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特開2023-55955改良された端縁を有する改良されたフック付保持具
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023055955
(43)【公開日】2023-04-18
(54)【発明の名称】改良された端縁を有する改良されたフック付保持具
(51)【国際特許分類】
   A44B 18/00 20060101AFI20230411BHJP
【FI】
A44B18/00
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019059
(22)【出願日】2023-02-10
(62)【分割の表示】P 2018556494の分割
【原出願日】2017-04-28
(31)【優先権主張番号】1653870
(32)【優先日】2016-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(31)【優先権主張番号】1653872
(32)【優先日】2016-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(31)【優先権主張番号】1653873
(32)【優先日】2016-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(31)【優先権主張番号】1653888
(32)【優先日】2016-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(31)【優先権主張番号】1653894
(32)【優先日】2016-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(31)【優先権主張番号】1653897
(32)【優先日】2016-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(31)【優先権主張番号】1653866
(32)【優先日】2016-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】596170996
【氏名又は名称】アプリックス
【氏名又は名称原語表記】APLIX
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ボセール、ダミアン
(72)【発明者】
【氏名】マエ、アンソニー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】留め具の分野に関し、特に、フックを有する留め具、および、これに関連する
製造方法および装置に関する。
【解決手段】フック付保持具であって、長手方向に延び頂面および底面を有するベースと、前記ベースの前記頂面から延出し、それぞれがステムとヘッドから形成される複数の保持要素とを備え、前記ベースの、前記頂面と前記底面との間の距離である厚さが10μm~700μmの範囲にあり、前記ベースが長手方向に2つの端縁を有し、前記端縁102、104がそれぞれ凹凸を有し、長手方向に対し横断する方向の凹凸間の最大ずれ量Eが、連続する3つの凸部に相当する長手方向の長さLに渡って、1mm未満であることを特徴とする、フック付保持具。
【選択図】図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フック付保持具を形成する方法であって、
長手方向に延び頂面(511)および底面(512)を有するベース(51)と、前記ベース(51)の前記頂面(511)に設けられ、それぞれがステム(52)とヘッド(53)から形成される複数の保持要素と、を備え、
複数の保持要素のテープを形成するために、成形材料を成形装置に分配することによって保持要素のテープを形成するステップを、含み、
前記テープを形成するステップにおいて、
前記ベース(51)の、前記頂面(511)と前記底面(512)との間の距離である厚さが10μm~700μmの範囲にあり、
前記ベース(51)が長手方向に2つの端縁(102,104)を有し、前記端縁(102,104)がそれぞれ凹凸を有し、長手方向に対し横断する方向の凹凸間の最大ずれ量(E)が、連続する3つの凸部に相当する長手方向の長さ(L)に渡って、1mm未満である、フック付保持具を形成する方法。
【請求項2】
前記テープを形成するステップにおいて、
前記端縁(102,104)が、長手方向に対し横断する方向の断面図において、丸みを帯びた部分を有する、請求項1に記載のフック付保持具を形成する方法。
【請求項3】
前記テープを形成するステップにおいて、
連続する3つの凸部に相当する長手方向の長さ(L)に渡る、長手方向に対し横断する方向の凹凸間の前記最大ずれ量(E)が、0.001mm~1mmの範囲、特に、0.001mm~0.5mmの範囲、また特に、0.001mm~0.1mmの範囲にある、請求項1に記載のフック付保持具を形成する方法。
【請求項4】
前記テープを形成するステップにおいて、
連続する3つの凸部は、フックピッチの15倍に相当する距離より短い、好ましくは25mm未満の距離に渡って延びる、請求項1に記載のフック付保持具を形成する方法。
【請求項5】
前記テープを形成するステップにおいて、
長手方向に対し横断する方向で計測する前記ベース(51)の幅が、1mm~500mmの範囲、特に、3mm~100mmの範囲にある、請求項1に記載のフック付保持具を形成する方法。
【請求項6】
前記テープを形成するステップにおいて、
前記保持要素が、前記ベース(51)の前記頂面(511)に直角の方向で測定した場合に、5μm~5000μmの範囲、実際は5μm~2000μmの範囲、特に20μm~800μmの範囲、さらには100μm~500μmの範囲の高さを有する、請求項1に記載のフック付保持具を形成する方法。
【請求項7】
前記テープを形成するステップにおいて、
各前記保持要素の前記ステム(52)が、前記ベース(51)の前記頂面(511)に直角の軸を中心として回転対称である、請求項1に記載のフック付保持具を形成する方法。
【請求項8】
前記テープを形成するステップにおいて、
各前記保持要素がステム(52)とその上方にあるヘッド(53)から形成され、前記ステム(52)が、前記ベース(51)に接続される底端(521)と前記底端(521)の反対側の頂端(522)とを有し、前記ヘッド(53)が、前記ステム(52)の前記頂端(522)の上方にあり、前記ベース(51)に対向する底面と、前記底面の反対側の頂面とを有し、各保持要素の前記ヘッド(53)の前記頂面がリブ(81,82)を有する、請求項1に記載のフック付保持具を形成する方法。
【請求項9】
前記テープを形成するステップにおいて、
前記保持要素が、前記ベース(51)の長手方向を横断する方向に対して非対称である形状を有する、請求項1に記載のフック付保持具を形成する方法。
【請求項10】
前記テープを形成するステップにおいて、
前記ベースの長手方向に延び前記保持要素の前記ステム(52)の軸を含む平面に対して、前記保持要素が対称である、請求項1に記載のフック付保持具を形成する方法。
【請求項11】
前記方法は、
前記ベースに前記面が固化する前に、前記ベース(51)の前記底面(512)および/または前記ベース(51)の前記頂面(511)に不織材層(200)を貼着するステップをさらに含み、
前記不織材層(200)の繊維および/または繊維体の一部が前記ベース(51)内に封入される、請求項1に記載のフック付保持具を形成する方法。
【請求項12】
前記方法は、
前記ベース(51)の前記底面(512)に樹脂フィルムまたは弾性フィルムまたは複合材フィルム(200)を貼着するステップをさらに含み、
前記フィルム(200)と前記ベース(51)の前記底面(512)との接触面積が、前記ベース(51)の前記底面(512)により規定される平面上への前記フィルム(200)の突出面積より大きい、請求項1に記載のフック付保持具を形成する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は留め具の分野に関し、特に、フックを有する留め具、および、これに関連する
製造方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フックを有する留め具はよく知られ、多数の分野で使用されており、そのため、フック
が数多くの形状で製造されている。より一般的には、互いに協働する、またはループなど
の補完要素と協働する保持要素が数多くの形状で製造されている。
【0003】
このような製品で頻繁に生じる問題は、そのように形成された保持要素の帯状体の縁に
関する。
【0004】
一般的に用いられる種々の方法はフックを形成する工程の間にバリが形成されるという
事実のために、不規則な縁部が形成されることにつながる。
【0005】
残念ながら、このような不規則なマージンは、製品の外観および製品の品質に対するユ
ーザの認識に悪影響を及ぼす。
【0006】
このような欠点を回避するために、そのように形成された帯状体のマージンに沿って切
断が通常行われる。そのような切断は追加のステーションの追加を必要とし、また成形材
料の損失および廃棄物の発生につながるという点で、生産ラインの観点から不利になるこ
とがよく理解されている。
【0007】
国際公開第2013/156368号は保持要素のテープが先験的に規則的な縁部を提示して作ら
れることを可能にし、そうすることを可能にすることを目的として、テープの縁部に余分
な厚さを形成し、規則的な形状のビードを作り出し、したがって不規則な縁部の形成を回
避することを目的として、代替的な目標を提供する。当然のことながら、このような提案
は、いかなる機能的利点もなくゾーンを作り出すための材料の消費を増加させ、これは生
産に関して不利である。さらに、これらのビードはテープの他のゾーンに比べて厚みが増
したゾーンであり、したがって、材料の凝固時間、したがって生産ラインが占有される時
間またはそれらの寸法に直接影響を及ぼし、これは工業的観点から、特に製品の非機能ゾ
ーンに関係するので受け入れられない。
【0008】
欧州特許第2850961号明細書はデバイスの底面に固定された基板に関連付けられたフッ
クを有する保持デバイスの形成中に規則的な縁部を得ることを目的とする方法およびデバ
イスの別の例を提示しており、基板は、材料が分配されるとすぐに固定される。この文献
を読むと分かるように、この例はユーザの品質の知覚に関して不満足なままである結果を
もたらしながら、基板の特性を変更することを必要とする。
【発明の概要】
【0009】
本開示の第1態様
第1態様において、本開示は、
長手方向に延び頂面および底面を有するベースと、
ベースの頂面から延出する複数の保持要素であって、それぞれがステムとその上方にあ
るヘッドから形成され、ステムが、ベースに接続される底端と底端の反対側の頂端とを有
し、ヘッドが、ステムの頂端の上方にあり、ベースに対向する底面と、底面の反対側の頂
面とを有する、複数の保持要素とを備える保持具であって、
ベースの、頂面と底面との間の距離である厚さが10マイクロメートル(μm)~70
0μmの範囲にあり、
各保持要素のヘッドの頂面がリブを有することを特徴とする、
保持具に関する。
【0010】
一例では、各保持要素のヘッドが、ステムの頂端に対し径方向に延びる係止部を備え、
前記リブは少なくとも部分的に係止部上に延びている。
【0011】
一例では、各保持要素のヘッドが、ステムの頂端に対し径方向に延びる係止部を2つ備
え、前記係止部がそれぞれリブを有し、前記係止部がステムの両側に延びている。
【0012】
この場合ヘッドは、2つの係止部間に連続的に延びるリブを備えることができる。
【0013】
一例では、ヘッドがさらに、ステムおよび/またはヘッド、通常はステムおよび/また
はヘッドの中間を通って長手方向に延びる軸の両側の、ヘッドの2つの対向端間に延びる
横断リブを有し、横断リブはステムの頂端上に延びている。
【0014】
一例では、少なくとも1つのこの係止部が下方に傾斜する自由端を有する。
【0015】
一例では、各保持要素のヘッドの頂面が、同一の係止部上に少なくとも部分的に延びる
2つの別個のリブを有する。
【0016】
一例では、各保持要素について、リブのそれぞれが、ヘッド外周の一部のみに渡って延
び、特に、1つの保持要素で考えた場合に、リブの長さを合わせると、当該保持要素のヘ
ッドの外周長の5%~95%の範囲となり、特に、当該保持要素のヘッドの外周長の30
%~85%の範囲となる。
【0017】
一例では、前記ベースが長手方向に2つの端縁を有し、前記端縁がそれぞれ凹凸を有し
、長手方向に対し横断する方向の凹凸間の最大ずれ量が、連続する3つの凸部に相当する
長手方向の長さに渡って、1ミリメートル(mm)未満である。
【0018】
一例では、ベースの幅は1mm~500mmの範囲、特に、3mm~100mmの範囲
にある。
【0019】
一例では、保持要素が、ベースの頂面に直角の方向で測定した場合に、5μm~500
0μmの範囲、実際は5μm~2000μmの範囲、特に20μm~800μmの範囲の
高さを有する。
【0020】
一例では、各保持要素のステムが、ベースの頂面に直角の軸を中心として回転対称であ
る。
【0021】
一例では、ヘッドの各リブが、ベースの前記長手方向に対し実質的に(すなわち±30
°以内)横断する方向に延びる。
【0022】
一例では、保持要素が、ベースの長手方向を横断する平面に対して非対称である形状を
有する。
【0023】
一例では、ベースの長手方向に延び保持要素のステムの軸を含む平面に対して、各保持
要素が対称である。このリブは、繊維または繊維体をヘッドの下へ挿入および/または挿
通し易くして固定できるようにするために、フックのヘッド、特に、その係止部を補強す
るよう配される。リブの(ベースの平面に対し直角の方向に沿って計測する)高さは、通
常は0.005mm~0.1mmの範囲、好ましくは0.01mm~0.08mmの範囲
にある。「リブ」という用語は、ヘッドの表面から、実質的にベースから離間するように
高さ方向に延びる長尺部分を指す。これは、(実質的に横断方向沿いに計測する)その幅
よりも長い(実質的に長手方向沿いに計測する)長さを表す。特に、リブの長さに対する
幅の比率は必ず1より小さい。言い換えると、リブは、フックの頂面が平坦ではないよう
に、フックの頂面から突出する凸部を形成する。
【0024】
一例では、各係止部がベースの長手方向に対し実質的に直角の方向に延びる。
【0025】
一例では、フックの上方から見たときに、各リブがV字状であり、逆向きのV字(また
はU字またはC字)の2つの分岐部間の角度が90°~180°の範囲、特に、110°
~170°の範囲、より正確には、140°~150°の範囲にある。逆向きのV字の先
端は通常、長手方向におけるフック前部に向けて位置している。
【0026】
一例では、少なくとも一方のリブの、ベースの長手方向に対し横断する方向の長さが、
ベースの長手方向に対し直角の方向のステム直径より大きい。
【0027】
本開示の第2態様
第2態様において、本開示は、
長手方向に延び頂面および底面を有するベースと、
ベースの頂面から延出し、それぞれがステムとヘッドから形成される複数の保持要素と
を備えるフック付保持具であって、
ベースの、頂面と底面との間の距離である厚さが10μm~700μmの範囲にあり、
ベースが長手方向に2つの端縁を有し、前記端縁がそれぞれ凹凸を有し、長手方向に対
し横断する方向の凹凸間の最大ずれ量が、連続する3つの凸部に相当する長手方向の長さ
に渡って、1.0mm未満であることを特徴とする、
フック付保持具に関する。
【0028】
一例では、前記端縁が、長手方向に対し横断する方向の断面図において、丸みを帯びた
部分を有する。
【0029】
一例では、連続する3つの凸部に相当する長手方向の長さに渡る、長手方向に対し横断
する方向の凹凸間の前記最大ずれ量が、0.001mm~1.0mmの範囲、特に、0.
