(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023056050
(43)【公開日】2023-04-18
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
D06F 39/02 20060101AFI20230411BHJP
【FI】
D06F39/02 A
D06F39/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027292
(22)【出願日】2023-02-24
(62)【分割の表示】P 2021161184の分割
【原出願日】2021-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100183276
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 裕三
(72)【発明者】
【氏名】手島 賢
(72)【発明者】
【氏名】外薗 洸佑
(72)【発明者】
【氏名】糀 幸久
(72)【発明者】
【氏名】山川 秀樹
(57)【要約】
【課題】液剤残量の検知感度を向上できる洗濯機を提供する。
【解決手段】本開示に係る洗濯機は、筐体内に弾性支持された外槽と、外槽に供給される液剤を収容するタンクと、タンクの上部に位置する回転軸の周りで回転可能に設けられたフロートと、被検知部を検知するセンサと、を備え、フロートは、液剤に対して浮力を有する浮き部と、被検知部を含み、被検知部は、浮き部と回転軸とを結ぶ仮想線よりもセンサに近い位置に配置される。
【選択図】
図12A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に弾性支持された外槽と、
前記外槽に供給される液剤を収容するタンクと、
前記タンクの上部に位置する回転軸の周りで回転可能に設けられたフロートと、
被検知部を検知するセンサと、を備え、
前記フロートは、記液剤に対して浮力を有する浮き部と、前記浮き部より前記回転軸に近い位置に設けられた前記被検知部と、を含み、
前記センサは、前記タンクの側方に設けられ、
前記タンクは、第1のタンクと、第1のタンクよりも深さが大きい第2のタンクと、を含み、
前記フロートは、前記浮き部が浮力を生じさせていない状態で、前記センサが設けられた側の前記タンクの側部に当接する、または前記タンクの内底面に当接する、ことにより静止する、洗濯機。
【請求項2】
前記フロートは、第1アームと、前記第1アームと異なる方向に延びる第2アームと、
を含み、
前記第1アームには、前記被検知部が設けられ、
前記第2アームには、前記浮き部が設けられる、請求項1の洗濯機。
【請求項3】
前記フロートは、前記被検知部を収容する被検知部収容部を有し、
前記センサが設けられた側の前記タンクの側部に前記被検知部収容部が当接することにより前記フロートの回転が制限される、
請求項1に記載の洗濯機。
【請求項4】
前記回転軸は、前記タンクの中心よりも前記センサに近い位置に設けられている、請求項1に記載の洗濯機。
【請求項5】
前記回転軸は、前記センサの近傍に配置され、
前記フロートは、
前記浮き部が浮力を生じさせていない状態で、前記センサに最も近づき、
前記浮き部が浮力を生じさせている状態で、前記タンクに収容された液剤の量が増えるに従って前記センサから離れる向きに回転する、請求項1から4のいずれか一項に記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、タンク内に液剤が固着したことを検出する洗濯機が開示されている。
【0003】
特許文献1に記載された洗濯機は、液剤を収容するタンクと、タンク内の液剤の液面に浮遊する被検出部と、被検出部を検出する検出部とを備える。タンクから液剤を吐出した後の検出部の検出値を記憶し、連続する吐出回数の検出値の差に応じて、タンクに液剤が固着したと判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、液剤の自動投入ユニットを有する洗濯機において、タンクの液剤残量をより高い感度で検知することが求められている。
【0006】
したがって、本開示の目的は、上記課題を解決することにあり、液剤残量の検知感度を向上できる洗濯機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様の洗濯機は、筐体内に弾性支持された外槽と、外槽に供給される液剤を収容するタンクと、タンクの上部に位置する回転軸の周りで回転可能に設けられたフロートと、被検知部を検知するセンサと、を備え、フロートは、液剤に対して浮力を有する浮き部と、被検知部を含み、被検知部は、浮き部と回転軸とを結ぶ仮想線よりもセンサに近い位置に配置される。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、液剤残量の検知感度を向上できる洗濯機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図12D】マグネットとセンサとの距離と、出力電圧値との関係を示すグラフ
【
図12E】液剤の残量と出力電圧値との関係を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態)
本開示の実施形態に係る洗濯機について説明する。
【0011】
[全体構成]
図1は、本開示に係る実施形態の洗濯機1を示す模式断面図である。
