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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023055986
(43)【公開日】2023-04-18
(54)【発明の名称】スピーカ装置
(51)【国際特許分類】
   H04R 9/04 20060101AFI20230411BHJP
   H04R 9/00 20060101ALN20230411BHJP
【FI】
H04R9/04 103
H04R9/00 C
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020856
(22)【出願日】2023-02-14
(62)【分割の表示】P 2021179457の分割
【原出願日】2014-07-31
(71)【出願人】
【識別番号】000221926
【氏名又は名称】東北パイオニア株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】海和 健史
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ボイスコイルから引き出された引出線がスピーカフレームや磁気回路を構成するヨークと接触しない、薄型のスピーカ装置を提供する。
【解決手段】スピーカ装置は、フレーム2の連結部22a、22bと、ヨーク33のフランジ部33ca、33cbと、がそれぞれ接して連結している。ボイスコイル4の引出線4a、4bは、それぞれ、連結部22b、22aの端部Tb11、Ta11の近傍から引き出され、2つの連結部22a、22bの間及び2つのフランジ部33ca、33cbの間に位置する空間を横切り、連結部22a、22bの端部Ta12、Tb12の近傍にある端子部26a、26bに接続され、フランジ部33ca、33cbの端子部26a側、26b側の端部Ta22、Tb22が、連結部22a、22bの端子部26a側、26b側の端部Ta12、Tb12よりも連結部22b側、22a側に位置している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボイスコイルと、
フレームと、
前記フレームに連結される2つの被連結部を有するヨークと、を有し、
前記ボイスコイルから引き出された引出線は、前記2つの被連結部の端部の間に位置する空間を横切ることを特徴とするスピーカ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スピーカ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的なスピーカ装置では、ボイスコイルが、磁気回路の磁気ギャップ内に振動自在に配置されている。ボイスコイルから引き出された引出線は、スピーカフレームに設けられた端子部に導通された状態で固定されている(特許文献1~4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-96670号公報
【特許文献2】特許第4886853号公報
【特許文献3】特許第4233745号公報
【特許文献4】特許第3875150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したスピーカ装置は、薄型化をすすめると、ボイスコイルから引き出された引出線がスピーカフレームや磁気回路を構成するヨークと接触して異音を発生する恐れがある、という問題が一例として挙げられる。
【0005】
本発明は、このような問題点に対処することを課題の一例とするものである。即ち、本発明は、例えば、薄型のスピーカ装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載のスピーカ装置は、ボイスコイルと、フレームと、前記フレームに連結される2つの被連結部を有するヨークと、を有し、前記ボイスコイルから引き出された引出線は、前記2つの被連結部の端部の間に位置する空間を横切ることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明のスピーカ装置の一実施形態を示す斜視図である。
図2図1に示すスピーカ装置から振動板及びエッジを取り外した状態を示す斜視図である。
図3図2に示すスピーカ装置から磁石、プレート、ボイスコイル及びコイルボビンを取り外した状態を示す正面図である。
図4図1のI-I線概略半断面図である。
図5】(A)は図2に示すヨークの側面図であり、(B)は(A)のII-II線断面図であり、(C)は(A)のIII-III線断面図である。