001mm~0.5mmの範囲、また特に、0.001mm~0.1mmの範囲にある。
【0030】
一例では、連続する3つの凸部は、フックピッチの15倍に相当する距離より短い、好
ましくは25.0mm未満の距離に渡って延びる。
【0031】
一例では、長手方向に対し横断する方向で計測するベースの幅が、1mm~500mm
の範囲、特に、3mm~100mmの範囲にある。
【0032】
一例では、保持要素が、ベースの頂面に直角の方向で測定した場合に、5μm~500
0μmの範囲、実際は5μm~2000μmの範囲、特に20μm~800μmの範囲、
さらには100μm~500μmの範囲の高さを有する。
【0033】
一例では、各保持要素のステムが、ベースの頂面に直角の軸を中心として回転対称であ
る。
【0034】
一例では、各保持要素がステムとその上方にあるヘッドから形成され、ステムが、ベー
スに接続される底端と底端の反対側の頂端とを有し、ヘッドが、ステムの頂端の上方にあ
り、ベースに対向する底面と、底面の反対側の頂面とを有し、各保持要素のヘッドの頂面
がリブを有する。
【0035】
一例では、保持要素が、ベースの長手方向を横断する方向に対して非対称である形状を
有する。
【0036】
一例では、ベースの長手方向に延び保持要素のステムの軸を含む平面に対して、各保持
要素が対称である。したがって、テープのベースには、その端縁に沿って連続的に延びる
余分な厚みがまったく無く、通常は、一端縁から他端縁まで実質的に一定の厚みを有する
。厚みの変動が15%未満の場合、「実質的に」一定の厚みと言う。より一般的には、テ
ープのベースには、非機能的な余分な厚み(または、テープ周縁部の規則性を改善するこ
とを唯一の機能とする余分な厚み)がまったく無いと解することができ、これは、余分な
厚みは材料の過剰消費につながり、型の使用時間を増大させるという限りにおいて、製造
面での利点となる。
【0037】
一例では、保持具はさらに、ベースの底面および/またはベースの頂面に固定される不
織材層を備え、不織材層の繊維および/または繊維体の一部がベース内に封入される。
【0038】
一例では、保持具はさらに、ベースの底面に固定される樹脂フィルムまたは弾性フィル
ムまたは複合材フィルムを備え、フィルムとベース底面との接触面積が、ベース底面によ
り規定される平面上へのフィルムの突出面積より大きい。
【0039】
本開示の第3態様
第3態様において、本開示は、保持要素テープと基板とからなる集合体の組立方法に関
し、前記方法は、
成形材料を成形装置中に定量吐出することにより、底面と頂面とを有し、頂面に保持要
素が設けられたベースを備える保持要素テープを成形する、保持要素テープ成形工程と、
ベースの前記底面が固化する前に、テープのベース底面により規定される平面を基板が
少なくとも部分的に越えて侵入するように基板をベース底面に貼着する工程とを含む。
【0040】
一例では、基板をベース底面に貼着する工程の間、ベース底面は、貼着工程の上流で、
その溶融温度より低い、特に、ベース形成材料の熱たわみ温度より低い温度とされ、ベー
スの温度は、テープ成形工程のみに由来するものである。
【0041】
一例では、基板をベース底面に貼着する工程の間、ベースは、ベース構成材料の溶融温
度と、ベース構成材料のビカット軟化温度(B50法)より30℃低い温度との間、特に
、ベース構成材料の溶融温度と、ベース構成材料のビカット軟化温度(A50法)との間
、実際は75℃~150℃の範囲、特に、ポリプロピレン製ベースの場合実質的に105
℃に等しい表面温度におかれる。
【0042】
一例では、基板をベース底面に貼着する工程中に、ローラを用いて圧力を加える。
【0043】
一例では、本方法は、保持要素テープおよび基板により形成される集合体を脱型する後
続工程を含む。
【0044】
一例では、基板は不織材層であり、不織材層の繊維および/または繊維体の一部が、ベ
ース内に封入される。
【0045】
この場合、ベースの前記底面の固化前に基板をベース底面に貼着する工程を、通常は、
不織材層の繊維および/または繊維体の一部がベース中に少なくとも部分的に侵入するよ
うにして実施する。
【0046】
変形例では、基板が、樹脂フィルム、弾性フィルム、または複合材フィルムである。
【0047】
この場合、ベースの前記底面が固化する前に、基板をベース底面に貼着する工程を、通
常は、特に、ベースの冷却後に、基板のベース底面との接触面積が、基板がベース底面上
に突出する表面積より大きくなるようにして実施する。
【0048】
一例では、基板貼着工程の後、ベースおよびフックは、ベース形成材料が収縮するよう
にして冷却され、これによりベース底面が局所的に変形し、この変形によって、ベースに
固定された基板の頂面に変形が起きる。
【0049】
別の変形例では、基板が、一組の熱強化された繊維および/または繊維体である。
【0050】
一例では、ベースと基板と間の結合が不均一となるよう、基板がベース底面に不均一に
貼着される。
【0051】
一例では、ベースと基板との間の結合が実質的に均一となるよう、基板がベース底面に
均一に貼着される。
【0052】
一例では、保持要素テープ成形工程で、ベース底面上で突出および/または陥凹する、
保持要素とは別個の凹凸要素が形成され、基板をベース底面に貼着する工程によって、基
板とベースとの結合が前記要素を介して行われる。
【0053】
一例では、保持要素テープ成形工程の間に、
内面および外面を有し、複数のキャビティを備える帯状成形型が提供され、各キャビテ
ィは、外面から内面に向けて延びるステムを規定しており、かつ、帯状成形型の内面に向
けてステムから延びるヘッドを成形する一端を有し、
帯状成形型は(たとえば少なくとも2つのローラを備える)回転駆動手段上に位置され
、帯状成形型の内面が駆動手段に当接するよう配され、
成形材料が、帯状成形型との間に間隙が規定されるように帯状成形型に対向配置された
材料ディスペンサ手段を介して帯状成形型の外面に対し定量吐出され、成形材料は、前記
間隙とキャビティとを埋めるようにして定量吐出されて、間隙により規定される厚みを有
するベースと、前記ベースから突出して、それぞれがステムおよびヘッドを備え、帯状成
形型のキャビティ内で樹脂材料により成形された第1予備成形体とを備えるテープが成形
される。
【0054】
一例では、脱型中に、帯状体および第1予備成形体は、第1予備成形体が塑性変形して
第1予備成形体とは異なる形状の第2予備成形体が得られるようにして脱型される。
【0055】
次いで、脱型工程の後、形成工程を実施し、脱型されたテープを形成装置に挿入して、
第2予備成形体のヘッドの形状を形成により変化させることができる。
【0056】
成形材料を定量吐出する工程は通常、長手方向に延び、それぞれが凹凸を有する長手方
向の2つの端縁を有するベースを備えるテープを成形するように行われ、凹凸間の最大ず
れ量が、連続する3つの凸部に相当する長手方向の長さに渡って、1.0mm未満であり
、基板をベース底面に貼着する工程は、凹凸間の長手方向に対する横断方向のこの最大ず
れ量を、連続する3つの凸部に相当する長手方向の長さに渡って、1mm未満に維持する
【0057】
本第3態様はまた、上述の方法を実施する装置と、
底面と、保持要素が設けられた頂面とを有するベースを備える保持要素テープを成形す
るよう構成された成形装置および成形材料ディスペンサ手段と、
成形材料ディスペンサ手段の下流において、基板を、保持要素テープの底面に貼着する
よう構成された基板駆動手段を提供する。
【0058】
一例では、前記駆動手段は少なくとも1つのローラを備える。
【0059】
前記ローラは通常、ベースと基板との間の結合が不均一となるよう、ベース底面を不均
一に押圧するよう構成される。
【0060】
本第3態様はまた、底面と頂面を有し、前記頂面から延びる複数の保持要素を備えるベ
ースと、ベース底面に固定される基板とを備える、長手方向に延びる樹脂テープからなる
保持具であって、
基板が、テープのベース底面により規定される平均平面を越えて侵入していることを特徴
とする保持具を提供する。
【0061】
一例では、基板は不織材層であり、不織材層の繊維および/または繊維体の一部が、ベ
ース内に封入される。
【0062】
変形例では、基板は樹脂フィルムまたは弾性フィルムまたは複合材フィルムであり、フ
ィルムと底面との接触面積が、ベース底面により規定される平面上へのフィルム表面の突
出面積より大きい。
【0063】
本開示の第4態様
第4態様において、本開示は、フック付保持具の成形方法を提供し、ここで、
内面および外面を有し、複数のキャビティを備える帯状成形型が提供され、各キャビテ
ィは、外面から内面に向けて延びるステムを規定しており、かつ、帯状成形型の内面に向
けてステムから延びるヘッドを成形する一端を有し、
帯状成形型は、少なくとも2つのローラを備える回転駆動手段上に位置され、帯状成形
型の内面が駆動手段に当接するよう配され、
成形材料が、帯状成形型との間に間隙が規定されるように帯状成形型に対向配置された
材料ディスペンサ手段によって帯状成形型の外面に対し定量吐出され、成形材料を定量吐
出する工程を、前記間隙とキャビティとを成形材料で埋めるようにして実施し、間隙によ
り規定される厚みを有するベースと、前記ベースから突出して、それぞれがステムおよび
ヘッドを備え、帯状成形型のキャビティ内で樹脂材料により成形された第1予備成形体と
を備えるテープが成形され、
帯状体および第1予備成形体が、第1予備成形体が塑性変形して第1予備成形体とは異
なる形状の第2予備成形体が得られるようにして脱型される。
【0064】
一例では、脱型工程の後、形成工程を実施し、脱型されたテープを形成装置に挿入して
、第2予備成形体のヘッドの形状を形成により変化させる。
【0065】
一例では、形成装置が少なくとも2つの回転要素を備え、前記回転要素はそれぞれがテ
ープ駆動速度とは異なる速度を有する。
【0066】
一例では成形材料がポリプロピレンであり、形成工程の間、形成装置の少なくとも1つ
の形成要素が75℃~165℃の範囲の温度、特に、実質的に120℃に等しい温度、実
際は実質的に140℃に等しい温度、より正確には実質的に150℃に等しい温度に維持
される。
【0067】
一例では、テープおよび予備成形体の脱型工程の結果、ヘッドおよび/またはステムの
高さ、および/または、ヘッドおよび/またはステムの幅が変化する。
【0068】
一例では、形成装置が、周辺温度(または非調節温度)におかれる要素と、厳密に成形
材料の熱たわみ温度(HDT)と溶融温度との間である温度におかれる少なくとも1つの
要素とを備える。
【0069】
一例では、形成工程の結果、各第2予備成形体のヘッドの少なくとも一部が変形し、前
記変形には、各予備成形体について、予備成形体ヘッドの両端のうち一方を変形させて予
備成形体ヘッド頂面上にリブを形成する傾向がある。
【0070】
一例では、成形材料を定量吐出する工程中の、材料ディスペンサ手段と帯状成形型との
間の間隙は、10μm~700μmの範囲、特に、10μm~500μmの範囲、より正
確には、50μm~100μmの範囲にある。
【0071】
一例では、成形材料を定量吐出する工程が、帯状成形型内面が帯状成形型駆動ローラに
当接した状態で成形材料が定量吐出されるようにして実施される。
【0072】
一例では、成形材料を定量吐出する工程が、帯状成形型上に配される不織材シートを介
して行われ、前記不織材シートは、成形材料が通過できる穴開き区間を備える。
【0073】
成形材料は通常ポリプロピレンまたはポリプロピレンをベースとする配合であり、成形
材料を定量吐出する工程は通常、10バール~100バールの範囲の圧力、実際は30バ
ール~50バールの範囲の圧力で、150℃~300℃の範囲の温度にて実施される。
【0074】
また帯状成形型は、通常、1分当たり1メートル(m/min)~500m/minの
範囲、特に、5m/min~250m/minの範囲の走行速度にて駆動される。
【0075】
一例では、脱型工程は、テープのベースが成形材料の溶融温度より低い温度、または、
成形材料の熱たわみ温度より低い温度におかれた状態で実施される。
【0076】
一例では、成形材料を定量吐出する工程は、それぞれが凹凸を有する長手方向の2つの
端縁を有するベースを備える長手方向に延びるテープを成形するように行われ、凹凸間の
、長手方向に対する横断方向の最大ずれ量が、連続する3つの凸部に相当する長手方向の
長さに渡って、1.0mm未満である。
【0077】
一例では、脱型工程に先立ち、ベース底面が固化する前に不織材層をベース底面に貼着
し、不織材層の繊維および/または繊維体の一部を少なくとも部分的にベース中に侵入さ
せる。
【0078】
不織材をベース底面に貼着する工程の間、不織材層は通常、周辺温度(または非調節温
度)におかれ、ベースの温度は、テープ成形工程のみに由来するものである。
【0079】
不織材層をベース底面に貼着する工程の間、ベース底面は、通常、その溶融温度より低
い温度とされる。
【0080】
本第4態様はまた、上述の方法を実施する装置を提供し、この装置は、
(たとえば少なくとも2つのローラを備える)回転駆動手段上に装着される帯状成形型
であって、内面および外面を有し、内面がローラに当接するよう装着され、帯状成形型は
複数のキャビティを備え、各キャビティは、外面から内面に向けて延びるステムを規定し
、かつ、帯状成形型の内面に向けてステムから延びるヘッドを成形する一端を有する、帯
状成形型を備える成形装置と、
成形装置に対向配置され、帯状成形型の一箇所に成形材料を定量吐出し、帯状成形型と
の間の間隙により規定される厚みを有するベースと、それぞれが前記ベースから突出する
ステムおよびヘッドを備える第1予備成形体とを有する予備成形体テープを成形するよう
構成される材料ディスペンサ手段と、
帯状成形型内で成形される予備成形体テープを脱型するよう構成される脱型手段、とを