図2は洗濯機1の模式正面図である。本実施形態の洗濯機1は、液剤の自動投入機能を有する洗濯乾燥機である。本明細書にて、液剤とは、衣類等の洗濯物15を洗浄するために用いられる液剤であり、洗剤、柔軟剤、中性洗剤等を含む。
【0012】
図1に示すよう、洗濯機1は、筐体2と、外槽3と、内槽4と、駆動部5と、自動投入ユニット6と、接続流路8と、給水口10と、排水弁11と、を備える。
【0013】
<筐体>
筐体2は、洗濯機1の外観を形成する部材である。筐体2の前面には、開口20と、開口20を覆う開閉自在な扉21とが設けられている。
【0014】
<外槽>
外槽3は、筐体2の内部に設けられ、洗濯水を溜める機能を有する大略円筒状の部材である。外槽3は水槽と称してもよい。外槽3は、筒部34と、筒部34の一端を閉じる底部36とを有する。外槽3の中心軸V0は、底部36の中心を通過する。中心軸V0は、水平に対して傾斜される。外槽3は、筐体2の開口20に面する位置に開口31を有し、ベローズ32によって、筐体2の開口20と密閉されて連結される。外槽3にはさらに通水のための開口33、35が設けられる。開口33は、接続流路8に接続される開口であり、開口35は外槽3の水を外部に排水するための排水口である。
【0015】
また、後述において、中心軸V0に沿った水平方向を前後方向M(
図1)として、中心軸V0を含む平面に直交する水平方向を幅方向K(
図2)とする。前後方向Mは、開口31に向かう前側M1と底部36に向かう後側M2を有し、幅方向Kは、中心軸V0から離れる外側K1と中心軸V0に向かう中心側K2を有する。
【0016】
<内槽>
内槽4は、外槽3の内側において中心軸V0周りで回転可能に設けられ、衣類等の洗濯物15を収容する大略円筒状の部材である。内槽4は、ドラムと称してもよい。内槽4には多数の貫通孔40が形成される。貫通孔40は内槽4と外槽3とを連通させ、洗濯水が内槽4から外槽3に移動することを可能にする。内槽4はさらに、筐体2の開口20及び外槽3の開口31に面する位置に、開口41を有する。
【0017】
<駆動部>
駆動部5は、内槽4を中心軸V0周りで回転駆動させる部材である。駆動部5は例えば、内槽4を回転させるモータを有する。
【0018】
<自動投入ユニット>
自動投入ユニット6は、所定量の液剤を、液剤を貯蔵するタンクから、外槽3に自動で投入するユニットである。自動投入ユニット6は、洗い工程やすすぎ工程等の際に、例えば、洗濯物15の量や種類に応じて、適切な種類の液剤を適切な量において、外槽3に投入する。自動投入ユニット6は、外槽3に液剤を供給するために、接続流路8を介して外槽3に接続される。
【0019】
自動投入ユニット6は、ケース61と、タンク62A、62B、62C(タンク62B、62C図示せず)と、液剤投入装置63A、63B、63C(液剤投入装置63B、63C図示せず)と、液剤吐出流路64と、手動投入部65とを備える。
【0020】
図2に示すように自動投入ユニット6は、筐体2の内部において、外槽3の斜め上方に設けられる。自動投入ユニット6は、筐体2の上面に設けられた開閉可能なカバー60に面する。自動投入ユニット6は、外槽3の筒部34の外周に沿った形状を有する。
【0021】
<接続流路>
接続流路8は、自動投入ユニット6から外槽3に液剤を供給するための流路である。接続流路8は、自動投入ユニット6から外槽3の開口33まで下方に延びる。
【0022】
<給水口>
図1に戻ると、給水口10は、自動投入ユニット6を介して外槽3に水を供給するホースを接続するための接続口である。給水口10は、筐体2の上部に設けられる。
【0023】
<排水弁>
排水弁11は、開閉可能に構成され、開かれると、外槽3に溜められた水を外槽3の開口35を通じて排水するための弁である。排水弁11は、筐体2の下部に設けられる。
【0024】
<制御部>
制御部(図示せず)は、洗濯機1の運転を制御する部材である。制御部は、駆動部5、自動投入ユニット6の液剤投入装置63A、63B、63C、給水口10、及び排水弁11等の洗濯機1の構成要素を制御する。制御部は、例えば、プログラムを記憶したメモリ(図示せず)と、CPUなどのプロセッサに対応する処理回路(図示せず)とを備え、プロセッサがプログラムを実行することでこれらの要素として機能してもよい。
【0025】
続いて、自動投入ユニット6の構成要素について、
図3から
図6を参照しながら説明する。
図3及び
図4は、自動投入ユニット6の斜視図である。
図5は、自動投入ユニット6の上面図である。
図6は、自動投入ユニット6の一部の斜視図である。
【0026】
<ケース>
図3に示すように、ケース61は、自動投入ユニット6を構成するタンク62A、62B、62Cと、手動投入部65とを収容する部材である。ケース61の底面55は、点線によって模式的に示す筒部34の外周に沿って、傾斜した形状を有する。
【0027】
ここで、ケース61の前側M1の面を前面56(
図3)として、ケース61の後側M2の面を背面57(
図4)とする。
図4に示すように、ケース61の背面57には、液剤投入装置63A、63B、63C(
図6)と、液剤吐出流路64と、接続流路8と、センサ90とが接続される。
【0028】
<タンク>
図5に示すように、ケース61には、3つのタンク62A、62B、62Cが幅方向Kに並んだ状態で収容される。タンク62A、62B、62Cは、洗い工程及びすすぎ工程で使用する液剤を貯蔵する容器である。例えば、タンク62Aには中性洗剤が貯蔵され、タンク62Bには柔軟剤が貯蔵され、タンク62Cには洗剤が貯蔵される。タンク62A、62B、62Cは、ケース61に対して取り外し可能である。タンク62A、62B、62Cを前側M1に引いて液剤投入装置63A、63B、63C(
