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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023055898
(43)【公開日】2023-04-18
(54)【発明の名称】ETC路側装置及び料金収受方法
(51)【国際特許分類】
   G07B 15/00 20110101AFI20230411BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20230411BHJP
【FI】
G07B15/00 L
G07B15/00 510
G08G1/09 F
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015536
(22)【出願日】2023-02-03
(62)【分割の表示】P 2018225718の分割
【原出願日】2018-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 尚代
(57)【要約】      (修正有)
【課題】割引サービスの適用と料金収受処理をバランス良く実現することが可能なETC路側装置を提供する。
【解決手段】ETC路側装置からの料金問合せに応じて、上位サーバが第1の料金テーブルに基づいて第1の通行料金を算出する料金収受システムのETC路側装置であって、車載器と通信することで、車載器固有情報及び車載器に装填されるETCカードに記憶されたカード情報をカード読取情報として受信するアンテナと、車載器固有情報又はカード固有情報を含む前記カード読取情報に基づきETC正常又はETC異常を判定する正常異常判定部と、正常異常判定部の判定結果がETC正常の判定の場合、読み取った車載器固有情報及びカード読取情報を含む情報により、通行料金算出要求を上位サーバへ送信し通行料金を問い合わせ、上位サーバからの問い合わせの回答を待たずに通行料金が不明であることを示す案内情報の表示を指示する制御部を備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ETC路側装置からの料金問合せに応じて、上位サーバが第1の料金テーブルに基づいて第1の通行料金を算出する料金収受システムのETC路側装置であって、
車載器と通信することで、車載器固有情報及び前記車載器に装填されるETCカードに記憶されたカード情報をカード読取情報として受信するアンテナと、
前記車載器固有情報又はカード固有情報を含む前記カード読取情報に基づきETC正常又はETC異常を判定する正常異常判定部と、
前記正常異常判定部の判定結果がETC正常の判定の場合、読み取った前記車載器固有情報及び前記カード読取情報を含む情報により、通行料金算出要求を上位サーバへ送信することで通行料金を問い合わせるとともに、前記上位サーバからの前記問い合わせの回答を待たずに通行料金が不明であることを示す案内情報の表示を指示する制御部と、
前記ETC正常の判定された車両に対しては通行料金が不明であることを表示して通行を許可するための第1の通行制御を実行し、前記ETC異常の判定された車両に対しては通行を制限する制御を実行する通行制御部と、
を備えたETC路側装置。
【請求項2】
前記第1の料金テーブルは、通常料金テーブル及び割引料金テーブルを含み、
前記通常料金テーブルは、通常通行料金を算出するためのテーブルであり、
前記割引料金テーブルは、動的に変動する要素に基づき割引通行料金を算出するためのテーブルである、
請求項1のETC路側装置。
【請求項3】
前記正常異常判定部は、通行料金提示判定テーブルと、前記車載器固有情報又は前記カード読取情報とに基づき、車両が通行料金非提示の対象か又は通行料金提示の対象かを判定する判定手段を更に備え、
前記制御部は、前記通行料金提示と判定された場合は、前記上位サーバにおいて前記通行料金算出要求及び第1の料金テーブルに基づき算出される第1の通行料金の表示を指示する手段を更に備え、
前記通行制御部は、前記通行料金非提示と判定された前記車両に対しては通行料金が不明であることを表示して通行を許可するための第1の通行制御を実行し、前記通行料金提示と判定された車両に対しては上記上位サーバにおける前記第1の通行料金の計算が終わるまで前記車両を停止させるための第2の通行制御を実行する、
請求項1のETC路側装置。
【請求項4】
前記通行料金提示判定テーブルは、通行料金提示について事前申請される車載器固有情報又はカード固有情報を登録する、
請求項3のETC路側装置。
【請求項5】
前記通行料金提示判定テーブルは、タクシー又は運転代行業者車両の車載器固有情報を登録する、
請求項4のETC路側装置。
【請求項6】
料金通知が必要な特定車両に対して前記カード読取情報に含まれるカード固有情報に対して請求するための第2の料金テーブルに基づき第2の通行料金を算出する通行料金算出部を、更に備え、
前記正常異常判定部は、通行料金提示判定テーブルと、前記車載器固有情報又は前記カード読取情報とに基づき、通行する車両が通行料金非提示又は通行料金提示を判定する判定手段を更に備え、
前記制御部は、前記通行料金非提示と判定された車両の場合は前記上位サーバに対して第1の通行料金を算出させるため、前記車載器固有情報及び前記カード読取情報を含む通行料金算出要求を前記上位サーバへ送信し、前記通行料金提示と判定された場合は前記通行料金算出部で第2テーブルを用いて算出された前記第2の通行料金の表示を指示するとともに、前記上位サーバへ第2の通行料金を送信し、
前記通行制御部は、前記通行料金非提示の判定された車両に対しては通行料金が不明であることを表示して通行を許可するための第1の通行制御を実行し、前記通行料金提示の判定された車両に対しては前記第2テーブルを用いて算出された前記第2の通行料金を表示して通行を許可する第3の通行制御を実行する、
請求項1のETC路側装置。
【請求項7】
前記通行料金提示判定テーブルは、通行料金提示について事前申請される車載器固有情報又はカード固有情報を登録する、
請求項6のETC路側装置。
【請求項8】
前記通行料金提示判定テーブルは、タクシー又は運転代行業者車両の車載器固有情報を登録する、
請求項7のETC路側装置。
【請求項9】
前記第1の料金テーブルは、通常通行料金を算出するための通常料金テーブルと、動的に変動する要素に基づく割引料金テーブルを含み、
前記第2の料金テーブルは、通常通行料金を算出するための前記通常料金テーブルを含み、動的に変動する要素に基づく前記割引料金テーブルを含まない
請求項6のETC路側装置。
【請求項10】
ETC路側装置からの料金問合せに応じて、上位サーバが第1の料金テーブルに基づいて通行料金を算出する料金収受システムのETC路側装置における料金収受方法において、
アンテナで、通行する車両の車載器と通信することで、車載器固有情報及び前記車載器に装填されるETCカードに記憶されたカード情報をカード読取情報として受信するステップと、
正常異常判定部で、前記車載器固有情報又はカード固有情報を含む前記カード読取情報に基づきETC正常又はETC異常を判定するステップと、
制御部で、前記ETC正常の判定の場合、読み取った前記車載器固有情報及び前記カード読取情報を含む情報により、通行料金算出要求を上位サーバへ送信することで通行料金を問い合わせるステップと、 制御部で、通行料金が不明であることを示す案内情報の表示を指示するステップと、
通行制御部で、前記ETC正常の判定された前記車両に対して通行料金が不明であることを表示しながら通行を許可するための第1の通行制御を実行し、前記ETC異常の判定された車両に対しては前記車両の通行を制限する制御を実行するステップと、
を備えた料金収受方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ETC路側装置、及び料金収受方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有料道路等でETC(Electronic Toll Collection System)が広く普及している。ETC上位サーバと、料金所のレーンに設置されるETC路側装置とから構成される。ETCを利用する車両は車載無線通信装置(以下、車載器)を備え、車載器にはETCカードが挿入される。
【0003】
まず、入口料金所では、料金所のレーンに、車載器を備えた車両が進入すると、車両の車載器とアンテナとが無線通信し、ETC路側装置は、車載器から受信した車載器固有情報等に基づき、車載器を介して、ETCカードに入場記録を書き込む。
【0004】
さらに、この入場記録は、ETC路側装置から車線サーバに転送され、車線サーバは、料金収受処理の結果をETC処理データとして、ETC上位サーバへ送信する。
【0005】
一方、ETC上位サーバは、車線サーバに対して、通行料金を算出するための料金テーブル、割引に関する各種テーブルなどをマスターテーブルとして配信する。
【0006】
出口の車線サーバは、受信したマスターテーブルを蓄積し、条件に応じたテーブル改訂処理を行う。また、車線サーバは、料金所のレーンに進入した車両の車載器との通信により取得された「契約情報」、「車載器固有情報」、及び「通行履歴情報」等から、ETC正常異常判定処理を行う。
【0007】
そして、更に、車載器から取得した情報とマスターテーブルをもとに、通行料金を算出し、車載器へ「通行料金・通行可」の通知を行い、路側表示器は「通行料金・通行可」の旨の表示を行う。