図6図1に示すスピーカ装置をバッフル板に取り付けた状態を示す背面側斜視図である。
図7図1に示すスピーカ装置をバッフル板に取り付けた状態を示す正面側斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態にかかるスピーカ装置を説明する。本発明の一実施形態にかかるスピーカ装置は、フレームと、フレーム内で連結されるヨークと、ヨーク内に位置す
るボイスコイルと、を備え、フレームが、2つの連結部を有し、ヨークが、2つの連結部にそれぞれ接する2つの被連結部を有し、ボイスコイルの引出線は、2つの連結部のうち、一方の連結部の端部の近傍から引き出され、2つの連結部の間及び2つの被連結部の間に位置する空間を横切り、他方の連結部の端部の近傍にある端子部に接続され、他方の連結部に接する被連結部の端子部側の端部が、他方の連結部の端子部側の端部よりも前記一方の連結部側に位置している。
【0009】
ボイスコイルの引出線が、2つの連結部のうち、一方の連結部の一端の近傍から引き出され、2つの連結部の間及び2つの被連結部の間に位置する空間を横切り、他方の連結部の端部の近傍にある端子部に接続されているので、小型化を図っても、引出線がヨーク、フレームに接触して異音が生じることを抑制できる。しかも、フレームの2つの連結部と、ヨークの2つの被連結部と、が接しているため、2点で連結されフレームにヨークをしっかり固定できる。さらに、他方の連結部に接する被連結部の端子部側の端部が、他方の連結部の端子部側の端部よりも一方の連結部側に位置しているので、引出線とヨークとが接触することなく、磁気ギャップ内の磁束密度の低下を抑制することができる。
【0010】
また、一方の連結部に接する被連結部の引出線の引出部側の端部が、一方の連結部の引出線の引出部側の端部よりも他方の連結部側に位置していてもよい。これにより、より一層、磁気ギャップ内の磁束密度の低下を抑制することができる。
【0011】
また、他方の連結部に接する被連結部の端子部側の端部と、他方の連結部の端子部側の端部との距離が、一方の連結部に接する被連結部の引出線の引出部側の端部と、一方の連結部の引出線の引出部側の端部と、の距離よりも長くてもよい。引出線の端子部側は、端子部に接していて動きが拘束されているため、被連結部の端子部側を長くしても引出線と接触する恐れが少ない。
【0012】
また、筒部におけるフランジ部が突出している部分の背面とプレートとの間に磁気ギャップが形成されていてもよい。これにより、磁気ギャップ内の磁束密度の低下を抑制することができる。
【0013】
また、フレームのエッジの取付面には、引出線の一部が取り付けられる凹部が設けられていてもよい。これにより、凹部によって引出線の一部側の動きが拘束されるため、より確実に、引出線と被連結部との接触を抑制することができる。
【0014】
また、フレームの2つの連結部間には、開口部が形成されていてもよい。これにより、振動板の排圧を低減でき、振動板が振動しやすくなる。
【0015】
また、ボイスコイルは、筒を介して振動板に取り付けられており、引出線は、振動板側にあるボイスコイルの一部から引き出され、引出線は、振動板又はエッジとヨーク及びフレームの間に位置する空間を通ってもよい。このようにボイスコイルが筒を介して振動板に取り付けられることにより、ボイスコイルの振動板側と振動板との間が離間して、引出線と振動板とが接触することがない。
【実施例0016】
以下、本発明のスピーカ装置を図1図7に基づいて説明する。図1は、本発明のスピーカ装置の一実施形態を示す斜視図である。図2は、図1に示すスピーカ装置から振動板及びエッジを取り外した状態を示す斜視図である。図3は、図2に示すスピーカ装置から磁石、プレート、ボイスコイル及びコイルボビンを取り外した状態を示す正面図である。図4は、図1のI-I線概略半断面図である。図5(A)は、図2に示すヨークの側面図であり、図5(B)は図5(A)のII-II線断面図であり、図5(C)は図5(A)のIII-III線断面図である。図6は、図1に示すスピーカ装置をバッフル板に取り付けた状態を示す背面側斜視図である。図7は、図1に示すスピーカ装置をバッフル板に取り付けた状態を示す正面側斜視図である。
【0017】
図3などに示すように、スピーカ装置1は、フレーム2と、フレーム2に支持され、磁気ギャップGを形成する磁気回路3と、磁気ギャップG内に振動自在に挿入されたボイスコイル4と、ボイスコイル4が巻かれた筒(コイルボビン)5と、コイルボビン5が固定された振動板6と、振動板6をフレーム2に支持するエッジ7と、を備えている。