図6)から取り外し、上方に取り出すことができる。
【0029】
<手動投入部>
手動投入部65は、使用者が1回分の洗濯処理剤としての液剤を、手動で投入するための機構である。手動投入される液剤は、投入された量において、ケース61から接続流路8(
図1)を介して外槽3(
図1)に流入する。手動投入される液剤は、液体または粉末状であってもよい。手動投入部65は、取り外し可能にケース61に収容される。
【0030】
<液剤投入装置>
図6に示すように、液剤投入装置63A、63B、63Cは、タンク62A、62B、62Cから既定量の液剤を吸い出して、液剤吐出流路64に吐出する装置である。液剤投入装置63A、63B、63Cは、ケース61の背面57を介して、前後方向Mにそれぞれのタンク62A、62B、62Cに接続される。タンク62Aには液剤投入装置63Aが接続され、タンク62Bには液剤投入装置63Bが接続され、タンク62Cには液剤投入装置63Cが接続される。液剤投入装置63A、63B、63Cは、幅方向Kに並んで配置される。
【0031】
<液剤吐出流路>
図6に示すように、液剤吐出流路64は、液剤及び水を、ケース61を介して外槽3(
図1)に供給する流路部材である。液剤吐出流路64は、ケース61の背面57に設けられ、3つの液剤投入装置63A、63B、63Cに接続される。液剤吐出流路64は、外側K1に向かって下方に傾斜して延びる。言い換えれば、液剤吐出流路64は、上流から下流に向かって、水平面に対して下方に傾斜して延びる。液剤吐出流路64を流れる流体(例えば、水W0)は、液剤吐出流路64の傾斜に応じて一方向に流れる。
【0032】
続いて、自動投入ユニット6のケース61の構造について、
図7を参照しながらより詳細に説明する。
図7はケース61の斜視図である。
【0033】
図7に示すように、ケース61は、内底面B1、B2、B3を有する。内底面B1、B2、B3は外側K1に沿って順番に並ぶ。内底面B1は、タンク62A(
図6)の直下に位置する面であり、内底面B2は、タンク62B(
図6)の直下に位置する面であり、内底面B3は、タンク62C(
図6)の直下に位置する面である。
【0034】
ケース61の背面57には、タンク接続口77A、77B、77Cと、第1ケース接続口78と、第2ケース接続口79と、液剤出口81とが形成される。
【0035】
タンク接続口77A、77B、77Cは、ケース61に収容されたタンク62A、62B、62Cと、ケース61の外部に配置された液剤投入装置63A、63B、63Cとの接続のために設けられた開口である。
【0036】
また、第1ケース接続口78及び第2ケース接続口79は、液剤吐出流路64をケース61に接続する開口である。液剤出口81は、液剤吐出流路64からケース61に流入した流体と、手動投入部65から流れる流体を、接続流路8へ排出する開口である。
【0037】
ケース61に、タンク62A、62B、62Cを取り付けた状態について、
図8を参照しながら、より詳細に説明する。
図8は、自動投入ユニット6の斜視断面図である。
【0038】
図8に示すように、タンク62A、62B、62Cは、順に深さL1、L2、L3を有する。深さL1、L2、L3は、それぞれのタンク62A、62B、62Cの上面から最深部までの距離である。タンク62A、62B、62Cの深さL1、L2、L3は順に増加する。タンク62Bの深さL2はタンク62Aの深さL1より深く、タンク62Cの深さL3はタンク62Bの深さL2より深い。また、タンク62A、62B、62Cの上面が共通した形状を有するため、タンク62A、62B、62Cの容積は、深さL1、L2、L3に応じて、順に増加する。
【0039】
上述のように、タンク62A、62B、62Cには、それぞれ、中性洗剤、柔軟剤、洗剤が貯蔵される。液剤の種類及びタンク62A、62B、62Cの容積を考慮して、液剤の使用頻度が低いものから順に、タンク62A、62B、62Cに収容されてもよい。また、タンク62A、62B、62Cには、同一の液剤が収容されてもよい。
【0040】
ここで、タンク62を、タンク62A、62B、62Cの総称とする。同様に、液剤投入装置63を、液剤投入装置63A、63B、63Cの総称とし、接続部76を、接続部76A、76B、76Cの総称とする。後続の説明において、タンク62の一例としてタンク62Cを基準に説明する。
図9は、タンク62及び液剤投入装置63の斜視図である。
図10は、タンク62の分解図である。
【0041】
図9に示すように、タンク62は、最深部において、接続部76を形成する。接続部76は、液剤投入装置63に接続される構造である。接続部76は、それぞれ、逆止弁68(後述の
図12A)と接続口とを備える。逆止弁は、液剤投入装置63が装着されると開放され、タンク62と液剤投入装置63とが連通する。接続口は、液剤が吸い出される開口であり、
図7に示すタンク接続口77A、77B、77Cに面する。
【0042】
図10に示すように、タンク62は、本体87と蓋88とを備える。本体87は、前面91と、背面92とを形成する箱状の容器である。本体87の上部は開口しており、蓋88に覆われている。蓋88は、本体87に取り外し可能に保持される蓋である。蓋88は、開閉可能な小蓋88Aを有する。
【0043】
タンク62の上面が共通の形状を有するため、本体87の上部は共通の形状を有し、本体87における蓋88を保持するための構造も共通である。そのため、それぞれのタンク62の蓋88は共通な形状を有し、交換可能である。より具体的には、任意のタンク62A、62B、62Cに取り付けた蓋88は、他のタンク62A、62B、62Cに対しても取り付け可能である。一方で、共通な形状を有する蓋88を区別可能にするために、蓋88に付される色、模様、文字、その他外観的な特徴は、異なってもよい。