【0008】
ETC通行料金には、通常料金だけでなく、曜日等に応じた割引料金の適用が実施されている。車線サーバは、上位サーバから配信される割引対応の各種マスターテーブルを用いて割引料金を算出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003-208643号公報
【特許文献2】特開2018-136199号公報
【特許文献3】特開2005-202480号公報
【特許文献4】特開2004-192389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
マスターテーブルの種類が追加されるなど、年々料金体系及び料金算出が複雑になり、処理時間の増加が懸念されている。また、通常料金や割引料金を改訂(変更)するためには、関係するマスターテーブルを対象となる全料金所の車線サーバへ配信し終わらないと改訂することはできない。さらに、割引の仕組みを変更する場合は、車線サーバのソフトウェア変更が必要になることもあり、タイムリーに料金体系を変更することは容易ではない。加えて、混雑状況などに応じた変動料金を利用した料金制度へ柔軟に対応する仕組みも検討されている。このような事情から料金算出時間が長引く傾向にあり、走行車両に対する料金提示が間に合わなくなる可能性がある。タクシーなどの運転手は、その場の料金所で料金を確認する必要がある。例えば、全ての車両を一時停止させて料金提示する仕組みが考えられるが、ETCによる料金収受処理の利便性が低下してしまう。
【0011】
本発明の目的は、高度化する割引サービスの適用と円滑な料金収受処理をバランス良く実現することが可能なETC路側装置及び料金収受方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
実施形態に係るETC路側装置は、ETC路側装置からの料金問合せに応じて、上位サーバが第1の料金テーブルに基づいて第1の通行料金を算出する料金収受システムのETC路側装置であって、車載器と通信することで、車載器固有情報及び前記車載器に装填されるETCカードに記憶されたカード情報をカード読取情報として受信するアンテナと、前記車載器固有情報又はカード固有情報を含む前記カード読取情報に基づきETC正常又はETC異常を判定する正常異常判定部と、前記正常異常判定部の判定結果がETC正常の判定の場合、読み取った前記車載器固有情報及び前記カード読取情報を含む情報により、通行料金算出要求を上位サーバへ送信することで通行料金を問い合わせるとともに、前記上位サーバからの前記問い合わせの回答を待たずに通行料金が不明であることを示す案内情報の表示を指示する制御部と、前記ETC正常の判定された車両に対しては通行料金が不明であることを表示して通行を許可するための第1の通行制御を実行し、前記ETC異常の判定された車両に対しては通行を制限する制御を実行する通行制御部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、第1の実施形態に係るETC料金収受システムの概略構成の一例、及びETC通行料金を知るための仕組みの一例を示す概念図である。
図2図2は、第1の実施形態に係るETC料金収受システムの車線サーバの概略構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、第1の実施形態に係るETC料金収受システムの車線機器の車線への設置例を示す上面図及び側面図である。
図4図4は、第1の実施形態に係るETC料金収受システムの車線機器の概略構成の一例を示すブロック図である。
図5図5は、第1の実施形態に係るETC路側装置(車線サーバ及び車線機器)による通行料金に関する案内出力及び通行制御の一例を示すフローチャートである。
図6図6は、第1の実施形態に係るETC料金収受システムによるETC料金収受処理シーケンスの一例を示す図である。
図7図7は、第2の実施形態に係るETC料金収受システムの車線サーバの概略構成の一例を示すブロック図である。
図8図8は、第2の実施形態に係るETC路側装置(車線サーバ及び車線機器)による通行料金に関する案内出力及び通行制御の一例を示すフローチャートである。
図9図9は、第2の実施形態に係るETC料金収受システムによるETC料金収受処理シーケンスの一例を示す図である。
図10図10は、第3の実施形態に係るETC料金収受システムの車線サーバの概略構成の一例を示すブロック図である。
図11図11は、第3の実施形態に係るETC路側装置(車線サーバ及び車線機器)による通行料金に関する案内出力及び通行制御の一例を示すフローチャートである。
図12図12は、第3の実施形態に係るETC料金収受システムによるETC料金収受処理シーケンスの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して第1乃至第3の各実施形態に係るETC料金収受システムの一例について説明する。
【0015】
(第1の実施形態)
第1の実施形態について説明する。
第1の実施形態では、出口料金所で料金計算が間に合わない場合は、料金不明と通知する実施の形態である。なお、この実施の形態では、上位システム(料金算出上位サーバ)が各種テーブル及び利用記録等に基づき通行料金を算出するものとする。なお、案内情報は、料金不明の案内に替えて又は料金不明の案内に加えて、料金を事後に通知する旨、料金をセンターで計算している旨、及び料金計算結果の通知が間に合わない旨の少なくとも一つを含むようにしてもよい。
【0016】
図1は、第1の実施形態に係るETC料金収受システムの概略構成の一例、及びETC通行料金を知るための仕組みの一例を示す概念図である。
【0017】
図1に示すように、ETC料金収受システムは、上位システム1を備え、各料金所に料金所サーバ2及びETC路側装置3等を備える。
図1に示すように、上位システム1は、ETC上位サーバ11、料金算出上位サーバ12、ETC利用照会システム13、経路情報把握システム14、及び道路管制システム15等を備える。
また、ETC路側装置3は、車線サーバ4及び車線機器5を備える。車線機器5は、各料金所のレーンに沿って設置される。
【0018】
ETC上位サーバ11は、各料金所に設置される料金所サーバ2と接続され、さらに、料金算出上位サーバ12と接続される。
また、料金算出上位サーバ12は、ETC利用照会システム13、経路情報把握システム14、及び道路管制システム15と接続され、さらに、料金所サーバ2と接続される。料金算出上位サーバ12は、車線サーバ4と接続されてもよい。
所定料金所の料金所サーバ2は、同一の所定料金所の車線サーバ4と接続される。
【0019】
ETC上位サーバ11は、料金所サーバ2及び車線サーバ4の上位に位置するサーバであって、各料金所の料金所サーバ2との間で各種情報を交換し、料金所サーバ2は、車線サーバ4との間で各種情報を交換する。
車線サーバ4は、車線機器5から送信されるセンサデータ等に基づき車線機器5を制御する。
【0020】
ここで、通行料金の算出の一例について説明する。
ETC料金収受システムを利用する車両6は車載器61を備え、車載器61にETCカード62が挿入される。
車載器61は、車載器固有情報を記憶する。ETCカード62は、カード固有情報を含むカード情報を記憶する。車載器61は、入口の料金所の通行時における車線機器5との通信により入場記録を受信し、ETCカード62へ入場記録を書き込む。通行履歴情報の一つである入場記録は、通行した料金所識別情報及び入場日時情報(入場時の通信日時情報)を含む。
【0021】
車線機器5は、出口の料金所のレーンに進入する車両の車載器61と無線通信する。この時、車線機器5は、車載器61から送信される車載器固有情報、カード情報、及び入場記録等を受信し、また出場記録を送信し、受信したこれら情報を車線サーバ4へ送信する。車載器61は、出口の料金所の通行時における車線機器5との通信により出場記録を受信し、ETCカード62へ出場記録を書き込む。
車線サーバ4は、車載器固有情報、カード情報、入場記録、及び出場記録等を、料金所サーバ2へ送信する。通行履歴情報の一つである出場記録は、車線サーバ4が設置される所定料金所を示す料金所識別情報、及び出場日時情報(出場時の通信日時情報)を含む。
【0022】
以下、車載器61によりETCカード62から読み取られる情報をカード読取情報と称する。カード読取情報は、カード情報及び通行履歴情報等を含む。また、車載器固有情報及びカード読取情報等を利用記録と称する。
【0023】
料金所サーバ2は、利用記録を受信し、料金算出上位サーバ12へ利用記録を送信する。或いは、料金所サーバ2は、ETC上位サーバ11を介して料金算出上位サーバ12へ利用記録を送信する。
【0024】
料金算出上位サーバ12は、料金所サーバ2及び車線サーバ4の上位に位置するサーバであって、契約情報マスターテーブルを記憶する。契約情報マスターテーブルは、ユーザ登録情報及び車載器登録情報を含む。
ここで、ユーザ登録情報は、カード固有情報とユーザ情報を対応付ける。ユーザ情報は、氏名、住所、及び連絡先等の情報を含む。車載器登録情報は、車載器固有情報と車種と対応付ける。
また、料金算出上位サーバ12は、第1の料金テーブルを記憶する。
第1の料金テーブルは、車種及び区間別の基準となる通常通行料金を示す通常料金マスターテーブル(通常料金テーブル)、及び車種、曜日、時間帯、及び通行経路等の各種条件別の割引料金マスターテーブル(割引料金テーブル)を含む。