【0018】
フレーム2は、図1図3に示すように、ポリエチレン、ポリプロピレン、ABS等の樹脂から構成され、正面視略矩形状(本実施形態では略正方形状)に設けられている。フレーム2は、略中央に設けられた円形の開口部21と、開口部21の縁部から内側に向かって突出する2つの連結部22a、22bと、正面の開口部21縁部に設けられ、後述するエッジ7の外縁が取り付けられる取付面23と、後述するエッジ7の外縁を囲むように立設した壁部24と、図5及び図6に示すバッフル板10に取り付けるための2つの被取付部25と、を有している。
【0019】
上記フレーム2の正面側には、図4に示すように、開口部21を覆うように振動板6及びエッジ7が取り付けられ、背面側には、磁気回路3が取り付けられる。上記筒としてのコイルボビン5は、一端が振動板6に固定され、他端が開口部21を通って背面に配置された磁気回路3の磁気ギャップGに挿入される。
【0020】
上記フレーム2の正面側には、図2及び図3に示すように、ボイスコイル4の引出線4a、4bにそれぞれ接続される2つの端子部26a、26bが設けられている。2つの端子部26a、26bは、略矩形状のフレーム2の壁部24よりも外側にある4つの角部のうち、対角線上に対向する2つの角部にそれぞれ設けられている。連結部22aは、後述するボイスコイル4の軸周り方向Y1の一端部Ta11が2つの端子部26aと端子部26bとの中間に設けられ、他端部Ta12が端子部26aと対向する位置に設けられている。連結部22bは、軸周り方向Y1の一端部Tb11が2つの端子部26aと端子部26bとの中間に設けられ、他端部Tb12が端子部26bと対向する位置に設けられている。これにより、連結部22a、22bの端部Ta12、Tb12の近傍にそれぞれ端子部26a、26bが設けられる。
【0021】
取付面23及び壁部24の端子部26a、26bと対向する部分には、引出線4a、4bの端部(一部)が取り付けられる凹部23a、24aが設けられている。凹部23a及び24aは、取付面23及び壁部24の内縁から外縁に貫通するように設けられている。引出線4a、4bの端部は、この凹部23a、24aを通って端子部26a、26bに接続される。凹部23aは、内縁から外縁に向かうに従って徐々に連結部22a、22bの端部Ta12、Tb12に近づくように斜めに設けられている。
【0022】
被取付部25は、略矩形状のフレーム2の4つの角部のうち端子部26a、26bが設けられていない残りの2つにそれぞれ設けられている。被取付部25は、図6及び図7に示すように、後述するバッフル板10から立設する2本のボス10aが嵌め込まれる凹状に設けられている。上述したように端子部26a、26b及び被取付部25をそれぞれフレーム2の対角線上に対向する角部に設けることにより、本実施形態のスピーカ装置1は、ボイスコイル4の軸方向Y1を中心として、180°回転対称となる。
【0023】
磁気回路3は、図4に示すように、例えば内磁型磁気回路であり、磁石31と、磁石31の一極が磁気的に結合されたプレート32と、磁石31の他極が磁気的に結合されたヨーク33と、を含んでいる。磁石31は、円板状に設けられ、中央に図示しない貫通孔が設けられている。プレート32は、円板状に設けられ、磁石31の後述する振動板6側(=一極側)の面に重ねられる。このプレート32にも、磁石31の貫通孔と重なる図示しない貫通孔が設けられている。
【0024】
ヨーク33は、磁石31の振動板6から離れた側(=他極側)の面に重ねられる円板状の底壁部33aと、底壁部33aの外縁から振動板6に向かって立設する筒状のヨーク本体33b(=筒部)と、ヨーク本体33bの底壁部33aから離れた側の端部からフレーム2に向かって突出する2つのフランジ部33ca、33cb(=被連結部)と、を有している。
【0025】
底壁部33aには、上記磁石31及びプレート32が搭載され、磁石31及びプレート32の貫通孔と重なる図示しない貫通孔が設けられている。これら磁石31、プレート32及びヨーク33の貫通孔に図示しないポールを挿入することにより、磁石31、プレート32及びヨーク33の位置決め、固定をすることができる。また、底壁部33a上に磁石31及びプレート32を搭載することにより、筒状のホーク本体33b内に磁石31及びプレート32を配置される。上記ヨーク本体33bは、プレート32と対向する位置まで延在している。磁気ギャップGは、プレート32とヨーク本体33bにおけるフランジ部33ca、33cbが突出している部分の内側面(=背面)との間に設けられるギャップであり、後述するボイスコイル4の軸方向Y2に貫通している。