備え、
帯状成形型および脱型手段が、予備成形体テープの脱型の結果、第1予備成形体が変形
して第1予備成形体とは異なる形状の第2予備成形体が成形されるよう構成される。
【0081】
一例では、本装置はさらに、予備成形体のヘッドを形成により変化させるよう構成され
た形成装置を備える。
【0082】
一例では、本装置はさらに、不織材層を駆動し、材料ディスペンサ手段下流において、
不織材を保持要素テープのベースの底面に対し押圧するよう構成された駆動手段を備える
【0083】
本第4態様はまた、フック付保持具の成形装置を提供し、この成形装置は、
(たとえば少なくとも2つのローラを備える)回転駆動手段上に装着される帯状成形型
であって、内面および外面を有し、内面がローラに当接するよう装着され、帯状成形型は
複数のキャビティを備え、各キャビティは、外面から内面に向けて延びるステムを規定し
、かつ、帯状成形型の内面に向けてステムから延びるヘッドを成形する一端を有する、帯
状成形型を備える成形装置と、
成形装置に対向配置され、帯状成形型の一箇所に成形材料を定量吐出し、間隙により規
定される厚みを有するベースと、それぞれが前記ベースから突出するステムおよびヘッド
を備える第1予備成形体とを有する予備成形体テープを成形するよう構成される材料ディ
スペンサ手段と、
帯状成形型内で成形される予備成形体テープを脱型するよう構成される脱型手段、とを
備え、
帯状成形型および脱型手段が、予備成形体の帯状体の脱型の結果、第1予備成形体が変
形して第1予備成形体とは異なる形状の第2予備成形体が成形されるよう構成される。
【0084】
一例では、本装置はさらに、予備成形体のヘッドを形成により変化させるよう構成され
た形成装置を備える。
【0085】
一例では、形成装置が少なくとも2つの回転要素を備え、前記回転要素の一方が、厳密
に成形材料の熱たわみ温度と溶融温度との間である温度にこれを維持するよう構成された
ヒータ手段または温度調節器を有する。
【0086】
別の実施形態では、ヘッドを、形成工程の前に、成形材料の熱たわみ温度と成形材料の
溶融温度の間の温度となるよう加熱しておくことができ、形成装置は、たとえば成形材料
の熱たわみ温度より低い温度で動作する要素を備えることができる。
【0087】
一例では、形成装置の前記回転要素は、成形装置の速度とは異なる速度をそれぞれが有
する。
【0088】
一例では、成形手段が、各予備成形体のヘッドに少なくとも1つの折り目を形成するよ
う構成される。特に、前記少なくとも1つの折り目は、予備成形体ヘッドの少なくとも一
端を、予備成形体ヘッドの中央部分に向けて折る傾向にある。
【0089】
一例では、形成装置が、周辺温度または非調節温度で動作するよう構成された回転要素
と、ヒータ手段を含む少なくとも1つの回転要素とを備え、ヒータ手段が、前記少なくと
も1つの回転要素が厳密に成形材料の熱たわみ温度と溶融温度との間の温度で動作するよ
う構成される。
【0090】
一例では、形成装置の回転要素は、異なる回転速度で回転駆動されるよう構成され、低
温の回転要素が、高温の回転要素とは異なる相対速度を有する。
【0091】
一例では、帯状成形型のキャビティが、帯状成形型の外面に対し実質的に直角のキャビ
ティ方向に延び、それぞれがステムおよびヘッドを規定し、それぞれが前記キャビティ方
向を中心に回転対称をなし、ヘッドは、キャビティ方向に対し径方向に計測する場合のス
テムの最大寸法より大きい寸法を有する。
【0092】
一例では、材料ディスペンサ手段は、帯状成形型の内面が回転駆動手段のローラに押圧
された状態で、成形材料を帯状成形型の一箇所に定量吐出するよう構成される。
【0093】
一例では、材料ディスペンサ手段と帯状成形型との間の間隙は、10μm~700μm
の範囲、特に、20μm~500μmの範囲、より正確には、50μm~100μmの範
囲にある。
【0094】
一例では、帯状成形型を駆動する回転駆動手段が少なくとも2つのローラを備え、各ロ
ーラは、帯状成形型の厚みの10倍~10,000倍の範囲、特に、帯状成形型の厚みの
50倍~5,000倍の範囲、たとえば100mm~250mmの範囲の直径を有する。
【0095】
一例では、本装置はさらに、材料ディスペンサ手段上流において、帯状の不織材および
/または織材および/または編材を帯状成形型に押圧する手段を備える。
【0096】
一例では、帯状成形型中のキャビティはスルーキャビティである。
【0097】
一例では、本装置はさらに、材料ディスペンサ手段の下流において、帯状成形型の内面
上に配されるスクレーパ装置を備える。
【0098】
一例では、帯状成形型はその内面を形成するゴム製内側帯状体を備え、帯状成形型のキ
ャビティの端部は、前記ゴム製内側帯状体内に形成される。
【0099】
本開示の第5態様
第5態様において、本開示は、フック付保持具の成形方法を提供し、ここで、
内面および外面を有し、複数のキャビティを備える帯状成形型が提供され、各キャビテ
ィは、外面から内面に向けて延びるステムを規定しており、かつ、帯状成形型の内面に向
けてステムから延びるヘッドを成形する一端を有し、
帯状成形型は、少なくとも2つのローラを備える回転駆動手段上に位置され、帯状成形
型の内面が駆動手段に当接するよう配され、
成形材料が、帯状成形型との間に間隙が規定されるように帯状成形型に対向配置された
材料ディスペンサ手段によって帯状成形型の外面に対し定量吐出され、成形材料を定量吐
出する工程を、前記間隙とキャビティとを成形材料で埋めるようにして実施し、間隙によ
り規定される厚みを有するベースと、前記ベースから突出して、それぞれがステムおよび
ヘッドを備え、帯状成形型のキャビティ内で樹脂材料により成形された第1予備成形体と
を備えるテープが成形され、
テープおよび第1予備成形体が脱型され、
脱型されたテープが形成装置に挿入されて、予備成形体ヘッドの形状を形成により変化
させる。
【0100】
一例では、テープおよび第1予備成形体の脱型工程の間、第1予備成形体が塑性変形し
て第1予備成形体の形状とは異なる形状の第2予備成形体が得られ、前記第2予備成形体
は続いて形成装置により変形される。
【0101】
一例では、形成装置が少なくとも2つの回転要素を備え、前記回転要素はそれぞれがテ
ープに対し異なる速度を有する。
【0102】
一例では、成形材料がポリプロピレンであり、形成工程の間、形成装置の少なくとも1
つの形成要素が75℃~165℃の範囲の温度、特に、120℃に近い温度に維持される
【0103】
一例では、テープおよび予備成形体の脱型工程の結果、ヘッドおよび/またはステムの
高さ、および/または、ヘッドおよび/またはステムの幅が変化する。
【0104】
一例では、形成装置が、周辺温度または非調節温度におかれる要素と、厳密に成形材料
の熱たわみ温度(HDT)と溶融温度との間である温度におかれる少なくとも1つの要素
とを備える。
【0105】
一例では、形成工程の結果、各第2予備成形体のヘッドの少なくとも一部が変形し、前
記変形には、各予備成形体について、予備成形体ヘッドの両端のうち一方を変形させて予
備成形体ヘッド頂面上にリブを形成する傾向がある。
【0106】
一例では、成形材料を定量吐出する工程が、帯状成形型内面が帯状成形型駆動ローラに
当接した状態で成形材料が定量吐出されるようにして実施される。
【0107】
一例では、成形材料を定量吐出する工程が、帯状成形型上に配される不織材シートを介
して行われ、前記不織材シートは、成形材料が通過できる穴開き区間を備える。
【0108】
一例では、成形材料を定量吐出する工程中の、材料ディスペンサ手段と帯状成形型との
間の間隙は、10μm~700μmの範囲、特に、10μm~500μmの範囲、より正
確には、50μm~100μmの範囲にある。
【0109】
成形材料は通常ポリプロピレンであり、成形材料を定量吐出する工程は通常、10バー
ル~100バールの範囲の圧力、実際は30バール~50バールの範囲の圧力で、150
℃~300℃の範囲の温度にて実施される。
【0110】
また帯状成形型は通常、1m/min~500m/minの範囲、特に、5m/min
~250m/minの範囲の走行速度にて駆動される。
【0111】
一例では、脱型工程は、テープのベースが成形材料の溶融温度より低い温度、または、
成形材料の熱たわみ温度より低い温度におかれた状態で実施される。
【0112】
一例では、成形材料を定量吐出する工程は、それぞれが凹凸を有する長手方向の2つの
端縁を有するベースを備える長手方向に延びるテープを成形するように行われ、凹凸間の
、長手方向に対する横断方向の最大ずれ量が、連続する3つの凸部に相当する長手方向の
長さに渡って、1.0mm未満である。
【0113】
一例では、脱型工程に先立ち、ベース底面が固化する前に不織材層をベース底面に貼着
し、不織材層の繊維および/または繊維体の一部を少なくとも部分的にベース中に侵入さ
せる。
【0114】
一例では、不織材をベース底面に貼着する工程の間、不織材層は周辺温度または非調節
温度におかれ、ベースの温度は、テープ成形工程のみに由来するものである。
【0115】
一例では、帯状の不織材をベース底面に貼着する工程の間、ベース底面は、その溶融温
度より低い温度とされる。
【0116】
本第5態様はまた、上述の方法を実施する装置を提供し、この装置は、
(たとえば少なくとも2つのローラを備える)回転駆動手段上に装着される帯状成形型
であって、内面および外面を有し、内面がローラに当接するよう装着され、帯状成形型は
複数のキャビティを備え、各キャビティは、外面から内面に向けて延びるステムを規定し
、かつ、前記帯状成形型の内面に向けてステムから延びるヘッドを成形する一端を有する
、帯状成形型を備える成形装置と、
成形装置に対向配置され、帯状成形型の一箇所に成形材料を定量吐出し、間隙により規
定される厚みを有するベースと、それぞれが前記ベースから突出するステムおよびヘッド
を備える第1予備成形体とを有する予備成形体テープを成形するよう構成される材料ディ
スペンサ手段と、
帯状成形型内で成形される予備成形体テープを脱型するよう構成される脱型手段と、
予備成形体のヘッドを形成により変化させるよう構成された形成装置、とを備える。
【0117】
一例では、帯状成形型および脱型手段が、帯状の予備成形体を脱型する結果、第1予備
成形体が変形して第1予備成形体とは異なる形状の第2予備成形体が成形されるように構
成される。
【0118】
一例では、本装置はさらに、不織材層を駆動し、材料ディスペンサ手段下流において、
不織材を保持要素テープのベースの底面に対し押圧するよう構成された駆動手段を備える
【0119】
本第5態様はまた、フック付保持具の成形装置を提供し、この装置は、たとえば少なく
とも2つのローラを備える回転駆動手段上に装着される帯状成形型であって、内面および
外面を有し、内面がローラに当接するよう装着され、帯状成形型は複数のキャビティを備
え、各キャビティは、外面から内面に向けて延びるステムを規定し、かつ、前記帯状成形
型の内面に向けてステムから延びるヘッドを成形する一端を有する、帯状成形型を備える
成形装置と、
成形装置に対向配置され、帯状成形型の一箇所に成形材料を射出し、間隙により規定さ
れる厚みを有するベースと、それぞれが前記ベースから突出するステムおよびヘッドを備
える第1予備成形体とを有する予備成形体テープを成形するよう構成される材料ディスペ
ンサ手段と、
帯状成形型内で成形される予備成形体テープを脱型するよう構成される脱型手段、とを
備え、
帯状成形型および脱型手段が、帯状の予備成形体を脱型する結果、第1予備成形体が変
形して第1予備成形体とは異なる形状の第2予備成形体が成形されるよう構成される。
【0120】
一例では、本装置はさらに、予備成形体のヘッドを形成により変化させるよう構成され
た形成装置を備える。
【0121】
一例では、形成装置が少なくとも2つの回転要素を備え、前記回転要素の一方が、厳密
に成形材料の熱たわみ温度と溶融温度との間である温度にこれを維持するよう構成された
ヒータ手段または温度調節器を有する。
【0122】
一例では、形成装置の前記回転要素は、成形装置の速度とは異なる速度をそれぞれが有
する。
【0123】
一例では、形成手段が、各予備成形体のヘッドに少なくとも1つの折り目を形成するよ
う構成され、前記少なくとも1つの折り目は、予備成形体ヘッドの少なくとも一端を、予
備成形体ヘッドの中央部分に向けて折る傾向にある。
【0124】
一例では、形成装置が、周辺温度または非調節温度で動作するよう構成された回転要素
と、ヒータ手段を含む少なくとも1つの回転要素とを備え、ヒータ手段は前記少なくとも
1つの回転手段が厳密に成形材料の熱たわみ温度と溶融温度との間の温度で動作するよう
構成される。
【0125】
一例では、形成装置の回転要素が別々の回転速度で回転駆動されるよう構成される。
【0126】
一例では、帯状成形型のキャビティが、帯状成形型の外面に対し実質的に直角のキャビ
ティ方向に延び、それぞれがステムおよびヘッドを規定し、それぞれが前記キャビティ方
向を中心に回転対称をなし、ヘッドは、キャビティ方向に対し径方向に計測する場合のス
テムの最大寸法より大きい寸法を有する。
【0127】
一例では、材料ディスペンサ手段は、帯状成形型の内面が回転駆動手段のローラに押圧
された状態で、成形材料を帯状成形型の一箇所に射出するよう構成される。
【0128】
一例では、材料ディスペンサ手段と帯状成形型との間の間隙は、10μm~700μm
の範囲、特に、20μm~500μmの範囲、より正確には、50μm~100μmの範
囲にある。
【0129】
一例では、帯状成形型を駆動する回転駆動手段が少なくとも2つのローラを備え、各ロ
ーラは、帯状成形型の厚みの10倍~10,000倍の範囲、特に、帯状成形型の厚みの
50倍~5,000倍の範囲、たとえば100mm~250mmの範囲の直径を有する。
【0130】