ここで、割引料金テーブルは、曜日、時間帯、及び通行経路等の動的に変動する要素に基づき割引通行料金を算出するためのテーブルである。通行経路に応じた割引は、特定の通行経路を通行した車両を割引対象としてもよいし、混雑度の高い通行経路を通行した車両を割引対象としてもよい。
ETC上位サーバ11又は料金算出上位サーバ12は、経路情報把握システム14又は道路管制システム15等と連携し、交通量が基準値より高いと判定される通行経路(つまり混雑度の高い通行経路)を検出する。例えば、割引料金テーブルは割引率を含み、複数の割引料金テーブルの割引率を組み合わせて適用するようにしてもよい。
以下、ユーザ登録マスターテーブル、通常料金テーブル、及び割引料金テーブルを各種テーブルと総称する。
【0025】
料金算出上位サーバ12は、各料金所に設置される料金所サーバ2から送信される利用記録を受信する。料金算出上位サーバ12は、利用記録に基づき、課金対象となる車種、曜日、時間帯、通行経路、及び通行区間等を判定し、各種テーブル及び判定結果に基づき、ユーザ別(各ETCカード62のカード固有情報別)の通行料金を算出する。
【0026】
なお、上記説明では、利用記録に含まれる入場記録及び出場記録に基づき通行区間を判定し通行料金を算出するケースについて説明したが、これは通行区間(距離)等に応じて通行料金が変動(加算)する距離制、及びこの距離制への割引適用を想定したものである。
本明細書で説明する各実施形態はこのような距離制に限定されるものではなく、通行区間等に関係なく通行料金を定額とする定額制、及びこの定額制への割引適用も可能である。このようなケースでは、利用記録は、入場記録及び出場記録を含むことは必須ではなく、入場記録及び出場記録のうちの少なくとも一方を含み、少なくとも一方から通行料金を算出するようにしてもよい。
【0027】
また、料金算出上位サーバ12は、算出した通行料金を料金所サーバ2へ送信し、料金所サーバ2は、通行料金を車線サーバ4へ送信する。
或いは、料金算出上位サーバ12は、料金所サーバ2を介さずに、算出した通行料金を車線サーバ4へ送信するようにしてもよい。
さらに、料金算出上位サーバ12は、算出された通行料金を含む利用明細をETC利用照会システム13、クレジットカード会社のサーバ、各料金所事務所に設置される利用証明書発行プリンタに接続されるサーバ、及びサービスエリア/パーキングエリアに設置されるETC利用履歴発行プリンタに接続されるサーバ等へ送信する。ここで、利用明細は、カード固有情報、入場記録、出場記録、及び通行料金等を含む。
【0028】
続いて、図2を参照して、車線サーバについて詳細に説明する。
図2は、第1の実施形態に係るETC料金収受システムの車線サーバの概略構成の一例を示すブロック図である。
【0029】
車線サーバ4は、車線機器5で取得された情報を受信し、受信した情報に基づき車線機器5の動作を制御する。
図2に示すように、車線サーバ4は、制御部41、記憶部42、サーバインタフェース43、及び車線機器インタフェース44を備える。さらに、制御部41は、正常/異常判定部411を備える。
【0030】
記憶部42は、正常/異常判定部411を含む制御部41による各種機能を実現するためのプログラムを記憶する。
制御部41(正常/異常判定部411)は、記憶部42に記憶されるプログラムに基づく判定機能及び指示機能等を有する。正常/異常判定部411は、車載器61から受信した車載器固有情報及びカード読取情報の少なくとも一方に基づきETC正常又はETC異常を判定する。
また、制御部41は、ETC正常の判定に対応して車載器固有情報及びカード読取情報を含む通行料金算出要求を生成し、通行料金算出要求を料金算出上位サーバ12へ送信する。また、制御部41は、ETC正常又はETC異常の判定に対応して車線機器5への各種動作を指示する。
【0031】
サーバインタフェース43は、料金所サーバ2と通信し情報を送受信する。車線機器インタフェース44は、車線機器5と通信し情報を送受信する。
【0032】
続いて、図3及び図4を参照して、料金所を通過する車両の車載器と通信する車線機器について詳細に説明する。
【0033】
図3は、第1の実施形態に係るETC料金収受システムの車線機器の車線への設置例を示す上面図及び側面図である。
【0034】
図3に示すように、車両が走行する車線の両サイドには、車線に沿って延びるアイランド50が対向して配置されている。車両は、これら二つのアイランド50の間の車線を上流から下流に向かって走行する。
また、アイランド50には、車線の上流から下流に向けて順に、第1の車両検知器S1、第2の車両検知器S2、ブース524、路側表示器(情報出力部)523、発進制御機(通行制御部)525、発進制御バー(通行制御部)5251、車両検知器S4、及び車線監視カメラ526等が設けられる。
【0035】
図4は、第1の実施形態に係るETC料金収受システムの車線機器の概略構成の一例を示すブロック図である。
【0036】
図4に示すように、車線機器5は、インタフェース集約部501、第1アンテナ(情報出力部)511、第2アンテナ512、リカバリアンテナ513、第1の車両検知器S1、第2の車両検知器S2、車両検知器S4、路側表示器523、ブース524内のブース内表示器5241、ブース524内の現金処理端末5242、発進制御機525、及び車線監視カメラ526を備える。
【0037】
図3及び図4を参照して、車線機器の各部について詳しく説明する。
二つのアイランド50には、上流から下流に向かって順に、一対の第1の車両検知器S1、第2の車両検知器S2、及び車両検知器S4が設けられる。第1の車両検知器S1は、車線の第1の地点に到達する車両を検知する。第2の車両検知器S2は、第1の地点より下流の第2の地点に到達する車両を検知する。第3の車両検知器S4は、第2の地点より下流の第3の地点に到達する車両を検知する。
これら第1の車両検知器S1、第2の車両検知器S2、及び車両検知器S4は、それぞれが、投光部と受光部を備えている。投光部からの赤外光が受光部により受光されている期間において、車両検知信号OFFをインタフェース集約部501へ出力し、投光部からの赤外光が受光部により受光されていない期間(車両により赤外光が遮られる期間)においては車両検知信号ONをインタフェース集約部501へ出力する。
【0038】
インタフェース集約部501は、各部からの情報を集約して車線サーバ4へ出力する。また、インタフェース集約部501は、車線サーバ4からの情報を各部へ出力する。
例えば、インタフェース集約部501は、車両検知信号ON又はOFFを車線サーバ4へ出力する。車線サーバ4の制御部41は、第1の車両検知器S1、第2の車両検知器S2、及び車両検知器S4からの車両検知信号ON又はOFFに基づき、車線上の車両の位置(動向)を検出し、車線機器5の動作を制御する。
【0039】
また、二つのアイランド50には、車線を跨いで、上流から下流に向かって順に三つのアンテナ設置用ゲートが設けられる。
一つ目のアンテナ設置用ゲートには、第1アンテナ511が設けられる。二つ目のアンテナ設置用ゲートには、リカバリアンテナ513が設けられる。二つ目のアンテナ設置用ゲートには、第2アンテナ512が設けられる。
これら第1アンテナ511、第2アンテナ512、及びリカバリアンテナ513は、車両6の車載器61と通信し、車載器61から送信される各種情報を受信し、また、車載器61に対して各種情報を送信する。
【0040】
入口の料金所の車線機器5においては、第1アンテナ511、第2アンテナ512、及びリカバリアンテナ513は、入場記録を車載器61へ送信し、車載器61から送信される車載器固有情報及びカード情報を受信し、インタフェース集約部501へこれら受信した情報を送信する。
車載器61は、入場記録を受信し、装填されたETCカード62に入場記録を書き込む。また、出口の料金所の車線機器5においては、第1アンテナ511、第2アンテナ512、及びリカバリアンテナ513は、車載器61から送信される車載器固有情報、カード情報、及び入場記録等を受信し、インタフェース集約部501へこれら受信した情報を送信する。
【0041】
インタフェース集約部501は、車載器固有情報、カード情報、及び入場記録等を車線サーバ4へ送信する。車線サーバ4の車線機器インタフェース44は、車載器固有情報、カード情報、及び入場記録等を受信し、サーバインタフェース43は、車載器固有情報、カード情報、及び入場記録等を料金所サーバ2へ送信する。
【0042】
インタフェース集約部501は、車線サーバ4の車線機器インタフェース44から通知される通行料金を第1アンテナ511、第2アンテナ512、及びリカバリアンテナ513へ送信する。第1アンテナ511、第2アンテナ512、及びリカバリアンテナ513は、車載器61へ通行料金を送信する。
車載器61はディスプレイ及びスピーカを備え、通行料金を受信し記憶し、ディスプレイに通行料金を表示したり、スピーカから通行料金を音声案内したりする。
【0043】
また、インタフェース集約部501は、車線サーバ4の車線機器インタフェース44から通知される通行料金を路側表示器523へ出力する。
路側表示器523は、車両の運転者に対して、インタフェース集約部501から出力される通行料金を表示する。
料金収受員が待機するブース524にはブース内表示器5241が設けられる。ブース内表示器5241は、車両との通信結果及び車両検知結果に基づきETC車両か非ETC車両か異常ETC車両を表すランプを点灯し、また、在車数(レーン内に滞留している車両数)を表示する。