【0026】
ヨーク33の2つのフランジ部33ca、33cbは、フレーム2の2つの連結部22a、22bの背面に接して、接着剤などにより固定される。これにより、フレーム2にヨーク33が連結される。
【0027】
次に、上記フランジ部33ca、33cb及び連結部22a、22bの詳細な関係を説明する前にボイスコイル4及びコイルボビン5について説明する。ボイスコイル4は、例えばコイルボビン5に導線をらせん状に巻いて形成されている。コイルボビン5は、筒状に設けられ、軸方向Y2の一端が磁気ギャップG内に挿入され、ボイスコイル4が磁気ギャップG内に配置される。この状態で、ボイスコイル4を通電すると、ボイスコイル4に軸方向Y2に振動する力が発生する。また、コイルボビン5は、軸方向Y2の他端が振動板6に固定され、ボイスコイル4に発生した振動によって、振動板6を振動させる。
【0028】
上記引出線4a、4bは、図2に示すように、振動板6側にあるボイスコイル4から引き出されている。ボイスコイル4の引出線4aは、連結部22b(=一方の連結部)の端子部26bから離れた側の端部Tb11の近傍から引き出され、2つの連結部22a、22bの間及び2つのフランジ部33ca、33cbの間に位置する空間を横切り、連結部22a(=他方の連結部)の端部Ta12の近傍にある端子部26aに接続されている。
【0029】
ボイスコイル4の引出線4bは、連結部22a(=一方の連結部)の端子部26aから離れた側の端部Ta11の近傍から引き出され、2つの連結部22a、22bの間及び2つのフランジ部33ca、33cbの間に位置する空間を横切り、連結部22b(=他方の連結部)の端部Tb12の近傍にある端子部26bに接続されている。これら引出線4a、4bは、引出部近くでは当該端部に向かうに従って開口部21の縁部に急激に近づくように(引出部と引出部における接線とのなす角θが鋭角となるように)外側に向かって折り曲げられ、途中で内側に向かって折り曲げられて、端部に向かうに従って開口部21の縁部に緩やかに近づくように設けられている。
【0030】
次に、連結部22a、22bとフランジ部33ca、33cbとの詳細について説明する。ところで、図5(B)、(C)に示すように、フランジ部33ca、33cbが突設されている部分のヨーク本体33bの高さH1は、フランジ部33ca、33cbが突設
されていない部分のヨーク本体33bの高さH2よりもフランジ部33ca、33cbの厚み分低くなるように設けられている。よって、フランジ部33ca、33cbが設けられない部分では、プレート32との間に磁気ギャップGがなくなり、フランジ部33ca、33cbが設けられていない範囲が広くなるほど、磁気ギャップG内の磁束密度が低くなる。しかしながら、上述したように引出線4a、4bを通す関係で、フランジ部33ca、33cbがない箇所を設ける必要がある。本実施形態は、引出線4a、4bと干渉しない範囲でフランジ部33ca、33cbをなるべく広範囲に設けて、磁気ギャップG内の磁束密度の低下を防ぐことを目的の1つとしている。
【0031】
そこで、図3に示すように、フランジ部33ca、33cbの後述するボイスコイル4の軸周り方向Y1の長さを、連結部22a、22bの軸周り方向Y1の長さよりも長く設けている。そして、フランジ部33caの両端部Ta21及びTa22はそれぞれ、連結部22aの両端部Ta11及びTa12よりも連結部22b側に位置するように設けられている。また、フランジ部33cbの両端Tb21及びTb22は連結部22bの両端Tb11及びTb12よりも連結部22a側に位置するように設けられている。
【0032】
詳しく説明すると、連結部22a(=連結部22bを一方の連結部とした場合の他方の連結部)に接するフランジ部33caの端子部26a側の端部Ta22が、連結部22aの端子部26a側の端部Ta12よりも連結部22b側に位置している。連結部22bに接するフランジ部33cbの引出線4aの引出部側の端部Tb21が、連結部22bの引出線4aの引出部側の端部Tb11よりも連結部22a側に位置している。
【0033】
また、連結部22b(=連結部22aを一方の連結部とした場合の他方の連結部)に接するフランジ部33cbの端子部26b側の端部Tb22が、連結部22bの端子部26b側の端部Tb12よりも連結部22a側に位置している。連結部22aに接するフランジ部33caの引出線4bの引出部側の端部Ta21が、連結部22aの引出線4bの引出部側の端部Ta11よりも連結部22b側に位置している。
【0034】