一例では、本装置はさらに、材料ディスペンサ手段上流において、帯状の不織材を帯状
成形型に押圧する手段を備える。
【0131】
一例では、帯状成形型中のキャビティはスルーキャビティである。
【0132】
一例では、本装置はさらに、材料ディスペンサ手段の下流において、帯状成形型の内面
上に配されるスクレーパ装置を備える。
【0133】
一例では、帯状成形型はその内面を形成するゴム製内側帯状体を備え、帯状成形型のキ
ャビティの端部は、前記ゴム製内側帯状体内に形成される。
【0134】
本開示の第6態様
第6態様において、本開示は、
長手方向に延びる弾性フィルムと、
底面と頂面を有し、前記頂面から延びる複数の保持要素を含むベースを備える長手方向
に延びる樹脂テープ、とを備え、
フィルム、ベース、および保持要素が押出成形により一体的に成形されることを特徴と
する保持具に関する。
【0135】
一例では、フィルム、ベース、および保持要素は、連続的および/または同時の押出成
形工程により一体的に形成される。
【0136】
一例では、弾性フィルムとテープのベースとの間の移行部は、頂面および/または底面
の側部において、連続的である。
【0137】
一例では、樹脂テープおよび弾性フィルムが、底面および頂面を有する中間層を形成し
、前記保持具がさらに、中間層底面の少なくとも一部に固定される不織材層を備える。
【0138】
この固定は通常、前記中間層内での部分的封入により実施される。
【0139】
部分的封入は通常、中間層の弾性フィルム内にて実施される。
【0140】
部分的封入は通常、中間層の樹脂テープ内にて実施される。部分的封入は、前記中間層
の樹脂テープ内で実施しても、前記中間層の弾性フィルム内で実施してもよい。
【0141】
一例では、本保持具はさらに、中間層頂面に固定される不織材層を備える。
【0142】
不織材層は通常、中間層頂面に接着剤を用いて固定される。
【0143】
一例では、中間層の底面および/または頂面のうち少なくとも1つが、かかる面から突
出する要素を有し、この突出要素は保持要素と別個のものである。
【0144】
突出要素は通常、棘状である。
【0145】
一例では、樹脂テープのベースが、頂面と底面との間の距離である厚みが10μm~7
00μmの範囲にあり、各保持要素がステムおよびヘッドから構成され、
ステムが、ベースに接続される底端と、底端の反対側の頂端とを有し、ヘッドが、ステム
の頂端上方にあり、ベースに対向する底面と、底面の反対側の頂面とを有し、各保持要素
のヘッド頂面がリブを有する。
【0146】
一例では、不織層が活性化される。不織材は、積層前に活性化してもよく、または、積
層体を全幅に渡って活性化してもよい。
【0147】
本第6態様はまた、フック付保持具の成形方法を提供し、ここで、
溶融状態の樹脂材料を成形装置内に定量吐出して、ベースと前記ベースの一面から突出
する保持要素を有するテープを成形し、
溶融状態の弾性材料を定量吐出し、
樹脂テープ、弾性フィルム、および保持要素が、押出成形により一体成形され、樹脂材
料テープと弾性フィルムが中間層を形成する。
【0148】
一例では、テープを延伸させるために弾性フィルムを形成する。
【0149】
一例では、中間層形成後、中間層の前記底面が固化する前に、中間層の底面に不織層を
貼着する工程を、不織層の繊維および/または繊維体の一部が中間層内に少なくとも部分
的に侵入するようにして実施する。
【0150】
不織層を中間層底面に貼着する工程の間、不織材層は通常、周辺温度または非調節温度
におかれ、中間層底面の温度は、中間層の形成工程のみに由来するものである。
【0151】
一例では、本方法は、中間層頂面に不織材層を貼着する工程を含む。
【0152】
不織材層は通常、中間層の頂面に、通常は接着剤を用いて接合される。
【0153】
一例では、中間層形成前に、成形装置の少なくとも一部に支持層を位置させる。
【0154】
一例では、本方法は、不織材層を活性化する前工程を含む。
【0155】
一例では、材料の定量吐出前に、内面および外面を有し、複数のキャビティを備える帯
状成形型が提供され、各キャビティは、外面から内面に向けて延びるステムを規定してお
り、かつ、帯状成形型の内面に向けてステムから延びるヘッドを成形する一端を有し、帯
状成形型は、たとえば少なくとも2つのローラを備える回転駆動手段上に位置され、帯状
成形型の内面が駆動手段に当接するよう配され、
成形材料が、帯状成形型との間に間隙が規定されるように帯状成形型に対向配置された材
料ディスペンサ手段によって定量吐出され、成形材料は、前記間隙とキャビティとを埋め
るようにして定量吐出されて、間隙により規定される厚みを有するベースと、前記ベース
から突出して、それぞれがステムおよびヘッドを備え、帯状成形型のキャビティ内で樹脂
材料により成形された第1予備成形体とを備えるテープが成形され、
材料の定量吐出後に脱型工程を実施し、第1予備成形体が塑性変形して第1予備成形体の
形状とは異なる形状の第2予備成形体が得られるようにしてテープおよび第1予備成形体
が脱型される。
【0156】
脱型工程の後、通常は形成工程を行い、脱型されたテープを形成装置に挿入して、第2
予備成形体のヘッドの形状を形成により変化させる。
【図面の簡単な説明】
【0157】
本開示のその他の特徴、目的、および利点は、以下の記述から明らかとなる。以下の記
述は説明に過ぎず限定を加えるものではなく、添付の図面を参照して読むべきものである

図1】フック付保持具の製造装置の一例を示す図である。
図2】得られた保持要素または予備成形体の形状を示す詳細図である。
図3】得られた保持要素または予備成形体の形状を示す詳細図である。
図4】得られた保持要素または予備成形体の形状を示す詳細図である。
図5】得られた保持要素または予備成形体の形状を示す詳細図である。
図6】得られた保持要素または予備成形体の形状を示す詳細図である。
図7】得られた保持要素または予備成形体の形状を示す詳細図である。
図8】得られた保持要素または予備成形体の形状を示す詳細図である。
図9】得られた保持要素または予備成形体の形状を示す詳細図である。
図10】得られた保持要素または予備成形体の形状を示す詳細図である。
図11図1に示す装置を、得られた予備成形体の成形手段を加えて再度示す。
図12A】フックの成形工程と、得られたフックまたは予備成形体の形状を示す詳細図である。
図12B】フックの成形工程と、得られたフックまたは予備成形体の形状を示す詳細図である。
図12C】フックの成形工程と、得られたフックまたは予備成形体の形状を示す詳細図である。
図12D】フックの成形工程と、得られたフックまたは予備成形体の形状を示す詳細図である。
図12E】フックの成形工程と、得られたフックまたは予備成形体の形状を示す詳細図である。
図13A】フックの成形工程と、得られたフックまたは予備成形体の形状を示す詳細図である。
図13B】フックの成形工程と、得られたフックまたは予備成形体の形状を示す詳細図である。
図13C】フックの成形工程と、得られたフックまたは予備成形体の形状を示す詳細図である。
図13D】フックの成形工程と、得られたフックまたは予備成形体の形状を示す詳細図である。
図13E】フックの成形工程と、得られたフックまたは予備成形体の形状を示す詳細図である。
図13F】フックの成形工程と、得られたフックまたは予備成形体の形状を示す詳細図である。
図13G】フックの成形工程と、得られたフックまたは予備成形体の形状を示す詳細図である。
図13H】フックの成形工程と、得られたフックまたは予備成形体の形状を示す詳細図である。
図13I】フックの成形工程と、得られたフックまたは予備成形体の形状を示す詳細図である。
図13J】フックの成形工程と、得られたフックまたは予備成形体の形状を示す詳細図である。
図14】このようにして得られたテープの周縁部の特性を示すテープの平面図である。
図15】基板をテープ、たとえばフック付保持具を備えるテープに組み付ける装置の一例を示す。
図16】基板をテープ、たとえばフック付保持具を備えるテープに組み付ける装置の一例を示す。
図17】このような装置を用いて得られる製品の一例を示す図である。
図18】上述の装置を用いて得られ得る製品の別の例を示す図である。
【0158】
すべての図面において、共通する要素には同一の参照番号を付している。
【発明を実施するための形態】
【0159】
図1はフック付保持具の製造装置の一例を示す図である。
【0160】
図示する装置は、本例では2つのローラ21、22からなる回転駆動手段2上に位置す
る帯状成形型1、および射出成形材料に適した材料ディスペンサ手段3からなり、射出成
形材料はたとえば樹脂材料および/または弾性材料とすることができる。
【0161】
したがって帯状成形型1と回転駆動手段2からなるユニットが成形装置を形成している
【0162】
2つのローラ21、22からなる図示例に限られず、ローラの数や配置を、特に帯状成
形型1の長さに合わせたり、装置の様々なステーションに合わせて、変更することができ
る。一例として、ローラを3つ用いることや、または、帯状成形型が1つのローラ周囲に
配されるように、ローラを1つのみ用いることもできる。特に、2つのローラのうち一方
、たとえばローラ21のみモータ手段により回転駆動すればよく、他方のローラ22は自
由回転すなわちモータ手段無しとして、自身がローラ21によって駆動される帯状成形型
により回転駆動することができる。
【0163】
図示した帯状成形型1は内面11と外面12を有し、内面11が回転駆動手段2に接し
ている。
【0164】
材料ディスペンサ手段3は、成形材料を帯状成形型1の外面12上に射出するよう配さ
れる。
【0165】
より詳しくは、材料ディスペンサ手段3は、帯状成形型1に対向して、図1に示す間隙
eが規定されるよう帯状成形型1から離間させて配されている。符号Aは、帯状成形型1
の外面12上に射出される材料の境界を示し、これは帯状成形型1上に射出される材料の
後方面に相当し、ここで「後方」とは、帯状成形型1の走行方向に対する後方を指す。
【0166】
帯状成形型1には、フック付保持具のフックを形成する複数のキャビティが設けられて
いる。
【0167】
各キャビティ13は、帯状成形型1の外面12からその内面11に向けて延びるステム
14と、ステム14と帯状成形型1の内面11との間に延びるヘッド15を規定するよう
形成されている。
【0168】
図示例では、キャビティ13のヘッド15が帯状成形型1の内面11に貫通して開放し
ている。すなわちキャビティ13はスルーキャビティである。このような実施形態に限ら
れず、キャビティ13が閉塞キャビティであって、帯状成形型1の内面11まで貫通して
開放していなくてもよい。
【0169】
キャビティ13の、ステム14を形成する部分は、通常は帯状成形型1の外面12に直
角の方向に延びる。キャビティ13の、ステム14を形成する部分は、通常は、帯状成形
型1の外面12に直角の軸を中心とする回転形状、または、帯状成形型1の走行方向に平
行な方向、および/または帯状成形型1の走行方向に直角な方向に延びる対称面を有する
形状である。
【0170】
一例として、キャビティ13の、ステム14を形成する部分は、概して、帯状成形型1
の外面12に直角な軸を中心とする円錐台形状、または、円筒形状であり、それぞれが、
帯状成形型1の外面12との交差部分に曲面の隅肉部を有する。
【0171】
キャビティ13の、ヘッド15を形成する部分は、通常、帯状成形型1の外面12に直
角の軸に対し径方向または横方向に延び、この帯状成形型1の外面12に直角の軸を中心
とする回転対称をなすことができる。キャビティ13の、ヘッド15を形成する部分は、
通常、実質的に円錐台形状または六面体である形状を有する。
【0172】
キャビティ13の、ヘッド15を形成する部分は、直線または曲線で、たとえば、キャ
ビティ13の、ステム14を形成する部分から帯状成形型1の内面11または外面12に
向けて延びる曲線部分を形成することができる。
【0173】
キャビティ13の、ヘッド15を形成する部分の厚みは、一定でも変化してもよい。
【0174】
図面に示す例では、キャビティ13の、ヘッド15を形成する部分は、キャビティ13
の、ステム14を形成する部分周りの径方向に延び、特に、以下で説明する図2から分か
るように、概して円板形状をなしている。
【0175】
帯状成形型1は、その内面11または外面12上に、スロット、溝列、または通気孔や
棘状突起を形成する通路列など特定の凹凸を有してもよいし、または、実質的に平滑であ
ってもよい。
【0176】
帯状成形型1は複数の帯状材を重ねて作製することができ、必ずしも単一物または単一
材料からなる必要はない。
【0177】
材料ディスペンサ手段3は、通常、駆動ローラ、特に、図1に示す例では駆動ローラ2
1に帯状成形型1が当接している部分にて、成形材料を帯状成形型1に向け射出するよう
配される。このとき駆動ローラはキャビティ13の底部を形成する。
【0178】
帯状成形型1が駆動ローラに当接しない状態で成形材料を射出する場合は、材料ディス
ペンサ手段3は、帯状成形型1の反対側に配されるベースを有してもよい。これにより、
材料の射出中は帯状成形型1の内面11がベースに当接し、ベースが帯状成形型1のキャ
ビティ13の底部を形成する。
【0179】
帯状成形型1は通常、5μm~5000μmの範囲、実際は5μm~2000μmの範
囲、さらに正確には20μm~800μmの範囲、実際は100μm~500μmの範囲
の厚みを有する。
【0180】
長手方向では、帯状成形型は0.5メートル(m)~5mの範囲の長さを有することが
できる。
【0181】
横方向では、帯状成形型は5mm~3000mmの範囲の幅を有することができる。
【0182】
ローラ21、22はそれぞれ、通常、帯状成形型1の厚みの10倍~10,000倍の
範囲の直径を有し、実際は帯状成形型1の厚みの50倍~5,000倍、さらに正確には