【0044】
本体87の底面と対向する蓋88の裏面89には、フロート94が回転可能に設けられている。フロート94は、フロート回転軸V2の周りで回転する。フロート94は、ケース61の背面57に配置されるセンサ90(
図6)とあわせて、タンク62の液剤残量を検知する機能を有する構成である。フロート94は、フロート回転軸V2が延びる方向に直交して設けられている。
【0045】
図11は、蓋88の斜視図である。
図11に示すように、フロート94は、第1アーム95と、第2アーム97と、浮き部98とを有する。
【0046】
第1アーム95は、蓋88に対して回転可能に取り付けられている棒状部材であり、タンク62に液剤がない状態では、蓋88から下方に延びる。第1アーム95には第2アーム97が接続される。第2アーム97は、第1アーム95に対して、タンク62の底面及び背面92から離れるように、また背面92に配置されるセンサ90(
図12A)から離れるように折れ曲がった棒状部材である。言い換えれば、2つのアーム95、97の接続点をアーム接続点P1とすると、アーム接続点P1において折れ曲がりが形成される。本実施形態において、第1アーム95が下方に延びた状態において、第2アーム97は斜め下方に延びる。浮き部98は、第2アーム97に設けられ、液剤に対して浮力を有する部材である。具体的には、浮き部98は、空気を収容した状態で密閉された空洞を形成する。浮き部98は、液剤の液面S1(
図12A)に追従して、回転方向R2に沿って上下に移動する。浮き部98の移動に応じて、第1アーム95及び第2アーム97は一体的に回転する。
【0047】
【0048】
図12Aに示すように、フロート94は、内部にマグネット99を収容するマグネット収容部96をさらに形成する。マグネット収容部96は、浮き部98よりフロート回転軸V2の近くに形成される空洞である。
図12Bに示すように、このような構造によって、マグネット収容部96の回転半径X1は、浮き部98の回転半径X2より小さい。そのため、フロート94が回転した場合、回転方向R1に沿ったマグネット収容部96の移動量は、回転方向R2に沿った浮き部98の移動量より小さい。これにより、マグネット収容部96に収容されたマグネット99がセンサ90から離れて、検知が困難となることを抑制できる。
【0049】
本実施形態において、マグネット収容部96は第1アーム95に形成される。上述とあわせると、マグネット収容部96と浮き部98とは、アーム接続点P1における折れ曲がりを両側から挟むように形成される。第1アーム95、第2アーム97が折れ曲がりを形成するため、フロート回転軸V2と浮き部98とを結ぶ直線(仮想線X3)に対して、第1アーム95及びマグネット収容部96を背面92に近づけることができる。したがって、マグネット収容部96をセンサ90に近づけることができる。
【0050】
また、マグネット収容部96は、第1アーム95と直交する方向に延びる。言い換えれば、マグネット収容部96は、フロート回転軸V2周りの回転に対して、接線方向に延びる。
【0051】
一方で、フロート回転軸V2は、蓋88に形成される凹部100に位置する。そのため、フロート回転軸V2は、タンク62における液剤の液面S1が上昇した場合でも、液面S1から離れている。よって、液剤がフロート回転軸V2に固着することを抑制でき、液面S1に対するフロート94の追従性を向上できる。
【0052】
ここで、フロート回転軸V2の周囲の構造についてさらに詳細に説明する。
図12Cは、
図12Aに示すタンク62の拡大断面図である。
【0053】
図12Cに示すように、フロート回転軸V2は、前後方向Mにおいて、タンク62の背面92と間隔D1を有して形成される。
【0054】
一方で、マグネット収容部96は、フロート回転軸V2に対して、後側M2に距離D2で突出している。したがって、フロート94の回転は、マグネット収容部96が背面92に当たることによって制限される。
【0055】
本実施形態において、距離D2は、間隔D1に等しい。このような構造によって、マグネット収容部96が背面92に当たると、マグネット収容部96は水平方向に延びる。また、距離D2は、間隔D1より小さくてもよい。このような構造によって、液面S1が高い状態でマグネット収容部96が背面92に当たり、フロート94の回転が過度に制限されることを抑制することができる。
【0056】
マグネット99は、センサ90に検知され、磁性を有する被検知部である。より具体的には、マグネット99は第1磁極99Aと第2磁極99Bとを有し、磁極99A、99Bはセンサ90に検知される磁界を発生させる。本実施形態において、第1磁極99AはN極であり、第2磁極99BはS極である。マグネット99は、例えば、フェライトマグネットである。
【0057】
マグネット99がマグネット収容部96に収容されると、第1磁極99Aがタンク62の背面92に向かって突出する。さらに、2つの磁極99A、99Bが並ぶ方向、即ち磁化方向Jは第1アーム95に直交する。
【0058】
センサ90は、被検知部であるマグネット99を検知する近接センサである。本実施形態において、センサ90は、磁束密度を検知するホールICを含み、ホールICを通過する磁束密度の大きさに応じた電圧値を出力する。センサ90は、タンク62の背面92の上方において、マグネット99による磁力線がセンサ90を通過するように配置される。
【0059】
