションする、架橋する、および/またはその細胞内シグナル伝達ドメインを介して活性化を誘導することができる一次作用物質を含む。いくつかの態様において、刺激条件は、TCR複合体のメンバーに特異的に結合する一次作用物質と、T細胞共刺激分子に特異的に結合する二次作用物質とを含む。いくつかの具体例において、一次作用物質は、CD3に特異的に結合し、かつ/または共刺激分子は、CD28、CD137(4-1-BB)、OX40、もしくはICOSからなる群より選択される。
【0137】
いくつかの態様において、刺激条件は、固定化された抗CD3抗体および抗CD28抗体、可溶性抗CD3抗体、そのような抗体の誘導体、ならびに/またはT細胞上のTCR/CD3複合体を結合する他のリガンドを含む。いくつかの局面において、一次作用物質は、T細胞におけるTCR/CD3細胞内シグナル伝達カスケードを作動するかまたは開始する。そのような作用物質は、結合パートナー、例えば、抗原結合抗体断片、例えばCD3などのTCR構成要素に特異的なものを含む、天然のリガンドおよび/または抗体を含むことができる。例示的な抗CD3抗体は、BC3、OKT3、およびG19-4である。
【0138】
いくつかの態様において、刺激条件は、二次作用物質、例えば、T細胞にT細胞共刺激シグナル、例えば、一次シグナル(例えば、TCR/CD3ライゲーション)との組み合わせでT細胞の増殖および活性化をもたらすシグナルを誘導することができる作用物質とのインキュベーションを、さらに含む。例示的な二次作用物質は、CD28、CD137(4-1-BB)、OX40、ICOS、CD40、LFA-1、DAP10、および/またはCD54などのT細胞共刺激またはアクセサリー分子に特異的に結合する、ライゲーションする、架橋する、および/またはそれを介して細胞内シグナル伝達事象を誘導するものである。作用物質には、その断片を含む抗体、天然のリガンド、および他の結合パートナーが含まれる。いくつかの態様において、二次作用物質は、CD28に結合し、例えば、抗原結合抗体断片を含む、抗CD28抗体である。いくつかの局面において、それは抗CD28抗体である。例示的な抗CD28抗体は、B-T3およびXR-CD28である。
【0139】
いくつかの態様において、特定の分子、例えば、T細胞刺激または共刺激分子に特異的に結合する結合パーナーまたは作用物質は、抗原結合抗体断片を含む、そのような分子に特異的な抗体を含む。いくつかの局面において、抗体、例えば、抗CD3抗体および/または抗CD28抗体は、少なくとも0.5 ng/mLまたは少なくとも約0.5 ng/mLの濃度で含まれる。いくつかの局面において、作用物質は、天然の結合パートナーなどの、そのような分子に対する1つまたは複数の他の結合パートナーを含む。作用物質はまた、抗原提示細胞上の分子および/もしくは複合体、ならびに/またはスーパー抗原(ブドウ球菌(Staphylococcus)エンテロトキシンA(SEA)、ブドウ球菌エンテロトキシンB(SEB)、毒素性ショック症候群毒素1(TSST-1)、エンドトキシン)を含む、天然のリガンドおよび複合体を含み得る。他の例示的な作用物質は、一次または共刺激T細胞シグナル伝達分子を通したシグナル伝達を模倣するもの、例えば、PKCアクチベーター、ホルボールミリスタートアセタート(PMA)、フィトヘマグルチニン(PHA)、および/またはカルシウムイオノフォア、例えばイオノマイシンを含むマイトジェン、リポ多糖類(LPS)、T細胞マイトジェン、ならびにサイトカインである。いくつかの局面において、条件は、1つまたは複数の刺激性サイトカインまたは他の因子、例えば、IL-2および/またはIL-15とのインキュベーションを含む。いくつかの局面において、サイトカインの濃度は、少なくとも約10単位/mLである。
【0140】
一次作用物質および二次(共刺激)作用物質は、いくつかの態様において、粒子、例えばビーズなどの固体表面または支持体に結合している。いくつかの態様において、細胞を、T細胞を活性化するかつ/または増大させることができる刺激物質とインキュベートするかつ/または接触させることができる。いくつかの局面において、一次作用物質および二次作用物質は、粒子、例えばビーズなどの固体表面にカップリングしている。ある特定の態様において、刺激物質は、細胞、例えば、T細胞を活性化するかつ/または増大させることができる1つまたは複数の作用物質、例えば生体分子に、コンジュゲートしているかまたは結合している粒子、例えばビーズを含む。いくつかの態様において、1つまたは複数の作用物質は、ビーズに結合している。いくつかの態様において、ビーズは、生体適合性であり、すなわち、生物学的使用に適している材料から構成されている。いくつかの態様において、ビーズは、培養細胞、例えば、培養T細胞に対して非毒性である。いくつかの態様において、ビーズは、作用物質と細胞との間の相互作用を可能にする様式で、作用物質を付着することができる任意の粒子であり得る。
【0141】
いくつかの態様において、刺激物質は、ビーズに、例えばビーズの表面に結合しているかまたはそうではなく付着している、細胞、例えば、T細胞を活性化するかつ/または増大させることができる1つまたは複数の作用物質を含む。ある特定の態様において、ビーズは、非細胞粒子である。特定の態様において、ビーズは、コロイド状粒子、マイクロスフェア、ナノ粒子、磁性ビーズなどを含み得る。いくつかの態様において、ビーズは、アガロースビーズである。ある特定の態様において、ビーズは、セファロースビーズである。
【0142】
特定の態様において、刺激物質は、単分散であるビーズを含む。ある特定の態様において、単分散であるビーズは、互いに5%未満の直径標準偏差を有するサイズ分散を含む。
【0143】
いくつかの態様において、ビーズは、1つまたは複数の作用物質、例えば、ビーズの表面にカップリングしている、コンジュゲートしている、または連結している(直接または間接的に)作用物質を含有する。いくつかの態様において、本明細書において企図される作用物質には、RNA、DNA、タンパク質(例えば、酵素)、抗原、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、抗体断片、糖質、脂質レクチン、または所望の標的に対して親和性を有する任意の他の生体分子が含まれ得るが、それらに限定されない。いくつかの態様において、所望の標的は、T細胞受容体および/またはT細胞受容体の構成要素である。ある特定の態様において、所望の標的はCD3である。ある特定の態様において、所望の標的は、共刺激分子、例えば、CD28である。1つまたは複数の作用物質は、様々な方法によって、ビーズに直接または間接的に付着していてもよい。付着は、共有結合性、非共有結合性、静電気性、または疎水性であってもよく、例えば、化学的手段、機械的手段、または酵素的手段を含む、様々な付着手段によって達成されてもよい。いくつかの態様において、生体分子(例えば、ビオチン化抗CD3抗体)は、ビーズに直接付着している別の生体分子(例えば、抗ビオチン抗体)を介して、ビーズに間接的に付着していてもよい。
【0144】
いくつかの態様において、ビーズに付着した作用物質のうちの1つまたは複数は、抗体である。抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体(免疫グロブリンFc領域を有する完全長抗体を含む)、ポリエピトープ特異性を有する抗体組成物、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、ダイアボディ、および一本鎖分子、ならびに抗体断片(Fab、F(ab')2、およびFv)を含むことができる。いくつかの態様において、刺激試薬は、抗体断片(抗原結合断片を含む)、例えば、Fab、Fab'-SH、Fv、scFv、または(Fab')2断片である。IgG、IgM、IgA、IgD、およびIgE定常領域を含む、任意のアイソタイプの定常領域が、本明細書において企図される抗体のために用いられ得ること、ならびに、そのような定常領域は、任意のヒトまたは動物種(例えば、マウス種)から得られ得ることが、理解されるであろう。いくつかの態様において、作用物質は、T細胞受容体の1つまたは複数の構成要素に結合する、かつ/またはそれを認識する抗体である。特定の態様において、作用物質は抗CD3抗体である。ある特定の態様において、作用物質は、共受容体に結合する、かつ/またはそれを認識する抗体である。いくつかの態様において、刺激試薬は、抗CD28抗体を含む。
【0145】
いくつかの態様において、ビーズは、約0.001μmよりも大きい、約0.01μmよりも大きい、約0.1μmよりも大きい、約1.0μmよりも大きい、約10μmよりも大きい、約50μmよりも大きい、約100μmよりも大きい、または約1000μmよりも大きい、かつ約 1500μm以下である直径を有する。いくつかの態様において、ビーズは、約1.0μm~約500μm、約1.0μm~約150μm、約1.0μm~約30μm、約1.0μm~約10μm、約1.0μm~約5.0μm、約2.0μm~約5.0μm、または約3.0μm~約5.0μmの直径を有する。いくつかの態様において、ビーズは、約3μm~約5μmの直径を有する。いくつかの態様において、ビーズは、少なくともまたは少なくとも約または約0.001μm、0.01μm、0.1μm、0.5μm、1.0μm、1.5μm、2.0μm、2.5μm、3.0μm、3.5μm、4.0μm、4.5μm、5.0μm、5.5μm、6.0μm、6.5μm、7.0μm、7.5μm、8.0μm、8.5μm、9.0μm、9.5μm、10μm、12μm、14μm、16μm、18μm、または20μmの直径を有する。ある特定の態様において、ビーズは、4.5μmのまたは約4.5μmの直径を有する。ある特定の態様において、ビーズは、2.8μmのまたは約2.8μmの直径を有する。
【0146】
いくつかの態様において、ビーズは、0.001 g/cm3よりも大きい、0.01 g/cm3よりも大きい、0.05 g/cm3よりも大きい、0.1 g/cm3よりも大きい、0.5 g/cm3よりも大きい、0.6 g/cmよりも大きい、0.7 g/cm3よりも大きい、0.8 g/cm3よりも大きい、0.9 g/cm3よりも大きい、1 g/cm3よりも大きい、1.1 g/cm3よりも大きい、1.2 g/cm3よりも大きい、1.3 g/cm3よりも大きい、1.4 g/cm3よりも大きい、1.5 g/cm3よりも大きい、2 g/cm3よりも大きい、3 g/cm3よりも大きい、4 g/cm3よりも大きい、または5g/cm3よりも大きい密度を有する。いくつかの態様において、ビーズは、約0.001 g/cm3~約100 g/cm3、約0.01 g/cm3~約50 g/cm3、約0.1 g/cm3~約10 g/cm3、約0.1 g/cm3~約.5 g/cm3、約0.5 g/cm3~約1 g/cm3、約0.5 g/cm3~約1.5 g/cm3、約1 g/cm3~約1.5 g/cm3、約1 g/cm3~約2 g/cm3、または約1 g/cm3~約5 g/cm3の密度を有する。いくつかの態様において、ビーズは、約0.5 g/cm3、約0.6 g/cm3、約0.7 g/cm3、約0.8 g/cm3、約0.9 g/cm3、約1.0 g/cm3、約1.1 g/cm3、約1.2 g/cm3、約1.3 g/cm3、約1.4 g/cm3、約1.5 g/cm3、約1.6 g/cm3、約1.7 g/cm3、約1.8 g/cm3、約1.9 g/cm3、または約2.0 g/cm3の密度を有する。ある特定の態様において、ビーズは、約1.6 g/cm3の密度を有する。特定の態様において、ビーズまたは粒子は、約1.5 g/cm3の密度を有する。ある特定の態様において、粒子は、約1.3 g/cm3の密度を有する。
【0147】
ある特定の態様において、複数のビーズは、均一な密度を有する。ある特定の態様において、均一な密度は、平均ビーズ密度の10%未満、5%未満、または1%未満の密度標準偏差を含む。
【0148】
いくつかの態様において、ビーズは、約0.001の粒子の各グラム当たりのm2(m2/g)~約1,000 m2/g、約0.010 m2/g~約100 m2/g、約0.1 m2/g~約10 m2/g、約0.1 m2/g~約1 m2/g、約1 m2/g~約10 m2/g、約10 m2/g~約100 m2/g、約0.5 m2/g~約20 m2/g、約0.5 m2/g~約5 m2/g、または約1 m2/g~約4 m2/gの表面積を有する。いくつかの態様において、粒子またはビーズは、約1 m2/g~約4 m2/gの表面積を有する。
【0149】
いくつかの態様において、ビーズは、ビーズ表面にまたはその近くに、作用物質にカップリングされるか、連結されるか、またはコンジュゲートされることができる少なくとも1つの物質を含有する。いくつかの態様において、ビーズは、表面官能基化されており、すなわち、結合分子、例えば、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドと共有結合を形成することができる官能基を含む。特定の態様において、ビーズは、表面に露出したカルボキシル基、アミノ基、ヒドロキシル基、トシル基、エポキシ基、および/またはクロロメチル基を含む。特定の態様において、ビーズは、表面に露出したアガロースおよび/またはセファロースを含む。ある特定の態様において、ビーズ表面は、結合分子に結合するかまたは付着することができる、付着した刺激試薬を含む。特定の態様において、生体分子はポリペプチドである。いくつかの態様において、ビーズは、表面に露出したプロテインA、プロテインG、またはビオチンを含む。
【0150】
いくつかの態様において、ビーズは磁場で反応する。いくつかの態様において、ビーズは磁性ビーズである。いくつかの態様において、磁性ビーズは常磁性である。特定の態様において、磁性ビーズは超常磁性である。ある特定の態様において、ビーズは、磁場に曝されない限り、いかなる磁気的特性も示さない。
【0151】
特定の態様において、ビーズは、磁性コア、常磁性コア、または超常磁性コアを含む。いくつかの態様において、磁性コアは金属を含有する。いくつかの態様において、金属は、鉄、ニッケル、銅、コバルト、ガドリニウム、マンガン、タンタル、亜鉛、ジルコニウム、またはそれらの任意の組み合わせであることができるが、それらに限定されない。ある特定の態様において、磁性コアは、金属酸化物(例えば、酸化鉄)、フェライト(例えば、マンガンフェライト、コバルトフェライト、ニッケルフェライトなど)、赤鉄鉱、および合金(例えば、CoTaZn)を含む。いくつかの態様において、磁性コアは、フェライト、金属、合金、酸化鉄、または二酸化クロムのうちの1つまたは複数を含む。いくつかの態様において、磁性コアは、元素鉄またはその化合物を含む。いくつかの態様において、磁性コアは、マグネタイト(Fe3O4)、マグヘマイト(γFe2O3)、またはグレイガイト(Fe3S4)のうちの1つまたは複数を含む。いくつかの態様において、内部コアは、酸化鉄(例えば、Fe3O4)を含む。
【0152】
ある特定の態様において、ビーズは、表面官能基化コートまたはコーティングによって覆われている、磁性、常磁性、および/または超常磁性のコアを含有する。いくつかの態様において、コートは、ポリマー、多糖類、シリカ、脂肪酸、タンパク質、炭素、アガロース、セファロース、またはそれらの組み合わせを含むことができるがそれらに限定されない、材料を含有することができる。いくつかの態様において、ポリマーは、ポリエチレングリコール、ポリ乳酸・グリコール酸共重合体、ポリグルタルアルデヒド、ポリウレタン、ポリスチレン、またはポリビニルアルコールであることができる。ある特定の態様において、外部コートまたはコーティングは、ポリスチレンを含む。特定の態様において、外部コーティングは、表面官能基化されている。
【0153】
いくつかの態様において、刺激試薬は、金属酸化物コア(例えば、酸化鉄コア)およびコートを含有するビーズを含み、ここで、金属酸化物コアは、少なくとも1つの多糖類(例えば、デキストラン)を含み、かつコートは、少なくとも1つの多糖類(例えば、アミノデキストラン)、少なくとも1つのポリマー(例えば、ポリウレタン)、およびシリカを含む。いくつかの態様において、金属酸化物コアは、コロイド状酸化鉄コアである。ある特定の態様において、1つまたは複数の作用物質は、抗体またはその抗原結合断片を含む。特定の態様において、1つまたは複数の作用物質は、抗CD3抗体および抗CD28抗体を含む。いくつかの態様において、刺激試薬は、抗CD3抗体、抗CD28抗体、および抗ビオチン抗体を含む。いくつかの態様において、刺激試薬は、抗ビオチン抗体を含む。いくつかの態様において、ビーズは、約3μm~約10μmの直径を有する。いくつかの態様において、ビーズは、約3μm~約5μmの直径を有する。ある特定の態様において、ビーズは、約3.5μmの直径を有する。
【0154】
いくつかの態様において、刺激試薬は、金属酸化物コア(例えば、酸化鉄内部コア)およびコート(例えば、保護コート)を含むビーズに付着している1つまたは複数の作用物質を含み、ここで、コートはポリスチレンを含む。ある特定の態様において、ビーズは、超常磁性鉄コア、例えば、マグネタイト(Fe3O4)および/またはマグヘマイト(γFe203)cを含むコア、ならびにポリスチレンコートまたはコーティングを含む、単分散の超常磁性ビーズである。いくつかの態様において、ビーズは非多孔性である。いくつかの態様において、ビーズは、1つまたは複数の作用物質が付着している官能基化表面を含有する。ある特定の態様において、1つまたは複数の作用物質は、表面でビーズに共有結合している。いくつかの態様において、1つまたは複数の作用物質は、抗体またはその抗原結合断片を含む。いくつかの態様において、1つまたは複数の作用物質は、抗CD3抗体および抗CD28抗体を含む。ある特定の態様において、ビーズは、約1.5 g/cm3の密度、および約1 m2/g~4 m2/gの表面積を有する。特定の態様において、ビーズは、約4.5μmの直径および約1.5 g/cm3の密度を有する、単分散の超常磁性ビーズである。いくつかの態様において、ビーズは、約2.8μmの平均直径および約1.3 g/cm3の密度を有する、単分散の超常磁性ビーズである。
【0155】
様々なT細胞集団の単離を実現するために、粒子への曝露時間を変動させてもよい。例えば、1つの好ましい態様において、T細胞は、所望のT細胞の陽性選択に十分な期間にわたる、DYNABEADS(登録商標)M-450、またはDynabeads(登録商標)CD3/CD28 CTS(商標)などの3×28ビーズとのインキュベーションによって単離される。1つの態様において、期間は約30分である。さらなる態様において、期間は、少なくとも1、2、3、4、5、または6時間である。さらに別の好ましい態様において、期間は、10~24時間であるかまたはそれよりも長い。1つの好ましい態様において、インキュベーション期間は24時間である。がん患者からのT細胞の単離のためには、24時間などの、より長いインキュベーション時間の使用が、細胞収率を増加させることができる。
【0156】
表面にカップリングさせる場合に、作用物質を、同じ表面に(すなわち、「シス」編成で)または別々の表面に(すなわち、「トランス」編成で)カップリングさせてもよい。あるいは、1つの作用物質を表面にカップリングさせ、他の作用物質は溶液中にあってもよい。1つの態様において、共刺激シグナルを提供する作用物質は、細胞表面に結合しており、一次活性化シグナルを提供する作用物質は、溶液中にあるかまたは表面にカップリングしている。好ましい態様において、2つの作用物質が、同じビーズ上に、すなわち「シス」で、または別々のビーズに、すなわち「トランス」でのいずれかで、ビーズ上に固定化される。例として、一次活性化シグナルを提供する作用物質は抗CD3抗体であり、共刺激シグナルを提供する作用物質は抗CD28抗体であり;両方の作用物質は、同等の分子の量で、同じビーズに同時固定化されている。1つの態様において、CD4+ T細胞増大およびT細胞増殖のために、1:1比のビーズに結合した各抗体が用いられる。本発明のある特定の局面において、ビーズに結合した抗CD3:CD28抗体の比は、1:1の比を用いて観察される増大と比較して、T細胞増大の増加が観察されるように用いられる。1つの特定の態様において、約0.5~約3倍の増加が、1:1の比を用いて観察される増大と比較して観察される。1つの態様において、ビーズに結合したCD3:CD28抗体の比は、100:1~1:100およびその間のすべての整数値の範囲にわたる。本発明の1つの局面において、抗CD3抗体よりも多くの抗CD28抗体が、粒子に結合し、すなわち、CD3:CD28の比は1未満である。本発明のある特定の態様において、ビーズに結合した抗CD28抗体対抗CD3抗体の比は、2:1よりも大きい。1つの特定の態様において、1:200のCD3:CD28比の、ビーズに結合した抗体が用いられる。1つの特定の態様において、1:150のCD3:CD28比の、ビーズに結合した抗体が用いられる。1つの特定の態様において、1:100のCD3:CD28比の、ビーズに結合した抗体が用いられる。別の態様において、1:75のCD3:CD28比の、ビーズに結合した抗体が用いられる。さらなる態様において、1:50のCD3:CD28比の、ビーズに結合した抗体が用いられる。別の態様において、1:45のCD3:CD28比の、ビーズに結合した抗体が用いられる。別の態様において、1:40のCD3:CD28比の、ビーズに結合した抗体が用いられる。別の態様において、1:35のCD3:CD28比の、ビーズに結合した抗体が用いられる。別の態様において、1:30のCD3:CD28比の、ビーズに結合した抗体が用いられる。別の態様において、1:25のCD3:CD28比の、ビーズに結合した抗体が用いられる。別の態様において、1:20のCD3:CD28比の、ビーズに結合した抗体が用いられる。別の態様において、1:15のCD3:CD28比の、ビーズに結合した抗体が用いられる。1つの態様において、1:10のCD3:CD28比の、ビーズに結合した抗体が用いられる。別の態様において、1:5のCD3:CD28比の、ビーズに結合した抗体が用いられる。別の態様において、1:4のCD3:CD28比の、ビーズに結合した抗体が用いられる。別の態様において、1:3のCD3:CD28比の、ビーズに結合した抗体が用いられる。さらに別の態様において、3:1のCD3:CD28比の、ビーズに結合した抗体が用いられる。
【0157】
いくつかの態様において、作用物質、例えば抗体は、培養または組成物に可溶性形態で添加される。いくつかの態様において、1つの作用物質は可溶性形態で含まれ、もう1つの作用物質は固体支持体上にカップリングして含まれる。いくつかの局面において、2つ以上の作用物質を固体支持体にカップリングさせる場合、2つの作用物質を、同じ支持体または粒子にカップリングさせ、例えば、CD3およびCD28を認識する抗体を含有するビーズである抗CD3/抗CD28ビーズとのインキュベーションである。他の局面において、2つ以上の作用物質を、別々のビーズなどの、別々の支持体にカップリングさせる。例えば、いくつかの局面における抗CD3ビーズおよび抗CD28ビーズは、培養に別々に添加される。
【0158】
いくつかの態様において、培養条件は、人工抗原提示細胞を含む。例えば、いくつかの局面における表面は、TCR複合体を通してシグナルを強化することができる1つまたは複数の作用物質、例えば、抗CD3抗体および/または抗CD28抗体を負荷した人工抗原提示細胞である。例示的な抗原提示細胞は、Fc受容体、例えば、CD32中程度親和性Fc受容体またはCD64高親和性Fc受容体を発現するように操作された骨髄系細胞(例えば、K562またはU937)などの、遺伝子操作された細胞である。培養においてシグナルを送達するために、そのような細胞に、Fc受容体によって認識される抗CD3抗体および/または抗CD28抗体を負荷し、T細胞とインキュベートしてもよい。例示的な人工APC、ならびに培養条件におけるその使用の比および方法は、例えば、Suhoski et al., Molecular Therapy (2007) 15 5, 981-988;Thomas et al., Clin Immunol (2002) 105(3): 259-72;Kim et al., Nature Biotechnology 22, 403 - 410 (2004)に記載されている。いくつかの態様において、培養条件は、抗原、例えば、形質導入されるべき細胞、例えば、特定の腫瘍抗原に特異的なT細胞上のTCR複合体または他の受容体によって認識される抗原を負荷した、PBMCなどの抗原提示細胞を含む。
【0159】
いくつかの態様において、非ナイーブ様T細胞に対するナイーブ様T細胞の優先的な増大または増殖は、例えば、非ナイーブ様T細胞の細胞死を誘導するための、ある特定のレベルよりも高い刺激または活性化シグナルの強さなどの、特定の強さのシグナルを誘導するように設計された刺激条件の使用によって達成される。いくつかの局面において、より強いシグナルは、インプット組成物の非ナイーブ様T細胞の細胞死を誘導するのに対して、より弱いシグナルは、より強いシグナルと比較して、インプット組成物の非ナイーブ様T細胞の細胞死を誘導せず、かつ/または非ナイーブ様T細胞の生存を維持する。したがって、いくつかの態様において、より強いシグナルは、非ナイーブ様T細胞を優先的に活性化するか、またはその細胞死を引き起こす。
【0160】
いくつかの局面において、非ナイーブ様T細胞に対するナイーブ様T細胞の優先的な増大または増殖は、特定の比のビーズ対細胞によって達成される。いくつかの態様において、非ナイーブ様T細胞を上回る増大または生存またはナイーブ様T細胞に偏らせる任意の刺激条件を、使用することができる。いくつかの態様において、刺激条件は、例えば、ナイーブ様細胞の増殖および/もしくは生存に好都合である、かつ/または非ナイーブ様細胞の活性化誘導細胞死(AICD)を優先的に誘導する量で提供される、T細胞活性化のための一次シグナルおよび/または二次シグナルを含有するビーズ試薬、例えば抗CD3/抗CD28ビーズ試薬の存在下でのインキュベーションを含む。いくつかの場合には、そのようなビーズ試薬は、1:1またはそれよりも高いビーズ対細胞の比で、細胞とインキュベートされ、これは、いくつかの局面において、より多くのAICDおよびナイーブ様細胞の生存パーセンテージの増加に向かって進めることができる。例えば、Kalamasz et al., J Immunother. (2004) 27(5):405-418、ならびに米国特許第7,977,095号および同第9,528,088号を参照されたい。1つの態様において、比は、約50:1~約5:1である。ある特定の態様において、比は、約100:1~約1:1である。1つの態様において、比は、少なくとも約45:1である。ある特定の態様において、比は、少なくとも約40:1、35:1、30:1、25:1、20:1、15:1、14:1、13:1、12:1、11:1、10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、または1:1である。いくつかの局面において、5:1未満または3:1未満のビーズ対細胞比が、用いられる。1つの特定の態様において、比は約3:1である。
【0161】
提供される方法の1つの態様において、ビーズ:細胞比を、所望のT細胞表現型を得るためにあつらえることができる。1つの特定の態様において、ビーズ:細胞比を、T細胞のサブセットを選択的に増大させるかまたは欠失させるために変動させることができる。1つの態様において、用いられる特定のビーズ:細胞比は、インプット組成物の非ナイーブ様T細胞または非ナイーブ様T細胞に由来する細胞において細胞死を選択的に誘導する。さらなる態様において、用いられる特定のビーズ:細胞比は、ナイーブ様T細胞またはナイーブ様T細胞に由来する細胞を選択的に増大させる。いくつかの態様において、T細胞のサブセットの所望の増大または欠失が起こる限り、特定の比を用いることができる。したがって、本明細書に記載される組成物および方法を、本明細書に記載される任意の様々な免疫治療設定における使用に向けて、T細胞の特異的な集団を増大させるために、またはT細胞の特異的な集団を欠失させるために用いることができる。
【0162】
また、T細胞をインキュベートする(例えば、刺激する)方法に適切な刺激条件も提供される。T細胞培養に適切な条件は、血清(例えば、胎児ウシ血清もしくはヒト血清)、血清代替産物、またはインターロイキン-2(IL-2)、インスリン、または細胞の増殖のための任意の他の添加物を含む、増殖および生存度に必要な因子を含有し得る、適切な培地(例えば、OpTmizer(商標)(Gibco)、または最小必須培地、またはRPMI培地1640 、またはX-vivo 15(BioWhittaker))を含む。培地は、添加されたアミノ酸およびビタミンを伴う、無血清か、または適切な量の血清(もしくは血漿)もしくは血清代替物もしくは規定されたセットのホルモン、ならびに/もしくはT細胞の増殖および増大に十分な量のサイトカインが補給されたかのいずれかの、RPMI 1640、AIM-V、DMEM、MEM、α-MEM、F-12、X-Vivo 15、およびX-Vivo 20を含むことができる。抗生物質、例えば、ペニシリンおよびストレプトマイシンは、実験培養においてのみ含まれ、対象中に注入されることになる細胞の培養には含まれない。標的細胞は、増殖を支持するのに必要な条件、例えば、適切な温度(例えば、37℃)および雰囲気(例えば、空気+5% CO2)の下で維持される。
【0163】
別の態様において、抗CD3/抗CD28(すなわち、3×28)コーティングビーズなどの刺激物質に対する曝露の時間は、所望のT細胞表現型を得るような方法で改変してもよく、またはあつらえてもよい。ヘルパーT細胞(TH)の増大は、全体的な免疫応答性を改善するかまたは回復させることができるため、CD8+細胞傷害性T細胞または制御性T細胞とは対照的に、TH細胞、典型的にはCD4+のより多くの集団が望ましい場合がある。多くの特異的免疫応答が、標的細胞を直接溶解するかまたは死滅させることができるCD8+抗原特異的T細胞によって媒介されるが、ほとんどの免疫応答は、例えば、GM-CSF、CD40L、およびIL-2などの重要な免疫制御分子を発現するCD4+ T細胞の助けを必要とする。CD4媒介性の助けが好ましい場合、CD4:CD8比を保護するかまたは増強する方法、例えば本明細書に記載されるものは、有意に有益であり得る。CD4+ T細胞の数の増加は、患者中に導入される細胞によって発現されるCD40Lの量を増加させることができ、潜在的に標的細胞可視性を改善する(APC機能の改善)。そのすべてが主にCD4+ T細胞によって発現される、GM-CSF、またはIL-2を発現する注入される細胞の数を増加させることによって、同様の効果を見ることができる。同様に、本明細書に記載される方法を用いて生成し、かつ増大させることができる制御性T細胞の集団を利用することが、ある特定の適用において望ましい場合がある(例えば、Autoimmun Rev. 2002 August; 1(4):190-7;Curr Opin Immunol. 2002 December; 14(6):771-8)。あるいは、CD4の助けがあまり必要とされず、CD8+ T細胞の数の増加が望ましい状況では、本明細書に記載されるXCELLERATE(商標)アプローチをまた、例えば、刺激および/または培養の前のCD8+細胞についての事前選択によって利用することもできる。そのような状況は、IFN-γのレベルの増加または標的細胞の細胞溶解の増加が好ましい場合に存在し得る。例えば、所望のVβファミリー遺伝子を発現する、所望のTCRレパートリーを有するT細胞を増大させるために、刺激物質に対する曝露の時間およびタイプも改変してもよい。
【0164】
刺激条件のうちの他の条件は、いくつかの態様において、特定の培地、温度、酸素含量、二酸化炭素含量、時間、作用物質、例えば、栄養素、アミノ酸、抗生物質、イオン、および/または刺激因子、例えばサイトカイン、ケモカイン、抗原、結合パートナー、融合タンパク質、組換え可溶性受容体、および細胞を活性化するように設計された任意の他の作用物質のうちの1つまたは複数も含む。
【0165】
いくつかの態様において、細胞または組成物は、インキュベーション工程の最中に評価され、かつ/または調整される。例えば、評価および/または調整は、インキュベーションまたは培養の開始後の任意の時間、例えば、インキュベーション中のある時間であってもよい。評価は、組成物、または細胞を含有する容器の1つまたは複数の測定値を採用すること、例えば、増殖速度、生存の程度、表現型、例えば、1つまたは複数の表面マーカーまたは細胞内マーカー、例えばタンパク質またはポリヌクレオチドの発現について細胞を評価すること、ならびに/または、温度、培地構成要素、酸素もしくは二酸化炭素の含量、および/または1つもしくは複数の因子、作用物質、構成要素、および/もしくはサブタイプを含む細胞型の存在もしくは非存在もしくは量もしくは相対量について組成物または容器を評価することを、含むことができる。評価はまた、例えば、本明細書に記載されるようなインビトロまたはエクスビボを用いる、毒性アウトカムの指標または予測因子についての評価を含むこともできる。
【0166】
いくつかの局面において、評価は、例えば、本明細書に記載されるようなデバイスを用いて、自動方式で行われ、かつ/またはインキュベーション中のある特定の時点で実施されるように前もって設定される。いくつかの局面において、評価のアウトカムは、調整がなされるべきであることを示す。
【0167】
調整は、任意の細胞培養因子またはパラメータ、例えば、温度、インキュベーションまたはその工程が実施される長さ(時間)(インキュベーションの持続時間)、補充、インキュベートされている組成物における1つまたは複数の構成要素、例えば、培地もしくは緩衝液またはその構成要素、作用物質、例えば、栄養素、アミノ酸、抗生物質、イオン、および/または刺激因子、例えばサイトカイン、ケモカイン、抗原、結合パートナー、融合タンパク質、組換え可溶性受容体、または細胞もしくは細胞型もしくは細胞の集団の添加および/または除去を調整することを、含むことができる。いくつかの局面において、様々な構成要素の除去もしくは添加、または他の調整は、例えば、本明細書に記載されるようなデバイスまたはシステムを用いて、自動方式で実施される。いくつかの態様において、システムは、調整が暫定的な評価からのある特定の読み取り値に基づいて自動で開始されるように、プログラムされる。例えば、いくつかの場合には、システムまたはデバイスは、特定の時間に1つまたは複数の評価を実施するようにプログラムされ;システムまたはデバイスは、そのような場合に、そのような評価の特定のアウトカム、例えば1つの細胞型対別の細胞型の特定の比が、特定の調整、例えば細胞型のうちの1つまたは複数の添加を開始するように、さらにプログラムすることができる。
【0168】
いくつかの局面において、調整は、例えば、本明細書に記載されるような1つまたは複数のデバイスまたはシステムにおいて、細胞および組成物を含有する閉鎖環境を破壊しない方法での添加または除去によって、例えば、無菌性を維持しながら構成要素を添加するかまたは除去するように設計された入力バルブおよび/または除去バルブによって、実施される。特定の細胞型における応答および/またはアウトカムに好都合である刺激条件の様々な調整は、例えば、米国特許第8,617,884号において、および米国特許出願公開第20030235908 A1号において開示されている。
【0169】
いくつかの態様において、細胞は、合計でまたは操作の前のいずれかに、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、もしくは14日間または約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、もしくは約14日間、または、1、2、3、4週間もしくはそれよりも長い週間または約1、約2、約3、約4週間もしくはそれよりも長い週間、インキュベートされる。いくつかの例において、インキュベーションは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、もしくは16日間よりも長く、または約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、もしくは約16日間実施される。
【0170】
いくつかの局面において、インキュベーションは、Riddellらの米国特許第6,040,177号、Klebanoff et al. (2012) J Immunother. 35(9): 651-660、Terakura et al. (2012) Blood.1:72-82、および/またはWang et al. (2012) J Immunother. 35(9):689-701に記載されている技法などの技法に従って実施される。
【0171】
いくつかの態様において、刺激条件は、非分裂末梢血単核細胞(PBMC)などのフィーダ細胞の添加(例えば、結果として生じる細胞の集団が、増大させるべき初期集団中の各Tリンパ球に対して少なくとも約5、10、20、もしくは40個、またはそれよりも多いPBMCフィーダ細胞を含有するように);および培養物をインキュベートすること(例えば、T細胞の数を増大させるのに十分な時間)を含む。いくつかの局面において、非分裂フィーダ細胞は、γ線照射PBMCフィーダ細胞を含むことができる。いくつかの態様において、PBMCは、細胞分裂を阻止するために、約3000~3600ラドの範囲のγ線を照射される。いくつかの局面において、フィーダ細胞は、T細胞の集団の添加の前に、培養培地に添加される。
【0172】
いくつかの態様において、刺激条件は、ヒトTリンパ球の増殖に適している温度、例えば、少なくとも約25℃、概して少なくとも約30℃、および概して37℃または約37℃を含む。任意で、インキュベーションは、非分裂EBV形質転換リンパ芽球様細胞(LCL)をフィーダ細胞として添加することをさらに含んでもよい。LCLは、約6000~10,000ラドの範囲のγ線を照射することができる。いくつかの局面におけるLCLフィーダ細胞は、少なくとも約10:1のLCLフィーダ細胞対初期Tリンパ球の比などの、任意の適している量で提供される。
【0173】
態様において、抗原特異的T細胞、例えば、抗原特異的CD4+および/またはCD8+ T細胞は、ナイーブまたは抗原特異的Tリンパ球を抗原で刺激することによって得られる。例えば、抗原特異的T細胞株またはクローンを、サイトメガロウイルス抗原に対して、感染した対象からT細胞を単離すること、および細胞をインビトロで同じ抗原で刺激することによって生成することができる。
【0174】
インキュベーションおよび/または操作は、ユニット、チャンバ、ウェル、カラム、チューブ、チューブセット、バルブ、バイアル、培養皿、バッグ、または細胞の培養もしくは育成のための他の容器などの、培養容器において実施され得る。
【0175】
また、方法において用いられる培養開始組成物、例えば、T細胞、例えばヒト初代T細胞を含有するもの、刺激条件、例えば、非ナイーブT細胞の優先的な活性化または増大のために設計された濃度/比での様々な作用物質も提供される。
【0176】
いくつかの態様において、例えば、遺伝子操作された抗原受容体を導入するために、細胞が操作される場合、1つまたは複数の刺激物質の存在下でのインキュベーションが、操作段階中にわたって続く。
【0177】
1:500~500:1およびその間の任意の整数値のビーズ対細胞の比が、T細胞または他の標的細胞を刺激するために用いられてもよい。いくつかの場合には、ビーズ対細胞の比は、標的細胞に対する粒子サイズに依存し得る。例えば、小さなサイズのビーズは、数個の細胞にしか結合できないが、より大きなビーズは、多くに結合することができる。ある特定の態様において、細胞対粒子の比は、1:100~100:1およびその間の任意の整数値の範囲にわたり、さらなる態様において、比は、1:50~50:1およびその間の任意の整数値を含む。別の態様において、細胞対粒子の比は、1:9~9:1およびその間の任意の整数値の範囲にわたり、T細胞を刺激するために用いることもできる。T細胞刺激を結果としてもたらす、抗CD3および抗CD28がカップリングした粒子対T細胞の比は、本明細書に記載されるように変動することができるが、ある特定の好ましい値は、少なくとも1:150、1:125、1:100、1:75、1:50、1:40、1:30、1:20、1:10、1:9、1:8、1:7、1:6、1:5、1:4、1:3、1:2.5、1:2、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、および15:1を含み、1つの好ましい比は、少なくとも1:1のT細胞当たりのビーズである。1つの特定の態様において、ビーズ対細胞の好ましい比は3:1である。いくつかの場合には、ビーズ対細胞の比は1:3である。
【0178】
さらなる態様において、粒子対細胞の比は、刺激の日に応じて変動することができる。例えば、1つの態様において、粒子対細胞の比は、第1日目に1:1~10:1であり、追加の粒子が、その後最大で10日間、毎日または1日おきに、(添加の日の細胞数に基づいて)1:1~1:10の最終的な比で細胞に添加される。別の態様において、粒子対細胞の比は、第1日目に少なくとも約1:2.5であり、追加の粒子が、5日目に約1:10、1:25、1:50、または1:100で、7日目に1:10、1:25、1:50、または1:100で、9日目に1:10、1:25、1:50、または1:100で細胞に添加される。1つの特定の態様において、粒子対細胞の比は、刺激の第1日目に1:1であり、刺激の第3日目および第5日目に1:5に調整される。別の態様において、粒子は、第1日目に1:1の、ならびに刺激の第3日目および第5日目に1:5の最終的な比になるように、毎日または1日おきに添加される。別の態様において、粒子対細胞の比は、刺激の第1日目に2:1であり、刺激の第3日目および第5日目に1:10に調整される。別の態様において、粒子は、第1日目に1:1の、ならびに刺激の第3日目および第5日目に1:10の最終的な比になるように、毎日または1日おきに添加される。いくつかの局面において、様々な他の比が、本発明における使用に適している可能性がある。特に、比は、粒子サイズならびに細胞サイズおよび細胞型に応じて変動するであろう。
【0179】
本発明の1つの局面は、異なるビーズ(例えば、抗CD3/抗CD28ビーズ試薬)対細胞比を用いることが、抗原特異的T細胞の増大に関して異なるアウトカムをもたらし得るという観察に関する。特に、ビーズ対細胞比は、ナイーブまたはナイーブ様T細胞などの他の細胞型とは対照的に、抗原特異的なまたは抗原を経験した(例えば、メモリーまたはエフェクターまたは活性化)T細胞を選択的に増大させるかまたは欠失させるために、変動させることができる。1つの態様において、用いられる特定のビーズ対細胞比は、抗原特異的T細胞を選択的に欠失させる。具体的には、1:1もしくは1:1よりも大きいビーズ対細胞比、および/または高いビーズ対細胞比、例えば、少なくとももしくは約3:1、5:1、10:1、15:1、20:1、25:1、30:1、35:1、40:1、45:1、50:1、およびそれよりも高いものなどのビーズ対細胞比は、抗原特異的T細胞の欠失を誘導することができる。理論によって束縛されることなく、抗原特異的T細胞は、さらなる刺激に感作されると考えられる。したがって、いくつかの態様において、試薬または組成物を介してT細胞に送達される活性化シグナルの強さは、1つまたは複数の特異的なT細胞サブセットの増大および/または死に影響を及ぼし得る。いくつかの局面において、メモリーT細胞(抗原特異的T細胞)の選択的増大は、TCRおよび/または他と比較して弱い共受容体を介したシグナルで起こり得るのに対して、いくつかの態様において、メモリーT細胞および/または他の抗原を経験したT細胞の選択的欠失は、ナイーブ細胞を温存しながら、相対的により強いシグナルを送達する試薬とのインキュベーション後に起こり得る。他の因子の中で、リガンドが結合するCD3/TCR(およびCD28)受容体の量は、いくつかの局面において、シグナルの強さを決定し得るかまたはその決定に寄与し得る。したがって、いくつかの状況における高いビーズ対細胞比での刺激は、高濃度の刺激抗体(すなわち、「強い」シグナル)を提供し、抗原特異的T細胞の過剰刺激をもたらして、アポトーシスまたは他の機構のいずれかによってそれらの死を引き起こし得る。したがって、この点について、本明細書に記載されるビーズ組成物は、いくつかの状況においておよび/またはある特定の組成物に関して、アポトーシス促進性組成物として機能し得る。いくつかの局面において、シグナルは、例えばまた活性化誘導細胞死によって、ナイーブ様T細胞も死滅させるほど強すぎてはならない。いくつかの態様において、刺激性ビーズ試薬、例えば、抗CD3/抗CD28ビーズ試薬の比は、10:1未満である。
【0180】
さらに、この点について、ある特定の態様において、例えば、ある特定の細胞型に関して、アポトーシス促進性条件として用いられるそのような試薬または組成物(例えば、本明細書に記載されるビーズ組成物などの、細胞表面部分を刺激する試薬が付着している表面)が、本明細書に記載されるような任意の様々な免疫治療設定における使用に向けて、残っている細胞の集団を増大させるために用いられる。さらなる態様において、用いられる特定のビーズ対細胞比は、ナイーブ様T細胞を選択的に増大させる。所望の、特定のT細胞の増大または特定のT細胞の欠失を生じさせるために、特定の比が調整されてもよい。したがって、本明細書に記載される組成物および方法を、本明細書に記載される任意の様々な免疫治療設定における使用に向けて、インプット組成物の集団におけるT細胞の特異的な集団を増大させるために、またはインプット組成物の集団におけるT細胞の特異的な集団を欠失させるために用いることができる。
【0181】
さらに、この点について、ある特定の態様において、例えば、ある特定の細胞型に関して、アポトーシス促進性組成物として用いられるのと同じ試薬または物質または組成物(例えば、本明細書に記載されるビーズ組成物などの、細胞表面部分を刺激する試薬が付着している表面)が、本明細書に記載されるような任意の様々な免疫治療設定における使用に向けて、残っている細胞の集団を増大させるために用いられる。より低いビーズ対細胞比を用いることは、過剰刺激しないが、これらの細胞の迅速な増殖を誘導する刺激シグナルを、抗原特異的T細胞に提供する。さらなる態様において、用いられる特定のビーズ対細胞比は、抗原特異的T細胞を選択的に増大させる。いくつかの局面において、所望の増大または欠失が起こる限り、任意の比を用いることができる。したがって、本明細書に記載される組成物および方法を、本明細書に記載される任意の様々な免疫治療設定における使用に向けて、T細胞の特異的な集団を増大させるために、またはT細胞の特異的な集団を欠失させるために用いることができる。
【0182】
ある特定の方法論を用いて、2、約14日の期間後にT細胞を刺激から分離することによって、初期活性化および刺激後にT細胞の集団の長期刺激を維持することが、有利であり得る。T細胞増殖の速度を、例えば、Coulter CounterなどでT細胞のサイズを調べること、またはその体積を測定することによって、定期的に(例えば、毎日)モニターする。この点について、休止T細胞は、約6.8ミクロンの平均直径を有し、初期活性化および刺激時に、刺激リガンドの存在下で、T細胞平均直径は、4日目までに12ミクロンを上回るまで増加し、約6日目までに減少し始める。平均T細胞直径が、およそ8ミクロンに減少した時に、T細胞は、T細胞のさらなる増殖を誘導するために、再活性化および再刺激されてもよい。あるいは、T細胞増殖の速度およびT細胞再刺激までの時間を、活性化T細胞上で誘導される、CD154、CD54、CD25、CD137、CD134などの細胞表面分子の存在についてアッセイすることによって、モニターすることができる。
【0183】
CD4+および/またはCD8+ T細胞の集団の長期刺激を誘導するために、抗CD3抗体および抗CD28抗体(例えば、B-T3、XR-CD28(Diaclone, Besancon, France))などの刺激物質で数回、T細胞を再活性化および再刺激して、元のT細胞集団から約10~約1000倍、数が増加したCD4+細胞またはCD8+細胞の集団を生じさせることが必要であり得る。例えば、本発明の1つの態様において、T細胞は、2~3回、記載されるように刺激される。さらなる態様において、T細胞は、4または5回、記載されるように刺激される。本発明の方法論を用いて、刺激前と比較してポリクローン性が増加している、約100~約100,000倍のT細胞数を達成することが可能である。さらに、本発明の方法によって増大したT細胞は、実質的なレベルのサイトカイン(例えば、IL-2、IFN-γ、IL-4、GM-CSF、およびTNF-α)を培養上清中に分泌する。例えば、IL-2での刺激と比較して、抗CD3および抗CD28共刺激の使用によって増大したCD4+ T細胞は、高レベルのGM-CSFおよびTNF-αを培養培地中に分泌する。これらのサイトカインを、培養上清から精製することができ、または上清を、培養において細胞を維持するために直接用いることができる。同様に、本発明の方法によって増大したT細胞を、培養上清およびサイトカインと一緒に、インビボでの細胞の増殖を支持するために投与することができる。