50mm~750mmの範囲の直径、特に、100mm~300mmの範囲の直径を有す
る。
【0183】
モールドキャビティが直接形成されたローラなどの従来の成形手段に比べて、帯状成形
型1を駆動手段2とともに用いることにはいくつかの利点がある。
【0184】
帯状成形型の使用は特にモジュラー性の点で有利である。特に、解体や再組立作業の実
施が特に複雑である堅固なローラと異なり、帯状成形型は駆動手段に対し簡単に取外し、
交換が可能である。特に、両ローラ21、22の一端のみがフレームに固定され他端は帯
状成形型の取付けおよび/または取外しのために自由端である場合、このような利点は明
らかである。帯状成形型の挿入および/または取外しを容易にするためにガイド手段を用
いることもできる。
【0185】
さらに、モールドキャビティを含むローラの作製に比べ、帯状成形型は遥かに簡単に作
製することができる。特に、このようなローラは通常、一連の薄板を積層して作製される
ため、多数の工作作業を必要として組立時だけでなくフックの仕様変更がある度に大きな
制約となり、また、このようなローラはかなりの重量となるため両側で支える必要があり
、この結果、交換もより複雑となる。
【0186】
さらに、駆動手段に連結された帯状成形型を使用することで、特に、一方のローラが、
移動中に可動であって、ローラ間のずれを修正でき、帯状成形型の張力を調節可能なよう
に装着される場合、製作および設置は簡易なままで、かなりの長さを有する成形装置を製
造することができる。これに対し、直径の大きな成形ローラの製造は通常は複雑であり、
成形手段は非常に重いものとなり、これは、このようなローラの支持を可能にするために
はアセンブリ全体を必要以上に大きくしなければならないことを意味する。さらに、この
ような大径の成形ローラを作製しても、許容範囲の寸法公差が得られるわけではない。
【0187】
この装置によってフック付保持具を成形する様々な工程を以下で図1図4を参照して
説明する。
【0188】
図2は、帯状成形型1内に射出された成形材料を示す。図2は帯状成形型1のキャビテ
ィ13内の材料を示す側面図(断面)である。
【0189】
図2から分かるように、成形材料は帯状成形型内に侵入して各キャビティ13を充填し
、フックそれぞれのステム/ヘッドブランクを形成する。
【0190】
また、帯状成形型1の外面12上には、保持具のベースを成す成形材料層が堆積され、
この成形材料層の厚みは材料ディスペンサ手段3と帯状成形型1との間の間隙eにより決
定される。
【0191】
間隙eは通常、10μm~700μmの範囲、または通常10μm~500μmの範囲
、実際は20μm~100μmの範囲の厚みを有する。
【0192】
図示例では、帯状成形型1のキャビティ13がスルーキャビティである。そこで本装置
は、必要に応じ余分な成形材料を除去するために、帯状成形型1の内面11を擦るよう位
置させたスクレーパ4などの要素を含むことができる。「射出」という用語は、成形材料
を、定量吐出、送給、成形、射出、押出などの溶融技術により成形する動作を指すのに用
いている。
【0193】
材料ディスペンサ手段3を用いて成形材料を帯状成形型1中に射出することにより、ベ
ース51と、それぞれステム52とヘッド53を有する複数の要素または予備成形体を成
形することができ、この集合体がテープ100を成形する。以下で説明するように、ステ
ム52とヘッド53を備える要素は通常、フックを作製するために続けて成形工程に供さ
れる第1予備成形体である。
【0194】
テープ100の走行方向に対して、このテープ100の走行方向に平行な方向を長手方
向と規定する。この長手方向は一般に「マシン方向」または「MD」と呼ばれる。図面で
は長手方向を軸MDで示す。
【0195】
また、長手方向に直角の方向に相当し、テープ100の平面と平行に延びる、一般に「
幅方向」または「CD」と呼ばれる方向を横断方向と規定する。図面では横断方向を軸C
Dで示す。
【0196】
ベース51は通常は平行である頂面511および底面512を有し、頂面511がフッ
クおよび/または予備成形体が設けられる面である。
【0197】
ベース51は通常、10μm~700μmの範囲、または通常20μm~500μmの
範囲、実際は50μm~100μmの範囲の厚みを有する。
【0198】
ベース51は通常、長手方向に対して横断する方向、たとえば、帯状成形型1の外面1
2に平行な方向に沿って測った場合の幅が、1mm~3000mmの範囲、より正確には
2mm~400mmの範囲、実際は3mm~100mmの間にある。
【0199】
図3図4図5の3つの図は、このように材料を帯状成形型1中に射出することによ
り形成されるフック予備成形体を示す、それぞれ斜視図、平面図、および断面図である。
【0200】
これらの図は、その形状を詳細に示すため、成形材料のキャビティ13内にある時の状
態を、帯状成形型1から分離して示すものとして理解すべきである。
【0201】
これらの図から分かるように、このように成形されたフック予備成形体、特に第1予備
成形体は、それぞれ、概して円筒形または円錐形のステム52上にヘッド53が載った形
状を有する。
【0202】
ステムをベース51に接続するステム52の底端521と、ステム52の底端521の
反対側に規定されるステム52の頂端522とが規定される。
【0203】
ヘッド53はステム52の頂端522から延出する。
【0204】
図示例では、ヘッド53は六角形で、辺縁が円弧形状である。ヘッド53はしたがって
、ステム52の頂端522から径方向に延びる部分を複数有している。ヘッド53、より
広くはヘッド53とステム52からなる集合体は、ステム52およびヘッド53の中心を
通る軸を中心とする回転対称をなす。ヘッド53には他にも様々な形状が考えられる。図
示例の目的は、一実施形態を示すことに過ぎない。ヘッド53は特に六角形とすることが
できる。
【0205】
上述の装置およびこれに関連の方法により、高速テープ成形速度での稼働が可能である
【0206】
特に、フック付保持具を製作する従来の製造ラインは低速の成形速度で稼働するため、
この低速の成形速度を、成形中のテープ幅を増大することで補っている。成形速度に関す
るこの制限は、特に、射出材料が固化するのにかかる時間に由来している。
【0207】
これに対し、上述の装置および方法では、たとえば20m/minより速く、実際は4
0m/min、60m/min、80m/min、100m/min、120m/min
、または150m/minより速く、または実際は1m/min~500m/minの範
囲で、または実際は5m/min~250m/minの範囲の高速成形速度にてテープを
成形することが可能である。特に、上述の方法では、フックを形成するために射出される
材料を完全に冷却する必要がなく、また、おそらくキャビティを有することから熱慣性が
小さい帯状成形型を使用することで、テープの固化速度を大幅に改善することができる。
【0208】
一実施形態では、材料ディスペンサ手段3が、帯状成形型1の外面12上に配された不
織材シートを通して成形材料を射出することができる。
【0209】
この場合不織材シートを、材料ディスペンサ手段3より上流の帯状成形型1の外面12
上に配する。不織材シートは、成形材料の通過を容易にする穴開き区間と、成形材料の通
過を防ぐ区間とを有することができる。
【0210】
このような実施形態では、頂面上、すなわち保持要素つまりフックを有する面に不織材
層を有するテープを得ることができる。成形材料を直接不織材シート上に射出することに
より、不織材を確実にベース51に固着させることができる。
【0211】
さらに、成形材料の通過を容易にする穴開き区間と、成形材料の通過を防ぐ区間の分布
を調整することで、フックの分布パターンを規定することができる。
【0212】
調整区間の基板は通常、フック通過区間において、1平方メートル当たり1秒間に20
00リットル(L/m2/s)より高い通気性、特に、4000L/m2/sより高い通
気性を有する。この通気特性は、基板が本来有するものでもよいし、または、処理、穿孔
、穴開け、穿刺、吸着、エンボス加工、またはその他技術によって与えられるものでもよ
い。一例では、基板は不織材、たとえばプリント不織材とすることができる。基板の通気
性は、たとえば、ISO 9237:1995規格に従い20平方センチメートル(cm
2)の円形試験片を用いて200パスカル(Pa)の圧力下で測定することができる。
【0213】
不織材の重量は通常、1平方メートル当たり2グラム(g/m2)~45g/m2の範
囲にある。不織材の通気性が素材本来のものである場合は、通気性は15,000L/m
2/s未満、実際は7500L/m2/s未満とすることができる。使用している不織材
は、通常、厚さが0.10mm~0.8mmの範囲、特に、0.20mm~0.60mm
の範囲にある不織材である。不織材の厚さは、たとえば、NF EN ISO 9073
-2:1997規格に従い、0.5キロパスカル(kPa)の圧力下で10秒間(s)行
う、通常の不織布用の方法Aにより測定することができる。
【0214】
不織材はまた、フックまたは予備成形体を作製する際に成形材料によって穴が開けられ
るように、部分的に機械的強度が弱いもの、または、本来機械的強度が弱いものとするこ
とができる。
【0215】
材料ディスペンサ手段3は、2つの別個の材料を同時にまたは順次定量吐出することで
、テープ100に2つの別個の材料からなる2つの区間を規定するよう構成することがで
きる。
【0216】
より正確には、材料ディスペンサ手段3は、ベース51およびフックを形成するポリプ
ロピレンなどの成形材料と、ベース51を延伸させる弾性周縁部を形成する弾性材料とを
同時に射出するよう構成することができる。
【0217】
この場合帯状成形型1は、テープ100の様々な区間に適した形状を有することができ
、たとえば、成形材料が射出される部分に相当する、予備成形体またはフックを形成する
ためのキャビティ13が設けられた部分と、弾性材料が射出される部分に相当する、この
ようなキャビティ13が存在しない部分とを有することができる。
【0218】
図6は先に成形されたテープ100の脱型を示す図である。
【0219】
キャビティの形状のために、帯状成形型1から引き抜くためにはヘッド53を変形させ
ざるを得ないことが分かる。
【0220】
したがってキャビティ13の、ステム14およびヘッド15を形成する部分は、脱型を
可能にするために、キャビティ13のステム14を形成する部分をヘッド53が通過でき
るのに適した寸法を有している。
【0221】
かくして脱型によって、図6に簡略図示するようにヘッド53が変形する。この変形は
弾性変形および/または塑性変形とすることができ、塑性変形の場合はヘッド53および
ステム52が変形し、また、弾性変形の場合は、脱型の後にヘッド53およびステム52
は元の形状に復帰することができる。
【0222】
変形の性質は、特に、使用している材料と、また、ヘッド53およびステム52の形状
にも左右される。
【0223】
脱型時に予備成形体にかかる力を低減するために、通常は、脱型を、帯状成形型がロー
ラ21、22の一方と接触していない区間において行う。
【0224】
図6に示す例では、ヘッド53が、概ね平坦な形状から花冠形状に変形する様子を模式
的に示している。したがってステム52の頂端522から径方向または横断方向に延びる
部分は、実質的に平坦な形状から、ベース51から離間するように傾いた形状に変化する
。ヘッド53の自由端の周囲は通常は変形しない。
【0225】
その後、このようにして脱型されるテープ100の一部を図7図10に示す。
【0226】
図示例では、テープ100の脱型により、ヘッド53は塑性変形し、キャビティ13の
、ヘッド15が形成された部分の形状に比べて変化している。
【0227】
図7は、このようにして脱型されたテープ100の斜視図であり、図8は平面図であり
図9および図10は、図7で特定している互いに直角な2つの平面の断面図である。
【0228】
図から分かるように、特に図7図8図9、および図10では、ヘッド53は脱型後
に非対称形状となっている。特に、脱型中にかかる力の方向によって、ヘッド53の異な
る部分で明らかな変形が起こる。図10に示すように、本例では、ヘッド53の、予備成
形体の前側(帯状成形型1の走行方向における前側)に位置する部分が、ヘッド53の、
予備成形体の後側(帯状成形型1の走行方向における後側)に位置する部分よりも大きく
持ち上がっており、すなわち、ヘッド53の、予備成形体の前側に位置する部分の傾斜角
は、ヘッド53の、予備成形体の後側に位置する部分の傾斜角よりも、大きく変化してい
る。このような実施形態に限定されるものではなく、ヘッド53を脱型後に対称となる形
状を有するように形成することが可能である。ヘッド53のこの変形により、ヘッド53
の中心部周りに、外方に広がるカラーが形成される。このカラーは、たとえばステム52
から離れる方向に先細るように厚さが変化する。ステム52に対して、カラーの先端はカ
ラーの基端より小さな厚みを有する。この厚みの変化により、折る機械的動作が容易とな
り、以下で述べる方法で折る、および/または成形するなどの後続の工程で変形に必要な
熱慣性が低減する。
【0229】
特に、このようにして形成されたカラーの少なくとも一部は、断面において、かかるカ
ラーの当該部分の平均軸と、ベース51の平面に平行な平面との間の角度Aが少なくとも
15°である。特に、この角度は、35°より大きく、さらには、45°より大きい。図
9では、図示する角度Aは実質的に55°に等しく、図10では、図示する角度Aは実質
的に80°に等しい。
【0230】
カラーの形成によって、第1予備成形体のヘッドの最大寸法は、ベース51の平面に平
行な平面において測定した場合に(これをヘッドの幅と呼ぶ)、第2予備成形体のヘッド
の幅および/または第2予備成形体のステムの直径に対し、10%~150%、実際には