より具体的には、マグネット99が近接した場合、マグネット99の第1磁極99Aがセンサ90に対向して、磁化方向Jがセンサ90に直交するように、センサ90は配置される。マグネット収容部96がタンク62の背面92に当接した場合において、マグネット99の中心線とセンサ90のホールICとは略同一高さとなる。また、磁化方向JがホールICに対して垂直になる。
【0060】
センサ90で検知された情報は、他の構成によって処理されてもよい。本実施形態において、センサ90は処理部82、記憶部83、及び表示部84(
図13)に接続され、検知された電圧値は処理部82によって残量に変換される。
【0061】
図12Dは、マグネット99とセンサとの間の距離D3と、センサ90から出力される電圧値との関係を示すグラフである。
図12Eは、液剤の残量と、センサ90から出力される電圧値との関係を示すグラフである。
【0062】
図12D及び
図12Eに示すように、液剤の残量が減少し、距離D3が減少すると、センサ90が受けるマグネット99による磁束密度が増加し、センサ90から出力される電圧値は単調に増加する。また、距離D3が充分に小さいと、マグネット99の姿勢は、磁化方向Jがセンサ90に直交する姿勢に近づく。この状態において、センサ90が受ける磁束密度がさらに増加し、センサ90から出力される電圧値はさらに増加する。
【0063】
図12Cに戻ると、マグネット収容部96を閉じる蓋101によって、マグネット99はマグネット収容部96に収容される。蓋101は、例えば、振動溶着によってマグネット収容部96を封鎖する。蓋101が振動溶着により溶着されることで、洗濯処理剤の侵入を抑制し、マグネット収容部96の内部に密閉された空間を形成できる。そのため、洗濯処理剤がマグネット99に付着することによって、マグネット99が腐食して磁力が低下することを抑制できる。蓋101は、超音波溶着、接着剤、またはインサート成形等によってマグネット収容部96を密閉してもよい。蓋101は、蓋101の主面からマグネット収容部96に向かって突出する突起102を有する。突起102によって、マグネット収容部96におけるマグネット99のガタツキを抑制することができる。そのため、マグネット99の動きとマグネット収容部96の動きを一致させることができる。これにより、フロート94の動き、即ちフロート94が追従する水面の動きと、マグネット99の動きとを一致させることができる。水面の変動とマグネット99の動きとの一致によって、水面の変動とマグネット99の動きとの不一致に起因するノイズを抑制できる。また、
図12Aに示すマグネット収容部96がセンサ90と略同一高さの背面92に当たった状態において、マグネット99の磁化方向Jをセンサ90に当てることができる。
【0064】
図13は、フロート94に関連する電子部品の模式図である。
【0065】
図13に示すように、処理部82は、プログラムを実行することにより所定の機能を実現するCPUまたはMPUのような汎用プロセッサを含む。処理部82は、記憶部83に格納されたプログラムを呼び出して実行することにより、センサ90から出力された電圧値に応じて、液剤残量の検知を実現する。処理部82は、ハードウェアとソフトウェアの協働により所定の機能を実現するものに限定されず、所定の機能を実現する専用に設計されたハードウェア回路でもよい。
【0066】
記憶部83は、種々の情報を記録する記録媒体である。記憶部83は、例えば、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Device)、ハードディスク、その他の記憶デバイス又はそれらを適宜組み合わせて実現される。記憶部83には、処理部82が実行するプログラム、及びセンサ90に検知された種々の情報等が格納される。
【0067】
表示部84は、画像、テキストのような種々の情報を表示する表示装置である。表示部84は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、点灯及び消灯のみを実行するLED等により構成される。表示部84は、筐体2に設けられ、洗濯機1の使用者が視認できる位置にある。表示部84は、例えば、液剤の残量、または残量が少なくなった旨を表示する。また、表示部84の代わりに、使用者のスマートフォン等の端末によって実行されるアプリケーションを用いてもよい。
【0068】
[動作]
次に、
図12A、
図14、
図15を参照しながら、タンク62における液剤の量の変化に応じたフロート94の動作について説明する。
図14は、液剤が充填されたタンク62の断面図である。
図15は、液剤が減少した状態におけるタンク62の断面図である。
【0069】
フロート94は、タンク62の液面S1に応じて回動する。フロート94は、タンク62に収容された液剤の量が増えるに従って、即ち液面S1の上昇に従って、センサ90から離れる向きに回転する。一方で、フロート94は、浮き部98が浮力を生じさせていない状態で、即ち、液面S1がタンク62の底面近傍に位置する状態で、センサ90に最も近づく。
【0070】
ここで、フロート94の動作についてより詳細に説明する。まず、
図14に示すように、タンク62は液剤で充填されている。液剤によって生じる浮力によって、浮き部98は、液剤の液面S1とともに蓋88付近に位置する。この状態において、マグネット99は、センサ90から前後方向Mに離れた位置にある。そのため、センサ90から出力される電圧値Y1が最小となる。一方で、マグネット99の回転半径X1(
図12A)が小さいため、この姿勢においても、センサ90はマグネット99を検知できる。
【0071】
洗濯を実行することによって、タンク62内の液剤が使用され、減少する。