【0184】
1つの態様において、T細胞刺激は、例えば、ビーズ(3×28ビーズ)上に同時固定化された抗CD3抗体および抗CD28抗体で、細胞が静止状態(低い増殖または増殖なし)に戻るのに十分な期間にわたって(初期刺激後およそ8~14日)行われる。次いで、刺激シグナルを細胞から除去し、細胞を洗浄して、患者中に注入して戻す。刺激段階の終わりの細胞は、実施例による証拠である、抗原に対して応答するそれらの能力、およびこれらの細胞がメモリー様表現型を示す能力によって実証されるように、本発明の方法によって「超誘導性(super-inducible)」にされる。したがって、注入後にインビボで外因的かまたは抗原によるかのいずれかの再刺激時に、活性化T細胞は、特有の表現型特性、例えば、CD154発現の持続、サイトカイン産生の増加などを特徴とする堅牢な応答を示す。
【0185】
本発明のさらなる態様において、細胞、例えばT細胞を、作用物質コーティングまたはコンジュゲートビーズと混ぜ合わせ、ビーズと細胞とをその後分離し、次いで、細胞を培養する。代替的な態様において、培養の前に、作用物質コーティングまたはコンジュゲートビーズと細胞とを分離せず、一緒に培養する。さらなる態様において、ビーズおよび細胞を、力の印加によって最初に濃縮して、細胞表面部分ライゲーションを結果として生じさせ、それによって、細胞刺激および/または活性化シグナルの極性化を誘導する。
【0186】
例として、T細胞が標的細胞集団である場合、細胞表面部分は、抗CD3抗体および抗CD28抗体が付着している常磁性ビーズ(3×28ビーズ)を調製されたT細胞と接触させることによって、ライゲーションされ得る。1つの態様において、細胞(例えば、104~109 T細胞)とビーズ(例えば、1:1の比のDYNABEADS(登録商標) M-450 CD3/CD28 T常磁性ビーズ)とを、緩衝液、好ましくはPBS(カルシウムおよびマグネシウムなどの二価カチオンを含まない)において混ぜ合わせる。いくつかの局面において、任意の細胞濃度が用いられてもよい。例えば、標的細胞は、試料において非常にまれであり、試料の0.01%のみを構成してもよく、または全試料(すなわち、100%)が、関心対象の標的細胞を含んでもよい。したがって、任意の細胞数が、本発明の状況の中にある。ある特定の態様において、細胞と粒子との最大の接触を確実にするために、粒子と細胞とをその中で一緒に混合する体積を有意に減少させる(すなわち、細胞の濃度を増加させる)ことが望ましい場合がある。例えば、1つの態様において、約20億細胞/mLの濃度が用いられる。別の態様において、1億細胞/mLよりも多くが用いられる。さらなる態様において、1000万細胞/mL、1500万細胞/mL、2000万細胞/mL、2500万細胞/mL、3000万細胞/mL、3500万細胞/mL、4000万細胞/mL、4500万細胞/mL、または5000万細胞/mLの細胞の濃度が用いられる。さらに別の態様において、7500万細胞/mL、8000万細胞/mL、8500万細胞/mL、9000万細胞/mL、9500万細胞/mL、または1億細胞/mLの細胞の濃度が用いられる。さらなる態様において、1億2500万細胞/mLまたは1億5000万細胞/mLの濃度を用いることができる。高い濃度を用いることは、増加した細胞収率、細胞活性化、および細胞増大を結果としてもたらすことができる。さらに、高い細胞濃度の使用によって、関心対象の標的抗原を弱く発現し得る細胞、例えばCD28陰性T細胞のより効率的な捕捉が可能になる。そのような細胞の集団は、治療的価値を有する可能性があり、得ることが望ましいであろう。例えば、高濃度の細胞を用いることによって、より弱いCD28発現を通常有するCD8+ T細胞のより効率的な選択が可能になる。
【0187】
関連する態様において、より低い濃度の細胞を用いることが望ましい場合がある。T細胞と粒子との混合物を有意に希釈することによって、粒子と細胞との間の相互作用が最小化される。これにより、多量の、粒子に結合している所望の抗原を発現する細胞が選択される。例えば、CD4+ T細胞は、希釈した濃度においてCD8+ T細胞よりも、より高いレベルのCD28を発現し、より効率的に捕捉され、かつ刺激される。1つの態様において、用いられる細胞の濃度は、約5×106/mLである。他の態様において、用いられる濃度は、約1×105/mL~1×106/mL、およびその間の任意の整数値であることができる。
【0188】
細胞がそれに懸濁される緩衝液は、特定の細胞型に適切である任意のものであってもよい。ある特定の細胞型を利用する場合、緩衝液は、プロセス中に細胞完全性を維持するために必要な他の構成要素、例えば、1~5%血清を含有してもよい。別の態様において、細胞とビーズとを、細胞培養培地において混ぜ合わせてもよい。細胞とビーズとは、例えば、回転、撹拌、または混合のための任意の手段によって、1分から数時間の範囲にわたる期間、混合されてもよい。次いで、ビーズおよび細胞の容器を、力によって、例えば磁場に置くことによって濃縮する。培地および結合していない細胞を、除去して、ビーズまたは他の表面に付着した細胞を、例えば、蠕動ポンプを介したポンピングによって洗浄し、次いで、細胞培養に適切な培地に再懸濁する。
【0189】
本発明の1つの態様において、混合物は、30分から数時間(約3時間)まで、約14日またはその間の任意の時間もしくは分の整数値までにわたって、培養されてもよい。別の態様において、混合物は、21日間培養されてもよい。本発明の1つの態様において、ビーズおよびT細胞は、約8日間、一緒に培養される。別の態様において、ビーズおよびT細胞は、2~3日間、一緒に培養される。上記のように、T細胞の培養時間が60日以上であることができるように、数サイクルの刺激がまた、望ましい場合もある。T細胞培養に適切な条件は、血清(例えば、胎児ウシ血清もしくはヒト血清)、またはインターロイキン-2(IL-2)、インスリン、または細胞の増殖のための任意の他の添加物を含む、増殖および生存度に必要な因子を含有し得る、適切な培地(例えば、最小必須培地、またはRPMI培地1640 、またはX-vivo 15(BioWhittaker))を含む。培地は、添加されたアミノ酸およびビタミンを伴う、無血清か、または適切な量の血清(もしくは血漿)もしくは規定されたセットのホルモン、ならびに/もしくはT細胞の増殖および増大に十分な量のサイトカインが補給されたかのいずれかの、RPMI 1640、AIM-V、DMEM、MEM、α-MEM、F-12、X-Vivo 15、およびX-Vivo 20を含むことができる。抗生物質、例えば、ペニシリンおよびストレプトマイシンは、実験培養においてのみ含まれ、対象中に注入されることになる細胞の培養には含まれない。標的細胞は、増殖を支持するのに必要な条件、例えば、適切な温度(例えば、37℃)および雰囲気(例えば、空気+5% CO2)の下で維持される。
【0190】
本発明の1つの態様において、ビーズ:細胞比を、所望のT細胞表現型を得るためにあつらえることができる。1つの特定の態様において、ビーズ:細胞比を、抗原特異的(メモリー)T細胞を選択的に増大させるかまたは欠失させるために変動させることができる。1つの態様において、用いられる特定のビーズ:細胞比は、抗原特異的T細胞を選択的に欠失させる。さらなる態様において、用いられる特定のビーズ:細胞比は、抗原特異的T細胞を選択的に増大させる。いくつかの局面において、抗原特異的T細胞の所望の増大または欠失が起こる限り、任意の比を用いることができる。したがって、本明細書に記載される組成物および方法を、本明細書に記載される任意の様々な免疫治療設定における使用に向けて、T細胞の特異的な集団を増大させるために、またはT細胞の特異的な集団を欠失させるために用いることができる。
【0191】
別の態様において、抗CD3/抗CD28(すなわち、3×28)コーティングビーズなどの刺激物質に対する曝露の時間は、所望のT細胞表現型を得るような方法で改変してもよく、またはあつらえてもよい。あるいは、所望のT細胞の集団を、刺激の前に、任意の数の選択技法を用いて選択することができる。ヘルパーT細胞(TH)の増大は、全体的な免疫応答性を改善するかまたは回復させることができるため、CD8+細胞傷害性T細胞または制御性T細胞とは対照的に、TH細胞、典型的にはCD4+のより多くの集団が望ましい場合がある。多くの特異的免疫応答が、標的細胞を直接溶解するかまたは死滅させることができるCD8+抗原特異的T細胞によって媒介されるが、ほとんどの免疫応答は、例えば、GM-CSF、CD40L、およびIL-2などの重要な免疫制御分子を発現するCD4+ T細胞の助けを必要とする。CD4媒介性の助けが好ましい場合、CD4:CD8比を保護するかまたは増強する方法、例えば本明細書に記載されるものは、有意に有益であり得る。CD4+ T細胞の数の増加は、患者中に導入される細胞によって発現されるCD40Lの量を増加させることができ、潜在的に標的細胞可視性を改善する(APC機能の改善)。そのすべてが主にCD4+ T細胞によって発現される、GM-CSF、またはIL-2を発現する注入される細胞の数を増加させることによって、同様の効果を見ることができる。同様に、本明細書に記載される方法を用いて生成し、かつ増大させることができる制御性T細胞の集団を利用することが、ある特定の適用において望ましい場合がある(例えば、Autoimmun Rev. 2002 August; 1(4):190-7;Curr Opin Immunol. 2002 December; 14(6):771-8)。あるいは、CD4の助けがあまり必要とされず、CD8+ T細胞の数の増加が望ましい状況では、本明細書に記載されるXCELLERATE(商標)アプローチをまた、例えば、刺激および/または培養の前のCD8+細胞についての事前選択によって利用することもできる。そのような状況は、IFN-γのレベルの増加または標的細胞の細胞溶解の増加が好ましい場合に存在し得る。例えば、所望のVβファミリー遺伝子を発現する、所望のTCRレパートリーを有するT細胞を増大させるために、刺激物質に対する曝露の時間およびタイプも改変してもよい。
【0192】
様々なT細胞集団の単離を実現するために、粒子への曝露時間を変動させてもよい。例えば、1つの好ましい態様において、T細胞は、所望のT細胞の陽性選択に十分な期間にわたる、DYNABEADS(登録商標)M-450などの3×28ビーズとのインキュベーションによって単離される。1つの態様において、期間は約30分である。さらなる態様において、期間は、少なくとも1、2、3、4、5、または6時間である。さらに別の好ましい態様において、期間は、10~24時間であるかまたはそれよりも長い。1つの好ましい態様において、インキュベーション期間は24時間であるかまたは約24時間である。がん患者からのT細胞の単離のためには、少なくとも24時間または少なくとも約24時間などの、より長いインキュベーション時間の使用が、細胞収率を増加させることができる。
【0193】
ある特定の態様において、総刺激および/または増大時間は、2~15日、2~12日、2~12日、2~8日、2~6日、2~4日、4~12日、4~10日、4~8日、4~6日、6~12日、6~10日、6~8日、8~12日、8~10日、または10~12日であり得、すべての範囲は両端の値を含む。いくつかの態様において、細胞は、少なくとも2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日間、または少なくとも約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約7日、約8日、約9日、約10日、約11日、約12日、約13日、約14日間、または14日間よりも長く、インキュベートされ、かつ/または刺激試薬(例えば、本明細書に記載されるような粒子)とインキュベートされる。T細胞の刺激が、より短い期間実施される時、T細胞の集団は、数が増加しない場合があり、劇的には数が増加しない場合があり、数が減少する場合があり、または数が同じのままである場合があるが、集団は、インビボで増殖し続けることができる、かつ/または天然のエフェクターT細胞プールにより密接に似ている、より堅牢なかつ健康な活性化T細胞を提供するであろう。例えば、T細胞の刺激が、より短い期間実施される時、T細胞の集団は、T細胞の刺激がより長い期間実施される並行したプロセスと比較して、より大きなパーセンテージおよび/または割合のナイーブもしくはナイーブ様T細胞、または操作されたT細胞を含み得る。いくつかの態様において、より短い期間は、6日よりも少ないかもしくは約6日よりも少ない、5日よりも少ないかもしくは約5日よりも少ない、4日よりも少ないかもしくは約4日よりも少ない、3日よりも少ないかもしくは約3日よりも少ない、または2日よりも少ないかもしくは約2日よりも少ない、総インキュベーション時間、いくつかの態様においては刺激物質との総インキュベーション時間を特徴とし得る。T細胞の助けを利用できることは、多くの場合、タンパク質抗原に対する抗体応答における律速因子であるため、T細胞のCD4+に富む集団を選択的に増大させるか、または対象中に選択的に注入する能力は、極度に有益である。そのような濃縮された集団のさらなる有益性は、Bリンパ球によって提示される抗原を認識する活性化ヘルパーT細胞が、B細胞の増殖および分化を結果としてもたらす、物理的接触およびサイトカイン産生の2つのタイプの刺激を送達する点で、容易に明らかである。
【0194】
いくつかの場合には、刺激条件は、T細胞の特定のサブセット、例えば非ナイーブ様T細胞を保護するために補給される培養構成要素または作用物質を含まない。したがって、いくつかの場合には、刺激条件の培養からの構成要素または作用物質の除去が、非ナイーブ様T細胞の排除に寄与し得る。いくつかの態様において、刺激条件は、TCR/CD3シグナル伝達の強度を調節する、かつ/または微調整するために用いることができる、N-アセチルシステインなどの作用物質を含まない。いくつかの局面において、そのような作用物質は、除去されるか、または活性化シグナルの強さを増加させる量/比で低減される。いくつかの局面において、刺激条件は、AICDを低減させることが公知であるかもしくは低減させる可能性が高い、および/または非ナイーブ細胞などのより古い細胞の生存を促進する培養試薬を除外するかまたはその濃度を低減させることによって、実施されるか、または追加的に実施される。いくつかの場合には、刺激条件は、N-アセチルシステインを含まないか、または低減した量もしくは濃度でN-アセチルシステインを含む。いくつかの場合には、刺激条件は、組換えIL-7および/もしくは組換えIL-15を含まないか、または低減した量もしくは濃度の組換えIL-7もしくはIL-15を含む。いくつかの態様において、非ナイーブ細胞の除去を追加的に補助するかまたは促進する培養添加物(例えば、CD45ROに付着した毒素)が、含まれ得る。
【0195】
C. 刺激された組成物
また、記載されるインキュベートする(例えば、刺激する)方法によって作製される、刺激された組成物も提供される。いくつかの態様において、刺激された組成物の細胞は、インプット組成物のインキュベーション後に、例えば、遺伝子操作された抗原受容体を導入するために、さらに操作される。いくつかの態様において、方法は、遺伝子操作段階中に、1つまたは複数の刺激物質の存在下でインキュベートする工程をさらに含む。
【0196】
本明細書に記載されるインキュベートする(例えば、刺激する)ための方法を用いてアポトーシスを経験していない刺激された組成物の細胞は、所与の抗原に対する集団の応答の幅広さによって測定されるような、残っているT細胞の集団のポリクローン性を増加させることができる。ポリクローン性の回復または増加は、例えば、抗原特異的細胞によって認識される異なるエピトープの数を測定することにより、関心対象の特定の抗原に対する応答の幅広さを決定することによって、測定することができる。これは、インビトロで抗原特異的T細胞を生成するためおよびクローニングするための標準的な技法を用いて、実施することができる。
【0197】
本明細書に提供される方法のいくつかの態様において、培養条件は、ナイーブ様T細胞と比較して非ナイーブ様T細胞の増大、増殖、および/または生存を優先的に誘導する。第2の細胞型または集団と比較した第1の細胞型または集団の優先的な増大、増殖、および/または生存とは、相対的な増大、増殖、および/または生存が、第2の型または集団よりも第1の型または集団について大きいことを意味する。これは、増大した、増殖した、および/もしくは生存した第1の細胞型もしくは集団のパーセンテージがより大きいシナリオ、ならびに/または細胞が増大する、増殖する、および/もしくは生存する程度(例えば、細胞の集団もしくは型の間の全体もしくは平均の程度)が、第2の集団もしくは型よりも第1の集団もしくは型についてより大きいことを含むことができる。
【0198】
いくつかの態様において、優先的な増大、増殖、および/または生存は、インプット組成物におけるナイーブ様細胞のパーセンテージを、元のインプット組成物におけるナイーブ様細胞に由来する刺激された組成物における操作された細胞のパーセンテージと比較することによって、表現される。いくつかの例において、元のインプット組成物におけるナイーブ様細胞に由来する刺激された組成物における操作された細胞のパーセンテージは、概して、本明細書に記載される刺激条件下で、前者よりも大きい。例えば、1つの態様において、元のインプット組成物におけるナイーブ様細胞に由来する刺激された組成物における細胞のパーセンテージは、培養開始組成物におけるナイーブ細胞のパーセンテージよりも大きい。1つの局面において、インプット組成物(またはその中のT細胞)は、70%または約70%のナイーブ様T細胞および30%の非ナイーブ様T細胞を含むのに対して、結果として生じた刺激された組成物における操作された細胞のうちの50%よりも多く、例えば、少なくとも70%は、インプット組成物におけるナイーブ様細胞に由来する。いくつかの場合には、他の条件、例えば、TCR複合体を介して強いシグナルを誘導する作用物質での刺激を用いることは、非ナイーブ様起源である刺激された組成物において、50%よりも少ない、例えば、5~10%または約5~10%の細胞を結果としてもたらすであろう。いくつかの態様において、刺激条件は、インプット組成物の非ナイーブ様T細胞において、活性化誘導細胞死を誘導する強いシグナルを誘導する。
【0199】
いくつかの態様において、刺激された組成物におけるインプット組成物のナイーブ様T細胞またはナイーブ様T細胞に由来する細胞のパーセントは、インプット組成物と比較して1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、50倍、100倍よりも大きく、または約1.5倍、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約7倍、約8倍、約9倍、約10倍、約50倍、約100倍よりも大きく増加している。いくつかの場合には、インプット組成物の非ナイーブ様T細胞に由来する細胞と比較したインプット組成物のナイーブ様T細胞に由来する細胞の比、または刺激された組成物における非ナイーブ様T細胞と比較したナイーブ様T細胞の比は、インプット組成物における非ナイーブ様T細胞と比較したナイーブ様T細胞の比と比較して1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、50倍、100倍よりも大きく、または約1.5倍、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約7倍、約8倍、約9倍、約10倍、約50倍、約100倍よりも大きく増加している。いくつかの態様において、刺激された組成物は、75%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%よりも多くの、インプット組成物のナイーブ様T細胞に由来する細胞を含む。
【0200】
本明細書に記載されるT細胞を刺激する方法を用いるいくつかの態様において、インプット組成物における細胞のうち、非ナイーブ様T細胞と比較してより大きなパーセンテージのナイーブ様T細胞が、増殖するようにかつ/または活性化されるように誘導される。いくつかの局面において、本明細書に記載される刺激する方法に起因する刺激された組成物は、10%未満の、非ナイーブ様T細胞に由来する細胞を含有する。いくつかの場合には、刺激された組成物は、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、または0.1%未満の、非ナイーブT細胞に由来する細胞を含有する。いくつかの態様において、インプット組成物において非ナイーブ様であったT細胞のパーセンテージと比較してより大きなパーセンテージの、インプット組成物においてナイーブ様であったT細胞は、前記インキュベーションの開始後1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10日目に分裂している。いくつかの場合には、刺激条件は、細胞死を誘導する。特定の例において、方法の刺激条件は、非ナイーブ様T細胞の活性化を誘導し、それによって、活性化誘導細胞死(AICD)を誘導する。
【0201】
いくつかの態様において、方法は、条件下でのインキュベーションの開始後1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10日目に、非ナイーブ様T細胞と比較してより大きなパーセンテージの、ナイーブ様T細胞集団の細胞の増殖を誘導することができる、刺激条件を含む。
【0202】
いくつかの態様において、刺激条件は、刺激された組成物を生じさせ、刺激条件は、インプット組成物のナイーブ様T細胞に由来する刺激された組成物のT細胞の標的量が生じるように、ナイーブ様T細胞の増大を優先的に誘導する。いくつかの態様において、刺激された組成物は、T細胞の好ましいCD4:CD8比を達成するようにさらに調整される。いくつかの場合には、好ましいCD4:CD8比を達成するように、特定の細胞集団を、刺激された組成物から除去することができる。
【0203】
いくつかの態様において、例えば、インプット組成物がその下でインキュベートされる刺激条件は、非ナイーブ様T細胞またはそのサブセットと比較して、ナイーブ様T細胞またはそのサブセットの増大、増殖、および/または生存を優先的に誘導する。いくつかの局面において、刺激条件は、インプット組成物の非ナイーブ様T細胞を強く活性化し、それによって、特にインプット組成物の非ナイーブ様T細胞において細胞死を活性化する。いくつかの局面において、これは、それによって、ナイーブ様T細胞の生存に優先的に好都合である。いくつかの局面において、そのような刺激条件は、方法によって作製される細胞および組成物の、対象への投与後に、低減したレベルの毒性および/または毒性に関連したアウトカムまたは症状をもたらす。
【0204】
特定の応答が、1つの集団において別の集団を上回って誘導されているか、または優先的に誘導されるかは、様々な方法によって測定され得る。例えば、細胞が、細胞周期に入るように誘導されるかどうかは、色素および他の剤、例えば、CFSEおよび細胞分裂を評価するための他のインターカレート剤の使用およびその後のフローサイトメトリー評価、トリチウム(H3)標識チミジンおよび同様の剤の取り込みの評価、ならびに/または細胞数を含むものを含む、フローサイトメトリーベースの方法によって測定され得る。比較は、様々な純粋な試験集団を評価することによって、例えば、特定の条件下でナイーブT細胞集団と非ナイーブT細胞集団とを別々に比較することによって、行われ得る。活性化は、例えば、様々なサイトカインの分泌、ならびに/またはCD25、CD69、および/もしくは細胞サイズ(例えば、フローサイトメトリーによって測定されるような前方散乱)を含む様々な活性化マーカーの上方制御もしくは発現によって、測定することができる。生存および/またはアポトーシスは、フローサイトメトリー法、ヨウ化プロピジウムを含む様々な色素の取り込み、ならびに剤での染色、例えばアネキシンVおよび同様の剤での染色を含む、様々な方法によって評価され得る。
【0205】
いくつかの態様において、インプット組成物におけるナイーブ様T細胞のパーセンテージは、インプット組成物におけるナイーブ様T細胞に由来する、刺激された組成物におけるT細胞のパーセンテージより小さい。いくつかの態様において、本明細書に提供される方法は、より大きなパーセンテージが、インプット組成物における非ナイーブ様T細胞と比較した、インプット組成物におけるナイーブ様T細胞であるかまたはその増殖に由来する、核酸が導入された細胞を作製する。特定の細胞型における応答および/またはアウトカムに好都合である刺激条件の様々な調整は、例えば、米国特許第8,617,884号において、および米国特許出願公開第20030235908 A1号において開示されている。
【0206】
いくつかの態様において、刺激された組成物は、ナイーブ様T細胞の特定のマーカーを発現するか、またはそれを発現する細胞に由来する細胞を含有する。例えば、提供される方法によって作製される刺激された組成物は、CD27、CD28、CD45RA、およびCCR7からなる群より選択されるT細胞活性化マーカーについて表面陽性である細胞の集団に由来する。いくつかの場合には、提供される方法によって作製される刺激された組成物は、CD62LなどのT細胞活性化マーカーについて表面陰性である細胞の集団に由来する。いくつかの局面において、刺激された組成物の細胞は、CD56および/またはCD45ROについて表面陰性であるか、または表面陰性である細胞に由来する。いくつかの特定の態様において、提供される方法によって作製される刺激された組成物は、CD27+、CD45RA+、CD45RO-、およびCCR7+である細胞の集団に由来する。いくつかの場合には、刺激された組成物の細胞は、IL-2、IFN-γ、IL-4、および/またはIL-10などのサイトカインの細胞内発現について陰性であるか、または陰性である細胞に由来する。いくつかのさらなる例において、刺激された組成物の細胞は、マーカーCD25および/またはパーフォリンの発現について陰性であるか、または陰性である細胞に由来する。いくつかの場合には、刺激された組成物の細胞は、CD95loであるか、またはCD95loである細胞に由来する。
【0207】
いくつかの場合には、刺激された組成物は、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%の、CD27、CD28、CD45RA、およびCCR7などのT細胞活性化マーカーについて表面陽性であり、かつCD62Lについて表面陰性であるT細胞に由来する、細胞を含有する。いくつかの態様において、刺激された組成物は、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%の、CD56および/またはCD45ROについて表面陰性であるT細胞に由来する、細胞を含有する。いくつかの局面において、刺激された組成物は、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%の、CD45ROについて表面陰性であり、かつCD27、CD45RA、およびCCR7について細胞表面陽性であるT細胞に由来する、細胞を含有する。いくつかの例において、刺激された組成物は、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%の、IL-2、IFN-γ、IL-4、IL-10などのサイトカインの細胞内発現について陰性であるT細胞に由来する、細胞を含有する。いくつかの局面において、刺激された組成物は、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%の、マーカーCD25および/またはパーフォリンの発現について陰性であるT細胞に由来する、細胞を含有する。いくつかの場合には、刺激された組成物は、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%の、CD95loであるT細胞に由来する、細胞を含有する。
【0208】
ある特定の態様において、刺激された組成物は、インプット組成物と比較してよりポリクローナルまたはマルチクローナルである。いくつかの態様において、刺激された組成物は、インプット組成物と比較してより多様性である。いくつかの態様において、このポリクローン性の増加は、少なくとも1つのVβ、Vα、Vγ、またはVδファミリー遺伝子のVβ、Vα、Vγ、またはVδスペクトル型プロファイルによって測定されるような、T細胞集団のモノクローン性からオリゴクローン性へ、またはポリクローン性へのシフトを含む。提供される方法を用いて生存、増大、増殖した、残っている細胞の刺激および活性化は、所与の抗原に対する集団の応答の幅広さによって測定されるような、刺激された組成物の残っているT細胞のポリクローン性を増加させることができる。刺激された組成物のポリクローン性の回復または増加は、例えば、抗原特異的細胞によって認識される異なるエピトープの数を測定することにより、関心対象の特定の抗原に対する応答の幅広さを決定することによって、測定することができる。これは、インビトロで抗原特異的T細胞を生成するためおよびクローニングするための標準的な技法を用いて、実施することができる。
【0209】
II. 細胞を遺伝子操作する方法
いくつかの態様において、方法は、遺伝子操作された組換え受容体、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)などのキメラ受容体を、刺激されたT細胞の組成物中に導入する工程、遺伝子操作された組換え受容体を発現するT細胞を含むアウトプット組成物を生成する工程をさらに含む。いくつかの場合には、刺激条件下でインプット組成物をインキュベートする工程は、遺伝子操作された組換え受容体をコードする核酸を導入する工程の前に、その最中に、および/またはその後に行われる。いくつかの例において、導入は形質導入による。いくつかの態様において、提供される方法は、均一に形質導入され得る刺激された組成物を作製する。いくつかの局面において、核酸はウイルスベクターを含有する。いくつかの場合には、ウイルスベクターはレトロウイルスベクターである。いくつかの例において、ウイルスベクターは、レンチウイルスベクターまたはガンマレトロウイルスベクターである。導入する工程を含む、いくつかの態様における方法は、インビトロまたはエクスビボで行われる。
【0210】
したがって、本明細書に提供される方法は、遺伝子操作用の細胞を調製するための1つまたは複数の工程を含む。ある特定の態様において、1つまたは複数の工程は、細胞を生物学的試料から単離すること、細胞のインプット組成物を刺激すること、および遺伝子操作されることになる細胞の組成物を調製することを含む。また、そのような細胞の集団、例えば、その中で組換え受容体、例えばキメラ受容体を発現する細胞が、組成物における総細胞の少なくとも50、60、70、80、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくはそれよりも高い%を占める、そのような細胞を含有するおよび/もしくはそのような細胞が濃縮された組成物、または、T細胞またはCD8+細胞もしくはCD4+細胞などのある特定の型の細胞も提供される。組成物の中には、投与のため、例えば養子細胞療法のための、薬学的組成物および製剤がある。また、そのような細胞を操作する、作製する、または生成するための方法、細胞および組成物を対象、例えば、患者へ投与するための方法、ならびに、そのような細胞を検出する、選択する、単離する、または分離するための方法も提供される。したがって、組換え受容体、例えばCARを発現する遺伝子操作された細胞が提供される。
【0211】
いくつかの態様において、細胞は、遺伝子操作を介して導入された1つまたは複数の核酸を含み、それによって、そのような核酸の組換え産物または遺伝子操作された産物を発現する。いくつかの態様において、核酸は、異種であり、すなわち、細胞または細胞から得られる試料中に正常では存在せず、例えば、操作されている細胞、および/またはそのような細胞が由来する生物において通常は見出されない、別の生物または細胞から得られるものである。いくつかの態様において、核酸は、天然には存在せず、例えば、複数の異なる細胞型由来の様々なドメインをコードする核酸のキメラ組み合わせを含むものを含む、天然において見出されない核酸である。
【0212】
A.遺伝子操作
1. 組換え抗原受容体
いくつかの態様において、特定の抗原(またはマーカーまたはリガンド)、例えば、特定の細胞型の表面上に発現される抗原に対して特異性を有するCARを発現する操作された細胞、例えばT細胞が提供される。いくつかの態様において、抗原はポリペプチドである。いくつかの態様において、抗原は、糖質または他の分子である。いくつかの態様において、抗原は、正常のまたは非標的の細胞または組織と比較して、疾患または状態の細胞、例えば、腫瘍または病原性細胞上に選択的に発現されるか、または過剰発現される。他の態様において、抗原は、正常細胞上に発現され、かつ/または操作された細胞上に発現される。
【0213】
特定の態様において、組換え受容体、例えばキメラ受容体は、細胞内シグナル伝達領域を含有し、これは、T細胞において一次活性化シグナルを誘導することができる細胞質(細胞内)領域などの細胞質シグナル伝達ドメイン(互換的に細胞内シグナル伝達ドメインとも呼ばれる)、例えば、T細胞受容体(TCR)構成要素の細胞質シグナル伝達ドメイン(例えば、CD3ゼータ(CD3ζ)鎖のζ鎖の細胞質シグナル伝達ドメインまたはその機能的バリアントもしくはシグナル伝達部分)を含み、かつ/または免疫受容体チロシン活性化モチーフ(ITAM)を含む。
【0214】
いくつかの態様において、キメラ受容体は、リガンド(例えば抗原)抗原に特異的に結合する細胞外リガンド結合ドメインをさらに含有する。いくつかの態様において、キメラ受容体は、抗原に特異的に結合する細胞外抗原認識ドメインを含有するCARである。いくつかの態様において、抗原などのリガンドは、細胞の表面上に発現されるタンパク質である。いくつかの態様において、CARはTCR様CARであり、抗原は、細胞内タンパク質のペプチド抗原などのプロセシングされたペプチド抗原であり、これは、TCRのように、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子に関連して細胞表面上で認識される。
【0215】
CARを含む例示的な抗原受容体、およびそのような受容体を操作して細胞中に導入するための方法は、例えば、国際特許出願公開番号WO2000/14257、WO2013/126726、WO2012/129514、WO2014031687、WO2013/166321、WO2013/071154、WO2013/123061、米国特許出願公開第2002131960号、同第2013287748号、同第20130149337号、米国特許第6,451,995号、同第7,446,190号、同第8,252,592号、同第8,339,645号、同第8,398,282号、同第7,446,179号、同第6,410,319号、同第7,070,995号、同第7,265,209号、同第7,354,762号、同第7,446,191号、同第8,324,353号、および同第8,479,118号、ならびに欧州特許出願番号EP2537416に記載されているもの、ならびに/または、Sadelain et al., Cancer Discov.2013 April;3(4):388-398;Davila et al.(2013)PLoS ONE 8(4):e61338;Turtle et al., Curr.Opin.Immunol.,2012 October;24(5):633-39;Wu et al., Cancer,2012 March 18(2):160-75によって記載されているものを含む。いくつかの局面において、抗原受容体は、米国特許第7,446,190号に記載されているCAR、および国際特許出願公開番号WO/2014055668 A1に記載されているものを含む。CARの例には、WO2014031687、US 8,339,645、US 7,446,179、US 2013/0149337、米国特許第7,446,190号、米国特許第8,389,282号、Kochenderfer et al., 2013, Nature Reviews Clinical Oncology, 10, 267-276 (2013);Wang et al. (2012) J. Immunother. 35(9): 689-701;およびBrentjens et al., Sci Transl Med. 2013 5(177)などの前述の刊行物のいずれかにおいて開示されているCARが含まれる。WO2014031687、US 8,339,645、US 7,446,179、US 2013/0149337、米国特許第7,446,190号、および米国特許第8,389,282号も参照されたい。
【0216】
いくつかの態様において、CARは、特定の抗原(またはマーカーまたはリガンド)、例えば、養子療法によって標的とされる特定の細胞型において発現される抗原、例えばがんマーカー、および/または正常細胞型もしくは非罹患細胞型上に発現される抗原などの減衰応答を誘導することが意図される抗原に対する特異性を備えて構築される。したがって、CARは、典型的には、その細胞外部分に、1つもしくは複数の抗原結合断片、ドメイン、もしくは一部分などの1つもしくは複数の抗原結合分子、または1つもしくは複数の抗体可変ドメイン、および/または抗体分子を含む。いくつかの態様において、CARは、モノクローナル抗体(mAb)の可変重鎖(VH)および可変軽鎖(VL)に由来する一本鎖抗体断片(scFv)などの、抗体分子の1つまたは複数の抗原結合部分を含む。
【0217】
いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合部分は、組換え受容体、例えば抗原受容体の一部として細胞上に発現される。抗原受容体の中には、機能的非TCR抗原受容体、例えばキメラ抗原受容体(CAR)がある。概して、ペプチド-MHC複合体に対してTCR様の特異性を示す抗体または抗原結合断片を含有するCARはまた、TCR様CARとも呼ばれ得る。いくつかの態様において、TCR様CARのMHC-ペプチド複合体に特異的な細胞外抗原結合ドメインは、いくつかの局面においてはリンカーおよび/または膜貫通ドメインを介して、1つまたは複数の細胞内シグナル伝達構成要素に連結されている。いくつかの態様において、そのような分子は、典型的には、TCRなどの天然の抗原受容体を介するシグナル、および任意で、共刺激受容体と組み合わせたそのような受容体を介するシグナルを模倣するかまたは近似することができる。
【0218】
いくつかの態様において、組換え受容体、例えばキメラ受容体(例えばCAR)は、抗原(またはリガンド)に結合する、例えば特異的に結合するリガンド結合ドメインを含む。キメラ受容体によって標的とされる抗原の中には、養子細胞療法を介して標的とされる疾患、状態、または細胞型に関連して発現されるものがある。疾患および状態の中には、血液がん、免疫系のがん、例えば、B、Tおよび骨髄性の白血病、リンパ腫、および多発性骨髄腫などのリンパ腫、白血病、および/または骨髄腫を含むがんおよび腫瘍を含む、増殖性、新生物性、および悪性の疾患および障害がある。
【0219】
いくつかの態様において、抗原(またはリガンド)はポリペプチドである。いくつかの態様において、抗原は、糖質または他の分子である。いくつかの態様において、抗原(またはリガンド)は、正常のまたは非標的の細胞または組織と比較して、疾患または状態の細胞、例えば、腫瘍または病原性細胞上に選択的に発現されるか、または過剰発現される。他の態様において、抗原は、正常細胞上に発現され、かつ/または操作された細胞上に発現される。
【0220】
いくつかの態様において、CARは、細胞の表面上に発現される抗原、例えば無傷の抗原を特異的に認識する、抗体または抗原結合断片(例えばscFv)を含有する。
【0221】
ある特定の態様において、抗原は、αvβ6インテグリン(avb6インテグリン)、B細胞成熟抗原(BCMA)、B7-H3、B7-H6、炭酸アンヒドラーゼ9(CA9;CAIXまたはG250としても知られる)、がん-精巣抗原、がん/精巣抗原1B(CTAG;NY-ESO-1およびLAGE-2としても知られる)、がん胎児性抗原(CEA)、サイクリン、サイクリンA2、C-Cモチーフケモカインリガンド1(CCL-1)、CD19、CD20、CD22、CD23、CD24、CD30、CD33、CD38、CD44、CD44v6、CD44v7/8、CD123、CD133、CD138、CD171、コンドロイチン硫酸プロテオグリカン4(CSPG4)、上皮成長因子タンパク質(EGFR)、III型上皮成長因子受容体変異(EGFR vIII)、上皮糖タンパク質2(EPG-2)、上皮糖タンパク質40(EPG-40)、エフリンB2、エフリン受容体A2(EPHa2)、エストロゲン受容体、Fc受容体様5(FCRL5;Fc受容体ホモログ5またはFCRH5としても知られる)、胎児アセチルコリン受容体(胎児AchR)、葉酸結合タンパク質(FBP)、葉酸受容体α、ガングリオシドGD2、O-アセチル化GD2(OGD2)、ガングリオシドGD3、糖タンパク質100(gp100)、グリピカン-3(GPC3)、Gタンパク質共役受容体5D(GPCR5D)、Her2/neu(受容体チロシンキナーゼerbB2)、Her3(erb-B3)、Her4(erb-B4)、erbB二量体、ヒト高分子量黒色腫関連抗原(HMW-MAA)、B型肝炎表面抗原、ヒト白血球抗原A1(HLA-A1)、ヒト白血球抗原A2(HLA-A2)、IL-22受容体α(IL-22Rα)、IL-13受容体α2(IL-13Rα2)、キナーゼインサートドメイン受容体(kdr)、κ軽鎖、L1細胞接着分子(L1-CAM)、L1-CAMのCE7エピトープ、ロイシンリッチリピート含有8ファミリーメンバーA(LRRC8A)、ルイスY、黒色腫関連抗原(MAGE)-A1、MAGE-A3、MAGE-A6、MAGE-A10、メソテリン(MSLN)、c-Met、マウスサイトメガロウイルス(CMV)、ムチン1(MUC1)、MUC16、ナチュラルキラーグループ2メンバーD(NKG2D)リガンド、メランA(MART-1)、神経細胞接着分子(NCAM)、胎児腫瘍性抗原、黒色腫の優先発現抗原(PRAME)、プロゲステロン受容体、前立腺特異抗原、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、受容体チロシンキナーゼ様オーファン受容体1(ROR1)、サバイビン、栄養膜糖タンパク質(TPBG;5T4としても知られる)、腫瘍関連糖タンパク質72(TAG72)、チロシナーゼ関連タンパク質1(TRP1;TYRP1またはgp75としても知られる)、チロシナーゼ関連タンパク質2(TRP2;ドパクロムトートメラーゼ、ドパクロムデルタ-イソメラーゼ、またはDCTとしても知られる)、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)、血管内皮増殖因子受容体2(VEGFR2)、ウィルムス腫瘍1(WT-1)、病原体特異的もしくは病原体発現抗原、またはユニバーサルタグに関連する抗原、および/またはビオチン化分子、および/またはHIV、HCV、HBV、もしくは他の病原体によって発現される分子である。いくつかの態様において受容体によって標的とされる抗原には、多数の公知のB細胞マーカーのいずれかなどの、B細胞悪性腫瘍に関連する抗原が含まれる。いくつかの態様において、抗原は、CD20、CD19、CD22、ROR1、CD45、CD21、CD5、CD33、Igκ、Igλ、CD79a、CD79b、またはCD30であるかまたはそれを含む。
【0222】
いくつかの態様において、抗原は、病原体特異的または病原体発現抗原であるかまたはそれを含む。いくつかの態様において、抗原は、ウイルス抗原(例えばHIV、HCV、HBVなど由来のウイルス抗原)、細菌抗原、および/または寄生虫抗原である。
【0223】
いくつかの態様において、抗原または抗原結合ドメインは、CD19である。いくつかの態様において、scFvは、CD19に特異的な抗体または抗体断片に由来するVHおよびVLを含有する。いくつかの態様において、CD19に結合する抗体または抗体断片は、FMC63およびSJ25C1などのマウス由来抗体である。いくつかの態様において、抗体または抗体断片は、例えば、米国特許出願公開第2016/0152723号に記載されているようなヒト抗体である。
【0224】
いくつかの態様において、scFvはFMC63に由来する。FMC63は概して、ヒト起源のCD19を発現するNalm-1および-16細胞に対して作製されたマウスモノクローナルIgG1抗体を指す(Ling, N. R., et al. (1987). Leucocyte typing III. 302)。FMC63抗体は、それぞれSEQ ID NO:38、39に示されるCDRH1およびH2、およびSEQ ID NO:40または54に示されるCDRH3、ならびにSEQ ID NO:35に示されるCDRL1、およびCDR L2 36または55、およびCDR L3配列37または34を含む。FMC63抗体は、SEQ ID NO:41のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)、およびSEQ ID NO:42のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。いくつかの態様において、svFvは、SEQ ID NO:35のCDRL1配列、SEQ ID NO:36のCDRL2配列、およびSEQ ID NO:37のCDRL3配列を含有する可変軽鎖、ならびに/またはSEQ ID NO:38のCDRH1配列、SEQ ID NO:39のCDRH2配列、およびSEQ ID NO:40のCDRH3配列を含有する可変重鎖を含む。いくつかの態様において、scFvは、SEQ ID NO:41に示されるFMC63の可変重鎖領域、およびSEQ ID NO:42に示されるFMC63の可変軽鎖領域を含む。いくつかの態様において、可変重鎖および可変軽鎖は、リンカーによって接続される。いくつかの態様において、リンカーはSEQ ID NO:56に示される。いくつかの態様において、scFvは、順番に、VH、リンカー、およびVLを含む。いくつかの態様において、scFvは、順番に、VL、リンカー、およびVHを含む。いくつかの態様において、svFcは、SEQ ID NO:57に示されるヌクレオチドの配列、またはSEQ ID NO:57に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を示す配列によってコードされる。いくつかの態様において、scFvは、SEQ ID NO:43に示されるアミノ酸の配列、またはSEQ ID NO:43に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を示す配列を含む。
【0225】
いくつかの態様において、scFvはSJ25C1に由来する。SJ25C1は、ヒト起源のCD19を発現するNalm-1および-16細胞に対して作製されたマウスモノクローナルIgG1抗体である(Ling, N. R., et al. (1987). Leucocyte typing III. 302)。SJ25C1抗体は、それぞれSEQ ID NO:47~49に示されるCDRH1、H2、およびH3、ならびにそれぞれSEQ ID NO:44~46に示されるCDRL1、L2、およびL3配列を含む。SJ25C1抗体は、SEQ ID NO:50のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)、およびSEQ ID NO:51のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。いくつかの態様において、svFvは、SEQ ID NO:44のCDRL1配列、SEQ ID NO:45のCDRL2配列、およびSEQ ID NO:46のCDRL3配列を含有する可変軽鎖、ならびに/またはSEQ ID NO:47のCDRH1配列、SEQ ID NO:48のCDRH2配列、およびSEQ ID NO:49のCDRH3配列を含有する可変重鎖を含む。いくつかの態様において、scFvは、SEQ ID NO:50に示されるSJ25C1の可変重鎖領域、およびSEQ ID NO:51に示されるSJ25C1の可変軽鎖領域を含む。いくつかの態様において、可変重鎖および可変軽鎖は、リンカーによって接続される。いくつかの態様において、リンカーはSEQ ID NO:52に示される。いくつかの態様において、scFvは、順番に、VH、リンカー、およびVLを含む。いくつかの態様において、scFvは、順番に、VL、リンカー、およびVHを含む。いくつかの態様において、scFvは、SEQ ID NO:53に示されるアミノ酸の配列、またはSEQ ID NO:53に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を示す配列を含む。
【0226】