さらに、ブース524には現金処理端末5242が設けられる。料金収受員は、現金精算を希望する利用者から現金を受け取り、現金処理端末5242で精算処理を実行することができる。現金処理端末5242は、現金により精算を実行した場合、現金で精算完了したことを示す精算完了情報を、インタフェース集約部501、車線サーバ4、料金所サーバ2、ETC上位サーバ11を介して料金算出上位サーバ12へ通知する。料金算出上位サーバ12は、精算完了情報を受けて、対象となる通行料金をETCカード62による精算処理から除外する。
【0044】
発進制御機525は、インタフェース集約部501からの発進制御情報(通行許可又は一時停止)に基づき発進制御バー5251の開閉を制御する。発進制御バー5251は、閉鎖した状態において車両の通過(車線からの退出)を物理的に阻止し、開放した状態において車両の通過を許可する。
発進制御機525は、インタフェース集約部501からの通行許可に基づき、発進制御バー5251による通行阻止の状態から発進制御バー5251を上げて通行を許可する通行制御(第1の通行制御)を実行し、インタフェース集約部501からの一時停止に基づき、発進制御バー5251による通行阻止の状態を維持して通行を阻止する通行制御(第2の通行制御)を実行する。
車線監視カメラ526は、車線への車両の進入時または退出時に車両を撮影する。
【0045】
以下、図5及び図6を参照して第1の実施形態の動作について詳細に説明する。
図5は、第1の実施形態に係るETC路側装置(車線サーバ及び車線機器)による通行料金に関する案内出力及び通行制御の一例を示すフローチャートである。図5のフローチャートは、距離制課金であれば出口の料金所における車線サーバ4及び車線機器5の動作の一例を示し、定額制課金であれば出口の料金所又は入口の料金所における車線サーバ4及び車線機器5の動作の一例を示す。
【0046】
図5に示すように、車線サーバ4の制御部41は、車線機器5の車両検知器S1からの車両検知信号に基づき車両6の進入を検知すると(ステップST101、YES)、車線機器5に向けて車載器61との通信を指示する(ステップST102)。
車線機器5の第1アンテナ511は、車載器61と通信し、車載器固有情報、カード固有情報を含むカード情報、及び入場記録等の読取情報を受信し、車線サーバ4の車線機器インタフェース44は読取情報を取得する(ステップST103)。
【0047】
車線サーバ4の制御部41の正常/異常判定部411は、読取情報に基づきETC正常又はETC異常を判定する判定処理を実行する(ステップST104)。正常/異常判定部411は、車載器61にETCカード62が装填されていない場合や、ETCカードからの読取情報がカード固有情報を含まない場合にETC異常と判定する。
逆に、読取情報が正しい場合(ステップST105、YES)は、ETC正常と判定し、ステップST106に進む。
【0048】
次に、制御部41は、料金所サーバ2等を介して料金算出上位サーバ12に対して通行料金算出要求を送信することで、料金算出上位サーバ12へ通行料金の問い合わせを行う(ステップST106)。ここで、通行料金算出要求は、通行料金を算出するための、車載器固有情報、カード情報、入場記録、及び出場記録等の利用記録を含む。
そして、制御部41は、料金算出上位サーバ12に対する通行料金の問い合わせに対する応答を待つこと無く、即座に、情報の書き込み、情報の表示、及び発進制御バー5251の開放を指示する。
このため、制御部41は、車載器61へ料金不明等を示す通行料金に関する案内情報の書き込みを指示する(ステップST107)。
制御部41からの情報の書き込み指示に対応して、車線機器5の第1アンテナ511は、料金不明等を示す通行料金に関する案内情報、及び通行を許可する通行判定情報の書き込みを送信(出力)する。
車載器61は、この書き込みに基づき車載器61の記憶部又はETCカード62にこれらの情報を書き込む。
【0049】
そして、路側表示器523は、料金不明等を示す通行料金に関する案内情報の表示を指示する(ステップST108)。
また、制御部41からの情報の表示の指示に対応して、車線機器5の路側表示器523は、料金不明等を示す通行料金に関する案内情報、及び通行を許可する通行判定情報を表示(出力)する。
また、制御部41は、車両の通行を許可するための通行制御(発進制御バー5251を開放する第1の通行制御)を指示する(ステップST109)。
また、制御部41からの発進制御バー5251の開放指示に対応して、車線機器5の発進制御機525は、発進制御バー5251を上げてレーンを開放し、車両の通行を許可する第1の通行制御を実行する。
このように、制御部41は、通行料金の問い合わせ、情報の書き込み、情報の表示、及び発進制御バー5251の開放を時間差無くほぼ同時に指示する。
【0050】
制御部41は、車線機器5の車両検知器S4からの車両検知信号に基づき車両6の退出を検知すると(ステップST110、YES)、路側表示器523等へ情報表示の消灯(消去)を指示する(ステップST111)。
そして、発進制御機525へ発進制御バー5251の閉鎖を指示する(ステップST112)。
【0051】
制御部41からの情報表示の消灯(消去)の指示に対応して、路側表示器523は、料金不明等を示す通行料金に関する案内情報、及び通行を許可する通行判定情報の表示を消灯(消去)する。
また、制御部41からの発進制御バー5251の閉鎖指示に対応して、車線機器5の発進制御機525は、発進制御バー5251を下げてレーンを閉鎖し、車両の通行を制限する第2の通行制御を実行する。
【0052】
料金算出上位サーバ12は、ステップST106の通行料金の問い合わせに基づき通行料金を算出し、料金所サーバ2へ通行料金を通知する。料金算出上位サーバ12による通行料金の算出は既に説明済みであり、ここでは詳細説明は省略する。
料金所サーバ2は、通行料金を受信し、車線サーバ4へ通知する。
車線サーバ4のサーバインタフェース43は、通行料金を受信した場合(ステップST113、YES)は、ステップST114に進む。
そして、ETC処理データを生成し、料金所サーバ2等を介して、ETC上位サーバ11へ送信する(ステップST114)。ETC処理データは、利用記録、及び料金算出上位サーバ12で算出された通行料金を含む。
【0053】
また、ステップST105におけるETC異常の判定に基づき、ETC異常と判定された場合(ステップST105、NO)、ステップST115に進む。
次に、制御部41は、車載器61へETC異常を示す案内情報等の書き込みを指示する(ステップST115)。
そして、路側表示器523等へETC異常を示す案内情報の表示を指示する(ステップST116)。
【0054】
このとき、制御部41からの情報の書き込み指示に対応して、車線機器5の第1アンテナ511)は、ETC異常を示す案内情報、及び通行を不許可とする通行判定情報の書き込みを送信(出力)する。車載器61は、この指示に基づき車載器61の記憶部又はETCカード62にこれらの情報を書き込む。
そして、発進制御機525へ発進制御バー5251を閉とすることで、のレーン閉鎖を指示する(ステップST117)。
また、制御部41からの発進制御バー5251の閉鎖指示に対応して、車線機器5の発進制御機525は、発進制御バー5251を下げた状態を維持してレーンの閉鎖を維持し、車両の通行を制限する第2の通行制御を実行する。
ここで、制御部41は、情報の書き込み、情報の表示、及び発進制御バー5251の閉鎖を時間差無くほぼ同時に指示する。
【0055】
さらに、車線サーバ4のサーバインタフェース43は、料金所サーバ2を介して、ETC上位サーバ11へETC処理データを送信する(ステップST118)。このETC処理データは、ステップST103で取得した読取情報を含む。
【0056】
さらに、ブース524内の収受員によるETC異常車への対応が実施される(ステップST119)。例えば、ETC非対応車両であれば、収受員は、現金処理端末5242により現金で料金収受処理を行う。
路側表示器523は、現金処理端末5242による料金収受の結果を表示する。そして、発進制御機525は、現金処理端末5242により正しく料金収受が実行された場合には発進制御バー5251を上げてレーンを開放し、車両の通行を許可する第1の通行制御を実行する。
【0057】
図6は、第1の実施形態に係るETC料金収受システムによるETC料金収受処理シーケンスの一例を示す図である。図6のシーケンスは、図5のフローチャートに示すETC路側装置(車線サーバ及び車線機器)の動作を含み、図5のフローチャートと重複する部分の説明は適宜簡略化又は省略する。
【0058】
図6に示すように、車両6がレーンに進入すると(ステップST201)、制御部41は、車線機器5の車両検知器S1からの車両検知信号に基づき車両6の進入を検知する(ステップST202)。
そして、車線機器5の第1アンテナ511は、車載器61に対して通信許可を送信する(ステップST203)。
一方、車載器61は、通信が確立すると第1アンテナ511に対して通信許可への応答(通信応答)を送信する(ステップST204)。
また、第1アンテナ511は、車載器61に対して読取要求を送信する(ステップST205)。
そして、車載器61は、第1アンテナ511に対して読取要求への応答(読取応答)を送信する(ステップST206)。ステップST206の応答は読取情報を含み、読取情報は車載器固有情報、カード固有情報を含むカード情報、及び通行履歴情報等を含む。