また、フランジ部33ca、33cbの幅W1は、連結部22a、22bの幅W2よりも短く設けられ、このため、フランジ部33ca、33cbの端部Ta22、Tb22近傍の外縁と開口部21の内縁との間には隙間Sが生じる。そして、この隙間Sに引出線4a、4bの端部を通すことができる。また、引出線4a、4bの端部は、端子部26a、26bに半田などにより接続され、さらに凹部23a、24bによって動きが拘束されるため、ボイスコイル4の振動の影響があまりなく、引出線4a、4bの端部は振動しにくい。これにより、フランジ部33ca、33cbの端子部26a、26b側の端部Ta22、Tb22をより連結部22b、22a側に近づけても引出線4a、4bに接触することがない。
【0035】
そこで、本実施形態では、連結部22aに接するフランジ部33caの端子部26a側の端部Ta22と、連結部22aの端子部26a側の端部Ta12と、の距離L1を、連結部22bに接するフランジ部33cbの引出線4aの引出部側の端部Tb21と、連結部22bの引出線4aの引出部側の端部Tb11と、の距離L2よりも長く設けてある。また、連結部22bに接するフランジ部33cbの端子部26b側の端部Tb22と、連結部22bの端子部26b側の端部Tb12と、の距離L1を、連結部22aに接するフランジ部33caの引出線4bの引出部側の端部Ta21と、連結部22aの引出線4bの引出部側の端部Ta11と、の距離L2よりも長く設けてある。
【0036】
振動板6は、紙、ポリエーテルイミドなどの樹脂などで構成され、円形に設けられている。振動板6には、コイルボビン5が固定されている。エッジ7は、ポリウレタンなどの樹脂などから構成され、円形の貫通孔7aが設けられたドーナツ状に形成されている。エ
ッジ7の外周部は、振動板6の内周部に取り付けられている。この貫通孔7aを塞ぐように振動板6が取り付けられている。また、エッジ7の外縁は、図5に示すように、フレーム2の取付面23に上に重ねて取り付けられている。
【0037】
上述した構成のスピーカ装置1は、図6及び図7に示すように、バッフル板10に取り付けられている。バッフル板10は、バッフル板10を正面からみた形状が長方形状に形成され、バッフル板10内、特に中央にスピーカ装置1の振動板6を露出させる露出穴10bが設けられている。バッフル板10の背面には、2つのボス10aが立設され、このボス10aをフレーム2の被取付部25に嵌め込むことにより、スピーカ装置1がこのバッフル板10の背面に取り付けられる。なお、バッフル板10の形状は、前述した平面視長方形状に限られず、正方形を含む多角形、トラック形状を含む直線部と湾曲部を有する形状、楕円を含む湾曲形状であっても構わない。
【0038】
上述した実施形態によれば、図2などに示すように、ボイスコイル4の引出線4a、4bが、一方の連結部22b、22aの端部Tb11、Ta11の近傍から引き出され、2つのフランジ部33ca、33cbの間及び2つの連結部22a、22bの間に位置する空間を横切り、他方の連結部22a、22bの端部Ta12、Tb12の近傍にある端子部26a、26bに接続されているので、小型化を図っても、引出線4a、4bがヨーク33、フレーム2に接触して異音が生じることを抑制できる。しかも、フレーム2の2つの連結部22a、22bと、ヨーク33の2つのフランジ部33ca、33cbと、が接しているため、2点で連結されフレーム2にヨーク33をしっかり固定できる。さらに、他方の連結部22a、22bに接するフランジ部33ca、33cbの端子部26a、26b側の端部Ta22、Tb22が、他方の連結部22a、22bの端子部26a、26b側の端部Ta12、Tb12よりも一方の連結部22b、22a側に位置しているので、引出線4a、4bとヨーク33とが接触することなく、フランジ部33ca、33cbを広範囲に設けて(ヨーク本体33bに沿って長く形成し)、磁気ギャップG内の磁束密度の低下を抑制することができる。
【0039】
また、上述した実施形態によれば、一方の連結部22b、22aに接するフランジ部33cb、33caの引出線4a、4bの引出部側の端部Tb21、Ta21が、一方の連結部22b、22aの引出線4a、4bの引出部側の端部Tb11、Ta11よりも他方の連結部22a、22b側に位置している。これにより、より一層、フランジ部33ca、33cbを広範囲に設けて(ヨーク本体33bに沿って長く形成し)、磁気ギャップG内の磁束密度の低下を抑制することができる。
【0040】
また、上述した実施形態によれば、ヨーク本体33bにおけるフランジ部33ca、33cbが突出している部分の内側面とプレート32との間に磁気ギャップGが形成されている。これにより、磁気ギャップG内の磁束密度の低下を抑制することができる。