いくつかの態様において、抗原または抗原結合ドメインは、BCMAである。いくつかの態様において、scFvは、BCMAに特異的な抗体または抗体断片に由来するVHおよびVLを含有する。いくつかの態様において、BCMAに結合する抗体または抗体断片は、国際特許出願公開番号WO 2016/090327およびWO 2016/090320に示されている抗体または抗体断片由来のVHおよびVLであるかまたはそれを含有する。
【0227】
いくつかの態様において、抗原または抗原結合ドメインは、GPRC5Dである。いくつかの態様において、scFvは、GPRC5Dに特異的な抗体または抗体断片に由来するVHおよびVLを含有する。いくつかの態様において、GPRC5Dに結合する抗体または抗体断片は、国際特許出願公開番号WO 2016/090329およびWO 2016/090312に示されている抗体または抗体断片由来のVHおよびVLであるかまたはそれを含有する。
【0228】
いくつかの態様において、CARは、TCR様抗体、例えば、細胞表面上にMHC-ペプチド複合体として提示される腫瘍関連抗原などの細胞内抗原を特異的に認識する抗体または抗原結合断片(例えばscFv)を含有する。いくつかの態様において、MHC-ペプチド複合体を認識する抗体またはその抗原結合部分は、組換え受容体、例えば抗原受容体の一部として細胞上に発現されることができる。抗原受容体の中には、機能的非TCR抗原受容体、例えばキメラ抗原受容体(CAR)がある。概して、ペプチド-MHC複合体に対してTCR様の特異性を示す抗体または抗原結合断片を含有するCARはまた、TCR様CARとも呼ばれ得る。
【0229】
「主要組織適合遺伝子複合体」(MHC)への言及は、いくつかの場合には、細胞機構によってプロセシングされたペプチド抗原を含むポリペプチドのペプチド抗原と複合体を形成することができる、多型ペプチド結合部位または結合溝を含有するタンパク質、概して糖タンパク質を指す。いくつかの場合には、MHC分子は、TCRまたはTCR様抗体などの、T細胞上の抗原受容体が認識可能な立体配座での抗原の提示のために、ペプチドとの複合体、すなわちMHC-ペプチド複合体としてのものを含めて、細胞表面上に表示されるかまたは発現されることができる。概して、MHCクラスI分子は、いくつかの場合には3つのαドメインを備える膜貫通α鎖、および非共有結合したβ2ミクログロブリンを有するヘテロ二量体である。概して、MHCクラスII分子は、2つの膜貫通糖タンパク質、αおよびβから構成され、それらは両方とも、典型的には膜を貫通している。MHC分子は、ペプチドに結合するための1つまたは複数の抗原結合部位、および適切な抗原受容体による認識に必要な配列を含有するMHCの有効部分を含むことができる。いくつかの態様において、MHCクラスI分子は、サイトゾルが起源であるペプチドを細胞表面に送達し、ここでMHC-ペプチド複合体は、概してCD8+ T細胞であるが、いくつかの場合にはCD4+ T細胞などのT細胞によって認識される。いくつかの態様において、MHCクラスII分子は、小胞系が起源であるペプチドを細胞表面に送達し、ここでそれらは、典型的にはCD4+ T細胞によって認識される。概して、MHC分子は、マウスではH-2、ヒトではヒト白血球抗原(HLA)と総称される一群の連鎖する遺伝子座によってコードされる。したがって、典型的には、ヒトMHCはまた、ヒト白血球抗原(HLA)とも呼ばれ得る。
【0230】
「MHC-ペプチド複合体」もしくは「ペプチド-MHC複合体」という用語またはその変形は、例えば、概して、MHC分子の結合溝または裂におけるペプチドの非共有結合性相互作用による、ペプチド抗原とMHC分子との複合体または会合を指す。いくつかの態様において、MHC-ペプチド複合体は、細胞の表面上に存在するかまたは表示される。いくつかの態様において、MHC-ペプチド複合体は、抗原受容体、例えばTCR、TCR様CAR、またはその抗原結合部分によって特異的に認識されることができる。
【0231】
いくつかの態様において、ポリペプチドの、ペプチド抗原またはエピトープなどのペプチドは、例えば抗原受容体による認識のために、MHC分子と会合することができる。概して、ペプチドは、ポリペプチドまたはタンパク質などのより長い生物学的分子の断片に由来するか、またはそれに基づく。いくつかの態様において、ペプチドは、典型的には、長さが約8~約24アミノ酸である。いくつかの態様において、ペプチドは、MHCクラスII複合体における認識のために、9~22アミノ酸または約9~22アミノ酸の長さを有する。いくつかの態様において、ペプチドは、MHCクラスI複合体における認識のために、8~13アミノ酸または約8~13アミノ酸の長さを有する。いくつかの態様において、MHC-ペプチド複合体などのMHC分子に関連したペプチドの認識時に、抗原受容体、例えばTCRまたはTCR様CARは、T細胞増殖、サイトカイン産生、細胞傷害性T細胞応答、または他の応答などのT細胞応答を誘導する、T細胞への活性化シグナルを生じるかまたは誘発する。
【0232】
いくつかの態様において、TCR様抗体または抗原結合部分は、作製することができる(例えば、米国特許出願公開第2002/0150914号;同第2003/0223994号;同第2004/0191260号;同第2006/0034850号;同第2007/00992530号;同第20090226474号;同第20090304679号;および国際PCT公開番号WO 03/068201を参照されたい)。
【0233】
いくつかの態様において、MHC-ペプチド複合体に特異的に結合する抗体またはその抗原結合部分は、特異的なMHC-ペプチド複合体を含有する有効量の免疫原で宿主を免疫することによって作製することができる。いくつかの場合には、MHC-ペプチド複合体のペプチドは、MHCに結合することができる抗原、例えば腫瘍抗原、例えば、ユニバーサル腫瘍抗原、骨髄腫抗原、または以下に記載される他の抗原のエピトープである。いくつかの態様において、次いで、免疫応答を惹起するために有効量の免疫原を宿主に投与し、ここで免疫原は、MHC分子の結合溝におけるペプチドの三次元提示に対する免疫応答を惹起するのに十分な期間、その三次元形態を保持する。次いで、宿主から収集した血清をアッセイして、MHC分子の結合溝におけるペプチドの三次元提示を認識する所望の抗体が生じているかどうかを判定する。いくつかの態様において、生じた抗体を評価して、抗体が、MHC分子単独、関心対象のペプチド単独、およびMHCと無関係なペプチドとの複合体からMHC-ペプチド複合体を識別できることを確認することができる。次いで、所望の抗体を単離することができる。
【0234】
いくつかの態様において、MHC-ペプチド複合体に特異的に結合する抗体またはその抗原結合部分は、ファージ抗体ライブラリなどの抗体ライブラリディスプレイ法を使用することによって作製できる。いくつかの態様において、例えば、ライブラリのメンバーが1つまたは複数のCDRの1個または複数個の残基で変異している、変異体Fab、scFv、または他の抗体型のファージディスプレイライブラリを生成することができる。例えば、米国特許出願公開第20020150914号、同第2014/0294841号;およびCohen CJ. et al. (2003) J Mol. Recogn. 16:324-332を参照されたい。
【0235】
本明細書における「抗体」という用語は、最も広い意味で用いられ、無傷の抗体、ならびに断片抗原結合(Fab)断片、F(ab')2断片、Fab'断片、Fv断片、組換えIgG(rIgG)断片、抗原に特異的に結合することができる可変重鎖(VH)領域、一本鎖可変断片(scFv)を含む一本鎖抗体断片、および単一ドメイン抗体(例えば、sdAb、sdFv、ナノボディ)断片を含む機能的(抗原結合)抗体断片を含む、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体を含む。この用語は、免疫グロブリンの遺伝子操作されたおよび/または他の方法で改変された形態、例えばイントラボディ、ペプチボディ、キメラ抗体、完全ヒト抗体、ヒト化抗体、およびヘテロコンジュゲート抗体、多重特異性、例えば二重特異性抗体、ダイアボディ、トリアボディ、およびテトラボディ、タンデムdi-scFv、タンデムtri-scFvを包含する。特に明記されない限り、「抗体」という用語は、その機能的抗体断片を包含すると理解されるべきである。この用語はまた、IgGならびにそのサブクラス、IgM、IgE、IgA、およびIgDを含む任意のクラスまたはサブクラスの抗体を含む、無傷のまたは完全長の抗体も包含する。
【0236】
いくつかの態様において、抗原結合タンパク質、抗体、およびその抗原結合断片は、完全長抗体の抗原を特異的に認識する。いくつかの態様において、抗体の重鎖および軽鎖は、完全長であることができ、または抗原結合部分(Fab、F(ab')2、Fv、もしくは一本鎖Fv断片(scFv))であることができる。他の態様において、抗体重鎖定常領域は、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA1、IgA2、IgD、およびIgEから選択され、特に、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4、より詳細にはIgG1(例えばヒトIgG1)から選択される。別の態様において、抗体軽鎖定常領域は、例えば、κまたはλ、特にκから選択される。
【0237】
提供される抗体の中には、抗体断片がある。「抗体断片」とは、無傷の抗体が結合する抗原に結合する無傷の抗体の一部分を含む、無傷の抗体以外の分子を指す。抗体断片の例には、Fv、Fab、Fab'、Fab'-SH、F(ab')2;ダイアボディ;直鎖抗体;可変重鎖(VH)領域、scFvおよび単一ドメインVH単一抗体などの一本鎖抗体分子;ならびに抗体断片から形成される多重特異性抗体が含まれるが、それらに限定されない。特定の態様において、抗体は、scFvなどの、可変重鎖領域および/または可変軽鎖領域を含む一本鎖抗体断片である。
【0238】
「可変領域」または「可変ドメイン」という用語は、抗体の抗原への結合に関与する抗体重鎖または軽鎖のドメインを指す。天然抗体の重鎖および軽鎖の可変ドメイン(それぞれ、VHおよびVL)は概して、類似した構造を有し、各ドメインは、4つの保存されたフレームワーク領域(FR)および3つのCDRを含む。(例えば、Kindt et al. Kuby Immunology, 6th ed., W.H. Freeman and Co., page 91 (2007)を参照されたい。)単一のVHまたはVLドメインが、抗原結合特異性を付与するのに十分であり得る。さらに、特定の抗原に結合する抗体を、抗原に結合する抗体由来のVHまたはVLドメインを用いて単離して、それぞれ相補的なVLまたはVHドメインのライブラリをスクリーニングしてもよい。例えば、Portolano et al., J. Immunol. 150:880-887 (1993);Clarkson et al., Nature 352:624-628 (1991)を参照されたい。
【0239】
単一ドメイン抗体は、抗体の重鎖可変ドメインのすべてもしくは一部分、または軽鎖可変ドメインのすべてもしくは一部分を含む抗体断片である。ある特定の態様において、単一ドメイン抗体はヒト単一ドメイン抗体である。いくつかの態様において、CARは、抗原、例えばがんマーカーまたは標的とされる細胞もしくは疾患、例えば腫瘍細胞もしくはがん細胞の細胞表面抗原、例えば本明細書に記載されるかまたは当技術分野で公知の標的抗原のいずれかに特異的に結合する抗体重鎖ドメインを含む。
【0240】
抗体断片は、無傷の抗体のタンパク質分解消化、および組換え宿主細胞による産生を含むがそれらに限定されない、様々な技法によって作ることができる。いくつかの態様において、抗体は、組換え生産された断片、例えば、合成リンカー、例えばペプチドリンカーによって連結された2つ以上の抗体領域もしくは鎖を有するものなどの、天然には存在しない配置、および/または天然に存在する無傷の抗体の酵素消化によっては生じ得ない配置を含む断片である。いくつかの態様において、抗体断片はscFvである。
【0241】
「ヒト化」抗体は、すべてのまたは実質的にすべてのCDRアミノ酸残基が非ヒトCDRに由来し、すべてのまたは実質的にすべてのFRアミノ酸残基がヒトFRに由来する抗体である。ヒト化抗体は、任意で、ヒト抗体に由来する抗体定常領域の少なくとも一部分を含んでもよい。非ヒト抗体の「ヒト化型」は、典型的には、親の非ヒト抗体の特異性および親和性を保持しながら、ヒトに対する免疫原性を低減させるために、ヒト化を受けている非ヒト抗体のバリアントを指す。いくつかの態様において、ヒト化抗体中のいくつかのFR残基は、例えば、抗体の特異性または親和性を回復するかまたは改善するために、非ヒト抗体(例えば、CDR残基が由来する抗体)由来の対応する残基で置換される。
【0242】
したがって、いくつかの態様において、TCR様CARを含むキメラ抗原受容体は、抗体または抗体断片を含有する細胞外部分を含む。いくつかの態様において、抗体または断片は、scFvを含む。いくつかの局面において、キメラ抗原受容体は、抗体または断片を含有する細胞外部分、および細胞内シグナル伝達領域を含む。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達領域は、細胞内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、一次シグナル伝達ドメイン、T細胞において一次活性化シグナルを誘導することができるシグナル伝達ドメイン、T細胞受容体(TCR)構成要素のシグナル伝達ドメイン、および/または免疫受容体チロシン活性化モチーフ(ITAM)を含むシグナル伝達ドメインであるかまたはそれを含む。
【0243】
いくつかの態様において、組換え受容体、例えばCAR、例えばその抗体部分は、スペーサーをさらに含み、これは、ヒンジ領域、例えば、IgG4ヒンジ領域、ならびに/またはCH1/CLおよび/もしくはFc領域などの、免疫グロブリン定常領域またはそのバリアントもしくは改変バージョンの少なくとも一部分であってもよく、またはそれを含んでもよい。いくつかの態様において、組換え受容体は、スペーサーおよび/またはヒンジ領域をさらに含む。いくつかの態様において、定常領域または一部分は、IgG4またはIgG1などのヒトIgGのものである。いくつかの局面において、定常領域の一部分は、抗原認識構成要素、例えばscFvと膜貫通ドメインとの間のスペーサー領域として働く。スペーサーは、スペーサーの非存在下と比較して、抗原結合後に増加した細胞の応答性を提供する長さのものであることができる。いくつかの例において、スペーサーは、12アミノ酸もしくは約12アミノ酸の長さであるか、または12アミノ酸以下の長さである。例示的なスペーサーには、少なくとも約10~229アミノ酸、約10~200アミノ酸、約10~175アミノ酸、約10~150アミノ酸、約10~125アミノ酸、約10~100アミノ酸、約10~75アミノ酸、約10~50アミノ酸、約10~40アミノ酸、約10~30アミノ酸、約10~20アミノ酸、または約10~15アミノ酸を有する、および列挙された範囲のいずれかの両端の値の間の任意の整数を含むものが含まれる。いくつかの態様において、スペーサー領域は、約12アミノ酸以下、約119アミノ酸以下、または約229アミノ酸以下を有する。例示的なスペーサーには、IgG4ヒンジ単独、CH2およびCH3ドメインに連結されたIgG4ヒンジ、またはCH3ドメインに連結されたIgG4ヒンジが含まれる。例示的なスペーサーには、Hudecek et al. (2013) Clin. Cancer Res., 19:3153または国際特許出願公開番号WO2014031687に記載されているものが含まれるが、それらに限定されない。いくつかの態様において、スペーサーは、SEQ ID NO:1に示される配列を有し、SEQ ID NO:2に示される配列によってコードされる。いくつかの態様において、スペーサーは、SEQ ID NO:3に示される配列を有する。いくつかの態様において、スペーサーは、SEQ ID NO:4に示される配列を有する。
【0244】
いくつかの態様において、定常領域または一部分は、IgDのものである。いくつかの態様において、スペーサーは、SEQ ID NO:5に示される配列を有する。いくつかの態様において、スペーサーは、SEQ ID NO:1、3、4、および5のいずれかに対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の配列同一性を示すアミノ酸配列を有する。いくつかの態様において、スペーサーは、SEQ ID NO:23~31に示される配列を有する。いくつかの態様において、スペーサーは、SEQ ID NO:27~31、58、59のいずれかに対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の配列同一性を示すアミノ酸配列を有する。
【0245】
抗原認識ドメインは概して、1つまたは複数の細胞内シグナル伝達構成要素、例えば、CARの場合には、TCR複合体などの抗原受容体複合体を介する活性化、および/または別の細胞表面受容体を介するシグナルを模倣するシグナル伝達構成要素に連結されている。したがって、いくつかの態様において、抗原結合構成要素(例えば抗体)は、1つまたは複数の膜貫通領域および細胞内シグナル伝達領域に連結されている。いくつかの態様において、膜貫通ドメインは、細胞外ドメインに融合されている。1つの態様において、受容体、例えばCAR中のドメインのうちの1つと天然で会合している膜貫通ドメインが用いられる。いくつかの例において、膜貫通ドメインは、同じまたは異なる表面膜タンパク質の膜貫通ドメインに対するそのようなドメインの結合を回避して、受容体複合体の他のメンバーとの相互作用を最小化するように、選択されるかまたはアミノ酸置換によって改変される。
【0246】
いくつかの態様における膜貫通ドメインは、天然の供給源または合成供給源のいずれかに由来する。供給源が天然である場合、いくつかの局面におけるドメインは、任意の膜結合または膜貫通タンパク質に由来する。膜貫通領域には、T細胞受容体のα、β、またはζ鎖、CD28、CD3ε、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CD154に由来する(すなわち、少なくともその膜貫通領域を含む)ものが含まれる。あるいは、いくつかの態様における膜貫通ドメインは合成である。いくつかの局面において、合成膜貫通ドメインは、ロイシンおよびバリンなどの疎水性残基を主に含む。いくつかの局面において、フェニルアラニン、トリプトファン、およびバリンのトリプレットが、合成膜貫通ドメインの各末端に見出される。いくつかの態様において、連結は、リンカー、スペーサー、および/または膜貫通ドメインによるものである。
【0247】
細胞内シグナル伝達領域の中には、天然の抗原受容体を介するシグナル、共刺激受容体と組み合わせたそのような受容体を介するシグナル、および/または共刺激受容体のみを介するシグナルを模倣するかまたは近似するものがある。いくつかの態様において、短いオリゴペプチドリンカーまたはポリペプチドリンカー、例えば、グリシンおよびセリンを含有するもの、例えばグリシン-セリンダブレットなどの2~10アミノ酸の長さのリンカーが存在し、CARの膜貫通ドメインと細胞質シグナル伝達ドメインとの間に連結を形成する。
【0248】
受容体、例えばCARは、概して、少なくとも1つまたは複数の細胞内シグナル伝達構成要素を含む。いくつかの態様において、受容体は、T細胞活性化および細胞傷害性を媒介するTCR CD3鎖、例えばCD3ζ鎖などのTCR複合体の細胞内構成要素を含む。したがって、いくつかの局面において、ROR1結合抗体は、1つまたは複数の細胞シグナル伝達モジュールに連結されている。いくつかの態様において、細胞シグナル伝達モジュールは、CD3膜貫通ドメイン、CD3細胞内シグナル伝達ドメイン、および/または他のCD膜貫通ドメインを含む。いくつかの態様において、受容体、例えばCARは、Fc受容体γ、CD8、CD4、CD25、またはCD16などの1つまたは複数の追加の分子の一部分をさらに含む。例えば、いくつかの局面において、CARは、CD3ゼータ(CD3ζ)またはFc受容体γとCD8、CD4、CD25、またはCD16との間のキメラ分子を含む。
【0249】
いくつかの態様において、CARの連結時に、CARの細胞質ドメインまたは細胞内シグナル伝達領域は、免疫細胞、例えば、CARを発現するように操作されたT細胞の正常なエフェクター機能または応答のうちの少なくとも1つを活性化する。例えば、いくつかの状況において、CARは、T細胞の機能、例えば細胞溶解活性またはTヘルパー活性、例えばサイトカインまたは他の因子の分泌を誘導する。いくつかの態様において、抗原受容体構成要素または共刺激分子の細胞内シグナル伝達領域の切断部分が、例えば、それがエフェクター機能シグナルを伝達する場合、無傷の免疫刺激鎖の代わりに用いられる。いくつかの態様において、1つまたは複数の細胞内ドメインを例えば含む細胞内シグナル伝達領域は、T細胞受容体(TCR)の細胞質配列を含み、およびいくつかの局面においてはまた、天然の状況でそのような受容体と協調的に作用して、抗原受容体結合後にシグナル伝達を開始する共受容体のもの、および/またはそのような分子の任意の誘導体もしくはバリアント、および/または同じ機能的能力を有する任意の合成配列も含む。
【0250】
天然のTCRに関連して、完全な活性化は概して、TCRを介するシグナル伝達だけではなく、共刺激シグナルも必要とする。したがって、いくつかの態様において、完全な活性化を促進するために、二次シグナルまたは共刺激シグナルを生成するための構成要素もCARに含まれる。他の態様において、CARは、共刺激シグナルを生成するための構成要素を含まない。いくつかの局面において、追加のCARが、同じ細胞において発現され、二次シグナルまたは共刺激シグナルを生成するための構成要素を提供する。
【0251】
T細胞活性化は、いくつかの局面において、2つのクラスの細胞質シグナル伝達配列:TCRを介して抗原依存性の一次活性化を開始するもの(一次細胞質シグナル伝達配列)、および抗原非依存性の様式で作用して、二次シグナルまたは共刺激シグナルを提供するもの(二次細胞質シグナル伝達配列)によって媒介されると説明される。いくつかの局面において、CARは、そのようなシグナル伝達構成要素の一方または両方を含む。
【0252】
いくつかの局面において、CARは、TCR複合体の一次活性化を制御する一次細胞質シグナル伝達配列を含む。刺激性の様式で作用する一次細胞質シグナル伝達配列は、免疫受容体チロシン活性化モチーフまたはITAMとして公知であるシグナル伝達モチーフを含有してもよい。ITAM含有一次細胞質シグナル伝達配列の例には、TCRまたはCD3ζ、FcRγまたはFcRβに由来するものが含まれる。いくつかの態様において、CAR中の細胞質シグナル伝達分子は、CD3ζに由来する細胞質シグナル伝達ドメイン、その一部分、または配列を含有する。
【0253】
いくつかの態様において、CARは、CD28、4-1BB、OX40、DAP10、およびICOSなどの、共刺激受容体のシグナル伝達領域および/または膜貫通部分を含む。いくつかの局面において、同じCARが、シグナル伝達領域および共刺激構成要素を両方とも含む。
【0254】
いくつかの態様において、シグナル伝達領域は、1つのCAR内に含まれ、他方、共刺激構成要素は、別の抗原を認識する別のCARによって提供される。いくつかの態様において、CARは、活性化CARまたは刺激CAR、および共刺激CARを含み、両方とも同じ細胞上で発現される(WO2014/055668を参照されたい)。
【0255】
ある特定の態様において、細胞内シグナル伝達領域は、CD3(例えばCD3ζ)細胞内ドメインに連結されたCD28膜貫通ドメインおよびシグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達領域は、CD3ζ細胞内ドメインに連結された、キメラCD28およびCD137(4-1BB、TNFRSF9)共刺激ドメインを含む。
【0256】
いくつかの態様において、CARは、細胞質部分に、1つまたは複数の、例えば、2つ以上の共刺激ドメインおよび活性化ドメイン、例えば一次活性化ドメインを包含する。例示的なCARには、CD3ζ、CD28、および4-1BBの細胞内構成要素が含まれる。
【0257】
いくつかの場合には、CARは、第一世代、第二世代、および/または第三世代のCARと呼ばれる。いくつかの局面において、第一世代のCARは、抗原結合時にCD3鎖誘導シグナルを提供するだけのものである;いくつかの局面において、第二世代のCARは、そのようなシグナルおよび共刺激シグナルを提供するもの、例えば、CD28またはCD137などの共刺激受容体由来の細胞内シグナル伝達ドメインを含むものである;いくつかの局面において、いくつかの局面における第三世代のCARは、異なる共刺激受容体の複数の共刺激ドメインを含むものである。
【0258】
いくつかの態様において、キメラ抗原受容体は、本明細書に記載される抗体または断片を含有する細胞外部分を含む。いくつかの局面において、キメラ抗原受容体は、本明細書に記載される抗体または断片を含有する細胞外部分、および細胞内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、抗体または断片は、scFvまたは単一ドメインVH抗体を含み、細胞内ドメインは、ITAMを含有する。いくつかの局面において、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ゼータ(CD3ζ)鎖のζ鎖のシグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、キメラ抗原受容体は、細胞外ドメインと細胞内シグナル伝達領域との間に配置された膜貫通ドメインを含む。
【0259】
いくつかの局面において、膜貫通ドメインは、CD28の膜貫通部分を含有する。細胞外ドメインと膜貫通ドメインとは、直接または間接的に連結されることができる。いくつかの態様において、細胞外ドメインと膜貫通ドメインとは、本明細書に記載されるいずれかなどのスペーサーによって連結されている。いくつかの態様において、キメラ抗原受容体は、T細胞共刺激分子の細胞内ドメインを、例えば膜貫通ドメインと細胞内シグナル伝達ドメインとの間に含有する。いくつかの局面において、T細胞共刺激分子は、CD28または4-1BBである。
【0260】
いくつかの態様において、CARは、抗体、例えば抗体断片、CD28の膜貫通部分またはその機能的バリアントであるかまたはそれを含有する膜貫通ドメイン、ならびにCD28のシグナル伝達部分またはその機能的バリアントおよびCD3ζのシグナル伝達部分またはその機能的バリアントを含有する細胞内シグナル伝達ドメインを含有する。いくつかの態様において、CARは、抗体、例えば抗体断片、CD28の膜貫通部分またはその機能的バリアントであるかまたはそれを含有する膜貫通ドメイン、ならびに4-1BBのシグナル伝達部分またはその機能的バリアントおよびCD3ζのシグナル伝達部分またはその機能的バリアントを含有する細胞内シグナル伝達ドメインを含有する。いくつかのそのような態様において、受容体は、ヒトIg分子などのIg分子の一部分、例えばIgヒンジ、例えばIgG4ヒンジを含有するスペーサー、例えばヒンジのみのスペーサーをさらに含む。
【0261】
いくつかの態様において、受容体、例えばCARの膜貫通ドメインは、ヒトCD28の膜貫通ドメインまたはそのバリアント、例えば、ヒトCD28(アクセッション番号P10747.1)の27アミノ酸膜貫通ドメインであるか、または、SEQ ID NO:8に示されるアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:8に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の配列同一性を示すアミノ酸配列を含む膜貫通ドメインであり;いくつかの態様において、組換え受容体の膜貫通ドメイン含有部分は、SEQ ID NO:9に示されるアミノ酸配列、またはそれに対して少なくとももしくは約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0262】
いくつかの態様において、キメラ抗原受容体は、T細胞共刺激分子の細胞内ドメインを含有する。いくつかの局面において、T細胞共刺激分子は、CD28または4-1BBである。
【0263】
いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達領域は、ヒトCD28の細胞内共刺激シグナル伝達ドメインまたはその機能的バリアントもしくは一部分、例えば、その41アミノ酸ドメインおよび/または天然CD28タンパク質の位置186~187にLLからGGへの置換を有するそのようなドメインを含む。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、SEQ ID NO:10もしくは11に示されるアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:10もしくは11に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の配列同一性を示すアミノ酸配列を含むことができる。いくつかの態様において、細胞内領域は、4-1BBの細胞内共刺激シグナル伝達ドメインまたはその機能的バリアントもしくは一部分、例えば、ヒト4-1BB(アクセッション番号Q07011.1)の42アミノ酸細胞質ドメインまたはその機能的バリアントもしくは一部分、例えば、SEQ ID NO:12に示されるアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:12に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の配列同一性を示すアミノ酸配列を含む。
【0264】
いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達領域は、ヒトCD3鎖、任意でCD3ζ刺激シグナル伝達ドメインまたはその機能的バリアント、例えば、ヒトCD3ζのアイソフォーム3(アクセッション番号P20963.2)の112 AAの細胞質ドメイン、または米国特許第7,446,190号もしくは米国特許第8,911,993号に記載されているCD3ζシグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達領域は、SEQ ID NO:13、14、もしくは15に示されるアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:13、14、もしくは15に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の配列同一性を示すアミノ酸配列を含む。
【0265】
いくつかの局面において、スペーサーは、IgGのヒンジ領域のみ、例えばIgG4またはIgG1のヒンジのみ、例えば、SEQ ID NO:1に示されるヒンジのみのスペーサーを含有する。他の態様において、スペーサーは、CH2および/またはCH3ドメインに連結されたIgヒンジ、例えばIgG4ヒンジである。いくつかの態様において、スペーサーは、SEQ ID NO:3に示されるような、CH2およびCH3ドメインに連結されたIgヒンジ、例えばIgG4ヒンジである。いくつかの態様において、スペーサーは、SEQ ID NO:4に示されるような、CH3ドメインのみに連結されたIgヒンジ、例えばIgG4ヒンジである。いくつかの態様において、スペーサーは、グリシン-セリンリッチ配列または他のフレキシブルリンカー、例えば公知のフレキシブルリンカーであるかまたはそれを含む。
【0266】
2. キメラ自己抗体受容体(CAAR)
いくつかの態様において、提供される方法、使用、製造物品、および組成物に関連して用いられる操作された細胞によって発現される組換え受容体の中には、キメラ自己抗体受容体(CAAR)がある。いくつかの態様において、CAARは、自己抗体に特異的である。いくつかの態様において、CAARを発現する細胞、例えば、CAARを発現するように操作されたT細胞を、正常な抗体発現細胞には特異的に結合せず、死滅させないが、自己抗体発現細胞に特異的に結合して死滅させるために用いることができる。いくつかの態様において、CAAR発現細胞を、自己免疫疾患などの自己抗原の発現に関連する自己免疫疾患を処置するために用いることができる。いくつかの態様において、CAAR発現細胞は、最終的に自己抗体を産生して、その細胞表面上に自己抗体を提示するB細胞を標的とし、これらのB細胞を治療的介入のための疾患特異的標的としてマークすることができる。いくつかの態様において、CAAR発現細胞を、抗原特異的キメラ自己抗体受容体を用いて疾患を引き起こすB細胞をターゲティングすることによって、自己免疫疾患における病原性B細胞を効率的にターゲティングし、死滅させるために用いることができる。いくつかの態様において、組換え受容体は、CAAR、例えば、米国特許出願公開第2017/0051035号に記載されているいずれかである。
【0267】
いくつかの態様において、CAARは、自己抗体結合ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内シグナル伝達領域を含む。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達領域は、細胞内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、一次シグナル伝達ドメイン、T細胞において一次活性化シグナルを誘導することができるシグナル伝達ドメイン、T細胞受容体(TCR)構成要素のシグナル伝達ドメイン、および/または免疫受容体チロシン活性化モチーフ(ITAM)を含むシグナル伝達ドメインであるかまたはそれを含む。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達領域は、二次または共刺激シグナル伝達領域(二次細胞内シグナル伝達領域)を含む。
【0268】
いくつかの態様において、自己抗体結合ドメインは、自己抗原またはその断片を含む。自己抗原の選択は、標的とされる自己抗体のタイプに依存することができる。例えば、自己抗原は、それが特定の疾患状態、例えば、自己抗体媒介性自己免疫疾患などの自己免疫疾患に関連する、B細胞などの標的細胞上の自己抗体を認識するために、選択されてもよい。いくつかの態様において、自己免疫疾患は、尋常性天疱瘡(PV)を含む。例示的な自己抗原には、デスモグレイン1(Dsg1)およびDsg3が含まれる。
【0269】
3. マルチターゲティング
いくつかの態様において、提供される方法、使用、製造物品、および組成物に関連して用いられる細胞は、マルチターゲティング戦略を使用する細胞を含む。いくつかの態様において、細胞は、多鎖キメラ抗原受容体(CAR)を発現するか、または細胞上に2つ以上の遺伝子操作された受容体を発現し、各々は異なる抗原の同じものを認識し、典型的には、各々は異なる細胞内シグナル伝達構成要素を含む。そのようなマルチターゲティング戦略は、例えば、国際特許出願公開番号WO 2014055668 A1(例えば、オフターゲット、例えば正常細胞上では個別に存在するが、処置されるべき疾患または状態の細胞上でのみ一緒に存在する2つの異なる抗原をターゲティングする、活性化CARと共刺激CARとの組み合わせを記載している)、ならびにFedorov et al., Sci. Transl. Medicine, 5(215)(2013)(活性化CARおよび阻害性CARを発現する細胞、例えば、活性化CARが、正常または非罹患細胞、および処置されるべき疾患または状態の細胞の両方上で発現される1つの抗原に結合し、阻害性CARが、正常細胞または処置されることが望ましくない細胞上でのみ発現される別の抗原に結合するものを記載している)に記載されている。
【0270】
例えば、いくつかの態様において、細胞は、概して第1の受容体によって認識される抗原、例えば第1の抗原への特異的結合時に、細胞への活性化または刺激シグナルを誘導することができる、第1の遺伝子操作された抗原受容体(例えば、CARまたはTCR)を発現する受容体を含む。いくつかの態様において、細胞は、概して第2の受容体によって認識される第2の抗原への特異的結合時に、免疫細胞への共刺激シグナルを誘導することができる、第2の遺伝子操作された抗原受容体(例えば、CARまたはTCR)、例えば、キメラ共刺激受容体をさらに含む。いくつかの態様において、第1の抗原と第2の抗原とは同じである。いくつかの態様において、第1の抗原と第2の抗原とは異なる。
【0271】
いくつかの態様において、第1および/または第2の遺伝子操作された抗原受容体(例えば、CARまたはTCR)は、細胞への活性化シグナルを誘導することができる。いくつかの態様において、受容体は、ITAMまたはITAM様モチーフを含有する細胞内シグナル伝達構成要素を含む。いくつかの態様において、第1の受容体によって誘導される活性化は、細胞におけるシグナル伝達またはタンパク質発現の変化を含み、ITAMリン酸化および/もしくはITAM媒介性シグナル伝達カスケードの開始などの免疫応答の開始、免疫学的シナプスの形成および/もしくは結合した受容体の近くの分子(例えば、CD4もしくはCD8など)のクラスター化、NF-κBおよび/もしくはAP-1などの1つもしくは複数の転写因子の活性化、ならびに/またはサイトカインなどの因子の遺伝子発現の誘導、増殖、ならびに/または生存を結果としてもたらす。
【0272】
いくつかの態様において、第1および/または第2の受容体は、CD28、CD137(4-1BB)、OX40、および/またはICOSなどの共刺激受容体の細胞内シグナル伝達ドメインまたは領域を含む。いくつかの態様において、第1の受容体と第2の受容体とは、異なる共刺激受容体の細胞内シグナル伝達ドメインを含む。1つの態様において、第1の受容体はCD28共刺激シグナル伝達領域を含有し、第2の受容体は4-1BB共刺激シグナル伝達領域を含有するか、またはその逆である。
【0273】
いくつかの態様において、第1および/または第2の受容体は、ITAMまたはITAM様モチーフを含有する細胞内シグナル伝達ドメインおよび共刺激受容体の細胞内シグナル伝達ドメインを両方とも含む。
【0274】
いくつかの態様において、第1の受容体は、ITAMまたはITAM様モチーフを含有する細胞内シグナル伝達ドメインを含有し、第2の受容体は、共刺激受容体の細胞内シグナル伝達ドメインを含有する。同じ細胞において誘導される活性化シグナルと組み合わせた共刺激シグナルは、免疫応答、例えば、遺伝子発現の増加、サイトカインおよび他の因子の分泌、ならびに細胞死滅などのT細胞媒介性エフェクター機能のような堅牢なかつ持続的な免疫応答を結果としてもたらすものである。
【0275】
いくつかの態様において、第1の受容体単独の連結または第2の受容体単独の連結はいずれも、堅牢な免疫応答を誘導しない。いくつかの局面において、1つの受容体のみが連結されている場合、細胞は、抗原に対して寛容もしくは非応答性になり、または阻害され、かつ/または増殖するかもしくは因子を分泌するかもしくはエフェクター機能を実行するように誘導されない。しかし、いくつかのそのような態様において、第1および第2の抗原を発現する細胞の遭遇時などの、複数の受容体が連結される時には、例えば、1つもしくは複数のサイトカインの分泌、増殖、持続性、および/または標的細胞の細胞傷害性死滅などの免疫エフェクター機能の実行によって示されるような、完全な免疫活性化または刺激などの所望の応答が達成される。
【0276】
いくつかの態様において、2つの受容体は、受容体のうちの一方によるその抗原への結合は細胞を活性化するかまたは応答を誘導するが、第2の阻害性受容体によるその抗原への結合はその応答を抑制するかまたは減衰させるシグナルを誘導するように、それぞれ、細胞への活性化シグナルおよび阻害性シグナルを誘導する。例は、活性化CARと阻害性CARまたはiCARとの組み合わせである。例えば、活性化CARが、疾患または状態において発現されるが正常細胞上でも発現される抗原に結合し、阻害性受容体が、正常細胞上で発現されるが疾患または状態の細胞上では発現されない別々の抗原に結合する、そのような戦略が用いられてもよい。
【0277】
いくつかの態様において、マルチターゲティング戦略は、特定の疾患または状態に関連する抗原が、非罹患細胞上で発現される、および/または操作された細胞自体上で、一過性に(例えば、遺伝子操作に関連する刺激時に)または永続的にのいずれかで発現される場合に使用される。そのような場合には、2つの別々のおよび個別に特異的な抗原受容体のライゲーションを必要とすることによって、特異性、選択性、および/または有効性が改善され得る。
【0278】
いくつかの態様において、複数の抗原、例えば、第1および第2の抗原は、がん細胞などの標的とされる細胞、組織、または疾患もしくは状態で発現される。いくつかの局面において、細胞、組織、疾患または状態は、多発性骨髄腫または多発性骨髄腫細胞である。いくつかの態様において、複数の抗原のうちの1つまたは複数は、概してまた、正常もしくは非罹患細胞もしくは組織などの細胞療法で標的とすることが望ましくない細胞、および/または操作された細胞自体でも発現される。そのような態様において、細胞の応答を達成するために複数の受容体のライゲーションを必要とすることによって、特異性および/または有効性が達成される。
【0279】
4. T細胞受容体
いくつかの態様において、腫瘍の抗原、ウイルスまたは自己免疫タンパク質などの標的ポリペプチドのペプチドエピトープまたはT細胞エピトープを認識するT細胞受容体(TCR)またはその抗原結合部分を発現する操作された細胞、例えばT細胞が提供される。
【0280】
いくつかの態様において、「T細胞受容体」または「TCR」は、可変α鎖およびβ鎖(それぞれ、TCRαおよびTCRβとしても知られる)もしくは可変γ鎖およびδ鎖(それぞれ、TCRαおよびTCRβとしても知られる)、またはその抗原結合部分を含有し、MHC分子に結合したペプチドに特異的に結合することができる分子である。いくつかの態様において、TCRはαβ形態である。典型的には、αβ形態およびγδ形態で存在するTCRは概して、構造的に類似しているが、それらを発現するT細胞は、別個の解剖学的場所または機能を有し得る。TCRは、細胞の表面上にまたは可溶型で見出されることができる。概して、TCRは、T細胞(またはTリンパ球)の表面上に見出され、ここで概して、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子に結合した抗原を認識することを担う。
【0281】
特に明記されない限り、「TCR」という用語は、完全なTCR、およびその抗原結合部分または抗原結合断片を包含すると理解されるべきである。いくつかの態様において、TCRは、αβ形態またはγδ形態のTCRを含む、無傷または完全長のTCRである。いくつかの態様において、TCRは、完全長未満のTCRであるが、MHC分子に結合した特異的なペプチドに結合する、例えば、MHC-ペプチド複合体に結合する抗原結合部分である。いくつかの場合には、TCRの抗原結合部分または断片は、完全長または無傷のTCRの構造ドメインの一部分のみを含有することができるが、それでもなお、完全なTCRが結合するMHC-ペプチド複合体などのペプチドエピトープに結合することができる。いくつかの場合には、抗原結合部分は、特異的なMHC-ペプチド複合体に結合するための結合部位を形成するのに十分なTCRの可変ドメイン、例えばTCRの可変α鎖および可変β鎖を含有する。概して、TCRの可変鎖は、ペプチド、MHC、および/またはMHC-ペプチド複合体の認識に関与する相補性決定領域を含有する。
【0282】
いくつかの態様において、TCRの可変ドメインは、概して抗原認識ならびに結合能力および特異性への主たる寄与因子である、超可変ループまたは相補性決定領域(CDR)を含有する。いくつかの態様において、TCRのCDRまたはそれらの組み合わせは、所与のTCR分子の抗原結合部位のすべてまたは実質的にすべてを形成する。TCR鎖の可変領域内の様々なCDRは概して、CDRと比較してTCR分子の間でより低い変動性を概して示すフレームワーク領域(FR)によって分離されている(例えば、Jores et al., Proc. Nat'l Acad. Sci. U.S.A. 87:9138, 1990;Chothia et al., EMBO J. 7:3745, 1988を参照されたい;またLefranc et al., Dev. Comp. Immunol. 27:55, 2003も参照されたい)。いくつかの態様において、CDR3は、抗原結合もしくは特異性を担う主なCDRであるか、または抗原認識のため、および/もしくはペプチド-MHC複合体のプロセシングされたペプチド部分との相互作用のために、所与のTCR可変領域上の3つのCDRの中で最も重要である。いくつかの状況において、α鎖のCDR1は、ある特定の抗原ペプチドのN末端部分と相互作用することができる。いくつかの状況において、β鎖のCDR1は、ペプチドのC末端部分と相互作用することができる。いくつかの状況において、CDR2は、MHC-ペプチド複合体のMHC部分との相互作用またはMHC部分の認識に最も強く寄与するか、またはそれを担う主たるCDRである。いくつかの態様において、β鎖の可変領域は、概してスーパー抗原結合に関与し、抗原認識には関与しないさらなる超可変領域(CDR4またはHVR4)を含有することができる(Kotb (1995) Clinical Microbiology Reviews, 8:411-426)。
【0283】
いくつかの態様において、TCRはまた、定常ドメイン、膜貫通ドメイン、および/または短い細胞質尾部も含有することができる(例えば、Janeway et al., Immunobiology: The Immune System in Health and Disease, 3rd Ed., Current Biology Publications, p. 4:33, 1997を参照されたい)。いくつかの局面において、TCRの各鎖は、1つのN末端免疫グロブリン可変ドメイン、1つの免疫グロブリン定常ドメイン、膜貫通領域、およびC末端に短い細胞質尾部を保有することができる。いくつかの態様において、TCRは、シグナル伝達の媒介に関与するCD3複合体のインバリアントタンパク質と会合している。
【0284】
いくつかの態様において、TCR鎖は、1つまたは複数の定常ドメインを含有する。例えば、所与のTCR鎖(例えば、α鎖またはβ鎖)の細胞外部分は、2つの免疫グロブリン様ドメイン、例えば可変ドメイン(例えば、VαまたはVβ;典型的にはKabatナンバリングに基づくアミノ酸1~116、Kabat et al., "Sequences of Proteins of Immunological Interest, US Dept. Health and Human Services, Public Health Service National Institutes of Health, 1991, 5th ed.)、および細胞膜に隣接する定常ドメイン(例えば、α鎖定常ドメインもしくはCα、典型的にはKabatナンバリングに基づく鎖の位置117~259、またはβ鎖定常ドメインもしくはCβ、典型的にはKabatに基づく鎖の位置117~295)を含有することができる。例えば、いくつかの場合には、2本の鎖によって形成されるTCRの細胞外部分は、2つの膜近位定常ドメイン、および2つの膜遠位可変ドメインを含有し、この可変ドメインは各々、CDRを含有する。TCRの定常ドメインは、システイン残基がジスルフィド結合を形成し、それによってTCRの2本の鎖を連結する短い接続配列を含有し得る。いくつかの態様において、TCRが定常ドメイン中に2つのジスルフィド結合を含有するように、TCRは、α鎖およびβ鎖の各々に追加のシステイン残基を有し得る。
【0285】
いくつかの態様において、TCR鎖は膜貫通ドメインを含有する。いくつかの態様において、膜貫通ドメインは正に荷電している。いくつかの場合には、TCR鎖は細胞質尾部を含有する。いくつかの場合には、その構造は、TCRがCD3およびそのサブユニットのような他の分子と会合することを可能にする。例えば、膜貫通領域を有する定常ドメインを含有するTCRは、タンパク質を細胞膜に固定し、CD3シグナル伝達装置または複合体のインバリアントサブユニットと会合し得る。CD3シグナル伝達サブユニット(例えば、CD3γ、CD3δ、CD3ε、およびCD3ζ鎖)の細胞内尾部は、TCR複合体のシグナル伝達能力に関与する1つまたは複数の免疫受容体チロシン活性化モチーフまたはITAMを含有する。
【0286】
いくつかの態様において、TCRは、2本の鎖αおよびβ(または任意でγおよびδ)のヘテロ二量体であり得るか、または一本鎖TCR構築物であり得る。いくつかの態様において、TCRは、例えば1つまたは複数のジスルフィド結合によって連結されている、2本の別々の鎖(α鎖およびβ鎖、またはγ鎖およびδ鎖)を含有するヘテロ二量体である。
【0287】