【0059】
制御部41は、読取情報に基づきETC正常又はETC異常を判定する判定処理を実行する(ステップST207)。
ETC正常の判定に基づき、制御部41は、料金所サーバ2等を介して料金算出上位サーバ12へ通行料金算出要求を送信し、通行料金を問い合わせる(ステップST208)。
また、制御部41の通信制御により、第1アンテナ511は、車載器61に対して通行履歴情報(例えば出場記録)、利用明細情報(料金不明等を示す通行料金に関する案内情報を含む)、及び車載器指示情報(通行許可を含む)等の書込要求を送信する(ステップST209)。
書込要求に対応して、車載器61は、車載器61の記憶部又はETCカード62に要求された情報を書き込み、書込が完了すると第1アンテナ511に対して書込要求への応答(書込応答)を送信する(ステップST210)。
書込応答に対応して、第1アンテナ511は、車載器61に対して通信のリリースを送信する(ステップST211)。
【0060】
また、制御部41の表示制御により、路側表示器523は、料金不明等を示す通行料金に関する案内情報、及び通行を許可する通行判定情報を表示(出力)する(ステップST212)。
更に、制御部41からの車両の通行を許可するための通行制御(レーン開放を指示する第1の通行制御)に対応して、発進制御機525は、発進制御バー5251を上げてレーンを開放し、車両の通行を許可する第1の通行制御を実行する(ステップST212)。
【0061】
発進制御バー5251が上がると、車両6がレーンから退出する(ステップST213)。
そして、制御部41は、車線機器5の車両検知器S4からの車両検知信号に基づき車両6の退出を検知する(ステップST214)。
次に、制御部41の表示制御により、路側表示器523は、料金不明等を示す通行料金に関する案内情報、及び通行を許可する通行判定情報の表示を消灯(消去)する(ステップST215)。
また、制御部41からの車両の通行を阻止するための通行制御(レーン閉鎖を指示する第2の通行制御)により、また、制御部41からの車両退出検知に対応して、発進制御機525は、発進制御バー5251を下げてレーンを閉鎖し、車両の通行を制限する第2の通行制御を実行する(ステップST215)。
【0062】
一方、料金算出上位サーバ12は、料金所サーバ2等を介して、車線サーバ4で取得された利用記録を受信し、利用記録に基づき、ユーザ別(各ETCカード62のカード固有情報別)の通行料金を算出する(ステップST216)。
料金算出上位サーバ12は、料金所サーバ2等を介して、車線サーバ4に対して、通行料金を通知する(ステップST217)。
車線サーバ4のサーバインタフェース43は、通行料金を受信し、ETC処理データを生成し、料金所サーバ2等を介してETC上位サーバ11へETC処理データを送信する(ステップST218)。
【0063】
以上により、料金算出上位サーバ12による通行料金を採用しても、料金所で車両(利用者)を待たせない円滑な料金収受サービスを提供することができる。
また、料金算出上位サーバ12が、通行料金の算出を受け持つことにより、各料金所への各種テーブルの配信、及び配信した各種テーブルの更新等の負荷のかかる処理を削減することができ、しかも動的な変動料金に柔軟且つ即時に対応することができる。つまり、料金算出上位サーバ12で保持される各種テーブルを最新版に更新するだけで、最新の状況に応じた通行料金算出が可能となる。
また、様々な割引料金の導入への対応も容易になる。なお、既に説明したように、利用者はカード請求書等で通行料金を知ることができるので、通行時に通行料金が分からなくても特に不便ではない。
また、料金所において、車線機器5は、料金不明等を示す通行料金に関する案内情報を出力(表示及び無線通信)するので、後日請求される通行料金が、表示された通行料金より高いなどのクレームを受けることもない。
また、案内情報の出力により、路側表示器523が故障していると勘違いされることを防ぐことができる。また、案内情報に、料金を事後に通知する旨、料金をセンターで計算している旨、及び料金計算結果の通知が間に合わない旨の少なくとも一つを含めることにより、料金が表示されない理由をユーザに知らせることもできる。
よって、本実施形態に係るETC料金収受システムによれば、高度化する割引サービスの適用と円滑な料金収受処理をバランス良く実現することができる。
【0064】
(第2の実施形態)
第2の実施形態について説明する。
第1の実施形態では、出口料金所で料金計算が間に合わない場合は、一律「料金不明」と表示する実施の形態であった。これに対し、第2の実施の形態では、走行する車両6の車種によって、通行料金の表示/非表示を切り替える実施の形態である。
ここで、通行料金を提示する対象の車種としては、タクシー等のように、乗客に対し請求金額を確定させる必要があるような車種をいう。具体的には、通行車両が通行料金提示の対象でなければ、第1の実施形態と同様に、料金不明等を示す通行料金に関する案内情報の出力(表示及び無線通信)を指示する。
これに対し、通信相手が通行料金提示の対象(タクシー事業者又はタクシー運転手等)であれば、乗客への料金請求が必要になることから、料金算出上位サーバ12にて通行料金が算出されるまで車両を停止させて待たせ、算出された通行料金を出力(表示及び無線通信)してから、車両6の通行を許可する。
【0065】
ここで、第1の実施形態と同様に、第2の実施形態でも、料金算出上位サーバ12が各種テーブル及び利用記録等に基づき通行料金を算出する。
【0066】
図7は、第2の実施形態に係るETC料金収受システムの車線サーバの概略構成の一例を示すブロック図である。図7に示す第2の実施形態の車線サーバ4の制御部41は、図2の第1の実施形態に係るETC料金収受システムの車線サーバ4の構成に加えて、さらに、通行料金提示/非提示判定部412を備え、記憶部42は、通行料金提示判定テーブル記憶部421を備える。
【0067】
車線サーバ4の記憶部42の通行料金提示判定テーブル記憶部421は、通行料金提示又は通行料金非提示を判定するために、事前に通行料金提示判定テーブルを記憶する。ここでは、通行料金提示判定テーブルが、料金所での通行料金提示を希望するユーザから事前申請されるカード固有情報を登録するケースを例に挙げて説明する。
【0068】
通行料金提示判定テーブル記憶部421は、通行料金の提示又は非提示を判定するための通行料金提示判定テーブルを記憶する。
通行料金提示/非提示判定部412は、通行料金提示判定テーブルと、車載器61から受信した車載器固有情報及びカード読取情報の少なくとも一方とに基づき通行料金提示又は通行料金非提示を判定し、ETC正常及び通行料金提示の判定、又はETC正常及び通行料金非提示の判定に対応して車線機器5への各種動作を指示する。各種動作の指示等については後に詳しく説明する。
なお、制御部41(通行料金提示/非提示判定部412)は、記憶部42に記憶されるプログラムに基づき各種の処理、判定、及び指示を実行する。
【0069】
ここで、通行料金提示の登録について説明する。
ETC上位サーバ11は、通行料金提示判定テーブルを記憶し、通行料金提示判定テーブルは、料金所での通行料金提示を希望するユーザ等から事前申請される車載器固有情報又はカード固有情報を登録する。例えば、通行料金提示判定テーブルは、タクシー運転手又はタクシー事業者から事前申請される車載器固有情報又はカード固有情報を登録することにより、タクシー向けに通行料金を提示させるか否かを判定するためのテーブルとして機能する。
或いは、料金所での通行料金提示を希望するユーザ(タクシー運転手又はタクシー事業者等を含む)向けに、通行料金提示用ETCカードを発行する。料金所での通行料金提示を希望するユーザは、車両6の車載器61に、この通行料金提示用ETCカードを装填する。通行料金提示判定テーブルは、通行料金提示用ETCカードに記憶されるカード固有情報を登録する。
或いは、通行料金提示判定テーブルは、通行料金提示用ETCカードに記憶される特定識別情報(例えばタクシーを示すフラグ)を登録する。
ETC上位サーバ11は、事前に、料金所サーバ2等を介して車線サーバ4へ通行料金提示判定テーブルを配信し、車線サーバ4の記憶部42の通行料金提示判定テーブル記憶部421は、通行料金提示判定テーブルを記憶する。
【0070】
なお、車載器61又はETCカード62には契約情報が記憶可能であり、契約情報は、特定識別情報(例えば料金所で通行料金提示を要求する車両であることを示すフラグ)を含むことができる。例えば、通行料金提示を要求する車両としては、タクシー以外に運転代行業者車両も含まれる。
【0071】
ここで運転代行について補足する。
運転代行とは、飲酒等で運転ができなくなったユーザに代わる代行ドライバーを派遣する事業である。例えば、代行ドライバー派遣の際、運転代行業者車両には、運転代行業者車両を運転する派遣ドライバーと代行ドライバーとが乗車し、ユーザの自宅等の目的地へ向かう際には、代行ドライバーがユーザ車両を運転し、派遣ドライバーが継続して運転代行業者車両を運転する。
【0072】
以下、図8及び図9を参照して第2の実施形態について詳細に説明する。
図8は、第2の実施形態に係るETC路側装置(車線サーバ及び車線機器)による通行料金に関する案内出力及び通行制御の一例を示すフローチャートである。図8のフローチャートは、距離制課金であれば出口の料金所における車線サーバ4及び車線機器5の動作の一例を示し、定額制課金であれば出口の料金所又は入口の料金所における車線サーバ4及び車線機器5の動作の一例を示す。なお、第1の実施形態と共通する部分の説明については適宜簡略化又は省略する。