25%~100%縮小する。
【0231】
ベース51の平面に直角な平面に沿って測定した場合の第2予備成形体のヘッド高さは
、第1予備成形体の高さに対して5%~100%、実際は12%~50%増加する。
【0232】
一例では、ヘッドの幅は約0.2mmのステム径に対し0.05mm~0.2mm減少
する。ステム径は第1および第2予備成形体で実質的に同一である。ヘッドの高さは約0
.2mmのステム径に対し0.025mm~0.1mm増加する。ステム径は第1および
第2予備成形体で実質的に同一である。
【0233】
したがって、成形材料を帯状成形型1に射出する工程によって、(たとえば図2図5
に示すように)それぞれステム52およびヘッド53を備えるフックの「第1」予備成形
体が成形され、また、第1予備成形体は次いで脱型中に塑性変形されて、たとえば図6
図10に示すような、第1予備成形体の形状とは異なる形状の「第2」予備成形体が成形
されると考えられる。「塑性」という用語は、変形のうち、伸長および解放後に残留ひず
みまたは残存ひずみが残るものを特定するように用いている。
【0234】
図1図11、および図15に示す例では、通常は、テープの張力と方向変化の効果に
よってテープ100のベース51を帯状成形型1から分離するように構成される脱型ロー
ラ6を用いて脱型を行う。脱型ローラは、掴持力を向上し滑りを抑えるため、吸着手段お
よび/または、たとえばゴムのコーティングなど摩擦係数の高い表面を備えることができ
る。脱型ローラはモータ駆動することができ、帯状材の速度より若干速い接線速度を有す
ることができる。テープ100と帯状成形型1との分離点をこれらの図ではCで示し、こ
の点は、たとえば、テープ100のベース51が帯状成形型1と接触しなくなる位置に相
当する。予備成形体および/またはフックの脱型を容易にするため、脱型ローラ6が帯状
成形型1に梃子の力を使うよう、帯状成形型1が脱型ローラ6に当接するように設定する
ことができる。
【0235】
第1または第2予備成形体はその後、保持手段の機能を発揮するよう構成してもよいし
、逆に、このような性質を有さなくてもよい。
【0236】
脱型は、通常、テープ100のベース51が成形材料の溶融温度を下回る温度、または
、成形材料が負荷の下で曲がる温度、たとえば、帯状成形型1の内面11が約45℃でベ
ース51の頂面511が約75℃のときに行われる。負荷の下で曲がる温度は一般に「熱
たわみ温度」(HDT)と呼ばれる。
【0237】
脱型工程に次いで成形工程を実施することができ、第2予備成形体が変形、特に、その
ヘッド53が変形される。
【0238】
図11はこのような成形工程を実施する装置を示し、図12および図13はこのような
成形工程中に実現することができる2つの連続形状変化を示す。
【0239】
図11に示す装置は図1に示す装置と類似であるが、脱型ローラ6の下流に位置する形
成装置7も備えている。
【0240】
図示した形成装置7は駆動ローラ71と2つの形成ローラ72、73を備える。
【0241】
駆動ローラ71の機能は、テープ100を案内し駆動することである。形成ローラ72
、73の機能は、脱型により得られた予備成形体のステム52および/またはヘッド53
に成形動作を実施することである。
【0242】
図示例では、形成装置7は、以下に述べる2つの連続成形工程を実施するよう働く2つ
の形成ローラ72、73を備える。形成装置7はこのような実施形態に限定されず、所望
の成形工程を実施するためにその他の数の形成ローラ、またはより広く、成形手段を有す
ることができる。たとえば、形成装置7は、単一の変形のみ実施するよう構成されてもよ
く、この場合は形成ローラは1つのみでよい。
【0243】
形成ローラ72、73は、予備成形体のヘッド53およびステム52に機械的および/
または熱的力を与えて、最終的な形状をフックに与えるための塑性変形を起こすよう構成
される。
【0244】
以下は、図12図16を参照した、成形例の説明である。
【0245】
脱型後、テープ100は形成装置7の駆動ローラ71により駆動される。形成ローラ7
2、73は、それぞれが、該当する形成ローラと駆動ローラ71との間にテープ100が
通過可能な通路を規定するよう配される。
【0246】
駆動ローラ71と形成ローラ72、73との間のこれらの通路は、テープ100の高さ
、または、適切な場合はテープ100および基板の高さより小さい寸法で、形成ローラ7
2、73が予備成形体に力を加えるようになっている。
【0247】
図示例では2つの形成ローラ72、73は予備成形体に2つの連続変形工程を実施する
よう機能する。
【0248】
形成ローラ72、73はそれぞれが、駆動ローラ71の回転速度とは異なる回転速度、
したがってテープ100の走行速度とも異なる回転速度で回転駆動される。
【0249】
駆動ローラ71の速度を基準速度としたとき、第1形成ローラ72は駆動ローラ71の
速度より低い接線速度、たとえば、5%~200%の範囲で駆動ローラ71の速度を下回
る、実際は、10%~80%の範囲で駆動ローラ71の速度を下回る接線速度を有し、第
2形成ローラ73は通常、駆動ローラ71の速度より速い接線速度、たとえば、5%~2
00%の範囲で駆動ローラ71の速度を上回る、実際は、10%~80%の範囲で駆動ロ
ーラ71の速度を上回る接線速度を有する。
【0250】
さらに、形成ローラ72、73はそれぞれが、通常、成形材料に応じた所定温度、たと
えば75℃~165℃の範囲、または特に、ポリプロピレン製のテープの場合は実質的に
120℃に等しい温度に維持されるのに対し、駆動ローラ71は周囲温度または非調節温
度、または熱たわみ温度より低い温度、たとえば65℃より低い温度に維持される。
【0251】
この駆動速度および温度パラメータは、予備成形体のヘッド53を確実に形成ローラ7
2、73に付着および/または擦動および/または摺動させるよう働き、これによりヘッ
ドの変形が起こる。
【0252】
図12a~図12eは、第1形成ローラ72の動作後の予備成形体の変形を示す。形成
ローラ72の回転方向およびテープ100の走行方向を矢印で概略図示している。
【0253】
形成ローラ72の上流では、該当する予備成形体は図7図10を参照して上で述べた
ものと同一である。
【0254】
図12aは形成ローラ72に接近中のテープを示す図である。
【0255】
その後、図12bは形成ローラ72が予備成形体に行う成形動作を示す図である。この
図から分かるように、形成ローラ72はヘッド53の一部を平らにつぶして変形させる。
より正確には、形成ローラ72は、ステム52の頂端522から延びる、ヘッド53の様
々な部分のいくつかと接触し、これらをヘッド53の中心部に運ぶ。予備成形体のこの変
形によって、ヘッド53の中心部に運ばれる部分と、ヘッド53の中心部の材料のいずれ
もが部分的に軟化し、また、ヘッド53の一面上に実質的に平坦な傾斜部が生じる。
【0256】
図12cは形成ローラ72の動作後の予備成形体を示す図である。図12dおよび図1
2eはこのように変形された予備成形体を示す2つの別の図で、それぞれ斜視図と平面図
である。
【0257】
この図から分かるように、本例では形成ローラ72は、予備成形体の走行方向に対し予
備成形体の前側の面を変形させている。
【0258】
この変形により、テープ100の長手方向に対し実質的に横断する方向に延びるリブが
形成される。
【0259】
形成ローラ72による変形動作によって予備成形体のヘッド53の、予備成形体の走行
方向面に相当する部分が折り畳まれるが、この変形動作により、予備成形体ヘッド53の
、走行方向に対し横断方向に延びる部分が平坦化されるため、ステム52の両側に、テー
プ100の走行方向に横断して延びる方向に突出するフィンが形成される。予備成形体の
ステム52の頂端522からステム52より径方向に延出するこれらのフィンによって、
ヘッド53の係止部54が形成される。
【0260】
形成ローラ72が行う変形により、係止部54上に少なくとも部分的に延びる第1リブ
81が形成される。
【0261】
より一般的には、形成ローラ72が行う変形により、係止部54とともに、係止部54
上に少なくとも部分的に延びるリブが形成される。このようにして形成されるリブはヘッ
ド53の頂面上に延び、ヘッド53を機械的に補強する。
【0262】
ヘッド53が係止部54を複数有する場合は、成形工程により、複数の係止部54間に
連続して延びる1つのリブを形成することもできるし、または、それぞれが1または複数
の係止部54上に少なくとも部分的に延びる複数の別個のリブを形成することもできる。
【0263】
形成ローラ72によるこの第1変形の後、形成ローラ73により第2変形を実施するこ
とができる。
【0264】
図13a~図13jは、形成ローラ73による予備成形体の変形と、得られたフックの
形状を示す図である。予備成形体が成形工程を経てからは、特に「フック」という用語を
用いる。
【0265】
図13aおよび図13bは形成ローラ73による予備成形体の変形を示す。これらの図
から分かるように、形成ローラ73は、予備成形体の走行方向に対し前側部分と接触し、
予備成形体のヘッド53を変形させるよう構成される。
【0266】
形成ローラ73の温度や回転速度パラメータにより、予備成形体ヘッド53の材料が接
着し、ヘッド53の、ステム52から突出する部分を立ち上がらせる。
【0267】
ここで、特に、テープ100に対して、形成ローラ73は前述の形成ローラ72と同一
の回転方向を有し、また、その接線速度が駆動ローラ71のものより速いことに留意すべ
きである。
【0268】
これらの回転方向や回転速度特性の結果、形成ローラ73は、予備成形体のヘッド53
を、ヘッド53材料を予備成形体の(走行方向に対し)前方に向けて巻き込むように変形
させる。
【0269】
この結果、形成ローラ72が行う予備成形体に対する第1変形が、予備成形体の前部か
らヘッド53の中心部分に向けて材料を運ぶ傾向があるのに対し、形成ローラ73が行う
予備成形体に対する第2変形は、材料を予備成形体の前部に向けて運ぶ傾向がある。
【0270】
先に形成された第1リブ81はしたがって、予備成形体の前部に戻るように運ばれ、予
備成形体のステム52から突出する。このように変化した第1リブを図では符号81’で
示す。読み易さのため、記述中では第1リブを符号81で表す。
【0271】
フックの、本例では係止部54により形成される2つの横断方向両端の間に同様にして
延びる、実質的に横断方向の第2リブ82が形成される。
【0272】
図13c~図13jから分かるように、このようにして形成されたフックは、第1形成
ローラ72の動作および第2形成ローラ73の動作の双方の結果である第1リブ81と、
第2形成ローラ73の動作の結果である第2リブ82とを有する。
【0273】
これら2つのリブ81、82はそれぞれがフックの2つの横断方向両端の間、図示例で
は2つの係止部54の間に延びる。
【0274】
装置内を通るテープの駆動方向について、フックには前面と後面が規定される。第1リ
ブ81は実質的に係止部54の前面に沿って延びるのに対し、第2リブ82は実質的に係
止部54の後面に沿って延びる。係止部54はしたがって、通常は、当該係止部上に少な
くとも部分的に延びる2つの別個のリブを備える。
【0275】
係止部54と第1および第2リブ81、82はしたがって、底部が実質的に平坦であり
、2つのリブが実質的に直角の方向に延びている、実質的にU字の同じ形状を有するフッ
クの横断方向両端を規定している。
【0276】
リブ81、82はこのように係止部54を機械的に補強し、係止部は、別のフックまた
はループなどの補完要素と協働して固定機構を形成するように構成される。ここで「機械
的補強」という用語は、このようなリブを1または複数有するフックが所定の力の影響を
受けたとき、このようなリブを有さない同様のフックに比べて変形し難いことを意味する
のに用いている。
【0277】
係止部54はステム52に対し実質的に径方向に延びているか、または、たとえば図1
3e、図13i、図13jに示すように、ベース51に向かって傾斜する自由端を有して
いてもよく、これによりフックの保持特性を改善することができる。
【0278】
リブ81および/または82はそれぞれ、ヘッド53の一部分のみに渡って延びる。リ
ブはしたがって、通常は、ヘッド53の外周の一部分のみに渡って延びる。リブの長さを
合わせると、通常は、ヘッド53外周長の5%~95%の範囲、より正確には、ヘッド5
3外周長の30%~70%の範囲となる。ヘッド53外周とは、フックの成形工程後また
は帯状成形型1中で成形される間におけるヘッド53の径方向外周と考える。
【0279】
本例では、リブ81、82のうち少なくとも1つが、通常は、長手方向に対し横断する
方向で測定した場合のステム52直径より大きい長さを有する。
【0280】
図、特に、図13dおよび図13hから分かるように、フックを上から見たとき、リブ
81、82はそれぞれ概ね逆V字(またはU字またはC字)形状を有し、2本の分岐部が
、通常は90°~180°の範囲、より正確には110°~170°の範囲、実際は14
0°~150°の範囲、実質的には145°に等しい角度をなしている。概ねV字形状の
リブの2本の分岐部はしたがってフックの前側に向けて合流する。本実施形態は例示に過
ぎず、たとえば形成装置7の速度パラメータを変更して、概ねV字の形状を反転させ、リ
ブがフックの後部に向けて合流するようにしてもよい。逆V字、または適切な場合はU字
またはC字の先端は、長手方向の前方に向けることができる。
【0281】
通常は、リブ81、82は、ベース51の長手方向に延びて保持要素のステム52の中
心軸を含む平面を中心として対称である。
【0282】
このようにして成形したフックは通常、ベース51の頂面511に直角の方向で測定し
た場合に、5μm~5000μmの範囲、実際は5μm~2000μmの範囲、特に20