いくつかの態様において、TCRは、実質的に完全長のコード配列が容易に入手可能である、Vα、β鎖の配列などの公知のTCR配列から生成することができる。V鎖配列を含む完全長TCR配列を細胞供給源から得るための方法を使用することができる。いくつかの態様において、TCRをコードする核酸は、例えば、所与の1つまたは複数の細胞内のもしくは細胞から単離されたTCRコード核酸のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅、または公的に入手可能なTCR DNA配列の合成によって、様々な供給源から得ることができる。
【0288】
いくつかの態様において、TCRは、生物学的供給源から、例えば細胞から、例えば、T細胞(例えば細胞傷害性T細胞)、T細胞ハイブリドーマ、または他の公的に入手可能な供給源から得られる。いくつかの態様において、T細胞は、インビボで単離された細胞から得ることができる。いくつかの態様において、TCRは、胸腺的に選択されたTCRである。いくつかの態様において、TCRは、ネオエピトープ拘束性TCRである。いくつかの態様において、T細胞は、培養されたT細胞ハイブリドーマまたはクローンであることができる。いくつかの態様において、TCRまたはその抗原結合部分またはその抗原結合断片は、TCRの配列の知識から合成的に生成することができる。
【0289】
いくつかの態様において、TCRは、標的ポリペプチド抗原またはその標的T細胞エピトープに対して候補TCRのライブラリをスクリーニングすることから同定されたかまたは選択されたTCRから生成される。TCRライブラリは、PBMC、脾臓、または他のリンパ系器官中に存在する細胞を含む、対象から単離されたT細胞からの、VαおよびVβのレパートリーの増幅によって生成することができる。いくつかの場合には、T細胞は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)から増幅することができる。いくつかの態様において、TCRライブラリは、CD4+またはCD8+細胞から生成することができる。いくつかの態様において、TCRは、正常な健常対象のT細胞供給源、すなわち正常なTCRライブラリから増幅することができる。いくつかの態様において、TCRは、罹患対象のT細胞供給源、すなわち罹患TCRライブラリから増幅することができる。いくつかの態様において、ヒトから得られたT細胞などの試料において、例えばRT-PCRによってVαおよびVβの遺伝子レパートリーを増幅するために、縮重プライマーが用いられる。いくつかの態様において、scTvライブラリは、ナイーブVαおよびVβライブラリからアセンブルすることができ、ここで、増幅産物がクローニングされるか、またはリンカーによって分離されるようにアセンブルされる。対象および細胞の供給源に依存して、ライブラリは、HLA対立遺伝子特異的であることができる。あるいは、いくつかの態様において、TCRライブラリは、親または骨格TCR分子の突然変異誘発または多様化によって生成することができる。いくつかの局面において、TCRは、例えば、α鎖またはβ鎖の突然変異誘発などによって、指向性進化に供される。いくつかの局面において、TCRのCDR内の特定の残基が、変更される。いくつかの態様において、選択されたTCRを、親和性成熟によって改変することができる。いくつかの態様において、抗原特異的T細胞は、ペプチドに対するCTL活性を評価するためのスクリーニングなどによって選択され得る。いくつかの局面において、例えば、抗原特異的T細胞上に存在するTCRは、結合活性、例えば、抗原に対する特定の親和性または結合力などによって選択され得る。
【0290】
いくつかの態様において、TCRまたはその抗原結合部分は、改変されているかまたは操作されているものである。いくつかの態様において、特異的なMHC-ペプチド複合体に対するより高い親和性などの変更された特性を有するTCRを生成するために、指向性進化法が用いられる。いくつかの態様において、指向性進化は、酵母ディスプレイ(Holler et al. (2003) Nat Immunol, 4, 55-62;Holler et al. (2000) Proc Natl Acad Sci U S A, 97, 5387-92)、ファージディスプレイ(Li et al. (2005) Nat Biotechnol, 23, 349-54)、またはT細胞ディスプレイ(Chervin et al. (2008) J Immunol Methods, 339, 175-84)を含むがそれらに限定されないディスプレイ法によって達成される。いくつかの態様において、ディスプレイアプローチは、公知の、親または参照TCRを操作することまたは改変することを含む。例えば、いくつかの場合には、野生型TCRを、CDRのうちの1個または複数個の残基が変異している変異誘発されたTCRを作製するための鋳型として用いることができ、所望の標的抗原に対するより高い親和性などの所望の変更された特性を有する変異体が選択される。
【0291】
いくつかの態様において、関心対象のTCRの作製または生成における使用のための標的ポリペプチドのペプチドは、公知であるか、または容易に同定されることができる。いくつかの態様において、TCRまたは抗原結合部分の生成における使用に適しているペプチドは、下記の標的ポリペプチドなどの、関心対象の標的ポリペプチド中のHLA拘束性モチーフの存在に基づいて決定することができる。いくつかの態様において、ペプチドは、利用可能なコンピュータ予測モデルを用いて同定される。いくつかの態様において、MHCクラスI結合部位を予測するために、そのようなモデルは、ProPred1(Singh and Raghava (2001) Bioinformatics 17(12):1236-1237)、およびSYFPEITHI(Schuler et al. (2007) Immunoinformatics Methods in Molecular Biology, 409(1): 75-93 2007を参照されたい)を含むが、それらに限定されない。いくつかの態様において、MHC拘束性エピトープはHLA-A0201であり、これは、すべての白人のおよそ39~46%において発現され、そのため、TCRまたは他のMHC-ペプチド結合分子を調製する使用のためのMHC抗原の適している選択である。
【0292】
コンピュータ予測モデルを用いたHLA-A0201結合モチーフならびにプロテアソームおよび免疫プロテアソームについての切断部位を、使用することができる。MHCクラスI結合部位を予測するために、そのようなモデルは、ProPred1(Singh and Raghava, ProPred:prediction of HLA-DR binding sites. BIOINFORMATICS 17 (12):1236-1237 2001により詳細に記載されている)、およびSYFPEITHI(Schuler et al. SYFPEITHI, Database for Searching and T-Cell Epitope Prediction. in Immunoinformatics Methods in Molecular Biology, vol 409(1): 75-93 2007を参照されたい)を含むが、それらに限定されない。
【0293】
いくつかの態様において、TCRまたはその抗原結合部分は、結合特性などの1つまたは複数の特性が変更されている、組換え生産された天然のタンパク質またはその変異型であってもよい。いくつかの態様において、TCRは、ヒト、マウス、ラット、または他の哺乳動物などの様々な動物種のうちの1つに由来してもよい。TCRは、細胞結合型であってもよく、または可溶型であってもよい。いくつかの態様において、提供される方法の目的で、TCRは、細胞の表面上に発現される細胞結合型である。
【0294】
いくつかの態様において、TCRは完全長TCRである。いくつかの態様において、TCRは抗原結合部分である。いくつかの態様において、TCRは二量体TCR(dTCR)である。いくつかの態様において、TCRは一本鎖TCR(sc-TCR)である。いくつかの態様において、dTCRまたはscTCRは、WO 03/020763、WO 04/033685、WO2011/044186に記載されている構造を有する。
【0295】
いくつかの態様において、TCRは、膜貫通配列に対応する配列を含有する。いくつかの態様において、TCRは、細胞質配列に対応する配列を含有する。いくつかの態様において、TCRは、CD3とTCR複合体を形成することができる。いくつかの態様において、dTCRまたはscTCRを含むTCRのいずれかは、シグナル伝達ドメインに連結されることができ、T細胞の表面上に活性TCRを生じる。いくつかの態様において、TCRは、細胞の表面上に発現される。
【0296】
いくつかの態様において、dTCRは、TCRα鎖可変領域配列に対応する配列がTCRα鎖定常領域細胞外配列に対応する配列のN末端に融合している第1のポリペプチド、およびTCRβ鎖可変領域配列に対応する配列がTCRβ鎖定常領域細胞外配列に対応する配列のN末端に融合している第2のポリペプチドを含有し、第1のポリペプチドと第2のポリペプチドとはジスルフィド結合によって連結されている。いくつかの態様において、結合は、天然の二量体αβTCR中に存在する天然の鎖間ジスルフィド結合に対応することができる。いくつかの態様において、鎖間ジスルフィド結合は、天然のTCR中に存在しない。例えば、いくつかの態様において、1つまたは複数のシステインを、dTCRポリペプチド対の定常領域細胞外配列中に組み込むことができる。いくつかの場合には、天然および非天然のジスルフィド結合が両方とも、望ましい可能性がある。いくつかの態様において、TCRは、膜に固定するための膜貫通配列を含有する。
【0297】
いくつかの態様において、dTCRは、可変αドメイン、定常αドメイン、および定常αドメインのC末端に付着した第1の二量体化モチーフを含有するTCRα鎖、ならびに可変βドメイン、定常βドメイン、および定常βドメインのC末端に付着した第1の二量体化モチーフを含むTCRβ鎖を含有し、ここで、第1および第2の二量体化モチーフは容易に相互作用して、第1の二量体化モチーフ中のアミノ酸と第2の二量体化モチーフ中のアミノ酸との間に共有結合を形成し、TCRα鎖とTCRβ鎖を一緒に連結する。
【0298】
いくつかの態様において、TCRはscTCRである。典型的には、scTCRは、当業者に公知の方法を用いて生成することができる。例えば、Soo Hoo, W. F. et al. PNAS (USA) 89, 4759 (1992);Wulfing, C. and Pluckthun, A., J. Mol. Biol. 242, 655 (1994);Kurucz, I. et al. PNAS (USA) 90 3830 (1993);国際公開PCT番号WO 96/13593、WO 96/18105、WO99/60120、WO99/18129、WO 03/020763、WO2011/044186;およびSchlueter, C. J. et al. J. Mol. Biol. 256, 859 (1996)を参照されたい。いくつかの態様において、scTCRは、TCR鎖の会合を容易にするために導入された非天然のジスルフィド鎖間結合を含有する(例えば、国際公開PCT番号WO 03/020763を参照されたい)。いくつかの態様において、scTCRは、そのC末端に融合した異種のロイシンジッパーが鎖の会合を容易にする、非ジスルフィド結合切断型TCRである(例えば、国際公開PCT番号WO99/60120を参照されたい)。いくつかの態様において、scTCRは、ペプチドリンカーを介してTCRβ可変ドメインに共有結合で連結されたTCRα可変ドメインを含有する(例えば、国際公開PCT番号WO99/18129を参照されたい)。
【0299】
いくつかの態様において、scTCRは、TCRα鎖可変領域に対応するアミノ酸配列によって構成される第1のセグメント、TCRβ鎖定常ドメイン細胞外配列に対応するアミノ酸配列のN末端に融合したTCRβ鎖可変領域配列に対応するアミノ酸配列によって構成される第2のセグメント、および第1のセグメントのC末端を第2のセグメントのN末端に連結するリンカー配列を含有する。
【0300】
いくつかの態様において、scTCRは、α鎖細胞外定常ドメイン配列のN末端に融合したα鎖可変領域配列によって構成される第1のセグメント、ならびにβ鎖細胞外定常配列および膜貫通配列の配列のN末端に融合したβ鎖可変領域配列によって構成される第2のセグメント、ならびに任意で、第1のセグメントのC末端を第2のセグメントのN末端に連結するリンカー配列を含有する。
【0301】
いくつかの態様において、scTCRは、β鎖細胞外定常ドメイン配列のN末端に融合したTCRβ鎖可変領域配列によって構成される第1のセグメント、ならびにα鎖細胞外定常配列および膜貫通配列の配列のN末端に融合したα鎖可変領域配列によって構成される第2のセグメント、ならびに任意で、第1のセグメントのC末端を第2のセグメントのN末端に連結するリンカー配列を含有する。
【0302】
いくつかの態様において、第1および第2のTCRセグメントを連結するscTCRのリンカーは、TCRの結合特異性を保持しながら、単一のポリペプチド鎖を形成できる任意のリンカーであることができる。いくつかの態様において、リンカー配列は、例えば、式-P-AA-P-を有してもよく、式中、Pはプロリンであり、AAはアミノ酸配列を表し、アミノ酸はグリシンおよびセリンである。いくつかの態様において、第1および第2のセグメントは、その可変領域配列がそのような結合のために配向されるように対合される。したがって、いくつかの場合には、リンカーは、第1のセグメントのC末端と第2のセグメントのN末端との間、またはその逆の間の距離を橋渡しするのに十分な長さを有するが、標的リガンドに対するscTCRの結合を遮断するかまたは低減するほど長くはない。いくつかの態様において、リンカーは、10~45アミノ酸または約10~45アミノ酸、例えば10~30アミノ酸または26~41アミノ酸残基、例えば、29、30、31、もしくは32アミノ酸を含有することができる。いくつかの態様において、リンカーは、式
を有し、式中、Pはプロリンであり、Gはグリシンであり、かつSはセリンである(SEQ ID NO:23)。いくつかの態様において、リンカーは、配列
を有する。
【0303】
いくつかの態様において、scTCRは、α鎖の定常ドメインの免疫グロブリン領域の残基をβ鎖の定常ドメインの免疫グロブリン領域の残基に連結する、共有ジスルフィド結合を含有する。いくつかの態様において、天然のTCR中の鎖間ジスルフィド結合は存在しない。例えば、いくつかの態様において、1つまたは複数のシステインを、scTCRポリペプチドの第1および第2のセグメントの定常領域細胞外配列中に組み込むことができる。いくつかの場合には、天然および非天然のジスルフィド結合が両方とも、望ましい可能性がある。
【0304】
導入された鎖間ジスルフィド結合を含有するdTCRまたはscTCRのいくつかの態様において、天然のジスルフィド結合は存在しない。いくつかの態様において、天然の鎖間ジスルフィド結合を形成する天然のシステインのうちの1つまたは複数は、セリンまたはアラニンなどの別の残基に置換されている。いくつかの態様において、導入されるジスルフィド結合は、第1および第2のセグメント上の非システイン残基をシステインに変異させることによって形成することができる。TCRの例示的な非天然のジスルフィド結合は、国際公開PCT番号WO2006/000830に記載されている。
【0305】
いくつかの態様において、TCRまたはその抗原結合断片は、10-5~10-12M または約10-5~10-12 Mならびにその中のすべての個々の値および範囲の、標的抗原に対する平衡結合定数で親和性を示す。いくつかの態様において、標的抗原は、MHC-ペプチド複合体またはリガンドである。
【0306】
いくつかの態様において、α鎖およびβ鎖などのTCRをコードする1つまたは複数の核酸は、PCR、クローニング、または他の適している手段によって増幅し、適している1つまたは複数の発現ベクターにクローニングすることができる。発現ベクターは、任意の適している組換え発現ベクターであることができ、任意の適している宿主を形質転換するかまたはトランスフェクトするために用いることができる。適しているベクターには、プラスミドおよびウイルスなどの、増殖および増大のため、または発現のため、またはその両方のために設計されたものが含まれる。
【0307】
いくつかの態様において、ベクターは、pUCシリーズ(Fermentas Life Sciences)、pBluescriptシリーズ(Stratagene, LaJolla, Calif.)、pETシリーズ(Novagen, Madison, Wis.)、pGEXシリーズ(Pharmacia Biotech, Uppsala, Sweden)、またはpEXシリーズ(Clontech, Palo Alto, Calif.)のベクターであることができる。いくつかの場合には、λG10、λGT11、λZapII(Stratagene)、λEMBL4、およびλNM1149などのバクテリオファージベクターも用いることができる。いくつかの態様において、植物発現ベクターを用いることができ、これには、pBI01、pBI101.2、pBI101.3、pBI121、およびpBIN19(Clontech)が含まれる。いくつかの態様において、動物発現ベクターには、pEUK-Cl、pMAM、およびpMAMneo(Clontech)が含まれる。いくつかの態様において、レトロウイルスベクターなどのウイルスベクターが用いられる。
【0308】
いくつかの態様において、組換え発現ベクターは、標準的な組換えDNA技法を用いて調製することができる。いくつかの態様において、ベクターは、適切なように、かつベクターがDNAベースであるかまたはRNAベースであるかを考慮に入れて、ベクターが導入されることになる宿主のタイプ(例えば、細菌、真菌、植物、または動物)に特異的である制御配列、例えば転写および翻訳開始および終止コドンを含有することができる。いくつかの態様において、ベクターは、TCRまたは抗原結合部分(または他のMHC-ペプチド結合分子)をコードするヌクレオチド配列に機能的に連結された非天然のプロモーターを含有することができる。いくつかの態様において、プロモーターは、非ウイルスプロモーターまたはウイルスプロモーター、例えばサイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、SV40プロモーター、RSVプロモーター、およびマウス幹細胞ウイルスの長い末端反復配列において見出されるプロモーターであることができる。他の公知のプロモーターもまた、企図される。
【0309】
いくつかの態様において、TCRをコードするベクターを生成するために、関心対象のTCRを発現するT細胞クローンから単離された全cDNAから、α鎖およびβ鎖をPCR増幅して、発現ベクターにクローニングする。いくつかの態様において、α鎖とβ鎖とは、同じベクターにクローニングされる。いくつかの態様において、α鎖とβ鎖とは、異なるベクターにクローニングされる。いくつかの態様において、生成されたα鎖およびβ鎖は、レトロウイルスベクター、例えばレンチウイルスベクター中に組み込まれる。
【0310】
B. 核酸およびベクター
また、組換え受容体をコードする1つまたは複数のポリヌクレオチド(例えば核酸分子)、受容体を発現するように細胞を遺伝子操作するためのベクター、ならびに操作された細胞を作製するための方法も提供される。いくつかの局面において、組換え受容体はキメラ抗原受容体(CAR)であるかまたはそれを含有する。いくつかの局面において、組換え受容体は、T細胞受容体(TCR)、例えばトランスジェニックTCRであるかまたはそれを含有する。
【0311】
いくつかの場合には、組換え受容体、例えばキメラ抗原受容体(CAR)をコードする核酸配列は、シグナルペプチドをコードするシグナル配列を含有する。シグナルペプチドの非限定的な例示的な例には、例えば、SEQ ID NO:26に示され、かつSEQ ID NO:25に示されるヌクレオチド配列によってコードされるGMCSFRα鎖シグナルペプチド、またはSEQ ID NO:18に示されるCD8αシグナルペプチドが含まれる。
【0312】
核酸分子が2つ以上の異なるポリペプチド鎖をコードするある特定の場合には、ポリペプチド鎖の各々は、別々の核酸分子によってコードされることができる。例えば、2つの別々の核酸が提供され、各々は、細胞における発現のために、細胞中に個別に移入されるかまたは導入されることができる。
【0313】
ポリヌクレオチドが第1および第2の核酸配列を含有する態様などのいくつかの態様において、異なるポリペプチド鎖の各々をコードするコード配列は、同じかまたは異なることができるプロモーターに機能的に連結されることができる。いくつかの態様において、核酸分子は、2つ以上の異なるポリペプチド鎖の発現を駆動するプロモーターを含有することができる。いくつかの態様において、そのような核酸分子は、マルチシストロン性(2シストロン性または3シストロン性、例えば、米国特許第6,060,273号を参照されたい)であることができる。いくつかの態様において、転写単位は、単一のプロモーターからのメッセージによって遺伝子産物の共発現を可能にする、IRES(内部リボソーム進入部位)を含有する2シストロン性単位として操作することができる。あるいは、いくつかの場合には、単一のプロモーターが、単一のオープンリーディングフレーム(ORF)に、自己切断ペプチド(例えば2A配列)またはプロテアーゼ認識部位(例えばフーリン)をコードする配列によって互いに分離された2つまたは3つの遺伝子を含有するRNAの発現を指令してもよい。したがって、ORFは、翻訳中(2Aの場合)または翻訳後のいずれかに個々のタンパク質にプロセシングされる、単一のポリペプチドをコードする。いくつかの場合には、T2Aなどのペプチドは、リボソームに2AエレメントのC末端でのペプチド結合の合成をスキップさせることができ(リボソームスキッピング)、2A配列の末端と下流の次のペプチドとの間の分離をもたらす(例えば、de Felipe, Genetic Vaccines and Ther. 2:13 (2004) およびde Felipe et al. Traffic 5:616-626 (2004)を参照されたい)。様々な2Aエレメントが公知である。本明細書中で開示される方法およびシステムにおいて用いることができる2A配列の例は、非限定的に、米国特許出願公開第20070116690号に記載されているような、口蹄疫ウイルス(F2A、例えばSEQ ID NO:22)、ウマ鼻炎Aウイルス(E2A、例えばSEQ ID NO:21)、トセア・アシグナ(Thosea asigna)ウイルス(T2A、例えばSEQ ID NO:6または17)、およびブタテッショウウイルス-1(P2A、例えばSEQ ID NO:19または20)からの2A配列である。
【0314】
いくつかの態様において、外因性マーカー遺伝子は、いくつかの場合において、操作された細胞療法に関して利用され、細胞の検出または選択を可能にし得、いくつかの場合において、細胞自殺を促進もし得る。例示的な代理マーカーは、細胞表面ポリペプチドの切断形態、例えば、非機能性であり、かつ、シグナルまたは細胞表面ポリペプチドの完全長形態によって通常変換されるシグナルを変換しないかまたは変換することができず、かつ/または、インターナライズしないかまたはインターナライズすることができない、切断形態を含み得る。例示的な切断型細胞表面ポリペプチドは、成長因子または他の受容体の切断形態、例えば、切断型ヒト上皮成長因子受容体2(tHER2)、切断型上皮成長因子受容体(tEGFR、SEQ ID NO:7または16に記載の例示的なtEGFR配列)または前立腺特異的膜抗原(PSMA)もしくはその改変型を含む。tEGFRは、抗体セツキシマブ(Erbitux(登録商標))または他の治療用抗-EGFR抗体もしくは結合性分子によって認識されるエピトープを含有し得、これは、tEGFR構築物で操作された細胞、およびコードされた外因性タンパク質を同定もしくは選択するために、ならびに/または、コードされた外因性タンパク質を発現する細胞を排除もしくは分離するために、使用することができる。米国特許第8,802,374号およびLiu et al., Nature Biotech. 2016 April; 34(4): 430-434)を参照されたい。いくつかの局面において、マーカー、例えば、代理マーカーは、全部または一部(例えば、切断形態)のCD34、NGFR、CD19、もしくは切断型CD19、例えば切断型非ヒトCD19、または上皮成長因子受容体(例えば、tEGFR)を含む。
【0315】
いくつかの態様において、マーカーは、蛍光タンパク質、例えば、緑色蛍光タンパク質(GFP)、高感度緑色蛍光タンパク質(EGFP)、例えば、super-fold GFP (sfGFP)、赤色蛍光タンパク質(RFP)、例えば、tdTomato、mCherry、mStrawberry、AsRed2、DsRedもしくはDsRed2、シアン蛍光タンパク質(CFP)、青緑色蛍光タンパク質(BFP)、高感度青色蛍光タンパク質(EBFP)、および黄色蛍光タンパク質(YFP)、ならびにそれらのバリアント、例えば、蛍光タンパク質の、種バリアント、単量体バリアント、および、コドン最適化および/または高感度バリアントであるかまたはこれらを含む。いくつかの態様において、マーカーは、酵素、例えば、ルシフェラーゼ、大腸菌(E. coli)由来のlacZ遺伝子、アルカリホスファターゼ、分泌型胎盤アルカリホスファターゼ(SEAP)、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)であるかまたはこれらを含む。例示的な発光レポーター遺伝子としては、ルシフェラーゼ(luc)、β-ガラクトシダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、β-グルクロニダーゼ(GUS)またはそれらのバリアントが挙げられる。
【0316】
いくつかの態様において、マーカーは選択マーカーである。いくつかの態様において、選択マーカーは、外因性薬剤または薬物に対して耐性を与えるポリペプチドであるかまたはこれを含む。いくつかの態様において、選択マーカーは抗生物質耐性遺伝子である。いくつかの態様において、選択マーカーは、哺乳動物細胞に抗生物質耐性を与える、抗生物質耐性遺伝子である。いくつかの態様において、選択マーカーは、ピューロマイシン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子、ブラストサイジン耐性遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子、ジェネティシン耐性遺伝子もしくはゼオシン耐性遺伝子またはそれらの改変型であるかまたはこれらを含む。
【0317】
いくつかの態様において、マーカーをコードする核酸は、リンカー配列、例えば、切断可能なリンカー配列、例えば、T2Aをコードするポリヌクレオチドに機能的に連結される。例えば、マーカー、および任意でリンカー配列は、PCT公開番号WO2014031687に開示されるような任意のものでよい。例えば、マーカーは、任意で、リンカー配列、例えば、T2A切断可能リンカー配列に連結されている、切断型EGFR(tEGFR)でもよい。切断型EGFR(例えば、tEGFR)の例示的なポリペプチドは、SEQ ID NO:7もしくは16に示したアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:7もしくは16と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の、もしくはこれより多い配列同一性を示すアミノ酸配列を含む。いくつかの例において、例えばSEQ ID NO:7または16に示した切断型上皮成長因子受容体(EGFRt)は、いくつかの場合には、形質導入細胞において関心対象の導入遺伝子(CARまたはTCR)と共発現させることができる(例えば、米国特許第8,802,374号を参照されたい)。EGFRtは、EGFRt構築物および別の組換え受容体、例えばキメラ抗原受容体(CAR)で操作されている細胞を特定するかもしくは選択するため、ならびに/または受容体を発現する細胞を排除するかもしくは分離するために用いることができる、抗体セツキシマブ(Erbitux(登録商標))または他の治療用抗EGFR抗体もしくは結合分子によって認識されるエピトープを含有し得る。米国特許第8,802,374号およびLiu et al., Nature Biotech. 2016 April; 34(4): 430-434を参照されたい。
【0318】
また、そのような核酸および/またはポリヌクレオチドを含有するベクターまたは構築物も提供される。いくつかの態様において、ベクターまたは構築物は、組換え受容体をコードする核酸に機能的に連結された1つまたは複数のプロモーターを、その発現を駆動するために含有する。いくつかの態様において、プロモーターは、1つまたは1つよりも多い核酸分子またはポリヌクレオチドに機能的に連結されている。したがって、また、本明細書において提供されるポリヌクレオチドのいずれかを含有するベクターなどのベクターも提供される。
【0319】
いくつかの場合には、ベクターは、レトロウイルスベクター、例えば、レンチウイルスベクターまたはガンマウイルスベクターなどのウイルスベクターである。また、そのようなベクターまたはベクターの組み合わせを含有する組成物も提供される。いくつかの態様において、ベクターのセットまたは組み合わせは、細胞の操作のために一緒に用いられる。いくつかの態様において、セットにおける第1および第2のベクターは、操作のために細胞中に同時に、または逐次的に任意の順序で導入される。
【0320】
いくつかの態様において、ベクターには、ウイルスベクター、例えば、レトロウイルスもしくはレンチウイルス、非ウイルスベクター、またはトランスポゾン、例えばSleeping Beautyトランスポゾンシステム、シミアンウイルス40(SV40)、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)に由来するベクター、レンチウイルスベクターまたはレトロウイルスベクター、例えばガンマレトロウイルスベクター、モロニーマウス白血病ウイルス(MoMLV)、骨髄増殖性肉腫ウイルス(MPSV)、マウス胚性幹細胞ウイルス(MESV)、マウス幹細胞ウイルス(MSCV)、脾フォーカス形成ウイルス(SFFV)、もしくはアデノ随伴ウイルス(AAV)に由来するレトロウイルスベクターが含まれる。
【0321】
C. 遺伝子操作のためのベクターおよび方法
遺伝子操作された構成要素、例えば、組換え受容体、例えば、CARまたはTCRの導入のための様々な方法が、周知である。例示的な方法には、ウイルス、例えば、レトロウイルスまたはレンチウイルスを介するもの、形質導入、トランスポゾン、およびエレクトロポレーションを含む、受容体をコードする核酸の移入のためのものが含まれる。いくつかの態様において、表面グリカン発現を、遺伝子操作プロセスの前に、その最中に、またはその直後に収集される細胞の組成物において評価する。いくつかの態様において、表面グリカン発現を、遺伝子操作された構成要素を導入するプロセスの対応する段階の細胞の組成物の間で、評価して比較する。いくつかの態様において、組成物は、同じ組換え受容体を発現するように、しかし遺伝子材料を導入する異なる方法によって、操作されるかまたは操作されている。
【0322】
いくつかの態様において、遺伝子移入は、例えば、サイトカインまたは活性化マーカーの発現によって測定されるような、増殖、生存、および/または活性化などの応答を誘導する刺激薬と細胞を組み合わせることなどにより、細胞を最初に刺激すること、ならびにその後続く、活性化細胞の形質導入、および臨床応用に十分な数までの培養における増大によって達成される。
【0323】
いくつかの態様において、組換え核酸は、例えば、シミアンウイルス40(SV40)、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)に由来するベクターなどの組換え感染性ウイルス粒子を用いて、細胞中に移入される。いくつかの態様において、組換え核酸は、組換えレンチウイルスベクターまたはレトロウイルスベクター、例えばガンマ-レトロウイルスベクターを用いて、T細胞中に移入される(例えば、Koste et al. Gene Therapy doi: 10.1038/gt.2014.25 (2014) ;Carlens et al. Exp Hematol., 28(10): 1137-46 (2000);Alonso-Camino et al. Mol Ther Nucl Acids, 2, e93 (2013);Park et al., Trends Biotechnol., November 29(11): 550-557 (2011)を参照されたい)。いくつかの態様において、ウイルスはアデノ随伴ウイルス(AAV)である。
【0324】
いくつかの態様において、レトロウイルスベクター、例えば、モロニーマウス白血病ウイルス(MoMLV)、骨髄増殖性肉腫ウイルス(MPSV)、マウス胚性幹細胞ウイルス(MESV)、マウス幹細胞ウイルス(MSCV)、脾フォーカス形成ウイルス(SFFV)に由来するレトロウイルスベクターは、長い末端反復配列(LTR)を有する。ほとんどのレトロウイルスベクターは、マウスレトロウイルスに由来する。いくつかの態様において、レトロウイルスには、任意の鳥類または哺乳類の細胞供給源に由来するものが含まれる。レトロウイルスは、典型的には両種指向性であり、これは、それらが、ヒトを含む数個の種の宿主細胞に感染できることを意味している。1つの態様において、発現されることになる遺伝子は、レトロウイルスのgag、pol、および/またはenv配列に取って代わる。いくつかの例証となるレトロウイルスシステムが、記載されている(例えば、米国特許第5,219,740号;同第6,207,453号;同第5,219,740号;Miller and Rosman, BioTechniques, 7:980-990 (1989);Miller, A. D. Human Gene Therapy, 1:5-14 (1990);Scarpa et al. Virology, 180:849-852 (1991);Burns et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:8033-8037 (1993);およびBoris-Lawrie and Temin, Cur. Opin. Genet. Develop., 3:102-109 (1993))。
【0325】
レンチウイルス形質導入の方法は、公知である。例示的な方法は、例えば、Wang et al., J. Immunother., 35(9): 689-701 (2012);Cooper et al. Blood. 101:1637-1644 (2003);Verhoeyen et al., Methods Mol Biol., 506: 97-114 (2009);およびCavalieri et al., Blood., 102(2): 497-505 (2003)に記載されている。
【0326】
いくつかの態様において、組換え核酸は、エレクトロポレーションを介してT細胞中に移入される(例えば、Chicaybam et al, PLoS ONE 8(3): e60298 (2013)およびVan Tedeloo et al. Gene Therapy 7(16): 1431-1437 (2000)を参照されたい)。いくつかの態様において、組換え核酸は、転位を介してT細胞中に移入される(例えば、Manuri et al. Hum Gene Ther 21(4): 427-437 (2010);Sharma et al. Molec Ther Nucl Acids 2, e74 (2013);およびHuang et al. Methods Mol Biol 506: 115-126 (2009)を参照されたい)。免疫細胞において遺伝物質を導入し、発現させる他の方法には、リン酸カルシウムトランスフェクション(例えば、Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York. N.Y.に記載されている通り)、プロトプラスト融合、カチオン性リポソーム媒介性トランスフェクション;タングステン粒子によって促進される微小粒子照射(Johnston, Nature, 346: 776-777 (1990));およびリン酸ストロンチウムDNA共沈殿(Brash et al., Mol. Cell Biol., 7: 2031-2034 (1987))が含まれる。
【0327】
組換え産物をコードする核酸の移入のための他のアプローチおよびベクターは、例えば、国際特許出願公開番号WO2014055668および米国特許第7,446,190号に記載されているものである。
【0328】
いくつかの態様において、細胞、例えばT細胞は、増大中または増大後のいずれかに、例えば、T細胞受容体(TCR)もしくはキメラ抗原受容体(CAR)がトランスフェクトされてもよい。所望の受容体の遺伝子の導入のためのこのトランスフェクションは、例えば、任意の適しているレトロウイルスベクターで実施することができる。次いで、遺伝子改変された細胞集団を、最初の刺激(例えば、CD3/CD28刺激)から解放し、その後、第2のタイプの刺激で(例えば、新たに導入された受容体を介して)刺激することができる。この第2のタイプの刺激は、ペプチド/MHC分子、遺伝子導入された受容体の同族(架橋)リガンド(例えば、CARの天然リガンド)、または(例えば、受容体内の定常領域を認識することによって)新しい受容体のフレームワーク内に直接に結合する任意のリガンド(抗体など)の形態における抗原刺激を含んでもよい。例えば、Cheadle et al, Methods Mol Biol. 907:645-66 (2012)またはBarrett et al., Chimeric Antigen Receptor Therapy for Cancer Annual Review of Medicine, Vol. 65: 333-347 (2014)を参照されたい。
【0329】
いくつかの場合には、細胞、例えばT細胞が活性化されることを必要としないベクターが用いられてもよい。いくつかのそのような例において、細胞は、活性化の前に選択され、かつ/または形質導入されてもよい。したがって、細胞は、細胞の培養の前にまたはその後に、およびいくつかの場合には、培養の少なくとも一部分と同じ時にまたはその最中に操作されてもよい。
【0330】
いくつかの局面において、細胞は、サイトカインまたは他の因子の発現を促進するように、さらに操作される。追加の核酸、例えば、導入のための遺伝子の中には、例えば、移入された細胞の生存度および/または機能を促進することによって、治療の有効性を改善するもの;例えば、インビボでの生存または局在化を評価するために、細胞の選択および/または評定用の遺伝子マーカーを提供する遺伝子;例えば、Lupton S. D. et al., Mol. and Cell Biol., 11:6 (1991);およびRiddell et al., Human Gene Therapy 3:319-338 (1992)により記載されているような、細胞をインビボでの陰性選択を受けやすくさせることによって、安全性を改善する遺伝子がある。また、ドミナントポジティブな選択可能マーカーと陰性選択可能マーカーとの融合に由来する二機能性の選択可能融合遺伝子の使用を記載している、LuptonらによるPCT/US91/08442およびPCT/US94/05601の公開公報も参照されたい。例えば、Riddellらの米国特許第6,040,177号、第14欄~第17欄を参照されたい。
【0331】
D. アウトプット組成物の特徴
特定の態様において、本明細書に提供される方法は、遺伝子操作された細胞を含有する細胞の組成物、例えば、アウトプット組成物を作製するかまたは生成する。ある特定の態様において、アウトプット組成物は、細胞を遺伝子操作するための工程のうちのいくつかまたはすべてに起因する細胞組成物である。ある特定の態様において、アウトプット組成物は、インプット組成物の細胞を遺伝子操作するプロセスに起因する。ある特定の態様において、プロセスは、インプット細胞組成物から得られる細胞などの、細胞を活性化する、形質導入するかもしくはトランスフェクトする、増大させる、および/または採集するための1つまたは複数の工程を含有する。ある特定の態様において、アウトプット細胞組成物は、遺伝子操作されている細胞を含有する。特定の態様において、アウトプット組成物の細胞は、遺伝子操作のプロセスのための工程のすべてを経ている。
【0332】
いくつかの態様において、アウトプット組成物は、遺伝子操作を介して導入された1つまたは複数の核酸を含み、それによって、そのような核酸の組換え産物または遺伝子操作された産物を発現する細胞を含有する。いくつかの態様において、核酸は、異種であり、すなわち、細胞または細胞から得られる試料中に正常では存在せず、例えば、操作されている細胞、および/またはそのような細胞が由来する生物において通常は見出されない、別の生物または細胞から得られるものである。いくつかの態様において、核酸は、天然には存在せず、例えば、複数の異なる細胞型由来の様々なドメインをコードする核酸のキメラ組み合わせを含むものを含む、天然において見出されない核酸である。
【0333】
いくつかの態様において、アウトプット組成物は、遺伝子操作されている細胞を含有する。特定の態様において、アウトプット細胞組成物は、操作されたT細胞を含有する。いくつかの態様において、操作されたT細胞は、操作されたCD4+ T細胞および操作されたCD8+ T細胞を含む。特定の態様において、アウトプット組成物は、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.9%、または100%もしくは約100%の、操作されたT細胞を含有するかまたは含む。ある特定の態様において、操作された細胞は、組換え受容体を発現する。特定の態様において、アウトプット組成物は、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.9%、または100%もしくは約100%の、組換え受容体を発現するT細胞を含有するかまたは含む。いくつかの態様において、組換え受容体はTCRまたはCARである。特定の態様において、組換え受容体はCARである。
【0334】
III. 組成物および製剤
本明細書に記載されるインキュベートする(例えば、刺激する)方法に従って調製された細胞を含有する組成物または製剤が、本明細書において提供される。いくつかの態様において、本明細書に記載される組成物および方法は、細胞の集団の少なくとも一部分、例えば、細胞の集団由来の非ナイーブ様T細胞を排除するために用いることができる。刺激された組成物において、非ナイーブ様T細胞に由来する細胞などの望ましくない細胞をもはや含有しないか、または有意に低減した数の望ましくない細胞を有する細胞の集団を含む組成物、およびその使用が、さらに提供される。本明細書に提供される組成物および方法はまた、処置における使用にとって望ましくない亜集団が欠失している細胞の集団を選択的に増大させるためにも用いられる。また、本明細書に記載されるT細胞を刺激する方法のいずれかによって作製される、アウトプットまたは濃縮された刺激された組成物も、本明細書において提供される。
【0335】
いくつかの態様において、本明細書に記載されるインキュベートする(例えば、刺激する)方法のいずれかを用いて作製される細胞、例えば、組換え受容体(例えば、CAR-T細胞)で遺伝子操作された細胞は、薬学的組成物および製剤、例えば、所与の用量またはその画分での投与のための細胞の数を含む単位用量形態組成物などの、薬学的組成物および製剤を含む、組成物として提供される。薬学的組成物および製剤は概して、1つまたは複数の任意の薬学的に許容される担体または賦形剤を含む。いくつかの態様において、組成物は、少なくとも1つの追加の治療剤を含む。
【0336】
いくつかの態様において、細胞の組成物は、細胞療法の目的で生成されるかまたは製造される。いくつかの態様において、細胞組成物は、薬学的組成物または製剤である。そのような組成物は、例えば、疾患、状態、および障害の予防または処置における、または検出、診断、および予後判定法における使用のためのその放出を評価するために、提供される方法に従って用いることができる。
【0337】
「薬学的製剤」という用語は、その中に含有される活性成分の生物学的活性を有効にするような形態であり、かつ製剤が投与される対象に対して許容できないほどの毒性を有するさらなる構成要素を含有しない調製物を指す。いくつかの態様において、本明細書に提供される方法は、同じ操作された細胞から構成されるが、異なる薬学的製剤を有する細胞組成物の表面グリカン発現を比較するために用いられてもよい。
【0338】
「薬学的に許容される担体」とは、対象に対して非毒性である、活性成分以外の薬学的製剤中の成分を指す。薬学的に許容される担体には、緩衝剤、賦形剤、安定剤、または保存剤が含まれるが、それらに限定されない。特定の態様において、本明細書に提供される方法は、同じ操作された細胞から構成されるが、異なる薬学的に許容される担体を有する細胞組成物の表面グリカン発現を比較するために用いられてもよい。
【0339】
いくつかの態様において、T細胞療法、例えば操作されたT細胞(例えば、CAR T細胞)は、薬学的に許容される担体と共に製剤化される。いくつかの局面において、担体の選択は、一部には、特定の細胞によっておよび/または投与の方法によって決定される。したがって、多種多様な適している製剤がある。例えば、薬学的組成物は、保存剤を含有することができる。適している保存剤には、例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸ナトリウム、および塩化ベンザルコニウムが含まれ得る。いくつかの局面において、2種類以上の保存剤の混合物が用いられる。保存剤またはその混合物は、典型的には、総組成物の重量で約0.0001%~約2%の量で存在する。担体は、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osol, A. Ed. (1980)によって記載されている。薬学的に許容される担体は、概して、使用される投薬量および濃度でレシピエントに対して非毒性であり、以下を含むが、それらに限定されない:リン酸塩、クエン酸塩および他の有機酸などの緩衝剤;アスコルビン酸およびメチオニンを含む抗酸化剤;保存剤(塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチル、もしくはベンジルアルコール;メチルもしくはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;およびm-クレゾールなど);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、もしくはリジンなどのアミノ酸;グルコース、マンノース、もしくはデキストリンを含む単糖類、二糖類、および他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロース、もしくはソルビトールなどの糖類;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);ならびに/またはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤。
【0340】
いくつかの局面における緩衝剤は、組成物中に含まれる。適している緩衝剤には、例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウム、リン酸、リン酸カリウム、ならびに様々な他の酸および塩が含まれる。いくつかの局面において、2種類以上の緩衝剤の混合物が用いられる。緩衝剤またはその混合物は、典型的には、総組成物の重量で約0.001%~約4%の量で存在する。投与可能な薬学的組成物を調製するための方法は、公知である。例示的な方法は、例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, Lippincott Williams & Wilkins; 21st ed.(May 1, 2005)においてより詳細に記載されている。
【0341】
製剤は、水溶液を含むことができる。製剤または組成物はまた、1つまたは複数の活性成分を含む、細胞で予防されているかまたは処置されている特定の適応症、疾患、または状態に有用な1つよりも多い活性成分を含有してもよく、ここで、活性は、細胞に対して相補的であり、かつ/またはそれぞれの活性は、互いに有害な影響を与えない。そのような活性成分は、意図される目的にとって有効である量において組み合わせで適切に存在する。したがって、いくつかの態様において、薬学的組成物は、化学療法剤、例えば、アスパラギナーゼ、ブスルファン、カルボプラチン、シスプラチン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシ尿素、メトトレキサート、パクリタキセル、リツキシマブ、ビンブラスチン、ビンクリスチンなどのような他の薬学的に活性な剤または薬物をさらに含む。
【0342】