【0073】
図8において、ステップST301~ステップST305は、図5に示すステップST101~ステップST105と実質同様であり説明を省略する。
ステップ305において、ETC異常の場合(ステップ305、No)は、ステップST325に進む。ここで、ステップST325~ステップST329は、図5に示す、ステップST115~ステップST119と実質同様であり説明を省略する。
また、ステップST305~ステップST306は、図5に示すステップST105~ステップST106と実質同様であり説明を省略する。
ステップST307において、タクシー等以外の場合(ステップST307、No)、ステップ307へ進む。
【0074】
車線サーバ4の制御部41の通行料金提示/非提示判定部412は、通行料金提示対象のカード固有情報が登録された通行料金提示判定テーブル、及びステップST302で取得される読取情報に含まれるカード固有情報に基づき、通行する車両6が料金所での通行料金提示の対象(例えばタクシー)であるか否かを判定する(ステップST307)。 ここで、通行料金非提示の対象(例えばタクシー以外)である判定されると(ステップST307、NO)、ステップST308の処理へ移行する。
ここで、ステップST308~ステップST315は、図5に示す、ステップST107~ステップST114と実質同様であり説明を省略する。
【0075】
一方、通行料金提示である判定されると(ステップST307、YES)、ステップST316の処理へ移行する。
制御部41は、車載器61へ料金算出中等を示す通行料金に関する案内情報、及び一旦停止等を示す通行判定情報の書き込みを指示し(ステップST316)、路側表示器523等へ料金算出中等を示す通行料金に関する案内情報、及び一旦停止等を示す通行判定情報の表示を指示する(ステップST317)。
そして、発進制御機525へ車両を停止させるための通行制御(発進制御バー5251を閉鎖する第2の通行制御)を指示する(ステップST318)。
【0076】
制御部41からの情報の書き込み指示に対応して、車線機器5の第1アンテナ511は、料金算出中等を示す通行料金に関する案内情報、及び一旦停止等を示す通行判定情報の書き込みの指示を送信(出力)する。車載器61は、この指示に基づき車載器61の記憶部又はETCカード62にこれらの情報を書き込む。
また、制御部41からの情報の表示の指示に対応して、車線機器5の路側表示器523は、料金算出中等を示す通行料金に関する案内情報、及び一旦停止等を示す通行判定情報を表示(出力)する。
また、制御部41からの発進制御バー5251の閉鎖指示に対応して、車線機器5の発進制御機525は、発進制御バー5251を下げた状態を維持してレーンの閉鎖を継続し、車両の通行を制限する第2の通行制御を実行する。この第2の通行制御は、料金算出上位サーバ12による通行料金の計算が終わるまでタクシー等の車両を停止させるための通行制御である。
【0077】
料金算出上位サーバ12は、料金所サーバ2等を介して、通行料金の問い合わせを受け、通行料金を算出する。さらに、料金算出上位サーバ12は、料金所サーバ2等を介して、車線サーバ4へ、通行料金を通知する。
車線サーバ4のサーバインタフェース43は、料金算出上位サーバ12からの料金通知を受信すると(ステップST319、YES)、車載器61へ区間と料金を示す通行料金に関する案内情報、及び通行を許可する通行判定情報の書き込みを指示する(ステップST320)。
そして、路側表示器523等へ区間と通行料金を示す通行料金に関する案内情報、及び通行を許可する通行判定情報の表示を指示する(ステップST321)。
そして、車両の通行を許可する通行制御(発進制御機525へ発進制御バー5251を開放する第1の通行制御)を指示する(ステップST322)。
【0078】
制御部41からの情報の書き込み指示に対応して、車線機器5の第1アンテナ511は、区間と通行料金を示す通行料金に関する案内情報、及び通行を許可する通行判定情報の書き込みの指示を送信(出力)する。車載器61は、この指示に基づき車載器61の記憶部又はETCカード62にこれらの情報を書き込む。
また、制御部41からの情報の表示の指示に対応して、車線機器5の路側表示器523は、区間と通行料金を示す通行料金に関する案内情報、及び通行を許可する通行判定情報を表示(出力)する。
また、制御部41からの発進制御バー5251の開放指示に対応して、車線機器5の発進制御機525は、発進制御バー5251を上げてレーンを開放し、車両の通行を許可する第1の通行制御を実行する。
【0079】
制御部41は、車線機器5の車両検知器S4からの車両検知信号に基づき車両6の退出を検知すると(ステップST323、YES)、路側表示器523等へ情報表示の消灯(消去)を指示し、発進制御機525へ発進制御バー5251の閉鎖を指示する。
【0080】
また、制御部41は、ETC処理データを生成し、料金所サーバ2等を介して、ETC上位サーバ11へ送信する(ステップST324)。ETC処理データは、利用記録、及び料金算出上位サーバ12で算出された通行料金を含む。
【0081】
図9は、第2の実施形態に係るETC料金収受システムによるETC料金収受処理シーケンスの一例を示す図である。図9のシーケンスは、図8のフローチャートに示すETC路側装置(車線サーバ及び車線機器)の動作を含み、図8のフローチャートと重複する部分の説明は適宜簡略化又は省略する。
【0082】
また、図9に示すステップST401~ステップST408、ステップST412は、図6に示すステップST201~ステップST208、ステップST216と実質同様であり説明を省略する。
【0083】
制御部41の通行料金提示/非提示判定部412は、通行料金提示判定テーブル、及びステップST406で取得される読取情報に含まれるカード固有情報に基づき、通行する車両6が料金所での通行料金提示の対象(例えばタクシー)であるか否かを判定する。 通行料金提示対象であると判定すると、制御部41の通信制御により、第1アンテナ511は、車載器61に対して通行履歴情報(例えば出場記録)、利用明細情報(料金算出中等を示す通行料金に関する案内情報を含む)、及び車載器指示情報(一旦停止を含む)等の書込要求を送信する(ステップST409)。
書込要求に対応して、車載器61は、車載器61の記憶部又はETCカード62に要求された情報を書き込み、書込が完了すると第1アンテナ511に対して書込要求への応答(書込応答)を送信する(ステップST410)。
また、制御部41の表示制御により、路側表示器523は、料金算出中等を示す通行料金に関する案内情報、及び一旦停止を示す通行判定情報を表示(出力)する(ステップST411)。また、制御部41からのレーン閉鎖指示に対応して、発進制御機525は、発進制御バー5251を下げた状態を維持してレーンの閉鎖を継続し、車両の通行を制限する第2の通行制御を実行する(ステップST411)。
【0084】
一方、料金算出上位サーバ12は、料金所サーバ2等を介して、通行料金算出要求を受信し、通行料金算出要求に含まれる利用記録に基づき、ユーザ別(各ETCカード62のカード固有情報別)の通行料金を算出する(ステップST412)。
料金算出上位サーバ12は、料金所サーバ2等を介して、車線サーバ4に対して、通行料金を通知する(ステップST413)。
また、制御部41の通信制御により、第1アンテナ511は、車載器61に対して通行履歴情報(例えば出場記録)、利用明細情報(区間と料金を示す通行料金に関する案内情報を含む)、及び車載器指示情報(通行許可を含む)等の書込要求を送信する(ステップST414)。
書込要求に対応して、車載器61は、車載器61の記憶部又はETCカード62に要求された情報を書き込み、書込が完了すると第1アンテナ511に対して書込要求への応答(書込応答)を送信する(ステップST415)。
書込応答に対応して、第1アンテナ511は、車載器61に対して通信のリリースを送信する(ステップST416)。
【0085】
また、制御部41の表示制御により、路側表示器523は、区間と料金を示す通行料金に関する案内情報、及び通行を許可する通行判定情報を表示(出力)する(ステップST417)。また、制御部41からのレーン開放指示に対応して、発進制御機525は、発進制御バー5251を上げてレーンを開放し、車両の通行を許可する第1の通行制御を実行する(ステップST417)。
【0086】
車両6がレーンから退出すると(ステップST418)、制御部41は、車線機器5の車両検知器S4からの車両検知信号に基づき車両6の退出を検知する(ステップST419)。
そして、制御部41の表示制御により、路側表示器523は、区間と料金を示す通行料金に関する案内情報、及び通行を許可する通行判定情報の表示を消灯(消去)し(ステップST420)、制御部41からのレーン閉鎖指示により、また、制御部41からの車両退出に対応して、発進制御機525は、発進制御バー5251を下げてレーンを閉鎖し、車両の通行を制限する第2の通行制御を実行する(ステップST420)。
また、制御部41は、ETC処理データを生成し、料金所サーバ2等を介してETC上位サーバ11へETC処理データを送信する(ステップST421)。
【0087】
第2の実施形態では、例えば通行料金提示の対象としてタクシーを一例に挙げて説明したが、運転代行業者の車両も対象となり得る。タクシーの運転手と同様に、運転代行業者も、料金所で表示される通行料金を把握して、代行利用客に通行料金を請求する。