図15に示すように、タンク62における液面S1が徐々にタンク62の下面に近づく。液面S1の下降によって、液面S1に追従して移動する浮き部98もタンク62の下面に近づく。浮き部98の下降によって、第2アーム97及び第1アーム95が回転する。第1アーム95が回転すると、マグネット99の第1磁極99A(
図12B)は、センサ90に近づき、距離D3が減少し、センサ90によって検知される磁束密度が増加する。そのため、センサ90から出力される電圧値Y2が増加する。
【0072】
マグネット99がセンサ90に近づいた状態において、マグネット99は磁化方向Jと略平行に動くように回転する。
【0073】
タンク62における液剤の液面S1がさらに下がり、距離D3が充分に小さいと、第1アーム95が下方に沿って延びる。マグネット99の姿勢は、磁化方向Jがセンサ90に直交する姿勢に近づく。この状態において、センサ90によって検知される磁束密度が増加し、出力される電圧値がさらに増加する。このように、液剤の残量が少ない状態を感度の高い側(ゲインが大きい側)に持ってくることで、電圧値に対するノイズの影響を小さくできるので、残量が少ない状態をより精度良く判定できる。また、ノイズとは、脱水振動による液面の揺れ等、外乱によるノイズが含まれる。
【0074】
液剤が充分に減少し、マグネット99がセンサ90に近づくと、センサ90から出力される電圧値に基づいて、処理部82は液剤の残量を計算する。処理部82によって計算された残量値は、表示部84に表示されてもよい。例えば、計算された残量値が100mLである場合、表示部84は「残り100mL」と表示する。また、音声を流すまたは画像を表示する等、文字以外の表示方法を用いてもよい。
【0075】
図12Aに戻り、液剤がさらに減少すると、マグネット収容部96がタンク62の背面92に当たり、フロート94のさらなる回転は抑制される。蓋88とタンク62の背面92によって、フロート94の回動角度を制限されている中で、マグネット99とセンサ90との距離D3が一番近くなっている。この状態において、マグネット99の第1磁極99A(
図12B)がセンサ90に対向し、マグネット99の磁化方向Jがセンサ90のホールICに対して垂直になる。そのため、センサ90が検知する磁束密度が最大となり、出力される電圧値Y3は最大となる。また、この状態において、浮き部98がタンク62の略中心に位置する。
【0076】
洗濯機1の使用者は、表示部84に表示された情報を確認し、タンク62に液剤を適宜補充することができる。タンク62がケース61に配置された場合において、
図10に示すように、小蓋88Aを開けて、液剤を補充することができる。一方で、タンク62をケース61から取り出した場合において、蓋88を取り外して、または小蓋88Aを開けて、液剤を補充することができる。
【0077】
上記の説明は、タンク62の代表としてタンク62Cを用いた説明である。他のタンク62A、62Bにも同じフロート94を適用することができる。一方で、タンク62A、62Bがタンク62に対して異なる深さを有するため、フロート94の動作には異なる点がある。ここで、タンク62Cとの相違点を主眼として、タンク62A、62Bにおけるフロート94の動作について説明する。
【0078】
図16A及び
図16Bはタンク62Bの断面図である。
図16A及び
図16Bに示すように、タンク62Bは、タンク62Cと共通な蓋88及びフロート94を有する。タンク62Bにおいて、液剤が減少し、液面S1とともに浮き部98が下降すると、上述のようにマグネット収容部96はタンク62Bの背面92に付き、センサ90と対向する。この状態において、浮き部98とタンク62Bの底面B12との間には間隔が形成される。タンク62Bの深さはタンク62Cの深さより小さいが、浮き部98と底面B12との接触を抑制する程度に大きい。
【0079】
図17A及び
図17Bはタンク62Aの断面図である。
図17A及び
図17Bに示すように、タンク62Aは、タンク62Cと共通な蓋88及びフロート94を有する。一方で、タンク62Aは、タンク62B、62Cより浅い。そのため、タンク62Aにおいて、液剤が減少し、浮き部98が下降すると、マグネット収容部96がタンク62Aの背面92に付く前に、浮き部98がタンク62Aの内底面B13に当たる。この状態において、フロート94のさらなる回転が制限される。しかし、この状態においても、マグネット収容部96の回転半径X1が小さく、マグネット99とセンサ90との距離D3は小さい。そのため、マグネット収容部96がタンク62Aの背面に付いていない場合においても、センサ90はマグネット99を高感度で検知することができる。
【0080】
ここで、
図18を参照して、タンク62におけるフロート94の回動軌跡についてより詳細に説明する。
図18はタンク62Aとタンク62Cの模式断面図である。
図18では、フロート94の比較例として、フロート194を図示する。
【0081】
図18に示すように、フロート回転軸V2とフロート194の浮き部198とフロート194のマグネット199とが直線上に配置されている。即ちフロート194はストレート状に形成されている。フロート194は、フロート94より液面の高さに応じて大きく移動するため、磁束密度のダイナミックレンジは大きくとれる一方で、浮き部198が蓋88の近くに位置する場合、マグネット199がセンサ90から過剰に遠ざかってしまう。マグネット199がセンサ90から過剰に遠ざかると、液面の変化によるセンサ90の出力値の感度が小さくなり、マグネット199の位置及び液面の変化の検知が困難になる。