いくつかの態様における薬学的組成物は、疾患または状態を処置するかまたは予防するのに有効な量、例えば、治療的に有効なまたは予防的に有効な量で細胞を含有する。いくつかの態様における治療的または予防的有効性は、処置された対象の定期的な評価によってモニターされる。数日またはより長期にわたる反復投与では、状態に応じて、疾患症状の望ましい抑制が起こるまで、処置が繰り返される。しかし、他の投薬レジメンが、有用である可能性があり、決定することができる。望ましい投薬量は、組成物の単回ボーラス投与によって、組成物の複数回ボーラス投与によって、または組成物の連続注入投与によって送達することができる。
【0343】
細胞は、標準的な投与技法、製剤、および/またはデバイスを用いた投与のために製剤化され得る。組成物の保管および投与のための製剤およびデバイス、例えばシリンジおよびバイアルが提供される。細胞に関して、投与は、自己由来または異種であることができる。例えば、免疫応答性細胞または前駆体を、1名の対象から得て、同じ対象または適合性を有する異なる対象へ投与することができる。末梢血由来の免疫応答性細胞またはそれらの子孫(例えば、インビボ、エクスビボ、またはインビトロ由来)を、カテーテル投与、全身注射、局所注射、静脈内注射、または非経口投与を含む、局所注射を介して投与することができる。治療用組成物(例えば、遺伝子改変された免疫応答性細胞を含有する薬学的組成物)を投与する場合、治療用組成物は概して、単位投薬量を注射可能な形態(溶液、懸濁液、エマルション)に製剤化される。
【0344】
製剤には、経口投与、静脈内投与、腹腔内投与、皮下投与、肺投与、経皮投与、筋肉内投与、鼻腔内投与、口腔投与、舌下投与、または坐剤投与のためのものが含まれる。いくつかの態様において、作用物質または細胞集団は、非経口投与される。本明細書において用いられる「非経口」という用語は、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、直腸投与、膣内投与、および腹腔内投与を含む。いくつかの態様において、作用物質または細胞集団は、静脈内注射、腹腔内注射、または皮下注射による末梢全身送達を用いて、対象へ投与される。
【0345】
いくつかの態様における組成物は、いくつかの局面において選択されたpHに緩衝され得る、滅菌液体調製物、例えば、等張水溶液、懸濁液、エマルション、分散液、または粘性組成物として提供される。液体調製物は通常、ゲル、他の粘性組成物、および固体組成物よりも調製が容易である。加えて、液体組成物は、特に注射によって投与するのに、いくらかより便利である。他方で、粘性組成物は、特定の組織とのより長い接触期間を提供する適切な粘度範囲内で製剤化することができる。液体または粘性組成物は、担体を含むことができ、担体は、例えば、水、食塩水、リン酸緩衝食塩水、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール)およびそれらの適している混合物を含有する溶媒または分散媒であることができる。
【0346】
滅菌の注射可能な溶液は、細胞を溶媒中に組み込むことによって、例えば、適している担体、希釈剤、または賦形剤、例えば滅菌水、生理食塩水、グルコース、デキストロースなどとの混合物において、調製することができる。組成物はまた、凍結乾燥することもできる。組成物は、所望される投与の経路および調製物に応じて、湿潤剤、分散剤、または乳化剤(例えば、メチルセルロース)、pH緩衝剤、ゲル化もしくは増粘添加剤、保存剤、香味剤、着色剤などのような補助物質を含有することができる。標準的な教科書が、いくつかの局面において、適している調製物を調製するために参考にされてもよい。
【0347】
抗微生物保存剤、抗酸化剤、キレート剤、および緩衝剤を含む、組成物の安定性および無菌性を増強する様々な添加剤を、添加することができる。微生物の作用の阻止は、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などによって確実にすることができる。注射可能な薬学的形態の持続的吸収は、吸収を遅延させる作用物質、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンの使用によってもたらすことができる。
【0348】
インビボ投与のために用いられる製剤は、概して無菌である。無菌性は、例えば、滅菌濾過膜を通した濾過によって、容易に達成され得る。
【0349】
疾患の予防または処置のために、適切な投薬量は、作用物質または細胞が、予防目的で投与されようとまたは治療目的で投与されようと、処置されるべき疾患のタイプ、1つまたは複数の作用物質のタイプ、細胞または組換え受容体のタイプ、疾患の重篤度および経過、事前の治療法、対象の臨床歴および作用物質または細胞に対する応答、ならびに担当医の裁量に依存し得る。組成物は、いくつかの態様において、一度にまたは一連の処置にわたって、対象に適当に投与される。
【0350】
また、組換え受容体(例えばCAR)によって認識される抗原が発現される疾患、状態、および障害の処置における、細胞および組成物、例えば本明細書に記載されるアウトプット組成物中に存在するものを用いる方法およびその使用も提供される。また、記載されるインキュベートする(例えば、刺激する)方法のいずれかによって作製されるアウトプット組成物または濃縮されたアウトプット組成物を対象へ投与する工程を含む、処置の方法も、本明細書において提供される。いくつかの態様において、方法は、本明細書に記載される方法のいずれかを用いて、遺伝子操作されたT細胞を生成する工程、および本明細書に記載される方法によって作製される遺伝子操作されたT細胞を投与する工程を含む。
【0351】
操作された細胞および組成物を投与する方法、ならびに、がんを含む疾患、状態、および障害を処置するかまたは予防するためのそのような操作された細胞および組成物の使用が提供される。いくつかの態様において、細胞ベースの治療法は、腫瘍またはがんなどの病変の表面上に発現される分子を標的とする、免疫細胞、例えばT細胞などの細胞の投与であるかまたはそれを含む。提供される方法および使用は、養子細胞療法のための方法および使用を含む。いくつかの態様において、方法は、操作された細胞、または、記載されるようなアウトプット組成物由来の細胞などの細胞を含有する組成物の、対象、組織、または細胞、例えば疾患、状態、または障害を有する、その危険性がある、またはそれを有すると疑われるものへの投与を含む。いくつかの態様において、細胞、集団、および組成物は、処置されるべき特定の疾患または状態を有する対象へ、例えば、養子T細胞療法などの養子細胞療法を介して投与される。いくつかの態様において、細胞または組成物は、対象、例えば、疾患もしくは状態を有するかまたはその危険性がある対象へ、例えば、操作されたT細胞によって認識される抗原を発現するがんにおける腫瘍負荷を小さくすることによって、疾患または状態の1つまたは複数の症状を改善するために投与される。
【0352】
いくつかの局面において処置される疾患または状態は、抗原の発現が、疾患、障害または状態の細胞または組織に関連している、それに特異的である、および/もしくはその上に発現している、ならびに/または疾患、状態または障害の病因に関与している、例えば、そのような疾患、状態、または障害を引き起こす、憎悪させる、または他の方法で関与している、いずれかのものであり得る。例示的な疾患および状態としては、悪性腫瘍もしくは細胞の形質転換(例えば、がん)、自己免疫もしくは炎症性疾患、または、例えば細菌、ウイルスもしくは他の病原体によって引き起こされる感染性疾患に関連する疾患または状態を挙げることができる。例示的な抗原は、処置することができる種々の疾患および状態に関連する抗原を含み、上記に記載されている。特定の態様において、免疫調節ポリペプチドおよび/または組換え受容体、例えばキメラ抗原受容体またはTCRは、疾患または状態に関連する抗原に特異的に結合する。いくつかの態様において、対象は、疾患、障害または状態、任意でがん、腫瘍、自己免疫性の疾患、障害もしくは状態、または感染性疾患を有する。
【0353】
いくつかの態様において、疾患、障害または状態は、種々のがんに関連する腫瘍を含む。がんは、いくつかの態様において、対象の身体内に位置している任意のがん、例えば、これらに限定されないが、頭頸部、乳房、肝臓、結腸、卵巣、前立腺、膵臓、脳、子宮頸部、骨、皮膚、眼、膀胱、胃、食道、腹膜、または肺に位置しているがんなどであり得る。例えば、抗がん剤が、結腸がん、子宮頸がん、中枢神経系のがん、乳がん、膀胱がん、肛門がん、頭頸部がん、卵巣がん、子宮内膜がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、神経内分泌がん、軟部組織がん、陰茎がん、前立腺がん、膵臓がん、胃がん、胆嚢がん、または食道がんの処置のために用いられ得る。いくつかの場合において、がんは血液のがんであり得る。いくつかの態様において、疾患、障害または状態は、腫瘍、例えば固形腫瘍、リンパ腫、白血病、血液腫瘍、転移性腫瘍、または他のがんもしくは腫瘍タイプなどである。いくつかの態様において、疾患、障害または状態は、結腸、肺、肝臓、乳房、前立腺、卵巣、皮膚、黒色腫、骨のがん、脳がん、卵巣がん、上皮がん、腎細胞がん、膵臓腺がん、子宮頸がん、結腸直腸がん、神経膠芽腫、神経芽腫、ユーイング肉腫、髄芽腫、骨肉腫、滑膜肉腫、および/または中皮腫の中から選択される。
【0354】
疾患、状態、および障害の中には、固形腫瘍、血液悪性腫瘍、および黒色腫を含む、ならびに局限性および転移性腫瘍を含む腫瘍、感染性疾患、例えばウイルスまたは他の病原体、例えばHIV、HCV、HBV、CMV、HPVによる感染および寄生虫病など、ならびに自己免疫および炎症性疾患がある。いくつかの態様において、疾患、障害または状態は、腫瘍、がん、悪性腫瘍、新生物、または他の増殖性疾患もしくは障害である。そのような疾患には、これらに限定されないが、白血病、リンパ腫、例えば急性骨髄性(myeloid)(または骨髄性(myelogenous))白血病(AML)、慢性骨髄性(myeloid)(または骨髄性(myelogenous))白血病(CML)、急性リンパ性(またはリンパ芽球性)白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、ヘアリー細胞白血病(HCL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、辺縁帯リンパ腫、バーキットリンパ腫、ホジキンリンパ腫(HL)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)、濾胞性リンパ腫、治療抵抗性濾胞性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)および多発性骨髄腫(MM)が含まれ、B細胞悪性腫瘍は、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、成人ALL、慢性リンパ芽球性白血病(CLL)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、およびびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)内から選択される。
【0355】
いくつかの態様において、疾患または状態は、これらに限定されないが、ウイルス、レトロウイルス、細菌、および原虫感染、免疫不全、サイトメガロウイルス(CMV)、エプスタイン-バーウイルス(EBV)、アデノウイルス、BKポリオーマウイルスなどの、感染性疾患または状態である。いくつかの態様において、疾患または状態は、関節炎、例えば関節リウマチ(RA)、I型糖尿病、全身性エリテマトーデス(SLE)、炎症性腸疾患、乾癬、強皮症、自己免疫性甲状腺疾患、グレーブス病、クローン病、多発性硬化症、喘息、および/または移植に関連する疾患もしくは状態などの、自己免疫または炎症性の疾患または状態である。
【0356】
いくつかの態様において、疾患または障害に関連する抗原は、オーファンチロシンキナーゼ受容体ROR1、B細胞成熟抗原(BCMA)、炭酸アンヒドラーゼ9(CAIX)、tEGFR、Her2/neu(受容体チロシンキナーゼerbB2)、L1-CAM、CD19、CD20、CD22、メソテリン、CEA、B型肝炎表面抗原、抗葉酸受容体、CD23、CD24、CD30、CD33、CD38、CD44、EGFR、上皮糖タンパク質2(EPG-2)、上皮糖タンパク質40(EPG-40)、エフリン受容体A2(EPHa2)、Her2/neu(受容体チロシンキナーゼerb-B2)、Her3(erb-B3)、Her4(erb-B4)、erbB二量体、III型上皮成長因子受容体変異(EGFR vIII)、葉酸結合タンパク質(FBP)、FCRL5、Fc受容体様5(FCRL5;Fc受容体ホモログ 5またはFCRH5としても知られる)、胎児アセチルコリン受容体、ガングリオシドGD2、ガングリオシドGD3、Gタンパク質共役受容体5D(GPCR5D)、HMW-MAA、IL-22R-α、IL-13R-α2、キナーゼインサートドメイン受容体(kdr)、κ軽鎖、ロイシンリッチリピート含有8ファミリーメンバーA(LRRC8A)、ルイスY、L1細胞接着分子(L1-CAM)、黒色腫関連抗原(MAGE)-A1、MAGE-A3、MAGE-A6、黒色腫の優先発現抗原(PRAME)、サバイビン、TAG72、B7-H6、IL-13受容体α2(IL-13Ra2)、CA9、GD3、HMW-MAA、CD171、G250/CAIX、ヒト白血球抗原A1(HLA-A1)、MAGE A1、HLA-A2、NY-ESO-1、PSCA、葉酸受容体-a、CD44v6、CD44v7/8、αvβ6インテグリン(avb6インテグリン)、8H9、NCAM、VEGF受容体、5T4、胎児AchR、ナチュラルキラーグループ2メンバーD(NKG2D)リガンド、CD44v6、二重抗原、がん-精巣抗原、メソテリン、マウスCMV、ムチン1(MUC1)、MUC16、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、NKG2D、がん-精巣抗原 がん/精巣抗原1B(CTAG;NY-ESO-1およびLAGE-2としても知られる)、MART-1、糖タンパク質100(gp100)、胎児腫瘍抗原、ROR1、栄養膜糖タンパク質(TPBG;5T4としても知られる)、TAG72、VEGF-R2、がん胎児性抗原(CEA)、Her2/neu、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、エフリンB2、CD123、c-Met、GD-2、O-アセチル化GD2(OGD2)、CE7、ウィルムス腫瘍1(WT-1)、サイクリン、サイクリンA2、C-Cモチーフケモカインリガンド1(CCL-1)、CD138、病原体特異的抗原およびユニバーサルタグに関連する抗原、および/またはビオチン化分子、および/またはHIV、HCV、HBV、もしくは他の病原体によって発現される分子からなる群より選択される。
【0357】
いくつかの態様において、抗原またはリガンドは、腫瘍抗原またはがんマーカーである。いくつかの態様において、抗原またはリガンド、抗原は、αvβ6インテグリン(avb6インテグリン)、B細胞成熟抗原(BCMA)、B7-H3、B7-H6、炭酸アンヒドラーゼ9(CA9;CAIXまたはG250としても知られる)、がん-精巣抗原、がん/精巣抗原1B(CTAG;NY-ESO-1およびLAGE-2としても知られる)、がん胎児性抗原(CEA)、サイクリン、サイクリンA2、C-Cモチーフケモカインリガンド1(CCL-1)、CD19、CD20、CD22、CD23、CD24、CD30、CD33、CD38、CD44、CD44v6、CD44v7/8、CD123、CD133、CD138、CD171、コンドロイチン硫酸プロテオグリカン4(CSPG4)、上皮成長因子タンパク質(EGFR)、III型上皮成長因子受容体変異(EGFR vIII)、上皮糖タンパク質2(EPG-2)、上皮糖タンパク質40(EPG-40)、エフリンB2、エフリン受容体A2(EPHa2)、エストロゲン受容体、Fc受容体様5(FCRL5;Fc受容体ホモログ5またはFCRH5としても知られる)、胎児アセチルコリン受容体(胎児AchR)、葉酸結合タンパク質(FBP)、葉酸受容体α、ガングリオシドGD2、O-アセチル化GD2(OGD2)、ガングリオシドGD3、糖タンパク質100(gp100)、グリピカン-3(GPC3)、Gタンパク質共役受容体5D(GPCR5D)、Her2/neu(受容体チロシンキナーゼerb-B2)、Her3(erb-B3)、Her4(erb-B4)、erbB二量体、ヒト高分子量黒色腫関連抗原(HMW-MAA)、B型肝炎表面抗原、ヒト白血球抗原A1(HLA-A1)、ヒト白血球抗原A2(HLA-A2)、IL-22受容体α(IL-22Rα)、IL-13受容体α2(IL-13Rα2)、キナーゼインサートドメイン受容体(kdr)、κ軽鎖、L1細胞接着分子(L1-CAM)、L1-CAMのCE7エピトープ、ロイシンリッチリピート含有8ファミリーメンバーA(LRRC8A)、ルイスY、黒色腫関連抗原(MAGE)-A1、MAGE-A3、MAGE-A6、MAGE-A10、メソテリン(MSLN)、c-Met、マウスサイトメガロウイルス(CMV)、ムチン1(MUC1)、MUC16、ナチュラルキラーグループ2メンバーD(NKG2D)リガンド、メランA(MART-1)、神経細胞接着分子(NCAM)、胎児腫瘍性抗原、黒色腫の優先発現抗原(PRAME)、プロゲステロン受容体、前立腺特異抗原、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、受容体チロシンキナーゼ様オーファン受容体1(ROR1)、サバイビン、栄養膜糖タンパク質(TPBG;5T4としても知られる)、腫瘍関連糖タンパク質72(TAG72)、チロシナーゼ関連タンパク質1(TRP1;TYRP1またはgp75としても知られる)、チロシナーゼ関連タンパク質2(TRP2;ドパクロムトートメラーゼ、ドパクロムデルタ-イソメラーゼ、またはDCTとしても知られる)、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)、血管内皮増殖因子受容体2(VEGFR2)、ウィルムス腫瘍1(WT-1)、病原体特異的もしくは病原体発現抗原、またはユニバーサルタグに関連する抗原、および/またはビオチン化分子、および/またはHIV、HCV、HBV、もしくは他の病原体によって発現される分子であるか、またはそれを含む。
【0358】
いくつかの態様において、疾患または状態は、B細胞悪性腫瘍である。いくつかの態様において、B細胞悪性腫瘍は、白血病またはリンパ腫である。いくつかの局面において、疾患または状態は、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、成人ALL、慢性リンパ芽球性白血病(CLL)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、またはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)である。いくつかの場合には、疾患または状態は、侵襲性NHL、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、NOS(新規および低悪性度から形質転換)、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL)、T細胞/組織球豊富型大細胞型B細胞リンパ腫(TCHRBCL)、バーキットリンパ腫、マントル細胞リンパ腫(MCL)、および/または濾胞性リンパ腫(FL)、任意で濾胞性リンパ腫グレード3B(FL3B)であるNHLなどであるかまたはそれを含む、NHLである。いくつかの局面において、組換え受容体、例えばCARは、疾患もしくは状態に関連する、またはB細胞悪性腫瘍に関連する病変の環境の細胞において発現される抗原に特異的に結合する。いくつかの態様において受容体によって標的とされる抗原には、多数の公知のB細胞マーカーのいずれかなどの、B細胞悪性腫瘍に関連する抗原が含まれる。いくつかの態様において、受容体によって標的とされる抗原は、CD20、CD19、CD22、ROR1、CD45、CD21、CD5、CD33、Igκ、Igλ、CD79a、CD79b、またはCD30である。
【0359】
いくつかの態様において、疾患または状態は、多発性骨髄腫などの骨髄腫である。いくつかの局面において、組換え受容体、例えばCARは、疾患もしくは状態に関連する、または多発性骨髄腫に関連する病変の環境の細胞において発現される抗原に特異的に結合する。いくつかの態様において受容体によって標的とされる抗原には、GPRC5dまたはBCMAなどの、多発性骨髄腫に関連する抗原が含まれる。
【0360】
いくつかの態様において、抗原は、病原体特異的または病原体発現抗原である。いくつかの態様において、抗原は、ウイルス抗原(例えばHIV、HCV、HBVなど由来のウイルス抗原)、細菌抗原、および/または寄生虫抗原である。
【0361】
いくつかの態様において、免疫細胞は、T細胞受容体(TCR)または他の抗原結合受容体を発現する。いくつかの態様において、免疫細胞は、組換え受容体、例えばトランスジェニックTCRまたはキメラ抗原受容体(CAR)を発現する。いくつかの態様において、細胞は、対象に対して自己由来である。いくつかの態様において、細胞は、対象に対して同種異系である。
【0362】
養子細胞療法のための操作された細胞の投与のための方法は公知であり、提供される方法および組成物と関連して用いられてもよい。例えば、養子T細胞法は、例えば、Gruenberg et alに対する米国特許出願公開第2003/0170238号;Rosenbergに対する米国特許第4,690,915号;Rosenberg (2011) Nat Rev Clin Oncol. 8(10):577-85)に記載される。例えば、Themeli et al., (2013) Nat Biotechnol. 31(10): 928-933; Tsukahara et al., (2013) Biochem Biophys Res Commun 438(1): 84-9; Davila et al., (2013) PLoS ONE 8(4): e61338を参照。
【0363】
いくつかの態様において、細胞療法、例えば養子T細胞療法は、該細胞療法を受けることになっている対象からまたはそのような対象に由来する試料から、細胞が単離されているおよび/または別の方法で調製されている、自己由来移植によって行われる。よって、いくつかの局面において、細胞は処置を必要とする対象、例えば患者に由来し、細胞は、単離および処理後に、同じ対象に投与される。
【0364】
いくつかの態様において、細胞療法、例えば養子T細胞療法は、該細胞療法を受けることになっているまたは最終的に該細胞療法を受ける対象以外の対象、例えば第1の対象から、細胞が単離されているおよび/または別の方法で調製されている、同種異系移植によって行われる。そのような態様において、細胞は次に、同じ種の異なる対象、例えば第2の対象に投与される。いくつかの態様において、第1および第2の対象は遺伝的に同一である。いくつかの態様において、第1および第2の対象は遺伝的に類似する。いくつかの態様において、第2の対象は、第1の対象と同じHLAクラスまたはスーパータイプを発現する。
【0365】
ある態様において、細胞、または細胞のサブタイプの個々の集団は、対象の体重1キログラム当たり約100万~約1000億の細胞の範囲および/またはその量の細胞で、例えば、約100万~約500億の細胞(例えば、約500万の細胞、約2500万の細胞、約5億の細胞、約10億の細胞、約50億の細胞、約200億の細胞、約300億の細胞、約400億の細胞、もしくは前述の値のうちの任意の2つによって規定される範囲)、例えば、約1000万~約1000億の細胞(例えば、約2000万の細胞、約3000万の細胞、約4000万の細胞、約6000万の細胞、約7000万の細胞、約8000万の細胞、約9000万の細胞、約100億の細胞、約250億の細胞、約500億の細胞、約750億の細胞、約900億の細胞、もしくは前述の値のうちの任意の2つによって規定される範囲)、いくつかの場合において、約1億の細胞~約500億の細胞(例えば、約1億2000万の細胞、約2億5000万の細胞、約3億5000万の細胞、約4億5000万の細胞、約6億5000万の細胞、約8億の細胞、約9億の細胞、約30億の細胞、約300億の細胞、約450億の細胞)、または、これらの範囲の中にある任意の値でかつ/または対象の体重1キログラム当たり、対象へ投与される。投薬量は、疾患もしくは障害および/または患者および/または他の処置に特定の特質に依存して、変動し得る。
【0366】
いくつかの態様において、例えば、対象がヒトである場合、用量は、約5×108個より少ない総組換え受容体(例えば、CAR)発現細胞、T細胞、もしくは末梢血単核細胞(PBMC)を含む。いくつかの態様において、例えば、対象がヒトである場合、用量は、約1×108個より少ない総組換え受容体(例えば、CAR)発現細胞、T細胞、もしくは末梢血単核細胞(PBMC)、例えば、約1×106~1×108個の範囲のこのような細胞、例えば、2×106、5×106、1×107、5×107、または1×108個もしくはすべてのこのような細胞、または前述の値のいずれか2つの間の範囲を含む。
【0367】
いくつかの態様において、遺伝子操作された細胞の用量は、1×105~5×108個の総CAR発現T細胞、1×105~2.5×108個の総CAR発現T細胞、1×105~1×108個の総CAR発現T細胞、1×105~5×107個の総CAR発現T細胞、1×105~2.5×107個の総CAR発現T細胞、1×105~1×107個の総CAR発現T細胞、1×105~5×106個の総CAR発現T細胞、1×105~2.5×106個の総CAR発現T細胞、1×105~1×106個の総CAR発現T細胞、1×106~5×108個の総CAR発現T細胞、1×106~2.5×108個の総CAR発現T細胞、1×106~1×108個の総CAR発現T細胞、1×106~5×107個の総CAR発現T細胞、1×106~2.5×107個の総CAR発現T細胞、1×106~1×107個の総CAR発現T細胞、1×106~5×106個の総CAR発現T細胞、1×106~2.5×106個の総CAR発現T細胞、2.5×106~5×108個の総CAR発現T細胞、2.5×106~2.5×108個の総CAR発現T細胞、2.5×106~1×108個の総CAR発現T細胞、2.5×106~5×107個の総CAR発現T細胞、2.5×106~2.5×107個の総CAR発現T細胞、2.5×106~1×107個の総CAR発現T細胞、2.5×106~5×106個の総CAR発現T細胞、5×106~5×108個の総CAR発現T細胞、5×106~2.5×108個の総CAR発現T細胞、5×106~1×108個の総CAR発現T細胞、5×106~5×107個の総CAR発現T細胞、5×106~2.5×107個の総CAR発現T細胞、5×106~1×107個の総CAR発現T細胞、1×107~5×108個の総CAR発現T細胞、1×107~2.5×108個の総CAR発現T細胞、1×107~1×108個の総CAR発現T細胞、1×107~5×107個の総CAR発現T細胞、1×107~2.5×107個の総CAR発現T細胞、2.5×107~5×108個の総CAR発現T細胞、2.5×107~2.5×108個の総CAR発現T細胞、2.5×107~1×108個の総CAR発現T細胞、2.5×107~5×107個の総CAR発現T細胞、5×107~5×108個の総CAR発現T細胞、5×107~2.5×108個の総CAR発現T細胞、5×107~1×108個の総CAR発現T細胞、1×108~5×108個の総CAR発現T細胞、1×108~2.5×108個の総CAR発現T細胞、もしくは2.5×108 ~5×108個の総CAR発現T細胞、または概ねそれらの値の総CAR発現T細胞を含む。
【0368】
いくつかの態様において、遺伝子操作された細胞の用量は、少なくとも1×105個もしくは少なくとも約1×105個のCAR発現細胞、少なくとも2.5×105個もしくは少なくとも約2.5×105個のCAR発現細胞、少なくとも5×105個もしくは少なくとも約5×105個のCAR発現細胞、少なくとも1×106個もしくは少なくとも約1×106個のCAR発現細胞、少なくとも2.5×106個もしくは少なくとも約2.5×106個のCAR発現細胞、少なくとも5×106個もしくは少なくとも約5×106個のCAR発現細胞、少なくとも1×107個もしくは少なくとも約1×107個のCAR発現細胞、少なくとも2.5×107個もしくは少なくとも約2.5×107個のCAR発現細胞、少なくとも5×107個もしくは少なくとも約5×107個のCAR発現細胞、少なくとも1×108個もしくは少なくとも約1×108個のCAR発現細胞、少なくとも2.5×108個もしくは少なくとも約2.5×108個のCAR発現細胞、または少なくとも5×108個もしくは少なくとも約5×108個のCAR発現細胞を含む。
【0369】
いくつかの態様において、細胞療法は、それぞれの両端の値を含む、1×105~5×108個もしくは約1×105~5×108個の総組換え受容体発現細胞、総T細胞、もしくは総末梢血単核細胞(PBMC)、5×105~1×107個もしくは約5×105~1×107個の総組換え受容体発現細胞、総T細胞、もしくは総末梢血単核細胞(PBMC)、または1×106~1×107個もしくは約1×106~1×107個の総組換え受容体発現細胞、総T細胞、もしくは総末梢血単核細胞(PBMC)の細胞の数を含む用量の投与を含む。いくつかの態様において、細胞療法は、少なくとも1×105個または少なくとも約1×105個の総組換え受容体発現細胞、総T細胞、または総末梢血単核細胞(PBMC)、例えば、少なくとも1×106個または少なくとも1×106個、少なくとも1×107個または少なくとも約1×107個、少なくとも1×108個または少なくとも約1×108個のそのような細胞の細胞数を含む細胞の用量の投与を含む。いくつかの態様において、該数は、CD3+またはCD8+総数を基準にし、いくつかの場合には、組換え受容体発現(例えばCAR+)細胞も基準にする。いくつかの態様において、細胞療法は、それぞれ両端の値を含む、1×105~5×108個もしくは約1×105~5×108個のCD3+もしくはCD8+総T細胞またはCD3+もしくはCD8+組換え受容体発現細胞、5×105~1×107個もしくは約5×105~1×107個のCD3+もしくはCD8+総T細胞またはCD3+もしくはCD8+組換え受容体発現細胞、または1×106~1×107個もしくは約1×106~1×107個のCD3+もしくはCD8+総T細胞またはCD3+もしくはCD8+組換え受容体発現細胞の細胞数を含む用量の投与を含む。いくつかの態様において、細胞療法は、それぞれ両端の値を含む、1×105~5×108個もしくは約1×105~5×108個の総CD3+/CAR+もしくはCD8+/CAR+細胞、5×105~1×107個もしくは約5×105~1×107個の総CD3+/CAR+もしくはCD8+/CAR+細胞、または1×106~1×107個もしくは約1×106~1×107個の総CD3+/CAR+もしくはCD8+/CAR+細胞の細胞数を含む用量の投与を含む。
【0370】
いくつかの態様において、用量のT細胞は、CD4+T細胞、CD8+T細胞、またはCD4+およびCD8+T細胞を含む。
【0371】
いくつかの態様において、例えば、対象がヒトである場合、CD4+およびCD8+T細胞を含む用量で含む、用量のCD8+T細胞は、約1×106から5×108 個の間の総組換え受容体(例えば、CAR)発現CD8+細胞、例えば、約5×106~1×108個のそのような細胞の範囲で、例えば1×107、2.5×107、5×107、7.5×107、1×108、または5×108個の総数のそのような細胞、または前述の値の任意の2つ間の範囲で含む。いくつかの態様において、患者は、複数用量を投与され、用量のそれぞれまたは総用量は前述の値のいずれかの範囲内であり得る。いくつかの態様において、細胞の用量は、それぞれ両端の値を含む、1×107~0.75×108個または約1×107~0.75×108個の総組換え受容体発現CD8+ T細胞、1×107~2.5×107個の総組換え受容体発現CD8+ T細胞、1×107~0.75×108個または約1×107~0.75×108個の総組換え受容体発現CD8+ T細胞の投与を含む。いくつかの態様において、細胞の用量は、1×107、2.5×107、5×107 7.5×107、1×108、もしくは5×108個または約1×107、2.5×107、5×107 7.5×107、1×108、もしくは5×108個の総組換え受容体発現CD8+ T細胞の投与を含む。
【0372】
いくつかの態様において、細胞、例えば、組換え受容体発現T細胞の用量は、単一用量として対象へ投与されるか、または、2週間、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年、もしくはそれよりも長い期間内に1回のみ投与される。
【0373】
いくつかの局面において、薬学的組成物および製剤は、所与の用量またはその画分での投与のための細胞の数を含む単位用量形態組成物として提供される。いくつかの態様において、提供される方法は、細胞をインキュベートする(例えば、刺激する)他の方法と比較して、投薬まで予測可能な時間表で細胞を作製する。いくつかの場合には、投与のための細胞の用量は、インプット組成物におけるナイーブ様細胞の数に基づいて決定される。いくつかの態様において、より短い期間の刺激(例えば、いくつかの態様において、2日、3日、4日、5日、もしくは6日の、または約2日、約3日、約4日、約5日、もしくは約6日の、細胞と刺激物質とのインキュベーション時間)を含むプロセスを用いて製造された細胞を含む用量は、より長い期間の刺激を含むプロセスにおいて製造された細胞を含む用量よりも低い可能性がある。いくつかの態様において、より短い期間の刺激を含むプロセスを用いて製造された細胞を含む用量は、より長い期間の刺激を含むプロセスを用いて製造された細胞を含む用量と比較して、より少ない総細胞を含む可能性がある。
【0374】
いくつかの態様において、用量の細胞は、各々が用量のいくらかの細胞を含有する、第1および第2、任意でそれよりも多いような、複数の組成物または溶液の投与によって施与され得る。いくつかの局面において、各々が細胞の異なる集団および/またはサブタイプを含有する、複数の組成物は、任意で、ある一定の期間内に、別々にまたは独立して投与される。例えば、細胞の集団またはサブタイプは、それぞれ、CD8+およびCD4+ T細胞、ならびに/または、それぞれ、CD8+およびCD4+濃縮集団、例えば、CD4+および/もしくはCD8+ T細胞を含むことができ、各々は個々に、組換え受容体を発現するように遺伝子操作された細胞を含む。いくつかの態様において、用量の投与は、CD8+ T細胞の用量またはCD4+ T細胞の用量を含む第1の組成物の投与と、CD4+ T細胞およびCD8+ T細胞の用量の他方を含む第2の組成物の投与とを含む。
【0375】
いくつかの態様において、組成物または用量の投与、例えば、複数の細胞組成物の投与は、別々に細胞組成物の投与を含む。いくつかの局面において、別々の投与は、同時に、または逐次的に、任意の順序で実施される。いくつかの態様において、用量は、第1の組成物と第2の組成物とを含み、第1の組成物と第2の組成物とは、0~12時間の間隔をあけて、0~6時間の間隔をあけて、または0~2時間の間隔をあけて投与される。いくつかの態様において、第1の組成物の投与の開始と第2の組成物の投与の開始とは、2時間以下、1時間以下、または30分以下の間隔をあけて、15分以下、10分以下、または5分以下の間隔をあけて実施される。いくつかの態様において、第1の組成物の投与の開始および/または完了と第2の組成物の投与の完了および/または開始とは、2時間以下、1時間以下、または30分以下の間隔をあけて、15分以下、10分以下、または5分以下の間隔をあけて実施される。
【0376】
いくつかの組成物において、第1の組成物、例えば、用量の第1の組成物は、CD4+ T細胞を含む。いくつかの組成物において、第1の組成物、例えば、用量の第1の組成物は、CD8+ T細胞を含む。いくつかの態様において、第1の組成物は、第2の組成物の前に投与される。
【0377】
いくつかの態様において、細胞の用量または組成物は、組換え受容体を発現するCD4+細胞対組換え受容体を発現するCD8+細胞の、および/またはCD4+細胞対CD8+細胞の、定義された比または標的比を含み、この比は任意で、およそ1:1であるか、またはおよそ1:3~およそ3:1、例えばおよそ1:1である。いくつかの局面において、異なる細胞集団の標的比または所望の比(例えば、CD4+:CD8+比またはCAR+CD4+:CAR+CD8+比、例えば1:1)を有する組成物または用量の投与は、集団の一方を含有する細胞組成物の投与、および次いで集団の他方を含む別々の細胞組成物の投与を含み、ここで、投与は、標的比もしくは所望の比でまたはおよそ標的比もしくは所望の比で行われる。いくつかの局面において、定義された比での細胞の用量または組成物の投与は、T細胞療法の増大、持続性、および/または抗腫瘍活性の改善をもたらす。
【0378】
いくつかの態様において、対象は、細胞の、複数の用量、例えば、2つ以上の用量または複数の連続用量を受ける。いくつかの態様において、2つの用量が対象へ投与される。いくつかの態様において、対象は連続用量を受け、例えば、第2の用量は、第1の用量からおよそ4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、または21日後に投与される。いくつかの態様において、複数の連続用量が、1つまたは複数の追加の用量が連続用量の投与後に投与されるように、第1の用量後に投与される。いくつかの局面において、追加の用量において対象へ投与される細胞の数は、第1の用量および/または連続用量と同じであるかまたは類似している。いくつかの態様において、1つまたは複数の追加の用量は、先の用量よりも大きい。
【0379】
いくつかの局面において、第1の用量および/または連続用量のサイズは、1つまたは複数の判断基準、例えば、前処置、例えば、化学療法に対する対象の応答、対象における疾患負荷、例えば、腫瘍量、容積、サイズ、もしくは程度、転移の度合いもしくはタイプ、ステージ、ならびに/または対象が毒性アウトカム、例えば、CRS、マクロファージ活性化症候群、腫瘍溶解症候群、神経毒性を発生する可能性もしくは発生率、ならびに/または投与されている細胞および/もしくは組換え受容体に対する宿主免疫応答に基づいて決定される。
【0380】
いくつかの局面において、第1の用量の投与と連続用量の投与との間の時間は、約9~約35日、約14~約28日、または15~27日である。いくつかの態様において、連続用量の投与は、第1の用量の投与後約14日よりも後かつ約28日未満の時点である。いくつかの局面において、第1の用量と連続用量との間の時間は、約21日である。いくつかの態様において、1つまたは複数の追加の用量、例えば、連続用量は、連続用量の投与後に投与される。いくつかの局面において、1つまたは複数の追加の連続用量は、先の用量の投与後少なくとも約14日かつ約28日未満で投与される。いくつかの態様において、追加の用量は、先の用量後約14日未満で、例えば、先の用量後4、5、6、7、8、9、10、11、12、または13日で投与される。いくつかの態様において、いかなる用量も、先の用量後約14日未満では投与されず、かつ/またはいかなる用量も、先の用量後約28日よりも後には投与されない。
【0381】
いくつかの態様において、細胞、例えば、組換え受容体発現細胞の用量は、T細胞の第1の用量とT細胞の連続用量とを含む、2つの用量(例えば、2倍の用量)を含み、ここで、第1の用量および第2の用量の一方または両方は、T細胞の分割用量の投与を含む。
【0382】
いくつかの態様において、細胞は、さらなる併用処置の一部として、例えば、別の治療的介入、例えば抗体または操作された細胞または受容体または作用物質、例えば細胞傷害剤または治療剤と同時にまたは逐次的に、任意の順序で投与される。例えば、いくつかの態様において、抗がん剤または免疫調節剤を、組換え受容体、例えばCARを発現する操作された細胞での養子細胞療法との併用療法において用いることができる。いくつかの状況において、細胞は、細胞集団がPの1つまたは複数の追加の治療剤の効果を増強するか、またはその逆であるように、十分に近い時間で、別の療法と同時投与される。いくつかの態様において、細胞は、1つまたは複数の追加の治療剤の前に投与される。いくつかの態様において、細胞は、1つまたは複数の追加の治療剤の後に投与される。
【0383】
いくつかの態様において、1つまたは複数の追加の治療剤は、例えば持続性を高めるための、IL-2などのサイトカインを含む。いくつかの態様において、方法は、化学療法剤の投与を含む。いくつかの態様において、1つまたは複数の追加の治療剤は、例えば操作された細胞の投与の開始の前またはそれと同時の、1つまたは複数のリンパ枯渇療法を含む。いくつかの態様において、リンパ枯渇療法は、シクロホスファミドなどのホスファミドの投与を含む。いくつかの態様において、リンパ枯渇療法は、フルダラビンの投与を含むことができる。いくつかの態様において、フルダラビンは、リンパ枯渇療法において除外される。いくつかの態様において、リンパ枯渇療法は施与されない。
【0384】
いくつかの態様において、方法は、プレコンディショニング剤、例えばリンパ枯渇剤または化学療法剤、例えばシクロホスファミド、フルダラビン、またはそれらの組み合わせを、細胞療法の開始前の対象へ投与する工程を含む。例えば、対象は、細胞療法の開始の少なくとも2日前に、例えば少なくとも3、4、5、6、または7日前に、プレコンディショニング剤を投与されてもよい。いくつかの態様において、対象は、細胞療法の開始のせいぜい7日前に、例えばせいぜい6、5、4、3、または2日前に、プレコンディショニング剤を投与される。
【0385】
いくつかの態様において、対象は、20 mg/kg~100 mg/kgまたは約20 mg/kg~100 mg/kg、例えば40 mg/kg~80 mg/kgまたは約40 mg/kg~80 mg/kgの用量で、シクロホスファミドでプレコンディショニングされる。いくつかの局面において、対象は、60 mg/kgまたは約60 mg/kgのシクロホスファミドでプレコンディショニングされる。いくつかの態様において、シクロホスファミドは、単一用量で投与することができ、または、例えば毎日、1日おき、もしくは3日毎に与えられる、複数の用量で投与することができる。いくつかの態様において、シクロホスファミドは、1日または2日間、1日に1回投与される。いくつかの態様において、リンパ枯渇剤がシクロホスファミドを含む場合、対象は、両端の値を含む、100 mg/m2~500 mg/m2または約100 mg/m2~500 mg/m2、例えば200 mg/m2~400 mg/m2もしくは約200 mg/m2~400 mg/m2、または250 mg/m2~350 mg/m2もしくは約250 mg/m2~350 mg/m2の用量で、シクロホスファミドを投与される。いくつかの例において、対象は、約300 mg/m2のシクロホスファミドを投与される。いくつかの態様において、シクロホスファミドは、単一用量で投与することができ、または、例えば毎日、1日おき、もしくは3日毎に与えられる、複数の用量で投与することができる。いくつかの態様において、シクロホスファミドは、毎日、例えば1~5日間、例えば、3~5日間投与される。いくつかの例において、対象は、細胞療法の開始前に3日間毎日、約300 mg/m2のシクロホスファミドを投与される。
【0386】
いくつかの態様において、リンパ枯渇剤がフルダラビンを含む場合、対象は、両端の値を含む、1 mg/m2~100 mg/m2または約1 mg/m2~100 mg/m2、例えば10 mg/m2~75 mg/m2もしくは約10 mg/m2~75 mg/m2、15 mg/m2~50 mg/m2もしくは約15 mg/m2~50 mg/m2、20 mg/m2~40 mg/m2もしくは約20 mg/m2~40 mg/m2、または24 mg/m2~35 mg/m2もしくは約24 mg/m2~35 mg/m2の用量で、フルダラビンを投与される。いくつかの例において、対象は、約30 mg/m2のフルダラビンを投与される。いくつかの態様において、フルダラビンは、単一用量で投与することができ、または、例えば毎日、1日おき、もしくは3日毎に与えられる、複数の用量で投与することができる。いくつかの態様において、フルダラビンは、毎日、例えば1~5日間、例えば、3~5日間投与される。いくつかの例において、対象は、細胞療法の開始前に3日間毎日、約30 mg/m2のフルダラビンを投与される。
【0387】
いくつかの態様において、リンパ枯渇剤は、作用物質の組み合わせ、例えばシクロホスファミドおよびフルダラビンの組み合わせを含む。したがって、作用物質の組み合わせは、上記のものなどの任意の用量または投与スケジュールのシクロホスファミド、および、上記のものなどの任意の用量または投与スケジュールのフルダラビンを含んでもよい。例えば、いくつかの局面において、対象は、最初のまたはその後の用量の前に、60 mg/kg(約2 g/m2)のシクロホスファミド、および3~5用量の25 mg/m2のフルダラビンを投与される。
【0388】
細胞は、任意の適している手段によって投与することができる。細胞は、腫瘍負荷の低減などの治療効果を達成するための投薬レジメンにおいて投与される。投薬および投与は、T細胞療法の投与の開始の前に、その後に、および/またはそれと同時に投与することができる、免疫調節化合物の投与のスケジュールに一部依存し得る。T細胞療法の様々な投薬スケジュールには、様々な時点にわたる単一または複数の投与、ボーラス投与、およびパルス注入が含まれるが、それらに限定されない。
【0389】
IV. キットおよび製造物品
また、養子細胞療法用の提供される方法に従う、対象への細胞の投与のため、ならびに細胞および組成物、例えば記載されるようなインプット組成物またはアウトプット組成物の保管および投与のための製造物品、例えばキットおよびデバイスも提供される。
【0390】
いくつかの態様において、上記の組成物および使用説明書を含有する、キットが提供される。いくつかの態様において、本明細書に記載される方法のいずれかに従って刺激された、操作された細胞のいずれかの治療的有効量を含む組成物を含む、キットが提供される。いくつかの態様において、本明細書に記載される操作された細胞のいずれかの治療的有効量を含む組成物、および疾患または状態を処置するために対象へ投与するための説明書を含む、キットが提供される。いくつかの局面において、説明書は、刺激試薬によって特異的に認識される抗原結合ドメインを含有する抗原受容体を発現する細胞を、細胞の集団から選択するかまたは濃縮するためである。いくつかの場合には、説明書は、細胞の集団から、刺激試薬によって特異的に認識される抗原結合ドメインを含有する抗原受容体を発現する細胞を増大させるためである。
【0391】
いくつかの態様において、キットは、疾患または状態を処置するための併用療法において、本明細書に記載される方法を用いて刺激された操作された細胞を、疾患または状態を処置するために対象へ投与するための説明書をさらに含有する。いくつかの例において、キットは、治療剤をさらに含有する。いくつかの態様において、治療剤は、免疫調節剤、細胞傷害剤、抗がん剤、または放射線治療薬である。
【0392】
また、製造物品も、本明細書において提供される。いくつかの態様において、製造物品は、本明細書に提供される操作された細胞、組成物、ポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドのセット、ポリヌクレオチドのセットを含有する組成物、ベクター、ベクターのセット、ベクターのセットを含有する組成物、またはキットのいずれかを含む。
【0393】
製造物品またはキットは、1つまたは複数の容器、典型的には複数の容器、包装材料、ならびに、概して対象への細胞の投与のための説明書を含む、1つもしくは複数の容器および/または包装上のまたはそれに付随したラベルまたは添付文書を含む。キットおよび製造物品は、容器と、容器上のまたはそれに付随したラベルまたは添付文書を含んでもよい。
【0394】
いくつかの態様において、容器は、投与されるべき細胞、例えば、その1つまたは複数の単位用量を含有する。製造物品は、典型的には、各々が細胞の単一単位用量を含有する、複数の容器を含む。単位用量は、第1の用量において対象へ投与されるべき細胞の量もしくは数、または、第1または任意の1つもしくは複数の連続用量において投与されるべき細胞の2倍の数(またはそれよりも多く)であってもよい。単位用量は、投与法に関連して対象へ投与されるであろう細胞の最低用量または最低可能用量であってもよい。いくつかの態様において、単位用量は、本明細書における方法に従って、特定の疾患もしくは状態を有する任意の対象または任意の対象へ単一用量で投与されるであろう、細胞の最小数または細胞の数または参照単位の最小数または標的参照単位または標的範囲内の参照単位である。
【0395】