μm~800μmの範囲、また特に100μm~500μmの範囲の高さを有する。
【0283】
ヘッド53は、成形工程の前に、成形材料の熱たわみ温度と成形材料の溶融温度の間の
温度となるよう加熱しておくことができ、形成装置7は、たとえば成形材料の熱たわみ温
度より低い温度の回転要素を備えることができる。
【0284】
特に図13f、図13g、および図13jから分かるように、フックは、(帯状成形型
1の走行方向に対して)フックの後部に配されるヘッド面上に、実質的に平坦な傾斜部を
有する。
【0285】
上述の保持具の別の態様は、このようにして製造されるテープの規則性に関する。
【0286】
材料ディスペンサ手段3を用いて成形材料を射出することで、追加の切断工程を必要と
せず、テープの製造直後に実質的に直線の端縁を長手方向に有するテープを得ることがで
きる。
【0287】
図14は上述のテープ100を上から見た図であり、テープは予備成形体またはフック
とともにベースを備える。図14に示す例では、テープ100は、前述の、特に図7~図
10を参照して述べた予備成形体が設けられたものとして示している。
【0288】
本図は、材料を帯状成形型1中に射出した結果得られたテープ100の図であり、テー
プは図14に軸X-Xで示すように長手方向に延びる。図14はまた、軸Y-Yで示す横
断方向も示している。本例で軸X-Xで示す長手方向はマシン方向、すなわち、テープ1
00が駆動される方向に平行である。
【0289】
このテープ100にはそれぞれが長手方向に延びる2つの端縁102、104が規定さ
れ、これら2つの端縁102、104は、長手方向に対し直角の横断方向におけるテープ
100の2つの端部を規定する。
【0290】
フックまたは予備成形体は概して、端縁102、104の近辺に配される。フックまた
は予備成形体は通常、端縁102、104から、図14中で軸X-Xで示す長手方向に対
する横断方向に沿って測定した場合にフックのピッチPの2~3倍の範囲、通常は、フッ
クのピッチPの2または3倍に等しい距離Dをおいて配される。2つのフック間のピッチ
Pは、長手方向に並ぶ2つの連続するフック間の距離に相当する。図14に示す例では、
フックまたは予備成形体は、軸X-Xで示す長手方向に延びる列状に配され、これらの列
が同一に横断方向に反復されている。フックまたは予備成形体は、たとえば長手方向にフ
ックまたは予備成形体の列をずらせることにより、ジグザグ状または「ハニカム」構造に
配しても構わない。
【0291】
図14に示すように、端縁102、104には、長手方向に連続する凹凸を有し、前記
凹凸はベース51により形成される平面に平行な平面内に延びる。これら凹凸はテープ1
00を形成する成形材料の分布における微小な凹凸を表し、すなわち、精密に直線の端縁
を産業的に形成することは不可能であると解釈される。
【0292】
凹部は、端縁102、104の、テープ100の内側に向けて凹む部分と解され、凸部
は、端縁102、104の、テープ100の外側に向けて膨らむ部分と解される。
【0293】
したがって端縁102、104の規則性は、連続する凹凸を用いて評価することができ
る。
【0294】
長手方向に対し横断方向の断面図では、端縁102、104は丸みを帯びた部分を有す
る。特に、丸みを帯びた形状は横方向にベースの外方に向いている。この丸み形状はベー
スの成形中に形成される。言い換えると、この丸み形状は切断によって得られるものでは
ない。
【0295】
上述の装置および方法によれば、凸部3つ分に相当する長手方向の長さLにおいて、長
手方向に対し横断する方向における凹凸間の最大ずれ量Eが、3.0mm未満、より正確
には2.0mm未満、さらに正確には1.0mm未満、実際には0.001mm~1.0
mmの範囲、特に0.001mm~0.5mmの範囲、さらには0.001mm~0.1
mmの範囲にあるようなテープ端縁102、104を得ることができる。
【0296】
このような定義は連続する凹部3つ分に相当する長さについても同じく当てはまり、長
手方向に対し横断する方向における凹凸間の最大ずれ量は、3.0mm未満、より正確に
は2.0mm未満、さらに正確には1.0mm未満、実際には0.001mm~1.0m
mの範囲、特に0.001mm~0.5mmの範囲、さらには0.001mm~0.1m
mの範囲にある。
【0297】
連続する3つの凸部または凹部は、通常、フックピッチの15倍に相当する距離より短
い、好ましくは25mm未満の距離に渡って延びる。
【0298】
このように「直線」と言うことができる端縁102、104を得ることで、このような
直線の端縁は製品の品質が良いことを示すとユーザが考える場合に、たとえば切断工程を
用いることにより端縁を直線化する後続工程を省くことが可能になり有利である。
【0299】
さらに、本装置および方法によれば、テープの周縁部に、機能的な効果を有さない長手
方向の余分な厚みを必要とせずに、このように直線状の端縁を得ることができる。したが
って、テープ100のベース51には、その端縁に沿って連続的に延びる余分な厚みがま
ったく無く、通常は、一端縁から他端縁まで実質的に均一な厚みを有する。より一般的に
は、テープのベース51には、(テープ周縁部の規則性を改善することが唯一の機能であ
る場合に)非機能的な余分な厚みがまったく無いと解することができ、これは、余分な厚
みは材料の過剰消費につながり、型の使用時間が増大する限りにおいて、製造面での利点
となる。
【0300】
上記説明から分かるように、直線の端縁は成形材料を材料ディスペンサ手段3を介して
射出することにより得られる。続く脱型および成形工程では、これらの工程においてテー
プ100のベース51端縁に力を加えない限りにおいて、上述の直線の端縁は保たれる。
このようにして得られたテープ100は、これら様々な工程の後、上で定義した直線状の
端縁を有する。
【0301】
さらに、材料ディスペンサ手段3によって少なくとも2種類の別個の材料を同時にまた
は順次定量吐出する場合は、テープ100のベース51の端縁について上述したように、
通常は2つの材料間の界面が直線状の境界をなすように形成される。より正確には、2つ
の材料を同時にまたは続けて定量吐出する場合、各材料は、材料ディスペンサ手段3によ
り、このようにして形成される材料テープの横断方向の両端において直線状の端縁を形成
するように射出される。したがって、2つの材料の連結部は、上で定義した2つの直線状
の端縁同士の連結部であり、材料それぞれが、上記定義通りの「直線」と言うことができ
る外形を有する。たとえば定量吐出手段は射出または押出ノズルを2つ備えることができ
る。
【0302】
上述の装置および関連の方法はまた、基板をテープに組み付ける手段および工程を備え
ることができる。
【0303】
把持要素を有するテープにこのように基板を組み付ける工程は、通常、接着剤を用いて
、または、上述のようにベースまたは基板を溶融させることによって行われる。
【0304】
基板をテープのベースに固定するため、提案される装置は、材料ディスペンサ手段3の
下流において、基板を送給し基板をテープ100のベース51の底面512に貼着するよ
う構成された基板駆動手段を備えることができる。
【0305】
図15および図16はこのような手段を備える装置の一例を示す図である。
【0306】
図示する装置は、図1を参照して上述したものと同様であり、共通する部材の説明は省
略する。
【0307】
図15および図16から分かるように、上述の装置は、本例では、材料ディスペンサ手
段3の下流において、基板200を送給するよう構成された2つのローラ91、92から
構成される基板駆動手段9を備える。
【0308】
基板200は通常、不織材、樹脂フィルム、弾性フィルム、複合材フィルム、または熱
強化繊維および/または繊維体の集合体の層である。たとえば基板200は繊維および/
または繊維体シートである。
【0309】
図15および図16に示す例では、基板を不織材層として示している。
【0310】
「不織」材という用語は、強化された繊維および/または繊維体シートを形成する結果
として得られる製品を指定するために用いている。強化とは機械的、化学的、または熱的
なものとすることができ、繊維および/または繊維体間に結合部を生成するものである。
かかる強化は直接的、すなわち、融合により繊維および/または繊維体シート間で直接行
うもの、または、間接的、すなわち、たとえば接着剤層または結合材層などの、繊維およ
び/または繊維体間の中間層を介するものとすることができる。「不織」材という用語は
、均一ではない、すなわち不規則またはランダムに交互配置された繊維および/または繊
維体のテープまたはシートの形状の構造に関する。不織材は、単層構造でも、多層からな
る構造でもよい。不織材はまた、別の材料と組み合わせて積層体を形成してもよい。不織
材は様々な合成材料および/または天然材料からなることができる。たとえば、天然材料
としては、綿、ジュート、亜麻などのセルロース繊維があり、また、レーヨンやビスコー
スなどの加工セルロース繊維でもよい。不織材用の天然繊維は、カーディングなど様々な
方法を用いて作製することができる。たとえば、合成材料としては、これらに限られない
が、たとえばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレンなどのポリオレフィン類、た
とえばポリアミド6、ポリアミド6.6、ポリアミド10、ポリアミド12などのポリア
ミド類、たとえばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸
などのポリエステル類、ポリカーボネート、ポリスチレン、熱可塑性エラストマー、ビニ
ルポリマー、ポリウレタン、およびこれらの混合物および共重合体を含む、繊維を形成す
ることで知られる合成熱可塑性ポリマーがあるが、これらに限られない。たとえば、不織
材は、スパンボンド、スパンメルト、メルトカーディング、SMS、SMMS、SS、S
SS、SSMMS、SSMMMS、エアスルーなどの材料でもよい。
【0311】
基板は不織材に限られず、より広く、不織材、織材、編材、またはこれら複数の材料の
組合せのいずれでもよい。
【0312】
基板駆動手段9は、材料ディスペンサ手段3の下流において、装置に基板200を送給
し、テープ100のベース51の底面512に基板200を貼着させるよう構成される。
【0313】
基板駆動手段9は、テープ100のベース51が固化する前にこの貼着が実施されるよ
う構成される。したがってこの貼着によって、基板200の少なくとも一部が、テープ1
00のベース51の底面512により規定される平面を越えて侵入する。図中、符号Bは
テープ100のベース51が基板200と接触される点を示す。
【0314】
より正確には、ベース51の底面512は実質的に平坦であり、平面を規定する。基板
をこの面に貼着させると、基板200の一部、たとえば、基板200が不織材層である場
合は不織材層の繊維および/または繊維体が、ベース51内に侵入し、ベース51の底面
512を貫通する。図17は、テープ100と基板200との間のこの結合の結果生じる
製品の一例を示す図である。
【0315】
テープ100のベース51が固化する前にこのような貼着が行われる限りにおいて、こ
のような結合を行うためにテープ100のベース51および/または基板200を加熱す
る必要はない。
【0316】
たとえば、ベース51がポリプロピレンからなると仮定すると、基板は、通常、ベース
51の底面512が、構成材料の溶融温度とビカット軟化温度(B50法)より30℃低
い温度との間の温度、実際は、構成材料の溶融温度と、構成材料のビカット軟化温度(A
50法)との間の温度を有する状態で、ベース51の底面512に貼着される。特に、ベ
ースがポリプロピレンをベースとする材料からなる場合、ベース51の底面512は、7
5℃~150℃の範囲、通常は約105℃の温度を有し、この温度は通常は赤外線カメラ
またはレーザを用いて測定する。ビカット軟化温度は、ISO306またはASTM D
1525規格に記載の方法のうちの1つを用いて得られる温度であり、ビカットB50
法では50ニュートン(N)の標準荷重、ビカットA50法では10Nの標準荷重で、1
時間当たり50℃(℃/h)の速度で加熱する。
【0317】
より一般的には、基板200をベース51の底面512に貼着する間、ベース51の底
面512はその溶融温度より低い温度、特に、ベース51の形成材料の熱たわみ温度より
低い温度にあり、実際は実質的に周辺温度(または非調節温度)に等しく、ベース51の
温度は、テープ100の成形工程のみに由来するものである。上で定義した点A、B、C
について、特に図15から分かるように、点Aから点Bの間をベース51が走行する距離
は通常は20.0mm~400mmの範囲にある。同様に、点Bから点Cの間をベース5
1が走行する距離は通常は400mm~1500mmの範囲にある。点Bから点Cの間を
ベース51が走行する距離は、通常は、点Aから点Bの間をベース51が走行する距離の
2倍である。
【0318】
ローラ92は通常、基板200をベース51の底面512に圧力を加えて貼着させ、基
板200のベース51への侵入を容易化するよう構成される。
【0319】
ローラ92は、基板200のベース51への侵入を促進するため、凹凸パターンまたは
凹凸部分を備えていてもよい。
【0320】
基板200は、ベース51の底面512に、均一または不均一に貼着させることができ
る。
【0321】
基板200とテープ100のベース51の間の結合は、均一であっても不均一であって
もよい。
【0322】
基板200が熱強化された一組の繊維および/または繊維体である場合も、ベース51
への結合は、基板200の繊維および/または繊維体の一部がベース中に侵入することに
よって達成される。
【0323】