【0082】
しかし、フロート94においては、マグネット99とセンサ90との距離が大きくなることを抑制できる。そのため、フロート94においては、フロート194と比較して、液面が蓋88に近い場合であっても、液面の変化を検知できる感度を確保することができる。
【0083】
また、浅いタンク62Aにおけるフロート94とフロート194との回動を比較する。浮き部98、198がタンク62Aの内底面B13に当たった状態において、フロート94のマグネット99は、フロート194のマグネット199よりセンサ90に近づいている。フロート94を用いることで、浅いタンク62Aにおいても、マグネット99をセンサ90近くに配置させることができ、フロート194と比較して、残量が少ない液面高さにおいて、高感度で液面の変化を検知できる。
【0084】
上記の説明より、本実施形態におけるフロート94と、フロート94に対するセンサ90の配置とを適用することによって、異なる深さを有するタンク62に対しても、高い感度で液剤残量の検知が可能である。
【0085】
また、タンク62Aの内底面B13には、内底面B13から隆起した突出部103が形成される。タンク62Aの残量が充分減少すると、浮き部98は突出部103に当たる。突出部103は、距離D3を大きく影響しない程度に、浮き部98を内底面B13から離す。浮き部98を内底面B13から離すことで、内底面B13を覆う液剤によって浮き部98が内底面B13に固着することを抑制できる。このような構造によって、深さが小さいタンク62にフロート94を適用した場合においても、浮き部98の固着を抑制できる。
【0086】
上記の説明をまとめて、本開示の特徴を述べる。
【0087】
本実施形態に係る洗濯機1は、異なる角度に延びる第1アーム95、第2アーム97を有するフロート94を備える。よって、フロート94は、マグネット収容部96と浮き部98との間で、マグネット99を背面92に近づけるような折れ曲がりを形成する。液剤の減少に応じて浮き部98が下降すると、マグネット99はセンサ90に近づく。マグネット99とセンサ90との距離D3が小さくなることによって、センサ90が受ける磁束密度が増加し、センサ90の出力電圧値が増加する。また、液剤が減少すると、マグネット99の磁化方向Jがセンサ90に対向する姿勢に近づく。センサ90を通過するマグネット99による磁束密度が増加し、センサ90の出力電圧値がさらに増加する。そのため、液剤の残量が少ない状態において、センサ90の出力電圧値がノイズより大きくなり、センサ90の感度が向上する。したがって、液剤残量の検知感度が向上する。
【0088】
[効果]
実施の形態1に係る洗濯機1によれば、以下の効果を奏することができる。
【0089】
上述したように、本実施形態の洗濯機1は、外槽3と、タンク62と、フロート94と、センサ90と、を備える。外槽3は、筐体2内に弾性支持される。タンク62は、外槽3に供給される液剤を収容する。フロート94は、タンク62の上部に位置する回転軸(フロート回転軸V2)の周りで回転可能に設けられている。センサ90は、被検知部(マグネット99)を検知する。フロート94は、液剤に対して浮力を有する浮き部98と、マグネット99とを含む。マグネット99は、浮き部98とフロート回転軸V2とを結ぶ仮想線X3よりもセンサ90に近い位置に配置される。
【0090】
このような構成によって、フロート94が回転する際のマグネット99の回動軌跡は、浮き部98の回動軌跡と比較して、センサ90に近い側に位置する。そのため、センサ90からマグネット99が離れすぎることで精度よく検知することが難しくなる範囲を小さくできる。また、タンク62が浅く、浮き部98が底に当たってフロート94の回転が停止してしまう場合でも、センサ90とマグネット99との距離を近づけ、検知精度を向上することができる。
【0091】
また、本実施形態の洗濯機1において、フロート94は、第1アーム95と、第1アーム95と異なる方向に延びる第2アーム97と、を含む。第1アーム95には、マグネット99が設けられる。第2アーム97には、浮き部98が設けられる。
【0092】
このような構成によって、異なる方向に延びる2つのアーム95、97に浮き部98とマグネット99とをそれぞれ配置することができるので、浮き部98とフロート回転軸V2とを結ぶ仮想線X3上ではない位置にマグネット99を配置することができる。そのため、簡易な構成で、マグネット99が浮き部98とフロート回転軸V2とを結ぶ仮想線X3よりもセンサ90に近い位置に配置されたフロート94を構成することができる。
【0093】
また、本実施形態の洗濯機1において、被検知部であるマグネット99がセンサ90に近づいた状態において、一方の磁極(第1磁極99A)から他方の磁極(第2磁極99B)に向かう磁化方向Jはセンサ90に対向する。フロート94は、センサ90に近づいた状態においてセンサ90から離れる際、マグネット99が磁化方向Jと略平行に動くように回転する。
【0094】
このような構成によって、マグネット99がセンサ90から離れるにつれて、徐々に磁束密度が減少するようにできる。そのため、最近接の磁束密度と、最も離れたときの磁束密度との差を大きくすることができる。
【0095】
また、本実施形態の洗濯機1は、深さが異なる複数のタンク62を備える。センサ90は、タンク62の側方に設けられる。フロート94は、浮き部98が浮力を生じさせていない状態で、センサ90が設けられた側のタンク62の側部に当接する、またはあタンク62の内底面に当接する、ことにより静止する。
【0096】