好適な容器としては、例えば、ボトル、バイアル、注射器、IV溶液バッグなどが挙げられる。容器は、ガラスまたはプラスチックのような様々な材料から形成され得る。容器は、いくつかの態様において、単独で存在するか、または状態を処置、阻止および/もしくは診断するために有効な別の組成物と組み合わされている、組成物を保持する。いくつかの態様において、容器は無菌のアクセスポートを有する。例示的な容器としては、注射用に針で穴を開けることができる栓が付いたものを含む、静脈内溶液バッグ、バイアル、または経口投与される薬剤用のボトルもしくはバイアルが挙げられる。ラベルまたは添付文書は、組成物が疾患または状態を処置するために使用されることを示し得る。製造物品は、特定の状態を処置するために組成物が使用され得ることを示す添付文書をさらに含み得る。代わりに、または加えて、製造物品は、薬学的に許容される緩衝液を含む別のまたは同じ容器をさらに含み得る。製造物品は、他の緩衝液、希釈剤、フィルター、注射針および/または注射器のような他の材料をさらに含み得る。
【0396】
特定の態様において、容器は、バッグ、例えば、フレキシブルバッグ、例えば対象への細胞の注入に適しているもの、例えば、フレキシブルプラスチックまたはPVCバッグ、および/またはIV溶液バッグである。いくつかの態様におけるバッグは、細胞および組成物の無菌溶液および送達を提供するために、密封可能であり、かつ/または滅菌することができる。いくつかの態様において、容器、例えば、バッグは、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、もしくは1000 mL容量、または約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、もしくは1000 mL容量、または少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、もしくは1000 mL容量、または少なくとも約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、もしくは1000 mL容量、例えば、それぞれ両端の値を含む、10もしくは約10~100もしくは約100、または10もしくは約10~500もしくは約500 mL容量の容量を有する。いくつかの態様において、溶液、例えばバッグは、様々な温度、例えば、例えば-20℃、-80℃、-120℃、135℃よりも下であるか、または約-20℃、-80℃、-120℃、135℃よりも下であるか、または-20℃、-80℃、-120℃、135℃であるか、または約-20℃、-80℃、-120℃、135℃である冷たい温度、ならびに/または凍結保存に適している温度、ならびに/または、例えば、処置の直前に、例えば対象の場所もしくは処置の場所、例えばベッドサイドでの解凍を可能にする、細胞を解凍するのに適している温度および体温、例えば37℃または約37℃などの他の温度のうちの1つまたは複数で安定である、かつ/または細胞の安定な保管および/もしくは維持を提供する材料であり、かつ/またはそれから作られている。
【0397】
容器は、ガラスまたはプラスチックなどの、様々な材料から形成されてもよい。いくつかの態様において、容器は、例えば、例えば静脈内注入もしくは他の注入のための1つもしくは複数のチューブへのチューブもしくはカニューレの接続のため、ならびに/または、他の容器、例えば細胞培養および/もしくは保管バッグまたは他の容器へのおよびそれからの移動の目的の接続のための、1つまたは複数のポート、例えば、無菌のアクセスポートを有する。例示的な容器には、注入バッグ、静脈内溶液バッグ、バイアルが、注射用の針によって突き刺し可能なストッパーを有するものを含めて、含まれる。
【0398】
製造物品は、1つまたは複数の識別情報および/または使用説明を伴う添付文書またはラベルをさらに含んでもよい。いくつかの態様において、情報または説明は、内容物が、特定の状態または疾患を処置することができるか、または処置するために用いられるべきであることを示し、かつ/またはそのための説明を提供する。ラベルまたは添付文書は、製造物品の内容物が、疾患または状態を処置するために用いられるべきであることを示し得る。いくつかの態様において、ラベルまたは添付文書は、例えば、提供される方法の態様のうちのいずれかに従って、第1のおよび1つまたは複数の連続用量の細胞の投与を含む方法を介して、対象、例えば、細胞が由来している対象を処置するための説明を提供する。いくつかの態様において、説明書は、第1の用量における、1つの単位用量の、例えば、製造物品中の単一の個々の容器の内容物の投与、ならびにその後続く、指定された時点での、または指定された時間枠内での、および/または対象における1つもしくは複数の要因もしくはアウトカムの存在もしくは非存在もしくは量もしくは程度の検出後の、1つまたは複数の連続用量を指定する。
【0399】
いくつかの態様において、説明書は、単位用量の1つまたは複数を対象へ投与することを指定する。
【0400】
いくつかの態様において、ラベルまたは添付文書または包装は、細胞が由来し、かつ/または投与されるべきである対象の特異的アイデンティティを示す識別名を含む。自己由来移入の場合には、細胞が由来する対象のアイデンティティは、細胞が投与されるべき対象のアイデンティティと同じである。したがって、識別情報は、細胞が、特定の患者、例えば細胞が元々由来していた患者に投与されるべきことを指定し得る。そのような情報は、バーコードもしくは他のコード化識別名の形態で包装材料および/もしくはラベルに存在し得、または対象の名前および/もしくは他の識別特性を示し得る。
【0401】
いくつかの態様における製造物品は、1つまたは複数の、典型的には複数の、細胞を含む組成物、例えば、その個々の単位用量形態を含有する容器を含み、かつ、例えば、細胞との組み合わせで、例えば、同時にまたは逐次的に任意の順序で投与されることになる、細胞傷害剤またはそうではない治療剤などのさらなる作用物質を含む組成物がその中に含有された1つまたは複数の追加の容器をさらに含む。代替的にまたは追加的に、製造物品は、薬学的に許容される緩衝液を含む別のまたは同じ容器をさらに含んでもよい。製造物品は、他の緩衝液、希釈剤、フィルター、チューブ、針、および/または注射器などの他の材料をさらに含んでもよい。
【0402】
「添付文書」という用語は、そのような治療用産物の使用に関わる適応症、用法、投薬量、投与、併用療法、禁忌、および/または警告についての情報を含有する、治療用産物の商業的包装に慣例上含まれる説明書を指すように用いられる。
【0403】
V.定義
別途定義される場合を除き、本明細書において使用するすべての専門用語、表記法、ならびに他の技術用語および科学用語または用語法は、特許請求の範囲に記載された対象が関係する技術分野の当業者によって通常理解されるものと同じ意味を有することが意図される。いくつかの場合において、通常理解されている意味を有する用語が、明快さのために、かつ/または即座の参照のために本明細書において定義されており、そのような定義が本明細書に含まれることは、当技術分野において一般に理解されていることを超える実質的な違いを表すように必ずしも解釈されるべきではない。
【0404】
本明細書において用いられる「対象」は、哺乳動物、例えば、ヒトまたは他の動物などであり、典型的にはヒトである。いくつかの態様において、免疫調節ポリペプチド、操作された細胞、または組成物が投与される対象、例えば患者は、哺乳動物であり、典型的には、ヒトなどの霊長類である。いくつかの態様において、霊長類はサルまたは類人猿である。対象は雄性または雌性であることが可能であり、乳幼児期、若年期、青年期、成体期および老齢期の対象を含む、任意の適した年齢であることが可能である。いくつかの態様において、対象は霊長類以外の哺乳動物であり、例えば、齧歯類などである。
【0405】
本明細書において用いられる「処置」(およびその文法上の変形、例えば、「処置する(treat)」または「処置する(treating)」など)は、疾患もしくは状態もしくは障害、またはそれに付随する症状、有害な作用もしくはアウトカム、または表現型の完全または部分的な改善または軽減を指す。処置の望ましい作用には、それらに限定されないが、疾患の発生または再発を阻止すること、症状の軽減、疾患の任意の直接的なもしくは間接的な病理学的結果の軽減、転移を阻止すること、疾患進行の速度を低下させること、疾患状態の改善または緩和、ならびに寛解または改善された予後が含まれる。これらの用語は、疾患を完全に治癒させること、または任意の症状を完全に排除すること、またはすべての症状もしくはアウトカムに対する作用を暗示するものではない。
【0406】
本明細書において用いられる「疾患の発生を遅らせる」とは、疾患(がんなど)の発生を先延ばしすること、妨げること、遅くすること、遅延させること、一定に保つこと、抑制すること、および/または延期させることを意味する。この遅れは、疾患歴および/または処置される個体に応じて、様々な長さの時間の遅れであり得る。明らかであるように、十分なまたは有意な遅れは、個体が疾患を発生しないという点で、実際には阻止を包含し得る。例えば、後期段階のがん、例えば転移の発生が遅らされる可能性がある。
【0407】
本明細書において用いられる「阻止する」は、疾患に対する素因を有するかもしれないが、該疾患が未だ診断されていない対象における該疾患の発生または再発に関して予防を提供することを含む。いくつかの態様において、提供される細胞および組成物は、疾患の発生を遅らせるために、または疾患の進行を遅くするために用いられる。
【0408】
本明細書において用いられる、機能または活性を「抑制する」ことは、対象となる条件またはパラメータを除いて他の点では同じ条件と比較したとき、または代替として別の条件と比較して、この機能または活性を低下させることである。例えば、腫瘍成長を抑制する細胞は、該細胞の非存在下での腫瘍の成長速度と比較して腫瘍の成長速度を低下させる。
【0409】
投与の文脈において、作用物質、例えば、薬学的製剤、細胞、または組成物の「有効量」は、治療結果または予防結果などの所望の結果を達成するために、必要な投与量/量および期間での、有効な量を指す。
【0410】
作用物質、例えば、薬学的製剤または操作された細胞の「治療的有効量」は、例えば疾患、状態、または障害の処置のための、所望の治療結果、および/または処置の薬物動態学的または薬力学的な作用を達成するために、必要な投与量および期間での、有効な量を指す。治療的有効量は、対象の疾患状態、年齢、性別および体重ならびに投与される免疫調節ポリペプチドまたは操作された細胞などの因子に応じて変動する場合がある。いくつかの態様において、提供される方法は、免疫調節ポリペプチド、操作された細胞、または組成物を有効量で、例えば、治療的有効量で投与することを伴う。
【0411】
「予防的有効量」は、所望の予防結果を達成するために、必要な投与量および期間での、有効な量を指す。必ずしもそうではないが典型的には、予防的用量は、疾患に先立ってまたは疾患のより初期段階に対象において用いられることから、予防的有効量は治療的有効量より少ないであろう。
【0412】
「薬学的製剤」という用語は、その中に含まれる活性成分の生物学的活性を有効にするような形態であり、かつ製剤が投与される対象に対して許容できないほどの毒性を有するさらなる構成成分を含まない調製物を指す。
【0413】
「薬学的に許容される担体」は、対象に対して非毒性である、活性成分以外の薬学的製剤中の成分を指す。薬学的に許容される担体には、これらに限定されないが、緩衝剤、賦形剤、安定化剤、または保存剤が含まれる。
【0414】
本明細書において用いられる場合、ヌクレオチド位置またはアミノ酸位置が、配列表に示されるものなど、開示された配列におけるヌクレオチド位置またはアミノ酸位置「に対応する」という記載は、標準的なアライメントアルゴリズム、例えばGAPアルゴリズムなどを用いて同一性を最大となるように開示された配列とのアライメント時に特定されたヌクレオチド位置またはアミノ酸位置を指す。配列をアライメントすることによって、例えば、保存アミノ酸残基および同一のアミノ酸残基をガイドとして用いて、対応する残基を特定することができる。一般に、対応する位置を特定するために、アミノ酸の配列は、最も高水準の一致が得られるようにアライメントされる(例えば、Computational Molecular Biology, Lesk, A.M., ed., Oxford University Press, New York, 1988; Biocomputing: Informatics and Genome Projects, Smith, D.W., ed., Academic Press, New York, 1993; Computer Analysis of Sequence Data, Part I, Griffin, A.M., and Griffin, H.G., eds., Humana Press, New.Jersey, 1994; Sequence Analysis in Molecular Biology, von Heinje, G., Academic Press, 1987;およびSequence Analysis Primer, Gribskov, M. and Devereux, J., eds., M Stockton Press, New York, 1991; Carrillo et al. (1988) SIAM J Applied Math 48: 1073を参照)。
【0415】
本明細書において用いられる単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、文脈がそうでないことを明確に示す場合を除き、複数の指示対象を包含する。例えば、「1つの(a)」または「1つの(an)」は、「少なくとも1つ」または「1つまたは複数」を意味する。本明細書において記載される局面および変化形は、局面および変化形「からなる」ことおよび/またはそれら「から本質的になる」ことを包含することが理解される。
【0416】
本開示の全体を通して、特許請求の範囲に記載される対象の種々の局面が範囲形式で示される。範囲形式での記載は単に便宜および簡潔性のためであり、特許請求の範囲に記載される対象の範囲に関して柔軟性のない限定として解釈されるべきではないことが理解されるべきである。したがって、範囲の記載は、可能性のある部分範囲ならびにその範囲内にある個々の数値をすべて具体的に開示していると見なされるべきである。例えば、値の範囲が与えられる場合、その範囲の上限と下限との間にある各介在する値(intervening value)、およびその表記された範囲における任意の他の表記された値または介在する値が、特許請求の範囲に記載される対象の範囲内に包含されることが理解される。これらのより小さい範囲の上限および下限は、このより小さい範囲に独立して含まれてもよく、表記された範囲における任意の特に除外される限界に従うことを条件に、特許請求の範囲に記載される対象の範囲内にも包含される。表記された範囲が限界点の一方または両方を含む場合、そのような含まれた限界点のどちらかまたは両方を除外する範囲もまた、特許請求の範囲に記載される対象において含まれる。このことは、範囲の広さにかかわらず、当てはまる。
【0417】
本明細書において用いられる用語「約」は、この技術分野における当業者には容易に理解されるそれぞれの値についての通常の誤差範囲を指す。本明細書における「約」値またはパラメータへの言及には、その値またはパラメータ自体に関する態様が含まれる(および記載される)。例えば、「約X」に言及する記載は、「X」の記載を含む。ある特定の態様において、「約」表記された値は、表記された値の±25%、±20%、±10%、±5%、±1%、±0.1%、または±0.01%以内の値を指す。
【0418】
本明細書において用いられる場合、組成物は、細胞を含む、2種類以上の産物、物質、または化合物の任意の混合物を指す。組成物は、溶液、懸濁液、液体、粉末、ペースト、水性、非水性、またはそれらの任意の組み合わせであってもよい。
【0419】
本明細書において用いられる場合、細胞または細胞の集団が特定のマーカーについて「陽性」であるという記述は、特定のマーカー、典型的には表面マーカーの細胞上でのまたは細胞中での検出可能な存在を指す。表面マーカーを指す場合、この用語は、フローサイトメトリーによって、例えば、マーカーに特異的に結合する抗体で染色し、該抗体を検出することによって検出されるような表面発現の存在を指し、ここで、染色は、アイソタイプが一致する対照を用いてそれ以外は同一条件下で同じ手法を実施して検出される染色を実質的に上回るレベルで、および/またはマーカーについて陽性であることが公知の細胞のものと実質的に同様のレベルで、および/またはマーカーについて陰性であることが公知の細胞のものよりも実質的に高いレベルで、フローサイトメトリーによって検出可能である。
【0420】
本明細書において用いられる場合、細胞または細胞の集団が特定のマーカーについて「陰性」であるという記述は、特定のマーカー、典型的には表面マーカーの細胞上でのまたは細胞中での実質的に検出可能な存在の非存在を指す。表面マーカーを指す場合、この用語は、フローサイトメトリーによって、例えば、マーカーに特異的に結合する抗体で染色し、該抗体を検出することによって検出されるような表面発現の非存在を指し、ここで、染色は、アイソタイプが一致する対照を用いてそれ以外は同一条件下で同じ手法を実施して検出される染色を実質的に上回るレベルでフローサイトメトリーによって検出されず、および/またはマーカーについて陽性であることが公知の細胞のものより実質的に低いレベル、および/またはマーカーについて陰性であることが公知の細胞のものと比較して実質的に同様のレベルである。
【0421】
「ベクター」という用語は、本明細書において用いられる場合、それに連結される別の核酸を増やすことができる核酸分子を指す。この用語には、自己複製性核酸構造物としてのベクター、ならびに導入されている宿主細胞のゲノム中に組み込まれるベクターが含まれる。ある特定のベクターは、それに機能的に連結される核酸の発現を導くことができる。そのようなベクターは、本明細書において「発現ベクター」と呼ばれる。
【0422】
「宿主細胞」、「宿主細胞株」、および「宿主細胞培養物」という用語は、互換的に用いられ、その中に外因性核酸が導入されている細胞を、そのような細胞の子孫を含めて指す。宿主細胞には、「形質転換体」および「形質転換細胞」が含まれ、これらには、初代形質転換細胞、および継代の数に関係なくそれらに由来する子孫が含まれる。子孫は、核酸の内容において親細胞と完全に同一でなくてもよく、変異を含有していてもよい。最初に形質転換された細胞においてスクリーニングされたまたは選択されたのと同じ機能または生物学的活性を有する変異子孫が、本明細書に含まれる。
【0423】
VI. 例示的な態様
例示的な態様には以下がある。
1. (a) 2~6日間、刺激条件下で、ナイーブ様T細胞および非ナイーブ様T細胞を含むT細胞の集団を含むインプット組成物をインキュベートする工程であって、該刺激条件が、TCR複合体の1つもしくは複数の構成要素の1つもしくは複数の細胞内シグナル伝達ドメインおよび/または1つもしくは複数の共刺激分子の1つもしくは複数の細胞内シグナル伝達ドメインを活性化することができる刺激試薬を含み、それによって、刺激された組成物を生成する、工程;ならびに
(b) 遺伝子操作された組換え受容体をコードする核酸を、前記刺激されたT細胞の組成物中に導入する工程であって、該導入する工程が、前記インキュベートする工程の少なくとも一部分の最中に実施される、工程
を含む、T細胞を遺伝子操作するための方法。
2. (a) 2~6日間、刺激条件下で、ナイーブ様T細胞および非ナイーブ様T細胞を含むT細胞の集団を含むインプット組成物をインキュベートし、それによって、刺激された組成物を生成する、インキュベートする工程;および
(b) 遺伝子操作された組換え受容体をコードする核酸を、前記刺激されたT細胞の組成物中に導入する工程であって、該導入する工程が、前記インキュベートする工程の少なくとも一部分の最中に実施される、工程
を含む、T細胞を遺伝子操作するための方法。
3. 前記刺激条件が、インプット組成物を、TCR複合体の1つもしくは複数の構成要素の1つもしくは複数の細胞内シグナル伝達ドメインおよび/または1つもしくは複数の共刺激分子の1つもしくは複数の細胞内シグナル伝達ドメインを活性化することができる刺激試薬とインキュベートすることを含む、態様2の方法。
4. 2~6日間、刺激条件下で、ナイーブ様T細胞および非ナイーブ様T細胞を含むT細胞の集団を含むインプット組成物をインキュベートする工程を含む、T細胞を遺伝子操作するための方法であって、
該刺激条件が、TCR複合体の1つもしくは複数の構成要素の1つもしくは複数の細胞内シグナル伝達ドメインおよび/または1つもしくは複数の共刺激分子の1つもしくは複数の細胞内シグナル伝達ドメインを活性化することができる刺激試薬を含み;かつ
刺激条件下でインプット組成物をインキュベートする工程が、遺伝子操作された組換え受容体をコードする核酸を導入する工程の前に、その最中に、および/またはその後に行われる、方法。
5. 前記インキュベートする工程が、少なくとも3日間実施される、態様1~4のいずれかの方法。
6. 前記インキュベートする工程が、少なくとも4日間実施される、態様1~4のいずれかの方法。
7. 前記インキュベートする工程が、少なくとも5日間実施される、態様1~4のいずれかの方法。
8. 前記インキュベートする工程が、少なくとも6日間実施される、態様1~4のいずれかの方法。
9. (a) 刺激条件下で、培養開始量のナイーブ様T細胞またはそのCD8+ T細胞サブセットを含むT細胞を含むインプット組成物をインキュベートし、それによって、刺激された組成物を生じさせる、インキュベートする工程;および
(b) 遺伝子操作された組換え受容体をコードする核酸を、前記刺激された細胞組成物中に導入する工程
を含む、T細胞を刺激するための方法であって、それによって、遺伝子操作された組換え受容体を発現するT細胞を含むアウトプット組成物を生成する、方法。
10. 前記T細胞が、ナイーブ様T細胞および非ナイーブ様T細胞を含み、前記刺激条件が、前記刺激された組成物において非ナイーブ様T細胞と比較してナイーブ様T細胞の増大または増殖を優先的に誘導する、態様9の方法。
11. 前記導入する工程が、前記インキュベートする工程の少なくとも一部分の最中に実施されるか、または前記インキュベートする工程の後に実施される、態様9または態様10の方法。
12. 前記培養開始量のナイーブ様T細胞またはそのCD8+ T細胞サブセットが、0.1×108~5×108個または約0.1×108~5×108個、0.1×108~4×108個または約0.1×108~4×108個、0.1×108~2×108個または約0.1×108~2×108個、0.1×108~1×108個または約0.1×108~1×108個、1×108~5×108 個または約1×108~5×108 個、1×108~4×108個または約1×108~4×108個、1×108~2×108個または約1×108~2×108個、2×108~5×108個または約2×108~5×108個、2×108~4×108個または約2×108~4×108個のナイーブ様T細胞またはそのCD8+ T細胞サブセットである、態様9~11のいずれかの方法。
13. 前記培養開始量のナイーブ様T細胞またはそのCD8+ T細胞サブセットが、少なくとも0.5×108個、0.75×108個、1×108個、1.5×108個、2×108個、もしくは4×108個のナイーブ様T細胞もしくはそのCD8+ T細胞サブセットであるか、または少なくとも約0.5×108個、0.75×108個、1×108個、1.5×108個、2×108個、もしくは4×108個のナイーブ様T細胞もしくはそのCD8+ T細胞サブセットであるか、または0.5×108個、0.75×108個、1×108個、1.5×108個、2×108個、もしくは4×108個のナイーブ様T細胞もしくはそのCD8+ T細胞サブセットであるか、または約0.5×108個、0.75×108個、1×108個、1.5×108個、2×108個、もしくは4×108個のナイーブ様T細胞もしくはそのCD8+ T細胞サブセットである、態様9~12のいずれかの方法。
14. 前記培養開始量のナイーブ様T細胞またはそのCD8+ T細胞サブセットが、少なくとも2×108個のナイーブ様T細胞もしくはそのCD8+ T細胞サブセットであるか、または少なくとも約2×108個のナイーブ様T細胞もしくはそのCD8+ T細胞サブセットであるか、または2×108個のナイーブ様T細胞もしくはそのCD8+ T細胞サブセットであるか、または約2×108個のナイーブ様T細胞もしくはそのCD8+ T細胞サブセットである、態様9~13のいずれかの方法。
15. 刺激条件下で、1×108~4×108個または約1×108~4×108個のナイーブ様T細胞またはそのCD8+ T細胞サブセットである培養開始量のナイーブ様T細胞またはそのCD8+ T細胞サブセットを含むT細胞を含むインプット組成物をインキュベートし、それによって、刺激された組成物を生じさせる、インキュベートする工程
を含む、T細胞を刺激するための方法。
16. 前記T細胞が、ナイーブ様T細胞および非ナイーブ様T細胞を含み、前記刺激条件が、前記刺激された組成物において非ナイーブ様T細胞と比較してナイーブ様T細胞の増大または増殖を優先的に誘導する、態様15の方法。
17. 前記培養開始量のナイーブ様T細胞またはそのCD8+ T細胞サブセットが、少なくとも2×108個のナイーブ様T細胞もしくはそのCD8+ T細胞サブセットであるか、または少なくとも約2×108個のナイーブ様T細胞もしくはそのCD8+ T細胞サブセットであるか、または2×108個のナイーブ様T細胞もしくはそのCD8+ T細胞サブセットであるか、または約2×108個のナイーブ様T細胞もしくはそのCD8+ T細胞サブセットである、態様15または態様16の方法。
18. 前記培養開始量が、ナイーブ様CD8+ T細胞の量である、態様17~17のいずれかの方法。
19. 前記ナイーブ様T細胞またはナイーブ様CD8+ T細胞が、
CD45RA、CD27、CD28、およびCCR7からなる群より選択されるT細胞活性化マーカーについて表面陽性である;かつ/または
CD25、CD45RO、CD56、CD62L、KLRG1からなる群より選択されるマーカーについて表面陰性である;かつ/または
低発現のCD95を有する:かつ/または
IL-2、IFN-γ、IL-4、IL-10からなる群より選択されるサイトカインの細胞内発現について陰性である、
態様1~18のいずれかの方法。
20. 前記ナイーブ様細胞またはナイーブ様CD8+細胞が、
CD45RA、CD27、CD28、およびCCR7からなる群より選択されるT細胞活性化マーカーについて表面陽性である;かつ/または
CD45RO、CD56、KLRG1からなる群より選択されるマーカーについて表面陰性である;かつ/または
低発現のCD95を有する、
態様1~19のいずれかの方法。
21. 前記ナイーブ様T細胞またはナイーブ様CD8+細胞が、CD45RA+、CD27+、CCR7+、および/またはCD45RO-である、態様1~20のいずれかの方法。
22. 前記非ナイーブ様T細胞が、
CD45RA、CD27、CD28、およびCCR7からなる群より選択されるT細胞活性化マーカーについて表面陰性である;かつ/または
CD25、CD45RO、CD56、CD62L、KLRG1、およびパーフォリンからなる群より選択されるマーカーについて表面陽性である;かつ/または
IL-2、IFN-γ、IL-4、IL-10からなる群より選択されるサイトカインの細胞内発現について陽性である;かつ/または
高発現のCD95を有する、
態様1~17および16~21のいずれかの方法。
23. 前記非ナイーブ様T細胞が、CD45RA-、CD27-、CCR7-、および/またはCD45RO+である、態様1~14および16~22のいずれかの方法。
24. 前記インプット組成物の細胞が、前記インキュベーションの前に、ナイーブ様T細胞と非ナイーブ様T細胞とを区別する内在性T細胞表面マーカーに基づく選択工程に供されていないまたは供されない、態様1~23のいずれかの方法。
25. 遺伝子操作された組換え受容体を、前記刺激された細胞中に導入する工程をさらに含み、それによって、遺伝子操作された組換え受容体を発現するT細胞を含むアウトプット組成物を生成する、態様15~24のいずれかの方法。
26. 刺激条件下で組成物をインキュベートする工程が、遺伝子操作された組換え受容体をコードする核酸を導入する工程の前に、その最中に、および/またはその後に行われる、態様26の方法。
27. 前記組換え受容体が、
ある疾患、障害、または状態の、細胞または組織に関連している、それに特異的である、かつ/またはその上に発現している標的抗原
に結合することができる、態様1~14および25~26のいずれかの方法。
28. 前記疾患、障害、または状態が、感染性疾患もしくは障害、自己免疫疾患、炎症性疾患、または腫瘍もしくはがんである、態様27の方法。
29. 前記標的抗原が腫瘍抗原である、態様27または態様28の方法。
30. 前記標的抗原が、αvβ6インテグリン(avb6インテグリン)、B細胞成熟抗原(BCMA)、炭酸アンヒドラーゼ9(CAIX)、Her2/neu(受容体チロシンキナーゼerbB2)、L1-CAM、B7-H3、B7-H6、炭酸アンヒドラーゼ9(CA9;CAIXまたはG250としても知られる)、がん-精巣抗原、がん/精巣抗原1B(CTAG;NY-ESO-1およびLAGE-2としても知られる)、がん胎児性抗原(CEA)、およびB型肝炎表面抗原、抗葉酸受容体、サイクリン、サイクリンA2、C-Cモチーフケモカインリガンド1(CCL-1)、CD19、CD20、CD22、CD23、CD24、CD30、CD33、CD38、CD44、CD44v6、CD44v7/8、CD123、CD133、CD138、CD171、コンドロイチン硫酸プロテオグリカン4(CSPG4)、上皮成長因子タンパク質(EGFR)、上皮糖タンパク質2(EPG-2)、上皮糖タンパク質40(EPG-40)、エフリンB2、エフリン受容体A2(EPHa2)、erb-B2、erb-B3、erb-B4、erbB二量体、III型上皮成長因子受容体変異(EGFR vIII)、葉酸結合タンパク質(FBP)、Fc受容体様5(FCRL5;Fc受容体ホモログ5またはFCRH5としても知られる)、胎児アセチルコリン受容体(胎児AchR)、葉酸結合タンパク質(FBP)、葉酸受容体α、ガングリオシドGD2、O-アセチル化GD2(OGD2)、ガングリオシドGD3、グリピカン-3(GPC3)、Gタンパク質共役受容体5D(GPRC5D)、Her2/neu(受容体チロシンキナーゼerbB2)、Her3(erb-B3)、Her4(erb-B4)、erbB二量体、ヒト高分子量黒色腫関連抗原(HMW-MAA)、B型肝炎表面抗原、ヒト白血球抗原A1(HLA-A1)、ヒト白血球抗原A2(HLA-A2)、IL-22受容体α(IL-22R-α)、IL-13R-アルファ2(IL-13Rα2)、キナーゼインサートドメイン受容体(kdr)、κ軽鎖、ルイスY、L1細胞接着分子(L1-CAM)、L1-CAMのCE7エピトープ、ロイシンリッチリピート含有8ファミリーメンバーA(LRRC8A)、ルイスY、黒色腫関連抗原(MAGE)-A1、MAGE-A3、MAGE-A6、MAGE-A10、メソテリン(MSLN)、c-Met、マウスサイトメガロウイルス(CMV)、ムチン1(MUC1)、MUC16、ナチュラルキラーグループ2メンバーD(NKG2D)リガンド、メランA(MART-1)、神経細胞接着分子(NCAM)、胎児腫瘍性抗原、黒色腫の優先発現抗原(PRAME)、プロゲステロン受容体、前立腺特異抗原、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、受容体チロシンキナーゼ様オーファン受容体1(ROR1)、サバイビン、栄養膜糖タンパク質(TPBG;5T4としても知られる)、腫瘍関連糖タンパク質72(TAG72)、チロシナーゼ関連タンパク質1(TRP1;TYRP1またはgp75としても知られる)、チロシナーゼ関連タンパク質2(TRP2;ドパクロムトートメラーゼ、ドパクロムデルタ-イソメラーゼ、またはDCTとしても知られる)、葉酸受容体-a、8H9、二重抗原、糖タンパク質100(gp100)、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)、血管内皮増殖因子受容体2(VEGF-R2)、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、ウィルムス腫瘍1(WT-1)、病原体特異的または病原体発現抗原、およびユニバーサルタグに関連する抗原の中から選択される、態様27~29のいずれかの方法。
31. 前記組換え受容体が、機能的非TCR抗原受容体もしくはTCRまたはその抗原結合断片であるかまたはそれを含む、態様1~14および25~30のいずれかの方法。
32. 前記組換え受容体がキメラ抗原受容体(CAR)である、態様1~14および25~30のいずれかの方法。
33. 前記組換え受容体が、抗原結合ドメインを含む細胞外ドメインを含み、任意で、該抗原結合ドメインが、標的抗原に特異的に結合する、態様1~14および25~32のいずれかの方法。
34. 前記抗原結合ドメインが、抗体、または任意で一本鎖断片であるその抗体断片であるかまたはそれを含む、態様33の方法。
35. 前記断片が、フレキシブルリンカーによって連結された抗体可変領域を含む、態様33の方法。
36. 前記断片がscFvを含む、態様34または態様35の方法。
37. 前記組換え受容体が、スペーサーおよび/またはヒンジ領域をさらに含む、態様1~14および25~36のいずれかの方法。
38. 前記組換え受容体が、細胞内シグナル伝達領域を含む、態様1~14および25~37のいずれかの方法。
39. 前記細胞内シグナル伝達領域が、細胞内シグナル伝達ドメインを含む、態様38の方法。
40. 前記細胞内シグナル伝達ドメインが、一次シグナル伝達ドメイン、T細胞において一次活性化シグナルを誘導することができるシグナル伝達ドメイン、T細胞受容体(TCR)構成要素のシグナル伝達ドメイン、および/または免疫受容体チロシン活性化モチーフ(ITAM)を含むシグナル伝達ドメインであるかまたはそれを含む、態様39の方法。
41. 前記細胞内シグナル伝達ドメインが、CD3鎖、任意でCD3-ゼータ(CD3ζ)鎖の細胞内シグナル伝達ドメイン、またはそのシグナル伝達部分であるかまたはそれを含む、態様40の方法。
42. 前記組換え受容体が、細胞外ドメインと細胞内シグナル伝達領域との間に配置された膜貫通ドメインをさらに含む、態様38~41のいずれかの方法。
43. 前記細胞内シグナル伝達領域が、共刺激シグナル伝達領域をさらに含む、態様38~42のいずれかの方法。
44. 前記共刺激シグナル伝達領域が、T細胞共刺激分子の細胞内シグナル伝達ドメインまたはそのシグナル伝達部分を含む、態様43の方法。
45. 前記共刺激シグナル伝達領域が、CD28、4-1BB、もしくはICOSの細胞内シグナル伝達ドメインまたはそのシグナル伝達部分を含む、態様43または態様44の方法。
46. 前記共刺激シグナル伝達領域が、膜貫通ドメインと細胞内シグナル伝達領域との間にある、態様43~45のいずれかの方法。
47. 前記刺激条件が、T細胞、CD4+ T細胞、および/もしくはCD8+ T細胞を活性化することができる刺激試薬とのインキュベーションを含み;TCR複合体を通してシグナルを誘導することができ;かつ/または、T細胞、CD4+ T細胞、および/もしくはCD8+ T細胞の増殖を誘導することができる、態様1~46のいずれかの方法。
48. 前記刺激条件が、TCR複合体の1つもしくは複数の構成要素の1つもしくは複数の細胞内シグナル伝達ドメインおよび/または1つもしくは複数の共刺激分子の1つもしくは複数の細胞内シグナル伝達ドメインを活性化することができる刺激試薬とのインキュベーションを含む、態様1~47のいずれかの方法。
49. 前記刺激試薬が、TCR複合体のメンバーに特異的に結合する、任意でCD3に特異的に結合する一次作用物質を含む、態様47または態様48の方法。
50. 前記刺激物質が、T細胞共刺激分子に特異的に結合する二次作用物質をさらに含み、任意で、該共刺激分子が、CD28、CD137(4-1-BB)、OX40、またはICOSからなる群より選択される、態様49の方法。
51. 前記一次および二次作用物質が、抗体を含み、任意で、前記1つまたは複数の刺激物質が、抗CD3抗体および抗CD28抗体とのインキュベーションを含む、態様47~50のいずれかの方法。
52. 前記一次物および/または二次物が、固体支持体の表面上に存在する、態様50または態様51の方法。
53. 前記固体支持体が、ビーズであるかまたはそれを含む、態様52の方法。
54. 前記ビーズが、3.5μmよりも大きいかまたは約3.5μmよりも大きいが、約9μm以下または約8μm以下または約7μm以下または約6μm以下または約5μm以下の直径を含む、態様53の方法。
55. 前記ビーズが、4.5μmのまたは約4.5μmの直径を含む、態様53または態様54の方法。
56. 前記ビーズが、リンパ球または抗原提示細胞と同じサイズである直径、またはほぼ同じサイズである直径を含む、態様53~55のいずれかの方法。
57. 前記ビーズが不活性である、態様53~56のいずれかの方法。
58. 前記ビーズが、ポリスチレン表面であるかまたはそれを含み、かつ任意で、磁性または超常磁性コアを含む、態様53~57のいずれかの方法。
59. 前記刺激条件が、1:1~10:1または約1:1~10:1、1:1~8:1または約1:1~8:1、1:1~6:1または約1:1~6:1、1:1~4:1または約1:1~4:1、1:1~3:1または約1:1~3:1、2:1~4:1または約2:1~4:1、2:1~3:1または約2:1~3:1、1:1~2:1または約1:1~2:1、4:1~10:1または約4:1~10:1、4:1~8:1または約4:1~8:1、4:1~6:1または約4:1~6:1、6:1~10:1または約6:1~10:1、6:1~8:1または約6:1~8:1、8:1~10:1または約8:1~10:1、1:1~1:10または約1:1~1:10、1:1~1:8または約1:1~1:8、1:1~1:6または約1:1~1:6、1:1~1:4または約1:1~1:4、1:2~1:3または約1:2~1:3であるビーズ対細胞の比で、細胞をインキュベートすることを含む、態様53~58のいずれかの方法。
60. (a) 2~6日間、刺激条件下で、ナイーブ様T細胞および非ナイーブ様T細胞を含むT細胞の集団を含むインプット組成物をインキュベートする工程であって、該刺激条件が、ビーズに付着している、抗CD3抗体と抗CD28抗体である二次作用物質とを含む刺激試薬を含み、該インキュベートする工程中のビーズ対細胞の比が、1:1~4:1または約1:1~4:1である、工程;ならびに
(b) 遺伝子操作された組換え受容体をコードする核酸を、前記刺激されたT細胞の組成物中に導入する工程であって、該導入する工程が、前記インキュベートする工程の少なくとも一部分の最中に実施される、工程
を含む、T細胞を遺伝子操作するための方法。
61. 2~6日間、刺激条件下で、ナイーブ様T細胞および非ナイーブ様T細胞を含むT細胞の集団を含むインプット組成物をインキュベートする工程を含む、T細胞を遺伝子操作するための方法であって、
該刺激条件が、ビーズに付着している、抗CD3抗体と抗CD28抗体である二次作用物質とを含む刺激試薬を含み、前記インキュベートする工程中のビーズ対細胞の比が、1:1~4:1または約1:1~4:1であり;かつ
刺激条件下でインプット組成物をインキュベートする工程が、遺伝子操作された組換え受容体をコードする核酸を導入する工程の前に、その最中に、および/またはその後に行われる、方法。
62. 前記ビーズ対細胞の比が、3:1からまたは約3:1からである、態様59の方法。
63. 前記ビーズ対細胞の比が、1:1からまたは約1:1からである、態様59のいずれかの方法。
64. 前記T細胞が、生物学的試料由来であり、任意で、該生物学的試料が、ヒト対象由来である、態様1~63のいずれかの方法。
65. 前記生物学的試料が、全血試料、バフィーコート試料、末梢血単核細胞(PBMC)試料、未分画T細胞試料、リンパ球試料、白血球試料、アフェレーシス産物、または白血球アフェレーシス産物であるかまたはそれを含む、態様64の方法。
66. 前記T細胞が、CD4+および/またはCD8+細胞を含む、態様1~65のいずれかの方法。
67. 前記T細胞が、CD4+およびCD8+ T細胞を含み、かつCD4+対CD8+のT細胞の比が、2:1または約2:1~1:5または約1:5である、態様1~66のいずれかの方法。
68. CD4+細胞対CD8+細胞の比が、1:1、1:2、2:1、1:3、もしくは3:1であるか、または約1:1、約1:2、約2:1、約1:3、もしくは約3:1である、態様55の方法。
69. 前記ナイーブ様T細胞が、ナイーブ様CD4+ T細胞および/またはナイーブ様CD8+ T細胞を含む、態様1~68のいずれかの方法。
70. 前記ナイーブ様T細胞がポリクローナルである、態様1~69のいずれかの方法。
71. 前記ナイーブ様T細胞のクローン性が、クローンシーケンシング、任意で次世代シーケンシング、またはスペクトル型解析によって決定される、態様70の方法。
72. 前記ナイーブ様T細胞の存在、量、数、またはパーセンテージが、フローサイトメトリーによって検出される、態様1~71のいずれかの方法。
73. 前記刺激条件が、N-アセチルシステイン(NAC)を含まない、態様1~72のいずれかの方法。
74. 前記刺激条件が、IL-15および/またはIL-7を含まない、態様1~72のいずれかの方法。
75. 前記刺激条件が、死または非ナイーブ様T細胞またはその亜集団を結果としてもたらすかまたは誘導する、態様1~72のいずれかの方法。
76. 前記刺激条件が、非ナイーブ様T細胞またはその亜集団の活性化誘導細胞死(AICD)を結果としてもたらす、態様1~75のいずれかの方法。
77. 前記インキュベーションの最中におよび/または前記刺激された組成物に、DNアーゼを添加する工程をさらに含む、態様1~76のいずれかの方法。
78. 前記インキュベーションが、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、もしくは16日間よりも長く、または約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、もしくは約16日間実施される、態様1~77のいずれかの方法。
79. 前記刺激された組成物における、ナイーブ様T細胞に由来する細胞のパーセントが、前記インプット組成物におけるナイーブ様細胞のパーセントと比較して、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、50倍、100倍よりも大きく、または約1.5倍、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約7倍、約8倍、約9倍、約10倍、約50倍、約100倍よりも大きく増加している、態様1~78のいずれかの方法。
80. 前記刺激された組成物における、非ナイーブ様T細胞に由来する細胞と比較したナイーブ様T細胞に由来する細胞の比が、前記インプット組成物における非ナイーブ様T細胞と比較したナイーブ様T細胞の比と比較して、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、50倍、100倍よりも大きく、または約1.5倍、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約7倍、約8倍、約9倍、約10倍、約50倍、約100倍よりも大きく増加している、態様1~79のいずれかの方法。
81. 前記刺激された組成物が、75%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%よりも多くの、前記インプット組成物のナイーブ様T細胞に由来する細胞を含む、態様1~80のいずれかの方法。
82. 前記刺激された組成物が、10%未満の、非ナイーブ様T細胞に由来する細胞を含む、態様1~81のいずれかの方法。
83. 前記刺激された組成物が、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、または0.1%未満の、非ナイーブT細胞に由来する細胞を含む、態様1~82のいずれかの方法。
84. 前記インプット組成物における細胞のうち、非ナイーブ様T細胞と比較してより大きなパーセンテージのナイーブ様T細胞が、増殖するようにかつ/または活性化されるように誘導される、態様1~83のいずれかの方法。
85. 前記インプット組成物において非ナイーブ様であったT細胞のパーセンテージと比較してより大きなパーセンテージの、前記インプット組成物においてナイーブ様であったT細胞が、前記インキュベーションの開始後1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10日目に分裂している、態様1~84のいずれかの方法。
86. 前記刺激条件が、該条件下でのインキュベーションの開始後1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10日目に、ヒト非ナイーブ様T細胞と比較してより大きなパーセンテージの、ヒトナイーブ様T細胞集団の細胞の増殖を誘導することができる、態様1~85のいずれかの方法。
87. (i) 非ナイーブ様T細胞が、エフェクターT(TEFF)細胞、メモリーT細胞、セントラルメモリーT細胞(TCM)、エフェクターメモリーT(TEM)細胞、およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるか、または(ii) 非ナイーブ様T細胞が、エフェクターT(TEFF)細胞および/もしくはメモリーT細胞を含むかもしくはそれからなる複数のT細胞であり、該メモリーT細胞がセントラルメモリーT細胞(TCM)および/もしくはエフェクターメモリーT(TEM)細胞を任意で含む、態様1~86のいずれかの方法。
88. 前記インプット組成物におけるナイーブ様T細胞のパーセンテージが、前記インプット組成物におけるナイーブ様T細胞に由来する、前記刺激された組成物における操作された細胞のパーセンテージより小さい、態様1~87のいずれかの方法。
89. 核酸が導入された細胞のうちのより大きなパーセンテージが、前記インプット組成物における非ナイーブ様T細胞と比較した、前記インプット組成物におけるナイーブ様T細胞であるか、またはその増殖に由来する、態様1~14および25~88のいずれかの方法。
90. 前記導入が形質導入による、態様1~14および25~89のいずれかの方法。
91. 前記核酸がウイルスベクターを含む、態様1~14および25~90のいずれかの方法。
92. 前記ウイルスベクターが、レトロウイルスベクターである、態様91の方法。
93. 前記ウイルスベクターが、レンチウイルスベクターまたはガンマレトロウイルスベクターである、態様91または態様92の方法。
94. 前記導入が、核酸分子を含むトランスポゾンの転位による、態様1~14および25~89のいずれかの方法。
95. インビトロまたはエクスビボで行われる、態様1~94のいずれかの方法。
96. 態様1~83のいずれかの方法によって作製される、アウトプット組成物。
97. 態様のアウトプット組成物を含む、薬学的組成物。
98. 薬学的担体をさらに含む、態様97の薬学的組成物。
99. 態様1~95のいずれかの方法によって作製されるアウトプット組成物を、または態様97もしくは態様98の薬学的組成物を、哺乳動物対象へ投与する工程を含む、処置の方法。
100. 細胞が、該細胞が投与される対象に由来する、態様99の方法。
【実施例0424】
VII.実施例
以下の実施例は、例示のみを目的として含まれるものであり、本発明の範囲を限定することを意図しない。
【0425】
実施例1:CAR+ T細胞を含有する操作されたT細胞組成物におけるナイーブ様マーカーの評価
キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含有する操作された初代T細胞の組成物を、ウイルスベクターでの形質導入の前にT細胞を活性化するために、抗CD3抗体および抗CD28抗体が付着した常磁性ポリスチレンコーティングビーズから構成される刺激試薬を利用する、2つの並行したプロセスによって作製した。両方のプロセスにおいて、細胞を、同じ抗BCMA CARを発現するようにレンチウイルス形質導入によって操作した。CARは、BCMAに特異的なscFv抗原結合ドメイン、CD28膜貫通領域、4-1BB共刺激シグナル伝達領域、およびCD3-ζに由来する細胞内シグナル伝達ドメインを含有していた。プロセスは、その持続時間および細胞の増大のための条件が異なっていた。作製されたT細胞組成物を、細胞表面マーカーについて評価した。
【0426】