基板200が熱強化された一組の繊維および/または繊維体、樹脂フィルム、弾性フィ
ルム、または複合材フィルムである場合、ベースとの結合中に、テープ100が冷却中に
収縮する現象が起き、この収縮により基板とテープのベースとの間の結合面積が拡大する
場合がある。かかる収縮は、最終的なユーザにとっては見かけ上何の影響もない。
【0324】
より正確には、材料の冷却中に成形品の収縮が起きる現象はよく知られている。本例で
は、テープ100が、ベース51の頂面511から突出する保持要素の存在の結果、厚み
が異なる部分を有する。このような余分な厚みのある区間があるために、フックのステム
52に沿って材料収縮現象が起き、ベース51の底面512に材料収縮区間530が形成
される。
【0325】
ただし、基板200がベース51の固化前にベース51の底面512に貼着される限り
において、このような材料収縮は、基板がベース51の底面512に貼着された後に起き
る。
【0326】
ベース51の底面512に対し基板200を押圧することで、ベース51がこの貼着工
程中にまだ固化していないことと相まって、基板200とベース51の底面512との間
の分子拡散により結合が起きる。したがって上述のように、ベース51の材料が固化する
につれ収縮する間、基板200はベース51の底面512に接触したままであり、基板2
00を形成するフィルムの領域は、ベース51の底面512中の材料収縮区間の形状に密
着し続ける。基板200を形成するフィルムのこの領域はしたがって、ベース51の底面
512により規定される平面を越えて侵入する。このため、基板200を形成するフィル
ムのベース51の底面512との接触面積は、フィルムがベース51の底面512により
規定される平面上に突出する表面積より大きいので、基板200とテープ100との間の
接着力を高めることができる。
【0327】
基板200が不織材層である場合、不織材の重さが80g/m2未満であっても、フッ
クは簡単に脱型できる。たとえば不織材は、5g/m2~120g/m2の範囲、または
実際には10g/m2~70g/m2の範囲の重さを有することができる。
【0328】
基板200が不織材層である場合、本装置は、基板駆動手段9の上流にカレンダ装置を
備えることができ、これにより、不織材層をテープ100に貼着する前に不織材層に対し
てカレンダ工程を(任意で局所的に)行うことができる。
【0329】
基板200をテープ100に結合するこの技法は、特に、テープ100を変形させず、
したがって射出工程中に得られたベース51の形状を保つ、特に、上述の方法および装置
を用いて得られた直線の端縁を保つことができて有益であるという点で有利である。
【0330】
基板のテープへのこの結合は、上述のテープ成形方法に適用することができ、より一般
的には、フックなどの保持要素を含むその他のテープの成形方法に適用することができる
【0331】
上述の様々な装置および方法は、独立して用いても、組み合わせて用いてもよい。
【0332】
たとえば、以下で、上述の装置および方法を用いて得ることができる製品について図1
8を参照して説明する。
【0333】
図18は、押出成形により弾性材料310フィルムと一体成形された、樹脂材料製テー
プ100を備える製品300を示す。特に、樹脂材料製テープ100は、同時または連続
的な押出成形工程により弾性材料フィルム310と一体成形することができる。「連続的
な押出成形工程」という用語は、ここでは、フィルム310および/またはテープ300
が、テープ300および/またはフィルム310の成形と連続して、実際には単一の製造
ラインで作製されることを意味する。
【0334】
図18は、成形中の製品300の長手方向に直角の平面の断面図である。
【0335】
テープ100は上述のテープと同様であり、ベース51と、ベース51の頂面511か
ら延びるフックとを備える。
【0336】
弾性材料310のフィルムは同時または連続的に、または材料ディスペンサ手段3によ
るテープ100の押出成形前に押出成形されるので、テープ100とフィルム310との
間の横断方向両端の一方において結合部が規定される。弾性フィルム310とテープ10
0のベース51との間の移行部はしたがって通常連続的である。
【0337】
したがって、弾性材料フィルム310、ベース、および樹脂材料製テープ100の保持
要素は一体成形され、押出成形の結果として得られる。
【0338】
符号320は弾性材料310のフィルムとテープ100との間の界面を示す。
【0339】
「一体」という用語は、テープとフィルムが、たとえば同時または連続的押出成形工程
によって、材料の同時または連続的分布によってのみ結合されていることを意味する。言
い換えると、テープから弾性フィルムおよび/または弾性フィルムからテープへの分子内
拡散によってのみ結合が達成される。
【0340】
界面320は、図18に示すように、製品300の長手方向に実質的に平行な平面内と
してもよいし、または、弾性フィルム310とテープ100との重複部分からなっていて
もよい。
【0341】
フックとベースが同一材料からなる場合、当然ながら、ベースからフックに向けて、ま
た反対方向へ、材料の連続性が見られる。言い換えると、フック形成材料とベース形成材
料は連続している。
【0342】
弾性フィルム310は、頂面311と底面312を有するものと規定される。図示例で
は、本例の弾性フィルム310の頂面311はテープ100のベース51の頂面511を
延伸させる。図18に示す例では、本例の弾性フィルム310の底面312はテープ10
0のベース51の底面512を延伸させる。
【0343】
したがって弾性フィルム310およびテープ100から形成される集合体は、底面およ
び頂面を有する中間層を構成する。
【0344】
図18から分かるように、基板200が中間層の底面に、すなわち、弾性フィルム31
0の底面312とテープ100のベース51の底面512とに固定されている。
【0345】
基板200は上述のように不織材とすることができる。
【0346】
基板200は、前記中間層内に部分的に封入されることによって、すなわち、基板が、
テープ100のベース51および弾性フィルム310内に部分的に封入されることによっ
て固定される。この結合は、図15図17を参照して上で述べた方法および装置を用い
て行う。
【0347】
図示する製品300はさらに、中間層頂面に固定された支持層330を有する。この支
持層330は弾性フィルム310の頂面311上と、また、少なくとも部分的にテープ1
00のベース51の頂面511上に渡って延びる。
【0348】
支持層330は基板200と同一の組成、または異なる組成とすることができ、たとえ
ば、不織材、編材、網の層とすることができる。
【0349】
図示例では、支持層330が中間層頂面に接着剤により固定されている。図18はした
がって、弾性フィルム310の頂面311上と、また、少なくとも部分的にテープ100
のベース51の頂面511上に渡って延びる接着剤340の層を示す図である。
【0350】
支持層330は通常は、基板200を中間層底面に固定した後に中間層頂面に固定され
る。
【0351】
言うまでもなく、このような固定方法は例示に過ぎず、支持層330を中間層頂面に固
定するのに適したその他のいかなる方法を用いてもよい。
【0352】
たとえば、材料ディスペンサ手段3が材料を定量吐出する前に、帯状成形型1上に支持
層330を配し、上述のように、支持層330を帯状成形型1上に位置させたまま、樹脂
材料と弾性材料とを帯状成形型上に射出することができる。
【0353】
テープ100のベース51および/または弾性フィルム310の頂面および/または底
面は、任意で、(フック以外を)平滑化してもよい。たとえば、移行要素、フック除去跡
、穴やスロットなどの凹部、または、棘部、点部、半円凸部、および/またはピンなどの
凸部といった凹凸要素が存在していてもよい。これらの凹凸要素は、保持要素の高さより
低い、特に、保持要素の高さの40%未満、特に、保持要素の高さの25%未満の高さを
有することができる。これらの凹凸要素は、たとえば、実用上および/または美観上有益
な、他と異なる粗さまたは表面の外観を持つ区間を規定するためなど、所定の用途で有利
な場合がある。
【0354】
基板200および/または支持層330が不織材の場合、基板200および/または支
持層330は、上述のように中間層に固定する前に活性化することができる。
【0355】
「樹脂材料」という用語は、熱可塑性材料、特に、単独重合体または共重合体ベースの
ポリオレフィン材料を意味するのに用いている。
【0356】
以下に列挙する樹脂材料、たとえば、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度
ポリエチレン(LDPE)、メタロセンポリエチレン(m-PE)、高密度ポリエチレン
(HDPE)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリプロピレン(PP)であって、単峰
性または多峰性(たとえば二峰性)の分子量分布を有し、特に、LLDPEとプラストマ
ー、特にポリエチレンをベースとするプラストマーを含む組成。また、ポリアミド(PA
)、ポリ乳酸(PLA)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリビニルアルコ
ール(PVOH)、ポリブタジエンスチレン(PBS)を用いることもできる。
【0357】
「弾性材料」という用語は、横方向に加えられる引張力の影響で伸長し、前記引張力か
ら解放された後に実質的に元の形状および寸法に復帰するのに適した材料を意味するのに
用いている。たとえば、周囲温度(23℃)にて初期寸法の100%分延伸後に保持され
る、伸長および解放後の残留変形または残存度(残留変形は「永久ひずみ」「ひずみ」と
もいう)が、(伸長前)初期寸法の30%未満、実際はたとえば5%未満など、20%未
満である材料とすることができる。ひずみは、欧州特許出願第1783257号に記載の
通り測定することができ、同出願の内容は、特に、ひずみ測定の例を詳述している欧州特
許出願第1783257A1号の[0056]~[0062]段落を、参照により援用す
る。
【0358】
弾性材料の例として、スチレン/イソプレン共重合体(SI)、スチレン/イソプレン
/スチレン(SIS)、スチレン/ブタジエン/スチレン(SBS)、スチレン/エチレ
ン/ブチレン-スチレン(SEBS)、スチレン-エチレン/プロピレン-スチレン(S
EPS)、またはスチレンイソプレンブタジエン(SIBS)が挙げられる。これらエラ
ストマーを互いに混合したものや、弾性以外の所定の特性を変性させる非エラストマーと
の混合物を考慮に入れることもできる。たとえば、ベース材料の所定の特性(弾力性、高
温挙動、加工性、紫外線(UV)耐性など)を変性させるため、50重量%まで、好まし
くは30重量%未満のポリマー、ポリビニルスチレン、ポリスチレンまたはポリ-α-メ
チルスチレン、エポキシポリエステル、たとえば好ましくは高分子量のポリエチレンまた
は特定のエチレン/酢酸ビニルなどのポリオレフィンを加えることができる。
【0359】
特に、弾性材料は、たとえば供給元クレイトンポリマーから入手可能なKRATON
D(登録商標)という名称の、または、供給元デクスコポリマーズLPから入手可能なV
ECTOR SBC4211(登録商標)という名称の、スチレン-イソプレン-スチレ
ンとすることができる。また、熱可塑性エラストマー(TPE)材料、特に、ポリウレタ
ン熱可塑性エラストマー、特に、供給元ダウ・ケミカル・カンパニーから入手可能なPE
LLETHANE(登録商標)2102-75Aを用いることもできる。また、スチレン
-ブタジエン-スチレン、特に、供給元クレイトンポリマーから入手可能なKRATON
D-2122(登録商標)、または、デクスコポリマーズLPから入手可能なVECT
OR SBC4461(登録商標)を用いることもできる。また、スチレン-エチレン/
ブチレン、特に、供給元クレイトンポリマーから入手可能なKRATON G-2832
(登録商標)、または、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン連鎖共重合体(SEB
S)、特に、KRATON(登録商標)G2703を用いることもできる。また、単量体
比が90/10のアクリル酸イソオクチルおよびアクリル酸の共重合体を用いることもで
きる。また、供給元アルケマから入手可能なポリイミドポリエステル共重合体、PEBA
X(登録商標)2533を用いることもできる。
【0360】
その他使用可能な材料に、特にメタロセン触媒により得られる、供給元エクソンモービ
ル・ケミカルから入手可能なVISTAMAXX VMー1120(登録商標)、または
実際には、たとえばEPDM配合のサントプレーンなどのゴム配合ポリマーといった、エ
ラストマーの特性を有するエチレンおよび/またはプロピレンの共重合体を主とするポリ
オレフィン系ポリマーがある。
【0361】
また、樹脂材料と弾性材料との間の結合力を高める材料を用いることもできる。変形実
施例では、帯状成形型の各キャビティが、帯状成形型の頂面と底面との間で、一方の面か
ら他方の面に向けて延びるステムを含むものを想定することができる。
【0362】
本開示に準拠する様々な機構および方法は、フランス特許出願第16 53866、第
16 53870、第16 53872、第16 53873、第16 53888、第
16 53894、および第16 53897に記載されており、これらは参照によりそ
の全体を本明細書中で援用する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図12D
図12E
図13A
図13B
図13C
図13D
図13E
図13F
図13G
図13H
図13I
図13J
図14
図15
図16
図17
図18