【0088】
以上により、車線サーバ4が、車載器61からの読取情報に基づき、通行する車両6が通行料金非提示対象であると判定した場合、直ちに、料金不明等を示す通行料金に関する案内情報の出力(表示及び無線通信)を指示し、車両の通行を許可し車両を通過させる。 また、車線サーバ4が、車載器61からの読取情報に基づき通行料金提示対象であると判定した場合、通行料金算出中等を示す通行料金に関する案内情報の出力(表示及び無線通信)を指示し、車両を一旦停止させ、その後、通行料金の出力(表示及び送信)を指示する。
このような案内情報の出力により、料金所での通行料金提示を要求するユーザに対して、一旦停止させて通行料金を提示することができる。例えば、タクシー等の場合、通行料金を乗客に請求するため、このように、料金所でタイムリーに通行料金を知ることができ便利である。
また、全てのユーザに対して、一旦停止及び通行料金提示を実行するわけではなく、料金所で通行料金提示を要求しない車両(利用者)は、円滑な料金収受サービスを受けることができる。
さらに、料金算出上位サーバ12が、通行料金の算出を受け持つことにより、動的な変動料金に柔軟且つ即時に対応することができる。よって、本実施形態に係るETC料金収受システムによれば、高度化する割引サービスの適用と円滑な料金収受処理をバランス良く実現することができる。
【0089】
(第3の実施形態)
第3の実施形態について説明する。
第2実施形態では、通過車両が通行料金提示の対象(タクシー等)の場合は、料金計算が完了するまで待たせる実施の形態であったが、第3の実施形態では、通過車両が通行料金提示の対象(タクシー等)の時は、車線サーバ4は、事前に取得した料金テーブルに基づく通行料金で通行させる実施の形態である。
【0090】
図10は、第3の実施形態に係るETC料金収受システムの車線サーバの概略構成の一例を示すブロック図である。第2の実施形態に係るETC料金収受システムの車線サーバ4については図7を参照して説明したが、図10に示すように、第3の実施形態の車線サーバ4の制御部41は、さらに、通行料金算出部413を備え、記憶部42は、さらに、通行料金テーブル記憶部422を備える。
【0091】
通行料金テーブル記憶部422は、第2の料金テーブル(通常料金テーブル)を記憶する。
通行料金算出部413は、ETC正常及び通行料金提示の判定に対応して、第2の料金テーブルに基づき通行料金を算出し、車線機器5への各種動作を指示する。各種動作の指示等については後に詳しく説明する。なお、制御部41(通行料金算出部413)は、記憶部42に記憶されるプログラムに基づき各種の処理、判定、及び指示を実行する。
【0092】
以下、図11及び図12を参照して第3の実施形態について詳細に説明する。
図11は、第3の実施形態に係るETC路側装置(車線サーバ及び車線機器)による通行料金に関する案内出力及び通行制御の一例を示すフローチャートである。図11のフローチャートは、距離制課金であれば出口の料金所における車線サーバ4及び車線機器5の動作の一例を示し、定額制課金であれば出口の料金所又は入口の料金所における車線サーバ4及び車線機器5の動作の一例を示す。なお、第1又は第2の実施形態と共通する部分の説明については適宜簡略化又は省略する。
【0093】
第2の実施形態と同様に、車線サーバ4の記憶部42の通行料金提示判定テーブル記憶部421は、事前に通行料金提示判定テーブルを記憶し、ここでは、通行料金提示判定テーブルが、料金所での通行料金提示を希望するユーザから事前申請されるカード固有情報を登録するケースを例に挙げて説明する。
【0094】
図11に示すように、ステップST501において、車線サーバ4のサーバインタフェース43は、ETC上位サーバ11から第1の料金テーブル(例えばタクシー用料金テーブルを含む)を受信した場合(ステップST501、YES)は、記憶部42の通行料金テーブル記憶部422は、受信した第1の料金テーブルを蓄積する(ステップST502)。例えば、通常料金テーブルをタクシー用料金テーブルとして事前に蓄積する。
【0095】
図11に示すステップST503~ステップST507は、図8に示すステップST301~ステップST305と実質同様であり説明を省略する。
ステップST507における判定において、異常と判定された場合(Noの場合)は、ステップST526に進む。
ここで、ステップST526~ステップST530は、図8に示すステップST325~ステップST329と実質同様であり説明を省略する。
【0096】
ステップST507において、正常と判定された場合は、制御部41の通行料金提示/非提示判定部412は、通行料金提示判定テーブル、及びステップST505で取得される読取情報に含まれるカード固有情報に基づき、通行する車両6が料金所での通行料金提示の対象(例えばタクシー)であるか否かを判定する(ステップST508)。
そして、通行料金非提示の対象(例えばタクシー以外)である判定されると(ステップST508、NO)、ステップST509の処理へ移行する。
次に、ステップST510~ステップST517は、図8に示すステップST308~ステップST315と実質同様であり説明を省略する。
【0097】
ステップST508において、通行料金提示の対象であると判定されると(ステップST508、YES)、制御部41の通行料金算出部413は、事前に蓄積した通常料金テーブル、及びステップST505で取得される読取情報に基づき、通行料金を算出する(ステップST518)。
制御部41は、車載器61へ区間と料金を示す通行料金に関する案内情報、及び通行を許可する通行判定情報の書き込みを指示する(ステップST519)。制御部41からの情報の書き込み指示に対応して、車線機器5の第1アンテナ511は、区間と料金を示す通行料金に関する案内情報、及び通行を許可する通行判定情報の書き込みの指示を送信する。車載器61は、この指示に基づき車載器61の記憶部又はETCカード62にこれらの情報を書き込む。
【0098】
そして、路側表示器523等へ料金算出中と、通行を許可する通行判定情報の表示(出力)を指示する(ステップST520)。制御部41からの情報の表示の指示に対応して、車線機器5の路側表示器523は、区間と料金を示す通行料金に関する案内情報、及び通行を許可する通行判定情報を表示する。
そして、発進制御機525へ車両6の通行を許可する通行制御(発進制御バー5251を開放する第1の通行制御)を指示する(ステップST521)。制御部41からの発進制御バー5251の開放指示に対応して、車線機器5の発進制御機525は、発進制御バー5251を上げてレーンを開放し、車両の通行を許可する第1の通行制御を実行する。
【0099】
ステップST522において、制御部41は、車線機器5の車両検知器S4からの車両検知信号に基づき車両6の退出を検知すると(ステップST522、YES)、ステップST523に進み、路側表示器523等へ情報表示の消灯(消去)を指示する。
そして、ステップST524において、発進制御機525へ発進制御バー5251の閉鎖を指示する。
【0100】
また、制御部41は、ETC処理データを生成し、料金所サーバ2等を介して、ETC上位サーバ11へ送信する(ステップST525)。ここで、ETC処理データは、利用記録、及び制御部41で算出された通行料金を含む。
【0101】
図12は、第3の実施形態に係るETC料金収受システムによるETC料金収受処理シーケンスの一例を示す図である。図12のシーケンスは、図11のフローチャートに示すETC路側装置(車線サーバ及び車線機器)の動作を含み、図11のフローチャートと重複する部分の説明は適宜簡略化又は省略する。
【0102】
図12に示すように、上位システム1(ETC上位サーバ11)は、料金所サーバ2等を介して車線サーバ4へタクシー用料金テーブルとしての通常料金テーブルを配信する(ステップST601)。
車線サーバ4のサーバインタフェース43は、通常料金テーブルを受信し、車線サーバ4の記憶部42は、通常料金テーブルを蓄積する(ステップST602)。
この後のステップST603~ステップST609は、図9に示すステップST401~ステップST407と実質同様であり説明を省略する。
【0103】
制御部41の通行料金算出部413は、通行する車両6が料金所での通行料金提示の対象(例えばタクシー)である場合に、事前に蓄積した通常料金テーブル、及び車載器61から取得される読取情報に基づき、通行料金を算出する(ステップST610)。
この後の図12に示すステップST611~ステップST618は、図9に示すステップST414~ステップST421と実質同様であり説明を省略する。
【0104】
第3の実施形態では、例えば通行料金提示の対象としてタクシーを一例に挙げて説明したが、運転代行業者の車両も対象となり得る。タクシーの運転手と同様に、運転代行業者も、料金所で表示される通行料金を把握して、代行利用客に通行料金を請求する。
【0105】
以上により、車線サーバ4が、車載器61からの読取情報に基づき、通行する車両6が通行料金非提示対象であると判定した場合、直ちに、料金不明等を示す通行料金に関する案内情報の出力(表示及び無線通信)を指示し、車両の通行を許可し車両を通過させる。 また、車線サーバ4が、車載器61からの読取情報に基づき通行料金提示対象であると判定した場合、料金算出上位サーバ12等へ通行料金を問い合わせることなく、事前に蓄積した料金テーブルにより通行料金を算出し、通行料金等の案内情報の出力(表示及び無線通信)を指示する。料金算出上位サーバ12へ問い合わせを行わないので、料金所での通行料金提示を要求するユーザに対して、車両を一旦停止させなくても、即時に通行料金を提示することができる。