両方のプロセスにおいて、CD4+細胞およびCD8+細胞の別々の組成物を、ヒトドナー由来の白血球アフェレーシス試料から単離されたPBMCより選択し、選択された細胞組成物を凍結保存した。CD4+ T細胞およびCD8+ T細胞の別々の組成物を、その後解凍して、1:1の生CD4+ T細胞対生CD8+ T細胞の比で混合した。およそ300×106個のT細胞(150×106個のCD4+ T細胞および150×106個のCD8+ T細胞)の混合インプット細胞組成物を、無血清培地において1:1のビーズ対細胞の比で、抗CD3/抗CD28抗体コンジュゲートビーズの存在下で18~30時間、細胞をインキュベートすることによって刺激した。培地はまた、組換えIL-2、IL-7、およびIL-15も含有していた。刺激後に、細胞を、洗浄して、添加物ならびに組換えIL-2、IL-7、およびIL-15を含有する無血清培地に再懸濁した。
【0427】
1つのプロセス(以下「非増大」)において、刺激された細胞組成物由来の細胞に、次いで、スピノキュレーションによって、抗BCMA CARをコードするレンチウイルスベクターで形質導入した。スピノキュレーション後に、細胞を、洗浄して、組換えIL-2、IL-7、およびIL-15を含有する無血清培地に再懸濁した。再懸濁された組成物の細胞を、インキュベーターにおいて約37.0℃でインキュベートした。刺激の開始の約96時間後に、細胞を、抗CD3/抗CD28抗体コンジュゲート常磁性ビーズを除去するために磁場の存在下で2回リンスして、10% DMSOを含有する溶液において製剤化した。製剤化された細胞組成物を、バッグまたはバイアルに移して、およそ-80℃で保管した。
【0428】
もう1つのプロセス(以下「増大」)において、インキュベーション後に、刺激された細胞組成物由来のおよそ100×106個の生存細胞を、組換えIL-2、IL-7、およびIL-15を含有する無血清培地において濃縮した。細胞に、およそ1600 gで60分間のスピノキュレーションによって、上記と同じ抗BCMA CARをコードするレンチウイルスベクターで形質導入した。スピノキュレーション後に、細胞を、組換えIL-2、IL-7、およびIL-15を含有する無血清培地に再懸濁して、約18~30時間、約37℃でインキュベートした。細胞を次いで、インキュベーションおよび形質導入の工程中に用いられた濃度の2倍のIL-2、IL-7、およびIL-15を含有する約500 mLの例示的な無血清培地においてバイオリアクター(例えば、ロッキングモーションバイオリアクター)に移すことによって、増大のために培養した。設定の生細胞密度が達成された時に、継続的な混合を伴う半連続的灌流によって培地が交換される灌流を開始した。細胞を、次の日にバイオリアクターにおいて、典型的には6~7日の増大を含むプロセスで起きた、約3×106細胞/mlの閾値細胞密度が達成されるまで培養した。抗CD3および抗CD28抗体コンジュゲート常磁性ビーズを、磁場への曝露によって細胞組成物から除去した。細胞を次いで収集し、上記のように製剤化して凍結保存した。
【0429】
増大操作プロセスおよび非増大操作プロセスから作製されたT細胞組成物を、CD4、CD8、CCR7、およびCD27を含む表面マーカーを認識する抗体で染色して、フローサイトメトリーによって定量化した。CCR7およびCD27両方の染色が陽性のCD4+CAR+ T細胞およびCD8+CAR+ T細胞のパーセンテージを、
図1A、
図1B、および
図1Cに示し、抗CD3/抗CD28抗体コンジュゲートビーズ刺激試薬とのインキュベーション前のインプット組成物(CMAT)におけるCCR7+CD27+細胞のパーセンテージと比較して、作製されたT細胞組成物における、それぞれCD4+CAR+ T細胞またはCD8+CAR+ T細胞に対するCCR7+CD27+細胞のパーセンテージを図示する。示されるように、増大操作プロセスと比較して、より大きなパーセンテージのCCR7+CD27+が、非増大操作プロセスから作製されたT細胞組成物において観察された。
【0430】
活性化(AMAT)、形質導入(XMAT)時を含む、製造のプロセス中の様々な日の、または培養の開始後の様々な時(inoc+2、inoc+4、もしくはinoc+5)の、代表的なドナーから増大プロセスによって生成された細胞のさらなる解析により、細胞の増大が、CCR7+CD27+細胞のパーセンテージの減少によって判定されるような、より分化した表現型に関連していることが実証される(
図1D)。
【0431】
実施例2:CAR発現T細胞へのドナー応答に対するナイーブ様表現型の関係
CD19に特異的なキメラ抗原受容体(CAR)を発現する自己由来T細胞を含有する、例示的な治療用T細胞組成物を生成させた。抗CD19 CARは、マウス抗体に由来する抗CD19 scFv(FMC63に由来する可変領域)、免疫グロブリン由来スペーサー、CD28に由来する膜貫通ドメイン、4-1BBに由来する共刺激領域、およびCD3-ζ細胞内シグナル伝達ドメインを含有していた。
【0432】
投与用の細胞組成物の生成のために、自己由来細胞を、白血球アフェレーシスを介して対象から単離した。白血球アフェレーシス試料を、CAR発現細胞の生成のためのプロセスに供した。プロセスは、自動化洗浄を用いた細胞の洗浄、ならびにCD4+およびCD8+ T細胞の精製のための免疫親和性に基づく選択を含み、それぞれCD8+細胞が濃縮された(中央値99%、四分位範囲(IQR)98~100%の細胞がCD8+であった)およびCD4+細胞が濃縮された(中央値99%、IQR 99~100%の細胞がCD4+であった)、2つの組成物を結果としてもたらした。
【0433】
濃縮されたCD4+およびCD8+組成物の細胞を、抗CD3/抗CD28常磁性ビーズで活性化し、次いで別々に、4-1BB共刺激ドメインを有する抗CD19 CARをコードするベクターでのレンチウイルス形質導入に供した。形質導入された集団を、次いで別々に、細胞増大のための刺激試薬の存在下でインキュベートした。増大したCD8+細胞およびCD4+細胞を、別々に製剤化して凍結保存し、投与前に保管した。細胞の健康を示すパラメータにおける、ロットおよび/または様々な患者に由来する細胞組成物、例えば様々な患者の属性を有するものの間の変動を最小化するために、細胞を、ロットにわたって一定体積で保持した。細胞産物は、狭い範囲の生存細胞濃度を示した(1つの群の対象についての細胞組成物の評価に基づいて、CD8+:中央値31×106細胞/mL、IQR 28~40×106細胞/mL、N=38;CD4+:中央値35×106細胞/mL、IQR 31~40×106、N=36)。
【0434】
上記の治療用CAR+ T細胞組成物を、臨床研究において、再発性または難治性(R/R)の侵襲性非ホジキンリンパ腫(NHL)を有する対象へ投与した。具体的には、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、新規のまたは低悪性度から形質転換したリンパ腫(NOS)、高悪性度B細胞リンパ腫(ダブル/トリプルヒットを含む)、慢性リンパ性白血病(CLL)または辺縁帯リンパ腫(MZL)から形質転換したDLBCL、原発性縦隔大細胞型b細胞リンパ腫(PMBCL)、および濾胞性リンパ腫グレード3b(FLG3B)を含む、R/R NHLを有する成人ヒト対象のコホートに、抗CD19 CAR発現T細胞組成物を投与した。フルコホート内の対象のコアサブセット(パフォーマンスステータス不良(ECOG2)、辺縁帯リンパ腫(MZL)および/または慢性リンパ性白血病(CLL、リヒター)から形質転換したDLBCLを有する対象を除外し、かつ原発性縦隔大細胞型b細胞リンパ腫(PMBCL)、および濾胞性リンパ腫グレード3b(FLG3B)を有する対象を除外する(コアコホート))について、アウトカムを別々に評価した。コアコホートには、DLBCL、NOS、および形質転換した濾胞性リンパ腫(tFL)または高悪性度B細胞リンパ腫(ダブル/トリプルヒット)または高悪性度B細胞リンパ腫を有する、DLBCL組織像を伴うMYCおよびBCL2および/またはBCL6再配列を有する(ダブル/トリプルヒット)、ならびに0または1の米国東海岸癌臨床試験グループパフォーマンスステータス(ECOG PS)を有する対象が含まれた。この実施例に示されるこの時点での解析は、抗CD19 CAR発現細胞が投与されているフルコホートにおける合計91名の対象(奏効について評価された88名(65名がコアコホート由来)および安全性について評価された91名(67名がコアコホート由来))の評価に基づく。
【0435】
抗CD19 CAR発現細胞を含有する凍結保存された細胞組成物を、静脈内投与の前に解凍した。治療用T細胞用量を、およそ1:1の標的比で別々に投与される製剤化されたCD4+CAR+細胞集団および製剤化されたCD8+CAR+集団を投与することによって、規定された細胞組成物として投与した。対象に、CAR発現T細胞の単回投与または2回投与(各単回投与は、それぞれCD4+CAR発現T細胞およびCD8+CAR発現T細胞の別々の注入による)を以下のように施与した:5×107個の総CAR発現T細胞を含有する用量レベル1(DL1)の単回投与、または1×108個の総CAR発現T細胞を含有する用量レベル2(DL2)の単回投与。いくつかの場合には、対象に、DL1の2回投与を施与し、そこでは、各用量をおよそ14日の間隔をあけて投与し、1日目および14日目に投与して、投与エラーのために、2回投与スケジュールによって2回のDL2用量を誤って受けた1名の対象を含めた。DL1およびDL2で投与された組成物についてのT細胞サブセットの用量レベルおよび標的数を、表E1に示す。コアコホートにおいて、34名の対象にDL1を投与し、27名の対象にDL2を投与した。
【0436】
(表E1)抗CD19 CAR T細胞を含有する細胞組成物についてのT細胞サブセットの標的用量レベルおよび数
【0437】
表E2は、2つの用量レベルでのフルコホートおよびコアコホートについての全奏効率および安全性アウトカムを示す。客観的奏効率(ORR)は、74%であり、完全奏効(CR)を示した52%の対象を含んだ。いずれかのグレードのサイトカイン放出症候群(CRS)の発生率は35%であり、1%が重篤なCRSであった;いずれかのグレードの神経毒性(NT)の発生率は19%であり、1%が重篤なNTであった。
【0438】
(表E2)CAR
+細胞投与後の奏効および安全性
a類似したアウトカムを有する、DL1D(用量レベル1、2回投与スケジュール)で処置された4名の患者。
bPD、死亡、または28日目の再病期分類スキャンの事象を有する患者を含む。1名の患者は、再病期分類スキャンが利用できなかった。
cデータスナップショットの日の28日前に少なくとも1用量の準拠するCAR発現細胞産物を受けたか、または死亡したすべての対象を含む。
【0439】
A. 抗CD19 CAR発現T細胞の細胞属性と奏効との間の関連
治療用組成物におけるCAR
+ T細胞のある特定の表現型属性と臨床奏効アウトカムに関連するパラメータとの間の関係を、評価した。組成物におけるメモリー表現型と機能との間の相関は、セントラルメモリーサブセット組成物とCAR
+細胞のピークインビボ増大(ρ=0.42、P=0.002)、および観察された無憎悪生存期間(PFS)(カプラン・マイヤー生存推定値、P=0.0164)との間の正の相関につながった。
図2A~2Dは、ある特定の閾値レベルよりも上またはそれよりも下である、ある頻度のCCR7
+CD27
+CAR
+ T細胞を、CD4
+CAR
+ T細胞の中(
図2Aは無憎悪生存期間、
図2Cは奏効の期間)およびCD8
+CAR
+ T細胞の中(
図2Bは無憎悪生存期間、
図2Dは奏効の期間)で含有する組成物を投与された群に分けられた、CAR
+ T細胞組成物を投与された対象についてのカプラン・マイヤー生存曲線を示す。組成物におけるより高いCCR7
+CD27
+メモリー細胞は、より長い無憎悪生存期間と相関していることが観察された。
【0440】
実施例3:シーケンシングおよび解析法を用いたT細胞クローン性の評価
T細胞の組成物を、キメラ抗原受容体(CAR)を発現させるための遺伝子操作の前および後に、T細胞受容体(TCR)ペアの単一細胞シーケンシングを用いて、T細胞クローン存在度について評価した。
【0441】
自己由来T細胞を、CD4+およびCD8+ T細胞の精製のための免疫親和性に基づく選択によって、白血球アフェレーシスを介して対象から単離し、それぞれCD8+およびCD4+ T細胞が濃縮された、2つの組成物を結果として生じた。濃縮されたCD4+およびCD8+組成物の細胞を、抗CD3/抗CD28常磁性ビーズで活性化し、次いで別々に、抗CD19 CARをコードするベクターでのレンチウイルス形質導入に供した。抗CD19 CARは、マウス抗体に由来する抗CD19 scFv(FMC63に由来する可変領域)、免疫グロブリン由来スペーサー、CD28に由来する膜貫通ドメイン、4-1BBに由来する共刺激領域、およびCD3-ζ細胞内シグナル伝達ドメインを含有していた。形質導入された集団を、次いで別々に、細胞増大のための刺激試薬の存在下でインキュベートした。CAR発現T細胞を含有する増大したCD8+およびCD4+組成物を、別々に製剤化して凍結保存し、保管した。
【0442】
操作前の単離されたCD4+およびCD8+ T細胞組成物(CMAT)の、ならびに上記のプロセスによる操作後のCD4+およびCD8+治療用CAR+ T細胞組成物の、T細胞クローン性を評価した。T細胞クローン性を評価するために、細胞を、概してWO2016044227、WO2016176322、およびWO2012048340に記載されているような、単一細胞αβペアTCRシーケンシングに供した。TCR遺伝子のバーコード化された単一細胞シーケンシングに基づいて、細胞集団における特定されたクローンのT細胞クローン性および多様性を決定した。いくつかの場合には、シャノン指数を、クローンにフィルターをかけるための閾値として用いて(「シャノン調整されたクローン性」)、これは、試料ノイズを排除しながら試料間の関係を保つ。Chaara et al. (2018) Front Immunol 9:1038を参照されたい。
【0443】
図3は、シャノン指数を適用した後の各試料のクローン性を示す。
図3に示されるように、CD4細胞およびCD8細胞のクローン性は、遺伝子操作の前および後のT細胞組成物の間で異なっており、操作されたCAR+ T細胞組成物は、細胞を操作するためのプロセスの開始前の組成物におけるT細胞と比較して、低減したクローン性を示した。
【0444】
遺伝子操作後のCD4+およびCD8+治療用CAR+ T細胞組成物を、アネキシンVでの表面染色(アネキシンV-)または(非アポトーシス細胞を示す)カスパーゼ3切断などのアポトーシスを示す因子のフローサイトメトリー発現によって、ならびにCD45RA、CCR7、CD27、CD4、およびCD8を含む様々な表面マーカーの発現について選別した。細胞の表現型は、細胞のクローン性の程度と相関していた。CD4+およびCD8+治療用CAR+ T細胞組成物の両方において、CCR7-/CD27-であったアポトーシスマーカー陰性細胞の存在が、組成物における細胞のクローン性と高度に正の相関を示したことが観察された。同様に、CCR7+またはCCR7+/CD27+であったアポトーシスマーカー陰性細胞の存在は、CD4+およびCD8+治療用CAR+ T細胞組成物の各々における細胞のクローン性と負の相関を示した。これらの結果は、細胞のクローン性が、例えばCCR7および/またはCD27陽性によって決定される、あまり分化していないナイーブ様細胞と逆相関し得るという観察と一致している。
【0445】
本発明は、特定の開示される態様に範囲を限定されることを意図せず、それらは、例えば、本発明の様々な局面を例示するために提供される。記載される組成物および方法に対する様々な変更が、本明細書における説明および教示から明らかになるであろう。そのような変形は、本開示の真の範囲および精神から逸脱することなく実施され得、本開示の範囲内に含まれることが意図されている。
【0446】
【0447】
配列情報
SEQUENCE LISTING
<110> JUNO THERAPEUTICS, INC.
<120> METHODS AND COMPOSITIONS FOR PREPARING
GENETICALLY ENGINEERED CELLS
<150> US 62/543,359
<151> 2017-08-09
<160> 59
<170> FastSEQ for Windows Version 4.0
<210> 1
<211> 12
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<220>
<223> Spacer (IgG4hinge)
<400> 1
Glu Ser Lys Tyr Gly Pro Pro Cys Pro Pro Cys Pro
1 5 10
<210> 2
<211> 36
<212> DNA
<213> Homo sapiens
<220>
<223> Spacer (IgG4hinge)
<400> 2
gaatctaagt acggaccgcc ctgcccccct tgccct 36
<210> 3
<211> 119
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<220>
<223> Hinge-CH3 spacer
<400> 3
Glu Ser Lys Tyr Gly Pro Pro Cys Pro Pro Cys Pro Gly Gln Pro Arg
1 5 10 15
Glu Pro Gln Val Tyr Thr Leu Pro Pro Ser Gln Glu Glu Met Thr Lys
20 25 30
Asn Gln Val Ser Leu Thr Cys Leu Val Lys Gly Phe Tyr Pro Ser Asp
35 40 45
Ile Ala Val Glu Trp Glu Ser Asn Gly Gln Pro Glu Asn Asn Tyr Lys
50 55 60
Thr Thr Pro Pro Val Leu Asp Ser Asp Gly Ser Phe Phe Leu Tyr Ser
65 70 75 80
Arg Leu Thr Val Asp Lys Ser Arg Trp Gln Glu Gly Asn Val Phe Ser
85 90 95
Cys Ser Val Met His Glu Ala Leu His Asn His Tyr Thr Gln Lys Ser
100 105 110
Leu Ser Leu Ser Leu Gly Lys
115
<210> 4
<211> 229
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<220>
<223> Hinge-CH2-CH3 spacer
<400> 4
Glu Ser Lys Tyr Gly Pro Pro Cys Pro Pro Cys Pro Ala Pro Glu Phe
1 5 10 15
Leu Gly Gly Pro Ser Val Phe Leu Phe Pro Pro Lys Pro Lys Asp Thr
20 25 30
Leu Met Ile Ser Arg Thr Pro Glu Val Thr Cys Val Val Val Asp Val
35 40 45
Ser Gln Glu Asp Pro Glu Val Gln Phe Asn Trp Tyr Val Asp Gly Val
50 55 60
Glu Val His Asn Ala Lys Thr Lys Pro Arg Glu Glu Gln Phe Asn Ser
65 70 75 80
Thr Tyr Arg Val Val Ser Val Leu Thr Val Leu His Gln Asp Trp Leu
85 90 95
Asn Gly Lys Glu Tyr Lys Cys Lys Val Ser Asn Lys Gly Leu Pro Ser
100 105 110
Ser Ile Glu Lys Thr Ile Ser Lys Ala Lys Gly Gln Pro Arg Glu Pro
115 120 125
Gln Val Tyr Thr Leu Pro Pro Ser Gln Glu Glu Met Thr Lys Asn Gln
130 135 140
Val Ser Leu Thr Cys Leu Val Lys Gly Phe Tyr Pro Ser Asp Ile Ala
145 150 155 160
Val Glu Trp Glu Ser Asn Gly Gln Pro Glu Asn Asn Tyr Lys Thr Thr
165 170 175
Pro Pro Val Leu Asp Ser Asp Gly Ser Phe Phe Leu Tyr Ser Arg Leu
180 185 190
Thr Val Asp Lys Ser Arg Trp Gln Glu Gly Asn Val Phe Ser Cys Ser
195 200 205
Val Met His Glu Ala Leu His Asn His Tyr Thr Gln Lys Ser Leu Ser
210 215 220
Leu Ser Leu Gly Lys
225
<210> 5
<211> 282
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<220>
<223> IgD-hinge-Fc
<400> 5
Arg Trp Pro Glu Ser Pro Lys Ala Gln Ala Ser Ser Val Pro Thr Ala
1 5 10 15
Gln Pro Gln Ala Glu Gly Ser Leu Ala Lys Ala Thr Thr Ala Pro Ala
20 25 30
Thr Thr Arg Asn Thr Gly Arg Gly Gly Glu Glu Lys Lys Lys Glu Lys
35 40 45
Glu Lys Glu Glu Gln Glu Glu Arg Glu Thr Lys Thr Pro Glu Cys Pro
50 55 60
Ser His Thr Gln Pro Leu Gly Val Tyr Leu Leu Thr Pro Ala Val Gln
65 70 75 80
Asp Leu Trp Leu Arg Asp Lys Ala Thr Phe Thr Cys Phe Val Val Gly
85 90 95
Ser Asp Leu Lys Asp Ala His Leu Thr Trp Glu Val Ala Gly Lys Val
100 105 110
Pro Thr Gly Gly Val Glu Glu Gly Leu Leu Glu Arg His Ser Asn Gly
115 120 125
Ser Gln Ser Gln His Ser Arg Leu Thr Leu Pro Arg Ser Leu Trp Asn
130 135 140
Ala Gly Thr Ser Val Thr Cys Thr Leu Asn His Pro Ser Leu Pro Pro
145 150 155 160
Gln Arg Leu Met Ala Leu Arg Glu Pro Ala Ala Gln Ala Pro Val Lys
165 170 175
Leu Ser Leu Asn Leu Leu Ala Ser Ser Asp Pro Pro Glu Ala Ala Ser
180 185 190
Trp Leu Leu Cys Glu Val Ser Gly Phe Ser Pro Pro Asn Ile Leu Leu
195 200 205
Met Trp Leu Glu Asp Gln Arg Glu Val Asn Thr Ser Gly Phe Ala Pro
210 215 220
Ala Arg Pro Pro Pro Gln Pro Gly Ser Thr Thr Phe Trp Ala Trp Ser
225 230 235 240
Val Leu Arg Val Pro Ala Pro Pro Ser Pro Gln Pro Ala Thr Tyr Thr
245 250 255
Cys Val Val Ser His Glu Asp Ser Arg Thr Leu Leu Asn Ala Ser Arg
260 265 270
Ser Leu Glu Val Ser Tyr Val Thr Asp His
275 280
<210> 6
<211> 24
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> T2A
<400> 6
Leu Glu Gly Gly Gly Glu Gly Arg Gly Ser Leu Leu Thr Cys Gly Asp
1 5 10 15
Val Glu Glu Asn Pro Gly Pro Arg
20
<210> 7
<211> 357
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> tEGFR
<400> 7
Met Leu Leu Leu Val Thr Ser Leu Leu Leu Cys Glu Leu Pro His Pro
1 5 10 15
Ala Phe Leu Leu Ile Pro Arg Lys Val Cys Asn Gly Ile Gly Ile Gly
20 25 30
Glu Phe Lys Asp Ser Leu Ser Ile Asn Ala Thr Asn Ile Lys His Phe
35 40 45
Lys Asn Cys Thr Ser Ile Ser Gly Asp Leu His Ile Leu Pro Val Ala
50 55 60
Phe Arg Gly Asp Ser Phe Thr His Thr Pro Pro Leu Asp Pro Gln Glu
65 70 75 80
Leu Asp Ile Leu Lys Thr Val Lys Glu Ile Thr Gly Phe Leu Leu Ile
85 90 95
Gln Ala Trp Pro Glu Asn Arg Thr Asp Leu His Ala Phe Glu Asn Leu
100 105 110
Glu Ile Ile Arg Gly Arg Thr Lys Gln His Gly Gln Phe Ser Leu Ala
115 120 125
Val Val Ser Leu Asn Ile Thr Ser Leu Gly Leu Arg Ser Leu Lys Glu
130 135 140
Ile Ser Asp Gly Asp Val Ile Ile Ser Gly Asn Lys Asn Leu Cys Tyr
145 150 155 160
Ala Asn Thr Ile Asn Trp Lys Lys Leu Phe Gly Thr Ser Gly Gln Lys
165 170 175
Thr Lys Ile Ile Ser Asn Arg Gly Glu Asn Ser Cys Lys Ala Thr Gly
180 185 190
Gln Val Cys His Ala Leu Cys Ser Pro Glu Gly Cys Trp Gly Pro Glu
195 200 205
Pro Arg Asp Cys Val Ser Cys Arg Asn Val Ser Arg Gly Arg Glu Cys
210 215 220
Val Asp Lys Cys Asn Leu Leu Glu Gly Glu Pro Arg Glu Phe Val Glu
225 230 235 240
Asn Ser Glu Cys Ile Gln Cys His Pro Glu Cys Leu Pro Gln Ala Met
245 250 255
Asn Ile Thr Cys Thr Gly Arg Gly Pro Asp Asn Cys Ile Gln Cys Ala
260 265 270
His Tyr Ile Asp Gly Pro His Cys Val Lys Thr Cys Pro Ala Gly Val
275 280 285
Met Gly Glu Asn Asn Thr Leu Val Trp Lys Tyr Ala Asp Ala Gly His
290 295 300
Val Cys His Leu Cys His Pro Asn Cys Thr Tyr Gly Cys Thr Gly Pro
305 310 315 320
Gly Leu Glu Gly Cys Pro Thr Asn Gly Pro Lys Ile Pro Ser Ile Ala
325 330 335
Thr Gly Met Val Gly Ala Leu Leu Leu Leu Leu Val Val Ala Leu Gly
340 345 350
Ile Gly Leu Phe Met
355
<210> 8
<211> 27
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<220>
<223> CD28
<300>
<308> UniProt P10747
<309> 1989-07-01
<400> 8
Phe Trp Val Leu Val Val Val Gly Gly Val Leu Ala Cys Tyr Ser Leu
1 5 10 15
Leu Val Thr Val Ala Phe Ile Ile Phe Trp Val
20 25
<210> 9
<211> 66
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<220>
<223> CD28
<300>
<308> UniProt P10747
<309> 1989-07-01
<400> 9
Ile Glu Val Met Tyr Pro Pro Pro Tyr Leu Asp Asn Glu Lys Ser Asn
1 5 10 15
Gly Thr Ile Ile His Val Lys Gly Lys His Leu Cys Pro Ser Pro Leu
20 25 30
Phe Pro Gly Pro Ser Lys Pro Phe Trp Val Leu Val Val Val Gly Gly
35 40 45
Val Leu Ala Cys Tyr Ser Leu Leu Val Thr Val Ala Phe Ile Ile Phe
50 55 60
Trp Val
65
<210> 10
<211> 41
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<220>
<223> CD28
<300>
<308> UniProt P10747
<309> 1989-07-01
<400> 10
Arg Ser Lys Arg Ser Arg Leu Leu His Ser Asp Tyr Met Asn Met Thr
1 5 10 15
Pro Arg Arg Pro Gly Pro Thr Arg Lys His Tyr Gln Pro Tyr Ala Pro
20 25 30
Pro Arg Asp Phe Ala Ala Tyr Arg Ser
35 40
<210> 11
<211> 41
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<220>
<223> CD28
<400> 11
Arg Ser Lys Arg Ser Arg Gly Gly His Ser Asp Tyr Met Asn Met Thr
1 5 10 15
Pro Arg Arg Pro Gly Pro Thr Arg Lys His Tyr Gln Pro Tyr Ala Pro
20 25 30
Pro Arg Asp Phe Ala Ala Tyr Arg Ser
35 40
<210> 12
<211> 42
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<220>
<223> 4-1BB
<300>
<308> UniProt Q07011.1
<309> 1995-02-01
<400> 12
Lys Arg Gly Arg Lys Lys Leu Leu Tyr Ile Phe Lys Gln Pro Phe Met
1 5 10 15
Arg Pro Val Gln Thr Thr Gln Glu Glu Asp Gly Cys Ser Cys Arg Phe
20 25 30
Pro Glu Glu Glu Glu Gly Gly Cys Glu Leu
35 40
<210> 13
<211> 112
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<220>
<223> CD3 zeta
<400> 13
Arg Val Lys Phe Ser Arg Ser Ala Asp Ala Pro Ala Tyr Gln Gln Gly
1 5 10 15
Gln Asn Gln Leu Tyr Asn Glu Leu Asn Leu Gly Arg Arg Glu Glu Tyr
20 25 30
Asp Val Leu Asp Lys Arg Arg Gly Arg Asp Pro Glu Met Gly Gly Lys
35 40 45
Pro Arg Arg Lys Asn Pro Gln Glu Gly Leu Tyr Asn Glu Leu Gln Lys
50 55 60
Asp Lys Met Ala Glu Ala Tyr Ser Glu Ile Gly Met Lys Gly Glu Arg
65 70 75 80
Arg Arg Gly Lys Gly His Asp Gly Leu Tyr Gln Gly Leu Ser Thr Ala
85 90 95
Thr Lys Asp Thr Tyr Asp Ala Leu His Met Gln Ala Leu Pro Pro Arg
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<211> 112
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<220>
<223> CD3 zeta
<400> 14
Arg Val Lys Phe Ser Arg Ser Ala Glu Pro Pro Ala Tyr Gln Gln Gly
1 5 10 15
Gln Asn Gln Leu Tyr Asn Glu Leu Asn Leu Gly Arg Arg Glu Glu Tyr
20 25 30
Asp Val Leu Asp Lys Arg Arg Gly Arg Asp Pro Glu Met Gly Gly Lys
35 40 45
Pro Arg Arg Lys Asn Pro Gln Glu Gly Leu Tyr Asn Glu Leu Gln Lys
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Asp Lys Met Ala Glu Ala Tyr Ser Glu Ile Gly Met Lys Gly Glu Arg
65 70 75 80
Arg Arg Gly Lys Gly His Asp Gly Leu Tyr Gln Gly Leu Ser Thr Ala
85 90 95
Thr Lys Asp Thr Tyr Asp Ala Leu His Met Gln Ala Leu Pro Pro Arg
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<210> 15
<211> 112
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<220>
<223> CD3 zeta
<400> 15
Arg Val Lys Phe Ser Arg Ser Ala Asp Ala Pro Ala Tyr Lys Gln Gly
1 5 10 15
Gln Asn Gln Leu Tyr Asn Glu Leu Asn Leu Gly Arg Arg Glu Glu Tyr
20 25 30
Asp Val Leu Asp Lys Arg Arg Gly Arg Asp Pro Glu Met Gly Gly Lys
35 40 45
Pro Arg Arg Lys Asn Pro Gln Glu Gly Leu Tyr Asn Glu Leu Gln Lys
50 55 60
Asp Lys Met Ala Glu Ala Tyr Ser Glu Ile Gly Met Lys Gly Glu Arg
65 70 75 80
Arg Arg Gly Lys Gly His Asp Gly Leu Tyr Gln Gly Leu Ser Thr Ala
85 90 95
Thr Lys Asp Thr Tyr Asp Ala Leu His Met Gln Ala Leu Pro Pro Arg
100 105 110
<210> 16
<211> 335
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> tEGFR
<400> 16
Arg Lys Val Cys Asn Gly Ile Gly Ile Gly Glu Phe Lys Asp Ser Leu
1 5 10 15
Ser Ile Asn Ala Thr Asn Ile Lys His Phe Lys Asn Cys Thr Ser Ile
20 25 30
Ser Gly Asp Leu His Ile Leu Pro Val Ala Phe Arg Gly Asp Ser Phe
35 40 45
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50 55 60
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85 90 95
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145 150 155 160
Arg Gly Glu Asn Ser Cys Lys Ala Thr Gly Gln Val Cys His Ala Leu
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180 185 190
Cys Arg Asn Val Ser Arg Gly Arg Glu Cys Val Asp Lys Cys Asn Leu
195 200 205
Leu Glu Gly Glu Pro Arg Glu Phe Val Glu Asn Ser Glu Cys Ile Gln
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Cys His Pro Glu Cys Leu Pro Gln Ala Met Asn Ile Thr Cys Thr Gly
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Arg Gly Pro Asp Asn Cys Ile Gln Cys Ala His Tyr Ile Asp Gly Pro
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Leu Val Trp Lys Tyr Ala Asp Ala Gly His Val Cys His Leu Cys His
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<220>
<223> T2A
<400> 17
Glu Gly Arg Gly Ser Leu Leu Thr Cys Gly Asp Val Glu Glu Asn Pro
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Gly Pro
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<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> CD8 alpha signal peptide
<400> 18
Met Ala Leu Pro Val Thr Ala Leu Leu Leu Pro Leu Ala Leu Leu Leu
1 5 10 15
His Ala
<210> 19
<211> 22
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> P2A
<400> 19
Gly Ser Gly Ala Thr Asn Phe Ser Leu Leu Lys Gln Ala Gly Asp Val
1 5 10 15
Glu Glu Asn Pro Gly Pro
20
<210> 20
<211> 19
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> P2A
<400> 20
Ala Thr Asn Phe Ser Leu Leu Lys Gln Ala Gly Asp Val Glu Glu Asn
1 5 10 15
Pro Gly Pro
<210> 21
<211> 20
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> E2A
<400> 21
Gln Cys Thr Asn Tyr Ala Leu Leu Lys Leu Ala Gly Asp Val Glu Ser
1 5 10 15
Asn Pro Gly Pro
20
<210> 22
<211> 22
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> F2A
<400> 22
Val Lys Gln Thr Leu Asn Phe Asp Leu Leu Lys Leu Ala Gly Asp Val
1 5 10 15
Glu Ser Asn Pro Gly Pro
20
<210> 23
<211> 10
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Linker
<220>
<221> REPEAT
<222> (5)...(9)
<223> SGGGG is repeated 5 times
<400> 23
Pro Gly Gly Gly Ser Gly Gly Gly Gly Pro
1 5 10
<210> 24
<211> 17
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Linker
<400> 24
Gly Ser Ala Asp Asp Ala Lys Lys Asp Ala Ala Lys Lys Asp Gly Lys
1 5 10 15
Ser
<210> 25
<211> 66
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> GMCSFR alpha chain signal sequence
<400> 25
atgcttctcc tggtgacaag ccttctgctc tgtgagttac cacacccagc attcctcctg 60
atccca 66
<210> 26
<211> 22
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> GMCSFR alpha chain signal sequence
<400> 26
Met Leu Leu Leu Val Thr Ser Leu Leu Leu Cys Glu Leu Pro His Pro
1 5 10 15
Ala Phe Leu Leu Ile Pro
20
<210> 27
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Hinge
<400> 27
Glu Arg Lys Cys Cys Val Glu Cys Pro Pro Cys Pro
1 5 10
<210> 28
<211> 61
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Hinge
<400> 28
Glu Leu Lys Thr Pro Leu Gly Asp Thr His Thr Cys Pro Arg Cys Pro
1 5 10 15
Glu Pro Lys Ser Cys Asp Thr Pro Pro Pro Cys Pro Arg Cys Pro Glu
20 25 30
Pro Lys Ser Cys Asp Thr Pro Pro Pro Cys Pro Arg Cys Pro Glu Pro
35 40 45
Lys Ser Cys Asp Thr Pro Pro Pro Cys Pro Arg Cys Pro
50 55 60
<210> 29
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Hinge
<400> 29
Glu Ser Lys Tyr Gly Pro Pro Cys Pro Ser Cys Pro
1 5 10
<210> 30
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Hinge
<400> 30
Glu Ser Lys Tyr Gly Pro Pro Cys Pro Pro Cys Pro
1 5 10
<210> 31
<211> 9
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Hinge
<400> 31
Tyr Gly Pro Pro Cys Pro Pro Cys Pro
1 5
<210> 32
<211> 10
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Hinge
<400> 32
Lys Tyr Gly Pro Pro Cys Pro Pro Cys Pro
1 5 10
<210> 33
<211> 14
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Hinge
<400> 33
Glu Val Val Val Lys Tyr Gly Pro Pro Cys Pro Pro Cys Pro
1 5 10
<210> 34
<211> 9
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> FMC63 LC-CDR3
<400> 34
Gln Gln Gly Asn Thr Leu Pro Tyr Thr
1 5
<210> 35
<211> 11
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> FMC63 CDR L1
<400> 35
Arg Ala Ser Gln Asp Ile Ser Lys Tyr Leu Asn
1 5 10
<210> 36
<211> 7
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> FMC63 CDR L2
<400> 36
Ser Arg Leu His Ser Gly Val
1 5
<210> 37
<211> 9
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> FMC63 CDR L3
<400> 37
Gly Asn Thr Leu Pro Tyr Thr Phe Gly
1 5
<210> 38
<211> 5
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> FMC63 CDR H1
<400> 38
Asp Tyr Gly Val Ser
1 5
<210> 39
<211> 16
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> FMC63 CDR H2
<400> 39
Val Ile Trp Gly Ser Glu Thr Thr Tyr Tyr Asn Ser Ala Leu Lys Ser
1 5 10 15
<210> 40
<211> 7
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> FMC63 CDR H3
<400> 40
Tyr Ala Met Asp Tyr Trp Gly
1 5
<210> 41
<211> 120
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> FMC63 VH
<400> 41
Glu Val Lys Leu Gln Glu Ser Gly Pro Gly Leu Val Ala Pro Ser Gln
1 5 10 15
Ser Leu Ser Val Thr Cys Thr Val Ser Gly Val Ser Leu Pro Asp Tyr
20 25 30
Gly Val Ser Trp Ile Arg Gln Pro Pro Arg Lys Gly Leu Glu Trp Leu
35 40 45
Gly Val Ile Trp Gly Ser Glu Thr Thr Tyr Tyr Asn Ser Ala Leu Lys