【0041】
また、上述した実施形態によれば、フレーム2のエッジ7の取付面23には、引出線4a、4bの一部が取り付けられる凹部23aが設けられている。これにより、引出線4a、4bの端子部26a、26b側が凹部23aによって動きが拘束されるため、より確実に、引出線4a、4bとヨーク33のフランジ部33ca、33cbの端子部26a、26bの端部Ta22、Tb22との接触を抑止できる。
【0042】
また、上述した実施形態によれば、フレーム2の2つの連結部22a、22b間には、開口部21が形成されている。これにより、振動板6の排圧を低減でき、振動板6を振動しやすくできる。
【0043】
また、上述した実施形態によれば、ボイスコイル4は、コイルボビン5を介して振動板
6に取り付けられており、引出線4a、4bは、振動板6側にあるボイスコイル4の端部から引き出され、引出線4a、4bは、振動板6又はエッジ7とヨーク33及びフレーム2の間に位置する空間を通っている。このようにボイスコイル4がコイルボビン5を介して振動板6に取り付けられることにより、ボイスコイル4の振動板6側と振動板6との間が離間して、引出線4a、4bと振動板6とが接触することがない。
【0044】
なお、上述した実施形態によれば、フランジ部33cb、33caの引出線4a、4bの引出部側の端部Tb21、Ta21が、連結部22b、22aの引出線4a、4bの引出部側の端部Tb11、Ta11よりも連結部22a、22b側に位置していたが、これに限ったものではない。例えば、フランジ部33cb、33caの引出線4a、4bの引出部側の端部Tb21、Ta21と、連結部22b、22aの引出線4a、4bの引出部側の端部Tb11、Ta11と、が軸周り方向Y1の同じ位置であってもよい。
【0045】
また、上述した実施形態によれば、磁気回路3としては内磁型磁気回路を用いていたが、これに限ったものではない。外磁型の磁気回路であってもよい。
【0046】
また、上述した実施形態によれば、フランジ部33ca、33cbが設けられた部分のヨーク本体33bの高さH1は、フランジ部33ca、33cbが設けられていない部分のヨーク本体33bの高さH2よりもフランジ部33ca、33cbの厚み分だけ高く設けていたが、これに限ったものではない。高さH1は高さH2よりも高く設けていればよく、例えば、フランジ部33ca、33cbの厚み以上に高く設けてもよい。
【0047】
また、上述した実施形態によれば、コイルボビン5にボイスコイル4を巻いて、コイルボビン5の一端を振動板6に取り付けていたが、これに限ったものではない。コイルボビン5を設けずに、ボイスコイル4が巻き付けられていないコイルボビン5とは別の筒を介して振動板6に取り付けるようにしてもよい。
【0048】
また、上述した実施形態によれば、ボイスコイル4の引出線4a、4bは、2つの連結部22a、22bの間及び2つのフランジ部33ca、33cbの間に位置する空間を横切っている。ここで、ボイスコイル4の引出線4a、4bは、2つの連結部22a、22bの間及び2つのフランジ部33ca、33cbの間を横切る場合、2つの連結部22a、22b及び2つのフランジ部33ca、33cbで形成される第1の空間を横切る場合、第1の空間の上に位置する第2の空間を横切る場合がある。ボイスコイル4が、2つの連結部22a、22bの間及び2つのフランジ部33ca、33cbの間に位置する空間内に侵入しても構わない。
【0049】
また、上述した実施形態によれば、引出線4a、4bは、ボイスコイル4の振動板6側の端部から引き出していたが、これに限ったものではない。引出線4a、4bは、振動板6近傍のボイスコイル4の一部から引き出されていればよい。
【0050】
また、前述した実施例は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0051】
1 スピーカ装置
2 フレーム
4 ボイスコイル
4a 引出線
4b 引出線
5 コイルボビン(筒)
6 振動板
7 エッジ
22a 連結部
22b 連結部
23 取付面
26a 端子部
26b 端子部
31 磁石
32 プレート
33 ヨーク
33a 底壁部
33b ヨーク本体(筒部)
33ca フランジ部(被連結部)
33cb フランジ部(被連結部)
G 磁気ギャップ
Ta11、Ta12 連結部の端部
Ta21、Ta22 フランジ部の端部
Tb11、Tb12 連結部の端部
Tb21、Tb22 フランジ部の端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7