なお、車線サーバ4が事前に蓄積する料金テーブルで所定割引料金を設定すれば割引も可能となる。また、車線サーバ4が事前に蓄積する料金テーブルを特定の車両(ユーザ)向けに限定すれば、料金テーブルのデータ量を抑制することができ、配信負荷及び改訂負荷等を軽減することもできる。
また、全てのユーザに対して、車線サーバにおいて事前に蓄積された料金テーブルによる通行料金を適用するわけではなく、通行料金非提示対象のユーザには、料金算出上位サーバ12による動的な割引料金の適用が可能となる。よって、本実施形態に係るETC料金収受システムによれば、高度化する割引サービスの適用と円滑な料金収受処理をバランス良く実現することができる。
【0106】
なお、第1乃至第3の実施形態において、料金不明等を通知するケースについて説明したが、利用者は、通行料金を以下のような複数の方法で知ることができるので、利便性が大幅に損なわれることはない。
(1)クレジットカード会社から送られてくる利用明細通知(カード請求書)。
(2)インターネットを活用しETC利用照会サービスからダウンロード可能な利用明細。
(3)料金所事務所にてETCカードの提示によりETCカードのカード固有情報に基づき発行可能な利用証明書。
(4)サービスエリア(SA)/パーキングエリア(PA)に設置されているETC利用履歴発行プリンタにて、ETCカードの提示によりETCカードのカード固有情報に基づき印刷可能な利用明細書。
【0107】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[C1]
通行する車両の車載器と無線通信するETC路側装置、及び前記ETC路側装置の上位に位置する上位サーバを備える料金収受システムであって、
前記ETC路側装置は、
前記車載器の車載器固有情報及び前記車載器に装填されるETCカードから読み取られるカード読取情報を受信する車線機器インタフェースと、
前記車載器固有情報及び前記カード読取情報を含む通行料金算出要求を前記上位サーバへ送信するサーバインタフェースと、
前記車載器固有情報又は前記カード読取情報に基づき通行料金非提示を判定する判定部と、
前記通行料金非提示の判定に基づき通行料金が不明であることを示す案内情報を出力する情報出力部と、
前記通行料金非提示の判定に基づき前記車両の通行を許可するための第1の通行制御を実行する通行制御部と、を備え、
前記上位サーバは、前記通行料金算出要求及び第1の料金テーブルに基づき、前記通行料金算出要求の前記カード読取情報に含まれるカード固有情報に対して請求するための第1の通行料金を算出する、料金収受システム。
[C2]
前記判定部は、タクシー向けに通行料金を提示させるための通行料金提示判定テーブルに前記カード読取情報に含まれるカード固有情報が登録されている場合、通行料金提示を判定する[C1]の料金収受システム。
[C3]
前記判定部は、前記カード読取情報に含まれる識別情報がタクシーを示す場合、通行料金提示を判定する[C1]の料金収受システム。
[C4]
前記通行制御部は、前記通行料金提示の判定に基づき、前記第1の通行料金の計算が終わるまでタクシーに相当する前記車両を停止させるための第2の通行制御を実行し、
前記上位サーバは、前記通行料金算出要求及び第1の料金テーブルに基づき算出した前記第1の通行料金を前記ETC路側装置へ通知し、
前記サーバインタフェースは、前記第1の通行料金を受信し、
前記情報出力部は、前記第1の通行料金を出力し、
前記通行制御部は、前記第1の通行制御を実行する、[C2]又は[C3]の料金収受システム。
[C5]
前記情報出力部は、表示及び無線通信のうちの少なくとも一方により、前記第1の通行料金を出力する、[C4]の料金収受システム。
[C6]
前記第1の料金テーブルは、通常料金テーブル及び割引料金テーブルを含み、
前記通常料金テーブルは、通常通行料金を算出するためのテーブルであり、
前記割引料金テーブルは、動的に変動する要素に基づき割引通行料金を算出するためのテーブルである、[C1]乃至[C5]の何れか1つの料金収受システム。
[C7]
前記ETC路側装置は、前記通行料金提示の判定に基づき、第2の料金テーブルに基づき前記カード読取情報に含まれるカード固有情報に対して請求するための第2の通行料金を算出する通行料金算出部を備え、
前記情報出力部は、前記通行料金提示の判定に基づき前記第2の通行料金を出力し、 前記通行制御部は、前記第1の通行制御を実行し、
前記サーバインタフェースは、前記第2の通行料金を前記上位サーバへ通知する、[C2]又は[C3]の料金収受システム。
[C8]
前記情報出力部は、表示及び無線通信のうちの少なくとも一方により、前記第2の通行料金を出力する、[C7]の料金収受システム。
[C9]
前記第1の料金テーブルは、通常料金テーブル及び割引料金テーブルを含み、
前記第2の料金テーブルは、前記通常料金テーブルを含み、
前記通常料金テーブルは、通常通行料金を算出するためのテーブルであり、
前記割引料金テーブルは、動的に変動する要素に基づき割引通行料金を算出するためのテーブルである、[C7]の料金収受システム。
[C10]
通行する車両の車載器と無線通信し、また、通行料金算出要求及び第1の料金テーブルに基づき第1の通行料金を算出する上位サーバと通信するETC路側装置であって、
前記車載器の車載器固有情報及び前記車載器に装填されるETCカードから読み取られるカード読取情報を受信する車線機器インタフェースと、
前記車載器固有情報及び前記カード読取情報を含む前記通行料金算出要求を前記上位サーバへ送信するサーバインタフェースと、
前記車載器固有情報又は前記カード読取情報に基づき通行料金非提示を判定する判定部と、
前記通行料金非提示の判定に基づき通行料金が不明であることを示す案内情報を出力する情報出力部と、
前記通行料金非提示の判定に基づき前記車両の通行を許可するための第1の通行制御を実行する通行制御部と、
を備えるETC路側装置。
[C11]
前記判定部は、タクシー向けに通行料金を提示させるための通行料金提示判定テーブルに前記カード読取情報に含まれるカード固有情報が登録されている場合、通行料金提示を判定する[C10]のETC路側装置。
[C12]
前記判定部は、前記カード読取情報に含まれる識別情報がタクシーを示す場合、通行料金提示を判定する[C10]のETC路側装置。
[C13]
前記通行制御部は、前記通行料金提示の判定に基づき、前記第1の通行料金の計算が終わるまでタクシーに相当する前記車両を停止させるための第2の通行制御を実行し、
前記上位サーバは、前記通行料金算出要求及び第1の料金テーブルに基づき算出した前記第1の通行料金を前記ETC路側装置へ通知し、
前記サーバインタフェースは、前記第1の通行料金を受信し、
前記情報出力部は、前記第1の通行料金を出力し、
前記通行制御部は、前記第1の通行制御を実行する、[C11]又は[C12]のETC路側装置。
[C14]
前記ETC路側装置は、前記通行料金提示の判定に基づき、第2の料金テーブルに基づき前記カード読取情報に含まれるカード固有情報に対して請求するための第2の通行料金を算出する通行料金算出部を備え、
前記サーバインタフェースは、前記第2の通行料金を前記上位サーバへ通知し、
前記情報出力部は、前記通行料金提示の判定に基づき前記第2の通行料金を出力し、 前記通行制御部は、前記第1の通行制御を実行する、[C11]又は[C12]のETC路側装置。
[C15]
ETC路側装置は、
通行する車両の車載器と無線通信し、前記車載器の車載器固有情報及び前記車載器に装填されるETCカードから読み取られるカード読取情報を受信し、
前記車載器固有情報及び前記カード読取情報を含む通行料金算出要求を上位サーバへ送信し、
前記車載器固有情報又は前記カード読取情報に基づき通行料金非提示を判定し、
前記通行料金非提示の判定に基づき通行料金が不明であることを示す案内情報を出力し、
前記通行料金非提示の判定に基づき前記車両の通行を許可するための第1の通行制御を実行し、
前記上位サーバは、
前記通行料金算出要求及び第1の料金テーブルに基づき、前記通行料金算出要求の前記カード読取情報に含まれるカード固有情報に対して請求するための第1の通行料金を算出する、料金収受方法。
【符号の説明】
【0108】
1…上位システム
2…料金所サーバ
3…ETC路側装置
4…車線サーバ
5…車線機器
6…車両
11…ETC上位サーバ
12…料金算出上位サーバ
13…ETC利用照会システム
14…経路情報把握システム
15…道路管制システム
41…制御部
42…記憶部
421…通行料金提示判定テーブル記憶部
422…通行料金テーブル記憶部
43…サーバインタフェース
44…車線機器インタフェース
50…アイランド
61…車載器
62…ETCカード
411…正常/異常判定部
412…通行料金提示/非提示判定部
413…通行料金算出部
501…インタフェース集約部
511…第1アンテナ
512…第2アンテナ
513…リカバリアンテナ
523…路側表示器
524…ブース
525…発進制御機
526…車線監視カメラ
5241…ブース内表示器
5242…現金処理端末
5251…発進制御バー

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12