50 55 60
Ser Arg Leu Thr Ile Ile Lys Asp Asn Ser Lys Ser Gln Val Phe Leu
65 70 75 80
Lys Met Asn Ser Leu Gln Thr Asp Asp Thr Ala Ile Tyr Tyr Cys Ala
85 90 95
Lys His Tyr Tyr Tyr Gly Gly Ser Tyr Ala Met Asp Tyr Trp Gly Gln
100 105 110
Gly Thr Ser Val Thr Val Ser Ser
115 120
<210> 42
<211> 107
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> FMC63 VL
<400> 42
Asp Ile Gln Met Thr Gln Thr Thr Ser Ser Leu Ser Ala Ser Leu Gly
1 5 10 15
Asp Arg Val Thr Ile Ser Cys Arg Ala Ser Gln Asp Ile Ser Lys Tyr
20 25 30
Leu Asn Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Asp Gly Thr Val Lys Leu Leu Ile
35 40 45
Tyr His Thr Ser Arg Leu His Ser Gly Val Pro Ser Arg Phe Ser Gly
50 55 60
Ser Gly Ser Gly Thr Asp Tyr Ser Leu Thr Ile Ser Asn Leu Glu Gln
65 70 75 80
Glu Asp Ile Ala Thr Tyr Phe Cys Gln Gln Gly Asn Thr Leu Pro Tyr
85 90 95
Thr Phe Gly Gly Gly Thr Lys Leu Glu Ile Thr
100 105
<210> 43
<211> 245
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> FMC63 scFv
<400> 43
Asp Ile Gln Met Thr Gln Thr Thr Ser Ser Leu Ser Ala Ser Leu Gly
1 5 10 15
Asp Arg Val Thr Ile Ser Cys Arg Ala Ser Gln Asp Ile Ser Lys Tyr
20 25 30
Leu Asn Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Asp Gly Thr Val Lys Leu Leu Ile
35 40 45
Tyr His Thr Ser Arg Leu His Ser Gly Val Pro Ser Arg Phe Ser Gly
50 55 60
Ser Gly Ser Gly Thr Asp Tyr Ser Leu Thr Ile Ser Asn Leu Glu Gln
65 70 75 80
Glu Asp Ile Ala Thr Tyr Phe Cys Gln Gln Gly Asn Thr Leu Pro Tyr
85 90 95
Thr Phe Gly Gly Gly Thr Lys Leu Glu Ile Thr Gly Ser Thr Ser Gly
100 105 110
Ser Gly Lys Pro Gly Ser Gly Glu Gly Ser Thr Lys Gly Glu Val Lys
115 120 125
Leu Gln Glu Ser Gly Pro Gly Leu Val Ala Pro Ser Gln Ser Leu Ser
130 135 140
Val Thr Cys Thr Val Ser Gly Val Ser Leu Pro Asp Tyr Gly Val Ser
145 150 155 160
Trp Ile Arg Gln Pro Pro Arg Lys Gly Leu Glu Trp Leu Gly Val Ile
165 170 175
Trp Gly Ser Glu Thr Thr Tyr Tyr Asn Ser Ala Leu Lys Ser Arg Leu
180 185 190
Thr Ile Ile Lys Asp Asn Ser Lys Ser Gln Val Phe Leu Lys Met Asn
195 200 205
Ser Leu Gln Thr Asp Asp Thr Ala Ile Tyr Tyr Cys Ala Lys His Tyr
210 215 220
Tyr Tyr Gly Gly Ser Tyr Ala Met Asp Tyr Trp Gly Gln Gly Thr Ser
225 230 235 240
Val Thr Val Ser Ser
245
<210> 44
<211> 11
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> SJ25C1 CDR L1
<400> 44
Lys Ala Ser Gln Asn Val Gly Thr Asn Val Ala
1 5 10
<210> 45
<211> 7
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> SJ25C1 CDR L2
<400> 45
Ser Ala Thr Tyr Arg Asn Ser
1 5
<210> 46
<211> 9
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> SJ25C1 CDR L3
<400> 46
Gln Gln Tyr Asn Arg Tyr Pro Tyr Thr
1 5
<210> 47
<211> 5
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> SJ25C1 CDR H1
<400> 47
Ser Tyr Trp Met Asn
1 5
<210> 48
<211> 17
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> SJ25C1 CDR H2
<400> 48
Gln Ile Tyr Pro Gly Asp Gly Asp Thr Asn Tyr Asn Gly Lys Phe Lys
1 5 10 15
Gly
<210> 49
<211> 13
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> SJ25C1 CDR H3
<400> 49
Lys Thr Ile Ser Ser Val Val Asp Phe Tyr Phe Asp Tyr
1 5 10
<210> 50
<211> 122
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> SJ25C1 VH
<400> 50
Glu Val Lys Leu Gln Gln Ser Gly Ala Glu Leu Val Arg Pro Gly Ser
1 5 10 15
Ser Val Lys Ile Ser Cys Lys Ala Ser Gly Tyr Ala Phe Ser Ser Tyr
20 25 30
Trp Met Asn Trp Val Lys Gln Arg Pro Gly Gln Gly Leu Glu Trp Ile
35 40 45
Gly Gln Ile Tyr Pro Gly Asp Gly Asp Thr Asn Tyr Asn Gly Lys Phe
50 55 60
Lys Gly Gln Ala Thr Leu Thr Ala Asp Lys Ser Ser Ser Thr Ala Tyr
65 70 75 80
Met Gln Leu Ser Gly Leu Thr Ser Glu Asp Ser Ala Val Tyr Phe Cys
85 90 95
Ala Arg Lys Thr Ile Ser Ser Val Val Asp Phe Tyr Phe Asp Tyr Trp
100 105 110
Gly Gln Gly Thr Thr Val Thr Val Ser Ser
115 120
<210> 51
<211> 108
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> SJ25C1 VL
<400> 51
Asp Ile Glu Leu Thr Gln Ser Pro Lys Phe Met Ser Thr Ser Val Gly
1 5 10 15
Asp Arg Val Ser Val Thr Cys Lys Ala Ser Gln Asn Val Gly Thr Asn
20 25 30
Val Ala Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Gly Gln Ser Pro Lys Pro Leu Ile
35 40 45
Tyr Ser Ala Thr Tyr Arg Asn Ser Gly Val Pro Asp Arg Phe Thr Gly
50 55 60
Ser Gly Ser Gly Thr Asp Phe Thr Leu Thr Ile Thr Asn Val Gln Ser
65 70 75 80
Lys Asp Leu Ala Asp Tyr Phe Cys Gln Gln Tyr Asn Arg Tyr Pro Tyr
85 90 95
Thr Ser Gly Gly Gly Thr Lys Leu Glu Ile Lys Arg
100 105
<210> 52
<211> 15
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Linker
<400> 52
Gly Gly Gly Gly Ser Gly Gly Gly Gly Ser Gly Gly Gly Gly Ser
1 5 10 15
<210> 53
<211> 245
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> SJ25C1 scFv
<400> 53
Glu Val Lys Leu Gln Gln Ser Gly Ala Glu Leu Val Arg Pro Gly Ser
1 5 10 15
Ser Val Lys Ile Ser Cys Lys Ala Ser Gly Tyr Ala Phe Ser Ser Tyr
20 25 30
Trp Met Asn Trp Val Lys Gln Arg Pro Gly Gln Gly Leu Glu Trp Ile
35 40 45
Gly Gln Ile Tyr Pro Gly Asp Gly Asp Thr Asn Tyr Asn Gly Lys Phe
50 55 60
Lys Gly Gln Ala Thr Leu Thr Ala Asp Lys Ser Ser Ser Thr Ala Tyr
65 70 75 80
Met Gln Leu Ser Gly Leu Thr Ser Glu Asp Ser Ala Val Tyr Phe Cys
85 90 95
Ala Arg Lys Thr Ile Ser Ser Val Val Asp Phe Tyr Phe Asp Tyr Trp
100 105 110
Gly Gln Gly Thr Thr Val Thr Val Ser Ser Gly Gly Gly Gly Ser Gly
115 120 125
Gly Gly Gly Ser Gly Gly Gly Gly Ser Asp Ile Glu Leu Thr Gln Ser
130 135 140
Pro Lys Phe Met Ser Thr Ser Val Gly Asp Arg Val Ser Val Thr Cys
145 150 155 160
Lys Ala Ser Gln Asn Val Gly Thr Asn Val Ala Trp Tyr Gln Gln Lys
165 170 175
Pro Gly Gln Ser Pro Lys Pro Leu Ile Tyr Ser Ala Thr Tyr Arg Asn
180 185 190
Ser Gly Val Pro Asp Arg Phe Thr Gly Ser Gly Ser Gly Thr Asp Phe
195 200 205
Thr Leu Thr Ile Thr Asn Val Gln Ser Lys Asp Leu Ala Asp Tyr Phe
210 215 220
Cys Gln Gln Tyr Asn Arg Tyr Pro Tyr Thr Ser Gly Gly Gly Thr Lys
225 230 235 240
Leu Glu Ile Lys Arg
245
<210> 54
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> FMC63 HC-CDR3
<400> 54
His Tyr Tyr Tyr Gly Gly Ser Tyr Ala Met Asp Tyr
1 5 10
<210> 55
<211> 7
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> FMC63 LC-CDR2
<400> 55
His Thr Ser Arg Leu His Ser
1 5
<210> 56
<211> 18
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Linker
<400> 56
Gly Ser Thr Ser Gly Ser Gly Lys Pro Gly Ser Gly Glu Gly Ser Thr
1 5 10 15
Lys Gly
<210> 57
<211> 735
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Sequence encoding scFv
<400> 57
gacatccaga tgacccagac cacctccagc ctgagcgcca gcctgggcga ccgggtgacc 60
atcagctgcc gggccagcca ggacatcagc aagtacctga actggtatca gcagaagccc 120
gacggcaccg tcaagctgct gatctaccac accagccggc tgcacagcgg cgtgcccagc 180
cggtttagcg gcagcggctc cggcaccgac tacagcctga ccatctccaa cctggaacag 240
gaagatatcg ccacctactt ttgccagcag ggcaacacac tgccctacac ctttggcggc 300
ggaacaaagc tggaaatcac cggcagcacc tccggcagcg gcaagcctgg cagcggcgag 360
ggcagcacca agggcgaggt gaagctgcag gaaagcggcc ctggcctggt ggcccccagc 420
cagagcctga gcgtgacctg caccgtgagc ggcgtgagcc tgcccgacta cggcgtgagc 480
tggatccggc agccccccag gaagggcctg gaatggctgg gcgtgatctg gggcagcgag 540
accacctact acaacagcgc cctgaagagc cggctgacca tcatcaagga caacagcaag 600
agccaggtgt tcctgaagat gaacagcctg cagaccgacg acaccgccat ctactactgc 660
gccaagcact actactacgg cggcagctac gccatggact actggggcca gggcaccagc 720
gtgaccgtga gcagc 735
<210> 58
<211> 5
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Hinge
<220>
<221> VARIANT
<222> (1)...(1)
<223> Xaa1 is glycine, cysteine or arginine
<220>
<221> VARIANT
<222> (4)...(4)
<223> Xaa4 is cysteine or threonine
<400> 58
Xaa Pro Pro Xaa Pro
1 5
<210> 59
<211> 15
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Hinge
<400> 59
Glu Pro Lys Ser Cys Asp Lys Thr His Thr Cys Pro Pro Cys Pro
1 5 10 15
記載される方法のいずれかによって作製されるアウトプット組成物または記載される薬学的組成物のいずれかを哺乳動物対象へ投与する工程を含む、処置の方法が提供される。いくつかの態様において、細胞は、細胞が投与される対象に由来する。
[本発明1001]
(a) 2~6日間、刺激条件下で、ナイーブ様T細胞および非ナイーブ様T細胞を含むT細胞の集団を含むインプット組成物をインキュベートする工程であって、該刺激条件が、TCR複合体の1つもしくは複数の構成要素の1つもしくは複数の細胞内シグナル伝達ドメインおよび/または1つもしくは複数の共刺激分子の1つもしくは複数の細胞内シグナル伝達ドメインを活性化することができる刺激試薬を含み、それによって、刺激された組成物を生成する、工程;ならびに
(b) 遺伝子操作された組換え受容体をコードする核酸を、前記刺激されたT細胞の組成物中に導入する工程であって、該導入する工程が、前記インキュベートする工程の少なくとも一部分の最中に実施される、工程
を含む、T細胞を遺伝子操作するための方法。
[本発明1002]
2~6日間、刺激条件下で、ナイーブ様T細胞および非ナイーブ様T細胞を含むT細胞の集団を含むインプット組成物をインキュベートする工程を含む、T細胞を遺伝子操作するための方法であって、
前記刺激条件が、TCR複合体の1つもしくは複数の構成要素の1つもしくは複数の細胞内シグナル伝達ドメインおよび/または1つもしくは複数の共刺激分子の1つもしくは複数の細胞内シグナル伝達ドメインを活性化することができる刺激試薬の存在を含み、それによって、刺激された組成物を生成し;かつ
刺激条件下でインプット組成物をインキュベートする工程が、遺伝子操作された組換え受容体をコードする核酸を導入する工程の前に、その最中に、および/またはその後に行われる、
方法。
[本発明1003]
前記インキュベートする工程が、少なくとも3日間実施される、本発明1001または本発明1002の方法。
[本発明1004]
前記インキュベートする工程が、少なくとも4日間実施される、本発明1001または本発明1002の方法。
[本発明1005]
前記インキュベートする工程が、少なくとも5日間実施される、本発明1001または本発明1002の方法。
[本発明1006]
前記インキュベートする工程が、少なくとも6日間実施される、本発明1001または本発明1002の方法。
[本発明1007]
(a) 刺激条件下で、培養開始量のナイーブ様T細胞またはそのCD8+ T細胞サブセットを含むT細胞を含むインプット組成物をインキュベートし、それによって、刺激された組成物を生じさせる、インキュベートする工程であって、該刺激条件が、TCR複合体の1つもしくは複数の構成要素の1つもしくは複数の細胞内シグナル伝達ドメインおよび/または1つもしくは複数の共刺激分子の1つもしくは複数の細胞内シグナル伝達ドメインを活性化することができる刺激試薬の存在を含み、それによって、刺激された組成物を生成する、工程;ならびに
(b) 遺伝子操作された組換え受容体をコードする核酸を、前記刺激された細胞組成物中に導入する工程
を含む、T細胞を刺激するための方法であって、それによって、遺伝子操作された組換え受容体を発現するT細胞を含むアウトプット組成物を生成する、方法。
[本発明1008]
前記T細胞が、ナイーブ様T細胞および非ナイーブ様T細胞を含み、前記刺激条件が、前記刺激された組成物において非ナイーブ様T細胞と比較してナイーブ様T細胞の増大または増殖を優先的に誘導する、本発明1007の方法。
[本発明1009]
前記導入する工程が、前記インキュベートする工程の少なくとも一部分の最中に実施されるか、または前記インキュベートする工程の後に実施される、本発明1007または本発明1008の方法。
[本発明1010]
前記培養開始量のナイーブ様T細胞またはそのCD8+ T細胞サブセットが、0.1×10
8
~5×10
8
個または約0.1×10
8
~5×10
8
個、0.1×10
8
~4×10
8
個または約0.1×10
8
~4×10
8
個、0.1×10
8
~2×10
8
個または約0.1×10
8
~2×10
8
個、0.1×10
8
~1×10
8
個または約0.1×10
8
~1×10
8
個、1×10
8
~5×10
8
個または約1×10
8
~5×10
8
個、1×10
8
~4×10
8
個または約1×10
8
~4×10
8
個、1×10
8
~2×10
8
個または約1×10
8
~2×10
8
個、2×10
8
~5×10
8
個または約2×10
8
~5×10
8
個、2×10
8
~4×10
8
個または約2×10
8
~4×10
8
個のナイーブ様T細胞またはそのCD8+ T細胞サブセットである、本発明1007~1009のいずれかの方法。
[本発明1011]
前記培養開始量のナイーブ様T細胞またはそのCD8+ T細胞サブセットが、少なくとも0.5×10
8
個、0.75×10
8
個、1×10
8
個、1.5×10
8
個、2×10
8
個、もしくは4×10
8
個のナイーブ様T細胞もしくはそのCD8+ T細胞サブセットであるか、または少なくとも約0.5×10
8
個、0.75×10
8
個、1×10
8
個、1.5×10
8
個、2×10
8
個、もしくは4×10
8
個のナイーブ様T細胞もしくはそのCD8+ T細胞サブセットであるか、または0.5×10
8
個、0.75×10
8
個、1×10
8
個、1.5×10
8
個、2×10
8
個、もしくは4×10
8
個のナイーブ様T細胞もしくはそのCD8+ T細胞サブセットであるか、または約0.5×10
8
個、0.75×10
8
個、1×10
8
個、1.5×10
8
個、2×10
8
個、もしくは4×10
8
個のナイーブ様T細胞もしくはそのCD8+ T細胞サブセットである、本発明1007~1010のいずれかの方法。
[本発明1012]
前記培養開始量のナイーブ様T細胞またはそのCD8+ T細胞サブセットが、少なくとも2×10
8
個のナイーブ様T細胞もしくはそのCD8+ T細胞サブセットであるか、または少なくとも約2×10
8
個のナイーブ様T細胞もしくはそのCD8+ T細胞サブセットであるか、または2×10
8
個のナイーブ様T細胞もしくはそのCD8+ T細胞サブセットであるか、または約2×10
8
個のナイーブ様T細胞もしくはそのCD8+ T細胞サブセットである、本発明1007~1011のいずれかの方法。
[本発明1013]
刺激条件下で、1×10
8
~4×10
8
個または約1×10
8
~4×10
8
個のナイーブ様T細胞またはそのCD8+ T細胞サブセットである培養開始量のナイーブ様T細胞またはそのCD8+ T細胞サブセットを含むT細胞を含むインプット組成物をインキュベートし、それによって、刺激された組成物を生じさせる、インキュベートする工程であって、該刺激条件が、TCR複合体の1つもしくは複数の構成要素の1つもしくは複数の細胞内シグナル伝達ドメインおよび/または1つもしくは複数の共刺激分子の1つもしくは複数の細胞内シグナル伝達ドメインを活性化することができる刺激試薬の存在を含み、それによって、刺激された組成物を生成する、工程
を含む、T細胞を刺激するための方法。
[本発明1014]
前記T細胞が、ナイーブ様T細胞および非ナイーブ様T細胞を含み、前記刺激条件が、前記刺激された組成物において非ナイーブ様T細胞と比較してナイーブ様T細胞の増大または増殖を優先的に誘導する、本発明1013の方法。
[本発明1015]
前記培養開始量のナイーブ様T細胞またはそのCD8+ T細胞サブセットが、少なくとも2×10
8
個のナイーブ様T細胞もしくはそのCD8+ T細胞サブセットであるか、または少なくとも約2×10
8
個のナイーブ様T細胞もしくはそのCD8+ T細胞サブセットであるか、または2×10
8
個のナイーブ様T細胞もしくはそのCD8+ T細胞サブセットであるか、または約2×10
8
個のナイーブ様T細胞もしくはそのCD8+ T細胞サブセットである、本発明1013または本発明1014の方法。
[本発明1016]
前記培養開始量が、ナイーブ様CD8+ T細胞の量である、本発明1007~1015のいずれかの方法。
[本発明1017]
前記ナイーブ様T細胞またはナイーブ様CD8+ T細胞が、
CD45RA、CD27、CD28、およびCCR7からなる群より選択されるT細胞活性化マーカーについて表面陽性である;かつ/または
CD25、CD45RO、CD56、CD62L、KLRG1からなる群より選択されるマーカーについて表面陰性である;かつ/または
低発現のCD95を有する:かつ/または
IL-2、IFN-γ、IL-4、IL-10からなる群より選択されるサイトカインの細胞内発現について陰性である、
本発明1001~1016のいずれかの方法。
[本発明1018]
前記ナイーブ様細胞またはナイーブ様CD8+細胞が、
CD45RA、CD27、CD28、およびCCR7からなる群より選択されるT細胞活性化マーカーについて表面陽性である;かつ/または
CD45RO、CD56、KLRG1からなる群より選択されるマーカーについて表面陰性である;かつ/または
低発現のCD95を有する、
本発明1001~1016のいずれかの方法。
[本発明1019]
前記ナイーブ様T細胞またはナイーブ様CD8+細胞が、CD45RA+、CD27+、CCR7+、および/またはCD45RO-である、本発明1001~1018のいずれかの方法。
[本発明1020]
前記非ナイーブ様T細胞が、
CD45RA、CD27、CD28、およびCCR7からなる群より選択されるT細胞活性化マーカーについて表面陰性である;かつ/または
CD25、CD45RO、CD56、CD62L、KLRG1、およびパーフォリンからなる群より選択されるマーカーについて表面陽性である;かつ/または
IL-2、IFN-γ、IL-4、IL-10からなる群より選択されるサイトカインの細胞内発現について陽性である;かつ/または
高発現のCD95を有する、
本発明1001~1007、1008~1012、および1014~1019のいずれかの方法。
[本発明1021]
前記非ナイーブ様T細胞が、CD45RA-、CD27-、CCR7-、および/またはCD45RO+である、本発明1001~1007、1008~1012、および1014~1020のいずれかの方法。
[本発明1022]
前記インプット組成物の細胞が、前記インキュベーションの前に、ナイーブ様T細胞と非ナイーブ様T細胞とを区別する内在性T細胞表面マーカーに基づく選択工程に供されていないまたは供されない、本発明1001~1021のいずれかの方法。
[本発明1023]
遺伝子操作された組換え受容体を、前記刺激された細胞中に導入する工程をさらに含み、それによって、遺伝子操作された組換え受容体を発現するT細胞を含むアウトプット組成物を生成する、本発明1013~1022のいずれかの方法。
[本発明1024]
刺激条件下で組成物をインキュベートする工程が、遺伝子操作された組換え受容体をコードする核酸を導入する工程の前に、その最中に、および/またはその後に行われる、本発明1023の方法。
[本発明1025]
前記組換え受容体が、
ある疾患、障害、または状態の、細胞または組織に関連している、それに特異的である、かつ/またはその上に発現している標的抗原
に結合することができる、本発明1001~1012および1023~1024のいずれかの方法。
[本発明1026]
前記疾患、障害、または状態が、感染性疾患もしくは障害、自己免疫疾患、炎症性疾患、または腫瘍もしくはがんである、本発明1025の方法。
[本発明1027]
前記標的抗原が腫瘍抗原である、本発明1025または本発明1026の方法。
[本発明1028]
前記標的抗原が、αvβ6インテグリン(avb6インテグリン)、B細胞成熟抗原(BCMA)、炭酸アンヒドラーゼ9(CAIX)、Her2/neu(受容体チロシンキナーゼerbB2)、L1-CAM、B7-H3、B7-H6、炭酸アンヒドラーゼ9(CA9;CAIXまたはG250としても知られる)、がん-精巣抗原、がん/精巣抗原1B(CTAG;NY-ESO-1およびLAGE-2としても知られる)、がん胎児性抗原(CEA)、およびB型肝炎表面抗原、抗葉酸受容体、サイクリン、サイクリンA2、C-Cモチーフケモカインリガンド1(CCL-1)、CD19、CD20、CD22、CD23、CD24、CD30、CD33、CD38、CD44、CD44v6、CD44v7/8、CD123、CD133、CD138、CD171、コンドロイチン硫酸プロテオグリカン4(CSPG4)、上皮成長因子タンパク質(EGFR)、上皮糖タンパク質2(EPG-2)、上皮糖タンパク質40(EPG-40)、エフリンB2、エフリン受容体A2(EPHa2)、erb-B2、erb-B3、erb-B4、erbB二量体、III型上皮成長因子受容体変異(EGFR vIII)、葉酸結合タンパク質(FBP)、Fc受容体様5(FCRL5;Fc受容体ホモログ5またはFCRH5としても知られる)、胎児アセチルコリン受容体(胎児AchR)、葉酸結合タンパク質(FBP)、葉酸受容体α、ガングリオシドGD2、O-アセチル化GD2(OGD2)、ガングリオシドGD3、グリピカン-3(GPC3)、Gタンパク質共役受容体5D(GPRC5D)、Her2/neu(受容体チロシンキナーゼerbB2)、Her3(erb-B3)、Her4(erb-B4)、erbB二量体、ヒト高分子量黒色腫関連抗原(HMW-MAA)、B型肝炎表面抗原、ヒト白血球抗原A1(HLA-A1)、ヒト白血球抗原A2(HLA-A2)、IL-22受容体α(IL-22R-α)、IL-13R-アルファ2(IL-13Rα2)、キナーゼインサートドメイン受容体(kdr)、κ軽鎖、ルイスY、L1細胞接着分子(L1-CAM)、L1-CAMのCE7エピトープ、ロイシンリッチリピート含有8ファミリーメンバーA(LRRC8A)、ルイスY、黒色腫関連抗原(MAGE)-A1、MAGE-A3、MAGE-A6、MAGE-A10、メソテリン(MSLN)、c-Met、マウスサイトメガロウイルス(CMV)、ムチン1(MUC1)、MUC16、ナチュラルキラーグループ2メンバーD(NKG2D)リガンド、メランA(MART-1)、神経細胞接着分子(NCAM)、胎児腫瘍性抗原、黒色腫の優先発現抗原(PRAME)、プロゲステロン受容体、前立腺特異抗原、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、受容体チロシンキナーゼ様オーファン受容体1(ROR1)、サバイビン、栄養膜糖タンパク質(TPBG;5T4としても知られる)、腫瘍関連糖タンパク質72(TAG72)、チロシナーゼ関連タンパク質1(TRP1;TYRP1またはgp75としても知られる)、チロシナーゼ関連タンパク質2(TRP2;ドパクロムトートメラーゼ、ドパクロムデルタ-イソメラーゼ、またはDCTとしても知られる)、葉酸受容体-a、8H9、二重抗原、糖タンパク質100(gp100)、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)、血管内皮増殖因子受容体2(VEGF-R2)、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、ウィルムス腫瘍1(WT-1)、病原体特異的または病原体発現抗原、およびユニバーサルタグに関連する抗原の中から選択される、本発明1025~1027のいずれかの方法。
[本発明1029]
前記組換え受容体が、機能的非TCR抗原受容体もしくはTCRまたはその抗原結合断片であるかまたはそれを含む、本発明1001~1012および1023~1028のいずれかの方法。
[本発明1030]
前記組換え受容体がキメラ抗原受容体(CAR)である、本発明1001~1012および1023~1029のいずれかの方法。
[本発明1031]
前記組換え受容体が、標的抗原に特異的に結合する抗原結合ドメインを含む細胞外ドメインと、ITAMを含む細胞内シグナル伝達ドメインとを含む、本発明1001~1012および1023~1030のいずれかの方法。
[本発明1032]
前記抗原結合ドメインが、抗体、または任意で一本鎖断片であるその抗体断片であるかまたはそれを含む、本発明1031の方法。
[本発明1033]
前記細胞内シグナル伝達ドメインが、CD3鎖、任意でCD3-ゼータ(CD3ζ)鎖の細胞内シグナル伝達ドメイン、またはそのシグナル伝達部分であるかまたはそれを含む、本発明1031または本発明1032の方法。
[本発明1034]
細胞内シグナル伝達領域が、共刺激シグナル伝達領域をさらに含む、本発明1031~1033のいずれかの方法。
[本発明1035]
前記共刺激シグナル伝達領域が、T細胞共刺激分子の細胞内シグナル伝達ドメインまたはそのシグナル伝達部分を含む、本発明1034の方法。
[本発明1036]
前記共刺激シグナル伝達領域が、CD28、4-1BB、もしくはICOSの細胞内シグナル伝達ドメインまたはそのシグナル伝達部分を含む、本発明1034または本発明1035の方法。
[本発明1037]
前記CARが、抗原に特異的なscFv、膜貫通ドメイン、任意で4-1BBであるかもしくはそれを含む共刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメイン、および、任意でCD3ζシグナル伝達ドメインであるかもしくはそれを含む、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインを含み、かつ任意で、膜貫通ドメインとscFvとの間にスペーサーをさらに含む;
前記CARが、順番に、抗原に特異的なscFv、膜貫通ドメイン、任意で4-1BBシグナル伝達ドメインであるかもしくはそれを含む、共刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメイン、および、任意でCD3ζシグナル伝達ドメインである、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインを含む;または
前記CARが、順番に、抗原に特異的なscFv、スペーサー、膜貫通ドメイン、任意で4-1BBシグナル伝達ドメインである、共刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメイン、および、任意でCD3ζシグナル伝達ドメインであるかもしくはそれを含む、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインを含む、
本発明1030~1036のいずれかの方法。
[本発明1038]
前記刺激試薬が、TCR複合体のメンバーに特異的に結合する一次作用物質を含む、本発明1001~1037のいずれかの方法。
[本発明1039]
前記刺激試薬が、CD3に特異的に結合する一次試薬を含む、本発明1001~1038のいずれかの方法。
[本発明1040]
前記一次作用物質が、抗体または抗原結合断片である、本発明1038または本発明1039の方法。
[本発明1041]
前記刺激物質が、T細胞共刺激分子に特異的に結合する二次作用物質をさらに含み、任意で、該共刺激分子が、CD28、CD137(4-1-BB)、OX40、またはICOSからなる群より選択される、本発明1038または本発明1039の方法。
[本発明1042]
前記一次作用物質が、抗体または抗原結合断片である、本発明1041の方法。
[本発明1043]
前記刺激試薬が、抗CD3抗体である一次作用物質と、抗CD28抗体である二次作用物質とを含む、本発明1001~1040のいずれかの方法。
[本発明1044]
前記一次物および/または二次物が、固体支持体の表面上に存在する、本発明1038~1043のいずれかの方法。
[本発明1045]
前記固体支持体が、ビーズであるかまたはそれを含む、本発明1044の方法。
[本発明1046]
前記ビーズが、3.5μmよりも大きいかまたは約3.5μmよりも大きいが、約9μm以下または約8μm以下または約7μm以下または約6μm以下または約5μm以下の直径を含む、本発明1045の方法。
[本発明1047]
前記ビーズが、4.5μmのまたは約4.5μmの直径を含む、本発明1045または本発明1046の方法。
[本発明1048]
前記ビーズが、リンパ球または抗原提示細胞と同じサイズである直径、またはほぼ同じサイズである直径を含む、本発明1045~1047のいずれかの方法。
[本発明1049]
前記ビーズが不活性である、本発明1045~1048のいずれかの方法。
[本発明1050]
前記ビーズが、ポリスチレン表面であるかまたはそれを含む、本発明1045~1049のいずれかの方法。
[本発明1051]
前記ビーズが、磁性または超常磁性コアを含む、本発明1045~1050のいずれかの方法。
[本発明1052]
前記刺激条件が、1:1~10:1または約1:1~10:1、1:1~8:1または約1:1~8:1、1:1~6:1または約1:1~6:1、1:1~4:1または約1:1~4:1、1:1~3:1または約1:1~3:1、2:1~4:1または約2:1~4:1、2:1~3:1または約2:1~3:1、1:1~2:1または約1:1~2:1、4:1~10:1または約4:1~10:1、4:1~8:1または約4:1~8:1、4:1~6:1または約4:1~6:1、6:1~10:1または約6:1~10:1、6:1~8:1または約6:1~8:1、8:1~10:1または約8:1~10:1、1:1~1:10または約1:1~1:10、1:1~1:8または約1:1~1:8、1:1~1:6または約1:1~1:6、1:1~1:4または約1:1~1:4、1:2~1:3または約1:2~1:3であるビーズ対細胞の比で、細胞をインキュベートすることを含む、本発明1045~1051のいずれかの方法。
[本発明1053]
(a) 2~6日間、刺激条件下で、ナイーブ様T細胞および非ナイーブ様T細胞を含むT細胞の集団を含むインプット組成物をインキュベートする工程であって、該刺激条件が、ビーズに付着している、抗CD3抗体と抗CD28抗体である二次作用物質とを含む刺激試薬を含み、該インキュベートする工程中のビーズ対細胞の比が、1:1~4:1または約1:1~4:1である、工程;ならびに
(b) 遺伝子操作された組換え受容体をコードする核酸を、前記刺激されたT細胞の組成物中に導入する工程であって、該導入する工程が、前記インキュベートする工程の少なくとも一部分の最中に実施される、工程
を含む、T細胞を遺伝子操作するための方法。
[本発明1054]
2~6日間、刺激条件下で、ナイーブ様T細胞および非ナイーブ様T細胞を含むT細胞の集団を含むインプット組成物をインキュベートする工程を含む、T細胞を遺伝子操作するための方法であって、
前記刺激条件が、ビーズに付着している、抗CD3抗体と抗CD28抗体である二次作用物質とを含む刺激試薬を含み、前記インキュベートする工程中のビーズ対細胞の比が、1:1~4:1または約1:1~4:1であり;かつ
刺激条件下でインプット組成物をインキュベートする工程が、遺伝子操作された組換え受容体をコードする核酸を導入する工程の前に、その最中に、および/またはその後に行われる、方法。
[本発明1055]
前記ビーズ対細胞の比が、3:1からまたは約3:1からである、本発明1052~1054のいずれかの方法。
[本発明1056]
前記ビーズ対細胞の比が、1:1からまたは約1:1からである、本発明1052~1054のいずれかの方法。
[本発明1057]
前記T細胞が、生物学的試料由来であり、任意で、該生物学的試料が、ヒト対象由来である、本発明1001~1056のいずれかの方法。
[本発明1058]
前記生物学的試料が、全血試料、バフィーコート試料、末梢血単核細胞(PBMC)試料、未分画T細胞試料、リンパ球試料、白血球試料、アフェレーシス産物、または白血球アフェレーシス産物であるかまたはそれを含む、本発明1057の方法。
[本発明1059]
前記T細胞が、CD4+および/またはCD8+細胞を含む、本発明1001~1058のいずれかの方法。
[本発明1060]
前記T細胞が、CD4+およびCD8+ T細胞を含み、かつCD4+対CD8+のT細胞の比が、2:1または約2:1~1:5または約1:5である、本発明1001~1059のいずれかの方法。
[本発明1061]
前記T細胞が、CD4+およびCD8+ T細胞を含み、かつCD4+細胞対CD8+細胞の比が、1:1、1:2、2:1、1:3、もしくは3:1であるか、または約1:1、約1:2、約2:1、約1:3、もしくは約3:1である、本発明1001~1060のいずれかの方法。
[本発明1062]
前記ナイーブ様T細胞が、ナイーブ様CD4+ T細胞および/またはナイーブ様CD8+ T細胞を含む、本発明1001~1061のいずれかの方法。
[本発明1063]
前記ナイーブ様T細胞がポリクローナルである、本発明1001~1062のいずれかの方法。
[本発明1064]
前記刺激条件が、N-アセチルシステイン(NAC)を含まない、本発明1001~1063のいずれかの方法。
[本発明1065]
前記刺激条件が、IL-15および/またはIL-7を含まない、本発明1001~1063のいずれかの方法。
[本発明1066]
前記刺激条件が、死または非ナイーブ様T細胞またはその亜集団を結果としてもたらすかまたは誘導する、本発明1001~1065のいずれかの方法。
[本発明1067]
前記刺激条件が、非ナイーブ様T細胞またはその亜集団の活性化誘導細胞死(AICD)を結果としてもたらす、本発明1001~1066のいずれかの方法。
[本発明1068]
前記インキュベーションの最中におよび/または前記刺激された組成物に、DNアーゼを添加する工程をさらに含む、本発明1001~1067のいずれかの方法。
[本発明1069]
前記インキュベーションが、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、もしくは16日間よりも長く、または約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、もしくは約16日間実施される、本発明1007~1065のいずれかの方法。
[本発明1070]
前記刺激された組成物における、ナイーブ様T細胞に由来する細胞のパーセントが、前記インプット組成物におけるナイーブ様細胞のパーセントと比較して、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、50倍、100倍よりも大きく、または約1.5倍、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約7倍、約8倍、約9倍、約10倍、約50倍、約100倍よりも大きく増加している、本発明1001~1069のいずれかの方法。
[本発明1071]
前記刺激された組成物における、非ナイーブ様T細胞に由来する細胞と比較したナイーブ様T細胞に由来する細胞の比が、前記インプット組成物における非ナイーブ様T細胞と比較したナイーブ様T細胞の比と比較して、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、50倍、100倍よりも大きく、または約1.5倍、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約7倍、約8倍、約9倍、約10倍、約50倍、約100倍よりも大きく増加している、本発明1001~1070のいずれかの方法。
[本発明1072]
前記刺激された組成物が、75%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%よりも多くの、前記インプット組成物のナイーブ様T細胞に由来する細胞を含む、本発明1001~1071のいずれかの方法。
[本発明1073]
前記刺激された組成物が、10%未満の、非ナイーブ様T細胞に由来する細胞を含む、本発明1001~1072のいずれかの方法。
[本発明1074]
前記刺激された組成物が、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、または0.1%未満の、非ナイーブT細胞に由来する細胞を含む、本発明1001~1073のいずれかの方法。
[本発明1075]
前記インプット組成物における細胞のうち、非ナイーブ様T細胞と比較してより大きなパーセンテージのナイーブ様T細胞が、増殖するようにかつ/または活性化されるように誘導される、本発明1001~1074のいずれかの方法。
[本発明1076]
前記インプット組成物において非ナイーブ様であったT細胞のパーセンテージと比較してより大きなパーセンテージの、前記インプット組成物においてナイーブ様であったT細胞が、前記インキュベーションの開始後1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10日目に分裂している、本発明1001~1075のいずれかの方法。
[本発明1077]
前記刺激条件が、該条件下でのインキュベーションの開始後1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10日目に、ヒト非ナイーブ様T細胞と比較してより大きなパーセンテージの、ヒトナイーブ様T細胞集団の細胞の増殖を誘導することができる、本発明1001~1076のいずれかの方法。
[本発明1078]
(i) 非ナイーブ様T細胞が、エフェクターT(T
EFF
)細胞、メモリーT細胞、セントラルメモリーT細胞(T
CM
)、エフェクターメモリーT(T
EM
)細胞、およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるか、または(ii) 非ナイーブ様T細胞が、エフェクターT(T
EFF
)細胞および/もしくはメモリーT細胞を含むかもしくはそれからなる複数のT細胞であり、該メモリーT細胞がセントラルメモリーT細胞(T
CM
)および/もしくはエフェクターメモリーT(T
EM
)細胞を任意で含む、本発明1001~1077のいずれかの方法。
[本発明1079]
前記インプット組成物におけるナイーブ様T細胞のパーセンテージが、前記インプット組成物におけるナイーブ様T細胞に由来する、前記刺激された組成物における操作された細胞のパーセンテージより小さい、本発明1001~1078のいずれかの方法。
[本発明1080]
核酸が導入された細胞のうちのより大きなパーセンテージが、前記インプット組成物における非ナイーブ様T細胞と比較した、前記インプット組成物におけるナイーブ様T細胞であるか、またはその増殖に由来する、本発明1001~1012および1023~1079のいずれかの方法。
[本発明1081]
前記導入が、組換え受容体をコードする核酸を含むウイルスベクターでの形質導入による、本発明1001~1012および1023~1080のいずれかの方法。
[本発明1082]
前記ウイルスベクターが、レトロウイルスベクターである、本発明1081の方法。
[本発明1083]
前記ウイルスベクターが、レンチウイルスベクターまたはガンマレトロウイルスベクターである、本発明1081または本発明1082の方法。
[本発明1084]
前記刺激された組成物における非ナイーブ様T細胞と比較したナイーブ様T細胞の比が、前記インプット組成物における非ナイーブ様T細胞と比較したナイーブ様T細胞の比と比較して、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍 、7倍、8倍、9倍、10倍、50倍、100倍よりも大きく、または約1.5倍、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍 、約7倍、約8倍、約9倍、約10倍、約50倍、約100倍よりも大きく増加している、本発明1001~1083のいずれかの方法。
[本発明1085]
前記刺激された組成物が、前記インプット組成物と比較してよりポリクローナルまたはマルチクローナルである、本発明1001~1084のいずれかの方法。
[本発明1086]
インビトロまたはエクスビボで行われる、本発明1001~1085のいずれかの方法。
[本発明1087]
本発明1001~1086のいずれかの方法によって作製される、アウトプット組成物。
[本発明1088]
本発明1087のアウトプット組成物を含む、薬学的組成物。
[本発明1089]
薬学的担体をさらに含む、本発明1088の薬学的組成物。
[本発明1090]
本発明1001~1006のいずれかの方法によって作製されるアウトプット組成物を、または本発明1088もしくは本発明1089の薬学的組成物を、哺乳動物対象へ投与する工程を含む、処置の方法。
[本発明1091]
細胞が、該細胞が投与される対象に由来する、本発明1090の方法。