このような構成によって、浮き部98が浮力を生じさせていない状態で、深さ方向が大きいタンク62Cにおいては側壁に当接し、深さ方向が小さいタンク62Aにおいては内底面に当接する。そのため、深さ方向が大きいタンク62Cにおいて、浮き部98に浮力を生じさせなくなる最大の液剤の量を小さくすることができる。
【0097】
また、本実施形態の洗濯機1において、フロート94は、浮き部98が浮力を生じさせていない状態で、浮き部98がタンク62の略中心に位置するように構成される。
【0098】
このような構成によって、タンク62が水平に対して傾斜されて、タンク62内の液面が傾斜していても、浮き部98の位置における液面の高さと、タンク62が水平に配置された場合の液面の高さとの差分を小さくできる。そのため、タンク62の配置によらず、フロート94が浮力を生じない位置に到達した際のタンク62の残量を略一定にすることができる。
【0099】
また、本実施形態の洗濯機1において、フロート94は、浮き部98よりもマグネット99がフロート回転軸V2の近傍に配置されるように構成される。
【0100】
このような構成によって、浮き部98は、液面の高さの変化に追従して、マグネット99の回転半径X1よりも大きな回転半径X2で動く。
【0101】
また、本実施形態の洗濯機1において、センサ90は、タンク62の側方に配置される。フロート回転軸V2は、センサ90の近傍に配置される。フロート94は、フロート回転軸V2から離れた側の端部に浮き部98が設けられる。フロート94は、浮き部98が浮力を生じさせていない状態で、センサ90に最も近づく。フロート94は、浮き部98が浮力を生じさせている状態で、タンク62に収容された液剤の量が増えるに従ってセンサ90から離れる向きに回転する。
【0102】
このような構成によって、浮き部98の回転半径X2はマグネット99の回転半径X2よりも大きく、マグネット99の回転軌跡は浮き部98の回転軌跡よりもセンサ90の近傍となり、液剤の量が少ない場合にマグネット99とセンサ90とが近づく。そのため、液剤の量が少ない場合の検知精度を確保しつつ、液面の変化を精度よく検知することができる。
【0103】
なお、本開示は前記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。
【0104】
なお、実施形態において、液剤吐出流路64が傾斜されると説明したが、これに限定されない。液剤吐出流路64は水平方向に配置されてもよい。
【0105】
なお、第1アーム95にマグネット99を配置し、第2アーム97に浮き部98を配置した例について説明したが、これに限定されない。例えば、第1アーム95に浮き部98を配置し、第2アーム97にマグネット99を配置してもよい。この場合、センサ90をタンク62の底面の近傍に配置してもよい。
【0106】
なお、実施形態において、フロート94が、被検知部としてマグネット99を有する例について説明したが、これに限定されない。フロート94の被検知部は、センサ90によって非接触で検知されるものであればよい。例えば、フロート94は、マグネット99の代わりに赤外線を放射する被検知部を有し、センサ90が放射される赤外線を検知する赤外線センサであってもよい。
【0107】
なお、マグネット99の形状は略四角形に限定されない。マグネット99は、略円型であってもよい。なお、マグネット収容部96の形状は、マグネット99の外形に沿う形であることが好ましい。
【0108】
なお、実施形態では、フロート94が、蓋88に設けられている例について説明したが、これに限定されない。例えば、タンク62の本体87の開口を横断する橋を設けて、フロート94の回転軸を橋に設けてもよい。
【0109】
なお、実施形態では、フロート94が折れ曲がり形状を有する例について説明したが、これに限定されない。例えば、フロート94はセンサ90側に突出するマグネット収容部96を有してもよい。また、フロート94は円弧状に形成されてもよい。
【0110】
なお、実施形態において、複数のタンク62が並ぶ方向が幅方向Kであると説明したが、これに限定されない。複数のタンク62が並ぶ方向は、例えば、前後方向Mに沿ってもよい。言い換えれば、タンク62の長手方向は前後方向Mに沿ってもよい。
【0111】
なお、実施形態において、タンク62と液剤投入装置63との接続方向が前後方向Mであると説明したが、これに限定されない。例えば、タンク62と液剤投入装置63との接続方向は上下方向に沿ってもよい。
【0112】
なお、実施形態において、液剤投入装置63が、出口側において、液剤吐出流路64に接続される例について説明したが、これに限定されない。例えば、液剤投入装置63は、出口側において、タンク62の直下におけるケース61に接続されてもよい。
【0113】
本開示は、添付図面を参照しながら好ましい実施の形態に関連して充分に記載されているが、この技術に熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0114】
本開示の洗濯機は、液剤投入に関する構成の機能を向上させることができるため、家庭用の洗濯機、業務用の洗濯機、あるいは任意の種類の洗濯乾燥機(例えば家庭用のドラム式洗濯機)として有用である。
【符号の説明】
【0115】
1 洗濯機
2 筐体
3 外槽
4 内槽
5 駆動部
6 自動投入ユニット
8 接続流路
10 給水口
11 排水弁
61 ケース
62 タンク
63 液剤投入装置
64 液剤吐出流路
65 手動投入部
87 本体
88 蓋
90 センサ
94 フロート
95 第1アーム
96 マグネット収容部
97 第2アーム
98 浮き部
99 マグネット
K 幅方向
M 前後方向